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特許7661807操作システム、操作方法およびシステムキッチン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】操作システム、操作方法およびシステムキッチン
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20250408BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
G06F3/01 510
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021108108
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2023005873
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田名網 克周
(72)【発明者】
【氏名】林 美由希
【審査官】小松崎 里沙
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-121889(JP,A)
【文献】特開2006-148599(JP,A)
【文献】特開2011-220908(JP,A)
【文献】特開2019-201251(JP,A)
【文献】国際公開第2012/035739(WO,A1)
【文献】特開2018-140082(JP,A)
【文献】国際公開第2022/163439(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03J 9/00- 9/06
H04Q 9/00- 9/16
E03C 1/00- 1/10
F23N 1/02- 1/06
3/00- 5/00
5/18
5/24
F24C 7/02
G06F 3/01
3/02- 3/027
3/03
3/041-3/047
3/048-3/04895
H03M11/00-11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面と交わる第1軸方向の力、前記床面に沿う第2軸周りのモーメント、及び、前記床面に沿い、前記第2軸と交わる第3軸周りのモーメントを検出するフォースプレートと、
センサと、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記センサを用いて検出したユーザの動作に基づいて操作対象物を特定する第1特定処理と、
前記フォースプレートによって検出された前記力及び前記モーメントに基づいて、前記操作対象物に対する操作内容を特定する第2特定処理と、
特定した操作内容を前記操作対象物に実行させる実行処理と、を実行する、
ことを特徴とする操作システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記フォースプレートによって前記力が検出された場合、前記センサを起動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の操作システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第2特定処理において、前記フォースプレートによって前記モーメントが検出された場合、当該モーメントの軸、符号、及び大きさに基づいて、前記操作対象物に対する操作内容を特定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の操作システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第2特定処理において、前記フォースプレートによって前記モーメントが検出された場合、当該モーメントの軸、符号、及び大きさ、並びに、前記フォースプレートにおける前記ユーザの立ち位置に基づいて前記ユーザの動作を推定すると共に、推定した前記動作に基づいて前記操作対象物に対する操作内容を特定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の操作システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第1特定処理を行う前に、前記フォースプレートにおける前記ユーザの立ち位置を特定するユーザ位置特定処理を実行する、
ことを特徴とする請求項4に記載の操作システム。
【請求項6】
スピーカを更に備え、
前記コントローラは、前記第1特定処理において特定した操作対象物を確認する音声を前記スピーカから出力する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の操作システム。
【請求項7】
前記操作対象物は、コンロ、蛇口、またはキッチン用家電機器である、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の操作システム。
【請求項8】
センサを用いて、ユーザの動作を検出する第1検出ステップと、
フォースプレートを用いて、床面と交わる第1軸方向の力、前記床面に沿う第2軸周りのモーメント、及び、前記床面に沿い、前記第2軸と交わる第3軸周りのモーメントを検出する第2検出ステップと、
前記第1検出ステップにおいて検出したユーザの動作に基づいて操作対象物を特定する第1特定ステップと、
前記第2検出ステップにおいて検出した前記力及び前記モーメントに基づいて、前記操作対象物に対する操作内容を特定する第2特定ステップと、
特定した操作内容を前記操作対象物に実行させる実行ステップと、を含む、
ことを特徴とする操作方法。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載の操作システムを備えていることを特徴とする、システムキッチン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は操作システム、操作方法およびシステムキッチンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レンジフードや照明や足元温風器などの機器を遠隔操作する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-272542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、レンジフードや照明や足元温風器などの機器を遠隔操作できるリモコン発信装置を、ウォールキャビネットやフロアキャビネットの把手に組み込むものである。調理中の手の汚れや水滴によってリモコン発信装置が汚れると掃除が必要となり、ユーザにとって負担である。一方、汚れを防ぐためには、家電機器やキッチンの設備を使用する前に、手の汚れや水滴を拭き取ってから使用しなければならず、スムーズな調理作業の妨げとなる。
【0005】
さらに、リモコン発信装置から離れた場所で作業をしている場合には、操作の度にリモコン発信装置と作業をしている場所との間を往復することになり、スムーズな作業の妨げになる。
【0006】
さらに、特許文献1の技術は、機器の操作はON/OFFのみの制御であり、コンロや蛇口など強弱について制御を行いたい機器の操作には不向きである。
【0007】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、手で触れることなく、操作対象物を操作することを可能にする技術を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る操作システムは、床面と交わる第1軸方向の力、前記床面に沿う第2軸周りのモーメント、及び、前記床面に沿い、前記第2軸と交わる第3軸周りのモーメントを検出するフォースプレートと、センサと、コントローラと、を備え、前記コントローラは、前記センサを用いて検出したユーザの動作に基づいて操作対象物を特定する第1特定処理と、前記フォースプレートによって検出された前記力及び前記モーメントに基づいて、前記操作対象物に対する操作内容を特定する第2特定処理と、特定した操作内容を前記操作対象物に実行させる実行処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、手で触れることなく、操作対象物を操作することを可能にする技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る操作システムの構成を示す模式図である。
図2図1に示す操作システムに含まれるコントローラの構成を示すブロック図である。
図3図2に示すコントローラが実施する操作方法の流れを示すフロー図である。
図4図3に示す操作方法に含まれるユーザ位置特定処理の流れを示すフロー図である。
図5図3に示す操作方法において、第1特定処理の流れを説明する模式図である。
図6】(A)は図3に示す操作方法における第1特定処理の流れの一具体例を示すフロー図であり、(B)は図3に示す操作方法における第2特定処理の流れの一具体例を示すフロー図である。
図7】コンロについての「ユーザ動作・操作内容対応情報」の一例を示す図である。
図8】コンロ以外の操作対象物についての「ユーザ動作・操作内容対応情報」の一例を示す図であり、(A)は蛇口についての「ユーザ動作・操作内容対応情報」を、(B)は冷蔵庫についての「ユーザ動作・操作内容対応情報」を、(C)は電子レンジについての「ユーザ動作・操作内容対応情報」をそれぞれ示している。
図9図3に示す操作方法において、フォースプレート上にユーザ候補者が複数人いる場合の処理M118以降のユーザ位置特定処理の流れを説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(操作システムの構成)
本発明の一実施形態に係る操作システム1について、図1を参照して説明する。図1は、操作システム1の構成を示す模式図である。
【0012】
操作システム1は、任意の場所において、ユーザUが手で操作対象物に触れることなく、任意の操作対象物を操作するためのシステムである。図1では、一例として、システムキッチンKが操作システム1を備えている例を示している。システムキッチンKは、蛇口3aおよびコンロ3bが一体化された作業台2と、操作システム1とを備えている。本実施形態において、操作システム1は、操作対象物として、蛇口3a、コンロ3b、電子レンジ3cおよび冷蔵庫3dを操作する。なお、電子レンジ3cおよび冷蔵庫3dは操作システム1によって操作される操作対象物であるが、システムキッチンKの構成には含まれない。
【0013】
操作システム1は、図1に示すように、フォースプレート11と、コントローラ12と、カメラ(センサ)13aおよび13bと、スピーカ14と、を含んでいる。コントローラ12は、フォースプレート11、カメラ13aおよび13b、並びに、スピーカ14との間で、それぞれネットワークを介さない無線通信を行う。
【0014】
フォースプレート11は、任意の場所の床面Fに配置される。図1に示す例では、フォースプレート11は、キッチンの床面Fに配置される。フォースプレート11は、ユーザUが操作対象物を操作するための操作手段であり、ユーザUは、フォースプレート11上の任意の位置に立ち、ユーザUの立ち位置を基準位置として、そこから左側、右側、前側または後側にフォースプレート11に力をかけることで、力をかける向きおよび大きさに応じた操作を操作対象物に対して行うことができる。
【0015】
フォースプレート11は、図1に示すように、床面Fと交わるZ軸(第1軸)方向の力F、床面Fに沿うX軸(第2軸)周りのモーメントM、及び、床面Fに沿い、X軸と交わるY軸(第3軸)周りのモーメントMを検出する。Z軸は、床面Fと直交する。また、Y軸は、X軸と直交する。X軸およびY軸は、床面F上にあってもよい。そして、フォースプレート11は、力F、並びにモーメントMおよびMを含む信号をコントローラ12に送信する。
【0016】
フォースプレート11としては、上述の力F、モーメントM、及びモーメントMを少なくとも検出可能な公知のフォースプレートを採用することができ、フォースプレート11に内蔵されるセンサとして、6軸力覚センサを挙げることができる。
【0017】
フォースプレート11の大きさは特に制限されないが、ユーザUがキッチンの作業台2の前のどの場所に立っていても操作システム1を操作可能なように、操作の利便性の観点から、フォースプレート11は、少なくとも、キッチンの作業台2の横幅(作業台2の天板の長手方向の長さ)と同じかそれよりも長い横幅を有していることが好ましい。例えば、フォースプレート11の大きさが、横幅0.5~1.5m×縦幅(奥行)0.5~1.5mであるフォースプレート11を好適に採用することができる。
【0018】
カメラ13aは、例えば、フォースプレート11が配置された場所の天井に配置される。カメラ13aは、ユーザUを被写体として含む画像データを生成し、当該画像データに基づいて、フォースプレート11上のユーザUの立ち位置を特定する。そして、カメラ13aは、フォースプレート11上のユーザUの立ち位置を示す情報を含む信号(位置情報信号)をコントローラ12に送信する。カメラ13aは、一例として、ビジョンセンサである。カメラ13aは、フォースプレート11上のユーザUの立ち位置を特定するために、画角が固定されていることが好ましい。
【0019】
カメラ13bは、例えば、フォースプレート11が配置された場所の左右の壁に一台ずつ配置される。カメラ13bは、少なくともユーザUの顔を被写体として含む画像データを生成し、当該画像データに基づいて、ユーザUの目線を検出する。そして、カメラ13bは、ユーザUの視線を示す情報を含む信号(視線情報信号)をコントローラ12に送信する。カメラ13bは、一例として、視線計測カメラである。
【0020】
コントローラ12は、フォースプレート11が配置された場所の任意の位置に配置される。コントローラ12は、カメラ13aから位置情報信号を受信し、フォースプレート11におけるユーザUの立ち位置を特定するユーザ位置特定処理と、カメラ13bから視線情報信号を受信し、カメラ13bを用いて検出したユーザUの視線(ユーザの動作)に基づいて操作対象物を特定する第1特定処理と、フォースプレート11から信号を受信し、フォースプレート11によって検出された力F、並びにモーメントMおよびMに基づいて、操作対象物に対する操作内容を特定する第2特定処理と、特定した操作内容を操作対象物に実行させる実行処理と、を実行する。
【0021】
コントローラ12は、前記第2特定処理において、フォースプレート11によってモーメントMまたはMが検出された場合、当該モーメントの軸、符号、及び大きさに基づいて、操作対象物に対する操作内容を特定する。
【0022】
詳細には、コントローラ12は、力Fの負の値の大きさにより、ユーザUの体重を計測する。以下、前後左右とは、ユーザUがフォースプレート11の上面111に立って、作業台2を真正面に見ているときの方向を示す。コントローラ12は、モーメントMが正の値の場合、ユーザUがフォースプレート11の後側に力をかけたとみなす。コントローラ12は、モーメントMが負の値の場合、ユーザUがフォースプレート11の前側に力をかけたとみなす。コントローラ12は、モーメントMが正の値の場合、ユーザUがフォースプレート11の右側に力をかけたとみなす。コントローラ12は、モーメントMが負の値の場合、ユーザUがフォースプレート11の左側に力をかけたとみなす。コントローラ12は、ユーザUが力をかけた方向に応じて、操作対象物に対する操作内容を特定する。
【0023】
具体的には、コントローラ12は、前記第2特定処理において、フォースプレート11によってモーメントMまたはMが検出された場合、当該モーメントの軸、符号、及び大きさ、並びに、フォースプレート11におけるユーザUの立ち位置に基づいてユーザUの動作を推定すると共に、推定した動作に基づいて操作対象物に対する操作内容を特定する。
【0024】
スピーカ14は、フォースプレート11が配置された場所の任意の位置に配置される。スピーカ14は、コントローラ12からの制御により音声を出力する。
【0025】
従来、調理中に蛇口3a、コンロ3b、電子レンジ3c、および冷蔵庫3dを使用する際には、手の汚れや水滴によって操作対象物が汚れることを防ぐために、手の汚れや水滴を拭き取ってから使用する必要があり、スムーズな調理作業の妨げとなっていた。
【0026】
これに対して、本実施形態に係る操作システム1を用いれば、ユーザUは、手で触れることなく、操作対象物を操作することができる。このため、操作の度に手の汚れや水滴を拭き取る必要が無く、またキッチン周りの汚れが減るため掃除の頻度を減らすことができる。その結果、調理作業に係るユーザUの負担を軽減することができる。
【0027】
(コントローラの構成)
操作システム1に含まれるコントローラ12の構成について、図2を参照して説明する。図2は、コントローラ12の構成を示すブロック図である。
【0028】
コントローラ12は、図2に示すように、プロセッサ121と、メモリ122と、通信インタフェース123と、バス124と、を備えている。プロセッサ121、メモリ122および通信インタフェース123は、バス124を介して相互に接続されている。コントローラ12として利用可能なデバイスとしては、例えば、パーソナルコンピュータや、組み込みシステム等を挙げることができる。なお、「組み込みシステム」とは、産業用/家庭用の各種機器に組み込んで利用される、特定の用途に特化したコンピュータシステムが意図される。本実施形態においては、組み込みシステムは、キッチンの作業台2に組み込んで利用される。
【0029】
メモリ122には、操作プログラムが格納されている。プロセッサ121は、メモリ122に格納されている操作プログラムに含まれる命令に従って、後述する操作方法M1に含まれる各処理を実行する。プロセッサ121として利用可能なデバイスとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)を挙げることができる。また、メモリ122として利用可能なデバイスとしては、例えば、フラッシュメモリを挙げることができる。
【0030】
通信インタフェース123は、操作システム1が備えている他のデバイスと有線通信または無線通信を行うためのインタフェースである。通信インタフェース123には、LAN(Local Area Network)を介して操作システム1が備えている他のデバイスと無線通信を行うためのインタフェース、例えば、Wi-Fi(登録商標)インタフェースが含まれ得る。本実施形態においては、操作システム1が備えている他のデバイスとの通信に、Bluetooth(登録商標)インタフェースを利用する。
【0031】
(操作方法の流れ)
コントローラ12が実施する操作方法M1の流れについて、図3から図9を参照して説明する。
【0032】
図3は、操作方法M1の流れを示すフロー図である。まず、図3を参照して、操作方法M1の全体の流れを説明する。操作方法M1は、図3に示すように、処理M11からM16を含んでいる。
【0033】
プロセッサ121は、フォースプレート11の出力信号に基づいて、フォースプレート11が力Fzを所定時間以上(例えば、5秒以上)持続して検出したことを検知すると、フォースプレート11上にユーザUが存在していると推定して、ユーザ位置特定処理M11を開始する。
【0034】
ユーザ位置特定処理M11において、プロセッサ121は、フォースプレート11におけるユーザUの立ち位置(基準位置)を特定する処理を行う(ユーザ位置特定ステップ)。ユーザUの立ち位置が特定されると、プロセッサ121は、ユーザ位置特定処理M11を終了して、カメラ13bの出力信号を受信するまで待機する。ユーザ位置特定処理M11の具体例については、参照する図面を代えて後述する。
【0035】
次いで、処理M12において、プロセッサ121は、カメラ13bの出力信号に基づいて、カメラ13bがユーザUの視線(ユーザの動作)を検出したことを検知すると、第1特定処理M13を開始する。第1特定処理M13において、プロセッサ121は、カメラ13bを用いて検出したユーザUの視線(ユーザの動作)に基づいて操作対象物を特定する処理を行う(第1検出ステップ)。操作対象物が特定されると、プロセッサ121は、第1特定処理M13を終了して、フォースプレート11の出力信号を受信するまで待機する。第1特定処理M13の具体例については、参照する図面を代えて後述する。
【0036】
次いで、処理M14において、プロセッサ121は、フォースプレート11の出力信号に基づいて、フォースプレート11が力またはモーメントを検出したことを検知すると、第2特定処理M15を開始する。第2特定処理M15において、プロセッサ121は、フォースプレート11によって検出された力F並びにモーメントMおよびMに基づいて、第1特定処理M13によって特定した操作対象物に対する操作内容を特定する処理を行う(第2検出ステップ)。操作対象物に対する操作内容が特定されると、プロセッサ121は、第2特定処理M15を終了して、実行処理M16を開始する。第2特定処理M15の具体例については、参照する図面を代えて後述する。
【0037】
実行処理M16において、プロセッサ121は、第2特定処理M15によって特定した操作内容を操作対象物に実行させる(実行ステップ)。具体的には、プロセッサ121は、特定した操作内容に対応するコマンドを操作対象物に送信する。特定した操作内容を操作対象物に実行させた後に、プロセッサ121は、操作方法M1を終了する。
【0038】
操作システム1において、操作対象物は、コンロ、蛇口、またはキッチン用家電機器であり得る。キッチン用家電機器としては、例えば、図1に示す、冷蔵庫、電子レンジ等を挙げることができる。操作対象物の種類はこれらの機器に限定されるものではなく、操作システム1の使用目的に応じて適宜設定することができる。例えば、操作対象物がエアコンである場合は、キッチンにいるユーザUが、リビングに設置されたエアコンやテレビを遠隔操作するといったことも可能である。
【0039】
以上のように、操作システム1において、コントローラ12は、フォースプレート11におけるユーザUの立ち位置(基準位置)を特定する。フォースプレート11として、図1に示すような横幅の長いものを採用した場合、ユーザUが同じ動作を行っても、フォースプレート11におけるユーザUの立ち位置によって、フォースプレート11によって検出されるモーメントが変化する。そこで、コントローラ12は、この変化を相殺するように、フォースプレート11によって検出されたモーメントを、ユーザUの立ち位置に応じて補正する。これにより、ユーザUは、フォースプレート11のどこに立っていても、意図した操作をフォースプレート11を介してコントローラ12に入力することが可能になる、という効果を奏する。
【0040】
なお、上述したように、フォースプレート11は、キッチンの作業台2の横幅と同じかそれよりも長い横幅を有していることが好ましいが、フォースプレート11の横幅を大きくし過ぎると、フォースプレート11の取り扱いが困難になる場合がある。このような場合には、複数の小型のフォースプレートを連設し、フォースプレート11の代わりに用いるとよい。
【0041】
例えば、フォースプレート11が3つのフォースプレート(以下、フォースプレートA,B,Cと記載する)を連設したものに対する制御について説明する。3つのフォースプレートのうち、中央に位置するフォースプレートBからのみ信号を受信した場合、コントローラ12は、当該信号を用いて処理を実行する。
【0042】
2つのフォースプレートA、および、Bから信号を受信した場合、ユーザUの立ち位置によって、両信号に含まれる力Fに差異が生じる。そこで、まず、コントローラ12は、フォースプレートA、および、Bが検出した力Fから、ユーザUの重心位置を特定する。次に、コントローラ12は、特定した重心位置から、フォースプレートA、および、Bが検出するモーメントM、及び、Mの補正係数を決定する。そして、コントローラ12は、フォースプレートA、および、Bが検出したモーメントに、決定した補正係数を掛け合わせて、合算した(両者のモーメントの符号が異なる場合には、差し引きした)値を、1つのフォースプレート11のモーメントとして用いて、処理を実行する。
【0043】
さらに、フォースプレート11は、横方向だけでなく、奥行方向にも連設された、複数のフォースプレートを含んでいてもよい。
【0044】
また、コントローラ12は、フォースプレート11におけるユーザUの立ち位置(基準位置)を特定し、ユーザUが基準位置に所定時間以上(例えば、5秒以上)持続して立っていることを検知すると、フォースプレート11のモーメントを基準位置でゼロリセットする制御を行ってもよい。
【0045】
また、操作システム1において、コントローラ12は、第1特定処理M13を行う前に、フォースプレート11におけるユーザUの立ち位置を特定するユーザ位置特定処理M11を実行することが好ましい。これにより、フォースプレート11上に複数人のユーザ候補者がいる場合に、ユーザ(操作者)を特定することができる、という効果を奏する。
【0046】
また、操作システム1において、コントローラ12は、カメラ13bを用いて検出したユーザUの視線に基づいて操作対象物を特定する。このため、操作システム1によれば、ユーザUは、操作したい対象物に視線を向けるだけで、操作対象物を指定することができる、という効果を奏する。
【0047】
また、操作システム1において、コントローラ12は、フォースプレート11によって検出された力F並びにモーメントMおよびMに基づいて、第1特定処理M13によって特定した操作対象物に対する操作内容を特定する。このため、操作システム1によれば、ユーザUは、左、右、前または後方向にフォースプレートに力をかけることで、力をかける向きおよび大きさに応じた操作を、フォースプレート11を介してコントローラ12に入力することが可能になる。その結果、操作システム1によれば、ユーザUは、操作対象物に手を触れることなく操作対象物を操作することができる、という効果を奏する。
【0048】
(ユーザ位置特定処理M11)
図1及び図4を参照して、ユーザUの立ち位置を特定するユーザ位置特定処理M11(以下、「処理M11」と称する。)を説明する。図4は、操作方法M1に含まれる処理M11の流れを示すフロー図である。処理M11は、図4に示すように、処理M111からM1112を含んでいる。
【0049】
処理M111において、プロセッサ121は、フォースプレート11から信号を受信して、当該信号により、フォースプレート11が力Fを検出したことを検知すると、ユーザUの体重を計測する。そして、プロセッサ121は、計測した体重をメモリ122に記憶する。
【0050】
次いで、処理M112において、プロセッサ121は、カメラ(センサ)13aを起動する。
【0051】
次いで、処理M113において、プロセッサ121は、カメラ13aからユーザUを被写体として含む画像を受信して、当該画像中のユーザ候補者が1人であるか否かを判定する。カメラ13aからの画像中のユーザ候補者が1人である場合、プロセッサ121は、処理M114を実行する。カメラ13aからの画像にユーザ候補者が複数人(例えば、大人と子供との組合せ、大人だけ、子供だけなど)が含まれている場合、プロセッサ121は、処理M118を実行する。
【0052】
次いで、処理M114において、プロセッサ121は、1人のユーザ候補者に対して、ユーザ(すなわち、操作者)であるか問い合わせる音声をスピーカ14から出力する。プロセッサ121は、例えば、1人のユーザ候補者に対して、「あなたが操作しますか?」と問い合わせる音声をスピーカ14から出力する。
【0053】
次いで、処理M115において、プロセッサ121は、フォースプレート11から信号を受信すると、処理M116において、当該信号により、ユーザ候補者がフォースプレート11に力をかけた方向を特定する。そして、当該方向が前側であり、連続して2回力をかけた場合、ユーザ候補者が処理M114の問い合わせにYESの意思を示しているので、プロセッサ121は、M117を実行する。M117において、プロセッサ121は、ユーザ位置を特定し、処理M11を終了して、図3の処理M12を実行する。ユーザ候補者がフォースプレート11に力をかけた方向が後側であり、連続して2回力をかけた場合、ユーザ候補者が処理M114の問い合わせにNOの意思を示しているので、プロセッサ121は、ユーザ(すなわち、操作者)がフォースプレート11上にいないと判断して、操作方法M1を終了する。
【0054】
処理M118について、図9を参照して説明する。図9は、フォースプレート11上にユーザ候補者が複数人いる場合の処理M118以降のユーザ位置特定処理の流れを説明する模式図である。処理M118において、プロセッサ121は、カメラ13aからの画像中に含まれている複数人のユーザ候補者(図9中のユーザ候補者UaおよびUb)の中から一人を選択する。
【0055】
次いで、処理M119において、プロセッサ121は、選択したユーザ候補者Uaに対して、ユーザ(すなわち、操作者)であるか問い合わせる音声をスピーカ14から出力する。プロセッサ121は、例えば、図9に示すように、ユーザ候補者Uaに対して、「ユーザaが操作しますか?」と問い合わせる音声をスピーカ14から出力する。ユーザUaは、操作システム1からの問い合わせに対する意思を、フォースプレート11を介してコントローラ12に入力する。
【0056】
次いで、処理M1110において、プロセッサ121は、フォースプレート11から信号を受信すると、処理M1111において、当該信号により、ユーザ候補者Uaがフォースプレート11に力をかけた方向を特定する。そして、当該方向が前側であり、連続して2回力をかけた場合、ユーザ候補者Uaが処理M119の問い合わせにYESの意思を示しているので、プロセッサ121は、M117を実行する。M117において、プロセッサ121は、ユーザ位置を特定し、処理M11を終了して、図3の処理M12を実行する。ユーザ候補者がフォースプレート11に力をかけた方向が後側であり、連続して2回力をかけた場合、ユーザ候補者Uaが処理M114の問い合わせにNOの意思を示しているので、プロセッサ121は、処理M1112を実行する。
【0057】
処理M1112において、プロセッサ121は、ユーザ候補者の中からユーザ候補者Uaとは別のユーザ候補者Ubを選択する。その後、プロセッサ121は、ユーザが特定されるまで、処理M119から処理M1111を繰り返し実行する。
【0058】
なお、プロセッサ121が、体重およびカメラ13aからの画像からユーザ候補者Ubが子供であると判定した場合、子供による誤操作を防止する観点から、プロセッサ121は、処理M1112を実行せずに、ユーザ候補者がフォースプレート11上にいないと判断して、操作方法M1を終了してもよい。
【0059】
以上のように、操作システム1において、コントローラ12は、フォースプレート11によって力Fが検出された場合、カメラ13aおよびカメラ13b(センサ)を起動させる。このため、操作システム1によれば、必要な時にのみセンサを起動させることができるので、電力消費量を少なくすることができる、という効果を奏する。
【0060】
(ユーザ位置特定処理M11の変形例)
操作システム1に、ユーザ情報として体重の情報をメモリ122に記憶させておく。処理M113において、カメラ13aからの画像中のユーザ候補者が1人である場合に、プロセッサ121は、処理M114を実行する代わりに、処理M111において測定したユーザUの体重(測定体重)が、登録されている体重(登録体重)と同じであるか否かを判定する体重判定処理を行ってもよい。
【0061】
体重判定処理では、測定体重が、登録体重と同じであるか否かを判定し、同じである場合は、処理M117を実行する。また、測定体重が、登録体重と同じではない場合は、処理M114を実行する。プロセッサ121は、測定体重と登録体重との誤差が所定範囲以内(例えば、±500g)であれば、測定体重が、登録体重と同じであると判定する。なお、登録体重の情報が複数ある場合は、プロセッサ121は、体重判定処理において、複数の登録体重の中に、測定体重と同じものがあるか否かを判定すればよい。
【0062】
(第1特定処理M13)
第1特定処理M13(以下、「処理M13」と称する。)について、図5及び図6の(A)を参照して説明する。図5は、処理M13の流れを説明する模式図である。図6の(A)は、操作方法M1における処理M13の流れの一具体例を示すフロー図である。
【0063】
処理M13は、図6の(A)に示すように、処理M131からM132を含んでいる。本具体例では、図5に示すように、ユーザUがコンロ3bに視線を向けた場合の処理M13の流れを説明する。なお、図5中に示す破線はユーザUの視線を表している。
【0064】
プロセッサ121は、カメラ13bの出力信号に基づいて、カメラ13bがユーザUの視線を検出したことを検知すると、処理M131において、カメラ13bが検出したユーザUの視線に基づき、コンロ3bを操作対象物と特定する。なお、ユーザUと対象物(この場合、コンロ3b)との距離が離れている場合や、ユーザUと対象物との間に、他の対象物がある場合、注目度を考慮して操作対象物を特定することが好ましい。注目度は対象物における視線の滞在時間と相関するため、対象物における視線の滞在時間が所定時間以上(例えば、5秒以上)である場合に、その対象物を操作対象物と特定すればよい。
【0065】
次いで、処理M132において、プロセッサ121は、ユーザUが操作するのはコンロで間違いないか問い合わせる音声をスピーカ14から出力する。プロセッサ121は、例えば、図5に示すように、「火を付けますか?」と問い合わせる音声をスピーカ14から出力する。スピーカ14から問合せの音声が出力されると、プロセッサ121は、処理M13を終了して、図3の処理14を実行する。
【0066】
スピーカ14から出力される音声の内容はこれに限定されず、操作対象物に応じて音声の内容を変更することができる。例えば、処理M131において、プロセッサ121が蛇口3aを操作対象物と特定した場合、処理M132において、プロセッサ121は、例えば、「蛇口を開けますか?」と問い合わせる音声をスピーカ14から出力する。また、例えば、処理M131において、プロセッサ121が冷蔵庫3dを操作対象物と特定した場合、処理M132において、プロセッサ121は、例えば、「どちらの扉を開けますか?」と問い合わせる音声をスピーカ14から出力する。また、例えば、処理M131において、プロセッサ121が電子レンジ3cを操作対象物と特定した場合、処理M132において、プロセッサ121は、例えば、「電子レンジを開けますか?」と問い合わせる音声をスピーカ14から出力する。
【0067】
以上のように、操作システム1において、コントローラ12は、処理M13において特定した操作対象物に間違いないかを確認する音声をスピーカ14から出力する。このため、操作システム1によれば、ユーザUが意図しない対象物が操作対象物として特定されることを防ぐことができる、という効果を奏する。
【0068】
(第2特定処理M15)
第2特定処理M15(以下、「処理M15」と称する。)について、図5図6の(B)および図7を参照して説明する。図6の(B)は、操作方法M1における処理M15の流れの一具体例を示すフロー図である。
【0069】
処理M15は、図6の(B)に示すように、処理M151からM157を含んでいる。本具体例では、図5に示すように、プロセッサ121が、処理M13においてコンロ3bを操作対象物と特定した後の処理M15の流れを説明する。
【0070】
操作システム1からの「火を付けますか?」という問合せに対して、ユーザUは、フォースプレート11に力をかけることで操作内容を指定する。プロセッサ121は、フォースプレート11の出力信号に基づいて、フォースプレート11がモーメントを検出したことを検知すると、処理151において、フォースプレート11が検出したモーメントに対応するユーザUの動作を推定する。
具体的には、プロセッサ121は、フォースプレート11が検出したモーメントMが正の値の場合、ユーザUがフォースプレート11の後側に力をかけたとみなす。また、プロセッサ121は、フォースプレート11が検出したモーメントMが負の値の場合、ユーザUがフォースプレート11の前側に力をかけたとみなす。また、プロセッサ121は、フォースプレート11が検出したモーメントMが正の値の場合、ユーザUがフォースプレート11の右側に力をかけたとみなす。また、プロセッサ121は、フォースプレート11が検出したモーメントMが負の値の場合、ユーザUがフォースプレート11の左側に力をかけたとみなす。
【0071】
次いで、処理M152において、プロセッサ121は、処理M151で推定したユーザUの動作が、前方、後方、右側もしくは左側に1回力をかける動作であったと判定した場合、および後方に連続して2回力をかける動作であったと判定した場合は、処理M153を実行する。一方、処理M151で推定したユーザUの動作が、前方に連続して2回力をかける動作であったと判定した場合は、処理M154を実行する。
【0072】
処理M153において、プロセッサ121は、処理M151で推定したユーザUの動作に対応する操作内容を特定する。図7は、操作対象物がコンロ3bである場合の「ユーザ動作・操作内容対応情報」の一例を示す図である。図7に示すように、ユーザUの動作に対して、コンロ3bの操作内容が紐づけられている。「ユーザ動作・操作内容対応情報」は、コントローラ12のメモリ122に格納されている。
処理M153において、プロセッサ121は、図7に示す「ユーザ動作・操作内容対応情報」を参照し、例えば、処理M151で推定したユーザUの動作が「前方に力をかける」動作であった場合、プロセッサ121は、対応する操作内容「コンロの火を付ける」を特定する。または、処理M151で推定したユーザUの動作が「後方に力をかける」動作であった場合、プロセッサ121は、対応する操作内容「コンロの火を消す」を特定する。操作対象物に対する操作内容が特定されると、プロセッサ121は、処理M15を終了して、図3の処理M16を実行する。
【0073】
なお、ユーザUがフォースプレート11の右側に力をかける動作を行った場合、プロセッサ121は、対応する操作内容「火力を上げる」を特定する。これに対して、ユーザUがフォースプレート11の左側に力をかける動作を行った場合、プロセッサ121は、対応する操作内容「火力を下げる」を特定する。ユーザUがフォースプレート11の右側に力をかける場合は、力を強くかける(すなわち、モーメントの大きさを大きくする)と、火力を上げる速さを速くすることができ、力を弱くかける(すなわち、モーメントの大きさを小さくする)と、火力を上げる速さを遅くすることができる。ユーザUがフォースプレート11の左側に力をかける場合も同様に、フォースプレート11に力をかける強さを変化させることで、火力調整の速さを変えることができる。
【0074】
処理M154において、プロセッサ121は、別のコンロにも火を付けるか問い合わせる音声をスピーカ14から出力する。プロセッサ121は、例えば、「別のコンロにも火を付けますか?」と問い合わせる音声をスピーカ14から出力する。ユーザUは、操作システム1からの問い合わせに対する操作内容を、フォースプレート11を介してコントローラ12に入力する。
【0075】
次いで、処理M155において、プロセッサ121は、フォースプレート11の出力信号に基づいて、フォースプレート11が力またはモーメントを検出したことを検知すると、処理M156および処理M157を実行する。処理M156および処理M157は、それぞれ処理M151および処理M153と同じであるため説明は省略する。
【0076】
コンロ3b以外の操作対象物に対する操作内容を特定する場合も、プロセッサ121は、処理M153または処理M157において、操作対象物に応じた「ユーザ動作・操作内容対応情報」を参照することで、ユーザの動作に対応する操作内容を特定することができる。図8は、コンロ3b以外の操作対象物についての「ユーザ動作・操作内容対応情報」の一例を示す図であり、(A)は蛇口3aについての「ユーザ動作・操作内容対応情報」を、(B)は冷蔵庫3dについての「ユーザ動作・操作内容対応情報」を、(C)は電子レンジ3cについての「ユーザ動作・操作内容対応情報」をそれぞれ示している。これらの「ユーザ動作・操作内容対応情報」も、コントローラ12のメモリ122に格納されている。
【0077】
例えば、操作対象物が蛇口3aである場合、操作システム1によれば、図8の(A)に示すとおり、ユーザUがフォースプレート11の右側または左側に力をかける動作を行うことによって、水量を調節する操作内容を、フォースプレート11を介してコントローラ12に入力することができる。また、ユーザUがフォースプレート11にかける力の強さを変化させることで、水量調節の速さを変える操作内容を、フォースプレート11を介してコントローラ12に入力することができる。また、ユーザUがフォースプレート11の前方に連続して2回力をかける動作を行うことによって、操作モードを水温調節モードに変更する操作内容を、フォースプレート11を介してコントローラ12に入力することができる。水温調節モードにおいては、ユーザUがフォースプレート11の右側または左側に力をかける動作を行うことによって、水温を調節する操作内容を、フォースプレート11を介してコントローラ12に入力することができる。また、ユーザUがフォースプレート11にかける力の強さを変化させることで、水温調節の速さを変える操作内容を、フォースプレート11を介してコントローラ12に入力することができる。
【0078】
また、例えば、操作対象物が冷蔵庫3dである場合、操作システム1によれば、図8の(B)に示すとおり、ユーザUがフォースプレート11の右側または左側に力をかける動作を行うことによって、冷蔵庫3dの特定の扉を開ける操作内容を、フォースプレート11を介してコントローラ12に入力することができる。
【0079】
また、例えば、操作対象物が電子レンジ3cである場合、操作システム1によれば、図8の(C)に示すとおり、ユーザUがフォースプレート11の右側または左側に力をかける動作を行うことによって、ワット数または時間の設定値を変更する操作内容を、フォースプレート11を介してコントローラ12に入力することができる。また、ユーザUがフォースプレート111にかける力の強さを変化させることで、ワット数または時間の設定値を変更する速さを変える操作内容を、フォースプレート11を介してコントローラ12に入力することができる。また、ユーザUがフォースプレート11の前方に連続して2回力をかける動作を行うことによって、レンジ設定を変更する操作内容を、フォースプレート11を介してコントローラ12に入力することができる。レンジ設定変更モードにおいては、ユーザUがフォースプレート11の前方または後方に力をかける動作を行うことによって、レンジ、オーブンまたはグリルのモードを変更する操作内容を、フォースプレート11を介してコントローラ12に入力することができる。
【0080】
以上のように、操作システム1において、コントローラ12は、処理M15において、フォースプレート11によってモーメントMまたはMが検出された場合、当該モーメントの軸、符号、及び大きさ、並びに、フォースプレート11におけるユーザUの立ち位置に基づいてユーザUの動作を推定すると共に、推定した前記動作に基づいて操作対象物に対する操作内容を特定する。このため、操作システム1によれば、ユーザUがフォースプレート11の任意の方向に力をかけることにより、手を使うことなく操作対象物の操作を行うことができるという効果を奏する。また、プロセッサ121は、フォースプレート11が検出したモーメントの軸、符号、及び大きさ、並びに、フォースプレート11におけるユーザUの立ち位置に基づいてユーザUの動作を推定するので、操作システム1によれば、ユーザUは、水温調節や水量調節等における細かな調節を、フォースプレート11にかける力の強弱を変えることによって直感的な操作により容易に行うことができるという効果を奏する。さらには、プロセッサ121は、ユーザUの動作を推定する際にユーザUの立ち位置を考慮するので、操作システム1によれば、ユーザUは、フォースプレート11のどこに立っていても、意図した操作をフォースプレート11を介してコントローラ12に入力することが可能になる、という効果を奏する。
【0081】
本実施形態では、処理M15において、コントローラ12が、フォースプレート11によって検出されたモーメントの軸、符号、及び大きさ、並びに、フォースプレート11におけるユーザUの立ち位置に基づいてユーザUの動作を推定すると共に、推定した前記動作に基づいて操作対象物に対する操作内容を特定する例を説明したが、ユーザUの動作を推定するステップを経ずに、フォースプレート11によって検出されたモーメントの軸、符号、及び大きさに基づいて、操作対象物に対する操作内容を特定することも可能である。この場合、プロセッサ121の処理数を減らすことができるため、処理速度を向上させることができるという効果を奏する。
【0082】
(操作システムの変形例)
操作システム1では、ユーザUの動作を検出するためのセンサとして視線計測カメラ13bを備える例を示した。しかし、センサは視線計測カメラに限定されない。例えば、ユーザUの動作として、ユーザの声を検出してもよく、この場合は、公知の音声認識装置をセンサとして採用することができる。
【0083】
(システムキッチン)
図1に示すような、操作システム1を備えたシステムキッチンKも本発明の範疇に含まれる。システムキッチンKにおいて、操作システム1以外の構成については特に限定されない。一般的なシステムキッチンと同様に、少なくとも洗浄設備(シンク)、加熱機器(コンロ)、収納設備および作業台を備えたキッチンであればよい。システムキッチンKの効果等は操作システム1について説明したとおりであるのでここでは繰り返さない。
【0084】
(ソフトウェアによる実現例)
コントローラ12の機能は、コントローラ12としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、コントローラ12の各制御ブロック(特にプロセッサ121に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0085】
この場合、コントローラ12は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリとを有するコンピュータを備えている。このプロセッサとメモリとにより上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0086】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体(例えば、メモリ)に記録されていてもよい。この記録媒体は、コントローラ12が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介してコントローラ12に供給されてもよい。
【0087】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0088】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIはコントローラ12で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0089】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1 操作システム
3a 蛇口(操作対象物)
3b コンロ(操作対象物)
3c 電子レンジ(操作対象物)
3d 冷蔵庫(操作対象物)
11 フォースプレート
12 コントローラ
13a、13b カメラ(センサ)
K システムキッチン
U ユーザ
F 床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9