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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/34 20060101AFI20250408BHJP
【FI】
H01L23/34 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021097157
(22)【出願日】2021-06-10
(65)【公開番号】P2022188893
(43)【公開日】2022-12-22
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】金田 達志
(72)【発明者】
【氏名】大森 弘貴
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-004796(JP,A)
【文献】特開2015-162516(JP,A)
【文献】特開2019-169666(JP,A)
【文献】特開2019-071399(JP,A)
【文献】特開2004-006603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に設けられた第1回路パターンと、
前記基板の上に設けられた第2回路パターンと、
前記基板の上に設けられた第3回路パターンと、
前記第3回路パターンの上に設けられ、前記第3回路パターンに対向する第1面と、前記第1面とは反対の第2面と、前記第1面に設けられた第1電極と、前記第2面に設けられた第2電極とを有する第1半導体チップと、
金属板と、
を有し、
前記第1半導体チップは、前記第2面にゲート電極パッドを有するトランジスタチップであり、
前記第3回路パターンは、前記第1回路パターンと前記第2回路パターンとの間に設けられており、
前記第1電極は、前記第3回路パターンに接合され、
前記金属板は、前記第1回路パターン、前記第2回路パターン及び前記第2電極に接合され
前記第2面に垂直な平面視で、
前記第1半導体チップは、
互いに平行な第1辺および第2辺と、
前記第1辺および前記第2辺につながり、互いに平行な第3辺および第4辺と、
を有し、
前記金属板は、前記第3辺および前記第4辺と重なり、
前記ゲート電極パッドは、前記金属板と前記第2辺との間にある半導体装置。
【請求項2】
前記第3回路パターンの上に設けられ、第3電極と第4電極とを有する第2半導体チップを有し、
前記第3電極は、前記第3回路パターンに接合され、
前記金属板は、前記第4電極にも接合されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2半導体チップは、トランジスタチップまたはダイオードチップである請求項に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3回路パターンの上に設けられ、第3電極と第4電極とを有する第2半導体チップを有し、
前記第2半導体チップは、ダイオードチップであり、
前記第3電極は、前記第3回路パターンに接合され、
前記金属板は、前記第4電極にも接合されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2半導体チップは、炭化珪素半導体チップである請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1回路パターンに電気的に接続されたソース用の第1外部端子と、
前記第2回路パターンに電気的に接続されたケルビンソース用の第2外部端子と、
を有する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記金属板は、
前記第1回路パターンに接合される第1接合面と、
前記第2回路パターンに接合される第2接合面と、
前記第2電極に接合される第3接合面と、
前記第1接合面と前記第3接合面とをつなぐ第1連結部と、
前記第2接合面と前記第3接合面とをつなぐ第2連結部と、
を有する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1接合面の面積は、前記第2接合面の面積よりも大きい請求項に記載の半導体装置。
【請求項9】
平面視で、
前記金属板は、第1方向に延び、
前記第1半導体チップは、
前記第1方向に平行な第1辺及び第2辺と、
前記第1方向に垂直な第3辺及び第4辺と、
を有し、
前記第1辺及び前記第2辺の長さが、前記第3辺及び前記第4辺の長さ未満である請求項1から請求項のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1半導体チップは、炭化珪素半導体チップである請求項1から請求項のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記金属板は、単一の金属板である請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記基板の上に設けられた第4回路パターンと、
前記ゲート電極パッドと前記第4回路パターンとを接続するボンディングワイヤと、
を有する請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーモジュールに用いられる半導体装置として、半導体チップの電極に金属板が接続された半導体装置が提案されている(例えば特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-162773号公報
【文献】特開2000-156439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体装置では、半導体チップで発生した熱を十分に排出することができず、半導体チップの温度が過度に上昇するおそれがある。
【0005】
本開示は、半導体チップで発生した熱を排出しやすくできる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、基板と、前記基板の上に設けられた第1回路パターンと、前記基板の上に設けられた第2回路パターンと、前記基板の上に設けられた第3回路パターンと、前記第3回路パターンの上に設けられ、第1電極と第2電極とを有する第1半導体チップと、金属板と、を有し、前記第1電極は、前記第3回路パターンに接合され、前記金属板は、前記第1回路パターン、前記第2回路パターン及び前記第2電極に接合されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、半導体チップで発生した熱を排出しやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。
図2図2は、第1実施形態における第1半導体チップ及び第2半導体チップを示す上面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図4図4は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置を示す断面図である。
図5図5は、第2実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。
図6図6は、第2実施形態における第1半導体チップ及び第2半導体チップを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一又は対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置は、基板と、前記基板の上に設けられた第1回路パターンと、前記基板の上に設けられた第2回路パターンと、前記基板の上に設けられた第3回路パターンと、前記第3回路パターンの上に設けられ、第1電極と第2電極とを有する第1半導体チップと、金属板と、を有し、前記第1電極は、前記第3回路パターンに接合され、前記金属板は、前記第1回路パターン、前記第2回路パターン及び前記第2電極に接合されている。
【0012】
金属板が第1回路パターン、第2回路パターン及び第2電極に接合されているため、第2電極と、第1回路パターン及び第2回路パターンとが電気的に接続される。従って、第2電極と、第1回路パターン及び第2回路パターンのとの間で信号が伝達される。また、第1半導体チップで発生した熱は、第2電極から金属板を通じて第1回路パターン及び第2回路パターンの両方に伝達される。従って、金属板が第1回路パターン又は第2回路パターンのいずれかに接合されていない場合と比較して、第1半導体チップで発生した熱を排出しやすくできる。
【0013】
〔2〕 〔1〕において、前記第3回路パターンは、前記第1回路パターンと前記第2回路パターンとの間に設けられていてもよい。この場合、半導体チップで発生した熱の排出方向が、互いに反対を向く2方向となるため、熱をより排出しやすくできる。
【0014】
〔3〕 〔1〕又は〔2〕において、前記第1半導体チップは、トランジスタチップ又はダイオードチップであってもよい。第1半導体チップに用いられるトランジスタチップ又はダイオードチップにおける発熱量が大きい場合でも、熱を排出しやすく、発熱に伴う故障等を抑制できる。
【0015】
〔4〕 〔1〕~〔3〕において、前記第3回路パターンの上に設けられ、第3電極と第4電極とを有する第2半導体チップを有し、前記第3電極は、前記第3回路パターンに接合され、前記金属板は、前記第4電極にも接合されていてもよい。この場合、第2半導体チップで発生した熱も排出しやすくできる。更に、第1半導体チップと第2半導体チップとの間での排熱効率のばらつきを低減できる。特に、第1半導体チップ及び第2半導体チップが同種であって、同程度に発熱する場合、第1半導体チップ及び第2半導体チップの間での温度差を低減して、一方が故障しやすくなるような状況を回避しやすくできる。
【0016】
〔5〕 〔4〕において、前記第2半導体チップは、トランジスタチップまたはダイオードチップであってもよい。第2半導体チップに用いられるトランジスタチップ又はダイオードチップにおける発熱量が大きい場合でも、熱を排出しやすく、発熱に伴う故障等を抑制できる。
【0017】
〔6〕 〔1〕~〔5〕において、前記第2半導体チップは、炭化珪素半導体チップであってもよい。この場合、第2半導体チップに優れた耐圧が得られる。また、炭化珪素半導体チップの発熱量が大きい場合であっても、第2半導体チップで発生した熱を排出しやすく、発熱に伴う故障等を抑制できる。
【0018】
〔7〕 〔1〕~〔6〕において、前記第1回路パターンに電気的に接続されたソース用の第1外部端子と、前記第2回路パターンに電気的に接続されたケルビンソース用の第2外部端子と、を有してもよい。この場合、第2電極をソース電極として用いることができる。
【0019】
〔8〕 〔1〕~〔7〕において、前記金属板は、前記第1回路パターンに接合される第1接合面と、前記第2回路パターンに接合される第2接合面と、前記第2電極に接合される第3接合面と、前記第1接合面と前記第3接合面とをつなぐ第1連結部と、前記第2接合面と前記第3接合面とをつなぐ第2連結部と、を有してもよい。この場合、例えば、金属板を曲げ加工等により簡易に形成することができる。
【0020】
〔9〕 〔8〕において、前記第1接合面の面積は、前記第2接合面の面積よりも大きくてもよい。この場合、第1回路パターンを流れる電流の量を、第2回路パターンを流れる電流の量よりも多くできる。
【0021】
〔10〕 〔1〕~〔9〕において、平面視で、前記金属板は、第1方向に延び、前記第1半導体チップは、前記第1方向に平行な第1辺及び第2辺と、前記第1方向に垂直な第3辺及び第4辺と、を有し、前記第1辺及び前記第2辺の長さが、前記第3辺及び前記第4辺の長さ未満であってもよい。この場合、第1辺及び第2辺よりも長い第3辺及び第4辺が、金属板が延びる第1方向に垂直であるため、第1半導体チップで発生した熱を排出しやすい。
【0022】
〔11〕 〔1〕~〔10〕において、前記第1半導体チップは、炭化珪素半導体チップであってもよい。この場合、第1半導体チップに優れた耐圧が得られる。また、炭化珪素半導体チップの発熱量が大きい場合であっても、第1半導体チップで発生した熱を排出しやすく、発熱に伴う故障等を抑制できる。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。本明細書及び図面において、X1-X2方向、Y1-Y2方向、Z1-Z2方向を相互に直交する方向とする。X1-X2方向及びY1-Y2方向を含む面をXY面とし、Y1-Y2方向及びZ1-Z2方向を含む面をYZ面とし、Z1-Z2方向及びX1-X2方向を含む面をZX面とする。便宜上、Z1方向を上方向、Z2方向を下方向とする。また、本開示において平面視とは、Z1側から対象物を視ることをいう。Y1-Y2方向は第1方向の一例であり、X1-X2方向は第2方向の一例である。
【0024】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。第1実施形態は半導体装置に関する。図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。図2は、第1実施形態における第1半導体チップ及び第2半導体チップを示す上面図である。図3は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。図3は、図1中のIII-III線に沿った断面図に相当する。
【0025】
図1図3に示すように、第1実施形態に係る半導体装置1は、主として、第1半導体チップ100と、第2半導体チップ200と、金属板300と、放熱板400と、基板500と、ケース600を有する。
【0026】
放熱板400は、Z1側の面401と、Z2側の面402とを備え、面401の上方に、基板500が設けられている。例えば、放熱板400は、ニッケル(Ni)めっき膜が形成された銅(Cu)板である。
【0027】
基板500は、絶縁性の基材510と、第1回路パターン521と、第2回路パターン522と、第3回路パターン523と、第4回路パターン524と、導電層530とを有する。基材510は、例えば窒化シリコン(Si)等のセラミック製であり、Z1側の面511と、Z2側の面512とを備える。第1回路パターン521、第2回路パターン522、第3回路パターン523及び第4回路パターン524は、基材510の面511に形成されている。図3に示す断面において、第3回路パターン523は第1回路パターン521のY2側に配置され、第4回路パターン524は第3回路パターン523のY2側に配置され、第2回路パターン522は第4回路パターン524のY2側に配置されている。つまり、第3回路パターン523は、第1回路パターン521と第2回路パターン522との間に配置されている。導電層530は、基材510の面512に形成されている。導電層530は、概ね面512の全体にわたって設けられていてもよい。導電層530ははんだ等の接合材50により放熱板400に接合されている。例えば、第1回路パターン521、第2回路パターン522、第3回路パターン523、第4回路パターン524及び導電層530は、銅層である。例えば、接合材12は、スズ(Sn)-銀(Ag)-銅(Cu)系はんだ又はスズ(Sn)-アンチモン(Sb)系はんだ等である。
【0028】
基板500の上に第1半導体チップ100及び第2半導体チップ200が実装されている。例えば、第1半導体チップ100は、第2半導体チップ200のY1側にある。
【0029】
第1半導体チップ100は、例えばMOS型電界効果トランジスタ(FET)等のトランジスタであり、平面視で、矩形状の平面形状を有する。第1半導体チップ100は、Z1側の面101と、Z2側の面102とを備える。面101にソース電極パッド111と、ゲート電極パッド113とが設けられ、面102にドレイン電極パッド112が設けられている。例えば、ゲート電極パッド113は、ソース電極パッド111のX2側にある。平面視で、ソース電極パッド111及びゲート電極パッド113は、矩形状の平面形状を有し、ソース電極パッド111の面積がゲート電極パッド113の面積より大きい。平面視で、ドレイン電極パッド112は、矩形状の平面形状を有し、概ね面102の全体にわたって設けられている。ドレイン電極パッド112は、はんだ等の接合材21により第3回路パターン523に接合されている。例えば、接合材21は、Sn-Ag-Cu系はんだ又はSn-Sb系はんだ等である。ドレイン電極パッド112は第1電極の一例であり、ソース電極パッド111は第2電極の一例である。
【0030】
平面視で、第1半導体チップ100は、Y1-Y2方向に平行な第1辺701及び第2辺702と、X1-X2方向に平行な第3辺703及び第4辺704とを有する。第1辺701は第2辺702のX1側にあり、第3辺703は第4辺704のY1側にある。第1半導体チップ100は正方形状の平面形状を有し、第1辺701及び第2辺702の長さと第3辺703及び第4辺704の長さとが等しい。
【0031】
また、平面視で、ソース電極パッド111は、Y1-Y2方向に平行な第5辺705及び第6辺706と、X1-X2方向に平行な第7辺707及び第8辺708とを有する。第5辺705は第6辺706のX1側にあり、第7辺707は第8辺708のY1側にある。ソース電極パッド111は正方形状の平面形状を有し、第5辺705及び第6辺706の長さと第7辺707及び第8辺708の長さとが等しい。第5辺705及び第6辺706が第7辺707及び第8辺708より長くてもよい。
【0032】
第2半導体チップ200は、例えばショットキーバリアダイオード(Schottky Barrier Diode:SBD)等のダイオードであり、矩形状の平面形状を有する。第2半導体チップ200は、Z1側の面201と、Z2側の面202とを備える。面201にアノード電極パッド211が設けられ、面202にカソード電極パッド212が設けられている。平面視で、アノード電極パッド211は、矩形状の平面形状を有し、概ね面201の全体にわたって設けられている。平面視で、カソード電極パッド212は、矩形状の平面形状を有し、概ね面202の全体にわたって設けられている。カソード電極パッド212は、はんだ等の接合材22により第3回路パターン523に接合されている。例えば、接合材22は、Sn-Ag-Cu系はんだ又はSn-Sb系はんだ等である。カソード電極パッド212は第3電極の一例であり、アノード電極パッド211は第4電極の一例である。
【0033】
平面視で、第2半導体チップ200は、Y1-Y2方向に平行な第9辺709及び第10辺710と、X1-X2方向に平行な第11辺711及び第12辺712とを有する。第9辺709は第10辺710のX1側にあり、第11辺711は第12辺712のY1側にある。第2半導体チップ200は正方形状の平面形状を有し、第9辺709及び第10辺710の長さと第11辺711及び第12辺712の長さとが等しい。
【0034】
また、平面視で、アノード電極パッド211は、Y1-Y2方向に平行な第13辺713及び第14辺714と、X1-X2方向に平行な第15辺715及び第16辺716とを有する。第13辺713は第14辺714のX1側にあり、第15辺715は第16辺716のY1側にある。アノード電極パッド211は正方形状の平面形状を有し、第13辺713及び第14辺714の長さと第15辺715及び第16辺716の長さとが等しい。第13辺713及び第14辺714が第13辺713及び第14辺714より長くてもよい。
【0035】
金属板300は、Y1-Y2方向に延びる。金属板300は、第1接合面301と、第2接合面302と、第3接合面303と、第1連結部311と、第2連結部312とを有する。第1接合面301は第1回路パターン521に接合される。第2接合面302は第2回路パターン522に接合される。第3接合面303はソース電極パッド111及びアノード電極パッド211に接合される。第1連結部311は第1接合面301と第3接合面303とをつなぐ。第2連結部312は第2接合面302と第3接合面303とをつなぐ。金属板300は、例えは銅板である。金属板300が、ニッケルめっき膜が形成された銅板であってもよい。金属板300は、例えば1枚の金属板が曲げ加工されることで形成されている。金属板300は、曲げ加工等により簡易に形成することができる。
【0036】
第1回路パターン521と第1接合面301とは、はんだ等の接合材11により接合されている。第2回路パターン522と第2接合面302とは、はんだ等の接合材12により接合されている。ソース電極パッド111と第3接合面303とは、はんだ等の接合材31により接合されている。アノード電極パッド211と第3接合面303とは、はんだ等の接合材32により接合されている。例えば、接合材11、接合材12、接合材31及び接合材32は、Sn-Ag-Cu系はんだ又はSn-Sb系はんだ等である。
【0037】
ケース600は、例えば平面視において枠状に形成されている。ケース600の材料は樹脂等の絶縁体である。平面視で、基板500はケース600の内側に配置されている。ケース600には、ソース用の第1外部端子601と、ケルビンソース用の第2外部端子602と、ドレイン用の第3外部端子603と、ゲート用の第4外部端子604とが設けられている。
【0038】
例えば、第1外部端子601は、はんだ等の接合材(図示せず)により第1回路パターン521に接合され、第3外部端子603は、はんだ等の接合材(図示せず)により第3回路パターン523に接合されている。ソース用の第1外部端子601は電気的に第1回路パターン521に接続され、ドレイン用の第3外部端子603は電気的に第3回路パターン523に接続されている。第1外部端子601と第1回路パターン521とが電気的に接続されていれば、第1外部端子601と第1回路パターン521との間に、他の回路パターン、ボンディングワイヤ等の導電部材が介在していてもよい。第3外部端子603と第3回路パターン523とが電気的に接続されていれば、第3外部端子603と第3回路パターン523との間に、他の回路パターン、ボンディングワイヤ等の導電部材が介在していてもよい。
【0039】
半導体装置1は、第2回路パターン522と第2外部端子602とを接続するボンディングワイヤ41と、ゲート電極パッド113と第4回路パターン524とを接続するボンディングワイヤ42と、第4回路パターン524と第4外部端子604とを接続するボンディングワイヤ43とを有する。ケルビンソース用の第2外部端子602は電気的に第2回路パターン522に接続され、ゲート用の第4外部端子604は電気的に第4回路パターン524に接続されている。
【0040】
第1実施形態に係る半導体装置1では、ソース電極パッド111及びアノード電極パッド211に金属板300が接合され、金属板300は第1回路パターン521及び第2回路パターン522に接合されている。従って、第1半導体チップ100で発生した熱は、ソース電極パッド111から金属板300を通じて第1回路パターン521及び第2回路パターン522に伝達される。また、第2半導体チップ200で発生した熱は、アノード電極パッド211から金属板300を通じて第1回路パターン521及び第2回路パターン522に伝達される。このため、金属板300が第1回路パターン521に接合され、かつ第2回路パターン522に接合されていない場合と比較して、第1半導体チップ100で発生した熱及び第2半導体チップ200で発生した熱を排出しやすくできる。
【0041】
第1回路パターン521がソース用の第1外部端子601に電気的に接続され、第2回路パターン522がケルビンソース用の第2外部端子602に電気的に接続されている。従って、金属板300は電流経路としての機能を発揮しつつ、排熱経路としての機能を発揮できる。また、第1半導体チップ100と第2回路パターン522とを接続するためのボンディングワイヤを不要にできる。
【0042】
第1半導体チップ100及び第2半導体チップ200が設けられた第3回路パターン523が、第1回路パターン521と第2回路パターン522との間に設けられているため、金属板300を通じての排熱方向をY1側及びY2側の互いに反対を向く2方向となる。従って、熱をより排出しやすくできる。
【0043】
第1半導体チップ100及び第2半導体チップ200は、例えば炭化珪素(SiC)基板を用いて作製された炭化珪素半導体チップであってもよい。炭化珪素半導体チップにより、例えば優れた耐圧が得られる。また、第1半導体チップ100及び第2半導体チップ200が炭化珪素半導体チップであることで発熱量が大きくなる場合でも、第1半導体チップ100及び第2半導体チップ200で発生した熱を排出しやすいため、発熱に伴う故障等を抑制できる。
【0044】
なお、第1半導体チップ100及び第2半導体チップ200は、それぞれトランジスタチップ及びダイオードチップに限定されない。例えば、両方がトランジスタチップ又はダイオードチップであってもよく、第1半導体チップ100がダイオードチップであり、第2半導体チップ200がトランジスタチップであってもよい。特に、第1半導体チップ100及び第2半導体チップ200が同種の半導体チップであって、同程度に発熱する場合、第1半導体チップ100及び第2半導体チップ200の間での温度差を低減して、一方が故障しやすくなるような状況を回避しやすくできる。
【0045】
本実施形態では、第1回路パターン521がソース用の第1外部端子601に接続され、第2回路パターン522がケルビンソース用の第2外部端子602に接続される。このため、金属板300の第1接合面301の面積を第2接合面302の面積よりも大きくすることで、第1回路パターン521を流れる電流の量を、第2回路パターン522を流れる電流の量よりも多くしやすい。
【0046】
なお、基板500が用いられなくてもよい。図4は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置を示す断面図である。図4は、図3と同様に、図1及び図2中のIII-III線に沿った断面図に相当する。例えば、図4に示すように、放熱板400の上に樹脂等の絶縁層410が設けられ、絶縁層410の上に、第1回路パターン521、第2回路パターン522、第3回路パターン523及び第4回路パターン524が設けられていてもよい。
【0047】
半導体装置1が上アーム及び下アームを有してもよく、上アーム及び下アームのそれぞれが第1半導体チップ100及び第2半導体チップ200を含んでもよい。
【0048】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1半導体チップ及び第2半導体チップの平面形状の点で、第1実施形態と相違する。図5は、第2実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。図6は、第2実施形態における第1半導体チップ及び第2半導体チップを示す上面図である。
【0049】
図5及び図6に示すように、第2実施形態に係る半導体装置2では、第1半導体チップ100の第1辺701及び第2辺702の長さが、第3辺703及び第4辺704の長さよりも小さい。また、ソース電極パッド111の第5辺705及び第6辺706が、第7辺707及び第8辺708よりも短い。
【0050】
更に、第2実施形態に係る半導体装置2では、第2半導体チップ200の第9辺709及び第10辺710の長さが、第11辺711及び第12辺712の長さよりも小さい。また、アノード電極パッド211の第13辺713及び第14辺714が第13辺713及び第14辺714よりも短い。
【0051】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0052】
第2実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第1半導体チップ100及び第2半導体チップ200の長辺が、金属板300が延びる方向(Y1-Y2方向)に垂直であるため、短辺がY1-Y2方向に垂直である場合と比較して、第1半導体チップ100で発生した熱及び第2半導体チップ200で発生した熱を排出しやすい。
【0053】
本開示において、トランジスタはMOS型FETに限定されず、トランジスタが絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor:IGBT)であってもよい。トランジスタがIGBTの場合、コレクタ電極パッドが第1電極の一例であり、エミッタ電極パッドが第2電極の一例である。
【0054】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1、2:半導体装置
11、12、21、22、31、32、50:接合材
41、42、43:ボンディングワイヤ
100:第1半導体チップ
101、102、201、202、401、402、511、512:面
111:ソース電極パッド(第2電極)
112:ドレイン電極パッド(第1電極)
113:ゲート電極パッド
200:第2半導体チップ
211:アノード電極パッド(第4電極)
212:カソード電極パッド(第3電極)
300:金属板
301:第1接合面
302:第2接合面
303:第3接合面
311:第1連結部
312:第2連結部
400:放熱板
410:絶縁層
500:基板
510:基材
521:第1回路パターン
522:第2回路パターン
523:第3回路パターン
524:第4回路パターン
530:導電層
600:ケース
601:第1外部端子
602:第2外部端子
603:第3外部端子
604:第4外部端子
701:第1辺
702:第2辺
703:第3辺
704:第4辺
705:第5辺
706:第6辺
707:第7辺
708:第8辺
709:第9辺
710:第10辺
711:第11辺
712:第12辺
713:第13辺
714:第14辺
715:第15辺
716:第16辺
図1
図2
図3
図4
図5
図6