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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】学習装置および学習方法
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20250407BHJP
【FI】
G06N20/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024571295
(86)(22)【出願日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 JP2023027295
【審査請求日】2024-12-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 卓也
【審査官】渡辺 順哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-037955(JP,A)
【文献】特開2021-157619(JP,A)
【文献】国際公開第2022/049691(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象である画像データセットを取得する学習用画像取得部と、
実行済みタスクである画像データセットの特徴量であって、当該実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルにおける複数の中間層での出力に基づく特徴量を取得する既存特徴量取得部と、
前記実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデル、および、前記学習用画像取得部により取得された検査対象である画像データセットに基づいて、当該検査対象である画像データセットの特徴量であって、当該学習済モデルにおける前記複数の中間層での出力に基づく特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
前記特徴量抽出部により抽出された検査対象である画像データセットの特徴量、および、前記既存特徴量取得部により取得された実行済みタスクである画像データセットの特徴量に基づいて、特徴量の類似度を算出する特徴量比較部と、
前記特徴量比較部により算出された特徴量の類似度に基づいて、前記実行済みタスクである画像データセットのうち、前記学習用画像取得部により取得された検査対象である画像データセットに対して特徴量の類似度が高い実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルを1つ以上選択するモデル選択部と、
前記学習用画像取得部により取得された検査対象である画像データセット、および、前記モデル選択部により選択された学習済モデルに基づいて、当該検査対象である画像データセットを当該学習済モデルに入力することで、良品分布である新規の学習済モデルを生成するモデル学習部と、
前記モデル学習部により生成された新規の学習済モデルに基づいて、当該新規の学習済モデルの精度が閾値以上であるかを判定するモデル評価部と、
前記モデル評価部による判定結果に基づいて、精度が閾値以上であると判定された新規の学習済モデルを示す情報を出力するモデル出力部と
を備えた学習装置。
【請求項2】
前記特徴量抽出部は、前記学習用画像取得部により取得された検査対象である画像データセットまたは当該検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを、前記実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルに入力した際の複数の中間層での出力を、特徴量として抽出する
ことを特徴量とする請求項1記載の学習装置。
【請求項3】
前記特徴量抽出部は、前記学習用画像取得部により取得された検査対象である画像データセットまたは当該検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを、前記実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルに入力した際の複数の中間層での出力を、チャネルごとに平均化したベクトル群を、特徴量として抽出する
ことを特徴量とする請求項1記載の学習装置。
【請求項4】
前記特徴量抽出部は、前記学習用画像取得部により取得された検査対象である画像データセットまたは当該検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを、前記実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルに入力した際の複数の中間層での出力を、全体で平均化したベクトルを、特徴量として抽出する
ことを特徴量とする請求項1記載の学習装置。
【請求項5】
前記特徴量比較部は、前記特徴量抽出部により抽出された検査対象である画像データセットの全体の特徴量と、前記既存特徴量取得部により取得された実行済みタスクである画像データセットの全体の特徴量との類似度を、分布差を用いて算出する
ことを特徴量とする請求項2または請求項3記載の学習装置。
【請求項6】
前記特徴量比較部は、前記特徴量抽出部により抽出された検査対象である画像データセットの全体の特徴量と、前記既存特徴量取得部により取得された実行済みタスクである画像データセットの全体の特徴量との類似度を、分布同士の共通領域を用いて算出する
ことを特徴量とする請求項4記載の学習装置。
【請求項7】
前記特徴量比較部は、前記特徴量抽出部により抽出された検査対象である画像データセットの前記中間層ごとの特徴量と、前記既存特徴量取得部により取得された実行済みタスクである画像データセットの前記中間層ごとの特徴量との類似度を、分布差を用いてそれぞれ算出する
ことを特徴量とする請求項2または請求項3記載の学習装置。
【請求項8】
前記特徴量比較部は、前記特徴量抽出部により抽出された検査対象である画像データセットの前記中間層ごとの特徴量と、前記既存特徴量取得部により取得された実行済みタスクである画像データセットの前記中間層ごとの特徴量との類似度を、分布同士の共通領域を用いてそれぞれ算出する
ことを特徴量とする請求項4記載の学習装置。
【請求項9】
前記モデル学習部は、前記モデル選択部により選択された学習済モデルに、前記学習用画像取得部により取得された検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを入力し、前記中間層ごとの出力を全て結合することで、良品分布である新規の学習済モデルを生成する
ことを特徴量とする請求項1記載の学習装置。
【請求項10】
前記モデル学習部は、前記モデル選択部により選択された学習済モデルに、前記学習用画像取得部により取得された検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを入力し、前記中間層ごとの出力の中からテンソルを選択的に結合することで、良品分布である新規の学習済モデルを生成する
ことを特徴量とする請求項1記載の学習装置。
【請求項11】
学習用画像取得部、既存特徴量取得部、特徴量抽出部、特徴量比較部、モデル選択部、モデル学習部、モデル評価部、および、モデル出力部を備えた学習装置による学習方法であって、
前記学習用画像取得部が、検査対象である画像データセットを取得するステップと、
前記既存特徴量取得部が、実行済みタスクである画像データセットの特徴量であって、当該実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルにおける複数の中間層での出力に基づく特徴量を取得するステップと、
前記特徴量抽出部が、前記実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデル、および、前記学習用画像取得部により取得された検査対象である画像データセットに基づいて、当該検査対象である画像データセットの特徴量であって、当該学習済モデルにおける前記複数の中間層での出力に基づく特徴量を抽出するステップと、
前記特徴量比較部が、前記特徴量抽出部により抽出された検査対象である画像データセットの特徴量、および、前記既存特徴量取得部により取得された実行済みタスクである画像データセットの特徴量に基づいて、特徴量の類似度を算出するステップと、
前記モデル選択部が、前記特徴量比較部により算出された特徴量の類似度に基づいて、前記実行済みタスクである画像データセットのうち、前記学習用画像取得部により取得された検査対象である画像データセットに対して特徴量の類似度が高い実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルを1つ以上選択するステップと、
前記モデル学習部が、前記学習用画像取得部により取得された検査対象である画像データセット、および、前記モデル選択部により選択された学習済モデルに基づいて、当該検査対象である画像データセットを当該学習済モデルに入力することで、良品分布である新規の学習済モデルを生成するステップと、
前記モデル評価部が、前記モデル学習部により生成された新規の学習済モデルに基づいて、当該新規の学習済モデルの評価が閾値以上であるかを判定するステップと、
前記モデル出力部が、前記モデル評価部による判定結果に基づいて、評価が閾値以上であると判定された新規の学習済モデルを示す情報を出力するステップと
を有する学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、学習済モデルを得る学習装置および学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生産現場において、ある製品に対してAI自動外観検査を適用する場合、所望の機能を実現するための教師データとして検査対象である画像データセットを収集する必要がある。そこで、従来から、転移学習などの過去モデルを利用した少データ学習の実現が求められている。
【0003】
一方、過去モデルが複数存在する場合、検査対象である画像データセットに最適なモデルを得るためには、全ての過去モデルを学習および評価して、最も精度の高いモデルを選択する必要がある。そのため、過去モデルの数が膨大である場合、最適なモデルを得るのに多大な学習コストが発生する。
【0004】
そこで、画像データセットの特徴などに基づいて過去モデルを選択して転移学習を行う手法が提案されている。
【0005】
上記のような転移学習技術としては、例えば特許文献1に開示された技術が挙げられる。
この技術は、複数のAIモデルを組み合わせて製品の良品および不良品の検査の精度を上げる方式の技術である。
この技術では、まず、検査データを複数の過去モデルに入力し、中間出力または最終出力の相関が一定以下の過去モデルを選択する。そして、選択したモデルを用いて複数のハイブリッドモデル候補を作成する。そして、ハイブリッドモデル候補の中から最も精度のよいものを採用する。
このように、この技術では、複数のハイブリッドモデルに検査データを入力し、それぞれのモデルの出力の重み付き和に基づいて、正しくラベル判定を行うように学習する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2022/215559号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、既存の転移学習技術は、過去モデルに検査データ(検査対象である画像データセット)を入力した際の中間出力または最終出力の相関が低いモデルのペアを複数選択している。この場合、モデル同士は独立しているが、検査データに適切なモデルを選択できない可能性がある。
【0008】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、従来に対し、検査対象である画像データセットに適切な学習済モデルを得ることを可能とする学習装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る学習装置は、検査対象である画像データセットを取得する学習用画像取得部と、実行済みタスクである画像データセットの特徴量であって、当該実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルにおける複数の中間層での出力に基づく特徴量を取得する既存特徴量取得部と、実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデル、および、学習用画像取得部により取得された検査対象である画像データセットに基づいて、当該検査対象である画像データセットの特徴量であって、当該学習済モデルにおける複数の中間層での出力に基づく特徴量を抽出する特徴量抽出部と、特徴量抽出部により抽出された検査対象である画像データセットの特徴量、および、既存特徴量取得部により取得された実行済みタスクである画像データセットの特徴量に基づいて、特徴量の類似度を算出する特徴量比較部と、特徴量比較部により算出された特徴量の類似度に基づいて、実行済みタスクである画像データセットのうち、学習用画像取得部により取得された検査対象である画像データセットに対して特徴量の類似度が高い実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルを1つ以上選択するモデル選択部と、学習用画像取得部により取得された検査対象である画像データセット、および、モデル選択部により選択された学習済モデルに基づいて、当該検査対象である画像データセットを当該学習済モデルに入力することで、良品分布である新規の学習済モデルを生成するモデル学習部と、モデル学習部により生成された新規の学習済モデルに基づいて、当該新規の学習済モデルの評価が閾値以上であるかを判定するモデル評価部と、モデル評価部による判定結果に基づいて、評価が閾値以上であると判定された新規の学習済モデルを示す情報を出力するモデル出力部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、上記のように構成したので、従来に対し、検査対象である画像データセットに適切な学習済モデルを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る学習システムの構成例を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る学習装置の構成例を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係る学習装置の動作例を示すフローチャートである。
図4】実施の形態1に係る学習装置の全体の動作概要を示す図である。
図5】実施の形態1に係る学習装置の動作概要を示す図である。
図6】実施の形態1に係る学習装置の動作概要を示す図である。
図7】実施の形態1に係る学習装置の動作概要を示す図である。
図8】実施の形態1に係る学習装置の動作概要を示す図である。
図9】実施の形態2に係る学習装置の構成例を示すブロック図である。
図10】実施の形態2に係る学習装置の動作例を示すフローチャートである。
図11】実施の形態2に係る学習装置の動作概要を示す図である。
図12】実施の形態2に係る学習装置の動作概要を示す図である。
図13】実施の形態2に係る学習装置の動作概要を示す図である。
図14図14A図14Bは、実施の形態1,2に係る学習装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る学習システム1の構成例を示す図である。
学習システム1は、図1に示すように、学習装置11、操作入力装置12、記憶装置13、および、表示出力装置14を備えている。
【0013】
学習装置11は、操作入力装置12を介して入力された検査対象である画像データセット、および、記憶装置13に記憶されている情報が示す実行済みタスクである画像データセットの特徴量および当該実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルに基づいて、新規の学習済モデルを示す情報を出力する。
この学習装置11の構成例については後述する。
【0014】
操作入力装置12は、ユーザによる操作を受け付ける装置である。例えば、この操作入力装置12は、ユーザから入力された検査対象である画像データセットを、学習装置11に出力する。
【0015】
記憶装置13は、学習システム1で扱われる各種のデータを記憶する。例えば、記憶装置13は、実行済みタスクである画像データセットの特徴量および当該実行済タスクである画像データセットに対応する学習済モデルを示す情報を記憶する。
ここで、記憶装置13としては、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
【0016】
表示出力装置14は、学習装置11により出力された新規の学習済モデルを示す情報を表示する。
【0017】
次に、学習装置11の構成例について、図2を参照しながら説明する。
学習装置11は、図2に示すように、学習用画像取得部1101、既存特徴量取得部1102、特徴量抽出部1103、特徴量比較部1104、モデル選択部1105、モデル学習部1106、モデル評価部1107、および、モデル出力部1108を備えている。
【0018】
学習用画像取得部1101は、検査対象である画像データセットを取得する。この際、学習用画像取得部1101は、操作入力装置12を介して入力された検査対象である画像データセットを取得する。
【0019】
既存特徴量取得部1102は、実行済みタスクである画像データセットの特徴量を取得する。この際、既存特徴量取得部1102は、記憶装置13に記憶されている情報が示す実行済みタスクである画像データセットの特徴量を取得する。また、この既存特徴量取得部1102により取得される実行済みタスクである画像データセットの特徴量は、当該実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルにおける複数の中間層での出力に基づく特徴量である。
【0020】
特徴量抽出部1103は、実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデル、および、学習用画像取得部1101により取得された検査対象である画像データセットに基づいて、当該検査対象である画像データセットの特徴量を抽出する。この特徴量抽出部1103により抽出される検査対象である画像データセットの特徴量は、上記学習済モデルにおける上記複数の中間層での出力に基づく特徴量である。
【0021】
この際、例えば、特徴量抽出部1103は、上記検査対象である画像データセットまたは当該検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを、上記実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルに入力した際の複数の中間層での出力を、特徴量として抽出してもよい。
また、例えば、特徴量抽出部1103は、上記検査対象である画像データセットまたは当該検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを、上記実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルに入力した際の複数の中間層での出力を、チャネルごとに平均化したベクトル群を、特徴量として抽出してもよい。
また、例えば、特徴量抽出部1103は、上記検査対象である画像データセットまたは当該検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを、上記実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルに入力した際の複数の中間層での出力を、全体で平均化したベクトルを、特徴量として抽出してもよい。
【0022】
なお、この際、特徴量抽出部1103は、記憶装置13に記憶されている情報が示す実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルを取得した上で、上記の特徴量抽出を行う。
【0023】
特徴量比較部1104は、特徴量抽出部1103により抽出された検査対象である画像データセットの特徴量、および、既存特徴量取得部1102により取得された実行済みタスクである画像データセットの特徴量に基づいて、特徴量の類似度を算出する。
ここで、実施の形態1に係る学習装置11では、特徴量比較部1104が、特徴量抽出部1103により抽出された検査対象である画像データセットの全体の特徴量と、既存特徴量取得部1102により取得された実行済みタスクである画像データセットの全体の特徴量との類似度を算出する。
【0024】
この際、例えば、特徴量比較部1104は、上記検査対象である画像データセットの全体の特徴量と、上記実行済みタスクである画像データセットの全体の特徴量との類似度を、分布差を用いて算出してもよい。
また、例えば、特徴量比較部1104は、上記検査対象である画像データセットの全体の特徴量と、上記実行済みタスクである画像データセットの全体の特徴量との類似度を、分布同士の共通領域を用いて算出してもよい。
【0025】
モデル選択部1105は、特徴量比較部1104により算出された特徴量の類似度に基づいて、実行済みタスクである画像データセットのうち、学習用画像取得部1101により取得された検査対象である画像データセットに対して特徴量の類似度が高い実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルを1つ以上選択する。
この際、例えば、モデル選択部1105は、実行済みタスクである画像データセットのうち、学習用画像取得部1101により取得された検査対象である画像データセットに対して特徴量の類似度が高い実行済みタスクである画像データセットの順に、当該画像データセットに対応する学習済モデルを1つ以上選択する。
【0026】
モデル学習部1106は、学習用画像取得部1101により取得された検査対象である画像データセット、および、モデル選択部1105により選択された学習済モデルに基づいて、当該検査対象である画像データセットを当該学習済モデルに入力することで、新規の学習済モデルを生成する。なお、モデル学習部1106により生成される新規の学習済モデルは、良品分布である。
【0027】
この際、例えば、モデル学習部1106は、モデル選択部1105により選択された学習済モデルに、上記検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを入力し、上記中間層ごとの出力を全て結合することで、新規の学習済モデルを生成する。
【0028】
モデル評価部1107は、モデル学習部1106により生成された新規の学習済モデルに基づいて、当該新規の学習済モデルの精度が閾値以上であるかを判定する。なお、閾値は学習済モデルを評価するための値に適宜設定可能である。
【0029】
モデル出力部1108は、モデル評価部1107による判定結果に基づいて、評価が閾値以上であると判定された新規の学習済モデルを示す情報を外部に出力する。
【0030】
次に、図1および図2に示す実施の形態1に係る学習装置11の動作例について、図3図8を参照しながら説明する。
実施の形態1に係る学習装置11では、例えば図4に示すように、まず、検査対象(新規タスク)である画像データセットから、特徴量を抽出する(ステップST1)。図4の例では、検査対象である画像データセットが、画像データセットX(ボトルの口)であり、当該画像データセットXの特徴量が特徴量X1~X3である場合を示している。
また、学習装置11は、実行済みタスクである画像データセットの特徴量を取得する(ステップST2)。図4の例では、実行済みタスクである画像データセットが、3種類の画像データセット(画像データセットA(ナット)、画像データセットB(ケーブル断面)、および、画像データセットC(皮表面))である場合を示している。また、実行済みタスクである画像データセットには、特徴量および学習済モデルが対応付けられている。図4の例では、画像データセットAには特徴量Aおよび学習済モデルAが対応付けられ、画像データセットBには特徴量Bおよび学習済モデルBが対応付けられ、画像データセットCには特徴量Cおよび学習済モデルCが対応付けられている。なお、これらの実行済みタスクである画像データセットに対応する特徴量および学習済モデルを示す情報は、記憶装置13に予め保持されている。
そして、学習装置11は、実行済みタスクである画像データセットの中から、検査対象である画像データセットに対して特徴量が類似する画像データセットを見つけ出し、当該見つけ出した画像データセットに対応する学習済モデルを選択する(ステップST3)。図4の例では、特徴量X1に対して特徴量Aが類似し、特徴量X2に対して特徴量Bが類似しており、学習装置11が、画像データセットAに対応する学習済モデルAおよび画像データセットBに対応する学習済モデルBを選択した場合を示している。
そして、学習装置11は、選択した学習済モデルに基づいて新規の学習済モデル(良品分布)を生成する(ステップST4)。図4の例では、学習装置11が、上記選択した学習済モデルAおよび学習済モデルBに基づいて、新規の学習済モデルXを生成した場合を示している。
【0031】
また、例えば図5に示すように、実施の形態1に係る学習装置11では、学習済モデルが有する中間層のうちの複数の中間層を用いて特徴量抽出を行い、新規の学習済モデル(良品分布)を生成することを前提とする。図5の例では、上記複数の中間層が3つの層(a層、b層およびc層)である場合を示している。
この場合、実施の形態1に係る学習装置11は、過去モデル(実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデル)を活用し、特徴量抽出を行う。また、良品分布生成の前提を踏まえると、特徴量抽出に有用な複数の中間層を過去モデルから活用することが望ましい。
【0032】
そこで、例えば図6および図7に示すように、実施の形態1に係る学習装置11では、上記複数の中間層での出力に基づく特徴量を用い、全体の特徴量の類似度が高い過去モデルを1つ以上選択する。図6の例では、学習装置11が、画像データセットXの特徴量X1と画像データセットAの特徴量Aとを比較した場合を示している。この場合、学習装置11は、画像データセットXを画像データセットAに対応する学習済モデルAに入力することで、特徴量X1を抽出する。なお、図6の例では、特徴量X1と特徴量Aとの類似度が高い場合を示している。また、図7の例では、学習装置11が、画像データセットXの特徴量X3と画像データセットCの特徴量Cとを比較した場合を示している。この場合、学習装置11は、画像データセットXを画像データセットCに対応する学習済モデルCに入力することで、特徴量X3を抽出する。なお、図7の例では、特徴量X3と特徴量Cとの類似度が低い場合を示している。
そして、例えば図8に示すように、学習装置11は、選択した過去モデルに検査対象である画像データセットを入力し、上記中間層ごとの出力を全て結合することで、新規の学習済モデルを生成する。図8の例では、学習装置11が、学習済モデルAおよび学習済モデルBを選択し、新規の学習済モデルXを生成した場合を示している。
【0033】
図1および図2に示す実施の形態1に係る学習装置11の動作例では、例えば図3に示すように、まず、学習用画像取得部1101は、検査対象である画像データセットを取得する(ステップST101)。この際、学習用画像取得部1101は、操作入力装置12を介して入力された検査対象である画像データセットを取得する。
【0034】
図4図8の例では、学習用画像取得部1101は、画像データセットXを取得している。
【0035】
また、既存特徴量取得部1102は、実行済みタスクである画像データセットの特徴量を取得する(ステップST102)。この際、既存特徴量取得部1102は、記憶装置13に記憶されている情報が示す実行済みタスクである画像データセットの特徴量を取得する。また、この既存特徴量取得部1102により取得される実行済みタスクである画像データセットの特徴量は、当該実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルにおける複数の中間層での出力に基づく特徴量である。
【0036】
図4図8の例では、既存特徴量取得部1102は、画像データセットAの特徴量A、画像データセットBの特徴量B、および、画像データセットCの特徴量Cを取得している。なお、図6および図7の例では、既存特徴量取得部1102により取得される特徴量は、過去モデルのa層、b層およびc層での出力に基づく特徴量である。
【0037】
次いで、特徴量抽出部1103は、実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデル、および、学習用画像取得部1101により取得された検査対象である画像データセットに基づいて、当該検査対象である画像データセットの特徴量を抽出する(ステップST103)。この特徴量抽出部1103により抽出される検査対象である画像データセットの特徴量は、上記学習済モデルにおける上記複数の中間層での出力に基づく特徴量である。
【0038】
この際、例えば、特徴量抽出部1103は、上記検査対象である画像データセットまたは当該検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを、上記実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルに入力した際の複数の中間層での出力を、特徴量として抽出してもよい。
また、例えば、特徴量抽出部1103は、上記検査対象である画像データセットまたは当該検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを、上記実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルに入力した際の複数の中間層での出力を、チャネルごとに平均化したベクトル群を、特徴量として抽出してもよい。
また、例えば、特徴量抽出部1103は、上記検査対象である画像データセットまたは当該検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを、上記実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルに入力した際の複数の中間層での出力を、全体で平均化したベクトルを、特徴量として抽出してもよい。
【0039】
なお、この際、特徴量抽出部1103は、記憶装置13に記憶されている情報が示す実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルを取得した上で、上記の特徴量抽出を行う。
【0040】
図4図8の例では、特徴量抽出部1103は、特徴量X1~X3を抽出している。特徴量X1は、画像データセットXを学習済モデルAに入力することで抽出される特徴量である。また、特徴量X2は、画像データセットXを学習済モデルBに入力することで抽出される特徴量である。また、特徴量X3は、画像データセットXを学習済モデルCに入力することで抽出される特徴量である。なお、図6および図7の例では、特徴量抽出部1103により抽出される特徴量は、過去モデルのa層、b層およびc層での出力に基づく特徴量である。
【0041】
次いで、特徴量比較部1104は、特徴量抽出部1103により抽出された検査対象である画像データセットの特徴量、および、既存特徴量取得部1102により取得された実行済みタスクである画像データセットの特徴量に基づいて、特徴量の類似度を算出する(ステップST104)。
ここで、実施の形態1に係る学習装置11では、特徴量比較部1104が、特徴量抽出部1103により抽出された検査対象である画像データセットの全体の特徴量と、既存特徴量取得部1102により取得された実行済みタスクである画像データセットの全体の特徴量との類似度を算出する。
【0042】
この際、例えば、特徴量比較部1104は、上記検査対象である画像データセットの全体の特徴量と、上記実行済みタスクである画像データセットの全体の特徴量との類似度を、分布差を用いて算出してもよい。この際、特徴量比較部1104は、分布差として、例えば、Frechet inception distance、KLダイバージェンス、JSダイバージェンス、または、マハラノビス距離を採用することができる。
また、例えば、特徴量比較部1104は、上記検査対象である画像データセットの全体の特徴量と、上記実行済みタスクである画像データセットの全体の特徴量との類似度を、分布同士の共通領域を用いて算出してもよい。この際、特徴量比較部1104は、分布同士の共通領域として、例えば、Histogram intersectionを採用することができる。
【0043】
次いで、モデル選択部1105は、特徴量比較部1104により算出された特徴量の類似度に基づいて、実行済みタスクである画像データセットのうち、学習用画像取得部1101により取得された検査対象である画像データセットに対して特徴量の類似度が高い実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルを1つ以上選択する(ステップST105)。
この際、例えば、モデル選択部1105は、実行済みタスクである画像データセットのうち、学習用画像取得部1101により取得された検査対象である画像データセットに対して特徴量の類似度が高い実行済みタスクである画像データセットの順に、当該画像データセットに対応する学習済モデルを1つ以上選択する。
【0044】
図4図8の例では、特徴量X1(a層、b層およびc層の全体での特徴量)と特徴量A(a層、b層およびc層の全体での特徴量)、および、特徴量X2(a層、b層およびc層の全体での特徴量)と特徴量B(a層、b層およびc層の全体での特徴量)との類似度が高く、特徴量抽出部1103は、学習済モデルAおよび学習済モデルBを選択している。
一方、図4図8の例では、特徴量X3(a層、b層およびc層の全体での特徴量)と特徴量C(a層、b層およびc層の全体での特徴量)との類似度は低く、特徴量抽出部1103は、学習済モデルCについては選択を行っていない。
【0045】
次いで、モデル学習部1106は、学習用画像取得部1101により取得された検査対象である画像データセット、および、モデル選択部1105により選択された学習済モデルに基づいて、当該検査対象である画像データセットを当該学習済モデルに入力することで、新規の学習済モデルを生成する(ステップST106)。なお、モデル学習部1106により生成される新規の学習済モデルは、良品分布である。
【0046】
この際、例えば、モデル学習部1106は、モデル選択部1105により選択された学習済モデルに、上記検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを入力し、上記中間層ごとの出力を全て結合することで、新規の学習済モデルを生成する。
【0047】
図4図8の例では、モデル学習部1106は、学習済モデルAおよび学習済モデルBから、新規の学習済モデルXを生成している。この際、モデル学習部1106は、学習済モデルAおよび学習済モデルBに画像データセットXをそれぞれ入力し、学習済モデルAの上記中間層(a層、b層およびc層)での出力と学習済モデルBの上記中間層(a層、b層およびc層)での出力とを全て結合することで、新規の学習済モデルX(良品分布)を生成している。
【0048】
次いで、モデル評価部1107は、モデル学習部1106により生成された新規の学習済モデルに基づいて、当該新規の学習済モデルの精度が閾値以上であるかを判定する(ステップST107)。なお、閾値は学習済モデルを評価するための値に適宜設定可能である。
【0049】
次いで、モデル出力部1108は、モデル評価部1107による判定結果に基づいて、評価が閾値以上であると判定された新規の学習済モデルを示す情報を外部に出力する(ステップST108)。
【0050】
ここで、従来技術では、複数の過去モデルの選択において、検査対象である画像データセットに適切な学習済モデルを選択できない可能性がある。
これに対し、実施の形態1に係る学習装置11では、検査対象である画像データセットの特徴量(モデル中間出力に基づく特徴量)と、実行済みタスクである画像データセットの特徴量(モデル中間出力に基づく特徴量)とを比較することで、異常検知向けの新規の学習済モデルを生成することを考慮して、検査対象である画像データセットと類似したデータで学習済モデルを選択することができ、高精度化が期待できる。
【0051】
以上のように、この実施の形態1によれば、学習装置11は、検査対象である画像データセットを取得する学習用画像取得部1101と、実行済みタスクである画像データセットの特徴量であって、当該実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルにおける複数の中間層での出力に基づく特徴量を取得する既存特徴量取得部1102と、実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデル、および、学習用画像取得部1101により取得された検査対象である画像データセットに基づいて、当該検査対象である画像データセットの特徴量であって、当該学習済モデルにおける複数の中間層での出力に基づく特徴量を抽出する特徴量抽出部1103と、特徴量抽出部1103により抽出された検査対象である画像データセットの特徴量、および、既存特徴量取得部1102により取得された実行済みタスクである画像データセットの特徴量に基づいて、特徴量の類似度を算出する特徴量比較部1104と、特徴量比較部1104により算出された特徴量の類似度に基づいて、実行済みタスクである画像データセットのうち、学習用画像取得部1101により取得された検査対象である画像データセットに対して特徴量の類似度が高い実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルを1つ以上選択するモデル選択部1105と、学習用画像取得部1101により取得された検査対象である画像データセット、および、モデル選択部1105により選択された学習済モデルに基づいて、当該検査対象である画像データセットを当該学習済モデルに入力することで、良品分布である新規の学習済モデルを生成するモデル学習部1106と、モデル学習部1106により生成された新規の学習済モデルに基づいて、当該新規の学習済モデルの評価が閾値以上であるかを判定するモデル評価部1107と、モデル評価部1107による判定結果に基づいて、評価が閾値以上であると判定された新規の学習済モデルを示す情報を出力するモデル出力部1108とを備えた。特に、実施の形態1に係る学習装置11では、特徴量比較部1104が、特徴量抽出部1103により抽出された検査対象である画像データセットの全体の特徴量と、既存特徴量取得部1102により取得された実行済みタスクである画像データセットの全体の特徴量との類似度を算出し、学習済モデルの選択を行う。
これにより、実施の形態1に係る学習装置11は、従来に対し、検査対象である画像データセットに適切な学習済モデルを得ることが可能となる。
【0052】
実施の形態2.
実施の形態1に係る学習装置11では、検査対象である画像データセットの全体の特徴量と、実行済みタスクである画像データセットの全体の特徴量との類似度を算出し、学習済モデルの選択を行う場合について示した。これに対し、実施の形態2に係る学習装置11では、検査対象である画像データセットの中間層ごとの特徴量と、実行済みタスクである画像データセットの中間層毎の特徴量との類似度を算出し、学習済モデル(中間層)の選択を行う場合について示す。
【0053】
図9は実施の形態2に係る学習装置11の構成例を示す図である。この図9に示す実施の形態2に係る学習装置11では、図2に示す実施の形態1に係る学習装置11に対し、特徴量比較部1104が特徴量比較部1104bに変更され、モデル学習部1106がモデル学習部1106bに変更されている。図9に示す実施の形態2に係る学習装置11におけるその他の構成例については、図2に示す実施の形態1に係る学習装置11の構成例と同様であり、同一の符号を付して異なる部分についてのみ説明を行う。
【0054】
特徴量比較部1104bは、特徴量抽出部1103により抽出された検査対象である画像データセットの特徴量、および、既存特徴量取得部1102により取得された実行済みタスクである画像データセットの特徴量に基づいて、特徴量の類似度を算出する。
ここで、実施の形態2に係る学習装置11では、特徴量比較部1104bが、特徴量抽出部1103により抽出された検査対象である画像データセットの上記中間層ごとの特徴量と、既存特徴量取得部1102により取得された実行済みタスクである画像データセットの上記中間層ごとの全体の特徴量との類似度をそれぞれ算出する。
【0055】
この際、例えば、特徴量比較部1104bは、上記検査対象である画像データセットの上記中間層ごとの特徴量と、上記実行済みタスクである画像データセットの上記中間層ごとの特徴量との類似度を、分布差を用いてそれぞれ算出してもよい。
また、例えば、特徴量比較部1104bは、上記検査対象である画像データセットの上記中間層ごとの特徴量と、上記実行済みタスクである画像データセットの上記中間層ごとの特徴量との類似度を、分布同士の共通領域を用いてそれぞれ算出してもよい。
【0056】
モデル学習部1106bは、学習用画像取得部1101により取得された検査対象である画像データセット、および、モデル選択部1105により選択された学習済モデルに基づいて、当該検査対象である画像データセットを当該学習済モデルに入力することで、新規の学習済モデルを生成する。なお、モデル学習部1106bにより生成される新規の学習済モデルは、良品分布である。
【0057】
この際、例えば、モデル学習部1106bは、モデル選択部1105により選択された学習済モデルに、上記検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを入力し、上記中間層ごとの出力の中からテンソルを選択的に結合することで、新規の学習済モデルを生成する。
【0058】
次に、図1および図9に示す実施の形態2に係る学習装置11の動作例について、図10図13を参照しながら説明する。
例えば図11および図12に示すように、実施の形態2に係る学習装置11では、上記複数の中間層での出力に基づく特徴量を用い、上記中間層ごとの特徴量の類似度が高い過去モデルを1つ以上選択する。図11の例では、学習装置11が、画像データセットXの特徴量X1と画像データセットAの特徴量Aとを比較した場合を示している。この場合、学習装置11は、画像データセットXを画像データセットAに対応する学習済モデルAに入力することで、特徴量X1を抽出する。なお、図11の例では、a層およびb層に関して、特徴量X1と特徴量Aとの類似度が高い場合を示している。また、図12の例では、学習装置11が、画像データセットXの特徴量X2と画像データセットBの特徴量Bとを比較した場合を示している。この場合、学習装置11は、画像データセットXを画像データセットBに対応する学習済モデルBに入力することで、特徴量X2を抽出する。なお、図12の例では、c層に関して、特徴量X2と特徴量Bとの類似度が高い場合を示している。
そして、例えば図13に示すように、学習装置11は、選択した過去モデルに検査対象である画像データセットを入力し、上記中間層ごとの出力の中からテンソルを選択的に結合することで、新規の学習済モデルを生成する。図13の例では、学習装置11が、学習済モデルA(a層およびb層)および学習済モデルB(c層)を選択し、新規の学習済モデルXを生成した場合を示している。
【0059】
図1および図9に示す実施の形態2に係る学習装置11の動作例では、例えば図10に示すように、まず、学習用画像取得部1101は、検査対象である画像データセットを取得する(ステップST201)。この際、学習用画像取得部1101は、操作入力装置12を介して入力された検査対象である画像データセットを取得する。
【0060】
図4図5図11図13の例では、学習用画像取得部1101は、画像データセットXを取得している。
【0061】
また、既存特徴量取得部1102は、実行済みタスクである画像データセットの特徴量を取得する(ステップST202)。この際、既存特徴量取得部1102は、記憶装置13に記憶されている情報が示す実行済みタスクである画像データセットの特徴量を取得する。また、この既存特徴量取得部1102により取得される実行済みタスクである画像データセットの特徴量は、当該実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルにおける複数の中間層での出力に基づく特徴量である。
【0062】
図4図5図11図13の例では、既存特徴量取得部1102は、画像データセットAの特徴量A、画像データセットBの特徴量B、および、画像データセットCの特徴量Cを取得している。なお、図11および図12の例では、既存特徴量取得部1102により取得される特徴量は、過去モデルのa層、b層およびc層での出力に基づく特徴量である。
【0063】
次いで、特徴量抽出部1103は、実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデル、および、学習用画像取得部1101により取得された検査対象である画像データセットに基づいて、当該検査対象である画像データセットの特徴量を抽出する(ステップST203)。この特徴量抽出部1103により抽出される検査対象である画像データセットの特徴量は、上記学習済モデルにおける上記複数の中間層での出力に基づく特徴量である。
【0064】
この際、例えば、特徴量抽出部1103は、上記検査対象である画像データセットまたは当該検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを、上記実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルに入力した際の複数の中間層での出力を、特徴量として抽出してもよい。
また、例えば、特徴量抽出部1103は、上記検査対象である画像データセットまたは当該検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを、上記実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルに入力した際の複数の中間層での出力を、チャネルごとに平均化したベクトル群を、特徴量として抽出してもよい。
また、例えば、特徴量抽出部1103は、上記検査対象である画像データセットまたは当該検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを、上記実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルに入力した際の複数の中間層での出力を、全体で平均化したベクトルを、特徴量として抽出してもよい。
【0065】
なお、この際、特徴量抽出部1103は、記憶装置13に記憶されている情報が示す実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルを取得した上で、上記の特徴量抽出を行う。
【0066】
図4図5図11図13の例では、特徴量抽出部1103は、特徴量X1~X3を抽出している。特徴量X1は、画像データセットXを学習済モデルAに入力することで抽出される特徴量である。また、特徴量X2は、画像データセットXを学習済モデルBに入力することで抽出される特徴量である。また、特徴量X3は、画像データセットXを学習済モデルCに入力することで抽出される特徴量である。なお、図11および図12の例では、特徴量抽出部1103により抽出される特徴量は、過去モデルのa層、b層およびc層での出力に基づく特徴量である。
【0067】
次いで、特徴量比較部1104bは、特徴量抽出部1103により抽出された検査対象である画像データセットの特徴量、および、既存特徴量取得部1102により取得された実行済みタスクである画像データセットの特徴量に基づいて、特徴量の類似度を算出する(ステップST204)。
ここで、実施の形態2に係る学習装置11では、特徴量比較部1104bが、特徴量抽出部1103により抽出された検査対象である画像データセットの上記中間層ごとの特徴量と、既存特徴量取得部1102により取得された実行済みタスクである画像データセットの上記中間層ごとの特徴量との類似度をそれぞれ算出する。
【0068】
この際、例えば、特徴量比較部1104bは、上記検査対象である画像データセットの上記中間層ごとの特徴量と、上記実行済みタスクである画像データセットの上記中間層ごとの特徴量との類似度を、分布差を用いてそれぞれ算出してもよい。この際、特徴量比較部1104bは、分布差として、例えば、Frechet inception distance、KLダイバージェンス、JSダイバージェンス、または、マハラノビス距離を採用することができる。
また、例えば、特徴量比較部1104bは、上記検査対象である画像データセットの上記中間層ごとの特徴量と、上記実行済みタスクである画像データセットの上記中間層ごとの特徴量との類似度を、分布同士の共通領域を用いてそれぞれ算出してもよい。この際、特徴量比較部1104bは、分布同士の共通領域として、例えば、Histogram intersectionを採用することができる。
【0069】
次いで、モデル選択部1105は、特徴量比較部1104bにより算出された特徴量の類似度に基づいて、実行済みタスクである画像データセットのうち、学習用画像取得部1101により取得された検査対象である画像データセットに対して特徴量の類似度が高い実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルを1つ以上選択する(ステップST205)。
この際、例えば、モデル選択部1105は、実行済みタスクである画像データセットのうち、学習用画像取得部1101により取得された検査対象である画像データセットに対して特徴量の類似度が高い実行済みタスクである画像データセットの順に、当該画像データセットに対応する学習済モデルを1つ以上選択する。
【0070】
図4図5図11図13の例では、a層およびb層に関する特徴量X1と特徴量A、および、c層に関する特徴量X2と特徴量Bとの類似度が高く、特徴量抽出部1103は、学習済モデルAおよび学習済モデルBを選択している。
一方、図4図5図11図13の例では、a層、b層およびc層に関する特徴量X3と特徴量Cとの類似度は低く、特徴量抽出部1103は、学習済モデルCについては選択を行っていない。
【0071】
次いで、モデル学習部1106bは、学習用画像取得部1101により取得された検査対象である画像データセット、および、モデル選択部1105により選択された学習済モデルに基づいて、当該検査対象である画像データセットを当該学習済モデルに入力することで、新規の学習済モデルを生成する(ステップST206)。なお、モデル学習部1106bにより生成される新規の学習済モデルは、良品分布である。
【0072】
この際、例えば、モデル学習部1106bは、モデル選択部1105により選択された学習済モデルに、上記検査対象である画像データセットのうちの良品画像データセットを入力し、上記中間層ごとの出力の中からテンソルを選択的に結合することで、新規の学習済モデルを生成する。
【0073】
図4図5図11図13の例では、モデル学習部1106bは、学習済モデルAおよび学習済モデルBから、新規の学習済モデルXを生成している。この際、モデル学習部1106は、学習済モデルAおよび学習済モデルBに画像データセットXをそれぞれ入力し、学習済モデルAの上記類似度の高い中間層(a層およびb層)での出力と学習済モデルBの上記類似度の高い中間層(c層)での出力とを結合することで、新規の学習済モデルX(良品分布)を生成している。
【0074】
次いで、モデル評価部1107は、モデル学習部1106bにより生成された新規の学習済モデルに基づいて、当該新規の学習済モデルの精度が閾値以上であるかを判定する(ステップST207)。なお、閾値は学習済モデルを評価するための値に適宜設定可能である。
【0075】
次いで、モデル出力部1108は、モデル評価部1107による判定結果に基づいて、評価が閾値以上であると判定された新規の学習済モデルを示す情報を外部に出力する(ステップST208)。
【0076】
ここで、従来技術では、複数の過去モデルの選択において、検査対象である画像データセットに適切な学習済モデルを選択できない恐れがある。
これに対し、実施の形態2に係る学習装置11では、検査対象である画像データセットの特徴量(モデル中間出力に基づく特徴量)と、実行済みタスクである画像データセットの特徴量(モデル中間出力に基づく特徴量)とを比較することで、異常検知向けの新規の学習済モデルを生成することを考慮して、検査対象である画像データセットと類似したデータで学習済モデル(中間層)を選択することができ、高精度化が期待できる。
【0077】
以上のように、この実施の形態2に係る学習装置11では、特徴量比較部1104が、特徴量抽出部1103により抽出された検査対象である画像データセットの中間層ごとの特徴量と、既存特徴量取得部1102により取得された実行済みタスクである画像データセットの中間層ごとの特徴量との類似度を算出し、学習済モデル(中間層)の選択を行う。これにより、実施の形態2に係る学習装置11は、従来に対し、新規データに適切な学習済モデルを得ることが可能となる。
【0078】
最後に、図14を参照して、実施の形態1,2に係る学習装置11のハードウェア構成例を説明する。ここでは、実施の形態1に係る学習装置11のハードウェア構成例について説明するが、実施の形態2に係る学習装置11のハードウェア構成例についても同様である。
学習装置11における学習用画像取得部1101、既存特徴量取得部1102、特徴量抽出部1103、特徴量比較部1104、モデル選択部1105、モデル学習部1106、モデル評価部1107、および、モデル出力部1108の各機能は、処理回路51により実現される。処理回路51は、図14Aに示すように、専用のハードウェアであってもよいし、図14Bに示すように、メモリ53に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、またはDSP(Digital Signal Processor)ともいう)52であってもよい。
【0079】
処理回路51が専用のハードウェアである場合、処理回路51は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。学習用画像取得部1101、既存特徴量取得部1102、特徴量抽出部1103、特徴量比較部1104、モデル選択部1105、モデル学習部1106、モデル評価部1107、および、モデル出力部1108の各部の機能それぞれを処理回路51で実現してもよいし、各部の機能をまとめて処理回路51で実現してもよい。
【0080】
処理回路51がCPU52の場合、学習用画像取得部1101、既存特徴量取得部1102、特徴量抽出部1103、特徴量比較部1104、モデル選択部1105、モデル学習部1106、モデル評価部1107、および、モデル出力部1108の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ53に格納される。処理回路51は、メモリ53に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、学習装置11は、処理回路51により実行されるときに、例えば図3に示した各ステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ53を備える。また、これらのプログラムは、学習用画像取得部1101、既存特徴量取得部1102、特徴量抽出部1103、特徴量比較部1104、モデル選択部1105、モデル学習部1106、モデル評価部1107、および、モデル出力部1108の手順および方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ53としては、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
【0081】
なお、学習用画像取得部1101、既存特徴量取得部1102、特徴量抽出部1103、特徴量比較部1104、モデル選択部1105、モデル学習部1106、モデル評価部1107、および、モデル出力部1108の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、学習用画像取得部1101については専用のハードウェアとしての処理回路51でその機能を実現し、既存特徴量取得部1102、特徴量抽出部1103、特徴量比較部1104、モデル選択部1105、モデル学習部1106、モデル評価部1107、および、モデル出力部1108については処理回路51がメモリ53に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0082】
このように、処理回路51は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0083】
なお、各実施の形態の自由な組合わせ、或いは各実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本開示に係る学習装置は、従来に対し、検査対象である画像データセットに適切な学習済モデルを得ることが可能となり、学習済モデルを得る学習装置などに用いるのに適している。
【符号の説明】
【0085】
1 学習システム、11 学習装置、12 操作入力装置、13 記憶装置、14 表示出力装置、51 処理回路、52 CPU、53 メモリ、1101 学習用画像取得部、1102 既存特徴量取得部、1103 特徴量抽出部、1104,1104b 特徴量比較部、1105 モデル選択部、1106,1106b モデル学習部、1107 モデル評価部、1108 モデル出力部。
【要約】
検査対象である画像データセットを取得する学習用画像取得部(1101)と、実行済みタスクである画像データセットの特徴量を取得する既存特徴量取得部(1102)と、検査対象である画像データセットの特徴量を抽出する特徴量抽出部(1103)と、検査対象である画像データセットの特徴量、および、実行済みタスクである画像データセットの特徴量の類似度を算出する特徴量比較部(1104)と、特徴量の類似度に基づいて、実行済みタスクである画像データセットのうち、検査対象である画像データセットに対して特徴量の類似度が高い実行済みタスクである画像データセットに対応する学習済モデルを1つ以上選択するモデル選択部(1105)と、検査対象である画像データセットを、モデル選択部(1105)により選択された学習済モデルに入力することで、良品分布である新規の学習済モデルを生成するモデル学習部(1106)と、新規の学習済モデルの評価が閾値以上であるかを判定するモデル評価部(1107)と、評価が閾値以上であると判定された新規の学習済モデルを示す情報を出力するモデル出力部(1108)とを備えた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14