(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】システム電源
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20250408BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
H02J1/00 303
H02J7/00 P
(21)【出願番号】P 2023562708
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 CN2022080959
(87)【国際公開番号】W WO2022218086
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】202110390283.5
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523369916
【氏名又は名称】ホーフェイ イートン エレクトロニック テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HEFEI YITONG ELECTRONIC TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】4/f, Block D, building g 4, Phase 2, Innovation Industrial Park Hefei high-tech Industrial Development Zone Hefei, Anhui 230088 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ユェン ティンホア
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-048839(JP,A)
【文献】特開2016-222085(JP,A)
【文献】特開2002-252933(JP,A)
【文献】国際公開第2005/115799(WO,A1)
【文献】中国実用新案第211543432(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電源、動作電源ユニット、複数の制御モジュール及びワイヤハーネスを含むシステム電源であって、前記ワイヤハーネスは、動作電源線と入力電源線とを含んでおり、前記複数の制御モジュールのそれぞれにおいて、入力電源ポートは入力電源線に接続されており、動作電源ポートは動作電源線に接続されており、前記入力電源は前記入力電源線に接続されており、前記動作電源ユニットの出力は前記動作電源線に接続されており、
前記動作電源ユニットの入力は入力電源又は外部接続電源であり、
前記動作電源ユニットは絶縁型DC/DC電源であり、前記絶縁型DC/DC電源の正極入力端は前記入力電源に接続されており、前記絶縁型DC/DC電源の負極出力端は前記入力電源の正極に接続されており、
前記動作電源ユニットはDC/DC変換電源であり、前記DC/DC変換電源の正極入力端は前記入力電源に接続されており、前記DC/DC変換電源の負極出力端は前記入力電源の負極に接続されていることを特徴とするシステム電源。
【請求項2】
前記入力電源は蓄電池であることを特徴とする請求項1に記載のシステム電源。
【請求項3】
前記複数の制御モジュールの少なくとも1つが、前記動作電源ユニットを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム電源。
【請求項4】
少なくとも2つの前記動作電源ユニットが配置されており、前記動作電源ユニットそれぞれの出力端は、ダイオードに直列接続されてから、制御電源線に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム電源。
【請求項5】
前記複数の制御モジュールは、いずれも動作電源保護装置を含んでおり、前記動作電源保護装置の一端は前記動作電源線に接続されており、前記動作電源保護装置の他端は前記制御モジュールに含まれる制御回路基板に動作電源を提供し、前記動作電源保護装置は、セルフリセッタブルヒューズ、電流制限回路又はセルフリセッタブルヒューズと電流制限回路との直列接続からなる保護回路を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム電源。
【請求項6】
前記動作電源ユニットは、動作電源VCCが制御モジュールの動作電源の要求を満たすと共に、制御モジュールがN型MOSトランジスタを駆動する制御電圧の要求を満たすように、VCCのレベル振幅及び電子スイッチトランジスタの制御電極導通レベル振幅が選択されることを特徴とする請求項1に記載のシステム電源。
【請求項7】
前記制御モジュールに含まれる制御回路基板は、論理ユニット及び駆動ユニットを含んでおり、論理ユニットのポートD1によって、電子スイッチトランジスタM1のオンオフが制御され、電子スイッチトランジスタM1の出力は負荷に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム電源。
【請求項8】
前記制御モジュールに含まれる制御回路基板に、対応する動作電源のポートに接続されているハイサイド駆動回路が設けられており、前記ハイサイド駆動回路は、前記制御モジュールの内部の電子スイッチトランジスタのオンオフを駆動することを特徴とする請求項1に記載のシステム電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御技術分野に属し、具体的には、車両の複数の制御モジュールに必要な動作電源の伝送に用いられるシステム電源に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の制御モジュールに必要な動作電源は制御モジュールに含まれる電源の変換によって実現され、各制御モジュールは動作電源変換装置を備えている。
【0003】
自動車技術の進歩に伴い、車両の制御モジュールは現地電気インテリジェント化、小型化へと発展している。制御システムは、車体の電器の制御に用いられ、比較的多くの制御モジュールが必要である。自動車の入力電源の不安定、自動車の電気的環境が悪い、といった原因によって、制御モジュールの動作電源変換装置を配置する技術的難易度が高くなり、電源変換がより複雑化し、コストの増大及び信頼性の低下が生じる。
【0004】
したがって、各制御モジュールの本体に動作電源を配置するモデルでは、複数の制御モジュールの実現が難しく、複数の制御モジュールの小型化も難しく、制御システムの経済性も悪い。
【発明の概要】
【0005】
本発明では、システム電源の提供を目的とする。このシステム電源は、1本の動作電源線を介して、複数の制御モジュールに動作電源を提供する。これによって、各制御モジュールに動作電源を独立して設置する従来のやり方が不要となり、制御システムの低コストと高信頼性を実現する。制御モジュールの小型化と集積回路化の実現にも有利である。
【0006】
本発明の技術的解決手段は、以下の通りである。
【0007】
入力電源、動作電源ユニット、複数の制御モジュール及びワイヤハーネスを含むシステム電源であって、ワイヤハーネスは、動作電源線と入力電源線とを含む。複数の制御モジュールにおいて、入力電源ポートは入力電源線に接続されており、動作電源ポートは動作電源線に接続されている。入力電源は入力電源線に接続されており、動作電源ユニットの出力は動作電源線に接続されている。
【0008】
入力電源は蓄電池である。
【0009】
動作電源ユニットの入力は入力電源又は外部接続電源である。
【0010】
複数の制御モジュールの少なくとも1つが、動作電源ユニットを含む。
【0011】
少なくとも2つの動作電源ユニットが配置されており、当該動作電源ユニットそれぞれの出力端は、ダイオードに直列接続されてから、制御電源線に接続されている。
【0012】
動作電源ユニットは絶縁型DC/DC電源であり、絶縁型DC/DC電源の正極入力端は入力電源に接続されており、絶縁型DC/DC電源の負極出力端は入力電源の正極に接続されてよい。
【0013】
動作電源ユニットはDC/DC変換電源であり、DC/DC変換電源の正極入力端は入力電源に接続されており、DC/DC変換電源の負極出力端は入力電源の負極に接続されてよい。
【0014】
複数の制御モジュールは、いずれも動作電源保護装置を含んでおり、動作電源保護装置の一端は動作電源線に接続されており、動作電源保護装置の他端は制御モジュールに含まれる制御回路基板に動作電源を提供する。動作電源保護装置は、セルフリセッタブルヒューズ、電流制限回路又はセルフリセッタブルヒューズと電流制限回路との直列接続からなる保護回路を含む。
【0015】
制御モジュールに含まれる制御回路基板に、対応する動作電源のポートに接続されているハイサイド駆動回路が設けられている。ハイサイド駆動回路は、制御モジュール内の電子スイッチトランジスタのオンオフを駆動する。
【0016】
産業上の利用可能性
本発明は、少なくとも1つの動作電源ユニットを配置するだけで、動作電源線及び入力電源線を介して、複数の制御モジュールに入力電源及び動作電源を伝送することが実現される。従来のようにすべての制御モジュールに動作電源を配置する必要はない。本発明のシステム電源による主な効果は以下の通りである。(1)制御モジュールの小型化を実現しやすい。(2)制御システムの信頼性が向上される。(3)制御システムのコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態の構造原理の概略図である。
【
図2】本発明の動作電源がハイサイド状態におけるシステム電源と動作電圧との相対的関係図である。
【
図3】本発明の動作電源がローサイド状態におけるシステム電源と動作電圧との相対的関係図である。
【
図4】本発明に係る動作電源ユニットを含む2つの制御モジュールのシステム接続図である。
【
図5】動作電源VCCが電子スイッチトランジスタを駆動する原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の図面と併せて、本発明の実施形態における技術的解決手段について、明確且つ全面的に説明する。記載される実施形態が本発明の実施形態の一部にすぎず、すべての実施形態ではないことは明らかである。本発明の実施形態に基づいて、創造的な労力がない前提で、当業者が得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に含まれる。
【0019】
システム電源は、入力電源VB、4つの制御モジュール3、4、5及び6、並びに、ワイヤハーネス2を含んでいる。ワイヤハーネス2は、動作電源線21及び入力電源線22を含んでいる。各制御モジュールの動作電源は動作電源ポート7によって接続され、入力電源は入力電源ポート8によって接続されている。動作電源ポート7は動作電源線21に接続され、入力電源ポート8は入力電源線22に接続され、入力電源VBは入力電源線22に接続されている。制御回路基板47に配置されているセルフリセッタブルヒューズ44は、一端が動作電源ポート7に接続されており、他端が制御モジュールの制御回路基板の入口点48に印加されている。4つの制御モジュール3、4、5及び6において、制御モジュール3は、動作電源ユニット1を含んでいる。動作電源ユニット1の入力端は、入力電源VBに接続されている。動作電源ユニット1の出力端は、動作電源VCCを出力し、動作電源線21に接続されている。
【0020】
図1に示すように、入力電源VBは蓄電池電源である。特定構成の車両では、入力電源は、蓄電池電源を使用せずに他の電源によって提供されてもよい。例えば、電動車では、入力電源は動力電池によって提供されてもよい。
【0021】
図1に示すように、動作電源ユニット1は、絶縁型DC/DC電源とセルフリセッタブルヒューズ11とを含んでいる。絶縁型DC/DC電源の正極入力端T2は、入力電源VBに接続されている。絶縁型DC/DC電源の負極入力端T1はGND(電源グラウンド又はボディアース)に接続されている。絶縁型DC/DC電源の正極入力端T3は、セルフリセッタブルヒューズ11を介して、動作電源ポート7に接続されている。絶縁型DC/DC電源の負極入力端T4及び正極入力端T2は、入力電源ポート8に接続されている。
【0022】
絶縁型DC/DC電源をDC/DC変換電源に置き換えると、DC/DC変換電源の正極入力端T2は入力電源VBに接続され、DC/DC変換電源の負極入力端T1はGNDに接続され、正極入力端T3はセルフリセッタブルヒューズ11を介して動作電源ポート7に接続され、負極入力端T4は負極入力端T1に接続されGND(ボディアース)を共用する。
【0023】
制御モジュール4、5及び6は、動作電源ユニットを含んでおらず、その動作電源は動作電源線21によって提供される。各制御モジュールには、動作電源保護装置が配置されている。動作電源保護装置は、セルフリセッタブルヒューズ、電流制限回路又はセルフリセッタブルヒューズと、電流制限回路との直列接続からなる保護回路を含んでいる。
【0024】
図2は、絶縁型DC/DC電源によって変換された動作電源VCC及び入力電源VBのレベル電位関係図である。
【0025】
図3は、DC/DC変換電源によって変換された動作電源VCC及び入力電源VBのレベル電位関係図である。
【0026】
図4に示すように、4つの制御モジュール3、4、5及び6のうち、制御モジュール4及び6が動作電源ユニットを含んでいる。 2つの動作電源ユニットの出力端は、それぞれダイオードD2及びD4に直列接続されている。動作電源ユニットを2つ配置する目的は、電源容量を拡張し、システムの信頼性を向上させることである。
【0027】
いくつかの制御システムにおいて、動作電源の保守又は動作電源装置の提供が行われやすいように、動作電源ユニットは独立して配置されている。ここでは、原理図及び説明を省略する。
【0028】
本実施形態における動作電源VCCは、工程が実行されるとき、VCCのレベル振幅及び電子スイッチトランジスタ(通常、N型MOSトランジスタを指す)の制御電極導通レベル振幅を総合的に選択する。これにより、動作電源VCCは、制御モジュールの動作電源の要求を満たすと共に、制御モジュールがN型MOSトランジスタを駆動する制御電圧の要求を満たす。
【0029】
図5に示すように、制御モジュール4の制御回路基板47は、論理ユニット49及び駆動ユニット45を含んでいる。論理ユニット49のポートD1によって、電子スイッチトランジスタM1のオンオフが制御される。 電子スイッチトランジスタM1の出力は、電球LAMPの負荷に接続されている。
電球LAMPの負荷以外に、電子スイッチトランジスタM1の出力に接続されている負荷は、さらに、モータ、電子ヒータ等の車体の一次電器負荷を含む。
【0030】
制御回路基板47によって電子スイッチトランジスタM1が駆動される原理は、以下の通りである。まず、論理ユニット49がポートD1に低レベル(論理ユニット49の低レベルはVBである)を出力すると、三極真空管TVTがオンとなり、動作電源ポート7に接続されている動作電源は、セルフリセッタブルヒューズPTC及び三極真空管TVTを介して、抵抗R4に印加される。セルフリセッタブルヒューズPTC及び三極真空管TVTが正常に動作するときの電圧降下は小さく、制御電圧VCCは抵抗R4に直接印加されると見なすことができるため、電子スイッチトランジスタM1がオンとなり、動作する。論理ユニット49がポートD1に高レベルを出力する(又は、D1を高抵抗状態に制御する)と、三極真空管TVTがオフとなり、抵抗R4の入力端は抵抗R3によって低レベルにされ、電子スイッチトランジスタM1がオフとなり、動作が停止する。
【0031】
本発明では、動作電源ポート7を介して、制御モジュール3、4、5及び6に必要な動作電源を提供する。これにより、電子スイッチトランジスタがオンになる制御要求を満たすことができ、さらに、駆動電源を配置する必要がないため、コストを低減し、構造を簡略化できる。
【0032】
本発明の実施形態について説明したが、当業者は、本発明の原理及び趣旨を離脱しない範囲内で、これらの実施形態を修正、置き換え及び変形することができるため、本発明の範囲は特許請求の範囲及びそれに同等なものによって限定される。