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特許7662051重要領域特定システム、重要領域特定装置、重要領域特定方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】重要領域特定システム、重要領域特定装置、重要領域特定方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20250408BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023562091
(86)(22)【出願日】2021-11-22
(86)【国際出願番号】 JP2021042774
(87)【国際公開番号】W WO2023089820
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2024-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】尾形 一気
(72)【発明者】
【氏名】小林 航生
(72)【発明者】
【氏名】篠原 悠介
(72)【発明者】
【氏名】岩井 孝法
(72)【発明者】
【氏名】逸身 勇人
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 浩一
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 慶
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-259818(JP,A)
【文献】国際公開第2021/199350(WO,A1)
【文献】特開2004-320112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置情報を取得する情報取得手段と、
前記車両の位置情報に基づいて、カメラの撮影可能領域内にある車両を抽出し、抽出された車両の中から所定のルールで重要領域の特定の対象とする車両を選択し、前記撮影可能領域内の前記選択した車両に対応する所定領域を重要領域として特定する重要領域特定手段と、
前記カメラで撮影された画像を処理する画像処理装置に対して、前記重要領域を通知する重要領域通知手段と、
を備えた重要領域特定システム。
【請求項2】
前記重要領域特定手段は、前記車両の位置情報に基づき、前記選択した車両の進行方向となる領域を、前記重要領域に特定する、請求項1に記載の重要領域特定システム。
【請求項3】
前記重要領域特定手段は、前記選択した車両の位置情報に基づいて重要領域とする範囲を特定し、該範囲を、前記カメラで撮影された画像中の座標に変換することにより、前記重要領域を特定する、請求項2に記載の重要領域特定システム。
【請求項4】
前記情報取得手段は、さらに、前記選択した車両の速度、車種、加速度、ハンドル、アクセル、ウインカーの操作情報のいずれか1つ以上を取得し、
前記重要領域特定手段は、前記選択した車両の速度、車種、加速度、ハンドル、アクセル、ウインカーの操作情報のいずれか1つ以上と前記選択した車両の位置情報とに基づいて、前記カメラの撮影可能領域中の重要領域を特定する、請求項1から3のいずれか1項に記載の重要領域特定システム。
【請求項5】
さらに、前記特定された重要領域の情報に基づいて、前記カメラで撮像した画像の画質を変更する画質調整手段を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の重要領域特定システム。
【請求項6】
前記カメラは、交差点に設置されたカメラ又は車両に搭載されたカメラである、請求項1から5のいずれか1項に記載の重要領域特定システム。
【請求項7】
さらに、前記カメラの撮影した画像を表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、前記重要領域を用いて前記画像を表示する、請求項1から6のいずれか1項に記載の重要領域特定システム。
【請求項8】
車両の位置情報を取得する情報取得手段と、
前記車両の位置情報に基づいて、カメラの撮影可能領域内にある車両を抽出し、抽出された車両の中から所定のルールで重要領域の特定の対象とする車両を選択し、前記撮影可能領域内の前記選択した車両に対応する所定領域を重要領域として特定する重要領域特定手段と、
前記カメラで撮影された画像を処理する画像処理装置に対して、前記重要領域を通知する重要領域通知手段と、
を備えた重要領域特定装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する重要領域特定方法であって、
車両の位置情報を取得し、
前記車両の位置情報に基づいて、カメラの撮影可能領域内にある車両を抽出し、抽出された車両の中から所定のルールで重要領域の特定の対象とする車両を選択し、前記撮影可能領域内の前記選択した車両に対応する所定領域を重要領域として特定し、
前記カメラで撮影された画像を処理する画像処理装置に対して、前記重要領域を通知する、重要領域特定方法。
【請求項10】
コンピュータに、
車両の位置情報を取得する処理と、
前記車両の位置情報に基づいて、カメラの撮影可能領域内にある車両を抽出し、抽出された車両の中から所定のルールで重要領域の特定の対象とする車両を選択し、前記撮影可能領域内の前記選択した車両に対応する所定領域を重要領域として特定する処理と、
前記カメラで撮影された画像を処理する画像処理装置に対して、前記重要領域を通知する処理と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重要領域特定システム、重要領域特定装置、重要領域特定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラによって撮像された映像に、領域を設定する手法として、特許文献1~3のような技術が知られている。特許文献1には、道路を横断する歩行者及び道路を通過する自動車を撮影するカメラを用いた監視システムの一例が開示されている。同文献によると、この監視システムは、歩行者検出手段及び道路情報記録領域を備えており、この歩行者検出手段で算出した歩行者の位置と道路情報記録領域に蓄積されている道路情報に基づいて重要な画像領域を設定する。
【0003】
特許文献2には、俯瞰画像を用いながらも車体周辺情報を運転者にとって視認しやすい形態でモニタ表示できる機能を備えた作業車用の、車体の進行方向に向き合う領域を注目領域に設定する注目領域決定アルゴリズムが開示されている。
【0004】
特許文献3には、車両の周辺に存在する移動体に係る動的リスク領域と、前記車両の周囲に存在する静止物に係る静的リスク領域とを特定するリスク領域特定部と、これらの領域を表示する表示部とを備えるリスク領域表示システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特開2004-320112号公報
【文献】日本国特開2020-175890号公報
【文献】日本国特開2021-077071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、車両の進行方向に基づいて領域を設定しているため、映像内において、領域を適切に設定できない可能性がある。また、特許文献2、3の方法では、カメラの撮像した映像が不鮮明である場合、領域を適切に設定することができない可能性がある。
【0007】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、映像内において重要な画像領域を適切に特定することのできる技術を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る重要領域特定システムは、車両の位置情報を取得する情報取得手段と、前記車両の位置情報に基づいて、カメラの撮影可能領域中の重要領域を特定する重要領域特定手段と、前記カメラで撮影された画像を処理する画像処理装置に対して、前記重要領域を通知する重要領域通知手段と、を備えている。
【0009】
本発明の一態様に係る重要領域特定装置は、車両の位置情報を取得する情報取得手段と、前記車両の位置情報に基づいて、カメラの撮影可能領域中の重要領域を特定する重要領域特定手段と、前記カメラで撮影された画像を処理する画像処理装置に対して、前記重要領域を通知する重要領域通知手段と、を備えている。
【0010】
本発明の一態様に係る重要領域特定方法は、車両の位置情報を取得し、前記車両の位置情報に基づいて、カメラの撮影可能領域中の重要領域を特定し、前記カメラで撮影された画像を処理する画像処理装置に対して、前記重要領域を通知する。
【0011】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、車両の位置情報を取得する処理と、車両の位置情報に基づいて、カメラの撮影可能領域中の重要領域を特定する処理と、前記カメラで撮影された画像を処理する画像処理装置に対して、重要領域を通知する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、映像内において重要な画像領域を適切に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の例示的実施形態に係る重要領域特定システムの構成を、例示的な車両及びカメラと共に示す図である。
図2】本発明の第1の例示的実施形態に係る重要領域特定装置の構成を、例示的な車両及びカメラと共に示す図である。
図3】本発明の第1の例示的実施形態に係る重要領域特定方法の流れを示すフロー図である。
図4】本発明の第1の例示的実施形態に係る重要領域特定装置の動作例を説明するための図である。
図5】本発明の第1の例示的実施形態に係る重要領域特定装置の動作例を説明するための図である。
図6】本発明の第2の例示的実施形態に係る重要領域特定システムの構成を、例示的な車両及びカメラと共に示す図である。
図7】本発明の第2の例示的実施形態に係る重要領域特定装置の構成を、例示的な車両及びカメラと共に示す図である。
図8】本発明の第3の例示的実施形態に係る重要領域特定装置の構成を周辺構成と共に表した図である。
図9】本発明の第3の例示的実施形態に係る重要領域特定装置が実行する重要領域の特定方法の一例を説明するための図である。
図10】本発明の第3の例示的実施形態に係る重要領域特定装置及び周辺構成による動作の流れを表したシーケンス図である。
図11】本発明の第3の例示的実施形態に係る重要領域特定装置の動作を説明するための図である。
図12】本発明の第3の例示的実施形態に係る重要領域特定装置の動作を説明するための図である。
図13】本発明の第3の例示的実施形態に係る重要領域特定装置の動作を説明するための図である。
図14】本発明の第4の例示的実施形態に係る重要領域特定装置の構成を周辺構成と共に表した図である。
図15】本発明の第4の例示的実施形態に係る重要領域特定装置が実行する重要領域の特定方法の一例を説明するための図である。
図16】本発明の第4の例示的実施形態に係る重要領域特定装置の動作を説明するための図である。
図17】本発明の第4の例示的実施形態に係る重要領域特定装置の動作を説明するための図である。
図18】本発明の第5の例示的実施形態に係る重要領域特定装置の構成を周辺構成と共に表した図である。
図19】各例示的実施形態に係る重要領域特定装置として機能するコンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔例示的実施形態1〕
はじめに本発明の例示的実施形態1について図面を参照して説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。また、図中の各ブロックの入出力の接続点には、ポート乃至インタフェースを備える構成としてもよいが、これらの構成については図示を省略する。
【0015】
<重要領域特定システム>
本例示的実施形態に係る重要領域特定システム1は、図1に示すように、情報取得手段11と、重要領域特定手段12と、重要領域通知手段13と、を備えている。重要領域特定システム1は、1又は複数の車両(図1における車両30a、30b)を画角に含む撮像画像をカメラ140から取得し、取得した撮像画像に重要領域を特定するシステムである。
【0016】
情報取得手段11、重要領域特定手段12、及び重要領域通知手段13は、一例として、ネットワークを介して通信可能に構成されている。ここで、当該ネットワークの具体的構成は本例示的実施形態を限定するものではないが、一例として、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、WAN(Wide Area Network)、公衆回線網、モバイルデータ通信網、又は、これらのネットワークの組み合わせを用いることができる。
【0017】
情報取得手段11は、車両30a、30bの位置情報を取得する。車両30a、30bの位置情報は、道路上の複数の車両の位置を管理する管理システム等から取得することができる。このような管理システムでは、一例として、対象となる複数の車両の各々の位置情報を、各車両からネットワークを介して取得する。ここで、各車両の位置情報は、一例として各車両に搭載されたGPS(Global Positioning System)装置によって取得することができる。上記管理システムとしては、一例として、車両の位置を管理し、渋滞情報の提供や経路案内を行う車両向けの情報処理システム等が挙げられる。ただし、これらの例は、本例示的実施形態を限定するものではない。例えば、上記管理システムは、各車両のドライバーが携帯する端末装置から位置情報を取得し、取得した位置情報を、当該車両の位置情報として用いてもよい。
【0018】
また、情報取得手段11は、前記道路を撮影可能に設置されたカメラ140の周辺に位置する車両に関する位置情報を取得する構成としてもよい。一例として、情報取得手段11は、対象となる複数の車両の各々の位置情報と、カメラ140の位置情報とを取得し、これら複数の車両の各々の位置情報とカメラ140の位置情報とを比較することによって、カメラ140の周辺に位置する車両を特定する。そして、特定した車両の位置情報を、後述する重要領域特定手段12に提供する構成としてもよい。
【0019】
なお、カメラ140の周辺とは、一例として、カメラ140から所定の距離以内に含まれる範囲のことを指す。一例として、情報取得手段11は、カメラ140から数十メートル以内に存在する車両を、当該車両の位置情報とカメラ140の位置情報とを比較することによって特定し、特定した車両の位置情報を後述する重要領域特定手段12に提供する。
【0020】
重要領域特定手段12は、前記車両30a、30bの位置情報に基づいて、前記カメラ140の撮影可能領域中の重要領域を特定する。ここで、撮影可能領域とは、一例としてカメラ140が画像として記録可能な対象空間中の範囲のことを指し、カメラ140の画角によって規定される。また、このカメラ140がパン、チルト、ズームのいずれかの機能を有している場合、撮影可能領域はパン、チルト、ズームに応じて変化する。
【0021】
また、「重要領域」は、注目領域やROI(Region Of Interest)とも呼ばれ、一例として、画像中の他の領域と比べ、重要度の高い領域のことを指す。ただし、上記の説明はあくまで一例であり、「重要領域」との文言は本例示的実施形態を限定するものではない。また、本例示的実施形態において、重要領域は、対象空間中の座標によって表現することができるがこれは本例示的実施形態を限定するものではない。例えば、重要領域は、撮像画像中の座標によって表現してもよい。
【0022】
重要領域特定手段12は、一例として、前記車両の位置情報に基づいて、車両前方の所定領域を重要領域に特定する。ここで、前記車両の進行方向は、重要領域特定手段12によって、例えば、車両の位置情報等から割り出す(予測する)ことができる。例えば、重要領域特定手段12は、カメラ140による撮像画像における当該車両の位置から、当該車両が、右車線及び左車線の何れを走行しているのかを特定し、特定した車線に応じて当該車両の進行方向を特定することができる。また、重要領域特定手段12が、前記車両の位置情報を時系列データとして取得する場合、その位置の変化により車両の進行方向を特定することもできる。
【0023】
重要領域通知手段13は、所定の画像処理装置に対して、前記重要領域を通知する。前記所定の画像処理装置としては、カメラ140やカメラ140で撮影された画像を利用する装置等を挙げることができる。これらの装置に通知された重要領域は、画像処理や物体認識処理の対象となる範囲や画像の閲覧者に注意を喚起する領域を指定する情報として利用される。
【0024】
例えば、所定の画像処理装置がカメラ140の場合、カメラ140において、送信する画像中の重要領域の画像の鮮明化、強調処理等を行うことができる。また、所定の画像処理装置が画像表示装置の場合、画像表示装置において、受信した画像中の重要領域の画像の鮮明化等を行って画像を表示することができる。
【0025】
画像の鮮明化とは、画像内の特定の領域を、他の領域よりも高画質(鮮明)にすることを指す。例えば、カメラ側にて該当領域の画質の劣化を抑えるように圧縮(符号化)をすることで画像の鮮明化をすることができる。また、カメラにて圧縮(符号化)された画像の該当領域の画質を、超解像技術等を用いて向上させることで、画像の鮮明化をすることができる。
【0026】
(重要領域特定システム1による効果)
以上説明したように、本例示的実施形態に係る重要領域特定システム1によれば、重要領域特定手段12が、車両30a、30bの位置情報に基づいて、カメラ140の撮影可能領域中の重要領域を特定する。したがって、重要領域特定手段12は、車両30aおよび30bのそれぞれに対して重要な画像領域を適切に特定することができる。これらの重要領域は、映像利用者、例えば、人間による画像の目視監視や、コンピュータによる各種の画像処理に利用することができる。
【0027】
また、重要領域通知手段13が、例えば、画像の目視監視を行う遠隔監視センターに、車両30a、30bの重要領域を通知することで、遠隔監視センターにおいて、車両30a、30bの重要領域を用いた各種の画像処理を行うことができる。これにより、画像処理結果に応じて、自動運転車両に対して、自動運転車両からは気づきにくい、道路の異常個所や事故の回避動作を実施させることが可能となる。
【0028】
また、重要領域特定手段12が、車両の位置情報に基づいて、カメラ140の撮影可能領域中の重要領域を特定するので、カメラ140の画像に映っている車両が遠くにある場合や、天候、レンズの汚れなどにより映像が不鮮明な場合でも、重要領域を特定することができる。
【0029】
画像処理装置が、ネットワークを介して画像を画像表示装置に送信するシステムにおいて、画像処理装置が、特定された重要領域に基づいて、重要領域を高画質にし、重要領域以外の領域を低画質にすることで、ネットワークの帯域が圧迫されている場合でも、目視監視や画像処理が可能な画像を提供することができる。
【0030】
<重要領域特定装置>
図2は、本例示的実施形態に係る重要領域特定装置の構成を、例示的な車両及びカメラと共に示す図である。図2に示すように、本例示的実施形態に係る重要領域特定装置10は、上述した情報取得手段11と、重要領域特定手段12と、重要領域通知手段13とを1つの装置に集約した構成を有している。重要領域特定装置10は、クラウド基盤やインターネット上に設置されたサーバ等により構成することができる。また、重要領域特定装置10は、カメラ140に近い位置に設置されたMEC(Multi-access Edge ComputingまたはMobile Edge Computing)サーバであってもよい。
【0031】
情報取得手段11は、車両30a、30bの位置情報を取得する。車両30a、30bの位置情報は、道路上の複数の車両の位置を管理する管理システム等から取得することができる。
【0032】
重要領域特定手段12は、前記車両30a、30bの位置情報に基づいて、カメラ140の撮影可能領域中の重要領域を特定する。重要領域は、注目領域やROIとも呼ばれ、一例として、画像中の他の領域と比べ、重要度の高い領域のことを指す。
【0033】
重要領域特定手段12は、一例として、前記車両の位置情報に基づいて、車両前方の所定領域を重要領域に特定する。ここで、前記車両の進行方向は、重要領域特定手段12によって、例えば、車両の位置情報等から割り出す(予測する)ことができる。
【0034】
重要領域通知手段13は、所定の画像処理装置に対して、重要領域を通知する。所定の画像処理装置としては、カメラ140やカメラ140で撮影された画像を利用する装置等を挙げることができる。
【0035】
(重要領域特定装置による効果)
以上説明したように、本例示的実施形態に係る重要領域特定装置10によれば、重要領域特定手段12は、車両30aおよび30bのそれぞれに対して重要な画像領域を適切に特定することができる。これらの重要領域は、映像利用者、例えば、人間による画像の目視監視や、コンピュータによる各種の画像処理に利用することができる。
【0036】
また、重要領域通知手段13が、例えば、画像の目視監視を行う遠隔監視センターに、車両30a、30bの重要領域を通知することで、遠隔監視センターにおいて、車両30a、30bの重要領域を用いた各種の画像処理を行うことができる。これにより、画像処理結果に応じて、自動運転車両に対して、自動運転車両からは気づきにくい、道路の異常個所や事故の回避動作を実施させることが可能となる。
【0037】
<重要領域特定方法>
図3は、本発明の第1の例示的実施形態に係る重要領域特定方法の流れを示すフロー図である。まず、情報取得手段11は、周辺車両30a、30bの位置情報を取得する(ステップS001)。例えば、情報取得手段11は、図4に示すように、車両30a、30bの位置情報として、車両30aの位置情報(x1,y1)と、車両30bの位置情報(x2,y2)とを取得する。ここで、位置情報(x1,y1)および(x2,y2)は、例えば、GPS装置によって取得された車両30aおよび30bの緯度情報および経度情報である。
【0038】
また、位置情報(x1,y1)および(x2,y2)は、例えば、カメラ140によって撮影された画像内における車両30aおよび車両30bの座標であってもよい。例えば、道路上の複数の車両の位置を管理する管理システム等において、カメラ140によって撮影された画像に対して物体認識処理を行うことにより、車両30aおよび車両30bを特定することができる。管理システム等は、カメラ140によって撮影された画像内における、車両30aおよび車両30bの座標を上記位置情報とすることができる。
【0039】
次に、重要領域特定手段12は、前記車両30a、30bの位置情報に基づいて、前記カメラ140の撮影可能領域中の重要領域を特定する(ステップS002)。例えば、重要領域特定手段12は、図5に示すように、車両30a、30bの前方の所定範囲を、重要領域ROI1、ROI2として特定する。
【0040】
ここで、車両の進行方向は、重要領域特定手段12によって、例えば、車両30a、30bの位置情報等から割り出す(予測する)ことができる。例えば、重要領域特定手段12は、カメラ140による撮像画像における車両30a、30bの位置から、車両30a、30bが、右車線及び左車線の何れを走行しているのかを特定し、特定した車線に応じて車両30a、30bの進行方向を特定することができる。また、重要領域特定手段12が、車両30a、30bの位置情報を時系列データとして取得する場合、その位置の変化により車両30a、30bの進行方向を特定することもできる。重要領域特定手段12は、特定した車両30a、30bの進行方向の所定範囲を、重要領域ROI1、ROI2として特定する。
【0041】
重要領域特定手段12は、一例として、前記車両の位置情報に基づいて、車両前方の所定領域を重要領域に特定する。ここで、前記車両の進行方向は、重要領域特定手段12によって、例えば、車両の位置情報等から割り出す(予測する)ことができる。
【0042】
最後に、重要領域通知手段13は、所定の画像処理装置に対して、前記重要領域ROI1、ROI2を通知する(ステップS003)。所定の画像処理装置としては、カメラ140やカメラ140で撮影された画像を利用する装置等を挙げることができる。
【0043】
(重要領域特定方法による効果)
以上説明したように、本例示的実施形態に係る重要領域特定方法によれば、重要領域特定手段12は、車両30aおよび30bのそれぞれに対して重要な画像領域を適切に特定することができる。これらの重要領域は、映像利用者、例えば、人間による画像の目視監視や、コンピュータによる各種の画像処理に利用することができる。
【0044】
また、重要領域通知手段13が、例えば、画像の目視監視を行う遠隔監視センターに、車両30a、30bの重要領域を通知することで、遠隔監視センターにおいて、車両30a、30bの重要領域を用いた各種の画像処理を行うことができる。これにより、画像処理結果に応じて、自動運転車両に対して、自動運転車両からは気づきにくい、道路の異常個所や事故の回避動作を実施させることが可能となる。
【0045】
〔例示的実施形態2〕
本発明の第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0046】
<重要領域特定システム>
本例示的実施形態に係る重要領域特定システム1aは、図6に示すように、情報取得手段11と、重要領域特定手段12と、重要領域通知手段13と、画質調整手段14と、表示手段15と、を備えている。なお、例示的実施形態1において説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0047】
情報取得手段11は、車両30a、30bの位置情報を取得する。車両30a、30bの位置情報は、道路上の複数の車両の位置を管理する管理システム等から取得することができる。
【0048】
重要領域特定手段12は、前記車両30a、30bの位置情報に基づいて、カメラ140の撮影可能領域中の重要領域を特定する。重要領域は、注目領域やROIとも呼ばれ、一例として、画像中の他の領域と比べ、重要度の高い領域のことを指す。
【0049】
重要領域通知手段13は、所定の画像処理装置に対して、重要領域を通知する。所定の画像処理装置としては、カメラ140やカメラ140で撮影された画像を利用する装置等を挙げることができる。
【0050】
画質調整手段14は、特定された重要領域の情報に基づいて、カメラ140で撮像した画像の画質を変更する。例えば、画質調整手段14は、カメラ140に対して、重要領域内の画像の劣化を抑えるように圧縮(符号化)を指示する。一例として、カメラ140が、MPEG(Moving Picture Experts Group)で映像を圧縮する場合、量子化パラメータを変更することによって圧縮率を制御することが可能である。カメラ140は、重要領域内の画像の劣化を抑える指示を受信すると、量子化パラメータを変更して、重要領域内の画像の圧縮率が低くなるように制御を行う。また、画質調整手段14は、カメラ140によって圧縮(符号化)された画像の重要領域内の画像の画質を、超解像技術等を用いて向上させるようにしてもよい。
【0051】
表示手段15は、重要領域を用いて、カメラ140の撮影した画像を表示する。例えば、表示手段15は、カメラ140によって撮影された画像を表示するときに、重要領域内の画像が他の画像から識別できるように当該画像を表示する。また、表示手段15は、画質調整手段14によって画質が変更された後の画像を表示するようにしてもよい。
【0052】
(重要領域特定システム1aによる効果)
以上説明したように、本例示的実施形態に係る重要領域特定システム1aによれば、画質調整手段14が、特定された重要領域の情報に基づいて、カメラ140で撮像した画像の画質を変更する。したがって、重要領域内の画像の劣化を抑えるように画質を変更することにより、人間による画像の目視監視や、コンピュータによる各種の画像処理をより詳細に行うことが可能となる。
【0053】
また、表示手段15が、重要領域を用いて、カメラ140が撮影した画像を表示するので、人間による画像の目視監視等をより詳細に行うことが可能となる。
【0054】
<重要領域特定装置>
本例示的実施形態に係る重要領域特定装置10aは、図7に示すように、情報取得手段11と、重要領域特定手段12と、重要領域通知手段13と、画質調整手段14と、表示手段15と、を備えている。なお、例示的実施形態1において説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0055】
情報取得手段11は、車両30a、30bの位置情報を取得する。車両30a、30bの位置情報は、道路上の複数の車両の位置を管理する管理システム等から取得することができる。
【0056】
重要領域特定手段12は、前記車両30a、30bの位置情報に基づいて、カメラ140の撮影可能領域中の重要領域を特定する。重要領域は、注目領域やROIとも呼ばれ、一例として、画像中の他の領域と比べ、重要度の高い領域のことを指す。
【0057】
重要領域通知手段13は、所定の画像処理装置に対して、重要領域を通知する。所定の画像処理装置としては、カメラ140やカメラ140で撮影された画像を利用する装置等を挙げることができる。
【0058】
画質調整手段14は、特定された重要領域の情報に基づいて、カメラ140で撮像した画像の画質を変更する。例えば、画質調整手段14は、カメラ140に対して、重要領域内の画像の劣化を抑えるように圧縮(符号化)を指示する。
【0059】
表示手段15は、重要領域を用いて、カメラ140の撮影した画像を表示する。例えば、表示手段15は、カメラ140によって撮影された画像を表示するときに、重要領域内の画像が他の画像から識別できるように当該画像を表示する。また、表示手段15は、画質調整手段14によって画質が変更された後の画像を表示するようにしてもよい。
【0060】
(重要領域特定装置10aによる効果)
以上説明したように、本例示的実施形態に係る重要領域特定装置10aによれば、画質調整手段14が、特定された重要領域の情報に基づいて、カメラ140で撮像した画像の画質を変更する。したがって、重要領域内の画像の劣化を抑えるように画質を変更することにより、人間による画像の目視監視や、コンピュータによる各種の画像処理をより詳細に行うことが可能となる。
【0061】
また、表示手段15が、重要領域を用いて、カメラ140が撮影した画像を表示するので、人間による画像の目視監視等をより詳細に行うことが可能となる。
【0062】
〔第3の例示的実施形態]
本発明の第3の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態に係る重要領域特定装置100は、例えば、ネットワークを介して、V2X(Vehicle to Everything)情報提供装置200およびサーバ300に接続される。
【0063】
<重要領域特定装置100の構成>
本例示的実施形態に係る重要領域特定装置100の構成について、図8を参照して説明する。図8は、第2の例示的実施形態に係る重要領域特定装置100の構成を周辺構成と共に表した図である。図8に示すように、重要領域特定装置100は、情報取得部101と、重要領域特定部102と、通知部103とを備えている。情報取得部101は、本例示的実施形態において情報取得手段を実現する構成である。重要領域特定部102は、本例示的実施形態において重要領域特定手段を実現する構成である。通知部103は、本例示的実施形態において重要領域通知手段を実現する構成である。
【0064】
図8に示すように、重要領域特定装置100を含むシステムは、V2X情報提供装置200と、重要領域特定装置100と、サーバ300と、カメラ140と、交通管制システム400と、を含む。
【0065】
V2X情報提供装置200は、V2X通信技術を用いてV2X情報を提供する。V2Xは、V2I(路車間通信)やクラウド経由で様々な情報を送受信する通信技術である。V2X通信技術でやり取りされるデータとして、道路交通情報、自動車の挙動に関するデータ、隊列や追従走行に関するデータ、自動運転に関するデータ等が挙げられる。
【0066】
V2X情報提供装置200は、これらのデータの中で、自動車の挙動に関するデータ、特に、自動車の走行エリア、走行速度、走行距離、車種、加減速や、ハンドル、アクセル、ウインカーの操作情報といった運転特性、自動車の状態等の情報を、重要領域特定装置100に提供することができる。
【0067】
V2X情報には、カメラ140の周辺に位置する車両の位置情報が含まれる。V2X情報提供装置200として、車両の位置を管理するシステムのほか、この種のシステムからカメラ140周辺に位置する車両の位置情報を取得可能な端末や路側機等を挙げることができる。また、V2X情報提供装置200は、交通管制システム400からV2X情報を受け取り、重要領域特定装置100に提供する端末であってもよい。
【0068】
カメラ140は、道路周辺に設置され、道路を通行する車両など撮影可能に設置されたカメラである。このようなカメラ140としては、交差点の信号機の信号柱や電柱等に設置されたカメラを用いることができる。
【0069】
重要領域特定装置100は、V2X情報提供装置200から取得したV2X情報に基づいて、サーバ300から提供された画像に重要領域を特定し、サーバ300に通知する。
【0070】
サーバ300は、重要領域特定装置100に対し、カメラ140の画像を送信する。また、サーバ300は、交通管制システム400に対し、カメラ140から取得した画像と重要領域特定装置100から送られた重要領域の情報とを送信する。
【0071】
交通管制システム400は、交通管制業務を行う管制担当者に対し、カメラ140から取得した画像と重要領域特定装置100から送られた重要領域の情報とを用いて、情報の提示等を行う。具体的には、交通管制システム400は、カメラ140が撮影した画像を表示する表示手段を備え、この表示手段が、重要領域を用いて画像を表示する。例えば、交通管制システム400の表示手段は、重要領域特定装置100から送られた重要領域の情報を用いて、局所的な画像の鮮明化や物体認識を行って、その結果を出力する。
【0072】
なお、画像の鮮明化の方法として、カメラ140側において該当領域の画質の劣化を抑えるように圧縮(符号化)を指示する方法、カメラ140において圧縮(符号化)された画像の該当領域の画質を、超解像技術等を用いて向上させる方法等が挙げられる。
【0073】
また、カメラ140、重要領域特定装置100又はサーバ300のいずれかに、重要領域の情報を用いて、画像の画質を変更する画質調整手段を設けてもよい。このようにすることで、交通管制システム400側の負荷を軽減することが可能となる。
【0074】
情報取得部101は、V2X情報提供装置200から取得したV2X情報に含まれる車両とその位置情報とを重要領域特定部102に提供する。
【0075】
重要領域特定部102は、車両の位置情報に基づいて重要領域とする範囲を特定し、当該範囲を、カメラで撮影された画像中の座標に変換することにより、重要領域を特定する。具体的には、重要領域特定部102が、V2X情報に含まれる車両の位置情報を参照し、カメラ140の撮影可能範囲内における車両の位置に基づいて、撮影可能範囲内の対象空間中に重要領域を特定する。この重要領域の特定方法としては、車両の位置に対し、所定の領域特定ルールを適用して、領域を選択する方法を採ることができる。
【0076】
重要領域特定部102はさらに、座標変換部1021を備える。座標変換部1021は、例えば、V2X情報提供装置200から取得した緯度経度等で表される領域情報を、カメラ140によって撮影された画像内の座標に変換する。
【0077】
図9は、本例示的実施形態に係る重要領域特定装置100による重要領域の特定方法の一例を説明するための図である。重要領域特定部102は、V2X情報提供装置200から取得した車両の位置情報に基づいて、撮影可能範囲の対象空間中に重要領域を特定する。例えば、図9の左側の図では、矩形の左上の角の緯度経度と、右下の角の緯度経度を指定することで交差点周辺の対象空間中に重要領域が特定されている。なお、図9の左図において、「N AA AA AA.AAA」、「E BBB BB BB.BBB」、「N AA AA AA.CCC」、「E BBB BB BB.DDD」は、V2X情報提供装置200から取得した緯度情報または経度情報を表している。
【0078】
例えば、座標変換部1021は、図9の左図に示す撮影可能範囲の対象空間中の緯度経度の位置情報を、左図の左下の位置を基準とした相対位置に変換する。例えば、座標変換部1021は、撮影可能範囲の対象空間中の左下の座標を(0,0)とし、右上の座標を(1023,1023)とし、重要領域の4つの角の相対位置を算出する。
【0079】
座標変換部1021は、予め撮影可能範囲の対象空間における相対位置と、カメラ140によって撮影された画像における対応座標との対応を示すテーブルを記憶しておく。そして、座標変換部1021は、上記テーブルを参照して、撮影可能範囲の対象空間における重要領域の4つの角の相対位置を、カメラ140によって撮影された画像における対応座標に変換する。なお、撮影可能範囲の対象空間における重要領域の座標が、テーブルに記憶される相対座標の間にある場合には、補間処理を行って、カメラ140によって撮影された画像における対応座標に変換するようにしてもよい。
【0080】
座標変換部1021は、このような緯度経度によって記述された重要領域を、カメラ140の画像内の座標に変換する。例えば、図9の右側の図は、4つの点によって規定された重要領域を示している。図9の右側の図の重要領域の座標(x1,y1)、(x2,y2)、(x3,y3)、(x4,y4)は、図9の左側の図内の重要領域の4つの角の座標に対応している。
【0081】
重要領域特定部102は、通知部103に対し、このようにして特定された重要領域を出力する。なお、重要領域の形状は矩形である必要はなく、事前に設定したルールに基づいた任意の形状とすることができる(例えば、図11のROI2)。
【0082】
また、重要領域特定部102は、情報取得部101によって取得された車両の位置情報を参照して、図9の左図に示す撮影可能範囲の対象空間に含まれる車両を、重要領域を特定する車両と判断する。座標変換部1021は、撮影可能範囲の対象空間に含まれる車両の緯度経度を、カメラ140の画像内の座標に変換することによって、カメラ140の画像内における車両との関連付けを行う。
【0083】
通知部103は、サーバ300に対して、特定した重要領域の情報を送信する。なお、図9の例では、説明の簡略化のため、重要領域が1つの例を示しているが、重要領域が2つ以上あってもよい。
【0084】
次に、本例示的実施形態に係る重要領域特定装置100の動作について図面を参照して詳細に説明する。図10は、本発明の第3の例示的実施形態の動作を説明するためのシーケンス図である。まず、重要領域特定装置100は、所定の時間間隔又はカメラ140の周辺に車両が接近したタイミングで、V2X情報提供装置200からカメラ140が設置された交差点周辺の車両の位置情報を含むV2X情報を取得する(ステップS101)。
【0085】
次に、重要領域特定装置100は、V2X情報に含まれる車両の位置情報を参照し、カメラ140の撮影可能範囲内にある車両の位置に基づいて、撮影可能範囲の対象空間において重要領域を特定する(ステップS102)。この動作は、図9の左側の交差点内の矩形を特定する動作に相当する。
【0086】
なお、V2X情報の送信対象となるエリアが広い場合、カメラ140の撮影可能範囲に位置する車両のほか、カメラ140の撮影可能範囲に移動する可能性のある車両の位置も重要領域の特定対象に含めてもよい。
【0087】
なお、重要領域特定装置100が、重要領域を特定する際に、撮影可能範囲内にある車両の中から、所定のルールで、重要領域の特定の対象とする車両を選択してもよい。このようにすることで、重要領域特定装置100の処理負荷を軽減することが可能となる。この所定のルールとしては、画像中の車両の位置(例えば、遠方にある車両は選択しない)や進行方向(例えば、カメラ140から遠ざかる車両は選択しない)により車両を選択するルールや、特定する重要領域の数に基づいて、選択する車両の数を制限するルール等が挙げられる。
【0088】
次に、重要領域特定装置100は、特定した対象空間における重要領域を、サーバ300を経由して得られたカメラ140の撮影画像上の座標に変換する(ステップS103)。この動作は、図9の右側の交差点内の画像上に、座標(x1,y1)~(x4,y4)で規定される重要領域を特定する動作に相当する。
【0089】
次に、重要領域特定装置100は、サーバ300を経由して、交通管制システム400に対し、カメラ140の撮影画像上の座標で表された重要領域を通知する(ステップS104)。
【0090】
最後に、交通管制システム400は、重要領域特定装置100から通知された重要領域を利用した処理を行う(ステップS105)。例えば、交通管制システム400は、重要領域特定装置100から通知された重要領域内の画像について物体認識を行い、その結果を管制担当者に表示する。また、交通管制システム400は、交通管制システム400の管制対象下にある自動運転車両等に対し、この物体認識の結果を送信することができる。また、表示手段が、画像中に、重要領域の画像を他の画像と識別可能な態様で表示するようにしてもよい。この場合、交通管制システム400は、カメラ140で撮影された画像上の重要領域を視覚的にわかりやすい形態で示す処理等を行う。
【0091】
次に、重要領域特定装置100が重要領域の特定に用いる領域特定ルールについて、図面を参照してより詳細に説明する。重要領域特定装置100は、車両の進行方向の所定範囲を重要領域に特定する領域特定ルールを用いて重要領域を特定することができる。図11および図12は、この場合の重要領域の特定例を示す図である。
【0092】
図11においては、画像900の中の前方から来る直進車両30aに対し、その進行方向の所定範囲を重要領域ROI1として特定している。また、左折車線に位置する車両30bについても同様に、その進行方向の所定範囲を重要領域ROI2として特定している。図11に示す例において、ROI1の幅を車両30aの車幅相当とし、長さを車両30aが所定時間後(例えば数秒後)に通過する領域としている。なお、ROI1の長さは、車両30aの前方数mの範囲等のように固定値であってもよい。図11に示す例において、ROI2は、車両30bの車幅相当の幅から車両30bから離れるに従い広がっていくような略台形の形状となっている。このように重要領域を略台形の形状とすることで、車両30bと交錯する可能性がある移動体(歩行者)が存在するエリアをカバーすることが可能となる。また、重要領域を略台形の形状とすることで、車両ごとの右左折時の旋回半径の違い(大回りに曲がる、小回りに曲がる)をカバーすることが可能となる。
【0093】
図12に示すように、重要領域ROI1およびROI2は、画像900の中の車両30a、30bの移動に追従して変化する。このようにすることで、最新の路面状況や物体認識の結果を得ることが可能となる。
【0094】
なお、領域特定ルールは図11および図12に示した例に限られない。例えば、図13に示すように、車両の位置周辺を重要領域とする領域特定ルールを用いることもできる。図13に示す例においては、画像900の中の車両30a、30bの周辺の所定範囲に、重要領域ROI3、ROI4が特定されている。このような重要領域を特定することで、車両の識別や交通流の把握を効率よく行うことが可能となる。なお、図13に示す例においては、車両30a、30bの周辺の所定範囲に重要領域ROI3、ROI4を特定しているが、車両30a、30bの前後の通常ナンバープレートのある部分周辺を重要領域に特定してもよい。
【0095】
なお、本例示的実施形態においては、交通管制システム400に、重要領域を通知するとして説明したが、カメラ140にも重要領域を通知してもよい。このようにすることで、例えば、カメラ140に、重要領域特定装置100から通知された重要領域の画質が高くなるように映像圧縮の方法を変更させることができる。また、交通管制システム400で重要領域を用いた処理を行うものとして説明したが、サーバ300に、重要領域を用いた処理を行わせてもよい。このようにすることで、交通管制システム400側の負荷を軽減することが可能となる。
【0096】
以上説明したように、本例示的実施形態に係る重要領域特定装置100によれば、重要領域特定部102が、車両の位置情報に基づいて重要領域とする範囲を特定し、当該範囲を、カメラで撮影された画像中の座標に変換することにより、重要領域を特定する。したがって、カメラで撮影された画像中の適切な位置に重要領域を特定することが可能となる。
【0097】
〔第4の例示的実施形態]
本発明の第4の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図14は、本発明の第4の例示的実施形態に係る重要領域特定装置100aの構成を周辺構成と共に表した図である。本例示的実施形態に係る重要領域特定装置100aは、例えば、ネットワークを介して、V2X情報提供装置200aおよびサーバ300に接続される。なお、例示的実施形態3において説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0098】
なお、本例示的実施形態に係る重要領域特定装置100aと、図8に示す第3の例示的実施形態に係る重要領域特定装置100との構成上の相違点は、以下の2点である。第1の相違点は、V2X情報提供装置200aが重要領域特定装置100aに対し、車両の位置に加え、車両の速度情報等を提供する点である。また、第2の相違点は、重要領域特定装置100aの重要領域特定部102aが、車両の速度情報等の車両の位置以外の情報を用いて重要領域の特定を行う点である。
【0099】
V2X情報提供装置200aは、重要領域特定装置100aに対して、車両の位置に加え、車両の速度情報、車種、加減速や、ハンドル、アクセル、ウインカーの操作情報といった運転特性、自動車の状態等の情報を提供する。情報取得部101は、車両の速度、車種、加速度、ハンドル、アクセル、ウインカーの操作情報のいずれか1つ以上を取得する。
【0100】
重要領域特定部102aは、車両の速度、車種、加速度、ハンドル、アクセル、ウインカーの操作情報のいずれか1つ以上と車両の位置情報とに基づいて、カメラの撮影可能領域中の重要領域を特定する。
【0101】
例えば、重要領域特定部102aは、V2X情報提供装置200aから提供されるV2X情報に含まれる車両の位置情報と速度情報等の情報とを参照し、カメラ140の撮影可能範囲内にある車両の位置に基づいて、撮影可能範囲の対象空間における重要領域を特定する。
【0102】
図15は、本例示的実施形態に係る重要領域特定装置100aによる重要領域の特定方法の一例を説明するための図である。重要領域特定部102aは、V2X情報提供装置200aから取得した車両の位置情報を参照して、撮影可能範囲の対象空間における重要領域を特定する。このとき、重要領域特定部102aは、V2X情報提供装置200aから取得した車両の速度情報に基づいて、重要領域の範囲を拡大又は縮小する。
【0103】
例えば、図9の左図に示すように、矩形の左上の角の緯度経度と、右下の角の緯度経度を指定することで交差点周辺の対象空間に重要領域が特定されているものとする。重要領域特定部102aは、V2X情報提供装置200aから取得した車両の速度が所定の閾値より速い場合、図15の左図に示すように、重要領域を車両の進行方向に向けて拡大する処理を行い、重要領域を「N AA AA AA.EEE」、「E BBB BB BB.FFF」まで拡大する。
【0104】
座標変換部1021は、撮影可能範囲の対象空間中の緯度経度の位置情報を、カメラ140によって撮影された画像における対応座標に変換する。例えば、図15の右図は、4つの点によって規定された重要領域を示している。図15の右図の重要領域の座標(x1,y1)、(x2,y2)、(x3’,y3’)、(x4’,y4’)、は、図15の左図の重要領域の4つの角の座標に対応している。重要領域特定部102aは、通知部103に対し、拡大した重要領域を出力する。
【0105】
なお、図15の例においては、車両の速度が所定の閾値よりも速かったため、重要領域を拡大する処理を行っているが、車両の速度が所定の閾値よりも遅い場合、重要領域を縮小する処理を行うことも可能である。
【0106】
図16は、本発明の第4の例示的実施形態に係る重要領域特定装置の動作を説明するための図である。図16においては、重要領域特定部102aが、画像900の中の前方から来る直進車両30aに対して、その速度に応じて、拡大した重要領域ROI1aを特定している。
【0107】
重要領域特定部102aは、車両の速度以外に、車種、加速度、ハンドル、アクセル、ウインカー等の操作情報などを用いて重要領域を特定することができる。例えば、図17に示すように、バス30cが走行方向に対して右側(図17においては左側)に車線変更するウインカーを点滅させている場合、重要領域特定部102aは、V2X情報提供装置200aからバス30cのウインカー点滅の操作情報を取得し、バス30cの車幅の幅を持つ重要領域ROI5を、車線変更後の車線に特定する。
【0108】
また、重要領域特定部102aは、V2X情報提供装置200aからバス30cのハンドルの操作情報を取得し、ハンドルの操作情報に応じてバス30cの進行方向を特定して重要領域を特定するようにしてもよい。
【0109】
また、重要領域特定部102aは、V2X情報提供装置200aからバス30cの加速度またはアクセルの操作情報を取得し、それらの情報からバスの走行速度を特定して重要領域を特定するようにしてもよい。
【0110】
また、重要領域特定部102aは、V2X情報提供装置200aから車両の車種を取得し、車種に応じて重要領域の幅や大きさを設定するようにしてもよい。
【0111】
なお、以上の説明においては、V2X情報として、車両の速度、車種、加速度、ハンドル、アクセル、ウインカーなどを例示したが、これらはあくまで一例であり、その他のV2X情報を用いて重要領域を特定することもできる。例えば、V2X情報にドライバーの属性等が含まれている場合、重要領域特定部102aは、ドライバーの属性(年齢、運転歴、免許種別、事故履歴等)に基づいて重要領域を特定してもよい。例えば、運転歴が短いドライバーや高齢のドライバーについては、重要領域特定部102aが、車両の進行方向前方側に、通常より広い重要領域を特定する。このようにすることで、管制センター等において、より広い重要領域に基づいた道路の異常監視等を行わせ、その結果をドライバー等に通知することが可能となる。
【0112】
また、V2X情報に車両の属性等が含まれている場合、重要領域特定部102aは、車両の属性(車種、緊急車両であるか否か等)に基づいて重要領域を特定してもよい。このようにすることで、一般車と、緊急車両(救急車、消防車等)とで特定する重要領域に違いを持たせることができる。例えば、救急車については、重要領域特定部102aが、車両の進行方向前方側に、一般車両より広い重要領域を特定する。このようにすることで、管制センター等において、より広い重要領域に基づいた道路の異常監視等を行わせ、その結果をドライバー等に通知することが可能となる。
【0113】
以上説明したように、本例示的実施形態に係る重要領域特定装置100aによれば、重要領域特定部102aが、車両の速度、車種、加速度、ハンドル、アクセル、ウインカーの操作情報のいずれか1つ以上と車両の位置情報とに基づいて、カメラの撮影可能領域中の重要領域を特定する。したがって、重要領域特定部102aは、操作情報に基づいて、より適切に重要領域を特定することが可能となる。
【0114】
[第5の実施形態]
上述の第1~第4の例示的実施形態においては、カメラ140が、交差点に設置された固定カメラであるとして説明したが、重要領域の特定対象となる画像を撮影するカメラは、固定カメラには限定されない。本例示的実施形態に係る重要領域特定装置は、例えば、車両に搭載された車載カメラの画像に重要領域を特定する。
【0115】
図18は、本発明の第5の例示的実施形態に係る重要領域特定装置100bの構成を周辺構成と共に表した図である。本例示的実施形態に係る重要領域特定装置100bは、図18に示すように、情報取得部101と、重要領域特定部102bと、通知部103と、を備えている。なお、例示的実施形態3~4において説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0116】
本例示的実施形態においては、道路を撮影可能に設置されたカメラ140の代わりに、車両30dに車載カメラが搭載されている。また、V2X情報提供装置200bが、重要領域特定装置100bに対して、車両30dの周辺の車両の位置情報を含むV2X情報を提供する。そして、重要領域特定装置100bが、V2X情報提供装置200bから提供されるV2X情報を参照して、車載カメラ140bの画像に対して重要領域を特定する。
【0117】
V2X情報提供装置200bは、車両30dの位置を把握しており、重要領域特定装置100bに対して、車載カメラ140bが搭載される車両30dの周辺に位置する他車両の位置を含むV2X情報を提供する。
【0118】
重要領域特定装置100bは、V2X情報提供装置200bから取得したV2X情報を参照して、サーバ300b経由で車両30dから提供された車載カメラ140bの画像に重要領域を特定し、サーバ300bに通知する。なお、本例示的実施形態に係る重要領域特定装置100bは、車両30dの移動に伴い、車載カメラ140bの撮影可能範囲が変化する点を考慮して座標の変換等を行う。例えば、重要領域特定部102bは、車両30dの位置情報に基づいて、車両30dの進行方向の前方の矩形領域を重要領域として特定する。この重要領域は、車両の位置からの相対位置(例えば、車両の前端から幅2m長さ5mの矩形領域)で表される。そして、重要領域特定部102bは、この重要領域を車載カメラ140bの画像内の座標に変換する。
【0119】
例えば、V2X情報提供装置200bから取得した車両30dの位置情報に基づいて、図9の左図に示す撮影可能範囲内の対象空間中に重要領域が特定されたとすると、座標変換部1021は、図9の左図に示す撮影可能範囲の対象空間中の緯度経度の位置情報を、左図の左下の位置を基準とした相対位置に変換する。例えば、座標変換部1021は、撮影可能範囲の対象空間中の左下の座標を(0,0)とし、右上の座標を(1023,1023)とし、重要領域の4つの角の相対位置を算出する。
【0120】
座標変換部1021は、予め撮影可能範囲の対象空間における相対位置と、カメラ140bによって撮影された画像における対応座標との対応を示すテーブルを記憶しておく。そして、座標変換部1021は、上記テーブルを参照して、撮影可能範囲の対象空間における重要領域の4つの角の相対位置を、カメラ140bによって撮影された画像における対応座標に変換する。なお、撮影可能範囲の対象空間における重要領域の座標が、テーブルに記憶される相対座標の間にある場合には、補間処理を行って、カメラ140bによって撮影された画像における対応座標に変換するようにしてもよい。
【0121】
座標変換部1021は、このような緯度経度によって記述された重要領域を、カメラ140bの画像内の座標に変換する。例えば、図9の右側の図は、4つの点によって規定された重要領域を示している。図9の右側の図の重要領域の座標(x1,y1)、(x2,y2)、(x3,y3)、(x4,y4)は、図9の左側の図内の重要領域の4つの角の座標に対応している。
【0122】
サーバ300bは、車載カメラ140bから受信した画像を、重要領域特定装置100bに送信する。また、サーバ300bは、車載カメラ140bから受信した画像と重要領域特定装置100bから送られた重要領域の情報とを、交通管制システム400に送信する。
【0123】
交通管制システム400は、車載カメラ140bから受信した画像と重要領域特定装置100bから送られた重要領域の情報とを用いて、交通管制業務を行う作業者に対して、情報の提示等を行う。例えば、交通管制システム400は、重要領域特定装置100bから送られた重要領域の情報を用いて、車載カメラ140bから得られた画像の局所的な鮮明化や物体認識等を行う。
【0124】
以上説明したように、本例示的実施形態に係る重要領域特定装置100bによれば、重要領域特定部102bが、車載カメラ140bによって撮影された画像に重要領域を特定する。したがって、自動運転車や車両の運転に慣れていないドライバーの車両等に、遠隔支援に関する情報等を提供することができる。

〔ソフトウェアによる実現例〕
重要領域特定システム1,1a、重要領域特定装置10,10a,100,100a,100bの一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0125】
後者の場合、重要領域特定システム1,1a、重要領域特定装置10,10a,100,100a,100bは、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図19に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを重要領域特定システム1,1a、重要領域特定装置10,10a,100,100a,100bとして動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、重要領域特定システム1,1a、重要領域特定装置10,10a,100,100a,100bの各機能が実現される。
【0126】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0127】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0128】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0129】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0130】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0131】
(付記1)
車両の位置情報を取得する情報取得手段と、
前記車両の位置情報に基づいて、カメラの撮影可能領域中の重要領域を特定する重要領域特定手段と、
前記カメラで撮影された画像を処理する画像処理装置に対して、前記重要領域を通知する重要領域通知手段と、
を備えた重要領域特定システム。
【0132】
上記の構成によれば、重要領域特定手段は、車両に対して重要な画像領域を適切に特定することができる。これらの重要領域は、映像利用者、例えば、人間による画像の目視監視や、コンピュータによる各種の画像処理に利用することができる。
【0133】
(付記2)
前記重要領域特定手段は、前記車両の位置情報に基づき、前記車両の進行方向となる領域を、前記重要領域に特定する、付記1に記載の重要領域特定システム。
【0134】
上記の構成によれば、重要領域特定手段は、車両に対して重要な画像領域を適切に特定することができる。
【0135】
(付記3)
前記重要領域特定手段は、前記車両の位置情報に基づいて重要領域とする範囲を特定し、該範囲を、前記カメラで撮影された画像中の座標に変換することにより、前記重要領域を特定する、付記2に記載の重要領域特定システム。
【0136】
上記の構成によれば、カメラで撮影された画像中の適切な位置に重要領域を特定することが可能となる。
【0137】
(付記4)
前記情報取得手段は、さらに、前記車両の速度、車種、加速度、ハンドル、アクセル、ウインカーの操作情報のいずれか1つ以上を取得し、
前記重要領域特定手段は、前記車両の速度、車種、加速度、ハンドル、アクセル、ウインカーの操作情報のいずれか1つ以上と前記車両の位置情報とに基づいて、前記カメラの撮影可能領域中の重要領域を特定する、付記1から3のいずれかに記載の重要領域特定システム。
【0138】
上記の構成によれば、重要領域特定手段は、操作情報に基づいて、より適切に重要領域を特定することが可能となる。
【0139】
(付記5)
さらに、前記特定された重要領域の情報に基づいて、前記カメラで撮像した画像の画質を変更する画質調整手段を備える、付記1から4のいずれかに記載の重要領域特定システム。
【0140】
上記の構成によれば、画質調整手段が、重要領域内の画像の劣化を抑えるように画質を変更することにより、人間による画像の目視監視や、コンピュータによる各種の画像処理をより詳細に行うことが可能となる。
【0141】
(付記6)
前記カメラは、交差点に設置されたカメラ又は車両に搭載されたカメラである、付記1から5のいずれかに記載の重要領域特定システム。
【0142】
(付記7)
さらに、前記カメラの撮影した画像を表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、前記重要領域を用いて前記画像を表示する、付記1から6のいずれかに記載の重要領域特定システム。
【0143】
上記の構成によれば、表示手段が、重要領域を用いて、カメラが撮影した画像を表示するので、人間による画像の目視監視等をより詳細に行うことが可能となる。
【0144】
(付記8)
車両の位置情報を取得する情報取得手段と、
前記車両の位置情報に基づいて、カメラの撮影可能領域中の重要領域を特定する重要領域特定手段と、
前記カメラで撮影された画像を処理する画像処理装置に対して、前記重要領域を通知する重要領域通知手段と、
を備えた重要領域特定装置。
【0145】
上記の構成によれば、重要領域特定手段は、車両に対して重要な画像領域を適切に特定することができる。これらの重要領域は、映像利用者、例えば、人間による画像の目視監視や、コンピュータによる各種の画像処理に利用することができる。
【0146】
(付記9)
前記重要領域特定手段は、前記車両の位置情報に基づき、前記車両の進行方向となる領域を、前記重要領域に特定する、付記8に記載の重要領域特定装置。
【0147】
上記の構成によれば、重要領域特定手段は、車両に対して重要な画像領域を適切に特定することができる。
【0148】
(付記10)
前記重要領域特定手段は、前記車両の位置情報に基づいて重要領域とする範囲を特定し、該範囲を、前記カメラで撮影された画像中の座標に変換することにより、前記重要領域を特定する、付記9に記載の重要領域特定装置。
【0149】
上記の構成によれば、カメラで撮影された画像中の適切な位置に重要領域を特定することが可能となる。
【0150】
(付記11)
前記情報取得手段は、さらに、前記車両の速度、車種、加速度、ハンドル、アクセル、ウインカーの操作情報のいずれか1つ以上を取得し、
前記重要領域特定手段は、前記車両の速度、車種、加速度、ハンドル、アクセル、ウインカーの操作情報のいずれか1つ以上と前記車両の位置情報とに基づいて、前記カメラの撮影可能領域中の重要領域を特定する、付記8から10のいずれかに記載の重要領域特定装置。
【0151】
上記の構成によれば、重要領域特定手段は、操作情報に基づいて、より適切に重要領域を特定することが可能となる。
【0152】
(付記12)
さらに、前記特定された重要領域の情報に基づいて、前記カメラで撮像した画像の画質を変更する画質調整手段を備える、付記8から11のいずれかに記載の重要領域特定装置。
【0153】
上記の構成によれば、画質調整手段が、重要領域内の画像の劣化を抑えるように画質を変更することにより、人間による画像の目視監視や、コンピュータによる各種の画像処理をより詳細に行うことが可能となる。
【0154】
(付記13)
前記カメラは、交差点に設置されたカメラ又は車両に搭載されたカメラである、付記8から12のいずれかに記載の重要領域特定装置。
【0155】
(付記14)
さらに、前記カメラの撮影した画像を表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、前記重要領域を用いて前記画像を表示する、付記8から13のいずれかに記載の重要領域特定装置。
【0156】
上記の構成によれば、表示手段が、重要領域を用いて、カメラが撮影した画像を表示するので、人間による画像の目視監視等をより詳細に行うことが可能となる。
【0157】
(付記15)
車両の位置情報を取得し、
前記車両の位置情報に基づいて、カメラの撮影可能領域中の重要領域を特定し、
前記カメラで撮影された画像を処理する画像処理装置に対して、前記重要領域を通知する、重要領域特定方法。
【0158】
上記の構成によれば、車両に対して重要な画像領域を適切に特定することができる。これらの重要領域は、映像利用者、例えば、人間による画像の目視監視や、コンピュータによる各種の画像処理に利用することができる。
【0159】
(付記16)
重要領域特定方法において、前記車両の位置情報に基づき、前記車両の進行方向となる領域を、前記重要領域に特定する、付記15に記載の重要領域特定方法。
【0160】
上記の構成によれば、車両に対して重要な画像領域を適切に特定することができる。
【0161】
(付記17)
前記車両の位置情報に基づいて重要領域とする範囲を特定し、該範囲を、前記カメラで撮影された画像中の座標に変換することにより、前記重要領域を特定する、付記16に記載の重要領域特定方法。
【0162】
上記の構成によれば、カメラで撮影された画像中の適切な位置に重要領域を特定することが可能となる。
【0163】
(付記18)
さらに、前記車両の速度、車種、加速度、ハンドル、アクセル、ウインカーの操作情報のいずれか1つ以上を取得し、
前記車両の速度、車種、加速度、ハンドル、アクセル、ウインカーの操作情報のいずれか1つ以上と前記車両の位置情報とに基づいて、前記カメラの撮影可能領域中の重要領域を特定する、付記15から17のいずれかに記載の重要領域特定方法。
【0164】
上記の構成によれば、操作情報に基づいて、より適切に重要領域を特定することが可能となる。
【0165】
(付記19)
さらに、前記特定された重要領域の情報に基づいて、前記カメラで撮像した画像の画質を変更する、付記15から18のいずれかに記載の重要領域特定方法。
【0166】
上記の構成によれば、重要領域内の画像の劣化を抑えるように画質を変更することにより、人間による画像の目視監視や、コンピュータによる各種の画像処理をより詳細に行うことが可能となる。
【0167】
(付記20)
前記カメラは、交差点に設置されたカメラ又は車両に搭載されたカメラである、付記15から19のいずれかに記載の重要領域特定方法。
【0168】
(付記21)
コンピュータに、
車両の位置情報を取得する処理と、
前記車両の位置情報に基づいて、前記カメラの撮影可能領域中の重要領域を特定する処理と、
前記カメラで撮影された画像を処理する画像処理装置に対して、前記重要領域を通知する処理と、
を実行させる、プログラム。
【0169】
上記の構成によれば、車両に対して重要な画像領域を適切に特定することができる。これらの重要領域は、映像利用者、例えば、人間による画像の目視監視や、コンピュータによる各種の画像処理に利用することができる。
【0170】
(付記22)
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、車両の位置情報を取得する処理と、
前記車両の位置情報に基づいて、カメラの撮影可能領域中の重要領域を特定する処理と、
前記カメラで撮影された画像を処理する画像処理装置に対して、前記重要領域を通知する処理と、
を実行する重要領域特定システム。
【0171】
なお、この重要領域特定システムは、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記取得する処理と、前記特定する処理と、前記通知する処理と、を前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【0172】
(付記23)
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、車両の位置情報を取得する処理と、
前記車両の位置情報に基づいて、カメラの撮影可能領域中の重要領域を特定する処理と、
前記カメラで撮影された画像を処理する画像処理装置に対して、前記重要領域を通知する処理と、
を実行する重要領域特定装置。
【0173】
なお、この重要領域特定装置は、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記取得する処理と、前記特定する処理と、前記通知する処理と、を前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0174】
1、1a 重要領域特定システム
10、10a、100、100a、100b 重要領域特定装置
11 情報取得手段
12 重要領域特定手段
13 重要領域通知手段
14 画質調整手段
15 表示手段
30a、30b、30d 車両
30c バス
140 カメラ
140b 車載カメラ
101 情報取得部
102、102a、102b 重要領域特定部
103 通知部
200、200a、200b V2X情報提供装置
300、300b サーバ
400 交通管制システム
1021 座標変換部
ROI1~ROI3、ROI5、 ROI1a 重要領域


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19