(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】検査システム及び検査方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20250408BHJP
【FI】
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2021045898
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2024-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】森本 伸一
(72)【発明者】
【氏名】関戸 正規
(72)【発明者】
【氏名】江藤 大
(72)【発明者】
【氏名】住谷 達哉
(72)【発明者】
【氏名】山之内 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】野村 俊之
(72)【発明者】
【氏名】有吉 正行
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-007771(JP,A)
【文献】特開2004-361365(JP,A)
【文献】特開2017-118258(JP,A)
【文献】特開2018-005491(JP,A)
【文献】特開2020-204513(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0295718(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0393594(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象者を識別する対象者識別情報を取得する取得手段と、
前記対象者識別情報に紐付けて記憶されている対象者情報に基づき、前記検査対象者に対する検査で参照する参照データを決定する決定手段と、
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波を照射し、反射波を受信する電磁波送受信手段と、
前記反射波の信号と前記参照データに基づき検出処理を行う検出手段と、
を有
し、
前記対象者情報は、前記検査対象者の検査履歴を示す検査システム。
【請求項2】
前記決定手段は、前記検査対象者に対する所持物検査で検出する検出対象物を決定し、前記検出対象物に関するデータを前記参照データとして決定し、
前記検出手段は、前記検出処理として、前記検出対象物を検出する処理を行う請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
複数の検査場各々に設置された複数の前記電磁波送受信手段を有し、複数の検査場で前記所持物検査が行われており、
前記対象者情報は、前記検査対象者に対して過去の期間に行った前記所持物検査における前記検出対象物である検査済対象物を示し、
前記決定手段は、前記検査済対象物以外を、前記検出対象物として決定する請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記決定手段は、
複数の検査場の前記所持物検査各々で検出すべき対象物である必須対象物を示す情報を保持し、
前記検査済対象物に該当しない前記必須対象物を、前記検出対象物として決定する請求項3に記載の検査システム。
【請求項5】
前記決定手段が決定した前記検出対象物を
、検査済対象物として前記対象者情報に登録する登録手段をさらに有する請求項2から4のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項6】
前記登録手段は、前記対象者識別情報に紐付けて、前記検出処理の結果を登録する請求項5に記載の検査システム。
【請求項7】
前記反射波の信号に基づく前記所持物検査以外の検査を前記検査対象者に対して行う検査手段をさらに有し、
前記決定手段は、前記対象者情報に基づき、前記検査対象者に対して行う検査を決定する請求項2から6のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項8】
複数の検査場各々に設置された複数の前記検査手段を有し、複数の検査場で前記所持物検査以外の検査が実行され、
前記対象者情報は、過去の期間に行った検査を示し、
前記決定手段は、前記過去の期間に行った検査以外を、前記検査対象者に対して行う検査として決定する請求項7に記載の検査システム。
【請求項9】
前記決定手段は、
複数の検査場各々で実行すべき検査を示す情報を保持し、
前記実行すべき検査の中の前記過去の期間に行った検査に該当しない検査を、前記検査対象者に対して行う検査として決定する請求項8に記載の検査システム。
【請求項10】
前記対象者情報は、前記検査対象者に対する過去の検査で参照した前記参照データを示す請求項1から9のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項11】
前記検出手段は、前記反射波の信号と前記参照データに基づき、所定の物体を検出する検出処理を行い、
前記対象者情報は、前記検査対象者に対する過去の検査で検出対象となった物体を示す請求項1から10のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項12】
コンピュータが、
検査対象者を識別する対象者識別情報を取得し、
前記対象者識別情報に紐付けて記憶されている対象者情報に基づき、前記検査対象者に対する検査で参照する参照データを決定し、
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波を照射し、反射波を受信し、
前記反射波の信号と前記参照データに基づき検出処理を行
い、
前記対象者情報は、前記検査対象者の検査履歴を示す検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査システム及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する技術が、特許文献1及び2に開示されている。
【0003】
特許文献1には、1ミリメートルから30ミリメートルの間の波長の波を少なくとも有する電波で所持物を検査する技術であって、多数の人物をまとめてラフに検査する一次スクリーニングで危険物を持っている疑わしい人を検出し、検出した疑わしい人に対して二次スクリーニングで詳細な検査を行う技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、汚れに特化して欠陥を検出する欠陥識別機、傷に特化して欠陥を検出する欠陥識別機等、複数種類の欠陥識別機を備え、対象物の属性に応じた欠陥識別機を選択して、欠陥検出処理を行う技術が開示されている。
【0005】
特許文献3には、入場者の画像に基づき入場者の種別を判別し、判別した種別に応じて各入場者に対して実行する入場処理を決定する技術が開示されている。入場処理は、受付端末への通知処理や、警備端末への通知処理などである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-204513号公報
【文献】特開2019-106090号公報
【文献】特開2004-126829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
安全確保等のため、様々な場所で所持物検査が行われている。所持物検査においては、待ち時間の短縮が期待されている。本発明は、従来にない手法で、所持物検査の待ち時間を短縮することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
検査対象者を識別する対象者識別情報を取得する取得手段と、
前記対象者識別情報に紐付けて記憶されている対象者情報に基づき、前記検査対象者に対する検査で参照する参照データを決定する決定手段と、
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波を照射し、反射波を受信する電磁波送受信手段と、
前記反射波の信号と前記参照データに基づき検出処理を行う検出手段と、
を有する検査システムが提供される。
【0009】
また、本発明によれば、
コンピュータが、
検査対象者を識別する対象者識別情報を取得し、
前記対象者識別情報に紐付けて記憶されている対象者情報に基づき、前記検査対象者に対する検査で参照する参照データを決定し、
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波を照射し、反射波を受信し、
前記反射波の信号と前記参照データに基づき検出処理を行う検査方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、所持物検査の待ち時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の検査システムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態の装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態の検査システムの機能ブロック図の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態の検査システムが処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図5】本実施形態の検査システムが処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図6】本実施形態の検査システムが処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図7】本実施形態の検査システムによる検出対象物を決定する処理の一例を説明するための図である。
【
図8】本実施形態の検査システムによる検出対象物を決定する処理の一例を説明するための図である。
【
図9】本実施形態の電磁波送受信部の一例を模式的に示す図である。
【
図10】本実施形態の検査システムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】本実施形態の検査システムの機能ブロック図の一例を示す図である。
【
図12】本実施形態の検査システムが処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図13】本実施形態の検査システムが処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図14】本実施形態の検査システムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図15】本実施形態の検査システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
<第1の実施形態>
「概要」
図1に示すように、本実施形態の検査システムは、サーバ1と、複数の検出装置2と、複数の識別情報取得装置3とを含む。複数の検出装置2及び複数の識別情報取得装置3は、所持物検査が必要な任意の施設に設置される。施設は、ビル、会社、アミューズメント施設、空港、駅等が例示されるが、これらに限定されない。なお、サーバ1の設置位置は特段制限されない。
【0014】
本実施形態では、1つの施設内に複数の検査場が設置され、各検査場に検出装置2及び識別情報取得装置3が設置される。そして、施設に来た人物に対して複数の検査場で多段の所持物検査が行われる。例えば、施設の入口に検査場が設置され、さらに施設内に存在する複数のエリア各々の入口に検査場が設置される例等が考えられる。
【0015】
ところで、このような多段の所持物検査においては、同一の対象物を複数の検査場の所持物検査で重ねて検出対象とするという無駄が発生し得る。例えば、施設の入口に設置された検査場でナイフの所持物検査を行った後、施設内に設置された他の検査場で、再びナイフの所持物検査を行う場合などである。
【0016】
人物が通過する検査場の順番が固定される場合、その順番を考慮して各検査場での所持物検査で検出する対象物を設定することで、上記無駄を回避できる。しかし、人物が通過する検査場の順番が人物毎に異なり得る場合、当該手段を採用できない。
【0017】
そこで、本実施形態の検査システムは、施設に来た人物を他の人物と識別する識別情報に紐付けて、各人物に対して実行した所持物検査において検出対象となった対象物、すなわち検出処理を実行済みの対象物を登録する。そして、検査システムは、各検査場での所持物検査で検出対象とする対象物を、この登録情報に基づき人物毎に決定する。すなわち、各検査場での所持物検査で検出対象とする対象物を、ユーザ毎に、それまでの検査履歴に基づきカスタマイズする。
【0018】
このような本実施形態の検査システムによれば、同一の対象物を複数の検査場の所持物検査で不要に重ねて検出対象とするという無駄を軽減できる。結果、各検査場の負荷が軽減され、所持物検査の待ち時間の短縮が実現される。
【0019】
「ハードウエア構成」
次に、検査システム10のハードウエア構成の一例を説明する。
図2は、検査システム10のハードウエア構成例を示す図である。検査システム10が備える各機能部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0020】
図2に示すように、検査システム10は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。検査システム10は、周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、検査システム10は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよい。物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成される場合、複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。
【0021】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部サーバ、外部センサ、電磁波送受信装置等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部サーバ、電磁波送受信装置等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等である。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0022】
「機能構成」
次に、検査システム10の機能構成を説明する。
図3に、検査システム10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、検査システム10は、取得部11と、決定部12と、検出部13と、電磁波送受信部14と、記憶部15と、登録部16とを有する。
【0023】
これら機能部は、
図1のサーバ1、検出装置2及び識別情報取得装置3の中のいずれかが備える。いずれの装置が各機能部を備えるかは特段制限されず、様々なパターンを採用できる。例えば、識別情報取得装置3が取得部11を備え、検出装置2が電磁波送受信部14を備え、サーバ1が決定部12、登録部16及び記憶部15を備え、サーバ1又は検出装置2が検出部13を備えてもよい。以下、各機能部の構成を説明する。
【0024】
記憶部15は、対象者情報を記憶する。対象者情報は、施設に来た人物(以下、「検査対象者」)を互いに識別する対象者識別情報に、各検査対象者の検査履歴を紐付けた情報である。
【0025】
対象者識別情報は、複数の人物を互いに識別できるものであればよく、あらゆる技術を採用できる。例えば、対象者識別情報は、顔情報(顔画像や顔画像から抽出される外観の特徴量等)、指紋情報、声紋情報、虹彩情報、歩容情報等、各人物に備わる特性情報であってもよい。その他、対象者識別情報は、数字や文字等を並べたもの等、各人物のために作り出された情報であってもよい。
【0026】
検査履歴は、過去の期間に、その施設に設置された検査場において各検査対象者に対して行われた検査の内容を示す。例えば、検査履歴は、各検査対象者に対して行われた所持物検査において検出対象となった対象物、すなわち検出処理を実行済みの対象物を示す。
【0027】
「過去の期間」は、「当日」であってもよいし、「現時点から所定時間前まで」であってもよいし、その他であってもよい。例えば、施設への出入りを繰り返す場合を想定し、「直近の施設への入場タイミングから現時点まで」を「過去の期間」としてもよい。
【0028】
図4に、記憶部15が記憶する対象者情報の一例を模式的に示す。図示する例では、通番と、対象者識別情報と、検査済対象物とが紐付けて登録されている。通番は、施設に来た人に対して検査システム10が付与した識別情報である。対象者識別情報は、上述の通りである。検査済対象物は、過去の期間に、各検査対象者に対して行われた所持物検査において検出対象となった対象物を示す。なお、図示する例では、各検査済対象物に紐付けて、検査が行われた検査場の識別情報(G001等)と、検査が行われた時刻(8:13等)とが登録されているが、これらの情報は登録されなくてもよいし、その他の情報がさらに登録されてもよい。
【0029】
なお、このような対象者情報は、以下で説明する登録部16により登録される。登録部16による登録処理の詳細は後述する。
【0030】
図3に戻り、取得部11は、検査場に来た検査対象者から、検査対象者を識別する対象者識別情報を取得する。取得部11は、検査対象者への検査が実行される前に、その検査対象者の対象者識別情報を取得する。取得部11の構成は、対象者識別情報の構成に応じたものとなる。
【0031】
例えば、対象者識別情報が顔情報、虹彩情報又は歩容情報等である場合、取得部11はカメラ等の撮像装置で構成される。また、対象者識別情報が指紋情報である場合、取得部11は指紋センサ(指紋読取装置)で構成される。また、対象者識別情報が声紋である場合、取得部11はマイクで構成される。また、対象者識別情報が数字や文字等を並べた情報である場合、取得部11は近距離無線通信機、コード読み取り機、タッチパネル、キーボード、物理ボタン、マイク、カメラ等の入力装置で構成される。
【0032】
決定部12は、記憶部15に記憶されている対象者情報(
図4参照)に基づき、検査対象者に対する所持物検査で参照する参照データを決定する。具体的には、決定部12は、対象者情報に基づき、検査対象者毎に、所持物検査で検出する検出対象物を決定する。そして、決定部12は、決定した検出対象物に関するデータ(形状の特徴量や反射波特徴量等)を参照データとして決定する。各検査対象者の過去の期間の検査履歴に基づき各検査対象者の検出対象物を決定することで、複数の検出装置2による多段の所持物検査を無駄なく効率的に行うことができる。
【0033】
各検査対象者の過去の期間の検査履歴に基づき、各検査対象者の検出対象物を決定する処理のアルゴリズムは様々であるが、以下一例を説明する。
【0034】
-第1の決定例-
図5に示すように、検出装置2による検出処理で検出可能な対象物(以下、「検出可能対象物」)が記憶部15に記憶されている。検出処理で照合する特徴量が登録されている対象物が、検出可能対象物となる。当該例では、決定部12は、検査済対象物に該当しない検出可能対象物の中の少なくとも1つを、検出対象物として決定する。
【0035】
例えば、検出可能対象物に優先順位が付与されていてもよい。そして、決定部12は、優先順位が高いものから順に、検査済対象物に該当しない検出可能対象物の中の少なくとも1つを検出対象物として決定してもよい。
【0036】
各検査場で決定する検出対象物の数は予め定まっていてもよい。全ての検査場で同じ数であってもよいし、検査場ごとに異なってもよい。また、日時、曜日、天気、気温、各検査場の混雑状況(例えば、施設を撮影した画像で認識)、施設で行うイベントの内容等に基づきケース分けをし、各ケースに該当するときに決定する検出対象物の数が予め定められてもよい。そして、各タイミングの状況(いずれのケースに該当するか)に応じて、決定する検出対象物の数が変更してもよい。
【0037】
-第2の決定例-
当該例では、複数の検査場の所持物検査各々で検出すべき対象物(以下、「必須対象物」)が予め定まっている。各検査場を通過するためには、各検査場に定められた必須対象物を所持していないことの確認が必須である。
【0038】
記憶部15は、複数の検査場の所持物検査各々で検出すべき必須対象物を示す必須検査情報を記憶する。
図6に、必須検査情報の一例を模式的に示す。図示する例では、検査場識別情報と、必須対象物とが紐付けて登録されている。そして、決定部12は、検査済対象物に該当しない必須対象物を、検出対象物として決定する。
【0039】
図7を用いて、具体例を説明する。図示する例では、検査場1の必須対象物は「銃、ナイフ」であり、検査場2の必須対象物は「銃、ナイフ、カメラ等」である。
【0040】
Aさんは、検査場1、検査場2の順に検査場を通過する。検査場1を通過する際には、検査場1の必須対象物である「銃、ナイフ」が検出対象物として決定される。そして、検査場2を通過する際には、検査場2の必須対象物である「銃、ナイフ、カメラ等」の中の検査場1で検出対象物となった「銃、ナイフ」を除くもの、すなわち「カメラ等」が検出対象物として決定される。
【0041】
Bさんは、検査場1を経ずに検査場2を通過する。検査場2を通過する際には、検査場2の必須対象物である「銃、ナイフ、カメラ等」が検出対象物として決定される。
【0042】
-第3の決定例-
当該例では、第1の決定例と第2の決定例を組み合わせる。
図8を用いて、具体例を説明する。図示する例では、検査場1及び検査場2では必須対象物が設定されていない。そして、検査場1及び検査場2では1つの検出対象物が決定される。ホールの入口に設置された検査場3の必須対象物は「銃、ナイフ、ペットボトル」であり、セキュリティルームの入口に設置された検査場4の必須対象物は「銃、ナイフ、スマートフォン」である。
【0043】
Aさんは、検査場1、検査場2、検査場3の順に検査場を通過する。検査場1を通過する際には、検出可能対象物の中の優先度が最も高い「銃」が検出対象物として決定される。そして、検査場2を通過する際には、検査済対象物に該当しない検出可能対象物の中の優先度が最も高い「ナイフ」が検出対象物として決定される。そして、検査場3を通過する際には、検査場3の必須対象物である「銃、ナイフ、ペットボトル」の中の検査済対象物に該当しない「ペットボトル」が検出対象物として決定される。
【0044】
Bさんは、検査場1、検査場2、検査場4の順に検査場を通過する。検査場1を通過する際には、検出可能対象物の中の優先度が最も高い「銃」が検出対象物として決定される。そして、検査場2を通過する際には、検査済対象物に該当しない検出可能対象物の中の優先度が最も高い「ナイフ」が検出対象物として決定される。そして、検査場4を通過する際には、検査場4の必須対象物である「銃、ナイフ、スマートフォン」の中の検査済対象物に該当しない「スマートフォン」が検出対象物として決定される。
【0045】
Cさんは、検査場2、検査場3の順に検査場を通過する。検査場2を通過する際には、検出可能対象物の中の優先度が最も高い「銃」が検出対象物として決定される。そして、検査場3を通過する際には、検査場3の必須対象物である「銃、ナイフ、ペットボトル」の中の検査済対象物に該当しない「ナイフ、ペットボトル」が検出対象物として決定される。
【0046】
なお、ここまでは、1回検査された対象物を検査済対象物として扱うことを前提としたが、M回(Mは2以上の整数)検査された対象物を検査済対象物として扱うようにしてもよい。また、Mの値は、対象物毎に異ならせてもよい。例えば、銃やナイフ等、検出の優先度が高いものは、Mの値を大きくし、繰り返し検査するようにしてもよい。そして、検出の優先度が低いものは、Mの値を小さくし、検査の重複を回避してもよい。
【0047】
電磁波送受信部14は、所定の領域に存在する検査対象者に向けて波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波(例:マイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波等)を照射し、反射波を受信する。電磁波送受信部14は、例えばレーダである。電磁波送受信部14はあらゆる技術を採用して構成できる。例えば、電磁波送受信部14は、
図9の例のように、複数のアンテナ素子を並べたレーダで構成されるセンサパネルであってもよい。なお、パネルは一例であり、検査対象者が通過するゲートや、検査対象者が入るブース等、その他の手法で電磁波送受信部14を構成してもよい。電磁波送受信部14は、複数の検査場各々に設置される。
【0048】
検出部13は、電磁波送受信部14により受信された反射波の信号に基づき、所定の領域に存在する検査対象者が決定部12により決定された検出対象物を所持しているか判断する。以下、判断処理の一例を説明する。
【0049】
-第1の処理例-
当該例では、検出部13は、電磁波送受信部14により受信された反射波の信号に基づき透過画像を作成する。そして、検出部13は、透過画像に現れた物体の形状に基づき、透過画像の中から検出対象物を検出する。透過画像の中から検出対象物が検出された場合、所定の領域に存在する検査対象者がその検出された検出対象物を所持していると判断する。
【0050】
事前の準備により、複数の物体各々の形状の特徴量が生成され、検査システム10に登録されている。形状の特徴量が登録されている物体が、上述した「検出可能対象物」となる。
【0051】
検出部13は、検出対象物の形状の特徴量と、透過画像に現れた形状の特徴量との照合結果に基づき、透過画像の中から検出対象物を検出する。なお、検出可能対象物の中の検出対象物として設定されていない物は、照合対象から除かれる。検出部13によるこれらの処理は、複数の物体の透過画像とラベルとで構成される教師データに基づく機械学習で生成された推定モデルを利用して実現されてもよいし、テンプレートマッチングで実現されてもよい。
【0052】
-第2の処理例-
当該例では、検出部13は、電磁波送受信部14により受信された反射波の信号に現れた特徴量(反射波特徴量)に基づき、所定の領域に存在する検査対象者が検出対象物を所持しているか判断する。反射波の信号の中から検出対象物に特有の反射波特徴量が検出された場合、所定の領域に存在する検査対象者がその検出された検出対象物を所持していると判断する。
【0053】
事前の準備により、複数の物体各々の反射波特徴量が生成され、検査システム10に登録されている。反射波特徴量が登録されている物体が、上述した「検出可能対象物」となる。
【0054】
検出部13は、検出対象物の反射波特徴量と、反射波の信号に現れた特徴量との照合結果に基づき、反射波の信号の中から検出対象物に特有の反射波特徴量を検出する。なお、検出可能対象物の中の検出対象物として設定されていない物は、照合対象から除かれる。検出部13によるこれらの処理は、複数の物体の反射波の信号とラベルとで構成される教師データに基づく機械学習で生成された推定モデルを利用して実現されてもよいし、テンプレートマッチングで実現されてもよい。
【0055】
検出部13は、検出結果を所定の出力装置(ディスプレイ、スピーカ、警告ランプ、投影装置等)を介して出力することができる。出力装置は、例えば各検査場に設置されており、検査対象者や検査を管理する管理者に向けて所定の情報を提示するようになっていてもよい。また、検出部13は、検出結果の内容(検出対象物が検出されたか否か)に応じて、出力装置の出力態様を異ならせてもよい。出力の仕方は様々であり、本実施形態ではあらゆる手段を採用できる。
【0056】
登録部16は、取得部11が取得した対象者識別情報を取得する。また、登録部16は、決定部12が決定した検出対象物を示す情報を取得する。そして、登録部16は、各検査対象者の対象者識別情報に紐付けて、決定部12が決定した検出対象物を検査済対象物として対象者情報(
図4参照)に登録する。
【0057】
例えば、登録部16は、取得部11が取得した対象者識別情報を対象者情報(
図4参照)の中から検索する。その対象者識別情報が見つかった場合、その対象者識別情報に紐付けて、新たに、決定部12が決定した検出対象物を検査済対象物として登録する。一方、その対象者識別情報が見つからなかった場合、登録部16は、その対象者識別情報を新たに対象者情報に登録し、新たに登録した対象者識別情報に紐付けて、決定部12が決定した検出対象物を検査済対象物として登録する。
【0058】
登録部16は、さらに、各検査対象者の対象者識別情報に紐付けて、検出部13による検出結果(検出対象物が検出されたか否か)を登録してもよい。当該情報は、記憶部15が記憶する。
【0059】
次に、
図10のフローチャーを用いて、検査システム10の処理の流れの一例を説明する。
【0060】
検査システム10は、検査場での所持物検査の前に検査対象者から対象者識別情報を取得すると(S10)、取得した対象者識別情報に紐付く対象者情報(
図4参照)を取得する(S11)。対象者情報は、過去の期間におけるその対象者の検査履歴を示す。そして、検査システム10は、取得した対象者情報に基づき、その検査対象者に対する所持物検査で検出する検出対象物を決定する(S12)。その後、検査システム10は、決定された検出対象物を検出する検出処理を実行する(S13)。
【0061】
「作用効果」
複数の検出装置2を有し、検出装置2毎に検出対象物を決定できる本実施形態の検査システム10によれば、検出装置2毎に検出対象物を異ならせた分散型の所持物検査が実現される。結果、各検出装置2の負荷が軽減され、各検出装置2での所持物検査の待ち時間を短縮できる。
【0062】
また、本実施形態の検査システム10によれば、施設に来た人物を他の人物と識別する識別情報に紐付けて、各人物に対して実行した所持物検査において検出対象となった対象物、すなわち検出処理を実行済みの対象物を登録することができる。そして、検査システム10は、各検査場での所持物検査で検出対象とする対象物を、この登録情報に基づき人物毎に決定することができる。すなわち、各検査場での所持物検査で検出対象とする対象物を、ユーザ毎に、それまでの検査履歴に基づきカスタマイズすることができる。
【0063】
このような本実施形態の検査システム10によれば、同一の対象物を複数の検査場の所持物検査で不要に重ねて検出対象とするという無駄を軽減できる。結果、各検査場の負荷が軽減され、所持物検査の待ち時間の短縮が実現される。
【0064】
<第2の実施形態>
図11に、本実施形態の検査システム10の機能ブロック図の一例を示す。本実施形態の検査システム10は、検査部17を有する点で第1の実施形態の検査システム10と異なる。
【0065】
検査部17は、第1の実施形態で説明した波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波の反射波の信号に基づく所持物検査(以下、「反射波の信号に基づく所持物検査」)以外の検査を検査対象者に対して行う。例えば、検査部17は、検査対象者の体温を測定する体温検査や、金属探知機を利用した所持物検査や、におい検知器を利用した所持物検査等を行うことができる。これらの検査は、あらゆる技術を採用して実現できる。検査部17は、複数の検査場各々に設置される。
【0066】
検査部17は、検査結果を所定の出力装置(ディスプレイ、スピーカ、警告ランプ、投影装置等)を介して出力することができる。出力装置は、例えば各検査場に設置されており、検査対象者や検査を管理する管理者に向けて所定の情報を提示するようになっていてもよい。また、検査部17は、検査結果の内容に応じて、出力装置の出力態様を異ならせてもよい。出力の仕方は様々であり、本実施形態ではあらゆる手段を採用できる。
【0067】
本実施形態の対象者情報は、
図12に示すように、過去の期間において各検査対象者に対して実行した検査(以下、「実行済検査」)を示す。なお、本実施形態の対象者情報は、さらに、第1の実施形態で説明したように、反射波の信号に基づく所持物検査で検出処理を実行済みの対象物を示してもよい(
図4参照)。
【0068】
そして、決定部12は、記憶部15に記憶されている対象者情報(
図12参照)に基づき、検査対象者に対して行う検査を決定する。各検査対象者の過去の期間の検査履歴に基づき各検査対象者に対して行う検査を決定することで、複数の検査場による多段の検査を無駄なく効率的に行うことができる。
【0069】
各検査対象者の過去の期間の検査履歴に基づき、各検査対象者の検出対象物を決定する処理のアルゴリズムは様々であるが、以下一例を説明する。
【0070】
-第4の決定例-
検査部17により実行可能な検査(以下、「実行可能検査」)を示す情報が予め記憶部15に記憶されている。実行可能な検査は、反射波の信号に基づく所持物検査、体温検査、金属探知機を利用した所持物検査、におい検知器を利用した所持物検査等である。
【0071】
当該例では、決定部12は、実行済検査に該当しない実行可能検査の中の少なくとも1つを、実行する検査として決定する。
【0072】
例えば、実行可能検査に優先順位が付与されていてもよい。そして、決定部12は、優先順位が高いものから順に、実行済検査に該当しない実行可能検査の中の少なくとも1つを実行する検査として決定してもよい。
【0073】
各検査場で決定する検査の数は予め定まっていてもよい。全ての検査場で同じ数であってもよいし、検査場ごとに異なってもよい。また、日時、曜日、天気、気温、各検査場の混雑状況(例えば、施設を撮影した画像で認識)、施設で行うイベントの内容等に基づきケース分けをし、各ケースに該当するときに決定する検査の数が予め定められてもよい。そして、各タイミングの状況(いずれのケースに該当するか)に応じて、決定する検査の数が変更してもよい。
【0074】
-第5の決定例-
当該例では、複数の検査場各々で実行すべき検査(以下、「必須検査」)が予め定まっている。各検査場を通過するためには、各検査場に定められた必須検査を合格することが必須である。
【0075】
記憶部15は、複数の検査場各々で実行すべき必須検査を示す必須検査情報を記憶する。
図13に、必須検査情報の一例を模式的に示す。図示する例では、検査場識別情報と、必須検査とが紐付けて登録されている。そして、決定部12は、実行済検査に該当しない必須検査を、実行する検査として決定する。
【0076】
-第6の決定例-
当該例では、第4の決定例と第5の決定例を組み合わせる。
【0077】
なお、1回実行された検査を実行済検査としてもよいし、M回(Mは2以上の整数)実行された検査を実行済検査として扱うようにしてもよい。また、Mの値は、検査毎に異ならせてもよい。例えば、所持物検査等、繰り返し行う必要性が高いものは、Mの値を大きくし、繰り返し実行するようにしてもよい。そして、体温検査等、繰り返し行う必要性が低いものは、Mの値を小さくし、検査の重複を回避してもよい。
【0078】
次に、
図14のフローチャーを用いて、検査システム10の処理の流れの一例を説明する。
【0079】
検査システム10は、検査場での検査の前に検査対象者から対象者識別情報を取得すると(S20)、取得した対象者識別情報に紐付く対象者情報(
図12参照)を取得する(S21)。対象者情報は、過去の期間におけるその対象者の検査履歴を示す。そして、検査システム10は、取得した対象者情報に基づき、その検査対象者に対して実行する検査を決定する(S22)。なお、ここで、反射波の信号に基づく所持物検査が決定された場合、検査システム10は、第1の実施形態で説明した処理に基づき、その所持物検査で検出する検出対象物を決定してもよい。その後、検査システム10は、決定された検査を実行する(S23)。
【0080】
本実施形態の検査システム10のその他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0081】
本実施形態の検査システム10によれば、第1の実施形態の検査システム10と同様の作用効果が実現される。
【0082】
また、本実施形態の検査システム10によれば、検査場毎に検査内容を異ならせた分散型の検査が実現される。結果、各検査場の負荷が軽減され、各検査場での検査の待ち時間を短縮できる。
【0083】
また、本実施形態の検査システム10によれば、施設に来た人物を他の人物と識別する識別情報に紐付けて、各人物に対して実行した検査、すなわち実行済みの検査を登録することができる。そして、検査システム10は、各検査場で実行する検査を、この登録情報に基づき人物毎に決定することができる。すなわち、各検査場で実行する検査を、ユーザ毎に、それまでの検査履歴に基づきカスタマイズすることができる。
【0084】
このような本実施形態の検査システム10によれば、同一の検査を複数の検査場で不要に重ねて実行するという無駄を軽減できる。結果、各検査場の負荷が軽減され、検査の待ち時間の短縮が実現される。
【0085】
<変形例>
以下、第1及び第2の実施形態に適用可能な変形例を説明する。これらの変形例においても、第1及び第2の実施形態と同様の作用効果が実現される。
【0086】
-第1の変形例-
図1では、識別情報取得装置3により取得された対象者識別情報が検出装置2を経由してサーバ1に送信されるようになっているが、識別情報取得装置3により取得された対象者識別情報が検出装置2を経由せずにサーバ1に送信されてもよい。また、各検査場に、検査場の情報を収集する情報収集装置が設置されてもよい。そして、検出装置2及び識別情報取得装置3はいずれも、この情報収集装置を経由して、サーバ1と通信してもよい。
【0087】
-第2の変形例-
図15に示すように、検査システム10は、サーバ1を有さず、複数の検査場に設置されたローカルシステム4だけで構成されてもよい。この場合、複数の検査場に設置されたローカルシステム4各々が、取得部11、決定部12、検出部13、電磁波送受信部14、記憶部15及び登録部16を有する。ローカルシステム4はさらに検査部17を有してもよい。そして、複数のローカルシステム4が互いに通信し、情報を共有する。任意の同期処理により、複数のローカルシステム4各々が保持する対象者情報(
図4、
図12参照)の内容は同一となる。
【0088】
-第3の変形例-
上記実施形態では、参照データは、検出対象物の特徴量(形状の特徴量又は反射波特徴量)であった。すなわち、参照データは、含まれていることが好ましくない異常データ(持ち込みが禁止されている対象物のデータ)であった。そして、検出部13は、反射波の信号の中から、参照データとして決定された異常データを検出する処理を実行した。
【0089】
当該変形例では、参照データは、含まれていることが好ましい正常データである。決定部12は、対象者情報に基づき、各検査対象者に対する検査で参照する正常データを決定する。そして、検出部21は、当該正常データに基づき、反射波の信号の中から異常状態(正常データで示される状態と異なる状態)を検出する検出処理を行う。このような変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が実現される。
【0090】
-第4の変形例-
上記実施形態では、持ち込みが禁止されている対象物が検出対象物として設定された。当該変形例では、ユーザが持っている必要がある対象物が検出対象物として設定される。例えば、警察官のバッチや、イベントに参加する人が所持することを義務つけられている物などが、当該変形例において検出対象物となる。そして、当該変形例では、検出対象物が検出されたユーザが通過を許可され、検出対象物が検出されていないユーザは通過を許可されない。
【0091】
なお、持ち込みが禁止されている対象物が第1の検出対象物として設定され、ユーザが持っている必要がある対象物が第2の検出対象物として設定されてもよい。この場合、「第1の検出対象物が検出され、第2の検出対象物が検出されていないケース」、「第2の検出対象物が検出され、第1の検出対象物が検出されていないケース」、「第1の検出対象物及び第2の検出対象物両方とも検出されているケース」、「第1の検出対象物及び第2の検出対象物両方とも検出されていないケース」等、検出結果が複数のケースに分かれる。各ケース時にユーザに対してどのような処理を行うかは、設計的事項である。
【0092】
なお、本明細書において、「取得」とは、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置が他の装置や記憶媒体に格納されているデータを取りに行くこと(能動的な取得)」、たとえば、他の装置にリクエストまたは問い合わせして受信すること、他の装置や記憶媒体にアクセスして読み出すこと等、および、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置に他の装置から出力されるデータを入力すること(受動的な取得)」、たとえば、配信(または、送信、プッシュ通知等)されるデータを受信すること、また、受信したデータまたは情報の中から選択して取得すること、及び、「データを編集(テキスト化、データの並び替え、一部データの抽出、ファイル形式の変更等)などして新たなデータを生成し、当該新たなデータを取得すること」の少なくともいずれか一方を含む。
【0093】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
1. 検査対象者を識別する対象者識別情報を取得する取得手段と、
前記対象者識別情報に紐付けて記憶されている対象者情報に基づき、前記検査対象者に対する検査で参照する参照データを決定する決定手段と、
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波を照射し、反射波を受信する電磁波送受信手段と、
前記反射波の信号と前記参照データに基づき検出処理を行う検出手段と、
を有する検査システム。
2. 前記決定手段は、前記検査対象者に対する所持物検査で検出する検出対象物を決定し、前記検出対象物に関するデータを前記参照データとして決定し、
前記検出手段は、前記検出処理として、前記検出対象物を検出する処理を行う1に記載の検査システム。
3. 複数の検査場各々に設置された複数の前記電磁波送受信手段を有し、複数の検査場で前記所持物検査が行われており、
前記対象者情報は、前記検査対象者に対して過去の期間に行った前記所持物検査における前記検出対象物である検査済対象物を示し、
前記決定手段は、前記検査済対象物以外を、前記検出対象物として決定する2に記載の検査システム。
4. 前記決定手段は、
複数の検査場の前記所持物検査各々で検出すべき対象物である必須対象物を示す情報を保持し、
前記検査済対象物に該当しない前記必須対象物を、前記検出対象物として決定する3に記載の検査システム。
5. 前記決定手段が決定した前記検出対象物を、前記検査済対象物として前記対象者情報に登録する登録手段をさらに有する2から4のいずれかに記載の検査システム。
6. 前記登録手段は、前記対象者識別情報に紐付けて、前記検出処理の結果を登録する5に記載の検査システム。
7. 前記反射波の信号に基づく前記所持物検査以外の検査を前記検査対象者に対して行う検査手段をさらに有し、
前記決定手段は、前記対象者情報に基づき、前記検査対象者に対して行う検査を決定する2から6のいずれかに記載の検査システム。
8. 複数の検査場各々に設置された複数の前記検査手段を有し、複数の検査場で前記所持物検査以外の検査が実行され、
前記対象者情報は、過去の期間に行った検査を示し、
前記決定手段は、前記過去の期間に行った検査以外を、前記検査対象者に対して行う検査として決定する7に記載の検査システム。
9. 前記決定手段は、
複数の検査場各々で実行すべき検査を示す情報を保持し、
前記実行すべき検査の中の前記過去の期間に行った検査に該当しない検査を、前記検査対象者に対して行う検査として決定する8に記載の検査システム。
10. コンピュータが、
検査対象者を識別する対象者識別情報を取得し、
前記対象者識別情報に紐付けて記憶されている対象者情報に基づき、前記検査対象者に対する検査で参照する参照データを決定し、
波長30マイクロメートル以上1メートル以下の電磁波を照射し、反射波を受信し、
前記反射波の信号と前記参照データに基づき検出処理を行う検査方法。
【符号の説明】
【0094】
1 サーバ
2 検出装置
3 識別情報取得装置
4 ローカルシステム
10 検査システム
11 取得部
12 決定部
13 検出部
14 電磁波送受信部
15 記憶部
16 登録部
17 検査部
1A プロセッサ
2A メモリ
3A 入出力I/F(インターフェイス)
4A 周辺回路
5A バス