(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】情報処理方法、電子機器及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0637 20230101AFI20250408BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20250408BHJP
【FI】
G06Q10/0637
G06Q50/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021060014
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2024-03-22
(31)【優先権主張番号】202010245515.3
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010246050.3
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ウェンジュアン
(72)【発明者】
【氏名】リウ チュンチェン
【審査官】後藤 昂彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-163443(JP,A)
【文献】特開2019-082865(JP,A)
【文献】国際公開第2007/114788(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の製品における各製品の一定期間内のアウトプット量及び目標属性を少なくとも含む、前記複数の製品に関する製品情報を取得することと、
前記製品情報をデータ処理モデルに適用することで、前記アウトプット量に関する因果関係を決定することと、
前記因果関係に基づき、前記複数の製品の中から、前記複数の製品の総アウトプット量に影響を与える少なくとも1つの目標製品を決定することと
を備え、
前記アウトプット量は、対応する製品が前記一定期間内に外部にアウトプットされる数を示し、
前記因果関係は、前記複数の製品における各製品の前記アウトプット量の、前記複数の製品それぞれの前記目標属性に対する依存性を少なくとも示す、
情報処理方法。
【請求項2】
少なくとも1つの目標製品を決定することは、
前記依存性に基づき、前記複数の製品における第1製品の前記目標属性に所定の変化が発生することによる総アウトプット量の変化を決定することと、
前記総アウトプット量の変化が
当該変化の閾値を超えていると決定したことに基づき、前記第1製品を、候補製品の集合における候補製品として決定することと、
前記候補製品の集合の中から、前記少なくとも1つの目標製品を決定することと
を備える、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記候補製品の集合の中から、前記少なくとも1つの目標製品を決定することは、
前記アウトプット量が前記総アウトプット量に占める比率が
当該比率の閾値を超えている候補製品を、前記候補製品の集合から目標製品として選択することを備える、
請求項
2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記製品情報はさらに、
前記複数の製品における各製品の前記一定期間の前の履歴目標属性及び/又は履歴アウトプット量、
前記複数の製品における各製品と関連付けられる位置情報、
前記複数の製品における少なくともいくつかの製品に関する操作の情報、及び
前記複数の製品における各製品の前記目標属性以外の少なくとも1つの別の属性
のうちの少なくとも1つを含み、
前記操作は、前記少なくともいくつかの製品の外部へのアウトプットを促進するためのものである、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記データ処理モデルに適用するために前記製品情報に対し前処理を行うことをさらに備える、
請求項
4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記製品情報は、前記履歴アウトプット量を含み、
前記データ処理モデルに適用するために前記製品情報に対し前処理を行うことは、
前記履歴アウトプット量と前記アウトプット量との比較に基づき、前記一定期間の期間特性を
識別することを備え、
前記期間特性は、前記一定期間が外部に対して製品をアウトプットするピーク期間であるか否かを示し、
前記因果関係を決定することは、
前記期間特性に基づき、前記複数の製品における各製品の前記アウトプット量の期間依存性を決定することを備える、
請求項
5に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記製品情報は、前記位置情報を含み、
前記データ処理モデルに適用するために前記製品情報に対し前処理を行うことは、
前記複数の製品における少なくともいくつかの製品の前記アウトプット量に基づき、前記位置情報が示す複数の地理的位置をクラスタリングすることを備え、
前記因果関係を決定することは、
前記クラスタリングの結果に基づき、前記複数の製品における前記少なくともいくつかの製品の前記アウトプット量の位置依存性を決定することを備える、
請求項
5に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記複数の製品と関連付けられる対象に対し、前記少なくとも1つの目標製品に関する情報を提供することをさらに備える、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記データ処理モデルは、因果関係モデルを含む、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項10】
電子機器であって、
プロセッサと、
前記プロセッサに結合されたメモリであって、前記プロセッサにより実行された場合、請求項1~
9のいずれか1項に記載の方法を前記電子機器に実行させる指令が記憶されているメモリと
を含む、
電子機器。
【請求項11】
プロセッサにより実行された場合に、請求項1~
9のいずれか1項に記載の情報処理方法を実現させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態はデータ処理分野に関し、より具体的には、情報を処理するための方法、電子機器及びコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
情報技術の急速な発展に伴い、データ規模も急激に増大している。このような背景及び趨勢の下、機械学習等の技術をどのように利用して情報をより効果的に処理するかについて、益々、広く注目されている。例えば、複数種類の製品を処理する(例えば、設計、生産又は販売)必要がある実体は、製品に関する諸々の情報をより有効に利用することで、複数種類の製品の間でトレードオフを行い、効率又は収益を最大化することを望んでいる可能性が大いにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の実施形態では、情報処理の解決手段が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1の態様では、情報処理方法が提供される。該方法は、複数の製品における各製品の一定期間内のアウトプット量及び目標属性を少なくとも含む、複数の製品に関する製品情報を取得することを備える。アウトプット量は、対応する製品が一定期間内に外部にアウトプットされる数を示す。該方法はさらに、製品情報をデータ処理モデルに適用することで、アウトプット量と関連付けられる因果関係を決定することを備える。因果関係は、複数の製品における各製品のアウトプット量の、複数の製品それぞれの目標属性に対する依存性を少なくとも示す。該方法はさらに、因果関係に基づき、複数の製品の中から、複数の製品の総アウトプット量に影響を与える少なくとも1つの目標製品を決定することを備える。
【0005】
本開示の第2の態様では、電子機器が提供される。該電子機器は、プロセッサと、プロセッサに結合され指令が記憶されているメモリとを備え、指令がプロセッサにより実行された場合、動作を実行する。動作は、複数の製品における各製品の一定期間内のアウトプット量及び目標属性を少なくとも含む、複数の製品に関する製品情報を取得することを備える。アウトプット量は、対応する製品が一定期間内に外部にアウトプットされる数を示す。動作はさらに、製品情報をデータ処理モデルに適用することで、アウトプット量と関連付けられる因果関係を決定することを備える。因果関係は、複数の製品における各製品のアウトプット量の、複数の製品それぞれの目標属性に対する依存性を少なくとも示す。動作はさらに、因果関係に基づき、複数の製品の中から、複数の製品の総アウトプット量に影響を与える少なくとも1つの目標製品を決定することを備える。
【0006】
本開示の第3の態様では、コンピュータ可読記憶媒体が提供される。コンピュータ可読記憶媒体には、コンピュータプログラムが記憶されており、該プログラムは、プロセッサにより実行された場合に、本開示の第1の態様の方法を実現する。
【0007】
発明の概要部分は、概念に対する選択を簡略化して提示するためのものである。以下の実施形態において、これらについてさらに説明を行う。発明の概要部分の記述は、本開示の重要又は主要な特徴を示すことを意図したものではなく、本開示の範囲を限定することも意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面と結び付けて、本開示の例示的な実施形態をさらに詳細に説明することで、本開示の上述の及びその他の目的、特徴及び利点を、さらに明らかにする。本開示の例示的な実施形態において、同一の参照符号は基本的に、同一部材を示す。
【0009】
【
図1】本開示の複数の実施形態を実現可能な例示的環境の模式図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態にかかる製品分析プロセスのフローチャートである。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態にかかる製品分析及び調整の簡略化ブロック図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態にかかる因果関係の例示を表す表である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態にかかる製品調整プロセスのフローチャートである。
【
図6A】本開示のいくつかの実施形態にかかる調整情報を決定するプロセスのフローチャートである。
【
図6B】本開示のいくつかの実施形態にかかる調整情報を決定する別のプロセスのフローチャートである。
【
図7】本開示の実施形態を実施可能な例示的機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に示されたいくつかの例示的実施形態を参照して、本開示の原理を説明する。図面には本開示の好ましい実施形態が表されているが、理解すべき点として、これらの実施形態は、当業者が本開示をより適切に理解し実現することができるようにするためのものにすぎず、本開示の範囲を何らかの方式で限定するものではない。
【0011】
本明細書で使用される用語「含む(備える)」及びその変形は、「…を含むが、これらに限定されない」という開放的な「含む」を表す。特に明記されていない限り、用語「又は」は、「及び/又は」を表し、用語「…に基づいて」は、「少なくとも部分的に基づく」ことを表す。用語「1つの例示的実施形態」及び「1つの実施形態」は、「少なくとも1つの例示的実施形態」を表す。用語「他の実施形態」は、「少なくとも1つの他の実施形態」を表す。用語「第1」、「第2」等は、異なるか又は同一の対象を示すことができる。以下の文中ではさらに、その他の明確な定義及び暗黙の定義が含まれる可能性がある。
【0012】
文中で使用される用語「因果関係」は、1つ又は複数の要因(因)と1つの現象又は結果(果)との間の関連を指すことができる。ある現象又は結果に影響を与える要因はいずれも、該現象又は結果の1つの要因である。
【0013】
文中で使用される用語である、製品の「属性」は、製品特有の、又はある状況で製品が有する性質を指すことができ、例えばサイズ、色、価格、材質等であるが、これらに限定されない。用語の「目標属性」は、因果関係の学習又は決定の際に、考慮されるか又は興味の対象となる1つの又は複数の属性を指す。
【0014】
文中で使用される用語「アウトプット量」は、一定期間内に製品が外部にアウトプットされる数であり得る。例えば、「アウトプット量」は、異なる適用場面に応じて、製品の販売量、カスタマイズ注文量、生産量等を表すことができる。用語「総アウトプット量」は一種の量を指すことができ、当該量は、複数種類又は複数の製品が一定期間内に外部にアウトプットされる状況を示すために用いられる。例えば、「総アウトプット量」は、異なる適用場面に応じて、複数種類又は複数の製品の一定期間内における総販売量、総売上高(又は総販売利益)、総カスタマイズ注文量、総カスタマイズ注文額、総生産量等を表すことができる。
【0015】
文中で使用される用語「処理(handle)」は、製品の設計、生産、販売等のうちの一つ又は複数を指すことができる。製品処理の実体は、製品に対し対応する処理を行う実体、例えば、販売実体、設計実体等であり得る。同様に、設計実体に対し製品のカスタマイズ注文を行う実体を、カスタマイズ注文実体と称し、販売実体から製品を購入する実体を、購入実体と称することができる。
【0016】
前述したように、複数種類の製品を同時処理(例えば、設計、生産又は販売)する実体は、製品に関する諸々の情報をより有効に利用することで、複数種類の製品の間でトレードオフを行い、効率又は収益を最大化することを望んでいる。あくまでも例示であるが、複数種類の製品を同時に販売する実体(例えば、小売市場)は、製品の販売状況に基づき、製品の価格設定戦略又は製品選択戦略等を策定することを望んでいるはずである。複数種類の製品を同時に設計する実体は、製品のカスタマイズ注文又は発注の状況に基づき、製品の変更(例えば、サイズ、色の変更)に関する戦略を策定することを望んでいるはずである。
【0017】
こうした需要に対応するために、一般的な解決手段では通常、シミュレーションモデリング方法により、アウトプット量又は総アウトプット量に関する予測モデルを取得する。そして、こうした予測モデルに基づき、複数種類の製品の属性を決定する。しかしながら、こうした一般的な解決手段は、単に数学的モデルに基づくもので、複数種類の製品とその属性との間の内在する関連性又は影響を考慮していない。
【0018】
本願の発明者は、製品の設計、生産、販売等の活動において一般的に、製品のいくつかの属性、例えばサイズ、色、価格等が、製品の人気、又はユーザの該製品に対する需要度等に影響を及ぼし、ひいては該製品のアウトプット量に影響を与えることに気付いた。また、異なる製品、特に、同じタイプの異なる製品の間では、互いに影響し合う状況も存在する。例えば、同じタイプの2種類の製品では、1つの種類の製品のサイズ、価格等がもう1つの製品の人気に影響を与える。
【0019】
よって、本願の発明者は、複数種類又は複数の製品の総アウトプット量を高めるために、製品のアウトプット量に影響を与える要因はどれか、これらの要因が影響を与える際の影響方式について、考慮する必要があると気付いた。決定された影響要因及び影響方式に基づき、さらに、複数の製品におけるコア製品を決定することができる。そして、対応する戦略を指定して総アウトプット量を高めることができる。例えば、本願の発明者は、全体的な売上高を伸ばすために、製品の販売量に影響を与える重大要因が何か、それがどのように影響するかについて、製品の販売実体が理解することで、コアバリューの製品を決定し、対応する戦略を策定して全体的な売上高を伸ばす必要があることに気付いた。
【0020】
本開示の実施形態によれば、製品分析及び製品調整のための解決手段が提供される。該解決手段では、さまざまなソースのデータを含む製品情報を処理し、自動化された因果関係学習技術を利用することで、製品のアウトプット量に関する因果関係を決定することができる。該因果関係は、製品のアウトプット量がどの要因の影響を受けるかを表す。そして因果関係に基づき、複数の製品におけるコア製品又は重要製品を決定することができる。例えば、コア製品又は重要製品は、複数の製品の総アウトプット量に対し比較的大きな影響を有する製品であり得る。さらに因果関係を利用して、コア製品又は重要製品に対する調整モード又は戦略を決定し、又は提供して、複数の製品を処理する全体効率又は収益を高め、ひいては最大化することができる。本開示の実施形態により、コア製品又は重要製品を決定することで、対象をより絞って製品を調整して、製品の処理効率又は収益を効果的に高めることができる。
【0021】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本開示の複数の実施形態を実現可能な例示的環境100の模式図を示す。該例示的環境100では、計算装置102により、複数の製品に関する製品情報110が処理されて、製品のアウトプット量に関する因果関係103と、少なくとも1つの目標製品に関する目標製品情報104とが決定される。
【0022】
製品情報は、複数の製品における各製品の一定期間内のアウトプット量及び目標属性を少なくとも含む。
図1において、例示的製品情報110の列111は異なる製品を表し、列112はアウトプット量を表し、列113は目標属性を表す。該例示的製品情報において、製品A~Eのアウトプット量(具体的にはアウトプット量の値)及び目標属性(具体的には該目標属性の値)が示されている。一定期間は、考慮されるか又は統計が行われる任意の長さの時間、例えば1日、1週間、1ヶ月、1つの四半期、1年等であり得る。製品情報110は表形式で示されているが、これはあくまでも例示であり、限定する意図はない。
【0023】
また、
図1の例示では、各製品は1つのアウトプット量のみと対応しているが、いくつかの実施形態において、アウトプット量をさらに細分化することができる。例えば、同一製品が複数の製品処理実体と関連付けられる場合、1つの製品(例えば、製品A)のアウトプット量は、複数の製品処理実体とそれぞれ対応するアウトプット量に細分化することができる。例えば、製品Aが複数の販売実体により販売される場合、該複数の販売実体がそれぞれ販売した販売量を含むようにアウトプット量1を細分化することができる。また例えば、製品Aが複数の実体によりカスタマイズ注文される場合、該複数の実体がそれぞれカスタマイズ注文した量を含むようにアウトプット量1を細分化することができる。
【0024】
1つの例示として、アウトプット量は製品A~Eの一定期間内の販売量であってよく、目標属性は製品A~Eの該一定期間内の価格であってよく、対応する総アウトプット量(図示せず)は製品A~Eの一定期間内の総売上高であってよい。該例示は、以下の文中において、製品販売例示とも称することができる。別の例示として、アウトプット量は製品A~Eの一定期間内のカスタマイズ注文量又は発注量であってよく、目標属性は製品A~Eのサイズ(例えば、ベッドの幅、高さ等)であってよく、対応する総アウトプット量(図示せず)は製品A~Eの一定期間内の総カスタマイズ注文量又は総発注量であってよい。該別の例示は、以下の文中において、製品設計例示とも称することができる。
【0025】
文中において、用語「複数の製品」は、異なるタイプの製品、同一タイプだが規格が異なる製品、又はそれらの組合せを指すことができる。あくまで1つの例示として、製品Aはダブルベッド、製品Bは製品Aとサイズが異なるダブルベッド、製品Cはシングルベッド、製品Dはクローゼット、製品Eはテレビ台等であってよい。また、さらに理解すべき点として、
図1では5つの製品A~Eのみが示されているが、これはあくまでも例示であり、限定する意図はない。本開示の実施形態によれば、より多くの、又はより少ない製品を含むことができる。また、いくつかの実施形態において、製品情報110はさらに、アウトプット量及び目標属性以外の他の情報、例えば履歴アウトプット状況、地理的位置情報等を含むことができる。これらについては後述する。
【0026】
因果関係103は、製品A~Eのそれぞれのアウトプット量に影響を与える要因を表し、又は説明することができる。このような要因は、製品A~Eの目標属性を少なくとも含む。目標製品情報104は、複数の製品A~Eにおいて総アウトプット量に影響を与える少なくとも1つの目標製品を表すことができ、該例示の目標製品は、製品A及び製品Cである。いくつかの実施形態において、目標製品は、計算装置102により因果関係103に基づき決定される。
【0027】
計算装置106は因果関係103及び目標製品情報104を取得して、目標製品A及びCについての調整情報105を決定することができる。調整情報105は、目標製品A及びCの目標属性に対する調整モードを少なくとも含むことができ、例えば目標属性の属性値に対する変更を含むことができる。調整情報105はさらに、調整モードと対応する総アウトプット量の変化を追加で含むことができる。上述の製品設計例示において、調整情報105は、目標製品A及びCに対するサイズ変更を含むことができ、さらに、変更により引き起こされる、予測される総カスタマイズ注文量の変化を追加で含むことができる。
【0028】
計算装置102及び106は、例えば固定式計算装置のような任意の適切な計算装置であってもよいし、移動電話、タブレットPC等の携帯型計算装置であってもよい。また、
図1では計算装置102及び106を分けて示したが、理解すべき点として、いくつかの実施形態において、計算装置102及び106は同一の計算装置であってよい。又は、以下の文中で計算装置102及び106を参照しながら個別に説明する動作又はモジュールは、同一の物理デバイスで実現されてもよい。
【0029】
以下、
図2を参照されたい。
図2は、本開示のいくつかの実施形態にかかる製品分析プロセス200のフローチャートを示す。プロセス200は、
図1の計算装置102により実現することができる。議論しやすいように、
図1と結び付けてプロセス200を説明する。
【0030】
ブロック210において、計算装置102は、複数の製品A~Eに関する製品情報110を取得する。製品情報110は、複数の製品A~Eにおける各製品の一定期間内のアウトプット量(例えば、列112)及び目標属性(例えば、列113)を少なくとも含む。アウトプット量は、対応する製品が該一定期間内に外部にアウトプットされる数を示す。製品販売例示では、製品情報110は、製品A~Eにおける各製品の1週間の販売量及び価格を少なくとも含むことができる。製品設計例示では、製品情報110は、製品A~Eにおける各製品の特徴サイズ及び1週間のカスタマイズ注文量を少なくとも含むことができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、製品情報110はさらに、目標属性以外の他の属性情報を含むことができる。例えば、目標属性が価格である場合、他の属性情報は、対応する製品の種類(例えば、寝具、キッチン用品)、特徴サイズ(長さ、幅、高さ)、色等を含むことができる。さらに例えば、目標属性がサイズである場合、他の属性情報は、対応する製品の種類(例えば、寝具、キッチン用品)、価格、色等を含むことができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、製品情報110はさらに、複数の製品A~Eに関する履歴情報、例えば複数の製品A~Eにおける各製品の該一定期間の前の履歴目標属性及び/又は履歴アウトプット量を含むことができる。例えば、製品販売例示について、週を単位として製品分析を行う場合、履歴情報は、複数の製品A~Eのその前の1週間、2週間又は3週間の価格及び販売量を含むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態において、製品情報110はさらに、複数の製品A~Eにおける各製品と関連付けられる位置情報を含むことができる。例えば、このような位置情報は、対応する製品を処理する実体の位置を示すことができ、及び/又はアウトプットされた製品を受け取る実体の位置を示すことができる。製品販売例示において、位置情報は、対応する製品の販売実体(例えば、小売市場)が所在する地理的位置、例えば所在都市の規模(1級都市か)、市場の具体的な所在地(例えば、市中か郊外か)を含むことができる。製品設計例示において、位置は、対応する製品を発注又はカスタマイズ注文する実体(例えば、個人、製品販売実体)が所在する地理的位置、及び/又は対応する製品の設計実体が所在する地理的位置等を含むことができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、製品情報110はさらに、複数の製品A~Eにおける少なくともいくつかの製品に関する操作(補助操作とも称することができる)の情報を含むことができる。このような操作は、外部への製品のアウトプットを促進するためのものである。製品設計例示において、このような情報は、複数の製品A~Eにおける1つ又は複数の製品が積極的にプロモーションされているか否かを含むことができ、例えば製品マニュアルにおいて前の方に掲載されているか、製品広告が投入されているか等を含むことができる。製品販売例示において、このような情報は、複数の製品A~Eにおける1つ又は複数の製品が販売促進されているか(例えば、割引)、販売場所に宣伝ポスターがあるか等を含むことができる。
【0035】
図3を参照されたい。
図3は、本開示のいくつかの実施形態にかかる製品分析及び調整の簡略化ブロック図を示す。ブロック210を参照して説明した製品情報を取得する動作は、例えばデータ収集モジュール301により実行することができる。例えば、データ収集モジュール301は、製品処理実体のデータベースから製品情報110の少なくとも一部をフェッチし、又は読み取ることができる。
【0036】
引き続き
図2を参照されたい。ブロック220において、計算装置102は製品情報110をデータ処理モデルに適用することで、アウトプット量に関する因果関係103を決定する。アウトプット量に関する因果関係103は、複数の製品A~Eにおける各製品のアウトプット量の、複数の製品A~Eそれぞれの目標属性に対する依存性を少なくとも示す。データ処理モデルは、因果関係(線形/非線形)学習技術に基づく任意の適切なモデルであってよい。データ処理モデルは、製品情報110を用いて因果関係を決定することができる任意の適切なモデルであってもよい。
【0037】
因果関係103は、製品のアウトプット量に影響を与える1つ又は複数の要因(重大要因とも称することができる)及びその影響方式を示すことができる。該1つ又は複数の要因は、製品の目標属性を少なくとも含む。製品情報110が他の情報を含む場合、該1つ又は複数の要因はさらに、目標属性以外の要因、例えば履歴アウトプット状況、地理的位置等を含むことができる。
【0038】
いくつかの実施形態において、計算装置102は、データ処理モデルに適用するために、製品情報110に対し前処理を行うことができる。製品情報110に対する前処理は、テキスト処理、特徴エンジニアリング(Feature engineering)又はそれらの組合せを含むことができる。以下、
図3を参照して、テキスト処理及び特徴エンジニアリングをそれぞれ説明する。
【0039】
テキスト処理モジュール302は、製品情報110におけるテキスト情報を処理して、対応する定量化表示(quantitative representation)又は特徴表示を取得するために用いることができる。例えば、上述した位置情報及び補助操作に関する情報は通常、テキスト形式で提供される。テキスト処理モジュール302は、位置情報に基づき、製品処理実体に関する定量化された特徴表示、例えば1つ又は複数の製品処理実体がどの種類の実体に属するか(例えば、該実体の規模の標識)を取得することができる。製品販売例示において、このような特徴表示は、1つ又は複数の製品処理実体が1級都市店鋪、2級都市店鋪等であるか否かを示すことができる。テキスト処理モジュール302は、補助操作に関する情報に基づき、特徴表示を決定することができる。該特徴表示は、1つ又は複数の製品が該一定期間(例えば、1週間)内にアウトプットを促進されたか、及び、促進の程度・規模を表す。製品販売例示において、このような特徴表示は、1つ又は複数の製品がその週で販売促進されたか否か、販売促進の程度・規模等を表すことができる。
【0040】
特徴エンジニアリングモジュール303は、製品情報110又は定量化された製品情報110に対しデータ分析を行い、物理的な意味を有する新たな特徴を発掘する。製品情報110が、複数の製品A~Eに関する履歴情報を含む実施形態では、特徴エンジニアリングモジュール303は、時系列特徴を生成することができる。時系列特徴は製品アウトプットの遅延特性を示し、又は説明することができる。例えば、製品設計例示において、該時系列特徴は、前の週の製品カスタマイズ注文量/サイズ、先々週の製品カスタマイズ注文量/サイズ等を含むことができる。また例えば、製品販売例示において、該時系列特徴は、前の週の製品販売量/価格、先々週の製品販売量/価格等を含むことができる。
【0041】
製品情報110が履歴アウトプット量を含む場合、特徴エンジニアリングモジュール303は、履歴アウトプット量と該一定期間(即ち、考慮される期間)のアウトプット量との比較に基づき、該一定期間の期間特性を標識することができる。期間特性は、該一定期間が外部に対して製品をアウトプットするピーク期間であるか否かを示すことができる。例を挙げると、該一定期間において一定比率を超える製品のアウトプット量が、いずれも履歴アウトプット量より多い場合、該一定期間はピーク期間として標識することができる。例えば、特徴エンジニアリングモジュール303は特殊期間マーキングを行うことができる。このような特殊期間は例えば、公休日と対応する期間(例えば、国慶節のゴールデンウイーク)、製品処理実体に関する特別期間(例えば、販売実体の周年記念)等を含むことができる。このような実施形態において、因果関係学習モジュール304は、標識された期間特性に基づき、複数の製品A~Eにおける各製品のアウトプット量の期間依存性を決定することができる。例えば、後述する表400の列409を参照されたい。
【0042】
製品情報110が位置情報を含む場合、特徴エンジニアリングモジュール303は複数の製品A~Eにおける少なくともいくつかの製品のアウトプット量に基づき、位置情報が示す複数の地理的位置をクラスタリングすることができる。クラスタリングにより、製品の処理実体と関連付けられるクラスタリングマークを取得することができる。例えば、特徴エンジニアリングモジュール303は、複数の製品A~Eのうちアウトプット量が閾値より高いか又はアウトプット量の順位が高い製品の情報に基づき、クラスタリングすることができる。製品販売例示では、販売実体についてクラスタリングを行うことができる。クラスタリングの結果は、販売実体が第1類店鋪(例えば、新店鋪に対応)、第2類店鋪(例えば、旗艦店のような特殊店鋪に対応)等のうちどれに属するかを示すことができる。製品設計例示では、カスタマイズ注文実体についてクラスタリングを行うことができる。クラスタリングの結果は、カスタマイズ注文実体が第1類実体(例えば、個人に対応)、第2類実体(例えば、団体、組織等に対応)等のうちどれに属するかを示すことができる。このような実施形態において、因果関係学習モジュール304はクラスタリングの結果に基づき、複数の製品A~Eにおける少なくともいくつかの製品のアウトプット量の位置依存性を決定することができる。例えば、後述する表400の列406及び407を参考されたい。
【0043】
因果関係学習モジュール304は製品情報110又は前処理をした製品情報110に基づき、任意の適切な因果関係学習技術を利用して、製品のアウトプット量に関する因果関係103を決定する。因果関係103は、製品のアウトプット量に影響を与える重大要因及びその影響方式を示すことができる。
【0044】
図4は、本開示のいくつかの実施形態にかかる因果関係の例示を表す表400を示す。表400はあくまでも例示であり、限定する意図はない。因果関係103は、表400に示されたものより少ないか、又はそれより多い依存性を示すことができる。また、因果関係103は、表以外の他の形式で依存性を示すこともできる。
【0045】
いくつかの実施形態において、因果関係103は例えば表400の列401~405のみを含むことができる。列401~405は、製品の目標属性に対する、製品のアウトプット量の依存性を示す。製品情報110が履歴アウトプット量を含む場合、因果関係103は追加で列406、407等を含むことができる。製品情報110が位置情報を含み、且つ/又は位置情報に対し特徴エンジニアリング処理(特徴エンジニアリングモジュール303を参照して上述したもの)を行う場合、因果関係103は追加で、関連実体(例えば、処理実体、カスタマイズ注文実体)に対する、製品のアウトプット量の依存性を表す列408を含むことができる。製品情報110における履歴アウトプット量について特徴の抽出を行う場合、因果関係103は追加で列409を含むことができる。列409は、考慮される一定期間がピーク期間(例えば、国慶節ゴールデンウィーク)であるか否かに対する、製品のアウトプット量の依存性を示す。
【0046】
表400において空白でない要素は、対応するアウトプット量が、対応する要因(重大要因と称する)に依存していることを示す。数値である要素(例えば、要素411)は、対応する「要因」が「結果」に対し線形の影響を有することを示すことができ、式である要素(例えば、要素412)は、対応する「要因」が「結果」に対し非線形の影響を有することを示すことができる。例示として、製品Aのアウトプット量について言えば、重大要因は、製品Aの目標属性と、製品Bの目標属性と、先週の製品Aの目標属性と、関連実体が第1類実体であるか否かとを含む。製品Aの目標属性(例えば、価格)は、製品Aのアウトプット量に対し線形の影響であり、即ち、目標属性が1で変化するごとに、アウトプット量は-0.5で変化するが、製品Bの目標属性は、製品Aのアウトプット量に対し非線形の影響であり、影響関係は、非線形の関係を表すF_21()である。表400における他の要素は同様の意味を有し、ここでは詳細に説明しない。また、表400において空白の要素は、対応するアウトプット量が、対応する要素に依存しないことを示しており、例えば製品Aのアウトプット量は製品Cの目標属性に依存しない。
【0047】
引き続き
図2を参照すると、ブロック230において、計算装置102は因果関係103に基づき、複数の製品A~Eの中から、複数の製品A~Eの総アウトプット量に影響を与える少なくとも1つの目標製品を決定する。例えば、
図1の例示では、製品A及び製品Cが目標製品として決定される。目標製品は、その目標属性が他の複数種類の製品のアウトプット量に対し一定の影響を有するコアバリューの製品であるとみなすことができる。
【0048】
複数の製品A~Eの中から少なくとも1つの目標製品を決定することは、1つ又は複数の基準に基づくことができる。いくつかの実施形態において、このような基準は、製品のアウトプット量(及び/又はアウトプット度量)の総アウトプット量に占める比率が閾値の比率を超えているか否かを含むことができる。該比率が閾値の比率を超えた製品を、目標製品の候補として選択することができる。
【0049】
選択的に又は追加で、いくつかの実施形態において、このような基準はさらに、複数の製品A~Eにおいて、ある製品の目標属性にアウトプット量が依存する他の製品の数が、閾値の数を超えているか否か、言い換えると、ある製品の目標属性の影響を受ける他の製品の数が閾値の数を超えているか否かを含むことができる。該数が閾値の数を超える製品を、目標製品の候補として選択することができる。
図4の例示において、製品Aの目標属性の影響を受ける他の製品は、製品B、製品D及び製品Eを含む。
【0050】
例えば、計算装置102において、例えば
図3に示す目標製品決定モジュール305は、複数の製品A~Eにおける、ある製品、いくつかの製品又は各製品について、因果関係103が示す依存性に基づき、アウトプット量が該製品の目標属性に依存する他の製品の数を決定することができる。該数が閾値の数を超えていれば、目標製品決定モジュール305は該製品を、候補製品の集合における候補製品として決定することができる。
【0051】
選択的に又は追加で、いくつかの実施形態において、このような基準はさらに、製品の目標属性に所定の変化が発生することによる総アウトプット量の変化が、閾値の変化を超えているか否かを含むことができる。該総アウトプット量の変化が閾値の変化を超える製品を、目標製品の候補として選択することができる。製品販売例示において、該基準は、ある製品の値下げ又は割引(例えば、1割引)時の複数の製品A~Eの総売上高の変化が、閾値の変化を超えているか否かを含むことができる。製品設計例示において、該基準は、ある製品のサイズが一定比率(例えば、10%)で変更された場合の複数の製品A~Eの総カスタマイズ注文量の変化が、閾値の変化を超えているか否かを含むことができる。目標製品決定モジュール305は、因果関係学習モジュール304が出力する因果関係103を利用して、総アウトプット量の変化を決定し、又は予測することができる。
【0052】
例えば、目標製品決定モジュール305は、複数の製品A~Eにおけるある製品、いくつかの製品又は各製品について、因果関係103が示す依存性に基づき、該製品の目標属性に所定の変化が発生することによる総アウトプット量の変化を決定することができる。該総アウトプット量の変化が閾値の変化を超えている場合、該製品を、候補製品の集合における候補製品として決定することができる。
【0053】
以上の複数の基準は、単独で使用し、又は併せて使用することができる。併せて使用する場合、目標製品決定モジュール305は、該複数の基準を並行して用いることができる。例えば、目標製品決定モジュール305は、上述の複数の基準をそれぞれ適用して複数の候補製品の集合を決定してから、該複数の候補製品の集合の共通部分における候補製品を目標製品として決定することができる。併せて使用する場合、選択的に、目標製品決定モジュール305は、該複数の基準を順に使用することができる。例えば、目標製品決定モジュール305はまず、1つの基準を適用して複数の製品A~Eの中から該基準を満たさない1つ又は複数の製品を除去し、その後、残りの製品に対して別の基準を適用して、目標製品を決定することができる。
【0054】
あくまで例示であるが、製品販売例示において、製品売上高に占める割合が高く(例えば、5%より高く)、製品価格が他の製品の販売量に影響し(例えば、10種類より多い)、且つ製品価格の割引(例えば、1割引)後に総売上高の増加量が多くなる(例えば、ベスト3になるか又は閾値を超える)製品を、目標製品又はコアバリューの製品として考慮することができる。また、理解すべき点として、上述の説明で挙げた割引、サイズ変更の具体的な値は、あくまでも例示であり、限定する意図はなく、本開示の範囲内には、任意の適切な割引、サイズ変更が含まれる。
【0055】
いくつかの実施形態において、計算装置102は、複数の製品A~Eと関連付けられる対象に対し、少なくとも1つの目標製品に関する情報を提供することができる。少なくとも1つの目標製品に関する情報は、目標製品がどの製品か又はどの複数の製品かを含むことができ、さらに、例えば目標製品の目標属性の影響を受ける他の製品の数又はそれらの製品はどれか、目標製品の目標属性に所定の変更が生じたことによる総アウトプット量の変化等の他の情報を含むことができる。複数の製品A~Eに関連付けられる対象は、複数の製品A~Eの処理実体、例えば販売実体、設計実体等を含むことができる。
【0056】
以上、
図1~
図4を参照して、情報処理を行って製品を分析するいくつかの実施形態について説明した。これらの実施形態では、異なるソースデータを含む製品情報を処理し、自動化された因果関係学習技術を利用することで、複数の製品におけるコア製品又は重要製品を決定することができる。コア製品又は重要製品に関する情報は、製品処理実体に対し、指針又は参考として提供することができる。例えば、製品処理実体は、コア製品又は重要製品の情報に基づき戦略を策定又は調整することで、効率又は収益を改善し、ひいては最大化することができる。例えば、製品設計例示において、製品設計実体は、コア製品又は重要製品のサイズ設計面において、より多くのコストを投じることができる。また例えば、製品販売例示において、製品販売実体はコア製品又は重要製品の価格を調整することで、総売上高を増やすことができる。
【0057】
本開示のいくつかの実施形態では、情報処理により製品の目標属性を調整することができる。
図5は、本開示のいくつかの実施形態にかかる製品調整プロセス500のフローチャートを示す。プロセス500は、
図1の計算装置106により実現することができる。議論しやすいように、
図1と結び付けるとともに追加で
図3と結び付けて、プロセス500を説明する。
【0058】
ブロック510において、計算装置106は、複数の製品A~Eのアウトプット量に関する因果関係103を取得する。因果関係103は、複数の製品A~Eにおける各製品のアウトプット量の、複数の製品A~Eそれぞれの目標属性に対する依存性を少なくとも示し、アウトプット量は、対応する製品が一定期間内に外部にアウトプットされる数を示す。ここで説明する因果関係は、上述したプロセス200に関して説明したものと同じであるため、詳細に論じない。
【0059】
いくつかの実施形態において、計算装置106は、他のデバイス(例えば計算装置102)又はデータソースから、複数の製品A~Eのアウトプット量に関する因果関係103を受け取ることができる。例えば、計算装置106において実現される調整情報決定モジュール306は、因果関係学習モジュール304から因果関係103を受け取ることができる。いくつかの実施形態において、計算装置106は、上述したプロセス200を実行することで、因果関係を決定することができる。
【0060】
ブロック520において、計算装置106は複数の製品A~Eの中から、複数の製品A~Eの総アウトプット量に影響を与える少なくとも1つの目標製品を決定する。目標製品は、プロセス200に関し上述したように、その目標属性が他の複数種類の製品のアウトプット量に対し一定の影響を有するコア製品又は重要製品であるとみなすことができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、計算装置106は、ブロック230を参照して上述したように、少なくとも1つの目標製品を決定することができる。例えば、計算装置106は、ブロック230を参照して説明した基準のうち1つ又は複数の基準を利用して、目標製品を決定することができる。
【0062】
いくつかの実施形態において、計算装置106は、因果関係以外の他の情報に基づき、目標製品を決定することができる。例えば、計算装置106は、製品のアウトプット量が前記総アウトプット量に占める比率が閾値の比率を超えているか否かのみに基づき、目標製品を決定することができる。いくつかの実施形態において、計算装置106は、例えば計算装置102から、複数の製品A~Eにおける目標製品についての決定を受け取ることができる。
【0063】
ブロック530において、計算装置106は因果関係103に基づき、少なくとも1つの目標製品A及びCの目標属性についての調整情報105を決定する。
図1での例示に対し、調整情報105は、目標製品A及びCの目標属性に対する調整モード、例えば目標属性の属性値に対する変更を少なくとも含むことができる。調整情報105はさらに、調整モードと対応する総アウトプット量の変化を追加で含むことができる。製品設計例示において、調整情報105は、目標製品A及びCのサイズに対する変更を含むことができ、さらに、変更によって引き起こされる、予測される総カスタマイズ注文量の変化を追加で含むことができる。製品販売例示において、調整情報105は、目標製品A及びCの価格に対する変更(例えば、割引がそれぞれどのくらいか)を含むことができ、さらに、該変更によって引き起こされる、予測される総売上高の変化を追加で含むことができる。
【0064】
いくつかの実施形態において、計算装置106(例えば、調整情報提供モジュール307)は、調整情報105を、複数の製品A~Eと関連付けられる対象に提供して、関連付けられる対象が、少なくとも1つの目標製品に対して、調整情報105により示される調整、例えば、目標製品のサイズ調整、目標製品の割引等を適用することができるようにする。いくつかの実施形態において、計算装置106はさらに、調整が適用された後の、複数の製品A~Eにおける各製品の調整後のアウトプット量を取得することができる。計算装置106は、調整後のアウトプット量をデータ処理モデル(例えば、プロセス200で説明した因果関係学習モデル)に適用することで、因果関係を更新するか、又は因果関係モデルをさらに補正することができる。例えば、調整情報提供モジュール307は、関連付けられる対象から、調整後のアウトプット量を取得し、調整後のアウトプット量を、因果関係を更新するためにデータ収集モジュール301に伝達することができる。
【0065】
ブロック530において、計算装置106は複数の方法により調整情報105を決定することができる。いくつかの実施形態において、計算装置106は、少なくとも1つの目標製品に対する異なる調整モード(戦略とも称することができる)を比較することができる。
図6Aを参照されたい。
図6Aは、本開示のいくつかの実施形態にかかる調整情報を決定するプロセス601のフローチャートを示す。プロセス601は、ブロック530の1つの具体的な実現形態であるとみなすことができる。
【0066】
ブロック610において、計算装置106(例えば、調整情報決定モジュール306)は、少なくとも1つの目標製品についての複数の調整モード又は戦略を取得する。複数の調整モードにおける各調整モードは、少なくとも1つの目標製品の目標属性に対する変更を含む。例えば、複数の調整モードにおける1つの調整モードは、目標製品Aの目標属性に対し、例えばサイズの減少率又は増加率、値下げ率又は値上げ率等のどの変更を行うかを含むことができ、同時に、目標製品Bの目標属性をそのまま変えないことができる。複数の調整モードにおける別の調整モードは、目標製品A及びBの目標属性に対しそれぞれどのような変更を行うか、を含むことができる。複数の調整モードにおけるさらに別の調整モードは、目標製品Bの目標属性に対しどのような変更を行うかを含むことができ、同時に、目標製品Aの目標属性をそのまま変えないことができる。
【0067】
いくつかの実施形態において、計算装置106は、複数の製品A~Eと関連付けられる対象に、少なくとも1つの目標製品に関する情報を提供し、関連付けられる対象から、前記複数の調整モードの少なくとも一部を取得することができる。少なくとも1つの目標製品の情報及び関連付けられる対象は、
図2を参照して上述したとおりである。関連付けられる対象から取得した調整モードは、関連付けられる対象が目標製品の情報に基づき策定した1つ又は複数の戦略であり得る。
【0068】
選択的に又は追加で、いくつかの実施形態において、計算装置106は、目標製品についての1つ又は複数の調整モードを自主的に決定することができる。例えば、計算装置106は、目標属性に対する異なる変更(又はそのまま変えないこと)と、異なる目標製品の配列とを組み合わせて、1つ又は複数の調整モードを生成することができる。例えば、製品販売例示において、異なる変更は、価格変更なし、1割引き、2割引等を含むことができる。
【0069】
ブロック620において、計算装置106は、因果関係103が示す依存性に基づき、変更により引き起こされる総アウトプット量の変化の複数の予測値を、調整情報105の少なくとも一部として決定することができる。各予測値は、複数の調整モードのうちの1つの調整モードに対応する。計算装置106は、学習した因果関係を利用して、異なる調整モード又は戦略での総アウトプット量の変化を予測することで、最適な戦略と、対応する総アウトプット量の値(絶対値又は相対値)とを取得する。
【0070】
例えば、製品販売例示において、複数の調整モード又は戦略は、目標製品Aを1割引にして目標製品Bをそのまま変えない調整モード1と、目標製品Aを2割引にして目標製品Bをそのまま変えない調整モード2と、目標製品A及びBをどちらも1割引にする調整モード3とを含むことができる。因果関係103を利用することで、調整モード1では総売上高が8万増加し、調整モード2では総売上高が7.8万増加し、調整モード3では総売上高が7.3万増加すると決定することができる。計算装置102は、異なる調整モード又は戦略と対応する予測される総アウトプット量の変化を、調整情報105の少なくとも一部として、例えば製品販売実体又は製品設計実体のような、関連付けられる対象に提供することができる。理解すべき点として、上述した調整モード及びそこに含まれる変更(例えば、具体的な割引)は、あくまでも例示であり、限定する意図はない。
【0071】
いくつかの実施形態では、ブロック630において、計算装置106は複数の予測値に基づき、複数の調整モードの中から、前記少なくとも1つの目標製品に適用する調整モードを選択することができる。例えば、計算装置106は、総アウトプット量の順方向の変化が最大である調整モデルを、適用する調整モードとして決定することができる。上述した例示に対し、計算装置106は、調整モード1を、適用する調整モードとして選択することができる。
【0072】
ブロック530において、いくつかの実施形態では、計算装置106は最適化学習により、調整モードを決定して調整情報を生成することができる。
図6Bを参照されたい。
図6Bは、本開示のいくつかの実施形態にかかる調整情報を決定する別のプロセス602のフローチャートを示す。プロセス602は、ブロック530の1つの具体的な実現であるとみなすことができる。
【0073】
ブロック660において、計算装置106は、因果関係103に基づき、少なくとも1つの目標製品A及びCの目標属性に基づき変化する総アウトプット量の変化を決定する。例えば、計算装置106は、学習した因果関係103を利用して、少なくとも1つの目標のアウトプット量の予測式をさらに学習する。さらに、目標製品A及びCの目標属性を引数とした総アウトプット量の変化の式を取得することができる。
【0074】
ブロック670において、計算装置106は、総アウトプット量の変化を最大化することにより、少なくとも1つの目標製品A及びCの目標属性に対する変更を、調整情報105の少なくとも一部として決定することができる。例えば、計算装置106は、所与の制約条件の下で、総アウトプット量の変化の式により表される総アウトプット量の変化を最大化することで、効率又は収益を最大化する調整モード、例えば最適なサイズの組合せ又は最適な定価の組合せを決定することができる。
【0075】
以上、
図5、
図6A及び
図6Bを参照して、目標製品の目標属性の調整情報についてのプロセスを説明した。このような実施形態では、因果関係を利用して、コア製品又は重要製品に対する対応戦略を策定することで、複数の製品を処理する全体効率又は収益を高め、ひいては最大化することができる。
【0076】
上述した内容では、
図2及び
図5をそれぞれ参照してプロセス200及び500を説明したが、理解すべき点として、いくつかの実施形態において、プロセス200及び500は1つのプロセスとして合併することができる。
【0077】
図7は、本開示の実施形態を実施可能な例示的デバイス700のブロック模式図を示す。図に示すように、デバイス700は、中央処理ユニット(CPU)701を含む。CPU701は、リードオンリーメモリ(ROM)702に記憶されたコンピュータプログラムの指令、又は記憶ユニット708からランダムアクセスメモリ(RAM)703にロードされたコンピュータプログラムの指令に基づき、各種の適切な動作及び処理を実行することができる。RAM703にはさらに、デバイス700の操作に必要な各種プログラム及びデータを記憶することができる。CPU701、ROM702及びRAM703はバス704を介して互いに接続されている。入力/出力(I/O)ポート705もバス704に接続されている。
【0078】
デバイス700における複数の部材は、I/Oポート705に接続されている。複数の部材には、キーボード、マウス等の入力ユニット706、様々な種類のディスプレイ、スピーカ等の出力ユニット707、磁気ディスク、光ディスク等の記憶ユニット708、及びネットワーク・インタフェース・カード、モデム、無線通信送受信機等の通信ユニット709が含まれる。通信ユニット709によって、デバイス700は、インターネットのようなコンピュータネットワーク及び/又は各種電信ネットワークを介して、他のデバイスと情報/データを交換することができる。
【0079】
処理ユニット701は、上述した各方法及び処理、例えばプロセス200、500、601、602のうちのいずれか1つを実行する。例えば、いくつかの実施形態において、プロセス200、500、601、602のうちのいずれか1つは、コンピュータソフトウェアプログラム又はコンピュータプログラム製品として実現可能であり、記憶ユニット708のようなデバイスで読み取り可能な媒体に、有形記憶されている。いくつかの実施形態において、コンピュータプログラムの一部又は全部は、ROM702及び/又は通信ユニット709を経由してデバイス700にロード及び/又はインストールすることができる。コンピュータプログラムがRAM703にロードされCPU701により実行されると、上述したプロセス200、500、601、602のうちのいずれか1つの一つ又は複数のステップを実行することができる。選択的に、その他の実施形態において、その他任意の適切な方法(例えば、ファームウェアを利用)によって、CPU701がプロセス200、500、601、602のうちのいずれか1つを実行するように配置してもよい。
【0080】
本開示のいくつかの実施形態によれば、コンピュータ可読媒体が提供される。コンピュータ可読媒体には、コンピュータプログラムが記憶されており、該プログラムは、デバイスにより実行された場合に、本開示の方法を実現する。
【0081】
当業者が理解すべき点として、上述した本開示の方法の各ステップは、汎用の計算装置により実現することができ、それらを単一の計算装置に集中させるか、又は複数の計算装置からなるネットワークに分散させることができる。オプションとして、本開示の方法の各ステップは、計算装置が実行可能なプログラムコードを用いて実現することができるため、それらを記憶装置に記憶して計算装置により実行するか、又は、それらを個別に各集積回路モジュールとして形成するか、又はそれらのうちの複数のモジュール又はステップを、単一の集積回路モジュールとして形成して実現することができる。このように、本開示は、何らかの特定のハードウェア及びソフトウェアの結合に限定されない。
【0082】
理解すべき点として、上述の詳細な説明において、デバイスの複数の装置又はサブ的な装置に言及したが、こうした分割はあくまで例示的で非強制的なものである。実際には、本開示の実施形態に基づき、上述した2つ又はより多くの装置の特徴及び機能を、1つの装置において具現化することができる。逆に、上述した1つの装置の特徴及び機能を、複数の装置で具現化するようにさらに分割することができる。
【0083】
以上で述べた内容は、本開示の好ましい実施形態にすぎず、本開示を限定するものではない。当業者にとって、本開示には各種の修正及び変更が存在し得る。本開示の精神及び原則において行われるあらゆる補正、等価置換、改良等は、いずれも本開示の保護範囲内に含まれるべきである。