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特許7661724カメラ装置、およびカメラ装置の加熱制御方法
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  • 特許-カメラ装置、およびカメラ装置の加熱制御方法 図1
  • 特許-カメラ装置、およびカメラ装置の加熱制御方法 図2
  • 特許-カメラ装置、およびカメラ装置の加熱制御方法 図3
  • 特許-カメラ装置、およびカメラ装置の加熱制御方法 図4
  • 特許-カメラ装置、およびカメラ装置の加熱制御方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】カメラ装置、およびカメラ装置の加熱制御方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/55 20210101AFI20250408BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20250408BHJP
   G03B 17/08 20210101ALI20250408BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20250408BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20250408BHJP
【FI】
G03B17/55
G02B7/02 Z
G02B7/02 D
G03B17/08
G03B17/02
G03B15/00 V
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021035212
(22)【出願日】2021-03-05
(65)【公開番号】P2022135422
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】中明 靖文
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 潤
(72)【発明者】
【氏名】石渡 忠司
(72)【発明者】
【氏名】土屋 圭二
(72)【発明者】
【氏名】林 啓太
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0249120(US,A1)
【文献】特開2019-219533(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0094783(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 - 7/105
7/12 - 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両において用いられるカメラ装置であって、
外気に露出するレンズと、
前記レンズの外縁部を覆い、前記レンズに連なる内縁部の外表面に撥水処理が施されたフランジを有する鏡筒と、
前記レンズを加熱する第1ヒータと、
前記フランジの前記外表面を加熱する第2ヒータと、
前記車両の外気の状態および走行速度に基づき、前記レンズに水滴が付着する状態である場合に前記第1ヒータへ通電する第1通電状態と前記フランジの前記外表面における水滴が凍結する状態である場合に前記第1ヒータに加えて前記第2ヒータへ通電する第2通電状態とすることを切り替える制御部と、
備えるカメラ装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記車両の外気の状態として天候および外気温の情報を取得する請求項に記載のカメラ装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1ヒータを前記レンズの表面に付着した水滴の粘度を低下させるように加熱し、前記第2ヒータを前記レンズの表面に付着した雪または氷を融解させるように加熱する請求項1または2に記載のカメラ装置。
【請求項4】
外気に露出するレンズの外縁部を覆い、前記レンズに連なる内縁部の外表面に撥水処理が施されたフランジが鏡筒に設けられた車両用のカメラ装置の加熱制御方法であって、
前記車両の外気の状態および走行速度を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップによって取得した外気の状態および走行速度に基づき、前記レンズに水滴が付着する状態である場合に前記レンズを加熱する第1ヒータへ通電する第1通電状態と前記フランジの前記外表面における水滴が凍結する状態である場合に前記第1ヒータに加えて前記フランジの前記外表面を加熱する第2ヒータへ通電する第2通電状態とすることを切り替える切替ステップと、
を備えるカメラ装置の加熱制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両に搭載されるカメラ装置、およびカメラ装置の加熱制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に搭載されるカメラ装置は、車両の前方や後方等の車両周囲を時間的に連続して撮影し、映像を記録する。カメラ装置は車両の内側や外側に取り付けられるが、遠赤外波長を撮影するカメラなど車外に設けられたカメラ装置は風雨等の外部環境に曝される。
【0003】
特許文献1には、外気に露出したレンズの外縁部に、テーパ状の傾斜部が備えられているカメラ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-086123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のカメラ装置では、外気に露出するレンズに水滴が付着すると、車両の走行等によって流速ベクトルが発生し、水滴がレンズの外側に流される。しかし、レンズに付着する水滴は、雪や雨などが低温となることで粘性が上昇し、レンズから流れにくくなる。また、フランジ部分は、レンズから流れた水が滞留して凍結することもある。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外気に露出するレンズへの水滴の付着を抑制することができるカメラ装置、およびカメラ装置の加熱制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様のカメラ装置は、車両において用いられるカメラ装置であって、外気に露出するレンズと、前記レンズの外縁部を覆い、前記レンズに連なる内縁部の外表面に撥水処理が施されたフランジを有する鏡筒と、前記レンズを加熱する第1ヒータと、前記フランジの前記外表面を加熱する第2ヒータと、前記車両の外気の状態および走行速度に基づき、前記第1ヒータへ通電する第1通電状態と、前記第1ヒータに加えて前記第2ヒータへ通電する第2通電状態とを切り替える制御部と、備える。
【0008】
本発明の別の態様である加熱制御方法は、外気に露出するレンズの外縁部を覆い、前記レンズに連なる内縁部の外表面に撥水処理が施されたフランジが鏡筒に設けられた車両用のカメラ装置の加熱制御方法であって、前記車両の外気の状態および走行速度を取得する情報取得ステップと、前記情報取得ステップによって取得した外気の状態および走行速度に基づき、前記レンズを加熱する第1ヒータへ通電する第1通電状態と、前記第1ヒータに加えて前記フランジの前記外表面を加熱する第2ヒータへ通電する第2通電状態とを切り替える切替ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外気に露出するレンズへの水滴の付着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るカメラ装置の外観を示す斜視図である。
図2】カメラ装置の前端部分の断面図である。
図3】フランジ部分の断面図である。
図4】カメラ装置の構成を示すブロック図である。
図5】カメラ装置における各ヒータの通電制御の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図1から図5を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
(実施形態)
図1は、実施形態に係るカメラ装置100の外観を示す斜視図である。カメラ装置100は、カメラ本体1、鏡筒2およびレンズ3等を備える。カメラ本体1は、鏡筒2内に通じる孔を設けた箱状であり、内部に図示しない撮像素子やフィルタ等を収容してなる。鏡筒2は、筒状であり内部に配置される光学系を支持し、前面の開口部2aにはレンズ3が嵌められている。鏡筒2は、レンズ3を保持するための枠部20を有している。レンズ3は、例えば非球面レンズであるが、これに限られず球面レンズ等であってもよい。また、カメラ装置100は、例えば遠赤外線カメラであるが、これに限られず、可視光撮像カメラなどであってもよい。尚、カメラ本体1自体も鏡筒2の一部をなしていると考えても良い。
【0013】
図2は、カメラ装置100の前端部分の断面図である。カメラ装置100は、車両に取り付けられた状態でレンズ3の表面側が外気に露出しており、風雨等の外部環境に曝される。外気に露出するレンズ3の表面側の外縁部分は、鏡筒2が有する枠部20のフランジ21によって覆われている。鏡筒2は、前端側の開口孔の内側に嵌め合わせるようにして、レンズ3を保持する枠部20が設けられているが、枠部20と鏡筒2とが一体的に形成されていてもよい。
【0014】
鏡筒2における枠部20は、レンズ3の表面側の外縁部分を覆うフランジ21を有しており、内縁部22の内周部分に遮光部23が形成されている。遮光部23は、光軸方向に対して傾斜するテーパ状であり、前端に向かうにつれて大径となる。遮光部23は、テーパ角よりも大きい角度からの赤外線または光線を遮るように機能する。
【0015】
フランジ21の内縁部22には、遮光部23の外周部分に連続して傾斜部24が形成されている。傾斜部24は、前端に向かうにつれて大径となるテーパ状である。図2に示すように傾斜部24のテーパ角Aは、遮光部23のテーパ角よりも大きく、より具体的には120度以上に設定している。また、傾斜部24のテーパ角Aは、160度以下に設定することが好ましい。
【0016】
フランジ21は、傾斜部24の外周部分に連続し、外側に延びる前端面25を有している。前端面25でのフランジ21の厚みtは、レンズ3を保持するに十分な強度および剛性を持つように設定される。フランジ21の厚みは、遮光部23および傾斜部24では前端面25の厚みtよりも薄くなる。遮光部23、傾斜部24および前端面25での厚みが薄くなると、剛性が低下して変形したり、強度が低下して割れが生じたり、さらには製造性が悪くなる。
【0017】
図2に示すフランジ21の傾斜部24および前端面25は、鏡筒2のほぼ前端に形成されているが、カメラ本体1側に一段窪んだ位置に形成されても良いし、逆に前方側に一段突出した位置に形成されていても良い。また、遮光部23と傾斜部24との接続箇所、および傾斜部24と前端面25との接続箇所は、角が生じていても良いし、丸みを帯びて滑らかに接続していても良い。
【0018】
レンズ3は、外縁部分にあたる遮光部23の内側において、外気に露出する表面側が前方に対して凹状となる凹面部3aを有する。レンズ3は、凹面部3aに連続する内側に、前方に対して凸状となる凸面部3bを有する。図2に示すレンズ3は、非球面レンズとして形成されている。また、上述のようにレンズ3は球面レンズ等であってもよく、この場合、凹面部3aが形成されない構成となることがある。
【0019】
図3は、フランジ21部分の断面図である。遮光部23、傾斜部24および前端面25は、外気に露出する表面に表面処理膜26が形成されている。また、前端面25の外縁部に連続する鏡筒2の前端面にも表面処理膜26が形成されていてもよい。フランジ21はアルミ材により形成されており、表面処理膜26は黒アルマイト処理によって形成されている。
【0020】
遮光部23、傾斜部24および前端面25に、降雨によって水滴が付着すると、付着した水滴が抵抗となり、図3に示す矢印Pのようにレンズ3の中心から外側へ向かって流れる風の流速が低下する。遮光部23、傾斜部24および前端面25に付着した水滴が、外側へ流れて排出され易く、滞留しないようにするために、表面処理膜26が形成されている。
【0021】
アルマイト処理では、陽極酸化処理によって微細孔が形成された多孔質層を有する酸化被膜を生成する。多孔質層は、接着、粘着および塗装のための密着性を付与する。多孔質層に入り込む状態で、銀色、ブロンズ色、黒色、白色等に着色した塗膜が生成されるので塗膜が剥がれ難くなる。
【0022】
また、電着塗装等の方法を用いて多孔質層の表面に樹脂塗料を析出させることによって、艶有り、艶消しおよび白色などの表面とすることができる。また、アルマイト処理前に小径の粒体でブラストして表面を荒らすブラスト処理を施しておいてもよい。
【0023】
図2に戻り、レンズ3および枠部20には第1ヒータ41および第2ヒータ42が設けられている。第1ヒータ41は、リング状をなし、レンズ3の裏面側の外縁部に貼り付けられている。また、第2ヒータ42は、リング状をなし、鏡筒2内の枠部20の外周面に貼り付けられている。
【0024】
第1ヒータ41は、加熱によってレンズ3を暖め、外気に露出する表面における水滴の粘度を低下させるとともに、水滴の凍結を防止する。第1ヒータ41は、レンズ3の外周部を加熱することでレンズ3を暖める。第2ヒータ42は、加熱によってレンズ3および枠部20を暖め、レンズ3の表面および枠部20のフランジ21の外表面における水滴の粘度を低下させるとともに、水滴の凍結を防止する。
【0025】
図4は、カメラ装置100の構成を示すブロック図である。カメラ装置100は、撮像部5および制御部6を備える。撮像部5は撮像素子51、第1ヒータ41および第2ヒータ42を有する。撮像素子51は、CCD等の検出器で構成されており、レンズ3を通してカメラ本体1内に入射した光を検出する。第1ヒータ41および第2ヒータ42は、上述のように、レンズ3および枠部20を加熱する。
【0026】
制御部6は、撮影制御部61、ヒータ制御部62および情報取得部63を有する。撮影制御部61は、撮像素子51を制御して車両の外部を撮影する。ヒータ制御部62は、第1ヒータ41および第2ヒータ42への通電をオンオフ制御する。情報取得部63は、車両の外気の状態および走行速度の情報を取得する。外気の状態とは、例えば、天候(晴れ、雨、霧、雪および霙など)、外気温などである。
【0027】
情報取得部63は、外気の状態を、車両に備えられている図示しない温度センサから取得する。また、情報取得部63は、外気の状態について、図示しない通信装置を介して天候等の情報を取得する。さらに、情報取得部63は、車両の走行速度を示す情報を、図示しない車速センサなどから取得する。
【0028】
ヒータ制御部62は、情報取得部63によって取得した外気の状態および走行速度に基づいて、第1ヒータ41へ通電する第1通電状態と、第1ヒータ41への通電に加えて第2ヒータ42へ通電する第2通電状態とを切り替える制御を行う。
【0029】
次にカメラ装置100の動作を各ヒータへの通電制御に基づいて説明する。図5は、カメラ装置100における各ヒータの通電制御の手順を示すフローチャートである。制御部6の情報取得部63は、外気の状態および走行速度の情報を取得する(S1)。ヒータ制御部62は、外気の状態に関する情報に基づいて、天候が雨または霧であるか否かを判定する(S2)。ステップS2の判定は、言い換えると、降雨または霧などによってレンズ3の表面に水滴が付着する状態であることを判定する。
【0030】
ステップS2において、天候が雨または霧であると判定した場合(S2:YES)、ヒータ制御部62は、外気温および走行速度の情報に基づいて、車両の走行によって水滴が凍結する可能性があるか否かを判定する(S3)。ステップS3の判定は、言い換えると、外気温の影響のみでレンズ3の表面に付着した水滴が凍結または凍結する可能性はないが、車両が走行することで、レンズ3等に風が当たり、実質的に水滴が凍結または凍結する可能性のある状態となることを判定する。ステップS3の判定は、外気温と車両の走行速度から推定することで判定する。ステップS3において、車両の走行によって水滴が凍結する可能性がないと判定した場合(S3:NO)、ヒータ制御部62は、第1通電状態に切替制御し(S4)、処理を終了する。第1通電状態は、上述のように、第1ヒータ41への通電をオンする状態である。
【0031】
ステップS2において、天候が雨または霧ではないと判定した場合(S2:NO)、ヒータ制御部62は、天候が雪または霙であるか否かを判定する(S5)。ステップS5の判定は、言い換えると、雪または霙などによってレンズ3の表面に凍結したまたは凍結する可能性のある水滴が付着する状態であることを判定する。ステップS5において、天候が雪または霙であると判定した場合(S5:YES)、ヒータ制御部62は、第2通電状態に切替制御し(S4)、処理を終了する。第2通電状態は、上述のように、第1ヒータ41および第2ヒータ42の両方への通電をオンする状態である。
【0032】
ステップS5において、天候が雪または霙ではないと判定した場合(S5:NO)、ヒータ制御部62は、例えば天候が晴れであると解し、第1ヒータ41および第2ヒータ42への通電をオフ状態として処理を終了する。
【0033】
また、ステップS3において、車両の走行によって水滴が凍結する可能性があると判定した場合(S3:YES)、ヒータ制御部62は、第2通電状態に切替制御し(S4)、処理を終了する。上述のステップS1からS6までの処理を適宜繰り返すことによって、制御部6は、時々刻々変化する外気の状態や走行速度の情報に基づいて、カメラ装置100のヒータの通電制御を実行する。尚、本願発明における切替ステップは、上述のようにステップS2~S6までの処理に相当する。
【0034】
カメラ装置100は、外気の状態および走行速度の情報に基づいて、第1ヒータ41および第2ヒータ42への通電をオンオフする切替制御を実行することによって、レンズ3への水滴の付着を抑制することができる。
【0035】
制御部6は、第1ヒータ41の加熱によってレンズ3の表面に付着した水滴の粘度を低下させるようにして、レンズ3への水滴の付着を抑制する。また、制御部6は、第1ヒータ41および第2ヒータ42の加熱によって、レンズ3の表面に付着した雪または氷を融解させるようにして、レンズ3への水滴の付着を抑制する。
【0036】
カメラ装置100は、外気の状態として、天候および外気温の情報を取得することによって、雪や氷がレンズ3に降りかかることを予測することができ、レンズ3の表面において水滴が凍結するか否かを判断することができる。
【0037】
カメラ装置100の制御部6は、天候が雨または霧であり、外気温および走行速度の情報によって水滴が凍結するまでには至らない場合に、第1ヒータ41への通電をオン状態とする第1通電状態に制御する。カメラ装置100は、第1ヒータ41への通電がオン状態となることにより、レンズ3が暖められ、レンズ3の表面に降りかかった水滴の粘度が低下し、水滴が除去され易くなってレンズ3への水滴の付着を抑制することができる。
【0038】
制御部6は、天候が雨または霧であり、外気温および走行速度の情報によって水滴が凍結する可能性がある場合に、第1ヒータ41および第2ヒータ42への通電をオン状態とする第2通電状態に制御する。また制御部6は、天候が雪または霙である場合に、第1ヒータ41および第2ヒータ42への通電をオン状態とする第2通電状態に制御する。カメラ装置100は、第1ヒータ41および第2ヒータ42への通電がオン状態となることにより、レンズ3および枠部20が暖められ、レンズ3および枠部20のフランジ21の外表面に降りかかった水滴の凍結を抑制するとともに、雪や氷を融解し、レンズ3への水滴の付着を抑制することができる。
【0039】
次に、上述の実施形態に係るカメラ装置100、およびカメラ装置100の加熱制御方法の特徴を説明する。
実施形態に係るカメラ装置100は、外気に露出するレンズ3、鏡筒2、第1ヒータ41、第2ヒータ42および制御部6を備える。鏡筒2は、レンズ3の外縁部を覆い、レンズ3に連なる内縁部の外表面に撥水処理が施されたフランジ21を有する。第1ヒータ41は、レンズ3を加熱する。第2ヒータ42は、フランジ21の外表面を加熱する。制御部6は、車両の外気の状態および走行速度に基づき、第1ヒータ41へ通電する第1通電状態と、第1ヒータ41に加えて第2ヒータ42へ通電する第2通電状態とを切り替える。これにより、カメラ装置100は、レンズ3への水滴の付着を抑制することができる。
【0040】
また制御部6は、車両の外気の状態および走行速度に基づき、レンズ3に水滴が付着する状態である場合に第1通電状態とし、フランジ21の外表面における水滴が凍結する状態である場合に第2通電状態とする。これにより、カメラ装置100は、フランジ21の外表面における水滴の凍結を抑制することができ、レンズ3への水滴の付着を抑制することができる。
【0041】
また制御部6は、車両の外気の状態として天候および外気温の情報を取得する。これにより、カメラ装置100は、雪や氷がレンズ3に降りかかることを予測することができ、レンズ3の表面において水滴が凍結するか否かを判断することができる。
【0042】
また制御部6は、第1ヒータ41をレンズ3の表面に付着した水滴の粘度を低下させるように加熱し、第2ヒータ42をレンズ3の表面に付着した雪または氷を融解させるように加熱する。これにより、カメラ装置100は、レンズ3の表面に付着した雪または氷を融解させるようにして、レンズ3への水滴の付着を抑制する。
【0043】
また加熱制御方法は、外気に露出するレンズ3の外縁部を覆い、レンズ3に連なる内縁部の外表面に撥水処理が施されたフランジ21が鏡筒2に設けられた車両用のカメラ装置100の加熱制御方法であり、情報取得ステップおよび切替ステップを備える。情報取得ステップは、車両の外気の状態および走行速度を取得する。切替ステップは、情報取得ステップによって取得した外気の状態および走行速度に基づき、レンズ3を加熱する第1ヒータ41へ通電する第1通電状態と、第1ヒータ41に加えてフランジ21の外表面を加熱する第2ヒータ42へ通電する第2通電状態とを切り替える。この方法によれば、カメラ装置100のレンズ3への水滴の付着を抑制することができる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0045】
2 鏡筒、 21 フランジ、 3 レンズ、
41 第1ヒータ、 42 第2ヒータ、 6 制御部、
100 カメラ装置。
図1
図2
図3
図4
図5