(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250408BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20250408BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06N20/00 130
(21)【出願番号】P 2023567387
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2021046268
(87)【国際公開番号】W WO2023112203
(87)【国際公開日】2023-06-22
【審査請求日】2024-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 雄大
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0253637(US,A1)
【文献】特開2019-091356(JP,A)
【文献】中村 勇介,他1名,カスタマーサクセスで成果を出す3ステップ 3つのツールで解説,日経XTREND,日本,日経BP,2020年11月,第031巻,p.10-12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械学習による分析を行う分析環境における対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を取得する取得手段と、
前記分析環境におけるログ情報及びリソース使用率からアドバイス情報を生成するよう学習されたアドバイス情報生成モデルに、前記取得手段が取得した前記対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を入力することによって、前記対象ユーザに関するアドバイス情報を生成する生成手段と、
前記生成手段が生成したアドバイス情報を出力する出力手段と
を備えている情報処理装置。
【請求項2】
前記ログ情報には、
前記対象ユーザによる前記分析環境へのアクセス回数、及び、
前記分析に関するエラー履歴
が含まれている請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記アドバイス情報には、解約要因及び解約時期に関する予測が含まれる
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記アドバイス情報生成モデルは、
前記対象ユーザのログ情報及びリソース使用率から、解約要因及び解約時期を予測する第1のモデルと、
前記第1のモデルで予測した解約要因及び解約時期を参照してアドバイス情報を生成する第2のモデルと
を含んでいる請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記アドバイス情報は、前記分析環境を提供する提供者へのアドバイスを含む
請求項1から4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記アドバイス情報は、前記対象ユーザへのアドバイスを含む
請求項1から5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記アドバイス情報生成モデルを学習させる学習部
を備えている請求項1から6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記取得手段は、
前記分析環境におけるログ情報及びリソース使用率とアドバイス情報との組を複数含む訓練データを取得し、
前記学習部は、前記アドバイス情報生成モデルを、前記訓練データを用いて学習させる請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
1又は複数のプロセッサが、
機械学習による分析を行う分析環境における対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を取得すること、
前記分析環境におけるログ情報及びリソース使用率からアドバイス情報を生成するよう学習されたアドバイス情報生成モデルに、前記取得した前記対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を入力することによって、前記対象ユーザに関するアドバイス情報を生成すること、
及び
前記生成したアドバイス情報を出力すること
を含む情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
機械学習による分析を行う分析環境における対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を取得する取得手段と、
前記分析環境におけるログ情報及びリソース使用率からアドバイス情報を生成するよう学習されたアドバイス情報生成モデルに、前記取得手段が取得した前記対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を入力することによって、前記対象ユーザに関するアドバイス情報を生成する生成手段と
前記生成手段が生成したアドバイス情報を出力する出力手段とを備える情報処理装置として機能させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AIプラットフォームをより適正に活用できるようにするアドバイスをユーザに提供できるようにする情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業において、AIを搭載したサービスやシステム開発が盛んに行われている一方で、AIを活用した分析モデルの構築を行うためには、高額の投資が見込まれることも多い。
【0003】
そこで、AIプラットフォームが活用されている。AIプラットフォームは、分析モデルの構築に必要な装置やソフトウェアを提供し、AIプラットフォームを活用することで、ユーザの負担が大幅に軽減する。
【0004】
しかしながら、AIプラットフォームサービスでは、短期間・小規模のプロジェクトが頓挫するケースも見受けられる。このようなケースではサービス利用者がサービスを解約する事態になることもある。このため、AIプラットフォームをより好適に活用できるようにするアドバイスをユーザに提供できる技術が望まれている。
【0005】
一方、解約予測という観点では、特許文献1には、解約予測を用いて営業活動計画を生成して、営業担当者に適切なタイミングで効率よく営業活動を行なわせる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本国特許出願 2021-64406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
AIプラットフォームでは、ユーザのプロジェクトの進展が図られないと、解約を防止することが難しい。このため、特許文献1の技術を用いたとしても、AIプラットフォームに関する好適なアドバイスを生成することがは難しい。
【0008】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、AIプラットフォームをより好適に活用できるようにするアドバイスをユーザに提供できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面に係る情報処理装置は、機械学習による分析を行う分析環境における対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を取得する取得手段と、前記分析環境におけるログ情報及びリソース使用率からアドバイス情報を生成するよう学習されたアドバイス情報生成モデルに、前記取得手段が取得した前記対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を入力することによって、前記対象ユーザに関するアドバイス情報を生成する生成手段と、前記生成手段が生成したアドバイス情報を出力する出力手段とを備える。
【0010】
本発明の一側面に係る情報処理方法は、機械学習による分析を行う分析環境における対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を取得すること、前記分析環境におけるログ情報及びリソース使用率からアドバイス情報を生成するよう学習されたアドバイス情報生成モデルに、前記取得手段が取得した前記対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を入力することによって、前記対象ユーザに関するアドバイス情報を生成すること、前記生成したアドバイス情報を出力することを含む。
【0011】
本発明の一側面に係るプログラムは、コンピュータを、機械学習による分析を行う分析環境における対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を取得する取得手段と、前記分析環境におけるログ情報及びリソース使用率からアドバイス情報を生成するよう学習されたアドバイス情報生成モデルに、前記取得手段が取得した前記対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を入力することによって、前記対象ユーザに関するアドバイス情報を生成する生成手段と、前記生成手段が生成したアドバイス情報を出力する出力手段とを備える情報処理装置として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、AIプラットフォームをより好適に活用できるようにするアドバイスをユーザに提供できる
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の例示的実施形態1に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の例示的実施形態1に係る情報処理方法の流れを示すフローチャートである。
【
図3】本発明の例示的実施形態2に係る解約予測システムの構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、解約予測装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】アドバイス情報生成モデル81の予測方式を説明する図である。
【
図7】解約予測装置10によるアドバイス情報出力処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図8】解約学習・予測装置10Aの構成例を示すブロック図である。
【
図9】解約学習・予測装置10Aによる学習処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図10】解約学習・予測装置10Aの構成例を示すブロック図である。
【
図11】各機能を実現するプログラムの命令を実行するコンピュータの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0015】
<情報処理装置20の概要>
本例示的実施形態に係る情報処理装置20は、概略的に言えば、AIプラットフォームを提供する事業者が運用監視データを用いてユーザにアドバイスを行うための情報を生成する装置である。
【0016】
より具体的に言えば、情報処理装置20は、一例として、
機械学習による分析を行う分析環境における対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を取得する取得手段と、
分析環境におけるログ情報及びリソース使用率からアドバイス情報を生成するよう学習されたアドバイス情報生成モデルに、取得手段が取得した対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を入力することによって、対象ユーザに関するアドバイス情報を生成する生成手段と、
生成手段が生成したアドバイス情報を出力する出力手段と
を備えている。
【0017】
<情報処理装置20の構成>
本例示的実施形態に係る情報処理装置20の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、情報処理装置20の構成例を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、情報処理装置20は、取得部21、生成部22および出力部23を備える。取得部21は、本例示的実施形態において取得手段を実現する構成である。生成部22は、本例示的実施形態において生成手段を実現する構成である。出力部23は、本例示的実施形態において出力手段を実現する構成である。
【0019】
取得部21は、機械学習による分析を行う分析環境における対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を取得する。ここで、機械学習による分析を行う分析環境は、一例として、AIプラットフォームである。
【0020】
ログ情報は、例えば、ユーザのアクセス履歴、AIプラットフォーム上で分析を行ったときの実行履歴、エラー履歴などを含む。
【0021】
リソース使用率は、例えば、CPU、メモリ、GPUなどの使用率である。
【0022】
生成部22は、分析環境におけるログ情報及びリソース使用率からアドバイス情報を生成するよう学習されたアドバイス情報生成モデルに、取得部21が取得した対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を入力することによって、対象ユーザに関するアドバイス情報を生成する。
【0023】
アドバイス情報生成モデルは、一例として、決定木形式のルールと、線形回帰モデルとを含む予測モデルである。例えば、対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を、ルールに基づいて場合分けし、各々の場合において、線形回帰モデルによる予測が行われる。
【0024】
アドバイス情報生成モデルは、一例として、ユーザのログ情報及びリソース使用率とアドバイス情報との組を複数含む訓練データを参照した機械学習により学習されたモデルである。
【0025】
例えば、線形回帰モデルによる予測として、ユーザがAIプラットフォームサービスを解約する時期が予測される。また、ルールに基づく場合分けにより、ユーザがAIプラットフォームサービスを解約する要因が予測される。
【0026】
そして、解約の要因を解消させるアドバイスを含むアドバイス情報が生成される。
【0027】
出力部23は、生成部22が生成したアドバイス情報を出力する。
【0028】
<情報処理装置20による情報処理方法の流れ>
以上のように構成された情報処理装置20が実行する情報処理方法の流れについて、
図2を参照して説明する。
図2は、情報処理方法の流れを示すフローチャートである。同図に示されるように、情報処理は、ステップS11、ステップS12、およびステップS13を含んでいる。
【0029】
ステップS11において、取得部21は、機械学習による分析を行う分析環境における対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を取得する。
【0030】
ステップS12において、生成部22は、分析環境におけるログ情報及びリソース使用率からアドバイス情報を生成するよう学習されたアドバイス情報生成モデルに、取得部21が取得した対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を入力することによって、対象ユーザに関するアドバイス情報を生成する。
【0031】
ステップS13において、出力部23は、生成部22が生成したアドバイス情報を出力する。
【0032】
<情報処理装置20および情報処理方法の効果>
本例示的実施形態に係る情報処理装置20によれば、対象ユーザのログ情報及びリソース使用率が取得され、分析環境におけるログ情報及びリソース使用率からアドバイス情報を生成するよう学習されたアドバイス情報生成モデルに、対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を入力することによって、対象ユーザに関するアドバイス情報が生成される。このようにすることで、AIプラットフォームをより好適に活用できるようにするアドバイスをユーザに提供できる。例えば、ユーザに、より正確な分析を行うためのアドバイスを行うことができ、プロジェクトが頓挫することを防止することができる。
【0033】
〔例示的実施形態2〕
本発明の第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0034】
<解約予測システム1の構成>
本例示的実施形態に係る解約予測システム1の構成について、
図3を参照して説明する。
図3は、解約予測システムを説明する図である。
図3に示すように、解約予測装置10およびAIプラットフォーム30を含んでいる。
【0035】
(AIプラットフォーム30)
AIプラットフォーム30は、AIによる分析モデルの構築に必要な装置やソフトウェアを提供し、例えば、契約したユーザが利用することができる。
【0036】
事業者と契約したユーザは、例えば、ユーザIDとパスワードを取得し、AIプラットフォーム30へのアクセスが許可される。これにより、ユーザは、AIプラットフォームを利用して分析モデルを構築する。このように、事業者により、AIプラットフォームサービスが提供されることになる。
【0037】
一例として、ユーザは、データサイエンティストであり、小売り企業の依頼により、商品の売れ行きをできるだけ正確に予測するための分析モデルの構築を目指す。この際、小売り企業から過去に蓄積された商品の販売実績、顧客属性、販売店舗などの情報が提供され、小売り企業から指定された期限内に分析モデルを完成させるプロジェクトが開始される。
【0038】
AIプラットフォーム30は、ストレージ31を備えている。ストレージ31には、学習用データ、予測データなどが記憶される。学習用データは、例えば、過去に蓄積された商品の販売実績、顧客属性、販売店舗などの情報を含むデータである。予測用データは、例えば、予測の対象となる商品の販売条件などの情報を含むデータである。
【0039】
また、AIプラットフォーム30は、分析実行環境32、分析モデル33を備えている。分析実行環境32は、例えば、コンピュータなどにより構成され、分析に係る演算処理等を実行する。分析実行環境32は、例えば、クラウドコンピューティングにより実現されるようにしてもよい。
【0040】
分析モデル33は、分析実行環境32で実行される処理によって生成され、例えば、ストレージ31に記憶されたモデルパラメータにより構成される予測モデルなどである。
【0041】
ユーザは、予測の対象となる商品の販売条件などに関するデータを、分析モデル33に入力することで、予測結果34を得る。
【0042】
さらに、AIプラットフォーム30には、監視基盤35およびストレージ36が含まれている。AIプラットフォームを利用するユーザは、監視基盤35およびストレージ36にアクセスできず、事業者は、監視基盤35およびストレージ36にアクセスすることができる。
【0043】
監視基盤35は、分析実行環境32で実行される処理を監視する。監視基盤35は、例えば、ユーザの分析実行環境32へのログインの日時、分析実行環境32からのログアウトの日時を、AIプラットフォーム30へのアクセス履歴として、ストレージ36に記録する。また、監視基盤35は、分析実行環境32のリソース使用率をストレージ36に記録する。リソース使用率は、一例として、CPU使用率および/またはメモリ使用率である。
【0044】
また、監視基盤35は、ユーザが分析実行環境32において実行した、分析に係るジョブの開始日時および終了日時、ならびにジョブが正常に終了したか否かをあらわすエラー履歴を、ストレージ36に記録する。
【0045】
上述した、アクセス履歴およびエラー情報は、例えば、ログ情報としてストレージ36に記録されるようにしてもよい。すなわち、ログ情報には、対象ユーザによる分析実行環境へのアクセス回数、及び、分析に関するエラー履歴が含まれている。
【0046】
上述のようなログ情報およびリソース使用率が監視結果としてストレージ36に記憶される。また、監視結果には、ログ情報およびリソース使用率に加えて、監視基盤35により取得された他の情報が含まれるようにしてもよい。ストレージ36に記憶された監視結果は、解約予測装置10に、学習用データおよび予測用データとして提供される。
【0047】
(解約予測装置)
解約予測装置10は、例えば、AIプラットフォーム30を提供する事業者により利用される。解約予測装置10は、AIプラットフォーム30を利用するユーザがAIプラットフォームサービスの契約を解約する時期および解約する要因を予測するとともに、事業者からユーザに対して提供すべきアドバイスの生成を行う装置である。
【0048】
解約予測装置10は、ストレージ11を備えている。ストレージ11には、学習用データおよび予測データなどが記憶される。学習用データは、例えば、過去に蓄積された監視結果などを含むデータである。
【0049】
また、解約予測装置10のストレージ12には、契約情報データが記憶されている。一例として、契約情報データは、ユーザのサービス利用開始日、ユーザの解約日、およびユーザの解約理由を表す情報を含むデータとされ、例えば、ユーザ毎のレコードにより構成されるデータベースとして記憶される。なお、事業者は、ユーザがAIプラットフォームサービスに係る契約を解約する際に、ユーザに解約理由を確認し、解約理由を含めた契約情報データのレコードを記録する。
【0050】
予測用データは、例えば、予測の対象となるユーザに係る監視結果などの情報を含むデータである。
【0051】
情報処理装置20は、アドバイス情報生成モデルを用いてユーザがAIプラットフォームサービスを解約する時期および要因である解約時期および解約要因を予測する。また、情報処理装置20は、アドバイス情報生成モデルを用いてアドバイス情報を生成する。アドバイス情報生成モデルは、学習用データを用いて行われる機械学習により得られるモデルパラメータにより構成される。
【0052】
情報処理装置20による予測結果15は、解約時期および解約要因、並びに解約の要因を解消する対処方法を含み、予測結果15に基づいて、解約時期および解約要因を含むアドバイス情報が生成される。
【0053】
<解約予測装置10の構成>
図4は、解約予測装置10の構成例を示すブロック図である。同図に示されるように、解約予測装置10は、情報処理装置20、記憶部100、通信部121、外部入力部122、および外部出力部123を備えている。
【0054】
情報処理装置20は、例示的実施形態1において説明した情報処理装置20と同様の機能を有する機能ブロックである。
【0055】
記憶部100は、例えば、半導体メモリデバイスなどにより構成され、データを記憶する。この例では、記憶部100に予測用データおよび契約情報データが記憶されている。記憶部100は、
図3に示したストレージ11およびストレージ12に対応する機能ブロックである。
【0056】
図4の例では、記憶部100に予測用データ、契約情報データおよびモデルパラメータが記憶されている。モデルパラメータは、アドバイス情報生成モデル81による予測に用いられる。
【0057】
通信部121は、解約予測装置10を、ネットワークに接続するためのインタフェースである。ネットワークの具体的構成は本例示的実施形態を限定するものではないが、一例として、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、WAN(Wide Area Network)、公衆回線網、モバイルデータ通信網、又は、これらのネットワークの組み合わせを用いることができる。
【0058】
外部入力部122は、解約予測装置10に対する各種の入力を受け付ける。外部入力部122の具体的構成は本例示的実施形態を限定するものではないが、一例として、キーボード及びタッチパッド等の入力デバイスを備える構成とすることができる。また、外部入力部122は、赤外線や電波等の電磁波を介してデータの読み取りを行うデータスキャナ、及び、環境の状態をセンシングするセンサ等を備える構成としてもよい。
【0059】
外部出力部123は、解約予測装置10による処理結果を出力する機能ブロックである。外部出力部123の具体的構成は本例示的実施形態を限定するものではないが、一例として、ディスプレイ、スピーカ、プリンタなどにより構成され、解約予測装置10による各種処理結果などを画面上に表示したり、音声や図として出力したりする。
【0060】
例示的実施形態1で説明したように、情報処理装置20の取得部21は、分析実行環境32における対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を取得する。
図3を参照して上述したように、ログ情報およびリソース使用率は、監視結果としてストレージ36に記憶されており、予測用データとして用いられる。
【0061】
なお、リソース使用率は、ユーザ単位で取得できないので、例えば、ログ情報から特定されたジョブの実行時間内における分析実行環境32でのCPU使用率および/またはメモリ使用率が取得される。
【0062】
また、取得部21は、対象ユーザの契約情報をさらに取得するようにしてもよい。例えば、記憶部100に記憶されている契約情報データの一部であって、対象ユーザのサービス利用開始時期が取得されるようにしてもよい。
【0063】
図4の例において、情報処理装置20の生成部22は、アドバイス情報生成モデル81を有している。
【0064】
アドバイス情報生成モデル81は、取得部21が取得した対象ユーザのログ情報およびリソース使用率を、ルールに基づいて場合分けし、各々の場合において、線形回帰モデルによる予測を実行する。なお、アドバイス情報生成モデル81に入力されるデータには、対象ユーザの契約情報が含まれるようにしてもよい。
【0065】
出力部23は、予測された解約の要因を参照し、当該解消させるアドバイスを含むアドバイス情報を生成する。
【0066】
(アドバイス情報生成モデルによる予測)
図5は、アドバイス情報生成モデル81の予測方式を説明する図である。一例として、アドバイス情報生成モデルは、異種混合予測モデルとして構成される。異種混合予測モデルは、入力データを決定木形式のルールによって場合分けし、各場合で異なる説明変数を組合せた線形モデルで予測する。
【0067】
ここで、入力データは予測用データおよび契約情報データに対応し、例えば、対象ユーザのログ情報およびリソース使用率、並びに対象ユーザがAIプラットフォームサービスを契約した時期などである。
【0068】
図5の例では、入力データが、条件Aにより場合分けされる。入力データが条件Aを満たさない場合(条件A=N)、さらに条件Bにより場合分けされることになる。このように、入力データは、最初に決定木形式のルールによって場合分けされる。
【0069】
入力データが条件Aを満たす場合(条件A=Y)、予測式1による予測が行われる。すなわち、入力データに含まれる情報の一部または全部が説明変数として用いられ、目的変数を求める線形予測式の演算による予測が行われる。
【0070】
また、入力データが条件Bを満たす場合(条件B=Y)、予測式2による予測が行われる。予測式2は、例えば、予測式1とは重み変数が異なる線形予測式であってよい。あるいは、予測式2は、予測式1とは重み変数と説明変数のいずれもが異なる線形予測式であってよい。あるいは、予測式2は、予測式1とは異なる目的変数を予測する線形予測式であってよい。
【0071】
さらに、入力データが条件Bを満たす場合(条件B=Y)、予測式3による予測が行われる。予測式3も、予測式1および予測式2とは重み変数が異なる線形予測式であってよいし、重み変数と説明変数のいずれもが異なる線形予測式であってよい。あるいは、予測式3は、予測式1および予測式2とは異なる目的変数を予測する線形予測式であってよい。
【0072】
このように、決定木のルールによって、各予測式に対応する線形モデルが選択され、線形モデルによる予測が行われる。
【0073】
例えば、予測式1乃至予測式3に対応する線形モデルによる予測により、ユーザがAIプラットフォームサービスを解約する時期が予測される。また、決定木のルールに基づく場合分けにより、ユーザがAIプラットフォームサービスを解約する要因が予測される。
【0074】
あるいは、決定木のルールに基づく場合分けにより、解約の時期が予測され、予測式1乃至予測式3に対応する線形モデルによる予測により、ユーザがAIプラットフォームサービスを解約の要因が予測されるようにしてもよい。
【0075】
あるいは、1つの決定木のルールに基づく場合分けを経て選択される予測式1乃至予測式3に対応する線形モデルと、別の決定木のルールに基づく場合分けを経て選択される予測式4乃至予測式6に対応する線形モデルが生成されるようにしてもよい。そして、予測式1乃至予測式3に対応する線形モデルのそれぞれにより、解約の時期が予測され、予測式4乃至予測式6に対応する線形モデルのそれぞれにより、解約の要因が予測されるようにしてもよい。
【0076】
実社会における予測分析では、予測の根拠をわかりやすく説明できることが求められている。複雑な非線形予測は、予測精度が高かったとしても、挙動がブラックボックス化されてしまう。一方で、線形回帰や決定木などは、単純でわかりやすい反面、複雑なビッグデータの挙動を捉える事が出来ず、予測精度が低くなってしまう。
【0077】
上述したように、異種混合予測モデルのアドバイス情報生成モデル81を用いることで、予測の根拠をわかりやすく説明でき、精度の高い予測を行うことができる。
【0078】
次に、解約予測装置10による予測結果15の例について説明する。
【0079】
(予測結果の例1)
例えば、ユーザU1に係る予測用データを用いてアドバイス情報生成モデル81による予測を行ったところ、解約時期は1か月以内と予測され、解約要因はAIプラットフォームの利用方法についての知識不足と予測されたとする。
【0080】
この場合、ユーザU1によるジョブの実行時のエラーまたはプロセス停止が直近14日間で頻発し、それ以来、アクセス頻度が発生前の50%以下に減ってきていることがアドバイス情報生成モデル81のルールによる場合分けにより確認されることになる。この場合分けの結果として、アドバイス情報生成モデル81は、解約要因は、AIプラットフォームの利用方法についての知識不足と予測する。
【0081】
また、解約時期は、上述した場合分けの結果、選択された線形予測式による予測演算により予測される。
【0082】
出力部23は、予測された解約の要因を参照し、スタートアップガイドを参照し、分析時に指定する設定項目を見直すべきというアドバイスを含むアドバイス情報を生成する。アドバイスは、例えば、解約の要因を解消する対処方法として予め記憶されたテーブルなどにより対応付けられている。すなわち、出力部23は、アドバイス情報生成モデル81の予測結果として得られた解約要因に対応する対処方法を、対象ユーザへのアドバイスとして選択する。
【0083】
(予測結果の例2)
また、例えば、ユーザU2に係る予測用データを用いてアドバイス情報生成モデル81による予測を行ったところ、解約時期は会計年度末と予測され、解約要因は非効率なリソース使用によるコスト高と予測されたとする。
【0084】
この場合、ユーザU2によるジョブの実行時は、平日の17時から19時までに集中し、メモリ使用率が80%を超えている。また、2~3時間の高負荷状態を経た後、翌朝9時まで操作ログがないことがアドバイス情報生成モデル81のルールによる場合分けにより確認されることになる。
【0085】
出力部23は、予測された解約の要因を参照し、サーバのスケールダウンによりコストを低減させるべきというアドバイスを含むアドバイス情報を生成する。
【0086】
(予測結果の例3)
さらに、例えば、ユーザU3に係る予測用データを用いてアドバイス情報生成モデル81による予測を行ったところ、解約時期は会計年度末と予測され、解約要因はAIプラットフォーム30の機能の活用不足と予測されたとする。
【0087】
この場合、ユーザU3のアクセス頻度が減少傾向であり、かつ、半年前にリリースしたAIプラットフォーム30の新機能・エンジンを使用したログが1件もないことがアドバイス情報生成モデル81のルールによる場合分けにより確認されることになる。
【0088】
出力部23は、予測された解約の要因を参照し、新機能・エンジンを試すべきというアドバイスを含むアドバイス情報を生成する。
【0089】
(予測結果の例4)
また、例えば、ユーザU4に係る予測用データを用いてアドバイス情報生成モデル81による予測を行ったところ、解約時期は1か月以内と予測され、解約要因は、分析するデータの不足による分析の失敗と予測されたとする。
【0090】
この場合、ユーザU4によるジョブの実行時間が短く、データのレコード数が少ないこと、および変数に用いられるデータの欠損値が多いことがアドバイス情報生成モデル81のルールによる場合分けにより確認されることになる。
【0091】
出力部23は、予測された解約の要因を参照し、分析の前に十分な数の有効なデータを収集するべきというアドバイスを含むアドバイス情報を生成する。
【0092】
(予測結果の例5)
また、例えば、ユーザU5に係る予測用データを用いてアドバイス情報生成モデル81による予測を行ったところ、解約時期は会計年度末と予測され、解約要因は、費用対効果に対する不満と予測されたとする。
【0093】
この場合、ユーザU5によるジョブの実行は、数カ月に一度だけであり、約1日かかる処理を行っていることがアドバイス情報生成モデル81のルールによる場合分けにより確認されることになる。
【0094】
出力部23は、予測された解約の要因を参照し、分析の実態に適した料金プランを選択すべきというアドバイスを含むアドバイス情報を生成する。
【0095】
このように、アドバイス情報生成モデル81は、アドバイス情報を生成すると共に、解約要因及び解約時期の予測を行うモデルである。
【0096】
また、アドバイス情報生成モデル81は、対象ユーザのログ情報及びリソース使用率から、解約要因及び解約時期を予測する第1のモデルと、第1のモデルで予測した解約要因及び解約時期を参照してアドバイス情報を生成する第2のモデルとを含んで構成されるようにしてもよい。
【0097】
この場合、例えば、生成部22に、アドバイス情報生成モデル81-1およびアドバイス情報生成モデル81-2が設けられる。
【0098】
アドバイス情報生成モデル81-1は、例えば、取得部21が取得した対象ユーザのログ情報およびリソース使用率を入力として解約要因及び解約時期を予測する。アドバイス情報生成モデル81-2は、例えば、アドバイス情報生成モデル81-1が予測した解約要因及び解約時期を入力としてアドバイス情報を予測する。
【0099】
図6は、アドバイス情報の例を説明する図である。同図に示されるアドバイス情報は、例えば、コンピュータ、スマートフォンなどのディスプレイに表示される場合の例を示している。また、このディスプレイは、解約予測装置10の外部出力部123を構成するディスプレイであってもよい。
【0100】
図6の例において、ディスプレイ200には、顧客名表示領域201が表示されており、この例では、顧客名「ABC」が表示されている。また、ディスプレイ200には、解約時期/解約要因表示領域202が表示されている。この例では、解約時期/解約要因表示領域202に、「解約時期:1か月以内」、「解約要因:AIプラットフォームの利用方法についての知識不足」と表示されている。
【0101】
このように、アドバイス情報には、解約要因及び解約時期に関する予測が含まれる。
【0102】
なお、ディスプレイ200には、解約時期/解約要因表示領域202が表示されないようにしてもよい。
【0103】
さらに、ディスプレイ200には、事業者向けアドバイス表示領域203が表示されており、この例では、事業者向けアドバイス表示領域203に「顧客にスタートアップガイドを再提示してアドバイス要」と表示されている。事業者向けアドバイス表示領域203は、事業者の立場でユーザに対して提示すべきアドバイスが表示される領域である。
【0104】
すなわち、アドバイス情報は、分析実行環境32を提供する提供者へのアドバイスを含む。
【0105】
また、ディスプレイ200には、顧客向けアドバイス表示領域204が表示されており、この例では、顧客向けアドバイス表示領域204に「スタートアップガイドを参照し、分析時に指定する設定項目を見直すべき」と表示されている。顧客向けアドバイス表示領域204は、ユーザが直接参照すべきアドバイスが表示される領域である。
【0106】
すなわち、アドバイス情報は、対象ユーザへのアドバイスを含む。
【0107】
なお、アドバイス情報には、顧客向けアドバイス表示領域204が含まれないようにしてもよい。この場合、アドバイス情報は、例えば、解約予測装置10の外部出力部123を構成するディスプレイに表示されるものとする。
【0108】
あるいは、アドバイス情報には、事業者向けアドバイス表示領域203が含まれないようにしてもよい。この場合、アドバイス情報は、例えば、アドバイスの対象となるユーザのスマートフォンのディスプレイに表示されるものとする。
【0109】
<解約予測装置10によるアドバイス情報出力処理の流れ>
次に、
図7のフローチャートを参照し、解約予測装置10によるアドバイス情報出力処理の例について説明する。
【0110】
ステップS31において、取得部21は、ログ情報を取得する。
【0111】
取得部21の具体的な処理については上述した通りであるが、このとき、例えば、ストレージ36に記録されているアクセス履歴およびエラー情報がログ情報として取得される。また、ステップS31において、対象ユーザの契約情報がさらに取得されるようにしてもよい。例えば、記憶部100に記憶されている契約情報データの一部であって、対象ユーザのサービス利用開始時期が取得されるようにしてもよい。
【0112】
ステップS32において、取得部21は、リソース使用率を取得する。このとき、例えば、上述したように、ストレージ36に記録されている分析実行環境32のリソース使用率が取得される。
【0113】
ステップS33において、生成部22は、アドバイス情報生成モデル81による予測を実行する。生成部22の具体的な処理については上述した通りであるが、このとき、ステップS31で取得されたログ情報およびステップS32で取得されたリソース使用率がアドバイス情報生成モデル81に入力される。
【0114】
ステップS34において、アドバイス情報生成モデル81は、解約時期を予測する。
【0115】
ステップS35において、アドバイス情報生成モデル81は、解約要因を予測する。
【0116】
ステップS36において、アドバイス情報生成モデル81は、アドバイスを予測する。
【0117】
アドバイス情報生成モデル81の具体的な処理については上述した通りであるが、このとき、事業者向けアドバイスおよび/または顧客向けアドバイスがアドバイス情報生成モデルによって予測される。なお、事業者向けアドバイスは、例えば、
図6の事業者向けアドバイス表示領域203に表示される情報であり、顧客向けアドバイスは、例えば、
図6の顧客向けアドバイス表示領域204に表示される情報である。
【0118】
ステップS37において、出力部23は、ステップS36で予測されたアドバイスを含むアドバイス情報を出力する。出力部23の具体的な処理については上述した通りであるが、このとき、例えば、
図6を参照して上述したような画面によりアドバイス情報が提示される。
【0119】
なお、アドバイス情報は、紙などの媒体に印刷されて出力されるようにしてもよいし、スピーカなどから音声として出力されるようにしてもよい。
【0120】
このようにして、アドバイス情報出力処理が実行される。
【0121】
〔例示的実施形態3〕
次に、本発明の第3の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1および2にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0122】
<解約学習・予測装置10Aの構成>
本例示的実施形態に係る解約学習・予測装置10Aの構成について、
図8を参照して説明する。解約学習・予測装置10Aは、解約予測装置10の機能に加えてアドバイス情報生成モデル81のモデルパラメータを学習する機能をさらに有する装置である。
【0123】
図8は、解約学習・予測装置10Aの構成例を示すブロック図である。
図10に示す解約学習・予測装置10Aが、
図4に示した解約予測装置10と異なる点は、情報処理装置20に、訓練データ取得部24および学習部25が設けられていること、および記憶部100に学習用データおよび評価用データが記憶されていることである。
【0124】
解約学習・予測装置10Aにおいて、記憶部100には、学習用データが記憶されている。上述したように、学習用データは、例えば、過去に蓄積された監視結果などを含むデータであり、より具体的には、複数のユーザのそれぞれによる分析実行環境へのアクセス回数、及び、分析に関する実行履歴、エラー履歴などが含まれるログ情報を含む。なお、ログ情報はユーザ毎に記憶されている。
【0125】
また、学習用データは、リソース使用率を含む。なお、リソース使用率は、例えば、各ユーザが実行したジョブの実行時間内における分析実行環境32でのCPU使用率、メモリ使用率、および/またはGPU使用率とされる。
【0126】
また、解約学習・予測装置10Aにおいて、記憶部100には、評価用データが記憶されている。評価用データは、例えば、学習されたアドバイス情報生成モデル81によって適正な予測を行えるか否かを検証するためのデータである。
【0127】
訓練データ取得部24は、アドバイス情報生成モデル81を学習するためのデータである訓練データを取得する。訓練データは、各ユーザのログ情報およびリソース使用率、並びに各ユーザの属性情報とされる。
【0128】
属性情報は、例えば、既に解約したユーザを対象ユーザとし、対象ユーザのサービス利用開始日、対象ユーザの解約日、対象ユーザの解約理由、および対象ユーザに提示されるべき解約防止策である。
【0129】
対象ユーザのサービス利用開始日、対象ユーザの解約日、および対象ユーザの解約理由は、例えば、契約情報データに含まれている。対象ユーザに提示されるべき解約防止策は、一例として、事業者が、当該ユーザの解約を防ぐために提示しておくべきだったと考える解約防止策である。この解約防止策は、例えば、
図6の事業者向けアドバイス表示領域203に表示される事業者向けアドバイスおよび/または顧客向けアドバイス表示領域204に表示される顧客向けアドバイスに対応する。
【0130】
対象ユーザに提示されるべき解約防止策は、例えば、外部入力部122を介して事業者により入力され、契約情報データの一部として記憶される。
【0131】
訓練データ取得部24は、アドバイス情報生成モデル81を学習するために、サービス利用開始日、ログ情報およびリソース使用率と、解約日、解約理由、および解約防止策との組を、ユーザ毎に取得する。なお、サービス利用開始日は取得されないようにしてもよい。すなわち、訓練データ取得部24は、分析実行環境32におけるログ情報及びリソース使用率とアドバイス情報との組を複数含む訓練データを取得する。
【0132】
なお、訓練データは、取得部21によって取得されるようにしてもよい。この場合、解約学習・予測装置10Aに訓練データ取得部24が設けられないようにしてもよい。
【0133】
学習部25は、訓練データ取得部24または取得部21により取得された訓練データを参照して機械学習を実行することにより、アドバイス情報生成モデル81を学習する。より具体的には、学習部25は、訓練データを参照してアドバイス情報生成モデル81のモデルパラメータを更新することによって、アドバイス情報生成モデル81を学習する。
【0134】
なお、上述したように、アドバイス情報生成モデル81は、解約要因及び解約時期を予測する第1のモデルと、第1のモデルで予測した解約要因及び解約時期を参照してアドバイス情報を生成する第2のモデルとを含んで構成されるようにしてもよい。この場合、訓練データ取得部24または取得部21は、前記分析環境におけるログ情報及びリソース使用率と、解約要因及び解約時期との組を複数含む訓練データを取得し、学習部25は、アドバイス情報生成モデルに含まれる第1のモデルを、訓練データを用いて学習させる。
【0135】
<解約学習・予測装置10Aによる学習処理の流れ>
次に、
図9のフローチャートを参照して、解約学習・予測装置10Aによる学習処理について説明する。
【0136】
ステップS101において、訓練データ取得部24は、訓練データを取得する。訓練データ取得部24の具体的な処理については、上述した通りであるが、このとき、サービス利用開始日、ログ情報およびリソース使用率と、解約日、解約理由、および解約防止策との組が、ユーザ毎に取得される。なお、サービス利用開始日は取得されないようにしてもよい。
【0137】
ステップS102において、学習部25は、アドバイス情報生成モデル81の決定木を学習する。これにより、ログ情報およびリソース使用率から得られる変数について、適切な閾値が学習される。
【0138】
ログ情報およびリソース使用率から得られる変数の一例を下記に示す。
【0139】
(1)分析実行環境へのアクセス回数:直近30日間の回数、直近7日間の回数、その差分
(2)分析実行時のエラー有無:直近28,21,14,7日間の有無、それらの差分
(3)プロセスの停止回数:直近28,21,14,7日間の回数、それらの差分
(4)CPU利用率が指定のしきい値を超えたこと:1日の間での時間帯、超えた時間、超えた回数
(5)メモリ利用率が指定のしきい値を超えたこと:1日の間での時間帯、超えた時間、超えた回数
(6)分析モデル作成時の学習用データの量/質:レコード数、データの型
ステップS102では、例えば、上記の(1)乃至(6)に示される変数を用いて決定木による場合分けを行う場合に最適となる閾値が学習される。
【0140】
ステップS103において、学習部25は、アドバイス情報生成モデル81の線形モデルを学習する。これにより、ログ情報およびリソース使用率から得られる変数について、適切な重み係数が学習される。このとき用いられるログ情報およびリソース使用率から得られる変数は、例えば、決定木による場合分けの結果に応じてそれぞれ異なる変数の組み合わせが選択される。すなわち、
図5を参照して上述したように、決定木による場合分けの結果に応じて異なる線形モデルが選択されるので、それぞれの線形モデルに応じて異なる変数の組み合わせが選択される。
【0141】
ステップS104において、学習部25は、ステップS102とステップS103の処理を経て学習されたアドバイス情報生成モデル81を評価する。このとき、評価用データを用いた評価が行われる。
【0142】
ステップS105において、学習部25は、ステップS104の評価結果を参照して、決定木における不要な場合分けと、その場合分けの結果選択される線形モデルとを削除する。
【0143】
ステップS106において、学習部25は、ステップS105の処理結果を反映してアドバイス情報生成モデル81のモデルパラメータを更新する。
【0144】
このようにして学習処理が実行される。
【0145】
〔例示的実施形態4〕
次に、本発明の第4の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1乃至3にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0146】
<学習装置10Bの構成>
本例示的実施形態に係る学習装置10Bの構成について、
図10を参照して説明する。
【0147】
学習装置10Bは、
図10を参照して上述した解約学習・予測装置10Aと異なり、アドバイス情報の生成に係る機能を有さず、モデルパラメータの学習に係る機能を有するように構成した装置である。すなわち、学習装置10Bは、情報処理装置20に取得部21、生成部22および出力部23が設けられていない。学習装置10Bのその他の構成は、解約学習・予測装置10Aと同様であり、詳細な説明は省略する。
【0148】
学習装置10Bでは、
図9を参照して説明した学習処理が実行され、記憶部100のモデルパラメータの学習が行われる。十分な組の数の訓練データを参照した学習が実行された後、学習装置10Bの記憶部100に記憶されたモデルパラメータが、例えば、USBメモリなどの記憶媒体に記憶される。そして、記憶媒体に記憶されたモデルパラメータが他の装置(例えば、
図3の解約予測装置10)によって使用される。あるいは、学習装置10Bのモデルパラメータがネットワークを介して他の装置に転送されるようにしてもよい。
【0149】
このようにすることで、例えば、異なる訓練データを参照した学習により得られたモデルパラメータをそれぞれ他の装置に提供することができる。
【0150】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置20、解約予測装置10、解約学習・予測装置10A、および学習装置10Bの一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0151】
後者の場合、情報処理装置20、解約予測装置10、解約学習・予測装置10A、および学習装置10Bは、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を
図11に示す。
【0152】
コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを情報処理装置20、解約予測装置10、解約学習・予測装置10A、または学習装置10Bとして動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、情報処理装置20、解約予測装置10、解約学習・予測装置10A、または学習装置10Bの各機能が実現される。
【0153】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0154】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0155】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0156】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0157】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0158】
(付記1)
機械学習による分析を行う分析環境における対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を取得する取得手段と、
前記分析環境におけるログ情報及びリソース使用率からアドバイス情報を生成するよう学習されたアドバイス情報生成モデルに、前記取得手段が取得した前記対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を入力することによって、前記対象ユーザに関するアドバイス情報を生成する生成手段と
前記生成手段が生成したアドバイス情報を出力する出力手段と
を備えている情報処理装置。
【0159】
(付記2)
前記ログ情報には、
前記対象ユーザによる前記分析環境へのアクセス回数、及び、
前記分析に関するエラー履歴
が含まれている付記1に記載の情報処理装置。
【0160】
(付記3)
前記アドバイス情報には、解約要因及び解約時期に関する予測が含まれる
付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0161】
(付記4)
前記アドバイス情報生成モデルは、
前記対象ユーザのログ情報及びリソース使用率から、解約要因及び解約時期を予測する第1のモデルと、
前記第1のモデルで予測した解約要因及び解約時期を参照してアドバイス情報を生成する第2のモデルと
を含んでいる付記3に記載の情報処理装置。
【0162】
(付記5)
前記アドバイス情報は、前記分析環境を提供する提供者へのアドバイスを含む
付記1から4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【0163】
(付記6)
前記アドバイス情報は、前記対象ユーザへのアドバイスを含む
付記1から5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【0164】
(付記7)
前記アドバイス情報生成モデルを学習させる学習部
を備えている付記1から6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【0165】
(付記8)
前記取得手段は、
前記分析環境におけるログ情報及びリソース使用率とアドバイス情報との組を複数含む訓練データを取得し、
前記学習部は、前記アドバイス情報生成モデルを、前記訓練データを用いて学習させる
付記7に記載の情報処理装置。
【0166】
(付記9)
前記取得手段は、
前記分析環境におけるログ情報及びリソース使用率と、解約要因及び解約時期との組を複数含む訓練データを取得し、
前記学習部は、前記アドバイス情報生成モデルに含まれる第1のモデルを、前記訓練データを用いて学習させる
付記8に記載の情報処理装置。
【0167】
(付記10)
機械学習による分析を行う分析環境における対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を取得すること、
前記分析環境におけるログ情報及びリソース使用率からアドバイス情報を生成するよう学習されたアドバイス情報生成モデルに、前記取得手段が取得した前記対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を入力することによって、前記対象ユーザに関するアドバイス情報を生成すること、
前記生成したアドバイス情報を出力することを含む
情報処理方法。
【0168】
(付記11)
コンピュータを、
機械学習による分析を行う分析環境における対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を取得する取得手段と、
前記分析環境におけるログ情報及びリソース使用率からアドバイス情報を生成するよう学習されたアドバイス情報生成モデルに、前記取得手段が取得した前記対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を入力することによって、前記対象ユーザに関するアドバイス情報を生成する生成手段と
前記生成手段が生成したアドバイス情報を出力する出力手段とを備える情報処理装置として機能させる
プログラム。
【0169】
〔付記事項3〕
上述した実施形態の一部又は全部は、更に、以下のように表現することもできる。
【0170】
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、
機械学習による分析を行う分析環境における対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を取得する処理と、
前記分析環境におけるログ情報及びリソース使用率からアドバイス情報を生成するよう学習されたアドバイス情報生成モデルに、前記取得手段が取得した前記対象ユーザのログ情報及びリソース使用率を入力することによって、前記対象ユーザに関するアドバイス情報を生成する処理と
前記生成手段が生成したアドバイス情報を出力する処理とを実行する。
【0171】
なお、この情報処理装置は、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記取得処理と、前記出力列生成処理とを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0172】
1 解約予測システム
10 解約予測装置
10A 解約学習・予測装置
10B 学習装置
20 情報処理装置
21 取得部
22 生成部
23 出力部
24 訓練データ取得部
25 学習部
30 AIプラットフォーム
32 分析実行環境
35 監視基盤
81 アドバイス情報生成モデル
100 記憶部
121 通信部
122 外部入力部
123 外部出力部