(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】エンドキシフェンの徐放性組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/138 20060101AFI20250408BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250408BHJP
A61K 9/28 20060101ALI20250408BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20250408BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20250408BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20250408BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20250408BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20250408BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20250408BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20250408BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20250408BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20250408BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
A61K31/138
A61P35/00
A61K9/28
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/32
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/44
A61K47/14
A61K47/06
(21)【出願番号】P 2022500075
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 US2020040757
(87)【国際公開番号】W WO2021003433
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-07-03
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519108822
【氏名又は名称】アトッサ・セラピューティクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】キー, スティーブン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ビュートゥクル, ナレシュ クマール レディ
(72)【発明者】
【氏名】シャンムガム, スリニバサン
【審査官】川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/051416(WO,A1)
【文献】特表2005-511591(JP,A)
【文献】国際公開第2008/066783(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腸溶コーティングでコーティングされたコア錠剤を含む徐放性組成物であって、前記コア錠剤が、
(Z)-エンドキシフェンを含む治療剤と、
総コア錠剤重量に対して16重量%を下らず、60重量%以下のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、徐放剤と、
10キロポンド(Kp)を下らず、16Kp以下の硬度と
を含み、前記腸溶コーティングが遅延放出剤を含む、徐放性組成物。
【請求項2】
前記治療剤が、総治療剤重量に対して少なくとも90重量%の(Z)-エンドキシフェンを含む、請求項1に記載の徐放性組成物。
【請求項3】
前記コア錠剤が、総コア錠剤重量に対して1重量%を下らず、40重量%以下の治療剤を含む、請求項1または請求項2に記載の徐放性組成物。
【請求項4】
前記徐放剤が、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、ゴム、アクリル樹脂、またはこれらの組合せを
さらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
【請求項5】
前記ヒドロキシアルキルセルロースが、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
または、ヒドロキシプロピルセルロー
スを含む、請求項4に記載の徐放性組成物。
【請求項6】
前記コア錠剤が、総コア錠剤重量に対して
20重量%を下らず、
60重量%以下の徐放剤を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
【請求項7】
前記コア錠剤が、結合剤をさらに含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
【請求項8】
前記コア錠剤が、総コア錠剤重量に対して30重量%を下らず、97重量%以下の結合剤を含む、請求項
7に記載の徐放性組成物。
【請求項9】
前記結合剤が、単糖類、二糖類、デンプン、多価アルコール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、ラクトース、ポリエチレングリコール、ゴム、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、無水リン酸水素カルシウム、タルク、デキストレート、カオリン、ケイ酸、またはこれらの組合せを含む、請求項
7または請求項
8に記載の徐放性組成物。
【請求項10】
前記コア錠剤が、総コア錠剤重量に対して10重量%を下らず、90重量%以下の微結晶性セルロースを含む、請求項
9に記載の徐放性組成物。
【請求項11】
前記コア錠剤が、滑沢剤をさらに含む、請求項1から1
0のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
【請求項12】
前記滑沢剤が、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カリウム、硬化植物油、鉱物油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、タルク、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、蝋、またはこれらの組合せを含む、請求項1
1に記載の徐放性組成物。
【請求項13】
前記コア錠剤が、総コア錠剤重量に対して0.01重量%を下らず、5重量%以下のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項1
2に記載の徐放性組成物。
【請求項14】
前記遅延放出剤が、ポリ(メタ)アクリレートポリマーを含む、請求項1から1
3のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
【請求項15】
前記腸溶コーティングが、総腸溶コーティング重量に対して60重量%を下らず、80重量%以下のポリ(メタ)アクリレートポリマーを含む、請求項1
4に記載の徐放性組成物。
【請求項16】
前記腸溶コーティングが、可塑剤をさらに含む、請求項1から1
5のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
【請求項17】
前記可塑剤が、クエン酸トリエチルを含む、請求項1
6に記載の徐放性組成物。
【請求項18】
前記腸溶コーティングが、総腸溶コーティング重量に対して0.01重量%を下らず、5重量%以下のクエン酸トリエチルを含む、請求項1
7に記載の徐放性組成物。
【請求項19】
前記腸溶コーティングが、付着防止剤をさらに含む、請求項1から1
8のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
【請求項20】
前記付着防止剤が、タルクを含む、請求項
19に記載の徐放性組成物。
【請求項21】
前記腸溶コーティングが、総腸溶コーティング重量に対して1重量%を下らず、40重量%以下のタルクを含む、請求項2
0に記載の徐放性組成物。
【請求項22】
前記腸溶コーティングが、総徐放性組成物重量の5重量%を下らず、30重量%以下を構成する、請求項1から2
1のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
【請求項23】
前記(Z)-エンドキシフェンが、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せを含む、請求項1から2
2のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
【請求項24】
前記(Z)-エンドキシフェンの塩が、酢酸塩、アレコリン、ベンザチン、安息香酸塩、ベシル酸塩、ベンゾスルホン酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素塩、ブチルブロミド、クエン酸塩、カンシル酸塩、クレミゾール、クロロプロカイン、コリン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナプタノエート、イセチオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、メシル酸塩、メチルブロミド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、メタンスルホン酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パントテン酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、ピペラジン、プロカイン、ポリガラクツロン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トリエチオジド、トリフルオロ酢酸塩、アルミニウム、バリウム、ビスマス、リチウム、マグネシウム、カリウムおよび亜鉛、アルミニウム、バリウム、ビスマス、リチウム、マグネシウム、カリウム、および亜鉛、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項2
3に記載の徐放性組成物。
【請求項25】
前記徐放剤が、総コア錠剤重量に対して20重量%を下らず、60重量%以下のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、前記治療剤が、37℃で0~2時間、pH1.2の模擬胃液中で、および2時間後にpH6.8の模擬腸液中で測定して、2時間で20%
未満、7時間で40%
未満、12時間で少なくとも30%、またはこれらの組合せの溶解パーセンテージを有する、請求項1から2
4のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
【請求項26】
前記治療剤が、3時間で35%
未満、24時間で少なくとも50%、またはその両方の溶解パーセンテージを有する、請求項1から2
5のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
【請求項27】
前記治療剤の少なくとも90重量%が、(Z)-エンドキシフェンの多形形態Iであり、前記多形形態Iが、2シータ16.8±0.3°、17.1±0.3°および21.8±0.3°における主ピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項1から2
6のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
【請求項28】
前記多形形態Iが、2シータ12.3±0.3°、16.0±0.3°、18.8±0.3°、26.5±0.3°、28.0±0.3°および29.0±0.3°から選択される少なくとも1つのピークをさらに含むX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項2
7に記載の徐放性組成物。
【請求項29】
治療剤と徐放剤とを含む徐放性組成物であって、前記治療剤が、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せであり、
前記徐放剤が、前記徐放性組成物の総重量に対して20重量%を下らず、60重量%以下のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、前記治療剤が、37℃で0~2時間pH1.2の模擬胃液中でおよび2時間後にpH6.8の模擬腸液中で測定して、
2時間で20%未満の溶解パーセンテージ、
7時間で40%未満の溶解パーセンテージ、および
12時間で少なくとも30%の溶解パーセンテージ
から選択される少なくとも2つの溶解パーセンテージパラメーターを有する、徐放性組成物。
【請求項30】
それを必要とする対象に経口投与されることを特徴とする、請求項1から
29のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
【請求項31】
障害の処置を必要とする対象において、障害を処置するための、請求項1から
29のいずれか一項に記載の徐放性組成物であって、前記対象が、前記障害に罹患しているかまたは前記障害に罹患するリスクがあり、前記対象に経口投与されることを特徴とする、徐放性組成物。
【請求項32】
前記障害が、乳房障害、良性乳房障害、過形成、異型、異型乳管過形成、異型小葉過形成、乳腺濃度上昇、女性化乳房症、非浸潤性乳管癌、非浸潤性小葉癌、乳がん、思春期早発症、またはマッキューン・オルブライト症候群である、請求項3
1に記載の徐放性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2019年7月3日に出願した発明の名称が「SUSTAINED RELEASE COMPOSITIONS OF ENDOXIFEN」である米国特許仮出願第62/870,656号(代理人整理番号38602-764.101)、2020年3月13日に出願した発明の名称が「SUSTAINED RELEASE COMPOSITIONS OF ENDOXIFEN」である米国特許仮出願第62/989,342号(代理人整理番号38602-764.102)、および2020年5月7日に出願した発明の名称が「SUSTAINED RELEASE COMPOSITIONS OF ENDOXIFEN」である米国特許仮出願第63/021,549号(代理人整理番号38602-764.103)の利益を主張するものであり、これらの仮出願の各々は、その全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
乳がんは、女性において最もよく見られる形態のがんであり、ヒトにおけるがんによる死亡の2番目に多い原因である。2019年には、侵襲性乳がんの推定268,600件の新たな症例が、非侵襲性(浸潤性)乳がんの62,930件の新たな症例とともに、米国の女性において診断されると予想される。侵襲性乳がんの約2,670件の新たな症例が、2019年には男性において診断されると予想される。選択的エストロゲン受容体モジュレーターであるタモキシフェンは、内分泌反応性乳がん、例えば、ホルモン依存性またはホルモン感受性乳がんを有する女性の処置に使用される。
【0003】
主としてタモキシフェンの経口送達による、アジュバント療法は、重度のまたは厄介な副作用、例えば、血管運動症状、例えばホットフラッシュ(薬物投与日当り78%ほどもの高い報告頻度(Mortimer et al. Breast Cancer Res Treat. 2008 Apr; 108(3): 421-426))、ならびに重篤な副作用、例えば、凝固異常(例えば、脳卒中、深部静脈血栓症)、および生殖器系(婦人科)がんを有することが公知である。結果として、タモキシフェン療法の患者の順守は、いまだ問題である。患者には、ホットフラッシュの処置のためにパロキセチンなどの選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)抗うつ薬が処方されているのだが、そのようなSSRIが、タモキシフェンをはじめとする多くの薬物の代謝にとって重要なチトクロムP450(CYP)酵素(例えば、CYP2D6およびCYP3A4)を阻害することは公知である。例えば、タモキシフェンとパロキセチンの併用投与が、タモキシフェンの活性代謝物である4-ヒドロキシ-N-デスメチル-タモキシフェン(エンドキシフェン)の血漿濃度を低下させることは公知である。その上、タモキシフェンによるアジュバント療法を受けている個体の大多数は、この薬物に反応せず、その後、患者の30~50%は、彼らの疾患によって死亡する。
【0004】
それ故、タモキシフェンのいくつかの代替物が乳がんの処置のために開発中であり、そのような代替物としては、タモキシフェンの活性代謝物、アフィモキシフェン(米国特許第7,485,623号、同第7,507,769号、同第7,704,516号、同第7,786,172号、同第7,968,532号および同第8,048,927号を参照されたい)、エンドキシフェン(米国特許第9,333,190号;米国特許第9,220,680号、同第9,090,640号および同第9,200,045号;米国特許出願公開第2009/0291134号、同第US20100112041号、同第20180049999号、WO2019051416(A1)およびWO2019051370(A1)Atossa Geneticsを参照されたい)、およびそれらの誘導体(米国特許第8,063,249号、米国特許出願公開第2015/0080339号および同第2014/0193334号を参照されたい)が挙げられる。(Z)-エンドキシフェンが、タモキシフェンの臨床的有効性を担うタモキシフェンの主活性代謝物であることは、広く受入れられている。エンドキシフェンは、主として、タモキシフェンのCYP2D6媒介加水分解およびCYP3A4媒介N脱メチル反応によって生成される。CYP3A4またはCYP2D6、特にCYP2D6、の基質であり得るいずれの薬物も(例えば、SSRI)、エンドキシフェンのレベルを低下させ、ひいてはタモキシフェンの治療利益を低減させ得る。そのような対象にエンドキシフェンを直接投与することによって、そのような薬物相互作用の効果は避けられる。
エンドキシフェンの塩酸塩およびクエン酸塩(例えば、Fauq et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters.20 (2010) 3036 - 3038;Stearns et al., J. Natl. Cancer Inst. Vol 95, No. 23, 2003;米国特許出願公開第2009/0291134号および同第2010/0112041号;Clinical Trials Gov.Identifier番号NCT01273168およびNCT02311933;Goetz et al., 2015, San Antonio Cancer Symposium;Ahmad et al., Clinical Pharmacology & Therapeutics.88(6) 814-817, 2010;およびJ Clin.Oncol.30, 2012 (suppl; abstr 3089);Ahmad et al. Breast Cancer Research and Treatment 2010, 122, 579-584を参照)は、当技術分野において公知であり、転移性がんについて現在評価中であるが、ホルモン依存性乳房および生殖器系(婦人科)障害、ならびにエンドキシフェンが効きやすいまたは奏効する他の障害を処置および/または予防するための、新しい組成物および方法に対するまだ対処されていない医療要求がある。
男性および女性において、特に、タモキシフェン抵抗性の患者においておよび閉経前の女性集団において、有意な有害な全身性副作用を伴うことなく乳房疾患を処置するためのおよび予防するための方法に対する強い要求が存在する。副作用または患者の耐容性の問題に関連し得る対象におけるエンドキシフェンの急速な放出または送達を回避するエンドキシフェンの血中レベルを提供する製剤に対する強い要求も存在する。さらに、十分な量の(Z)-エンドキシフェン用量を、この薬物が胃の酸性環境において分解することなく胃を確実に通過するようにすることによって、患者が確実に利用できるようにすることに対する強い要求も存在する。特に、他の投与薬またはそれらの代謝に伴う複合作用の影響を抑えた乳がん処置および予防に対する要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第7,485,623号明細書
【文献】米国特許第7,507,769号明細書
【文献】米国特許第7,704,516号明細書
【文献】米国特許第7,786,172号明細書
【文献】米国特許第7,968,532号明細書
【文献】米国特許第8,048,927号明細書
【文献】米国特許第9,333,190号明細書
【文献】米国特許第9,220,680号明細書
【文献】米国特許第9,090,640号明細書
【文献】米国特許第9,200,045号明細書
【非特許文献】
【0006】
【文献】Mortimer et al. Breast Cancer Res Treat. 2008 Apr; 108(3): 421-426
【文献】Fauq et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters.20 (2010) 3036-3038
【文献】Stearns et al., J. Natl. Cancer Inst. Vol 95, No. 23, 2003
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
以前の公表文献ならびに先行特許および特許出願のエンドキシフェン遊離塩基およびエンドキシフェン塩は、乳がんを有する対象の処置のために開発されたものである。米国特許第9,333,190号には、エンドキシフェンクエン酸塩を用いて作製された腸溶コーティングされた錠剤および腸溶コーティングされたカプセルが記載されている。特許公報WO2019051416(A1)およびWO2019051370(A1)には、(Z)-エンドキシフェンを作製する方法および(Z)-エンドキシフェンを使用する組成物が記載されている。WO2019051416(A1)には、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、その結晶形態/多形体および塩を含む、カプセル中の腸溶(遅延放出性)APIが記載されており、WO2019051370(A1)には、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基およびその塩を含む局所用組成物が記載されている。これらのいずれにも、活性薬物(Z)-エンドキシフェンが長期間にわたって、例えば、4~24時間または少なくとも2時間~少なくとも72時間にわたって放出される、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩に関連するマトリックス錠型の徐放性調製物は、記載されていない。
【0008】
本開示は、Z-エンドキシフェンならびにその多形体および塩を含む新規徐放性組成物、ならびにそれらの作製方法を提供する。徐放性錠剤ならびに腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤およびカプセルの形態の非限定的例示的な徐放性組成物が、本開示で提供される。本開示の徐放性組成物は、ある特定の利点を提供する:新規徐放性(Z)-エンドキシフェン組成物を本明細書で開示される方法により調製することができ、そのような徐放性組成物は、低用量でも安定している。徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を緩徐かつ持続的に放出するので、対象における最高薬物濃度(Cmax)を制御することができ;対象における高い血中濃度および/または蓄積を回避または制御することができ、したがって、全身性および/または局所的副作用および毒性の可能性を低下させることができる。対象に本開示の徐放性組成物を、より低用量で投与することができ、または副作用を低減させるためにおよび患者の順守を確保するために必要に応じて投与することができる。さらに、本開示の徐放性組成物の腸溶コーティングは、胃内で活性(Z)-エンドキシフェン形態を防止することまたは活性(Z)-エンドキシフェン形態とその不活性形態である(E)-エンドキシフェンの相互変換を低減させることで(Z)-エンドキシフェンの驚くほどより大きな保護をもたらし、その結果、より大量の(Z)-エンドキシフェンが腸内で放出されることになる。この相互変換を抑制することの予想外の利点は、(Z)-エンドキシフェンのより多量の全体的送達を生じさせる結果となり、そしてまた治療剤のより緩徐な一貫した放出をもたらすのに役立つ。腸溶コーティングされた遅延放出性組成物を使用する小腸、例えば、十二指腸および結腸の標的化は、対象における薬物のバイオアベイラビリティを増加させ、したがって薬物の有効性を向上させる可能性があり、ならびに組成物が「食物効果」に耐える可能性を高める(例えば、摂食による物理的刺激に対する脆弱性を低下させる)。本開示の腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤およびカプセルは、胃の酸性環境から保護され、小腸および大腸においてZ-エンドキシフェンならびにその多形体および塩を、例えばその用量の摂取の少なくとも2時間後に、放出する。
【0009】
様々な態様では、本開示は、治療剤と徐放剤とを含む徐放性組成物であって、治療剤が、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せであり、治療剤が、37℃で0~2時間pH1.2の模擬胃液中でおよび2時間後にpH6.8の模擬腸液中で測定して、2時間で20%未満の溶解パーセンテージ、7時間で40%未満の溶解パーセンテージ、および12時間で少なくとも30%の溶解パーセンテージから選択される少なくとも2つの溶解パーセンテージパラメーターを有する、徐放性組成物を提供する。
【0010】
一部の態様では、治療剤は、溶解パーセンテージパラメーターのうちの少なくとも3つを有する。一部の態様では、治療剤は、3時間で35%未満の溶解パーセンテージを有する。一部の態様では、治療剤は、12時間で35%~55%の範囲の溶解パーセンテージを有する。一部の態様では、治療剤は、24時間で少なくとも50%の溶解パーセンテージを有する。一部の態様では、治療剤は、24時間で65%~85%の範囲の溶解パーセンテージを有する。一部の態様では、徐放剤は、セルロースエーテル、ゴム、アクリル樹脂、またはこれらの組合せからなる群から選択される。
【0011】
一部の態様では、徐放剤は、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはこれらの組合せである。一部の態様では、徐放剤は、ヒプロメロースである。
【0012】
様々な態様では、本開示は、治療剤と徐放剤とを含む徐放性組成物であって、治療剤が、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せであり、徐放剤が、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される、徐放性組成物を提供する。
【0013】
一部の態様では、徐放性組成物は、少なくとも1%w/w、少なくとも10%w/w、少なくとも20%w/w、少なくとも25%w/w、少なくとも30%w/w、少なくとも35%w/w、または少なくとも40%w/wの徐放剤を含む。一部の態様では、徐放性組成物は、1%~99%w/wの徐放剤を含む。一部の態様では、徐放性組成物は、5%~90%w/wの徐放剤を含む。一部の態様では、徐放性組成物は、5%~70%w/wの徐放剤を含む。一部の態様では、徐放性組成物は、10%~40%w/wの徐放剤を含む。一部の態様では、徐放性組成物は、15%~40%w/wの徐放剤を含む。一部の態様では、徐放剤は、0.25%~10%w/w、0.5%~8%w/w、または1%~4%w/wの治療剤を含む。
【0014】
一部の態様では、少なくとも90%w/w、少なくとも95%w/w、または少なくとも99%w/wの治療剤は、(Z)-エンドキシフェンの形態I、(Z)-エンドキシフェンの形態II、(Z)-エンドキシフェンの形態III、またはこれらの組合せである。
【0015】
一部の態様では、徐放性組成物は、結合剤、滑沢剤、またはこれらの組合せをさらに含む。一部の態様では、結合剤は、単糖類、二糖類、デンプン、多価アルコール(polyhedric alcohol)、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、ラクトース、ポリエチレングリコール、ゴム、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、無水リン酸水素カルシウム、タルク、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、またはこれらの組合せである。一部の態様では、結合剤は、微結晶性セルロースである。一部の態様では、徐放性組成物は、1%~99%w/wの結合剤を含む。一部の態様では、徐放性組成物は、1%~99%w/wの結合剤を含む。一部の態様では、徐放性組成物は、30%~97%w/wの結合剤を含む。一部の態様では、徐放性組成物は、40%~75%w/wの結合剤を含む。一部の態様では、徐放性組成物は、50%~75%w/wの結合剤を含む。
【0016】
一部の態様では、滑沢剤は、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カリウム、硬化植物油、鉱物油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、グリコール、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、マクロゴール、タルク、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル(ethyl laureate)、寒天、蝋、またはこれらの組合せである。一部の態様では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0017】
一部の態様では、徐放性組成物は、治療剤と徐放剤とを含む錠剤を包み込む腸溶コーティングをさらに含み、腸溶コーティングは、遅延放出剤、可塑剤、粘着防止剤、またはこれらの組合せを含む。一部の態様では、腸溶コーティングは、徐放性組成物の4%~40%w/wである。一部の態様では、腸溶コーティングは、徐放性組成物の5%~30%w/wである。一部の態様では、腸溶コーティングは、徐放性組成物の5%~25%w/wである。一部の態様では、腸溶コーティングは、徐放性組成物の5%~20%w/wである。一部の態様では、腸溶コーティングは、徐放性組成物の5%~15%w/wである。
【0018】
一部の態様では、遅延放出剤は、腸溶コーティングの0.1%~30%w/wで存在する。一部の態様では、遅延放出剤は、腸溶コーティングの5%~25%w/wで存在する。一部の態様では、遅延放出剤は、腸溶コーティングの8%~14%w/wで存在する。一部の態様では、遅延放出剤は、ポリメタクリレートである。
【0019】
一部の態様では、徐放性組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。
【0020】
様々な態様では、本開示は、錠剤と錠剤を包み込む腸溶コーティングとを含む徐放性組成物であって、錠剤が、治療剤、および徐放剤を含み、腸溶コーティングが、遅延放出剤、可塑剤、粘着防止剤、またはこれらの組合せを含み、治療剤が、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せであり、徐放剤が、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される、徐放性組成物を提供する。
【0021】
様々な態様では、本開示は、錠剤と錠剤を包み込む腸溶コーティングとを含む徐放性組成物であって、錠剤が、治療剤およびヒプロメロースを含み、治療剤が、少なくとも90%(Z)-エンドキシフェンを含み、腸溶コーティングが、ポリ(メタ)アクリレートポリマーおよびクエン酸トリエチルを含む、徐放性組成物を提供する。
【0022】
一部の態様では、腸溶コーティングは、タルクをさらに含む。一部の態様では、錠剤は、総錠剤重量に対して少なくとも20%w/wのヒプロメロースを含む。一部の態様では、錠剤は、総錠剤重量に対して1%~40%w/wの治療剤を含む。一部の態様では、腸溶コーティングは、総腸溶コーティング重量に対して60%~80%w/wのポリ(メタ)アクリレートポリマーを含む。一部の態様では、腸溶コーティングは、総腸溶コーティング重量に対して10%w/w以下のクエン酸トリエチルを含む。一部の態様では、腸溶コーティングは、総腸溶コーティング重量に対して10%~40%w/wのタルクを含む。
【0023】
様々な態様では、本開示は、徐放性組成物を調製する方法であって、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、およびこれらの組合せから選択される治療剤と、徐放剤と、結合剤と、滑沢剤とを合わせて、混合するステップ;および治療剤、少なくとも1つの徐放剤、少なくとも1つの結合剤および少なくとも1つの滑沢剤を乾式圧縮してコア錠剤を形成するステップを含む方法を提供する。
【0024】
一部の態様では、方法は、少なくとも1つの遅延放出剤と、少なくとも1つの可塑剤と、少なくとも1つの粘着防止用構成成分または付着防止用構成成分とを合わせて、混合することによって、コーティング溶液を形成するステップ;およびコア錠剤をコーティング溶液で実質的にコーティングすることによって、機能性コーティングを形成するステップをさらに含む。
【0025】
様々な態様では、本開示は、徐放性組成物をそれを必要とする対象に投与する方法であって、前記徐放性組成物をそれを必要とする対象に経口投与するステップを含み、徐放性組成物が、治療剤および徐放剤を含み、治療剤が、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せであり、徐放性組成物が、治療剤の20%未満が投与の2時間後に溶解し、治療剤の少なくとも30%が投与後12時間以内に溶解するように製剤化される、方法を提供する。
【0026】
一部の態様では、徐放性組成物は、治療剤の40%未満が投与の7時間後に溶解するように製剤化される。
【0027】
様々な態様では、本開示は、徐放性組成物をそれを必要とする対象に投与する方法であって、徐放性組成物をそれを必要とする対象に経口投与するステップを含み、徐放性組成物が、治療剤および徐放剤を含み、治療剤が、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せであり、徐放性組成物が、治療剤の20%未満が、2時間後に模擬胃液に溶解し、治療剤の少なくとも30%が、2時間後に模擬胃液に溶解し、続いて10時間後に模擬腸液に溶解するように製剤化される、方法を提供する。
【0028】
一部の態様では、徐放性組成物は、治療剤の40%未満が、模擬胃液に2時間後に溶解し、続いて5時間後に模擬腸液に溶解するように製剤化される。
【0029】
様々な態様では、本開示は、徐放性組成物をそれを必要とする対象に投与する方法であって、徐放性組成物をそれを必要とする対象に経口投与するステップを含み、徐放性組成物が、治療剤および徐放剤を含み、治療剤が、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せであり、治療剤が、対象の血清中で少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも15時間、少なくとも20時間、または少なくとも24時間の実測最高濃度到達時間を示す、方法を提供する。
【0030】
様々な態様では、本開示は、それを必要とする対象を処置する方法であって、対象が、障害に罹患しているかまたは障害に罹患するリスクがあり、方法が、対象に本開示の徐放性組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0031】
様々な態様では、本開示は、それを必要とする対象を処置する方法であって、対象が、障害に罹患しているかまたは障害に罹患するリスクがあり、方法が、治療剤と徐放剤とを含む徐放性組成物を対象に投与するステップを含み、治療剤が、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せであり、徐放剤が、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される、方法を提供する。
【0032】
一部の態様では、障害は乳房障害である。一部の態様では、乳房障害は、良性乳房障害、過形成、異型、異型乳管過形成、異型小葉過形成、乳腺濃度上昇、女性化乳房症、非浸潤性乳管癌、非浸潤性小葉癌、乳がん、思春期早発症、またはマッキューン-オルブライト症候群である。一部の態様では、徐放性組成物は、経口投与される。一部の態様では、治療剤は、対象の血清中で少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも15時間、少なくとも20時間、または少なくとも24時間の実測最高濃度到達時間を示す。
【0033】
一部の態様では、徐放性組成物は、追加の治療剤と組み合わせて投与される。一部の態様では、追加の治療剤は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤である。一部の態様では、選択的セロトニン再取り込み阻害剤は、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、およびビラゾドンからなる群から選択される。
【0034】
一部の態様では、対象は、正常な対象におけるバイオマーカーレベルと比較して対象の組織または体液中のバイオマーカーレベルの統計的に有意な変更を有する。一部の態様では、バイオマーカーは、Ki-67、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、増殖細胞核抗原、リン酸化ヒストンH3(phosphor-histone H3)、p16、p12、ベータ-ガラクトシダーゼ、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識、およびRNA配列、またはこれらの組合せからなる群から選択される。一部の態様では、対象の組織におけるバイオマーカーのレベルは、徐放性組成物の投与後に低下する。一部の態様では、対象の組織におけるバイオマーカーのレベルは、徐放性組成物の投与後に上昇する。一部の態様では、組織は、罹患組織である。
【0035】
一部の態様では、徐放性組成物は、対象に14日~40日間、10日~50日間、10日~40日間、10日~35日間、10日~30日間、10日~25日間、12日~50日間、12日~40日間、12日~35日間、12日~30日間、12日~25日間、12日~45日間、12日~30日間、14日~30日間、14日~50日間、14日~40日間、14日~35日間、14日~30日間、14日~25日間、16日~50日間、16日~40日間、16日~35日間、16日~30日間、16日~25日間、18日~50日間、18日~40日間、18日~35日間、18日~30日間、18日~25日間投与される。一部の態様では、徐放性組成物は、1日に1回、1日に2回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または7日に1回投与される。一部の態様では、1用量当り1mg~4mg、2mg~4mg、2mg~6mg、2mg~8mg、1mg~10mg、1mg~12mg、1mg~16mg、2mg~10mg、2mg~12mg、2mg~16mg、3mg~10mg、3mg~12mg、3mg~16mg、4mg~10mg、4mg~12mg、または4mg~16mgの前記徐放性組成物が、対象に投与される。
【0036】
参照による組込み
本明細書で言及されるすべての公表文献、特許および特許出願は、個々の公表文献、特許または特許出願各々が参照により組み込まれると具体的かつ個別に示されている場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲において詳細に記載されている。本発明の原理が利用されている例示的な実施形態が記載されている以下の詳細な説明および付属図を参照することにより、本発明の特徴および利点のよりよい理解が得られよう:
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、米国薬局方(USP)I法に従って測定した、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基4mgを含有する徐放性錠剤(コーティングされていない)の形態の徐放性組成物からの(Z)-エンドキシフェンの溶解および放出パーセンテージを対照(カプセル中遅延放出純粋(Z)-エンドキシフェン遊離塩基活性医薬成分(API)4mg)と比較して示す。組成物の溶解時の(Z)-エンドキシフェン放出を紫外線検出を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC-UV)を使用して測定した。
【0039】
【
図2】
図2は、USP I法に従って測定した、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基4mgを含有する徐放性錠剤(コーティングされていない)および腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の例示的な徐放性組成物からの(Z)-エンドキシフェンの溶解および放出パーセンテージを示す。組成物の溶解時の(Z)-エンドキシフェン放出をHPLC-UVを使用して測定した。
【0040】
【
図3】
図3は、USP I法に従って測定した、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基4mgを含有する低硬度(80N)および高硬度(120N)の例示的な腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の徐放性組成物、ならびに対照(遅延放出(Z)-エンドキシフェンカプセル中API、4mg)からの(Z)-エンドキシフェンの溶解および放出パーセンテージを示す。組成物の溶解時の(Z)-エンドキシフェン放出をHPLC-UVを使用して測定した。
【0041】
【
図4】
図4は、模擬腸液中、USP I法に従って測定した、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基4mgを含有する低硬度(80N)および高硬度(120N)の例示的な腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の徐放性組成物ならびに対照カプセル中APIからの(Z)-エンドキシフェンの溶解および放出をmg単位で示す。組成物の溶解時の(Z)-エンドキシフェン放出をHPLC-UVを使用して測定した。
【0042】
【
図5】
図5は、模擬腸液中、USP II(パドル器具II)法に従って測定した、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基4mgを含有する腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の例示的な徐放性組成物からのエンドキシフェンアイソフォーム放出プロファイルを示す。組成物の溶解時のエンドキシフェンアイソフォーム((Z)および(E))放出をHPLC-UVを使用して測定した。
【0043】
【
図6】
図6は、模擬腸液中、USP II(パドル器具II)法に従って測定した、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基4mgを含有する腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の例示的な徐放性組成物および対照(遅延放出(Z)-エンドキシフェンカプセル中API、4mg)からのZ-エンドキシフェンの溶解および放出パーセンテージを示す。組成物の溶解時の(Z)-エンドキシフェン放出をHPLC-UVを使用して測定した。
【0044】
【
図7】
図7は、式(III)の化合物の形態Iの試料から得られた粉末X線回析(XRPD)パターンである。
【0045】
【
図8】
図8は、式(III)の化合物の形態Iの試料から得られたXRPDパターンである。
【0046】
【
図9】
図9は、式(III)の化合物の形態IIの試料から得られたXRPDパターンである。
【0047】
【
図10】
図10は、式(III)の化合物の形態IIの試料から得られたXRPDパターンである。
【0048】
【
図11】
図11は、式(III)の化合物の形態IIIの試料から得られたXRPDパターンである。
【0049】
【
図12】
図12は、模擬腸液中、USP II(パドル器具II)法に従って測定した、硬度5Kpの(Z)-エンドキシフェン遊離塩基4mgを含有する腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の例示的な徐放性組成物(SRT 5Kp)4mg、CTM-SRT(実施例8で使用)、および参照製品/対照(遅延放出(Z)-エンドキシフェンカプセル中API、4mg)からのZ-エンドキシフェンの溶解および放出パーセンテージを示す。組成物の溶解時の(Z)-エンドキシフェン放出をHPLC-UVを使用して測定した。
【0050】
【
図13】
図13は、模擬腸液中、USP II(パドル器具II)法に従って測定した、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基1mgを含有する硬度12Kpの例示的な腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の徐放性組成物および参照製品(遅延放出(Z)-エンドキシフェンカプセル中API、4mg)からのZ-エンドキシフェンの溶解および放出パーセンテージを示す。組成物の溶解時の(Z)-エンドキシフェン放出をHPLC-UVを使用して測定した。
【0051】
【
図14】
図14は、模擬腸液中、USP II(パドル器具II)法に従って測定した、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基2mgを含有する硬度11Kpの例示的な腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の徐放性組成物および参照製品(遅延放出(Z)-エンドキシフェンカプセル中API、4mg)からのZ-エンドキシフェンの溶解および放出パーセンテージを示す。組成物の溶解時の(Z)-エンドキシフェン放出をHPLC-UVを使用して測定した。
【0052】
【
図15A】
図15Aは、遅延放出(Z)-エンドキシフェンカプセル4mg(群1)または錠剤硬度13Kpを有する腸溶コーティングされた徐放性錠剤4mg(群2)のいずれかの単回用量を経口投与された空腹時の対象における投薬時点(時間0)から投薬の336時間後までの(Z)-エンドキシフェンの平均血漿中濃度を線形目盛で示す。平均血漿中濃度は、有効なHPLC-MS法を使用して対象の血漿中で測定した、実施例8に記載の試験の単回投与用量相における対象の(Z)-エンドキシフェンの取り込みおよびそれに対する全身曝露を反映する。
【0053】
【
図15B】
図15Bは、遅延放出(Z)-エンドキシフェンカプセル4mg(群1)または錠剤硬度13Kpを有する腸溶コーティングされた徐放性錠剤4mg(群2)のいずれかの単回用量を経口投与された空腹時の対象における投薬時点(時間0)から投薬の336時間後までの(Z)-エンドキシフェンの平均血漿中濃度を片対数目盛で示す。平均血漿中濃度は、有効な高速液体クロマトグラフィーと質量分析(HPLC-MS)法を使用して対象の血漿中で測定した、実施例8に記載の試験の単回投与用量相における対象の(Z)-エンドキシフェンの取り込みおよびそれに対する全身曝露を反映する。
【0054】
【
図16A】
図16Aは、実施例8に記載の臨床試験の複数回投与用量(MAD)相において遅延放出(Z)-エンドキシフェンカプセル4mg(群1)または錠剤硬度13Kpを有する腸溶コーティングされた徐放性錠剤4mg(群2)のいずれかを毎日の投薬で14日間連続して経口投与された空腹時の対象における(Z)-エンドキシフェンの平均血漿中濃度を線形目盛で示す。0日目は実施例8の臨床試験の26日目である。試験の26日目(
図16の0日目)、32日目、および39日目の対象への投薬のおよそ10分~1時間前、ならびに試験の39日目の投薬の1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、8時間後、10時間後、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、120時間後および168時間後に血液試料を抜き取り、有効なHPLC-MS法を使用して対象の血漿中の血漿(Z)-エンドキシフェンおよび(E)-エンドキシフェンを測定した。
【0055】
【
図16B】
図16Bは、実施例8に記載の臨床試験の複数回投与用量(MAD)相において遅延放出(Z)-エンドキシフェンカプセル4mg(群1)または錠剤硬度13Kpを有する腸溶コーティングされた徐放性錠剤4mg(群2)のいずれかを毎日の投薬で14日間連続して経口投与された空腹時の対象における(Z)-エンドキシフェンの平均血漿中レベルを片対数目盛で示す。
【0056】
【
図17】
図17は、実施例8に記載の臨床試験の複数回投与用量(MAD)相において遅延放出(Z)-エンドキシフェンカプセル4mg(群1)または錠剤硬度13Kpを有する腸溶コーティングされた徐放性錠剤4mg(群2)のいずれかを毎日の投薬で14日間連続して経口投与された空腹時の対象における(Z)-エンドキシフェンの平均血漿中トラフ濃度を線形目盛で示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
発明の詳細な説明
化合物は、標準的な命名法を使用して記載される。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての専門および科学用語は、本発明が属する技術の当業者により一般に理解されているのと同じ意味を有する。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈による別段の指示がない限り、複数形の言及対象を含む。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「活性医薬品成分」、「活性成分」、「API」、「薬物」、「活性物質(単数)」、「活性物質(複数)」、または「治療剤」は、医薬組成物中の薬学的に活性な化合物を指すために同義で使用される。この用語は、組成物中の実質的にまたは完全に薬学的に不活性である他の成分、例えば賦形剤とは対照的である。本開示による適する活性医薬品成分(incredient)(API)は、ある特定の疾患、状態または障害の処置に対する患者の順守の問題があるもの、またはそのような問題が起こり得る可能性あるものである。本明細書で使用される場合の治療剤は、活性化合物ならびにその塩、プロドラッグおよび代謝物を含む。本明細書で使用される場合、用語「薬物」は、人間または他の動物の疾患の診断、治癒、緩和、処置および/または予防における使用を目的とする化合物を意味する。
【0060】
本明細書で使用される場合、「アジュバント療法」は、一次療法の後に続く治療であって、再発のリスクがある対象に投与される治療を指す。乳がんまたは生殖器系のがんの場合の、例えばタモキシフェンでの、アジュバント全身療法は、通常は、再発を遅らせるために、生存期間を延ばすために、または対象を治癒させるために、一次療法の直後に開始する。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語「タモキシフェン」は、(Z)-2-[4-(1,2-ジフェニル-1-ブテニル)フェノキシ]-N,N-ジメチルエタンアミンを指す。タモキシフェンは、E異性体、またはE異性体とZ異性体の組合せも指すことができる。
【0062】
本明細書で使用される場合、用語「エンドキシフェン」は、4-ヒドロキシ-N-デスメチル-タモキシフェンを指す。エンドキシフェンは、タモキシフェンの二次活性代謝物である。
【0063】
本明細書でおよび本特許請求の範囲で使用される場合、用語「含む(comprising)」、「含有する」および「含む(including)」は、包括的、非限定的であり、追加の未記載要素も、組成構成成分も、方法ステップも除外しない。したがって、用語「含む(comprising)」および「含む(including)」は、より制限性の高い用語である「からなる」および「から本質的になる」を包含する。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「併用療法」は、本明細書に記載の本発明の組成物を1つまたは複数の処置と組み合わせて使用することを指す。併用療法での処置は、任意の予防剤、追加の治療剤(化学療法および免疫療法のような例)、放射線療法、外科手術およびこれらに類するものなどの、任意の処置であり得る。併用は、本明細書で開示される本発明の組成物と同じ組成物中に(例えば、同じカプセル、錠剤、カプレットなどの中に)または別々の組成物中に(例えば、2つの別々の錠剤の中に)治療または予防剤を含めることを指すことができる。別々の組成物は、異なる剤形であることもあり、または異なる投与経路によって投与されることもある。用語「併用療法」および「と組み合わせて」の使用は、本明細書に記載の本発明の組成物ならびに予防および/もしくは治療剤ならびに/または処置が、それを必要とする対象に投与される順序を限定しない。本開示の組成物を、それを必要とする対象(subject in thereof)への1つもしくは複数の予防および/もしくは治療剤または治療の投与の前に(例えば、1分(min)、5分、15分、30分、45分、1時間(h)、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、96時間、1週間(wk)、2週間、3週間、4週間、5週間、6時間、8時間、12時間、6カ月(m)、9m、もしくは1年前に)、そのような投与と同時に、またはそのような投与の後に(例えば、1分(min)、5分、15分、30分、45分、1時間(h)、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、96時間、1週間(wk)、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、12時間、6カ月(m)、9カ月、もしくは1年後に)投与することができる。本明細書で使用される場合の併用療法は、単一の疾患または複数の疾患もしくは状態、例えば、男性における前立腺がん、および女性化乳房症、または女性における乳がんおよび乳腺濃度、に罹患している対象の処置を指すこともできる。
【0065】
本明細書で使用される場合、用語「試験試料」は、対象から採取された血液の試料を意味する。血液試料が対象から採取される場合、全血、血漿および/または血清のような対象の血液が、測定または試験され得る対象のエンドキシフェンレベルおよび/または他のバイオマーカーを判定するために使用されることは、理解されよう。本明細書で使用される場合、「血漿エンドキシフェン」は、別段の明確な指示がない限り、試験が、全血を用いて行なわれるのか、血漿を用いて行なわれるのか、および/または血清を用いて行なわれるのかを問わず、対象の試験試料中のエンドキシフェンレベルを指すために使用される。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「剤形」は、本開示の化合物または組成物が患者に送達される形態を意味する。
【0067】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」または「薬理学的に許容される」は、製剤の他の成分と適合性であり、かつ対象に投与されたときに有害な反応を、例えば、毒性反応も、アレルギー反応も、免疫学的反応も、実質的に生じさせない、材料、組成物またはビヒクルを意味する。それらは、動物での使用、さらに特にヒトでの使用が、例えば米国連邦もしくは州政府の監督官庁によって承認され得るか、または米国薬局方もしくは他の一般に認知されている薬局方に記載され得る。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」または「担体」は、本開示の化合物の1つまたは複数を身体の1つの組織、臓器もしくは部分からまたは皮膚を横断して運ぶことまたは輸送することに関与する薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクル、例えば、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材料を意味する。
【0069】
本明細書で使用される場合、用語「医薬組成物」は、組成物をin vitro、in vivoまたはex vivoでの診断、予防または治療上の使用に特に適するものにする、活性薬剤(例えば、活性医薬化合物または活性医薬品成分、API)と不活性または活性の担体(例えばリン脂質)の組合せを意味する。
【0070】
本明細書で使用される場合、「一次療法」は、対象におけるエストロゲンホルモン依存性障害または乳房障害または両方の初期診断時の第一選択の処置を指す。例示的な一次療法は、外科手術、多様な化学療法、および放射線療法を含み得る。
【0071】
本明細書で使用される場合、用語「対象」、「患者」、「参加者」および「個体」は、本明細書では同義で使用され得、ヒトなどの哺乳動物を指し得る。哺乳動物は、ペット動物、例えばイヌ、ネコ、実験動物、例えばラット、マウス、ならびに家畜、例えば雌ウシおよびウマも含む。別段の指定がない限り、哺乳動物は、任意の性別または性のものであり得る。
【0072】
本明細書で使用される場合、用語「タモキシフェン抵抗性」は、少なくとも2日間毎日タモキシフェンの投与を受けて血漿中エンドキシフェンレベルが30nM未満(例えば、20nM未満、25nM未満、または30nM未満)である対象を指す。本明細書で使用される場合、用語「タモキシフェン耐性」は、耐性の2つのクラス:(a)新規耐性、すなわち、処置の開始からタモキシフェン療法非奏効性、および(b)獲得耐性、すなわち、エストロゲン受容体を発現し続ける、初期奏効性後のまたはタモキシフェン依存性成長/刺激成長後のタモキシフェン療法非奏効性(Minsun Chang. Biomol. Ther. 20(3), 256-267 (2012))を指す。タモキシフェンに対する獲得耐性は、早くて3カ月~1年から遅くて5~10年後に発生し得る。本明細書で使用される場合、用語「参照血漿中エンドキシフェンレベル」は、30nMの値を指す。
【0073】
本明細書で使用される場合、用語「単位剤形」は、適する医薬品賦形剤を伴って、所望の治療効果を生じさせるように計算された所定量の活性材料を各々の単位が有する、対象のための単位投薬量に適する物理的に個別の単位を指す。
【0074】
「含む(include)」、「含む(including)」、「含有する(contain)」、「含有する(containing)」、「有する(has)」、または「有する(having)」およびこれらに類するものなどの用語は、「含む(comprising)」を意味する。
【0075】
本明細書で使用される薬物動態(PK)パラメーターは、以下のように定義され、計算される:
【0076】
Cmax:データから直接得られる実測最高血漿/血清濃度。
【0077】
Tmax:データから直接得られる実測最高濃度到達時間。最高血漿/血清濃度が1時点より多くの時点で発生した場合、最初のものが選択される。
【0078】
AUC0-tlastまたはAUClast:線形台形則を使用して時間0から時間t(ここでのtは、最終定量可能濃度の時間である)まで計算される、血漿/血清濃度対時間曲線下面積。
【0079】
λz:対数濃度-時間プロファイルの終点を通る線形最小二乗回帰でフィッティングした線の傾きから得られる終末相消失速度定数。
【0080】
AUCinf:(AUC0-tlast+Ctlast/λz)(式中、Ctlastは、最終定量可能濃度である)として計算される、ゼロから無限大までの血漿/血清濃度対時間曲線下面積。
【0081】
AUCtau:線形台形則を使用して計算される、投与間の期間(タウ)にわたっての血漿/血清濃度対時間曲線下面積。
【0082】
t1/2:(ln(2)/λz)として計算される、見掛けの終末相半減期。
【0083】
CL/F:(用量/AUCinf)として計算される、経口投与後の薬物の見掛けの総血漿/血清クリアランス(ここでのFは、吸収される薬物の分率である)。
【0084】
CL/Fss:(用量/AUCtau)として計算される、複数回経口投与後の薬物の見掛けの総血漿/血清クリアランス(ここでのFは、吸収される薬物の分率である)。
【0085】
Vz/F:(CL/F/λz)として計算される、経口投与後の終末相中の見掛けの分布体積。
【0086】
Cmin:データから直接得られる投与間の期間にわたっての実測最低血漿/血清濃度。
【0087】
CavgまたはCaverage:(AUCtau/タウ)として計算される定常状態での平均血漿/血清濃度。
【0088】
AI:(AUCtau 39日目の用量/AUCinf 1日目の用量)として計算される蓄積係数。
【0089】
100×(AUCinf-AUC0-tlast)/AUCinfとして決定される、外挿により決定されるAUCinfの一部である、%AUCextrap。
【0090】
(米国)連邦規則集第21章第320条第1項(a)で定義されている意味を有する、用語「バイオアベイラビリティ」は、活性成分または活性部分が薬物製品から吸収されて作用部位で利用可能になる率および程度を指す。血流に吸収されるように意図されていない薬物製品の場合、バイオアベイラビリティは、活性成分または活性部分が作用部位で利用可能になる率および程度を示すことを目的とした測定により評定され得る。例えば、バイオアベイラビリティを、時間の関数としての血液(血清または血漿)中の活性成分の量として測定することができる。AUC、CmaxまたはTmaxなどの薬物動態パラメーターを使用して、バイオアベイラビリティを測定することおよび評定することができる。
【0091】
本明細書で言及されるいずれの数値も下方の値から上方の値までのすべての値を含むこと、すなわち、列挙されている最低値と最高値の間の数値のすべての可能な組合せが、本願において明確に述べられていると考えられ、すべての範囲の終点が、範囲内に含まれ、独立して組合せ可能であることは、特に理解されよう。例えば、濃度範囲または有益な範囲が1%~50%と述べられている場合、2%~40%、10%~30%、1%~3%、1.5%~2.5%などの値が本明細書に明確に列挙されることが意図される。濃度または用量が、1mgもしくは10mgなどの特定の値としてまたは「約1mg」もしくは「約10mg」として述べられている場合、それが10%の変動量を含むように意図されることが意図されることも理解されたい。別の例として、20%または「約20%」という述べられている濃度は、値±10%を含むように意図される。さらに別の例、1:10~10:1または「約1:10~約10:1」という比が述べられている場合には、1:9~9:1、1:8~8:1、1:7~7:1、1:6~6:1、1:5~5:1、1:4~4:1、1:3~3:1、1:2~2:1、1:1~2:1、0.9:10.1~10.1対0.9、または2:5~3:5などのような比が特に意図されることが意図される。そこにあるのは、特に意図されるものの一部の例に過ぎない。別段の指定がない限り、組成物の構成要素または構成成分の値は、コア組成物中の各成分または構成成分の重量パーセントで表される。
【0092】
すべての化合物は、化合物中に存在する原子のすべての可能な同位体を含むと理解される。同位体は、同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する原子を含む。例として、限定ではなく、水素の同位体は、トリチウムおよびジュウテリウムを含み、炭素の同位体は、11C、13Cおよび14Cを含む。
【0093】
本明細書に記載のすべての方法は、別段の指示がない限り、または文脈による別段の明確な否定がない限り、適する順序で行うことができる。任意のおよびすべての例、または例示的な言葉(例えば、「など(such as)」および「これらに類するもの」)の使用は、特許請求の範囲に別段の記載がない限り、本発明を例証することを目的としたものに過ぎず、本発明の範囲に制限を課さない。本明細書で使用される場合、特許請求の範囲に不記載のいずれかの要素を本発明の実施に不可欠なものとして示すと解釈すべきいかなる言葉も、本明細書には存在しない。
【0094】
本明細書で使用される場合、用語「ホルモン依存性障害」は、任意のホルモン依存性生殖器系障害、乳房障害、子宮内膜症、子宮筋腫(平滑筋腫とも呼ばれる)、およびホルモン依存性気分障害などを含む、エストロゲンなどのホルモンに関連するまたは感受性である任意の障害、エストロゲン受容体陽性(ER+)および/またはプロゲステロン受容体陽性(PR+)障害を伴う任意の障害、ならびに(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩が効きやすいまたは奏効する任意の障害を、限定ではないが、含む。生殖器系障害は、子宮内膜がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮がん、膣がんおよび外陰がんを含む。用語「エストロゲン関連障害」および「エストロゲン受容体関連障害」は、前述のホルモン依存性障害を指すために同義で使用され得る。ホルモン依存性気分障害の例としては、鬱病、躁病、軽躁病、双極性障害、および統合失調症が挙げられるが、これらに限定されない。ホルモン依存性障害は、原発的に提示されることもあり、または基礎疾患、例えば、前立腺がんもしくは他の障害、例えば肝疾患、に続発して提示されることもある。ホルモン依存性障害は、例えば、骨、皮膚およびいくつかのホルモン産生(内分泌)組織に影響を与えるGNAS遺伝子の突然変異により引き起こされる障害であって、多くの場合、そのような突然変異を有する個体において、彼らの骨内の異常な瘢痕様(線維性)組織、多発性線維性骨形成異常と呼ばれる状態、甲状腺機能亢進症をもたらし、多くの場合、少女において思春期早発症をもたらす障害である、マッキューン-オルブライト症候群を含む。
【0095】
本明細書で使用される場合、「乳房障害」は、乳房における任意の異常または一連の異常を意味する。そのような異常は、増殖性であることもあり、非増殖性であることもあり、良性であることもあり、または悪性であることもある。乳房障害は、乳房の良性の病変(例えば、過形成)、乳腺濃度上昇、女性化乳房症、乳房痛、マッキューン-オルブライト症候群、および乳がんを含む。良性乳房病変は、過形成、異型、乳管過形成、小葉過形成、異型乳管過形成(ADH)、および異型小葉過形成(ALH)を含むが、これらに限定されない。がん性でないが、ADHおよびALHは、乳がんの素因を示唆し得る。
【0096】
乳腺濃度は、マンモグラフィー(「マンモグラフィー乳腺濃度」または「MBD」)または磁気共鳴画像法(「MRI」)、X線などの視覚的技法により同定される乳房障害であり、乳房内の線維腺組織の増加、例えば、乳房における間質および上皮細胞の異常増殖を表す。乳腺濃度は、高濃度組織の量もしくは体積または濃度の重症度に基づいてクラスA(以前のクラスI)、B(以前のクラスII)、C(以前のクラスIII)またはD(以前のクラスIV)として分類される(Wolfe JN. AJR Am J Roentgenol 1976;126:1130-1137)。Whiteheadらは、1970年代からのデータを使用して、濃度による隠蔽効果が存在することを示したが、Wolfeにより記載された乳腺パターンの分類に関連する乳がんのリスクの差に加えてそれが働くことを示した(Whitehead J, et al. Cancer 1985;56:1280-1286)。したがって、それは、独立した乳がんリスク因子と考えられる。米国の少なくとも35の州は、対象が高濃度乳腺を有する場合、対象に知らせることを医師に求めている。対象は、健康的な生活様式を選択するようにおよび乳房の変化をモニターするために定期的なマンモグラムまたは他のイメージングを受けるように念押しされるが、現在承認されている高濃度乳腺の処置はない。
【0097】
女性化乳房症は、上皮過形成をはじめとする乳房組織の過形成の増加を表す一般的な男性の乳房の状態であり、無症候性女性化乳房症の有病率は、新生児では60%~90%であり、青年では50%~60%であり、50~69歳の男性では最大70%である(Therapeutics and Clinical Risk Management 2011:7, 145 - 148)。新生児女性化乳房症は、通常は生後4週間以内に解消し、青年男子の少なくとも半数は、女性化乳房症を経験し、典型的には13~14歳(タナー段階第3または4)で発症する。女性化乳房症は、男性乳がんのリスク因子であると提案されている。
【0098】
さらに、女性化乳房症は、多くの場合、前立腺がん、肝硬変および肝疾患、男性性腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、腎不全などの基礎障害、および血液透析を受けている患者におけるI型糖尿病などのような、基礎障害に続発してそれ自体を提示する。さらに、抗アンドロゲン薬またはある特定の抗精神病薬などの投与薬は、それら自体が女性化乳房症の症例の最大25%の原因となると報告されており、それらのホルモン様作用によってカテゴリー分けされ得る。例えば、前立腺がんの処置に使用される非ステロイド性抗アンドロゲン剤であるビカルタミドに起因すると考えられる、最もよく見られる副作用は、女性化乳房症および乳房痛である。
【0099】
本明細書で使用される場合、「乳がん」は、乳房細胞の任意の悪性腫瘍を意味する。乳がんは、前がん状態、早期がん、非転移性がん、前転移性がん、局所進行がんおよび転移性がんのステージを含む、乳がんのいずれのステージにあるものであってもよい。いくつかのタイプの乳がんがある。例示的な乳がんとしては、非浸潤性乳管癌(DCIS)、非浸潤性小葉癌(LCIS)、侵襲性(または浸潤性)小葉癌(ILC)、侵襲性(または浸潤性)乳管癌(IDC)、微小侵襲性乳癌(MIC)、炎症性乳がん、ER陽性(ER+)乳がん、ER陰性(ER-)乳がん、HER2+乳がん、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、BRCA1+乳がん、BRCA2+乳がん、腺様嚢胞(腺嚢胞)癌、低悪性度扁平上皮癌(low-grade adenosquamatous carcinoma)、髄様癌、粘液性(または膠様)癌、乳頭癌、管状癌、化生性癌、または微小乳頭癌が挙げられるが、これらに限定されない。単独乳がん腫瘍は、これらのタイプの組合せであることもあり、または侵襲性がんと非浸潤性がんの混合であることもある。
徐放性組成物
【0100】
本開示は、治療剤として(Z)-エンドキシフェンならびにその多形体および塩を含む、新規徐放性組成物に関する。本開示の徐放性組成物は、より長期間(例えば、少なくとも2時間~約72時間、少なくとも4時間~24時間、少なくとも6時間~48時間など)にわたって治療剤または治療薬の制御放出をもたらす。用量の投与または摂取後約2時間後、本開示の徐放性組成物は、胃からの組成物の移行後に腸内で、対象の腸および/または結腸から血流への治療剤((Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩)の取込みを可能にするような長期にわたる放出をもたらす。徐放性組成物(例えば、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤)からの(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の放出速度は、WO2019051416A1(エンドキシフェンを作製および使用するための方法(Methods for making and using endoxifen))に記載されている参照製品(カプセル)について観察された放出速度よりも緩徐である。徐放性組成物は、投与後、用量ごとに少なくとも約2時間~約270時間の期間にわたって治療剤への対象の制御または長期曝露をもたらす。したがって、投与の頻度を低下させることおよび/または血流への治療剤の取込み速度を低下させることにより、本開示は、患者による薬物の耐容性の改善もしくは増強の可能性および患者の適便性および順守の改善の可能性をもたらす。(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の血流への緩徐な長期にわたる放出(または徐放)および緩徐な長期にわたる(持続的)取込みは、患者が薬物のより低いピーク濃度にゆっくり時間をかけて曝露され得るので、参照製品などの他の剤形と比較して局所的および/もしくは全身性副作用および毒性の低減ならびに薬物蓄積の低減、ならびに/または処置のための薬物の総量の低減をもたらす可能性もある。胃の酸性環境から保護するために、薬物の放出を遅延させることにより、腸(例えば、十二指腸および空調)および結腸を標的とすることによって、バイオアベイラビリティの改善の可能性および「食物効果」に耐える能力も高められ、有効性も向上された。
【0101】
本開示は、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物、および徐放性送達システムを提供する。徐放性送達システムは、(i)少なくとも1つの徐放(SR)剤または放出速度制御剤(本明細書において同義で使用される「徐放剤」または「SR剤」)、(ii)少なくとも1つの結合剤、および(iii)少なくとも1つの滑沢剤を含む。
【0102】
一態様では、本開示は、安定した(Z)-エンドキシフェン遊離塩基ならびにその多形体および塩を含む、徐放性組成物を提供する。一部の実施形態では、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基またはその多形体もしくは塩を含む、徐放性組成物は、(E)-エンドキシフェンをさらに含む。一部の実施形態では、徐放性組成物は、エンドキシフェンを主として(Z)-エンドキシフェン遊離塩基として含む。
【0103】
一部の実施形態では、本開示の徐放性組成物は、錠剤、ミニ錠剤、ビーズ、マイクロビーズ、顆粒、球体、粒子、多微粒子およびこれらに類するものなどの、固体剤形の形態である。本開示は、本開示の徐放性組成物を腸および結腸を標的とする遅延放出のために腸溶コーティングすることができることを提示する。したがって、一部の実施形態では、徐放性組成物は、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤、錠剤中の腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤、カプセル中の腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤、カプセル中のビーズ、カプセル中の球体およびこれらに類するものの形態である。
【0104】
(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を、徐放性組成物中に均一に分散させることができる。
【0105】
ある特定の実施形態では、徐放性組成物は、徐放性組成物中の全エンドキシフェンに対するw/wで、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.99%、および100%の(Z)-エンドキシフェン遊離塩基として(Z)-エンドキシフェンを含む。少なくとも1つの徐放性組成物では、徐放性組成物は、徐放性組成物中の全エンドキシフェンに対するw/wで、≧90%の(Z)-エンドキシフェン遊離塩基を含む。別の実施形態では、徐放性組成物は、組成物中の全エンドキシフェンのに対して≧95%の(Z)-エンドキシフェン遊離塩基を含む。さらに他の実施形態では、徐放性組成物は、徐放性組成物中の全エンドキシフェンに対するw/wで、≧96%、≧97%、≧98%、≧99%、≧99.5%、または≧99.9%の(Z)-エンドキシフェン遊離塩基を含む。
【0106】
他の実施形態では、徐放性組成物は、徐放性組成物に対するw/wで、約0.01%~約40%、約0.01%~約20%、約0.05%~約15%、および約0.1%~約10%の(Z)-エンドキシフェンw/wを含む。少なくとも一実施形態では、(Z)-エンドキシフェンを含む徐放性組成物は、徐放性組成物に対するw/wで、0.01%~40%の(Z)-エンドキシフェンw/wを含む。様々な他の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンを含む徐放性組成物は、徐放性組成物に対するw/wで、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、および約20%の(Z)-エンドキシフェンw/wを含む。一部の実施形態では、徐放性組成物に含有される(Z)-エンドキシフェンは、実質的に純粋である。そのような徐放性組成物は、5%未満、4%未満、3%未満、2.5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、または0.1%未満(E)-エンドキシフェンを含み得る。そのような徐放性組成物は、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満、他の夾雑物を含有し得る。
【0107】
一部の実施形態では、本開示の徐放性組成物は、(E)-エンドキシフェンをさらに含む。一部の実施形態では、徐放性組成物中のエンドキシフェンは、約1:999、約5:995、約1:99、約5:95、約10:90、約15:85、約20:80、約25:75、約30:70、約40:70、約45:55、約50:50、約55:45、約60:40、約65:45、または約70:30の(E)-エンドキシフェン対(Z)-エンドキシフェンの比(E/Z比)を有する。他の実施形態では、徐放性組成物は、約10:90~約70:30の範囲のE/Z比を有するエンドキシフェンを含む。さらに他の実施形態では、徐放性組成物は、約45:55~約55:45の範囲のE/Z比を有するエンドキシフェンを含む。
【0108】
接頭語(Z)、(E)または(E/Z)によって特に言及される場合を除いて、接頭語なしで一般的に使用されるエンドキシフェンは、本明細書では任意のまたはすべてのエンドキシフェンアイソフォームを含むように使用される。(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物は、式(III)により表すことができる:
【化1】
【0109】
ある態様では、本開示は、本開示の徐放性組成物が、一部の実施形態では、本出願人の特許公報WO2019051416(A1)(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような(Z)-エンドキシフェンの多形結晶形態、例えば、形態I、形態IIまたは形態IIIを特に含むことを提示する。
【0110】
ある特定の態様では、本開示は、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基の結晶形態、および(E)-エンドキシフェンと(Z)-エンドキシフェンの混合物の結晶形態を含む、エンドキシフェンの結晶形態を提供する。本開示は、本明細書に記載の結晶形態を含むエンドキシフェンの医薬組成物をさらに提供する。エンドキシフェンの結晶形態は、医薬組成物中の活性成分としての使用に適する、バイオアベイラビリティおよび安定性の利点を提供することができる。医薬品の原薬または活性成分の結晶構造の多様性は、医薬品の薬物製品または活性成分の溶解速度(バイオアベイラビリティなどに影響を与え得る)、製造可能性(例えば、取り扱いの容易さ、既知強度の用量を一貫して調製できること)および安定性(例えば、熱安定性、保存可能期間など)に影響を与え得る。そのような多様性は、錠剤およびカプセルをはじめとする固体経口剤形などの、種々の剤形または送達形態の医薬組成物の調製または製剤化に影響を与え得る。非結晶形態または非晶質形態などの他の形態と比較して、結晶形態は、所望のまたは適切な吸湿性、粒径制御、溶解速度、溶解度、純度、物理的および化学的安定性、製造可能性、収率、ならびに/またはプロセス制御をもたらし得る。それ故、エンドキシフェンの結晶形態は、活性薬剤の製造プロセスまたは化合物の薬物製品形態もしくは活性成分の安定性もしくは保管可能性を向上させること、ならびに/あるいは活性薬剤として適するバイオアベイラビリティおよび/または安定性を有することなどの、利点を提供することができる。
【0111】
ある特定の溶媒および分別結晶化方法の使用は、上記の1つまたは複数の好適な特徴を示し得る、多形形態I、IIおよびIIIのうちのいずれか1つまたは複数を含む、エンドキシフェンの種々の多形形態を生じさせることが判明した。一部の実施形態では、多形形態(例えば、形態I、形態II、または形態III)は、エンドキシフェンを含む組成物の1つまたは複数の特性に影響を与え得る。例えば、治療剤(例えば、エンドキシフェン)の多形形態(例えば、形態I、形態II、または形態III)は、本開示の組成物中の治療剤の溶解速度、溶解度、吸収速度、Cmax、AUC、Tmaxまたはt1/2の1つまたは複数に影響を与え得る。一部の実施形態では、エンドキシフェンの多形形態は、本開示の組成物(例えば、エンドキシフェンを含む徐放性組成物)の製造可能性に好適に寄与する1つまたは複数の特性を付与し得る。一部の実施形態では、エンドキシフェンの多形形態は、本開示の組成物に安定性向上を付与し得る。本明細書に記載の多形体の調製のためのプロセス、およびこれらの多形体の特徴付けは、下文にてより詳細に説明される。
式III、形態I
【0112】
ある特定の態様では、本開示は、組成物中の式(III)の化合物の少なくとも90重量%が(Z)-異性体(すなわち、(Z)-エンドキシフェン)である、式(III)の化合物の多形形態Iを提供する。一部の実施形態では、多形形態Iは、おおむね
図7または
図8に示されている通りのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。一部の実施形態では、多形形態Iは、おおむね
図7または
図8に示されている通りのXRPDパターンのような少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つの主ピークを含むXRPDパターンを有する。
【0113】
例えば、XRPDパターンに言及するときの用語「おおむね~に示されている通りの」は、本明細書中で描写されるものと必ずしも同一ではないが当業者が考えて実験的誤差限界または偏差の範囲内に入るパターンを含む。XRPDピークの相対強度は、用いられる粒径、試料調製法、試料マウント手順および特定の計器によって変わり得る。その上、計器による変動および他の要因が、2シータ(2θ)値に影響を与え得る。したがって、指定された2シータ角度が提供される場合、指定された2シータ角度が、指定された値±0.5°、例えば、±0.4°、±0.3°、±0.2°、または±0.1°変動し得ることを理解されたい。本明細書で使用される場合、「主ピーク」は、30%より大きい、例えば35%より大きい、相対強度を有するXRPDピークを指す。相対強度は、XRPDパターンにおける最大ピークのピーク強度に対する目的のピークのピーク強度の比として計算される。
【0114】
ある特定の実施形態では、多形形態Iは、2シータ16.8±0.3°、17.1±0.3°および21.8±0.3°における主ピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態Iは、2シータ16.0±0.3°、18.8±0.3°および26.5±0.3°におけるピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態Iは、2シータ16.8±0.3°、17.1±0.3°および21.8±0.3°における主ピークと、2シータ16.0±0.3°、18.8±0.3°および26.5±0.3°から選択される少なくとも1つのピークとを含む、X線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態Iは、2シータ12.3±0.3°、28.0±0.3°および29.0±0.3°におけるピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態Iは、2シータ16.8±0.3°、17.1±0.3°および21.8±0.3°における主ピークと、2シータ12.3±0.3°、28.0±0.3°および29.0±0.3°から選択される少なくとも1つのピークとを含む、X線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態Iは、2シータ16.8±0.3°、17.1±0.3°および21.8±0.3°における主ピークと、2シータ12.3±0.3°、16.0±0.3°、18.8±0.3°、26.5±0.3°、28.0±0.3°および29.0±0.3°から選択される少なくとも1つのピークとを含む、X線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態Iは、2シータ16.8±0.3°、17.1±0.3°および21.8±0.3°における主ピークと、2シータ12.3±0.3°、16.0±0.3°、18.8±0.3°、26.5±0.3°、28.0±0.3°および29.0±0.3°におけるピークとを含む、X線粉末回折パターンを特徴とする。
【0115】
ある特定の実施形態では、本開示は、多形形態Iを含む組成物を提供する。組成物中の式(III)の化合物の90重量%、95重量%または99重量%より多くが、多形形態Iであり得る。一部の実施形態では、組成物は、0.01mg~200mgの多形形態Iを含む。一部の実施形態では、組成物は、約1mg、2mg、4mg、6mg、10mgまたは20mgの多形形態Iを含む。
式III、形態II
【0116】
ある特定の態様では、本開示は、組成物が、式(III)の化合物の(E)-異性体および(Z)-異性体(すなわち、(E)-エンドキシフェンおよび(Z)-エンドキシフェン)を0.9~1.3の間、例えば約1.1、のE/Z比で含む、式(III)の化合物の多形形態IIを提供する。一部の実施形態では、多形形態IIは、おおむね
図9または
図10に示されている通りのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。一部の実施形態では、多形形態IIは、おおむね
図9または
図10に示されている通りのXRPDパターンのような少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つの主ピークを含むXRPDパターンを有する。
【0117】
ある特定の実施形態では、多形形態IIは、2シータ7.0±0.3°、11.9±0.3°、14.3±0.3°および18.4±0.3°における主ピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態IIは、2シータ22.0±0.3°におけるピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態IIは、2シータ7.0±0.3°、11.9±0.3°、14.0±0.3°および18.4±0.3°における主ピークと、2シータ22.0±0.3°におけるピークと含む、X線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態IIは、2シータ6.6±0.3°、13.3±0.3°および20.0±0.3°から選択される少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態IIは、2シータ7.0±0.3°、11.9±0.3°、14.0±0.3°および18.4±0.3°における主ピークと、2シータ6.6±0.3°、13.3±0.3°および20.0±0.3°から選択される少なくとも1つのピークとを含む、X線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態IIは、2シータ7.0±0.3°、11.9±0.3°、14.0±0.3°および18.4±0.3°における主ピークと、2シータ6.6±0.3°、13.3±0.3°20.0±0.3°および22.0±0.3°から選択される少なくとも1つのピークとを含む、X線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態IIは、2シータ7.0±0.3°、11.9±0.3°、14.0±0.3°および18.4±0.3°における主ピークと、2シータ6.6±0.3°、13.3±0.3°20.0±0.3°および22.0±0.3°におけるピークとを含む、X線粉末回折パターンを特徴とする。
【0118】
ある特定の実施形態では、本開示は、多形形態IIを含む組成物を提供する。組成物中の式(III)の化合物の90重量%、95重量%または99重量%より多くが、多形形態IIであり得る。一部の実施形態では、組成物は、0.01mg~200mgの多形形態IIを含む。一部の実施形態では、組成物は、約1mg、2mg、4mg、6mg、10mgまたは20mgの多形形態IIを含む。
式III、形態III
【0119】
ある特定の態様では、本開示は、組成物が、式(III)の化合物の(E)-異性体および(Z)-異性体(すなわち、(E)-エンドキシフェンおよび(Z)-エンドキシフェン)を0.9~1.3の間、例えば約1.1、のE/Z比で含む、式(III)の化合物の多形形態IIIを提供する。一部の実施形態では、多形形態IIIは、おおむねまたは
図11に示されている通りのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。一部の実施形態では、多形形態IIIは、おおむねまたは
図11に示されている通りのXRPDパターンのような少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つの主ピークを含むXRPDパターンを有する。
【0120】
ある特定の実施形態では、多形形態IIIは、2シータ11.9±0.3°、13.9±0.3°、17.1±0.3°および17.7±0.3°における主ピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態IIIは、2シータ25.3±0.3°におけるピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態IIIは、2シータ11.9±0.3°、13.9±0.3°、17.1±0.3°および17.7±0.3°における主ピークと2シータ25.3±0.3°におけるピークとを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態IIIは、2シータ18.2±0.3°、22.5±0.3°および26.8±0.3°から選択される少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態IIIは、2シータ11.9±0.3°、13.9±0.3°、17.1±0.3°および17.7±0.3°における主ピークと、2シータ18.2±0.3°、22.5±0.3°および26.8±0.3°から選択される少なくとも1つのピークとを含む、X線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態IIIは、2シータ11.9±0.3°、13.9±0.3°、17.1±0.3°および17.7±0.3°における主ピークと、2シータ18.2±0.3°、22.5±0.3°25.3±0.3°および26.8±0.3°から選択される少なくとも1つのピークとを含む、X線粉末回折パターンを特徴とする。一部の実施形態では、多形形態IIIは、2シータ11.9±0.3°、13.9±0.3°、17.1±0.3°および17.7±0.3°における主ピークと、2シータ18.2±0.3°、22.5±0.3°25.3±0.3°および26.8±0.3°におけるピークとを含む、X線粉末回折パターンを特徴とする。
【0121】
ある特定の実施形態では、本開示は、多形形態IIIを含む組成物を提供する。組成物中の式(III)の化合物の90重量%、95重量%または99重量%より多くが、多形形態IIIであり得る。一部の実施形態では、組成物は、0.01mg~200mgの多形形態IIIを含む。一部の実施形態では、組成物は、約1mg、2mg、4mg、6mg、10mgまたは20mgの多形形態IIIを含む。
【0122】
用語「結晶形態」、「多形体」および「形態」は、本明細書では同義で使用され得、特定の結晶形態または非晶質形態が言及されている場合を除き、例えば、多形体、偽多形体、塩、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形体(無水物を含む)、配座多形体、および非晶質形態、ならびにこれらの混合物を含む、化合物のすべての結晶形態および非晶質形態を含むように意図されている。本開示の化合物は、例えば、化合物の多形体、偽多形体、塩、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形体(水和物を含む)、配座多形体、および非晶質形態、ならびにこれらの混合物を含む、それらの化合物の結晶形態および非晶質形態を含む。
【0123】
一部の実施形態では、徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェンを主として多形形態Iとして含む。一部の実施形態では、徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェンを主として多形形態IIとして含む。一部の実施形態では、徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェンを主として多形形態IIIとして含む。ある特定の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンは、形態I、IIおよびIIIの任意の組合せであり得る。
【0124】
ある特定の実施形態では、徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェンを、徐放性組成物中の全エンドキシフェンに対するw/wで、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.99%、または100%の単一のエンドキシフェン多形形態、例えば、形態I、形態IIまたは形態IIIを含む。例えば、徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェンを、徐放性組成物中の全エンドキシフェンに対するw/wで、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.99%、または100%の形態Iとして含み得る。別の例では、徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェンを、徐放性組成物中の全エンドキシフェンの、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.99%、または100%w/wの形態IIとして含み得る。別の例では、徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェンを、徐放性組成物中の全エンドキシフェンの、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.99%、または100%w/wの形態IIIとして含み得る。
【0125】
少なくとも1つの徐放性組成物では、組成物は、徐放性組成物中の全エンドキシフェンに対するw/wで、≧90%の形態I、形態IIまたは形態IIIなどの単一多形形態のエンドキシフェンを含む。例えば、徐放性組成物は、徐放性組成物中の全エンドキシフェンに対するw/wで、≧90%の形態Iのエンドキシフェンを含む。別の例では、徐放性組成物は、徐放性組成物中の全エンドキシフェンに対するw/wで、≧90%の形態IIのエンドキシフェンを含む。別の例では、徐放性組成物は、徐放性組成物中の全エンドキシフェンに対するw/wで、≧90%の形態IIIのエンドキシフェンを含む。別の実施形態では、徐放性組成物は、徐放性組成物中の全エンドキシフェンに対するw/wで、≧95%の形態I、形態IIまたは形態IIIなどの単一多形形態のエンドキシフェンを含む。さらに別の実施形態では、徐放性組成物は、徐放性組成物中の全エンドキシフェンに対するw/wで、≧96%、≧97%、≧98%、≧99%、または≧99.5%の形態I、形態IIまたは形態IIIなどの単一多形形態のエンドキシフェンを含む。例えば、徐放性組成物は、徐放性組成物中の全エンドキシフェンに対するw/wで、≧96%、≧97%、≧98%、≧99%、または≧99.5%の形態Iのエンドキシフェンを含む。別の例では、徐放性組成物は、徐放性組成物中の全エンドキシフェンに対するw/wで、≧96%、≧97%、≧98%、≧99%、または≧99.5%の形態IIのエンドキシフェンを含む。別の例では、徐放性組成物は、徐放性組成物中の全エンドキシフェンに対するw/wで、≧96%、≧97%、≧98%、≧99%、または≧99.5%の形態IIIのエンドキシフェンを含む。エンドキシフェンの特定の重量パーセンテージが単一多形形態である場合、徐放性組成物中のエンドキシフェンの残部は、その単一多形形態を含まない、非晶質エンドキシフェンおよび/または1つもしくは複数の多形形態のエンドキシフェンの、何らかの組合せである。多形エンドキシフェンがエンドキシフェンの1つの特定の形態として定義されている場合、残部は、非晶質エンドキシフェン、および/または指定された特定の形態以外の1つもしくは複数の多形形態で構成されている。単一の多形形態の例には、エンドキシフェンの形態I、IIおよびIIIはもちろん、本出願人の特許公報WO2019051416(A1)に記載されているような1つまたは複数の特性を特徴とする単一多形形態の記載も含まれる。
【0126】
他の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンを含む徐放性組成物は、徐放性組成物に対するw/wで、約0.01%~約20%、約0.05%~約15%、または約0.1%~約10%の形態I、形態IIまたは形態IIIなどの単一多形形態のエンドキシフェンを含む。少なくとも1つの実施形態では、(Z)-エンドキシフェンを含む徐放性組成物は、組成物のに対して約0.01%~約20%の形態I、形態IIまたは形態IIIなどの単一多形形態のエンドキシフェンを含む。様々な他の実施形態では、エンドキシフェンを含む徐放性組成物は、徐放性組成物に対するw/wで、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0,09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、または約20%の形態I、形態IIまたは形態IIIなどの単一多形形態のエンドキシフェンを含む。ある態様では、形態I、形態IIまたは形態IIIなどの単一多形形態の(Z)-エンドキシフェンを含む徐放性組成物は、第2の多形形態のエンドキシフェンをさらに含む。
【0127】
ある態様では、単位用量中に約0.1mg~約200mgの範囲の量で多形形態の(Z)-エンドキシフェンを含む徐放性組成物。様々な実施形態では、徐放性組成物は、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、20mgおよび40mgの、形態I、形態IIもしくは形態IIIなどの多形形態の(Z)-エンドキシフェン、またはこれらの組合せを含む。例えば、徐放性組成物は、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、20mgおよび40mgの形態Iの(Z)-エンドキシフェンを含み得る。別の例では、徐放性組成物は、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、20mgおよび40mgの形態IIの(Z)-エンドキシフェンを含み得る。別の例では、徐放性組成物は、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、20mgおよび40mgの形態IIIの(Z)-エンドキシフェンを含み得る。一部の実施形態では、徐放性組成物は、形態I、形態IIもしくは形態IIIなどの多形形態の(Z)-エンドキシフェン、またはこれらの組合せを0.1mg~1mg、0.1mg~2mg、0.1mg~3mg、0.1mg~4mg、0.1mg~5mg、1mg~2mg、1mg~3mg、1mg~4mg、1mg~5mg、1mg~6mg、1mg~7mg、1mg~8mg、1mg~9mg、1mg~10mg、5mg~6mg、5mg~7mg、5mg~8mg、5mg~9mg、5mg~10mg、5mg~15mg、5mg~20mg、5mg~40mg、10mg~15mg、10mg~20mg、または10mg~40mg含み得る。
【0128】
本開示の徐放性組成物に適する(Z)-エンドキシフェンの塩の例としては、薬理学的に許容される塩、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、アミノ酸との塩およびこれらに類するものが挙げられる。無機酸との(Z)-エンドキシフェン塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸およびこれらに類するものとの塩が挙げられる。一部の実施形態では、本開示は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸およびこれらに類するものからなる群から選択される無機酸との(Z)-エンドキシフェン塩を提供する。
【0129】
有機酸との塩の例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸およびこれらに類するものとの塩が挙げられる。
【0130】
酸性アミノ酸との塩の例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸、クエン酸およびこれらに類するものとの塩が挙げられる。一部の実施形態では、本開示は、アスパラギン酸、クエン酸またはグルタミン酸との(Z)-エンドキシフェン塩を提供する。
【0131】
(Z)-エンドキシフェンのアニオン塩の例としては、アレコリン、ベシル酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素塩(bitartarate)、ブチルブロミド、クエン酸塩、カンシル酸塩(camysylate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナプタノエート、イセチオン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチルブロミド、メチルブロミド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩(polygalacuronate)、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、テオクル酸塩、およびトリエチオジドが挙げられる。
【0132】
ベンザチン、クレミゾール、クロロプロカイン、コリン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、ピペラジン、プロカイン、アルミニウム、バリウム、ビスマス、リチウム、マグネシウム、カリウムおよび亜鉛、ならびにこれらに類するものからなる群から選択される、(Z)-エンドキシフェンのカチオン塩の例。
【0133】
一部の実施形態では、本開示は、実施形態が、薬学的に許容されない酸を用いて作製される塩を含むことを提示する。
【0134】
本開示は、一部の実施形態では、徐放性組成物が、酢酸塩、アレコリン、ベンザチン、安息香酸塩、ベシル酸塩、ベンゾスルホン酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素塩、ブチルブロミド、クエン酸塩、カンシル酸塩、クレミゾール、クロロプロカイン、コリン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩(glucolate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナプタノエート、イセチオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、メシル酸塩、メチルブロミド、メチルブロミド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、メタンスルホン酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩(nitric)、硝酸塩(nitrate)、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パントテン酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、ピペラジン、プロカイン、ポリガラクツロン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩(sulfate)、スルホン酸塩、硫酸塩(sulfuric)、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トリエチオジド、トリフルオロ酢酸塩、アルミニウム、バリウム、ビスマス、リチウム、マグネシウム、カリウムおよび亜鉛、アルミニウム、バリウム、ビスマス、リチウム、マグネシウム、カリウム、および亜鉛、またはこれらの任意の組合せからなる群から選択される(Z)-エンドキシフェンの塩を含むことを提示する。
【0135】
一部の実施形態では、本開示は、(Z)-エンドキシフェンの薬学的に許容される塩を含む徐放性組成物を提供する。ある特定の実施形態では、全エンドキシフェンに対するw/wで、1%、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%または100%の(Z)-エンドキシフェン塩を含む徐放性組成物が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、徐放性組成物は、全エンドキシフェンに対するw/wで、≧90%、≧95%、≧96%、≧97%、≧98%、≧99%、≧99.5%、≧99.9%、≧99.99%、または100%の(Z)-エンドキシフェン塩を含む。ある特定の実施形態では、組成物のに対して1%、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%または100%の(Z)-エンドキシフェン塩を含む徐放性組成物が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、徐放性組成物は、組成物のに対して1%~50%、5%~50%、10%~50%、15%~50%、20%~50%、25%~50%、30%~50%、35%~50%、40%~50%、45%~50%、20%~80%、25%~80%、30%~80%、35%~80%、40%~80%、45%~80%、50%~80%、55%~80%、60%~80%、65%~80%、70%~80%、50%~90%、55%~90%、60%~90%、65%~90%、70%~90%、75%~90%、または80%~90%の(Z)-エンドキシフェン塩を含む。
【0136】
一部の実施形態では、塩は、(Z)-エンドキシフェングルコン酸塩である。エンドキシフェングルコン酸塩は、(Z)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩、(Z)-エンドキシフェンL-グルコン酸塩、またはこれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0137】
一部の実施形態では、エンドキシフェングルコン酸塩を含む徐放性組成物は、徐放性組成物中の全エンドキシフェングルコン酸塩に対するw/wベースで10%~100%の(Z)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩から構成される。一部の実施形態では、(Z)-エンドキシフェングルコン酸塩を含む徐放性組成物は、徐放性組成物中の全エンドキシフェンに対するw/wベースで10%~100%の(Z)-エンドキシフェンL-グルコン酸塩から構成される。
【0138】
他の実施形態では、エンドキシフェングルコン酸塩を含む徐放性組成物は、全エンドキシフェングルコン酸塩に対して10%、20%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.75%、99.99%および100%の(Z)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩または(Z)-エンドキシフェンL-グルコン酸塩から構成される。一部の実施形態では、徐放性組成物は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、および少なくとも99.99%(Z)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩、(Z)-エンドキシフェンL-グルコン酸塩、またはこれらの組合せを含む。
【0139】
一部の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩と(E)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩とを含む徐放性組成物が本明細書で提供される。(Z)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩および(E)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩は、徐放性組成物中に10:90~99:1w/wの範囲の比でそれぞれ存在し得る。一部の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩の(E)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩に対する比は、それぞれ、(w/w)10:90~99:1(例えば、45:55、50:50、60:40、70:30、80:20、90:10、91:9、92:8、93:7、94:8、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、99.5:0.5、または99.99:0.01)である。ある特定の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩の(E)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩に対する比(w/w)は、それぞれ、90:10、91:9、92:8、93:7、94:8、95:5、96:4、97:3、98:2、および99:1、99.5:0.5、または99.99:0.01である。エンドキシフェングルコン酸塩異性体の他の組合せが本開示に包含されることは、当業者には理解されるであろう。
【0140】
一部の実施形態では、エンドキシフェングルコン酸塩を含む徐放性組成物は、徐放性組成物の0.01%、0.05%、0.01%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%および20%(Z)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩(w/w)を含む。一部の実施形態では、エンドキシフェングルコン酸塩を含む徐放性組成物は、徐放性組成物の0.01%、0.05%、0.01%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%および20%(Z)-エンドキシフェンL-グルコン酸塩(w/w)を含む。
【0141】
本開示の徐放性組成物中の(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の含有量は、徐放性組成物の剤形、標的疾患、疾患の重症度およびこれらに類するものによって変わるが、その含有量は、一般に、(Z)-エンドキシフェン約0.01mg~約200mgに相当するまたはそれと等価である量である。徐放性組成物が(Z)-エンドキシフェンの塩を含む場合、エンドキシフェン塩が、放出される(Z)-エンドキシフェンに基づいて等価の量で存在することになることは、当業者には理解されるであろう。
【0142】
一部の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩は、本開示の徐放性組成物中に単位用量当り約0.01mg~約200mg、約0.1mg~約150mg、約0.5mg~約100mg、約0.5mg~約40mg、約0.5mg~約20mg、約1mg~約10mg、または約20mg~約100mgの範囲の量で存在する。一部の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩は、本開示の徐放性組成物中に単位用量当り約0.1mg~約40mgまたは約0.5mg~約20mgの範囲の量で存在する。一部の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩は、本開示の徐放性組成物中に単位用量当りの約0.1mg、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、または約40mgの量で存在する。
【0143】
(Z)-エンドキシフェンならびにその多形体および塩を、医学分野、食品分野およびこれらに類するものにおいて一般に使用される希釈剤で希釈することができる。
【0144】
(Z)-エンドキシフェン多形体および塩の量が、薬理活性(Z)-エンドキシフェン遊離形態とモル濃度ベースで等価の量で徐放性組成物中に存在することになることは、当業者には理解されるであろう。
【0145】
ある態様では、本開示は、本開示の徐放性組成物が、約2時間~約72時間の期間にわたって徐放性組成物からの薬物(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の徐放を示すことを提示する。一部の実施形態では、本開示の徐放性組成物は、約4時間~約24時間またはそれを超える期間にわたって徐放性組成物からの薬物(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の徐放を示す。一部の実施形態では、本開示の徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、少なくとも16時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、および少なくとも72時間の期間にわたって持続的に放出する。一部の実施形態では、徐放性(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩は、6時間~48時間の期間にわたって放出される。一部の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩は、投与後約2時間後に約2時間~約72時間の範囲の期間、徐放性組成物から放出される。一部の実施形態では、投与後約2時間後、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩は、徐放性組成物から約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、および約24時間、放出される。一部の実施形態では、治療剤((Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩)の放出速度は、本開示の本明細書中で示されるような腸耐性遅延放出性(Z)-エンドキシフェンカプセル(本明細書では同義で使用される「カプセル」または「対照」)である参照製品の放出速度より緩徐であり、より持続される、またはより長期にわたる。
【0146】
USP I法に準拠して行なった本開示のある特定の徐放性組成物の溶解試験では、徐放性組成物は、75RPM USP I法に準拠する溶解試験であって、試験媒体として模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、3時間で約0%~35%、12時間で約35%~約55%、および24時間で約65%~85%の範囲の溶解パーセンテージを示す。
【0147】
組成物(例えば、徐放性組成物)の溶解を測定するための方法は、酸性相(例えば、模擬胃液)、続いて緩衝相(例えば、模擬腸液)において溶解を測定するステップを含み得る。酸性相は、容器内に750mLの0.1N塩酸を入れること、および装置(例えば、パドル装置またはバスケット装置)を組み立てることを含み得る。媒体を放置して37±0.5℃の温度に平衡させることができる。1投薬単位を装置に入れ、容器に蓋をし、指定された速度で装置を動作させることができる。0.1N塩酸中での2時間の動作後、流体の一定分量を回収することができる。次いで、方法は、緩衝段階の下で指示に従って直ちに進行し得る。一定分量の分析を、適するアッセイ方法を使用して行なうことができる。装置を指定された速度で動作させながら、37±0.5℃に平衡させた250mLの0.20M三塩基性リン酸ナトリウムを容器内の流体に添加することができる。流体を、必要に応じて、2N塩酸または2N水酸化ナトリウムで6.8±0.05のpHに調整することができる。装置を、45分間または指定された時間、動作させ続けることができる。その時間帯の終了時に、流体の一定分量を回収し、適するアッセイ方法を使用してその一定分量の分析を行なうことができる。
【0148】
一部の実施形態では、溶解パーセンテージは、75rpm USPパドル法により、37℃で0~2時間pH1.2の模擬胃液中でおよび37℃で2時間後にpH6.8の模擬胃液中で測定される。溶解パーセンテージは、溶解した組成物の重量パーセントによるパーセンテージを指す。溶解パーセンテージは、溶解研究中の(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解重量パーセントを指す。非限定的な例として、錠剤が4mgの(Z)-エンドキシフェンを含み、溶解研究中に3時間の時点で1mgの(Z)-エンドキシフェンが溶液に溶解された場合には、3時間での溶解パーセンテージは25%である。溶解パーセンテージは、例えば高圧液体クロマトグラフィーにより、決定することができる。
【0149】
一部の実施形態では、徐放性組成物は、37℃で0~2時間、pH1.2の模擬胃液中で、および2時間後に37℃でpH6.8の模擬腸液中で、75rpm USPパドル法により測定して、3時間で約5%~約35%、約10%~約15%、約20%~約25%、約30%~約35%、約5%~約30%、約5%~約25%、約5%~約20%、約5%~約15%、約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、約25%~約30%、または約30%~約35%の範囲の溶解パーセンテージを有する。
【0150】
一部の実施形態では、徐放性組成物は、37℃で0~2時間、pH1.2の模擬胃液中で、および2時間後に37℃でpH6.8の模擬腸液中で、75rpm USPパドル法により測定して、2時間で約5%以下、約10%以下、約15%以下、約20%以下、約25%以下、約30%以下、約35%以下、約40%以下、約45%以下、または約50%以下の溶解パーセンテージを有する。一部の実施形態では、徐放性組成物は、3時間で、最高で(NMT)約30%、NMT約25%、NMT約20%、NMT約15%、NMT約10%、またはNMT約5%の溶解パーセンテージを有する。
【0151】
一部の実施形態では、徐放性組成物は、37℃で0~2時間、pH1.2の模擬胃液中で、および2時間後に37℃でpH6.8の模擬腸液中で、75rpm USPパドル法により測定して、2時間で約5%未満の、および3時間で約5%~約80%、約10%~約75%、約20%~約70%、約30%~約65%、約5%~約75%、約5%~約70%、約5%~約60%、約5%~約65%、約5%~約60%、約10%~約55%、約5%~約50%、約30%~約80%、約25%~約75%、約35%~約80%の範囲のまたは最低でも約70%の、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを有する。
【0152】
一部の実施形態では、徐放性組成物は、37℃で0~2時間、pH1.2の模擬胃液中で、および2時間後に37℃でpH6.8の模擬腸液中で、75rpm USPパドル法により測定して、7時間で約10%未満、約15%未満、約20%未満、約25%未満、約30%未満、約31%未満、約32%未満、約33%未満、約34%未満、約35%未満、約36%未満、約37%未満、約38%未満、約39%未満、約40%未満の(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを有する。
【0153】
一部の実施形態では、徐放性組成物は、37℃で0~2時間、pH1.2の模擬胃液中で、および2時間後に37℃でpH6.8の模擬腸液中で、75rpm USPパドル法により測定して、2時間で約5%未満の、および6時間で約70%~約99%、約75%~約95%、約85%~約95%、約90%~約95%、約75%~約90%、約85%~約90%、約75%~約85%、約80%~約99%、約85%~約99%、約90%~約99%、約95%~約99%の範囲のまたは最低でも約95%の、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを有する。
【0154】
一部の実施形態では、徐放性組成物は、2時間で約5%未満の、および6時間で最低でも(NLT)約20%、約25%、約30%、約35%または約40%の、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを有する。
【0155】
一部の実施形態では、徐放性組成物は、2時間で約5%未満の、および9時間でNLT約40%、約45%、約50%、約55%または約60%の、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを有する。
【0156】
一部の実施形態では、徐放性組成物は、37℃で0~2時間、pH1.2の模擬胃液中で、および2時間後に37℃でpH6.8の模擬腸液中で、75rpm USPパドル法により測定して、12時間で約35%~約55%、約40%~約55%、約45%~約55%、約50%~約55%、約35%~約50%、約35%~約45%、約35%~約40%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、または約50%~約55%の範囲の溶解パーセンテージを有する。
【0157】
一部の実施形態では、徐放性組成物は、37℃で0~2時間、pH1.2の模擬胃液中で、および2時間後に37℃でpH6.8の模擬腸液中で、75rpm USPパドル法により測定して、2時間で20%未満の(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージ、および12時間で少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の溶解パーセンテージを有する。
【0158】
一部の実施形態では、徐放性組成物は、37℃で0~2時間、pH1.2の模擬胃液中で、および2時間後に37℃でpH6.8の模擬腸液中で、75rpm USPパドル法により測定して、2時間で約20%未満の(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージ、および24時間で少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の溶解パーセンテージを有する。
【0159】
一部の実施形態では、徐放性組成物は、37℃で0~2時間、pH1.2の模擬胃液中で、および2時間後に37℃でpH6.8の模擬腸液中で、75rpm USPパドル法により測定して、2時間で約5%未満の、および12時間で約70%~約99%、約75%~約95%、約85%~約95%、約90%~約95%、約75%~約90%、約85%~約90%、約75%~約85%、約80%~約99%、約85%~約99%、約90%~約99%、約95%~約99%または約100%の、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを有する。
【0160】
一部の実施形態では、徐放性組成物は、37℃で0~2時間、pH1.2の模擬胃液中で、および2時間後に37℃でpH6.8の模擬腸液中で、75rpm USPパドル法により測定して、2時間で約5%未満の、および14時間で約55%~約90%、約60%~約85%、約70%~約80%の、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを有する。一部の実施形態では、徐放性組成物は、2時間で約5%未満の、および14時間でNLT約70%、約75%、約80%、約85%または約90%の、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを有する。
【0161】
一部の実施形態では、徐放性組成物は、37℃で0~2時間、pH1.2の模擬胃液中で、および2時間後に37℃でpH6.8の模擬腸液中で、75rpm USPパドル法により測定して、24時間で約65%~約85%、約70%~約85%、約75%~約85%、約80%~約85%、約65%~約80%、約65%~約75%、約65%~約70%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、または約80%~約85%の範囲の溶解パーセンテージを有する。
【0162】
一部の実施形態では、徐放性組成物は、37℃で0~2時間、pH1.2の模擬胃液中で、および2時間後に37℃でpH6.8の模擬腸液中で、75rpm USPパドル法により測定して、2時間で約5%未満の、および72時間で約55%~約100%、約60%~約99%、約75%~約90%、約80%~約85%、約55%~約99%、約65%~約99%、約70%~約99%、約75%~約99%、約80%~約99%、約90%~約99%、約80%~約95%、または約75%~約95%の、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを有する。
【0163】
USP IIパドル法に準拠して行なった本開示のある特定の徐放性組成物の溶解試験では、徐放性組成物は、75RPM USPパドル法に準拠する溶解試験であって、試験媒体として模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、3時間で約0%~35%、12時間で約35%~約55%、および24時間で約65%~85%の範囲の溶解パーセンテージを示す。
【0164】
一部の実施形態では、本開示の徐放性組成物は、75rpm USPパドル法に準拠する溶解試験であって、模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、3時間で約0%~30%、12時間で約40%~約50%、および24時間で約70%~80%の、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを示す。
【0165】
一部の実施形態では、本開示の徐放性組成物は、75rpm USPパドル法に準拠する溶解試験であって、模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、3時間でNMT 30%、12時間でNMT 50%、および24時間でNLT 80%の、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを示す。
【0166】
一部の実施形態では、徐放性組成物は、75RPM USP II法に準拠する溶解試験であって、模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、2時間で最高で(NMT)約5%、3時間で最低でも(NLT)70%、6時間でNLT 90%、および12時間で約100%の、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを示す。
【0167】
一部の実施形態では、徐放性組成物は、75RPM USP II法に準拠する溶解試験であって、模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、2時間でNMT約5%、3時間でNLT約10%、6時間でNLT約30%、9時間でNLT約50%、および14時間で約80%の、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを示す。
【0168】
一部の実施形態では、本開示の徐放性組成物は、75rpm USPパドル法に準拠する溶解試験であって、模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、24時間後で少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%の、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを示す。
【0169】
そのような特定の溶解特性のため、乳房障害、例えば、乳がん、乳腺濃度上昇、女性化乳房症など、および気分障害を含む、エストロゲンホルモン依存性障害などの障害の処置において使用するための徐放性組成物を調製し、使用することができる。
【0170】
ある態様では、本開示の徐放性組成物は、錠剤、ミニ錠剤、カプレット、ビーズ、マイクロビーズ、球体、ペレット、小球体、顆粒、丸剤、錠剤中の錠剤、カプセル中の錠剤、カプセル入りの顆粒、およびこれらに類するものを含むがこれらに限定されない、固体剤形として製剤化または調製される。固体剤形の形態の本開示の徐放性組成物は、薬物、活性成分(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の緩徐な制御放出を、(Z)-エンドキシフェンを含有する他の組成物で観察されるものよりも驚くほど長期間(例えば、少なくとも約4時間~約24時間、少なくとも2時間~約72時間)にわたって提供する。少なくとも一実施形態では、固体剤形の形態の徐放性組成物は、錠剤である。
【0171】
そのような徐放性組成物は、コーティングされることもあり、または未コーティングであることもある。
【0172】
ある態様では、本開示は、本開示の固体剤形を経口送達できることを提示する。
【0173】
ある態様では、本開示は、活性成分((Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩)が徐放性送達システム内に分散されることを提示する。(Z)-エンドキシフェンまたはその塩もしくは多形体を均等にまたは均一に分散させることができる。徐放性送達システムは、薬物(Z)-エンドキシフェンまたはその塩もしくは多形体の放出速度を制御する徐放剤などの少なくとも1つの放出制御剤、少なくとも1つの結合剤、および少なくとも1つの滑沢剤を含むが、これらに限定されない。
【0174】
一部の実施形態では、徐放性送達システムは、本開示の徐放性組成物中に約60%~約99.99%の範囲の量で存在する。
【0175】
一部の実施形態では、徐放性送達システムは、本開示の徐放性組成物中に約10mg~約499.5mg、約25mg~約450mg、約50~約400mg、または約100mg~約300mgの範囲の量で存在する。少なくとも一実施形態では、徐放性送達システムは、徐放性組成物中に約50mg~約199.5mgの量で存在する。別の実施形態では、徐放性送達システムは、徐放性組成物中に約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約95mg、または約100mgの量で存在する。さらに別の実施形態では、徐放性送達システムは、徐放性組成物中に約110mg、約120mg、約125mg、約130mg、約140mg、約145mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約195mg、約200mg、約210mg、約225mg、約 mg、約300mg、約400mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約495mg、または約499.5mgの量で存在する。一部の実施形態では、徐放性送達システムは、徐放性組成物中に約50mg~約99.5mgの量で存在する。少なくとも一実施形態では、徐放性送達システムは、徐放性組成物中に約90mg、約91mg、約92mg、約93mg、約94mg、約95mg、約96mg、約97mg、約98mg、約99mg、または約99.5mgの量で存在する。
【0176】
本開示の徐放性組成物である一部の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の徐放性送達システムに対する比は、一般に、約4:1~約0.1:100である。一部の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の徐放性送達システムに対する比は、2.5:1~約1:20である。
【0177】
本開示の徐放性組成物中に存在する徐放剤は、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩などの疎水性薬物の放出を緩徐化することが当技術分野において公知である任意の徐放剤であり得る。
【0178】
徐放剤の例としては、セルロースエーテル、ゴム、アクリル樹脂、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メチルアクリル酸メチルおよびこれらの組合せのポリマーおよびコポリマー、ポリビニルピロリドン、ならびにタンパク質由来化合物が挙げられる。セルロースエーテルの例としては、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCまたはヒプロメロース、例えば、番号2208、2906、2910)、カルボキシアルキルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースが挙げられる。一部の実施形態では、少なくとも1つの徐放剤は、pH5.0より上でますます可溶性かつ透過性になるがpH5.0未満では不透過性のままである酸不溶性ポリマーなどのpH徐放剤である。そのような制御放出ポリマーは、上部小腸および/または結腸を標的とする。酸不溶性ポリマーの非限定的な例としては、酢酸フタル酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸エステル、アルギン酸(algenic acid)塩、例えばアルギン酸ナトリウムまたはカリウム、セラック、ペクチン、EvonikまたはRohmから市販されているもの(Eudragit(登録商標)徐放性ポリマーであるEudragit(登録商標)RL(高透過性)、Eudragit(登録商標)RS(低透過性)およびEudragit(登録商標)NM 30D(低透過性)-徐放に望ましい透過性を達成するために単独でまたはこれらの任意の組合せで)を含むアクリル酸-メタクリル酸コポリマーが挙げられる。徐放剤の粘度は、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の徐放に適する任意の粘度であり得る。ある特定の実施形態では、少なくとも徐放剤の粘度は、約1000mPa・s~約150,000mPa・sの範囲である。一部の実施形態では、徐放性送達システムは、約1000mPa・s~約10,000mPa・s、約10,000mPa・s~約70,000mPa・s、約70,000mPa・s~約150,000mPa・sの範囲の粘度を有する1つまたは複数のSR/放出速度制御剤、またはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、本開示は、徐放性送達システムが2つまたはそれより多くの徐放剤を含むことを提示する。各徐放剤は、同じ粘度を有することもあり、または異なる粘度を有することもあり、例えば、ある徐放剤は、約1000mPa・s~約10,000mPa・sの範囲の粘度を有することがあり、その一方で、他の徐放剤は、約10,000mPa・s~約70,000mPa・sまたは約70,000mPa・s~約150,000mPa・sの粘度を有することがある。
【0179】
一部の実施形態では、徐放剤は、HPMC/ヒプロメロース(例えば、番号2208、2906、2910)である。本開示で使用されるヒプロメロースは、約20,000~500,000の重量分子平均値を有する。一部の実施形態では、ヒプロメロースは、一般に20,000~250,000の分子量平均値を有する。ヒプロメロースは、Dow Chemicalsから商標名Methocell(商標)、例えば、Methocell(商標)K100(平均分子量26,000、2%粘度;75,000~140,000mPa・s)、Methocell(商標)K15M(平均分子量120,000、2%粘度;15,000cP、13275~24,780mPa・s)、Methocell(商標)K4M(平均分子量86,000、2%粘度;4,000cP、75,000~140,000mPa・s)で市販されている。あるグレードのヒプロメロースを単独で使用してもよく、または別のグレードと組み合わせて使用してもよい。
【0180】
少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、少なくとも16時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、および少なくとも72時間、持続的に(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の放出を示す徐放性組成物が得られる場合、一部の実施形態では、ヒプロメロースなどの徐放剤は、一般に15,000~140,000ダルトンの範囲の平均分子量を有する。少なくとも一実施形態では、約15,000ダルトンの平均分子量。
【0181】
組成物中の徐放剤の量は、治療剤を胃の酸性環境から保護するためのおよび胃を通って腸に治療剤を移行させるための投与後約2時間の治療剤(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の放出の遅延に、ならびにそのような放出の約2時間~約72時間にわたる長期化に、有効な任意の量であり得る。組成物中の徐放剤の量は、参照製品と比較して治療剤(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩のより緩徐な放出速度をもたらすのに有効な任意の量であり得る。一部の実施形態では、組成物中の徐放剤の量は、治療剤(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の放出を参照製品と比較して投与後少なくとも約1時間、少なくとも約1.1時間、少なくとも約1.2時間、少なくとも約1.3時間、少なくとも約1.4時間、少なくとも約1.5時間、少なくとも約1.6時間、少なくとも約1.7時間、少なくとも約1.8時間、少なくとも約1.9時間、少なくとも約2時間、少なくとも約2.1時間、少なくとも約2.2時間、少なくとも約2.3時間、少なくとも約2.4時間、または少なくとも約2.5時間遅延させるのに有効な任意の量であり得る。
【0182】
徐放性組成物が、75RPM USPパドル法に準拠する溶解試験であって、試験媒体として模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、3時間で約0%~35%、12時間で約35%~約55%、および24時間で約65%~85%の範囲の溶解パーセンテージを示す場合、ヒプロメロース(HPMC)などの少なくとも1つの徐放剤は、一般に、本開示の徐放性組成物中に、徐放性組成物に対するw/wで、の約0.1~約99%、約0.1%~約90%、約5%~約90%、約5%~約80%、約5%~約70%、および約5%~約60%の量で存在し得る。一部の実施形態では、徐放剤(例えば、ゴム、アクリル樹脂、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メチルアクリル酸メチル、ポリビニルピロリドン、タンパク質由来化合物、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、またはカルボキシメチルセルロース)は、約10%~約40%、約10%~約50%、約10%~約60%、約20%~約40%、約20%~約50%、約20%~約60%の量で存在し得る。一部の実施形態では、徐放剤は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、または少なくとも約40%の量で存在し得る。本明細書で開示される場合、本開示のそのような徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、少なくとも16時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、および少なくとも72時間、持続的に放出する。実施例1~実施例8、ならびに
図1~
図6および
図12~
図17を参照されたい。一部の実施形態では、徐放性組成物中の治療剤は、6時間~48時間の期間にわたって放出される。一部の実施形態では、治療剤(例えば、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩)は、USP II法により模擬胃液中での2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中での24時間、37℃でpH6.8を使用して試験して、2時間~72時間の期間にわって放出される。
【0183】
非限定的な例として、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の徐放剤に対する比は、本開示の徐放性組成物を調製するために、約1:20~約20:1、約1:10~約10:1、約1:5~約2:5の範囲である。約0.1mg~約200mgの(Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含有する徐放性錠剤を調製するために、薬物は、徐放剤に対して、約20:1~約1:20の範囲となる。一部の実施形態では、約0.1mg~約200mgの(Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含有する徐放性錠剤中で、薬物は、徐放剤に対して、約10:1~約1:10の範囲となる。ある特定の実施形態では、治療薬(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の徐放剤に対する比は、約1:5である。(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の放出速度を、本開示の徐放性組成物の粘度等級および本明細書で開示されるような徐放剤の量を変えることにより所望通りに徐放放出のために調整することができることは、当業者には理解されるであろう。
【0184】
本開示の徐放性組成物中に存在する結合剤は、本開示の徐放性組成物中の構成成分または成分を一緒に保持することができる、当技術分野において公知の任意の結合剤であり得る。本明細書で提供される徐放性組成物における使用に適する結合剤としては、単糖類(例えば、スクロース、デキストロース、フルクトース)、二糖類、デンプン、例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、またはデンプン、例えば、デンプンのり、アルファー化デンプンおよびスターチ1500、多価アルコール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、ラクトース、ポリエチレングリコール、例えばPEG6000、天然および合成ゴム、例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、トラガカント、グァーガム、セルロース(例えば、粉末セルロースおよびアルファー化デンプン)およびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、番号2208、2906、2910)、結晶セルロース、微結晶性セルロース(MCC)、ケイ化微結晶性セルロース、炭酸カルシウムおよびその塩、リン酸カルシウム、沈降リン酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、無水リン酸水素カルシウム、タルク、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、およびこれらの組合せまたは混合物が挙げられるが、それらに限定されない。適する形態の結晶セルロースおよび微結晶性セルロースとしては、AVICEL(登録商標)PH 101、AVICEL PH 103、AVICEL(登録商標)RC 581、AVICEL(登録商標)PH 105(FMC Corporation,American Viscose Division,Avicel Sales、Marcus Hook、Pa.から入手可能)、Pharmacel 101として商業販売されている材料が挙げられるが、これらに限定されない。無水または低水分の賦形剤が好ましい。適する無水または低水分の賦形剤または添加剤としては、AVICEL(登録商標)PH 101、AVICEL(登録商標)PH 103、Pharmacel 101として市販されている微結晶性セルロースが挙げられる。少なくとも一実施形態では、結合剤は、微結晶性セルロース(例えば、AVICEL(登録商標)PH 101)またはケイ化微結晶性セルロースである。
【0185】
本開示の徐放性組成物は、典型的には、少なくとも1つの結合剤を、徐放性組成物の重量に対するw/wベースで約1%~約99%、約5%~約95%、約10%~約90%、約15%~約85%、約20%~約80%、または約20%~約85%の範囲の量で含み得る。ある特定の実施形態では、本開示の徐放性組成物は、典型的には、微結晶性セルロースを、徐放性組成物の重量に対するw/wベースで約1%~約99%、約5%~約95%、約10%~約90%、約15%~約85%、約20%~約80%、または約20%~約85%の範囲の量で含む。
【0186】
本明細書で提供される徐放性組成物において使用され得る例示的な滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カリウム、硬化植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油)、鉱物油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、グリコール、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、マクロゴール、タルク、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、蝋、およびこれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。追加の滑沢剤としては、例えば、サイロイドシリカゲル(Baltimore、Md.のW.R.Grace Co.により製造されている、AEROSIL 200)、合成シリカの凝固エアロゾル(Plano、Tex.のDegussa Co.により市販されている)、CAB O SIL(Boston、Mass.のCabot Co.により販売されている発熱性二酸化ケイ素生成物)、Q7-9120(Dow Corning)、およびこれらの組合せが挙げられる。一部の実施形態では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。ステアリン酸マグネシウムは、錠剤の圧縮および射出中のダイ壁と錠剤ミックス間の摩擦を低減させる。ステアリン酸マグネシウムは、パンチおよびダイへの錠剤の付着を防止する。ステアリン酸マグネシウムはまた、粉末のホッパー内のおよびダイの中への流動を助ける。ステアリン酸マグネシウムは、450~550マイクロメートルの粒径範囲、および1.00~1.80g/mLの密度範囲を有する。ステアリン酸マグネシウムは、打錠用ミックス中で安定しており、重合しない。ステアリン酸マグネシウムである1つの滑沢剤を製剤化に用いることもできる。
【0187】
典型的に、本開示の徐放性組成物は、少なくとも1つの滑沢剤を、徐放性組成物の重量に対するw/wベースで約0.01%~約5%、約0.2%~約2%、または約0.5%~約1.5%の範囲の量で含み得る。ある特定の実施形態では、本開示の徐放性組成物は、ステアリン酸マグネシウムを、徐放性組成物の重量に対するw/wベースで約0.01%~約5%、約0.2%~約2%、または約0.5%~約1.5%の範囲の量で含む。
【0188】
本開示の徐放性組成物のある特定の例示的な実施形態は、以下の実施形態を含むが、それらに限定されない。
【0189】
一部の実施形態では、少なくとも1つの徐放剤(例えば、HPMC、酢酸フタル酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸エステル、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、セラック、ペクチン、またはアクリル酸-メチルアクリル酸コポリマー)は、徐放性組成物中に約0.1%~約99%の範囲の量で存在し、少なくとも1つの結合剤は、徐放性組成物中に約1%~約99%の範囲の量で存在し、少なくとも1つの滑沢剤は、徐放性送達システム中に約0.01%~約5%の範囲の量で存在し、これらのパーセンテージは、徐放性組成物の重量に対するw/wベースでのパーセンテージである。
【0190】
一部の実施形態では、少なくとも1つの徐放剤は、徐放性組成物中に約0.1%~約90%の範囲の量で存在し、少なくとも1つの結合剤は、徐放性組成物中に約1%~約99%の範囲の量で存在し、少なくとも1つの滑沢剤は、徐放性送達システム中に約0.01%~約5%の範囲の量で存在し、これらのパーセンテージは、徐放性組成物の重量に対するw/wベースでのパーセンテージである。
【0191】
少なくとも一実施形態では、徐放性組成物は、少なくとも1つの徐放剤を約5%~60%の範囲の量で、少なくとも1つの結合剤を約10%~約90%の範囲の量で、および少なくとも1つの滑沢剤を約0.01%~約5%の範囲の量で含み、これらのパーセンテージは、徐放性組成物の重量に対するw/wベースでのパーセンテージである。
【0192】
一部の実施形態では、少なくとも1つの徐放剤は、徐放性組成物中に約0.1%~約10%の範囲の量で存在し、少なくとも1つの結合剤は、徐放性組成物中に約80%~約99%の範囲の量で存在し、少なくとも1つの滑沢剤は、徐放性送達システム中に約0.02%~約2%の範囲の量で存在し、これらのパーセンテージは、徐放性組成物の重量に対するw/wベースでのパーセンテージである。
【0193】
少なくとも一実施形態では、徐放性組成物は、少なくとも1つの徐放剤を約10%~45%の範囲の量で、少なくとも1つの結合剤を約50%~約80%の範囲の量で、少なくとも1つの滑沢剤を約0.02%~約2%の範囲の量で含み、これらのパーセンテージは、徐放性組成物の重量に対するw/wベースでのパーセンテージである。
【0194】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの徐放剤は、徐放性組成物中に約8%、約9%、約10%、約12%、約15%、約18%、約20%、約22%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%の量で存在し;少なくとも1つの結合剤は、徐放性組成物中に約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、または約80%の量で存在し;および約0.02%、約0.05%、約0.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%または約2%の少なくとも1つの滑沢剤、ここでのパーセンテージは、徐放性組成物の重量に対するw/wベースでのパーセンテージである。
【0195】
ある特定の実施形態では、いずれの場合にも徐放性組成物の重量に対するw/wベースで、少なくとも1つの徐放剤は、徐放性組成物中に約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、または約25%の量で存在し、少なくとも1つの結合剤は、徐放性組成物中に約29%、約25%、約30%、約35%、約39%、約40%、約45%、約49%、約50%、約55%、約60%、約64%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%または約80%の量で存在し、少なくとも1つの滑沢剤は、徐放性組成物中に約0.8%、約0.9%、約1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、または約1.5%の量で存在する。
【0196】
少なくとも一実施形態では、少なくとも1つの徐放剤は、徐放性組成物中に約10%、約20%、または約40%の量で存在し、少なくとも1つの結合剤は、徐放性組成物中に約55%、約75%、約80%、約85%、または約87%の量で存在し、少なくとも1つの滑沢剤は、徐放性組成物中に約0.9%~約1.1%の量で存在する。パーセンテージは、徐放性組成物の重量に対するw/wベースでのパーセンテージである。
【0197】
ある特定の実施形態では、本開示の徐放性組成物は、追加の徐放剤、結合剤、滑沢剤またはこれらの任意の組合せを含む。
【0198】
本開示の組成物および徐放性送達システムは、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。薬学的に許容される賦形剤は、調剤技術分野で通常使用される任意の添加剤、例えば、充填剤、安定剤、流動促進剤、界面活性剤、遮光剤、甘味料、着色剤、香味料、抗酸化剤、保存薬、還元剤、キレート剤およびこれらに類するものであり得る。薬学的に許容される賦形剤は、調剤技術分野で通常使用される量で使用される。加えて、2種類またはそれより多くの種類の添加剤を適切な比率で混合し、使用することができる。
【0199】
本開示の徐放性組成物における使用に適する充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、糖、例えば、デキストロース、スクロース、ラクトース、塩、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、デンプン、微結晶性セルロース、粉末セルロース、セルロース系基材、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファー化デンプン、およびこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0200】
安定剤の例としては、アスコルビン酸ナトリウム、トコフェロール、エデト酸四ナトリウム(tertrasodium edetate)、シクロデキストリン、ニコチン酸アミド、アルカリ土類金属塩(例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム)およびブチルヒドロキシアニソールが挙げられる。
【0201】
流動促進剤の例としては、コロイド状二酸化ケイ素、セルロース、リン酸カルシウム、二または三塩基性、およびこれらに類するものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0202】
界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、およびこれらに類するものが挙げられる。
【0203】
遮光剤の例としては、酸化チタンが挙げられる。遮光剤は、感光性活性成分、例えば(Z)-エンドキシフェン、ならびにその多形体および塩にとって望ましい。
【0204】
抗酸化剤の例としては、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(butylhydrozyanysole)(BHA)、トコフェロール、トコフェロールエステル(例えば、トコフェロール酢酸エステル)、アスコルビン酸またはそのアルカリもしくはアルカリ土類金属塩、リコピンならびにベータ-カロテンが挙げられる。
【0205】
還元剤の例としては、シスチンおよびシステインが挙げられる。
【0206】
キレート剤の例としては、EDTAまたはそのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩が挙げられる。
【0207】
着色剤の例としては、食品着色料、例えば、Food Color Yellow 5番、US Food color 6番、スウェーデンオレンジ、Food color Blue 2番、Food color Red 2番およびこれらに類するもの、食品レーキ着色料、黄色酸化鉄(黄色酸化鉄顔料)、赤色酸化鉄(赤色酸化鉄顔料)、黒色酸化鉄(黒色酸化鉄顔料)、リボフラビン、リボフラビン有機酸エステル、リボフラビンリン酸エステルまたはそのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩、フェノールフタレイン、酸化チタン、リコピン、ならびにベータ-カロテンが挙げられる。
【0208】
甘味量の例としては、アスパルテーム、アセスルファム、カリウム、タウマチン、サッカリンナトリウム、およびグリチルリチン酸二カリウムが挙げられる。
【0209】
香味料の例としては、メントール、ペパーミント油、レモン油、バニリン、およびイチゴが挙げられる。
【0210】
錠剤などの固体剤形の形態の徐放性組成物の形状は、特に限定されず、投与、例えば経口投与、に適する任意の形状、例えば、球形、長円形、楕円形、洋梨形、円柱形、立方体形、規則的なおよび/または不規則な形であり得る。錠剤は、様々な異なる形状のうちの1つを有することができる。例えば、錠剤は、立方体、角錐、角柱もしくはこれらに類するものなどの、多面体として成形されることもあり、または円錐、円錐台、円柱、球体、トーラスもしくはこれらに類するものなどの、いくつかの平坦でない面がある空間図形の幾何形状を有することもある。ある特定の実施形態では、錠剤は、1つまたは複数の主面を有する。例えば、錠剤表面は、典型的に、圧縮機の上側および下側パンチ面との接触により形成される、対抗する上側面と下側面有する。そのような実施形態では、錠剤表面は、典型的に、上側面と下側面の間に位置する「腹帯」をさらに含み、この腹帯は、圧縮機内でのダイ壁との接触により形成される。
【0211】
ある態様では、本開示は、徐放性錠剤の形態の徐放性組成物が約60~約500mgの錠剤重量を有することを提示する。一部の実施形態では、徐放性錠剤の形態の徐放性組成物は、約90~約110mgの錠剤重量を有する。徐放性錠剤の形態の徐放性組成物は、約2.75~約3.75mmの錠剤厚さを有する。一部の実施形態では、徐放性錠剤の形態の徐放性組成物は、約3~約3.5mmの錠剤厚さを有する。
【0212】
本開示の錠剤の硬度は、例えば、使用される成分の相対量および特定のタイプ、用いられる打錠機器、ならびに選択される加工パラメーターを含む、様々な因子によって変わり得る。錠剤を調製するために使用される圧縮成形および圧力は、治療剤(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の対象への放出プロファイルに影響を及ぼし得る。本発明の錠剤を調製するために使用される圧縮成形および圧力は、それらの表面積、ならびに錠剤に含まれる治療剤(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩、徐放剤、結合剤、滑沢剤、および他の賦形剤の量および粒径によって変わり得る。組成物中の構成成分の水和度および溶媒和度も、錠剤の硬度を決定する上で重要となる。一部の実施形態では、徐放性錠剤の形態の徐放性組成物は、約4キロポンド(Kp)~約16Kpの錠剤硬度を有する。一部の実施形態では、徐放性錠剤の形態の徐放性組成物は、約10~約16Kpの錠剤硬度を有する。一部の実施形態では、徐放性錠剤の形態の徐放性組成物は、約4Kp、約4.5Kp、約5Kp、約5.5Kp、約6Kp、約6.5Kp、約7Kp、約7.5Kp、約8Kp、約8.5Kp、約9Kp、約9.5Kp、約10Kp、約10.5Kp、約11Kp、約11.5Kp、約12Kp、約12.5Kp、約13Kp、約13.5Kp、約14Kp、約14.5Kp、約15Kp、約15.5Kpおよび約16Kpの錠剤硬度を有する。一部の実施形態では、徐放性錠剤の形態の徐放性組成物は、約13Kpの錠剤硬度を有する。少なくとも一実施形態では、徐放性錠剤の形態の徐放性組成物は、5Kpの錠剤硬度を有する。
【0213】
徐放性錠剤の摩損度は、典型的に、最高で(NMT)1.0%である。一部の実施形態では、徐放性錠剤の形態の徐放性組成物は、酸化チタンなどの遮光剤を含む。徐放性錠剤の形態の徐放性組成物は、当技術分野において公知の任意の色のもの、例えば、Food Color Yellow 5番、US Food color 6番、スウェーデンオレンジ、Food color Blue 2番、Food color Red 2番およびこれらに類するもの、食品レーキ着色料、黄色酸化鉄(黄色酸化鉄顔料)、赤色酸化鉄(赤色酸化鉄顔料)、黒色酸化鉄(黒色酸化鉄顔料)、リボフラビン、リボフラビン有機酸エステル、リボフラビンリン酸エステルまたはそのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩、フェノールフタレイン、酸化チタン、リコピン、ならびにベータ-カロテンのものであり得る。一部の実施形態では、徐放性錠剤の形態の徐放性組成物は、色が白色またはオフホワイトである。
【0214】
本明細書に記載の徐放性錠剤などの徐放性組成物は、コーティングされることもあり、または未コーティングであることもある。
【0215】
別の態様では、本開示は、本開示の徐放性組成物が、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤などの、腸溶コーティングされた遅延放出性固体剤形を調製するために使用されることを提示する。そのような腸溶コーティングされた組成物の有利な態様は、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤をはじめとするこれらの徐放性組成物が、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の胃内での放出を最小限に抑えて(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の崩壊を回避するように、および活性薬剤(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の小腸または結腸または両方への放出を標的とするように、製剤化される態様である。小腸および結腸を標的とすることによって、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩のバイオアベイラビリティが増加される。一部の実施形態では、本開示の徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を十二指腸または空腸に送達する。
【0216】
本開示の徐放性組成物それら自体が、徐放性組成物として機能すること(実施例5および表6および表7を参照されたい)、および本開示の徐放性組成物が、小腸または結腸または両方を標的とする(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の遅延放出をもたらす腸溶コーティングされた剤形(例えば、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤または腸溶コーティングされた遅延放出性カプセル)の調製に使用される「コア」(例えば、コア錠剤)としての役割を果たすこともできることは、当業者には理解されるであろう。
【0217】
したがって、一部の実施形態では、固体剤形の(例えば、錠剤としての)本開示の徐放性組成物は、腸溶コーティングされた遅延放出性組成物の調製のための「コア」組成物(例えば、コア錠剤)になる。そのような徐放性組成物は、酸感受性活性成分(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を胃の酸性環境から保護することができ、5.5より高いpHで、一般には腸内で、例えば、小腸の十二指腸、空腸および/もしくは回腸内、ならびに/または結腸内で溶解する。腸溶コーティングは、胃内で活性(Z)-エンドキシフェンと(E)-エンドキシフェンの相互変換を保護し、薬物(Z)-エンドキシフェンは、その後、例えば、投与後2時間、投与後3時間、投与後4時間、投与後5時間、投与後6時間、投与後7時間、投与後8時間などの後、腸内で、より緩徐な速度で放出される。本明細書で開示される製剤に基づく(Z)-エンドキシフェンの驚くほど低減される相互変換は、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の投与の予想外の利益をもたらす。
【0218】
非限定的な例として、本開示は、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤などの固体剤形の形態の本開示の徐放性組成物を提供する。上記のような錠剤の形態の徐放性組成物は、少なくとも1つの機能性コーティング層により実質的に覆われているコア(本明細書では以降「コア」、「コア錠剤」または「錠剤コア」と呼ばれ、同義で使用される)としての機能を果たす。言い換えると、本開示の腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤は、(i)(Z)-エンドキシフェンまたはその塩もしくは多形体と、(ii)少なくとも1つの徐放剤と、(iii)少なくとも1つの滑沢剤とを含むコアであって、少なくとも1つの機能性コーティング層で実質的に覆われているコアを有する。
【0219】
一部の実施形態では、機能性コーティングは、少なくとも1つの放出制御剤、例えば、腸(例えば、十二指腸)または結腸または両方を標的とする遅延放出剤を含む。本開示は、機能性コーティングが可塑剤、粘着防止剤およびこれらに類するものなどの、追加の賦形剤をさらに含み得ることを提示する。機能性コーティングへの遅延放出剤の追加は、(Z)-エンドキシフェンの(E)-エンドキシフェンへの変換が大幅に減少されることになる、驚くほど有利な結果をもたらした。遅延放出剤を含むコーティングで組成物(例えば、錠剤)をコーティングすることのこの驚くべき利点によって、そのようなコーティングがより効率的に(Z)-エンドキシフェンの送達を助長することができることが証明される。さらに、驚くべきことに、遅延放出剤を含むコーティングが、より一貫した、より緩徐な放出をもたらすことが判明した。
【0220】
ある特定の実施形態では、本開示の機能性コーティングは、少なくとも1つの放出制御剤、例えば遅延放出剤、少なくとも1つの可塑剤、および少なくとも1つの粘着防止剤/付着防止剤を含む。一部の実施形態では、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤を、少なくとも1つのコーティングが遅延放出剤と少なくとも1つの可塑剤と少なくとも1つの粘着防止剤/付着防止剤とを含む機能性コーティングである、少なくとも2つのコーティングで、コーティングすることができる。
【0221】
したがって、一部の実施形態では、本開示の(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物は、コーティング溶液を用いて少なくとも1つの機能性コーティング層で実質的にコーティングされているコア(例えば、コア錠剤)を含む。コーティング溶液は、少なくとも1つの放出制御剤、例えば遅延放出剤、少なくとも1つの可塑剤、および少なくとも1つの粘着防止剤/付着防止剤を含む。本明細書で開示されるコア錠剤を、錠剤、カプレットまたはカプセルおよびこれらに類するものに包み込み、本明細書で開示されるコーティング溶液でさらにコーティングして他の固体剤形、例えば、錠剤中の錠剤、カプレット中の錠剤、カプセル中の錠剤およびこれらに類するものを調製することができることは、当業者には理解されるであろう。そのような場合、徐放性組成物、例えば、錠剤中の錠剤、カプレット中の錠剤、カプセル中の錠剤およびこれらに類するものは、本明細書に記載されるような少なくとも1つの機能性コーティング層で実質的にコーティングされることになる。その結果、他のコーティングされた錠剤、カプレットおよびカプセルの内部に含まれているコーティングされた錠剤は、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩のパルス放出をもたらすことができる。
【0222】
本明細書に記載のコア錠剤のように、徐放性組成物の他の固体剤形、例えば、ミニ錠剤、球体、ビーズ、顆粒、ペレット、丸剤およびこれらに類するものもまた、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤、カプレットおよびカプセルの調製のためにコアとして使用することができることも、当業者には理解されるであろう。そのような徐放性組成物の例としては、徐放性腸溶錠、腸溶ミニ錠剤、腸溶カプセル、腸溶ビーズ、腸溶小球体、腸溶顆粒、腸溶ペレット、腸溶丸剤、錠剤中の腸溶錠、カプセル中の腸溶錠およびこれらに類するものが挙げられるがそれらに限定されず、そのような徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の小腸または結腸または両方への遅延放出のために使用される。Capsugelから入手可能なもの(例えば、VCaps(登録商標)Plus腸溶カプセル)などの市販の遅延放出性カプセルを、腸溶コーティングされた遅延放出性カプセルを調製するために使用することができるので、そのような市販の遅延放出性カプセルは、本開示に包含される。一部の実施形態では、腸溶遅延放出性カプセルは、非動物性カプセル、例えば、ヒプロメロースカプセル(例えば、市販の自己ゲル化Vcaps、VCaps Plus、VCaps enteric、CapsugelからのXcellodose、ENCODE結腸送達技術およびEnTrinsic(商標)薬物送達技術を使用して作製された他の腸溶カプセル)であり得る。経口固体剤形の腸溶形態の製剤化のための、当技術分野において公知のおよび市販されている他の技術(例えば、Qualicaps、USA、Nutrascience、USAなど)も、利用することができる。
【0223】
本開示は、遅延放出剤などの少なくとも1つの放出制御剤をこれに限定されないが含むコーティング溶液を用いてコアの機能性コーティングを行なうことができることを提示する。一部の実施形態では、機能性コーティング溶液は、可塑剤、粘着防止剤およびこれらに類するものを含むことができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの放出制御剤、例えば遅延放出剤と、少なくとも1つの可塑剤と、少なくとも1つの粘着防止剤/付着防止剤とをこれらに限定されないが含むコーティング溶液を用いて、コアの機能性コーティングを行なうことができる。本明細書に記載の徐放性組成物を使用して腸溶コーティングされた遅延放出性固体剤形を調製するために、本明細書で提供されるコーティング溶液を、粒子、ビーズ、球体、顆粒、ペレット、錠剤、ミニ錠剤、丸剤、多微粒子、およびコアを封入しているカプセル(ハードおよびソフトシェルを有する)(例えば、即時放出性カプセル)を含む、広範な固体剤形上に、薄膜などの被膜として塗布することができる。
【0224】
腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤などの、徐放性組成物が、75RPM USPパドル法に準拠する溶解試験であって、試験媒体として模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、3時間で約0%~約35%、12時間で約35%~約55%、および24時間で約65%~約85%の範囲の溶解パーセンテージを示す場合、少なくとも1つの機能性コーティング層は、コア(例えば、錠剤コア)の重量に対する約1%~約60%、約2%~約40%、約5%~約30%、および約6%~約20%重量増加をもたらす。
【0225】
腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤などの、徐放性組成物が、75RPM USPパドル法に準拠する溶解試験であって、試験媒体として模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、2時間でNMT約5%、3時間でNLT約60%、6時間でNLT約95%、および12時間で約100%の溶解パーセンテージを示す場合、少なくとも1つの機能性コーティング層は、コア(例えば、錠剤コア)の重量に対する約1%~約60%、約2%~約40%、約5%~約30%、および約6%~約20%重量増加をもたらす。
【0226】
腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤などの、徐放性組成物が、75RPM USPパドル法に準拠する溶解試験であって、試験媒体として模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、3時間でNMT約10%、6時間でNLT約30%、9時間でNLT約50%、および14時間でNLT約80%である溶解パーセンテージを示す場合、少なくとも1つの機能性コーティング層は、コア(例えば、錠剤コア)の重量に対する約1%~約60%、約2%~約40%、約5%~約30%、および約6%~約20%重量増加をもたらす。
【0227】
錠剤重量はまた、数ある中でも、治療剤(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の投薬量、使用される徐放剤のタイプおよび量、ならびに追加の材料の存在、タイプおよび量によって、変わることになる。約0.5mg~約200mgの治療剤の投薬量のための錠剤重量は、錠剤1個当り約10mg~約2000mgの範囲であり得る。一部の実施形態では、錠剤重量は、50mg~500mgの範囲である。一部の実施形態では、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤は、約101mg~160mg、90mg~110mg、または約105mg~約120mgの範囲の錠剤重量を有する。経口剤形の形態の本開示の徐放性組成物の時間遅延または遅延放出性医薬調製物のために、酸不溶性ポリマー(例えば、ポリメタクリレート)を、コーティング溶液中の遅延放出剤として使用することができる。
【0228】
腸溶コーティングされた遅延放出性調製物のために、セルロース系ポリマー、例えば、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム;アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸エチルから形成されたアクリル酸ポリマーおよびコポリマー、ならびに商標名EUDRAGIT(登録商標)(Evoniks、Rohm Pharma;Westerstadt、Germany)で市販されている他のメタクリル樹脂であって、メタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマー(1:1)(EUDRAGIT(登録商標)L30D-55)およびL1OO-55(pH5.5およびそれより上のpHで可溶性)、EUDRAGIT(登録商標)1,100D(pH6.0およびそれより上のpHで可溶性)、EUDRAGIT(登録商標)S(より高いエステル化度の結果として、pH7.0およびそれより上のpHで可溶性)、ならびにEUDRAGIT(登録商標)NE、RLおよびRS(透過性および発泡性の程度が異なる水不溶性ポリマー)をはじめとするメタクリル樹脂;ビニルポリマーおよびコポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル、酢酸フタル酸ビニル、酢酸ビニル・クロトン酸コポリマー、およびエチレン-酢酸ビニルコポリマー;酵素分解性ポリマー、例えば、アゾポリマー、ペクチン、キトサン、アミラーゼおよびグァーガム;ゼインおよびセラック。
【0229】
ある特定の実施形態では、遅延放出剤は、pH感受性ポリマー、例えばポリメタクリレートである。一部の実施形態では、遅延放出剤は、メタクリル酸-酢酸エチルコポリマー(1:1)USP-NF(EUDRAGIT(登録商標)L30D-55)である。一部の実施形態では、遅延放出剤は、メタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマー(1:2)である。
【0230】
本開示は、異なる遅延放出剤の組合せまたは混合物を単一の機能性コーティング層において使用することができることを提示する。一部の実施形態では、異なる遅延放出剤またはポリマーを使用する多層(例えば、2層またはそれより多くの層)コーティングをコアに塗布することもできる。
【0231】
(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体/塩を、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、少なくとも16時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、または少なくとも72時間、持続的に放出する、腸溶コーティングされた遅延放出性剤形(例えば、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤)の形態の徐放性組成物が、得られる場合、メタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマー(1:1)USP-NF(EUDRAGIT(登録商標)L30D-55)などの遅延放出剤は、少なくとも1つの機能性コーティング層中に、コア(例えば、コア錠剤)の重量に対するw/wで、約0.1%~約35%、約5%~約35%、または約8%~約20%の範囲の量で存在する。
【0232】
遅延放出性錠剤などの本開示の徐放性組成物が、75RPM USPパドル法に準拠する溶解試験であって、試験媒体として模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、3時間で約0%~35%、12時間で約35%~約55%、および24時間で約65%~85%の範囲の溶解パーセンテージを示す場合、遅延放出剤は、少なくとも1つのコーティング層中に、コア錠剤の重量の約0.1%~約30%、約5%~約25%、または約8%~約14%w/wの範囲の量で存在する。一部の実施形態では、遅延放出剤は、少なくとも1つのコーティング層中に、コア錠剤の重量に対してw/wベースで約0.1%~約20%の範囲の量で存在する。
【0233】
遅延放出性錠剤などの本開示の徐放性組成物が、75RPM USPパドル法に準拠する溶解試験であって、試験媒体として模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、2時間でNMT約5%、3時間でNLT約70%、12時間でNLT約95%および約100%の溶解パーセンテージを示す場合、遅延放出剤は、少なくとも1つのコーティング層中に、コア錠剤の重量の約0.1%~約30%、約5%~約25%、または約8%~約14%w/wの範囲の量で存在する。一部の実施形態では、遅延放出剤は、少なくとも1つのコーティング層中に、コア錠剤の重量に対するw/wベースで約0.1%~約20%の範囲の量で存在する。
【0234】
本開示の徐放性組成物からの(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体/塩のそのような放出は、一般に、投与の約2時間後に腸内で開始される。
【0235】
少なくとも1つの可塑剤は、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤、またはカプセルもしくはカプレットのシェルなどの、固体剤形として調製される徐放性組成物の柔らかさまたは柔軟性を制御するために添加され、かくて固体剤形上のコーティングのpH感受性材料の機械的特性を向上させることができる。
【0236】
適する可塑剤としては、石油(例えば、パラフィン系プロセス油、ナフテン系プロセス油、および芳香族系プロセス油について)、スクアレン、スクアラン、植物油(例えば、オリーブ油、ツバキ油、ヒマシ油、トール油、および落花生油)、鉱物油、シリコン油、二塩基酸もしくはフタル酸エステル(例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、およびフタル酸ジメチル、およびフタル酸ジオクチル)、液状ゴム(例えば、ポリブチレンおよび液状イソプレンゴム)、液体脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル ISM)、ラウリン酸ヘキシル、セバシン酸ジエチルおよびセバシン酸ジイソプロピル、クエン酸エステル、例えば、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチルおよびクエン酸アセチルトリエチル、トリアセチン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、他のポリエチレンオキシドソルビタンエステル、フタレート、ソルビトール、サリチル酸グリコール、クロタミントン、グリセリン、PLASACRYL(商標)T20、またはこれらの混合物が、挙げられる。
【0237】
一部の実施形態では、機能性コーティング中の少なくとも1つの可塑剤は、クエン酸トリエチルである。一部の実施形態では、少なくとも1つの可塑剤(例えば、クエン酸トリエチルなどのクエン酸エステル)は、コア錠剤の重量に対するw/wで、約0.01%~約5%、約0.1%~約4%、約0.2%~約2%、または約0.5%~約1.5%の範囲の量で存在する。
【0238】
本開示は、少なくとも1つの機能性コーティング層が少なくとも1つの粘着防止/付着防止剤を含むことを提示する。粘着防止剤/付着防止剤は、錠剤のパンチ面への粘着を防止するために、および機械ドセーター、充填ピンなどへの粘着を防止するために、コーティング用のコーティング溶液に含められる。例示的な粘着防止剤としては、タルク、モノステアリン酸グリセリル、コロイド状二酸化ケイ素、カオリン、またはこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0239】
機能性コーティングへの粘着防止剤としてのタルクの追加は、(Z)-エンドキシフェンの(E)-エンドキシフェンへの変換が大幅に減少されることになる、驚くほど有利な結果をもたらした。タルクを含むコーティングで組成物(例えば、錠剤)をコーティングすることのこの驚くべき利点によって、そのようなコーティングはより効率的に(Z)-エンドキシフェンの送達を助長することができることが証明される。さらに、驚くべきことに、遅延放出剤を含むコーティングが、より一貫した、より緩徐な放出をもたらすことが判明した。
【0240】
徐放性組成物(例えば、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤)は、コアに対するw/wで、約0.1%~約10%、約1%~約8%、または約2%~約6%w/wの範囲の量で存在する少なくとも1つの粘着防止剤を含む。
【0241】
例示的な腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤は、本明細書で、実施例2および実施例3において提供される。
【0242】
腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の例示的な徐放性組成物は、約0.01%~約40%または約0.5mg~約200mgの(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩と、ヒプロメロースと、微結晶性セルロースと、ステアリン酸マグネシウムとを含む、コア錠剤であって、少なくとも1つの機能性コーティング層に実質的に包み込まれており、少なくとも1つの機能性コーティング層が、メタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマー(2:1~1:2の範囲)、クエン酸トリエチル、およびタルクを含む、コア錠剤を含む。
【0243】
腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の例示的な徐放性組成物は、(i)約0.01%~約40%(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩と、(ii)約0.1%~約99%ヒプロメロースと、(iii)約1%~約99%微結晶性セルロースと、(iv)約0.01%~約5%ステアリン酸マグネシウムとを含む、コア錠剤であって、少なくとも1つの機能性コーティング層に実質的に包み込まれており、少なくとも1つの機能性コーティング層が、(i)約5%~約40%のメタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマー(1:1)(ポリメタクリレート・メタクリル酸コポリマー分散体、30%固形物)を含み、少なくとも1つの機能性コーティング層が、平均コア錠剤重量に対する約2%~約20%重量増加に寄与する、コア錠剤を含む。これらの量は、コア錠剤の重量に基づく重量パーセンテージによって表されている。一部の実施形態では、前述の徐放性組成物は、1:5の薬物((Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩)の徐放剤に対する比を有する。
【0244】
腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の例示的な徐放性組成物は、(i)約0.01%~約40%(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩と、(ii)約5%~約60%ヒプロメロースと、(iii)約10%~約90%微結晶性セルロースと、(iv)約0.01%~約5%ステアリン酸マグネシウムとを含む、コア錠剤であって、少なくとも1つの機能性コーティング層に実質的に包み込まれており、少なくとも1つの機能性コーティング層が、(i)約5%~約40%のメタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマー(1:1)(ポリメタクリレート・メタクリル酸コポリマー分散体、30%固形物)を含み、少なくとも1つの機能性コーティング層が、平均コア錠剤重量に対する約2%~約20%重量増加に寄与する、コア錠剤を含む。これらの量は、コア錠剤の重量に基づく重量パーセンテージによって表されている。
【0245】
腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の例示的な徐放性組成物は、(i)約0.01%~約40%(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩と、(ii)約5%~約60%ヒプロメロースと、(iii)約10%~約90%微結晶性セルロースと、(iv)約0.01%~約5%ステアリン酸マグネシウムとを含む、コア錠剤であって、少なくとも1つの機能性コーティング層に実質的に包み込まれており、少なくとも1つの機能性コーティング層が、(i)約0.1%~約20%のメタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマー(1:1)(ポリメタクリレート・メタクリル酸コポリマー分散体、30%固形物)、(ii)約0.01%~約5%クエン酸トリエチル、および(iii)約1%~約10%タルクを含み、少なくとも1つの機能性コーティング層が、平均コア錠剤重量に対する約2%~約20%重量増加に寄与する、コア錠剤を含む。これらの量は、コア錠剤の重量に基づく重量パーセンテージによって表されている。
【0246】
腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の例示的な徐放性組成物は、(i)0.5mg、1mg、2mg、4mg、5mg、6mg、8mg、10mg、20mg、または40mgの(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩と、(ii)約0.1%~約99%または約5%~約60%ヒプロメロースと、(iii)約1%~約99%または約10%~約90%微結晶性セルロースと、(iv)約0.01%~約5%ステアリン酸マグネシウムとを含む、コア錠剤であって、少なくとも1つの機能性コーティング層に実質的に包み込まれており、少なくとも1つの機能性コーティング層が、(a)約0.1%~約20%のメタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマー(1:1)(ポリメタクリレート・メタクリル酸コポリマー分散体、30%固形物)、(b)約0.01%~約5%クエン酸トリエチル、および(c)約1%~約10%タルクを含み、少なくとも1つの機能性コーティング層が、平均コア錠剤重量に対する約2%~約20%重量増加に寄与する、コア錠剤を含む。(ii)~(iv)および(a)~(c)のすべての構成成分の量は、コア錠剤の重量に基づく重量パーセンテージによって表されている。そのような腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤は、(i)75RPM USPパドル法に準拠する溶解試験であって、試験媒体として模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、少なくとも16時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、または少なくとも72時間の期間にわたって(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の徐放をもたらす。
【0247】
一部の実施形態では、そのような腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤は、75RPM USPパドル法に準拠する溶解試験であって、試験媒体として模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、3時間で約0%~約30%、12時間で約30%~約50%、および12時間後に約65%~約85%の溶解パーセンテージを示す。
【0248】
一部の実施形態では、そのような腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤は、75RPM USPパドル法に準拠する溶解試験であって、試験媒体として模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、(i)3時間で約0%~35%、12時間で約35%~約55%、および24時間で約65%~85%の範囲の溶解パーセンテージ、(ii)3時間でNMT 30%、12時間でNMT 50%、および24時間でNLT 80%の溶解パーセンテージ、または(iii)24時間後に少なくとも20%~30%の溶解パーセンテージを示す。
【0249】
一部の実施形態では、そのような腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤は、75RPM USPパドル法に準拠する溶解試験であって、試験媒体として模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、2時間でNMT約5%、3時間でNLT約70%、6時間でNLT約95%、および12時間で約100%の溶解パーセンテージを示す。
【0250】
一部の実施形態では、そのような腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤は、75RPM USPパドル法に準拠する溶解試験であって、試験媒体として模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、2時間でNMT約5%、3時間でNMT約10%、6時間でNLT約30%、9時間でNLT約50%、および14時間でNLT約80%の溶解パーセンテージを示す。
【0251】
一部の実施形態では、そのような腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤は、75RPM USPパドル法に準拠する溶解試験であって、試験媒体として模擬胃液中、2時間、37℃でpH1.2および模擬腸液中、24時間、37℃でpH6.8を使用する溶解試験において、3時間でNMT約10%、6時間でNLT約30%、9時間でNLT約50%、および14時間でNLT約80%の溶解パーセンテージを示す。
【0252】
腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤をはじめとする本開示の徐放性組成物の機能性コーティングは、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。薬学的に許容される賦形剤は、調剤技術分野で通常使用される任意の添加剤、例えば、本明細書に記載の充填剤、安定剤、流動促進剤、界面活性剤、遮光剤、甘味料、着色剤、香味料、抗酸化剤、保存薬、還元剤、キレート剤およびこれらに類するものであり得る。薬学的に許容される賦形剤は、調剤技術分野で通常使用される量で使用される。加えて、2種類またはそれより多くの種類のこれらの薬学的に許容される賦形剤を、適切な比率で混合し、使用することができる。ある態様では、本開示は、治療剤(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の放出によって徐放性組成物が、経口投与時に、用量ごとに約2時間から約270時間の治療剤への対象の持続的曝露をもたらすことを提示する。一部の実施形態では、徐放性組成物は、放出された治療剤(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩への対象の少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、少なくとも18時間、少なくとも20時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、少なくとも160時間、少なくとも180時間、少なくとも200時間、少なくとも220時間、少なくとも250時間、および少なくとも270時間の持続的曝露をもたらす。
薬物動態特性
【0253】
ある態様では、治療剤(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む本開示の徐放性組成物は、経口投与時に対象において参照製品であるカプセルと比較して向上した薬物動態を提供することができる。
【0254】
本開示の腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の徐放性錠剤の単回用量についての例示的な薬物動態パラメーターが、本明細書で提供される。本明細書で開示されるPKパラメーターは、一般に、平均血漿パラメーターであるが、本開示は、血清についてのPKパラメーターが典型的に血漿PKパラメーターより1.1~1倍高いことを提示する。非限定的な例として、ある特定の実施形態については、対象により摂取される徐放性組成物(例えば、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態のもの)の単回経口用量は、カプセルの等価単回経口用量のAUClastの少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、および少なくとも約90%の平均血漿AUClast(時間×ng/mL)を提供することができるか、またはそのような平均血漿AUClastを達成することができる。ある特定の実施形態では、空腹状態で対象により経口摂取される、本開示の腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の単回用量は、空腹状態でのカプセルの等価単回経口用量の平均血漿AUClastの少なくとも70%の平均血漿AUClastを提供することができるか、またはそのような平均血漿AUClastを達成することができる。
【0255】
同様に、ある特定の実施形態では、対象により摂取される徐放性組成物(例えば、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態のもの)の単回経口用量は、カプセルの等価単回経口用量のCmaxの少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、および少なくとも約90%の平均血漿Cmax(ng/mL)を提供することができるか、またはそのような平均血漿Cmaxを達成することができる。ある特定の実施形態では、本開示の硬度の経口摂取される腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の単回用量は、カプセルの経口摂取される等価単回用量のCmaxの少なくとも約45%の平均血漿Cmax(ng/mL)を提供することができるか、またはそのような平均血漿Cmaxを達成することができる。
【0256】
本開示は、対象により摂取される本開示の腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤などの徐放性組成物の単回経口用量が、参照製品であるカプセルの等価単回経口用量の平均血漿Tmax(時間)より長い平均血漿中Tmax(時間)を提供することができるか、またはそのような平均血漿中Tmaxを達成することができることを提示する。非限定的な例として、空腹状態で対象により摂取される腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の単回経口用量の平均血漿中Tmax(時間)は、カプセルの等価単回経口用量の平均血漿中Tmax(時間)より長い。同様に、ある特定の実施形態では、例えば腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の、本開示の徐放性組成物の単回経口用量は、参照製品であるカプセルの等価単回経口用量のものより少なくとも0.1、少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも約3、少なくとも約3.5、少なくとも約4、少なくとも約4.5、少なくとも5、少なくとも約5.5、少なくとも約6、少なくとも約6.5、少なくとも約7、少なくとも約7.5、少なくとも約8、少なくとも8.5、少なくとも9倍、少なくとも9.5、および少なくとも10倍長い平均血漿中Tmax(時間)を有することができる。したがって、本開示の徐放性組成物は、参照製品であるカプセルよりかなり遅くそれらの平均血漿Cmaxに到達する(表15を参照されたい)。徐放性組成物および参照製品であるカプセルの単回用量の後の経時的な平均血漿濃度が表14で提供される。ある特定の実施形態では、硬い腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の本開示の徐放性組成物は、参照製品であるカプセルより少なくとも約6~約10倍長い平均血漿中Tmax(時間)を有することができる。
【0257】
一部の実施形態では、本開示の徐放性組成物(例えば、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤)は、その持続性組成物を経口投与された対象の血漿または血清中で少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間、少なくとも約12時間、少なくとも約13時間、少なくとも約14時間、少なくとも約15時間、少なくとも約16時間、少なくとも約17時間、少なくとも約18時間、少なくとも約19時間、少なくとも約20時間、少なくとも約21時間、少なくとも約22時間、少なくとも約23時間、少なくとも約24時間、少なくとも約26時間、少なくとも約28時間、少なくとも約30時間、少なくとも約32時間、少なくとも約34時間、少なくとも約36時間、少なくとも約38時間、少なくとも約40時間、少なくとも約42時間、少なくとも約44時間、少なくとも約46時間、少なくとも約48時間、少なくとも約50時間、少なくとも約55時間、少なくとも約60時間、少なくとも約65時間、少なくとも約70時間、少なくとも約75時間、または少なくとも約80時間の治療剤(例えば、(Z)-エンドキシフェン)の平均Tmaxを生じさせることができる。一部の実施形態では、徐放性組成物は、その持続性組成物を経口投与された対象の血漿または血清中で4時間~80時間、5時間~80時間、6時間~80時間、7時間~80時間、8時間~80時間、9時間~80時間、10時間~80時間、15時間~80時間、24時間~80時間、36時間~80時間、48時間~80時間、4時間~70時間、5時間~70時間、6時間~70時間、7時間~70時間、8時間~70時間、9時間~70時間、10時間~70時間、15時間~70時間、24時間~70時間、36時間~70時間、48時間~70時間、4時間~60時間、5時間~60時間、6時間~60時間、7時間~60時間、8時間~60時間、9時間~60時間、10時間~60時間、15時間~60時間、24時間~60時間、36時間~60時間、48時間~60時間、4時間~55時間、5時間~55時間、6時間~55時間、7時間~55時間、8時間~55時間、9時間~55時間、10時間~55時間、15時間~55時間、24時間~55時間、36時間~55時間、または48時間~55時間の治療剤の平均Tmaxを生じさせることができる。
【0258】
さらに、上記の胃腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤などの徐放性組成物についての、カプセルと比較してより長いTmaxおよび高度な薬物放出プロファイルは、経口投与された徐放性組成物からの治療剤((Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩)の対象の血液への放出速度および吸収速度または取込み速度(本開示では同義で使用される)が、カプセルからの治療剤の放出速度および吸収速度と比較して緩徐でもあることを示唆する。
ある特定の実施形態では、本開示は、例えば、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤などの徐放性錠剤の形態の、徐放性組成物が、徐放性組成物の単回用量の対象への経口投与後に、表14、表15および表17で開示されるような薬物動態パラメーターおよび平均血漿濃度の1つまたは複数を達成することができることを提示する。一部の実施形態では、単回用量の後の本開示の徐放性組成物のTmax中央値は、約65~75時間である。少なくとも一実施形態では、単回用量投与の後の本開示の徐放性組成物のTmax中央値は、約73時間である。
【0259】
本開示の腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の徐放性錠剤の複数回用量(例えば、14回の1日1回用量)についての例示的な薬物動態パラメーターが、本明細書で提供される。
【0260】
非限定的な例として、ある特定の実施形態については、徐放性組成物(例えば、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤などの徐放性錠剤の形態のもの)は、徐放性組成物およびカプセルが対象に複数回の等価用量(非限定的な例として、14日間、1日1回1mg)で経口投与された場合、カプセルのAUClastの少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、および少なくとも約90%の平均血漿AUClast(時間×ng/mL)を提供することができるか、またはそのような平均血漿AUClastを達成することができる。ある特定の実施形態では、本開示の硬度の腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の徐放性組成物は、徐放性組成物およびカプセルが絶食状態の対象に複数回の等価用量(例えば、14日間、1日1回4mg)で経口投与された場合、カプセルの平均血漿AUClastの少なくとも60%の平均血漿AUClastを提供することができるか、またはそのような平均血漿AUClastを達成することができる。
【0261】
非限定的な例として、ある特定の実施形態については、徐放性組成物(例えば、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤などの徐放性錠剤の形態のもの)は、徐放性組成物およびカプセルが対象に複数回の等価用量(非限定的な例として、14日間、1日1回1mg)で経口投与された場合、カプセルのAUCtauの少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、および少なくとも約80%、少なくとも約85%、および少なくとも約90%の平均血漿AUCtau(時間×ng/mL)を提供することができるか、またはそのような平均血漿AUCtauを達成することができる。ある特定の実施形態では、本開示の腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の本開示の徐放性組成物は、徐放性組成物およびカプセルが絶食状態の対象に複数回の等価用量(非限定的な例として、14日間、1日1回4mg)で経口投与された場合、カプセルのAUCtauの少なくとも約50%の平均血漿AUCtau(時間×ng/mL)を提供することができるか、またはそのような平均血漿AUCtauを達成することができる。
【0262】
同様に、ある特定の実施形態では、本開示の徐放性組成物(例えば、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤などの徐放性錠剤の形態のもの)は、徐放性組成物およびカプセルが対象に複数回の等価用量(非限定的な例として、14日間、1日1回1mg)で経口投与された場合、カプセルのCmaxの少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、および少なくとも約90%の平均血漿Cmax(ng/mL)を提供することができるか、またはそのような平均血漿Cmaxを達成することができる。ある特定の実施形態では、例えば、本開示の腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の、本開示の徐放性組成物は、徐放性組成物およびカプセルが絶食状態の対象に複数回の等価用量(非限定的な例として、14日間、1日1回4mg)で経口投与された場合、カプセルのCmaxの少なくとも約45%の平均血漿Cmax(ng/mL)を提供することができるか、またはそのような平均血漿Cmaxを達成することができる。
【0263】
同様に、ある特定の実施形態では、本開示の徐放性組成物(例えば、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤などの徐放性錠剤の形態のもの)は、徐放性組成物およびカプセルが対象に複数回の等価用量(非限定的な例として、14日間、1日1回1mg)で経口投与された場合、カプセルの用量のCminの少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、および少なくとも約60%の平均血漿Cmin(ng/mL)を提供することができるか、またはそのような平均血漿Cminを達成することができる。
ある特定の実施形態では、本開示の腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の本開示の徐放性組成物は、徐放性組成物およびカプセルが絶食状態の対象に複数回の等価用量(非限定的な例として、14日間、1日1回4mg)で経口投与された場合、カプセルのCminの少なくとも45%の平均血漿Cmin(ng/mL)を提供することができるか、またはそのような平均血漿Cminを達成することができる。
【0264】
本開示は、本開示の徐放性組成物(例えば、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤などの遅延放出性錠剤)が、徐放性組成物およびカプセルが対象に複数回の等価用量(非限定的な例として、14日間、1日1回1mg)で経口投与された場合、参照製品であるカプセルの平均血漿C
average(ng/mL)と実質的に同じまたはそれ未満である平均血漿C
average(ng/mL)を提供するこができるか、またはそのような平均血漿C
averageを達成することができることを提示する。非限定的な例として、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の遅延放出性錠剤の平均血漿C
average(ng/mL)は、徐放性組成物およびカプセルが絶食状態の対象に複数回の等価用量(非限定的な例として、14日間、1日1回4mg)で経口投与された場合、参照製品であるカプセルの平均血漿C
average(ng/mL)未満である(
図16を参照されたい)。ある特定の実施形態では、本開示の徐放性組成物は、徐放性組成物およびカプセルが対象に複数回の等価用量(非限定的な例として、14日間、1日1回1mg)で経口投与された場合、カプセルのC
averageの少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、および少なくとも約60%の平均血漿C
average(ng/mL)を提供することができるか、またはそのような平均血漿C
averageを達成することができる。ある特定の実施形態では、本開示の腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の本開示の徐放性組成物は、徐放性組成物およびカプセルが絶食状態の対象に複数回用量(非限定的な例として、14日間、1日1回4mg)で経口投与された場合、カプセルのC
averageの少なくとも45%の平均血漿C
average(ng/mL)を提供することができるか、またはそのような平均血漿C
averageを達成することができる。
【0265】
本開示の徐放性組成物の複数回用量による(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の定常状態レベルへの平均到達時間は、約14日である。定常状態で、本開示の徐放性組成物は、参照製品であるカプセルと比較して、投与間の期間にわたってより小さい変動を示す。
【0266】
本開示の組成物(例えば、(Z)-エンドキシフェンを含む組成物)は、対象体内のエンドキシフェンの定常状態平均濃度(Css)を生じさせることができる。一部の実施形態では、組成物は、対象において1ng/mL~10ng/mL、5ng/mL~15ng/mL、10ng/mL~20ng/mL、15ng/mL~25ng/mL、20ng/mL~30ng/mL、25ng/mL~35ng/mL、30ng/mL~40ng/mL、35ng/mL~45ng/mL、40ng/mL~50ng/mL、45ng/mL~60ng/mL、50ng/mL~70ng/mL、60ng/mL~80ng/mL、70ng/mL~90ng/mL、80ng/mL~100ng/mL、90ng/mL~110ng/mL、100ng/mL~120ng/mL、110ng/mL~130ng/mL、120ng/mL~140ng/mL、または130ng/mL~150ng/mLの定常状態平均濃度(Css)を生じさせることができる。一部の実施形態では、組成物は、対象において、対象に投与されたエンドキシフェンのミリグラム当り1ng/mL~10ng/mL、5ng/mL~15ng/mL、10ng/mL~20ng/mL、15ng/mL~25ng/mL、20ng/mL~30ng/mL、25ng/mL~35ng/mL、または30ng/mL~40ng/mLの定常状態平均濃度(Css)を生じさせることができる。
【0267】
ある特定の実施形態では、本開示は、例えば、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤などの徐放性錠剤の形態の、徐放性組成物が、対象への複数回の用量の経口投与後にまたは定常状態で、表16または表17に示されている薬物動態パラメーターの1つまたは複数を達成することができることを提示する。他の実施形態では、複数回用量後のまたは定常状態での本開示の徐放性組成物のTmax中央値は、約3~5時間の範囲である。少なくとも一実施形態では、複数回用量後のまたは定常状態での本開示の徐放性組成物のTmax中央値は、4時間である。
【0268】
本開示は、一部の実施形態では、単回および/または複数回用量で経口投与されたときの、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤などの本開示の徐放性組成物からの治療剤の相対バイオアベイラビリティが、対象に経口投与された、参照製品であるカプセルの等価の単回または複数回用量と比較して、少なくとも約40%~少なくとも約90%の範囲であることを提示する。ある特定の実施形態では、対象に経口摂取された本開示の腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の単回および/または複数回用量は、カプセルの等価の単回または複数回経口用量と比較して少なくとも約60%~少なくとも約90%の相対バイオアベイラビリティを提供することができるか、またはそのような相対バイオアベイラビリティを達成することができる。薬物動態パラメーターが改善された(例えば、本明細書で開示されるような治療剤((Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩)の、血漿および血清Tmaxがより長く、変動が少ない、ならびに血管運動副作用の頻度および/または強度がより低い(実施例8を参照されたい))治療剤のバイオアベイラビリティを有する、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の徐放性組成物は、乳房障害のための長期使用、例えば、乳房障害の処置および予防、例えば、乳がんの処置および予防、乳腺濃度上昇の予防、乳腺濃度の低下のためのならびに乳腺濃度を低下させることにより乳がんを明らかにするための長期使用に、ならびに対象による継続的使用および順守に、望ましいものであり得る。
【0269】
したがって、本開示は、治療剤((Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩)が2時間後に制御された持続的様式で吸収され、全身利用可能であることを提示する。本開示はまた、徐放性組成物が、血漿および血清中のピーク薬物濃度の、ならびにAUC曲線、例えば用量範囲0.1mg~8mgにわたってAUCinfで、用量比例性を呈することを提示する。
【0270】
ある態様では、本開示は、本開示の徐放性組成物およびそれらの薬物動態が、有利なことに、タモキシフェンと比較して少ない副作用、例えば、血管運動症状(ホットフラッシュ、寝汗、「熱感」の感覚、睡眠障害、およびこれらに類するもの)を生じさせることを提示する。本開示は、伝えられるところによるとタモキシフェンを摂取した対象の78%がホットフラッシュを経験した(Mortimer et al. Breast Cancer Res Treat. 2008 Apr;108(3): 421-426)のに対して、本開示の徐放性組成物が経口投与された対象の50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満および25%未満が、副作用、例えば血管運動症状、例えば、ホットフラッシュ、寝汗、熱感の感覚、睡眠障害およびこれらに類するものなどを経験することを提示する。一部の実施形態では、徐放性錠剤を摂取する対象の50%未満が、血管運動症状、例えば、ホットフラッシュ、寝汗およびこれらに類するものを経験する。一部の実施形態では、徐放性錠剤を摂取する対象の30%未満が、血管運動症状、例えば、ホットフラッシュ、寝汗およびこれらに類するものを経験する。ある特定の実施形態では、経口投与された本開示の徐放性組成物は、対象においてそのような血管運動症状を薬物投与日数の約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、および約1%未満の日数という頻度で引き起こす。少なくとも一実施形態では、本開示の徐放性組成物の経口投与の結果として、対象は、薬物投与日数の約25%未満の日数という頻度でそのような血管運動症状を経験することになる。
【0271】
別の態様では、本開示は、本開示の徐放性組成物が、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩へのより長期にわたる制御された曝露を対象にもたらすことを提示する。一部の実施形態では、対象は、徐放性組成物からの治療剤の放出後、1用量当り約2時間~約270時間の範囲の期間、治療剤(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩に曝露される。
【0272】
別の態様では、本開示は、本開示の徐放性組成物を作製する方法に関する。本開示の徐放性組成物の固体剤形の調製を、乾式圧縮、乾式造粒、または湿式造粒により行なうことができる。溶液相における(Z)-エンドキシフェンと不活性(E)-エンドキシフェン異性体の相互変換の可能性を低下させるために、直接乾式圧縮または乾式造粒が好ましい。
【0273】
本発明の一実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩および徐放剤は結合剤と混合され、これは、本明細書では錠剤マトリックスとも呼ばれる。一実施形態では、結合剤は、約10μm~約500μmの、例えば、25μm~150μmの間の、平均粒径を有する。この粒径範囲の粒子は、直接圧縮プロセスに特に有用である。一実施形態では、構成成分は、例えば乾燥粉末として、一緒にブレンドされ、錠剤を形成するために圧力を印加する装置のダイキャビティに供給される。従来の単発または回転式打錠機を含むがこれらに限定されない、任意の適する圧縮成形装置を使用することができる。一実施形態では、錠剤を、回転式打錠機(例えば、Fette America Inc.、Rockaway、N.J.、またはManesty Machines LTD、Liverpool、UKから市販されているものなど)を使用する圧縮成形により形成することができる。一般に、ブレンドされた混合物の計量された体積が、回転式打錠機のダイキャビティに充填され(ブレンドされた混合物がフィーダーから重力で供給されるかまたは機械的に供給される)、キャビティが、「ダイテーブル」の一部として充填位置から圧縮成形位置に回転する。圧縮成形位置で、ブレンドされた混合物は、上側パンチと下側パンチの間で圧縮成形され、次いで、得られた錠剤が下側パンチによりダイキャビティから押し出され、次いで、固定された「取出し」棒により射出シュートへと誘導される。
【0274】
一実施形態では、錠剤は、水溶性高分子結合剤および水和ポリマーが実質的にない粉末から作製された、直接圧縮成形錠剤コアであり得る。本明細書で使用される場合、「実質的にない」が意味することは、5パーセント未満、例えば1パーセント未満、例えば0.1パーセント未満、例えば完全にない(例えば、0パーセント)である。この組成物は、錠剤の加工および材料コストの最小化ならびに最適な物理的および化学的安定性の提供に有利である。
【0275】
実施例1は、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基を含む徐放性錠剤(コア)を作製する方法に関するさらなる詳細を提供する。開示される方法により生成される4%(4mg)(Z)-エンドキシフェン遊離塩基を含む非限定的な例示的錠剤コアは、表2で提供される。そのような方法により生成されるある特定の例示的な徐放性錠剤(コア錠剤)の特性は、表3で提供される。
【0276】
非限定的な例として、表1および表5で提供されるような0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、20mgおよび40mg(Z)-エンドキシフェン錠剤を含む徐放性錠剤を、本明細書で開示される方法を使用して調製することができる。0.5mg~200mg徐放性固体剤形(コア)を含む追加の徐放性錠剤を、本開示に基づいて調製することができることは、当業者には理解されるであろう。
表1.例示的な徐放性錠剤(コア)
【表1】
【0277】
少なくとも一実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の徐放のための腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の徐放性組成物を調製する方法であって、錠剤などの固体剤形を調製するステップを含み、コア錠剤などの固体剤形の調製が、
a.(i)(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩と、(ii)少なくとも1つの徐放剤(例えば、ヒプロメロース)と、(iii)少なくとも1つの結合剤(例えば、微結晶性セルロース)と、(iv)少なくとも1つの滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)とを合せて、構成成分混合物を得るステップ;
b.ステップ(a)の構成成分混合物を、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩が構成成分混合物中に均一に分散されるようにブレンドして、ブレンドされた混合物を得るステップ;および
c.ブレンドされた混合物を乾式圧縮して、錠剤(例えば、コア錠剤)などの固体剤形を形成するステップ
を含む、方法が、本明細書で提供される。
【0278】
一部の実施形態では、方法は、(a)(i)(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩と、(ii)少なくとも1つの徐放剤(例えば、ヒプロメロース)と、(iii)少なくとも1つの結合剤(例えば、微結晶性セルロース)とを合せ、ブレンドして、構成成分混合物を形成するステップ:(b)ステアリン酸マグネシウムなどの少なくとも1つの滑沢剤を構成成分混合物に添加し、さらにブレンドして、ブレンドされた混合物を得るステップ;および(c)ブレンドされた混合物を乾式圧縮して、錠剤(例えば、コア錠剤)などの固体剤形を形成するステップを含む。
【0279】
ある特定の実施形態では、固体剤形の形態である徐放性組成物は、固体剤形上に機能性コーティング溶液をコーティングすることにより少なくとも1つの機能性コーティング層に実質的に包み込まれており、コーティング溶液は、少なくとも1つの放出制御剤、例えば遅延放出剤(非限定的な例として、ポリ(メタクリレート)ポリマー、例えば、メタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマー(1:1)(ポリメタクリレート・メタクリル酸コポリマー分散体、30%固形物))を希釈剤または溶媒と合せてコーティング溶液を形成することにより、調製される。
【0280】
ある特定の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の徐放剤に対する比は、1:10~10:1の範囲である。一部の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の徐放剤に対する比は、2:6~6:2の範囲である。ある特定の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の徐放剤に対する比は、1:5である。
【0281】
ある特定の実施形態では、固体剤形の形態である徐放性組成物は、固体剤形上に機能性コーティング溶液をコーティングすることにより少なくとも1つの機能性コーティング層に実質的に包み込まれており、コーティング溶液は、少なくとも1つの放出制御剤、例えば遅延放出剤(非限定的な例として、ポリ(メタクリレート)ポリマー、例えば、メタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマー(1:1)(ポリメタクリレート・メタクリル酸コポリマー分散体、30%固形物))と、少なくとも1つの可塑剤(例えば、クエン酸トリエチル)と、少なくとも1つの粘着防止/付着防止剤(例えば、タルク)とを合せてコーティング溶液を形成することにより、調製される。
【0282】
少なくとも一実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその塩もしくは多形体の徐放のための腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤を調製する方法であって、
a.錠剤などの固体剤形を調製するステップであって、コア錠剤などの固体剤形の調製が、(1)(i)(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩と、(ii)少なくとも1つの放出速度制御剤(例えば、ヒプロメロース)と、(iii)少なくとも1つの結合剤(例えば、微結晶性セルロース)と、(iv)少なくとも1つの滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)とを合せて、合せられた混合物を得る段階、(2)段階(a)の合せられた混合物を、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩が、合せた混合物中に均一に分散されるようにブレンドする段階、および(3)合せられた混合物を乾式圧縮してコア錠剤を得る段階を含む、ステップ;および
b.少なくとも1つの遅延放出制御剤(非限定的な例として、ポリ(メタクリレート)ポリマー、例えば、メタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマー(1:1)(ポリメタクリレート・メタクリル酸コポリマー分散体、30%固形物))と、少なくとも1つの可塑剤(例えば、クエン酸トリエチル)と、少なくとも1つの粘着防止/付着防止剤(例えば、タルク)とを合せてコーティング溶液を形成するステップ;および
c.ステップ(a)のコア錠剤をコーティング溶液で実質的にコーティングして少なくとも1つの機能性コーティング層を形成するステップ
を含む、方法が、本明細書で提供される。
【0283】
実施例2および実施例3は、実施例1で調製されるならびに表1および表2で開示されるコアを使用する腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の調製のための方法に関するさらなる詳細を提供する。少なくとも1つの機能性コーティング層を調製するために使用されるコーティング溶液は、表4で提供される。同様に、0.5mg~200mgの(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤を、調製することができる。
【0284】
本明細書で開示される徐放性組成物が、当技術分野において公知のおよび本明細書で開示される賦形剤の1つまたは複数を、所望の製剤化または調製に適した任意の組合せで含むことができることは、当業者にはさらに理解されるであろう。追加の賦形剤は、一般に、Remington's The Science and Practice of Pharmacy, Meade Publishing Co.、United States Pharmacopeia/ National Formulary、およびHandbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd edition, Edited by A. H. Kibbe, Published by: American Pharmaceutical Association, Washington D.C., ISBN: 0-917330-96-X、またはHandbook of Pharmaceutical Excipients (4th edition), Edited by Raymond C Rowe--Publisher: Science and Practiceにおいて見つけることができる。当業者は、自身の技能、当技術分野における知見、および本明細書でなされる開示に基づいて、製剤の調製に必要な適する賦形剤、および投与経路に適合する適切な剤形を選択することができるであろう。すべての場合、最終的な剤形は、微生物の純度および品質の基準を超えてはならず、製造および保管条件下で安定していなければならない。
【0285】
本明細書で開示される方法および組成物は、工業規模に拡大でき、そのような徐放性組成物を対象に投与するために求められる基準を満たしている。投薬単位の均一性は、USP<905>の基準を満たすであろう。
【0286】
本明細書で開示される錠剤の製剤については、水分活性(Aw)が0.75未満である場合、一般生菌数(TAC)およびUSP指標微生物を試験する必要はない。公表文献、"Microbial Bioburden on Oral Solid Dosage Form," by Jose E. Martinez, Pharmaceutical Technology, February 2002, pages 58 to 70は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0287】
さらに、本明細書で開示される組成物の製剤はまた、0.75未満の水分活性を有するので、行なわなければならない詳細な微生物試験がない。TACは、原材料、中間材料または最終製品の試料中に存在する全生存好気性微生物の推定値である。試料は、最新のUSP 42<61>、「非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験(Microbiological Examination of Nonsterile Products: Microbial Enumeration Tests)」に準拠して分析される。
【0288】
経口固体剤形について許容可能なTACは、本発明の組成物の製剤については、それぞれ103cfu g/mLおよび1×104cfu g/mLであり得るアラートレベルおよびアクションレベルによって確立される。2×104cfu g/mLであるTACは、許容不能と見なされる。許容可能な酵母とカビを合わせた数(TYMC)は、NMT 102CFU/gである。1g中のE.coliの非存在は(USP<1111>に従って)、許容可能と見なされる。
【0289】
本開示は、本開示の徐放性組成物が、周囲温度で少なくとも1カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも9カ月、少なくとも12カ月、少なくとも18カ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年および少なくとも5年間、安定していることを提示する。本開示は、本開示の徐放性組成物中の(Z)-エンドキシフェンならびにその多形体および塩が、周囲温度で少なくとも1カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも9カ月、少なくとも12カ月、少なくとも18カ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年および少なくとも5年間、安定していることも提示する。少なくとも一実施形態では、徐放性錠剤および腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の徐放性組成物は、周囲温度で少なくとも1年間、安定している。少なくとも一実施形態では、徐放性錠剤および腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の徐放性組成物中の(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩は、周囲温度で少なくとも1年間、安定している。本開示は、本開示の徐放性組成物が、25℃/60%RH(相対湿度)および40℃/75%RH(相対湿度)で少なくとも1カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも9カ月、少なくとも12カ月、少なくとも18カ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年および少なくとも5年間、安定していることを提示する。本開示は、本開示の徐放性組成物中の(Z)-エンドキシフェンならびにその多形体および塩が、25℃/60%RHおよび40℃/75%RHで少なくとも1カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも9カ月、少なくとも12カ月、少なくとも18カ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年および少なくとも5年間、安定していることも提示する。
【0290】
本明細書で開示される(Z)-エンドキシフェンならびにその多形体および塩を含む徐放性組成物を、それを必要とする対象の処置において使用するための医薬の製造において使用することができる。
【0291】
ある態様では、本開示は、作用機序にもいかなる他の理論にも関係なく、(Z)-エンドキシフェンならびにその多形体および塩が効きやすい障害に罹患しているかまたは罹患するリスクがある対象を、本開示の徐放性組成物により処置することができることを提示する。一部の実施形態では、障害は、ホルモン依存性障害である。一部の実施形態では、障害は、精神または気分障害、例えば、鬱病、躁病、軽躁病、または双極性障害である。そのような精神または気分障害は、精神病性特徴を有することもあり、または有さないこともある。そのような精神または気分障害は、ホルモン非依存性であることもあり、またはホルモン依存性であることもある。
【0292】
本開示の徐放性組成物を、それを必要とする対象に経口投与することにより使用することができる。ある特定の実施形態では、対象は、徐放性錠剤の形態の本開示の徐放性組成物を経口投与される。他の実施形態では、対象は、本明細書で開示されるような腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の本開示の徐放性組成物を経口投与される。
【0293】
本開示の徐放性組成物を、一次治療として、ネオアジュバント療法の一部として(一次療法に向けて)、またはアジュバント療法レジメンの一部として使用することができ、その目的は、ホルモン依存性障害または精神もしくは気分障害などの障害に罹患しているかまたは罹患するリスクがある対象を回復または治癒させることである。一部の実施形態では、徐放性組成物を「治療好機」中に使用することができ、そのような障害を有すると新たに診断された患者に診断時から外科手術日まで組成物が施される。非限定的な例として、乳房切除術または乳腺腫瘍摘出術を必要とする、ER+およびHER2陰性(HER2-)ステージ1または2の侵襲性乳がんを有すると新たに診断された患者に、本開示の徐放性組成物を診断時から外科手術日までの少なくとも14日間、施すことができる。一部の実施形態では、治療好機は、患者ががんを有すると診断された後であることもあり、患者ががんを除去するために外科手術を受ける前であることもある。たとえ患者が決して外科手術を受けない場合であっても、診断と外科手術の間の治療好機に処置を投与することができる。例えば、本開示の組成物を、がんの診断後、しかし患者が、がんを除去するために外科手術を受けると予測される、受けるように予定されるまたは推奨される前に、患者に投与することができる。一部の実施形態では、治療好機は、乳房の状態(例えば、がん、病変、または高濃度乳腺)がマンモグラムで同定されたときに始まることがある。組成物の投与は、外科手術を遅らせることによってまたは必要外科手術を低減させるもしくはなくすことによって治療好機を拡大することにより、治療好機を拡大することができる。一部の実施形態では、エンドキシフェンを含む組成物の投与は、がん診断後の治療好機を拡大することができる。治療好機の延長によって、イメージング研究の達成、腫瘍検体の獲得および血液試料の獲得のためのより多くの時間を得ることができる。
【0294】
一部の実施形態では、治療好機(例えば、がん診断とがんを除去するための外科手術との間の期間)を、少なくとも5日、少なくとも10日、少なくとも15日、少なくとも20日、少なくとも25日、少なくとも30日、少なくとも60日、少なくとも90日、少なくとも120日、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも7カ月、少なくとも8カ月、少なくとも9カ月、少なくとも10カ月、少なくとも11カ月、少なくとも12カ月、少なくとも13カ月、少なくとも14カ月、少なくとも15カ月、少なくとも16カ月、少なくとも17カ月、少なくとも18カ月、少なくとも1年、少なくとも1.2年、少なくとも1.4年、少なくとも1.6年、少なくとも1.8年、少なくとも2年、少なくとも2.5年、少なくとも3年、少なくとも3.5年、少なくとも4年、少なくとも4.5年、または少なくとも5年、延長することができる。一部の実施形態では、治療好機を、本開示の組成物(例えば、エンドキシフェンを含む組成物)の投与後、無期限に延長することができる。
【0295】
ある特定の実施形態では、障害は、乳房障害である。一部の実施形態では、障害は、ホルモン依存性乳房障害である。他の実施形態では、障害は、ホルモン依存性生殖器系障害である。さらに他の実施形態では、対象は、ホルモン依存性乳房障害とホルモン依存性生殖器系障害の両方に罹患している。一部の実施形態では、ホルモン依存性障害は、良性乳房障害、過形成、異型、異型乳管過形成、異型小葉過形成、乳腺濃度上昇、女性化乳房症、DCIS、LCIS、乳がん、子宮内膜がん、卵巣がん、子宮がん、子宮頸がん、膣がん、または外陰がんである。
【0296】
一部の実施形態では、乳房障害は、乳腺濃度上昇である。例えば、乳房障害は、BI-RADクラスB(以前はクラスII)、クラスC(以前はクラスIII)またはクラスD(以前はクラスIV)乳腺濃度である。乳腺濃度上昇(クラスB、CまたはD)を有する対象への本開示の徐放性組成物の投与は、対象において観察される乳腺濃度の量および重症度を低下させる。対象における乳腺濃度の徐放性組成物により誘導される低下は、乳腺濃度上昇がもたらす乳がんの独立したリスク因子を軽減する点ばかりでなく、乳がんなどの以前に検出できなかった乳房障害を明らかにする点でも、有利である。したがって、一部の実施形態では、乳腺濃度上昇により隠された乳がんに罹患している対象を、本開示の徐放性組成物により処置することによって、対象における乳腺濃度を低下させ、乳がんを明らかにすることができる。
【0297】
一部の実施形態では、ホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器系障害は、思春期早発症である。他の実施形態では、ホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器系障害は、マッキューン-オルブライト症候群である。
【0298】
一部の実施形態では、乳房障害は、女性化乳房症である。一部の実施形態では、女性化乳房症は、基礎疾患に続発して提示されるか、またはある特定の投薬使用(外因性エストロゲン、抗アンドロゲン薬(例えば、ビカルタミド、フルタミド、フィナステリド、デュタステリド)、降圧薬、例えば、スピロノラクトン、5アルファレダクターゼ阻害剤、抗レトロウイルス剤、例えば、プロテアーゼ阻害剤(例えば、サキナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、ロピナビル)、逆転写酵素阻害剤(スタブジン、ジドブジン、ラミブジン)および胃腸薬、例えば、H2ヒスタミン受容体遮断薬(例えば、シメチジン)などの)の結果として提示される。したがって、一部の実施形態では、対象には、前立腺がん、肝硬変および肝疾患、男性性腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、腎不全、血液透析を受けている患者におけるもの、またはI型糖尿病からなる群から選択される、基礎疾患もある。ある特定の実施形態では、対象には前立腺がんが基礎疾患としてあり、対象は、女性化乳房症に罹患しているかまたは罹患するリスクがある。女性化乳房症に罹患しているかまたは罹患するリスクがある対象への本開示の徐放性組成物の投与は、女性化乳房症を軽減するか、または女性化乳房症を発症するリスクを低下させる。女性化乳房症の徐放性組成物により誘導される軽減は、結果として、その障害の少なくとも1つの症状、例えば、乳房腫脹(乳房組織体積)、不快感または疼痛を減少させることになり得る。このような徐放性組成物は、対象の身体の健康、および鬱病をはじめとする精神の健康も、改善することができる。
【0299】
ある特定の実施形態では、乳がんは、DCIS、LCIS、ILC、IDC、MIC、炎症性乳がん、ER陽性(ER+)乳がん、HER2+乳がん、BRCA1+乳がん、BRCA2+乳がん、腺様嚢胞(腺嚢胞)癌、低悪性度扁平上皮癌、髄様癌、粘液性(または膠様)癌、乳頭癌、管状癌、化生性癌、または微小乳頭癌である。少なくとも一実施形態では、単独乳がん腫瘍は、上述のものの組合せであることもあり、または侵襲性がんと非浸潤性がんの混合であることもある。
【0300】
本開示は、進行したおよび/または高悪性度の新生物、例えば、外科手術もしくは放射線療法などの処置による局所的手法による治癒が不可能である対象における顕性疾患、転移性疾患、または局所進行疾患の処置を含む、腫瘍発生および進行の様々なステージでの本明細書で開示される徐放性組成物の使用を企図している。したがって、一部の実施形態では、乳がんは、前がん状態、早期がん、非転移性がん、前転移性がん、または局所進行がんである。少なくとも一実施形態では、乳房障害は、転移性がんである。一部の実施形態では、対象は、前立腺がんにさらに罹患している。
【0301】
本開示の徐放性組成物の投与は、ホルモン依存性障害のいずれかの発生を低減させることができる。乳がんに罹患している対象の場合、乳がんに罹患している対象への本開示の徐放性組成物の投与、例えば経口投与は、疾患の症状を軽減または改善することができ、疾病負荷を低減させることができ、がんの成長速度を低下させることができ、腫瘍の体積またはサイズを低減させることができ、腫瘍の新生血管、腫瘍の逃避および転移を低減させるまたは予防することができ、疾患のバイオマーカー、例えば、BRCA-1、BRCA-2、ER、PR、Her2、uPA、PAI、Tf、p53、Ki-67、サイトカイン、がん腫瘍抗原、ならびにMammaprint、OncotypeDx、PAM50、EndoxPredict、MammoStratならびに当技術分野において公知の他の診断および予測試験により測定される他のバイオマーカーを低減させることができる。例えば、本開示の組成物(例えば、(Z)-エンドキシフェンを含む組成物)の投与は、エンドキシフェンの投与後に腫瘍内のKi-67バイオマーカーのレベルを、エンドキシフェンを投与する前のレベルと比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%低下させることができる。一部の実施形態では、バイオマーカー(例えば、BRCA-1、BRCA-2、ER、PR、Her2、uPA、PAI、Tf、p53、Ki-67、サイトケラチン、またはがん腫瘍抗原)のレベルを、対象から採取した組織(例えば、乳房組織、がん組織、非がん組織、または生検組織)において測定することができる。一部の実施形態では、バイオマーカーのレベルを、対象から採取した体液(例えば、血液、血漿、管内液、母乳、尿または唾液)において測定することができる。一部の実施形態では、エンドキシフェンでの処置後に対象から採取した組織または体液中のバイオマーカーのレベルを、エンドキシフェンを投与する前に対象から採取した組織または体液中のバイオマーカーのレベルと比較することができる。一部の実施形態では、エンドキシフェンでの処置後に対象から採取した組織または体液中のバイオマーカーのレベルを、正常な対象(例えば、非罹患個体)からの同様の組織または体液中のバイオマーカーのレベルについての平均または期待値と比較することができる。一部の実施形態では、エンドキシフェンを投与する前に対象から採取した組織または体液中のバイオマーカーのレベルを、非罹患個体からの同様の組織または体液中のバイオマーカーのレベルについての平均または期待値と比較することができる。一部の実施形態では、バイオマーカーのレベルについての平均または期待値は、バイオマーカーレベルのデータベースからのものであり得る。
【0302】
乳がんまたは乳腺濃度上昇などの乳房障害に罹患している対象への本開示の徐放性組成物の投与によって、タモキシフェンまたは即時放出バージョンのエンドキシフェンなどの抗がん薬物と比較して、経験する副作用、例えば血管運動作用、例えば、ホットフラッシュ、寝汗、頭痛、口内乾燥およびこれらに類するものなどが少なくなり得る。タモキシフェンは、乳がんまたは乳腺濃度低下に有効だが、1日25回を超え得る頻度で、毎日ほども頻繁に、軽度、中等度または重度のような強さの血管運動症状を引き起こす。タモキシフェンを摂取している対象の78%もが、ホットフラッシュに耐えている(Mortimer et al.)。ホットフラッシュ事象の数×各事象の重症度(軽度に1、中等度に2、および重度に3という尺度を使用する)が、忍耐についてスコア(「忍耐スコア」)を導出するために使用される。例えば、2日で5つの軽度事象および2つの重度事象があるホットフラッシュを有する女性は、1×5+2×3の合計11のスコアを有することになる。この数が大きいほど、薬物に対する耐容性が低い。結果として、タモキシフェンは、乳がんの50%より多くを予防することができるが、処置レジメンの低い順守率につながる低い耐容性に起因して、タモキシフェンまたはエンドキシフェンから恩恵を受けることができる女性の5%未満しかこの薬物を実際に摂取しない。これは、耐容性が改善された薬物に対するまだ対処されていない莫大な医療ニーズを意味する。しばらくの間、血管運動症状を軽減するためにタモキシフェンが投与された女性にSSRIが投与されたが、SSRIは、タモキシフェンの活性代謝物、つまり処置に必要なエンドキシフェン、の形成、および/または乳がんの再発を単に抑制することにより、症状を軽減した。
【0303】
ある態様では、本開示は、タモキシフェンであるカプセルが経口投与された対象と比較して、徐放性錠剤などの本開示の徐放性(Z)-エンドキシフェン組成物が経口投与された対象のほうが、薬物投与日の期間にわたって、ホットフラッシュ、寝汗、冷汗、熱感の感覚などの血管運動症状を経験する頻度が低い(例えば、日数が少ない、または事象が少ない)ことを提示する。別の態様では、本開示は、そのような徐放性組成物が投与された対象のほうが、タモキシフェンが投与された対象と比較して、血管運動症状を経験する人数が少ないことを提示する。別の態様では、本開示は、徐放性組成物が経口投与された対象によって経験される血管運動症状のほうが、タモキシフェンが投与された対象によって経験される血管運動症状よりも強さが弱いものであることを提示する。
【0304】
本開示は、徐放性組成物を摂取している対象のより低い、すなわち改善された、忍耐スコアが、タモキシフェンを摂取している者についての忍耐スコアと比較して観察されることを提示する。
【0305】
本明細書で開示される徐放性組成物のin vitro放出プロファイルおよび本明細書で開示される薬物動態プロファイルに基づいて、例えば、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の形態の、徐放性錠剤を摂取している対象は、治療剤(Z)-エンドキシフェンならびにその多形体および塩を緩徐な速度で彼らの血液に吸収する。いずれの作用機序によっても、いずれの他の理論によっても、拘束されることを望まないが、本開示は、本開示の徐放性組成物(例えば、徐放性錠剤の形態のもの)を摂取している対象により経験される忍耐スコアの改善および/または血管運動症状の軽減が、新規徐放性組成物、および腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤の望ましい薬物動態プロファイルに起因することを提示する。
【0306】
障害に罹患している対象を、本開示の徐放性組成物を経口投与することにより処置する方法であって、組成物が、表14~表17で開示される1つまたは複数の薬物動態パラメーターを達成することができるものである、方法が、本明細書で提供される。
【0307】
本開示は、本開示の徐放性組成物を経口投与された対象が、薬物投与日の25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、および5%未満の頻度で血管運動作用(例えば、ホットフラッシュ、寝汗、または熱感の感覚)を経験することを提示する。ある特定の実施形態では、本開示の徐放性組成物を経口投与された対象は、薬物投与日の25%未満の頻度で血管運動作用を経験する。少なくとも一実施形態では、本開示の徐放性組成物を経口投与された対象は、薬物投与日数の5%未満の頻度で血管運動作用を経験する。したがって、障害に罹患している対象を、本開示の徐放性組成物を経口投与することにより処置する方法であって、徐放性組成物を摂取すると対象が薬物投与日の25%未満の頻度で血管運動作用(例えば、ホットフラッシュ、寝汗、または熱感の感覚)を経験する、方法が、本明細書で提供される。例えば、対象に本開示の徐放性組成物を100日間1日1回投与した場合には、対象は、対象が組成物を摂取した日のうちの25日に血管運動症状(例えば、ホットフラッシュ)を経験することになる。
【0308】
血管運動症状(ホットフラッシュ、熱感の感覚、および寝汗など)を経験する、徐放性(Z)-エンドキシフェン錠剤を投与されたまたは摂取している対象のパーセンテージ(約25%)はまた、ホットフラッシュを経験する、タモキシフェンが投与された対象の報告パーセンテージ(約78%)と比較して低い。軽減されたまたはより少ない血管運動症状に起因する徐放性組成物(例えば、本開示の徐放性(Z)-エンドキシフェン錠剤)に対する耐容性の向上が、乳房障害などの障害に罹患している対象における処置レジメンのより高度な順守を有利に促進することは、当業者には容易に理解されるであろう。
【0309】
乳がんに罹患するリスクがあるまたは乳がん再発のリスクがある対象への本開示の徐放性組成物の投与は、乳がんの発生または再発を防止することができ、例えば、再発までの時間を遅らせる(または延ばす)可能性がある。それ故、徐放性組成物を発病予防にまたは処置に使用することができる。そのような乳がん障害の治療の現在の選択肢は、対象に見られる低い血漿エンドキシフェンレベルに起因する重篤な有害効果、患者の順守不良および薬物への耐性にもかかわらず、依然としてタモキシフェンである。そのような対象は、彼らがタモキシフェンをその活性代謝物であるエンドキシフェンに代謝できないようにするCYP遺伝子突然変異、例えば、CYP2D6、CYP3A4もしくはCYP2C9の突然変異を有することなどのいくつもの理由で、タモキシフェンの投与時に低いエンドキシフェンレベルを有することがあり、またはまだ特定されていない他の理由のため十分なタモキシフェンの取込みを妨げる(または減少させる)少ないもしくは機能不全のエストロゲン受容体を有することもある。20mgの経口タモキシフェンの投与を受けた対象における血漿タモキシフェンについて報告されている治療レベルは、≧30nMである(Lyon et al. Genet Med. 2012 Dec;14(12):990-1000)。対象における低い血漿エンドキシフェンレベルの根底にある機序にもかかわらず、本開示の徐放性組成物は、対象のエンドキシフェンが少ない、または対象がホルモン依存性障害に罹患しているかまたは罹患するリスクがある、任意の状態に有用である。それ故、本開示の組成物は、ホルモン依存性乳房障害またはホルモン依存性生殖器系障害を含む、タモキシフェン耐性、ホルモン依存性障害の処置に、特に重要である。
【0310】
ある特定の実施形態では、医薬組成物が特に有用である患者集団が提示される。本開示の徐放性組成物はまた、ホルモン依存性乳房障害およびホルモン依存性生殖器系障害をはじめとする、ホルモン依存性障害を有するタモキシフェン抵抗性の対象の処置に、特に重要である。したがって、一部の実施形態では、本明細書で開示される徐放性組成物は、ホルモン依存性障害に罹患しているか罹患するリスクがあるタモキシフェン抵抗性またはタモキシフェン耐性の対象の処置に有用である。一部の実施形態では、本明細書で開示される用量でそのような対象に投与される(Z)-エンドキシフェングルコン酸塩、(Z)-エンドキシフェンクエン酸塩または(Z)-エンドキシフェン塩酸塩などのエンドキシフェン塩を含む徐放性組成物が、有利となる。一部の実施形態では、徐放性組成物は、対象に経口投与される。
【0311】
さらに、Donneyongらは、薬物相互作用が、タモキシフェンとフルオキセチン(Prozac)およびパロキセチン(Paxil)のような選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)薬物との間に存在し、乳がん対象にとって有害であることを示した(Donneyong et al. BMJ 2016;354:i5014)。SSRI薬物SSRI’sは、SSRI薬物を用いている対象におけるタモキシフェンのエンドキシフェンへの肝臓代謝を低減または停止させる抗鬱薬である。したがって、ある特定の実施形態では、本開示の組成物での処置による恩恵を受けることになるSSRI薬物(シタロプラム(Celexa)、エスシタロプラム(Lexapro)、フルオキセチン(Prozac)、パロキセチン(Paxil、Pexeva)、セルトラリン(Zoloft)、ビラゾドン(Viibryd)およびこれらに類するものなどの薬物)で処置されているまたは処置される患者集団が、本明細書で提示される。
【0312】
本明細書で開示される徐放性組成物はまた、障害、例えば、精神または気分障害、例えば、鬱病、躁病、軽躁病、双極性障害および統合失調症に罹患しているかまたは罹患するリスクがある対象の処置に、対象がSSRI薬物での処置を受けているか否かを問わず、適している。そのような精神障害は、精神病性特徴を有することもあり、または有さないこともある。研究により、女性生殖イベントおよびホルモン処置は、女性における双極性障害および統合失調症の経過に影響を与え得ることが示されている(Gogos A, Sbisa AM, Sun J, Gibbons A, Udawela M, Dean B. A Role for Estrogen in Schizophrenia: Clinical and Preclinical Findings. Int J Endocrinol. 2015;2015:615356. doi: 10.1155/2015/615356. Epub 2015 Sep 27. PubMed PMID: 26491441; PubMed Central PMCID: PMC4600562)。さらに、研究により、初産婦間での分娩後精神障害のリスクが出産後の数カ月間に増加されることが示された(Munk-Olsen, T et al. JAMA. 2006 Dec 6;296(21):2582-9)。特に、出産が、双極性障害を有する女性における感情エピソードの開始に関連していることは、公知である(Meinhard N. et al. Nord J Psychiatry. 2014 Feb;68(2):81-7)。Ahmadらおよびその他による予備的研究は、タモキシフェンおよびその代謝物エンドキシフェンが抗躁活性を有し得ることを示唆している。したがって、本開示は、本開示の徐放性組成物を、鬱病、躁病、軽躁病、双極性障害および統合失調症などのなどの精神または気分障害に罹患している対象に経口投与することができることを提示する。経口投与された本明細書で開示される徐放性組成物は、対象の血漿エンドキシフェンを30nMより高い定常状態レベルで、例えば、30nM~80nMの範囲のレベルまたは30nM~300nMの範囲のレベルで維持する。一部の実施形態では、血漿定常状態エンドキシフェンレベルは、>40nMで維持される。
【0313】
30nMより高い定常状態レベルでのそのような血漿エンドキシフェンの維持は、ホルモン依存性障害、特に乳がんの再発(再燃)の尤度が30nM未満の血漿エンドキシフェンレベルで低下されることから、有利である。それは、本明細書で開示される組成物の投与を受ける、タモキシフェンの不全代謝者(16nM未満の血漿エンドキシフェンレベルを有する)、タモキシフェンの中程度の代謝者(27nM未満の血漿エンドキシフェンレベルを有する)である対象に、特に有利である。それはまた、精神または気分障害(例えば、鬱病、躁病、軽躁病、双極性障害および統合失調症)に罹患している対象に、および抗うつ薬、例えば、SSRI薬物、例えば、シタロプラム(Celexa)、エスシタロプラム(Lexapro)、フルオキセチン(Prozac)、パロキセチン(Paxil、Pexeva)、セルトラリン(Zoloft)、ビラゾドン(Viibryd)およびこれらに類するものでの処置を受けているまたは受ける対象、例えば、鬱病などの精神または気分障害に罹患しているか罹患する可能性がある対象に、有利である。
【0314】
≧30nMの血漿エンドキシフェンは、乳がんなどのホルモン依存性障害の、そのような障害に罹患しているかまたは罹患するリスクがある対象における、処置および予防に望ましいが、ある特定の状況下では、対象におけるより低い血漿(Z)-エンドキシフェンレベルが、例えば、高濃度乳腺(すなわち、乳腺濃度)の発生および進行の処置、予防に望ましいこともある。高濃度乳腺(すなわち乳腺濃度上昇または高い乳腺濃度)は、一般的な乳房障害であり、米国だけでも40~74歳の女性の40~50パーセントが高濃度乳腺(既存の乳房腫瘍およびがんの存在を隠し、検出を妨げることに加えて、それ自体が乳がんの独立したリスク因子である)に罹患しているが、および米国では対象に彼女達の乳腺濃度が高い状態を告知する手書きの手紙を提供するように医師に求める法律が約34州に存在するが、乳腺濃度の(発生または進行の)処置または予防ために承認された薬物は存在しない。一態様では、本開示は、高濃度乳腺(BIRADクラスB~D)を有する対象に乳腺濃度の低下に有効な量で本開示の徐放性組成物を投与することができることを提示する。別の態様では、徐放性組成物を投与して、高乳腺濃度の発生を防止することまたは乳腺濃度のより高度な乳腺濃度クラスへ進行を防止することができる。別の態様では、本開示は、本開示の徐放性組成物を、乳腺濃度で隠された乳がんに罹患しているリスクがある対象に投与することによって、乳腺濃度を低下させることおよび乳がんを明らかにすることができることを提示する。したがって、対象における乳腺濃度を低下させるための方法であって、(a)対象が乳腺濃度上昇を有するかどうかを、(i)対象の乳房に対するマンモグラフィーを実施するまたは実施し終えること、(ii)対象の乳房内の高濃度組織体積を定量してまたは定量し終えて、対象の乳腺濃度をクラスA、クラスB、クラスCまたはクラスDに分類すること(ここで、対象がクラスCまたはクラスDの高濃度乳腺を有する場合、対象は、乳腺濃度上昇を有し、乳がんに罹患するリスクがあると判定される)により、判定するステップ;および(b)ある量の本開示の徐放性組成物を対象に投与することによって、対象における乳腺濃度を低下させるステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、徐放性組成物の投与は、対象における乳がんの存在を明らかにする。
【0315】
乳腺濃度を低下させるためにおよび/または乳がんを明らかにするために有効な任意の量により投与される量。一部の実施形態では、そのような量は、乳腺濃度上昇またはより高度な乳腺濃度クラスへの高濃度乳腺の進行の処置または予防のために2nM~300nMの範囲の対象の血漿(Z)-エンドキシフェンレベルを維持する任意の量であり得る。一部の実施形態では、本開示の徐放性組成物を経口投与された対象における(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の血漿レベルは、2nM~25nM、10nM~30nM、5~15nM、または10nM~20nMの範囲で維持され得る。一部の実施形態では、対象に徐放性組成物を経口投与すると(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の血漿レベルは、≧30nM~300nMの範囲で維持され得る。そのような対象に経口投与された組成物は、乳腺濃度を低下させることができ、その発生を防止することでき、もしくはより高度な乳腺濃度クラスへのその進行を阻止することができ、潜在する乳がんを明らかにすることができ、および/または乳がん発生の独立したリスクを低下させることができる。一部の実施形態では、対象に投与される徐放性組成物は、表14、表15、表16および表17のいずれか1つまたは複数の1つまたは複数のパラメーターを達成することができる、腸溶コーティングされた遅延放出性錠剤である。
【0316】
ある特定の実施形態では、処置に対する対象の応答をモニターすることができる。例えば、乳腺濃度または腫瘍サイズ(少しでも検出可能であれば)を、対象の乳房に対するマンモグラフィーを実施するまたは実施し終えること、および対象の乳房における乳腺濃度および/または腫瘍サイズを処置の前後で比較することにより、判定することができる。したがって、処置の方法は、対象の乳房に対するマンモグラフィーを実施するまたは実施し終えるステップ、および対象の乳腺濃度または乳房腫瘍サイズが、徐放性組成物での処置の開始前に定量したその対象の乳腺濃度または乳房腫瘍サイズと比較して低下を示すのか、上昇を示すのか、または不変を示すのかを判定するまたは判定し終えるステップをさらに含む。かかりつけの医療従事者は、観察された変化に基づいて処置レジメンを調整することができる。非限定的な例として、医療従事者は、濃度もしくは腫瘍サイズが増加された場合、徐放性組成物のより高用量を投与することができ、または対象の乳腺濃度もしくは腫瘍サイズが低下された場合、用量を低下させることができる。一部の実施形態では、医療従事者は、処置を開始して、対象における(Z)-エンドキシフェンのより低い血漿レベルを維持することができる。別の態様では、(Z)-エンドキシフェンが効きやすい障害に罹患しているか罹患するリスクがある対象であって、タモキシフェンを投与すると対象の薬物投与日の≧50%の頻度で血管運動症状を経験する対象を処置する方法が、本明細書で提供される。そのような対象は、本開示の徐放性組成物の経口投与から、例えば、対象の薬物投与日の50%未満への血管運動症状の頻度低下を経験することにより、恩恵を受けることができる。例えば、対象が、徐放性組成物の14日間、1日1回の投与を受けた場合、対象は、対象が薬物の投与を受けた7日未満に(すなわち、6日またはそれ未満に)血管運動症状を経験し得る。一部の実施形態では、本開示の徐放性組成物を摂取する対象により経験される血管運動症状の頻度は、対象の薬物投与日の25%未満に低下され得る。したがって、(Z)-エンドキシフェンが効きやすい疾患に罹患しているかまたは罹患するリスクがある対象であって、タモキシフェンの摂取時に対象の薬物投与日の50%を超える頻度で血管運動症状を経験する対象を処置する方法であって、方法が、本開示の徐放性組成物を投与するステップを含み、それによって、対象が経験する血管運動症状の頻度が、対象の薬物投与日の50%未満に低下される、方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、本開示の徐放性組成物を摂取する対象は、薬物投与日の25%未満の頻度で血管運動症状を経験し得る。一部の実施形態では、対象により摂取された本開示の徐放性組成物は、表14、表15、表16および表17のいずれか1つまたは複数の1つまたは複数のパラメーターを達成することができる。一部の実施形態では、徐放性組成物から放出された(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩についての対象の個々の薬物動態パラメーターをモニターして、薬物動態パラメーターの1つまたは複数、例えば、対象における徐放組成物からの治療剤(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の吸収速度、Tmax、バイオアベイラビリティを判定することができる。かかりつけの医療従事者は、対象における薬物の薬物動態パラメーターを判定すること、および薬物の吸収速度、バイオアベイラビリティ、Tmaxを使用して、対象への投与に適する最適な徐放性組成物を決定することにより、対象に適合している薬物放出プロファイルを有する徐放性組成物を処方することができる。
【0317】
別の態様では、乳房障害に罹患しているかまたは罹患するリスクがある対象を処置する方法であって、(a)本開示の徐放性組成物を対象に経口投与するステップ;(b)生体試料、例えば、全血、血漿および/または血清を対象から採取するまたは採取し終えるステップ;(c)対象の全血、血漿および/または血清中の(Z)-エンドキシフェンをある期間、例えば、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも120時間、少なくとも7日、または少なくとも14日にわたって測定するまたは測定し終えるステップ;および(d)対象が投与日の50%を超える頻度で血管運動症状を経験した場合には、本開示の異なる徐放性組成物を対象に経口投与するステップを含み、徐放性組成物が、表14、表15、表16および表17のいずれか1つまたは複数の1つまたは複数のパラメーターを達成することができる、方法が、本明細書で提供される。
【0318】
対象がタモキシフェン不応性であるかどうかは、対象に最初の投薬量のタモキシフェンを投薬し、対象の血漿エンドキシフェン定常状態レベルを決定することによって決定することができる。タモキシフェンの投薬を受けた対象における血漿エンドキシフェン定常状態レベルは、タモキシフェン不応性対象についてのバイオマーカーとしての機能を果たす。血漿エンドキシフェンレベル(急性および/または定常状態)は、対象から試験試料を得ることによって決定することができ、試験試料は、対象にタモキシフェンを投薬した後に対象から採取した血液試料であり得る。バイオマーカーであるエンドキシフェンレベルを試験するために血液試料から血漿または血清を得ることができる。最初の投薬量は、タモキシフェンを少なくとも1日、2日、3日、15日、1週間、2週間、4週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、または6カ月にわたって毎日投与することを含み得る。対象にタモキシフェンを含む第1の組成物を少なくとも1日、2日、3日、15日、1週間、2週間、4週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、1年、2年、3年、4年、5年または10年にわたって毎日投与することもできる。
【0319】
対象の血漿エンドキシフェン定常状態レベルは、試験試料中のエンドキシフェンを測定することによって決定することができる。対象の血漿エンドキシフェン定常状態レベルを参照血漿エンドキシフェンレベルと比較する。本開示の目的に関しては、参照血漿中レベルは30nMである。対象の血漿エンドキシフェンレベルが30nMよりも低いことが決定された場合、対象は、タモキシフェン不応性であると定義される。ホルモン依存性障害に罹患しているまたはそれに罹患するリスクがあり得るそのようなタモキシフェン不応性対象を、本明細書に開示される(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物を対象に投与することによって処置する。一部の実施形態では、そのような対象に経口投与される徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基を含む。一部の実施形態では、そのような対象に経口投与される徐放性組成物は、エンドキシフェンの形態I、形態IIまたは形態IIIなどの多形形態を含む。他の実施形態では、そのような対象に経口投与される徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩、(Z)-エンドキシフェンL-グルコン酸塩、(E)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩、(E)-エンドキシフェンL-グルコン酸塩、またはこれらの組合せからなる群から選択されるエンドキシフェングルコン酸塩を含む。他の実施形態では、(Z)-エンドキシフェン塩を含む徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェン塩酸塩または(Z)-エンドキシフェンクエン酸塩である。本開示は、対象の血漿エンドキシフェンレベルを定期的にまたは必要に応じて決定するまたはモニタリングすることも意図している。必要であれば、最初の投薬量のタモキシフェンの投与を受けた対象は、試験結果に基づいて、継続的に(Z)-エンドキシフェン、またはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物を経口投与することによる血漿エンドキシフェン定常状態レベルの調整を受けることができる。
【0320】
一部の実施形態では、対象のタモキシフェン不応性に関する状態を、対象のタモキシフェン代謝産物プロファイルを決定し、それを対照または正常な対象において見られる参照タモキシフェン代謝産物プロファイルと比較することによって決定することができる。対象のタモキシフェン代謝産物プロファイルについて参照タモキシフェン代謝産物プロファイルと比較して、血漿エンドキシフェンレベルが低い対象に、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物を投与する。そのような組成物は、合成により調製されたエンドキシフェンを含み得る。
【0321】
血漿エンドキシフェンは、当技術分野で公知の方法のいずれかによって測定することができる。試験試料中の血漿エンドキシフェンレベルは、対象の遺伝子、DNA、RNA、タンパク質、タモキシフェン代謝産物プロファイルまたはこれらの組合せに基づいて決定することができる。タモキシフェン代謝産物プロファイルは、少なくともタモキシフェン、4-OHT、N-デスメチルタモキシフェン、および/またはエンドキシフェンを含み得る。一部の実施形態では、試験試料中の血漿エンドキシフェンレベルおよび/またはタモキシフェン代謝産物プロファイルを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、高速液体クロマトグラフィー質量分析(HPLC-MS)、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)、液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)、免疫組織化学的検査(IHC)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)などによって測定する。一部の実施形態では、タモキシフェン代謝産物プロファイルを対象の遺伝組成に基づいて予測する。一部の実施形態では、対象のCYP遺伝子型同定は、これだけに限定することなく、CYP2D6遺伝子、CYP3A4遺伝子、CYP2C9遺伝子の解析を含む。一部の実施形態では、対象のエストロゲン受容体レベルを分析することができる。他の実施形態では、血漿エンドキシフェンの決定を第三者の研究所で実施することができる。
【0322】
したがって、それを必要とする対象において、対象に(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物を経口投与することによって血漿エンドキシフェンレベルを30nMよりも高く維持する方法が本発明で提供される。一部の実施形態では、対象の血漿エンドキシフェンレベルを30nMよりも高い定常状態レベルで維持する。一部の実施形態では、対象の血漿エンドキシフェンレベルを30nM~5000nM(例えば、40nM~4000nM、50nM~3000nM、60nM~2000nM、30nM~300nM、または30nm~80nM)の範囲の定常状態レベルで維持する。一部の実施形態では、対象の血漿エンドキシフェンレベルを>40nMの定常状態レベルで維持する。
【0323】
別の態様では、対象は、対象の試験試料について、ホルモン依存性障害を示し得るまたはモニタリングし得るバイオマーカープロファイルに関する試験を受けることができる。そのようなバイオマーカーは、当技術分野で公知であり、それらの非限定的な例として、CYP2D6、BRCA-1、BRCA-2、ER、PR、Her2、uPA、PAI、Tf、p53、Ki-67、サイトケラチン、がん腫瘍抗原、および、Mammaprint、OncotypeDx、PAM50、EndoxPredict、MammoStrat、および他の診断および予測試験によって測定される他のバイオマーカーなどのバイオマーカーが挙げられる。対象がホルモン依存性障害に罹患しているかまたはホルモン依存性障害に罹患するリスクがあることを示すバイオマーカープロファイルを有する対象に、本明細書に開示される徐放性組成物を経口投与することができる。一態様では、本開示は、ホルモン依存性障害に罹患しているかまたはホルモン依存性障害に罹患するリスクがある対象を処置する方法であって、対象のタモキシフェン不応性またはタモキシフェン耐性に関する状態を決定するステップ、および対象に本明細書に記載の徐放性組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0324】
対象におけるバイオマーカーのレベルを測定することができる。例えば、対象におけるKi-67、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、増殖細胞核抗原、リン酸化ヒストンH3、p16、p12、ベータガラクトシダーゼ、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識、RNA配列のうちの1つまたは複数、またはこれらの組合せのレベルを測定することができる。一部の実施形態では、レベルを、本開示の組成物を投与する前に測定することができる。一部の実施形態では、レベルを、本開示の組成物を投与した後に測定することができる。組成物の投与後のバイオマーカーのレベルを組成物の投与前のバイオマーカーのレベルと比較することができる。バイオマーカーのレベルは当技術分野で公知の任意の方法によって測定することができる。例えば、バイオマーカーのレベルを免疫組織化学的検査、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、ウエスタンプロット、定量的PCR、逆転写を伴う定量的PCR、質量分析、またはクロマトグラフィーによって測定することができる。
【0325】
一部の態様では、タモキシフェン不応性またはタモキシフェン耐性対象を処置する方法であって、対象に(Z)-エンドキシフェン、またはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物を経口投与することを含む方法が本発明で提供される。
【0326】
一部の実施形態では、ホルモン依存性障害に罹患しているかまたはホルモン依存性障害に罹患するリスクがあるタモキシフェン不応性対象を処置する方法であって、対象に(Z)-エンドキシフェン、またはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物を投与することを含み、対象の血漿エンドキシフェンレベルが、30nM未満、25nM未満、20nM未満、15nM未満、10nM未満、5nM未満または1nM未満である、方法が本明細書に開示される。ある特定の実施形態では、(Z)-エンドキシフェン塩を含む徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェングルコン酸塩、(Z)-エンドキシフェン塩酸塩、または(Z)-エンドキシフェンクエン酸塩である。他の実施形態では、少なくとも90%の(Z)-エンドキシフェンまたはその塩を含む徐放性固体剤形を経口投与する。他の実施形態では、少なくとも90%の、エンドキシフェンの多形体形態I、形態II、または形態IIIを含む徐放性固体剤形を経口投与する。
【0327】
タモキシフェン不応性またはタモキシフェン耐性対象を処置する方法であって、(a)対象から得た試験試料中の血漿エンドキシフェンレベルを決定するまたは決定してもらうステップ;(b)試験試料中の血漿エンドキシフェンレベルを参照血漿エンドキシフェンレベルと比較するまたは比較してもらうまたは決定してもらうステップ;(c)参照血漿エンドキシフェンレベルと比較した試験試料中の血漿エンドキシフェンレベルの低下を決定するまたは決定してもらうステップ;および(d)(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物を対象に投与するステップを含む方法も本発明で提供される。(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物の経口投与により、対象における血漿エンドキシフェンレベルが30nMよりも高い定常状態レベルで維持される。一部の実施形態では、対象における血漿エンドキシフェンレベルが30nM~約300nMの範囲の定常状態レベルで維持される。ホルモン依存性障害に罹患しているかまたはホルモン依存性障害に罹患するリスクがある対象を処置する方法であって、(a)対象に、タモキシフェンを含む第1の組成物を投与するステップ;(b)対象から得た試験試料中の血漿エンドキシフェンレベルを決定するまたは決定してもらうステップ;(c)参照血漿エンドキシフェンレベルと比較した試験試料中の血漿エンドキシフェンレベルの低下を決定するまたは決定してもらうステップ;および(d)本明細書に開示される徐放性組成物を対象に経口投与するステップを含む方法が本発明で提供される。対象に、タモキシフェンを含む第1の組成物を少なくとも1日、2日、3日、15日、1週間、2週間、4週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、1年、2年、3年、4年、5年または10年にわたって毎日投与することができる。一部の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物の経口投与により、対象の血漿エンドキシフェンが30nMよりも高いレベルで維持される。他の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物の経口投与により、対象の血漿エンドキシフェンが、30nM~5000nM(例えば、40nM~4000nM、50nM~3000nM、60nM~2000nM、30nM~300nM、または30nM~80nM)の範囲のレベルで維持される。一部の実施形態では、対象に、(Z)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩、(Z)-エンドキシフェンL-グルコン酸塩、(E)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩、(E)-エンドキシフェンL-グルコン酸塩、またはこれらの組合せを含む徐放性組成物を経口投与する。他の実施形態では、(Z)-エンドキシフェン塩を含む徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェン塩酸塩または(Z)-エンドキシフェンクエン酸塩である。一部の実施形態では、対象に、本明細書に開示されるエンドキシフェンの多形体形態I、形態IIまたは形態IIIを含む徐放性組成物を経口投与する。
【0328】
ホルモン依存性障害、気分障害または(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の影響を受けやすい任意の障害に罹患しているかまたはそれらに罹患するリスクがある対象を処置する方法であって、a)対象にタモキシフェンを含む第1の組成物を投薬するステップ;(b)対象から得た試験試料中の対象のタモキシフェン代謝産物プロファイルを決定するまたは決定してもらうステップ;(c)参照タモキシフェン代謝産物プロファイルにおける参照血漿エンドキシフェンレベルと比較した対象のタモキシフェン代謝産物プロファイルに基づいて、対象の血漿エンドキシフェンレベルの低下を決定するステップ;および(d)(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物を対象に経口投与するステップを含む方法が本発明で提供される。ある特定の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンを含む徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェングルコン酸塩、(Z)-エンドキシフェン塩酸塩、または(Z)-エンドキシフェンクエン酸塩である。一部の実施形態では、徐放性組成物は、エンドキシフェンの多形体形態I、形態II、または形態IIIを含む。
【0329】
ホルモン依存性障害に対する処置を受けている対象であって、1つまたは複数のCYP2D6もしくはCYP3A4突然変異を有するかまたは最初の投薬量のタモキシフェンの投与を以前に受けており、血漿エンドキシフェンレベルが参照血漿エンドキシフェンレベルよりも低い、対象における血漿エンドキシフェンレベルを調整するための方法であって、(a)最初の投薬量のタモキシフェン後に対象の血漿エンドキシフェンレベルを測定するステップ;(b)対象の血漿エンドキシフェンレベルを参照血漿エンドキシフェンレベルと比較するステップ;(c)対象の血漿エンドキシフェンレベルが30nMよりも高いレベルで維持されるように(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物を対象に経口投与するステップを含む方法が本発明で提供される。一部の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物の経口投与により、対象の血漿エンドキシフェンが30nM~5000nM(例えば、40nM~4000nM、50nM~3000nM、60nM~2000nM、30nM~300nM、または30nM~80nM)の範囲のレベルで維持される。一部の実施形態では、対象の血漿エンドキシフェンレベルが定常状態レベルで維持される。対象に最初の投薬量のタモキシフェンを少なくとも1日、2日、3日、15日、1週間、2週間、4週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、または6カ月にわたって毎日投与することができる。
【0330】
ある態様では、本開示は、ホルモン依存性障害に罹患しているかまたはホルモン依存性障害に罹患するリスクがある対象を処置する方法であって、対象の乳房組織を切除するかまたは対象に対して放射線療法を施行し、本明細書に開示される(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物を経口投与することを含む方法を意図している。別の態様では、本開示は、ホルモン依存性障害に罹患しているかまたはホルモン依存性障害に罹患するリスクがある対象を処置する方法であって、本明細書に開示される徐放性組成物を経口投与した後に、対象の乳房組織を切除するかまたは対象に対して放射線療法を施行することを含む方法を意図している。
【0331】
対象に投与される投薬量は、通常は単位剤形(unit dosage form)にされる。各単位剤形(dosage unit form)中のエンドキシフェンの範囲の例は、0.01mg~200mgである。投薬量は、一般に、有効量であり、かつ、モル濃度ベースで、活性遊離薬物の代謝による放出時に剤形(dosage formulation)によって生じて所望の薬理作用および生理作用を実現する薬理活性のある(Z)-エンドキシフェン遊離形態に相当するものであるべきである。一部の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物を対象に0.01mg~200.0mgの用量で経口投与する。他の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物を対象に1mg~200.0mgの用量で経口投与する。一部の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物を対象に単位用量当り0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1.0mg、1.5mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、8mg、10mg、20mg、40mg、50mg、100mgまたは200mgの用量で経口投与する。ある特定の実施形態では、少なくとも90%の(Z)-エンドキシフェン(w/w)のエンドキシフェンを含む徐放性組成物を単位用量当り0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、8mg、10mg、20mg、40mg、50、100mgまたは200mgの用量で経口投与する。一部の実施形態では、エンドキシフェングルコン酸塩を含む徐放性組成物を0.01~20mgの範囲の用量で経口投与する。一部の実施形態では、(Z)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩を含む徐放性組成物を単位用量当り0.5mg、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、10mg、20mg、40mg、50mg、100mg、および200mgで経口投与する。一部の実施形態では、1mgの(Z)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩を含む徐放性組成物を経口投与する。他の実施形態では、1mgの(Z)-エンドキシフェンL-グルコン酸塩を含む徐放性組成物を経口投与する。さらに他の実施形態では、2mgの(Z)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩および(E)-エンドキシフェンD-グルコン酸塩を含む徐放性組成物を経口投与する。ある特定の実施形態では、少なくとも90%のエンドキシフェンの多形体形態I、形態IIまたは形態IIIなどの多形体(w/w)を含む徐放性組成物を単位用量当り0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、8mg、10mg、20mg、40mg、50mg、100mgまたは200mgの用量で経口投与する。一部の実施形態では、エンドキシフェンの形態I、形態IIまたは形態IIIなどの多形形態を含む徐放性組成物を0.01~20mgの範囲の用量で経口投与する。
【0332】
エンドキシフェンを含む組成物を対象に1日当り0.5mg~2mg、1mg~3mg、2mg~4mg、3mg~5mg、4mg~5mg、5mg~8mg、5mg~10mg、8mg~12mg、10mg~14mg、12mg~15mg、14mg~16mg、15mg~18mg、16mg~20mg、18mg~25mg、20mg~30mg、25mg~40mg、30mg~50mg、40mg~60mg、50mg~70mg、60mg~80mg、70mg~90mg、80mg~100mg、90mg~125mg、100mg~150mg、125mg~175mg、または150mg~200mgのエンドキシフェンの用量で投与することができる。エンドキシフェンを含む組成物を対象に1日~14日間、7日~14日間、7日~21日間、7日~28日間、7日~35日間、7日~40日間、7日~42日間、7日~49日間、7日~50日間、14日~21日間、14日~28日間、14日~35日間、14日~40日間、14日~42日間、14日~49日間、14日~50日間、21日~28日間、21日~35日間、21日~40日間、21日~42日間、21日~49日間、21日~50日間、40日~50日間、40日~60日間、40日~70日間、40日~80日間、または40日~90日間、40日~100日間投与することができる。一部の実施形態では、エンドキシフェンを含む組成物を対象に1日当り1回、2回、または3回投与することができる。一部の実施形態では、エンドキシフェンを含む組成物を対象に1日毎、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、7日毎、8日毎、9日毎、または10日毎に投与することができる。
【0333】
乳がん成長速度試験で、乳がんを有する対象のマンモグラフィーによるスクリーニングを使用して、50歳~59歳の女性の25パーセンタイルにおける乳がん成長速度から、迅速に作用する治療に対象を曝露させるというまだ対処されていない必要性が示されることが示された(Weeden-Fekjaer et al. Breast Cancer Research200810: R41)。がんの成長速度、腫瘍体積またはサイズ、疾患負荷量などをさらに低減することができる、(Z)-エンドキシフェンなどの抗がん治療薬のバイオアベイラビリティの増大および持続的な様式での吸収が大いに望ましい。
【0334】
一態様では、本開示は、ホルモン依存性障害に罹患しているかまたはホルモン依存性障害に罹患するリスクがある対象を処置する方法であって、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物を経口投与するステップを含み、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物が、対象において約4時間~約24時間またはそれよりも長い期間にわたる徐放性組成物からの薬物(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の徐放性を示す、方法を提供する。一部の実施形態では、本開示の徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を約2時間~約72時間の期間にわたって持続的な様式で放出する。一部の実施形態では、本開示の徐放性組成物は、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、少なくとも16時間、少なくとも18時間少なくとも24、少なくとも48時間、および少なくとも72時間の期間にわたって持続的な様式で放出する。本開示は、これらの方法において、投薬(例えば、対象による服用)の約2時間後に腸内に放出される(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を提供する。
【0335】
一態様では、本開示は、ホルモン依存性障害に罹患しているかまたはホルモン依存性障害に罹患するリスクがある対象を処置する方法であって、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物を経口投与するステップを含み、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物が、対象由来の試験試料(例えば、対象の血液、血清、血漿など)を使用し、75rpm USP IIパドル法に従って、模擬胃液中、pH1.2、37℃で2時間、および模擬腸液中、pH6.8、37℃で24時間を使用した溶解試験において、3時間で約0%~30%、12時間で約30%~約50%、および12時間後に約65%~約85%溶解パーセンテージを示す、方法を提供する。一部の実施形態では、徐放性組成物は、USP IIパドル法に従って行われる溶解試験において、以下の溶解パーセンテージを示す:
a.3時間で約0%~約35%、12時間で約35%~約55%、および24時間で約65%~約85%の範囲;
b.3時間で約0%~約30%、12時間で約40%~約50%および24時間で約70%~約80%;
c.3時間で約30%のNMTの溶解パーセンテージ、12時間で約50%のNMTの溶解パーセンテージおよび24時間で約80%のNLTの溶解パーセンテージ;
d.2時間で約5%のNMTの溶解パーセンテージ、3時間で約10%のNMTの溶解パーセンテージ、6時間で約30%のNLTの溶解パーセンテージ、9時間で50%のNLTの溶解パーセンテージ、および14時間で約80%のNLTの溶解パーセンテージ;
e.2時間で約5%のNMTの溶解パーセンテージ、3時間で約60%のNLTの溶解パーセンテージ、6時間で約90%および12時間で約100%のNLTの溶解パーセンテージ;または
f.24時間後に少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%または少なくとも40%。
【0336】
一部の実施形態では、徐放性組成物は治療剤を含み、治療剤は、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せであり、治療剤は、3時間で約0%~約35%の範囲の溶解パーセンテージ;12時間で約35%~約55%の範囲の溶解パーセンテージ、または24時間で約65%~約85%の範囲の溶解パーセンテージから選択される少なくとも1つの溶解パーセンテージパラメーターを有し、溶解パーセンテージは、0~2時間はpH1.2および37℃の模擬胃液中で、2時間よりも後はpH6.8および37℃の模擬腸液中で75rpm USPパドル法によって測定される。一部の実施形態では、組成物は、溶解パーセンテージパラメーターのうちの少なくとも2つを含む。一部の実施形態では、組成物は、溶解パーセンテージパラメーターの3つ全てを含む。
【0337】
一部の実施形態では、徐放性錠剤または腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の徐放性組成物は、USP IIパドル法に従って行われる溶解試験において、以下の溶解パーセンテージを示す:
a.3時間で約0%~約35%、12時間で約35%~約55%、および24時間で約65%~約85%の範囲;
b.3時間で約0%~約30%、12時間で約40%~約50%および24時間で約70%~約80%;
c.3時間で30%のNMTの溶解パーセンテージ、12時間で約50%のNMTの溶解パーセンテージおよび24時間で約80%のNLTの溶解パーセンテージ;
d.2時間で約5%のNMTの溶解パーセンテージ、3時間で約10%のNMTの溶解パーセンテージ、6時間で約30%のNLTの溶解パーセンテージ、9時間で約50%のNLTの溶解パーセンテージ、および14時間で約80%のNLTの溶解パーセンテージ;
e.2時間で約5%のNMTの溶解パーセンテージ、3時間で約60%のNLTの溶解パーセンテージ、6時間で約90%および12時間で約100%のNLTの溶解パーセンテージ;または
f.24時間後に少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%または少なくとも40%。
【0338】
主治医などの医療専門家は、対象における徐放性組成物の薬物動態プロファイルに基づいて投薬レジメンを調整することができる。
【0339】
さらに別の態様では、本開示は、それを必要とする対象を処置する方法であって、(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩を含む徐放性組成物を1日に1回、1日に2回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または7日に1回、週に2回、または週に1回経口投与することを含む方法を提供する。
【0340】
一態様では、本開示の徐放性組成物を単独で使用することもでき、併用療法として使用することもできる。例えば、本明細書に開示される徐放性組成物を、一次療法、ネオアジュバント療法、またはアジュバント療法の一部として1つまたは複数の「追加の治療剤」と組み合わせて使用することができる。例えば、腫瘍細胞の増殖を低減するために、エンドキシフェンを含む組成物をネオアジュバント療法として投与することができる。本開示の徐放性組成物をネオアジュバントまたはアジュバント療法として外科手術および放射線照射などの他の治療と組み合わせて使用することができることは本開示の態様である。一部の実施形態では、外科手術の実施前に腫瘍サイズまたは腫瘍細胞活性を低減するために本開示の組成物をネオアジュバント療法として投与することができる。一部の実施形態では、他の治療を含む処置方法をネオアジュバント療法(例えば、エンドキシフェンを含む)の転帰に基づいて改変することができる。一部の実施形態では、本開示の組成物(例えば、エンドキシフェンを含む)を用いた処置で好都合な転帰が得られた後、アジュバント療法を減少させるまたは排除することができる。例えば、がん(例えば、乳がん)に対する外科手術を待っている患者は、エンドキシフェンを含む組成物を用いた処置後にもはや外科手術の必要がなくなる可能性がある。一部の実施形態では、組成物(例えば、エンドキシフェンを含む組成物)をマンモグラフィーの補助剤として使用することができる。例えば、患者を、乳房障害または潜在的な乳房障害(例えば、BIRADS 3、BIRADS 4、BIRADS 5、もしくはBIRADS 6分類、またはBIRADS B、BIRADS C、もしくはBIRADS D分類)を同定するマンモグラムの後にまたはそれと同時にエンドキシフェン組成物の経口投与を用いた処置を行うことができる。一部の実施形態では、乳房障害または潜在的な乳房障害の状態をモニタリングするためにマンモグラムをエンドキシフェン処置の後にまたはそれと同時に実施することができる。
【0341】
徐放性組成物の組合せは、追加の治療剤の有効性が改善されるように作用し得、したがって、標準のがん治療を改善するために使用することができる。例えば、対象が前立腺がんを有し、前立腺がんを処置するためのビカルタミドまたはエンザルタミドによる治療中の場合、対象は、当該治療の結果として女性化乳房症を発症する可能性が高い。女性化乳房症を防止および/または処置するために、前立腺がんを有する対象に本明細書に開示される組成物を併用療法として投与することができる。別の例として、ER+/Her2+陽性乳がんを有する対象はトラスツズマブまたは抗悪性腫瘍薬などの他の腫瘍学的薬物または免疫療法を用いた併用療法を受けていると思われ、そのようなER+/Her2+陽性乳がんを有する対象を処置するために本明細書に開示される徐放性組成物を使用することができる。したがって、一部の実施形態では、組成物は、追加の治療剤として、ビカルタミド、エンザルタミドまたは抗がん薬、例えば、トラスツズマブ、アテゾリズマブ(Tecentriq)、アルペリシブ(Piqray)、オラパリブ(Lynparza)、タラゾパリブ(Talzenna)、リボシクリブ(Kisqali)、ネラチニブ(Nerlynx)、抗悪性腫瘍薬、例えば、カペシタビン(Xeloda)、カルボプラチン(Paraplatin)、シスプラチン(Platinol)、シクロホスファミド(Neosar)、ドセタキセル(Docefrez、Taxotere)、ドキソルビシン(Adriamycin)、ペグ化リポソーム化ドキソルビシン(Doxil)、エピルビシン(Ellence)、フルオロウラシル(5-FU、Adrucil)、ゲムシタビン(Gemzar)、メトトレキサート(多数の商品名)、パクリタキセル(Taxol)、タンパク質結合型パクリタキセル(nab-パクリタキセルまたはAbraxane)、ビノレルビン(Navelbine)、エリブリン(Halaven)、イキサベピロン(Ixempra)、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、PD1の阻害剤、PD-L1の阻害剤およびCTLA4の阻害剤など)、ならびにATPカセット結合性タンパク質阻害剤をさらに含む。
【0342】
別の態様では、本明細書に開示される徐放性組成物は、対象における(Z)-エンドキシフェンのバイオアベイラビリティを増大させる治療剤を含み得る。P-糖タンパク質(P-gp、ABCB1)は、脳、肝臓、および小腸において発現される高度に効率的な薬物流出ポンプであるが、がん細胞においても発現され、多くの抗がん薬の薬物動態に影響を及ぼし、それに対する治療耐性を付与する。したがって、一部の実施形態では、組成物は、乳がん耐性タンパク質(BCRPタンパク質)の阻害剤およびP-gpの阻害剤などの、ATP結合性カセット(ABCファミリー)輸送体の阻害剤をさらに含む。BCRPタンパク質の阻害剤およびP-Gpの阻害剤はいくつか当技術分野で公知である。例えば、BCRPタンパク質の阻害剤としては、シクロスポリン、オメプラゾール、パントプラゾール、サクイナビル、およびタクロリムスが挙げられる。
【0343】
P-gp阻害剤の非限定的な例としては、ベラパミル、シクロスポリンA、レセルピン、キニジン、ヨヒンビン、タモキシフェンおよびトレミフェンなどの第1世代阻害剤、デクスベラパミル、デクスニグルジピン、バルスポダール(PSC 833)、およびフマル酸ドフェキダル(MS-209)などの第2世代阻害剤、シクロプロピルジベンゾスベランゾスキダール(LY335979)、ラニキダール(R101933)、ミトタン(NSC-38721)、ビリコダール(VX-710)、エラクリダール(GF120918/GG918)、ONT-093、タリキダール(XR9576)、およびHM30181などの第3世代P-gp阻害剤ならびにMRK-16などの抗P-gpモノクローナル抗体が挙げられる。
【0344】
本開示は、ホルモン依存性障害に罹患しているかまたはホルモン依存性障害に罹患するリスクがある対象の処置に使用するための、本明細書に開示される徐放性組成物のうちの1つまたは複数を含有する治療用キットをさらに提供する。本開示のキットは、本明細書に開示される徐放性組成物、組成物を収納するための密閉容器、および徐放性組成物の使用説明書を含み得る。ある態様では、本開示のキットは、第2のまたは追加の治療剤を含み得る。そのような第2のまたは追加の治療剤は、ビカルタミド、エンザルタミドまたは抗がん薬、例えば、トラスツズマブ、抗悪性腫瘍薬、例えば、カペシタビン(Xeloda)、カルボプラチン(Paraplatin)、シスプラチン(Platinol)、シクロホスファミド(Neosar)、ドセタキセル(Docefrez、Taxotere)、ドキソルビシン(Adriamycin)、ペグ化リポソーム化ドキソルビシン(Doxil)、エピルビシン(Ellence)、フルオロウラシル(5-FU、Adrucil)、ゲムシタビン(Gemzar)、メトトレキサート(多数の商品名)、パクリタキセル(Taxol)、タンパク質結合型パクリタキセル(Abraxane)、ビノレルビン(Navelbine)、エリブリン(Halaven)、イキサベピロン(Ixempra)、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、PD1の阻害剤、PD-L1の阻害剤およびCTLA4の阻害剤など)、ならびにP-gp阻害剤などのATP結合性カセット(ABC輸送体)阻害剤であり得る。
【0345】
さらに別の態様では、本開示は、それを必要とする対象において、エストロゲン依存性障害に罹患しているかまたはエストロゲン依存性障害に罹患するリスクがある対象を処置するためのキットであって、(a)本明細書に開示される徐放性組成物;および(b)徐放性組成物を収納するための密閉容器;およびc)徐放性組成物の使用説明書を含むキットに関する。
【0346】
さらに別の態様では、本開示は、それを必要とする対象において、エストロゲン依存性障害に罹患しているかまたはエストロゲン依存性障害に罹患するリスクがある対象を処置するためのキットであって、(a)本明細書に開示される徐放性組成物;および(b)徐放性組成物を収納するための密閉容器;およびc)徐放性組成物の使用説明書を含み、ビカルタミド、エンザルタミドおよび抗がん薬、例えば、トラスツズマブ、アテゾリズマブ(Tecentriq)、アルペリシブ(Piqray)、オラパリブ(Lynparza)、タラゾパリブ(Talzenna)、リボシクリブ(Kisqali)、ネラチニブ(Nerlynx)、抗悪性腫瘍薬、例えば、カペシタビン(Xeloda)、カルボプラチン(Paraplatin)、シスプラチン(Platinol)、シクロホスファミド(Neosar)、ドセタキセル(Docefrez、Taxotere)、ドキソルビシン(Adriamycin)、PEG化リポソーム化ドキソルビシン(Doxil)、エピルビシン(Ellence)、フルオロウラシル(5-FU、Adrucil)、ゲムシタビン(Gemzar)、メトトレキサート(多数の商品名)、パクリタキセル(Taxol)、タンパク質結合型パクリタキセル(Abraxane)、ビノレルビン(Navelbine)、エリブリン(Halaven)、イキサベピロン(Ixempra)、PD1の阻害剤、PD-L1の阻害剤、CTLA4の阻害剤などのチェックポイント阻害剤、およびATPカセット結合性タンパク質輸送阻害剤からなる群から選択される第2のまたは追加の治療剤を含む、キットに関する。
【0347】
さらに別の態様では、本開示は、本明細書に記載のプロセスのいずれかに従って調製された組成物を、それを必要とする対象に、組成物を含むキットに含まれる使用説明書に従って投与する方法に関する。
【0348】
本開示に開示されている望ましい薬物動態パラメーターを有する(Z)-エンドキシフェンまたはその塩もしくは多形体を含む徐放性組成物を含む徐放性組成物の有利な態様は、本明細書に開示される徐放性組成物が長期にわたって治療的濃度を維持し、それらの使用により所望の通り高血中濃度が回避される可能性が高く、薬物放出が緩徐化し、それにより、長期にわたってより緩徐かつ一定の吸収が可能になることによって血管運動性症状(例えば、顔面紅潮)などの副作用、および/または毒性が減少し、1日1回の投薬間の血中レベルのトラフが回避されるかまたは最小化され、長期にわたる投薬で一般に観察される薬物蓄積が最小限になり、薬物の使用総量が最小限になり、局所的および全身の副作用が最小限になり、忍容性および患者のコンプライアンスが改善され、(Z)-エンドキシフェンのバイオアベイラビリティおよび処置の有効性が改善されるという点において、当業者には明白になろう。
番号付けされた実施形態
【0349】
以下の実施形態は、本明細書に開示される特色の組合せの非限定的な順列を列挙するものである。特色の組合せの他の順列も意図されている。特に、これらの番号付けされた実施形態のそれぞれが、列挙されている順序にかかわらず、全ての前または後の番号付けされた実施形態に従属するまたはそれに関係することが意図されている。1.治療剤を含む徐放性組成物であって、治療剤が、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せであり、治療剤が、0時間時点から2時間時点まではpH1.2、37℃の模擬胃液中で、2時間よりも後はpH6.8、37℃の模擬腸液中で75rpm USPパドル法によって測定して、3時間で35%以下の溶解パーセンテージ、12時間で35%~55%の範囲の溶解パーセンテージ、または24時間で65%~85%の範囲の溶解パーセンテージから選択される少なくとも2つの溶解パーセンテージパラメーターを有する、徐放性組成物。2.治療剤が、溶解パーセンテージパラメーターのうちの少なくとも3つを有する、実施形態1に記載の徐放性組成物。3.治療剤を0.01mg~200mg含む、実施形態1から2のいずれか1つに記載の徐放性組成物。4.治療剤を0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、8mg、10mg、20mg、または40mg含む、実施形態1から3のいずれか1つに記載の徐放性組成物。5.治療剤が、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基である、実施形態1から4のいずれか1つに記載の徐放性組成物。6.治療剤の90重量%よりも多く、95重量%よりも多く、または99重量%よりも多くが、(Z)-エンドキシフェンの形態I、(Z)-エンドキシフェンの形態II、(Z)-エンドキシフェンの形態III、またはこれらの組合せである、実施形態1から5のいずれか1つに記載の徐放性組成物。7.少なくとも1つの徐放剤、少なくとも1つの結合剤、および少なくとも1つの滑沢剤をさらに含む、実施形態1から6のいずれか1つに記載の徐放性組成物。8.(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、およびこれらの組合せからなる群から選択される治療剤と、少なくとも1つの徐放剤と、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの滑沢剤とを含む徐放性組成物。9.(Z)-エンドキシフェンの形態I、(Z)-エンドキシフェンの形態II、(Z)-エンドキシフェンの形態III、またはこれらの組合せのいずれかを0.5mg、1mg、2mg、4mg、5mg、6mg、10mg、20mgまたは40mg含む、実施形態1から8のいずれか1つに記載の徐放性組成物。10.(Z)-エンドキシフェンの塩が、酢酸塩、アレコリン、ベンザチン、安息香酸塩、ベシル酸塩、ベンゾスルホン酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素塩、ブチルブロミド、クエン酸塩、カンシル酸塩、クレミゾール、クロロプロカイン、コリン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナプタノエート、イセチオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、メシル酸塩、メチルブロミド、メチルブロミド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、メタンスルホン酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩(nitric)、硝酸塩(nitrate)、シュウ酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、ピペラジン、プロカイン、ポリガラクツロン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩(sulfate)、スルホン酸塩、硫酸塩(sulfuric)、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トリエチオジド、トリフルオロ酢酸塩、アルミニウム、バリウム、ビスマス、リチウム、マグネシウム、カリウム、亜鉛、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、実施形態1から9のいずれか1つに記載の徐放性組成物。11.少なくとも1つの徐放剤が、1000mPa・s~150,000mPa・sの範囲の粘度を有する、実施形態7から10のいずれか1つに記載の徐放性組成物。12.少なくとも1つの徐放剤が、25℃で1000mPa・s~10,000mPa・s、10,000mPa・s~70,000mPa・s、70,000mPa・s~150,000mPa・sの範囲、またはこれらの任意の組合せの粘度を有する、実施形態7から11のいずれか1つに記載の徐放性組成物。13.0.1%~99%w/w、1%~95%w/w、5%~90%w/w、5%~80%w/w、5%~70%w/w、または5%~60%w/wの少なくとも1つの徐放剤を含む、実施形態7から12のいずれか1つに記載の徐放性組成物。14.少なくとも1つの徐放剤が、ヒプロメロースである、実施形態7から13のいずれか1つに記載の徐放性組成物。15.1%~99%w/w、5%~95%w/w、10%~90%w/w、15%~85%w/w、20%~80%w/w、または20%~85%w/wの少なくとも1つの結合剤を含む、実施形態7から14のいずれか1つに記載の徐放性組成物。16.少なくとも1つの結合剤が、微結晶セルロースである、実施形態7から15のいずれか1つに記載の徐放性組成物。17.0.01%~5%w/w、0.2%~2%w/w、または0.5%~1.5%w/wの少なくとも1つの滑沢剤を含む、実施形態7から16のいずれか1つに記載の徐放性組成物。18.少なくとも1つの滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムである、実施形態7から17のいずれか1つに記載の徐放性組成物。19.徐放性錠剤または腸溶コーティングされた遅延放出錠剤である、実施形態1から18のいずれか1つに記載の徐放性組成物。20.徐放性錠剤が、少なくとも1つの遅延放出剤を含むコーティング溶液でコーティングされており、徐放性錠剤が、コーティング溶液の少なくとも1つの層に実質的に包み込まれたコア錠剤としての役割を果たし、それにより、機能性コーティングが形成されて、腸溶コーティングされた遅延放出錠剤が提供される、実施形態19に記載の徐放性組成物。21.徐放性錠剤が、少なくとも1つの遅延放出剤と、少なくとも1つの可塑剤と、少なくとも1つの粘着防止剤とを含むコーティング溶液でコーティングされており、徐放性錠剤が、コーティング溶液の少なくとも1つの層に実質的に包み込まれたコア錠剤としての役割を果たし、それにより、機能性コーティングが形成されて、腸溶コーティングされた遅延放出錠剤が提供される、実施形態19に記載の徐放性組成物。22.少なくとも1つの遅延放出剤が、機能性コーティングの少なくとも1つの層に、機能性コーティングの0.1%~30%w/w、5%~25%w/w、または8%~14%w/wの量で存在する、実施形態20から21までのいずれか1つに記載の徐放性組成物。23.遅延放出剤が、機能性コーティングの少なくとも1つの層に、コア錠剤重量の0.1%~30%w/w、5%~25%w/w、または8%~14%w/wの量で存在する、実施形態20から21のいずれか1つに記載の徐放性組成物。24.少なくとも1つの遅延放出剤が、ポリ(メタ)アクリレートである、実施形態20から23のいずれか1つに記載の徐放性組成物。25.少なくとも1つの遅延放出剤が、メタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体を約1:1w/wの比で含む、実施形態20から24のいずれかに記載の徐放性組成物。26.少なくとも1つの遅延放出剤が、メタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体を2:1~1:2の比で含む、実施形態20から24のいずれかに記載の徐放性組成物。27.少なくとも1つの可塑剤が、コア錠剤重量の0.01%~5%w/w、0.1%~4%w/w、0.2%~2%w/w、または0.5%~1.5%w/wの量で存在する、実施形態21から26のいずれかに記載の徐放性組成物。28.少なくとも1つの可塑剤が、機能性コーティングの0.01%~5%w/w、0.1%~4%w/w、0.2%~2%w/w、または0.5%~1.5%w/wの量で存在する、実施形態21から26のいずれかに記載の徐放性組成物。29.少なくとも1つの可塑剤が、クエン酸トリエチルである、実施形態21から28のいずれかに記載の徐放性組成物。30.少なくとも1つの粘着防止剤が、コア錠剤重量の0.1%~10%w/w、1%~8%w/w、または2%~6%w/wの量で存在する、実施形態21から29のいずれかに記載の徐放性組成物。31.少なくとも1つの粘着防止剤が、機能性コーティングの0.1%~10%w/w、1%~8%w/w、または2%~6%w/wの量で存在する、実施形態21から29のいずれかに記載の徐放性組成物。32.粘着防止剤が、タルクである、実施形態21から31のいずれかに記載の徐放性組成物。33.機能性コーティングの少なくとも1つの層により、コア錠剤重量に対する1%~60%、2%~40%、5%~30%、または6%~20%の重量増加がもたらされる、実施形態21から32のいずれかに記載の徐放性組成物。34.機能性コーティングが、コア錠剤重量に対する1%~60%w/w、2%~40%w/w、5%~30%w/w、または6%~20%w/wの重量増加を含む、実施形態21から33のいずれかに記載の徐放性組成物。35.コア錠剤が、60mg~500mgの重量を有する、実施形態21から34のいずれかに記載の徐放性組成物。36.コア錠剤が、100mg~160mg、90mg~110mg、または100mg~120mgの重量を有する、実施形態21から35のいずれかに記載の徐放性組成物。37.コア錠剤が、2.75mm~3.75mmの厚さを有する、実施形態21から36のいずれかに記載の徐放性組成物。38.コア錠剤が、3mm~3.5mmの厚さを有する、実施形態21から37のいずれかに記載の徐放性組成物。39.コア錠剤が、4Kp~16Kpまたは10Kp~16Kpの硬度を有する、実施形態21から38のいずれかに記載の徐放性組成物。40.コア錠剤が、約13Kpの硬度を有する、実施形態21から39のいずれかに記載の徐放性組成物。41.機能性コーティングの少なくとも1つの層に包み込まれたコア錠剤であって、0.01mg~200mgの治療剤と、0.1%~99%w/wのヒプロメロースと、1%~99%w/wの微結晶セルロースと、0.01%~5%w/wのステアリン酸マグネシウムとを含む、コア錠剤と、0.1%~20%w/wの、約1:1の比を有するメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体と、0.01%~5%w/wのクエン酸トリエチルと、1%~10%w/wのタルクとを含む機能性コーティングとを含む、腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態であり、機能性コーティングの少なくとも1つの層が、平均コア錠剤重量に対する2%~20%の重量増加に寄与する、実施形態1から40のいずれかに記載の徐放性組成物。42.コア錠剤が、5%~60%w/wのヒプロメロースを含む、実施形態41に記載の徐放性組成物。43.コア錠剤が、10%~90%w/wの微結晶セルロースを含む、実施形態41または実施形態42に記載の徐放性組成物。44.治療剤を0.5mg、1mg、2mg、4mg、5mg、6mg、8mg、10mg、20mg、または40mg含む、実施形態41から43のいずれか1つに記載の徐放性組成物。45.治療剤を0.5mg~1mg、1mg~2mg、2mg~3mg、3mg~4mg、4mg~5mg、5mg~6mg、6mg~7mg、7mg~8mg、8mg~9mg、9mg~10mg、10mg~20mg、または20mg~40mg含む、実施形態41から43のいずれか1つに記載の徐放性組成物。46.投薬後少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少
なくとも14時間、少なくとも16時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、または少なくとも72時間の期間にわたって治療剤の徐放性をもたらす、実施形態41から45のいずれか1つに記載の徐放性組成物。47.少なくとも3時間~72時間または少なくとも6時間~48時間の期間にわたって治療剤の徐放性をもたらす、実施形態41から46のいずれか1つに記載の徐放性組成物。48.0~2時間はpH1.2および37℃の模擬胃液中で、2時間よりも後はpH6.8および37℃の模擬腸液中で75rpm USPパドル法によって測定して、3時間で30%以下、12時間で30%~50%、および12時間で65%~85%の溶解パーセンテージを示す、実施形態41から47のいずれか1つに記載の徐放性組成物。49.0~2時間はpH1.2および37℃の模擬胃液中で、2時間よりも後はpH6.8および37℃の模擬腸液中で75rpm USPパドル法によって測定して、3時間で35%以下、12時間で35%~55%、および24時間で65%~85%;3時間で30%以下、12時間で50%以下、および24時間で80%を下らない;2時間で5%以下、3時間で10%以下、6時間で30%を下らない、9時間で50%を下らないおよび14時間で80%を下らない;2時間で5%以下、3時間で60%を下らない、6時間で90%を下らない、および12時間で100%、または、24時間後に少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%もしくは少なくとも40%の溶解パーセンテージを有する、実施形態41から48のいずれか1つに記載の徐放性組成物。50.腸溶コーティングされた遅延放出錠剤が、101mg~160mg、または105mg~120mgの重量を有する、実施形態19から49のいずれか1つに記載の徐放性組成物。51.薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、実施形態1から50のいずれか1つに記載の徐放性組成物。52.外界温度、25℃/65%RH、または40℃/75%RHで少なくとも1カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも9カ月、少なくとも12カ月、少なくとも18カ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、または少なくとも5年にわたって安定である、実施形態1から51のいずれかに記載の徐放性組成物。53.徐放性組成物中の治療剤が、外界温度、25℃/65%RH、または40℃/75%RHで少なくとも1カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも9カ月、少なくとも12カ月、少なくとも18カ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、または少なくとも5年にわたって安定である、実施形態1から52のいずれか1つに記載の徐放性組成物。54.不純物の総レベルが、腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の重量またはコア錠剤の重量の5%w/w未満である、実施形態19から53のいずれか1つに記載の徐放性組成物。55.表1、表2、表5、表6、または表7に開示されている徐放性組成物。56.機能性コーティングの少なくとも1つの層に包み込まれたコア錠剤であって、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、および(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せからなる群から選択される治療剤0.01mg~200mgと、0.1%~99%w/wのヒプロメロースと、1%~99%w/wの微結晶セルロースと、0.01%~5%w/wのステアリン酸マグネシウムとを含む、コア錠剤を含む徐放性組成物。57.コア錠剤が、5%~60%w/wのヒプロメロースを含む、実施形態56に記載の徐放性組成物。58.コア錠剤が、10%~90%w/wの微結晶セルロースを含む、実施形態56または57に記載の徐放性組成物。59.機能性コーティングが、0.1%~20%w/wの、2:1~1:2の比を有するメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体と、0.01%~5%w/wのクエン酸トリエチルと、1%~10%w/wのタルクとを含む、実施形態56から58のいずれか1つに記載の徐放性組成物。60.メタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体の比が、約1:1である、実施形態59に記載の徐放性組成物。61.機能性コーティングの少なくとも1つの層が、平均コア錠剤重量に対する2%~20%の重量増加に寄与する、実施形態56から60のいずれか1つに記載の徐放性組成物。62.0~2時間はpH1.2および37℃の模擬胃液中で、2時間よりも後はpH6.8および37℃の模擬腸液中で75rpm USPパドル法によって測定して、3時間で5%~35%、10%~15%、20%~25%、30%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、5%~15%、5%~10%、10%~15%、15%~20%、20%~25%、25%~30%、または30%~35%の範囲の溶解パーセンテージを有する、実施形態1から61のいずれか1つに記載の徐放性組成物。63.0~2時間はpH1.2および37℃の模擬胃液中で、2時間よりも後はpH6.8および37℃の模擬腸液中で75rpm USPパドル法によって測定して、12時間で35%~55%、40%~55%、45%~55%、50%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、35%~40%、40%~45%、45%~50%、または50%~55%の範囲の溶解パーセンテージを有する、実施形態1から62のいずれか1つに記載の徐放性組成物。64.0~2時間はpH1.2および37℃の模擬胃液中で、2時間よりも後はpH6.8および37℃の模擬腸液中で75rpm USPパドル法によって測定して、24時間で65%~85%、70%~85%、75%~85%、80%~85%、65%~80%、65%~75%、65%~70%、65%~70%、70%~75%、75%~80%、または80%~85%の範囲の溶解パーセンテージを有する、実施形態1から63のいずれか1つに記載の徐放性組成物。65.0~2時間はpH1.2および37℃の模擬胃液中で、2時間よりも後はpH6.8および37℃の模擬腸液中で75rpm USPパドル法によって測定して、2時間で5%未満、および3時間で5%~80%、10%~75%、20%~70%、30%~65%、5%~75%、5%~70%、5%~60%、5%~65%、5%~60%、10%~55%、5%~50%、30%~80%、25%~75%、35%~80%、または70%を下らない範囲の(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを有する、実施形態1から64のいずれか1つに記載の徐放性組成物。66.0~2時間はpH1.2および37℃の模擬胃液中で、2時間よりも後はpH6.8および37℃の模擬腸液中で75rpm USPパドル法によって測定して、2時間で5%未満、および6時間で70%~99%、75%~95%、85%~95%、90%~95%、75%~90%、85%~90%、75%~85%、80%~99%、85%~99%、90%~99%、95%~99%、または95%を下らない範囲の(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを有する、実施形態1から65のいずれか1つに記載の徐放性組成物。67.0~2時間はpH1.2および37℃の模擬胃液中で、2時間よりも後はpH6.8および37℃の模擬腸液中で75rpm USPパドル法によって測定して、2時間で5%未満、および12時間で70%~99%、75%~95%、85%~95%、90%~95%、75%~90%、85%~90%、75%~85%、80%~99%、85%~99%、90%~99%、95%~99%、または100%の範囲の(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを有する、実施形態1から66のいずれか1つに記載の徐放性組成物。68.0~2時間はpH1.2および37℃の模擬胃液中で、2時間よりも後はpH6.8および37℃の模擬腸液中で75rpm USPパドル法によって測定して、2時間で5%未満、および72時間で55%~100%、60%~99%、75%~90%、80%~85%、55%~99%、65%~99%、70%~99%、75%~99%、80%~99%、90%~99%、80%~95%、または75%~95%の範囲の(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の溶解パーセンテージを有する、実施形態1から67のいずれか1つに記載の徐放性組成物。69.0~2時間はpH1.2および37℃の模擬胃液中で、2時間よりも後はpH6.8および37℃の模擬腸液中で75rpm USPパドル法によって測定して、3時間で約10%のNMTの溶解パーセンテージ、6時間で約30%のNLTの溶解パーセンテージ、9時間で約50%のNLTの溶解パーセンテージ、および14時間で約80%のNLTの溶解パーセンテージを有する、実施形態1から68のいずれか1つに記載の徐放性組成物。70.2時間で約5%のNMTの溶解パーセンテージを有する、実施形態1から69のいずれか1つに記載の徐放性組成物。71.経口投与後に、1回の投薬ごとに少なくとも3時間~270時間の期間にわたって対象の治療剤への持続的曝露をもたらす、実施形態1から70のいずれか1つに記載の徐放性組成物。72.単回用量の対象への経口投与後に表15の1つまたは複数の薬物動態パラメーターを実現することができるものである、実施形態1から71のいずれかに記載の徐放性組成物。73.複数回用量の対象への経口投与後にまたは定常状態で表16の1つまたは複数の薬物動態パラメーターを実現することができるものである、実施形態1から72のいずれかに記載の徐放性組成物。74.単回用量により、参照製品と比較した場合のAUCの減少によって測定して少なくとも70パーセントの経口バイオアベイラビリティがもたらされる、または、複数回用量により、参照製品と比較した場合のAUCの減少によって測定して少なくとも40パーセントの経口バイオアベイラビリティがもたらされる、実施形態1から73のいずれかに記載の徐放性組成物。75.機能性コーティングの少なくとも1つの層に実質的に包み込まれたコア錠剤であって、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、およびこれらの組合せからなる群から選択される治療剤と、少なくとも1つの徐放剤と、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの滑沢剤とを含む、コア錠剤を含み、単回用量の対象への経口投与後に、表15の1つまたは複数の薬物動態パラメーターを実現することができ、複数回用量の対象への経口投与後にまたは定常状態で、表16の1つまたは複数の薬物動態パラメーターを実現することができ、経口投与後に、1回の投薬ごとに少なくとも4時間~270時間の期間にわたって対象の治療剤への持続的曝露をもたらし、単回用量により、参照製品と比較した場合のAUCの減少によって測定して少なくとも70パーセントの経口バイオアベイラビリティがもたらされ、複数回用量により、参照製品と比較した場合のAUCの減少によって測定して少なくとも40パーセントの経口バイオアベイラビリティがもたらされる、または、対象に経口投与すると、薬物投薬日数の25%未満の頻度で対象に血管運動性症状が生じる、徐放性組成物。76.コア錠剤が、治療剤として(Z)-エンドキシフェン遊離塩基を0.01mg~200mgと、少なくとも1つの徐放剤として0.1%~99%w/wのヒプロメロースと、少なくとも1つの結合剤として1%~99%w/wの微結晶セルロースと、少なくとも1つの滑沢剤として0.01%~5%w/wのステアリン酸マグネシウムを含み、機能性コーティングが、2:1~1:2の比を有する、0.1%~20%w/wのメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体と、0.01%~5%w/wのクエン酸トリエチルと、1%~10%w/wのタルクとを含む、実施形態1から75のいずれかに記載の徐放性組成物。77.対象に投与すると、薬物投薬日数の5%未満の頻度で対象に血管運動性症状(例えば、顔面紅潮、寝
汗、口渇、熱っぽい感覚、冷汗など)が生じる、実施形態1から76のいずれかに記載の徐放性組成物。78.追加の治療剤をさらに含む、実施形態1から77のいずれかに記載の徐放性組成物。79.追加の治療剤が、ビカルタミド、エンザルタミド、または抗がん薬、例えば、トラスツズマブ、アテゾリズマブ(Tecentriq)、アルペリシブ(Piqray)、オラパリブ(Lynparza)、タラゾパリブ(Talzenna)、リボシクリブ(Kisqali)、ネラチニブ(Nerlynx)、抗悪性腫瘍薬、例えば、カペシタビン(Xeloda)、カルボプラチン(Paraplatin)、シスプラチン(Platinol)、シクロホスファミド(ネオサル(Neosar))、ドセタキセル(Docefrez、Taxotere)、ドキソルビシン(Adriamycin)、ペグ化リポソーム化ドキソルビシン(Doxil)、エピルビシン(Ellence)、フルオロウラシル(5-FU、Adrucil)、ゲムシタビン(Gemzar)、メトトレキサート(多数の商品名)、パクリタキセル(Taxol)、タンパク質結合型パクリタキセル(nab-パクリタキセルまたはAbraxane)、ビノレルビン(Navelbine)、エリブリン(Halaven)、イキサベピロン(Ixempra)、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、PD1の阻害剤、PD-L1の阻害剤およびCTLA4の阻害剤など)、ならびにATPカセット結合性タンパク質阻害剤などからなる群から選択される、実施形態78に記載の徐放性組成物。80.(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩の徐放性のための腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の徐放性組成物を調製する方法であって、(a)(Z)-エンドキシフェンまたはその多形体もしくは塩と、少なくとも1つの徐放剤と、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの滑沢剤とを合わせ、混和させ、乾式圧縮してコア錠剤を形成するステップ;(b)少なくとも1つの遅延放出剤と、少なくとも1つの可塑剤と、少なくとも1つの粘着防止/付着防止剤を合わせて、コーティング溶液を形成するステップ;および(c)ステップ(a)のコア錠剤をステップ(b)のコーティング溶液で実質的にコーティングして、機能性コーティングの少なくとも1つの層を形成するステップを含む、方法。81.コーティング溶液をコア錠剤に吹き付けることによってコーティングを行う、実施形態80に記載の方法。82.治療剤を放出するための徐放性組成物を調製する方法であって、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、およびこれらの組合せから選択される治療剤と、少なくとも1つの徐放剤と、少なくとも1つの結合剤と、少なくとも1つの滑沢剤とを合わせて、混合するステップ;ならびに治療剤、少なくとも1つの徐放剤、少なくとも1つの結合剤、および少なくとも1つの滑沢剤を乾式圧縮して、コア錠剤を形成するステップを含む、方法。83.徐放性組成物中の(E)-エンドキシフェンのパーセンテージが、平均コア錠剤重量の5%w/w未満、4%w/w未満、3%w/w未満、2.5%w/w未満、または2%w/w未満である、実施形態80から82のいずれか1つに記載の方法。84.腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の不純物の総レベルが5%w/w未満である、実施形態80から83のいずれか1つに記載の方法。85.コア錠剤の不純物の総レベルが、5%w/w未満である、実施形態80から84のいずれか1つに記載の方法。86.腸溶コーティングされた遅延放出錠剤が、USP<1111>に従って、1g中に、103cfu/g以下の好気性微生物の総数、102CFU/g以下の酵母とカビを合わせた総数、および、検出不可能なレベルのE.coliを有する、実施形態80から85のいずれか1つに記載の方法。87.少なくとも1つの徐放剤が、ヒプロメロースである、実施形態80から86のいずれか1つに記載の方法。88.少なくとも1つの結合剤が、微結晶セルロースである、実施形態80から87のいずれか1つに記載の方法。89.少なくとも1つの滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムである、実施形態80から88のいずれか1つに記載の方法。90.少なくとも1つの遅延放出剤と、少なくとも1つの可塑剤と、少なくとも1つの粘着防止用構成成分または付着防止用構成成分とを合わせて、混合することによって、コーティング溶液を形成するステップ;およびコア錠剤をコーティング溶液で実質的にコーティングすることによって、機能性コーティングの少なくとも1つの層を形成するステップをさらに含む、実施形態81から89のいずれか1つに記載の方法。91.少なくとも1つの遅延放出剤が、ポリ(メタクリル酸)ポリマーである、実施形態90に記載の方法。92.少なくとも1つの遅延放出剤が、1:2~2:1の比を有するメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体である、実施形態90から91のいずれか1つに記載の方法。93.メタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体の比が、約1:1である、実施形態92に記載の方法。94.少なくとも1つの可塑剤が、クエン酸トリエチルである、実施形態90から93のいずれか1つに記載の方法。95.少なくとも1つの粘着防止用構成成分が、タルクである、実施形態90から94のいずれか1つに記載の方法。96.それを必要とする対象における障害を処置する方法であって、実施形態1から79のいずれか1つに記載の徐放性組成物を必要とする対象に経口投与するステップを含む、方法。97.障害に罹患している対象、または障害に罹患するリスクがある対象を処置する方法であって、対象に、実施形態1から79のいずれか1つに記載の徐放性組成物を経口投与するステップを含む、方法。98.徐放性組成物が、腸溶コーティングされた遅延放出錠剤または徐放性錠剤の形態である、実施形態96から97のいずれか1つに記載の方法。99.障害が、ホルモン依存性障害である、実施形態96から98のいずれかに記載の方法。100.ホルモン依存性障害が、乳房障害である、実施形態99に記載の方法。101.障害が、乳房障害である、実施形態96から100のいずれか1つに記載の方法。102.乳房障害が、良性乳房障害、過形成、異型、異型乳管過形成、異型小葉過形成、乳腺濃度上昇、女性化乳房症、DCIS、LCIS、乳がん、思春期早発症、またはマッキューン・オルブライト症候群である、実施形態100から101のいずれか1つに記載の方法。103.障害が、うつ病、躁病、軽躁病、双極性障害、または統合失調症である、実施形態96から99のいずれか1つに記載の方法。104.対象が、タモキシフェン不応性またはタモキシフェン耐性である、実施形態96から103のいずれか1つに記載の方法。105.対象が、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、およびビラゾドンからなる群から選択されるSSRI薬を用いた処置を受けているまたは受ける予定である、実施形態96から104のいずれか1つに記載の方法。106.対象に、実施形態1から79のいずれかに記載の徐放性組成物が追加の治療剤または処置と組み合わせて投与され、徐放性組成物が、経口投与される、実施形態96から105のいずれか1つに記載の方法。107.徐放性組成物を経口摂取した際に対象に生じる顔面紅潮、寝汗、熱っぽい感覚、またはこれらの組合せから選択される血管運動性の影響がタモキシフェンを経口摂取した場合と比較して少ない、実施形態96から106のいずれか1つに記載の方法。108.対象に生じる顔面紅潮、寝汗、熱っぽい感覚、またはこれらの組合せから選択される血管運動性の影響が薬物投薬日数の5%よりも少ない、実施形態96から107のいずれか1つに記載の方法。109.対象が、対象の全血中、血漿中、血清中、またはこれらの組合せの(Z)-エンドキシフェンレベルによって測定される用量の投与後少なくとも180日間治療剤に曝露される、実施形態96から108のいずれか1つに記載の方法。110.徐放性組成物が、単回用量の徐放性組成物の対象への投与後に表15に提示されている薬物動態パラメーターのうちの1つまたは複数を実現することができるものである、実施形態96から109のいずれか1つに記載の方法。111.徐放性組成物が、複数回用量の徐放性組成物の対象への投与後にまたは定常状態で、表16または表17に提示されている薬物動態パラメーターのうちの1つまたは複数を実現することができるものである、実施形態96から110のいずれか1つに記載の方法。112.乳がんに罹患するリスクがある対象を処置するための方法であって、a.対象が乳腺濃度上昇を有するかどうかを、(i)対象の乳房に対するマンモグラフィーを実施するまたは実施してもらうステップ;(ii)対象の乳腺内の高濃度組織体積を数量化するまたは数量化してもらい、対象の乳腺濃度をAクラス、Bクラス、CクラスまたはDクラスのうちの1つに分類し、対象がCクラスまたはDクラス高濃度乳腺を有する場合には、対象が、乳腺濃度上昇を有し、乳がんに罹患するリスクがあると決定することによって決定するステップ;およびb.実施形態1から79のいずれかに記載の徐放性組成物を対象にある量で経口投与するステップを含む、方法。113.対象における乳腺濃度を低下させるための方法であって、a.対象が乳腺濃度上昇を有するかどうかを、(i)対象の乳房に対するマンモグラフィーを実施するまたは実施してもらうステップ;(ii)対象の乳房内の高濃度組織体積を数量化するまたは数量化してもらい、対象の乳腺濃度をAクラス、Bクラス、CクラスまたはDクラスのうちの1つに分類し、対象がBクラス、CクラスまたはDクラス高濃度乳腺を有する場合には、対象が、乳腺濃度上昇を有し、乳がんに罹患するリスクがあると決定することによって決定するステップ;およびb.実施形態1から79のいずれかに記載の徐放性組成物を対象にある量で経口投与することによって、対象における乳腺濃度を低下させるステップを含む、方法。114.徐放性組成物を投与することにより、対象における乳がんの存在が明らかになる、実施形態113に記載の方法。115.それを必要とする対象における乳がんを処置する方法であって、エンドキシフェンを含む徐放性組成物を対象に投与し、その後、対象から乳がん組織を外科的に除去することによって、対象における乳がんを処置することを含む、方法。116.それを必要とする対象における乳がんを処置する非外科的方法であって、対象から乳がん組織を外科的に除去することを伴わずに、エンドキシフェンを含む徐放性組成物を対象に投与することによって、対象における乳がんを処置することを含む、方法。117.エンドキシフェンを含む徐放性組成物が、実施形態1から75のいずれか1つに記載の徐放性組成物である、実施形態115から116のいずれか1つに記載の方法。118.乳がんが、侵襲性乳がんである、実施形態115から117のいずれか1つに記載の方法。119.乳がんが、転移性乳がんである、実施形態115から118のいずれか1つに記載の方法。120.乳がんの処置が、対象におけるKi-67のレベルを低下させることを含む、実施形態115から119のいずれか1つに記載の方法。121.対象におけるKi-67のレベルが、徐放性組成物を投与する前の対象におけるKi-67のレベルと比較して少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%低下する、実施形態120に記載の方法。122.投与が、経口投与を含む、実施形態115から121のいずれか1つに記載の方法。123.対象が乳がん組織を除去するための外科手術を待っている間に徐放性組成物を対象に投与する、実施形態115から122のいずれか1つに記載の方法。124.徐放性組成物を対象に投与する前に、対象が、1つまたは複数のバイオマーカーレベルの、正常な対象におけるバイオマーカーレベルと比較して統計的に有意な変更を有し、バイオ
マーカーが、Ki-67、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、増殖細胞核抗原、リン酸化ヒストンH3、p16、p12、ベータガラクトシダーゼ、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識、およびRNA配列、またはこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態115から123のいずれか1つに記載の方法。125.対象が、1つまたは複数のバイオマーカーレベルの、エンドキシフェンの投与前と比較した統計的に有意な変更を有し、バイオマーカーが、Ki-67、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、増殖細胞核抗原、リン酸化ヒストンH3、p16、p12、ベータガラクトシダーゼ、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識、およびRNA配列、またはこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態115から124のいずれか1つに記載の方法。126.対象における、Ki-67、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、増殖細胞核抗原、リン酸化ヒストンH3、p16、p12、ベータガラクトシダーゼ、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識、およびRNA配列、またはこれらの組合せからなる群から選択されるバイオマーカーのレベルを検出することをさらに含む、実施形態115から125のいずれか1つに記載の方法。127.エンドキシフェンが、(Z)-エンドキシフェンを含む、実施形態115から126のいずれか1つに記載の方法。128.徐放性組成物が、対象に、14日~40日間、10日~50日間、10日~40日間、10日~35日間、10日~30日間、10日~25日間、12日~50日間、12日~40日間、12日~35日間、12日~30日間、12日~25日間、12日~45日間、12日~30日間、14日~30日間、14日~50日間、14日~40日間、14日~35日間、14日~30日間、14日~25日間、16日~50日間、16日~40日間、16日~35日間、16日~30日間、16日~25日間、18日~50日間、18日~40日間、18日~35日間、18日~30日間、18日~25日間毎日投与される、実施形態96から127のいずれか1つに記載の方法。129.1mg~4mg、2mg~4mg、2mg~6mg、2mg~8mg、1mg~10mg、1mg~12mg、1mg~16mg、2mg~10mg、2mg~12mg、2mg~16mg、3mg~10mg、3mg~12mg、3mg~16mg、4mg~10mg、4mg~12mg、または4mg~16mgの徐放性組成物が対象に毎日投与される、実施形態96から128のいずれか1つに記載の方法。130.乳がんが、エストロゲン受容体陽性かつヒト上皮増殖因子受容体2陰性である、実施形態115から129のいずれか1つに記載の方法。131.対象における障害を処置するためのキットであって、実施形態1から79のいずれかに記載の徐放性組成物と使用説明書とを含む、キット。
【実施例】
【0350】
(実施例1)
徐放性錠剤(コア)の調製
以下の表に列挙されている構成成分および分量を使用して(Z)-エンドキシフェン遊離塩基4mgを含有する錠剤を調製した。
表2.
【表2】
【0351】
上の表2に提示されている例は全て(Z)-エンドキシフェン4gをAPIとして用いて作製した。
【0352】
ふるい分けおよび混合。表2に列挙されている種々の構成成分を60~80メッシュのふるいに通した。表2に開示されている通り必要量のAPI((Z)-エンドキシフェン)、20℃で水中2%、1,000~150,000mPa・sの範囲の種々の粘度の律速徐放剤(ヒプロメロース2208)(例えば、ColorConから市販されているMethocell(商標)K4M(約2.5K~5K cP)、K15M(約13K~25K cP)、およびK100M(約75K~140K cP))ならびに微結晶セルロースPH101(DFE Pharmaから市販されている)を秤量し、V-Blenderでおよそ10分間にわたって混和した。次に、上に開示されている通り必要量の滑沢剤、ステアリン酸マグネシウム(Sigma Aldrichから入手可能)を混和した混合物に添加し、さらに2分間にわたって混和した。
【0353】
錠剤化。混和した混合物の錠剤化を、直接圧縮、乾式造粒または湿式造粒によって実施することができる。特に液相での活性(Z)-エンドキシフェン異性体と不活性(E)-エンドキシフェン異性体の相互変換の潜在性を減少させるために、直接圧縮法を使用して錠剤を調製した。混和した混合物を収集し、打錠機(Tableting Machine Manesty B3B-16 station rotary press)および穿孔機(製造者Natoli(上下)を使用して直接乾式圧縮して、徐放剤を伴うマトリックス錠剤を形成した。得られたマトリックス錠剤を、硬度および砕けやすさについて、標的硬度を13Kp、標的砕けやすさをNMT 1.0%として、含有量均一性について、および溶解速度について試験した。以下の表3に例示的な錠剤パラメーターを提示する。
表3-錠剤パラメーター
【表3】
(実施例2)
腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の調製
【0354】
上の実施例1からの錠剤コアを使用して作製された遅延放出錠剤に対するコーティングを調製するために、腸を標的とする遅延放出剤である制御放出剤を含有する機能性コーティング#1のための水性懸濁液を下記の通り調製した。
【0355】
コーティング溶液#1を、腸におけるpH5.5よりも高いpHでの放出を標的とする遅延放出剤として、酸耐性ポリ(メタ)アクリル酸ポリマーであるEudragit L30-D55(30%固体)を使用して調製した。Eudragit L30-D55(30%固体)はEvonikから溶液として市販されている。コーティング溶液を、60メッシュのスクリーンふるいを通して別の容器に入れることによって濾過し、沈降を回避するために連続的に撹拌した。スプレーコーターポンプを予め作動させ、霧化エアーを開始して、以下の標的化パラメーターを実現した:入口温度:55℃±10℃、出口温度33℃±℃、パンスピード20rpm、ポンプスピード15%±5%およびパターンエアー15%±5%psi、霧化エアー15%±5%psi。
【0356】
実施例1に示されているコア錠剤(例えば、試料9)をコーティングパンにローディングし、38℃まで温めた。スプレーコーターを使用して、錠剤コアを機能性コーティング溶液でコーティングして、機能性コーティング内への錠剤コアの実質的な包み込みを実現した。蠕動ポンプを使用してコーティング分散をスプレーノズルに送達した。沈降を防止するために、コーティングプロセスの間、マグネチックスターラーを使用してコーティング溶液を継続的に混合した。気泡が生じるのを回避するために、コーティング溶液をゆっくりと撹拌した。錠剤ベッドが所望の温度に達した後、錠剤にコーティング溶液をスプレーコーティングした。少なくとも1ラウンドのコーティングプロセスを実施して、錠剤コアの重量に対する標的化重量増加を3つ得た(1.5%、6%、および8%)。
【0357】
標的化コーティング効率は、有効な検出方法を使用して「pH1.2で2時間にわたって薬物放出が検出されないこと」であり、これは、USP 1パドル法(ポリソルベートPS80を伴う模擬胃液、pH1.2で2時間+模擬腸液、pH6.8で22時間)を使用する実施例5に開示されている方法による溶解試験において測定された。
【0358】
この方法によって得られた機能的にコーティングされた錠剤を、コーティングパン中の錠剤ベッド中、35±2℃で15±3分の最初の乾燥時間にわたって風乾させた。錠剤10個を収集し、コーティングの最初のラウンド後の錠剤ごとの実際の重量増加について試験した。標的化重量増加が実現されることが確実になるまでコーティングプロセスを継続し、次いで、35±2℃で10±5分の最終的な乾燥時間で乾燥させた。例えば、腸溶コーティングされた遅延放出錠剤を、機能性コーティングによる重量増加が錠剤コアの重量に対して1.5%(n=3)、6%(n=3)および8%(n=3)になるまでコーティングした。
【0359】
結果から、1.5%の重量増加でコーティングされた錠剤では2時間後に少なくとも60%の(Z)-エンドキシフェン放出が示されたことが示される。6%の重量増加でコーティングされた錠剤および8%の重量増加でコーティングされた錠剤では2時間より前には放出が示されず、累積的な(Z)+(E)-エンドキシフェン放出はそれぞれ58.81%および58.56%であり、24時間時点での累積的な(Z)-エンドキシフェン放出はどちらの錠剤のセットについてもおよそ30%であった。
(実施例3)
腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の調製
【0360】
上の実施例1からの錠剤コアを使用して作製された遅延放出錠剤に対するコーティングを調製するために、機能性コーティングのための水性懸濁液を、以下の表4に示されている構成成分および割合を使用して調製した。
表4.コーティング溶液#2
【表4】
【0361】
非限定的な例として、容器中、表4に示されている量で、市販のEudragit L30 D 55(メタクリル酸-アクリル酸エチル共重合体(1:1))に水を添加することにより、機能性コーティング溶液(ポリメタクリレートポリマーコーティング懸濁液)を調製した。クエン酸トリエチルおよびタルクを容器に添加し、約60分間にわたって十分に混合して、均一な溶液を形成した。次いで、コーティング溶液を、60メッシュのスクリーンふるいを通して別の容器に入れることによって濾過し、沈降を回避するために連続的に撹拌した。スプレーコーターポンプを予め作動させ、霧化エアーを開始して、以下の標的化パラメーターを実現した:入口温度:55℃±10℃、出口温度33℃±℃、パンスピード20rpm、ポンプスピード15%±5%およびパターンエアー15%±5%psi、霧化エアー15%±5%psi。
【0362】
実施例1において得られたコア錠剤(例えば、表2の試料9、10、11および12)をコーティングパンにローディングし、38℃まで温めた。スプレーコーターを使用して、錠剤コアを機能性コーティング溶液でコーティングして、機能性コーティング内への錠剤コアの実質的な包み込みを実現した。蠕動ポンプを使用してコーティング分散をスプレーノズルに送達した。沈降を防止するために、コーティングプロセスの間、マグネチックスターラーを使用してコーティング溶液を継続的に混合した。気泡が生じるのを回避するために、コーティング溶液をゆっくりと撹拌した。錠剤ベッドが所望の温度に達した後、錠剤にコーティング溶液をスプレーコーティングした。少なくとも1ラウンドのコーティングプロセスを実施して、錠剤コアの重量に対する標的化重量増加を3つ得た(6%、8%、および12.5%)。
【0363】
標的化コーティング効率は、有効な検出方法を使用して「pH1.2で2時間にわたって薬物放出が検出されないこと」であり、これは、溶解試験で測定された(実施例4)。
【0364】
この方法によって得られた機能的にコーティングされた錠剤を、コーティングパン中の錠剤ベッド中、35±2℃で15±3分の最初の乾燥時間にわたって風乾させた。錠剤10個を収集し、コーティングの最初のラウンド後の錠剤ごとの実際の重量増加について試験した。標的化重量増加が実現されることが確実になるまでコーティングプロセスを継続し、次いで、35±2℃で10±5分の最終的な乾燥時間で乾燥させた。例えば、試料9の錠剤を、錠剤コアの重量に対する機能性コーティングによる重量増加が6%(n=3)、8%(n=3)、および12.5%(n=10)になるまでコーティングした。
表5.
【表5】
【0365】
上記の方法を使用して、表5に示されている例示的なコーティングされた錠剤1b、2b、および3を調製し、コーティングした。表5のコーティングされた錠剤1b、2b、および3のコーティングされた錠剤重量は約112mgであり、重量増加はコア錠剤の重量に対しておよそ12.5%であった。コーティングされた錠剤1b、2b、および3は白色~オフホワイト色に呈色した錠剤として得られ、目に見える欠陥はなかった。コーティングされた錠剤の硬度は約5Kp~約16Kpの範囲であった。
【0366】
試料錠剤(コーティングされた錠剤3)をバルク包装用のLDPEバッグに入れて保管し(シリカゲルサシェを用いて2重に袋に入れた)、次いで、輸送および安定性試験のためにHDPEの色の濃い(UV黒色)瓶中に保管した。これらの(Z)-エンドキシフェンを含有する腸溶コーティングされた錠剤の薬物放出プロファイルを溶解試験において試験した(実施例4)。
【0367】
上に開示されている通り調製された錠剤、例えば、表5のコーティングされた錠剤番号1b、2b、および3はオフホワイト色~白色を有し、目に見える欠陥はない。コア錠剤重量の均一性は90~110mgの範囲(100±10%)であり、平均は101.89であった(n=50)。厚さは3.0~3.5mmの範囲(3.25±7.5%)であり、平均は3.23mmであった(n=10)。混和物の均一性は少なくともNMT5%であり、平均は4.08であった(n=6)。砕けやすさはNMT1.0%であり、錠剤硬度は10~16Kpの範囲であった。硬度が5~16Kpの範囲の追加のコア錠剤も調製した。
【0368】
コーティングされた錠剤の重量の均一性は106.8~118.2mgの範囲であり(112±5%)、平均は114.3mgであり、また、投薬後少なくとも2時間にわたって薬物(Z)-エンドキシフェンピークが存在しないことによって示される通り、有効なアッセイを使用して「pH1.2で少なくとも2時間にわたって薬物放出が検出されないこと」というコスト効率を伴った。酸性pHで少なくとも2時間にわたって事実上薬物放出は検出されなかったことにから、薬物が胃の酸性環境で保護され、その後、腸で(Z)-エンドキシフェンが放出されることが予測される。
標準物質
【0369】
投薬量単位の均一性はUSP<905>の基準を満たす。
【0370】
表5の例示的なコーティングされた錠剤番号3では、コーティングされた錠剤3中の好気性微生物の総数(TAMC)<10コロニー形成単位(CFU)/g、および酵母とカビを合わせた総数(TYMC)<10CFU/gが示された。1g当りにE.coliは存在しなかった。徐放性錠剤(コア)と腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の徐放性組成物を作製するためのプロセスはスケーラブルである。コーティングされた錠剤1~2および4~6を開示されている通り調製することができる。
(実施例4)
コーティングされていない錠剤のin vitro溶解-USP I
【0371】
実施例1に開示されているコーティングされていない(遅延放出)錠剤および腸溶コーティングされた(遅延放出)錠剤から得られた(Z)-エンドキシフェン放出プロファイルを試験するために、USP Procedure Drug Release General Chapter<711>Dissolutionに従ってin vitro溶解試験を行った。
A.リン酸緩衝剤。USPの方法1に従ったin vitro溶解試験を、(Z)-エンドキシフェン4mgを含有する試験錠剤試料1~17に対して、USPの方法に従い、腸液を模倣するために(酵素も胆汁も伴わない)およびある特定の実験ではポリソルベート80(PS-80)の存在下で、pH6.8のリン酸緩衝剤中、37℃、50rpmで6~25時間にわたって行った。媒体中への(Z)-エンドキシフェンおよび(E)-エンドキシフェン放出を様々な時点で測定して、コーティングされていない錠剤中の(Z)-エンドキシフェンがより長い期間にわたって持続するかどうかを決定した。
【0372】
槽の温度を37±0.5℃に維持しながら溶解物にpH6.8の0.05Mのリン酸緩衝剤1000mLを添加した。錠剤の形態の試料組成物を調製し、緩衝剤媒体が37℃±0.5に達しところで添加した。コーティングされていない錠剤(コア)の溶解および(Z)-エンドキシフェン放出について試験するために試料の一定分量(試験媒体)を様々な時点で取得した。等量の調整したpH6.8緩衝剤を容器に添加してシンク条件を維持した。
【0373】
コーティングされていない錠剤から試験媒体中への(Z)-エンドキシフェンおよび(E)-エンドキシフェン放出を、UV検出器を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析した。
機器パラメーター
機器:Vankel VK 7000
型:II型パドル
温度プログラム:37℃
槽体積:1000mL。
パドルスピード:50RPM
試料体積:3mL[試料採取ごとに同量を入れ替えた]
試料採取時点:種々-一般には0時間、0.5時間、1時間、2時間、2.5時間、3時間、4時間、6時間、8時間、9時間、12時間、14時間、22時間、および26時間。全ての時点で試験される試験組成物の全てについて試験したとは限らない。
【0374】
分析設備およびパラメーター:オートサンプラーおよびDAD検出器を備えたAgilent 1100液体クロマトグラフを使用した高速液体クロマトグラフィー。カラム:Phenomenex 2.6μm Phenyl Hexyl 100A 150 mm×4.6μm。流速毎分0.75mL。検出:UV@243nm。注入体積:20μL。実行時間:10分。移動相A:水中0.03%ギ酸を伴う10mMのギ酸アンモニウム。移動相B:メタノール中10mMのギ酸アンモニウム。希釈剤:メタノール。
【0375】
以下の表6に、試験媒体中での例示的なコーティングされていない錠剤試料(コア)からの10%、20%、50%および70%累積溶解パーセントおよび(Z)-エンドキシフェン放出のおおよその時間を時間単位で開示する。
表6.
【表6】
【0376】
結果は多数の別々の実験を表す。
【0377】
*対照:Capsugel、USAから市販されているDRcapsを用いて調製した腸耐性遅延放出カプセル中の純粋(Z)-エンドキシフェン(「カプセル」、「参照製品」、「カプセル中API」または「DRCaps」は本明細書では互換的に使用される)。
【0378】
表7は、12時間および24時間でのコーティングされていない錠剤(コア)試料からのおおよその溶解パーセンテージおよび(Z)-エンドキシフェン放出を示す。
表7
【表7-1】
【表7-2】
【0379】
表6および表7に示されている結果は多数の別々の実験を表す。
【0380】
*対照:Capsugel、USAから市販されているDRcapsを用いて調製した腸耐性遅延放出カプセル中の純粋(Z)-エンドキシフェン(「カプセル」、「カプセル中API」、「参照製品」または「DRCaps」)。カプセルを作製するための方法を以下に記載する。
【0381】
表6および表7に開示されているin vitro溶解試験の結果から、コーティングされていない錠剤では、(Z)-エンドキシフェンが試験媒体(リン酸緩衝剤、pH6.8±PS-80、50RPM、37℃)中に4~24時間の範囲の長時間にわたって持続的な様式で放出され、ある特定の試料のある特定の場合では、24時間を超えて機能することが示される。したがって、本開示の組成物、特に実施例1に例示されている組成物は、それ自体で徐放性錠剤として機能し、また、コア錠剤としての使用にも適する。
【0382】
試料7はその(Z)-エンドキシフェンを試験媒体中にすぐに放出し、即時放出(Z)-エンドキシフェン錠剤として機能した。組成物試料7を本開示に開示されているコーティングの少なくとも1つの層で実質的にコーティングした場合、それを必要とする対象を処置するために有用な新規の腸溶コーティングされた遅延放出錠剤になることが当業者には理解されよう。
【0383】
図1は、表6の(Z)-エンドキシフェン遊離塩基4mgを含有するコーティングされていない徐放性錠剤(コア)(試料9および16)から放出される(Z)-エンドキシフェン(%累積溶解)の量を対照(Capsugel、a Lonza Company、USAから市販されているDRCapsを用いて調製した、腸耐性遅延放出カプセルに包み込まれた純粋(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、本明細書では互換的に「カプセル」、「DR-カプセル」、「カプセル中API」、「DR-カプセル中API」または「参照製品」と称される)と比較して示す。
【0384】
結果から、本開示のコーティングされていない錠剤からの(Z)-エンドキシフェンの放出が対照(カプセル中遅延放出API)よりも遅く、かつ持続的であることが示される。対照(カプセル中遅延放出API)からは8時間までにおよそ2.4mgの(Z)-エンドキシフェンおよびおよそ0.5mgの(E)-エンドキシフェンが放出されたが、一方、表6の例示的なコーティングされていない徐放性錠剤試料9および16からは約8時間および約16時間の時点でそれぞれおよそ2.4mgが放出されていた。24時間時点で(E)-エンドキシフェンは検出不可能であった。
B.模擬液。(Z)-エンドキシフェン4mgを含有するコーティングされていない試験錠剤について、USPの方法1に従ってin vitro溶解試験を行った(2時間にわたる750mLの模擬胃液(SGF)酸相、酵素を伴わない250mLの模擬腸液を追加してpHを1.2からpH6.8に変換し(緩衝剤相)、試験をさらに8~22時間延長した。媒体中への(Z)-エンドキシフェンおよび(E)-エンドキシフェン放出を様々な時点で測定して、コーティングされていない錠剤中の(Z)-エンドキシフェンがより長い期間にわたって持続したかどうかを決定した。
【0385】
コーティングされていない錠剤から試験媒体中への(Z)-エンドキシフェンおよび(E)-エンドキシフェン放出を、UV検出器を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析した。
【0386】
分析設備およびパラメーター:オートサンプラーおよびDAD検出器を備えたAgilent 1100液体クロマトグラフを使用した高速液体クロマトグラフィー。カラム:Phenomenex 2.6μm Phenyl Hexyl 100A 150mm×4.6μm。流速毎分0.75mL。検出:UV@243nm。注入体積:20μL。実行時間:10分。移動相A:水中0.03%ギ酸を伴う10mMのギ酸アンモニウム。移動相B:メタノール中10mMのギ酸アンモニウム。希釈剤:メタノール。
【0387】
以下の表8に、試験媒体中での例示的なコーティングされていない錠剤試料(コア)からの10%、20%、50%および70%累積溶解パーセントおよび(Z)-エンドキシフェン放出のおおよその時間を時間単位で開示する。
表8.
【表8】
*結果が外挿されたものである。
(実施例5)
コーティングされた錠剤のin vitro溶解試験
【0388】
1.5%、6%、および8%の標的化重量増加を伴う機能性腸溶コーティングでコーティングされた(Z)-エンドキシフェン4mgを含有する試験錠剤について、USPの方法1に従ってin vitro溶解試験を行った(2時間にわたる750mLの模擬胃液(SGF)酸相、酵素を伴わない250mLの模擬腸液を追加してpHを1.2から6.8に変換し(緩衝剤相)、試験をさらに8~22時間延長した。媒体中への(Z)-エンドキシフェンおよび(E)-エンドキシフェン放出を様々な時点で測定して、腸溶コーティングされた錠剤中の(Z)-エンドキシフェンが(1)遅延放出されるか、(2)より長い期間にわたって持続するか、または(3)その両方であるかを決定した。
【0389】
コーティングされていない錠剤から試験媒体中への(Z)-エンドキシフェンおよび(E)-エンドキシフェン放出を、UV検出器を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析した。
【0390】
分析設備およびパラメーター:オートサンプラーおよびDAD検出器を備えたAgilent 1100液体クロマトグラフを使用した高速液体クロマトグラフィー。カラム:Phenomenex 2.6μm Phenyl Hexyl 100A 150mm×4.6μm。流速毎分0.75mL。検出:UV@243nm。注入体積:20μL。実行時間:10分。移動相A:水中0.03%ギ酸を伴う10mMのギ酸アンモニウム。移動相B:メタノール中10mMのギ酸アンモニウム。希釈剤:メタノール。
【0391】
表9に示されている例示的な結果は、試験媒体中の例示的なコーティングされていない遅延放出錠剤試料(コア)からのおおよその累積溶解パーセントを開示するものである。
表9.例示的な腸溶コーティングされた錠剤の薬物放出プロファイル
【表9-1】
【表9-2】
【0392】
表9に示されている結果から、本開示の腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の徐放性組成物が、(Z)-エンドキシフェンを胃遅延放出で存在する酸性環境から保護し、(Z)-エンドキシフェンの放出を長時間にわたって、例えば、少なくとも4時間にわたって、少なくとも5時間にわたって、少なくとも6時間にわたって、少なくとも7時間にわたって、少なくとも8時間にわたって、少なくとも9時間にわたって、少なくとも10時間にわたって、少なくとも12時間にわたって、少なくとも18時間にわたって、および少なくとも24時間にわたって持続的な様式で哺乳動物の腸内を標的とすることができることが示唆される。本開示の腸溶コーティングされた遅延放出錠剤はまた、24時間後に少なくとも20%、少なくとも30%、および少なくとも40%の活性薬物を放出することもできる。結果から、本開示の腸溶コーティングされた遅延放出錠剤が(Z)-エンドキシフェンの徐放性を有することが示される。
【0393】
さらに、エンドキシフェンアイソフォームを測定するための有効なアッセイで検出された(E)-エンドキシフェン(<3%)が非常にわずかであったので、実施例1に開示されているものなどの徐放性錠剤に対するコーティングは、驚いたことに、SIF試験媒体中に放出された際の(Z)-エンドキシフェンの(E)-エンドキシフェンへの変換を減少させるのに有利であった。当業者は本徐放性組成物の製剤によりSIF試験媒体中での(Z)-エンドキシフェンの(E)-エンドキシフェンへの変換が減少することは予測していなかったと思われる。
【0394】
模擬腸液(n=2)中のコア錠剤に機能性コーティングを伴うスプレーコーティングされた試料9錠剤からの(Z)-エンドキシフェンの溶解をコーティングされていない錠剤と比較した。
図2に結果を示す。8%遅延試薬ポリマーを含有し、コア錠剤に対するおよそ12%の重量増加という重量増加に寄与するコーティング溶液を用いて機能性コーティングを実施した。結果から、実施例3に記載の通り徐放性錠剤(コア)を機能性コーティングの少なくとも1つの層で腸溶コーティングした場合、2時間後まで有効なアッセイによって(Z)-エンドキシフェンが検出不可能であり、薬物放出が生じていないことが示唆されることだけでなく、(Z)-エンドキシフェンの放出速度が緩徐であり、2時間~約24時間の範囲の期間にわたって持続することも示される。さらに、24時間後にはコーティングされた錠剤中の少なくとも20%~少なくとも40%の活性(Z)-エンドキシフェンが放出に利用可能である(
図2および表9)。硬度が低い例示的なコーティングされた錠剤(試料12)と硬度が高い例示的なコーティングされた錠剤(試料11)の比較を模擬液(pH1.2の模擬胃液で2時間+pH6.8の模擬腸液で22時間)中で実施した。
図3に結果を示す。
【0395】
図4は、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基4mgを含有する腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の徐放性組成物から放出された(Z)-エンドキシフェンのmg単位での量を純粋(Z)-エンドキシフェン遊離塩基を含有する対照カプセル中APIと比較して示す。結果から、(Z)-エンドキシフェンの徐放性を示す腸溶コーティングされた遅延放出錠剤、例えば、表4のコーティング溶液番号2を用いた機能性コーティングでコーティングされたコア錠剤9および12の調製に種々の硬度の錠剤を使用することができることが示される。結果から、本開示の腸溶コーティングされた遅延放出錠剤からの(Z)-エンドキシフェンの放出が対照カプセル中APIから放出される(Z)-エンドキシフェンと比較して緩徐かつ持続的であることが示される。カプセル中APIからは8時間までにおよそ2.4mgの(Z)-エンドキシフェンが放出されるが、一方、腸溶コーティングされた遅延放出錠剤からは約12時間および約240時間の時点でそれぞれおよそ2.4mgが放出されている。
【0396】
したがって、本開示の腸溶コーティングされた遅延放出錠剤は、(Z)-エンドキシフェンを哺乳動物の胃および腸内で見られる環境を模擬する試験媒体中に長時間にわたって持続的な様式で、例えば、少なくとも4時間にわたって、少なくとも5時間にわたって、少なくとも6時間にわたって、少なくとも7時間にわたって、少なくとも8時間にわたって、少なくとも9時間にわたって、少なくとも10時間にわたって、少なくとも12時間にわたって、少なくとも18時間にわたって、および少なくとも24時間にわたって放出させる。
表10.
【表10】
【0397】
図5および表10は、USP II法(SIF Medium:pH1.2で2時間およびpH6.8で22時間)を使用して測定して、例示的な腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の徐放性組成物では、(Z)-エンドキシフェンが胃および腸内でその不活性形態である(E)-エンドキシフェンに変換されることから保護され、したがって、放出されるエンドキシフェンの大多数が活性形態である(Z)-エンドキシフェンとして放出されることを示す。
(実施例6)
腸溶コーティングされた遅延放出錠剤のin vitro溶解
【0398】
本開示の一連の腸溶コーティングされた遅延放出試験錠剤を用いたin vitro溶解試験を、USP装置II(パドル)をパドルスピード50RPM、37±0.5℃を使用して行った。各試験について、媒体(0.05Mのリン酸緩衝剤、pH6.8)1000mLを溶解槽に添加し、37±0.5℃で維持した。媒体が37±0.5℃に達したところで試験錠剤を媒体に添加した。様々な時点で試料の一定分量を取って錠剤溶解を測定し、媒体中に放出されたエンドキシフェン(Z)および(E)アイソフォームのレベルをアッセイした。等量の調整したpH6.8緩衝剤を容器に添加し戻してシンク条件を維持した。
機器パラメーター
機器:Vankel VK 7000
パドル型:II型
温度プログラム:37℃
槽体積:1000mL
パドルスピード:50RPM、75RPM、100RPM
試料体積:3mL(試料採取ごとに同量を入れ替えた)
試料採取時点:一般に0.5時間、1時間、2時間、2.5時間、3時間、6時間、9時間、12時間、22時間および24時間
【0399】
腸溶コーティングされた遅延放出錠剤から媒体中への(Z)-および(E)-エンドキシフェンの薬物放出を、UV検出器を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析した。
【0400】
分析設備およびパラメーター:オートサンプラーおよびDAD検出器を備えたAgilent 1100液体クロマトグラフを使用した高速液体クロマトグラフィー。カラム:Phenomenex 2.6μm Phenyl Hexyl 100A 150mm×4.6μm。流速毎分0.75mL。検出:UV@243nm。注入体積:20μL。実行時間:10分。移動相A:水中0.03%ギ酸を伴う10mMのギ酸アンモニウム。移動相B:メタノール中10mMのギ酸アンモニウム。希釈剤:メタノール。
【0401】
例示的な腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の徐放性組成物(表4のコーティング溶液を使用してコア錠剤が機能的にコーティングされるように調製したもの(試料9))の溶解プロファイルを
図6に示す。
【0402】
結果は、USP II(パドル)法を75RPM、SIF媒体中、pH1.2(2時間)、pH6.8(22時間)で使用すると、硬度13Kpを有する(Z)-エンドキシフェン遊離塩基4mgを含有する腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の例示的な徐放性組成物から(Z)-エンドキシフェンが
図6に示す通り放出されることを示す。腸溶コーティングされた遅延放出錠剤は、対照(遅延放出カプセル中純粋(Z)-エンドキシフェン遊離塩基4mgの遅延放出製剤(DR-Capまたはカプセル中API))と比較した場合であっても、より大きな(Z)-エンドキシフェンの徐放性を示す。
【0403】
3時間、8時間、および14時間の時点でのコーティングされた錠剤からの(Z)-エンドキシフェンの溶解パーセンテージは15.5±3.92、47.17±2.6、および70.45±10.72であった。(E)-エンドキシフェンの量は1%未満であることが認められ、これにより、錠剤から放出されたエンドキシフェンの実質的に全てが(Z)-エンドキシフェンとして存在していたことが示唆される。
【0404】
別の例示的な腸溶コーティングされた遅延放出錠剤に関する結果から、3時間、8時間、14時間、および26時間の時点でコーティングされた錠剤から放出された(Z)-エンドキシフェンのパーセントがそれぞれ15.50±3.92%、47.17±7.26%および48%であり、それと比較して、同じ時間でのDR-カプセルからの(Z)-エンドキシフェン放出はおよそ40%、72%および7.45±10.72%94.37+11.14であったことが示された。(E)-エンドキシフェンは試験媒体中、0~11時間の時点では検出不可能であり、26時間まで3%未満のままであった。
(実施例7)
強制分解試験および安定性
【0405】
(Z)-エンドキシフェン(参照製品)および本開示の(Z)-エンドキシフェン遊離塩基を含有する腸溶コーティングされた遅延放出錠剤およびプラセボを、試料25mgを個々のアンバーシンチレーションバイアルに入れ、調製することによって酸、塩基、熱および酸化の強制分解条件に供し、酸、塩基、熱および酸化ストレスについて下記の通り試験した。
表11
【表11】
表12.クロマトグラフィー保持時間
【表12】
表13.結果-強制分解および安定性
【表13】
*NA=入手不可能
【0406】
結果から、上の表12で使用した強制分解条件では、酸化条件以外は錠剤中の(Z)-エンドキシフェンAPIの十分な分解が生じなかったことが示される。50%H2O2への51時間にわたる曝露により(Z)-エンドキシフェンAPIの有意な分解が引き起こされた。
【0407】
安定性。徐放性組成物(例えば、腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態)、プラセボおよびAPIの40℃±2℃/75%±5%RHおよび25±2℃/60%±5%RHでの安定性は、少なくとも3カ月間は安定であった。腸溶コーティングされた遅延放出錠剤、プラセボおよびAPIの安定性を40℃±2℃/75%±5%RH)については0カ月、1カ月、2カ月、3カ月、6カ月の時点で決定し、外界温度(25±2℃/60%±5%RH)については0カ月、1カ月、3カ月、6カ月、9カ月、12カ月、18カ月、および24カ月の時点で決定する。放出試験を0時点とみなして残りの時点について実施する。残りの時点では微生物計数試験(MET)を実施する。
(実施例8)
健康な女性志願者に対する(Z)-エンドキシフェンの第I相、ランダム化、二重盲検式、プラセボ対照、安全性および薬物動態試験
【0408】
本試験の主要目的は、薬物動態を決定し、以前に試験された、腸溶コーティングされた遅延放出(Z)-エンドキシフェン錠剤(「錠剤」)の形態の徐放性組成物を用いた経口(Z)-エンドキシフェンカプセルの健康な女性志願者に対する単回経口投薬と比較することであった。パートA(単回投与用量、SAD)からの結果に基づいて、複数回用量投与(MAD)をA群(カプセル)およびB群(錠剤)において、またはB群単独において開始した。本試験の副次目的は、経口でもたらされる群のそれぞれの安全性および忍容性を評価すること、ならびに、(Z)-エンドキシフェン(カプセル)または腸溶コーティングされた遅延放出(Z)-エンドキシフェン錠剤に付随する副作用を質問票を使用して評価し、比較することであった。
【0409】
スクリーニング時に18歳以上65歳以下(包括的)であった合計24名の健康な女性対象を2つの群(各群n=12)に二重盲検様式でランダムに割り当て、登録し、試験薬を1日1回の経口投与によって受けさせた。群1の対象は4mgの(Z)-エンドキシフェンカプセル(n=9)またはプラセボカプセル(n=3)を受け、一方、群2の対象は4mgの(Z)-エンドキシフェン錠剤(n=9)またはプラセボ錠剤(n=3)のいずれかを受けた。両群に本試験のSAD相で投薬を行った。両群からの安全性およびPKの結果を精査して、群1および群2の両方に本試験のMAD相での投薬を行うか、それとも群2(錠剤)に対してのみMAD相での投薬を行うかを決定した。SAD PK結果から、カプセルと錠剤の同等性が示された場合、錠剤群2に対してのみMAD相での投薬を行う。そして、対象はMADで14回の毎日の投薬を受けた。対象は薬物を食物と一緒に服用する必要はなかった。
【0410】
健康な女性を投薬の開始前28日以内にスクリーニングした。
【0411】
対象は臨床施設に1日目から最大3日入院した。試験薬(活性またはプラセボ)の第1の用量を1日目に投与した。2日目に、全ての安全性評価およびPK分析のための試料採取が完了した後、対象は臨床施設を退院した。2日目から25日目までは無試験薬または毎日の投薬の休止であった。安全性の概要および投薬後最大6日目までに、PKデータを分析し(盲検で)、一方または両方の群に対するMADレジメンの開始前に精査した。
【0412】
各参加者は、試験4日目、6日目、および15日目にPK用採血および安全性評価のための臨床施設に戻った。
【0413】
MADレジメンを26日目に開始した。安全性およびPKに関する精査の転帰に応じて、群1または群1と群2の両方に対して、本試験のMADパートでの投薬を26日目に開始した。安全性およびPKに関する精査に基づいて、群1と群2の両方に対して、本試験のMADパートでの投薬を26日目に開始した。本試験のMADパートの対象には、試験薬の14日間連続した(26~39日目)毎日の経口投与を開始した。対象に試験薬を供給し、毎朝空腹時に自己投与するよう指示した。
【0414】
26日目および32日目の用量投与前には、対象はPK用採血および安全性評価のために臨床施設を来訪した。
【0415】
39日目が試験薬投与の最後の日であった。39日目に、各対象は用量投与前に臨床施設に戻り、PK用の血液採取および安全性評価を可能にするために40日目まで施設に拘束された。対象は40日目に退院し、試験42日目、44日目、および46日目にPK用の血液採取および安全性評価のために戻った。
【0416】
各参加者に試験薬投与(日時)および有害事象を記録するための試験日誌を提供した。
【0417】
あらゆる試験中の有害事象の評価および併用薬の使用を含めた対象の病歴を評価した。
【0418】
試験の評価には、あらゆる試験中の有害事象の評価および併用薬の使用を含めた対象の病歴;身長および体重;身体検査;定期的なバイタルサイン(体温、心拍数、呼吸数、血圧);定期的な12誘導ECGの取得が含まれた。臨床検査(laboratory test)には血液学的検査、凝固、尿検査、血清生化学検査、ウイルス学的検査、違法薬物スクリーニング、アルコール呼気検査、および妊娠検査が含まれた。
【0419】
処置の安全性を評価するための特定の評価には以下が含まれた:有害事象の頻度および型、臨床検査(clinical laboratory testing)、12誘導ECGおよびバイタルサイン。改変FACT-ES(登録商標)スコアリング質問票を使用して総体的症状を評価した。
【0420】
薬物動態:
SAD:1~2日目(拘束期間中):PK分析のために以下の通り採血した:1日目の投薬前、および試験薬投与の0.5時間後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、8時間後、10時間後、12時間後および24時間後(2日目)(投薬後)。
【0421】
安全性およびPK試料を毎日の投薬の休止中、4日目、6日目、15日目、および22日目に採取した。
【0422】
MAD:26日目の投薬前および32日目の投薬前:安全性およびPK試料を採取した。拘束期間中の39~40日目:PK分析のために以下の通り採血した:39日目の投薬前、および試験薬投与の0.5時間後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、8時間後、10時間後、12時間後および24時間後(40日目)(投薬後)。活性試験薬物投与期間の終結後、41日目(39日目の投薬の48時間後)、42日目(39日目の投薬の72時間後)、44日目(39日目の投薬の120時間後)および46日目(39日目の投薬の168時間後)にPK分析のための血液試料を採取した。Phoenix WinNonlin 8.1を使用して薬物動態パラメーターを決定した。PKパラメーターの算出には常に直近の処置投与からの実際の経過時間を使用し、例外として、投薬前データは0.00時間という名目上の時間を示す。
【0423】
参加者1名が薬物に関連しない理由で試験のSADパートの最後に試験から脱落し、試験のための来訪を完了した。この参加者の代わりに本試験のMAD相のみを完了した別の参加者を含めた。
【0424】
結果:本試験を上記の通り実施し、結果を以下に提示する。
【0425】
薬物動態。本試験の単回投与用量(SAD)レジメンまたは相における各製剤の単回投薬後の経時的な平均血漿(Z)-エンドキシフェン濃度を
図15に示す。結果から、(Z)-エンドキシフェンが錠剤(硬度13Kp)4mgから放出され、有効なHPLC-MS法によって検出される通り対象の血液中に主に(Z)-エンドキシフェンとして現れ、24時間~72時間の間にピークに達し、120時間、すなわち、投薬の5日後時点でなお投薬の約8時間後のレベルと同等のレベルで存在することが示される(
図15)。(Z)-エンドキシフェンは270時間((Z)-エンドキシフェンのおよそ5半減期)時点および測定期間の最後である336時間時点で検出可能であった(
図15)。対象の生体試料、対象の血液から単離された血清と血漿をどちらも(Z)-エンドキシフェンおよび(E)-エンドキシフェンについて試験した。(E)-エンドキシフェンレベルは試験した全ての時点で検出不可能であった(データは示していない)。平均血清中(Z)-エンドキシフェン濃度は一貫して時点を対応させた平均血漿中濃度のおよそ1.1倍であった。
【0426】
(Z)-エンドキシフェンを14日間連続して1日1回投薬した後(すなわち、試験39日目の最後の投薬後)の(Z)-エンドキシフェンの経時的な平均血漿中濃度および平均血清中濃度が
図16Aおよび
図16Bに示されている。血漿(Z)-エンドキシフェンレベルは26日目(投薬の600時間後)、複数回投与用量(MAD)相の開始まで検出レベルを下回っていた(
図16A)。対象の生体試料、対象の血液から単離された血清と血漿をどちらも(Z)-エンドキシフェンおよび(E)-エンドキシフェンについて試験した。(E)-エンドキシフェンレベルは試験した全ての時点で検出不可能であった(データは示していない)。したがって、結果から、対象が、錠剤の単回経口量の投与後の約3時間から開始して270時間後を超えるまでに及ぶ期間にわたって(Z)-エンドキシフェンに暴露し、投薬の約72時間後にピークに達することが示される。カプセルから放出された(Z)-エンドキシフェンは血液中に現れ(血清および血漿において試験して)、6時間~12時間時点で錠剤からの(Z)-エンドキシフェンと比較して高いレベルでピークに達し、カプセルの方がより速く溶解する可能性が高い。平均血清中(Z)-エンドキシフェン濃度は一貫して時点を対応させた平均血漿中濃度のおよそ1.2倍であった。試験32日目、39日目および40日目の個々の血漿中および血清中トラフ濃度(前の投薬の約24時間後)を決定し、錠剤およびカプセルについての平均血漿中トラフ濃度を
図17に線形濃度目盛で提示しており、それにより、錠剤製剤は定常状態での投薬間の間隔にわたる平均血漿中濃度の変動(22.6%)がカプセル(40.7%)と比較して低いことが示される。
表14. 錠剤(硬度13Kp)4mgおよびカプセル4mgからの(Z)-エンドキシフェンの徐放性および取り込み-単回投与用量(n=9)-平均±SD
【表14】
【0427】
簡単に述べると、乾燥した白色~オフホワイト色の粉末の(Z)-エンドキシフェン遊離塩基を安定なさらさらした粉末として製剤化し、純粋でカプセルに充填してカプセル中API経口固体剤形とした。少なくとも90%が(Z)-エンドキシフェンであるエンドキシフェン4mgを純粋でVCaps(登録商標)Plus腸内カプセルにXcellodose技術(Capsugel)を使用して充填した。AICのサイズは0であり、色はスウェーデンオレンジであった。VCaps(登録商標)Plus腸内カプセル(Capsugel)はグルテンフリー、非動物性自己ゲル化産物ヒプロメロース(セルロースのメチルおよびヒドロキシプロピル混合型エーテル)製であり、含水量が少なく、(Z)-エンドキシフェンなどの感湿成分に適している。カプセルを、Coleら(Cole et al., Int. Journal of Pharmaceutics Vol. 231 83-95, 2002)の方法により、腸の標的化(上部GIおよび結腸)が実現されるように設計された腸溶コーティングでコーティングする。結腸標的化放出のための腸溶コーティングとしてEudragit FS D30を使用し、上部胃腸標的化放出のための腸溶コーティングとしてEudragit L30 D55を使用する。
【0428】
錠剤硬度が5Kpの腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の徐放性錠剤を用いた別の試験の結果から、同様の(Z)-エンドキシフェンの緩徐かつ持続的な放出プロファイル、ならびに有効なHPLC-UV法を使用して血清および血漿において測定した血中の平均濃度が示された(データは示していない)。
表15 (Z)-エンドキシフェン薬物動態パラメーター
‡の要約-単回投与用量(n=9)平均±SD
【表15】
【0429】
本試験およびin vitro薬物放出試験の結果から、錠剤を経口摂取した対象における対象の血液中への吸収速度がカプセルを経口摂取した対象における対象の血液中への吸収速度と比較して緩徐かつ持続的であることが示唆される。錠剤製剤への全身曝露はカプセル製剤と比較して減少し、幾何平均比(信頼区間)は血漿CmaxおよびAUC0~lastについてそれぞれ0.50(0.33~0.74)および0.77(0.47~1.25)であった。
【0430】
本試験の結果は、18歳以上65歳以下の健康な女性志願者12名に対して実施され、対象12名のうち9名に錠剤硬度が5Kpである活性な腸内コーティングされた遅延放出錠剤4mgを単回投薬し、3名の対象がプラセボを受けた同様の試験で観察された結果(データは示していない)と同様である。
【0431】
各群に対して上記の通り本試験のMAD相で26日目に開始して活性治療剤またはプラセボのいずれかを1日1回用量で14回投与した、群1の対象(カプセル、参照製品)および群2(錠剤)の血流中への(Z)-エンドキシフェンの出現を、有効なHPLC-MS法により、対象の血漿および血清を使用して測定し、薬物動態パラメーターを決定した。結果を以下に提示する。
表16.錠剤およびカプセルの複数回投与用量(14日の毎日の投薬)の薬物動態パラメーターの要約(n=9)-平均±SD
【表16】
試験のMAD相の薬物動態結果(平均±SD)が表16に示されている
【0432】
図16Aおよび
図16Bは、MAD相の各群の血漿中の(Z)-エンドキシフェンの平均濃度を線形目盛および片対数目盛で示す。血漿中および血清中(Z)-エンドキシフェンの定常状態レベルが実現されるまでの時間はおよそ14日であった。MAD相の結果から、複数回用量(14回の1日1回、4mg用量)の投与により、対象の血液中でおよそ13ng/mLの(Z)-エンドキシフェン(>30nM)が維持されることが示される(
図16Aおよび
図16B)。
【0433】
錠剤およびカプセルからの薬物の血漿中および血清中の相対的なバイオアベイラビリティを、最小二乗線形回帰分析を使用して算出した。血漿を使用して実施したバイオアベイラビリティ試験の結果を以下の表17に示す。錠剤製剤への全身曝露は錠剤製剤と比較して減少し、幾何平均比(信頼区間)は血漿C
maxおよびAUC
tauについてそれぞれ0.44(0.35;0.56)および0.50(0.30;0.65)である。
表17.錠剤(試験製品)とカプセル(参照製品)の相対的なバイオアベイラビリティの比較
【表17-1】
【表17-2】
【0434】
全体的に、本試験のPKの結果から、予想外に長引いた、すなわち持続的な、錠剤製剤からの(Z)-エンドキシフェンの放出が示され、最高血漿中濃度到達時間の中央値が錠剤(SAD=73.12時間;MAD=4時間)に関してカプセル製剤(SAD=6時間;MAD=4時間)と比較して実質的に大きく、単回用量および複数回用量投与後の全身曝露が実質的に減少した。表16に示されている通り、錠剤に関しては約14日間の1日1回の(Z)-エンドキシフェン投薬によってほぼ定常状態レベルに達し、定常状態において、錠剤製剤は投薬間の間隔にわたってカプセル投与と比較して小さい濃度の変動を示した。血漿(Z)-エンドキシフェン濃度は血清中濃度と高度に相関し、平均血清中濃度は、単回用量および複数回用量投与のどちらに関しても、概して、時点を対応させた平均血漿中濃度の1.1~1.2倍であった。血漿中(Z)-エンドキシフェン濃度と血清中(Z)-エンドキシフェン濃度の間で観察された差異と一致して、血清曝露PKパラメーター(例えば、CmaxおよびAUC)は単回投薬および複数回投薬のどちらに関しても対応するパラメーター値の1.1~1.2倍であった。
【0435】
安全性。錠剤を受けた対象において、予想外の有害事象も重篤な有害事象も認められず、臨床的に有意な有害な安全性シグナルも認められず、臨床的に有意な有害事象も認められなかった。カプセルとして投与された(Z)-エンドキシフェンと錠剤として投与された(Z)-エンドキシフェンの間でも、(Z)-エンドキシフェンとプラセボの間でも、安全性に明らかな差異はなかった。皮膚発疹および刺激または他の有害作用もしくは副作用に起因して試験から脱落したまたは除外された対象はいなかった。
【0436】
忍容性。錠剤は、試験全体を通して各対象による忍容性が良好であり、一部の対象が、本試験のMAD相中の毎日の報告書に軽度の血管運動性症状(顔面紅潮、寝汗、冷汗、「熱っぽい」感覚など)および頭痛および悪心が生じたことを報告した。
【0437】
本試験の単回用量投与相では、(Z)-エンドキシフェン後に対象18名のうち2名(11%)から顔面紅潮が報告され(カプセル後の対象2名)、これは(Z)-エンドキシフェン錠剤後の対象からは報告されなかった。プラセボを服用した対象1名により顔面紅潮が報告された。本試験の複数回用量試験投与相では、(Z)-エンドキシフェン後に対象18名のうち4名(22%)(錠剤後の対象1名およびカプセル後の対象3名)、ならびにプラセボ後の対象6名のうち2名(33%)から顔面紅潮が報告された。本試験中に錠剤を服用した対象およびカプセルを服用した対象における顔面紅潮の強度は軽度であった。錠剤またはカプセルを服用した対象に中等度または高強度の顔面紅潮が生じた対象はいなかった。
【0438】
本試験の複数回用量投与相において、(Z)-エンドキシフェン後の対象19名のうち2名(11%)(カプセル後の対象2名)から寝汗が報告され、これは錠剤またはプラセボ(Z)-エンドキシフェン後の対象からは報告されなかった。したがって、結果から、これらの対象における血管運動性症状の強度および頻度が、タモキシフェンの経口摂取時に軽度、中等度および高強度の血管運動性症状が生じた対象の報告されたパーセンテージ(78%)よりも低いことが示される(Mortimer et al)。これは、タモキシフェンを服用した対象に中等度~高強度の顔面紅潮などの血管運動性症状が生じたという報告を踏まえると、印象的で驚くべきことである。徐放性錠剤のこの定性的効果は当業者には予測することができなかった。
【0439】
いかなる作用機序にも任意の他の理論にも縛られることを望むものではなく、本開示は、本開示の徐放性錠剤が、(Z)-エンドキシフェン、またはその多形体もしくは塩を含む組成物の開発において、そのような徐放性錠剤の投与を受けた対象における血管運動性症状の低減および耐容性に関して重要な改善であることを示す。
(実施例9)
双極性障害を有する対象に対する徐放性(Z)-エンドキシフェン遊離塩基の第I相、ランダム化、二重盲検式、実対照、安全性および薬物動態試験
【0440】
気分障害を有する身体が健康な対象に対してランダム化二重盲検式対照試験を実施し、種々のレベルの(Z)-エンドキシフェンを指定期間にわたって投薬し、効果について気分の評価を行う。本試験の主要目的は、少なくとも2つの固定された経口量の、腸溶コーティングされた遅延放出錠剤の形態の徐放性経口(Z)-エンドキシフェン遊離塩基組成物(「錠剤」)と、延長放出ジバルプロエクス(Depakote)(1000mg)(「対照」)の薬物動態を決定し、比較すること、ならびに双極性障害、BPD I、現在の躁病または混合型エピソードを有する患者、BPD Iの診断を受けている患者に対する腸溶コーティングされた遅延放出(Z)-エンドキシフェンの有効性および安全性を評価することである。
【0441】
DSM-IV-TRに従って急性躁病または混合型エピソードを示している(精神病の特色を伴うまたは伴わない)18歳~65歳(どちらも包括的)の身体が健康な男性および女性対象を試験のために選択する。BPD Iに対する薬物の最後の摂取は個々の薬物の血漿中半減期に応じてランダム化の前の2~7日以内とする。ベンゾジアゼピン系薬(ロラゼパム/ジアゼパムのみ)を服用している場合にはそれ以外の向精神薬は全てランダム化の少なくとも2日前に中止する。子をもうける潜在性がある男性の患者および出産の潜在性がある女性の患者は、適切な避妊を実施していれば本試験に登録する。スクリーニング時およびランダム化時に(ベースライン)ヤング躁病評価尺度(Young Mania Rating Scale)(YMRS)の総合スコアが20であり、臨床全般印象尺度-疾患の重症度(Clinical Global Impressions-Severity of Illness)(CGI-S)尺度(Scale)のスコアが4である患者を選択する。
【0442】
3週間の二重盲検式処置相へのランダム化を行う前に、対象は、書面のインフォームドコンセントに署名後にスクリーニングおよび1週間の休薬期間を受ける。本試験に参加する患者は、ランダム化および二重盲検様式で21日にわたる2:1(エンドキシフェン:ジバルプロエクス)にランダムに割り当てられる。エンドキシフェンを腸溶コーティングされた徐放性錠剤として2つの固定用量(2mg/日および4mg/日)で、およびジバルプロエクス1,000mgの延長放出錠剤をBPD Iの処置のために経口与薬する。
【0443】
試験の評価は、あらゆる試験中の有害事象および併用薬の使用の評価を含めた対象の病歴;身長および体重;身体検査;定期的なバイタルサイン(体温、心拍数、呼吸数、血圧);定期的な12誘導ECGの取得を含む。臨床検査(laboratory test)には血液学的検査、凝固、尿検査、血清生化学検査およびバイオマーカー分析(例えば、CYP2D6、BRCA1/2、Ki-67、タモキシフェン 代謝産物など)が含まれる。処置の安全性を評価するための特定の評価は以下を含む:有害事象の頻度および型、臨床検査(clinical laboratory testing)、12誘導ECGおよびバイタルサイン。改変FACT-ES(登録商標)スコアリング質問票を使用して総体的症状を評価する。
薬物動態
【0444】
平均および個々の(Z)-エンドキシフェン血清中濃度-時間曲線を各用量コホートについて表にし、図表で示し、濃度を線形目盛および対数目盛で示す。各参加者について薬物動態パラメーターを決定し、記述統計(算術平均、標準偏差、変動係数、サンプルサイズ、最小値、最大値および中央値)を使用してコホートごとに要約する。さらに、AUCおよびCmaxに関して幾何平均を算出する。線形モデルを使用した分析を実施して用量比例性(単回投薬後および複数回投薬後の両方)、時間依存性および蓄積(経口複数回投薬)、ならびに定常状態の実現(複数回投薬)を評価する。
【0445】
最初の投薬および最後の投薬に関して決定したパラメーターは、最高濃度到達時間(Tmax)、最高濃度(Cmax)、薬物投与後0時間から24時間までの濃度-時間曲線下面積(AUC0~24h)、終末相消失速度定数(kel)、終末相半減期(t1/2)、終末相クリアランス(CL/F)および分布容積(Vd/F)を含む。1日目の最初の投薬に関しては0時間から無限時間までの濃度-時間曲線下面積(AUC0~inf)も決定した。
【0446】
ノンコンパートメント法(複数可)を使用して薬物動態パラメーターを決定する。薬物動態パラメーターの記述統計は、平均値、標準偏差(SD)、および変動係数(CV)、最小値(min)および最大値を(max)含む。薬物動態パラメーターの用量に関連する傾向を評価する。
【0447】
平均および個々のエンドキシフェン血清中濃度-時間曲線を各用量コホートに関して表にする。各対象について薬物動態パラメーターを決定し、記述統計(算術平均、SD、CV、サンプルサイズ[N]、min、maxおよび中央値)を使用してコホートごとに要約する。さらに、AUCおよびCmaxに関して幾何平均を算出した。線形モデルを使用した分析を実施して用量比例性を評価する(単回投薬(経口)後および複数回投薬(局部および経口)後の両方)。薬物動態パラメーターに対してSAS v9.3およびPhoenix WinNonLinバージョン7.0またはそれ以降のバージョンを使用して統計解析を実施する。
【0448】
安全性エンドポイントを用量コホートごとに要約し、コホートにわたって対照をプールする。処置下で発現したAEにMedDRAの最新バージョンを使用して器官別大分類(SOC)および基本語ごとにコード付けし、報告者が使用した用語から分類する。AEおよびSAEの発生率および頻度をコホートごとにSOCおよび基本語に従って、ならびに重症度および関連性によって要約する。AEの持続時間を決定し、取られた措置および転帰と共に一覧表に含める。バイタルサイン、ECGおよび安全性に関する臨床試験パラメーターを予定された各時点で記述統計を使用して要約する。投薬後評価をベースライン測定値と比較する。検査値異常の発生率を要約する。
(実施例10)
乳がんを処置するための経口エンドキシフェンの第2相臨床試験
【0449】
乳がんを処置するための(Z)-エンドキシフェンの第2相臨床試験を実施した。侵襲性乳がんを有する対象に対して、乳房切除術または乳腺腫瘤摘出術を受ける前に(Z)-エンドキシフェンを経口投与した。手術前の経口(Z)-エンドキシフェン処置のKi-67発現レベルによって測定される臨床応答に対する効果を評価した。対象における腫瘍細胞の増殖の評価基準としてKi-67発現レベルを使用した。本試験の目的は、経口投与されたエンドキシフェンの乳がん腫瘍細胞の増殖に対する効果を決定することであった。
【0450】
(Z)-エンドキシフェンの経口投与の副次効果、すなわち、手術前の(Z)-エンドキシフェン処置のエストロゲン受容体およびプロゲステロン受容体の発現レベルに対する効果も評価した。さらに、(Z)-エンドキシフェンを4mg/日で最低14~40日間投与した乳がん患者における(Z)-エンドキシフェンの安全性および忍容性を評価し、(Z)-エンドキシフェン血中濃度に対するKi-67、ERおよびPgRの発現の変化の相互関係を示した。追加の探索的目的は、手術前の(Z)-エンドキシフェン処置のPCNA(S期)、ホスホヒストンH3(M期)、p16およびp21(老化)、ベータガラクトシダーゼ(老化)、およびTUNEL(アポトーシス)マーカーに対する効果を評価すること、ならびにRNA配列を使用して腫瘍RNA発現の変化を同定することを含む。
【0451】
乳房切除術または乳腺腫瘤摘出術を必要とする侵襲性乳がんの診断を受けた対象を選択し、ここで、がんは、エストロゲン受容体(ER)陽性かつヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陰性であった。
表18.臨床試験登録基準の要約
【表18】
【0452】
対象が炎症性乳癌の診断を受けている場合、ステージIV乳がんを有する場合、HER2陽性疾患の診断を受けている場合、触知できる結節もしくは腋窩結節陽性の臨床的疑いを有する場合、別の抗エストロゲン薬を用いた同時の処置を受けている場合、試験を受ける乳房に潰瘍形成および真菌感染を含めた感染を有する場合、凝固障害を有する場合、出血しやすい、もしくは血小板減少症である場合、抗凝固薬を現在使用している場合、Child-Pugh Class Cまたはそれよりも悪い肝臓機能障害を有する場合、以前に乳房または胸壁に対する放射線照射を受けている場合、試験に関するあらゆる薬物に対して既知の重症過敏症を有する場合、妊娠中もしくは授乳中である場合、腎機能障害を有する場合、心機能障害もしくは心臓に関する問題の履歴を有する場合、栄養状態不良の場合、骨髄機能低下を有する場合、重篤な感染症を有する場合、腹水を有する場合、胸水を有する場合、肝疾患を有する場合、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、自己免疫性肝疾患もしくは硬化性胆管炎に起因して血清学的検査もしくは既知の活動性疾患が陽性である場合、HIV感染に起因して血清学的検査もしくは既知の活動性疾患が陽性である場合、登録前28日以内に大手術もしくは明白な外傷を受けている場合、実験薬試験に並行して参加している場合、並行して化学療法を受けている場合、血栓塞栓事象の病歴がある場合、または任意の他の理由で試験担当医師により志願者が試験に不適当であるとみなされた場合、当該患者を試験から除外した。
【0453】
乳房切除術または乳腺腫瘤摘出術が予定されているER陽性侵襲性乳がんを有する対象を本試験の考慮に入れた。試験に同意する対象を投薬開始前28日以内にスクリーニングした。潜在的な対象に、免疫病理診断に使用した生検材料から組織切片を得ることに対して同意するよう要求した。生検材料を使用して、Ki-67、ER、PgRおよび探索的マーカーのベースライン発現レベルを決定した。
【0454】
対象6名の最初の群を選択した。対象は試験評価のために処置の開始前2日以内に臨床施設に来訪した。対象に試験薬を供給し、毎日自己投与するよう要求した。試験薬投与(日時)およびあらゆる有害事象を記録するための試験日誌を各対象に提供した。対象全員が、予定されている外科手術の前日まで、最低14日にわたって毎日4mg/日の(Z)-エンドキシフェン経口投薬を受けた。対象に、各用量を朝に試験薬物適用前少なくとも8時間から試験薬物適用の1時間後まで食物を取らないと定義される絶食状態で服用するように指示した。対象に(Z)-エンドキシフェンをカップ一杯(およそ240mL)の非炭酸常温水(必要であれば追加の水は許容される)と共に経口で自己投与するように指示した。水の摂取に関して制限はない。連続した用量を24(±2)時間空けて投与する。予定された投薬をし損ねた場合、予定された投薬から最大6時間までに服用することができる。
【0455】
各対象は、予定されている外科手術の前の週に1日、安全性評価のために臨床施設に戻った。乳房切除術(または乳腺腫瘤摘出術)の間に得られた腫瘍組織におけるKi-67、ER、プロゲステロン受容体(PgR)、および他の探索的マーカーの発現を測定し、試験処置の開始前に得た手術前のベースライン生検材料におけるこれらのマーカーの発現と比較した。増殖細胞核抗原(PCNA、S期)、リン酸化ヒストンH3(M期)、p16およびp12(老化)、ベータガラクトシダーゼ(老化)、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識(TUNEL、アポトーシス)、およびRNA配列を含めた薬力学的探索的マーカーを評価した。標準の免疫病理技法を使用してKi-67、ER、PgR発現を測定し、確立された実験アッセイを使用して探索的マーカーを測定した。試験処置投与の14日目の投薬前に採血した血液中で測定された血中エンドキシフェンレベル。エンドキシフェンの個々のおよび平均血清中濃度および血漿中濃度を表にした。
【0456】
対象6名の群からの最初の結果から、乳がん細胞活性の一般に認められている標準の測定値であるKi-67レベルによって測定して、これらの対象ではKi-67レベルが平均で69%減少したことから、腫瘍細胞の増殖の統計的に有意な減少が示された。Ki-67レベルが低いと無病生存(DFS)が増大することが示されている。外科手術前に経口エンドキシフェンを受けた試験患者の腫瘍におけるKi-67が69%減少したことは、大きく、かつ潜在的に臨床的に意味のあるものと考えられる。Ki-67は全ての患者で50%よりも大きく減少し、Ki-67の平均減少が69%であった。患者の3分の2がエンドキシフェン服用前に高いまたは非常に高いKi-67レベル(高いとは約14%~約25%を意味し、非常に高いとは40%を超えることを意味する)を有し、全員がエンドキシフェン処置後には低レベルを有した(約14%未満と定義される)。処置は16~40日間の範囲であり、平均で22日間であった。多くの場合タモキシフェン使用中の患者の忍容性の課題になる顔面紅潮および寝汗などの血管運動性症状を含めた安全性または忍容性の問題は認められなかった。
表19.経口エンドキシフェンを受けている対象におけるKi-67レベルの最初の結果
【表19】
【0457】
その後の結果から、Ki-67によって測定される腫瘍細胞の増殖の平均減少が対象6名に関して22日間の投薬にわたって約74%であったことが示された。この減少は統計的に有意であった(p=0.031)。6名の対象全員(対象の100%)に、エンドキシフェン経口投与での処置後にKi-67の有意な減少が生じた。Ki-67は全ての患者において最初の生検と外科手術の間の機会のウインドウ内で50%よりも大きく減少した。Ki-67の全体的な減少の平均は74%であった。対象6名のうち4名がエンドキシフェン服用の前に高いまたは非常に高いKi-67レベルを有し、エンドキシフェンでの処置後には低いKi-67レベルを有した。低いを<14%と定義し、高いを約14~40%と定義し、非常に高いを>40%と定義した。処置後、6名の患者全員のKi-67レベルが25%を下回った。Ki-67はER+乳がん患者の全生存を予測するための独立した予後判定値であり、25%のカットオフがより低い発現率での死亡の最大リスクに関連付けられる。
(実施例11)
(Z)-エンドキシフェンの安全性、忍容性、および薬物動態
【0458】
健康な女性志願者に対する(Z)-エンドキシフェンの安全性、忍容性および薬物動態を評価した(プロトコールAG-1001-AU-001)。参加者を経口(Z)-エンドキシフェン(1mg、2mgおよび4mg)を用いて1日1回、合計15回の投薬(1日目、および8~21日目)で処置した。
【0459】
単回用量として投与し、次いで14日間毎日投与したところ、(Z)-エンドキシフェンの忍容性は良好であった。(Z)-エンドキシフェンを受けた対象のいずれにおいても臨床的に有意な安全性シグナルは認められず、概して、安全性および忍容性エンドポイントのいずれに関しても用量に関連するまたは処置に関連する傾向は認められなかった。因果関係があるかもしれないかまたはおそらくあり、(Z)-エンドキシフェンを受けた参加者においてのみ報告された一般に生じる有害事象(AE)には、上気道感染、顔面紅潮、腹部膨満、口渇および月経遅延が含まれた。
【0460】
本試験で使用した3つの用量レベルにわたって(Z)-エンドキシフェンの最高濃度(ピーク)(C
max)および曲線下面積(24時間)(AUC
24hr)に用量比例性が認められた。用量レベルごとの平均半減期(t
1/2)は42時間~53時間の範囲であった。1日1回の投薬でおよそ7日後に定常状態に達したと思われた。経口投与されたエンドキシフェンを用いて行った臨床試験を表20に要約する。
表20.エンドキシフェンの経口投与を用いた臨床試験の要約
【表20-1】
【表20-2】
【0461】
定常状態(AUC
tau/tau)での平均濃度を公開されている値と比較した。
表21.定常状態での平均濃度の比較
【表21】
【0462】
本発明の好ましい実施形態が本明細書において示され、記載されているが、そのような実施形態が単に例として提供されていることは当業者には明白であろう。当業者は、本発明から逸脱することなく多数の変形、変化および置換をすぐに思いつくであろう。本明細書に記載の発明の実施形態に対する種々の代替を本発明の実施に使用することができることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲により本発明の範囲が規定されること、ならびに、それにより、これらの特許請求の範囲内に入る方法および構造およびそれらの等価物が包含されることが意図されている。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
治療剤と徐放剤とを含む徐放性組成物であって、前記治療剤が、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せであり、前記治療剤が、37℃で0~2時間pH1.2の模擬胃液中でおよび2時間後にpH6.8の模擬腸液中で測定して、
2時間で20%未満の溶解パーセンテージ、
7時間で40%未満の溶解パーセンテージ、および
12時間で少なくとも30%の溶解パーセンテージ
から選択される少なくとも2つの溶解パーセンテージパラメーターを有する、徐放性組成物。
(項目2)
前記治療剤が、前記溶解パーセンテージパラメーターのうちの少なくとも3つを有する、項目1に記載の徐放性組成物。
(項目3)
前記治療剤が、3時間で35%未満の溶解パーセンテージを有する、項目1または項目2に記載の徐放性組成物。
(項目4)
前記治療剤が、12時間で35%~55%の範囲の溶解パーセンテージを有する、項目1から3のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目5)
前記治療剤が、24時間で少なくとも50%の溶解パーセンテージを有する、項目1から4のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目6)
前記治療剤が、24時間で65%~85%の範囲の溶解パーセンテージを有する、項目1から5のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目7)
前記徐放剤が、セルロースエーテル、ゴム、アクリル樹脂、またはこれらの組合せからなる群から選択される、項目1から6のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目8)
前記徐放剤が、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはこれらの組合せである、項目1から7のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目9)
前記徐放剤が、ヒプロメロースである、項目1から8のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目10)
治療剤と、
徐放剤と
を含む徐放性組成物であって、
前記治療剤が、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せであり、前記徐放剤が、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される、徐放性組成物。
(項目11)
少なくとも1%w/w、少なくとも10%w/w、少なくとも20%w/w、少なくとも25%w/w、少なくとも30%w/w、少なくとも35%w/w、または少なくとも40%w/wの徐放剤を含む、項目1から10のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目12)
1%~99%w/wの徐放剤を含む、項目1から11のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目13)
5%~90%w/wの徐放剤を含む、項目1から12のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目14)
5%~70%w/wの徐放剤を含む、項目1から12のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目15)
10%~40%w/wの徐放剤を含む、項目1から12のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目16)
15%~40%w/wの徐放剤を含む、項目1から12のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目17)
0.25%~10%w/w、0.5%~8%w/w、または1%~4%w/wの治療剤を含む、項目1から16のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目18)
治療剤の少なくとも90%w/w、少なくとも95%w/w、または少なくとも99%w/wが、(Z)-エンドキシフェンの形態I、(Z)-エンドキシフェンの形態II、(Z)-エンドキシフェンの形態III、またはこれらの組合せである、項目1から17のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目19)
結合剤、滑沢剤、またはこれらの組合せをさらに含む、項目1から18のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目20)
前記結合剤が、単糖類、二糖類、デンプン、多価アルコール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、ラクトース、ポリエチレングリコール、ゴム、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、無水リン酸水素カルシウム、タルク、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、またはこれらの組合せである、項目19に記載の徐放性組成物。
(項目21)
前記結合剤が、微結晶性セルロース性である、項目19または項目20に記載の徐放性組成物。
(項目22)
1%~99%w/wの前記結合剤を含む、項目19から21のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目23)
1%~99%w/wの前記結合剤を含む、項目19から21のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目24)
30%~97%w/wの前記結合剤を含む、項目19から21のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目25)
40%~75%w/wの前記結合剤を含む、項目19から21のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目26)
50%~75%w/wの前記結合剤を含む、項目19から21のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目27)
前記滑沢剤が、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カリウム、硬化植物油、鉱物油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、マクロゴール、タルク、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、蝋、またはこれらの組合せである、項目19から26のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目28)
前記滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムである、項目27に記載の徐放性組成物。
(項目29)
治療剤と徐放剤とを含む錠剤を包み込む腸溶コーティングをさらに含み、前記腸溶コーティングが、
遅延放出剤、
可塑剤、
粘着防止剤、または
これらの組合せ
を含む、項目1から28のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目30)
前記腸溶コーティングが、前記徐放性組成物の4%~40%w/wである、項目29に記載の徐放性組成物。
(項目31)
前記腸溶コーティングが、前記徐放性組成物の5%~30%w/wである、項目29または項目30に記載の徐放性組成物。
(項目32)
前記腸溶コーティングが、前記徐放性組成物の5%~25%w/wである、項目29から31のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目33)
前記腸溶コーティングが、前記徐放性組成物の5%~20%w/wである、項目29から31のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目34)
前記腸溶コーティングが、前記徐放性組成物の5%~15%w/wである、項目29から31のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目35)
前記遅延放出剤が、前記腸溶コーティングの0.1%~30%w/wで存在する、項目29から34のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目36)
前記遅延放出剤が、前記腸溶コーティングの5%~25%w/wで存在する、項目29から34のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目37)
前記遅延放出剤が、前記腸溶コーティングの8%~14%w/wで存在する、項目29から34のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目38)
前記遅延放出剤が、ポリメタクリレートである、項目29から37のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目39)
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、項目1から38のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目40)
錠剤と前記錠剤を包み込む腸溶コーティングとを含む徐放性組成物であって、
前記錠剤が、
治療剤、および
徐放剤
を含み、
前記腸溶コーティングが、
遅延放出剤、
可塑剤、
粘着防止剤、または
これらの組合せ
を含み、
前記治療剤が、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せであり、前記徐放剤が、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される、徐放性組成物。
(項目41)
錠剤と前記錠剤を包み込む腸溶コーティングとを含む徐放性組成物であって、前記錠剤が、治療剤およびヒプロメロースを含み、前記治療剤が、少なくとも90%(Z)-エンドキシフェンを含み、前記腸溶コーティングが、ポリ(メタ)アクリレートポリマーおよびクエン酸トリエチルを含む、徐放性組成物。
(項目42)
前記腸溶コーティングが、タルクをさらに含む、項目41に記載の徐放性組成物。
(項目43)
前記錠剤が、総錠剤重量に対して少なくとも20%w/wのヒプロメロースを含む、項目41または項目42に記載の徐放性組成物。
(項目44)
前記錠剤が、前記総錠剤重量に対して1%~40%w/wの治療剤を含む、項目41から43のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目45)
前記腸溶コーティングが、総腸溶コーティング重量に対して60%~80%w/wのポリ(メタ)アクリレートポリマーを含む、項目41から44のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目46)
前記腸溶コーティングが、前記総腸溶コーティング重量に対して10%w/w以下のクエン酸トリエチルを含む、項目41から45のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目47)
前記腸溶コーティングが、前記総腸溶コーティング重量に対して10%~40%w/wのタルクを含む、項目41から46のいずれか一項に記載の徐放性組成物。
(項目48)
徐放性組成物を調製する方法であって、
(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、およびこれらの組合せから選択される治療剤と、
徐放剤と、
結合剤と、
滑沢剤と
を合わせて、混合するステップ;および
前記治療剤、少なくとも1つの徐放剤、少なくとも1つの結合剤および少なくとも1つの滑沢剤を乾式圧縮してコア錠剤を形成するステップ
を含む方法。
(項目49)
少なくとも1つの遅延放出剤と、
少なくとも1つの可塑剤と、
少なくとも1つの粘着防止用構成成分または付着防止用構成成分と
を合わせて、混合することによって、コーティング溶液を形成するステップ;および
前記コア錠剤を前記コーティング溶液で実質的にコーティングすることによって、機能性コーティングを形成するステップ
をさらに含む、項目48に記載の方法。
(項目50)
徐放性組成物をそれを必要とする対象に投与する方法であって、前記徐放性組成物をそれを必要とする前記対象に経口投与するステップを含み、
前記徐放性組成物が、治療剤および徐放剤を含み、前記治療剤が、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せであり、
前記徐放性組成物が、前記治療剤の20%未満が投与の2時間後に溶解し、前記治療剤の少なくとも30%が投与後12時間以内に溶解するように製剤化される、方法。
(項目51)
前記徐放性組成物が、前記治療剤の40%未満が投与の7時間後に溶解するように製剤化される、項目50に記載の方法。
(項目52)
徐放性組成物をそれを必要とする対象に投与する方法であって、前記徐放性組成物をそれを必要とする前記対象に経口投与するステップを含み、
前記徐放性組成物が、治療剤および徐放剤を含み、前記治療剤が、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せであり、
前記徐放性組成物が、前記治療剤の20%未満が、2時間後に模擬胃液に溶解し、前記治療剤の少なくとも30%が、2時間後に模擬胃液に溶解し、続いて10時間後に模擬腸液に溶解するように製剤化される、方法。
(項目53)
前記徐放性組成物が、前記治療剤の40%未満が、2時間後に模擬胃液に溶解し、続いて5時間後に模擬腸液に溶解するように製剤化される、項目52に記載の方法。
(項目54)
徐放性組成物をそれを必要とする対象に投与する方法であって、前記徐放性組成物をそれを必要とする前記対象に経口投与するステップを含み、
前記徐放性組成物が、治療剤および徐放剤を含み、前記治療剤が、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せであり、
前記治療剤が、前記対象の血清中で少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも15時間、少なくとも20時間、または少なくとも24時間の実測最高濃度到達時間を示す、方法。
(項目55)
それを必要とする対象を処置する方法であって、前記対象が、障害に罹患しているかまたは前記障害に罹患するリスクがあり、前記方法が、前記対象に、項目1から47のいずれか一項に記載の徐放性組成物を投与するステップを含む、方法。
(項目56)
それを必要とする対象を処置する方法であって、前記対象が、障害に罹患しているかまたは前記障害に罹患するリスクがあり、前記方法が、前記対象に徐放性組成物を投与するステップを含み、前記徐放性組成物が、
治療剤、および
徐放剤
を含み、前記治療剤が、(Z)-エンドキシフェン遊離塩基、(Z)-エンドキシフェンの多形体、(Z)-エンドキシフェンの塩、またはこれらの組合せであり、前記徐放剤が、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される、方法。
(項目57)
前記障害が、乳房障害である、項目55または項目56に記載の方法。
(項目58)
前記乳房障害が、良性乳房障害、過形成、異型、異型乳管過形成、異型小葉過形成、乳腺濃度上昇、女性化乳房症、非浸潤性乳管癌、非浸潤性小葉癌、乳がん、思春期早発症、またはマッキューン・オルブライト症候群である、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記徐放性組成物が、経口投与される、項目55から58のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
前記治療剤が、前記対象の血清中で少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも15時間、少なくとも20時間、または少なくとも24時間の実測最高濃度到達時間を示す、項目55から59のいずれか一項に記載の方法。
(項目61)
前記徐放性組成物が、追加の治療剤と組み合わせて投与される、項目55から60のいずれか一項に記載の方法。
(項目62)
前記追加の治療剤が、選択的セロトニン再取り込み阻害剤である、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記選択的セロトニン再取り込み阻害剤が、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、およびビラゾドンからなる群から選択される、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記対象が、前記対象の組織または体液中のバイオマーカーレベルの、正常な対象における前記バイオマーカーレベルと比較して統計的に有意な変更を有する、項目55から63のいずれか一項に記載の方法。
(項目65)
前記バイオマーカーが、Ki-67、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、増殖細胞核抗原、リン酸化ヒストンH3、p16、p12、ベータ-ガラクトシダーゼ、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識、およびRNA配列、またはこれらの組合せからなる群から選択される、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記対象の前記組織における前記バイオマーカーの前記レベルが、前記徐放性組成物の投与後に低下される、項目64または項目65に記載の方法。
(項目67)
前記対象の前記組織における前記バイオマーカーの前記レベルが、前記徐放性組成物の投与後に上昇される、項目64または項目65に記載の方法。
(項目68)
前記組織が、罹患組織である、項目64から67のいずれか一項に記載の方法。
(項目69)
前記徐放性組成物が、前記対象に14日~40日間、10日~50日間、10日~40日間、10日~35日間、10日~30日間、10日~25日間、12日~50日間、12日~40日間、12日~35日間、12日~30日間、12日~25日間、12日~45日間、12日~30日間、14日~30日間、14日~50日間、14日~40日間、14日~35日間、14日~30日間、14日~25日間、16日~50日間、16日~40日間、16日~35日間、16日~30日間、16日~25日間、18日~50日間、18日~40日間、18日~35日間、18日~30日間、18日~25日間投与される、項目55から68のいずれか一項に記載の方法。
(項目70)
前記徐放性組成物が、1日に1回、1日に2回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または7日に1回投与される、項目55から69のいずれか一項に記載の方法。
(項目71)
1用量当り1mg~4mg、2mg~4mg、2mg~6mg、2mg~8mg、1mg~10mg、1mg~12mg、1mg~16mg、2mg~10mg、2mg~12mg、2mg~16mg、3mg~10mg、3mg~12mg、3mg~16mg、4mg~10mg、4mg~12mg、または4mg~16mgの前記徐放性組成物が、前記対象に投与される、項目55から70のいずれか一項に記載の方法。