(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B65H 7/02 20060101AFI20250408BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20250408BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20250408BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
B65H7/02
B41J29/393 105
G03G21/00 510
G03G21/14
(21)【出願番号】P 2021149402
(22)【出願日】2021-09-14
【審査請求日】2024-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 庄一
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-184944(JP,A)
【文献】特開2019-139125(JP,A)
【文献】特開2018-069641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/02
G03G 21/14
B41J 29/393
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記記録媒体の搬送路における前記画像形成部よりも上流側に設けられ、前記記録媒体の
サイズに関する情報を取得する第1のセンサーと、
前記記録媒体の搬送路における前記画像形成部よりも下流側に設けられ、前記記録媒体を読み取って読取画像を生成する第2のセンサーと、
前記記録媒体に対する画像の形成位置を制御する制御部と、を備え
、
前記制御部は、
前記第1のセンサーにより取得された第1の記録媒体のサイズに関する情報と、前記第1の記録媒体よりも後で画像が形成される前記第1の記録媒体とは異なる第2の記録媒体の前記第1のセンサーにより取得された記録媒体のサイズに関する情報とに基づいて、前記第2の記録媒体に対する画像の形成位置を補正し、
前記第2のセンサーによって生成された前記読取画像に基づいて、前記第2の記録媒体に対する画像の形成位置を調整する、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1のセンサーにより取得された
前記第1の記録媒体のサイズに関する情報と前記
第2の記録媒体の
サイズに関する情報の変化量に基づいて前記
第2の記録媒体に対する画像の形成位置を
補正する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1のセンサーにより取得された前記記録媒体の
サイズに関する情報に基づいて、前記記録媒体における余白領域を設定する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記余白領域は、断裁される領域である、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
第1面に画像が形成された前記記録媒体の前記第1面とは異なる第2面への画像形成時に、前記第1のセンサーにより取得された前記記録媒体の
サイズに関する情報に基づいて、前記記録媒体における余白領域を設定する、請求項
3または4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1のセンサーにより取得された前記記録媒体の
サイズに関する情報に基づいて、前記記録媒体の第2面における搬送方向の先端側の端部における余白領域を設定する、請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記録媒体の第1面における搬送方向の先端側の端部における余白領域は予め設定された領域である、請求項
5または
6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1の記録媒体
のサイズに関する情報を記憶部に記憶するよう制御する、請求項1~
7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1のセンサーは、前記記録媒体を読み取る読取部を含む、請求項1~
8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1のセンサーは、前記記録媒体の種類を検出するセンサーをさらに含む、請求項1~
9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第1のセンサーは、前記記録媒体の属性を検出するセンサーをさらに含む、請求項1~
10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第1のセンサーは、紙厚センサー、つぼ量センサー、光沢度センサー、平滑度センサー、含水率センサーの少なくともいずれかである、請求項
10または
11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第2のセンサーによって生成された前記読取画像に基づいて、前記記録媒体の第1面に形成された画像と、前記記録媒体の第1面とは異なる第2面に形成された画像の位置ずれを検出する解析部をさらに備える、請求項
1~12のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記第1のセンサーの検出結果と
前記第2のセンサーによって生成された前記読取画像とに基づいて、前記記録媒体に対して画像を形成する位置を
補正する、請求項
10~12のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
画像形成装置の制御方法であって、
記録媒体の搬送路における画像形成部よりも上流側に設けられた第1のセンサーにより記録媒体の
サイズに関する情報を取得するステップと、
前記記録媒体の搬送路における前記画像形成部よりも下流側に設けられた第2のセンサーにより前記記録媒体を読み取って読取画像を生成するステップと、
記録媒体における画像の形成位置を制御するステップと、を含み、
前記画像の形成位置を制御するステップは、
前記第1のセンサーにより取得された第1の記録媒体のサイズに関する情報と、前記第1の記録媒体よりも後で画像が形成される前記第1の記録媒体とは異なる第2の記録媒体の前記第1のセンサーにより取得された記録媒体のサイズに関する情報とに基づいて、前記第2の記録媒体に対する画像の形成位置を補正するステップと、
前記第2のセンサーによって生成された前記読取画像に基づいて、前記第2の記録媒体に対する画像の形成位置を調整するステップを
を含む制御方法。
【請求項16】
前記制御するステップは、
前記第1のセンサーにより取得された
前記第1の記録媒体のサイズに関する情報と前記
第2の記録媒体の
サイズに関する情報の変化量に基づいて前記記録媒体に対する画像の形成位置を
補正する、請求項
15に記載の制御方法。
【請求項17】
前記第1のセンサーにより取得された前記記録媒体の
サイズに関する情報に基づいて、前記記録媒体における余白領域を設定するステップをさらに含む、請求項
15または
16に記載の制御方法。
【請求項18】
前記余白領域は、断裁される領域である、請求項
17に記載の制御方法。
【請求項19】
前記余白領域を設定するステップは、第1面に画像が形成された前記記録媒体の前記第1面とは異なる第2面への画像形成時に、前記第1のセンサーにより取得された前記記録媒体の
サイズに関する情報に基づいて、前記記録媒体における余白領域を設定する、請求項
17または18に記載の制御方法。
【請求項20】
前記余白領域を設定するステップは、前記第1のセンサーにより取得された前記記録媒体の
サイズに関する情報に基づいて、前記記録媒体の第2面における搬送方向の先端側の端部における余白領域を設定する、請求項
19に記載の制御方法。
【請求項21】
前記記録媒体の第1面におけ
る搬送方向の先端側の端部における余白領域は予め設定された領域である、請求項
19または
20に記載の制御方法。
【請求項22】
前記第1の記録媒体
のサイズに関する情報を記憶部に記憶するステップをさらに含む、請求項
15~21のいずれかに記載の制御方法。
【請求項23】
前記第1のセンサーは、前記記録媒体の種類を検出するセンサーをさらに含む、請求項15~22のいずれかに記載の制御方法。
【請求項24】
前記第1のセンサーは、前記記録媒体の属性を検出するセンサーをさらに含む、請求項15~23のいずれかに記載の制御方法。
【請求項25】
前記第1のセンサーは、紙厚センサー、つぼ量センサー、光沢度センサー、平滑度センサー、含水率センサーの少なくともいずれかである、請求項23または24に記載の制御方法。
【請求項26】
前記第2のセンサーによって生成された前記読取画像に基づいて、前記記録媒体の第1面に形成された画像と、前記記録媒体の第1面とは異なる第2面に形成された画像の位置ずれを検出するステップをさらに含む、請求項15~25のいずれかに記載の制御方法。
【請求項27】
前記第1のセンサーの検出結果と前記第2のセンサーによって生成された前記読取画像とに基づいて、前記記録媒体に対して画像を形成する位置を補正するステップをさらに含む、請求項23~25のいずれかに記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関し、より特定的には、印刷される画像を補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、両面印刷を行う場合、用紙に表面印刷をした後に反転経路で用紙を反転し、反転後の用紙に裏面印刷をして、当該用紙を排出する。連続して両面印刷を行う場合に、用紙のサイズが変わると、それに応じて用紙表裏に印刷された画像の位置にずれが生じてしまう。そのため、この課題に対応するため、排紙経路に、用紙に印刷された画像を読み取るイメージセンサーを配置し、用紙のサイズの変化に応じて、印刷される画像を補正する画像形成装置等が登場している。
【0003】
印刷される画像の補正技術に関し、例えば、特開2014-238544号公報(特許文献1)は、「画像転写部と、定着部と、反転部とを有し、用紙の表裏面に画像を転写可能な画像形成装置であって、サイズ測定部が用紙のサイズを測定してから、該用紙が転写位置に到達するまでの時間が、測定した用紙のサイズに基づく画像の補正を行い、かつ、該補正された画像が転写された転写ベルトが転写位置に到達するまでの時間以上となるように、サイズ測定部が搬送路上に配置されており、前記画像の補正は、用紙の表面及び裏面の少なくともいずれか一方に行う」画像形成装置を開示している([要約]参照)。
【0004】
また、印刷される画像の補正技術に関する他の技術が、例えば、特許文献2~特許文献4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-238544号公報
【文献】特開2009-42461号公報
【文献】特開2010-212745号公報
【文献】特開2017-209935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~4に開示された技術によると、印刷用紙の大きさが変化した場合の画像位置ずれを補正できるが、画像位置を正しく制御するためには、印刷用紙の大きさを正しく測定する必要があり、この実現方法が課題となっていた。そのため、印刷途中に用紙の形状が急激に変化した場合に、印刷される画像の補正が実施できないか、実施できたとしても、印刷結果を観察してから補正する制御のため、補正に遅れが生じてしまうことがあった。したがって、印刷途中に用紙の形状の変化があった場合でも印刷される画像を即座に補正するための技術が必要とされている。
【0007】
本開示は、上記のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的は、印刷途中に用紙の形状の変化があった場合でも印刷される画像を即座に補正する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施の形態に従うと画像形成装置が提供される。画像形成装置は、用紙に画像を印刷する画像形成部と、用紙への画像の印刷位置を補正する補正部と、画像形成部よりも上流の搬送路に配置され、用紙を検出して検出データを補正部に出力する第1のセンサーとを備える。補正部は、検出データに基づいて、第1の用紙よりも前に印刷された第2の用紙の形状に対する第1の用紙の形状の変化量を求め、変化量に基づいて、第1の用紙への第1の画像の印刷位置を補正する。
【0009】
ある局面において、変化量に基づいて、第1の用紙に形成される第1の画像の位置を補正することは、第2の用紙に形成される第2の画像の第1の方向の余白のサイズと、第1の画像の第1の方向の余白のサイズとを揃えることを含む。
【0010】
ある局面において、第1の方向の余白は、第1の用紙および第2の用紙の搬送路上の通紙方向の余白、または通紙方向と反対側の余白である。
【0011】
ある局面において、補正部は、第1の用紙に両面印刷を行うことに基づいて、第1の用紙の表側の画像に重なるように、第1の用紙の裏側の画像の印刷位置を補正する。
【0012】
ある局面において、画像形成装置は、画像形成部および第1のセンサーの間で搬送路に配置されたレジストローラーをさらに備える。補正部は、用紙の末尾が第1のセンサーを通過しきる前に用紙の先端がレジストローラーに突き当たるか否かに基づいて、変化量を求める動作を切り替える。
【0013】
ある局面において、補正部は、用紙の末尾が第1のセンサーを通過しきる前に用紙の先端がレジストローラーに突き当たらない場合、第1のセンサーが用紙の先端を検知してから、用紙の後端が第1のセンサーを通過するまの時間に基づいて、変化量を求める。
【0014】
ある局面において、補正部は、用紙の末尾が第1のセンサーを通過しきる前に用紙の先端がレジストローラーに突き当たる場合、用紙がレジストローラーに突き当たって一旦停止して再度動き出てから、用紙の後端が第1のセンサーを通過するまの時間に基づいて、変化量を求める。
【0015】
ある局面において、画像形成装置は、搬送路上の第1のセンサーとは異なる位置に用紙を検出する第2のセンサーをさらに備える。補正部は、第1のセンサーによって検出された変化量と、第2のセンサーによって検出された変化量とが異なることに基づいて、第1の用紙をヤレ紙として排出し、印刷処理を再度実行する。
【0016】
ある局面において、画像形成装置は、搬送路上の画像形成部よりも下流に印刷処理後の用紙を検出する第3のセンサーをさらに備える。補正部は、第3のセンサーから取得した印刷処理後の用紙の検出データを解析し、用紙の形状の変化に起因して画像の位置ずれが発生していた場合、用紙をヤレ紙として排出し、用紙の形状の変化に基づいて、画像の位置ずれを補正し、環境変化に起因して画像の位置ずれが発生していた場合、第3のセンサーの計測結果を用いて、画像の印刷位置を補正する。
【0017】
ある局面において、画像形成装置は、用紙の属性情報の入力を受け付けるための入力部または属性情報を取得する第4のセンサーをさらに備える。補正部は、入力部または第4のセンサーから属性情報を取得し、属性情報に基づいて、用紙の定着処理によるサイズ変化を推定し、推定したサイズ変化に基づいて、画像の印刷位置の補正量を調整する。
【0018】
ある局面において、補正部は、属性情報に基づいて、用紙の定着処理によるサイズ変化が予め定められた量以上であると判定したことに応じて、画像の印刷位置の補正量を少なくする。
【0019】
ある局面において、補正部は、変化量に起因して画像の位置ずれが発生していた場合、レジストローラーの動作タイミングまたは画像の転写タイミングに基づいて、第1の用紙に印刷される画像の印刷位置を補正し、第1の用紙の角度、エッジの形状または歪みに起因して画像の位置ずれが発生していた場合、第1の用紙に印刷される画像を変形させる。
【0020】
他の実施の形態に従うと、画像形成装置の制御方法が提供される。制御方法は、画像形成部よりも上流の搬送路に配置される第1のセンサーから用紙の検出データを取得するステップと、検出データに基づいて、第1の用紙よりも前に印刷された第2の用紙の形状に対する第1の用紙の形状の変化量を求めるステップと、変化量に基づいて、第1の用紙への第1の画像の印刷位置を補正するステップとを含む。
【0021】
ある局面において、変化量に基づいて、第1の用紙に形成される第1の画像の位置を補正するステップは、第2の用紙に形成される第2の画像の第1の方向の余白のサイズと、第1の画像の第1の方向の余白のサイズとを揃えるステップを含む。
【0022】
ある局面において、第1の方向の余白は、第1の用紙および第2の用紙の搬送路上の通紙方向の余白、または通紙方向と反対側の余白である。
【0023】
ある局面において、方法は、第1の用紙に両面印刷を行うことに基づいて、第1の用紙の表側の画像に重なるように、第1の用紙の裏側の画像の印刷位置を補正するステップをさらに含む。
【0024】
ある局面において、方法は、用紙の末尾が第1のセンサーを通過しきる前に、用紙の先端が画像形成部および第1のセンサーの間で搬送路に配置されたレジストローラーに突き当たるか否かに基づいて、変化量を求める動作を切り替えるステップをさらに含む。
【0025】
ある局面において、方法は、用紙の末尾が第1のセンサーを通過しきる前に用紙の先端がレジストローラーに突き当たらない場合、第1のセンサーが用紙の先端を検知してから、用紙の後端が第1のセンサーを通過するまの時間に基づいて、変化量を求めるステップをさらに含む。
【0026】
ある局面において、方法は、用紙の末尾が第1のセンサーを通過しきる前に用紙の先端がレジストローラーに突き当たる場合、用紙がレジストローラーに突き当たって一旦停止して再度動き出てから、用紙の後端が第1のセンサーを通過するまの時間に基づいて、変化量を求めるステップをさらに含む。
【0027】
ある局面において、方法は、第1のセンサーによって検出された変化量と、搬送路上の第1のセンサーとは異なる位置に用紙を検出する第2のセンサーによって検出された変化量とが異なることに基づいて、第1の用紙をヤレ紙として排出し、印刷処理を再度実行するステップをさらに含む。
【0028】
ある局面において、方法は、搬送路上の画像形成部よりも下流に印刷処理後の用紙を検出する第3のセンサーから取得した印刷処理後の用紙の検出データを解析するステップと、用紙の形状の変化に起因して画像の位置ずれが発生していた場合、用紙をヤレ紙として排出し、用紙の形状の変化に基づいて、画像の位置ずれを補正するステップと、環境変化に起因して画像の位置ずれが発生していた場合、第3のセンサーの計測結果を用いて、画像の印刷位置を補正するステップとをさらに含む。
【0029】
ある局面において、方法は、用紙の属性情報の入力を受け付けるための入力部または属性情報を取得する第4のセンサーから属性情報を取得するステップと、属性情報に基づいて、用紙の定着処理によるサイズ変化を推定し、推定したサイズ変化に基づいて、画像の印刷位置の補正量を調整するステップとをさらに含む。
【0030】
ある局面において、方法は、属性情報に基づいて、用紙の定着処理によるサイズ変化が予め定められた量以上であると判定したことに応じて、画像の印刷位置の補正量を少なくするステップをさらに含む。
【0031】
ある局面において、方法は、変化量に起因して画像の位置ずれが発生していた場合、レジストローラーの動作タイミングまたは画像の転写タイミングに基づいて、第1の用紙に印刷される画像の印刷位置を補正するステップと、第1の用紙の角度、エッジの形状または歪みに起因して画像の位置ずれが発生していた場合、第1の用紙に印刷される画像を変形させるステップとをさらに含む。
【発明の効果】
【0032】
ある実施の形態に従うと、印刷途中に用紙の形状の変化があった場合でも印刷される画像を即座に補正することが可能である。
【0033】
この開示内容の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本開示に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】ある実施の形態に従う画像形成システム100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図2】ある実施の形態に従う画像形成システム100の主な制御回路の構成の一例を示す図である。
【
図3】用紙に印刷される画像の補正手順の第1段階目の一例を示す図である。
【
図4】用紙に印刷される画像の補正手順の第2段階目の一例を示す図である。
【
図5】用紙に印刷される画像の補正手順の第3段階目の一例を示す図である。
【
図6】用紙に印刷される画像の補正手順の第4段階目の一例を示す図である。
【
図7】画像形成システム100における各処理のタイミングの一例を示す図である。
【
図8】画像形成システム100における内部処理の第1の例を示すフローチャートである。
【
図9】画像形成システム100における内部処理の第2の例を示すフローチャートである。
【
図10】ある実施の形態に従う画像形成システムのハードウェア構成の第2の例を示す図である。
【
図11】ある実施の形態に従う画像形成システムのハードウェア構成の第3の例を示す図である。
【
図12】
図9のフローチャートに示される処理を実行した場合の画像位置ずれ量の補正結果の一例を示す図である。
【
図13】ある実施の形態に従う画像形成システムによる画像の補正の第1の応用例を示す図である。
【
図14】ある実施の形態に従う画像形成システムによる画像の補正の第2の応用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0036】
<A.画像形成システムの構成>
まず、
図1および
図2を参照して、本実施の形態に従う画像形成システムのハードウェア構成および動作概要一例について説明する。ある局面において、本実施の形態に従う画像形成システムは、
図1および
図2に示される構成以外の任意の構成を含んでいてもよい。また、他の局面において、本実施の形態に従う画像形成システムは、
図1および
図2に示される構成の一部を含まなくてもよい。
【0037】
図1は、本実施の形態に従う画像形成システム100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0038】
画像形成システム100は、主な構成として、第1のメディア検知ユニット101と、通紙センサー111と、画像転写部102と、定着部103と、リレーユニット104と、第2のメディア検知ユニット105と、用紙反転部106と、給紙トレイ130とを備える。
【0039】
第1のメディア検知ユニット101は、メディアセンサー110を含む。第2のメディア検知ユニット105は、メディアセンサー112,113を含む。画像転写部102は、各色の感光体ユニット121と、中間転写ベルト122とを含む。定着部103は、定着ローラー123を含む。画像転写部102と、定着部103とを合せて画像形成部と呼ぶこともある。
【0040】
第1のメディア検知ユニット101は、メディアセンサー110を用いて、給紙トレイ130からから搬送されてくる用紙を検知する。メディアセンサー110は、例えば、イメージセンサーである。一例として、画像解析部201(
図2参照)は、メディアセンサー110から取得した画像を解析することで、用紙の形状、用紙の種類、またはその両方を検出し得る。ここでの用紙の形状とは、用紙の縦横方向のサイズ、角度、歪み等を含み得る。
【0041】
通紙センサー111は、例えば、レジストローラー206(
図2参照)の付近に配置され得る。通紙センサー111は、搬送されてくる用紙を検出する。一例として、画像解析部201は、通紙センサー111から取得する信号に基づいて、用紙の先端がレジストローラー206に突き当たったことを検出し得る。
【0042】
画像転写部102は、感光体ユニット121および中間転写ベルト122を介して、印刷ジョブとして投入された画像を用紙に転写する。感光体ユニット121は、一例として、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック(キープレート)、およびスペシャルカラーの各々のトナー像を形成する感光体ユニットを含み得る。各色の感光体ユニット121上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト122に転写され、転写された各トナー像は最終的なカラー(白黒も含む)のトナー像を形成する。中間転写ベルト122に転写されたトナー像は、搬送されてくる用紙に転写される。
【0043】
定着部103は、ヒーターを備える定着ローラー123により、搬送されてくる用紙を加熱し、トナー像を用紙に定着させる。片面印刷の場合、表面の定着処理後の用紙はリレーユニット104に搬送される。両面印刷の場合、表面の定着処理後の用紙は用紙反転部106に搬送され、裏面の定着処理後の用紙はリレーユニット104に搬送される。
【0044】
用紙反転部106は、用紙を反転して、反転後の用紙をレジストローラー206の上流の搬送路に戻す。用紙反転部106によって反転された用紙は、表面と同様の手順で裏面に画像を印刷される。
【0045】
リレーユニット104は、印刷処理が完了した用紙を排出トレイに向けて搬送する。
第2のメディア検知ユニット105は、メディアセンサー112,113を介して、用紙に印刷された画像を取得する。メディアセンサー112,113は、例えば、イメージセンサーである。一例として、画像解析部201は、メディアセンサー112,113から取得した画像を解析することで、用紙に印刷された画像のずれを検出し得る。ここでの画像のずれは、例えば、第1の用紙の表面に印刷された画像の位置と、第2の用紙の表面に印刷された画像の位置とのずれを含み得る。また、画像のずれは、ある用紙の表面に印刷された画像の位置と、裏面に印刷された画像の位置とのずれを含み得る。
【0046】
図2は、本実施の形態に従う画像形成システム100の主な制御回路の構成の一例を示す図である。画像形成システム100は、一例として、画像形成装置200と、用紙トレイ装置220とを備える。ある局面において、画像形成システム100は、画像形成装置200と用紙トレイ装置220とを含む1台の画像形成装置として実現されてもよい。
【0047】
画像形成装置200は、主な制御回路として、画像解析部201と、画像制御部202と、情報I/F(Interface)部203と、操作表示部204と、画像形成制御部205とを備える。
【0048】
画像解析部201は、第1のメディア検知ユニット101からの画像(画像の検出データ)と、通紙センサー111からの信号と、第2のメディア検知ユニット105とからの画像(画像の検出データ)とを取得する。なお、画像解析部は図示の通り1カ所でもよく、前記、第1のメディア検知ユニット101、第2のメディア検知ユニット105、各々の画像を別個に受け取り、各々解析するよう、各々に画像解析部があり、相互に、あるいは、これらと別の第3の画像解析部があり、前記各々の画像解析部から、各々の解析結果を受け取り、画像位置補正の各種制御を行う構成でもよい。
【0049】
また、画像解析部201は、これらの画像および信号を解析し、用紙の形状の変化を検出し、当該用紙の形状の変化に基づいて、用紙に印刷される画像を補正する。画像の補正は、例えば、画像の印刷位置の調整、および、画像の変形等を含み得る。画像の補正の例については、
図3~
図6、
図13および
図14を参照して後述する。画像解析部201は、画像の補正量を画像制御部202に出力する。画像解析部201は、画像を補正するため、画像の補正部であるとも言える。ある局面において、画像解析部201は、画像制御部202から、印刷ジョブの情報等を取得してもよい。この場合、画像解析部201は、印刷ジョブの情報(印刷画像)と、第1のメディア検知ユニット101からの画像、通紙センサー111からの信号および第2のメディア検知ユニット105からの画像の一部または全てとに基づいて、画像の補正量を生成し得る。
【0050】
画像制御部202は、入力されたジョブを実行する。ジョブは、例えば、画像の用紙への印刷処理および画像をデータとして保存する処理等を含み得る。画像制御部202は、画像の補正量を取得した場合、補正後の画像の印刷命令を画像形成制御部205に出力する。
【0051】
情報I/F部203は、外部機器との通信用インターフェイスである。情報I/F部203は、外部機器からジョブを受け付けて、当該ジョブを画像制御部202に出力し得る。ある局面において、有線LAN(Local Area Network)ポートが、情報I/F部203として使用されてもよい。他の局面において、Wi-Fi(登録商標)モジュールが、情報I/F部203として使用されてもよい。情報I/F部203は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)等の通信プロトコルを用いてデータを送受信し得る。
【0052】
操作表示部204は、ユーザーに情報を提示すると共にユーザーからの入力操作を受け付ける。入力操作は、一例として印刷の設定等を含み得る。ある局面において、操作表示部204は、ディスプレイおよび操作ボタン等を含む操作パネルであってもよい。この場合、ディスプレイは液晶モニター、有機EL(Electro Luminescence)モニター等を含み得る。液晶モニター、有機ELモニター等は、タッチセンサーを含み、操作メニューを表示すると共に、ユーザーからのタッチによる入力を受け付けてもよい。
【0053】
画像形成制御部205は、画像制御部202から取得した印刷命令に基づいて画像転写部102を制御する。ある局面において、画像形成制御部205は、定着部103も制御してもよい。他の局面において、画像形成制御部205の機能は、画像制御部202に含まれていてもよい。
【0054】
<B.印刷される画像の補正>
次に、
図3~
図6を参照して、用紙の形状(通紙方向の長さ)が変化した場合に、用紙に印刷される画像がどのように補正されるのかについて説明する(用紙の形状が歪む場合等の補正については
図13および
図14を参照して後述する)。また、画像形成システム100は搬送される用紙の通紙方向の長さごとに異なる動作をすることがあり、画像形成システム100の動作についても説明する。
【0055】
(a.画像の補正の手順)
図3は、用紙に印刷される画像の補正手順の第1段階目の一例を示す図である。まず、画像解析部201は、第1のメディア検知ユニット101から取得した画像(用紙の画像)に基づいて、基準となる用紙の長さを検出し、当該用紙の通紙方向の長さを例えば基準長「Xmm」とする。次に、画像制御部202は、用紙に対して両面印刷を行う。用紙の表面300Aには、画像310Aが印刷され、用紙の裏面300Bには、画像310Bが印刷されたとする。
【0056】
用紙は、ユーザーが用紙のロールを断裁して作成することもあり、必ずしも同じ長さであるとは限らない。例えば、画像形成装置200が搬送されてくる用紙をA4サイズとして認識したとしても、実際には、用紙の通紙方向の長さには多少の誤差があるため、用紙の前後の余白が不揃いになる。
図3に示される例では、用紙の表面300Aにおける通紙方向における先頭余白は「Amm」であり、末尾余白は「Bmm」であり長さが異なっている。この場合、画像形成装置200が用紙に両面印刷すると、用紙の表面300A、裏面300Bで画像の向きが変わるため、用紙の表面300A、裏面300Bで画像の印刷位置がずれてしまう。
【0057】
画像解析部201は、用紙の基準長「Xmm」(通紙方向の長さ)と、先頭余白「Amm」と、末尾余白「Bmm」とを記憶する。ある局面において、画像解析部201は、用紙の基準長「Xmm」と、先頭余白「Amm」と、末尾余白「Bmm」とを記憶するための記憶装置(図示せず)を備えていてもよいし、他の場所にある記憶装置を利用してもよい。
【0058】
図4は、用紙に印刷される画像の補正手順の第2段階目の一例を示す図である。画像解析部201は、
図3を参照して説明した処理を実行した後に、第1のメディア検知ユニット101から取得した画像に基づいて通紙方向の長さが基準長「Xmm」の用紙を検出した場合、用紙の両面に印刷される画像の位置が一致するように画像を補正する。
【0059】
より具体的には、画像解析部201は、基準長「Xmm」と、先頭余白「Amm」と、末尾余白「Bmm」とに基づいて(または表裏の画像位置ずれ量とに基づいて)、用紙の通紙方向の先頭余白と、末尾余白とが同じになるように、補正量(印刷設定の補正量)を生成し、当該補正量を画像制御部202に出力する。
【0060】
図4に示される例では、画像解析部201は、用紙の表面400Aに印刷される画像410Aの先頭余白および末尾余白が「Cmm」になるように補正量を生成している。この場合、先頭余白および末尾余白は等しいため、画像形成装置200が用紙に両面印刷すると、用紙の表面400Aに印刷される画像410Aの位置と、用紙の裏面400Bに印刷される画像410Bの位置とは一致する。このように、画像形成システム100は、通紙方向の長さが基準長「Xmm」の用紙を検出した場合、上記のように画像を補正することで、画像の位置ずれを修正し得る。
【0061】
図5は、用紙に印刷される画像の補正手順の第3段階目の一例を示す図である。次に、画像形成装置200が、基準長「Xmm」とは異なる長さの用紙に画像を印刷する場合の画像の補正について説明する。
【0062】
画像解析部201は、
図3を参照して説明した処理を実行した後に、第1のメディア検知ユニット101から取得した画像に基づいて通紙方向の長さが基準長「Xmm」ではない用紙を検出した場合(用紙の形状の変化量を検出した場合)、用紙の表面500Aの画像510Aの先頭余白が常に一定(例えば「Cmm」)になるように補正量を生成する。次に、画像解析部201は、用紙の裏面500Bに画像510Bを印刷するとき、用紙の裏面500Bの画像510Bの末尾余白が、常に用紙の表面500Aの画像510Aの先頭余白と一致するように(この場合「Cmm」)補正量を生成する。こうすることで、画像形成システム100は、常に、用紙の片方の余白を一定に保つことができる。
図5に示される例では、画像形成システム100は、常に、用紙の片方の余白を「Cmm」に保つことができる。
【0063】
ある局面において、画像解析部201は、用紙の表面500Aの画像510Aの末尾余白が常に一定になるように補正量を生成してもよい。この場合、画像解析部201は、用紙の裏面500Bの画像510Bの先頭余白が常に用紙の表面500Aの画像510Aの末尾余白と一致するように補正量を生成する。
【0064】
図6は、用紙に印刷される画像の補正手順の第4段階目の一例を示す図である。画像形成システム100は、
図3~
図5を参照して説明したように、異なる長さの用紙に印刷する場合、常に用紙の片側の余白が用紙の基準長「Xmm」に基づいて算出した長さ「Cmm」になるように、用紙に画像を印刷する。これにより、ユーザーは、印刷後の用紙の片方の余白(不揃いな方の余白)を「Cmm」になるように断裁することで、容易に用紙の形状を揃え、かつ、画像の印刷位置を用紙の中央にすることができる。
【0065】
(b.用紙毎の画像形成装置の動作概要)
図3~
図6を参照して説明したように、画像形成システム100は、用紙の片方の余白を常に一定に保ちながら画像の印刷を実行し得る。画像形成システム100は、用紙の形状(通紙方向の長さ)が急激に変化した場合でも、用紙の片方の余白を常に一定に保つために、以下に説明する第1の動作手順と、第2の動作手順と使い分ける。
【0066】
まず、
図2を参照して第1の動作手順について説明する。画像形成システム100は、短い用紙を検知した場合、第1の動作手順を実行する。ここでの短い用紙とは、用紙の先頭がメディアセンサー110を通過してから用紙の末尾がメディアセンサー110を通過するまでの間に、用紙の先頭がレジストローラー206に突き当たらない用紙を意味する。言い換えれば、短い用紙とは、通紙方向の長さがメディアセンサー110およびレジストローラー206の間の搬送路よりも短い用紙である。
【0067】
短い用紙が給紙トレイ130から搬送されてきた場合、画像解析部201は、メディアセンサー110から取得した画像の変化(用紙の先頭および末尾がメディアセンサー110を通過する際に画像は大きく変化する)に基づいて、印刷処理の前に画像の形状(通紙方向の長さ)を検知する。
【0068】
次に、画像制御部202は、用紙の表面の先頭余白が一定になるように(例えば、先頭余白が常に「Cmm」になるように)、用紙の表面に印刷処理を実行する。ある局面において、画像制御部202は、用紙の表面に画像を印刷する場合、常に1枚目の用紙(例えば、テスト印刷の用紙)の通紙方向の長さである基準長「Xmm」に基づいて生成された補正値を使用してもよい。
【0069】
次に、画像制御部202は、画像解析部201から取得した補正値に基づいて、用紙の裏面の末尾余白が一定になるように(例えば、末尾余白が常に「Cmm」になるように)、用紙の裏側に印刷処理を実行する。すなわち、画像制御部202は、用紙の裏面の先頭余白を調整する。
【0070】
上記のように、短い用紙に印刷処理を実行する場合、画像形成システム100は、印刷処理の前に、メディアセンサー110から取得する画像から、用紙の通紙方向の長さの変化を検知し、当該用紙の通紙方向の長さの変化に基づいて、用紙に印刷する画像を補正し得る。
【0071】
次に、第2の動作手順について説明する。画像形成システム100は、長い用紙を検知した場合、第2の動作手順を実行する。ここでの長い用紙とは、用紙の先頭がメディアセンサー110を通過してから用紙の末尾がメディアセンサー110を通過するまでの間に、用紙の先頭がレジストローラー206に突き当たる用紙を意味する。言い換えれば、長い用紙とは、通紙方向の長さがメディアセンサー110およびレジストローラー206の間の搬送路と同じかそれ以上に長い用紙である。
【0072】
長い用紙が給紙トレイ130から搬送されてきた場合、画像解析部201は、用紙の先端がレジストローラー206に突き当たって一時停止してから再度搬送が開始されたタイミングから、用紙の末尾がメディアセンサー110を通過するまでの時間を計測する。画像解析部201は、用紙の先端がレジストローラー206に突き当たって一時停止して、再度搬送が開始されたタイミングから、用紙の末尾がメディアセンサー110を通過するまでの時間を計測することにより、用紙の正確な形状(通紙方向の長さ)を計測しなくても、前回印刷した用紙の形状(通紙方向の長さ)に対して、今回の用紙の形状(通紙方向の長さ)がどれだけ変化したかを検出し得る。画像解析部201は、前回印刷した用紙の形状(通紙方向の長さ)に対する今回の用紙の形状(通紙方向の長さ)の変化に基づいて、補正値を生成し、当該補正値を画像制御部202に出力する。
【0073】
次に、画像制御部202は、用紙の表面の先頭余白が一定になるように(例えば、先頭余白が常に「Cmm」になるように)、用紙の表面に印刷処理を実行する。ある局面において、画像制御部202は、用紙の表面に画像を印刷する場合、常に1枚目の用紙(例えば、テスト印刷の用紙)の通紙方向の長さである基準長「Xmm」に基づいて生成された補正値を使用してもよい。
【0074】
次に、画像制御部202は、画像解析部201から取得した補正値に基づいて、用紙の表面の末尾余白が一定になるように(例えば、末尾余白が常に「Cmm」になるように)、用紙の裏側に印刷処理を実行する。すなわち、画像制御部202は、用紙の裏面の先頭余白を調整する。
【0075】
上記のように、長い用紙に印刷処理を実行する場合、画像形成システム100は、印刷処理の前に、用紙がレジストローラー206に突き当たった後にメディアセンサー110から取得する画像から、用紙の通紙方向の長さの変化を検知し、当該用紙の通紙方向の長さの変化に基づいて、用紙に印刷する画像を補正し得る。
【0076】
画像形成システム100は、短い用紙および長い用紙のどちらを検出した場合においても、用紙の通紙方向の長さの絶対値を計測する必要はなく、前回の印刷で使用された用紙(または、テスト印刷で使用された基準となる用紙)の形状に対する今回の用紙の形状の変化量を求めるだけでよい。画像形成システム100は、印刷処理の前に、用紙の形状(通紙方向の長さ)の変化を検出するため、急激に用紙の形状(通紙方向の長さ)が変化した場合でも、即座に用紙に印刷される画像を補正し得る。
【0077】
また、画像形成システム100は、用紙の表面の先頭余白を常に一定に保つように印刷し、用紙の裏面の先頭余白のみを調整してもよい(用紙の裏面の末尾余白を用紙の裏面の先頭余白に合せる)。こうすることで、メディアセンサー110が用紙の形状(通紙方向の長さ)を測定してから用紙の表面が転写位置に来るまでの時間が短い場合でも(用紙の表面の画像を補正する時間がない場合でも)、画像形成システム100は、常に用紙の表面の画像の位置と、裏面の画像の位置とを一致させることができる。
【0078】
ある局面において、メディアセンサー110が用紙の形状(通紙方向の長さ)を測定してから用紙の表面が転写位置に来るまでの時間または距離が十分に確保されている場合、画像形成システム100は、用紙の表面に印刷される画像の位置も毎回補正してもよい。メディアセンサー110が用紙の形状(通紙方向の長さ)を測定してから用紙の表面が転写位置に来るまでの時間または距離が十分に確保されている場合とは、メディアセンサー110が用紙の形状(通紙方向の長さ)を測定してから用紙の表面が転写位置に来るまでに、画像制御部202が補正値を含めた印刷設定を完了可能であることを意味する。
【0079】
<C.画像形成システムの処理手順>
次に、
図7~
図9を参照して、画像形成システム100の内部処理について説明する。
図7は、画像形成システム100における各処理のタイミングの一例を示す図である。
【0080】
ステップS705において、画像制御部202は、印刷動作を開始し、給紙トレイ130から用紙の搬送を開始する。
【0081】
ステップS710において、第1のメディア検知ユニット101は、用紙を検出する。期間701は、用紙が第1のメディア検知ユニット101(メディアセンサー110)を通過する期間である。画像解析部201は、第1のメディア検知ユニット101から取得した画像750に基づいて、画像の補正値を生成する。当該画像の補正値は、用紙の表面に印刷される画像の補正値および用紙の裏面に印刷される画像の補正値の両方または片方を含み得る。
【0082】
画像解析部201は、用紙の形状(通紙方向の長さ)を測定してから用紙の表面が転写位置に来るまでの時間または距離が十分に確保されている場合、画像制御部202に、用紙の表面に印刷される画像の補正値760を出力する。そうでない場合、画像制御部202は、常に同じ補正値(例えば、
図4に示された先頭余白「Cmm」の設定等)を用いて、用紙の表面に画像を印刷してもよい。画像制御部202は、取得した補正値760を用いて、印刷設定を生成し、当該印刷設定を画像形成制御部205に出力する。
【0083】
ステップS715において、画像転写部102は、トナー像を用紙の表面に転写する。トナー像の転写位置は、補正値760に基づいて補正され得る。例えば、用紙の表面の先頭余白が常に「Cmm」になるように、画像の位置が補正され得る。また、定着部103は、トナー像を用紙の表面に定着させる。
【0084】
ステップS720において、用紙反転部106は、用紙を反転して、反転後の用紙をレジストローラー206の上流の搬送路に戻す。画像解析部201は、画像制御部202に、用紙の裏面に印刷される画像の補正値765を出力する。画像制御部202は、取得した補正値765を用いて、印刷設定を生成し、当該印刷設定を画像形成制御部205に出力する。ある局面において、画像解析部201は、ステップS715よりも前のタイミングで、画像制御部202に、用紙の裏面に印刷される画像の補正値765を出力してもよい。
【0085】
ステップS725において、画像転写部102は、トナー像を用紙の裏面に転写する。トナー像の転写位置は、補正値765に基づいて補正され得る。例えば、用紙の裏面の末尾余白が常に「Cmm」になるように、画像の位置が補正され得る。また、定着部103は、トナー像を用紙の裏面に定着させる。
【0086】
ステップS730において、第2のメディア検知ユニット105は、印刷後の用紙の画像770を画像解析部201に出力する。画像解析部201は、第2のメディア検知ユニット105から取得した画像770に基づいて、さらに、補正値760,765をさらに調整した補正値780,785を画像制御部202に出力してもよい。例えば、画像形成装置200の内部の熱および湿気により用紙が変形する場合等が考えられる。そのため、画像解析部201は、第2のメディア検知ユニット105から取得した画像の印刷結果のずれを検知し、当該検知したずれに基づいて、補正値760,765をさらに調整した補正値780,785を生成し得る。
【0087】
ステップS735において、リレーユニット104等は、印刷後の用紙を排紙する。
図8は、画像形成システム100における内部処理の第1の例を示すフローチャートである。
図8に示されるフローチャートは、印刷実行時に第2のメディア検知ユニット105を使用せずに画像の補正を実行する処理を示す。ある局面において、画像解析部201または画像制御部202は、
図8の処理を行うためのプログラムを不揮発性記憶媒体(図示せず)から主記憶装置(図示せず)に読み込んで、当該プログラムを実行してもよい。他の局面において、当該処理の一部または全部は、当該処理を実行するように構成された回路素子の組み合わせとしても実現され得る。
【0088】
ステップS805において、画像形成システム100は、用紙の給紙トレイ130へのセットを検知する。また、画像形成システム100は、用紙のテスト印刷のための操作入力を検知してもよい。ここでのテスト印刷とは、テスト印刷した用紙の通紙方向の長さを基準長とし、余白の長さを決定するための印刷である(
図3および
図4を参照して説明した処理に相当)。
【0089】
ステップS810において、画像形成システム100は、第1のメディア検知ユニット101で、用紙の形状(通紙方向の長さ)を実測する。ある局面において、画像形成システム100は、長い用紙が給紙トレイ130から搬送されてきた場合、用紙の先端がレジストローラー206に突き当たって一時停止してから再度搬送が開始されたタイミングから、用紙の末尾がメディアセンサー110を通過するまでの時間を計測してもよい。
【0090】
ステップS815において、画像形成システム100は、第2のメディア検知ユニット105で、印刷後の用紙の画像を取得し、表裏の印刷設定の調整を実行する。より具体的には、画像形成システム100は、実際の印刷結果における用紙の表面の画像の位置と、用紙の裏面の画像の位置との微妙なずれ、歪み等を調整し得る。
【0091】
ステップS820において、画像形成システム100は、用紙の形状と画像位置と(例えば、通紙方向の長さ「Xmm」、余白「Cmm」)をセットで主記憶装置または不揮発性記憶媒に保存する。ステップS805~S820までの処理により、画像形成システム100は、初期の印刷設定を決定し得る(例えば、通紙方向の長さを「Xmm」、余白を「Cmm」に決定する等)。
【0092】
ステップS825において、画像形成システム100は、同一の給紙トレイ130の用紙を用いて印刷ジョブを開始する。
【0093】
ステップS830において、画像形成システム100は、印刷ジョブが完了するまで、ステップS835以下の処理を繰り返し実行する。
【0094】
ステップS835において、画像形成システム100は、第1のメディア検知ユニット101で、用紙の形状(通紙方向の長さの変化量)を実測する。ある局面において、画像形成システム100は、長い用紙が給紙トレイ130から搬送されてきた場合、用紙の先端がレジストローラー206に突き当たって一時停止してから再度搬送が開始されたタイミングから、用紙の末尾がメディアセンサー110を通過するまでの時間を計測してもよい。画像形成システム100は、用紙の通紙方向の長さの絶対値を計測する必要はなく、前回の印刷で使用された用紙(または、テスト印刷で使用された基準となる用紙)の形状に対する今回の用紙の形状の変化量を求めるだけでよい。
【0095】
ステップS840において、画像形成システム100は、用紙の形状(通紙方向の長さ)に基づいて、補正値および印刷設定を更新する。
【0096】
ステップS845において、画像形成システム100は、更新された補正値および印刷設定に基づいて、印刷を実行する。ある局面において、メディアセンサー110が用紙の形状(通紙方向の長さ)を測定してから用紙の表面が転写位置に来るまでの時間または距離が十分に確保されている場合、画像形成システム100は、用紙の表面に印刷される画像の位置も毎回補正してもよい。他の局面において、画像形成システム100は、用紙の表面の先頭余白を常に一定に保つように印刷し、用紙の裏面の先頭余白のみを調整してもよい。
【0097】
ステップS850において、画像形成システム100は、印刷ジョブが完了していれば処理を終了する。そうでない場合、画像形成システム100は、ステップS835以下の処理を繰り返し実行する。ある局面において、画像形成システム100は、印刷ジョブが完了しているか否かの判定をステップS830のタイミングで実行してもよい。
【0098】
図9は、画像形成システム100における内部処理の第2の例を示すフローチャートである。
図9に示されるフローチャートは、印刷実行時に第2のメディア検知ユニット105を使用して画像の補正を実行する処理を示す。ある局面において、画像解析部201または画像制御部202は、
図9の処理を行うためのプログラムを不揮発性記憶媒体から主記憶装置に読み込んで、当該プログラムを実行してもよい。他の局面において、当該処理の一部または全部は、当該処理を実行するように構成された回路素子の組み合わせとしても実現され得る。
図9に示される各処理のうち、
図8の処理と同一の処理については、同一のステップ番号を付してある。したがって、同じ処理の説明は繰り返さない。
【0099】
ステップS950において、画像形成システム100は、第2のメディア検知ユニット105で、印刷結果を測定する。ある局面において、画像形成システム100は、第2のメディア検知ユニット105から取得した画像(用紙の検出データ)を解析し、用紙の形状の変化に起因して画像の位置ずれが発生しているのか、環境変化に起因して画像の位置ずれが発生しているのかを判定してもよい。
【0100】
画像形成システム100は、用紙の形状の変化に起因して画像の位置ずれが発生していた場合、用紙をヤレ紙として排出し、用紙の形状の変化に基づいて、画像の位置ずれを補正してもよい。また、画像形成システム100は、環境変化に起因して画像の位置ずれが発生していた場合、第2のメディア検知ユニット105から取得した画像を用いて、画像の印刷位置を補正してもよい。
【0101】
ステップS955において、画像形成システム100は、画像の表裏ずれ量(印刷結果における用紙の表面の画像の位置と、用紙の裏面の画像の位置とのずれ量)を算出する。
【0102】
ステップS960において、画像形成システム100は、表裏ずれ量の変化を補正するために、追加補正値を算出する。その際、画像形成システム100は、急激な変化を避けるため、印刷1枚ごとの補正量変化の上限を設ける。
【0103】
ステップS965において、画像形成システム100は、次に画像形成を行うページの補正値を更新する。より具体的には、画像形成システム100は、ステップS960で得られた追加補正値と、次のループにおけるステップS835,S840で得られる用紙の形状(通紙方向の長さ)とに基づいて、最終的な補正値および印刷設定を更新し得る。
【0104】
<D.応用例>
次に、
図10~
図14を参照して画像形成システム100の応用例について説明する。ある局面において、
図1~
図14に示される開示内容は適宜組み合わせて使用され得る。
【0105】
図10は、本実施の形態に従う画像形成システムのハードウェア構成の第2の例を示す図である。画像形成システム1000は、画像形成システム100の構成に加えて、センサー1001,1002,1003をさらに備える。
【0106】
センサー1001,1002は、用紙の種類または属性を検出するためのセンサーである。ある局面において、センサー1001、1002は、紙厚センサー、つぼ量センサーであってもよい。紙厚センサー、つぼ量センサーは、用紙の厚さまたは重さを計測し得る。一例として、センサー1001、1002は、直接厚さを測る接触センサーまたは非接触センサーであってもよいし、用紙の表面の形状、用紙の光沢度、用紙の剛度、用紙の曲げに対する強さ、用紙の光の透過量等を測定してもよい。画像解析部201は、これらの情報に基づいて用紙の厚さを推定してし得る。
【0107】
用紙が搬送ローラーによって運ばれる際の挙動は、その用紙の硬さや厚さによって変化する場合がある。例えば、用紙が斜めに搬送ローラーに突き当たった場合に、用紙の曲がり方、次の搬送ローラーへの咬みこみ方等に変化が生じ、これが画像描画位置に影響し得る。そのため、画像解析部201は、用紙の形状の変化から印刷される画像の位置の変化を予測し、当該予測に基づいて、用紙に印刷される画像の補正値を調整してもよい。
【0108】
また、画像解析部201は、代表的な用紙特性を持つ用紙について、各用紙の形状の変化から画像位置の変化を予測するための予測式を用いてもよい。画像解析部201は、紙厚、つぼ量センサーで測定した用紙物性に近しい代表紙を選択し、選択された代表紙の予測式を用いて表裏ずれを補正してもよい。
【0109】
他の局面において、センサー1001、1002は、光沢度センサー、平滑度センサーであってもよい。光沢度センサー、平滑度センサーは、用紙表面の光沢度、平滑性を計測する。用紙表面の光沢度、平滑性の差異は、例えば用紙が搬送ローラーによって運ばれる際の滑り量に影響する。
【0110】
さらに他の局面において、センサー1001、1002は、含水率センサーであってもよい。用紙の特性は用紙の含水率によって大きく変化する。例えば乾いていれば、定着による用紙収縮が小さくなり、用紙搬送時の帯電量が大きくなって搬送ローラーに吸着されやすくなる、等の変化が生じる。含水率は、例えば用紙の導電性を測定し、求めることができる。
【0111】
画像解析部201は、センサー1001,1002から得られた用紙の種類または属性の情報に基づいて、用紙に印刷される画像の補正値をさらに調整し得る。ある局面において、画像解析部201は、操作表示部204から属性情報の入力を受け付けてもよい。また、画像解析部201は、属性情報に基づいて、用紙の定着処理によるサイズ変化を推定し、当該推定したサイズ変化に基づいて、画像の印刷位置の補正量を調整してもよい。また、他の局面において、急激に画像位置を変化させないように、画像解析部201は、属性情報に基づいて用紙の定着処理によるサイズ変化が予め定められた量以上であると判定したことに基づいて、画像の印刷位置の補正量を少なくしてもよい。
【0112】
センサー1003は、通紙センサーであり、用紙の異常判定に使用され得る。前回の用紙に対して、次の用紙が1%分だけ長さが長くなるとする。この場合、各イメージセンサーまたは通紙センサーを用紙が通過するために必要な時間も1%分長くなることが予測される。仮に、用紙の通過時間の変化量が各々のセンサーで一致しない場合、その用紙が搬送経路を通過している際に、用紙になんらかの変化が発生したと考えられる。例えば、用紙がセンサー1003を通過する時間(またはその変化量)と、用紙がメディアセンサー110を通過する時間(またはその変化量)とが一致しない場合、用紙に何らかの変化が発生し、用紙の通紙方向の長さの変化を正常に計測できていない可能性がある。この場合、画像形成システム100は、用紙を、異常紙排紙経路にヤレ紙として排出し、再度印刷処理を実行し得る。また、画像形成システム100は、ユーザーに異常が発生したことを通知するためのメッセージを、操作表示部204に表示、または、ユーザーのコンピューターに送信してもよい。なお、ここで用いるセンサー1003の位置は、図示に限定されない。例えば用紙トレイが印刷機本体に複数直列に連結されているような場合、本体からより距離が離れた個所にセンサを配置することもでき、より長い用紙に印刷する場合、有効に機能し得る。
【0113】
なお、
図10に示されるセンサー1001,1002,1003は、一例であり、センサー1001,1002,1003の種類、個数、および配置は任意に決定し得る。
【0114】
図11は、本実施の形態に従う画像形成システムのハードウェア構成の第3の例を示す図である。画像形成システム1000は、画像形成システム100の構成に加えて、メディアセンサー1110をさらに備える。
【0115】
次に印刷される用紙Aの長さが、用紙Aの先端がレジストローラー206に突き当たり一旦停止した状態で用紙の末尾がメディアセンサー110を通過するか否かの長さであるとする。用紙Aがレジストローラー206に突き当たり一旦停止する前後において、用紙の搬送速度または用紙の経路に急激な変化が生じる。そのため、画像解析部201は、メディアセンサー110のみで、用紙Aの長さの変化を安定して測定することができない可能性がある。そこで、画像形成システム1100は、例えば、メディアセンサー110の少し上流にメディアセンサー1110を備える。用紙Aは、用紙Aの先端がレジストローラー206に突き当たる前に、メディアセンサー1110を通過しきる。そのため、メディアセンサー1110は、安定して用紙Aの通紙方向の長さの変化を計測することができる(第1の動作手順)。
【0116】
さらに、次に印刷される用紙Bの長さが、用紙Bの先端がレジストローラー206に突き当たり一旦停止した状態で用紙の末尾がメディアセンサー1110を通過するか否かの長さであるとする。この場合、用紙Bは、用紙Bの先端がレジストローラー206に突き当たって停止した時点で、まだ、メディアセンサー110を通過していない。そのため、メディアセンサー110は、安定して用紙Bの通紙方向の長さの変化を計測することができる(第2の動作手順)。
【0117】
このように、画像形成システム1000は、2つのメディアセンサー110,1100を備えることにより、中途半端な長さの用紙も含め、あらゆる形状の用紙の通紙方向の長さの変化を測定し得る。
【0118】
図12は、
図9のフローチャートに示される処理を実行した場合の画像位置ずれ量の補正結果の一例を示す図である。画像位置ずれ量とは、例えば、画像の用紙の中央からの偏り量、用紙の表面の画像位置と裏面の画像位置とのずれ量等を含み得る。
【0119】
グラフ1210,1220は、画像形成システム100が画像の補正を実行しない場合の用紙に印刷される画像の画像位置ずれ量の大きさの変化を示す。グラフ1260,1270は、用紙の形状の変化量の計測結果を示す。グラフ1250は、正解位置(正しい補正量)を示す。
【0120】
グラフ1210,1220によると、画像形成システム100が画像の補正を実行しない場合、画像位置ずれ量は徐々に増加する。また、タイミング1230で、画像位置ずれ量が大きく変化している。このことから、タイミング1230で、給紙トレイ130に載置されている用紙の形状が変わったと推測される。
【0121】
本実施の形態に従う各画像形成システムは、第2のメディア検知ユニット105から取得する計測結果を用いることで、用紙の画像位置ずれ量を補正し、グラフ1210,1220に示されるような、環境変化等に起因するゆるやかな画像位置ずれ量の増加を抑制し得る。また、本実施の形態に従う各画像形成システムは、第1のメディア検知ユニット101から取得する計測結果を用いることで、タイミング1230に示されるような、用紙の形状の変化等に起因する急激な画像位置ずれ量の増加を抑制し得る。グラフ1280は、本実施の形態に従う各画像形成システムが、第1のメディア検知ユニット101および第2のメディア検知ユニット105の計測結果を使用して、画像の補正を行った場合における画像の位置ずれ量の変化を示す。グラフ1280は、正解位置のグラフ1250に近い値を取り得る。
【0122】
図13は、本実施の形態に従う画像形成システムによる画像の補正の第1の応用例を示す図である。画像形成システム(画像形成システム100,1000,1100)は、用紙偏り検知センサー1300をさらに備える。用紙偏り検知センサー1300は、例えば、搬送経路において、レジストローラー206よりも上流に設けられてもよい。
【0123】
まず、画像解析部201は、用紙偏り検知センサー1300からの信号により、用紙偏り検知センサー1300から用紙の表面1310Aまでの距離1320Aを検出する。
【0124】
次に、画像解析部201は、用紙偏り検知センサー1300からの信号により、用紙偏り検知センサー1300から用紙の裏面1310Bまでの距離1320Bを検出する。
【0125】
次に、画像解析部201は、距離1320A,1320Bの差異に基づいて、用紙の表面1310Aに印刷される画像1330Aの位置と、用紙の裏面1310Bに印刷される画像1330Bの位置とのずれ量を算出する。
【0126】
最後に、画像解析部201は、当該ずれ量に基づいて、画像の補正量を算出し、当該補正量を画像制御部202に出力する。画像制御部202は、補正量に基づいて、用紙の表面1310Aに印刷される画像1330Aの位置と、用紙の裏面1310Bに印刷される画像1330Bの位置とを合せる。
【0127】
ある局面において、画像制御部202は、補正量に基づいて、用紙の裏面1310Bに印刷される画像1330Bの位置を、用紙の表面1310Aに印刷される画像1330Aの位置に合せてもよい。他の局面において、メディアセンサー110が用紙の形状(通紙方向の長さ)を測定してから用紙の表面が転写位置に来るまでの時間または距離が十分に確保されている場合、画像制御部202は、補正量に基づいて、用紙の表面1310Aに印刷される画像1330Aの位置も補正してもよい。また、他の局面において、画像制御部202は、用紙偏り検知センサー1300の代わりに、メディアセンサー110を用いて、用紙の偏り等を検出してもよいし、メディアセンサー110および用紙偏り検知センサー1300の両方を用いて、用紙の偏り等を検出してもよい。
【0128】
上記のように、画像形成システムは、用紙の偏り等を検出することで、通紙方向と垂直の向きに対する画像の位置ずれも補正し得る。
【0129】
図14は、本実施の形態に従う画像形成システムによる画像の補正の第2の応用例を示す図である。画像解析部201は、メディアセンサー110、用紙偏り検知センサー1300またはその両方を使用することで、用紙の形状の変化(長方形から台形への変化等の歪み)を検知し得る。
【0130】
画像解析部201は、用紙の形状の変化(用紙の角度、エッジの形状または歪み等)を検知した場合、用紙の形状の変化に合せて、画像の形状を変更するように補正値を生成し、当該補正値を画像制御部202に出力し得る。
【0131】
ある局面において、画像解析部201は、用紙の通紙方向のエッジの形状に合わせて、画像の形状を変更するように補正値を生成してもよい。他の局面において、画像解析部201は、用紙の通紙方向と逆側のエッジの形状に合わせて、画像の形状を変更するように補正値を生成してもよい。また、他の局面において、画像解析部201は、用紙の任意のエッジの形状に合わせて、画像の形状を変更するように補正値を生成してもよい。さらに、他の局面において、画像解析部201は、用紙の表面に印刷される画像と、用紙の裏面に印刷される画像とが重なるように補正値を生成してもよい。
【0132】
なお、画像形成システムは、用紙の通紙方向の長さの変化、用紙の歪みの変化、用紙のエッジの変化の全てまたは一部を検出し、これらの変化に合せて画像の補正値を生成し得る。
【0133】
ある局面において、画像解析部201は、用紙の長さの変化に起因して画像の位置ずれが発生している場合、レジストローラー206の動作タイミングまたは画像の転写タイミングに基づいて、画像の印刷位置を補正してもよい。他の局面において、画像解析部201は、用紙の角度、エッジの形状または歪みに起因して画像の位置ずれが発生している場合、用紙に印刷される画像を変形させてもよい(画像の形を補正してもよい)。
【0134】
以上説明した通り、本実施の形態に従う画像形成システムは、用紙の形状の変化に基づいて、用紙に印刷される画像を補正し得る。これにより、画像形成システムは、印刷途中で用紙の形状が急激に変化する場合でも、適切に画像の印刷位置を調整し得る。
【0135】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された開示内容は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0136】
100,1000,1100 画像形成システム、101 第1のメディア検知ユニット、102 画像転写部、103 定着部、104 リレーユニット、105 第2のメディア検知ユニット、106 用紙反転部、110,112,113,1110 メディアセンサー、111 通紙センサー、121 感光体ユニット、122 中間転写ベルト、123 定着ローラー、130 給紙トレイ、200 画像形成装置、201 画像解析部、202 画像制御部、203 情報I/F部、204 操作表示部、205 画像形成制御部、206 レジストローラー、220 用紙トレイ装置、300A,400A,500A,1310A 表面、300B,400B,500B,1310B 裏面、310A,310B,410A,410B,510A,510B,750,770,1330A,1330B 画像、701 期間、760,765,780,785 補正値、1001,1002,1003 センサー、1210,1220,1250,1260,1270,1280 グラフ、1230 タイミング、1300 用紙偏り検知センサー、1320A,1320B 距離。