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特許7662158紫外線によって紫外線遮断効率が増加する紫外線遮断用化粧料組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】紫外線によって紫外線遮断効率が増加する紫外線遮断用化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20250408BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20250408BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20250408BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20250408BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/31
A61K8/81
A61K8/89
A61Q17/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021549862
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 KR2019017182
(87)【国際公開番号】W WO2020175772
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-08-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】10-2019-0023391
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0037278
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0106892
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0106893
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー・エイチアンドエイチ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100195796
【弁理士】
【氏名又は名称】塩尻 一尋
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミン-スン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】キョン-ヒ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン-ジン・チョ
【合議体】
【審判長】木村 敏康
【審判官】阪野 誠司
【審判官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-519050号公報(JP,A)
【文献】特開2002-284622号公報(JP,A)
【文献】特開2017-88599(JP,A)
【文献】特開2017-61549(JP,A)
【文献】Sun Block Cream SPF 30PA++ (ID: 1808102),Mintel GNPD [online],2012年06月,[検索日;2022年6月27日], https://www.gnpd.com
【文献】Daily Sun Block SPF 39PA++ (ID: 1394186),Mintel GNPD [online],2010年09月,[検索日;2022年6月27日], https://www.gnpd.com
【文献】Mid-Day Blue Sun LotionSPF 40 PA++ (ID: 5520499),Mintel GNPD [online],2018年03月,[検索日;2022年6月27日], https://www.gnpd.com
【文献】Whitening Sun ProtectCream UV SPF 50 PA +++ (ID: 5985425),Mintel GNPD[online],2018年09月,[検索日;2022年6月27日], https://www.gnpd.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99、A61Q1/00-90/00、Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤と、組成物の総重量対比0.01~5重量%の極性油を含み、
前記極性油は、エチルヘキサン酸セチル、(カプリル酸/カプリン酸)グリセリズ、安息香酸フェネチル、炭酸ジカプリリル、C12-15の安息香酸アルキル及びオクトクリレンからなる群より選択されたいずれか一つ以上からなり、
前記メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤と極性油とを1:0.01~0.4(メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤:極性油)の重量比で含み、
炭化水素油をさらに含み、
前記メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤は、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸イソアミル及びシノキセートからなる群より選択されたいずれか一つ以上であり、
前記メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤は、組成物の総重量対比2~30重量%で含まれ、
前記炭化水素油は、組成物の総重量対比5~30重量%で含まれ、
前記メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤と炭化水素油とを1:0.5~0.93(メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤:炭化水素油)の重量比で含む、紫外線遮断用化粧料組成物。
【請求項2】
前記組成物は、極性油と炭化水素油とを1:1~300(極性油:炭化水素油)の重量比で含む、請求項1に記載の紫外線遮断用化粧料組成物。
【請求項3】
前記炭化水素油は、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ワセリン、n-パラフィン、鉱油、イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブチレン、ポリブテン、オゾケライト、セレシン、微結晶ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン/ポリプロピレンワックス、スクワラン、スクアレン、プリスタン及びポリイソプレンからなる群より選択されたいずれか一つ以上を含む、請求項1に記載の紫外線遮断用化粧料組成物。
【請求項4】
前記組成物は、シリコーン油をさらに含む、請求項1に記載の紫外線遮断用化粧料組成物。
【請求項5】
前記組成物は、紫外線照射後のSPF値が照射前に比べて上昇する、請求項1に記載の紫外線遮断用化粧料組成物。
【請求項6】
前記組成物は、紫外線照射後にUV-A及びUV-Bに対する遮断効果が増加する、請求項1に記載の紫外線遮断用化粧料組成物。
【請求項7】
メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤と、組成物の総重量対比0.01~5重量%の極性油とを混合する段階を含み、
炭化水素油をさらに混合する段階を含み、
前記メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤と極性油とを1:0.01~0.4(メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤:極性油)の重量比で含み、
前記メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤は、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸イソアミル及びシノキセートからなる群より選択されたいずれか一つ以上であり、
前記極性油は、エチルヘキサン酸セチル、(カプリル酸/カプリン酸)グリセリズ、安息香酸フェネチル、炭酸ジカプリリル、C12-15の安息香酸アルキル及びオクトクリレンからなる群より選択されたいずれか一つ以上からなり、
前記メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤と炭化水素油とを1:0.5~0.93(メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤:炭化水素油)の重量比で含む、紫外線遮断用化粧料組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線によって紫外線遮断効率が増加する紫外線遮断用化粧料組成物に関する。
【0002】
本出願は、2019年2月27日付け出願の韓国特許出願第10-2019-0023391号、2019年3月29日付け出願の韓国特許出願第10-2019-0037278号、2019年8月29日付け出願の韓国特許出願第10-2019-0106892号及び2019年8月29日付け出願の韓国特許出願第10-2019-0106893号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
太陽光から照射される紫外線は、肌に紅斑、浮腫、そばかす、または皮膚癌を起こす主な原因として作用する。近年、紫外線に起因した様々な皮膚疾患に対する多くの研究が活発に行われている。一般に、紫外線は、その波長によって、200~280nmの波長を有するUV-C、280~320nmの波長を有するUV-B、320~400nmの波長を有するUV-Aに分類される。UV-Cはオゾン層を通過しながら地表面に到達できずに消失し、UV-Bは表皮まで浸透して紅斑、そばかす、浮腫などを引き起こす。UV-Aは、真皮まで浸透して皮膚癌を引き起こし、しわ、メラニン形成などの肌老化を促進し、また、肌刺激を誘発すると知られている。多数の疫学研究により、日光露出と人体皮膚癌との強い関連性が証明されている。
【0004】
日光露出に係わる上記のような危険のため、紫外線遮断製品に対する大衆的な関心が高まり、その結果、多様な種類のSPF(紫外線防御指数)を有する紫外線遮断製品が市販されている。紫外線遮断製品は、高いSPF値を持たせるため、二酸化チタン、酸化亜鉛などの無機紫外線遮断剤、または、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルなどの有機紫外線遮断剤を含む。
【0005】
紫外線遮断用化粧品は、紫外線によって紫外線遮断効率が低下し得る。特に、メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤であるメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸イソアミルまたはシノキセートは、紫外線によってトランス構造がシース構造に変化しながら、紫外線領域の光を吸収する効率が低下する問題がある。紫外線遮断効率が低下すれば、効果的に紫外線を遮断できず、肌老化や各種の皮膚疾患を誘発するおそれがある。また、野外活動が多くなって肌が太陽光に露出する時間が長くなれば、紫外線遮断用化粧品を塗り重ねなければならず不便である。このような問題を解決するため、紫外線遮断用化粧料組成物において、メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤自体の効果が減少することを防止する方法または同量を使用しても効果を一層増進させる方法の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、メトキシケイ皮酸(methoxycinnamate)構造を有する紫外線遮断剤が紫外線に露出したとき紫外線遮断効率が低下する問題を解決し、却って紫外線によって紫外線遮断効率が増加する紫外線遮断用化粧料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記のような従来技術の問題を解決するために鋭意研究した結果、メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤を含む化粧料組成物が特定の条件下で紫外線に露出するとき、却って紫外線遮断効率が増加するという驚くべき知見を見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
本発明者等は、前記紫外線遮断剤を含む化粧料組成物において、極性油または炭化水素油の含量を変えることで、メトキシケイ皮酸の分子間距離を調節できることを見出した。具体的には、分子間の距離が遠ければ、紫外線によってトランス構造のメトキシケイ皮酸分子がシース構造に変わり、紫外線吸収能が顕著に低下し得る。しかし、分子間の距離が十分に近い場合は、紫外線に露出したとき、ダイマー(dimer)を含めて多様な光反応物が生成され得る。このように生成された光反応物とのπ-πスタッキング(stacking)によってπ-π*遷移エネルギーレベルが変わり、吸収可能なエネルギーの波長領域も拡張され得る。本発明の紫外線遮断剤を含む化粧料組成物は、UV-A(320~400nm)及びUV-B(280~320nm)の波長領域における吸光度が紫外線を照射する前に比べて著しく増加するだけでなく、SPF値が著しく増加する。
【0009】
本発明は、メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤及び極性油を含む紫外線遮断用化粧料組成物を提供する。また、本発明は、メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤及び炭化水素油を含む紫外線遮断用化粧料組成物を提供する。前記メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤は、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(ethylhexyl methoxycinnamate)、パラメトキシケイ皮酸イソアミル(isoamyl p-methoxycinnamate)及びシノキセート(cinoxate)などからなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むことができる。前記メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤は、組成物の総重量対比2~30重量%、望ましくは2~25重量%、より望ましくは2~20重量%で含まれ得る。前記メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤が本発明の組成物の総重量に対して2重量%未満で含まれる場合は、紫外線によってSPFが減少し、30重量%を超える場合は、化粧料剤形の安定性が阻害されるおそれがある。
【0010】
一実施形態において、前記極性油は、エステル系オイルまたはトリグリセリドなどであり得、具体的には、エチルヘキサン酸セチル、(カプリル酸/カプリン酸)グリセリズ、安息香酸フェネチル、炭酸ジカプリリル、C12~15の安息香酸アルキル及びオクトクリレンなどからなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むことができるが、これらに制限されることはない。前記極性油は、組成物の総重量対比5%重量以下、望ましくは0.01~5重量、より望ましくは0.05~4重量%であり得る。または、極性油が含まれないことが最も望ましい。前記極性油の含量が5重量%を超える場合は、紫外線によるSPF増加効果が奏されない。
【0011】
一実施形態において、本発明のメトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤及び極性油を含む紫外線遮断用化粧料組成物は、炭化水素油をさらに含むことができる。このような場合、紫外線遮断効果が著しく増加し、また肌への塗り心地が優れる。前記炭化水素油は、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ワセリン、n-パラフィン、鉱油、イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン、ポリイソブチレン、水添(hydrogenated)ポリイソブチレン、ポリブテン、オゾケライト(ozokerite)、セレシン、微結晶ワックス(microcrystalline wax)、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン/ポリプロピレンワックス、スクワラン、スクアレン、プリスタン及びポリイソプレンなどからなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むことができるが、これらに制限されることはない。
【0012】
前記炭化水素油は、組成物の総重量対比5~30重量%、望ましくは5.1~30重量%、5.5~30重量%、6~30重量%、6.5~30重量%、または7~30重量%で含まれ得る。望ましくは、前記炭化水素油は、組成物の総重量対比5~25重量%、より望ましくは5.1~25重量%、5.5~25重量%、6~25重量%、6.5~25重量%、または7~25重量%で含まれ得る。望ましくは、前記炭化水素油は、組成物の総重量対比5~15重量%、より望ましくは5.1~15重量%、5.5~15重量%、6~15重量%、6.5~15重量%、または7~15重量%で含まれ得る。前記炭化水素油が組成物の総重量対比5重量%未満で含まれる場合は、使用感が硬すぎて化粧品の基本的な品質基準を満たすことができず、30重量%を超える場合は、剤形の安定性が阻害されるおそれがある。
【0013】
一実施形態において、本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、シリコーン油をさらに含むことができ、このような場合、紫外線によって紫外線遮断効率が増加する効果に優れ、使用感の改善にも役立つ。しかし、上述したように極性油の含量が制限された条件で、シリコーン油はメトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤との相溶性が良くないため、過量で含まれることは望ましくない。本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、シリコーン油を実質的に含まなくてもよく、シリコーン油を組成物の総重量対比15重量%以下、望ましくは10重量%以下、より望ましくは5重量%以下、さらに望ましくは3重量%以下で含み得る。前記シリコーン油は、シクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、ジメチコン、ジメチコノール及びフェニルトリメチコンなどからなる群より選択される一つ以上であり得るが、これらに制限されることはない。本発明の化粧料組成物に含まれる紫外線遮断剤であるメトキシケイ皮酸エチルヘキシルまたはパラメトキシケイ皮酸イソアミルは、シリコーン油との相溶性が良くないため、15重量%を超えるシリコーン油を含むと、常温における安定性が低下するおそれがある。
【0014】
一実施形態において、本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤と極性油とを1:0.01~1、望ましくは1:0.01~0.8、より望ましくは1:0.01~0.6、さらに望ましくは1:0.01~0.4、一層望ましくは1:0.01~0.2(メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤:極性油)の重量比で含み得るが、最も望ましくは極性油を含まなくてもよい。前記極性油の重量が上記の重量比の範囲を超過する場合、紫外線による紫外線遮断効率が増加する効果が奏されない。
【0015】
一実施形態において、本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤と炭化水素油とを1:0.2~15、望ましくは1:0.2~8、より望ましくは1:0.2~3(メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤:炭化水素油)の重量比で含み得る。前記炭化水素油は、組成物の総重量対比5重量%以上の範囲内で、化粧料組成物の使用感を向上させるために前記紫外線遮断剤と適切な重量比で含まれ得る。上記の範囲から外れる場合、紫外線による紫外線遮断効率または化粧料組成物の使用感が阻害されるおそれがある。
【0016】
一実施形態において、本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、極性油及び炭化水素油を同時に含む場合、極性油と炭化水素油とを1:1~300、望ましくは1:1~200、より望ましくは1:1~100(極性油:炭化水素油)の重量比で含み得る。前記極性油と炭化水素油との重量比が上記の範囲から外れる場合、紫外線による紫外線遮断効率または化粧料組成物の使用感が阻害されるおそれがある。
【0017】
一実施形態において、本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、無機紫外線遮断剤をさらに含むことができる。前記無機紫外線遮断剤は、二酸化チタン、酸化亜鉛または酸化鉄などであり得るが、これらに制限されない。また、本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、保湿剤、増粘剤、界面活性剤、油性基剤、防腐剤、酸化防止剤、アルコール、香料、pH調節剤または天然抽出物などをさらに含むことができるが、これらに制限されない。
【0018】
本発明による化粧料組成物は、当業界で通常製造される如何なる剤形にも製造可能であり、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、せっけん、界面活性剤含有クレンザーまたはオイルなどに剤形化できるが、これらに限定されることはない。より具体的には、柔軟化粧水、栄養化粧水、スキントナー、栄養クリーム、乳液、化粧軟膏、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、ゲル、メイクアップベース、ファンデーション、スプレーまたはパウダーなどの剤形に製造することができる。一実施形態において、本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、エマルション剤形、例えば油中水(W/O)または水中油(O/W)剤形であり得る。
【0019】
一実施形態において、本発明は、組成物の総重量に対してメトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤を2~30重量%、極性油を5重量%以下、及び炭化水素油を5~30重量%で含む紫外線遮断用化粧料組成物を提供する。前記組成物は、紫外線の照射後に紫外線遮断効果が著しく上昇し、化粧料組成物の使用感も著しく優れる。
【0020】
本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、紫外線照射後にSPF値が著しく増加し、具体的には、紫外線照射前に比べてSPF値が3~80%、望ましくは5~77%増加できる。本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、紫外線照射後にUV-A(320~400nm)及びUV-B(280~320nm)に対する遮断効果が増加し、望ましくはUV-Bに対する遮断効果が著しく増加する。
【0021】
本発明は、メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤と組成物の総重量対比5重量%以下の極性油とを混合する段階を含む紫外線遮断用化粧料組成物の製造方法を提供する。一実施形態において、前記製造方法は、炭化水素油をさらに混合する段階を含むことができる。前記製造方法には、上述した紫外線遮断用化粧料組成物についての内容が同様に適用できる。
【0022】
また、本発明者等は、前記紫外線遮断剤を含む化粧料組成物に特定含量の極性油を含み、化粧料組成物を水中油(O/W)剤形に製造することで、メトキシケイ皮酸の分子間距離を近く調節することができ、それによって紫外線に露出したとき、紫外線遮断効率が増加することを見出した。
【0023】
本発明は、メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤及び極性油を含み、前記紫外線遮断剤がパラメトキシケイ皮酸イソアミルを含む紫外線遮断用化粧料組成物を提供する。前記紫外線遮断剤は、パラメトキシケイ皮酸イソアミルの他に、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、シノキセート、またはこれらの混合物などをさらに含むことができる。前記メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤は、組成物の総重量対比2~30重量%、望ましくは2~25重量%、より望ましくは2~20重量%で含まれ得る。前記メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤が本発明の組成物の総重量対比2重量%未満で含まれる場合は、紫外線によってSPFが減少し、30重量%を超える場合は、化粧料剤形の安定性が阻害されるおそれがある。
【0024】
一実施形態において、前記パラメトキシケイ皮酸イソアミルは、組成物の総重量対比2~30重量%、望ましくは2~25重量%、より望ましくは2~20重量%で含まれ得る。前記パラメトキシケイ皮酸イソアミルが2重量%未満で含まれる場合は、紫外線によってSPFが減少し、30重量%を超える場合は、化粧料剤形の安定性が阻害されるおそれがある。
【0025】
一実施形態において、前記極性油は、エステル系オイルまたはトリグリセリドなどであり得、ここにメトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤は除外され得る。具体的には、前記極性油は、エチルヘキサン酸セチル、(カプリル酸/カプリン酸)グリセリズ、安息香酸フェネチル、炭酸ジカプリリル、C12~15の安息香酸アルキル、オクトクリレン及びフェニルトリメチコンなどからなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むことができるが、これらに制限されることはない。
【0026】
一実施形態において、前記極性油の含量は、前記パラメトキシケイ皮酸イソアミルの含量と同一であるかまたはその未満であり得る。または、前記極性油の含量は、組成物の総重量対比0.01~30重量%、望ましくは0.01~25重量%、より望ましくは0.01~20重量%で含まれ得る。または、前記極性油は、本発明の紫外線遮断用化粧料組成物に全く含まれなくてもよい。前記極性油の含量が前記パラメトキシケイ皮酸イソアミルの含量を超えると、紫外線によるSPF増加効果が奏されない。
【0027】
一実施形態において、本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤と極性油とを1:0.01~0.7、望ましくは1:0.01~0.5、より望ましくは1:0.01~0.3(メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤:極性油)の重量比で含み得る。または、本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、パラメトキシケイ皮酸イソアミルと極性油とを1:0.01~0.7、望ましくは1:0.01~0.5、より望ましくは1:0.01~0.3(パラメトキシケイ皮酸イソアミル:極性油)の重量比で含み得る。前記極性油の重量が上記の重量比の範囲を超えると、紫外線によって紫外線遮断効率が増加する効果が奏されない。
【0028】
一実施形態において、前記紫外線遮断用化粧料組成物は、非極性油をさらに含むことができ、前記非極性油は、例えば炭化水素油、シリコーン油、またはこれらの混合物などを含み得る。前記紫外線遮断用化粧料組成物が炭化水素油を含む場合、肌への塗り心地が優れ、紫外線遮断効果を増加させることができる。前記炭化水素油は、イソドデカン、イソヘキサデカン、鉱油、水添ポリデセン及びスクワランなどからなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むことができるが、これらに制限されることはない。また、前記紫外線遮断用化粧料組成物がシリコーン油をさらに含む場合、紫外線によって紫外線遮断効率が増加する効果に優れ、使用感の改善にも役立つ。前記シリコーン油は、シクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、ジメチコン、ジメチコノール及びフェニルトリメチコンなどからなる群より選択される一つ以上であり得るが、これらに制限されることはない。
【0029】
本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、非極性油を組成物の総重量対比20重量%以下、望ましくは15重量%以下、より望ましくは5重量%以下、さらに望ましくは3重量%以下で含み得る。前記非極性油は、組成物の総重量対比0.01~20重量%、望ましくは5.0~20重量%、または5.1~20重量%で含まれ得る。望ましくは、前記非極性油は、組成物の総重量対比0.01~10重量%、より望ましくは5.0~10重量%、または5.1~10重量%で含まれ得る。前記非極性油が組成物の総重量対比0.01重量%未満で含まれる場合は、使用感が硬すぎて化粧品の基本的な品質基準を満たすことができず、20重量%を超える場合は、剤形の安定性が阻害されるおそれがある。
【0030】
一実施形態において、本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、エマルション剤形、望ましくは水中油(O/W)剤形であり得る。本発明の紫外線遮断用化粧料組成物が上述した特定含量の極性油を含む水中油剤形に製造される場合、紫外線を照射した後に紫外線遮断効率が増加する効果が著しく優れる。
【0031】
一実施形態において、本発明は、メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤及び極性油を含み、前記紫外線遮断剤はパラメトキシケイ皮酸イソアミルを含み、前記紫外線遮断剤は組成物の総重量対比2~30重量%であり、前記極性油の含量は前記パラメトキシケイ皮酸イソアミルの含量と同一であるか又はその未満である水中油型の紫外線遮断用化粧料組成物を提供する。前記組成物は、紫外線を照射した後、紫外線遮断効果が著しく上昇し、化粧料組成物の使用感も著しく優れる。
【0032】
本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、紫外線照射後のSPF値が著しく増加し、具体的には紫外線を照射する前に比べて3~80%、望ましくは5~77%増加することができる。本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、紫外線を照射した後、UV-A(320~400nm)及びUV-B(280~320nm)に対する遮断効果が増加し、望ましくはUV-Bに対する遮断効果が著しく増加する。
【0033】
本発明は、メトキシケイ皮酸構造を有する紫外線遮断剤と極性油とを混合する段階を含み、前記紫外線遮断剤がパラメトキシケイ皮酸イソアミルを含み、前記極性油の含量が前記パラメトキシケイ皮酸イソアミルの含量の同一であるか又はその未満である紫外線遮断用化粧料組成物の製造方法を提供する。前記製造方法には、上述した紫外線遮断用化粧料組成物についての内容が同様に適用できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、紫外線に露出したとき、紫外線遮断効率、特にUV-A(320~400nm)及びUV-B(280~320nm)に対する遮断効果が著しく増加する。また、本発明の紫外線遮断用化粧料組成物は、特定含量の炭化水素油を含むことで使用感が著しく優れる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施例(実施例8)における紫外線遮断増加率を示した結果である。
図2】本発明の一実施例(実施例8)における紫外線照射前後の吸光度変化結果である。
図3】本発明の一実施例(実施例13)における紫外線照射前後の吸光度変化結果である。
図4】比較例11における紫外線照射前後の吸光度変化結果である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の理解を助けるため、実施例などを挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は多様な形態で変形でき、本発明の範囲が下記の実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0037】
実験例1:紫外線の照射前後の紫外線遮断効果
下記の表1に示された代表的な紫外線遮断剤5種をPMMAプレート(HelioScreen Labs製、HD6)に1.3mg/cmの量で塗布し、紫外線照射器(ソーラシミュレータ 16S、Solar Light Company製)を用いて2MED(Minimal Erythema Dose)を照射する前後のイン・ビトロ(in vitro)SPFをSPF-290S(Optomertrics Corporation製)を通じて測定した。イン・ビトロSPFは、PMMAプレートの6ヶ所の異なる部分で測定してその平均値を使用した。その結果を下記の表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
その結果、メトキシケイ皮酸構造を有するOMCまたはIMCはイン・ビトロSPF値が増加した一方、他の紫外線遮断剤は有意な変化がなかった。
【0040】
実験例2:OMC及びIMC含量による紫外線遮断効果
下記の表2の含量で紫外線遮断用化粧品を製造した。A項とB項をそれぞれ用意して75℃に加温した。A項にB項をゆっくり投入しながらホモミキサーを用いて5分間乳化して30℃まで冷却した。製造したそれぞれの試料に対する紫外線照射前後のSPF値を実験例1と同じ方法で測定し、その結果を下記の表3に示した。
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
実験例3:シリコーン油の含量による紫外線遮断効果
上述した方法で下記の表4のような組成の試料を製造した。それぞれの試料に対して同様の方法で紫外線照射前後のイン・ビトロSPFを測定し、紫外線照射前後の値を比べて下記の表5に示した。
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
シリコーン油の含量による発明の効果を調べるため実験を行った。比較例2~5のようにシリコーン油の含量が高くなっても発明の効果は維持された。しかし、シリコーン油とOMC及びIMCとの相溶性が良くないため、安定性が多少減少した。
【0047】
実験例4:炭化水素油の含量による紫外線遮断効果
上述した方法で下記の表6のような組成の試料を製造した。それぞれの試料に対して同様の方法で紫外線照射前後のイン・ビトロSPFを測定し、紫外線照射前後の値を比較して下記の表7に示した。
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】
炭化水素油の種類と含量による発明の効果を調べるため実験を行った。比較例6~9及び実施例9~12の実験結果を見ると、炭化水素油の種類と含量に関係なく本発明のSPF上昇効果は優れた。しかし、炭化水素油の含量が5%未満である比較例6~9の場合は、使用感が硬すぎて化粧品の基本的な品質基準に及ばなかった。炭化水素油の含量が5%以上である実施例9~12の場合は、SPF上昇効果が著しく優れ、肌への塗り心地も著しく優れた。
【0050】
実施例8における紫外線照射前後の紫外線領域の吸光度(absorbance)変化を図2に示した。吸光度は、イン・ビトロSPFを測定するため、SPF-290S(Optomertrics Corporation製)で測定したデータを使用した。実施例8における紫外線照射前の吸光度は実線で示し、紫外線照射後の吸光度は点線で示した。図2に示したように、実施例8では紫外線の照射とともに紫外線全体領域の吸光度が増加することが確認できた。紫外線照射後のSPF値が上昇することは、UV-A(320~400nm)及びUV-B(280~320nm)領域、特にUV-B領域の吸光度が著しく増加することに起因すると推定できる。
【0051】
実験例5:極性油の含量による紫外線遮断効果
上述した方法で下記の表8のような組成の試料を製造した。それぞれの試料に対して同様の方法で紫外線照射前後のイン・ビトロSPFを測定し、紫外線照射前後の値を比較して下記の表9に示した。
【0052】
【表8】
【0053】
【表9】
【0054】
極性油の種類と含量による発明の効果を調べるため実験を行った。極性油の含量が5%以下であるときは、実施例13、14のように紫外線遮断効果が著しく上昇した。しかし、極性油の含量が5%以上であるときは、比較例10~13のように紫外線遮断効率の上昇が見られなかった。
【0055】
実施例13における紫外線照射前後の吸光度グラフを図3に示した。吸光度グラフから紫外線全領域で紫外線遮断効率が増加することが確認できた。
【0056】
比較例11における紫外線照射前後の吸光度グラフを図4に示した。図4に示した比較例11の吸光度変化を見れば、紫外線による吸光度変化が殆どなく、却ってUV-B領域でわずかに吸光度が減少することが見られる。
【0057】
実験例6:極性油の種類及び含量による紫外線遮断効果
上述した方法で下記の表10のような組成の試料を製造した。それぞれの試料に対して同様の方法で紫外線照射前後のイン・ビトロSPFを測定し、紫外線照射前後の値を比較して下記の表11に示した。
【0058】
【表10】
【0059】
【表11】
【0060】
より多くの極性油の種類と含量による紫外線遮断効果を調べるため実験を行った。極性油の含量5%が以下であるときは、実施例15~19のように紫外線照射前後において紫外線遮断効果の上昇が著しく現れた。しかし、極性油の含量が5%を超えるときは、比較例14~18のように紫外線遮断効果の上昇が現れなかった。
【0061】
実験例7:水中油型におけるオイルの種類による紫外線遮断効果
下記の表12に示された組成を有する紫外線遮断用化粧品を以下のように製造した。A項の原料を75℃で十分に混合して用意した。原料10に原料11を投入し、ディスパーを用いて30分間分散した。B項の残りの原料を投入して75℃に加温して用意した。B項にA項をゆっくり投入しながらホモミキサーを用いて10分間乳化して30℃まで冷却した。
【0062】
【表12】
【0063】
実験例1と同じ方法でそれぞれの試料に対して紫外線照射前後のSPF値を測定し、その結果を下記の表13にまとめて示した。
【0064】
【表13】
【0065】
オイルを含まない実施例20または非極性油を含む実施例21~23は、紫外線によってイン・ビトロSPF値が増加した。しかし、極性油が10重量%含まれた比較例19、20は、紫外線によってイン・ビトロSPF値が低下した。このような結果から、本発明の紫外線遮断用化粧料組成物が優れた紫外線遮断効果を奏するためには、非極性油と異なって、極性油の含量には制限が必要であることを確認した。
【0066】
実験例8:水中油型におけるOMC及びIMCのオイルによる紫外線遮断効果
下記の表14及び表15に示された組成を有する紫外線遮断用化粧品を以下のように製造した。A項の原料を75℃で十分に混合して用意した。原料6に原料7を投入してディスパーを用いて30分間分散した。B項の残りの原料を投入して75℃に加温して用意した。B項にA項をゆっくり投入しながらホモミキサーを用いて10分間乳化して30℃まで冷却した。
【0067】
【表14】
【0068】
【表15】
【0069】
それぞれの試料をPMMAプレート(HelioScreen Labs製、HD6)に1.3mg/cmの量で塗布し、実験用紫外線照射装置bio-sun(Vilber Lourmat製)を用いて波長321nmの光を2MED照射する前後のイン・ビトロSPFを表16、表17に示した。イン・ビトロSPFは、分光光度計(spectrophotometer、Epoch社製)で測定した吸光度を用いて下記の数式によって計算した。吸光度はPMMAプレートの9ヶ所の異なる地点で測定し、それぞれの吸光度から計算したSPF数値の平均値を使用した。
【0070】
【数1】
λ:紅斑作用スペクトル(erythemal action spectrum)
λ:分光放射照度(spectral irradiance、W/m/nm)
λ:透過率(transmittance)
【0071】
【表16】
【0072】
【表17】
【0073】
OMCが単独で使用された比較例21~23では、極性油が少量含まれるだけでも紫外線照射後のSPF値が低下して本発明の効果が奏されなくなった。OMCに追加的に非極性油が含まれる実施例25~30では、紫外線遮断効率が増加することを確認できた。IMCが単独で使用された実施例32~34では、極性油の否定的効果が著しく減少した。IMCに追加的に非極性油が含まれる実施例35~40では、紫外線によって紫外線遮断効率が増加することを確認できた。
【0074】
実験例9:水中油型におけるIMCと極性油による紫外線遮断効果
下記の表18及び表19に示された組成を有する紫外線遮断用化粧品を以下のように製造した。A項の原料を75℃で十分に混合して用意した。原料6にに原料7を投入してディスパーを用いて30分間分散した後、原料8を投入して75℃に加温して用意した。B項にA項をゆっくり投入しながらホモミキサーを用いて10分間乳化して30℃まで冷却した。
【0075】
【表18】
【0076】
【表19】
【0077】
それぞれの試料をPMMAプレート(HelioScreen Labs製、HD6)に1.3mg/cmの量で塗布し、suntest XLS+(ソーラシミュレータ)を用いて2MED照射する前後のイン・ビトロSPFを下記の表20に示した。イン・ビトロSPFは、分光光度計(Epoch社製)で測定した吸光度を用いて下記の数式によって計算した。吸光度はPMMAプレートの9ヶ所の異なる地点で測定し、それぞれの吸光度から計算されたSPF数値の平均値を使用した。
【0078】
【数2】
λ:紅斑作用スペクトル(erythemal action spectrum)
λ:分光放射照度(spectral irradiance、W/m/nm)
λ:透過率(transmittance)
【0079】
【表20】
【0080】
実施例41~46のように極性油の含量がIMCの含量と同一であるか又は未満である場合は、紫外線によってイン・ビトロSPF数値が増加した。一方、比較例24~33のように極性油の含量がIMCの含量よりも多いと、紫外線によってイン・ビトロSPF数値が減少するか、または、変化率が著しく低くなることを確認した。したがって、本発明の紫外線遮断用化粧料組成物が優れた紫外線遮断効果を発揮するためには、極性油の含量が紫外線遮断剤、特にIMCの含量と同一であるか又は未満でなければならないことが確認できた。
【0081】
実験例10:非極性油の含量による紫外線遮断効果
下記の表21の含量で紫外線遮断用化粧品を製造した。A項とB項をそれぞれ用意して75℃に加温した。A項にB項をゆっくり投入しながらホモミキサーを用いて5分間乳化して30℃まで冷却した。製造したそれぞれの試料に対する紫外線照射前後のSPF値を実験例1と同様の方法で測定し、その結果を下記の表22に示した。
【0082】
【表21】
【0083】
【表22】
【0084】
実施例47~50のように非極性油が20%まで含まれても紫外線によって紫外線遮断効率が増加することを確認した。
【0085】
実験例11:OMC及びIMCの含量による紫外線遮断効果
下記の表23の含量で紫外線遮断用化粧品を製造した。A項とB項をそれぞれ用意して75℃に加温した。A項にB項をゆっくり投入しながらホモミキサーを用いて5分間乳化して30℃まで冷却した。製造したそれぞれの試料に対する紫外線照射前後のSPF値を実験例1と同様の方法で測定し、その結果を下記の表24に示した。
【0086】
【表23】
【0087】
【表24】
【0088】
実施例51~53のように含まれた極性油がIMCの含量よりも少ないときは発明の効果が維持され、比較例34及び35のように極性油がIMCの含量よりも多く含まれるときは本発明の効果が奏されないことを確認した。
【0089】
実験例12:乳化剤による紫外線遮断効果
下記の表25及び表26を参考して紫外線遮断用化粧品を製造した。A項とB項をそれぞれ用意して75℃に加温した。A項にB項をゆっくり投入しながらホモミキサーを用いて5分間乳化して30℃まで冷却した。製造したそれぞれの試料に対する紫外線照射前後のSPF値を実験例1と同様の方法で測定し、その結果を下記の表27に示した。
【0090】
【表25】
【0091】
【表26】
【0092】
【表27】
【0093】
水中油型に適した乳化剤を含んでも、本発明の効果が維持されることを確認した。
【0094】
実験例13:ポリマーによる紫外線遮断効果
下記の表28及び表29を参考して紫外線遮断用化粧品を製造した。A項とB項をそれぞれ用意して75℃に加温した。A項にB項をゆっくり投入しながらホモミキサーを用いて5分間乳化して30℃まで冷却した。製造したそれぞれの試料に対する紫外線照射前後のSPF値を実験例1と同様の方法で測定し、その結果を下記の表30に示した。
【0095】
【表28】
【0096】
【表29】
【0097】
【表30】
【0098】
水中油型で使われる増粘剤を使用しても本発明の効果が維持されることを確認した。
【0099】
実験例14:水中油型における乳化剤の種類による紫外線遮断効果
下記の表31の組成に表32に示された種類の乳化剤をそれぞれ混合して紫外線遮断用化粧品を以下のように製造した。A項の原料を75℃で十分に混合して用意した。原料6に原料7と8を投入してディスパーを用いて30分間分散した後、B項の残りの原料を投入し75℃に加温して用意した。B項にA項をゆっくり投入しながらホモミキサーを用いて10分間乳化して30℃まで冷却した。製造したそれぞれの試料に対する紫外線照射前後のSPF値を実験例1と同様の方法で測定し、その結果を下記の表33に示した。
【0100】
【表31】
【0101】
【表32】
【0102】
【表33】
【0103】
実施例72~79に使用された乳化剤は紫外線遮断効果を著しく増加させたが、比較例36に使用された乳化剤は紫外線遮断効果を増加できないことが確認された。
図1
図2
図3
図4