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特許7661673パッケージングアセンブリ及び電子デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】パッケージングアセンブリ及び電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20250408BHJP
【FI】
H01L21/60 311S
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023557353
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 CN2021081926
(87)【国際公開番号】W WO2022193326
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ガン,リーユイン
(72)【発明者】
【氏名】ズオン,ローァ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジーユイ
(72)【発明者】
【氏名】マー,ジーフオン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,トーン
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08237274(US,B1)
【文献】特開2004-281931(JP,A)
【文献】特開2018-101955(JP,A)
【文献】国際公開第2015/091673(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板及びチップを含むパッケージングアセンブリであって、
前記基板は、互いに反対側の第1表面及び第2表面を有し、前記基板の前記第1表面が前記チップの表面に対向し、前記基板の前記第1表面に複数の電極が配置され、前記基板の前記第2表面に信号伝送ポートが配置され、前記信号伝送ポートは前記電極に接続され、
前記チップの前記表面上に第1パッドが配置され、前記第1パッドは導電接続部を介して前記電極に接続され、
前記第1パッドは複数の導電接続部に接続され、前記複数の導電接続部が1つの信号伝送ポートに接続され、
前記チップの前記表面に第2パッドが配置され、
前記チップと前記基板との間に支持コンポーネントが配置され、前記支持コンポーネントの一端が前記第2パッドに接続され、前記支持コンポーネントの他端が前記電極に接続され、前記支持コンポーネントは前記信号伝送ポートに接続されず、
前記支持コンポーネントは、前記第1パッドの外側の前記チップの周辺領域に配置される、
パッケージングアセンブリ。
【請求項2】
前記複数の導電接続部が1つの信号伝送ポートに接続されることは、
前記複数の導電接続部が1つの電極に接続され、1つの電極を介して1つの信号伝送ポートに接続される、
ことを有する、請求項1に記載のパッケージングアセンブリ。
【請求項3】
前記複数の導電接続部が1つの信号伝送ポートに接続されることは、
前記基板内に複数のめっきスルーホールが設けられ、
前記複数の導電接続部がそれぞれ前記複数の電極に接続され、前記複数の電極がそれぞれ前記複数のめっきスルーホールを介して前記信号伝送ポートに接続される、
ことを有する、請求項1に記載のパッケージングアセンブリ。
【請求項4】
前記複数のめっきスルーホールが前記基板内で1つの経路へと結合され、1つの信号伝送ポートに接続される、請求項3に記載のパッケージングアセンブリ。
【請求項5】
前記複数の導電接続部における隣接する導電接続部間の距離は、単一の導電接続部の直径以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のパッケージングアセンブリ。
【請求項6】
前記複数の導電接続部における隣接する導電接続部が互いに接している、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパッケージングアセンブリ。
【請求項7】
前記第1パッドは円又は多角形の形状である、請求項1乃至のいずれか一項に記載のパッケージングアセンブリ。
【請求項8】
1つの第1パッドに接続された複数の導電接続部の中心同士の接続線は、直線、折れ線、又は多角形の形状で構成される、請求項1乃至のいずれか一項に記載のパッケージングアセンブリ。
【請求項9】
前記導電接続部は、球、楕円体、立方体、又は多面体の形状である、請求項1乃至のいずれか一項に記載のパッケージングアセンブリ。
【請求項10】
前記導電接続部は金属又は合金材料からなる、請求項1乃至のいずれか一項に記載のパッケージングアセンブリ。
【請求項11】
前記第2パッドは、前記チップの前記周辺領域に配置され、前記第1パッドを取り囲む環状の形状を持つ、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のパッケージングアセンブリ。
【請求項12】
前記チップの有効領域と前記チップのエッジとの間の領域が、前記チップの前記周辺領域である、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のパッケージングアセンブリ。
【請求項13】
前記支持コンポーネントは前記導電接続部から離隔されている、請求項乃至12のいずれか一項に記載のパッケージングアセンブリ。
【請求項14】
前記支持コンポーネントは、球、楕円体、立方体、又は多面体の形状である、請求項乃至13のいずれか一項に記載のパッケージングアセンブリ。
【請求項15】
前記支持コンポーネントは金属又は合金材料からなる、請求項乃至14のいずれか一項に記載のパッケージングアセンブリ。
【請求項16】
当該パッケージングアセンブリは更にハウジングを有し、前記ハウジングと前記基板の前記第1表面とで第1のキャビティを囲み、前記チップは前記第1のキャビティ内に配置されている、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のパッケージングアセンブリ。
【請求項17】
前記ハウジングは、ブラケット及びカバープレートを有し、前記ブラケットは、前記基板の前記第1表面上に位置して前記チップを囲み、前記カバープレートは、前記ブラケットの頂部上に配置されている、請求項16に記載のパッケージングアセンブリ。
【請求項18】
電子デバイスであって、当該電子デバイスは、回路基板と、請求項1乃至17のいずれか一項に記載のパッケージングアセンブリとを有し、前記パッケージングアセンブリの信号伝送ポートが前記回路基板上にはんだ付けされている、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の実施形態は、家電機器の分野に関し、特に、パッケージングアセンブリ及び電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
弾性表面波フィルタ(Surface Acoustic Wave Filter,SAWフィルタ)、薄膜バルク弾性波共振器フィルタ(Film Bulk Acoustic Resonator Filter,FBARフィルタ)、及びバルク弾性波フィルタ(Bulk Acoustic Wave Filter,BAWフィルタ)において、チップスケールパッケージ(Chip Scale Package,CSP)が使用され得る。チップスケールパッケージは、チップ(Die)パッケージ面積を大幅に減少させ得るだけでなく、チップの耐干渉及び耐ノイズ性能を高め得る。
【0003】
パッケージングアセンブリは、積み重ねられたハウジング40、チップ、及び基板を含む。ハウジング40と基板とで第1のキャビティを囲み、第1のキャビティ内にチップが配置される。チップは、チップの電気的動作の入/出力及び接地を実現するために、導電接続部を介して基板にはんだ付けされて接続され得る。
【0004】
現在、一部のソリューションでは、導電接続部として錫ボールが使用されている。しかし、錫ボールのはんだフラックス又は錫ペースト内に気泡が存在し、導電接続部を形成するプロセスにおいて容易に孔が生成される。これは、導電接続部全体の信頼性に影響を与える。
【0005】
他のソリューションでは、導電接続部として金ボールが使用され、導電接続部を形成するために、金ワイヤを介して、チップ上の金ボールに超音波溶融が行われ得る。次に、超音波はんだ付けのためにチップが基板上に反転される。これは、導電接続部内の孔の問題を解決する。
【0006】
しかしながら、金ボールは温度サイクル信頼性の問題を有する。温度が上昇又は低下するとき、チップ、導電接続部、及び基板の間の熱膨張係数の不一致が電気接続の安定性に影響を及ぼす。
【0007】
従って、改良されたパッケージングアセンブリを提供することが必要である。
【発明の概要】
【0008】
この出願の実施形態は、パッケージングアセンブリの乏しい接続安定性の問題を解決するためのパッケージングアセンブリ及び電子デバイスを提供する。
【0009】
前述の目的を達成するために、この出願の実施形態では以下の技術的ソリューションが使用される。第1の態様によれば、この出願の実施形態は、基板及びチップ含むパッケージングアセンブリを提供し、基板は、互いに反対側の第1表面及び第2表面を含み、基板の第1表面がチップの表面に対向し、基板の第1表面に複数の電極が配置され、基板の第2表面に信号伝送ポートが配置され、信号伝送ポートは電極に電気的に接続され、基板に対向するチップの表面上に第1パッドが配置され、第1パッドは導電接続部を介して電極にはんだ付けされて接続され、1つの第1パッドが複数の導電接続部に接続される。従って、複数の電気コネクタが単一のパッド上に配置され、該パッドは応力を複数の電気コネクタに均等に分散させ得る。これは、単一の電気コネクタに対する応力を低減させ、コンポーネントの信頼性を改善する。
【0010】
オプションの一実装において、1つの第1パッドに接続された複数の導電接続部が1つの信号伝送ポートに接続される。従って、1つのパッドに接続された複数の導電接続部が1つの信号伝送ポートに電気的に接続されることで、1つのパッドに接続された複数の電気コネクタの電気的動作は同じであり、複数の電気コネクタが互いの動作をバックアップする。これは、複数の動作保証を提供し、電気接続安定性を改善する。
【0011】
オプションの一実装において、複数の導電接続部が1つの信号伝送ポートに接続されることは、複数の導電接続部が1つの電極に電気的に接続され、1つの電極を介して1つの信号伝送ポートに接続されることを含む。従って、1つの第1パッドに接続された複数の電気コネクタが、電極を介して基板の第1表面上で相互接続される。これは、コンポーネントの電気的動作バックアップを実装する。
【0012】
オプションの一実装において、複数の導電接続部が1つの信号伝送ポートに接続されることは、基板内に複数のめっきスルーホールが設けられ、複数の導電接続部がそれぞれ複数の電極にはんだ付けされて接続され、複数の電極がそれぞれ複数のめっきスルーホールを介して1つの信号伝送ポートに電気的に接続されることを含む。従って、1つのパッドに接続された複数の電気コネクタが、信号伝送ポートを介して基板の第2表面上で相互接続される。これは、コンポーネントの電気的動作バックアップを実装する。
【0013】
オプションの一実装において、複数のめっきスルーホールが基板内で1つの経路へと結合され、1つの信号伝送ポートに電気的に接続される。従って、1つのパッドに接続された複数の電気コネクタが、めっきスルーホールを介して基板内で相互接続される。これは、コンポーネントの電気的動作バックアップを実装する。
【0014】
オプションの一実装において、複数の導電接続部における隣接する導電接続部間の距離は、単一の導電接続部の直径以下である。従って、導電接続部の配置密度を向上させることができ、単一の電気コネクタ上の応力を低減させることができ、コンポーネントの信頼性を改善することができる。
【0015】
オプションの一実装において、第1パッドは円又は多角形の形状である。従って、パッドの設置方式がより柔軟であり、チップの形状が容易に適応される。
16 任意選択の実装形態では、1つの第1のパッドに接続された複数の導電接続部の中
オプションの一実装において、1つの第1パッドに接続された複数の導電接続部の中心同士の接続線は、直線、折れ線、又は多角形の形状で構成される。従って、導電接続部が柔軟に配置され、これは、異なるパッドの形状に適応するのに好都合である。
【0016】
オプションの一実装において、導電接続部は、球、楕円体、立方体、又は多面体の形状である。従って、導電接続部の形状がより柔軟であり、パッケージングアセンブリの内部空間を十分に使用することができる。
【0017】
オプションの一実装において、導電接続部は金属又は合金材料からなる。従って、複数の材料の導電接続部が利用可能であり、処理が好都合である。
【0018】
オプションの一実装において、当該方法は更に、チップの表面に第2パッドが配置され、チップと基板との間に支持コンポーネントが配置され、支持コンポーネントの一端が第2パッドに接続され、支持コンポーネントの他端が電極に接続され、支持コンポーネントは信号伝送ポートに接続されない、ことを含む。支持コンポーネントの形成プロセスが、導電接続部の形成プロセスと同様である。従って、導電接続部と支持コンポーネントとに同じプロセスが使用されるので、導電接続部の高さと支持コンポーネントの高さとが同じであり、その結果、導電接続部と基板とが効果的に接触されて接続を完了することができる。これは、隙間の生成を回避し、コンポーネントの安定性を改善する。
【0019】
オプションの一実装において、支持コンポーネントは、チップの周辺領域に配置される、請求項10に記載のパッケージングアセンブリ。
【0020】
オプションの一実装において、支持コンポーネントはチップの周辺領域に配置され、信号伝送ポートに接続された第1のパッドによって囲まれた領域が有効領域であり、有効領域とチップのエッジとの間の領域がチップの周辺領域である。従って、支持コンポーネントが、チップの周辺領域に配置され、チップを効果的に支持し、チップの周辺領域上の応力を分散させ得る。
【0021】
オプションの一実装において、支持コンポーネントは導電接続部から離隔される。従って、チップの有効面積に対する応力が効果的に分散され得る。
【0022】
オプションの一実装において、支持コンポーネントは、球、楕円体、立方体、又は多面体の形状である。従って、支持コンポーネントの形状がより柔軟であり、パッケージングアセンブリの内部空間を十分に使用することができる。
【0023】
オプションの一実装において、支持コンポーネントは金属又は合金材料からなる。従って、複数の材料が利用可能であり、処理が好都合である。
【0024】
オプションの一実装において、当該パッケージングアセンブリは更にハウジングを含み、ハウジングと基板の第1表面とで第1のキャビティを囲み、チップは第1のキャビティ内に配置される。従って、ハウジングがチップを外部から隔離することができ、外部環境によってチップに引き起こされる干渉を回避し得る。
【0025】
オプションの一実装において、ハウジングは、ブラケット及びカバープレートを含み、ブラケットは、基板の第1表面上に位置してチップを囲み、カバープレートは、ブラケットの頂部上に配置される。従って、ハウジングと基板とでキャビティを囲んでチップを保護することができる。
【0026】
第2の態様によれば、この出願の実施形態は電子デバイスを提供し、当該電子デバイスは、回路基板と、上述のパッケージングアセンブリとを含み、パッケージングアセンブリの信号伝送ポートが回路基板上にはんだ付けされる。従って、電子デバイスがパッケージングアセンブリを使用する。これは、コンポーネント信頼性及び電気接続安定性を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】パッケージングアセンブリの構造の概略図である。
図2】チップ上の導電接続部の概略配置図である。
図3図2の各導電接続部の累積粘塑性ひずみのシミュレーション図である。
図4】パッケージングアセンブリに対して圧接試験を行うことの概略図である。
図5】この出願の一実施形態に従ったパッケージングアセンブリの構造の概略図である。
図6図5のチップの表面の構造の概略図である。
図7図5の基板の第1表面の上面図である。
図8】この出願の一実施形態に従った導電接続部の配置方式の概略図である。
図9】この出願の一実施形態に従った導電接続部の他の配置方式の概略図である。
図10】この出願の一実施形態に従った導電接続部の他の配置方式の概略図である。
図11】この出願の一実施形態に従った導電接続部の断面図である。
図12】この出願の一実施形態に従ったチップの他の表面の構造の概略図である。
図13図12の各導電接続部の累積粘塑性ひずみのシミュレーション図である。
図14】この出願の一実施形態に従った他のパッケージングアセンブリの構造の概略図である。
図15】この出願の一実施形態に従った他のパッケージングアセンブリの構造の概略図である。
図16】この出願の一実施形態に従った他のパッケージングアセンブリの構造の概略図である。
図17】他のパッケージングアセンブリの構造の概略図である。
図18図17の基板の第1表面の構造の概略図である。
図19図17の導電接続部の接続状態の概略図である。
図20】この出願の一実施形態に従った他のパッケージングアセンブリの構造の概略図である。
図21図20のチップの表面の構造の概略図である。
図22図20の基板の第1表面の構造の概略図である。
図23図20の導電接続部の概略配置図である。
図24図20の他の導電接続部の概略配置図である。
図25図21の各導電接続部の累積粘塑性ひずみのシミュレーション図である。
図26】支持コンポーネントなしでの各導電接続部の圧縮性能のシミュレーション図である。
図27】周辺領域の外輪に支持コンポーネントがある場合の各導電接続部の圧縮性能のシミュレーション図である。
図28】この出願の一実施形態に従った電子デバイスの構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照してこの出願の実施形態の実装を詳細に説明する。
【0029】
以下で言及される用語“第1”及び“第2”は、単に説明の目的を意図しており、相対的な重要性を示したり意味したりするもの又は指し示される技術的機構の数量を暗示的に示すものとして理解されるものではない。従って、“第1”又は“第2”によって規定された機構が1つ以上の機構を明示的又は暗示的に含み得る。この出願の説明では、別段の断りがない限り、“複数の”は2つ以上を意味する。
【0030】
また、この出願において、例えば“上側”及び“下側”などの位置用語は、添付の図面におけるコンポーネントの例示位置に対して定義される。理解されるべきことには、これらの方向用語は相対的な概念であって、相対的な説明及び明確性のために使用され、添付の図面においてコンポーネントが配置される位置変化に応じて然るべく変わり得る。
【0031】
以下は、この出願の実施形態における可能な用語を説明する。
【0032】
パッド(Pad):ダイ(Die)上の金属層が互いに接続されて形成される閉じた領域。チップパッド(Chip Pad)にボールプランティングが行われた後、電気信号の入/出力又は接地を実現するために基板上の電極にはんだボールが接続される。
【0033】
ダイ(Die):パッケージングされるときに小片になるウエハ(Wafer)上の小さいピース。一例としてシリコンプロセスを用いると、一般に、シリコンチップ全体がウエハであり、各ユニットがダイシングされてパッケージングされ、パッケージング前の単一のユニットがダイである。
【0034】
図1は、パッケージングアセンブリの構造の概略図である。図1に示すように、パッケージングアセンブリは、積み重ねられたハウジング40、チップ20、及び基板10を含む。ハウジング40と基板10とで第1のキャビティを囲み、第1のキャビティ内にチップ20が配置される。チップ20は、チップ20の電気的動作の入/出力及び接地を実現するために、導電接続部30を介して基板10にはんだ付けされて接続され得る。
【0035】
ハウジング40の構造は、この出願の実施形態において限定されない。ハウジング40は、ブラケット401及びカバープレート402を含んでおり、ブラケット401が基板10の第1表面上に置かれてチップ20を取り囲み、ブラケット401の頂部上にカバープレート402が配置される。
【0036】
図2は、チップ上の導電接続部の概略配置図である。図2に示すように、14個の導電接続部30がチップ20の表面上に配置されており、それぞれ、チップ20の表面上の位置(1)、位置(2)、位置(3)、位置(4)、位置(5)、位置(6)、位置(7)、位置(8)、位置(9)、位置(10)、位置(11)、位置(12)、位置(13)、及び位置(14)に配置されている。
【0037】
一部の実施形態において、導電接続部30として錫ボールが使用され得る。しかし、錫ボールのはんだフラックス又は錫ペースト内に気泡が存在し、導電接続部30を形成するプロセスにおいて容易に孔が生成される。これは、導電接続部30の信頼性に影響を及ぼす。
【0038】
一部の他の実施形態では、導電接続部30として金ボールが使用されてもよく、導電接続部30を形成するために、金ワイヤを介して、チップ20上の金ボールに超音波溶融が行われ得る。次いで、超音波はんだ付けのためにチップ20が基板10上に反転され得る。これは、導電接続部30内の孔の問題を解決する。しかしながら、金ボールのサイズは小さく、それが導電接続部30の信頼性に影響を及ぼす。
【0039】
導電接続部30のサイズは、この出願の実施形態において限定されない。導電接続部30として錫ボールが使用される場合、導電接続部30の直径は通常150μmであり、導電接続部30の高さは65μmである。
【0040】
導電接続部30として金ボールが使用される場合、導電接続部30の直径は通常100μmであり、導電接続部30の高さは20μmである。
【0041】
図3は、高温及び低温サイクル(-55から+125℃)における図2の各導電接続部30の累積粘塑性ひずみのシミュレーション図である。図3は、チップ20の表面上の位置(1)から位置(14)における各導電接続部30として金ボールが使用される場合の各導電接続部30の累積粘塑性ひずみと、チップ20の表面上の位置(1)から位置(14)における導電接続部30として錫ボールが使用される場合の各導電接続部30の累積粘塑性ひずみと、を示している。
【0042】
図3に示されるように、導電接続部30として金ボールが使用される場合には、各導電接続部30の累積粘塑性ひずみが大きく、導電接続部30として錫ボールが使用される場合には、各導電接続部30の累積粘塑性ひずみが小さい。金ボールが導電接続部30として使用される場合、パッケージングアセンブリの信頼性が低い。
【0043】
図4に示すように、工場試験段階において、パッケージングアセンブリ20に対して圧接試験を行う必要がある。導電接続部30として錫ボールが使用される場合、導電接続部30の内部に孔が存在し、信頼性が乏しい。導電接続部30として金ボールが使用される場合、導電接続部30のサイズが小さく、信頼性が乏しい。圧接試験は、導電接続部30又はチップ20に損傷を生じさせることがあり、それが製品性能に影響を及ぼす。
【0044】
従って、この出願の実施形態は、導電接続部30の信頼性を改善するための、改良されたパッケージングアセンブリを提供する。
【0045】
図5に示すように、パッケージングアセンブリは、基板10及びチップ20を含む。基板10とチップ20はz方向に積み重ねられる。
【0046】
基板10は、互いに反対側の第1表面及び第2表面を含む。例えば、基板10の第1表面がチップ20の表面に対向する。
【0047】
なお、基板10の第1表面は、図5における基板10の上面であり、基板10の第2表面は、図5における基板10の下面であり、チップ20の上記表面は、図5におけるチップ20の下面である。
【0048】
基板10の第1表面上に複数の電極101が配置され、基板10の第2表面上に複数の信号伝送ポート102が配置され、信号伝送ポート102は電極101に接続される。
【0049】
信号伝送ポート102と電極101との間の接続方式は、この出願の実施形態において限定されない。一部の実施形態において、信号伝送ポート102は、めっきスルーホール103を介して電極101に接続されることができ、信号伝送ポート102は、めっきスルーホール103を介して、電極101に対して電気信号を入力したり又は出力したりすることができる。
【0050】
チップ20の表面上に複数のパッド201が配置され、電極101が導電接続部30を介してパッド201に接続される。従って、電極101は更に、パッド201及びチップ20との間の信号伝送を行うことができ、その結果、チップ20は、信号伝送ポート102を介して信号伝送を行ったり又は接地を実装したりすることができる。
【0051】
なお、導電接続部30の使用範囲は、この出願の実施形態において限定されない。導電接続部30は更に、ダイ(die)とウエハ(wafer)との間、ウエハ間、ダイ間、ウエハと基板との間、ダイと基板との間、又は基板間の相互接続を実装するように構成されてもよい。
【0052】
パッド201のうちの少なくとも1つが、複数の導電接続部30に接続される。
【0053】
なお、例えば、複数のパッド201がチップ20上に配置される。少なくとも1つのパッド201が複数の導電接続部30に接続されるとは、複数のパッド201のうちの1つ以上のパッド201が複数の導電接続部30に接続されることを意味する。
【0054】
例えば、図5に示すように、チップ20の第2表面上のパッド201aは、2つの導電接続部30に同時に接続されている。
【0055】
図6は、チップ20の第2表面の上面図である。図6に示すように、チップ20の右下隅の1つのパッド201aに導電接続部30a及び導電接続部30bが接続される。
【0056】
従って、パッド201aは、パッド201aに接続された導電接続部30a及び導電接続部30bに均等に応力を分散させ得る。これは、単一の電気コネクタ上の応力を低減させ、コンポーネントの信頼性を改善し得る。
【0057】
確かなことには、この出願の一部の他の実施形態では、各パッドが複数の導電接続部30に接続されてもよい。これらは全てこの出願の保護範囲内にある。
【0058】
また、留意されたいことには、1つのパッド201が複数の導電接続部30に接続されるとき、導電接続部30の数は限定されず、2つ以上の導電接続部30が存在し得る。
【0059】
従って、複数の電気コネクタが単一のパッド201上に配置され、パッド201は、応力を複数の電気コネクタに均等に分散させ得る。これは、単一の電気コネクタ上の応力を低減させ、コンポーネントの信頼性を改善する。
【0060】
図7は、基板10の第1表面の上面図である。図7に示すように、電極101は、信号端に接続されるように構成された第1の電極1011を含む。
【0061】
図6を参照するに、導電接続部30は、接地端に接続されるように構成された導電接続部30cと、信号端に接続されるように構成された導電接続部30b及び導電接続部30b’と、支持のためのみに使用される導電接続部30aとを含む。
【0062】
図6に示す導電接続部30と図7に示す電極101は、一対一に対応している。導電接続部30bは、第1の電極1011に接続されるように構成されている。
【0063】
従って、第1の電極101は、信号入力端の信号を導電接続部30bに伝達し、導電接続部30bを介してチップ20に信号を伝達し、最終的に導電接続部30b’を介して信号を出力し得る。
【0064】
導電接続部30の材料は、この出願の実施形態において限定されず、導電接続部30は、任意の金属又は合金材料で作製され得る。この出願の一部の実施形態において、導電接続部30は錫又は金からなり得る。
【0065】
複数の導電接続部30の配置方式は、この出願の実施形態において限定されない。図8図9、及び図10に示すように、1つのパッド201に接続される複数の導電接続部30の中心同士の接続線は、直線、折れ線、又は多角形の形状で構成される。
【0066】
一部の実施形態において、図8に示すように、1つのパッド201に接続された2つの導電接続部30があり、該2つの導電接続部30は、図8の(a)に示すように隣り合わせで連続して配置されてもよいし、あるいは、図8の(b)及び(c)に示すように離隔される。図8の(c)に示すように、導電接続部30は、パッド201の対角線に沿って離隔されている。
【0067】
一部の実施形態において、図9に示すように、1つのパッド201に接続された3つの導電接続部30があり、該3つの導電接続部30は、図9の(a)に示すように隣り合わせで連続して配置されてもよいし、あるいは、図9の(b)、(c)、及び(e)に示すように離隔され、あるいは、図9の(d)に示すように積み重ねられる。図9の(a)及び(b)における導電接続部30の中心同士の接続線は直線の形状に構成されており、図9の(a)及び(d)における3つの導電接続部30の表面は接している。図9の(c)、(d)、及び(e)における導電接続部30の中心同士の接続線は、三角形の形状に構成されている。
【0068】
一部の実施形態において、図10に示すように、1つのパッド201に接続された4つの導電接続部30があり、該4つの導電接続部30は、図10の(a)に示すように隣り合わせで配置されてもよいし、あるいは図10の(b)及び(d)に示すように離隔される。図10の(a)及び(b)における導電接続部30の中心同士の接続線は、直線の形状に構成されており、あるいは、図10の(c)及び(e)に示すように積み重ねられ、具体的には、平面内で接するように配置される。図10の(c)における導電接続部30の中心同士の接続線は、折れ線の形状に構成されており、図10の(d)及び(e)における導電接続部30の中心同士の接続線は、四角形の形状に構成されている。
【0069】
一部の実施形態において、1つのパッド201に接続された複数の導電接続部30における隣接する導電接続部30の間の距離は、単一の導電接続部30の直径以下である。
【0070】
なお、図11の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、及び(g)に示すように、単一の導電接続部30の直径dは、単一の導電接続部30の表面上の最も離れた点の間の距離として定義され得る。
【0071】
導電接続部30の形状は、この出願の実施形態において限定されない。導電接続部30の形状は、球、楕円体、立方体、多面体、又は他の不規則な形状とし得る。
【0072】
一部の実施形態において、図11に示すように、導電接続部30の断面形状は、円形、楕円形、四角形、五角形、六角形、十角形、七角形の星形、又はこれらに類するものとし得る。
【0073】
導電接続部30の形状は、説明のための例に過ぎない。これは、この出願の実施形態において限定されることではない。
【0074】
図12は、この出願の一実施形態に従った導電接続部30の配置方式の概略図である。図12の(a)に示すように、各パッド201上に1つの導電接続部30が配置され、導電接続部30はパッド201の中央位置に置かれる。この配置方式を略して第1配置と呼ぶ。
【0075】
図12の(b)に示すように、チップ20の四隅のパッド201上にそれぞれ3つの導電接続部30が配置され、該3つの導電接続部30は離隔される。
【0076】
チップ20の四辺のパッド201上にはそれぞれ2つの導電接続部30が配置され、該2つの導電接続部30は離隔される。この配置方式を略して第2配置と呼ぶ。第2配置が用いられるとき、隣接する導電接続部30の間の距離dは、単一の導電接続部30の直径に等しい。
【0077】
図12の(c)に示すように、チップ20の四隅のパッド201上にそれぞれ3つの導電接続部30が配置され、該3つの導電接続部30は積み重ねられ、隣接する導電接続部30は接する。
【0078】
チップ20の四辺のパッド201上にはそれぞれ2つの導電接続部30が配置され、該2つの導電接続部30は接する。この配置方式を略して第3配置と呼ぶ。第3配置が用いられるとき、隣接する導電接続部30の間の距離dは、単一の導電接続部30の直径よりも小さい。
【0079】
図12の(c)に示すように、隣接する導電接続部30の間の距離dは0である。
【0080】
図13は、高温及び低温サイクル(例えば、-55から+125℃)における図12の各導電接続部の累積粘塑性ひずみのシミュレーション図である。図13は、位置(1)から位置(14)の導電接続部30が図12の(a)に示した第1配置を用いる場合と、位置(1)から位置(14)の導電接続部30が図12の(b)に示した第2配置を用いる場合と、位置(1)から位置(14)の導電接続部30が図12の(c)に示した第3配置を用いる場合の、パッケージングアセンブリの累積粘塑性ひずみを示している。
【0081】
図13に示されるように、位置(1)から位置(14)の導電接続部30が第1配置を用いる場合、導電接続部の累積粘塑性ひずみ特性は最も悪い。
【0082】
位置(1)から位置(14)の導電接続部30が第2配置を用いる場合、導電接続部の累積粘塑性ひずみ特性は良好である。
【0083】
位置(1)から位置(14)の導電接続部30が第3配置を用いる場合、導電接続部の累積粘塑性ひずみ特性は最も良い。第3配置が使用される場合、導電接続部30の応力は、第1配置が用いられる場合と比較して60%から70%低減されることができ、単一の導電接続部30の応力が大幅に低減される。これは、温度サイクル過程におけるコンポーネントの耐温度衝撃能力を改善する。
【0084】
また、導電接続部30が第1配置を用いる場合のせん断試験結果を、導電接続部30が第3配置を用いる場合のせん断試験結果と比較すると、第1配置を用いる場合のせん断力に比べて、第3配置を用いる場合のせん断力が225%増加されることが分かる。
【0085】
従って、複数の導電接続部が単一のパッド上に配置されることで、コンポーネントの安定性が改善され、コンポーネントの耐温度サイクル能力も大幅に改善される。
【0086】
また、単一のパッド上の複数の導電接続部の間の距離が導電接続部の直径以下である場合、単一の導電接続部の応力が効果的に低減される。これは、温度サイクル過程におけるコンポーネントの耐温度衝撃能力を改善するとともに、はんだボールの配置密度がいっそう高くなる。距離が小さいほど、単一の導電接続部30の応力低減がいっそう顕著になる。
【0087】
コンポーネント上で模擬リフローはんだ付けを実行することから分かることには、導電接続部30が第3配置を用いる場合、第1配置が用いられる場合の回数よりも多くの模擬リフローはんだ付けの回数でパッケージングアセンブリは模擬リフローはんだ付けを実行することができ、それ故に、コンポーネントの耐温度サイクル性能がより良好であり、コンポーネントの信頼性が大幅に改善される。
【0088】
分かることには、単一のパッド上の複数の導電接続部の間の距離が導電接続部の直径以下である場合、パッケージングアセンブリによって実行される模擬リフローはんだ付けの回数を増加させることができ、コンポーネントの耐温度サイクル性能がより良好であり、コンポーネントの信頼性が大幅に改善される。距離が小さいほど、パッケージングアセンブリによって実行される模擬リフローはんだ付けの回数の増加がいっそう顕著になる。
【0089】
また、この出願の実施形態は更に、コンポーネントの電気的動作のバックアップを実装して、コンポーネントの電気接続の安定性を改善するための、改良されたパッケージングアセンブリを提供する。
【0090】
図14図15、及び図16に示すように、当該パッケージングアセンブリは、基板10と、チップ20と、基板10上に配置された電極101と、信号伝送ポート102と、チップ20上に配置されたパッド201と、導電接続部30とを含む。
【0091】
基板10、チップ20、電極101、パッド201、及び導電接続部30の間の構造及び接続関係については、上述の実施形態を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。
【0092】
上述の実施形態に基づいて、少なくとも1つのパッド201が複数の導電接続部30に接続され、1つのパッド201に接続された複数の導電接続部30が1つの信号伝送ポート102に電気的に接続される。
【0093】
従って、図5及び図6に示したパッケージングアセンブリと比較して、この実施形態においては、1つのパッド201に接続された複数の導電接続部30が1つの信号伝送ポート102に電気的に接続され、それ故に、1つのパッド201に接続された複数の導電接続部の電気的動作は同じであり、複数の導電接続部が互いの動作をバックアップする。これは、複数の動作保証を提供する。
【0094】
複数の導電接続部30と1つの信号伝送ポート102との間の接続方式は、この出願の実施形態において限定されない。
【0095】
1つのパッド201に接続された複数の導電接続部は、電極101を介して基板10の第1表面上で相互接続されてもよいし(例えば、図14の破線部に示すように)、基板10上で相互接続されてもよいし(例えば、図15の破線部に示すように)、基板10の第2表面上で相互接続されてもよい(例えば、図16の破線部に示すように)。
【0096】
一部の実施形態において、1つのパッド201に接続された複数の導電接続部30は、1つの電極101に接続され、1つの電極101を介して1つの信号伝送ポート102に接続される。
【0097】
図14に示すように、パッド201aは2つの導電接続部(導電接続部30a及び導電接続部30b)に接続され、パッド201aに接続された2つの導電接続部(導電接続部30a及び導電接続部30b)は1つの電極101aに接続され、電極101aはめっきスルーホール103aを介して信号伝送ポート102aに接続される。
【0098】
信号伝送ポート102aによって伝送される信号は、めっきスルーホール103aを介して電極101aに伝送され、次いで、2つの経路の信号に分割され得る。該2つの経路の信号は、それぞれ、導電接続部30a及び導電接続部30bを介してパッド201aに伝送され、最終的にパッド201aを介してチップ20に伝送される。
【0099】
なお、導電接続部30aの電気的動作と導電接続部30bの電気的動作は同じであり、導電接続部30a及び導電接続部30bは互いの動作をバックアップする。これらの導電接続部のうちの1つが故障により切断されるとき、別の導電接続部を介して信号を更に伝送することができる。これは、コンポーネントの安定性を改善する。
【0100】
従って、1つのパッド201に接続された複数の導電接続部が、電極101を介して基板10の第1表面上で相互接続される。これは、コンポーネントの電気的動作バックアップを実装する。
【0101】
一部の他の実施形態において、図15及び図16に示すように、めっきスルーホール103が基板10内に配置され、1つのパッド201に接続された複数の導電接続部30が、複数の電極101にそれぞれはんだ付けされて接続される。1つのパッド201に接続された複数の電極101が、めっきスルーホール103を介して1つの信号伝送ポート102に電気的に接続される。
【0102】
一部の実施形態において、1つのパッド201に接続された複数の電極101は、めっきスルーホール103を介して接続される。1つのパッド201に接続された複数のめっきスルーホール103が、基板10内で1つの経路へと結合され、1つの信号伝送ポート102に電気的に接続される。
【0103】
図15に示すように、パッド201aは、2つの導電接続部(導電接続部30a及び導電接続部30b)に接続される。導電接続部30aは電極101aに接続され、導電接続部30bは電極101bに接続される。電極101aはめっきスルーホール103aを介して信号伝送ポート102aに接続され、電極101bはめっきスルーホール103bに接続されている。めっきスルーホール103a及びめっきスルーホール103bは、基板10内で接続され、1つの経路へと結合される。
【0104】
信号伝送ポート102aによって伝送される信号は、基板内で2つの経路の信号に分割され得る。一方の経路の信号は、めっきスルーホール103aを介して電極101aに伝送され、次いで、電極101aから導電接続部30aに伝送される。他方の経路の信号は、めっきスルーホール103bを介して電極101bに伝送され、電極101bから導電接続部30bに伝送され、そして、導電接続部30a及び導電接続部30bからパッド201aに伝送され、最終的にパッド201aからチップ20に伝送される。
【0105】
なお、導電接続部30aの電気的動作と導電接続部30bの電気的動作は同じであり、導電接続部30a及び導電接続部30bは互いの動作をバックアップする。これらの導電接続部のうちの1つが故障により切断されるとき、別の導電接続部を介して信号を更に伝送することができる。これは、コンポーネントの安定性を改善する。
【0106】
従って、1つのパッド201に接続された複数の導電接続部が、めっきスルーホール103を介して基板10内で相互接続される。これは、コンポーネントの電気的動作バックアップを実装する。
【0107】
一部の他の実施形態において、1つのパッド201に接続された複数の電極101は、複数のめっきスルーホール103を介して1つの信号伝送ポート102に電気的に接続される。
【0108】
図16に示すように、パッド201aは、2つの導電接続部(導電接続部30a及び導電接続部30b)に接続される。導電接続部30aは電極101aに接続され、導電接続部30bは電極101bに接続される。電極101aはめっきスルーホール103cを介して信号伝送ポート102aに接続され、電極101bはめっきスルーホール103dを介して信号伝送ポート102aに接続される。
【0109】
信号伝送ポート102aによって伝送される信号は、基板10の第2表面上で2つの経路の信号に分割され得る。一方の経路の信号は、めっきスルーホール103cを介して電極101aに伝送される。他方の経路の信号は、めっきスルーホール103dを介して電極101bに伝送され、そして、電極101aから導電接続部30aに伝送されるとともに、電極101bから導電接続部30bに伝送され、導電接続部30a及び導電接続部30bからパッド201aに伝送され、最終的にパッド201aからチップ20に伝送される。
【0110】
従って、1つのパッド201に接続された複数の導電接続部は、信号伝送ポート102を介して基板10の第2表面上で相互接続される。これは、コンポーネントの電気的動作バックアップを実装する。
【0111】
また、コンポーネントの安定性が更に向上される。一部の実施形態において、図17及び図18に示すように、チップ20と基板10との間に金属フレーム50のサークルがある。金属フレーム50は、例えば銅フレームである。金属フレーム50は、例えば基板10上に配置され、金属フレーム50とチップ20は切り離される。
【0112】
錫ボールが導電接続部30として使用される場合、金属フレーム50は、溶融した錫はんだ材料の制限を容易にするように、チップ20を支持するために使用され得る。金属フレーム50の厚さが、固化される錫ボールの高さを決定し、錫ボールのサイズの制御を容易にする。
【0113】
しかしながら、図19に示すように、金ボールが導電接続部30として使用される場合、導電接続部30を形成するために、先ず、チップ20上で金ワイヤに対して超音波溶融を行う必要があり、次いで、超音波溶接のためにチップ20が基板10上に反転される。このプロセスにおいて、金属フレーム50の高さに固有の誤差があるために、導電接続部30と基板10との間に隙間501が存在する。結果として、導電接続部30と基板10とを効果的に接触させて超音波はんだ付けを完了することができない。これは、はんだ付け品質に影響を及ぼし、コンポーネントの安定性を低下させる。
【0114】
従って、この出願は、改良されたパッケージングアセンブリを提供し、当該パッケージングアセンブリが金ボールプロセスで使用され得る。
【0115】
図20図21、及び図22に示すように、当該パッケージングアセンブリは、基板10と、チップ20と、基板10上に配置された電極101と、信号伝送ポート102と、チップ20上に配置されたパッド201と、導電接続部30とを含む。
【0116】
基板10、チップ20、電極101、パッド201、及び導電接続部30の間の構造及び接続関係については、上述の実施形態を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。
【0117】
上述の実施形態に基づいて、図20及び図21に示すように、チップ20の表面上に更にパッド201Aが配置され、当該パッケージングアセンブリは更に、チップ20と基板10との間に配置された支持コンポーネント301を含む。支持コンポーネント301の一端がパッド201Aに接続され、支持コンポーネント301の他端が電極101に接続される。支持コンポーネント301は信号伝送ポート102に接続されない。換言すれば、支持コンポーネント301に接続された電極101は信号伝送ポート102に接続されない。
【0118】
支持コンポーネント301として金ボールが使用される場合、導電接続部30及び支持コンポーネント301を形成するために、先ず、チップ20上で金ワイヤに対して超音波溶融を行うことができ、次いで、超音波はんだ付けのためにチップ20が基板10上に反転される。
【0119】
このプロセスにおいて、導電接続部30と支持コンポーネント301とに同じプロセスが使用されるので、導電接続部30の高さと支持コンポーネント301の高さは同じであり、それ故に、導電接続部30と基板10とが効果的に接触して超音波はんだ付けを完了し得る。これは、はんだ付け品質を改善し、コンポーネントの安定性を改善する。
【0120】
支持コンポーネント301の配置位置は、この出願の実施形態において限定されない。一部の実施形態において、図21に示すように、支持コンポーネント301はチップ20の周辺領域に配置される。信号伝送ポート102に接続されたパッド201によって囲まれた領域が、例えば、有効領域Aである。有効領域Aとチップ20のエッジとの間の領域が、例えば、チップ20の周辺領域Bであり、パッド201Aは、例えば、周辺領域Bに配置される。
【0121】
図21のパッド201B、パッド201C、及びパッド201Dは、信号端に接続されるように構成される。パッド201B、パッド201C、及びパッド201Dが接続された後に囲まれた矩形領域を有効領域Aとして使用することができ、パッド201Aは周辺領域Bに位置し、支持コンポーネント301がパッド201Aに接続される。
【0122】
オプションで、各信号伝送ポート102が1つのパッド201に接続される。1つのパッケージングアセンブリにおいて、信号伝送ポートの数Nは、N≧2を満たす。
【0123】
オプションで、周辺領域は、有効領域Aの境界とチップのエッジとで囲まれた環状の領域とし得る。例えば、図21に示すように、チップの表面が矩形である場合、有効領域Aの境界も矩形であり、有効領域Aの境界とチップのエッジとで四角形のリングを囲む。
【0124】
一部の他の実施形態において、チップの表面は円の形状であり、有効領域Aの境界も円の形状であり、有効領域Aの境界とチップのエッジとでリングを囲む。
【0125】
従って、有効領域Aの境界とチップのエッジとで規則的なリングを囲み、その結果、導電接続部がチップのエッジ上に均一に配置され、パッケージングアセンブリの安定性が改善される。
【0126】
なお、有効領域Aと周辺領域Bの境界は不規則な形状であってもよく、これらは全て、この出願の保護範囲内にある。
【0127】
周辺領域Bの支持コンポーネント301の分類の仕方は、この出願の実施形態において限定されない。支持コンポーネント301は、連続して配置されてもよいし、不連続に配置されてもよい。支持コンポーネント301が不連続に配置される場合、複数の支持コンポーネント301が等間隔に分布されてもよいし、等間隔に分布されなくてもよい。
【0128】
図23及び図24に示すように、複数の支持コンポーネント301の間の間隔は異なる。
【0129】
また、支持コンポーネント301は、単層配列を用いてもよいし、多層配列を用いてもよく、多層配列の安定性の方が高い。
【0130】
図23の(a)及び(b)に示すように、支持コンポーネント301は単層配列を使用する。
【0131】
図24の(a)及び(b)に示すように、支持コンポーネント301は2層配列を使用する。
【0132】
一部の他の実施形態において、支持コンポーネント301は、チップ20の有効領域Aに配置されてもよく、導電接続部30から離隔される(図示せず)。
【0133】
他の実施形態において、支持コンポーネント301の一部はチップ20の有効領域Aに配置され、支持コンポーネント301の一部はチップ20の周辺領域Bに配置される(図示せず)。
【0134】
支持コンポーネント301の形状は、この出願の実施形態において限定されない。支持コンポーネント301は、上述の導電接続部30と同じ形状を用い得る。例えば、支持コンポーネント301の形状は、球、楕円体、及び立方体とし得る。
【0135】
支持コンポーネント301の材料は、この出願の実施形態において限定されない。支持コンポーネント301は金属又は合金材料からなる。好ましくは、金ボールが支持コンポーネント301として使用され得る。当該パッケージングアセンブリが製造されるとき、支持コンポーネント301は、導電接続部30と同じプロセスを用いることによって形成され得る。
【0136】
図25は、この出願の一実施形態に従ったパッケージングアセンブリの累積粘塑性ひずみのシミュレーション図である。図25は、支持コンポーネント301が存在しない場合と、周辺領域の外輪に支持コンポーネント301が存在する場合との、位置(1)から位置(14)にあるパッケージングアセンブリの導電接続部30の累積粘塑性ひずみの比較を示している。
【0137】
図25に示されるように、支持コンポーネント301が存在しない場合、導電接続部は、(図12の(a)に示したような)上述の実施形態における第1配置を使用してもよく、位置(1)から位置(14)における導電接続部30の累積粘塑性ひずみは大きい。
【0138】
周辺領域の外輪に支持コンポーネント301が存在する場合、位置(1)から位置(14)における導電接続部30の累積粘塑性ひずみは小さい。
【0139】
従って、前述のシミュレーションから分かることには、周辺領域に支持コンポーネントを配置することにより、単一の導電接続部上の応力が弱められる。支持コンポーネントが配置されない場合と比較して、単一の導電接続部上の応力が30%低減され得る。これは、温度サイクル過程におけるコンポーネントの耐変形能力を改善し得る。
【0140】
また、図26は、支持コンポーネントなしでの各導電接続部の圧縮性能のシミュレーション図である。図27は、周辺領域の外輪に支持コンポーネントがある場合の各導電接続部の圧縮性能のシミュレーション図である。図26及び図27に示されるように、周辺領域の外輪に支持コンポーネントがある場合と、周辺領域の外輪に支持コンポーネントがない場合とを比較すると、単一の導電接続部上の応力が44%低減されている。
【0141】
従って、前述のシミュレーションから分かることには、支持コンポーネントを周辺領域に配置することにより、単一の導電接続部上の応力を低減させることができ、チップ及び導電接続部の破損のリスクを減少させることができる。
【0142】
この出願の実施形態は更に、電子デバイスを提供する。図28は、この出願に従った電子デバイス100の断面構造の概略図である。電子デバイス100は、例えば、回路基板101と、回路基板101上に配置されたパッケージングアセンブリとを含む。パッケージングアセンブリの信号伝送ポート102が回路基板101にはんだ付けされる。
【0143】
パッケージングアセンブリ20の構造及び機能は、上述の実施形態におけるパッケージングアセンブリ20の構造及び機能と同じであり、詳細をここで再び説明することはしない。
【0144】
当該電子デバイスは、弾性表面波フィルタ(Surface Acoustic Wave Filter,SAWフィルタ)、薄膜バルク弾性波共振器フィルタ(Film Bulk Acoustic Resonator Filter,FBARフィルタ)、バルク弾性波フィルタ(Bulk Acoustic Wave Filter,BAWフィルタ)、又はインターデジタルトランスデューサ(Interdigital Transducer,IDT)とし得る。
【0145】
以上の説明は、単にこの出願の特定の実装に過ぎず、この出願の保護範囲を限定することを意図するものではない。この出願に開示された技術的範囲内の如何なる変形又は置換もこの出願の保護範囲に入るものである。従って、この出願の保護範囲は請求項の保護範囲に従うものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
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図28