(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】音響システム、音響システムの制御方法、音響機器、スピーカ、および配信装置
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20250408BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H02J1/00 306L
(21)【出願番号】P 2023500716
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 JP2022004358
(87)【国際公開番号】W WO2022176641
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2021022567
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 孝紀
(72)【発明者】
【氏名】末光 祐希
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 聖道
【審査官】川▲崎▼ 博章
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-062580(JP,A)
【文献】特開2001-359200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の音響機器および第2の音響機器が接続されている音響システムであって、
前記第1の音響機器は、電源オンまたはスタンバイ操作を受け付けた場合に、
電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を前記第2の音響機器に送信し、
前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行する、
第1制御部を備え
前記第2の音響機器は、
外部給電を受けている場合に前記指示を受信した場合には、前記指示にしたがって前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行し、
前記外部給電を受けていない場合、現在の状態を維持する、
第2制御部を備えた、
音響システム。
【請求項2】
第1の音響機器および第2の音響機器が接続されている音響システムであって、
前記第1の音響機器は、電源オンまたはスタンバイ操作を受け付けた場合に、
電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を前記第2の音響機器に送信し、
前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行する、
第1制御部を備え、
前記第2の音響機器は、
電池残量が閾値以上の場合に前記指示を受信した場合には、前記指示にしたがって前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行し、
前記電池残量が閾値未満の場合、現在の状態を維持する、
第2制御部を備えた、
音響システム。
【請求項3】
前記第2の音響機器の前記第2制御部は、
前記電池残量が閾値以上の場合であっても、外部給電を受けていない場合、現在の状態を維持する、
請求項2に記載の音響システム。
【請求項4】
前記第2の音響機器の前記第2制御部は、
前記電池残量が閾値未満の場合であっても、外部給電を受けている場合に前記指示を受信した場合には、前記指示にしたがって前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行する、
請求項2または請求項3に記載の音響システム。
【請求項5】
前記第1の音響機器は、前記第2の音響機器に音信号を配信する配信装置である、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の音響システム。
【請求項6】
前記第1の音響機器および前記第2の音響機器は、音信号を配信する配信装置、または前記配信装置から前記音信号を受信するスピーカであり、
前記配信装置または前記スピーカのいずれか1つが前記第1の音響機器に割り当てられる、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の音響システム。
【請求項7】
第1の音響機器および第2の音響機器が接続されている音響システムの制御方法であって、
前記第1の音響機器は、電源オンまたはスタンバイ操作を受け付けた場合に、
電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を前記第2の音響機器に送信し、
前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行し、
前記第2の音響機器は、
外部給電を受けている場合に前記指示を受信した場合には、前記指示にしたがって前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行し、
前記外部給電を受けていない場合、現在の状態を維持する、
音響システムの制御方法。
【請求項8】
第1の音響機器および第2の音響機器が接続されている音響システムの制御方法であって、
前記第1の音響機器は、電源オンまたはスタンバイ操作を受け付けた場合に、
電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を前記第2の音響機器に送信し、
前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行し、
前記第2の音響機器は、
電池残量が閾値以上の場合に前記指示を受信した場合には、前記指示にしたがって前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行し、
前記電池残量が閾値未満の場合、現在の状態を維持する、
音響システムの制御方法。
【請求項9】
前記第2の音響機器は、
前記電池残量が閾値以上の場合であっても、外部給電を受けていない場合、現在の状態を維持する、
請求項8に記載の音響システムの制御方法。
【請求項10】
前記第2の音響機器は、
前記電池残量が閾値未満の場合であっても、外部給電を受けている場合に前記指示を受信した場合には、前記指示にしたがって前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行する、
請求項8または請求項9に記載の音響システムの制御方法。
【請求項11】
前記第1の音響機器は、前記第2の音響機器に音信号を配信する配信装置である、
請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の音響システムの制御方法。
【請求項12】
前記第1の音響機器および前記第2の音響機器は、音信号を配信する配信装置、または前記配信装置から前記音信号を受信するスピーカであり、
前記配信装置または前記スピーカのいずれか1つが前記第1の音響機器に割り当てられる、
請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載の音響システムの制御方法。
【請求項13】
第1の音響機器および第2の音響機器が接続されている音響システムの制御方法であって、
前記第1の音響機器は、
前記第2の音響機器から外部給電が有るか否かを示す情報を受信し、
電源オンまたはスタンバイ操作を受け付けた場合に、
電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を、外部給電を受けている
前記第2の音響機器に送信
し、
前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行し、
前記第2の音響機器は、
前記指示を受信した場合には、前記指示にしたがって前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行する、
音響
システムの制御方法。
【請求項14】
第1の音響機器および第2の音響機器が接続されている音響システムの制御方法であって、
前記第1の音響機器は、
前記第2の音響機器から電池残量に係る情報を受信し、
電源オンまたはスタンバイ操作を受け付けた場合に、
電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を、電池残量が閾値以上である
前記第2の音響機器に送信
し、
前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行し、
前記第2の音響機器は、
前記指示を受信した場合には、前記指示にしたがって前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行する、
音響
システムの制御方法。
【請求項15】
電源オンまたはスタンバイ操作を受け付けた場合に電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を音響機器から受信し、
外部給電を受けている場合に前記指示を受信した場合に、前記指示にしたがって前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行し、
前記外部給電を受けていない場合に現在の状態を維持する、
制御部を備えたスピーカ。
【請求項16】
電源オンまたはスタンバイ操作を受け付けた場合に電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を音響機器から受信し、
電池残量が閾値以上の場合に前記指示を受信した場合に、前記指示にしたがって前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行し、
前記電池残量が閾値未満の場合に現在の状態を維持する、
制御部を備えたスピーカ。
【請求項17】
スピーカに音信号を配信する配信装置であって、
前記スピーカから電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を受信して、
外部給電を受けている場合に前記指示を受信した場合に、前記指示にしたがって前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行し、
前記外部給電を受けていない場合に現在の状態を維持する、
制御部を備えた配信装置。
【請求項18】
スピーカに音信号を配信する配信装置であって、
前記スピーカから電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を受信して、
電池残量が閾値以上の場合に前記指示を受信した場合に、前記指示にしたがって前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行し、
前記電池残量が閾値未満の場合に現在の状態を維持する、
制御部を備えた配信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の一実施形態は、音響システム、音響システムの制御方法、音響機器、スピーカ、および配信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザの手元にある携帯型音楽再生装置で再生した音を、離れた場所の音響再生装置でも再生する場合に、携帯型音楽再生装置に連動して音響再生装置の電源のオン、オフを制御することができる音響再生方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の音響再生方法は、携帯型音楽再生装置に連動して音響再生装置の電源のオン、オフを制御するだけである。
【0005】
本発明の一実施形態の目的は、音響機器の電源の状態に応じた適切な連動を実現する音響システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る音響システムは、第1の音響機器および第2の音響機器が接続されている音響システムであって、前記第1の音響機器は、電源オンまたはスタンバイ操作を受け付けた場合に、電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を前記第2の音響機器に送信し、前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行する、第1制御部を備え、前記第2の音響機器は、外部給電を受けている場合に前記指示を受信した場合には、前記指示にしたがって前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行し、前記外部給電を受けていない場合に前記指示を受信した場合には、現在の状態を維持する、第2制御部を備える。
【0007】
あるいは、本発明の一実施形態に係る音響システムは、第1の音響機器および第2の音響機器が接続されている音響システムであって、前記第1の音響機器は、電源オンまたはスタンバイ操作を受け付けた場合に、電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を前記第2の音響機器に送信し、前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行する、第1制御部を備え、前記第2の音響機器は、電池残量が閾値以上の場合に前記指示を受信した場合には、前記指示にしたがって前記電源オン状態または前記スタンバイ状態に移行し、前記電池残量が閾値未満の場合、現在の状態を維持する、第2制御部を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、音響機器の電源の状態に応じた適切な連動を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】音響システム1の構成を示すブロック図である。
【
図2】配信装置10の構成を示すブロック図である。
【
図3】スピーカ11の構成を示すブロック図である。
【
図4】スピーカ11および配信装置10の動作を示すフローチャートである。
【
図5】スピーカ11および配信装置10の動作を示すフローチャートである。
【
図6】スピーカ11および配信装置10の動作を示すフローチャートである。
【
図7】スピーカ11および配信装置10の動作を示すフローチャートである。
【
図8】配信装置10の構成を示すブロック図である。
【
図9】スピーカ11および配信装置10の動作を示すフローチャートである。
【
図10】スピーカ11およびスピーカ12の動作を示すフローチャートである。
【
図11】スピーカ11および配信装置10の動作を示すフローチャートである。
【
図12】配信装置10のフラッシュメモリ114に記憶されているスピーカ11~14の再生役割の割り当てテーブルである。
【
図13】多チャンネルモードにおけるスピーカ11および配信装置10の動作を示すフローチャートである。
【
図14】多チャンネルモードにおいて、配信装置10がスタンバイ状態から電源オン状態に移行した場合の動作を示すフローチャートである。
【
図15】音響システム1の構成を示すブロック図である。
【
図16】音響システム1の構成を示すブロック図である。
【
図17】音響システム1の構成を示すブロック図である。
【
図18】スピーカ11の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る音響システム1の構成を示すブロック図である。音響システム1は、配信装置10および複数のスピーカ11~14を備えている。配信装置10および複数のスピーカ11~14は、無線通信で接続される。ただし、配信装置10および複数のスピーカ11~14は、オーディオケーブル等で有線接続されてもよい。配信装置10は本発明の第1の音響機器の一例であり、スピーカ11~14は本発明の第2の音響機器の一例である。
【0011】
配信装置10は、例えばセットトップボックス、パーソナルコンピュータ、オーディオレシーバ、無線アクセスポイント、あるいはスピーカ装置等からなる。配信装置10は、テレビまたはプレーヤ等のコンテンツ再生装置からコンテンツデータを受信する。また、配信装置10は、インターネットを介してサーバ等からコンテンツデータを受信してもよい。
【0012】
配信装置10は、受信したコンテンツデータをデコードして複数チャンネルの音信号を取り出す。ただし、配信装置10は、デコードされた複数チャンネルの音信号を受信してもよい。配信装置10は、複数チャンネルの音信号をスピーカ11~14に配信する。
【0013】
図2は、配信装置10の構成を示すブロック図である。
図3は、スピーカ11の構成を示すブロック図である。なお、スピーカ11~14は全て同じ構成および機能を有するため、
図3では代表してスピーカ11の構成を示す。
【0014】
配信装置10は、表示器101、ユーザインタフェース(I/F)102、CPU103、フラッシュメモリ104、RAM105、無線通信部106、およびHDMI(登録商標)インタフェース(I/F)107を備えている。
【0015】
表示器101は、複数のLEDからなり、例えばスタンバイ状態/電源オン状態を表示する。ユーザI/F102は、例えば電源ボタンからなる。電源ボタンは、電源オンまたはスタンバイ操作を受け付けるためのユーザインタフェースの一例である。
【0016】
CPU103は、第1制御部の一例であり、記憶媒体であるフラッシュメモリ104に記憶されているプログラムをRAM105に読み出して、所定の機能を実現する。例えば、CPU103は、HDMI(登録商標)I/F107から受信したコンテンツデータをデコードし、複数チャンネルの音信号を取り出す。CPU103は、ユーザI/F102の電源ボタンを介して電源オンまたはスタンバイ操作を受け付ける。例えば、CPU103は、現在の状態が電源オン状態である場合に電源ボタンの操作を受け付けると、電源オン状態からスタンバイ状態に移行する。CPU103は、現在の状態がスタンバイ状態である場合に電源ボタンの操作を受け付けると、スタンバイ状態から電源オン状態に移行する。
【0017】
無線通信部106は、例えばWi-Fi(登録商標)あるいはBluetooth(登録商標)等の規格に準じた無線通信部である。無線通信部106は、Wi-Fi(登録商標)あるいはBluetooth(登録商標)等の無線通信によりスピーカ11~14と通信する。CPU103は、無線通信部106を介して複数チャンネルの音信号をスピーカ11~14に配信する。
【0018】
スピーカ11は、表示器111、ユーザインタフェース(I/F)112、CPU113、フラッシュメモリ114、RAM115、無線通信部116、DSP117、再生部118、給電部119、および電池120を備えている。
【0019】
表示器111は、複数のLEDからなり、例えばスタンバイ状態/電源オン状態を表示する。また、表示器111は、現在の再生モードを表示してもよい。再生モードについては後述する。
【0020】
ユーザI/F112は、例えば電源ボタンからなる。電源ボタンは、電源オンまたはスタンバイ操作を受け付けるためのユーザインタフェースの一例である。また、ユーザI/F112は、再生モードの変更を受け付けるモード変更ボタンを有していてもよい。
【0021】
CPU113は、第2制御部の一例であり、記憶媒体であるフラッシュメモリ114に記憶されているプログラムをRAM115に読み出して、所定の機能を実現する。例えば、CPU113は、無線通信部116を介して受信した音信号をDSP117に入力する。DSP117は、入力した音信号に種々の信号処理を施す。再生部118は、不図示のDAコンバータ、増幅器、およびスピーカユニットを有する。再生部118は、DSP117で信号処理された後の音信号を再生し、放音する。
【0022】
また、CPU113は、ユーザI/F112の電源ボタンを介して電源オンまたはスタンバイ操作を受け付ける。例えば、CPU113は、現在の状態が電源オン状態である場合に電源ボタンの操作を受け付けると、電源オン状態からスタンバイ状態に移行する。CPU113は、現在の状態がスタンバイ状態である場合に電源ボタンの操作を受け付けると、スタンバイ状態から電源オン状態に移行する。
【0023】
給電部119は、外部または電池120から電力供給を受ける。給電部119は、AC/DCコンバータまたはDC/DCコンバータを有し、表示器111~再生部118の各ハードウェア構成に必要な電力を供給する。給電部119は、電源オン状態では、全てのハードウェア構成に対して必要な電力を供給する。給電部119は、スタンバイ状態では、主にCPU113および無線通信部116に対して電力を供給し、再生部118等の音の再生に係る構成についての電力供給を停止する。音の再生に係る構成は増幅等の消費電力の大きい構成である。給電部119は、スタンバイ状態で音の再生に係る構成に対する電力供給を停止することで、省電力の状態にする。ただし、給電部119は、スタンバイ状態でもCPU113および無線通信部116に対して電力を供給している。そのため、スピーカ11は、ネットワークを介して情報を送受信することはできる。
【0024】
給電部119は、外部給電が有る場合には、外部から供給される電力を各ハードウェア構成に供給する。また、給電部119は、外部給電が有る場合には、電池120を充電する。給電部119は、外部給電が無い場合には、電池120の電力を各ハードウェア構成に供給する。
【0025】
本実施形態のスピーカ11~14は、配信装置10の電源オン状態またはスタンバイ状態への移行に連動して電源オン状態またはスタンバイ状態へ移行する。
【0026】
図4は、スピーカ11および配信装置10の動作を示すフローチャートである。
図4では代表してスピーカ11の動作を示すが、他のスピーカ12~14においても同じ動作を行う。
【0027】
配信装置10は、ユーザI/F102を介して電源操作を受け付けた場合(S11)、現在接続されている全てのスピーカに対して電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を送信する(S12)。その後、配信装置10は、電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する(S13)。なお、配信装置10もスタンバイ状態でネットワークを介した情報の送受信は可能である。
【0028】
配信装置10は、現在の状態が電源オン状態の場合に電源操作を受け付けると、全てのスピーカに対してスタンバイ状態に移行する指示を送信し、スタンバイ状態に移行する。また、配信装置10は、現在の状態がスタンバイ状態の場合に電源操作を受け付けると、全てのスピーカに対して電源オン状態に移行する指示を送信し、スタンバイ状態に移行する。
【0029】
スピーカ11は、配信装置10から電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を受信する(S21)。スピーカ11は、当該指示を受信した場合、外部給電が有るか否かを判断する(S22)。スピーカ11は、外部給電が有ると判断した場合に電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する(S23)。スピーカ11は、配信装置10から電源オン状態に移行する指示を受信した場合に電源オン状態に移行する。また、スピーカ11は、配信装置10からスタンバイ状態に移行する指示を受信した場合にスタンバイ状態に移行する。一方、スピーカ11は、外部給電が無いと判断した場合、現在の状態を維持する(S24)。
【0030】
なお、配信装置10は、外部給電が有るスピーカを抽出し、外部給電が有るスピーカに対してのみ、電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を送信してもよい。この場合、スピーカ11~14は、配信装置10に対して定期的に外部給電が有るか否かを示す情報を送信する。電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示は、外部給電が有るスピーカにのみ送信される。そのため、スピーカ11~14は、電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を受信した場合、電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する。スピーカ11~14は、外部給電が無い場合、現在の状態を維持する。
【0031】
なお、スピーカ11~14は、電源オン状態からスタンバイ状態に移行する場合のみ、配信装置10に連動してもよい。すなわち、配信装置10は、スタンバイ状態から電源オン状態に移行した場合には指示を送信せず、電源オン状態からスタンバイ状態に移行した場合にのみ指示を送信してもよい。あるいは、スピーカ11~14は、電源オン状態に移行する指示を受信しても、外部給電が無い場合には現在の状態を維持し、外部給電が有る場合に限り電源オン状態に移行してもよい。
【0032】
なお、スタンバイ状態は、主にCPU113および無線通信部116に対して電力を供給し、ネットワークを介して情報を送受信可能な状態であるネットワークスタンバイ状態と、無線通信部116に対する電力供給も停止するエコスタンバイ状態と、を有してもよい。エコスタンバイ状態では、スピーカ11~14は、ネットワークを介した情報の送受信も停止する。
【0033】
給電部119は、電源オン状態からスタンバイ状態に移行する場合において、外部給電がある場合にはネットワークスタンバイ状態に移行し、外部給電が無い場合にはエコスタンバイ状態に移行する。また、給電部119は、エコスタンバイ状態において外部給電を受けた場合には、ネットワークスタンバイ状態に移行する。
【0034】
エコスタンバイ状態ではネットワークを介した情報の送受信が停止する。そのため、スピーカ11~14は、外部給電が無い場合には配信装置10で電源オン状態に移行しても、現在の状態(エコスタンバイ状態)を維持する。また、スピーカ11~14は、外部給電が有る場合、ネットワークスタンバイ状態となり、ネットワークを介した情報の送受信を行う。したがって、スピーカ11~14は、外部給電が有る場合には配信装置10で電源オン状態に移行すると、配信装置10に連動して電源オン状態に移行する。
【0035】
また、給電部119は、電源オン状態からスタンバイ状態に移行する場合において、電池120の残量が閾値以上である場合にはネットワークスタンバイ状態に移行し、電池120の残量が閾値未満である場合にはエコスタンバイ状態に移行してもよい。この場合、スピーカ11~14は、電池120の残量が閾値未満の場合には配信装置10で電源オン状態に移行しても、現在の状態(エコスタンバイ状態)を維持する。また、スピーカ11~14は、電池120の残量が閾値以上である場合、ネットワークスタンバイ状態となり、ネットワークを介した情報の送受信を行う。したがって、スピーカ11~14は、電池120の残量が閾値以上である場合には配信装置10で電源オン状態に移行すると、配信装置10に連動して電源オン状態に移行する。
【0036】
無論、スタンバイ状態は、ネットワークスタンバイ状態だけであってもよい。この場合、スピーカ11~14は、電池残量に応じて配信装置10に連動するか否かを判断する。電池残量に応じて配信装置10に連動するか否かを判断する場合の動作について
図5を参照して説明する。
図5は、スピーカ11および配信装置10の動作を示すフローチャートである。
図5でも代表してスピーカ11の動作を示すが、他のスピーカ12~14においても同じ動作を行う。
図4と同じ処理は同一の符号を付し、説明を省略する。
【0037】
この例では、スピーカ11は、配信装置10から電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を受信した場合、電池120の残量が閾値以上であるか否かを判断する(S202)。スピーカ11は、電池120の残量が閾値以上であると判断した場合に電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する(S23)。一方、スピーカ11は、電池120の残量が閾値未満であると判断した場合、現在の状態を維持する(S24)。
【0038】
また、
図6に示す様に、スピーカ11は、電池120の残量が閾値未満であっても外部給電があるか否かを判断してもよい(S204)。スピーカ11は、電池120の残量が閾値未満であっても外部給電が有る場合には電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する(S23)。
【0039】
あるいは、
図7に示す様に、スピーカ11は、電池120の残量が閾値以上であっても外部給電があるか否かを判断してもよい(S205)。スピーカ11は、電池120の残量が閾値以上であっても外部給電が無い場合には現在の状態を維持する(S24)。
【0040】
なお、配信装置10は、スピーカ11~14から、定期的に電池残量に係る情報を受信し、電池残量が閾値以上であるスピーカに対してのみ、電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を送信してもよい。配信装置10は、スピーカ11~14から、定期的に外部給電が有るか否かを示す情報を受信し、電池残量が閾値以上であり、かつ外部給電があるスピーカに対してのみ、電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を送信してもよい。
【0041】
上記実施形態では、配信装置10は常に外部給電を受けている。ただし、
図8に示す様に、配信装置10も給電部108および電池109を備えてもよい。この場合、
図9に示す様に、スピーカ11~14の少なくともいずれか1つが
図4に示した配信装置10と同じ動作を行い、配信装置10が
図4に示したスピーカ11と同じ動作を行ってもよい。
【0042】
また、
図10に示す様に、スピーカ11~14の少なくともいずれか1つ(例えばスピーカ11)が
図4に示した配信装置10と同じ動作を行い、他のスピーカ(例えばスピーカ12)が
図4に示したスピーカ11と同じ動作を行ってもよい。
【0043】
すなわち、配信装置10またはスピーカ11~14のいずれか1つが第1の音響機器に割り当てられる。スピーカ11~14の少なくともいずれか1つが本発明における第1の音響機器であってもよいし、配信装置10が第2の音響機器であってもよい。ユーザは、配信装置10のユーザI/F102を操作して、配信装置10を第1の音響機器に割り当てることができる。また、ユーザは、スピーカ11~14のユーザI/F112を操作して、スピーカ11~14を第1の音響機器に割り当てることができる。例えば、ユーザI/F102またはユーザI/F112は、「マスタスイッチ」を含む。マスタスイッチをオンにした配信装置10またはスピーカ11~14は、第1の音響機器に割り当てられる。
【0044】
また、スピーカ11~14のうち、多チャンネルモードにおいて再生役割上の対となるスピーカ同士が
図10に示す様な連動操作を行ってもよい。以下、再生モードについて説明する。
【0045】
図11は、モード変更時のスピーカ11および配信装置10の動作を示すフローチャートである。
図11では代表してスピーカ11の動作を示すが、他のスピーカ12~14においても同じ動作を行う。
【0046】
スピーカ11は、ユーザI/F112を介して再生モードの変更を受け付ける(S71)。再生モードは、多チャンネルモード、同期再生モード、およびソロモードのいずれかに設定される。スピーカ11は、受け付けた再生モードに応じたモード変更情報を配信装置10に送信する(S72)。配信装置10は、モード変更情報を受信し(S81)、受信したモード変更情報に応じた動作を行う(S82)。
【0047】
多チャンネルモードは、複数のスピーカのそれぞれにおいて異なるチャンネルの音信号を再生するモードである。配信装置10は、多チャンネルモードのモード変更を受け付けた場合、多チャンネルモードに設定されたスピーカの再生役割の割り当て、割り当てに従って複数のスピーカに音信号を配信する(S83)。
【0048】
例えば、
図1の例において、配信装置10は、スピーカ11にLチャンネルの音信号、スピーカ12にRチャンネルの音信号、スピーカ14にSL(サラウンドL)チャンネルの音信号、スピーカ13にSR(サラウンドR)チャンネルの音信号を配信する。スピーカ11~14は、それぞれ受信したチャンネルの音信号を再生する。これにより、音響システム1は、サラウンド再生を行う。
【0049】
同期再生モードは、複数のスピーカで同じコンテンツの同じチャンネルの音信号を同期再生するモードである。配信装置10は、同期再生モードのモード変更情報を受信した場合、接続されている全てのスピーカ11~14に同じ音信号を配信する(S84)。
【0050】
例えば、
図1の例において、配信装置10は、スピーカ11~14にLチャンネルおよびRチャンネルの音信号を配信する。それぞれのスピーカは、受信したLチャンネルおよびRチャンネルの音信号を再生する。これにより、ユーザは、スピーカ11~14をそれぞれ異なる部屋に持ち運び、ある場所(例えばリビング)で聞いていたコンテンツと同じコンテンツを他の場所(例えば寝室)でも聞くことができる。
【0051】
ソロモードは、他のスピーカとは異なるコンテンツの音信号を再生するモードである。ソロモードでは、配信装置10は、指定された音信号を、ソロモードのスピーカに対して配信する。スピーカは、配信装置10から任意のコンテンツの音信号を受信する。あるいは、ソロモードのスピーカは、配信装置10以外のあるホスト装置から任意のコンテンツの音信号を受信し、再生してもよい。
【0052】
ユーザは、スピーカ11~14のうち少なくとも1つをソロモードに設定して、かつソロモードに設定したスピーカで再生するコンテンツを指定する。ユーザは、配信装置10およびスピーカ11~14にネットワークを介して接続されるスマートフォン等の情報処理装置(不図示)を用いて、ソロモードに設定したスピーカで再生するコンテンツを指定する。
【0053】
これにより、ユーザは、ある場所(例えばリビング)から他の場所(例えば寝室)にスピーカを持ち運び、リビングで聞いていたコンテンツとは異なるコンテンツを聞くことができる。
【0054】
次に、
図12を参照して多チャンネルモードの動作について説明する。上述の様に、多チャンネルモードでは、配信装置10は、予めスピーカ11~14のそれぞれの再生役割を割り当て、割り当てに従ってスピーカ11~14に音信号を配信する。
【0055】
図12は、配信装置10のフラッシュメモリ114に記憶されているスピーカ11~14の再生役割の割り当てテーブルである。配信装置10は、スピーカ11~14のそれぞれに再生役割を割り当てている。
図12の例では、配信装置10は、スピーカ11にLチャンネル、スピーカ12にRチャンネル、スピーカ13にSLチャンネル、スピーカ14にSRチャンネルを割り当てている。
【0056】
配信装置10は、IPアドレスおよびMACアドレスを用いてスピーカ11~14を識別する。MACアドレスは、スピーカの固有の識別情報の一例である。IPアドレスは、ローカルIPアドレスであり、不図示のルータで付与される。なお、配信装置10がルータの機能を有する場合、配信装置10がIPアドレスを付与する。配信装置10は、各スピーカのIPアドレス、MACアドレスおよび再生役割を対応付けてフラッシュメモリ114に記憶している。
【0057】
図13は、多チャンネルモードにおけるスピーカ11および配信装置10の動作を示すフローチャートである。
図13では代表してスピーカ11の動作を示すが、他のスピーカ12~14においても同じ動作を行う。
【0058】
図13に示す様に、スピーカ11は、ネットワークを介して配信装置10に接続する(S51)。同様に、配信装置10は、ネットワークを介してスピーカ11~14に接続する(S61)。配信装置10は、
図13に示す様に、接続されているスピーカ毎に再生役割を割り当てる(S62)。再生役割は、例えば予めユーザが配信装置10およびスピーカ11~14を操作して設定する。配信装置10にネットワークを介して接続されるスマートフォン等の情報処理装置(不図示)を用いてユーザが設定してもよい。
【0059】
配信装置10は、スピーカ11~14にそれぞれ割り当てたチャンネルの音信号を配信する(S63)。スピーカ11~14は、それぞれのチャンネルの音信号を受信し(S52)、該音信号を再生する(S63)。
【0060】
図14は、多チャンネルモードにおいて、配信装置10がスタンバイ状態から電源オン状態に移行した場合の動作を示すフローチャートである。配信装置10は、電源オン状態に移行すると、フラッシュメモリ114に記憶されている再生役割の割り当てテーブルを参照し、対応するスピーカが現在接続されているか否かを判断する(S90)。配信装置10は、再生役割の割り当てテーブルに対応する全てのスピーカが接続されていると判断した場合、再生役割に応じて各スピーカに音を再生させる処理を行う(S91)。つまり、配信装置10は、再生役割の割り当てテーブルを参照し、各スピーカに割り当てていたチャンネルの音信号を配信する。
【0061】
一方、配信装置10は、再生役割の割り当てテーブルに対応するスピーカが接続されていないと判断した場合、不足するスピーカの再生役割上の対になるスピーカに対して該不足するスピーカの音を再生させる処理を行う(S92)。再生役割上の対とは、例えばLチャンネルおよびRチャンネルである。また、LチャンネルおよびSLチャンネル、あるいはRチャンネルおよびSRチャンネルのように、フロントチャンネルおよびサラウンドチャンネルも再生役割上の対である。
【0062】
例えば、
図15の例では、スピーカ11がLチャンネル、スピーカ12がRチャンネル、スピーカ13がSRチャンネル、スピーカ14がSLチャンネルを再生している。この状態に対して、電源オン状態に移行した場合に、
図16に示す様にスピーカ11が不足している場合、配信装置10は、スピーカ11の再生役割上の対になるスピーカ12に対してLチャンネルおよびRチャンネルの音信号を配信する。スピーカ12は、LチャンネルおよびRチャンネルの音信号を再生する。また、
図17に示す様にスピーカ14が不足している場合、配信装置10は、スピーカ14の再生役割上の対になるスピーカ11に対してLチャンネルおよびSLチャンネルの音信号を配信する。スピーカ11は、LチャンネルおよびSLチャンネルの音信号を再生する。
【0063】
この様に、配信装置10は、スタンバイ状態から電源オン状態に移行した場合に、割り当てテーブルを参照し、対応するスピーカが接続されているか否かを判断する。配信装置10は、割り当てテーブルに対して不足するスピーカがある場合に、不足するスピーカと再生役割上の対になるスピーカに対して、該減少したスピーカの音を再生させる処理を行う。したがって、音響システム1は、スタンバイ状態から電源オン状態に移行した時にスピーカの数が不足する場合でも、再生役割上の対となるスピーカを用いて、不足するスピーカのチャンネルを再生させることで、減少したスピーカのチャンネルを欠落させることがない。したがって、ユーザにとって違和感のない多チャンネルモードを維持することができる。
【0064】
なお、配信装置10は、不足するスピーカが再生すべきチャンネルを本来定位すべき位置に仮想的に定位させる、仮想音像定位処理を実行してもよい。仮想音像定位は、音源の位置と聴者の耳との間の伝達関数を示す頭部伝達関数(以下、HRTFと称す。)を用いる。HRTFは、ある位置に設置した仮想スピーカからそれぞれ左右の耳に至る音の大きさ、到達時間、および周波数特性等を表現したインパルス応答である。配信装置10は、例えばスピーカ13およびスピーカ14が不足する場合、FRチャンネルおよびFLチャンネルのオーディオ信号に、SRチャンネルおよびSLチャンネルのオーディオ信号を加算するとともに、該SRチャンネルおよびSLチャンネルのオーディオ信号に、各音源位置から左右の耳に至るHRTFを付与する。これにより、SLチャンネルおよびSRチャンネルの音を仮想的にスピーカ13およびスピーカ14の位置に定位させることができる。
【0065】
なお、配信装置10は、スピーカの数が不足する場合に、不足するスピーカと再生役割上の対になるスピーカの音量を上げてもよい。例えば、スピーカ11が不足する場合、配信装置10は、スピーカ12に対して、音量を6dB上昇させる指示情報を送信する。スピーカ12は、当該指示情報に基づいて、再生する音の音量を6dB上昇させる。これにより、本実施形態の音響システムは、スピーカの数が減少したことによる音量の低下を補うことができる。
【0066】
最後に、本実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲は、特許請求の範囲と均等の範囲を含む。
【0067】
例えば、上記実施形態では、スピーカ11~14は、配信装置10から電源オン状態またはスタンバイ状態に移行する指示を受信した(S21)。しかし、スピーカ11~14は、
図18に示す様に、配信装置10に接続されていない状態が所定時間以上経過し(S500:Yes)、かつ外部給電が有る場合(S22:Yes)、スタンバイ状態に移行してもよい(S23)。
【符号の説明】
【0068】
1 :音響システム
10 :配信装置
11 :スピーカ
12 :スピーカ
13 :スピーカ
14 :スピーカ
101 :表示器
102 :ユーザI/F
103 :CPU
104 :フラッシュメモリ
105 :RAM
106 :無線通信部
107 :HDMI(登録商標)I/F
108 :給電部
109 :電池
111 :表示器
112 :ユーザI/F
113 :CPU
114 :フラッシュメモリ
115 :RAM
116 :無線通信部
117 :DSP
118 :再生部
119 :給電部
120 :電池