(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】シールドケーブル、基板付きシールドケーブル及び多芯ケーブル
(51)【国際特許分類】
H01B 11/00 20060101AFI20250408BHJP
H01B 11/20 20060101ALI20250408BHJP
H01B 7/18 20060101ALI20250408BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
H01B11/00 J
H01B11/20
H01B7/18 D
H01B7/00 306
(21)【出願番号】P 2021143454
(22)【出願日】2021-09-02
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 優斗
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-026909(JP,A)
【文献】特開2001-093357(JP,A)
【文献】特開2004-079439(JP,A)
【文献】特開2014-207178(JP,A)
【文献】特開2007-188782(JP,A)
【文献】特開2018-049812(JP,A)
【文献】特開2006-066203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 11/00
H01B 11/20
H01B 7/18
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1中心導体と、前記第1中心導体の周囲に設けられた第1絶縁層と、を備えた第1絶縁電線と、
第2中心導体と、前記第2中心導体の周囲に設けられた第2絶縁層と、を備え、前記第1絶縁電線に平行に配置された第2絶縁電線と、
前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線の周囲に設けられた第3絶縁層と、
前記第3絶縁層の周囲に設けられたシールド層と、
前記シールド層に接するドレイン線と、
前記シールド層及び前記ドレイン線の周囲に設けられた第4絶縁層と、
を有
し、
前記第1絶縁層は、前記第1中心導体の周囲に設けられた第1発泡層を有し、
前記第2絶縁層は、前記第2中心導体の周囲に設けられた第2発泡層を有し、
前記第1中心導体と前記第2中心導体との間の距離は、
前記第1中心導体と前記シールド層との間の距離よりも大きく1.6倍以下であり、
前記第2中心導体と前記シールド層との間の距離よりも大きく1.6倍以下であるシールドケーブル。
【請求項2】
前記ドレイン線は、平板状の形状を有する請求項
1に記載のシールドケーブル。
【請求項3】
前記第1絶縁層は、前記第1中心導体の周囲に設けられた第1充実層を有し、
前記第2絶縁層は、前記第2中心導体の周囲に設けられた第2充実層を有する請求項1
または請求項
2に記載のシールドケーブル。
【請求項4】
前記第1
発泡層は、前記第1充実層の周囲に設けら
れ、
前記第2
発泡層は、前記第2充実層の周囲に設けら
れる請求項
3に記載のシールドケーブル。
【請求項5】
前記第1絶縁層は、前記第1発泡層の周囲に設けられた第3充実層を有し、
前記第2絶縁層は、前記第2発泡層の周囲に設けられた第4充実層を有する請求項
4に記載のシールドケーブル。
【請求項6】
前記第3絶縁層は、前記第1充実層、前記第2充実層、前記第3充実層及び前記第4充実層よりも厚い請求項
5に記載のシールドケーブル。
【請求項7】
前記シールド層は、前記第3絶縁層の外周面に形成されためっき層を有する請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載のシールドケーブル。
【請求項8】
前記シールド層は、前記ドレイン線が接する金属箔を有する請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載のシールドケーブル。
【請求項9】
前記ドレイン線は、前記金属箔と前記第4絶縁層との間に設けられている請求項
8に記載のシールドケーブル。
【請求項10】
前記ドレイン線は、前記第3絶縁層と前記金属箔との間に設けられている請求項
8に記載のシールドケーブル。
【請求項11】
前記ドレイン線の幅は、前記第1中心導体と前記第2中心導体との間の距離以下である請求項1から請求項1
0のいずれか1項に記載のシールドケーブル。
【請求項12】
前記シールド層は、前記第3絶縁層の周囲に縦添えされており、
長手方向に垂直な方向から見たときに、前記シールド層の内側の端部及び外側の端部は、前記第3絶縁層の周方向において前記ドレイン線から離れて配置されている請求項1から請求項1
1のいずれか1項に記載のシールドケーブル。
【請求項13】
第1中心導体と、前記第1中心導体の周囲に設けられた第1絶縁層と、を備えた第1絶縁電線と、
第2中心導体と、前記第2中心導体の周囲に設けられた第2絶縁層と、を備え、前記第1絶縁電線に平行に配置された第2絶縁電線と、
前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線の周囲に設けられた第3絶縁層と、
前記第3絶縁層の周囲に設けられたシールド層と、
前記シールド層に接するドレイン線と、
前記シールド層及び前記ドレイン線の周囲に設けられた第4絶縁層と、
を有し、
前記第1中心導体と前記第2中心導体との間の距離は、
前記第1中心導体と前記シールド層との間の距離の1.6倍以下であり、
前記第2中心導体と前記シールド層との間の距離の1.6倍以下であり、
前記ドレイン線は、平板状の形状を有し、
前記第1絶縁層は、
前記第1中心導体の周囲に設けられた第1充実層と、
前記第1充実層の周囲に設けられた第1発泡層と、
前記第1発泡層の周囲に設けられた第3充実層と、
を有し、
前記第2絶縁層は、
前記第2中心導体の周囲に設けられた第2充実層と、
前記第2充実層の周囲に設けられた第2発泡層と、
前記第2発泡層の周囲に設けられた第4充実層と、
を有し、
前記シールド層は、前記第3絶縁層の外周面に形成されためっき層を有するシールドケーブル。
【請求項14】
前記第3絶縁層は、前記第1充実層、前記第2充実層、前記第3充実層及び前記第4充実層よりも厚い請求項13に記載のシールドケーブル。
【請求項15】
前記ドレイン線の幅は、前記第1中心導体と前記第2中心導体との間の距離以下である請求項13または請求項14に記載のシールドケーブル。
【請求項16】
請求項1から請求項1
5のいずれか1項に記載のシールドケーブルと、
前記シールドケーブルに接続された基板と、
を有し、
前記基板は、
絶縁基材と、
前記第1中心導体と電気的に接続された第1導体層と、
前記第2中心導体と電気的に接続された第2導体層と、
前記ドレイン線と電気的に接続された第3導体層と、
を備え、
前記第1導体層、前記第2導体層及び前記第3導体層は、前記絶縁基材の表面に設けられており、
前記第1導体層、前記第2導体層及び前記第3導体層は、互いに平行に延び、
前記第3導体層は、前記第1導体層と前記第2導体層との間に配置される基板付きシールドケーブル。
【請求項17】
請求項1から請求項1
5のいずれか1項に記載のシールドケーブルと、
前記シールドケーブルに接続された基板と、
を有し、
前記基板は、
絶縁基材と、
前記第1中心導体と電気的に接続された第1導体層と、
前記第2中心導体と電気的に接続された第2導体層と、
前記ドレイン線と電気的に接続された第3導体層と、
を備え、
前記第1導体層、前記第2導体層及び前記第3導体層は、前記絶縁基材の表面に設けられており、
前記絶縁基材は、前記第4絶縁層の前記ドレイン線を基準にして前記第1中心導体及び前記第2中心導体側とは反対側の部分に接し、
前記第1導体層及び前記第2導体層は、互いに平行に延び、
前記第3導体層は、前記第1導体層が延びる方向に直交する方向に延びる基板付きシールドケーブル。
【請求項18】
複数の請求項1から請求項1
5のいずれか1項に記載のシールドケーブルと、
前記複数のシールドケーブルを内包する外被と、
を有する多芯ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シールドケーブル、基板付きシールドケーブル及び多芯ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
平行に並べられた一対の絶縁電線の周囲に巻き付けられた導電性のシールドテープと、シールドテープの外側に巻かれた絶縁テープと、を備えたシールドケーブルが提案されている(特許文献1~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-060685号公報
【文献】特開2018-067435号公報
【文献】国際公開第2019/082437号
【文献】国際公開第2019/131500号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシールドケーブルによれば、所期の目的は達成されるものの、近年ではシールドケーブルの更なる小型化が望まれている。
【0005】
本開示は、良好な高周波信号の品質を得ながら小型化できるシールドケーブル、基板付きシールドケーブル及び多芯ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のシールドケーブルは、第1中心導体と、前記第1中心導体の周囲に設けられた第1絶縁層と、を備えた第1絶縁電線と、第2中心導体と、前記第2中心導体の周囲に設けられた第2絶縁層と、を備え、前記第1絶縁電線に平行に配置された第2絶縁電線と、前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線の周囲に設けられた第3絶縁層と、前記第3絶縁層の周囲に設けられたシールド層と、前記シールド層に接するドレイン線と、前記シールド層及び前記ドレイン線の周囲に設けられた第4絶縁層と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、良好な高周波信号の品質を得ながら小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るシールドケーブルを示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るシールドケーブルの使用形態の第1例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るシールドケーブルの使用形態の第1例を示す断面図(その1)である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るシールドケーブルの使用形態の第1例を示す断面図(その2)である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るシールドケーブルの使用形態の第2例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るシールドケーブルの使用形態の第2例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るシールドケーブルの使用形態の第3例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るシールドケーブルの使用形態の第3例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係るシールドケーブルを示す断面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係るシールドケーブルを示す断面図である。
【
図11】
図11は、第4実施形態に係る多芯ケーブルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕 本開示の一態様に係るシールドケーブルは、第1中心導体と、前記第1中心導体の周囲に設けられた第1絶縁層と、を備えた第1絶縁電線と、第2中心導体と、前記第2中心導体の周囲に設けられた第2絶縁層と、を備え、前記第1絶縁電線に平行に配置された第2絶縁電線と、前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線の周囲に設けられた第3絶縁層と、前記第3絶縁層の周囲に設けられたシールド層と、前記シールド層に接するドレイン線と、前記シールド層及び前記ドレイン線の周囲に設けられた第4絶縁層と、を有する。
【0011】
第1絶縁電線及び第2絶縁電線とシールド層との間に第3絶縁層が設けられている。従って、第1中心導体と第2中心導体との間の距離を小さくしても、インピーダンスを適切に調整できる。このため、良好な高周波信号の品質を得ながら、第1中心導体と第2中心導体との間の距離を小さくして小型化することができる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記第1中心導体と前記第2中心導体との間の距離は、前記第1中心導体と前記シールド層との間の距離の2倍よりも小さく、前記第2中心導体と前記シールド層との間の距離の2倍よりも小さくてもよい。この場合、シールドケーブルを小型化しやすい。
【0013】
〔3〕 〔1〕又は〔2〕において、前記ドレイン線は、平板状の形状を有する。この場合、シールドケーブルの厚さを小さくしやすい。
【0014】
〔4〕 〔1〕~〔3〕において、前記第1絶縁層は、前記第1中心導体の周囲に設けられた第1充実層を有し、前記第2絶縁層は、前記第2中心導体の周囲に設けられた第2充実層を有してもよい。この場合、第1絶縁電線及び第2絶縁電線に所望の機械的強度を確保しやすい。
【0015】
〔5〕 〔4〕において、前記第1絶縁層は、前記第1充実層の周囲に設けられた第1発泡層を有し、前記第2絶縁層は、前記第2充実層の周囲に設けられた第2発泡層を有してもよい。この場合、第1絶縁電線及び第2絶縁電線に所望のインピーダンスを得やすい。
【0016】
〔6〕 〔5〕において、前記第1絶縁層は、前記第1発泡層の周囲に設けられた第3充実層を有し、前記第2絶縁層は、前記第2発泡層の周囲に設けられた第4充実層を有してもよい。この場合、第1絶縁電線及び第2絶縁電線に所望のインピーダンスを更に得やすい。
【0017】
〔7〕 〔6〕において、前記第3絶縁層は、前記第1充実層、前記第2充実層、前記第3充実層及び前記第4充実層よりも厚くてよい。この場合、第1中心導体と第2中心導体との間の距離を小さくしながら、インピーダンスを調整しやすい。
【0018】
〔8〕 〔1〕~〔7〕において、前記シールド層は、前記第3絶縁層の外周面に形成されためっき層を有してもよい。この場合、高周波信号の伝送品質をより向上しやすい。
【0019】
〔9〕 〔1〕~〔7〕において、前記シールド層は、前記ドレイン線が接する金属箔を有してもよい。この場合、シールドケーブルを製造しやすい。
【0020】
〔10〕 〔9〕において、前記ドレイン線は、前記金属箔と前記第4絶縁層との間に設けられていてもよい。この場合、シールド層を第3絶縁層の上に巻き付けやすい。
【0021】
〔11〕 〔9〕において、前記ドレイン線は、前記第3絶縁層と前記金属箔との間に設けられていてもよい。この場合、ドレイン線を第3絶縁層の上に設けやすい。
【0022】
〔12〕 本開示の他の一態様に係るシールドケーブルは、第1中心導体と、前記第1中心導体の周囲に設けられた第1絶縁層と、を備えた第1絶縁電線と、第2中心導体と、前記第2中心導体の周囲に設けられた第2絶縁層と、を備え、前記第1絶縁電線に平行に配置された第2絶縁電線と、前記第1絶縁電線及び前記第2絶縁電線の周囲に設けられた第3絶縁層と、前記第3絶縁層の周囲に設けられたシールド層と、前記シールド層に接するドレイン線と、前記シールド層及び前記ドレイン線の周囲に設けられた第4絶縁層と、を有し、前記第1中心導体と前記第2中心導体との間の距離は、前記第1中心導体と前記シールド層との間の距離の1.6倍以下であり、前記第2中心導体と前記シールド層との間の距離の1.6倍以下であり、前記ドレイン線は、平板状の形状を有し、前記第1絶縁層は、前記第1中心導体の周囲に設けられた第1充実層と、前記第1充実層の周囲に設けられた第1発泡層と、前記第1発泡層の周囲に設けられた第3充実層と、を有し、前記第2絶縁層は、前記第2中心導体の周囲に設けられた第2充実層と、前記第2充実層の周囲に設けられた第2発泡層と、前記第2発泡層の周囲に設けられた第4充実層と、を有し、前記シールド層は、前記第3絶縁層の外周面に形成されためっき層を有する。
【0023】
第1絶縁電線及び第2絶縁電線とシールド層との間に第3絶縁層が設けられている。また、第1中心導体と第2中心導体との間の距離が、第1中心導体とシールド層との間の距離の1.6倍以下であり、第2中心導体とシールド層との間の距離の1.6倍以下である。このため、良好な高周波信号の品質を得ながら、第1中心導体と第2中心導体との間の距離を小さくして小型化することができる。
【0024】
〔13〕 本開示の他の一態様に係る基板付きシールドケーブルは、〔1〕~〔12〕のいずれかのシールドケーブルと、前記シールドケーブルに接続された基板と、を有し、前記基板は、絶縁基材と、前記第1中心導体と電気的に接続された第1導体層と、前記第2中心導体と電気的に接続された第2導体層と、前記ドレイン線と電気的に接続された第3導体層と、を備え、前記第1導体層、前記第2導体層及び前記第3導体層は、前記絶縁基材の表面に設けられており、前記第1導体層、前記第2導体層及び前記第3導体層は、互いに平行に延び、前記第3導体層は、前記第1導体層と前記第2導体層との間に配置される。この場合、良好な高周波信号の品質を得ながら基板付きシールドケーブルを小型化できる。
【0025】
〔14〕 本開示の他の一態様に係る基板付きシールドケーブルは、〔1〕~〔12〕のいずれかのシールドケーブルと、前記シールドケーブルに接続された基板と、を有し、前記基板は、絶縁基材と、前記第1中心導体と電気的に接続された第1導体層と、前記第2中心導体と電気的に接続された第2導体層と、前記ドレイン線と電気的に接続された第3導体層と、を備え、前記第1導体層、前記第2導体層及び前記第3導体層は、前記絶縁基材の表面に設けられており、前記絶縁基材は、前記第4絶縁層の前記ドレイン線を基準にして前記第1中心導体及び前記第2中心導体側とは反対側の部分に接し、前記第1導体層及び前記第2導体層は、互いに平行に延び、前記第3導体層は、前記第1導体層が延びる方向に直交する方向に延びる。この場合、良好な高周波信号の品質を得ながら基板付きシールドケーブルを小型化できる。
【0026】
〔15〕 本開示の他の一態様に係る多芯ケーブルは、複数の〔1〕~〔12〕のいずれかのシールドケーブルと、前記複数のシールドケーブルを内包する外被と、を有する。
【0027】
多芯ケーブルに含まれるシールドケーブルにおいて、良好な高周波信号の品質を得ながら、小型化することができる。従って、多芯ケーブルも小型化できる。更に、多芯ケーブルにより、大容量の信号を伝送できる。
【0028】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0029】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。第1実施形態は、シールドケーブルに関する。
図1は、第1実施形態に係るシールドケーブルを示す断面図である。
図1には、シールドケーブルの長手方向(第1方向)に垂直な断面を示す。
【0030】
第1実施形態に係るシールドケーブル1は、例えばツイナックスケーブルである。
図1に示すように、シールドケーブル1は、主として、絶縁電線10と、絶縁電線20と、絶縁層30と、シールド層40と、ドレイン線50と、絶縁層60とを有する。絶縁電線10及び絶縁電線20は、互いに平行に並べられている。例えば、絶縁電線10及び絶縁電線20は、長手方向に垂直な方向(第2方向)に並べられている。絶縁電線10及び絶縁電線20は、互いに接している。
【0031】
絶縁電線10は、中心導体11と、中心導体11の周囲に設けられた絶縁層12とを有する。絶縁層12は中心導体11の周囲を被覆する。絶縁層12は、充実層13(内側充実層)と、発泡層14と、充実層15(外側充実層)とを含む。中心導体11は第1中心導体の一例である。絶縁層12は第1絶縁層の一例である。
【0032】
中心導体11の材料は、例えば銅、アルミニウム等の金属である。中心導体11に錫又は銀等のめっき処理が施されていてもよい。中心導体11は、単線であってもよく、撚線であってもよい。中心導体11の寸法は、例えば、AWG(American Wire Gauge)の規格において、例えばAWG34~AWG22である。AWG34では、直径が0.160mmであり、AWG22では、直径が0.643mmである。
【0033】
充実層13は中心導体11の周囲に設けられている。充実層13は中心導体11の外周面に接する。充実層13は中心導体11の外周面を覆う。充実層13の材料は、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)又はオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)である。充実層13の厚さは、例えば0.01mm以上1.00mm以下である。充実層13は第1充実層の一例である。
【0034】
発泡層14は充実層13の周囲に設けられている。発泡層14は充実層13の外周面に接する。発泡層14は充実層13の外周面を覆う。発泡層14の材料は、例えばPE、PP又はTPOである。発泡層14の厚さは、例えば0.01mm以上1.00mm以下である。発泡層14は第1発泡層の一例である。
【0035】
充実層15は発泡層14の周囲に設けられている。充実層15は発泡層14の外周面に接する。充実層15は発泡層14の外周面を覆う。充実層15の材料は、例えばPE、PP又はTPOである。充実層15の厚さは、例えば0.01mm以上1.00mm以下である。充実層15は第3充実層の一例である。
【0036】
発泡層14は充実層13及び充実層15よりも厚い。充実層13の厚さと充実層15の厚さとが同じでもよく、充実層15が充実層13より厚くてもよい。例えば、発泡層14の厚さが0.20mmであり、充実層13の厚さが0.08mmであり、充実層15の厚さが0.08mmである。
【0037】
充実層13、発泡層14及び充実層15は、例えば充実層13、発泡層14及び充実層15の3層をまとめての加圧押出により形成されている。
【0038】
絶縁電線20は、中心導体21と、中心導体21の周囲に設けられた絶縁層22とを有する。絶縁層22は中心導体21の周囲を被覆する。絶縁層22は、絶縁層12と同様の構成を備える。絶縁層22は、充実層23(内側充実層)と、発泡層24と、充実層25(外側充実層)とを含む。中心導体21は第2中心導体の一例である。絶縁層22は第2絶縁層の一例である。
【0039】
中心導体21の材料は、例えば銅、アルミニウム等の金属である。中心導体21に錫又は銀等のめっき処理が施されていてもよい。中心導体21は、単線であってもよく、撚線であってもよい。中心導体21の寸法は、例えば、AWGの規格において、例えばAWG34~AWG22である。
【0040】
充実層23は中心導体21の周囲に設けられている。充実層23は中心導体21の外周面に接する。充実層23は中心導体21の外周面を覆う。充実層23の材料は、例えばPE、PP又はTPOである。充実層23の厚さは、例えば0.01mm以上1.00mm以下である。充実層23は第2充実層の一例である。
【0041】
発泡層24は充実層23の周囲に設けられている。発泡層24は充実層23の外周面に接する。発泡層24は充実層23の外周面を覆う。発泡層24の材料は、例えばPE、PP又はTPOである。発泡層24の厚さは、例えば0.01mm以上1.00mm以下である。発泡層24は第2発泡層の一例である。
【0042】
充実層25は発泡層24の周囲に設けられている。充実層25は発泡層24の外周面に接する。充実層25は発泡層24の外周面を覆う。充実層25の材料は、例えばPE、PP又はTPOである。充実層25の厚さは、例えば0.01mm以上1.00mm以下である。充実層25は第4充実層の一例である。
【0043】
発泡層24は充実層23及び充実層25よりも厚い。充実層23の厚さと充実層25の厚さとが同じでもよく、充実層25が充実層23より厚くてもよい。例えば、発泡層24の厚さが0.20mmであり、充実層23の厚さが0.08mmであり、充実層25の厚さが0.08mmであってもよい。
【0044】
充実層23、発泡層24及び充実層25は、例えば充実層23、発泡層24及び充実層25の3層をまとめての加圧押出により形成されている。
【0045】
絶縁層30は絶縁電線10及び絶縁電線20の周囲に設けられている。絶縁層30は、2つの絶縁電線10及び20に接触し、平坦な上側平坦部、下側平坦部と、2つの絶縁電線10及び絶縁電線20と接触し、円形状の第1円形部と、第2円形部とを有する。絶縁層30は、絶縁電線10の外周面のうち絶縁電線20側とは反対側の部分と、絶縁電線20の外周面のうち絶縁電線10側とは反対側の部分とに接する。絶縁層30の材料は、例えばPE、PP又はTPOである。絶縁層30の厚さは、例えば0.01mm以上1.00mm以下である。絶縁層30は充実層13、充実層15、充実層23及び充実層25よりも厚い。絶縁層30の厚さは、例えば0.10mmであってもよい。絶縁層30は、例えばチューブ押出により形成されている。絶縁層30は第3絶縁層の一例である。
【0046】
シールド層40は、樹脂テープ41と、金属箔42とを有する。例えば、金属箔42は、樹脂テープ41の一方の面に接着又は蒸着されている。樹脂テープ41の材料は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂である。金属箔42は、例えば、銅箔又はアルミニウム箔である。シールド層40の厚さは、例えば7μm以上100μm以下である。金属箔42の厚さは、例えば4μm以上、60μm以下である。シールド層40は、樹脂テープ41が絶縁層30に接するようにして、絶縁層30の周囲に縦添えで巻かれている。従って、樹脂テープ41が絶縁層30と金属箔42との間にあり、金属箔42が樹脂テープ41の外側にある。
【0047】
ドレイン線50の材料は、例えば銅、アルミニウム等の金属である。ドレイン線50は、平板状の形状を有する。例えば、ドレイン線50は、長手方向に垂直な方向から見たときに、すなわち断面視で、矩形状の断面形状を有する。ドレイン線50は絶縁層30の上側平坦部の上方に設けられている。例えば、ドレイン線50の厚さは10μm以上100μm以下であり、幅は0.1mm以上5.0mm以下である。ドレイン線50は、シールド層40の金属箔42に接するようにして、金属箔42の外側に設けられている。ドレイン線50は、例えば縦添えされている。ドレイン線50は、金属箔42に電気的に接続されている。絶縁電線10と絶縁電線20とが並ぶ方向(第2方向)とドレイン線50の幅方向とが略平行である。ドレイン線50は、長手方向(第1方向)に垂直な方向であって、かつ絶縁電線10と絶縁電線20とが並ぶ方向(第2方向)にも垂直な方向(第3方向)から見たときに、すなわち平面視で、絶縁電線10と絶縁電線20との接触部と重なる。好ましくは、ドレイン線50の幅方向の中心が、平面視で、絶縁電線10と絶縁電線20との接触部と重なる。
【0048】
絶縁層60はシールド層40及びドレイン線50の周囲に設けられている。絶縁層60の材料は、例えばPET、PVC等の樹脂である。絶縁層60の厚さは、例えば4μm以上50μm以下である。絶縁層60は、例えば、絶縁テープがシールド層40及びドレイン線50の周囲に螺旋状(横巻き)に巻かれて形成されている。絶縁層60がシールド層40及びドレイン線50の周囲に設けられることにより、シールド層40の機械的強度を強くし、外部からの汚染を防ぐことができる。絶縁層60は、絶縁テープに限定されず、加圧押出又はチューブ押出で形成されていてもよい。絶縁層60は第4絶縁層の一例である。
【0049】
第1実施形態に係るシールドケーブル1では、絶縁電線10及び絶縁電線20とシールド層40との間に絶縁層30が設けられている。従って、絶縁電線10の中心導体11と絶縁電線20の中心導体21との間の距離を小さくしても、インピーダンスを適切に調整できる。このため、良好な高周波信号の品質を得ながら、絶縁電線10の中心導体11と絶縁電線20の中心導体21との間の距離を小さくして小型化できる。
【0050】
例えば、中心導体11と中心導体21との間の距離L12は、中心導体11とシールド層40との間の距離L10の2倍よりも小さく、中心導体21とシールド層40との間の距離L20の2倍よりも小さい。シールドケーブル1が小型化しやすくなるためである。距離L12は、好ましくは距離L10の1.8倍以下、かつ距離L20の1.8倍以下であり、より好ましくは距離L10の1.6倍以下、かつ距離L20の1.6倍以下である。距離L12が、距離L10の1.5倍程度、かつ距離L20の1.5倍程度であってもよい。
【0051】
本実施形態では、ドレイン線50が平板状の形状を有する。このため、シールドケーブル1の厚さを小さくしやすい。ドレイン線50は、例えば平角導体である。
【0052】
本実施形態では、絶縁電線10が充実層13、発泡層14及び充実層15を含み、絶縁電線20が充実層23、発泡層24及び充実層25を含む。このため、高周波信号の伝送品質を安定させやすい。
【0053】
なお、絶縁電線10が充実層15を含まなくてもよく、絶縁電線20が充実層25を含まなくてもよい。また、絶縁電線10が発泡層14及び充実層15を含まなくてもよく、絶縁電線20が発泡層24及び充実層25を含まなくてもよい。特に、スキュー又はコモンモードコンバージョンを向上しようとする場合、絶縁電線10が発泡層14を含まず、絶縁電線20が発泡層24を含まなくてもよい。この場合、絶縁電線10は充実層13又は充実層15で形成され、絶縁電線20は充実層23又は充実層25で形成される。特に、挿入損失を向上しようとする場合は、発泡層14及び発泡層24を設けることが好ましい。また、絶縁層12の構造は、充実層13、発泡層14及び充実層15の3層構造に限定されず、充実層13及び発泡層14の2層構造であってもよく、発泡層14及び充実層15の2層構造であってもよい。同様に、絶縁層22の構造は、充実層23、発泡層24及び充実層25の3層構造に限定されず、充実層23及び発泡層24の2層構造であってもよく、発泡層24及び充実層25の2層構造であってもよい。
【0054】
本実施形態では、ドレイン線50が金属箔42と絶縁層60との間に設けられている。このため、シールド層40を絶縁層30の上に巻き付けやすい。
【0055】
ドレイン線50の幅は、例えば絶縁層30の上側平坦部の幅、つまり、絶縁電線10の中心と絶縁電線20の中心との間の距離以下である。ドレイン線50の幅は、中心導体11と中心導体21との間の距離L12以下であってもよい。ドレイン線50の幅が距離L12以下であると、長手方向にわたり、ドレイン線50を絶縁層30の上側平坦部に配置しやすくできる。
【0056】
ここで、縦添えされるシールド層40の内側の端部及び外側の端部の配置について説明する。シールド層40の内側の端部は、絶縁層30の第1円形部又は第2円形部のうち面51よりも下側(ドレイン線50が配置されていない方)に設けられる。また、シールド層40の外側の端部は、絶縁層30の下側平坦部に設けられるか、又は第1円形部若しくは第2円形部のうち面51よりも下側に設けられる。つまり、長手方向に垂直な方向から見たときに、少なくとも、シールド層40の内側の端部及び外側の端部は、絶縁層30の周方向においてドレイン線50から離れて配置され、ドレイン線50と直接重畳しないように設けられるとよい。
【0057】
<シールドケーブル1の使用形態>
次に、第1実施形態に係るシールドケーブル1の使用形態について説明する。シールドケーブル1は、例えば、導体層が形成された基板に接続されて用いられる。
【0058】
〔使用形態の第1例〕
まず、使用形態の第1例について説明する。使用形態の第1例は基板付きシールドケーブルに関する。
図2は、第1実施形態に係るシールドケーブルの使用形態の第1例を示す模式図である。
図3及び
図4は、第1実施形態に係るシールドケーブルの使用形態の第1例を示す断面図である。
図3は、ドレイン線に沿った断面図であり、
図4は、中心導体に沿った断面図である。
【0059】
図2~
図4に示すように、シールドケーブル1は、例えば基板90に接続される。基板90は、絶縁基材95と、信号用の導体層91と、信号用の導体層92と、グランド用の導体層93とを有する。導体層91~93は、絶縁基材95の表面に設けられており、互いに平行に延びる。導体層93が導体層91と導体層92との間に配置されている。導体層91は第1導体層の一例であり、導体層92は第2導体層の一例であり、導体層93は第3導体層の一例である。
【0060】
第1例では、中心導体11及び中心導体21を含む面51に対して、ドレイン線50が基板90側とは反対側に配置される。つまり、第1例では、絶縁層30の下側平坦部が面51よりも絶縁基材95側に位置する。そして、絶縁層60が絶縁基材95の上に絶縁基材95に接するように設けられる。また、中心導体11がはんだ等の接合材(図示せず)により導体層91に接続され、中心導体21がはんだ等の接合材(図示せず)により導体層92に接続され、ドレイン線50がはんだ等の接合材(図示せず)により導体層93に接続される。はんだ等の接合材は樹脂96により覆われる。
【0061】
〔使用形態の第2例〕
次に、使用形態の第2例について説明する。使用形態の第2例は基板付きシールドケーブルに関する。
図5は、第1実施形態に係るシールドケーブルの使用形態の第2例を示す模式図である。
図6は、第1実施形態に係るシールドケーブルの使用形態の第2例を示す断面図である。
図6は、ドレイン線に沿った断面図である。
【0062】
第2例では、
図5及び
図6に示すように、中心導体11及び中心導体21を含む面51に対して、ドレイン線50が基板90側に配置される。つまり、第2例では、絶縁層30の上側平
坦部が面51よりも絶縁基材95側に位置する。そして、絶縁層60が絶縁基材95の上に絶縁基材95に接するように設けられる。また、中心導体11がはんだ等の接合材(図示せず)により導体層91に接続され、中心導体21がはんだ等の接合材(図示せず)により導体層92に接続され、ドレイン線50がはんだ等の接合材(図示せず)により導体層93に接続される。はんだ等の接合材は樹脂96により覆われる。
【0063】
〔使用形態の第3例〕
次に、使用形態の第3例について説明する。使用形態の第3例は基板付きシールドケーブルに関する。
図7は、第1実施形態に係るシールドケーブルの使用形態の第3例を示す模式図である。
図8は、第1実施形態に係るシールドケーブルの使用形態の第3例を示す断面図である。
図8は、ドレイン線に沿った断面図である。
【0064】
第3例では、
図7及び
図8に示すように、導体層93が、導体層91及び92が延びる方向に直交する方向に延びる。また、第2例と同様に、中心導体11及び中心導体21を含む面51に対して、ドレイン線50が基板90側に配置される。つまり、第3例では、絶縁層30の上側平
坦部が面51よりも絶縁基材95側に位置する。そして、絶縁層60が絶縁基材95の上に絶縁基材95に接するように設けられる。絶縁基材95は、絶縁層60のドレイン線50を基準にして中心導体11及び中心導体21側とは反対側の部分に接する。また、中心導体11がはんだ等の接合材(図示せず)により導体層91に接続され、中心導体21がはんだ等の接合材(図示せず)により導体層92に接続される。はんだ等の接合材は樹脂96により覆われる。また、絶縁層60の一部が剥ぎ取られて、ドレイン線50の一部が絶縁層60から露出し、ドレイン線50が異方性導電膜等の接合材(図示せず)により導体層93に接続される。
【0065】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、主として、シールド層40とドレイン線50との位置関係の点で第1実施形態と相違する。
図9は、第2実施形態に係るシールドケーブルを示す断面図である。
図9には、シールドケーブルの長手方向に垂直な断面を示す。
【0066】
図9に示すように、第2実施形態に係るシールドケーブル2では、ドレイン線50が絶縁層30に接するようにして、絶縁層30の外側に設けられている。ドレイン線50は、例えば縦添えされている。また、シールド層40は、金属箔42が絶縁層30及びドレイン線50に接するようにして、絶縁層30及び
ドレイン線40の周囲に縦添えで巻かれている。従って、金属箔42が絶縁層30と樹脂テープ41との間にあり、樹脂テープ41が金属箔42の外側にある。ドレイン線50は、金属箔42に電気的に接続されている。絶縁層60はシールド層40の周囲に設けられている。絶縁層60は、例えば、絶縁テープがシールド層40の周囲に螺旋状(横巻き)に巻かれて形成されている。
【0067】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0068】
第2実施形態によっても第1実施形態と同様に、良好な高周波信号の品質を得ながら、小型化できる効果が得られる。また、本実施形態では、ドレイン線50が絶縁層30と金属箔42との間に設けられている。このため、ドレイン線50を絶縁層30の上に設けやすい。
【0069】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、主として、シールド層
40及び絶縁層
60の構成の点で第1実施形態等と相違する。
図10は、第3実施形態に係るシールドケーブルを示す断面図である。
図10には、シールドケーブルの長手方向に垂直な断面を示す。
【0070】
図10に示すように、第3実施形態に係るシールドケーブル3は、シールド層40に代えて、絶縁層30の外周面に形成されためっき層43をシールド層として有する。めっき層43の材料は、例えば銅である。めっき層43の厚さは、例えば0.1μm以上20μm以下である。ドレイン線50は、めっき層43に接するようにして、めっき層43の外側に設けられている。ドレイン線50は、例えば縦添えされている。ドレイン線50は、めっき層43に電気的に接続されている。
【0071】
また、シールドケーブル3は、絶縁層60に代えて、絶縁層70を有する。絶縁層70は、第1層71と、第2層72とを有する。第1層71及び第2層72の材料は、例えばPET、PVC等の樹脂である。第1層71及び第2層72の厚さは、例えば4μm以上50μm以下である。第1層71は、面51の一方側にラミネートされ、めっき層43の面51の一方側の部分と、ドレイン線50とを覆う。また、第2層72は面51の他方側にラミネートされ、めっき層43の面51の他方側の部分を覆う。そして、第1層71及び第2層72が、めっき層43に連続しながら互いに貼り合わされている。絶縁層70は、第1層71及び第2層72が貼り合わされた2個の耳部73を有する。
【0072】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0073】
第3実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第3実施形態では、めっき層43がシールド層として機能する。このため、めっき層43と中心導体11との間の距離L10、及びめっき層43と中心導体21との間の距離L20を安定させやすい。従って、高周波信号の伝送品質をより向上しやすい。
【0074】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第1実施形態に係るシールドケーブル1を含む多芯ケーブルに関する。
図11は、第4実施形態に係る多芯ケーブルを示す断面図である。
図11には、多芯ケーブルの長手方向に垂直な断面を示す。
【0075】
図11に示すように、第4実施形態に係る多芯ケーブル4は、複数、例えば8本のシールドケーブル1と、介在81と、積層テープ82と、シールド層83と、外被84とを有する。
【0076】
8本のシールドケーブル1のうち、2本のシールドケーブル1が、ドレイン線50が外側を向くようにして撚り合わされ、その周囲に、他の6本のシールドケーブル1が、ドレイン線50が外側を向くようにして撚り合わされている。例えば、2本のシールドケーブル1の撚り合わせのピッチと、6本のシールドケーブル1の撚り合わせのピッチとが等しい。介在81は、例えば、撚り合わされた2本のシールドケーブル1と、撚り合わされた6本のシールドケーブル1との間に設けられる。撚り合わされた6本のシールドケーブル1の周囲に設けられてもよい。
【0077】
積層テープ82は、複数のシールドケーブル1及び介在81の周囲に設けられている。積層テープ82は、例えば、PETテープと、アルミニウム箔とを有する。アルミニウム箔がPETテープの外側に配置されている。シールド層83は積層テープ82の周囲に設けられており、積層テープ82のアルミニウム箔に接する。積層テープ82は、複数のシールドケーブル1及び介在81の周囲に螺旋状(横巻き)に巻かれて形成されている。シールド層83は、例えば編組である。外被84はシールド層83の周囲に設けられている。外被84は複数のシールドケーブル1を内包する。シールド層83と外被84との間に銅箔が設けられていてもよい。
【0078】
多芯ケーブル4に含まれるシールドケーブル1において、良好な高周波信号の品質を得ながら、小型化することができる。従って、多芯ケーブル4も小型化できる。更に、多芯ケーブル4によれば、大容量の信号を伝送できる。また、ドレイン線50が外側を向くように配置されているため、多芯ケーブル4を基板に接続する際に、基板の導体層とドレイン線50とを接続しやすい。
【0079】
多芯ケーブル4が、シールドケーブル1に代えてシールドケーブル2又は3を含んでもよい。
【0080】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1、2、3:シールドケーブル
4:多芯ケーブル
10、20:絶縁電線
11:中心導体(第1中心導体)
12:絶縁層(第1絶縁層)
13:充実層(第1充実層)
14:発泡層(第1発泡層)
15:充実層(第3充実層)
21:中心導体(第2中心導体)
22:絶縁層(第2絶縁層)
23:充実層(第2充実層)
24:発泡層(第2発泡層)
25:充実層(第4充実層)
30:絶縁層(第3絶縁層)
60:絶縁層(第4絶縁層)
70:絶縁層
40、83:シールド層
41:樹脂テープ
42:金属箔
43:めっき層
50:ドレイン線
51:面
71:第1層
72:第2層
73:耳部
81:介在
82:積層テープ
84:外被
90:基板
91:導体層(第1導体層)
92:導体層(第2導体層)
93:導体層(第3導体層)
95:絶縁基材
96:樹脂