(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】防水シート施工補助治具、および防水シート施工方法
(51)【国際特許分類】
E04F 21/00 20060101AFI20250408BHJP
E04D 5/06 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
E04F21/00 C
E04D5/06 A
(21)【出願番号】P 2023201931
(22)【出願日】2023-11-29
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松山 真五
(72)【発明者】
【氏名】橋本 知慈
(72)【発明者】
【氏名】堀 一夫
(72)【発明者】
【氏名】疊 将志
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-129719(JP,A)
【文献】特許第2587816(JP,B2)
【文献】特許第5350930(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/16
E04F 21/00-21/32
E04D 5/00- 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に防水シートを張り付ける張付作業を補助する防水シート施工補助治具であって、
前記防水シートにおいて前記壁に張り付けられる壁シート部の下部を直接または間接的に押さえる第1押圧部と、前記壁シート部の上部を押さえる第2押圧部とを有する押圧部を備え、
前記第2押圧部は、爪部を有し、
前記爪部は、前記防水シートに突き刺さるように構成さ
れ、
前記押圧部は、第1押圧部材と、前記爪部が設けられる第2押圧部材と、を備え、
前記第2押圧部材は、前記第1押圧部材とヒンジ部材によって回転可能に結合される、
防水シート施工補助治具。
【請求項2】
壁に防水シートを張り付ける張付作業を補助する防水シート施工補助治具であって、
前記防水シートにおいて前記壁に張り付けられる壁シート部の下部を直接または間接的に押さえる第1押圧部と、前記壁シート部の上部を押さえる第2押圧部とを有する押圧部を備え、
前記第2押圧部は、爪部を有し、
前記爪部は、前記防水シートに突き刺さるように構成さ
れ、
前記押圧部は、板バネによって構成される、
防水シート施工補助治具。
【請求項3】
台座部をさらに備え、
前記台座部は、前記押圧部の下端部に回転可能に結合する、
請求項1に記載の防水シート施工補助治具。
【請求項4】
前記押圧部の前記下端部は、
前記ヒンジ部材と別のヒンジ部材によって前記台座部に回転可能に結合される、
請求項3に記載の防水シート施工補助治具。
【請求項5】
前記押圧部には、前記押圧部を前記防水シートに向かって押し込む押し込み部が設けられる、
請求項1に記載の防水シート施工補助治具。
【請求項6】
前記押圧部を支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、床に直接または間接的に接触する第1端部と、前記押圧部に接触する第2端部と、を有する、
請求項1に記載の防水シート施工補助治具。
【請求項7】
壁に防水シートを張り付ける防水シート施工方法であって、
前記防水シートは、床から立ち上がる壁部に沿う壁シート部を有し、
前記壁部に前記壁シート部を接触させる状態において、
請求項1~6のいずれか一項に記載の防水シート施工補助治具によって、前記壁シート部を仮留めする第1工程と、
前記壁部に、前記壁シート部を固定する第2工程と、を含む、
防水シート施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防水シート施工補助治具、および防水シート施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物において、床から立ち上がる壁部に防水シートを張る場合、治具は、防水シートにおける皺の発生を抑制するように防水シートを張るために用いられる。例えば、特許文献1には、防水シート施工補助治具(特許文献1では、施工用治具)が開示されている。同文献の防水シート施工補助治具は、基部と、基部に対して回転するように設けられる押圧部とを備える。補助部は、弾性体を有する。補助部は、弾性体を介して防水シートを壁部に押圧することによって、押圧後の皺の発生を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、防水シートを施工する際、防水シートの弛みを伸ばすことによって防水シートの皺の発生を抑制する観点において、防水シート施工補助治具、および防水シート施工方法に改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する防水シート施工補助治具は、壁に防水シートを張り付ける張付作業を補助する防水シート施工補助治具であって、前記防水シートにおいて前記壁に張り付けられる壁シート部の下部を直接または間接的に押さえる第1押圧部と、前記壁シート部の上部を押さえる第2押圧部とを有する押圧部を備え、前記第2押圧部は、爪部を有し、前記爪部は、前記防水シートに突き刺さるように構成される。この構成によれば、押圧部は、壁シート部の下部および上部を押さえる。これにより、押圧部は、防水シートの弛みを伸ばせる。このため、防水シートの皺の発生を抑制できる。
【0006】
(2)上記(1)の防水シート施工補助治具において、台座部をさらに備え、前記台座部は、前記押圧部の下端部に回転可能に結合する。この構成によれば、押圧部は、台座部に回転可能に結合される。このため、壁シート部を押さえ易いように押圧部を回転させることができる。
【0007】
(3)上記(2)の防水シート施工補助治具において、前記押圧部の前記下端部は、第1ヒンジ部材によって前記台座部に回転可能に結合される。この構成によれば、押圧部の下端部は、第1ヒンジ部材によって台座部に回転可能に結合される。このため、壁シート部を押さえ易いように押圧部を回転させることができる。
【0008】
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つの防水シート施工補助治具において、前記押圧部は、第1押圧部材と、前記爪部が設けられる第2押圧部材と、を備え、前記第2押圧部材は、前記第1押圧部材と第2ヒンジ部材によって回転可能に結合される。この構成によれば、第2押圧部材は、第2ヒンジ部材によって第1押圧部材に回転可能に結合される。このため、押圧部は、爪部を壁シート部に突き刺し易いように第2押圧部材を回転させることができる。
【0009】
(5)上記(1)~上記(4)のいずれか1つの防水シート施工補助治具において、前記押圧部は、板バネによって構成される。この構成によれば、板バネによって構成される押圧部は、壁シート部の下部および上部を押さえる。これにより、押圧部は、防水シートの弛みを伸ばせる。このため、防水シートの皺の発生を抑制できる。
【0010】
(6)上記(1)~上記(5)のいずれか1つの防水シート施工補助治具において、前記押圧部には、前記押圧部を前記防水シートに向かって押し込む押し込み部が設けられる。この構成によれば、押し込み部を押圧することによって、押圧部を防水シートに向かって押し込むことができる。これにより、押圧部によって効率よく防水シートの弛みを伸ばせる。このため、防水シートの皺の発生を抑制できる。
【0011】
(7)上記(1)~上記(6)のいずれか1つの防水シート施工補助治具において、前記押圧部を支持する支持部材をさらに備え、前記支持部材は、床に直接または間接的に接触する第1端部と、前記押圧部に接触する第2端部と、を有する。この構成によれば、支持部材によって押圧部を支持できる。このため、防水シートの弛みを伸ばす押圧部の状態を維持させ易い。
【0012】
(8)上記課題を解決する防水シート施工方法は、壁に防水シートを張り付ける防水シート施工方法であって、前記防水シートは、床から立ち上がる壁部に沿う壁シート部を有し、前記壁部に前記壁シート部を接触させる状態において、上記(1)~上記(7)のいずれか1つに記載の防水シート施工補助治具によって、前記壁シート部を仮留めする第1工程と、前記壁部に、前記壁シート部を固定する第2工程と、を含む。この構成によれば、防水シート施工補助治具によって壁シート部を仮留めできる。このため、防水シート施工補助治具によって防水シートの弛みを伸ばす状態において、壁部に壁シート部を固定できる。
【発明の効果】
【0013】
本開示の防水シート施工補助治具によれば、防水シートを施工する際、皺の発生を抑制できる。本開示の防水シート施工方法によれば、防水シートを施工する際、皺の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態について、壁部の正面図である。
【
図2】第2実施形態について、壁部の斜視図である。
【
図3】第1実施形態について、
図1の3-3線に沿う壁部の断面図である。
【
図4】第1実施形態について、防水シート施工補助治具の斜視図である。
【
図5】第1実施形態について、防水シート施工方法の第1工程を示す、
図1の3-3線に沿う壁部の断面図である。
【
図6】第1実施形態について、防水シート施工方法の第1工程を示す、
図1の3-3線に沿う壁部の断面図である。
【
図7】第1実施形態について、防水シート施工方法の第2工程を示す、
図1の3-3線に沿う壁部の断面図である。
【
図8】第2実施形態について、壁部の断面図である。
【
図10】第2変形例について、壁部の断面図である。
【
図11】第2変形例について、壁部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
図1~
図7を参照して、防水シート施工補助治具1および防水シート施工方法について説明する。
【0016】
図1および
図2に示されるように、防水シート施工補助治具1は、壁2に防水シート3を張り付ける張付作業を補助する治具である。壁2は、建築物4の床から立ち上がるように配置される壁である。例としては、ベランダの壁、バルコニーの壁、屋外において空間を形成する壁のうち屋内側に立つ壁、および屋上の立ち上がり壁などが挙げられる。本実施形態において、壁2は、建築物4のバルコニーの床4Aから立ち上がる壁である。
【0017】
壁2は、フレーム2A(
図3参照)、合板2B、および外装材2Cを含む。外装材2Cは、フレーム2Aに取り付け金具によって取り付けられる。以降、取付金具の図示は省略している。合板2Bは、外装材2Cの下方に位置する。合板2Bと外装材2Cとの間には、水切り材およびシーリング材が設けられる。以降、水切り材およびシーリング材の図示は省略している。
【0018】
図2および
図3に示されるように、本実施形態において、防水シート3は、勾配断熱材5および鋼板6とともにユニット鋼板7を形成する。防水シート3は壁シート部9と床シート部3Aとによって構成される。床シート部3Aは、鋼板6に接合される。壁シート部9は、合板2Bに張り付けられる(後述)。ユニット鋼板7は、合板2Bおよび床梁8に沿うように配置される。作業者1Xは、ユニット鋼板7が配置される状態において、防水シート施工補助治具1によって、壁シート部9を合板2Bに沿うように伸ばす。
【0019】
バルコニーの床4Aにおいて、ユニット鋼板7が配置されなくてもよい。この場合、防水シート3の床シート部3Aは、鋼板6および勾配断熱材5を介さずにバルコニーの床4Aに配置される。また、バルコニーの床4Aには、壁2近くに排水溝が設けられる。以降、排水溝の図示は省略している。
【0020】
図3および
図4に示されるように、防水シート施工補助治具1は、押圧部10を備える。押圧部10は、第1押圧部材11と、第2押圧部材12と、を備える。本実施形態において、第1押圧部材11および第2押圧部材12は、金属板によって構成される。第1押圧部材11は、第1押圧部11Aを有する。また、第2押圧部材12は、第2押圧部12Aを有する。第1押圧部11Aは、壁シート部9の下部9Aを直接または間接的に押さえる。本実施形態において、防水シート施工補助治具1は、台座部13を備える。押圧部10の下端部10Aは、台座部13に回転可能に結合される。具体的には、押圧部10の第1押圧部材11の下端部10Aは、第1ヒンジ部材14によって台座部13に回転可能に結合される。これにより、本実施形態の第1押圧部11Aは、壁シート部9の下部9Aを間接的に押さえる。本実施形態の第1ヒンジ部材14は、ボルトおよびナットによって第1押圧部材11に連結される。また、第1ヒンジ部材14は、ビスによって台座部13に連結される。本実施形態の台座部13は、直方体に形成される。台座部13は、直方体に形成されなくてもよい。台座部13は、台座部13は、四角推のように形成されてもよい。また、半球体のように形成されてもよい。
【0021】
第2押圧部材12は、第1押圧部材11と第2ヒンジ部材15によって回転可能に結合される。本実施形態の第2ヒンジ部材15は、ボルトおよびナットによって第1押圧部材11に連結される。また、第2押圧部12Aは、爪部16を有する。爪部16は、防水シート3に突き刺さるように構成される。本実施形態において、爪部16は、叉状に形成される。爪部16は、三叉状に形成されてもよい。また、爪部16は、複数の針を有してもよい。爪部16を有する第2押圧部12Aは、防水シート3において、壁シート部9の上部9Bを押さえる(後述)。
【0022】
第1押圧部材11には、押圧部10を防水シート3に向かって押し込む押し込み部17が設けられる。本実施形態において、押し込み部17はキノコ状に形成される。押し込み部17は、三角柱のように形成されてもよい。また、押し込み部17は、棒状のように形成されてもよい。本実施形態において、作業者1Xは、押し込み部17を手動で押す(
図2参照)。
【0023】
第1押圧部材11の幅は、30mm以上50mm以下に形成される。第1押圧部材11の厚さは、2mm以上5mm以下に形成される。第1押圧部材11の高さは、80mm以上140mm以下に形成される。第2押圧部材12の幅は、30mm以上50mm以下に形成される。第2押圧部材12の厚さは、2mm以上5mm以下に形成される。第2押圧部材12の高さは、80mm以上140mm以下に形成される。本実施形態において、第1押圧部材11および第2押圧部材12の幅は、40mmに形成される。第1押圧部材11および第2押圧部材12の高さは、110mmに形成される。第1押圧部材11および第2押圧部材12の厚さは、3mmに形成される。
【0024】
第1押圧部材11の幅方向において、台座部13の幅は、70mm以上110mm以下に形成される。台座部13の高さは、20mm以上50mm以下に形成される。第1押圧部材11の厚さ方向において、台座部13の奥行は、25mm以上35mm以下に形成される。本実施形態において、台座部13の幅は、90mmに形成される。台座部13の高さは、30mmに形成される。台座部13の奥行は、28mmに形成される。
【0025】
第1押圧部材11の幅方向において、押し込み部17の直径は、30mm以上50mm以下に形成される。押し込み部17の厚さは、25mm以上35mm以下に形成される。本実施形態において、押し込み部17の直径は、40mmに形成される。押し込み部17の厚さは、28mmに形成される。
【0026】
本実施形態の爪部16は、第1爪16Aと第2爪16Bとによって構成される。第1爪16Aおよび第2爪16Bは、第1押圧部材11の幅方向において、ある程度間隔を空けて形成される。第1爪16Aおよび第2爪16Bの間には、10mm以上50mm以下の間隔が空けられる。好ましい例としては、29mmである。
【0027】
<防水シート施工方法>
図5~
図7を参照して、壁2に防水シート3の壁シート部9を張り付ける防水シート施工方法を説明する。
【0028】
防水シート施工方法は、第1工程と、第2工程と、を含む。第1工程は、防水シート3の壁シート部9をバルコニーの床4Aから立ち上がる壁部4Bに沿うように接触させる状態において開始する。以下、各工程について説明する。なお、
図5~
図7において、作業者1Xの図示は省略している。
【0029】
図5および
図6に示されるように、第1工程では、防水シート施工補助治具1によって壁シート部9を壁部4Bに仮留めする。以下、仮留めまでの手順を説明する。防水シート施工補助治具1の台座部13の下角部13Aを壁シート部9と床シート部3Aとの境界部分に接触させる。爪部16の先端を壁シート部9の上部9Bに突き刺す。これらの状態において、作業者1Xが押し込み部17を押圧することによって、第1押圧部材11は押し込み部17から伝わる押圧する力を壁シート部9の下部9Aに伝える。また、第2押圧部材12は、押し込み部17から伝わる押圧する力を壁シート部9の上部9Bに伝える。押し込み部17を押圧する力が台座部13に伝わることによって、押圧部10の第1押圧部11Aは、台座部13を介して壁シート部9の下部9Aを押さえる。また、押し込み部17を押圧する力が爪部16に伝わることによって、押圧部10の第2押圧部12Aは、壁シート部9の上部9Bを下部9Aから遠ざけるように壁シート部9の上部9Bを押さえる。この状態において、壁シート部9は、壁部4Bに沿うように伸ばされる。
【0030】
図7に示されるように、第2工程では、壁部4Bに、壁シート部9を固定する。壁シート部9は、固定具によって固定される。固定具の例として、ビス、接着剤、ガンタッカーが挙げられる。本実施形態において、壁シート部9は、ガンタッカー18によって固定される。壁シート部9の固定後、作業者1Xは壁シート部9の上部9Bのうち、壁部4Bと接触せずに垂れ下がっている部分を切除してもよい。以上の防水シート施工方法によって、防水シート3の壁シート部9は壁2に張り付けられる。
【0031】
本実施形態の作用を説明する。
防水シート施工補助治具1の第1押圧部材11は、下端部10Aにおいて台座部13に第1ヒンジ部材14によって回転可能に結合される。第2押圧部材12は、第1押圧部材11と第2ヒンジ部材15によって回転可能に結合される。第1押圧部材11には、押圧部10を防水シート3に向かって押し込む押し込み部17が設けられる。第1押圧部材11の第1押圧部11Aは、壁シート部9の下部9Aを台座部13を介して間接的に押さえる。第2押圧部材12の第2押圧部12Aの爪部16は、壁シート部9の上部9Bを押さえる。
【0032】
従来において、防水シート3を施工するための治具は、防水シート3を施工する際、防水シート3の弛みを伸ばすことによって防水シート3の皺の発生を抑制する技術は開示されていなかった。この点、本実施形態によれば、押し込み部17を押圧することによって、押圧部10は、壁シート部9の下部9Aおよび上部9Bを押さえる。これにより、壁シート部9は、壁部4Bに沿うように伸ばされる。このため、防水シート3の皺の発生を抑制できる。
【0033】
本実施形態の効果を説明する。
(1)防水シート施工補助治具1は、壁2に防水シート3を張り付ける張付作業を補助する防水シート施工補助治具である。防水シート3において壁2に張り付けられる壁シート部9の下部9Aを直接または間接的に押さえる第1押圧部11Aと、壁シート部9の上部9Bを押さえる第2押圧部12Aとを有する押圧部10を備える。第2押圧部12Aは、爪部16を有する。爪部16は、防水シート3に突き刺さるように構成される。この構成によれば、押圧部10は、壁シート部9の下部9Aおよび上部9Bを押さえる。これにより、押圧部10は、防水シート3の弛みを伸ばせる。このため、防水シート3の皺の発生を抑制できる。
【0034】
(2)防水シート施工補助治具1は、台座部13をさらに備える。台座部13は、押圧部10の下端部10Aに回転可能に結合する。この構成によれば、押圧部10は、台座部13に回転可能に結合される。このため、壁シート部9を押さえ易いように押圧部10を回転させることができる。
【0035】
(3)押圧部10の下端部10Aは、第1ヒンジ部材14によって台座部13に回転可能に結合される。この構成によれば、押圧部10の下端部10Aは、第1ヒンジ部材14によって台座部13に回転可能に結合される。このため、壁シート部9を押さえ易いように押圧部10を回転させることができる。
【0036】
(4)押圧部10は、第1押圧部材11と、爪部16が設けられる第2押圧部材12と、を備える。第2押圧部材12は、第1押圧部材11と第2ヒンジ部材15によって回転可能に結合される。この構成によれば、第2押圧部材12は、第2ヒンジ部材15によって第1押圧部材11に回転可能に結合される。このため、押圧部10は、爪部16を壁シート部9に突き刺し易いように第2押圧部材12を回転させることができる。
【0037】
(5)防水シート施工補助治具1の押圧部10において、押圧部10を防水シート3に向かって押し込む押し込み部17が設けられる。この構成によれば、押し込み部17を押圧することによって、押圧部10を防水シート3に向かって押し込むことができる。これにより、押圧部10によって効率よく防水シート3の弛みを伸ばせる。このため、防水シート3の皺の発生を抑制できる。
【0038】
(6)防水シート施工方法は、壁2に防水シート3を張り付ける防水シート施工方法である。防水シート3は、床4Aから立ち上がる壁部4Bに沿う壁シート部9を有する。防水シート施工方法は、壁部4Bに壁シート部9を接触させる状態において、防水シート施工補助治具1によって、壁シート部9を仮留めする第1工程を含む。また、防水シート施工方法は、壁部4Bに、壁シート部9を固定する第2工程を含む。この構成によれば、防水シート施工補助治具1によって壁シート部9を仮留めできる。このため、防水シート施工補助治具1によって防水シート3の弛みを伸ばす状態において、壁部4Bに壁シート部9を固定できる。
【0039】
<第2実施形態>
図8を参照して、第2実施形態の防水シート施工補助治具1を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付す。重複する構成についてはその説明を省略する。
【0040】
図8に示されるように、本実施形態の防水シート施工補助治具1は、押圧部10を支持する支持部材19をさらに備える。支持部材19は、バルコニーの床4Aに直接または間接的に接触する第1端部19Aと、押圧部10に接触する第2端部19Bと、を有する。具体的には、支持部材19の第1端部19Aは、バルコニーの床4Aに直接接触する。第1端部19Aは、台座部13に直接接触してもよい。この場合、第1端部19Aは、間接的にバルコニーの床4Aと接触する。支持部材19の第2端部19Bは、第1押圧部材11の背面部11Bと第3ヒンジ部材20によって回転可能に結合される。本実施形態の支持部材19は、鉄板によって構成される。
【0041】
本実施形態の構成によれば、支持部材19によって押圧部10を支持できる。このため、防水シート3の弛みを伸ばす押圧部10の状態を維持させ易い。
【0042】
<変形例>
上記各実施形態は、防水シート施工補助治具1、および防水シート施工方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。防水シート施工補助治具1、および防水シート施工方法は、上記各実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
【0043】
<第1変形例>
図9に示されるように、第1押圧部材11の第1押圧部11Aは、防水シート3において壁2に張り付けられる壁シート部9の下部9Aを直接押さえてもよい。押圧部10の下端部10Aには、折り返し部21が連結されてもよい。本変形例において、下端部10Aには、折り返し部21が連結される。本変形例の折り返し部21は、第1押圧部材11と一体的に形成される。折り返し部21は、第1押圧部材11と別の部材によって形成されてもよい。折り返し部21は押圧部10の下端部10Aからバルコニーの床4Aに沿って平坦に延びる。
【0044】
この構成によれば、第1押圧部材11によって、直接壁シート部9の下部9Aを押さえることができる。このため、第1押圧部材11と第2押圧部材12とによって、防水シート3の皺の発生を抑制できる。
【0045】
<第2変形例>
図10および
図11に示されるように、押圧部10は、板バネ22によって構成されてもよい。具体的には、第1実施形態の第1押圧部材11および第2押圧部材12は、板バネ22によって一体的に構成される。板バネ22の押圧部10の下端部10Aには、板バネ折り返し部23が連結されてもよい。本変形例において、板バネ22の押圧部10の下端部10Aには、板バネ折り返し部23が連結される。本変形例の板バネ折り返し部23は、板バネ22と一体的に形成される。板バネ折り返し部23は、板バネ22と別の部材によって形成されてもよい。板バネ折り返し部23は板バネ22の押圧部10の下端部10Aからバルコニーの床4Aに沿って平坦に延びる。
【0046】
作業者1X(図示は省略)は、板バネ22の背面部22Aを押圧することによって、壁シート部9を壁部4Bに沿うように伸ばす。板バネ22の下端部10Aは、背面部22Aから伝わる押圧する力を壁シート部9の下部9Aに伝える。これにより、板バネ22の第1押圧部11Aは、壁シート部9の下部9Aを押さえる。また、板バネ22の爪部16は、背面部22Aから伝わる押圧する力を壁シート部9の上部9Bに伝える。これにより、板バネ22の爪部16は、壁シート部9の上部9Bを下部9Aから遠ざけるように壁シート部9の上部9Bを押さえる。この状態において、壁シート部9は、壁部4Bに沿うように伸ばされる。
【0047】
この構成によれば、板バネ22によって構成される押圧部10は、壁シート部9の下部9Aおよび上部9Bを押さえる。これにより、押圧部10は、防水シート3の弛みを伸ばせる。このため、防水シート3の皺の発生を抑制できる。
【0048】
本明細書は、次の技術を開示する。
[付記1]
壁に防水シートを張り付ける張付作業を補助する防水シート施工補助治具である。防水シート施工補助治具は、前記防水シートにおいて前記壁に張り付けられる壁シート部の下部を直接または間接的に押さえる第1押圧部と、前記壁シート部の上部を押さえる第2押圧部とを有する押圧部を備える。前記第2押圧部は、爪部を有する。前記爪部は、前記防水シートに突き刺さるように構成される。
【0049】
[付記2]
付記1の防水シート施工補助治具において、台座部をさらに備える。前記台座部は、前記押圧部の下端部に回転可能に結合する。
【0050】
[付記3]
付記2の防水シート施工補助治具において、前記押圧部の前記下端部は、第1ヒンジ部材によって前記台座部に回転可能に結合される。
【0051】
[付記4]
付記1の防水シート施工補助治具において、前記押圧部は、第1押圧部材と、前記爪部が設けられる第2押圧部材と、を備える。前記第2押圧部材は、前記第1押圧部材と第2ヒンジ部材によって回転可能に結合される。
【0052】
[付記5]
付記1の防水シート施工補助治具において、前記押圧部は、板バネによって構成される。
【0053】
[付記6]
付記1の防水シート施工補助治具において、前記押圧部には、前記押圧部を前記防水シートに向かって押し込む押し込み部が設けられる。
【0054】
[付記7]
付記1の防水シート施工補助治具において、前記押圧部を支持する支持部材をさらに備える。前記支持部材は、前記床または前記台座部に接触する第1端部と、前記押圧部に接触する第2端部と、を有する。
【0055】
[付記8]
壁に防水シートを張り付ける防水シート施工方法であって、前記防水シートは、床から立ち上がる壁部に沿う壁シート部を有する。前記壁部に前記壁シート部を接触させる状態において、付記1~付記7のいずれか一項に記載の防水シート施工補助治具によって、前記壁シート部を仮留めする第1工程と、前記壁部に、前記壁シート部を固定する第2工程と、を含む。
【符号の説明】
【0056】
1…防水シート施工補助治具、2…壁、3…防水シート、4B…壁部、壁シート部9、下部9A、上部9B、10…押圧部、10A…下端部、11…第1押圧部材、11A…第1押圧部、12…第2押圧部材、12A…第2押圧部、13…台座部、14…第1ヒンジ部材、15…第2ヒンジ部材、16…爪部、17…押し込み部、19…支持部材、19A…第1端部、19B…第2端部、22…板バネ。
【要約】
【課題】防水シートを施工する際、皺の発生を抑制できる防水シート施工補助治具、および防水シート施工方法を提供する。
【解決手段】防水シート施工補助治具1は、第1押圧部11Aと第2押圧部12Aとを有する押圧部10を備える。第1押圧部11Aは、防水シート3において壁2に張り付けられる壁シート部9の下部9Aを直接または間接的に押さえる。第2押圧部12Aは、壁シート部9の上部9Bを押さえる。第2押圧部12Aは、爪部16を有する。爪部16は、防水シート3に突き刺さるように構成される。
【選択図】
図3