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特許7661857情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20250408BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20250408BHJP
   G01N 33/204 20190101ALI20250408BHJP
【FI】
G06T7/00 610Z
G06T7/60 150Z
G01N33/204
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021156115
(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公開番号】P2023047164
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2024-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村井 祐介
(72)【発明者】
【氏名】矢野 正雄
(72)【発明者】
【氏名】庄司 哲也
【審査官】▲広▼島 明芳
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-126061(JP,A)
【文献】特開2016-114528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
G01N 33/204 - 33/2045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析対象の材料組織画像を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記材料組織画像を二値化することにより、前記材料組織画像の二値化画像である対象画像を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記対象画像をフーリエ変換することにより、前記対象画像のフーリエ変換結果である第1フーリエ変換結果を生成する第1フーリエ変換部と、
前記生成部により生成された前記対象画像に写る複数の粒子の各々の重心位置を特定し、前記複数の粒子の各々の重心位置を表す画像である粒子位置画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部により生成された前記粒子位置画像をフーリエ変換することにより、前記粒子位置画像のフーリエ変換結果である第2フーリエ変換結果を生成する第2フーリエ変換部と、
前記第1フーリエ変換部により得られた前記第1フーリエ変換結果と、前記第2フーリエ変換部により得られた前記第2フーリエ変換結果とに基づいて、前記第1フーリエ変換結果を前記第2フーリエ変換結果で除算することにより得られる除算結果を計算する計算部と、
前記計算部により得られた前記除算結果を前記対象画像の補正後のフーリエ変換結果として設定し、前記補正後のフーリエ変換結果に基づいて、EM(Expectation-maximization)アルゴリズムを用いて、前記補正後のフーリエ変換結果が出現する期待値が最大化されるように、前記材料組織画像に写る複数の粒子のサイズ分布を生成する分布生成部と、
を含む情報処理装置。
【請求項2】
前記分布生成部は、前記補正後のフーリエ変換結果P(f)に基づいて、以下の式(1)が満たされるように、粒子のサイズを識別するためのインデックスmと周波数を識別するためのインデックスiとの組み合わせの各々についての、サイズsの粒子が前記対象画像に出現したときに周波数fが前記補正後のフーリエ変換結果に出現する確率P(f|s)を設定し、前記確率P(f|s)が選択される選択確率πを設定し、
粒子のサイズを識別するためのインデックスnと周波数を識別するためのインデックスiとの組み合わせの各々についての、前記確率P(f|s)と前記選択確率πとから以下の式(2)により計算される期待値zinが最大化されるように、前記選択確率πを計算し、
前記選択確率πを、前記材料組織画像に写る複数の粒子のサイズ分布として生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【数1】

(1)

(2)
【請求項3】
解析対象の材料組織画像を取得し、
取得された前記材料組織画像を二値化することにより、前記材料組織画像の二値化画像である対象画像を生成し、
生成された前記対象画像をフーリエ変換することにより、前記対象画像のフーリエ変換結果である第1フーリエ変換結果を生成し、
生成された前記対象画像に写る複数の粒子の各々の重心位置を特定し、前記複数の粒子の各々の重心位置を表す画像である粒子位置画像を生成し、
生成された前記粒子位置画像をフーリエ変換することにより、前記粒子位置画像のフーリエ変換結果である第2フーリエ変換結果を生成し、
前記第1フーリエ変換結果と、前記第2フーリエ変換結果とに基づいて、前記第1フーリエ変換結果を前記第2フーリエ変換結果で除算することにより得られる除算結果を計算し、
前記除算結果を前記対象画像の補正後のフーリエ変換結果として設定し、前記補正後のフーリエ変換結果に基づいて、EM(Expectation-maximization)アルゴリズムを用いて、前記補正後のフーリエ変換結果が出現する期待値が最大化されるように、前記材料組織画像に写る複数の粒子のサイズ分布を生成する、
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項4】
解析対象の材料組織画像を取得し、
取得された前記材料組織画像を二値化することにより、前記材料組織画像の二値化画像である対象画像を生成し、
生成された前記対象画像をフーリエ変換することにより、前記対象画像のフーリエ変換結果である第1フーリエ変換結果を生成し、
生成された前記対象画像に写る複数の粒子の各々の重心位置を特定し、前記複数の粒子の各々の重心位置を表す画像である粒子位置画像を生成し、
生成された前記粒子位置画像をフーリエ変換することにより、前記粒子位置画像のフーリエ変換結果である第2フーリエ変換結果を生成し、
前記第1フーリエ変換結果と、前記第2フーリエ変換結果とに基づいて、前記第1フーリエ変換結果を前記第2フーリエ変換結果で除算することにより得られる除算結果を計算し、
前記除算結果を前記対象画像の補正後のフーリエ変換結果として設定し、前記補正後のフーリエ変換結果に基づいて、EM(Expectation-maximization)アルゴリズムを用いて、前記補正後のフーリエ変換結果が出現する期待値が最大化されるように、前記材料組織画像に写る複数の粒子のサイズ分布を生成する、
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋼-結晶粒度の顕微鏡試験方法が知られている(例えば、非特許文献1を参照。)。非特許文献1に開示されている方法は、結晶粒の大きさを、鋼種又はその他の情報によって、適切な方法で処理された試験片の研磨面で、顕微鏡によって測定する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】JIS G0551:2013 日本工業規格「鋼-結晶粒度の顕微鏡試験方法」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を計算する際には、既知の周波数解析の一例であるフーリエ変換を利用することが可能である。しかし、材料組織画像のフーリエ変換結果には、粒子間の動径分布に関する情報も含まれているため、単にフーリエ変換結果を利用したとしても、材料を構成する粒子のサイズ分布を精度良く得ることができない、という課題がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、材料組織画像から材料を構成する粒子のサイズ分布を精度良く得ることができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る情報処理装置は、解析対象の材料組織画像を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記材料組織画像を二値化することにより、前記材料組織画像の二値化画像である対象画像を生成する生成部と、前記生成部により生成された前記対象画像をフーリエ変換することにより、前記対象画像のフーリエ変換結果である第1フーリエ変換結果を生成する第1フーリエ変換部と、前記生成部により生成された前記対象画像に写る複数の粒子の各々の重心位置を特定し、前記複数の粒子の各々の重心位置を表す画像である粒子位置画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成された前記粒子位置画像をフーリエ変換することにより、前記粒子位置画像のフーリエ変換結果である第2フーリエ変換結果を生成する第2フーリエ変換部と、前記第1フーリエ変換部により得られた前記第1フーリエ変換結果と、前記第2フーリエ変換部により得られた前記第2フーリエ変換結果とに基づいて、前記第1フーリエ変換結果を前記第2フーリエ変換結果で除算することにより得られる除算結果を計算する計算部と、前記計算部により得られた前記除算結果を前記対象画像の補正後のフーリエ変換結果として設定し、前記補正後のフーリエ変換結果に基づいて、EM(Expectation-maximization)アルゴリズムを用いて、前記補正後のフーリエ変換結果が出現する期待値が最大化されるように、前記材料組織画像に写る複数の粒子のサイズ分布を生成する分布生成部と、を含む情報処理装置である。
【0007】
情報処理装置は、解析対象の材料組織画像を取得し、取得された材料組織画像を二値化することにより、材料組織画像の二値化画像である対象画像を生成する。情報処理装置は、生成された対象画像をフーリエ変換することにより、対象画像のフーリエ変換結果である第1フーリエ変換結果を生成する。情報処理装置は、生成された対象画像に写る複数の粒子の各々の重心位置を特定し、複数の粒子の各々の重心位置を表す画像である粒子位置画像を生成する。情報処理装置は、生成された粒子位置画像をフーリエ変換することにより、粒子位置画像のフーリエ変換結果である第2フーリエ変換結果を生成する。情報処理装置は、第1フーリエ変換結果と、第2フーリエ変換結果とに基づいて、第1フーリエ変換結果を第2フーリエ変換結果で除算することにより得られる除算結果を計算する。情報処理装置は、除算結果を対象画像の補正後のフーリエ変換結果として設定し、補正後のフーリエ変換結果に基づいて、EM(Expectation-maximization)アルゴリズムを用いて、補正後のフーリエ変換結果が出現する期待値が最大化されるように、材料組織画像に写る複数の粒子のサイズ分布を生成する。これにより、材料組織画像から材料を構成する粒子のサイズ分布を精度良く得ることができる。また、補正後のフーリエ変換結果には粒子の動径分布に関する情報が含まれていないため、補正後のフーリエ変換結果を用いて材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を計算することにより、材料組織画像に写る複数の粒子のサイズ分布を精度良く計算することができる。また、材料組織画像に写る複数の粒子の各々の重心位置を表す画像である粒子位置画像を利用することにより、材料組織画像に写る粒子毎の画像のフーリエ変換を実行する必要がなくなるため、計算量が低減され、材料組織画像から材料を構成する粒子のサイズ分布を効率的に得ることができる。
【0008】
第2態様に係る情報処理装置の前記分布生成部は、前記補正後のフーリエ変換結果P(f)に基づいて、以下の式(1)が満たされるように、粒子のサイズを識別するためのインデックスmと周波数を識別するためのインデックスiとの組み合わせの各々についての、サイズsの粒子が前記対象画像に出現したときに周波数fが前記補正後のフーリエ変換結果に出現する確率P(f|s)を設定し、前記確率P(f|s)が選択される選択確率πを設定し、粒子のサイズを識別するためのインデックスnと周波数を識別するためのインデックスiとの組み合わせの各々についての、前記確率P(f|s)と前記選択確率πとから以下の式(2)により計算される前記期待値zinが最大化されるように、前記選択確率πを計算し、前記選択確率πを、前記材料組織画像に写る複数の粒子のサイズ分布として生成する。これにより、EM(Expectation-maximization)アルゴリズムを用いて、サイズ分布としての選択確率πを計算することができる。
【0009】
【数1】

(1)

(2)
【0010】
第3態様に係る情報処理方法は、解析対象の材料組織画像を取得し、取得された前記材料組織画像を二値化することにより、前記材料組織画像の二値化画像である対象画像を生成し、生成された前記対象画像をフーリエ変換することにより、前記対象画像のフーリエ変換結果である第1フーリエ変換結果を生成し、生成された前記対象画像に写る複数の粒子の各々の重心位置を特定し、前記複数の粒子の各々の重心位置を表す画像である粒子位置画像を生成し、生成された前記粒子位置画像をフーリエ変換することにより、前記粒子位置画像のフーリエ変換結果である第2フーリエ変換結果を生成し、前記第1フーリエ変換結果と、前記第2フーリエ変換結果とに基づいて、前記第1フーリエ変換結果を前記第2フーリエ変換結果で除算することにより得られる除算結果を計算し、前記除算結果を前記対象画像の補正後のフーリエ変換結果として設定し、前記補正後のフーリエ変換結果に基づいて、EM(Expectation-maximization)アルゴリズムを用いて、前記補正後のフーリエ変換結果が出現する期待値が最大化されるように、前記材料組織画像に写る複数の粒子のサイズ分布を生成する、処理をコンピュータが実行する情報処理方法である。
【0011】
第4態様に係る情報処理プログラムは、解析対象の材料組織画像を取得し、取得された前記材料組織画像を二値化することにより、前記材料組織画像の二値化画像である対象画像を生成し、生成された前記対象画像をフーリエ変換することにより、前記対象画像のフーリエ変換結果である第1フーリエ変換結果を生成し、生成された前記対象画像に写る複数の粒子の各々の重心位置を特定し、前記複数の粒子の各々の重心位置を表す画像である粒子位置画像を生成し、生成された前記粒子位置画像をフーリエ変換することにより、前記粒子位置画像のフーリエ変換結果である第2フーリエ変換結果を生成し、前記第1フーリエ変換結果と、前記第2フーリエ変換結果とに基づいて、前記第1フーリエ変換結果を前記第2フーリエ変換結果で除算することにより得られる除算結果を計算し、前記除算結果を前記対象画像の補正後のフーリエ変換結果として設定し、前記補正後のフーリエ変換結果に基づいて、EM(Expectation-maximization)アルゴリズムを用いて、前記補正後のフーリエ変換結果が出現する期待値が最大化されるように、前記材料組織画像に写る複数の粒子のサイズ分布を生成する、処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本開示によれば、材料組織画像から材料を構成する粒子のサイズ分布を精度良く得ることができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る情報処理装置の概略ブロック図である。
図2】実施形態の概要を説明するための図である。
図3】実施形態の概要を説明するための図である。
図4】動径分布関数を説明するための図である。
図5】1つの粒子が写る画像のフーリエ変換結果を積算する処理を説明するための図である。
図6】動径分布関数の導出と本実施形態の概要とを説明するための図である。
図7】補正後のフーリエ変換結果を説明するための図である。
図8】EMアルゴリズムによるサイズ分布の推定を説明するための図である。
図9】EMアルゴリズムによるサイズ分布の推定を説明するための図である。
図10】EMアルゴリズムによるサイズ分布の推定を説明するための図である。
図11】実施形態に係る情報処理装置のコンピュータの構成例を示す図である。
図12】実施形態に係る情報処理装置で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
【0015】
以下、図面を用いて実施形態の情報処理装置について説明する。
【0016】
図1は、実施形態に係る情報処理装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置10は、機能的には、図1に示されるように、取得部100と、生成部102と、第1フーリエ変換部104と、画像生成部106と、第2フーリエ変換部108と、計算部110と、分布生成部112とを備える。
【0017】
図2に、実施形態の情報処理装置10を説明するための説明図を示す。図2に示されるように、実施形態の情報処理装置10は、顕微鏡を用いて材料を観察した際に撮像された画像である材料組織画像Imから、その材料組織画像Imに写る粒子のサイズ分布Dを計算する。材料組織画像Imに写る粒子のサイズ分布Dを取得することが可能であれば、そのサイズ分布Dに基づいて、材料組織画像Imに対応する材料の性質に関する情報を得ることが可能となる。
【0018】
図3に、材料組織画像とその材料組織画像に含まれる周波数との間の関係を説明するための説明図を示す。図3に示されるように、材料組織画像Imは、様々な周波数の画像信号If1,If2,If3の重ね合わせによって構成される。これらの複数の画像信号If1,If2,If3の重ね合わせが材料組織画像Imに相当する。この場合、材料組織画像Imに対して周波数解析の一例であるフーリエ変換を行うことにより、図3に示されるようなフーリエ変換結果FFTが得られる。なお、図3のフーリエ変換結果FFTに対応する画像の画素値がパワースペクトルを表し、画素値が高いほどパワースペクトルの値が高い。図3に示されるフーリエ変換結果FFTから、図3に示されるAからBまでのパワースペクトルの値が抽出される。その際に、AからBの直線をR方向へ回転させつつ、各位置で取得されるパワースペクトルの値を積算した値が、パワースペクトルの積算値PSとして取得される。このようなフーリエ変換結果を用いて、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を求めることも可能である。
【0019】
一方で、画像のフーリエ変換結果は、小角散乱(SAS: Small Angle Scattering)と類似する性質を有している。この点を考慮した場合、画像をフーリエ変換することにより得られるパワースペクトルの値は小角散乱強度I(q)に相当し得る。小角散乱強度I(q)は、以下の式(1)によって表される。
【0020】
【数2】

(1)
【0021】
なお、上記式(1)における、N、F(q)、S(q)、及びqは小角散乱における各物理量を表す。具体的には、Nは単位格子の繰り返し数であり、F(q)は形状因子を表し、S(q)は構造因子を表し、qは散乱ベクトルを表す。
【0022】
上記式(1)を材料組織画像のフーリエ変換結果に対応付けた場合、I(q)は材料組織画像のフーリエ変換結果に相当し、Nは材料組織画像に写る粒子の数に相当し、F(q)は材料組織画像に写る粒子のサイズ分布関数に相当し、S(q)は材料組織画像に写る粒子の動径分布関数に相当する。なお、以下では、説明の便宜上、材料組織画像のフーリエ変換結果をI(q)と称し、粒子の数をNと称し、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布関数をF(q)と称し、材料組織画像に写る粒子の動径分布関数をS(q)と称する。
【0023】
粒子のサイズ分布関数は、粒子の大きさと形状とが反映された関数である。一方、粒子の動径分布関数は、図4に示されるように、粒子間の重心の空間分布を表す関数である。具体的には、例えば、粒子P,P,Pが存在していた場合、粒子Pと粒子Pとの間の距離r及び粒子Pと粒子Pとの間の距離r等を得ることができる。この場合には、各粒子間の距離rがグラフの横軸となり、グラフの縦軸が動径分布関数となる。
【0024】
この場合、上記式(1)に示されるように、材料組織画像のフーリエ変換結果I(q)は、サイズ分布関数F(q)と動径分布関数S(q)との積によって表される。このため、フーリエ変換結果I(q)には動径分布関数S(q)が反映されており、単にフーリエ変換結果I(q)を利用して材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を求めようとしたとしても、動径分布関数S(q)の影響により、精度良くサイズ分布を求めることができない。そのため、フーリエ変換結果I(q)に基づいて、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を精度良く計算しようとする場合には、動径分布関数S(q)の影響を取り除く必要がある。
【0025】
ここで、複数の粒子が写る材料組織画像に基づいて、1つの粒子が写っている画像を複数生成し、材料組織画像のフーリエ変換結果から、1つの粒子が写っている画像のフーリエ変換結果の各々を除くことを考える。この手法によれば、材料組織画像のフーリエ変換結果から、粒子の形状と粒子の動径分布との両方が取り除かれるため、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布に対応するフーリエ変換結果を得ることができる。
【0026】
この手法を採る場合には、まず、図5に示されるように、材料組織画像から1つの粒子が写っている画像Im1,Im2,Im3,Im4,Im5,Im6を生成する。そして、図5に示されるように、画像Im1,Im2,Im3,Im4,Im5,Im6のフーリエ変換結果FFT1,FFT2,FFT3,FFT4,FFT5,FFT6が生成される。なお、フーリエ変換結果FFT1,FFT2,FFT3,FFT4,FFT5,FFT6の各々からは、パワースペクトルの積算値PS1,PS2,PS3,PS4,PS5,PS6が計算される。
【0027】
そして、これらのフーリエ変換結果FFT1,FFT2,FFT3,FFT4,FFT5,FFT6の総和を表すフーリエ変換結果FFTALLと、そのフーリエ変換結果FFTALLに対応するパワースペクトルの積算値PSALLが計算される。なお、以下ではパワースペクトルの積算値PSALLをy0とする。
【0028】
1つの粒子が写っている画像のフーリエ変換結果の総和FFTALLは、1つの粒子が写っている画像から計算されたものであるため、粒子間の干渉は存在しない。このため、フーリエ変換結果の総和FFTALLに関しては、動径分布関数S(q)が1であるとみなすことができる。このため、フーリエ変換結果の総和FFTALLに相当するフーリエ変換結果I(q)は、上記式(1)における動径分布関数S(q)が1となり、以下の式(2)によって表される。
【0029】
【数3】

(2)
【0030】
なお、材料組織画像のフーリエ変換結果FFTは、上記式(1)におけるI(q)に相当する。このため、上記式(1)の両辺を上記式(2)の両辺で除算することにより、動径分布関数S(q)を得ることができる。なお、実質的には、以下の式に示されるように、パワースペクトルの積算値y0をパワースペクトルの積算値y1で除算した除算結果y0/y1が、動径分布関数S(q)に相当する。
【0031】
【数4】
【0032】
一方で、材料組織画像から1つの粒子が写っている画像を複数生成する場合には、その計算量が膨大となる。このため、本実施形態では、各粒子の重心位置が表された粒子位置画像を生成し、その粒子位置画像のフーリエ変換結果を利用して動径分布関数S(q)を得ることを考える。
【0033】
具体的には、本実施形態の情報処理装置10は、図6の下段に示されるように、材料組織画像Imに写る複数の粒子P,P,P,Pの各々の重心位置が特定された粒子位置画像Imcentersを生成する。そして、本実施形態の情報処理装置10は、粒子位置画像Imcentersのフーリエ変換結果FFTcentersから計算されたパワースペクトルの積算値y1centersを生成する。図6に示されるように、このパワースペクトルの積算値y1centersは、粒子間の重心の空間分布を表しているといえるため、y0/y1に相当する動径分布関数S(q)の近似値であるといえる。このことから、以下の式(3)が成立する。
【0034】
【数5】

(3)
【0035】
このため、本実施形態の情報処理装置10は、材料組織画像に写る複数の粒子のサイズ分布を計算する際に、補正後のフーリエ変換結果であるy1/y1centersを利用することにより、材料組織画像に写る複数の粒子のサイズ分布を計算する。
【0036】
図7に、1つの粒子が写る画像のフーリエ変換結果の総和から得られるパワースペクトルの積算値y0と、材料組織画像のフーリエ変換結果から得られるパワースペクトルの積算値y1と、補正後のフーリエ変換結果であるパワースペクトルの積算値y1/y1centersとの間の関係を説明するための図を示す。図7に示されるように、パワースペクトルの積算値y1/y1centersは、パワースペクトルの積算値y0と類似する波形形状となっている。このため、補正されたパワースペクトルの積算値y1/y1centersは、1つの粒子が写る画像の各々についてフーリエ変換を実行することにより得られる結果とほぼ同等であるといえ、粒子間の動径分布の影響が除かれた結果であるといえる。
【0037】
したがって、実施形態の情報処理装置10は、材料組織画像に写る複数の粒子の各々の重心位置を特定し、それら複数の粒子の各々の重心位置が特定された粒子位置画像を生成する。そして、実施形態の情報処理装置10は、材料組織画像のフーリエ変換結果を粒子位置画像のフーリエ変換で除算することにより、材料組織画像のフーリエ変換結果を補正した補正後のフーリエ変換結果を得る。材料組織画像のフーリエ変換結果を粒子位置画像のフーリエ変換で除算することにより、上記式(1)における動径分布関数S(q)の影響が除かれるため、補正後のフーリエ変換結果にはサイズ分布関数F(q)のみが反映されていることになる。このため、実施形態の情報処理装置10は、補正後のフーリエ変換結果を用いて、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を計算することにより、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を効率的かつ精度良く計算することができる。
【0038】
以下、具体的に説明する。
【0039】
取得部100は、顕微鏡を用いて材料を観察した際に撮像された画像である材料組織画像を取得する。材料組織画像は、材料の組織を表す画像である。また、材料組織画像はグレースケール画像である。
【0040】
生成部102は、取得部100により取得された材料組織画像を二値化することにより、材料組織画像の二値化画像である対象画像を生成する。
【0041】
第1フーリエ変換部104は、生成部102により生成された対象画像をフーリエ変換することにより、対象画像のフーリエ変換結果である第1フーリエ変換結果を生成する。そして、第1フーリエ変換部104は、第1フーリエ変換結果からパワースペクトルの積算値y1を計算する。
【0042】
画像生成部106は、生成部102により生成された対象画像に写る複数の粒子の各々の重心位置を特定し、複数の粒子の各々の重心位置を表す画像である粒子位置画像を生成する。
【0043】
具体的には、画像生成部106は、既知の画像処理技術を用いて、対象画像に写る複数の粒子の各々の重心位置を特定する。そして、画像生成部106は、複数の粒子の各々の重心位置を表す画像である粒子位置画像を生成する。
【0044】
第2フーリエ変換部108は、画像生成部106により生成された粒子位置画像をフーリエ変換することにより、粒子位置画像のフーリエ変換結果である第2フーリエ変換結果を生成する。そして、第2フーリエ変換部108は、第2フーリエ変換結果からパワースペクトルの積算値y1centersを計算する。
【0045】
計算部110は、第1フーリエ変換部104により得られた第1フーリエ変換結果のパワースペクトルの積算値y1と、第2フーリエ変換部108により得られた第2フーリエ変換結果のパワースペクトルの積算値y1centersとに基づいて、パワースペクトルの積算値y1をパワースペクトルの積算値y1centersで除算することにより得られる除算結果y1/y1centersを計算する。
【0046】
分布生成部112は、計算部110により計算された除算結果y1/y1centersを対象画像の補正後のフーリエ変換結果として設定する。そして、分布生成部112は、補正後のフーリエ変換結果に基づいて、EM(Expectation-maximization)アルゴリズムを用いて、補正後のフーリエ変換結果が出現する期待値が最大化されるように、材料組織画像に写る複数の粒子のサイズ分布を生成する。
【0047】
具体的には、分布生成部112は、特願2020-119514に開示されている手法を用いて、補正後のフーリエ変換結果に基づいて、EM(Expectation-maximization)アルゴリズムを用いて、補正後のフーリエ変換結果が出現する期待値が最大化されるように、材料組織画像に写る複数の粒子のサイズ分布を生成する。
【0048】
図8は、対象画像に写る複数の粒子のサイズ分布の推定方法を模式的に示した図である。図8に示されるように、対象画像に写る粒子のサイズは、ある選択確率πに応じてサイズsとして選択される。そのサイズsの粒子が周波数fに相当する確率をP(f|s)とすると、確率P(f|s)は次式のI(s,f)により表される。
【0049】
【数6】


(1A)
【0050】
P(f|s)は、ベイズ統計におけるsを事前条件とした事後確率とみなすことができる。この前提のもと、ある周波数fが現れる確率P(f)は全ての粒子についての確率P(f|s)の和として求めることができる。
【0051】
図9に、ある周波数fが現れる確率P(f)を説明するための図を示す。図9に示されるように、ある周波数fが現れる確率P(f)は、サイズsが周波数fに相当する確率P(f|s)とその選択確率πとの重み付け和であり、以下の式により表される。
【0052】
【数7】


(2A)
【0053】
図10に、周波数分布から選択確率を求める方法を説明するための図を示す。図10に示されるように、フーリエ変換結果のある周波数fに対応する粒子が、サイズsに相当する確率はP(s|f)と記述される。この確率P(s|f)は、既知のベイズの定理を適用することにより、以下の式により表される。
【0054】
【数8】


(3A)
【0055】
上記式(3A)におけるP(s)は選択確率πに相当する。また、ある周波数fが現れる確率P(f)は、上記式(2A)により計算される。このため、ある周波数fに相当する粒子がサイズsである確率P(s|f)は、上記式(3A)の右辺の分母に対して上記(2A)を代入し、上記式(3)の右辺の分子のP(s)を選択確率πに置き換えることにより、次式によって表される。なお、以下の式(4)におけるzinが上記式(3A)の確率P(s|f)に相当する。
【0056】
【数9】


(4A)
【0057】
また、選択確率πは、以下の式により表される。なお、以下の式(5A)におけるc,cは所定の係数である。
【0058】
【数10】


(5A)
【0059】
分布生成部112は、EMアルゴリズムのEステップとして、上記式(4A)におけるzinを期待値として算出する。また、分布生成部112は、EMアルゴリズムのMステップとして、上記式(5A)における選択確率πを計算する。
【0060】
具体的には、分布生成部112は、補正後のフーリエ変換結果P(f)に基づいて、上記式(2A)が満たされるように、粒子のサイズを識別するためのインデックスmと周波数を識別するためのインデックスiとの組み合わせの各々についての、サイズsの粒子が対象画像に出現したときに周波数fが補正後のフーリエ変換結果に出現する確率P(f|s)を設定すると共に、確率P(f|s)が選択される選択確率πを設定する。
【0061】
次に、分布生成部112は、EMアルゴリズムのEステップ及びMステップにおいて、粒子のサイズを識別するためのインデックスnの各々についての、確率P(f|s)と選択確率πとから上記式(4A)により計算される期待値zinが最大化されるように選択確率πを計算する。そして、分布生成部112は、選択確率πを、材料組織画像に写る複数の粒子のサイズ分布として生成する。
【0062】
分布生成部112は、所定の収束条件が満たされるまで、EMアルゴリズムのEステップ及びMステップを繰り返す。そして、分布生成部112は、繰り返し演算が収束した際のサイズsの選択確率πを、対象画像に写る複数の粒子のサイズ分布として生成する。選択確率πは複数のサイズs(n=1~N’)が存在している度合いを表す確率P(s)に相当するため、選択確率πは複数のサイズs(n=1~N’)のサイズ分布に相当する。
【0063】
表示部(図示省略)は、分布生成部112により生成されたサイズ分布を結果として出力する。情報処理装置10のユーザは、表示部(図示省略)に表示されたサイズ分布の結果を確認する。
【0064】
情報処理装置10は、例えば、図11に示すようなコンピュータ50によって実現することができる。情報処理装置10を実現するコンピュータ50は、CPU51、一時記憶領域としてのメモリ52、及び不揮発性の記憶部53を備える。また、コンピュータは、入出力装置等(図示省略)が接続される入出力interface(I/F)54、及び記録媒体59に対するデータの読み込み及び書き込みを制御するread/write(R/W)部55を備える。また、コンピュータは、インターネット等のネットワークに接続されるネットワークI/F56を備える。CPU51、メモリ52、記憶部53、入出力I/F54、R/W部55、及びネットワークI/F56は、バス57を介して互いに接続される。
【0065】
記憶部53は、Hard Disk Drive(HDD)、solid state drive(SSD)、フラッシュメモリ等によって実現できる。記憶媒体としての記憶部53には、コンピュータを機能させるためのプログラムが記憶されている。CPU51は、プログラムを記憶部53から読み出してメモリ52に展開し、プログラムが有するプロセスを順次実行する。
【0066】
次に、実施形態の情報処理装置10の作用について説明する。
【0067】
解析対象の材料組織画像が情報処理装置10へ入力されると、情報処理装置10は、図12に示す情報処理ルーチンを実行する。
【0068】
ステップS100において、取得部100は、入力された材料組織画像を取得する。
【0069】
ステップS102において、生成部102は、上記ステップS100で取得された材料組織画像を二値化することにより、材料組織画像の二値化画像である対象画像を生成する。
【0070】
ステップS104において、第1フーリエ変換部104は、上記ステップS102で生成された対象画像をフーリエ変換することにより、対象画像のフーリエ変換結果である第1フーリエ変換結果を生成する。そして、第1フーリエ変換部104は、第1フーリエ変換結果からパワースペクトルの積算値y1を計算する。
【0071】
ステップS106において、画像生成部106は、上記ステップS104で生成された対象画像に写る複数の粒子の各々の重心位置を特定し、複数の粒子の各々の重心位置を表す画像である粒子位置画像を生成する。
【0072】
ステップS108において、第2フーリエ変換部108は、上記ステップS106で生成された粒子位置画像をフーリエ変換することにより、粒子位置画像のフーリエ変換結果である第2フーリエ変換結果を生成する。そして、第2フーリエ変換部108は、第2フーリエ変換結果からパワースペクトルの積算値y1centersを計算する。
【0073】
ステップS110において、計算部110は、ステップS108で得られた第1フーリエ変換結果のパワースペクトルの積算値y1と、ステップS110で得られた第2フーリエ変換結果のパワースペクトルの積算値y1centersとに基づいて、パワースペクトルの積算値y1をパワースペクトルの積算値y1centersで除算することにより、除算結果y1/y1centersを計算する。
【0074】
ステップS112において、分布生成部112は、上記ステップS110で計算された除算結果y1/y1centersを対象画像の補正後のフーリエ変換結果として設定する。そして、分布生成部112は、補正後のフーリエ変換結果に基づいて、EM(Expectation-maximization)アルゴリズムを用いて、補正後のフーリエ変換結果が出現する期待値が最大化されるように、材料組織画像に写る複数の粒子のサイズ分布を生成する。
【0075】
ステップS114において、分布生成部112は、ステップS112で生成された粒子のサイズ分布を結果として出力する。
【0076】
以上説明したように、実施形態に係る情報処理装置10は、解析対象の材料組織画像を取得する。情報処理装置10は、取得された材料組織画像を二値化することにより、材料組織画像の二値化画像である対象画像を生成する。情報処理装置10は、生成された対象画像をフーリエ変換することにより、対象画像のフーリエ変換結果である第1フーリエ変換結果を生成する。情報処理装置10は、生成された対象画像に写る複数の粒子の各々の重心位置を特定し、複数の粒子の各々の重心位置を表す画像である粒子位置画像を生成する。情報処理装置10は、生成された粒子位置画像をフーリエ変換することにより、粒子位置画像のフーリエ変換結果である第2フーリエ変換結果を生成する。情報処理装置10は、第1フーリエ変換結果と、第2フーリエ変換結果とに基づいて、第1フーリエ変換結果を第2フーリエ変換結果で除算することにより得られる除算結果を計算する。情報処理装置10は、除算結果を対象画像の補正後のフーリエ変換結果として設定し、補正後のフーリエ変換結果に基づいて、EM(Expectation-maximization)アルゴリズムを用いて、補正後のフーリエ変換結果が出現する期待値が最大化されるように、材料組織画像に写る複数の粒子のサイズ分布を生成する。これにより、材料組織画像から材料を構成する粒子のサイズ分布を精度良く得ることができる。また、材料組織画像に写る複数の粒子の各々の重心位置を表す画像である粒子位置画像を利用することにより、材料組織画像に写る粒子毎の画像のフーリエ変換を実行する必要がなくなるため、計算量が低減され、材料組織画像から材料を構成する粒子のサイズ分布を効率的に得ることができる。
【0077】
なお、上記の実施形態における各装置で行われる処理は、プログラムを実行することにより行われるソフトウエア処理として説明したが、ハードウエアで行う処理としてもよい。或いは、ソフトウエア及びハードウエアの双方を組み合わせた処理としてもよい。また、ROMに記憶されるプログラムは、各種記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0078】
さらに、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0079】
例えば、上記実施形態では、材料を構成する粒子の一例として、材料を構成する粒状物、針状物、繊維状物、及び穴等を挙げたが、それらとは異なる構造体であってもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、EMアルゴリズムへの入力データとして、フーリエ変換結果から計算されたパワースペクトルの積算値を用いる場合を例に説明したがこれに限定されるものではない。EMアルゴリズムへの入力データとしては、フーリエ変換結果が反映されているデータであれば、どのようなデータを用いてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10 情報処理装置
50 コンピュータ
100 取得部
102 生成部
104 第1フーリエ変換部
106 画像生成部
108 第2フーリエ変換部
110 計算部
112 分布生成部
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
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図10
図11
図12