IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-乾燥装置及び画像形成システム 図1
  • 特許-乾燥装置及び画像形成システム 図2
  • 特許-乾燥装置及び画像形成システム 図3
  • 特許-乾燥装置及び画像形成システム 図4
  • 特許-乾燥装置及び画像形成システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】乾燥装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20250408BHJP
   F26B 3/02 20060101ALI20250408BHJP
   F26B 13/04 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
B41J2/01 125
F26B3/02
F26B13/04
B41J2/01 305
B41J2/01 401
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021033613
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2022134476
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】村島 正樹
(72)【発明者】
【氏名】穗谷 智也
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-206304(JP,A)
【文献】特開2008-120072(JP,A)
【文献】特開2019-147370(JP,A)
【文献】特開平08-224871(JP,A)
【文献】特開2009-285878(JP,A)
【文献】特開2009-234017(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0173975(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103223784(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0283470(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
F26B 3/02
F26B 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成された媒体を搬送しながら乾燥する乾燥装置であって、
全面に貫通孔が形成され、前記媒体を支持して所定の搬送方向に搬送する搬送ベルトと、
前記媒体に温風を吹き付けて前記画像を乾燥させると共に前記温風によって前記媒体を前記搬送ベルトに押し付ける加熱部と、
前記貫通孔を通して空気を吸引することで前記媒体を前記搬送ベルトに引き付ける吸引部と、を備え、
前記加熱部は、
外気を取り込んで前記搬送ベルトへ向けて送風する送風ファンと、
前記送風ファンの送風方向において前記送風ファンよりも下流側に配置されて、多数の貫通孔が形成された整流部材と、
前記送風方向において前記整流部材よりも下流側に配置されたヒーターと、を備え、
前記整流部材に形成された前記多数の貫通孔の寸法が、前記搬送方向の下流側の方が上流側よりも大きく形成され、
前記加熱部が前記媒体を前記搬送ベルトに押し付ける力と前記吸引部が前記媒体を前記搬送ベルトに引き付ける力の少なくとも一方は、前記搬送方向の下流側の方が上流側よりも大きいことを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記加熱部は、
前記ヒーターから放射される赤外線を前記搬送ベルトの側に反射する、多数の貫通孔が形成された反射板を備え、
前記反射板に形成された前記多数の貫通孔の寸法が、前記搬送方向の下流側の方が上流側よりも大きいことを特徴とする請求項に記載の乾燥装置。
【請求項3】
画像が形成された媒体を搬送しながら乾燥する乾燥装置であって、
全面に貫通孔が形成され、前記媒体を支持して所定の搬送方向に搬送する搬送ベルトと、
前記媒体に温風を吹き付けて前記画像を乾燥させると共に前記温風によって前記媒体を前記搬送ベルトに押し付ける加熱部と、
前記貫通孔を通して空気を吸引することで前記媒体を前記搬送ベルトに引き付ける吸引部と、を備え、
前記吸引部は、
前記搬送方向に沿って複数個に区切られた区画と、
前記複数個の区画のそれぞれを吸引する、同じ風量を有する吸引ファンと、を備え、
前記複数個の区画の容積が、前記搬送方向の下流側の方が上流側よりも小さく形成され、
前記加熱部が前記媒体を前記搬送ベルトに押し付ける力と前記吸引部が前記媒体を前記搬送ベルトに引き付ける力の少なくとも一方は、前記搬送方向の下流側の方が上流側よりも大きいことを特徴とする乾燥装置。
【請求項4】
媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された媒体を搬送しながら乾燥させる、請求項1~のいずれか1項に記載の乾燥装置と、を備えていることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像が形成された記録媒体を搬送しながら乾燥する乾燥装置及び乾燥装置を備える画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式の画像形成装置を含む画像形成システムには、記録媒体に形成された画像を乾燥する乾燥装置が備えられる。特許文献1に記載の乾燥装置は、記録媒体を搬送する搬送手段と、搬送される記録媒体の表側の面に乾燥風を噴射する乾燥風噴射手段と、記録媒体の裏側の面を吸引する負圧吸引手段と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-285877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に乾燥装置のように、記録媒体を搬送しながら画像を乾燥させる場合、乾燥が進むにつれて、言い換えると、用紙が上流側から下流側へ搬送されるにつれて、用紙がインクから受ける影響が異なる。例えば、乾燥が進むほど、すなわち、下流側ほど、インクの乾燥に伴うカールが発生しやすいという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、乾燥の進行に伴う用紙のカールを抑制できる乾燥装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の乾燥装置は、画像が形成された媒体を搬送しながら乾燥する乾燥装置であって、全面に貫通孔が形成され、前記媒体を支持して所定の搬送方向に搬送する搬送ベルトと、前記媒体に温風を吹き付けて前記画像を乾燥させると共に前記温風によって前記媒体を前記搬送ベルトに押し付ける加熱部と、前記貫通孔を通して空気を吸引することで前記媒体を前記搬送ベルトに引き付ける吸引部と、を備え、前記加熱部が前記媒体を前記搬送ベルトに押し付ける力と前記吸引部が前記媒体を前記搬送ベルトに引き付ける力の少なくとも一方は、前記搬送方向の下流側の方が上流側よりも大きいことを特徴とする。
【0007】
本発明の乾燥装置において、前記加熱部は、外気を取り込んで前記搬送ベルトへ向けて送風する送風ファンと、前記送風ファンの送風方向において前記送風ファンよりも下流側に配置されて、多数の貫通孔が形成された整流部材と、前記送風方向において前記整流部材よりも下流側に配置されたヒーターと、を備え、前記整流部材に形成された前記多数の貫通孔の寸法が、前記搬送方向の下流側の方が上流側よりも大きいことを特徴としてもよい。
【0008】
本発明の乾燥装置において、前記加熱部は、前記ヒーターから放射される赤外線を前記搬送ベルトの側に反射する、多数の貫通孔が形成された反射板を備え、前記反射板に形成された前記多数の貫通孔の寸法が、前記搬送方向の下流側の方が上流側よりも大きいことを特徴としてもよい。
【0009】
本発明の乾燥装置において、前記吸引部は、前記搬送方向に沿って複数個に区切られた区画と、前記複数個の区画のそれぞれを吸引する、同じ風量を有する吸引ファンと、を備え、前記複数個の区画の容積が、前記搬送方向の下流側の方が上流側よりも小さいことを特徴としてもよい。
【0010】
本発明の画像形成システムは、媒体に画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置によって画像が形成された媒体を搬送しながら乾燥させる、前記乾燥装置と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、インクの乾燥が進行する搬送方向の下流側において、記録媒体を搬送ベルトに押し付ける力と引き付ける力とが大きくなっているので、用紙が浮き上がったり移動したりすることを抑制してカールを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムを模式的に示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る乾燥装置の内部を示す正面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る乾燥装置の加熱部、搬送部、吸引部を示す正面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る乾燥装置の加熱部、搬送部、吸引部の一部を拡大して示す正面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る乾燥装置の加熱部、搬送部、吸引部の一部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る画像形成システム及び乾燥装置について説明する。
【0014】
まず、図1を参照して、乾燥装置を含む画像形成システムについて説明する。図1は、画像形成システムを示す正面図である。各図に適宜付されるL、R、Fr、Rrは、それぞれ画像形成システムの左側、右側、前側、後側を示している。
【0015】
画像形成システム1は、給紙装置3、画像形成装置5、乾燥装置7、後処理装置9、を備えている。給紙装置3は、用紙を収容し、画像形成装置5へ用紙を送給する。画像形成装置5は、給紙装置3の左側に配置され、給紙装置3から送給された用紙に、インクジェット方式によって画像を形成する。乾燥装置7は、画像形成装置5の左側に配置され、画像が形成された用紙を搬送しながら乾燥する。後処理装置9は、乾燥装置7の左側に配置され、乾燥装置7で乾燥された用紙に後処理を施す。用紙は記録媒体の一例である。
【0016】
次に、乾燥装置7について、図2図5を参照して説明する。図2は乾燥装置の内部を示す正面図、図3及び図4は加熱部、搬送部、吸引部を示す正面図、図5は加熱部、搬送部、吸引部を示す斜視図である。
【0017】
図2に示されるように、乾燥装置7は、箱状の筐体11を備えている。筐体11は、天板と、底板と、前後の側板と、左右の側板とによって囲まれる直方体状の中空部を有している。中空部の画像形成装置5の側(右側)には、加熱部13と搬送部15と吸引部17が収容されている。筐体11の中空部の後処理装置9の側(左側)の上方には、冷却部19が収容されている。
【0018】
筐体11の右側板(画像形成装置5の側の側板)の上部には、画像形成装置5から用紙(媒体)が受け入れられる受入口21が形成されている。左側板(後処理装置9の側の側板)の上部には、後処理装置9へ用紙を受け渡す排出口23が形成されている。受入口21から排出口23へ向かう搬送方向Xに沿って、搬送部15と冷却部19とによって用紙が搬送されるようになっている。以降の記載における上流側、下流側は、用紙の搬送方向Xにおける上流側、下流側をそれぞれ示す。また、搬送方向Xと直交する方向を幅方向とする。
【0019】
次に、加熱部13について説明する。図3及び図4に示されるように、加熱部13は、複数個の送風ファン31と、ヒーターユニット33と、複数個の送風ファン31が支持されると共にヒーターユニット33が収容されるケース35と、を備えている。
【0020】
ケース35は、下面が開口した箱状に形成されて、上板と前後の側板及び左右の側板で囲まれた搬送方向に長い中空部を有している。上板には、複数個(この例では6個)の排気口(図示省略)が形成されている。各排気口には、ダクト37を介して排気ファン39(図2参照)が接続されている。各排気ファン39が駆動されることで、ケース35内の空気を排気して、ケース35の中空部の空気を循環させるようになっている。
【0021】
複数個(この例では12個)の送風ファン31は、ケース35の上板に支持されている。複数個の送風ファン31は、搬送方向Xに沿った2つの列にそれぞれ6個ずつ配置されている。搬送方向X及び幅方向において隣接する送風ファン31の間隔はほぼ等しい。複数の送風ファン31は、同じ風量であり、外気を取り込んで、取り込んだ外気をケース35の中空部に送風する。
【0022】
ヒーターユニット33は、複数個(この例では24個)の赤外線ヒーター41と、複数個(この例では24個)の反射板43と、複数個のヒーター41及び反射板43が収容されるハウジング45と、を備えている。
【0023】
ハウジング45は、下面が開口した箱状に形成されて、天板45aと前後の側板及び左右の側板で囲まれた搬送方向に長い中空部を有している。図5に示されるように、天板45aには、多数個の貫通孔51が一面に開けられている。多数個の貫通孔51は、千鳥状に等密度で配置されている。加熱部13における下流側の所定の領域A(図3参照、例えば、天板45aの搬送方向Xに沿った長さの1/4の長さの部分、以降、単に下流側領域Aとする)に形成された貫通孔51の寸法(径)は、その他の部分に形成された貫通孔51の寸法(径)よりも大きい。天板45aは、多数の貫通孔が形成された整流部材の一例であり、送風ファン31によってケース35に取り込まれた空気を下方に向けるように整流する。
【0024】
図4に示されるように、各ヒーター41は、例えば、薄板状のカーボン製のフィラメント55と、フィラメント55が収容されたガラス管57と、を有している。フィラメント55は、径方向における全方向(360度)に赤外線を放射する。ヒーター41は、幅方向に沿う姿勢で、搬送方向Xに沿って等間隔で並んで配置されている。
【0025】
反射板43は、幅方向から見て下向きに開口したU字状を有し、略矩形状の上壁と、上壁の両長辺から略直角に下方に屈曲する側壁とを有している。上壁には、多数個の貫通孔59が形成されている。図5に示されるように、多数個の貫通孔59は、千鳥状に等密度で配置されている。下流側領域A(図3参照)に配置された反射板43の貫通孔59の寸法(径)は、その他の部分に形成された貫通孔59の寸法(径)よりも大きい。反射板43は、ヒーター41の上方に配置されて、フィラメント55から放射された赤外線を下方に反射する。
【0026】
次に、搬送部15について説明する。図3及び図4に示されるように、搬送部15は、搬送ベルト61と、搬送ベルト61を支持するフレーム63と、を備えている。フレーム63は前後の方向に所定の間隔を開けて配置された、搬送方向Xに長い前後の側板を有している。前後の側板の上流側の端部間には、駆動ローラー65が回転可能に支持され、下流側の端部間には従動ローラー67が回転可能に支持されている。
【0027】
搬送ベルト61は無端状のベルトであり、全面に多数の貫通孔(図示省略)が形成されている。搬送ベルト61は、駆動ローラー65と従動ローラー67とに巻き回されている。駆動ローラー65が駆動されることで、搬送ベルト61は図2図4の反時計回り方向に循環して走行する。上側の軌道(上流側から下流側へ向かう方向)に沿った搬送ベルト61の外側の面が、用紙が搬送される搬送面61aとなる。上側の軌道を走行する搬送ベルト61は、前後の側板に支持された搬送板69によって支持されている。搬送板69には、全面に貫通孔71(図4参照)が形成されている。搬送ベルト61の走行時、上側の軌道を走行する搬送ベルト61の裏面(搬送面61aの裏側の面)は搬送板69に沿って摺動する。
【0028】
図2及び図3に示されるように、搬送部15は、加熱部13よりも、搬送方向Xの上流側に長く形成されている。詳細には、搬送ベルト61の搬送面61aの上流側の端部は、加熱部13の上流側の端部よりも上流側、かつ、受入口21よりも上流側まで延びている。搬送面61aの下流側の端部は加熱部13の下流側の端部とほぼ同じ位置に位置して、冷却部19に連通している。
【0029】
次に、吸引部17について説明する。図3及び図4に示されるように、吸引部17は、搬送ベルト61の中空部に設けられている。吸引部17は、仕切り板83と、仕切り板83に支持された複数個(この例では3個)の吸引ファン85と、を備えている。仕切り板83は、底板と、四方を囲む仕切り壁と、を有し、図3に示されるように、中空部を搬送方向Xに沿って複数個(この例では3個)の区画S1、S2、S3に区切っている。各区画の上面は開放されて、搬送板69に対向している。
【0030】
搬送方向Xの最も下流側の区画S3の容積は、それ以外の区画S1、S2の容積よりも小さく形成されている。すなわち、搬送方向Xの下流側の区画S1の底面積は、それ以外の区画S2、S3の底面積よりも小さく形成されている。
【0031】
吸引ファン85は、各区画に対応して、仕切り板83の底板に取り付けられている。複数個の吸引ファン85は同じ風量を有している。吸引ファン85が駆動されることで、搬送ベルト61の貫通孔及び搬送板69の貫通孔71を通して、上側の軌道を走行する搬送ベルト61(搬送面61a)の上方の空間の空気が各区画に取り込まれる。
【0032】
上記構成を有する乾燥装置7の乾燥動作の一例について、図2図5を参照して説明する。画像形成装置5(図1参照)で画像が形成された用紙は、乾燥装置7の受入口21を通して、搬送部15に受け入れられる。なお、前述のように、搬送ベルト61の搬送面61aの上流側の端部は、受入口21よりも上流側まで延びているので、画像形成装置5から排出された用紙は、搬送ベルト61の搬送面61aに乗せられる。
【0033】
搬送部15においては、駆動ローラー65が駆動されて回転して搬送ベルト61が走行する。これにより、搬送面61aに乗せられた用紙が受入口21を通って筐体11の内部に搬送される。
【0034】
さらに、加熱部13の送風ファン31とヒーターユニット33とが駆動される。送風ファン31によってケース35の中空部に取り込まれた空気は、下方に向けて送風される。そして、ヒーターユニット33のハウジング45の天板45aに形成された貫通孔51を通って、ハウジング45内に入る(図4の矢印A1参照)。ハウジング45内においては、ヒーターユニット33が駆動されることで、各ヒーター41から全方向に赤外線が放射される。ヒーター41から上方に放射された赤外線は反射板43で下方に向けて反射される。
【0035】
ハウジング45に入った空気は、ヒーターユニット33の反射板43の貫通孔59を通ってさらに下方に送風され(図4の矢印A2参照)、ヒーター41から放射された赤外線によって加熱される。このように加熱された空気は、搬送ベルト61の搬送面61aに沿って搬送される用紙に吹き付けられて、インクを乾燥する。さらに、用紙は、吹き付けられた風によって搬送面61aに押し付けられる。以降、加熱部13において用紙が搬送面61aに押し付けられる力を押し付け力とする。
【0036】
さらに、吸引部17の吸引ファン85が駆動される。これにより、前述のように搬送ベルト61の貫通孔及び搬送板69の貫通孔71を通して、上側の軌道を走行する搬送ベルト61の上方の空間の空気が各区画を通して取り込まれて(図4の矢印A3参照)、搬送面61aの上方が負圧になる。すると、搬送ベルト61の搬送面61aを搬送される用紙が搬送面61aに引き付けられる。以降、吸引部17において用紙が搬送面61aに引き付けられる力を引き付け力とする。
【0037】
搬送面61aに沿って用紙が上流側から下流側へ搬送されることで、加熱部13によってインクが乾燥される。ここで、前述のように、下流側領域Aにおいて、ハウジング45の天板45aに形成された貫通孔51の径及び反射板43に形成された貫通孔59の径は、その他の貫通孔の径よりも大きいので、天板45a及び反射板43を通過する空気の量が多くなる。すなわち、搬送面61aの用紙に吹き付けられる温風の量が多くなり、押し付け力が大きくなる。
【0038】
さらに、吸引部17は、搬送方向Xの最も下流側の区画S3の容積が、それ以外の区画S1、S2の容積よりも小さく形成されている。吸引ファン85は同じ風量であるので、区画の容積が小さいほど、引き付け力が大きくなる。このように、搬送面61aの下流側で、押し付け力と引き付け力とが大きくなっている。
【0039】
なお、用紙が搬送面61aを搬送される間、加熱部13のケース35内やヒーターユニット33のハウジング45内は高湿高温の環境となるので、排気ファン39(図1参照)が駆動されて、空気を循環させている。
【0040】
搬送面61aに沿って下流側まで搬送された用紙は、冷却部19(図1参照)へ搬送され、冷却部19で冷却された後、排出口23を通って後処理装置9(図1参照)に搬送される。
【0041】
上記説明から明らかなように、本発明の乾燥装置7によれば、インクの乾燥が進行する搬送面61aの下流側で、押し付け力と引き付け力とが大きくなっている。前述のように、インクの乾燥が進むにつれて、言い換えると、上流側から下流側に搬送されるにつれて、用紙にカールが発生しやすくなる。そこで、押し付け力と引き付け力とを下流側で大きくすることで、搬送面61aから用紙が浮き上がったり移動したりすることを抑制してカールを防止できる。
【0042】
一方で、上流側では、インクの乾燥が進んでおらず、色ずれ等が発生しやすい。このため、用紙が搬送面61aに強く引き付けられることは好ましくない。本発明では、下流側のみで押し付け力と引き付け力とを大きくしているので、色ずれを発生させず、且つ、カールを防止することができる。
【0043】
上記の実施形態では、下流側領域Aにおいて、天板45aに形成された貫通孔51及び反射板43に形成された貫通孔59の径をその他の貫通孔の径よりも大きくすることで、下流側での押し付け力を大きくしていた。これにより、複数個の送風ファン31の風量を一定とできるので、送風ファン31の選定や制御を容易にできる。なお、これらの貫通孔51、59の径を一定として、下流側の方が上流側よりも高い密度で配置してもよい。さらに、これらの貫通孔51、59の径を一定として、最も下流側の送風ファン31の風量を大きくしてもよい。
【0044】
また、吸引部17において、下流側の区画S3の容積をその他の区画よりも小さくすることで、下流側の引き付け力を大きくしていた。これにより、複数個の吸引ファン85の風量を一定とできるので、吸引ファン85の選定や制御を容易にできる。なお、全区画の底面積を一定として、下流側の区画S3の高さを低くしてもよい。あるいは、下流側の区画S3に対向する搬送板69の貫通孔71の径を、他の区画に対向する部分よりも小さくしてもよい。これらの場合においても、下流側の引き付け力を強くすることができる。さらに、区画の容積を一定として、最も下流側の吸引ファン85の風量を大きくしてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、加熱部13の押し付け力と吸引部17の引く付け力の双方が下流側の方が上流側よりも高くするようにしたが、加熱部13の押し付け力と吸引部17の引き付け力の一方を、下流側の方が上流側よりも高くしてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、加熱部13の押し付け力と吸引部17の引き付け力とが下流側の部分で高くなるするようにしたが、上流側から下流側へ向かって徐々に高くなるようにしてもよい。
【0047】
本発明は特定の実施形態について記載されてきたが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の範囲及び主旨を逸脱しない限りにおいて、上記実施形態は様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0048】
1 画像形成システム
5 画像形成装置
7 乾燥装置
13 加熱部
17 吸引部
31 送風ファン
41 ヒーター
43 反射板
45a 天板(整流部材)
51 貫通孔
59 貫通孔
61 搬送ベルト
85 吸引ファン
S1、S2、S3 区画
図1
図2
図3
図4
図5