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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】バスのルーフ構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/02 20060101AFI20250408BHJP
【FI】
B60J7/02 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022072909
(22)【出願日】2022-04-27
(65)【公開番号】P2023162538
(43)【公開日】2023-11-09
【審査請求日】2023-12-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年4月2日、長野市中央通りにて開催された長野市交通安全フェアにて公開するとともに、同日ツイッターにて公表https://mobile.twitter.com/kusakaru_kotsu/status/1510812026259804160?cxt=HHwWgMDUuZDivfcpAAAA令和4年4月19日、草軽交通株式会社にて公開するとともに、同日長野朝日放送がニュース番組にて放送し、Yahooニュースに掲載https://news.yahoo.co.jp/articles/062dc45cd09111214503c21dbaf985d5ad0f1321
(73)【特許権者】
【識別番号】514248547
【氏名又は名称】ビューテックバスサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】結城 多可夫
(72)【発明者】
【氏名】松本 靖広
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3198404(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-2304056(KR,B1)
【文献】登録実用新案第3176157(JP,U)
【文献】特表2021-519241(JP,A)
【文献】特開2019-077421(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0122244(KR,A)
【文献】実開昭64-056321(JP,U)
【文献】特開2015-120390(JP,A)
【文献】特開平09-226379(JP,A)
【文献】特開平07-017263(JP,A)
【文献】特開平02-197416(JP,A)
【文献】特開2018-079853(JP,A)
【文献】米国特許第05746475(US,A)
【文献】西独国実用新案公開第29615592(DE,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根に形成された開口部に、開閉自在の透明天板窓を備えたバスのルーフ構造において、
前記ルーフ構造は、左右方向屋根フレームと前後方向屋根フレームが格子状に組み立てられて設けられ、前記開口部は一対の前記左右方向屋根フレームと一対の前記前後方向屋根フレームで囲まれて形成され、
前記開口部は複数個形成され、複数個のうちの一部の前記開口部には窓枠が設けられ、その他の前記開口部には前記窓枠が設けられず、前記窓枠が設けられた前記開口部と、設けられていない前記開口部が、交互に前後方向に並び、
前記窓枠が設けられた前記開口部には、前記窓枠に沿って開閉可能に設けられた透明パネルと、前記透明パネルを保持したパネル枠と、前記パネル枠とともに前記透明パネルを開閉駆動する駆動装置を備えた前記透明天板窓が取り付けられ
前記窓枠が設けられていない前記開口部には固定パネルが取り付けられ、
前記パネル枠は、前記透明パネルを上方に湾曲させる支持フレーム板を前記透明パネルの下面に備え、
前記窓枠の一方の側に、前記透明パネルとともに前記パネル枠を開閉する前記駆動装置が設けられ、
前記窓枠の左右両側に前記透明パネルの駆動方向に沿って複数のローラを備えることを特徴とするバスのルーフ構造。
【請求項2】
前記パネル枠は、互いに平行に外方に開口した断面コ字状のガイド部を兼用して形成され、前記ガイド部内に前記複数のローラが接して、前記パネル枠が開閉する請求項1記載のバスのルーフ構造。
【請求項3】
前記複数のローラは、回転軸が略水平方向に設けられた上下ガイドローラと、回転軸が略垂直方向に設けられた左右ガイドローラを備える請求項1記載のバスのルーフ構造。
【請求項4】
前記駆動装置は、前記窓枠の左右一方の側のみに設けられ、前記駆動装置の進退自在の可動部材が前記パネル枠に固定されている請求項3記載のバスのルーフ構造。
【請求項5】
前記パネル枠には、長手方向に沿って凹凸部が形成されている請求項2記載のバスのルーフ構造。
【請求項6】
前記窓枠には、前記透明パネルの周囲に摺接するとともに密着可能な防水ゴムパッキンと、前記透明パネルを閉じた時に前記パネル枠または前記透明パネルに接して前記パネル枠を保持する保持体を備える請求項1又は2記載のバスのルーフ構造。
【請求項7】
前記固定パネルは透明である請求項1記載のバスのルーフ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多数の人員を輸送する自動車であるバスのルーフ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ルーフが開口するバスがあり、ルーフを開口させて客室からの視界及び展望を向上させるものがある。この様なバスのルーフ構造には、色々なものが提案されている。例えば、特許文献1に開示されているオープンカータイプバスは、ルーフの開口を覆うアコーディオン式に折り畳み可能な幌を有する。幌は、防水シートと、シートの長手方向にあるピッチで複数本配設されたシートを支えるアーチ状パイプと、各アーチ状パイプの両端に取り付けられた車輪を含む可動ブラケットと、可動ブラケットのスライドする、ルーフ開口の近傍においてバスの前後方向に延びるレールと、を備えている。幌は、手動により開口が閉じられた閉止状態と、開口の端部に折り畳まれて開口が開かれた開放状態とに開閉される。
【0003】
しかし、上記特許文献1の場合、雨天の場合は幌を閉止状態にするため、稼働時期が限定され、視界及び展望を十分に楽しむことができないという問題がある。この問題を解決し、雨天時にも景観を楽しむことができるものとして、特許文献2に開示されているバスのルーフ構造がある。このバスのルーフ構造のルーフ開閉装置は、高さを異ならせて配設された複数の透明パネルと、開口部の両側に配設され、複数の透明パネルを高さが異なった状態を維持しつつスライド可能に支持するガイドレールと、透明パネルの前方に配置された第1のスライドフレームと、透明パネルの後方に配置された第2のスライドフレームとを有する。開口を閉める際は、上方に位置する透明パネルを前方にスライドさせ、上方に位置する透明パネルの第2のスライドフレームが下方に位置する透明パネルの第1のスライドフレームと係合し、複数の透明パネルを順次前方にスライドさせる。開口を開ける際は、上方に位置する透明パネルを後方にスライドさせ、上方に位置する透明の第2のスライドフレームが下方に位置する透明パネルの第2のスライドフレームと係合し、複数の透明パネルを順次後方にスライドさせる。この特許文献2のバスのルーフ構造の場合、開口を閉めても、透明パネルを透過して展望を楽しむことができ、雨天時の他に、夏の酷暑や冬の寒い日にも、冷暖房がきいた環境で、景観を楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3176157号公報
【文献】実用新案登録第3198404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2の場合、開口がバスのルーフの広い面積を占めているため、バス本体の強度上の問題がある。また、透明パネルは大きい方が開放感があり視界及び展望を向上させるが、透明パネルを水平方向に配置する場合、透明パネル自体が下方に撓むという問題がある。撓みに対して、透明パネルを厚くすれば強度が増し撓みを抑えることができるが、ルーフの重量が増し、重心が高くなるという問題がある。
【0006】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ルーフが軽量で大型の透明パネルを使用することができ、開口を閉めても透明パネルを透過して景色を見ることができ、バス本体の強度も高く安全性が高いバスのルーフ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、屋根に形成された開口部に、開閉自在の透明天板窓を備えたバスのルーフ構造において、前記ルーフ構造は、左右方向屋根フレームと前後方向屋根フレームが格子状に組み立てられて設けられ、前記開口部は一対の前記左右方向屋根フレームと一対の前記前後方向屋根フレームで囲まれて形成され、前記開口部は複数個形成され、複数個のうちの一部の前記開口部には窓枠が設けられ、その他の前記開口部には前記窓枠が設けられず、前記窓枠が設けられた前記開口部と、設けられていない前記開口部が、交互に前後方向に並び、前記窓枠が設けられた前記開口部には、前記窓枠に沿って開閉可能に設けられた透明パネルと、前記透明パネルを保持したパネル枠と、前記パネル枠とともに前記透明パネルを開閉駆動する駆動装置を備えた前記透明天板窓が取り付けられ前記窓枠が設けられていない前記開口部には固定パネルが取り付けられ、前記パネル枠は、前記透明パネルを上方に湾曲させる支持フレーム板を前記透明パネルの下面に備え、前記窓枠の一方の側に、前記透明パネルとともに前記パネル枠を開閉する前記駆動装置が設けられ、前記窓枠の左右両側に前記透明パネルの駆動方向に沿って複数のローラを備えることを特徴とするバスのルーフ構造である。
【0008】
前記パネル枠は、互いに平行に外方に開口した断面コ字状のガイド部を兼用して形成され、前記ガイド部内に前記複数のローラが接して、前記パネル枠が開閉する。前記複数のローラは、回転軸が略水平方向に設けられた上下ガイドローラと、回転軸が略垂直方向に設けられた左右ガイドローラを備える。
【0009】
前記駆動装置は、前記窓枠の左右一方の側のみに設けられ、前記駆動装置の進退自在の可動部材が前記パネル枠に固定されている。前記パネル枠には、長手方向に沿って凹凸部が形成されている。前記窓枠には、前記透明パネルの周囲に摺接するとともに密着可能な防水ゴムパッキンを備える。前記窓枠には、前記透明パネルを閉じた時に前記パネル枠または前記透明パネルに接して、前記パネル枠を保持する保持体を備える。前記固定パネルは透明である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のバスのルーフ構造は、ルーフが軽量で大型の透明パネルを使用することができ、開口を閉めても透明パネルを透過して景色を見ることができる。しかも、バス本体の強度が高くて安全性が高い。特に、開閉用の駆動装置を片側のみに設けることにより軽量化し、複数のローラにより、片側のみの駆動装置にもかかわらずスムーズに開閉することが可能である。支持フレーム板を設けて透明パネルの下面を支持しており、透明パネルの面積を大きくしても、透明パネル自体が下方に撓むことがなく、透明パネルをできるだけ薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の一実施形態のバスのルーフ構造を示す平面図である。
図2】この実施形態のバスのルーフ構造の透明パネルの開口状態を示す平面図である。
図3】この実施形態のバスのルーフ構造の左側面図である。
図4図1のA-A線縦断面図である。
図5図5のg部分拡大図である。
図6図5のh部分拡大図である。
図7図1のB-B線縦断面図である。
図8図7のi部分拡大図である。
図9図7のj部分拡大図である。
図10】この実施形態のバスのルーフ構造のパネル枠の平面図である。
図11図10のC-C線縦断面図(a)と、(a)のk部分拡大図(b)である。
図12】この実施形態のバスのルーフ構造の支持フレーム板の平面図(a)と、(a)のD-D線縦断面図(b)と、(a)のE-E線拡大縦断面図(c)である。
図13】この実施形態のバスのルーフ構造の防水ゴムパッキンの平面図(a)と、(a)のF-F線縦断面図(b)である。
図14】この実施形態のバスのルーフ構造のパネル枠の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1図14はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態のバスのルーフ構造10は、大型の観光用のバス12の屋根に適用されている。なお、バス12はこれ以外に、2階建て構造のもの等、種々の物が適用される。図1は、バス12の平面図であり、バス12の長手方向を前後方向とし、進行方向を前とする。そして、前後方向に直交し進行方向を向いた時に右側を右方向、左側を左方向とする。前後方向及び左右方向に共に直交する方向を上下方向とする。
【0013】
バス12の前側には運転席14が設けられ、運転席14の後方には乗客16が座る座席18が設けられている。座席18は、前後方向に長い中央通路を挟んで左右に、各々2席が設けられ、バス12の後側までほぼ等間隔に配置されている。
【0014】
バスのルーフ構造10には、バス12の左右の側面上端に位置し前後方向に長い一対の車体フレーム20が設けられ、一対の車体フレーム20は互いに平行である。一対の車体フレーム20の間には、車体フレーム20どうしを連結する屋根フレーム22が設けられている。屋根フレーム22は、一対の車体フレーム20に対して略直角な左右方向屋根フレーム22aと、車体フレーム20に対して略平行な前後方向屋根フレーム22b,22cから成り、車体フレーム20と左右方向屋根フレーム22a、前後方向屋根フレーム22b,22cが格子状に組み立てられている。左右方向屋根フレーム22aは複数個が所定間隔で設けられ、ここでは10個が設けられている。前後方向屋根フレーム22b,22cは、バス12の左右方向の中心を挟んで左右に一対が設けられている。前後方向屋根フレーム22bは、車体フレーム20に近い位置にあり、前後方向屋根フレーム22cは、左右方向屋根フレーム22bとバス12の中心との中間付近にある。
【0015】
一対の左右方向屋根フレーム22aと一対の前後方向屋根フレーム22cで囲まれた矩形の開口部23には、開閉自在の透明天板窓24が設けられている。透明天板窓24は、上下に連通する窓枠25が設置されている。窓枠25は、ここでは前後方向に5箇所に設けられ、前後方向屋根フレーム22aで区切られた10個の矩形の開口部23のうち、窓枠25が設けられた開口部23と設けられていない開口部23が、交互に、前後方向に並んでいる。
【0016】
窓枠25には、窓枠25に沿って開閉可能に設けられた透明パネル26と、透明パネル26を保持したパネル枠28と、パネル枠28とともに透明パネル26を開閉駆動する駆動装置30を備えている。透明パネル26は、透明な樹脂で作られ、例えばポリカーボネート製で、厚さは8mmである。ここで、ポリカーボネートの重量はガラスの2分の1であり、耐衝撃率はガラスの250倍である。ただし、経年変化による変色やキズが付きやすいという問題があり、これを防ぐために表面にコーティング処理が施されているとよい。パネル枠28は、透明パネル26を上方に湾曲させる支持フレーム板32を備えている。支持フレーム板32は、パネル枠28の中央部よりも僅かに前方に設けられ、透明パネル26の下面に接している。
【0017】
窓枠25の、前後方向屋根フレーム22cに沿う左右両側には、透明パネル26の駆動方向に沿って複数のローラ34が設けられている。ローラ34は、回転軸が水平方向に設けられた上下ガイドローラ34aと、回転軸が垂直方向に設けられた左右ガイドローラ34bを備えている。ここでは、5つの上下ガイドローラ34aと、8つの左右ガイドローラ34bが、所定の順番で設けられている。パネル枠28は、図11に示すように、互いに平行に外方に開口した断面コ字状のガイド部36を兼用して形成されている。ガイド部36内に、窓枠25の複数のローラ34が接して、パネル枠28がスムーズに開閉する。複数のローラ34は、図8に示すように、回転軸が水平方向に設けられた上下ガイドローラ34aが固定パネル36の略水平な上面36aと下面36bに接し、回転軸が垂直方向に設けられた左右ガイドローラ34bは固定パネル36の略垂直な横面36cに接する。
【0018】
駆動装置30は、窓枠25の、左側に位置している前後方向屋根フレーム22c側に設けられている。駆動装置30は、図8に示すように、窓枠25に固定されたモーター30aと、モーター30aにより進退自在の可動部材30bから成り、可動部材30bは、透明天板窓24のパネル枠28に固定されている。モーター30aには、前後方向に長いボールねじ31が取り付けられ、ボールねじ31を軸周りに回転させる。ボールねじ31は、可動部材30bに設けられた図示しない雌ねじ部材に螺合し、可動部材30bをボールねじ31の軸方向に進退させる。
【0019】
パネル枠28には、図10図11に示すように、前後方向の長手方向に沿って凹凸部38が設けられ、強度を高めている。凹凸部38は、パネル枠28の長手方向に沿って、中央が上方に凸となる台形状に折り曲げられ形成されている。パネル枠28は、中央が上方に凸となる凹凸部38が折り曲げられて形成されている上板28aと、平坦な下板28bが重ねて取り付けられて形成され、中空となり、より強度が高い。図12に示すように、支持フレーム板32も同様に、長手方向に沿って凹凸部38が設けられている。凹凸部38は、支持フレーム板32の長手方向に沿って、中央が上方に凸となる台形状に折り曲げられている。支持フレーム板32は、中央が上方に凸となる凹凸部38が折り曲げられている上板32aと、平坦な下板32bが重ねて取り付けられて形成され、中空となり、より強度が高い。
【0020】
窓枠25には、パネル枠28の周囲に摺接すると共に密着可能な防水ゴムパッキン40が取り付けられている。防水ゴムパッキン40は柔軟なエラストマーで作られ、図13(a)に示すように、窓枠25に一致する矩形に形成され、図13(b)に示すように、長手方向に交差する断面形状は中空で、窓枠25に取り付けられる平面を有し、透明パネル26側に接する頂点は円弧形である。
【0021】
窓枠25には、図14に示すように、透明パネル26を閉じた時にパネル枠28または透明パネル26に接して、保持する保持体42が設けられている。窓枠25には、透明天板窓24が閉じた時に、透明パネル26とパネル枠28が収容される凹部25aが設けられ、保持体42は、凹部25aの内側に、上下方向に一対設けられている。保持体42は、凹部25aの長手方向に、複数個所に設けられても良い。
【0022】
一対の左右方向屋根フレーム22aと一対の前後方向屋根フレーム22cで囲まれた開口部23のうち、窓枠25が設けられていない開口部23には、一対の左右方向屋根フレーム22aと一対の前後方向屋根フレーム22bの間の細長い矩形を覆う一枚の固定パネル37が設けられている。また、窓枠25が設けられている開口部23の、窓枠25の両側の、前後方向屋根フレーム22cと前後方向屋根フレーム22bの間にも、小さい矩形の固定パネル37が設けられている。固定パネル37は、透明パネル26と同様のポリカーボネート製であり、透明である。なお、車体フレーム20と前後方向屋根フレーム22bの間は、車体と同じ金属製または樹脂製の板部材等が取り付けられて閉鎖されている。
【0023】
次に、この実施形態のバスのルーフ構造10の使用方法について説明する。バスのルーフ構造10は、屋根が、透明な固定パネル37と、透明パネル26で作られた透明天板窓24からなり、雨天や真夏や真冬は、透明天板窓24を閉じて、冷暖房がきいた環境で、雨を防ぎながら、固定パネル37と透明天板窓24を透過して景色を見ることができる。天候が良い時は、図2に示すように、透明天板窓24を閉じた状態から、透明パネル26を窓枠25の後側へ移動して開口部23を開口する。透明パネル26の移動する距離は、パネル枠28の支持フレーム板32が窓枠25の後側の部分に当接する位置までが最大であり、透明パネル26の中心位置よりも前方に支持フレーム32が設けられているので、透明パネル26を開けると、透明パネル26の半分以上の開口を形成することができる。なお、透明パネル26は、最大まで開かずに途中の所望の面積で止まるようにしてもよい。透明天板窓24の開閉は、運転席14の操作パネルで一斉に行っても良く、各座席18に操作パネルを設け、乗客が各々行ってもよい。
【0024】
この実施形態のバスのルーフ構造10によれば、屋根が、透明な固定パネル37と、透明パネル26で作られた透明天板窓24からなり、雨天や真夏や真冬は、透明天板窓24を閉じて、冷暖房がきいた環境で、雨を防ぎながら、固定パネル37と透明天板窓24を透過して景色を見ることができる。
【0025】
駆動装置30によりボールねじ31を介して、透明天板窓24の透明パネル26を進退自在に操作することができ、所望の開口を開けて、開放感を感じることができる。駆動装置30は、窓枠25の左の片側のみに設けて軽量化し、複数のローラ34により、片側のみの駆動装置30にも拘わらずスムーズに透明パネル26を開閉することができる。ローラ34は、上下ガイドローラ34aと左右ガイドローラ34bがあり、透明パネル26のガイド部36を上下左右に保持し、がたつき無く移動させることができる。
【0026】
車体フレーム20に、屋根フレーム22が固定され、屋根フレーム22は左右方向屋根フレーム22aと前後方向屋根フレーム22b,22cで格子状に組み付け付けられているため、軽量でありながらバス12の強度が高い。パネル枠28と支持フレーム板32は、凹凸部38が設けられ、軽量でありながら、強度が高い。支持フレーム板32が透明パネル26の下面を支持しており、透明パネル26の面積を大きくしても、透明パネル26自体が下方に撓むことがない。透明パネル26に強度を持たせる必要がなく、透明パネル26をできるだけ薄くすることができ、軽量化することができる。
【0027】
窓枠25には中空で柔軟な防水ゴムパッキン40が取り付けられ、防水ゴムパッキン40は円弧形状の先端で、矩形のパネル枠28に接しているため、確実に液密となり透明パネル26とパネル枠28の間の水漏れがなく、また変形が容易であり透明パネル26の動きを妨げることがない。確実に水密を維持しながら透明パネル26の開閉を行うことができる。
【0028】
窓枠25には保持体42が上下一対に設けられ、透明パネル26またはパネル枠28を挟持するため、窓枠25に透明天板窓24を閉じた時にがたつきが無く、確実に閉じることができる。
【0029】
なお、この発明のバスのルーフ構造は、バス以外にも、セダン、ワンボックス、ワゴン、ミニバン、トラックなどの各種自動車に適用することができる。透明パネルの材料と厚みは、上記以外でも良い。屋根の室内側にロールスクリーンを取り付け、日差しが強い時はロールスクリーンで遮るようにしてもよい。駆動装置は左側ではなく、右側のみに設けてもよい。凹凸部の形状は、軽量で強度が高いものであればこれ以外でも良く、適宜変更可能である。防水ゴムパッキンの形状も、確実に液密となり、透明パネルの動きを妨げることがないものであればこれ以外でも良く、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0030】
10 バスのルーフ構造
12 バス
20 車体フレーム
22 屋根フレーム
23 開口部
24 透明天板窓
25 窓枠
26 透明パネル
28 パネル枠
30 駆動装置
30b 可動部材
32 支持フレーム板
34 ローラ
34a 上下ガイドローラ
34b 左右ガイドローラ
36 ガイド部
38 凹凸部
40 防水ゴムパッキン
42 保持体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14