IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -車両の制御装置 図1
  • -車両の制御装置 図2
  • -車両の制御装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/14 20060101AFI20250408BHJP
   B60W 40/076 20120101ALI20250408BHJP
   B60W 40/105 20120101ALI20250408BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20250408BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20250408BHJP
【FI】
B60W30/14
B60W40/076
B60W40/105
B60W40/08
B60W60/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022087733
(22)【出願日】2022-05-30
(65)【公開番号】P2023175336
(43)【公開日】2023-12-12
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 克也
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-193334(JP,A)
【文献】特開2017-085723(JP,A)
【文献】特開2016-203706(JP,A)
【文献】特開2018-135042(JP,A)
【文献】特開2014-088067(JP,A)
【文献】特開2017-222260(JP,A)
【文献】特開2019-137195(JP,A)
【文献】特開2006-298178(JP,A)
【文献】特開2019-214225(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0101775(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 ~ 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサと、
車速を検出する車速センサと、
車両が走行している路面の勾配を検出可能な勾配センサと、
を備える前記車両に適用される制御装置であって、
前記車速及び前記アクセルペダルの操作量に基づいて、前記車両を前進させるための走行駆動力を算出する算出処理と、
前記車速が一定の目標車速となるように制御するオートクルーズ処理と、
を実行可能であって、
予め定められた所定時間における前記車速の最大値と最小値との差が、予め定められた所定値以下であり、
且つ前記車速に基づいて算出される走行抵抗と前記路面の勾配に基づき算出される勾配抵抗との和が、前記走行駆動力以上である
ことを条件として、前記オートクルーズ処理を実行する
車両の制御装置。
【請求項2】
さらに、前記勾配センサが検出した勾配が、下り勾配であることを条件として、
前記オートクルーズ処理を実行する
請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記オートクルーズ処理では、前記所定時間に取得した前記車速の最大値及び前記車速の最小値の平均値を前記目標車速とする
請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
さらに、ブレーキペダルの操作量がゼロであることを条件として、
前記オートクルーズ処理を実行する
請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記オートクルーズ処理の実行中に、
前記アクセルペダルの操作量がゼロより大きく
且つ前記走行抵抗と前記勾配抵抗との和が、前記走行駆動力未満であることを条件として、
実行中の前記オートクルーズ処理を終了する
請求項1に記載の車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の制御装置は、いわゆるオートクルーズ処理を実行可能である。制御装置は、車両が一定の速度で走行している定常走行状態である場合に、オートクルーズ処理を実行する。具体的には、制御装置は、車速が、予め定められた規定値を中央値とする一定の範囲内であるか否か、又はアクセルペダルの操作量が、予め定められた規定値を中央値とする一定の範囲内であるか否か、を判定する。そして、制御装置は、上記の判定結果が肯定の状態が予め定められた所定時間継続された場合、オートクルーズ処理を実行する。制御装置は、オートクルーズ処理の実行中には、目標とする車速と現在の車速との差が小さくなるように、アクセル開度を自動で制御する。すなわち、制御装置は、オートクルーズ処理中には、車速が略一定となるように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-50904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の制御装置では、オートクルーズ処理の実行の可否に車両が走行する路面の勾配の影響を加味していない。そのため、運転者が車速を一定に保つことを意図してアクセルペダルの操作をしていても、オートクルーズ処理が実行されないことがある。
【0005】
具体的には、例えば、車両が平坦路から降坂路に進入したとする。この場合、重力の影響により、車両には、加速させようとする力が作用する。このとき、車速を一定に保とうとする場合には、運転者は、アクセルペダルの操作量を減少させる可能性が高い。しかしながら、特許文献1に記載の制御装置の場合、アクセルペダルの操作量の減少に伴ってオートクルーズ処理が実行されないおそれがある。また、例えば、車両が平坦路から登坂路に進入したとする。この場合、重力の影響により、車両には、減速させようとする力が作用する。このとき、車速を一定に保とうとする場合には、運転者はアクセルペダルの操作量を増加させる可能性が高い。しかしながら、特許文献1に記載の制御装置の場合、アクセルペダルの操作量の増加に伴ってオートクルーズ処理が実行されないおそれがある。このように、アクセルペダルの操作量に基づくのみでは、運転者の意図に応じて適切なタイミングでオートクルーズ処理を開始できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサと、車速を検出する車速センサと、車両が走行している路面の勾配を検出可能な勾配センサと、を備える前記車両に適用される制御装置であって、前記車速及び前記アクセルペダルの操作量に基づいて、前記車両を前進させるための走行駆動力を算出する算出処理と、前記車速が一定の目標車速となるように制御するオートクルーズ処理と、を実行可能であって、予め定められた所定時間における前記車速の最大値と最小値との差が、予め定められた所定値以下であり、且つ前記車速に基づいて算出される走行抵抗と前記路面の勾配に基づき算出される勾配抵抗との和が、前記走行駆動力以上であることを条件として、前記オートクルーズ処理を実行する車両の制御装置である。
【0007】
上記構成によれば、制御装置は車両が走行している路面の勾配に基づいてオートクルーズ処理を実行する。すなわち、車両が降坂中、及び登坂中の場合において、運転者によるアクセルペダルの操作量が大きく変更された場合でも、車速が概ね一定であり、且つ運転者が加速の意図を持っていない可能性が高い場合にはオートクルーズ処理を実行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、車両の概略構成である。
図2図2は、制御装置が実行する開始判定制御のフローチャートである。
図3図3は、変更例の制御装置が実行する開始判定制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、制御装置を搭載した車両の一実施形態を、図面を参照して説明する。
<車両の概略構成>
図1に示すように、車両500は、アクセルペダル21、ブレーキペダル22、及びシフトレバー23を有している。アクセルペダル21は、車両500の加速度を操作するためのフットペダルである。ブレーキペダル22は、車両500を減速させるために、ブレーキ装置を操作するためのフットペダルである。なお、図1において、ブレーキ装置の図示を省略している。ブレーキ装置は、例えば、ディスクブレーキ装置である。
【0010】
シフトレバー23は、車両500の走行状態を切替えるためのレバーである。シフトレバー23は、車両500の運転者により切替え操作される。ここで、シフトレバー23によって切替えることのできる車両500の走行状態は、パーキング、ニュートラル、ローギア、ドライブ、及びリバースのいずれかである。シフトレバー23がパーキング又はニュートラルになっている状態では、非走行用の変速段が形成される。また、車両500の走行状態がローギア、ドライブ又はリバースになっている場合には、走行用の変速段が形成される。なお、図1において変速段を形成する変速機の図示を省略している。
【0011】
車両500がパーキングの走行状態にある場合には、車両500の車輪の回転がロックされる。車両500がニュートラルの走行状態にある場合には、内燃機関等の駆動源からの駆動力が車輪に伝達されない。車両500がローギア又はドライブの走行状態にある場合には、内燃機関等の駆動源からの駆動力が車輪に伝達されて、車両500が前進する。ただし、車両500がローギアの走行状態にある場合には、変速機の変速段が最も低速な変速段に制限される。車両500がドライブの走行状態にある場合には、変速機の変速段は制限されない。車両500がリバースの走行状態にある場合には、内燃機関等の駆動源からの駆動力が車輪に伝達されて、車両500が後進する。
【0012】
車両500は、アクセルセンサ31、ブレーキセンサ32、レバーポジションセンサ33、車速センサ34、及び勾配センサ35を有している。
アクセルセンサ31は、車両500の運転者が操作するアクセルペダル21の操作量であるアクセル操作量ACCを検出する。ここで、車両500の運転者によるアクセルペダル21の操作量が大きいほど、アクセル操作量ACCが大きな値になる。また、車両500の運転者がアクセルペダル21を操作していない場合には、アクセル操作量ACCはゼロになる。
【0013】
ブレーキセンサ32は、車両500の運転者が操作するブレーキペダル22の操作量であるブレーキ操作量BRAを検出する。ここで、車両500のユーザによるブレーキペダル22の操作量が大きいほど、ブレーキ操作量BRAが大きな値になる。また、車両500のユーザがブレーキペダル22を操作していない場合には、ブレーキ操作量BRAはゼロになる。
【0014】
レバーポジションセンサ33は、車両500のユーザが操作するシフトレバー23の操作位置であるレバー位置LPを検出する。シフトレバー23の操作位置は、車両500の走行状態の種類に対応して、パーキング、ニュートラル、ローギア、ドライブ、リバースの各位置を含む。
【0015】
車速センサ34は、車両500の速度である車速Vを検出する。勾配センサ35は、水平面に対する車両500の前後軸の傾斜角θを検出する。具体的には、勾配センサ35は、例えば、上り勾配角及び下り勾配角を検出する。例えば、勾配センサ35は、上り勾配角を正の傾斜角θとして検出する。また、勾配センサ35は、下り勾配角を負の傾斜角θとして検出する。すなわち、勾配センサ35は、車両500が走行している路面の勾配を検出可能である。
【0016】
車両500は、制御装置100を備えている。
制御装置100は、アクセル操作量ACCを示す信号をアクセルセンサ31から取得する。制御装置100は、ブレーキ操作量BRAを示す信号をブレーキセンサ32から取得する。制御装置100は、レバー位置LPを示す信号をレバーポジションセンサ33から取得する。制御装置100は、車速Vを示す信号を車速センサ34から取得する。制御装置100は、傾斜角θを示す信号を勾配センサ35から検出する。
【0017】
制御装置100は、算出処理において、アクセル操作量ACC及び車速Vに基づいて走行駆動力を算出する。走行駆動力とは、車両500を前進させるための力である。具体的には、制御装置100は、アクセル操作量ACCが大きいほど、走行駆動力を大きな値として算出する。また、制御装置100は、車速Vが大きいほど、走行駆動力を大きな値として算出する。
【0018】
制御装置100は、走行抵抗を算出する。走行抵抗は、以下の式1に各値を代入することにより求められる。
(式1)F=μ・g・M+(1/2)・ρ・Cd・S・V
ただし、Fは走行抵抗、μは転がり抵抗、gは重力加速度、Mは車両質量、ρは空気密度、Cdは空気抵抗係数、Sは前面投影面積を示す。
【0019】
この実施形態では、転がり抵抗μ及び空気密度ρは、それぞれ予め定められた一定値である。重力加速度Gは9.8m/sである。また、車両質量M、空気抵抗係数Cd、前面投影面積Sは、車両500毎に固有の値である。
【0020】
制御装置100は、勾配抵抗を算出する。勾配抵抗は、以下の式2に各値を代入することにより求められる。なお、勾配抵抗は、上り勾配角の場合、正の値として算出され、下り勾配角の場合、負の値として算出される。
(式2)R=M×g×sinθ
ただし、Rは勾配抵抗を示す。
【0021】
制御装置100は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサを含む回路(circuitry)として構成し得る。なお、制御装置100は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、又はそれらの組み合わせを含む回路として構成してもよい。プロセッサは、CPU及び、RAM並びにROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0022】
<オートクルーズの開始判定制御について>
制御装置100は、オートクルーズの開始判定制御を実行可能である。制御装置100は、ブレーキ操作量BRAがゼロであること、且つオートクルーズ処理を実行していないことを条件として、開始判定制御を繰り返し実行する。
【0023】
図2に示すように、制御装置100は、開始判定制御を実行すると、ステップS11の処理を実行する。ステップS11では、制御装置100は、レバー位置LPを取得する。そして、制御装置100は、レバー位置LPがドライブであるか否かを判定する。上記判定が否定判定の場合、制御装置100は、開始判定制御を終了する。上記判定が肯定判定である場合、制御装置100の処理は、ステップS12へ移行する。
【0024】
ステップS12では、制御装置100は、予め定められた所定時間にわたって車速Vを繰り返し取得する。そして、制御装置100は、所定時間における車速Vの最大値Vmaxと、最小値Vminとの差を算出する。そして、制御装置100は、最大値Vmaxと最小値Vminとの差が、予め定められた所定値以下であるか否かを判定する。
【0025】
上記所定時間とは、車両500の運転者が車速Vを一定に保つような運転をしているか否かを判定するのに十分な時間である。所定時間は、例えば、数秒から十数秒程度として予め定められている。また、所定値は、例えば、時速5キロメートルとして予め定められている。ステップS12において否定判定の場合、制御装置100は、開始判定制御を終了する。ステップS12において肯定判定の場合、制御装置100の処理は、ステップS13へ移行する。
【0026】
ステップS13では、制御装置100は、走行駆動力を算出する。また、制御装置100は、走行抵抗及び勾配抵抗を算出する。走行駆動力、走行抵抗、及び勾配抵抗の算出方法については、上述したとおりである。そして、制御装置100は、走行抵抗と勾配抵抗との和が、走行駆動力以上であるか否かを判定する。上記判定が、否定判定の場合、制御装置100は、開始判定制御を終了する。上記判定が肯定判定の場合、制御装置100は、ステップS14へ移行する。
【0027】
ステップS14では、制御装置100は、オートクルーズ処理を開始する。その後、制御装置100は開始判定制御を終了する。なお、オートクルーズ処理が開始されると、当該オートクルーズ処理が終了するまで一連のオートクルーズの開始判定制御は実行されない。
【0028】
制御装置100は、オートクルーズ処理の実行中は、車速Vが一定の目標車速となるように、アクセル操作量ACC及び変速比等を自動で制御する。目標車速は、例えば、ステップS12における所定時間に取得した車速Vの最大値Vmax及び車速Vの最小値Vminの平均値として設定される。
【0029】
また、制御装置100は、オートクルーズ処理の実行中は、以下のオートクルーズの終了条件が満たされるか否かを判定する。
・レバー位置LPが、ドライブから他のポジションに変更された。
・ブレーキ操作量BRAが正の値である。
・アクセル操作量ACCがゼロより大きく、且つ走行抵抗と勾配抵抗との和が走行駆動力未満である。
【0030】
制御装置100は、上記の3つの終了条件のうち1つでも満たされた場合には、実行中のオートクルーズ処理を終了する。すなわち、アクセル操作量ACC等に応じた車速Vで車両500が走行する。
【0031】
<本実施形態の作用>
例えば、車両500が、平坦路から降坂路に進入したとする。この場合、重力の影響により車両500は徐々に加速する。このとき、車両500の運転者は、車速Vを一定に保とうとして、アクセル操作量ACCを減少させたとする。
【0032】
一方で、制御装置100は、オートクルーズの開始判定制御において、ステップS11~ステップS13の判定が肯定判定の場合、オートクルーズ処理を開始する。すなわち、アクセル操作量ACCを減少させた場合でも、上記3つの判定が肯定判定であれば、制御装置100は、オートクルーズ処理を開始する。
【0033】
<本実施形態の効果>
(1)上記実施形態によれば、制御装置100は、走行抵抗と勾配抵抗との和が、走行駆動力以上であることを条件に、オートクルーズ処理を開始する。すなわち、制御装置100は、車両500が走行している路面の勾配を考慮して、オートクルーズ処理を実行する。
【0034】
ここで、走行抵抗と勾配抵抗との和が、走行駆動力以上である場合、車両500を前進させる方向に作用する力がゼロであるか負である。つまり、車両500は、等速で走行しているか減速しているかのいずれかである。この場合、車両500の運転者は、加速を意図していない可能性が高い。したがって、運転者によるアクセル操作量ACCが変更された場合でも、車速Vが概ね一定であり、且つ車両500の運転者が加速の意図を持っていない可能性が高いときには、オートクルーズ処理を実行可能である。
【0035】
(2)上記実施形態によれば、オートクルーズ処理では、制御装置100は、所定時間に取得した車速Vの最大値Vmax及び車速Vの最小値Vminの平均値を目標車速とする。すなわち、車両500の運転者が意図する車速Vに近しい車速Vで走行可能である。
【0036】
(3)上記実施形態によれば、制御装置100は、ブレーキ操作量BRAがゼロであることを条件の1つとしてオートクルーズの開始判定制御を実行する。ここで、ブレーキ操作量BRAがゼロの場合、車両500の運転者に、減速の意図がない可能性が高い。したがって、運転者に減速の意図があるにも拘らず、オートクルーズの開始判定制御及びその後のオートクルーズ処理が実行されることは防げる。
【0037】
(4)上記実施形態によれば、制御装置100は、オートクルーズ処理の実行中に、アクセル操作量ACCがゼロより大きく、走行抵抗と勾配抵抗との和が、走行駆動力未満であることを条件として、実行中のオートクルーズ処理を終了する。上記条件を満たした場合、車両500を前進させる方向に作用する力が正である。つまり、車両500は、加速している。この場合、車両500の運転者は、加速を意図している可能性が高い。したがって、上記構成によれば、車両500の運転者が加速したい場合には、オートクルーズ処理を終了できる。
【0038】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0039】
・上記実施形態において、制御装置100は、オートクルーズの開始判定制御におけるステップS11の処理を省略してもよい。また、制御装置100は、オートクルーズの開始判定制御において、ステップS11の処理に代えて、他の判定処理を実行してもよい。例えば、図3に示す例では、制御装置100は、オートクルーズの開始判定制御を開始すると、上記実施形態のステップS11の処理に代えて、先ずステップS21に示す処理を実行する。ステップS21において、制御装置100は、勾配センサ35が検出した勾配が、下り勾配であるか否かを判定する。具体的には、制御装置100は、勾配センサ35から、傾斜角θを検出する。そして、制御装置100は、負の傾斜角θである状態が、予め定められた時間継続した場合に、勾配センサ35が検出した勾配が、下り勾配であると判定する。肯定判定の場合、制御装置100の処理はステップS22へ移行する。なお、図3に示す例において、ステップS22~S24の処理は、上記実施形態のオートクルーズの開始判定制御のステップS12~14の処理と同じである。
【0040】
上記構成によれば、制御装置100は、車両500が下り勾配の路面を走行している、且つ走行抵抗と勾配抵抗との和が、走行駆動力以上である、という場合にオートクルーズ処理を実行し得る。この変更例においても、上述の(1)の効果と同様に、車両500が走行している路面の勾配を考慮して、オートクルーズ処理を実行できる。
【0041】
・上記実施形態において、オートクルーズ処理終了の条件は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、上記実施形態において、オートクルーズ処理終了の条件に、上記実施形態で例示した条件以外の条件が含まれていてもよいし、上記実施形態で例示した条件のいくつかが省かれていてもよい。
【0042】
・上記実施形態において、オートクルーズの開始判定制御を実行する条件に、ブレーキ操作量BRAがゼロであることを含んでいなくてもよい。例えば、車両500の運転者が車速Vを一定に保とうとしてブレーキペダル22を操作することがある。上記構成によれば、この状況においてもオートクルーズの開始判定制御を実行できる。また、オートクルーズの開始判定制御を実行する条件に、上記実施形態の例示した条件以外の条件が含まれていてもよい。
【0043】
・上記実施形態において、オートクルーズ処理実行中における目標車速の設定値は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、制御装置100は、所定時間における車速Vの最大値Vmax、又は所定時間における車速Vの最小値Vminを、目標車速として設定してもよい。また、制御装置100は、車両500の運転者が設定した任意の車速Vを目標車速として設定してもよい。
【0044】
・走行抵抗及び勾配抵抗の算出方法は、上記実施形態の例に限らない。例えば、走行抵抗を算出するのにあたり、転がり抵抗μ及び空気密度ρを、車両500が走行している環境に応じた変数としてもよい。また、走行抵抗及び勾配抵抗を算出するための計算式も、上記実施形態の例に限らない。
【符号の説明】
【0045】
θ…傾斜角
ACC…アクセル操作量
BRA…ブレーキ操作量
21…アクセルペダル
22…ブレーキペダル
23…シフトレバー
31…アクセルセンサ
32…ブレーキセンサ
33…レバーポジションセンサ
34…車速センサ
35…勾配センサ
100…制御装置
500…車両
図1
図2
図3