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特許7662384基板実装型のコネクタ、及び、コネクタ付き基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】基板実装型のコネクタ、及び、コネクタ付き基板
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20250408BHJP
【FI】
H01R12/71
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021065460
(22)【出願日】2021-04-07
(65)【公開番号】P2022160930
(43)【公開日】2022-10-20
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤入 薫
(72)【発明者】
【氏名】長坂 尚一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】和田 康太郎
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-222296(JP,A)
【文献】特開2001-297833(JP,A)
【文献】特開2020-187953(JP,A)
【文献】特開2015-210899(JP,A)
【文献】特開2005-310661(JP,A)
【文献】実開平03-112891(JP,U)
【文献】特開2014-116228(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0303859(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングに圧入される複数の端子と、を備え、回路基板に実装されることになる、基板実装型のコネクタであって、
前記ハウジングは、
所定の配列方向に沿って配列される複数の第1圧入孔と、前記配列方向に交差する端子段方向において前記複数の前記第1圧入孔と異なる位置にて前記配列方向に沿って配列される複数の第2圧入孔と、前記複数の前記第1圧入孔と前記複数の前記第2圧入孔とを隔てるように当該ハウジングから突出して前記配列方向に沿って延びる仕切壁部と、を有し、
前記複数の前記端子の各々は、
前記第1圧入孔又は前記第2圧入孔に圧入されるとともに相手側端子に導通接続されることになる第1端子部と、前記回路基板の導体パターンに導通接続されることになる第2端子部と、を有し、
前記複数の前記第1圧入孔の少なくとも1つに前記端子が圧入され、
前記複数の前記第2圧入孔の少なくとも1つに前記端子が圧入され、
前記ハウジングの相手側ハウジングとの嵌合方向において、前記仕切壁部は、前記嵌合方向における前記ハウジングの嵌合進行向きとは逆向き側の前記第1圧入孔及び前記第2圧入孔の各々の開口端よりも前記逆向き側の位置まで、前記ハウジングから前記逆向き側に突出して前記配列方向に延びる平板状の形状を有し
前記ハウジングは、
前記仕切壁部から前記端子段方向に突出する補助壁部を、更に有する、
基板実装型のコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタにおいて、
前記第1端子部は、
前記相手側端子に接触して導通接続されることになる第1接点箇所と、前記第1圧入孔又は前記第2圧入孔に圧入される圧入箇所と、を有し、
前記第2端子部は、
前記第1端子部から延出して前記第1端子部の軸線に沿う湾曲軸周りに曲がる湾曲箇所と、前記第1端子部の軸線に交差する交差方向において前記第1接点箇所に対してオフセットした位置にあり且つ前記導体パターンに導通接続されることになる第2接点箇所と、を有する、
基盤実装型のコネクタ。
【請求項3】
請求項に記載のコネクタにおいて、
前記第2端子部は、
前記第1端子部から延出して前記湾曲箇所を経て前記交差方向に沿って延びる立設箇所と、前記立設箇所の端部から前記軸線に沿う方向に延びる第1箇所と、前記第1箇所の端部から前記第2接点箇所に向けて延びる第2箇所と、を有する、
基板実装型のコネクタ。
【請求項4】
回路基板と、前記回路基板に実装される請求項1~請求項の何れか一項に記載のコネクタと、を備えるコネクタ付き基板であって、
前記回路基板は、
当該回路基板の側縁が基板面に沿う向きに凹状に窪んだ切欠部を有し、
前記コネクタは、
前記切欠部に前記ハウジングが嵌め込まれるように配置され且つ前記回路基板の導体パターンに前記端子の前記第2端子部が導通接続されて、前記回路基板に実装される、
コネクタ付き基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングに端子を圧入して保持する構造を有するとともに回路基板に実装されることになる基板実装型のコネクタ、及び、そのコネクタが回路基板に実装されたコネクタ付き基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板実装型のコネクタとして、ハウジングに設けられた圧入孔に端子を圧入するとともに、その端子の一端部を相手側端子との接点箇所(いわゆるタブ)として用い、且つ、その端子の他端部を回路基板上の導体パターンとの接点箇所として用いたコネクタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-187953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基板実装型のコネクタは、一般に、ハウジングに設けられた複数の圧入孔に複数の端子が圧入され、それら複数の端子の各々が、相手側端子と回路基板の導体パターンとを導通させるようになっている。ここで、コネクタの小型化や低背化等の要求から、小さなハウジングに多数の端子を密集させて配置する場合がある。一方、隣接する端子間の距離(いわゆる絶縁距離)を過度に小さくすることは、それら端子間での十分な絶縁を図る観点からは、好ましくない。このように、コネクタの小型化や低背化と、複数の端子同士の間の絶縁性の維持とは、一般に、両立が困難である。
【0005】
本発明の目的の一つは、コネクタの小型化や低背化と、複数の端子間の絶縁性の維持と、を両立可能な基板実装型のコネクタ、及び、そのコネクタを用いたコネクタ付き基板の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る基板実装型のコネクタ及びコネクタ付き基板は、下記[1]~[]を特徴としている。
[1]
ハウジングと、前記ハウジングに圧入される複数の端子と、を備え、回路基板に実装されることになる、基板実装型のコネクタであって、
前記ハウジングは、
所定の配列方向に沿って配列される複数の第1圧入孔と、前記配列方向に交差する端子段方向において前記複数の前記第1圧入孔と異なる位置にて前記配列方向に沿って配列される複数の第2圧入孔と、前記複数の前記第1圧入孔と前記複数の前記第2圧入孔とを隔てるように当該ハウジングから突出して前記配列方向に沿って延びる仕切壁部と、を有し、
前記複数の前記端子の各々は、
前記第1圧入孔又は前記第2圧入孔に圧入されるとともに相手側端子に導通接続されることになる第1端子部と、前記回路基板の導体パターンに導通接続されることになる第2端子部と、を有し、
前記複数の前記第1圧入孔の少なくとも1つに前記端子が圧入され、
前記複数の前記第2圧入孔の少なくとも1つに前記端子が圧入され、
前記ハウジングの相手側ハウジングとの嵌合方向において、前記仕切壁部は、前記嵌合方向における前記ハウジングの嵌合進行向きとは逆向き側の前記第1圧入孔及び前記第2圧入孔の各々の開口端よりも前記逆向き側の位置まで、前記ハウジングから前記逆向き側に突出して前記配列方向に延びる平板状の形状を有し
前記ハウジングは、
前記仕切壁部から前記端子段方向に突出する補助壁部を、更に有する、
基板実装型のコネクタであること。

上記[1]記載のコネクタにおいて、
前記第1端子部は、
前記相手側端子に接触して導通接続されることになる第1接点箇所と、前記第1圧入孔又は前記第2圧入孔に圧入される圧入箇所と、を有し、
前記第2端子部は、
前記第1端子部から延出して前記第1端子部の軸線に沿う湾曲軸周りに曲がる湾曲箇所と、前記第1端子部の軸線に交差する交差方向において前記第1接点箇所に対してオフセットした位置にあり且つ前記導体パターンに導通接続されることになる第2接点箇所と、を有する、
基盤実装型のコネクタであること。

上記[]に記載のコネクタにおいて、
前記第2端子部は、
前記第1端子部から延出して前記湾曲箇所を経て前記交差方向に沿って延びる立設箇所と、前記立設箇所の端部から前記軸線に沿う方向に延びる第1箇所と、前記第1箇所の端部から前記第2接点箇所に向けて延びる第2箇所と、を有する、
基板実装型のコネクタであること。

回路基板と、前記回路基板に実装される上記[1]~上記[]の何れか一つに記載のコネクタと、を備えるコネクタ付き基板であって、
前記回路基板は、
当該回路基板の側縁が基板面に沿う向きに凹状に窪んだ切欠部を有し、
前記コネクタは、
前記切欠部に前記ハウジングが嵌め込まれるように配置され且つ前記回路基板の導体パターンに前記端子の前記第2端子部が導通接続されて、前記回路基板に実装される、
コネクタ付き基板であること。
【0007】
上記[1]の構成の基板実装型のコネクタによれば、ハウジングに設けられた複数の第1圧入孔と複数の第2圧入孔との間に、これら圧入孔を互いに隔てるように、ハウジングから突出して配列方向に沿って延びる仕切壁部が設けられる。よって、仕切壁部が無い場合に比べ、第1圧入孔と第2圧入孔とに圧入される端子間の絶縁距離(特に、沿面距離)を大きくすることができる。更に、仕切壁部が、配列方向に沿うように延びる形状を有するため、複数の第1圧入孔と複数の第2圧入孔とを一纏めに隔てることができる。よって、各々の第1圧入孔と各々の第2圧入孔との間に複数の独立した壁部を設ける場合に比べ、金型等でハウジングを成形する際、容易に薄い仕切壁部を成形することが可能である。このように、仕切壁部によって端子間の絶縁距離を大きくすることができるとともに、仕切壁部そのものの厚さを薄くすることもできる。したがって、本構成の基板実装型のコネクタは、コネクタの小型化や低背化と、複数の端子間の絶縁性の維持とを両立可能である。
【0008】
更に、上記[]の構成の基板実装型のコネクタによれば、仕切壁部から端子段方向に突出する補助壁部が、更にハウジングに設けられる。補助壁部が仕切壁部を支えることで、仕切壁部の厚さを薄くしても、仕切壁部の意図しない変形(例えば、倒れ込み等)が抑制される。なお、補助壁部を隣り合う第1圧入孔同士の間に配置すれば、第1圧入孔に圧入される端子間の絶縁距離を大きくすることもできる。補助壁部を隣り合う第2圧入孔同士の間に配置する場合についても、同様である。
【0009】
上記[]の構成の基板実装型のコネクタによれば、回路基板の導体パターンに導通接続されることになる第2接点箇所を有する第2端子部が、相手側端子に導通接続されることになる第1接点箇所を有する第1端子部から延出し且つ第1端子部の軸線に沿う湾曲軸周りに曲がる湾曲箇所を有する。端子は、相手側端子との第1接点箇所と回路基板の導体パターンとの第2接点箇所とがオフセットした位置にある形状を有する。例えば、端子が典型的なクランク形状を有する場合、金属薄板を打ち抜いて第1端子部と第2端子部とを有する予備成形体(例えば、図8に示す連鎖端子を参照)を製造した後、第1接点箇所と第2接点箇所とが所定方向にオフセットするように、上述した湾曲箇所で1回の曲げ加工を施せばよい。即ち、端子に施す曲げ加工の回数を、単純にクランク形状への成形を行う場合の回数(少なくとも2回)に比べて減らすことができる。なお、より複雑な形状を端子が有する場合、例えば、打ち抜きの段階でそのような形状の予備成形体を製造してもよいし、上述したクランク形状への曲げ加工の後に追加の曲げ加工を施してもよい。何れの場合であっても、上記同様、曲げ加工の回数を減らすことができる。
【0010】
上記[]の構成の基板実装型のコネクタによれば、端子の第2端子部が、第1端子部から延出して湾曲箇所を経て交差方向に沿って延びる立設箇所と、立設箇所の端部から軸線に沿う方向に延びる第1箇所と、第1箇所の端部から第2接点箇所に向けて延びる第2箇所と、を有する。これにより、例えば、第1端子部から交差方向にオフセットした位置に回路基板を配置する場合(例えば、図4を参照)であっても、上述したように端子製造時の曲げ回数を減らした上で、端子を回路基板の導体パターンに接続することができる。
【0011】
上記[]の構成のコネクタ付き基板によれば、回路基板が有する凹状の切欠部に、コネクタのハウジングが嵌め込まれるように配置された状態で、ハウジングに圧入された端子が回路基板の導体パターンに接続される。これにより、回路基板の基板面上にコネクタを載せ置くようにコネクタを実装する場合に比べ、コネクタ付き基板を全体として低背化することができる。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明によれば、コネクタの小型化や低背化と、複数の端子間の絶縁性の維持と、を両立可能な基板実装型のコネクタ、及び、そのコネクタを用いたコネクタ付き基板を提供できる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態に係る基板実装型のコネクタが回路基板に実装された状態を示し、図1(a)は、正面側からみた斜視図であり、図1(b)は、背面側からみた斜視図である。
図2図2は、図1に示すコネクタ及び回路基板が分離した状態を示す斜視図である。
図3図3は、図1に示すコネクタ及び回路基板を示し、図3(a)は、その上面図であり、図3(b)は、その正面図であり、図3(c)は、その背面図である。
図4図4は、図3(a)のA-A断面を示す斜視図である。
図5図5は、ハウジング、端子、及び、回路基板の組み付け手順を説明するための図4に対応する図である。
図6図6は、上段端子を示し、図6(a)は、その上面図であり、図6(b)は、その側面図である。
図7図7は、下段端子を示し、図7(a)は、その上面図であり、図7(b)は、その側面図である。
図8図8は、金属薄板から打ち抜いて得られた、複数の予備成形体がキャリアによって連結された連鎖端子を示し、図8(a)は、その上面図であり、図8(b)は、図8(a)のC-C断面の一部を拡大して示す図である。
図9図9(a)は、図3(c)のB部の拡大図であり、図9(b)は、図3(c)のB部を拡大して示す斜視図である。
図10図10は、ハウジングの保護壁と、左右方向両端に位置する端子の第2端子部との左右方向の距離を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る基板実装型のコネクタ1、及び、コネクタ付き基板7について説明する。図1に示すように、コネクタ1は、ハウジング2と、ハウジング2に圧入される複数の端子3と、を備え、回路基板4に実装されて使用される。この実装により、コネクタ付き基板7が製造される。
【0016】
以下、説明の便宜上、図1図10に示すように、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。前後方向は、コネクタ1と相手側コネクタ(図示省略)との嵌合方向と一致しており、相手側のコネクタが嵌合する嵌合方向正面側を前側とし、その反対の嵌合方向背面側を後側とする。左右方向は、ハウジング2の後述する複数の上段圧入孔33A及び複数の下段圧入孔33B(図5等参照)の各々が配列する配列方向と一致している。以下、コネクタ1を構成する各部材について順に説明する。
【0017】
まず、端子3について説明する。コネクタ1は、複数の端子3として、図5等に示すように、上段圧入孔33Aに圧入されることになる複数の上段端子3Aと、下段圧入孔33Bに圧入されることになる複数の下段端子3Bと、を備える。以下、まず、上段端子3Aについて説明する。
【0018】
図6に示す上段端子3Aは、平板状の金属薄板に対して打ち抜き加工及びプレス加工を施して得られた予備成形体3g(図8参照)に対して、湾曲箇所17,20,22(図6参照)に曲げ加工をそれぞれ施すことで形成される。予備成形体3gは、直線状に延びる第1端子部11と、略L字状に延びる第2端子部12と、を備えている。第1端子部11及び第2端子部12の各々について、延在方向に直交する断面は、矩形状となっている。
【0019】
図6に示すように、第1端子部11は、全体として前後方向に直線状に延びる形状を有する。第1端子部11の前端部は、相手側コネクタに収容されている相手側端子(メス端子、図示省略)に接触して導通接続されることになる第1接点箇所13として機能する。第1端子部11の第1接点箇所13より後側の位置には、左右両方向に突出する一対の圧入用突起14が、前後方向の2箇所にそれぞれ設けられている。
【0020】
第1端子部11の圧入用突起14より後側の位置には、一対の圧入用突起14より更に左右両方向に突出する幅広部15が設けられている。幅広部15は、上段端子3Aの圧入時においてハウジング2に対する上段端子3Aの前後方向位置を規定するストッパとして機能する。第1端子部11の後端面(前後方向に直交する矩形状の平面)は、上段端子3Aの圧入時において圧入用治具(図示省略)を押し当てるための押し当て面16として機能する。このため、第1接点箇所13の軸線の延長線上に位置する押し当て面16に圧入用治具を押し当てることができるので、専用の押し当て面(例えば、いわゆる肩部)を端子3に別途設ける場合に比べ、端子3の構造を単純化できる。更に、圧入時に第1端子部11に座屈等の不具合が生じ難い。
【0021】
図6に示すように、第2端子部12は、第1端子部11の後端部(幅広部15より後側の部分)から右側に向けて延出し且つ上方に向けて湾曲する湾曲箇所17と、湾曲箇所17の上端部から上方に向けて延びる立設箇所18と、立設箇所18の上端部から後方に向けて延びる第1箇所19と、第1箇所19の後端部から後側に向けて延出し且つ下方に向けて湾曲する湾曲箇所20と、湾曲箇所20の下端部から下方に向けて延びる第2箇所21と、第2箇所21の下端部から下側に向けて延出し且つ後方に向けて湾曲する湾曲箇所22と、湾曲箇所22の後端部から後側に向けて延出する第2接点箇所23と、からなる。第2接点箇所23は、回路基板4の導体パターン42Aに導通接続されることになる(図4及び図5参照)。湾曲箇所17は、第1端子部11の軸線から右側に平行にオフセットした湾曲軸X周りに湾曲している。
【0022】
このように、上段端子3Aでは、第2端子部12は、第1端子部11に対して右側にオフセットした位置にある(図6(a)参照)。また、第2接点箇所23は、第1接点箇所13に対して下側にオフセットした位置にある(図6(b)参照)。
【0023】
上段端子3Aでは、左右方向からみて第1端子部11と立設箇所18と第1箇所19とで構成されるクランク形状(図6(b)参照)を、湾曲箇所17に対して1回の曲げ加工を施すことで得ることができる。このため、端子の延在方向の2箇所を湾曲させてクランク形状を得る一般的な加工方法と比べて、クランク形状を得るために端子に施す曲げ加工の数を低減できる。
【0024】
上段端子3Aでは、第2端子部12の板厚T2(図6(a)参照)は、第1端子部11の板厚T1(図6(b)参照)より小さくなっている(図8(b)も参照)。より詳細には、第2端子部12が、湾曲箇所17での湾曲外側の面(図8(b)での下面)が湾曲内側の面(図8(b)での上面)に近づく向きに減厚された形状を有することにより、第2端子部12の板厚T2が第1端子部11の板厚T1よりも薄くなっている。このため、第2端子部12の湾曲箇所17を設ける際の曲げ加工が容易になる。更に、本例では、複数の上段端子3Aが左右方向に並んだ状態でハウジング2に配置されることになる(図4等参照)。この場合、左右方向に隣接する上段端子3A同士において、左側の上段端子3Aの湾曲箇所17と、右側の上段端子3Aの第1端子部11の後端部の左端面とが、最も左右方向に接近する(図9(b)参照)。この点、湾曲箇所17(=第2端子部12の一部)の板厚T2(即ち、左右方向の厚さ)が隣接する第1端子部11から離れる向きに減厚されるように薄くなっている分、両者の左右方向の間隔Y(いわゆる絶縁距離)を大きくすることができる。
【0025】
上段端子3Aでは、湾曲箇所17及び立設箇所18の前後方向の幅T3(図6(b)参照)が、板厚T1及び板厚T2より大きい。このため、湾曲箇所17の剛性を高めることができ、湾曲箇所17の曲げ加工後の上段端子3Aの形状が適正に維持される。その結果、複数の上段端子3Aの第2接点箇所23のコプラナリティ(平坦度)が高まることで、回路基板4とコネクタ1との電気的接続の信頼性が向上する。以上、上段端子3Aについて説明した。
【0026】
以上に説明した上段端子3Aは、例えば、以下のように製造される。まず、金属薄板を打ち抜いて、図8(a)に示すように、複数の予備成形体3gがキャリア5によって連結された連鎖端子を得る。次いで、連載端子に対して、各予備成形体3gの第2端子部12のみにプレス加工を順に施して、各予備成形体3gについて第2端子部12の板厚T2を第1端子部11の板厚T1より小さくする(図8(b)も参照)。次いで、連鎖端子において、キャリア5を除去して複数の予備成形体3gを互いに分離するとともに、各予備成形体3gについて湾曲箇所17,20,22(図6参照)に曲げ加工をそれぞれ施す。これにより、複数の上段端子3Aが得られる。なお、湾曲箇所17,20,22(図6参照)の一部又は全部への曲げ加工は、上段端子3Aのハウジング2への圧入前に行われてもよいし、圧入後に行われてもよい。
【0027】
上述した製造手順から理解されるように、上段端子3Aの第2接点箇所23では、金属薄板を打ち抜いた際に生じる打ち抜き面(切断面)が、回路基板4の導体パターン42A,42Bに向かい合って接続されることになる。良好な電気的接続を図る観点から、本例では、第2接点箇所23の打ち抜き面にメッキ処理が施される。メッキ材料として、例えば、金(Au)が挙げられる。なお、金メッキは、一般に、銅やニッケル等の下地メッキを母材上に設けた後、その下地メッキ上に設けられる。なお、第2接点箇所23の打ち抜き面だけでなく、上段端子3Aの全体の打ち抜き面に同様のメッキ処理が施されてもよい。本例では、後述する下段端子3Bの第2接点箇所23にも、同様のメッキ処理が施される。
【0028】
次いで、下段端子3Bについて説明する。図7に示す下段端子3Bについて、図6に示す上段端子3Aの構成と同じ又は等価な構成については、上段端子3Aについて付した符号と同じ符号を付すことで、それらの説明に代える。下段端子3Bの第2接点箇所23は、回路基板4の導体パターン42Bに導通接続されることになる(図4及び図5参照)。下段端子3Bも、図8に示すような連鎖端子から上段端子3Aと同様の工程を経て、製造される。下段端子3Bについても、上段端子3Aに関する上述した種々の作用・効果と同じ作用・効果が奏される。以下、下段端子3Bと上段端子3Aとの主な相違点について説明する。
【0029】
下段端子3Bでは、上段端子3Aとは逆に、湾曲箇所17が、第1端子部11の後端部から左側に向けて延出している(図7(a)参照)。即ち、湾曲箇所17は、第1端子部11の軸線から左側に平行にオフセットした湾曲軸X周りに湾曲している。このため、上段端子3Aでは、第2端子部12が第1端子部11に対して右側にオフセットした位置にあるのに対し(図6(a)参照)、下段端子3Bでは、第2端子部12が第1端子部11に対して左側にオフセットした位置にある(図7(a)参照)。
【0030】
下段端子3Bでは、第2端子部12の全体形状が、上段端子3Aと異なる。このため、上段端子3Aでは、第2接点箇所23が第1接点箇所13に対して下側にオフセットした位置にあるのに対し(図6(b)参照)、下段端子3Bでは、第2接点箇所23が第1接点箇所13に対して上側にオフセットした位置にある(図7(b)参照)。この結果、上段端子3A及び下段端子3Bがそれぞれハウジング2の上段圧入孔33A及び下段圧入孔33Bに圧入された状態では、上段端子3Aの第2接点箇所23と、下段端子3Bの第2接点箇所23とが同一平面上に位置することになる(図4等参照)。以上、下段端子3Bについて説明した。
【0031】
次いで、ハウジング2について説明する。ハウジング2は、樹脂成形品であり、図2等に示すように、前後方向に延び且つ左右方向に長い矩形筒状の本体部31を備える。本体部31の後端は、矩形平板状の後端壁32(図4及び図5参照)によって塞がれている一方で、本体部31の前端は開口している。コネクタ1と相手側コネクタとの嵌合時、相手側コネクタは、本体部31の前端開口を介して本体部31の内部空間に挿入・嵌合され、本体部31の上壁の左右方向中央部に設けられたロック部31aによって、嵌合状態に維持される。
【0032】
後端壁32には、図3(c)及び図5等に示すように、複数の上段圧入孔33Aが左右方向に並ぶように設けられ、且つ、複数の上段圧入孔33Aの下側の位置にて複数の下段圧入孔33Bが左右方向に並ぶように設けられている。上段圧入孔33A及び下段圧入孔33Bの各々は、断面が矩形状であり且つ前後方向に貫通する貫通孔である。
【0033】
上段圧入孔33Aには、上段端子3Aの第1端子部11が、後方から挿入され圧入される。この圧入は、押し当て面16に押し当てた圧入用治具(図示省略)によって第1端子部11を前方に押し付けることで、行われる。この圧入は、第1端子部11の圧入用突起14を上段圧入孔33Aの内壁面に擦動させながら進行し、第1端子部11の幅広部15が上段圧入孔33Aの後端縁に当接した時点で完了する。下段圧入孔33Bにも、同様に、下段端子3Bの第1端子部11が、後方から挿入され圧入される。
【0034】
図4に示すように、圧入完了状態では、上段端子3A及び下段端子3Bの第1端子部11の第1接点箇所13は、本体部31の内部空間内に位置し、上段端子3A及び下段端子3Bの第2端子部12は、本体部31の後端壁32から後方に向けて延びて、第2接点箇所23が本体部31の外部に露出している。複数の上段端子3Aの第2接点箇所23が左右方向に並ぶように配置され、その前側位置にて、複数の下段端子3Bの第2接点箇所23が左右方向に並ぶように配置されている。複数の上段端子3A及び下段端子3Bの第2接点箇所23は全て、同一平面上に位置している。複数の上段端子3Aの第2接点箇所23は、回路基板4の導体パターン42Aに接続され、複数の下段端子3Bの第2接点箇所23は、回路基板4の導体パターン42Bに接続されることになる。
【0035】
隣り合う上段圧入孔33Aの左右方向の間隔(ピッチ)と、隣り合う下段圧入孔33Bの左右方向の間隔(ピッチ)とは、一致している。本例では、図3(b)から理解できるように、複数の上段圧入孔33Aが、複数の下段圧入孔33Bに対して、半ピッチだけ左側にずれて配置されている。換言すれば、複数の上段圧入孔33Aと複数の下段圧入孔33Bとは、前後方向から見たときに、上下方向において互いに重複しない位置関係(いわゆる、ジグザグ状、千鳥状)となるように配置されている。
【0036】
このため、複数の下段圧入孔33Bのうち最も右側に位置する下段圧入孔33Bに圧入された下段端子3B1(図3(b)及び図10参照)の第1端子部11は、複数の上段圧入孔33Aのうち最も右側に位置する上段圧入孔33Aに圧入された上段端子3Aの第1端子部11より右側に位置する。逆に、複数の上段圧入孔33Aのうち最も左側に位置する上段圧入孔33Aに圧入された上段端子3A1(図3(b)及び図10参照)の第1端子部11は、複数の下段圧入孔33Bのうち最も左側に位置する下段圧入孔33Bに圧入された下段端子3Bの第1端子部11より左側に位置している。なお、本例では、ロック部31aとの干渉を避けるため、左右方向中央領域には、上段圧入孔33Aが設けられていない(図3(b)参照)。これにより、本体部31の低背化が更に促進され得る。
【0037】
更に、上段端子3A及び下段端子3Bの各々について、第1端子部11と第2端子部12との左右方向のオフセット量が、上記半ピッチと一致している。このため、図10に示すように、下段圧入孔33Bに第1端子部11が圧入された下段端子3Bと、その下段圧入孔33Bに対して上記半ピッチだけ左側に位置する上段圧入孔33Aに第1端子部11が圧入された上段端子3Aと、に関し、左右方向において、上段端子3Aの第2端子部12の位置と下段端子3Bの第1端子部11の位置とが一致し、且つ、上段端子3Aの第1端子部11の位置と下段端子3Bの第2端子部12の位置とが一致している。
【0038】
後端壁32には、図5等に示すように、上下方向において複数の上段圧入孔33Aと複数の下段圧入孔33Bとの間に、両者を互いに隔てるように、後方に突出し且つ左右方向に延びる平板状の仕切壁部34が設けられている。本例では、仕切壁部34の上面は、複数の上段圧入孔33Aの内壁の下端縁と面一に連続している。このように、仕切壁部34を設けたことにより、仕切壁部34がない場合に比べ、上段圧入孔33Aに圧入される上段端子3Aと、下段圧入孔33Bに圧入される下段端子3Bと、の間の絶縁距離(特に、沿面距離)を大きくすることができる。
【0039】
仕切壁部34の下面には、複数の下段圧入孔33Bに対応するそれぞれの左右方向位置にて、下方に突出する補助壁部35が設けられている(図5及び図10等参照)。換言すれば、各補助壁部35は、左右方向において、隣り合う上段圧入孔33Aの間に設けられている(図10参照)。これにより、補助壁部35が仕切壁部34を支えることで、仕切壁部34の厚さを薄くしても、仕切壁部34の倒れ込み等が抑制される。更に、各下段端子3Bの第2端子部12(特に、第1箇所19)が隣り合う補助壁部35間の空間内に位置するので(図10参照)、隣り合う下段端子3B間の絶縁距離が大きくなる。なお、補助壁部35が延びる方向(上下方向)は、端子段方向とも称呼される。
【0040】
図2等に示すように、本体部31の左右両側面の上側領域には、一対の張出部36が、左右方向に突出し且つ前後方向に亘って延びるように設けられている。一対の張出部36は、ハウジング2の回路基板4への実装時において回路基板4に対するハウジング2の上下方向位置を規定するストッパとして機能する。各張出部36には、ペグ取付部37が設けられており、各ペグ取付部37には、金属製のペグ6が取り付けられ固定されている。
【0041】
本体部31には、一対の保護壁部38が、一対の張出部36から連続して更に後方に突出するように設けられている。この結果、一対の保護壁部38は、複数の上段圧入孔33A及び下段圧入孔33Bから後方へ延びる複数の上段端子3A及び下段端子3Bの第2端子部12を左右方向に挟むように配置されており、複数の上段端子3A及び下段端子3Bの第2端子部12を保護する機能を果たす。一対の保護壁部38の下面には、図2及び図10に示すように、下方に突出する一対の係合突起39が設けられている。一対の係合突起39は、回路基板4の一対の位置決め孔44(図2参照)に挿入されることになる。
【0042】
図10に示すように、本例では、複数の上段圧入孔33A及び下段圧入孔33Bのうち最も右側に位置する下段圧入孔33Bに第1端子部11が圧入された下段端子3B1について、第2端子部12が第1端子部11より左側(即ち、左右方向の内側)に位置している。同様に、複数の上段圧入孔33A及び下段圧入孔33Bのうち最も左側に位置する上段圧入孔33Aに第1端子部11が圧入された上段端子3A1について、第2端子部12が第1端子部11より右側(即ち、左右方向の内側)に位置している。このため、下段端子3B1の第2端子部12と右側の保護壁部38との間隔L1、並びに、上段端子3A1の第2端子部12と左側の保護壁部38との間隔L2を大きく確保し易くなる。
【0043】
換言すれば、上段圧入孔33Aにおいても下段圧入孔33Bにおいても、端子3の第1端子部11を左右方向の出来る限り外側に配置しながら、端子3の第2端子部12を一対の保護壁部38から離れた位置に配置することができる。よって、第2端子部12との接触を避けるために一対の保護壁部38を左右方向の外側に逃がすように設計する必要がないため、ハウジング2の配列方向(即ち、左右方向)における大きさを小さくすることができる。以上、ハウジング2について説明した。
【0044】
次いで、回路基板4について説明する。樹脂製の回路基板4は、図2に示すように、矩形状の切欠部41が前端面の左右両端部を除く領域に形成された、矩形平板状の形状を有する。切欠部41は、ハウジング2の本体部31の外形形状(上下方向からみた形状)に対応する形状を有している。
【0045】
回路基板4の切欠部41の後側領域の上面には、複数の上段端子3Aの第2接点箇所23に対応して、複数の導体パターン42Aが左右方向に並ぶように設けられ、且つ、複数の下段端子3Bの第2接点箇所23に対応して、複数の導体パターン42Bが、複数の導体パターン42Aの前側位置にて、左右方向に並ぶように設けられている。
【0046】
回路基板4の切欠部41の左右方向外側領域の上面には、ハウジング2に固定された一対のペグ6に対応して、一対の凹部43が設けられている。一対の凹部43には、一対のペグ6が収容され且つハンダ付けされることになる。回路基板4の複数の導体パターン42A,42Bの左右方向外側領域の上面には、一対の位置決め孔(貫通孔)44が設けられている。以上、回路基板4について説明した。
【0047】
コネクタ1を回路基板4に実装するためには、図2に示すように、まず、回路基板4の上方にハウジング2を配置する。次いで、ハウジング2の本体部31が回路基板4の切欠部41に嵌め込まれるように挿入され、一対のペグ6が一対の凹部43に収容され、且つ、一対の係合突起39が一対の位置決め孔44に挿入され、複数の上段端子3Aの第2接点箇所23が複数の導体パターン42Aにそれぞれ接触し、複数の下段端子3Bの第2接点箇所23が複数の導体パターン42Bにそれぞれ接触するように、一対の張出部36の下面が回路基板4に当接するまで、ハウジング2及び回路基板4を上下方向に互いに近づけていく(図1参照)。
【0048】
次いで、一対の凹部43に収容された一対のペグ6を、一対の凹部43に対して、接着剤又はハンダにより接着固定し、且つ、複数の上段端子3Aの第2接点箇所23を複数の導体パターン42Aに対してハンダにより固定し、複数の下段端子3Bの第2接点箇所23を複数の導体パターン42Bに対してハンダにより固定する。これにより、ハウジング2の回路基板4への実装が完了する。このように、回路基板4に設けた切欠部41にコネクタ1を嵌め合わせるように実装することで、回路基板4の基板面上にコネクタ1を載せ置くように実装する場合に比べ、コネクタ1及び回路基板4の全体構造の低背化を図ることができる。
【0049】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係る基板実装型のコネクタ1によれば、ハウジング2に設けられた複数の上段圧入孔33Aと複数の下段圧入孔33Bとの間に、これら圧入孔33A,33Bを互いに隔てるように、ハウジング2から突出して左右方向(配列方向)に沿って延びる仕切壁部34が設けられる。よって、仕切壁部34が無い場合に比べ、上段圧入孔33Aと下段圧入孔33Bとに圧入される上段端子3A及び下段端子3B間の絶縁距離(特に、沿面距離)を大きくすることができる。更に、仕切壁部34が、複数の上段圧入孔33Aと複数の下段圧入孔33Bとを一纏めに隔てるように回路基板4の左右方向に沿って延びる形状を有するため、各々の上段圧入孔33Aと各々の下段圧入孔33Bとの間に複数の独立した壁部を設ける場合に比べ、金型等でハウジングを成形する際に、容易に薄い仕切壁部34を成形することが可能である。したがって、本実施形態に係る基板実装型のコネクタ1は、コネクタ1の小型化や低背化と、複数の端子3A,3B同士の間の絶縁性の維持とを両立可能である。
【0050】
更に、仕切壁部34から上下方向(端子段方向)に突出する補助壁部35が、更に設けられる。補助壁部35が仕切壁部34を支えることで、仕切壁部34の厚さを薄くしても、仕切壁部34の倒れ込み等が抑制される。更に、補助壁部35を、隣り合う上段圧入孔33A同士の間に配置すれば、上段圧入孔33Aに圧入される上段端子3A間の絶縁距離を大きくすることもできる。補助壁部35を隣り合う下段圧入孔33B同士の間に配置する場合であっても、同様である。よって、本実施形態に係る基板実装型のコネクタ1は、コネクタ1の小型化や低背化と複数の端子3A,3B同士の間の絶縁性の維持との両立に、更に貢献可能である。
【0051】
更に、回路基板4の導体パターン42A,42Bに導通接続されることになる第2接点箇所23を有する第2端子部12が、相手側端子に導通接続されることになる第1接点箇所13を有する第1端子部11から延出し且つ第1端子部11の軸線に沿う湾曲軸周りに曲がる湾曲箇所17を有するように、端子3が構成される。例えば、端子3が典型的なクランク形状を有する場合、金属薄板から第1端子部11と第2端子部12とを有する予備成形体(例えば、図8を参照)を打ち抜いた後、第1端子部11と第2端子部12とが回路基板4の厚さ方向にオフセットするように1回の曲げ加工を施すことで、端子3を製造できる。即ち、端子3に施す曲げ加工の回数を低減できる。
【0052】
更に、第2端子部12が、第1端子部11から延出して湾曲箇所17を経て交差方向に沿って延びる立設箇所18と、立設箇所18の端部から軸線に沿う方向に延びる第1箇所19と、第1箇所19の端部から第2接点箇所23に向けて延びる第2箇所21と、を有する。これにより、第1端子部11から交差方向にオフセットした位置に回路基板4を配置する場合であっても、上述したように端子3の製造時の曲げ回数を減らした上で、端子3を回路基板4の導体パターン42A,42Bに接続することができる。
【0053】
更に、回路基板4の切欠部41に、コネクタ1のハウジング2が嵌め込まれるように配置された状態で、ハウジング2に圧入された端子3が回路基板4の導体パターン42A,42Bに接続される。これにより、回路基板4の基板面上にコネクタ1を載せ置く場合に比べ、コネクタ付き基板7を全体として低背化することができる。
【0054】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0055】
上記実施形態では、仕切壁部34に複数の補助壁部35が設けられている。これに対し、仕切壁部34に複数の補助壁部35が設けられなくてもよい。
【0056】
ここで、上述した本発明に係る基板実装型のコネクタ1及びコネクタ付き基板7の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
ハウジング(2)と、前記ハウジング(2)に圧入される複数の端子(3A,3B)と、を備え、回路基板(4)に実装されることになる、基板実装型のコネクタ(1)であって、
前記ハウジング(2)は、
所定の配列方向に沿って配列される複数の第1圧入孔(33A)と、前記配列方向に交差する端子段方向(上下方向)において前記複数の前記第1圧入孔(33A)と異なる位置にて前記配列方向に沿って配列される複数の第2圧入孔(33B)と、前記複数の前記第1圧入孔(33A)と前記複数の前記第2圧入孔(33B)とを隔てるように当該ハウジング(2)から突出して前記配列方向に沿って延びる仕切壁部(34)と、を有し、
前記複数の前記端子(3A,3B)の各々は、
前記第1圧入孔(33A)又は前記第2圧入孔(33B)に圧入されるとともに相手側端子に導通接続されることになる第1端子部(11)と、前記回路基板(4)の導体パターン(42A,42B)に導通接続されることになる第2端子部(12)と、を有し、
前記複数の前記第1圧入孔(33A)の少なくとも1つに前記端子(3A)が圧入され、
前記複数の前記第2圧入孔(33B)の少なくとも1つに前記端子(3B)が圧入される、
基板実装型のコネクタ(1)。
[2]
上記[1]に記載のコネクタ(1)において、
前記ハウジング(2)は、
前記仕切壁部(34)から前記端子段方向(上下方向)に突出する補助壁部(35)を、更に有する、
基板実装型のコネクタ(1)。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載のコネクタ(1)において、
前記第1端子部(11)は、
前記相手側端子に接触して導通接続されることになる第1接点箇所(13)と、前記第1圧入孔(33A)又は前記第2圧入孔(33B)に圧入される圧入箇所(14)と、を有し、
前記第2端子部(12)は、
前記第1端子部(11)から延出して前記第1端子部(11)の軸線に沿う湾曲軸(X)周りに曲がる湾曲箇所(17)と、前記第1端子部(11)の軸線に交差する交差方向において前記第1接点箇所(13)に対してオフセットした位置にあり且つ前記導体パターン(42A,42B)に導通接続されることになる第2接点箇所(23)と、を有する、
基盤実装型のコネクタ(1)。
[4]
上記[3]に記載のコネクタ(1)において、
前記第2端子部(12)は、
前記第1端子部(11)から延出して前記湾曲箇所(17)を経て前記交差方向に沿って延びる立設箇所(18)と、前記立設箇所(18)の端部から前記軸線に沿う方向に延びる第1箇所(19)と、前記第1箇所(19)の端部から前記第2接点箇所(23)に向けて延びる第2箇所(21)と、を有する、
基板実装型のコネクタ(1)。
[5]
回路基板(4)と、前記回路基板(4)に実装される上記[1]~上記[4]の何れか一つに記載のコネクタ(1)と、を備えるコネクタ付き基板(7)であって、
前記回路基板(4)は、
当該回路基板(4)の側縁が基板面に沿う向きに凹状に窪んだ切欠部(41)を有し、
前記コネクタ(1)は、
前記切欠部(41)に前記ハウジング(2)が嵌め込まれるように配置され且つ前記回路基板(4)の導体パターン(42A,42B)に前記端子(3)の前記第2端子部(12)が導通接続されて、前記回路基板(4)に実装される、
コネクタ付き基板(7)。
【符号の説明】
【0057】
1 コネクタ
2 ハウジング
3A 上段端子(端子)
3B 下段端子(端子)
4 回路基板
7 コネクタ付き基板
11 第1端子部
12 第2端子部
13 第1接点箇所(接点箇所)
23 第2接点箇所(接点箇所)
33A 上段圧入孔(第1圧入孔)
33B 下段圧入孔(第2圧入孔)
34 仕切壁部
35 補助壁部
41 切欠部
42A 導体パターン
42B 導体パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10