(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】音響システム
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20250408BHJP
H04R 3/12 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
G10K15/04 302M
H04R3/12 Z
(21)【出願番号】P 2021026457
(22)【出願日】2021-02-22
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 大平
(72)【発明者】
【氏名】杉田 佳弘
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 俊洲
(72)【発明者】
【氏名】森下 翔午
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-011980(JP,A)
【文献】特開2005-055797(JP,A)
【文献】実開平06-012658(JP,U)
【文献】実開昭56-115999(JP,U)
【文献】特開平01-024928(JP,A)
【文献】特開平09-160580(JP,A)
【文献】特開2008-060675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC
G10K 11/00-15/12
H04R 3/00- 3/14
27/00-27/04
H04S 1/00- 7/00
A47K 13/00-17/02
E03D 9/00- 9/16
E04H 1/00- 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ空間において大便器を備える複数のトイレブースの各々に配置され、人の心理に作用する誘導効果音を出力するスピーカと、
前記複数のトイレブースの各々のスピーカが誘導効果音を再生する場合、前記各々のスピーカによる誘導効果音の出力を合わせる制御部と、
を有
し、
前記各々のスピーカが出力する誘導効果音の再生開始位置を調整することにより、前記各々のスピーカによる誘導効果音の出力を合わせることを特徴とする音響システム。
【請求項2】
前記複数のトイレブースの各々への人の入室を検知するセンサ部、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記複数のトイレブースのうち2つ以上のトイレブースに人が入室している場合に、前記人が入室しているトイレブースの各々に対応する各スピーカによる誘導効果音の出力を合わせる
ことを特徴とする請求項1に記載の音響システム。
【請求項3】
前記複数のトイレブースの各々での音の出力を検知するセンサ部、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記複数のトイレブースのうち2つ以上のトイレブースで誘導効果音が出力されている場合に、前記誘導効果音が出力されているトイレブースの各々に対応する各スピーカによる誘導効果音の出力を合わせる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音響システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記各々のスピーカのうち第1スピーカが誘導効果音の再生時に、前記第1スピーカと異なる第2スピーカが誘導効果音の再生を開始する場合、前記第1スピーカが出力する誘導効果音に、前記第2スピーカが出力する誘導効果音を合わせる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の音響システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記各々のスピーカが出力する誘導効果音を同じ音源とすることにより、前記各々のスピーカによる誘導効果音の出力を同期させる
ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の音響システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、音響システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレブース等のトイレ空間で音を流す装置が知られている。例えば、排泄音等を消し、かつトイレブースを快適にするために快適音を発生する快適音発生装置が提供されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような技術では、複数のスピーカで音を出力する場合に適切な出力制御ができるとは限らない。
【0005】
特許文献1では、複数のスピーカで音を出力する点については考慮されていない。例えば、特許文献1では、使用者自身が使用しているトイレブース(自ブース)で人の心理に作用する音である誘導効果音を再生している場合に、自ブース以外のトイレブース(別ブース)でも誘導効果音が再生される場合について考慮されていない。そのため、自ブースで再生している誘導効果音に別ブースで再生している誘導効果音が影響を与えることにより、自ブースで再生している誘導効果音と混ざり合うことや自ブースの誘導効果音を聞こえづらくすること等が生じる場合がある。このように、人の心理に作用する音である誘導効果音を複数のスピーカで出力する場合、複数のトイレブースの各々に配置された各スピーカが個別に誘導効果音を出力すること等により、各スピーカが出力する誘導効果音が互いに影響を与え、聞こえづらくなり、誘導効果音の効果が低減するという問題がある。
【0006】
上記のような点を鑑みて、複数のスピーカにより誘導効果音を適切に出力することが課題となる。
【0007】
開示の実施形態は、複数のスピーカにより誘導効果音を適切に出力することができる音響システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係る音響システムは、トイレ空間において大便器を備える複数のトイレブースの各々に配置され、人の心理に作用する誘導効果音を出力するスピーカと、前記複数のトイレブースの各々のスピーカが誘導効果音を再生する場合、前記各々のスピーカによる誘導効果音の出力を合わせる制御部と、を有することを特徴とする。
【0009】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、複数のトイレブースで誘導効果音が再生される時、各トイレブースで再生される誘導効果音の出力を合わせるように制御する。例えば、音響システムは、各トイレブースで再生される誘導効果音を同期させたり、音圧を合わせたり、再生位置を合わせたりすることにより、各トイレブースで再生される誘導効果音の出力を合わせる。これによって、音響システムは、複数のトイレブースで誘導効果音が再生されていても、各誘導効果音の出力を例えば一致させたり、類似させたりすることで、各誘導効果音の出力を合わせることができるため、各トイレブースで再生される誘導効果音同士の阻害を抑制することが可能となる。したがって、音響システムは、複数のスピーカにより誘導効果音を適切に出力することができる。
【0010】
実施形態の一態様に係る音響システムは、前記複数のトイレブースの各々への人の入室を検知するセンサ部、をさらに備え、前記制御部は、前記複数のトイレブースのうち2つ以上のトイレブースに人が入室している場合に、前記人が入室しているトイレブースの各々に対応する各スピーカによる誘導効果音の出力を合わせることを特徴とする。
【0011】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、複数のトイレブースのうち2つ以上のトイレブースに人が入室していることが検知された場合、人が入室している各トイレブースで再生される誘導効果音の出力を合わせるように制御する。音響システムは、複数のトイレブースの各々への人の入室を検知するセンサの設置によって、複数のトイレブースで誘導効果音が再生されることを検知できるようになり、各誘導効果音の出力を合わせるタイミングを計ることが可能となる。
【0012】
実施形態の一態様に係る音響システムは、前記複数のトイレブースの各々での音の出力を検知するセンサ部、をさらに備え、前記制御部は、前記複数のトイレブースのうち2つ以上のトイレブースで誘導効果音が出力されている場合に、前記誘導効果音が出力されているトイレブースの各々に対応する各スピーカによる誘導効果音の出力を合わせることを特徴とする。
【0013】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、トイレブースで誘導効果音が再生されていることが検知された場合、誘導効果音が出力されている各トイレブースで再生される誘導効果音の出力を合わせるように制御する。音響システムは、複数のトイレブースの各々での音の出力を検知するセンサの設置によって、複数のトイレブースで誘導効果音が再生されることを検知できるようになり、各誘導効果音の出力を合わせるタイミングを計ることが可能となる。
【0014】
実施形態の一態様に係る音響システムにおいて、前記制御部は、前記複数のスピーカのうち第1スピーカが誘導効果音の再生時に、前記第1スピーカと異なる第2スピーカが誘導効果音の再生を開始する場合、前記第1スピーカが出力する誘導効果音に、前記第2スピーカが出力する誘導効果音を合わせることを特徴とする。
【0015】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、第1スピーカが配置されたトイレブース(第1トイレブース)で誘導効果音が再生時に、第2スピーカが配置されたトイレブース(第2のトイレブース)で誘導効果音を再生する場合、第1トイレブースで第1スピーカにより再生されている誘導効果音に合わせるように、第2トイレブースで第2スピーカにより誘導効果音を再生する。これによって、音響システムは、既に再生されている誘導効果音の再生態様に変化を加えることなく、2つのスピーカが出力する誘導効果音を合わせることができる。したがって、音響システムは、複数のスピーカが出力する誘導効果音を合わせることによる違和感や不快感が使用者に生じる可能性を低減しつつ、使用者に誘導効果音を聞かせることが可能となる。このように、音響システムは、複数のスピーカにより誘導効果音を適切に出力することができる。
【0016】
実施形態の一態様に係る音響システムにおいて、前記制御部は、前記各々のスピーカが出力する誘導効果音の再生開始位置を調整することにより、前記各々のスピーカによる誘導効果音の出力を合わせることを特徴とする。
【0017】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、各々のスピーカが出力する誘導効果音の再生開始位置を調整して誘導効果音の出力を合わせる。例えば、音響システムは、トイレブースで再生される誘導効果音の再生時間を調整(変更)することで複数のトイレブースで再生される誘導効果音の音圧を同期させるように制御する。これによって、音響システムは、誘導効果音の音圧を変化させる必要が無くなるため、複数のスピーカが出力する誘導効果音を合わせることによる違和感や不快感が使用者に生じる可能性を低減しつつ、使用者に誘導効果音を聞かせることが可能となる。したがって、音響システムは、複数のスピーカにより誘導効果音を適切に出力することができる。
【0018】
実施形態の一態様に係る音響システムにおいて、前記制御部は、前記各々のスピーカが出力する誘導効果音を同じ音源とすることにより、前記各々のスピーカによる誘導効果音の出力を同期させる。
【0019】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、各トイレブースで再生する誘導効果音を同じ音源にし、各トイレブースの誘導効果音を同期させて再生するように制御する。これによって、各トイレブースで同じ誘導効果音が同期して再生されるため、音響システムは、複数のスピーカが出力する誘導効果音を合わせることによる違和感や不快感が使用者に生じる可能性を低減しつつ、使用者に誘導効果音を聞かせることが可能となる。したがって、音響システムは、複数のスピーカにより誘導効果音を適切に出力することができる。
【発明の効果】
【0020】
実施形態の一態様によれば、複数のスピーカにより誘導効果音を適切に出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施形態に係る音出力制御処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、2つの音を合わせる処理の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る音出力制御処理のタイミングチャートの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る音響システムの構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る配置情報記憶部の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、音響システムが実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、音源に応じた2つの音を合わせる処理態様を示す図である。
【
図10】
図10は、スピーカの設定音圧を合わせる例を示す図である。
【
図11】
図11は、スピーカから出力される音圧を合わせる例を示す図である。
【
図12】
図12は、隣接ブースの漏音と音圧を合わせる例を示す図である。
【
図13】
図13は、類似する抑揚部分を合わせる例を示す図である。
【
図15】
図15は、2つの音を合わせる処理を行わない場合の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する音響システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0023】
<1.実施形態>
実施形態に係る音響システム1(
図4参照)において実行される情報処理の概要について
図1を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る音出力制御処理の一例を示す図である。
【0024】
まず、
図1に示す処理の説明に先立って、音響システム1が適用されるトイレ空間について説明する。トイレ空間とは、個室空間を形成するトイレブースと、トイレブース以外の空間である共有空間を有する。
【0025】
トイレブースは、パーティション(間仕切り)で区切られた空間(個室空間)である。各トイレブースは、大便器を備え、人が排泄行為を行う場所としての機能を有する。また、各トイレブースは、そのトイレブース内に入室するための開閉可能なドア(図示は省略)を備える。なお、各トイレブースのドアは、一般的なトイレブースに設けられるドアと同様であるため、詳細な説明は省略する。また、トイレブースは、パーティションによって、完全に区切られた空間でなくてもよく、パーティションの上部や下部に、隣接するトイレブースや供給空間と区切られていない部分が設けられていてもよい。
【0026】
また、共有空間は、トイレ空間内において複数人が同時に滞在し得る共有部である。例えば、共有空間は、トイレ空間への入り口、洗面の設備、各トイレブースへの経路を有する。共有空間は、トイレ空間への入場、手等の洗浄、各トイレブースへの移動等を行うための場所としての機能を有する。なお、トイレ空間が男性用のトイレ空間として機能する場合、その共有空間には小便器が配置されてもよい。すなわち、共有空間も人が排泄行為を行う場所として機能してもよい。
【0027】
図1に示すトイレ空間TSは、トイレブースTB1と、トイレブースTB2と、共有空間CSとを有する。なお、トイレブースTB1、トイレブースTB2等、トイレ空間TSに設けられるトイレブースを区別せずに説明する場合、「トイレブースTB」と記載する場合がある。
図1では、トイレ空間TSが2つのトイレブースTBを有する場合を一例として説明するが、トイレ空間TSは3つ以上のトイレブースTBを有してもよい。共有空間CSは、トイレ空間TSへの入り口を有し、トイレ空間TS内への入退場、各トイレブースTBへの移動、手の洗浄等の場所として利用される。例えば、トイレ空間TSは、デパート等の(商業)施設に設けられる。なお、トイレ空間TSが設けられる場所は、商業施設に限らず様々な場所に設けられてもよいが、この点については後述する。
【0028】
次に、トイレ空間TSにおける各装置の配置について説明する。スピーカ101は、トイレブースTB1に配置される。また、スピーカ102は、トイレブースTB2に配置される。スピーカ101、スピーカ102等、トイレ空間TSに配置されるスピーカを区別せずに説明する場合、「スピーカ10」と記載する場合がある。スピーカ10は、後述する制御装置100の制御に応じて、音を出力する音響装置である。スピーカ10は、人の心理に作用する誘導効果音を出力する。なお、スピーカ10の配置位置は、特に限定されず、各トイレブースTB内に設置されていればよく、例えば各トイレブースTBの天井、壁面、床等に設置してもよく、また大便器上部に備える便座装置等に設置してもよい。
【0029】
<1-1.誘導効果音>
ここで、誘導効果音について説明する。誘導効果音は、例えば、感情誘導効果、イメージ誘導効果、行動誘導効果のうち少なくとも1つの効果を有する音である。例えば、感情誘導効果とは、喜びや悲しみ等、人を特定の感情にする効果である。また、例えば、イメージ誘導効果とは、高級感のある印象等、特定の印象を持つように誘導する効果である。また、例えば、行動誘導効果とは、行動を早める、注意を誘導する等、人の行動を誘導する効果である。
【0030】
感情誘導効果を有する音の例としては、テンポが速く、長調の音楽等があり、これらの音には高揚感を感じさせる効果があるとされている。また、感情誘導効果を有する音の例としては、波の音等の自然界の音やテンポが遅く、長調の音楽等があり、これらの音にはリラックス感を感じさせる効果があるとされている。
【0031】
イメージ誘導効果を有する音の例としては、クラシック音楽等があり、これらの音には高級感のあるイメージを持たせる効果があるとされている。また、イメージ誘導効果を有する音の例としては、長調の音楽等があり、これらの音には明るいイメージを持たせる効果があるとされている。
【0032】
行動誘導効果を有する音の例としては、テンポの速い音楽等があり、これらの音には人の行動を早める効果があるとされている。また、行動誘導効果を有する音の例としては、テンポが速く、音が大きい音楽等があり、これらの音には人の注意を引きつける効果があるとされている。
【0033】
なお、上記の感情誘導効果、イメージ誘導効果、行動誘導効果は排他的ではなく、1つの音が複数の効果を有してもよい。例えば、1つの音(誘導効果音)が感情誘導効果及び行動誘導効果の2つの効果を有する等、1つの音(誘導効果音)が複数の効果を有してもよい。また、上記の感情誘導効果、イメージ誘導効果、行動誘導効果は一例に過ぎず、誘導効果音には、人の心理に作用する音であればどのような音が含まれてもよい。
【0034】
トイレ空間TSにおける各装置の配置に戻って説明を続ける。センサ装置50
1は、トイレブースTB1への人の入室を検知するセンサ装置である。なお、
図1では、対応関係を示すために、センサ装置50
1がトイレブースTB1内に配置されるイメージを示すが、トイレブースTB1への人の入室が検知可能であれば、センサ装置50
1は、トイレブースTB1外に配置されてもよい。
【0035】
また、センサ装置50
2は、トイレブースTB2への人の入室を検知するセンサ装置である。なお、
図1では、対応関係を示すために、センサ装置50
2がトイレブースTB2内に配置されるイメージを示すが、トイレブースTB2への人の入室が検知可能であれば、センサ装置50
2は、トイレブースTB2外に配置されてもよい。
【0036】
以下、センサ装置501、センサ装置502等、トイレ空間TSのトイレブースTBへの人の入室を検知するセンサ装置を区別せずに説明する場合、「センサ装置50」と記載する場合がある。センサ装置50は、対応するトイレブースTBへの人の入室の検知結果を制御装置100へ送信する。
【0037】
制御装置100は、スピーカ10及びセンサ装置50と通信可能なコンピュータである。
図1では、制御装置100がトイレ空間TSの共有空間CSに配置されている場合を一例として説明するが、制御装置100はトイレ空間TS外に配置されてもよい。例えば、制御装置100は、トイレ空間TS外の音響システム1の管理施設などに配置されるサーバ装置であってもよい。なお、上記は一例に過ぎず、スピーカ10及びセンサ装置50と通信し、処理が実現可能であれば、制御装置100の装置構成及び配置は任意の形態が採用可能である。例えば、制御装置100は、音響システム1の管理者等が携帯可能なノートパソコン等の携帯端末(デバイス)であってもよい。
【0038】
制御装置100は、スピーカ10の出力を制御する。制御装置100は、センサ装置50による検知結果に応じて、スピーカ10による誘導効果音の出力を制御する。この点について、以下
図1を用いて説明する。
【0039】
<1-2.音声制御処理例>
図1では、使用者U1がトイレブースTB1を使用し、使用者U2がトイレブースTB2を使用する場合に、トイレブースTB1及びトイレブースTB2での誘導効果音の再生が行われる例を説明する。なお、
図1では、トイレブースTB1、TB2の各々が備える便器TLの便座STに使用者U1、U2が各々座っている状態を図示するが、トイレブースTBの利用者による使用態様のイメージを示すためのものであり、各トイレブースTBの使用状態は人の行動により変化する。
【0040】
図1では、トイレブースTB1及びトイレブースTB2で同じ音源の音(すなわち同一の音)を誘導効果音として再生する場合を説明する。各トイレブースで異なる音源の音を再生する場合については後述する。また、
図1では、使用者U1がトイレブースTB1に滞在を開始した後に、使用者U2がトイレブースTB2に入室し滞在する場合を一例として示す。
【0041】
まず、
図1の例では、トイレブースTB1に使用者U1が入室し、トイレブースTB1に滞在する。例えば、使用者U1は、ドアが開放状態であるトイレブースTB1の中へ移動し、トイレブースTB1内に位置することにより、トイレブースTB1に入室する。これにより、センサ装置50
1は、トイレブースTB1への使用者U1の入室を検知する。そして、センサ装置50
1は、トイレブースTB1への使用者U1の入室を示す情報を制御装置100に送信する(ステップS1)。
【0042】
センサ装置501からトイレブースTB1への使用者U1の入室を示す情報を受信した制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ101へ誘導効果音の再生を指示する(ステップS2)。制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ101へ誘導効果音の再生を指示する情報を送信する。例えば再生対象となる誘導効果音が複数ある場合、制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ101へ、再生する誘導効果音を特定するための情報を送信してもよいし、誘導効果音の音源データを送信してもよい。
【0043】
なお、各トイレブースTBで再生される誘導効果音は予め設定されてもよい。例えば、制御装置100は、トイレ空間TSがデパートに設置されている場合、そのデパートが人に抱かせたいイメージに適合する誘導効果音、すなわちイメージ誘導効果を有する誘導効果音をスピーカ101に再生させてもよい。例えば、制御装置100は、トイレ空間TSが設置されたデパートが人にそのデパートに対して高級感を抱かせたい場合、例えばクラシック等、高級感のあるイメージを持たせる効果を有する誘導効果音をスピーカ101に再生させる。また、制御装置100は、トイレ空間TSが設置された施設(デパート等)に人が多く混雑している場合、人の行動を早める誘導効果音をスピーカ101に再生させてもよい。例えば、制御装置100は、トイレ空間TSを利用する人に待ち行列が生じている等、トイレ空間TSの利用を望む人が多く混雑している場合、人の行動を早める誘導効果音をスピーカ101に再生させてもよい。また、時々の季節や天候や気温に基いて誘導効果音を設定・変更してもよいし、例えば、開館時間、閉館時間等の時間帯によって、誘導効果音を設定・変更してもよい。
【0044】
制御装置100から誘導効果音の再生の指示を受けたスピーカ101は、誘導効果音の再生を開始する(ステップS3)。これにより、トイレブースTB1内に位置する使用者U1は再生されている誘導効果音を認識する(聞く)。
【0045】
その後、トイレブースTB2に使用者U2が入室し、トイレブースTB2に滞在する。例えば、使用者U2は、ドアが開放状態であるトイレブースTB2の中へ移動し、トイレブースTB2内に位置することにより、トイレブースTB2に入室する。これにより、センサ装置502は、トイレブースTB2への使用者U2の入室を検知する。そして、センサ装置502は、トイレブースTB2への使用者U2の入室を示す情報を制御装置100に送信する(ステップS4)。
【0046】
センサ装置50
2からトイレブースTB2への使用者U2の入室を示す情報を受信した制御装置100は、トイレブースTB2のスピーカ10
2へ誘導効果音の再生を指示する(ステップS5)。制御装置100は、トイレブースTB2のスピーカ10
2へ誘導効果音の再生を指示する情報を送信する。
図1の例では、制御装置100は、トイレブースTB2のスピーカ10
2へ、トイレブースTB1のスピーカ10
1が出力している誘導効果音と同じ誘導効果音を再生するように指示する。
【0047】
また、制御装置100は、トイレブースTB2のスピーカ102が出力する誘導効果音と、トイレブースTB1のスピーカ101が出力中の誘導効果音とが同期するように、スピーカ102に誘導効果音の再生開始位置を指定する。例えば、制御装置100は、トイレブースTB2のスピーカ102が出力を開始する位置がトイレブースTB1のスピーカ101が出力中の位置と合う(一致する)ように、スピーカ102に再生開始位置を指定する情報を送信する。
【0048】
制御装置100から誘導効果音の再生の指示を受けたスピーカ102は、誘導効果音の再生を開始する(ステップS6)。これにより、トイレブースTB2内に位置する使用者U2は再生されている誘導効果音を認識する(聞く)。
【0049】
ここで、スピーカ10
2が出力する誘導効果音と、トイレブースTB1のスピーカ10
1が出力中の誘導効果音とを合わせる一例について、
図2を用いて説明する。
図2は、2つの音を合わせる処理の一例を示す図である。
図2に示すグラフの横軸は再生時間(時間t)を示す。
図2では、グラフの横軸は、誘導効果音の再生時間を示す。
【0050】
また、
図2に示すグラフの縦軸は音圧(単位:db(デシベル))を示す。なお、
図2では、音圧として音圧レベル(単位:デシベル)を一例として示すが、他の単位の数値であってもよい。
【0051】
図2中の実線で示す波形SP1は、第1トイレブースであるトイレブースTB1のスピーカ10
1による誘導効果音の再生を示す。また、
図2中の点線で示す波形SP2は、第2トイレブースであるトイレブースTB2のスピーカ10
2による誘導効果音の再生を示す。
【0052】
図2の例では、センサ装置50
1によるトイレブースTB1への人の入室検知に応じて、制御装置100は、時間t1にスピーカ10
1に誘導効果音の出力を開始させる(
図1のステップS3に対応)。また、センサ装置50
2によるトイレブースTB2への人の入室検知に応じて、制御装置100は、時間t2にスピーカ10
2に誘導効果音の出力を開始させる(
図1のステップS6に対応)。制御装置100は、時間t1から時間t2までの経過時間を基に、スピーカ10
1の誘導効果音の再生位置を特定し、その特定した再生位置から誘導効果音の再生を開始するようにスピーカ10
2に指示する。例えば、制御装置100は、誘導効果音の開始位置から経過時間だけ進めた位置から誘導効果音の再生を開始するようにスピーカ10
2に指示する。この場合、制御装置100は、経過時間が20秒である場合、誘導効果音の開始位置から20秒進めた位置、すなわち開始から20秒経過した位置から、誘導効果音の再生を開始するようにスピーカ10
2に指示する。例えば、制御装置100は、再生開始位置(経過時間)を示す情報をスピーカ10
2に送信することにより、誘導効果音の開始位置から経過時間だけ進めた位置から誘導効果音の再生を開始するようにスピーカ10
2に指示する。
【0053】
これにより、音響システム1は、第1トイレブースであるトイレブースTB1で出力される誘導効果音と、第2トイレブースであるトイレブースTB2で出力される誘導効果音とを合わせることができる。
図2の例では、音響システム1は、トイレブースTB1で出力される誘導効果音と、トイレブースTB2で出力される誘導効果音とを同期させることができるため、各トイレブースTBで出力される誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。なお、各トイレブースで再生される誘導効果音の出力を合わせる処理は、上述した各トイレブースで再生される誘導効果音の再生位置を合わせる処理に限らず、誘導効果音を同期させる処理、誘導効果音の音圧を合わせる処理等であってもよい。各トイレブースで再生される誘導効果音の出力を合わせる処理として、誘導効果音を同期させる処理や誘導効果音の音圧を合わせる処理等の例については後述する。
【0054】
その後、使用者U1がトイレブースTB1から退室した際は、制御装置100は、センサ装置501からトイレブースTB1に人が入室していないことを示す情報を受信し、トイレブースTB1のスピーカ101へ誘導効果音の出力停止を指示する。また、使用者U2がトイレブースTB2から退室した際は、制御装置100は、センサ装置501からトイレブースTB2に人が入室していないことを示す情報を受信し、トイレブースTB2のスピーカ102へ誘導効果音の出力停止を指示する。なお、各スピーカ10は、誘導効果音の出力停止を受ける前に、誘導効果音を終了位置まで再生し終わった(誘導効果音の終了位置に到達した)場合、誘導効果音を開始位置から再生を繰り返す。
【0055】
ここで、上述したように2つのスピーカ10による誘導効果音の出力を合わせない場合について
図15を用いて説明する。
図15は、2つの音を合わせる処理を行わない場合の例を示す図である。なお、
図2と同様の点については説明を省略する。
【0056】
図15の例では、時間t1にスピーカ10
1が誘導効果音の出力を開始する。時間t2にスピーカ10
2が誘導効果音の開始位置から誘導効果音の出力を開始する。この場合、スピーカ10
1が時間t1から誘導効果音の開始位置から誘導効果音の出力を開始し、スピーカ10
2が時間t2から誘導効果音の開始位置から誘導効果音の出力を開始することとなる。したがって、
図15のように2つの音を合わせる処理を行わない場合、スピーカ10
2は、スピーカ10
1による誘導効果音の再生開始から、時間t1から時間t2までの時間(経過時間)が経過した後、誘導効果音の開始位置から誘導効果音の出力を開始することとなる。このように、スピーカ10
2は、スピーカ10
1から経過時間だけ遅れて誘導効果音の開始位置から誘導効果音の再生を開始することとなるため、スピーカ10
1による誘導効果音の出力とスピーカ10
2による誘導効果音の出力とは合っていない。そのため、2つの音を合わせる処理を行わない場合は、各トイレブースTBで出力される誘導効果音の効果の低減を抑制することが難しい。
【0057】
一方で、上述したように、音響システム1は、各トイレブースTBで出力される誘導効果音を合わせるため、各トイレブースTBで出力される誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。したがって、音響システム1は、複数のスピーカにより誘導効果音を適切に出力することができる。
【0058】
<1-3.トイレ空間の配置>
図1の例では、トイレ空間TSが設置される場所として、デパート(百貨店)等のような商業施設を一例として示したが、トイレ空間TSが設置される場所は、店舗等の商業施設に限らず、種々の施設であってもよい。例えば、トイレ空間TSが設置される場所は、遊園地や競技場やオフィスビル等であってもよい。例えば、トイレ空間TSが設置される場所は、観光地等の地域に設置されるトイレであってもよい。例えば、トイレ空間TSが設置される場所は、公園や駐車場等であってもよい。すなわち、トイレは公園や駐車場等の屋外に設置されてもよい。このように、トイレ空間TSが設置される場所は、トイレ空間TSが設置可能な空間があれば、どのような場所であってもよい。
【0059】
<1-4.制御フロー例>
図3を用いて、制御フロー例について説明する。
図3は、実施形態に係る音出力制御処理のタイミングチャートの一例を示す図である。なお、
図1と同様の点については適宜説明を省略する。
【0060】
図3の例では、トイレブースTB1を第1トイレブースとし、トイレブースTB2を第2トイレブースとする制御フローを一例として説明する。すなわち、
図3の例は、第1トイレブースの第1スピーカがスピーカ10
1であり、第1センサ装置がセンサ装置50
1であり、第2トイレブースの第2スピーカがスピーカ10
2であり、第2センサ装置がセンサ装置50
2であるものとして以下説明する。
【0061】
図3中の波形LN1は、センサ装置50
1によるトイレブースTB1の入室検知の検知結果を示す。また、
図3中の波形LN2は、スピーカ10
1による誘導効果音の出力有無を示す。
【0062】
図3中の波形LN3は、センサ装置50
2によるトイレブースTB2の入室検知の検知結果を示す。また、
図3中の波形LN4は、スピーカ10
2による誘導効果音の出力有無を示す。
【0063】
図3の例では、波形LN1に示すように、時間t1以前においてトイレブースTB1への人が入室することにより、センサ装置50
1によりトイレブースTB1の人の入室が検知される。例えば、時間t1以前において、センサ装置50
1の検知結果が、トイレブースTB1の人の入室が検知されていないことを示す「off」から、トイレブースTB1の人の入室が検知されたことを示す「on」へ変更される。
【0064】
センサ装置501によるトイレブースTB1の人の入室検知に応じて、波形LN2に示すように、スピーカ101が誘導効果音の出力を開始する。例えば、時間t1において、スピーカ101は、「off」で示す誘導効果音を出力していない状態から、「on」で示す誘導効果音を出力している状態へ遷移し、誘導効果音の出力を開始する。
【0065】
また、
図3の例では、波形LN3に示すように、時間t2以前においてトイレブースTB2への人が入室することにより、センサ装置50
2によりトイレブースTB2の人の入室が検知される。例えば、時間t2以前において、センサ装置50
2の検知結果が、トイレブースTB2の人の入室が検知されていないことを示す「off」から、トイレブースTB2の人の入室が検知されたことを示す「on」へ変更される。
【0066】
センサ装置502によるトイレブースTB2の人の入室検知に応じて、波形LN4に示すように、スピーカ102が誘導効果音の出力を開始する。例えば、時間t2において、スピーカ102は、「off」で示す誘導効果音を出力していない状態から、「on」で示す誘導効果音を出力している状態へ遷移し、誘導効果音の出力を開始する。上述したように、スピーカ102は、スピーカ101が出力する誘導効果音に合わせて誘導効果音の出力を開始する。
【0067】
その後、波形LN1に示すように、時間t3以前においてトイレブースTB1から人が退室することにより、センサ装置501によりトイレブースTB1の人の入室が検知されなくなる。例えば、時間t3以前において、センサ装置501の検知結果が、トイレブースTB1の人の入室が検知されたことを示す「on」から、トイレブースTB1の人の入室が検知されていないことを示す「off」へ変更される。
【0068】
センサ装置501によるトイレブースTB1の人の入室が検知されなくなったこと(入室非検知)に応じて、波形LN2に示すように、スピーカ101が誘導効果音の出力を停止する。例えば、時間t3において、スピーカ101は、「on」で示す誘導効果音を出力している状態から、「off」で示す誘導効果音を出力していない状態へ遷移し、誘導効果音の出力を停止する。
【0069】
また、波形LN4に示すように、時間t4以前においてトイレブースTB2から人が退室することにより、センサ装置502によりトイレブースTB2の人の入室が検知されなくなる。例えば、時間t4以前において、センサ装置502の検知結果が、トイレブースTB2の人の入室が検知されたことを示す「on」から、トイレブースTB2の人の入室が検知されていないことを示す「off」へ変更される。
【0070】
センサ装置502によるトイレブースTB2の人の入室が検知されなくなったこと(入室非検知)に応じて、波形LN4に示すように、スピーカ102が誘導効果音の出力を停止する。例えば、時間t4において、スピーカ102は、「on」で示す誘導効果音を出力している状態から、「off」で示す誘導効果音を出力していない状態へ遷移し、誘導効果音の出力を停止する。
【0071】
<1-5.音響システムの構成>
次に、音響システム1の構成について
図4を参照して説明する。
図4は、実施形態に係る音響システムの構成例を示す図である。具体的には、
図4は、音響システム1の構成を示す。音響システム1は、複数のスピーカ10と、複数のセンサ装置50と制御装置100とが含まれる。音響システム1には、複数の制御装置100が含まれてもよい。
【0072】
スピーカ10は、トイレ空間TSにおいて大便器である便器TLを備えるトイレブースTBに配置される。スピーカ10は、制御装置100の制御に応じて音を出力する。スピーカ10は、人の心理に作用する誘導効果音を出力する。なお、スピーカ10の配置位置は、特に限定されず、各トイレブースTB内に設置されていればよく、例えば各トイレブースTBの天井、壁面、床等に設置してもよく、また便座ST等に設置してもよい。
【0073】
センサ装置50は、対象とするトイレブースTBへの人(使用者)の入室を検知する検知部として機能する。センサ装置50は、種々のセンサにより実現されてもよい、例えば、センサ装置50は、人体検知センサ、着座検知センサ、行動検知センサ、存在検知センサ等の各種のセンサであってもよい。センサ装置50は、トイレブースTB外を撮像する画像センサ(行動検知センサ)であってもよい。センサ装置50は、トイレ空間のドア等に設けられたドアセンサ(行動検知センサ)であってもよい。なお、上記は一例であり、センサ装置50は、使用者のトイレブースTBへの入室を検知可能であればどのような手段により実現されてもよい。例えば、センサ装置50は、トイレブースTBへの人の入室を検知した場合、その検知や検知の日時などを示す検知情報を制御装置100へ送信する。
【0074】
制御装置100は、センサ装置50による検知に応じて、スピーカ10による誘導効果音の出力を制御する情報処理装置である。制御装置100は、センサ装置50から検知結果を受信する。制御装置100は、スピーカ10による誘導効果音の出力を制御する。
【0075】
制御装置100は、スピーカ10及びセンサ装置50と、インターネット等の所定のネットワークNを介して、無線または有線により通信可能に接続される。なお、制御装置100は、情報の送受信が可能であれば、スピーカ10及びセンサ装置50とどのように接続されてもよく、無線により通信可能に接続されてもよいし、有線により通信可能に接続されてもよい。
【0076】
なお、音響システム1のセンサ装置50は、音を検知するセンサ(音センサ)であってもよい。例えば、センサ装置50は、複数のトイレブースTBの各々での音の出力を検知する音センサであってもよい。この場合、各センサ装置50は、複数のトイレブースTBの各々に配置され、配置されたトイレブースTBでの音を検知する。例えば、センサ装置50は、配置されたトイレブースTBで出力される誘導効果音を検知した場合、誘導効果音を検知したことを示す情報を制御装置100へ送信する。
【0077】
各センサ装置50が配置されたトイレブースTBでの音を検知する場合、制御装置100は、センサ装置50により複数のトイレブースTBで誘導効果音が出力されていることが検知された際に、複数のスピーカ10の各々による誘導効果音の出力を合わせる。この場合、スピーカ10での誘導効果音の出力開始は、任意のタイミングで行われてもよい。例えば、音響システム1は、音を検知するセンサ装置50以外のセンサを有してもよい。この場合、音響システム1は、音を検知するセンサ装置50と、トイレブースTBへの人の入室を検知する他のセンサ装置とを有し、他のセンサ装置によりトイレブースTBへ人の入室が検知された際にそのトイレブースTBのスピーカ10に誘導効果音を出力させてもよい。
【0078】
<1-6.制御装置の機能構成>
以下、制御装置の機能構成について
図5を参照して説明する。
図5は、実施形態に係る制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0079】
図5に示すように、制御装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、制御装置100は、制御装置100の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0080】
通信部110は、例えば、通信回路等によって実現される。通信部110は、所定のネットワークN(
図4参照)と有線または無線で接続され、外部の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部110は、所定のネットワークN(
図4参照)と有線または無線で接続され、スピーカ10及びセンサ装置50等の他の装置との間で情報の送受信を行う。
【0081】
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。例えば、記憶部120は、音響制御プログラム等によって使用されるデータ等を非一時的に記録するコンピュータが読み取り可能な記録媒体である。実施形態に係る記憶部120は、
図5に示すように、配置情報記憶部121と、誘導効果音情報記憶部122とを有する。
【0082】
実施形態に係る配置情報記憶部は、音響システム1のスピーカ(音響装置)やセンサ装置等の配置に関する各種情報を記憶する。例えば、配置情報記憶部は、スピーカ10及びセンサ装置50の配置に関する情報を記憶する。
図6は、実施形態に係る配置情報記憶部の一例を示す図である。
図6に示す配置情報記憶部には、「配置箇所」、「スピーカ」、「センサ装置」といった項目が含まれる。
【0083】
「配置箇所」は、各配置箇所を識別するための識別情報を示す。
図6では、説明の為に「配置箇所」に「TB1」、「TB2」といった各トイレブースに付した符号を図示するが、「配置箇所」には、配置箇所を特定可能な情報(例えば配置箇所ID等)が記憶される。
【0084】
「スピーカ」は、対応する配置箇所に配置されるスピーカ(音響装置)を識別するための識別情報を示す。
図6では、説明の為に「スピーカ」に「10
1」、「10
2」といった各スピーカに付した符号を図示するが、「スピーカ」には、スピーカを特定可能な情報(例えばスピーカID等)が記憶される。
【0085】
「センサ装置」は、対応する配置箇所に配置されるセンサ装置を識別するための識別情報を示す。
図6では、説明の為に「センサ装置」に「50
1」、「50
2」といった各センサ装置に付した符号を図示するが、「センサ装置」には、センサ装置を特定可能な情報(例えばセンサID等)が記憶される。
【0086】
図6の例では、「TB1」により識別される配置箇所であるトイレブースTB1には、「10
1」により識別される音響装置であるスピーカ10
1、及び「50
1」により識別されるセンサ装置であるセンサ装置50
1が配置されることを示す。
【0087】
また、「TB2」により識別される配置箇所であるトイレブースTB2には、「102」により識別される音響装置であるスピーカ102、及び「502」により識別されるセンサ装置であるセンサ装置502が配置されることを示す。
【0088】
なお、配置情報記憶部121は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、配置情報記憶部121は、各スピーカ10が出力する誘導効果音を示す情報や各スピーカ10の具体的な配置位置を示す情報(例えば緯度経度情報等)を、各スピーカ10に対応付けて記憶してもよい。また、例えば、配置情報記憶部121は、各センサ装置50が検知する情報や各センサ装置50の具体的な配置位置を示す情報(例えば緯度経度情報等)を、各センサ装置50に対応付けて記憶してもよい。また、配置情報記憶部121は、各センサ装置50の配置箇所と検知する範囲(検知範囲)が異なる場合、各センサ装置50の検知範囲を示す情報を記憶してもよい。
【0089】
誘導効果音情報記憶部122は、スピーカ10に出力させる誘導効果音に関する各種情報を記憶する。例えば、誘導効果音情報記憶部122は、スピーカ10に出力させる誘導効果音の音源(データ)を記憶する。誘導効果音情報記憶部122は、誘導効果音の音源(データ)に、その誘導効果音が人の心理にどのように作用するかを示す情報、すなわち誘導効果の内容を示す情報を対応付けて記憶する。
【0090】
また、誘導効果音情報記憶部122は、どのトイレブースでどの誘導効果音を出力するかを示す情報を記憶してもよい。例えば、誘導効果音情報記憶部122は、各スピーカ10にそのスピーカ10に出力させる誘導効果音を示す情報を対応付けて記憶する。なお、上記は一例に過ぎず、誘導効果音情報記憶部122は、必要に応じて誘導効果音に関する様々な情報を記憶する。
【0091】
図5に戻り、説明を続ける。制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって、制御装置100内部に記憶されたプログラム(例えば、本開示に係る音響制御プログラム等)がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0092】
図5に示すように、制御部130は、取得部131と、決定部132と、音響制御部133と、送信部134とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図5に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0093】
取得部131は、各種情報を取得する。取得部131は、記憶部120から各種情報を取得する。取得部131は、他の装置から情報を取得する。取得部131は、センサ装置50やスピーカ10等から各種情報を受信する。取得部131は、センサ装置50の検知結果をセンサ装置50から受信する。
【0094】
決定部132は、決定処理を行う。決定部132は、センサ装置50の検知結果に応じて、スピーカ10による誘導効果音の出力開始を決定する。決定部132は、センサ装置50によりトイレブースTBへの人の入室が検知された場合、スピーカ10による誘導効果音の出力開始を決定する。また、決定部132は、センサ装置50の検知結果に応じて、スピーカ10による誘導効果音の出力停止を決定する。決定部132は、センサ装置50によりトイレブースTBからの人の退出が検知された場合、スピーカ10による誘導効果音の出力停止を決定する。決定部132は、決定内容を示す情報を送信部134に送信させることにより、スピーカ10に音の出力開始または出力停止を指示する。
【0095】
決定部132は、第1スピーカが誘導効果音の再生を開始した時間から経過した時間(経過時間)を基に第2スピーカに再生させる誘導効果音の再生開始位置を決定する。決定部132は、経過時間を基に、第1スピーカの誘導効果音の再生位置を特定する。
【0096】
音響制御部133は、スピーカ10を制御する音響制御処理を実行する。音響制御部133は、スピーカ10により出力される音を制御する。音響制御部133は、決定部132による決定内容に応じて音響制御処理を実行する。音響制御部133は、決定内容を示す情報を送信部134に送信させることにより、スピーカ10に音の出力開始または出力停止を指示する。
【0097】
音響制御部133は、誘導効果音の出力開始を指示する情報を送信部134に送信させることにより、スピーカ10に誘導効果音の出力開始を指示する。音響制御部133は、誘導効果音の出力停止を指示する情報を送信部134に送信させることにより、スピーカ10に誘導効果音の出力停止を指示する。
【0098】
音響制御部133は、誘導効果音の開始位置を指定する情報を送信部134に送信させることにより、スピーカ10により誘導効果音の開始位置を制御する。音響制御部133は、決定部132により特定された再生位置から誘導効果音の再生を開始するように第2スピーカに指示する。例えば、音響制御部133は、誘導効果音の開始位置から経過時間だけ進めた位置から誘導効果音の再生を開始するように第2スピーカに指示する。この場合、音響制御部133は、経過時間が20秒である場合、誘導効果音の開始位置から20秒進めた位置、すなわち開始から20秒経過した位置から、誘導効果音の再生を開始するように第2スピーカに指示する。例えば、音響制御部133は、再生開始位置(経過時間)を示す情報を第2スピーカに送信することにより、誘導効果音の開始位置から経過時間だけ進めた位置から誘導効果音の再生を開始するように第2スピーカに指示する。
【0099】
送信部134は、外部の情報処理装置へ情報を送信する。例えば、送信部134は、スピーカ10へ各種情報を送信する。送信部134は、決定部132による決定を示す情報をスピーカ10へ送信する。送信部134は、音響制御部133による制御内容を示す情報をスピーカ10へ送信する。送信部134は、誘導効果音の出力に関する情報をスピーカ10へ送信する。
【0100】
<1-7.処理の流れ>
ここから、
図7を用いて、音出力制御処理の処理フローについて説明する。
図7は、音響システムが実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0101】
音響システム1は、複数のスピーカの各々が誘導効果音を再生する場合、複数のスピーカの各々による誘導効果音の出力を合わせる(ステップS101)。例えば、音響システム1の制御装置100が複数のトイレブースの各々のスピーカ10が人の心理に作用する誘導効果音を再生する場合、各々のスピーカ10による誘導効果音の出力を合わせる。
【0102】
音響システム1は、トイレ空間において大便器を備える複数のトイレブースの各々に配置される複数のスピーカが人の心理に作用する誘導効果音を出力する(ステップS102)。例えば、音響システム1のスピーカ10がトイレ空間TSにおいて大便器TLを備える複数のトイレブースTBの各々に配置され、制御装置100の制御に応じて誘導効果音を出力する。
【0103】
<1-8.音を合わせる例>
上述した例では、複数のスピーカ10が同じ音源の誘導効果音を出力する際に、再生位置を揃える(同期させる)ことにより、複数のスピーカ10の各々による誘導効果音の出力を合わせる例を示したが、誘導効果音の出力を合わせる処理は上記に限られない。この点について、以下説明する。
【0104】
まず、
図8を用いて、音源に応じた2つの音を合わせる処理例について説明する。
図8は、音源に応じた2つの音を合わせる処理態様を示す図である。
図8は、複数のスピーカ10が出力する誘導効果音(音源)が同じである場合と、複数のスピーカ10が出力する誘導効果音(音源)が異なる場合とに分けて、音を合わせる処理態様についての一覧を示す。
図8に示すように、複数のスピーカ10の各々による誘導効果音の出力を合わせる方法については様々な方法がある。
【0105】
まず、同じ音源である場合、抑揚が大きい場合と抑揚が小さい場合との2つの場合で、音響システム1による処理において、音圧に合わせる態様や同期させる方法の一例を説明する。なお、ここでいう抑揚が大きいとは、音の強弱が大きい、例えば最も強い音が所定の閾値以上である場合をいう。また、ここでいう抑揚が小さいとは、音の強弱が小さい、例えば最も強い音が所定の閾値未満である場合をいう。なお、同じ音源である場合、抑揚が同じであるため、終始同じ抑揚でとなる。
【0106】
抑揚が大きい同じ音源の誘導効果音を複数のスピーカ10で出力する場合、音を再生する際にどこの音圧を合わせるかについては、以下の3つの方法がある。具体的には、スピーカ10の設定音圧同士を合わせる方法(以下「第1方法」ともいう)、スピーカ10から出力される音圧同士を合わせる方法(以下「第2方法」ともいう)、及び隣接するトイレブースから漏れてきた音圧とスピーカ10から出力される音圧を合わせる(以下「第3方法」ともいう)の3つの方法がある。なお、第1方法、第2方法、及び第3方法についての詳細は後述する。
【0107】
抑揚が大きい同じ音源の誘導効果音を複数のスピーカ10で出力する場合、同期させる方法としては、時間を合わせる方法がある。時間(再生位置)を合わせる方法については、
図2等を用いて上述したため、詳細な説明は省略する。
【0108】
抑揚が小さい同じ音源の誘導効果音を複数のスピーカ10で出力する場合、音を再生する際にどこの音圧を合わせるかについては、第1方法、第2方法、及び第3方法の3つの方法がある。また、抑揚が小さい同じ音源の誘導効果音を複数のスピーカ10で出力する場合、同期させる方法としては、時間を合わせる方法、または、平均音圧を同期させる方法がある。平均音圧を同期させる方法は、例えば
図14に示す方法等である。
【0109】
次に、異なる音源である場合、抑揚が大きい場合と抑揚が小さい場合との2つの場合で、音響システム1による処理において、音圧に合わせる態様や同期させる方法の一例を説明する。異なる音源である場合、音響システム1は、似た抑揚があるかに応じて処理態様を変動させる。似た抑揚がある音と似た抑揚がない音について、
図9を用いて説明する。
図9は、音の抑揚の一例を示す図である。
【0110】
図9では、誘導効果音である音Aの抑揚を示す波形SP11と、音Aとは異なる誘導効果音である音Bの抑揚を示す波形SP12とは似た抑揚のある音の例を示す。
図9の例では、例えば、波形SP11中の領域AR1と波形SP12中の領域AR2とが似た抑揚であり、音Aと音Bとは似た抑揚のある音となる。なお、抑揚(波形)や時間幅(長さ)等どの程度抑揚が類似すれば似た抑揚のある音であるとするかは、例えば5秒や15秒、60%一致、75%一致等、任意の設定であってもよい。例えば、抑揚(波形)や時間幅(長さ)等どの程度抑揚が類似すれば似た抑揚のある音であるとするかは、誘導効果音が出力されるトイレ空間TSが設置される場所に応じて設定されてもよい。
【0111】
また、
図9では、誘導効果音である音Cの抑揚を示す波形SP13と、音Cとは異なる誘導効果音である音Dの抑揚を示す波形SP14とは似た抑揚のない音の例を示す。
図9の例では、例えば、波形SP13と波形SP14では波形が類似する箇所がなく、音Cと音Dとは似た抑揚のない音となる。
【0112】
抑揚が大きい異なる音源の誘導効果音を複数のスピーカ10で出力する場合、似た抑揚のある音を再生する際にどこの音圧を合わせるかについては、第1方法及び第2方法の2つの方法がある。
【0113】
また、抑揚が大きい異なる音源の誘導効果音を複数のスピーカ10で出力する場合、同期させる方法としては、似た抑揚の部分を切り出して時間を合わせる方法(以下「第4方法」ともいう)がある。なお、第4方法についての詳細は後述する。
【0114】
抑揚が小さい異なる音源の誘導効果音を複数のスピーカ10で出力する場合、音を再生する際にどこの音圧を合わせるかについては、第1方法及び第2方法の2つの方法がある。また、抑揚が小さい異なる音源の誘導効果音を複数のスピーカ10で出力する場合、同期させる方法としては、平均音圧を同期させる方法(以下「第5方法」ともいう)がある。なお、第5方法についての詳細は後述する。
【0115】
ここから、第1方法~第5方法の各々について
図10~
図14を用いて説明する。
図10~
図14では、トイレブースTB1及びトイレブースTB2を対象として、音を合わせる例を示す。なお、上述した例と同様の点については適宜説明を省略する。
【0116】
まず、
図10を用いて、第1方法について説明する。
図10は、スピーカの設定音圧を合わせる例を示す図である。
図10に示すように、スピーカ10の設定音圧を合わせる第1方法では、制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ10
1とトイレブースTB2のスピーカ10
2とに同じ音量設定の情報を送信することより、各スピーカ10の設定音圧を合わせる。例えば、制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ10
1とトイレブースTB2のスピーカ10
2とに同じ音量設定「10」を示す情報を送信することより、各スピーカ10の設定音圧を同じ「10」にする。
【0117】
次に、
図11を用いて、第2方法について説明する。
図11は、スピーカから出力される音圧を合わせる例を示す図である。
図11に示すように、スピーカ10から出力される音圧を合わせる第2方法では、制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ10
1とトイレブースTB2のスピーカ10
2とに同じ音圧で音を出力させる。例えば、制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ10
1とトイレブースTB2のスピーカ10
2とに同じ音圧「50dB(デシベル)」で音を出力するように、各スピーカ10に指示する。例えば、トイレブースTB1及びトイレブースTB2には、音圧を検知するセンサ(音センサ)が配置され、スピーカ10
1及びスピーカ10
2は、対応するトイレブースTBにおける音圧の検知結果を基に音圧を調整してもよい。例えば、スピーカ10
1は、トイレブースTB1の音圧の検知結果が50dBになるように、出力を調整する。
【0118】
次に、
図12を用いて、第3方法について説明する。
図12は、隣接ブースの漏音と音圧を合わせる例を示す図である。
図12に示すように、隣接ブースの漏音と音圧を合わせる第3方法では、制御装置100は、トイレブースTB1及びトイレブースTB2のうち、一方のトイレブースTBで出力する音圧をそのトイレブースTBに隣接するトイレブースTBからの漏音に合わせるように、そのトイレブースTBのスピーカ10に指示する。
【0119】
図12の例では、トイレブースTB2のスピーカ10
2に、隣接ブースであるトイレブースTB1からの漏音SLの音圧と同じ音圧で出力するように指示する。この場合、トイレブースTB2には、スピーカ10
2が出力する音の音圧を検知するセンサ(第1音センサ)と、隣接ブースからの漏音の音圧を検知するセンサ(第2音センサ)とが配置されてもよい。この場合、スピーカ10
2は、第2音センサによる漏音の音圧の検知結果を基に、隣接するトイレブースTBからの漏音の音圧を特定してもよい。
図12の例では、第2音センサは、隣接するトイレブースTBからの漏音SLの音圧を40dBであると特定する。そして、スピーカ10
2は、第1音センサの音圧の検知結果が40dBになるように、出力を調整する。なお、漏音の音圧の特定などの処理は、スピーカ10から情報を受信した制御装置100が行い、その結果をスピーカ10へ送信してもよい。
【0120】
次に、
図13を用いて、第4方法について説明する。
図13は、類似する抑揚部分を合わせる例を示す図である。
図13に示すように、類似する抑揚部分を合わせる第4方法では、
図9で示した似た抑揚のある音である音Aと音Bとの類似する抑揚部分を合わせる。
例えば、音響システム1は、各音源の抑揚の似た部分を切り出す。音響システム1は、切り出した部分のみを各トイレブースTBで再生させ、抑揚が揃うように再生時間を揃える。例えば、制御装置100が上記の処理を行ってもよい。
【0121】
図13の例では、スピーカ10
1は、音Aのうち波形SP11中の領域AR1に対応する部分を出力する(ステップS11)。また、スピーカ10
2は、音Bのうち波形SP12中の領域AR2に対応する部分を出力する(ステップS12)。なお、制御装置100は、スピーカ10
1による出力と、スピーカ10
2による出力とを合わせるように、スピーカ10
1による再生位置と、スピーカ10
2による再生位置とを調整する。これにより、音響システム1は、漏音SLが隣接ブースに与える影響を低減させることができる。
【0122】
次に、
図14を用いて、第5方法について説明する。
図14は、平均音圧を同期させる例を示す図である。
図14に示すように、平均音圧を同期させる第5方法では、音E及び音Fの音圧を同期させる(ステップS21)。
図14の例では、音響システム1は、同期前の音Eの波形SP21と音Fの波形SP31とを、音Eの波形SP22と音Fの波形SP32とのように、平均音圧を揃えることにより、平均音圧を同期させる。
【0123】
音響システム1は、平均音圧の同期に関する技術を用いて、音Eと音Fとの平均音圧を同期させる。音響システム1は、スピーカ101及びスピーカ102の出力レベル(設定音圧)を調整することにより、音Eと音Fとの平均音圧を同期させる。なお、音響システム1は、平均音圧を同期させることができれば、どのような手法を用いてもよい。例えば、制御装置100が平均音圧を同期させるための処理を行ってもよい。
【0124】
音響システム1は、スピーカ101及びスピーカ102の各々により出力される誘導効果音の平均音圧を揃えることにより、スピーカ101及びスピーカ102の各々により出力される誘導効果音の平均音圧を同期させる。例えば、音響システム1は、スピーカ101及びスピーカ102の各々により出力される誘導効果音の平均音圧(の差)を0.3dB以内に揃えることにより、スピーカ101及びスピーカ102の各々により出力される誘導効果音の平均音圧を同期させる。
【0125】
一般的には、音の違いを感覚量として知覚できる音圧の最小差(「弁別閾」とする)については、例えば広帯域雑音・純音では最小で0.3dBであるとされている。そのため、0.3dB以内に平均音圧を抑えることが好ましい。例えば、弁別閾とは、2つの刺激の間で、その刺激量の違いを感覚量として知覚できる最小差である。なお、音響システム1による平均音圧を同期させる処理は、0.3dB以内に平均音圧(の差)を抑える場合に限られない。すなわち、使用者による誘導効果音の知覚を阻害しない程度に平均音圧を同期させることができれば、音響システム1による平均音圧を同期させる処理後のスピーカ101及びスピーカ102の各々により出力される誘導効果音の平均音圧(の差)は、0.3dBより大きくてもよい。
【0126】
音響システム1は、異なる音源の平均音圧を揃えて各トイレブースTBで再生する。
図14の例では、スピーカ10
1は、平均音圧の同期後の音Eの波形SP22に対応する音圧で音Eを出力する(ステップS22)。また、スピーカ10
2は、平均音圧の同期後の音Fの波形SP32に対応する音圧で音Fを出力する(ステップS23)。
【0127】
例えば、同期前の音Eの波形SP21と音Fの波形SP31とのように、各トイレブースTBで再生する音源の音圧差が大きいと隣のトイレブースTBから大きな音が漏れてくることで隣のトイレブースTBの漏音SLが気になってしまう可能性が高い。一方で、同期後の音Eの波形SP22と音Fの波形SP32とのように、異なる音源の平均音圧を揃えることにより、音響システム1は、隣のトイレブースTBから漏れてくる漏音SLが気になる可能性を低減させることができる。
【0128】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0129】
1 音響システム
100 制御装置
110 通信部
120 記憶部
121 配置情報記憶部
122 誘導効果音情報記憶部
130 制御部
131 取得部
132 決定部
133 音響制御部
134 送信部
10 スピーカ(音響装置)
50 センサ装置
TS トイレ空間
CS 共有空間
TB トイレブース
TL 便器
ST 便座