(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】医療用インプラント装置への治療用コーティングの識別子ベースの塗布
(51)【国際特許分類】
A61B 90/90 20160101AFI20250408BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20250408BHJP
G16Y 30/00 20200101ALI20250408BHJP
【FI】
A61B90/90
A61B17/00
G16Y30/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021073844
(22)【出願日】2021-04-26
【審査請求日】2024-04-24
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ディー・オーガー
(72)【発明者】
【氏名】ラージェーンドラ・ケイ・カシナス
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・エイ・ビー・スミス
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-263468(JP,A)
【文献】特開2011-182849(JP,A)
【文献】特開2008-259815(JP,A)
【文献】特開2008-212638(JP,A)
【文献】特開2009-213878(JP,A)
【文献】特表2020-506740(JP,A)
【文献】特表2011-512957(JP,A)
【文献】特表2017-538530(JP,A)
【文献】特表2017-511217(JP,A)
【文献】特表2016-512052(JP,A)
【文献】特表2008-539964(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0029722(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0043177(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 90/90
A61B 17/00
G16Y 30/00
A61B 90/98
A61B 90/94
A61B 90/96
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の医療用インプラント装置への治療用コーティングの送達を制御するためのコンピューティングシステムであって、
1つ以上のプロセッサと、
指示を内部に記憶した1つ以上のメモリであって、前記指示が、前記1つ以上のプロセッサによる実行時に、前記コンピューティングシステムに、
前記第1の医療用インプラント装置の第1の識別子を受信する工程と、
前記第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の医療用インプラント装置が前記治療用コーティングを受容することが許可されていると判定する工程と、
前記判定する工程に応答して、コーティングアプリケータシステムを、前記コーティングアプリケータシステムが前記治療用コーティングを塗布することを禁止されているロック状態から、前記コーティングアプリケータシステムが前記治療用コーティングを前記第1の医療用インプラント装置に塗布することが許されているロック解除状態に切り替える工程
と、を実行させる、1つ以上のメモリと、を含み、
前記コーティングアプリケータシステムが、前記ロック解除状態にある間に、前記コーティングアプリケータシステムは、前記治療用コーティングを前記第1の医療用インプラント装置に塗布することができる、コンピューティングシステム。
【請求項2】
前記1つ以上のメモリが、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記コンピューティングシステムに、
前記第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の医療用インプラント装置に対して許可されている前記治療用コーティングの投与量を決定する、追加の工程であって、前記コーティングアプリケータシステムは、前記第1の医療用インプラント装置に前記投与量以下の前記治療用コーティングを塗布することが許される、追加の工程、を実行させる更なる指示を内部に記憶している、請求項1に記載のコンピューティングシステム。
【請求項3】
前記1つ以上のメモリが、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記コンピューティングシステムに、
前記第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の医療用インプラント装置に対して許可されている選択されたタイプの前記治療用コーティングを決定する、追加の工程であって、前記コーティングアプリケータシステムは、前記選択されたタイプの前記治療用コーティングのみを前記第1の医療用インプラント装置に塗布することが許される、追加の工程、を実行させる更なる指示を内部に記憶している、請求項1に記載のコンピューティングシステム。
【請求項4】
前記第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の医療用インプラント装置が前記治療用コーティングを受容することが許可されていると判定する前記工程を実行するための指示は、
前記第1の識別子を、治療用コーティング送達を受容することが許可されている許可済み医療用インプラント装置の許可済み識別子を示す情報と比較する工程と、
前記第1の識別子が前記許可済み識別子に含まれていることを確認する工程と、のための指示を含む、請求項1に記載のコンピューティングシステム。
【請求項5】
前記第1の識別子が、前記第1の識別子を読み取る電子リーダから受信される、請求項1に記載のコンピューティングシステム。
【請求項6】
前記電子リーダが、無線周波数識別(RFID)リーダである、請求項5に記載のコンピューティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、本出願に参照により本明細書に組み込まれる、2020年5月8日に出願された発明の名称「医療用インプラント装置への治療用コーティングの識別子ベースの塗布(IDENTIFIER-BASED APPLICATION OF THERAPEUTIC COATINGS TO MEDICAL IMPLANT DEVICES)」と題された米国特許出願第16/869,782号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して医療用インプラント装置に関し、より具体的には医療用インプラント装置への治療用コーティングの塗布に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に開示される実施形態は、一般に、医療用インプラント装置に割り当てられた電気的に読み取り可能な識別子に基づいて、医療用インプラント装置への治療用コーティングの塗布を制御することを目的とする。
【0004】
ポイントオブケアコーティングアプリケータは、股関節、膝関節、及び他の関節インプラントなどの医療用インプラント装置に様々な治療用コーティングを塗布するために使用される。例えば、手術室の現場において医療用インプラント装置に治療用コーティングを塗布するために、手術室コーティングアプリケータ(ORCA)装置を使用してもよい。治療用コーティングのいくつかの例としては、トリクロサンなどの抗感染コーティング、又は疼痛予防薬を挙げることができる。いくつかのコーティング及びインプラント処理は、貯蔵寿命制限を有す場合があり、特定の貯蔵温度範囲を必要とする場合があり、又は特別な滅菌方法を必要とする場合がある。これら及び他の問題は、ポイントオブケア用途によって緩和され得る。
【0005】
医療用インプラント装置に不適切なタイプのコーティング又は不適切なコーティング投与量を塗布することなどによって、時には偶発的又は意図的に誤用される場合がある。例えば、コーティングは、未認可又は他の未承認の塗布を介して医療用インプラント装置に不適切に送達される場合がある。特定の患者、特定のインプラントタイプ及び/若しくはサイズ、又は特定の地理的領域若しくは他の物理的環境と不適合であるコーティング又はコーティング剤が使用される場合がある。この誤用は、疼痛及び不快感、感染症、及び他の場合により重度の副作用など、様々な問題及び合併症をもたらし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、第1の医療用インプラント装置への治療用コーティングの送達を制御するための方法が提供される。本方法は、第1の医療用インプラント装置の第1の識別子を受信することを含む。本方法は、第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、第1の医療用インプラント装置が治療用コーティングを受容することが許可されていると判定することを更に含む。本方法は、判定する工程に応答して、コーティングアプリケータシステムを、コーティングアプリケータシステムが、治療用コーティングを塗布することを禁止されているロック状態から、コーティングアプリケータシステムが、第1の医療用インプラント装置に治療用コーティングを塗布することが許されているロック解除状態に切り替えることを更に含む。本方法は、ロック解除状態にある間に、コーティングアプリケータシステムによって、第1の医療用インプラント装置に治療用コーティングを塗布することを更に含む。
【0007】
第1の医療用インプラント装置に許可され得る治療用コーティングの投与量は、第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて決定されてもよく、コーティングアプリケータシステムは、第1の医療用インプラント装置に投与量以下の治療用コーティングを塗布することが許され得る。加えて、第1の医療用インプラント装置に対して許可され得る選択されたタイプの治療用コーティングは、第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて決定されてもよく、コーティングアプリケータシステムは、選択されたタイプの治療用コーティングのみを第1の医療用インプラント装置に塗布することが許され得る。
【0008】
第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、第1の医療用インプラント装置が治療用コーティングを受容することが許可されていると判定する工程は、第1の識別子を、治療用コーティング送達を受容することが許可されている許可済み医療用インプラント装置の許可済み識別子を示す情報と比較することと、第1の識別子が許可済み識別子に含まれていることを確認することと、を含み得る。
【0009】
第1の識別子は、第1の医療用インプラント装置に治療用コーティングを塗布することに基づいて、許可済み識別子から除去され得る。加えて、第1の医療用インプラント装置に治療用コーティングを塗布した後、コーティングアプリケータシステムは、ロック解除状態からロック状態に戻ることができる。
【0010】
一実施形態では、第1の識別子は、電子リーダを使用して読み取られてもよい。電子リーダは、無線周波数識別(RFID)リーダであってもよい。第1の識別子は、第1の医療用インプラント装置から読み取られてもよい。第1の医療用インプラント装置のパッケージは、第1の医療用インプラント装置がパッケージ内に封入されている間に第1の医療用インプラント装置からの第1の識別子の読み取りを防止することによって、第1の医療用インプラント装置を遮蔽することができる。電子リーダは、コーティングアプリケータシステムのアプリケータ装置内に含まれてもよく、アプリケータ装置の内部領域内の装置識別子を読み取るように構成されてもよい。アプリケータ装置の内部領域へのアクセスは、第1の識別子の読み取り後、かつ治療用コーティングを塗布する前に、別の医療用インプラント装置をアプリケータ装置の内部領域に挿入することができないように制限され得る。
【0011】
一実施形態では、第1の識別子は、ユーザによる手動入力によって受信されてもよい。加えて、第1の医療用インプラント装置の物理的属性を感知することができる。
【0012】
一実施形態では、コーティングアプリケータシステムは、基部ユニット及びバッグを含んでもよい。第1の医療用インプラント装置は、バッグに挿入されてもよい。基部ユニットは、バッグを加熱するための電気接続を提供することができ、バッグ内で空気真空を生じさせることができる。バッグを加熱すること及び空気真空により、第1の医療用インプラント装置に治療用コーティングを塗布することをもたらし得る。
【0013】
別の実施形態によれば、第1の医療用インプラント装置への治療用コーティングの送達を制御するためのコンピューティングシステムが提供される。コンピューティングシステムは、1つ以上のプロセッサ及び1つ以上のメモリを備える。1つ以上のメモリは、1つ以上のプロセッサによって実行されると、コンピューティングシステムに工程を実行させる指示を内部に記憶している。工程は、第1の医療用インプラント装置の第1の識別子を受信することを含む。工程は、第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、第1の医療用インプラント装置が治療用コーティングを受容することが許可されていると判定することを更に含む。工程は、判定する工程に応答して、コーティングアプリケータシステムを、コーティングアプリケータシステムが、治療用コーティングを塗布することを禁止されているロック状態から、コーティングアプリケータシステムが、治療用コーティングを第1の医療用インプラント装置に塗布することが許されているロック解除状態に切り替えることを更に含む。ロック解除状態にある間、コーティングアプリケータシステムは、治療用コーティングを第1の医療用インプラント装置に塗布する。
【0014】
1つ以上のメモリは、1つ以上のプロセッサによって実行されると、第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、第1の医療用インプラント装置に許可され得る治療用コーティングの投与量を決定する、追加の工程、をコンピューティングシステムに実行させる更なる指示を内部に記憶してもよい。コーティングアプリケータシステムは、第1の医療用インプラント装置に投与量以下の治療用コーティングを塗布することが許され得る。
【0015】
1つ以上のメモリは、1つ以上のプロセッサによって実行されると、第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、第1の医療用インプラント装置に許可され得る選択されたタイプの治療用コーティングを決定する、追加の工程、をコンピューティングシステムに実行させる更なる指示を内部に記憶してもよい。コーティングアプリケータシステムは、選択されたタイプの治療用コーティングのみを第1の医療用インプラント装置に塗布することが許され得る。
【0016】
第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、第1の医療用インプラント装置が治療用コーティングを受容することが許可されていると判定する工程を実行するための指示は、第1の識別子を、治療用コーティング送達を受容することが許可されている許可済み医療用インプラント装置の許可済み識別子を示す情報と比較することと、第1の識別子が許可済み識別子に含まれていることを確認することと、のための指示を含み得る。
【0017】
第1の識別子は、第1の識別子を読み取る電子リーダから受信されてもよい。電子リーダは、無線周波数識別(RFID)リーダであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本明細書に開示された原理及びその利点をより完全に理解するために、ここで添付の図面と併せて以下の説明を参照する。
【
図1】医療用インプラント装置がアプリケータ装置に挿入される識別子ベースの治療用コーティング塗布制御システムの図である。
【
図2】医療用インプラント装置の識別子がアプリケータ装置に含まれるリーダによって読み取られる、識別子ベースの治療用コーティング塗布制御システムの図である。
【
図3】コーティングがカートリッジから医療用インプラント装置に塗布される、識別子ベースの治療用コーティング塗布制御システムの図である。
【
図4】コーティングがバッグから医療用インプラント装置に塗布される、識別子ベースの治療用コーティング塗布制御システムの図である。
【
図5】医療用インプラント装置への治療用コーティングの送達を制御するための方法の一実施形態の工程を示すフローチャートである。
【
図6】医療用インプラント装置への治療用コーティングの塗布を承認するための、失敗した識別子一致の試みの例を示す図である。
【
図7】医療用インプラント装置への治療用コーティングの塗布を承認するための、成功した識別子一致の試みの例を示す図である。
【
図8】医療用インプラント装置の識別子に関する例示的な状態情報更新を示す図である。
【
図9】本明細書に記載されるアプリケータ制御操作を実行するために使用され得る例示的なコンピューティング装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の概念は、様々な修正形態及び代替的形態にしやすいが、その特定の例示的な実施形態を例として図面に示し、本明細書において詳細に説明する。しかしながら、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の「特許請求の範囲」によって定義される発明の趣旨及び範囲に包含されるすべての修正物、均等物、並びに代替物を網羅することを意図するものであることを理解されたい。更に、用語「少なくとも1つの」と記述された構造は、本明細書で使用するとき、記述された構造のうちの単一の1つ、及び複数の記載された構造のいずれか又は両方を指すことができる。加えて、単数形「a」、「an」、又は「the」への言及は、別途記載のない限り、複数に等しい力及び効果を適用する。同様に、本明細書における複数への言及は、単数形「a」、「an」、又は「the」に等しい力及び効果を適用する。
【0020】
本明細書において「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などへの言及は、記述されるその実施形態が、特定の機能、構造、又は特徴を含み得るが、全ての実施形態が、その特定の機能、構造、又は特徴を必ずしも含むわけではないことを示す。更に、そのような語句は、必ずしも同一の実施形態に言及するものではない。更に、特定の機能、構造、又は特徴がある実施形態に関連して記載される場合、明確に記載されているかどうかに関わらず、他の実施形態に関連するこのような機能、構造、又は特徴への影響は、当業者の知見内であるものとする。
【0021】
概して、本明細書に記載される技術は、医療用インプラント装置への治療用コーティングの送達を制御することに関する。医療用インプラント装置の識別子は、例えば、無線周波数識別(RFID)リーダを使用して電子的に読み取られてもよく、識別子を使用して、医療用インプラント装置が治療用コーティングを受容することが許可されているかどうかを判定することができる。医療用インプラント装置が許可されている場合、コーティングアプリケータシステムは、あらゆる治療用コーティングを塗布することを禁止されているロック状態から、治療用コーティングを塗布することが許されているロック解除状態に切り替えられてもよい。次いで、コーティングアプリケータシステムがロック解除状態にある間に、治療用コーティングを医療用インプラント装置に塗布してもよい。医療用インプラント装置に治療用コーティングを塗布した後、コーティングアプリケータシステムは、ロック解除状態からロック状態に戻ることができる。しかしながら、本明細書に記載される制御技術は、必ずしもシステムの単なるロック及びロック解除に限定されるものではないことに留意されたい。例えば、一実施形態では、コーティングアプリケータシステムは、特定のコーティングタイプ及び/又はコーティング投与量を医療用インプラント装置のみに塗布することなどのために、特定の条件でロック解除される。加えて、異なる患者、環境、又は他の条件のために、異なるコーティングタイプ及び/又は投与量が用いられてもよい。これは、不適切なコーティングタイプ及び/又は用量が使用されないことを確実にするのに役立つことによって、システムの誤用を防止することができる。
【0022】
一実施形態では、システムは、装置が既にコーティングされているときに集中型の(例えば、クラウドベースの)記憶された記録を示すことなどによって、特定の医療用インプラント装置識別子に対して1回のみロック解除される。これは、単一の装置識別子が、複数の異なる装置をコーティングするために繰り返し使用することができないことを確実にするのに役立つことによって、システムの誤用を防止することができる。別の例として、一実施形態では、リーダは、アプリケータ装置内に含まれてもよく、リーダの範囲及び方向性は、アプリケータ装置の内部領域に挿入された医療用インプラント装置からの識別子のみを読み取るように構成されてもよく、これにより、別の医療用装置が、読取られている医療用インプラント装置に置換され得ないことを確実にするのに役立つ。更に別の例では、一実施形態では、医療用インプラント装置のパッケージは、装置がパッケージにまだ封入されている間、装置の識別子が装置から読み取られることを遮蔽してもよく、それによってまた、別の医療用装置が、読取られている医療用インプラント装置の代わりに置換され得ないことを確実にするのに役立つ。具体的には、バクテリア、細菌、ウイルスなどへの追加的な曝露を防止するために、医療用インプラント装置をそれらのパッケージから迅速に取り出した後に、医療用インプラント装置を迅速に使用することが賢明である。本明細書に記載されるこれら及び他の機能は、医療用インプラント装置の分野において利点を提供するように調整され、より具体的には、手術室又は他のポイントオブケア位置における医療用インプラント装置への治療用コーティングの送達に適合されるように調整されることが提示される。
【0023】
コーティングアプリケータシステムは、この用語が本明細書で使用されるとき、抗感染コーティング及び鎮痛コーティングなどの治療用コーティングを医療用インプラント装置に送達する少なくとも部分的に電動のシステムを指す。コーティングアプリケータシステムは、加熱構成要素、空気真空/減圧構成要素などのコーティング送達を引き起こす及び/又は補助する、1つ以上の少なくとも部分的に電動の構成要素を含む。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、コーティングアプリケータシステムによって電力が使用され、治療用コーティング及び/又は医療用インプラント装置が配置される領域に適用する熱を発生させる構成要素に電力を供給し、それによって、医療用インプラント装置への治療用コーティングの効率的な塗布を可能にする。また、本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、コーティングアプリケータシステムによって電力が使用され、治療用コーティング及び/又は医療用インプラント装置が配置される領域から空気を除去させ、それによって医療用インプラント装置への治療用コーティングの効率的な塗布を可能にする、真空生成構成要素に電力を供給する。例えば、以下の
図1-3を参照して説明したような1つの例示的な実施形態では、アプリケータシステムは、アプリケータ装置を含む。治療用コーティングはカートリッジに含まれ、アプリケータ装置によってカートリッジから医療用インプラント装置に塗布される。以下の
図4を参照して説明されるものなどの別の例示的な実施形態では、アプリケータシステムは、基部ユニット及びバッグの両方を含む。治療用コーティング及び医療用インプラント装置は、バッグ内に封入される。基部ユニットは、バッグを加熱するための電力を提供する。基部ユニットはまた、バッグ内に真空を生成するためにバッグから空気を除去する。しかしながら、コーティングアプリケータシステムは、これらの例示的実施形態に限定されず、少なくとも部分的に電動の構成要素又は装置が、電動噴霧器などの医療用インプラント装置にコーティングを提供するために使用される他の実施形態を含んでもよいことに留意されたい。
【0024】
ここで
図1を参照して、一実施形態に対応する識別子ベースの治療用コーティング塗布制御システム100の図をここで詳細に説明する。以下に詳細に記載されるように、
図1-3の実施形態では、コーティングアプリケータシステム110は、カートリッジ103からコーティング108を塗布するアプリケータ装置107を含む。
図1の例示的な実施形態では、医療用インプラント装置101は、医療用インプラント装置101にコーティング108を送達するように構成されたアプリケータ装置107に挿入される。一実施形態では、医療用インプラント装置101は、股関節インプラント、膝関節インプラント、又は別のタイプの関節インプラントなどの関節インプラント装置である。医療用インプラント装置101はまた、任意の他のタイプの医療用インプラント装置であってもよい。コーティング108は、治療用コーティングである。一実施形態では、コーティング108は、トリクロサンなどの抗感染薬である。別の実施形態では、コーティング108は鎮痛剤又は疼痛予防薬である。コーティング108はまた、医療用インプラント装置上での使用に好適な任意の他のタイプのコーティングであってもよい。一実施形態では、アプリケータ装置107は、医療用インプラント装置101が患者に埋め込まれる位置にコーティング108を塗布するために使用されるポイントオブケアコーティングアプリケータである。例えば、アプリケータ装置107は、手術室位置でコーティング108を塗布するために使用される手術室コーティングアプリケータ(ORCA)装置であってもよい。
【0025】
医療用インプラント装置101には、装置識別子が割り当てられる。一実施形態では、識別子は、数字、文字、記号、及び/又はこれらの組み合わせを含んでもよい。一実施形態では、装置識別子は、医療用インプラント装置101に固有の一意の識別子である。別の実施形態では、装置識別子は、医療用インプラント装置101に割り当てられてもよく、また、共通インプラントタイプ、製造業者などの医療用インプラント装置101と共通の特徴を共有する1つ以上の他の医療用インプラント装置に割り当てられてもよい。図示した実施形態では、装置識別子は、医療用インプラント装置101の識別タグ105から電子的に読み取り可能である。図示した実施形態では、アプリケータ装置107は、識別タグ105を電子的に読み取るように構成されたハードウェア装置などの電子リーダであるリーダ102を含む。一実施形態では、識別タグ105は、無線周波数識別(RFID)タグであり、リーダ102は、RFIDリーダである。いくつかの例では、識別タグ105は、読み取られるためにバッテリ電力を必要としないパッシブRFIDタグであってもよい。これは、医療用インプラント装置101に電池が含まれることを必要とせずに識別タグ105を読み取ることを可能にし得るため、有利であり得る。しかしながら、他の例では、識別タグは、読み取られるためにバッテリ電力を必要とするアクティブRFIDタグであってもよい。別の実施形態では、識別タグ105はバーコードなどの視覚的機械可読タグであり、リーダ102はバーコードリーダなどの視覚機械リーダである。識別タグ105はまた、電子読み取りを読み取ることができる任意の他のタイプのタグであってもよく、リーダ102は、任意の他のタイプの電子リーダであってもよい。一実施形態では、識別タグ105は医療用インプラント装置101内に埋め込まれる。別の実施形態では、識別タグ105は、医療用インプラント装置101の1つ以上の表面上に露出される。
【0026】
別の実施形態では、医療用インプラント装置101の識別タグは、医療用インプラント装置101が使用前に封入され得る医療用インプラント装置101の装置パッケージ上など、医療用インプラント装置101の外部に追加的に又は代替的に配置される。しかしながら、識別タグ105を医療用インプラント装置101の外部に配置することは、外部識別タグを読み取ることができ、次いで、医療用インプラント装置101の代わりに別の医療用インプラント装置を置換する悪意のあるユーザがいることなどによって、システムの誤用を可能にし得ることに留意されたい。対照的に、医療用インプラント装置101上又は内部のみに識別タグ105を配置することは、これらの懸念を緩和するのに役立ち得る。更に、一実施形態では、医療用インプラント装置101のための装置パッケージは、医療用インプラント装置101がパッケージ内に封入されている間に識別タグ105の電子読み取りを防止することによって医療用インプラント装置101を遮蔽する。これはまた、医療用インプラント装置101がそのパッケージから取り出された後に識別タグ105を読み取ることのみを可能にすることによって有利であり得、それにより、識別タグ105の読み取り後に別の装置が医療用インプラント装置101の代わりに置換され得る可能性を緩和するのに役立つ。
【0027】
図示いた実施形態では、医療用インプラント装置101は、カバー109をアプリケータ装置の本体から引き離す開放位置にアプリケータ装置107のカバー109を調節して、コーティング108が塗布されるアプリケータ装置107の内部領域を露出させることにより、アプリケータ装置107内に挿入される。別の実施形態では、カバー109は前後に摺動して、アプリケータ装置107の内部領域を露出させてもよい。図示した実施形態では、コーティング108は、ユーザによってアプリケータ装置107に挿入され得るカートリッジ103内に含まれる。
【0028】
ここで
図2を参照すると、医療用インプラント装置101がアプリケータ装置107内に挿入され、アプリケータ装置107のカバー109が閉鎖位置に調整されている制御システム100の実施形態が示されている。図示した実施形態では、閉鎖位置において、カバー109は、アプリケータ装置107の本体に向かって押し戻されて、アプリケータ装置107の内部領域へのアクセスを阻止する。
【0029】
図示した
図2の実施形態では、医療用インプラント装置101の識別タグ105はリーダ102によって読み取られる。一実施形態では、識別タグ105の読み取りは、カバー109の閉鎖時に自動的に実行されてもよい。別の実施形態では、識別タグ105の読み取りは、アプリケータ装置107に含まれ得るボタン又は他の制御を押すことなどによって手動で要求される。図示した実施形態では、リーダ102は、アプリケータ装置107に含まれている。アプリケータ装置107内にリーダ102を含めることは、別の医療用インプラント装置がアプリケータ装置107内に挿入され、識別タグ105の読み取り後に医療用インプラント装置の代わりに置換され得る可能性を低減することなどによって有利であり得る。更に、一実施形態では、誤用の可能性を更に低減するために、リーダ102は、アプリケータ装置107の内部領域内に配置される識別タグのみを読み取るように構成される。例えば、リーダ102の方向性及び/又は距離範囲は、リーダ102がアプリケータ装置107の内部領域内で識別タグのみを読み取ることができるように(すなわち、リーダ102がアプリケータ装置107の外部にある識別タグを読み取ることができないように)構成されてもよい。加えて、一実施形態では、誤用の可能性を更に低減するために、リーダ102は、アプリケータ装置のカバー109が閉じているとき、又はアプリケータ装置の内部領域へのアクセスが他の方法で阻止若しくは制限されたときに識別タグのみを読み取るように構成される。誤用の可能性を更に低減するために、アプリケータ装置107の内部領域へのアクセスは、医療用インプラント装置101の識別子の読み取り後かつ医療用インプラント装置101にコーティング108を塗布する前に、別の医療用インプラント装置をアプリケータ装置107の内部領域に挿入することができないように制限されてもよい。
【0030】
識別タグ105を読み取ると、医療用インプラント装置の装置識別子は、リーダ102によって識別され、コンピューティングシステム104に提供されてもよい。一実施形態では、コンピューティングシステム104は、アプリケータ装置107を含むコーティングアプリケータシステム110の操作を制御することに関与する。一実施形態では、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステム110をロック状態とロック解除状態との間で切り替える。ロック状態では、コーティングアプリケータシステム110は、あらゆる治療用コーティングを塗布することを禁止されている。対照的に、ロック解除状態では、コーティングアプリケータシステム110は、治療用コーティングを受容することが許可されている医療用インプラント装置に治療用コーティングを塗布することが許されている。一実施形態では、コンピューティングシステム104は、医療用インプラント装置の装置識別子に基づいて、コーティングアプリケータシステム110をロック状態からロック解除状態に切り替えることにより、医療用インプラント装置101にコーティング108を送達することを可能にする。コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステム110と同じポイントオブケア位置(例えば、手術室)に配置されてもよい。一実施形態では、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステム110内に完全に又は部分的に含まれてもよい。例えば、コンピューティングシステム104は、
図1-3のアプリケータ装置107又は
図4の基部ユニット401内に完全に又は部分的に含まれてもよい。したがって、いくつかの例では、コンピューティングシステム104によって実行されるものとして本明細書に記載される操作はまた、コーティングアプリケータシステム110によって実行されてもよく、一方、コーティングアプリケータシステム110によって実行されるものとして本明細書に記載されている操作はまた、コンピューティングシステム104によって実行されてもよい。一実施形態では、コーティングアプリケータシステム110はそれ自体、コンピューティングシステム104内に含まれるものに加えて、コンピューティング構成要素(例えば、処理構成要素、メモリ構成要素など)を含んでもよい。コンピューティングシステム104は、有線又は無線(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN))接続などの、コーティングアプリケータシステム110(又はコーティングアプリケータシステム110内の構成要素)への接続を有してもよい。この接続により、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステム110(又はコーティングアプリケータシステム110内の構成要素)に指示を送信する(又は他の方法で制御する)ことが可能になり得る。この接続はまた、アプリケータ装置107又は基部ユニット401(又はコーティングアプリケータシステム110の他の構成要素)の外部にあり得るコンピューティングシステム104の部分から、アプリケータ装置107又は基部ユニット401(又はコーティングアプリケータシステム110の他の構成要素)に含まれ得るコンピューティングシステム104の部分に送信されることが可能になり得る。
【0031】
一実施形態では、コンピューティングシステム104は、ネットワーク120を介してデータベースなどの情報リポジトリ130と通信する。ネットワーク120は、ローカルエリアネットワーク(LAN)及び/又はインターネットなどの広域ネットワーク(WAN)であってもよい。一実施形態では、情報リポジトリ130は、1つ以上のクラウドコンピューティング又は他の集中型コンピューティングサービスを使用して、完全に又は部分的に記憶され、更新されてもよい。以下に詳細に記載されるように、情報リポジトリ130は、治療用コーティング送達を受容することが許可されている医療用インプラント装置の許可済み装置識別子を含んでもよく、コンピューティングシステム104は、医療用インプラント装置101の装置識別子と許可済み装置識別子のうちの1つとを一致させることができる。ここで
図3を参照すると、カートリッジ103からアプリケータ装置107によって医療用インプラント装置101にコーティング108が塗布される制御システム100の実施形態が示されている。アプリケータ装置107は、コーティング108を加熱し、アプリケータ装置107の内部領域内の圧力を低下させることによって、コーティング108を医療用インプラント装置101に塗布させ、それによってコーティング108を医療用インプラント装置101に送達させることができる。一実施形態では、医療用インプラント装置101の装置識別子に基づいて、医療用インプラント装置がコーティング108を受容することが許可されていることを確認すると、コーティング108が塗布される。
【0032】
上述したように、
図1-3は、コーティングアプリケータシステム110が、カートリッジ103からコーティング108を塗布するアプリケータ装置107を含む実施形態を図示している。上述のように、アプリケータ装置107は、カートリッジ103からコーティングを加熱するための加熱構成要素を含んでもよい。アプリケータ装置107はまた、減圧環境を生成してもよい。コーティングは、温度(電気加熱)及び減圧下で揮発されてもよく、アプリケータ装置107の内部領域/チャンバ内の部品をコーティングしてもよい。しかしながら、コーティングを塗布するための様々な異なるシステムが、本明細書に記載される識別子ベースの制御技術と組み合わせて用いられてもよいことに留意されたい。具体的には、
図4は、コーティングアプリケータシステム110が、基部ユニット401、及び医療用インプラント装置101がコーティング108の塗布のために挿入されるバッグ402を含む、制御システム100の代替的な実施形態を図示している。具体的には、バッグ402は、ジッパー操作シールなどのシールによって開閉されてもよい。医療用インプラント装置101は、コーティング108を塗布するためにバッグ402内に挿入され、バッグ402内に封入されてもよい。一実施形態では、バッグ402は、伝導性アルミニウムメッシュに配合され、上部及び下部のポリマーメッシュ内に挟まれたコーティング108を含んでもよい。図示した実施形態では、バッグ402は、基部ユニット401に電気接続403及び空気流接続404の2つの接続を含む。基部ユニット401は、バッグ402を加熱するための電気接続403を提供する。具体的には、電気接続403は、伝導性アルミニウムメッシュを介してバッグ402にコーティング108を加熱させる電力を提供する。加えて、基部ユニット401は、バッグ402内で空気真空を生じさせる。具体的には、基部ユニット401は、空気流接続404を介してバッグ402から空気を抜き、それによってバッグ402内に真空を生じさせる。空気真空と組み合わせてバッグ402を加熱することにより、コーティング108が医療用インプラント装置101に塗布される。医療用インプラント装置101の識別子は、例えば、識別子タグ105からリーダ102によって読み取られてもよい。以下に詳細に記載されるように、医療用インプラント装置101が装置識別子に基づいて、治療用コーティングを受容することが許可されている場合、コーティングアプリケータシステム110は、ロック解除され、基部ユニット401がバッグ402に電力を供給し、バッグ402内に真空を生じさせ、それによって医療用インプラント装置101へのコーティング108の送達をもたらすことができる。
【0033】
ここで
図5を参照して、医療用インプラント装置への治療用コーティングの送達を制御するための方法の一実施形態を詳細に説明する。
図5の方法は、コーティングアプリケータシステムが医療用インプラント装置に治療用コーティングを塗布することを禁止されているロック状態にコーティングアプリケータシステムが設定される、操作508において開始される。コーティングアプリケータシステムが、ロック状態で病院又は他のポイントオブケア位置に到達することがあるので、操作508は、必ずしも毎回実行される必要はないことに留意されたい。加えて、コーティングアプリケータシステムはまた、治療用コーティングを塗布した後にコーティングアプリケータをロック状態に戻すことを含んでもよい、
図5のプロセスの前の性能に基づいて、ロック状態に設定されてもよいことに留意されたい(以下に説明する操作520を参照)。コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステムをロック状態に設定することができる。一実施形態では、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステムの1つ以上の構成要素(例えば、アプリケータ装置107又は基部ユニット401)を電源オフすることによって、コーティングアプリケータシステムをロック状態に設定してもよい。一実施形態では、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステム構成要素への電力の供給を制御することができ、これらの構成要素への電力の供給を制限することができる。例えば、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステム構成要素への電力供給を制限するために開くことができ、又は、電力をコーティングアプリケータシステム構成要素に供給することを可能にするように閉じられてもよいスイッチを制御してもよい。一実施形態では、コンピューティングシステム104は、コーティング送達を実行しないように、又は別の方法でロック状態をとるように、コーティングアプリケータシステムに指示を送信することによって、コーティングアプリケータシステムをロック状態に設定する。これらの指示は、コントローラ104からアプリケータ装置107又は基部ユニット401に送信される電気パルス若しくは信号、及び/又はローカルエリアネットワーク(LAN)又は別の通信媒体を介して送信されるメッセージの形態をとることができる。一実施形態では、コンピューティングシステム104は、それ自体を電源オフするために、コーティングアプリケータシステムに指示を送信してもよい。例えば、コントローラ104は、アプリケータ装置107又は基部ユニット401に指示を送信して、それ自体を電源オフすることができる。代替的な実施形態では、アプリケータ装置107、基部ユニット401及び/又はコーティングアプリケータシステムの他の構成要素は、ロック状態にあるときに電力をオンにすることができるが、それでもなお、コーティングアプリケータシステムは、ロック状態にあるときに治療用コーティングを塗布することを禁止されてもよい。例えば、一実施形態では、コーティングアプリケータシステムの1つ以上の構成要素は、ロック状態にあるときに電力をオンにするが、これらの構成要素は、ロック状態にある間にコーティング送達を可能にしないようにプログラムされるか、又は他の方法で構成される。一実施形態では、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステムの指示を送信してコーティング送達を実行しないことによって、コーティングアプリケータシステムをロック状態に設定してもよい。加えて、一実施形態では、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステムの指示を送信してロック状態をとることによって、コーティングアプリケータシステムをロック状態に設定してもよい。ロック状態の間、コーティング送達を可能にしないための指示は、コーティングアプリケータシステムに任意選択的に含まれるか、又は別の方法でアクセス可能であり得るメモリ構成要素に記憶されてもよい。一実施形態では、コーティングアプリケータシステムは、ロック状態にてデフォルトで操作するように構成され、コーティングアプリケータシステムは、コンピューティングシステム104によって明示的にそうするよう指示された場合にのみ、ロック解除状態に切り替えられる(及び治療用コーティングの塗布を可能にする)ように構成される。
【0034】
操作510において、第1の医療用インプラント装置の第1の識別子が受信される。第1の識別子は、コンピューティングシステム104によって受信されてもよい。いくつかの実施形態では、
図1-4に示されるものなど、コンピューティングシステム104は、第1の識別子を読み取る電子リーダから第1の識別子を受信することができ、次いで、第1の識別子をコンピューティングシステム104に提供する。例えば、リーダ102は、医療用インプラント装置101の識別タグ105から装置識別子を読み取ることができる。上述のように、装置識別子は、医療用インプラント装置から、第1の医療用インプラント装置内に埋め込まれた識別タグ、又は医療用インプラント装置の1つ以上の表面上に埋め込まれた識別タグなどから読み取ることができる。誤用を防止するために、電子リーダは、コーティングアプリケータシステムと同じ手術室などのコーティングアプリケータシステムと同じポイントオブケア位置に配置されてもよい。コンピューティングシステム104は、有線又は無線接続などのリーダ102への接続を有してもよい。この接続により、コンピューティングシステム104は、リーダ102から信号などの情報を受信することが可能になり得、この情報は、第1の医療用インプラント装置の第1の識別子、並びに他の識別子又は情報を示し得る。
【0035】
代替的な実施形態では、電子リーダから第1の識別子を受信するのとは対照的に、コンピューティングシステム104は代わりに、ユーザのタイプを有することによって、又は他の方法で第1の識別子をキーボード、キーパッド、又はコンピューティングシステム104に含まれ得る他のユーザ入力構成要素に入力することなどによって、第1の識別子を受信する。
【0036】
更に、一実施形態では、コンピューティングシステム104は、第1の医療用インプラント装置の物理的属性を検出するために用いられ得るセンサからの入力を受信する。検出された物理的属性は、サイズ、形状、重量、又は第1の医療用インプラント装置の任意の他の好適な物理的属性を含み得る。一実施形態では、センサは、第1の医療用インプラント装置の重量を検出するように構成されたスケール(例えば、ロードセルセンサ)である。別の実施形態では、センサは、光源から発せられた光の有無などに基づいて、第1の医療用インプラントのサイズ及び/又は形状を検出するように構成された光学及び/又は光検出センサである。センサは、コーティングアプリケータシステムと同じ手術室などのコーティングアプリケータシステムと同じポイントオブケア位置に配置されてもよい。センサは、第1の医療用インプラント装置の物理的属性を決定し、次いで、物理的属性の指示をコンピューティングシステム104に提供することができる。コンピューティングシステム104は、有線又は無線接続などのセンサへの接続を有してもよい。この接続により、コンピューティングシステム104は、センサからの信号などの情報を受信することが可能になり得、この情報は、第1の医療用インプラント装置の物理的属性、並びに他の情報を示し得る。次いで、コンピューティングシステム104は、表示された物理的属性を情報として使用して、第1の医療用インプラント装置が、実際には、コーティングアプリケータシステムと同じポイントオブケア位置(例えば、手術室)に存在することを確認するのを支援することができる。例えば、第1の医療用インプラント装置の物理的属性に関する情報(例えば、サイズ形状、重量など)は、第1の医療用インプラント装置の第1の識別子と組み合わせて記憶されてもよい。コンピューティングシステム104は、第1の識別子に基づいてこの物理属性情報を取得することができ、第1の識別子を介して取得された記憶された物理属性情報でセンサによって示される物理属性情報を一致させるように試みることができる。センサからの指示された物理的属性情報が記憶された物理属性情報と一致する場合、これは、実際には、第1の医療用インプラント装置が、実際には、コーティングアプリケータシステムと同じポイントオブケア位置に存在することを確認するのを支援することができ、プロセスは、以下に記載されるように操作512に進むことができる。対照的に、センサからの指示された物理的属性情報が記憶された物理的属性情報と一致しない場合、これは、第1の医療用インプラント装置が、コーティングアプリケータシステムと同じポイントオブケア位置に存在しないことを示すことができ、コーティングアプリケータシステムのロック解除が許され得ない。第1の医療用インプラント装置の位置を確認するのを支援するので、この物理的属性ベースの確認プロセスは、第1の識別子がユーザによってコンピューティングシステム104に手動で入力されるときなど、装置識別子が第1の医療用インプラント装置から電子的に読み取られない状況で特に有利であり得る。
【0037】
一実施形態では、センサを使用して、ユーザがコーティングサイクル毎に複数の未承認のインプラント装置をコーティングしようとすることを防止してもよい。例えば、ユーザは、単一の承認澄みインプラント装置をリーダでスキャンすることによって未承認のインプラント装置をコーティングしようとする場合があるが、ユーザは、その後、1つ以上の未承認の装置を(承認済み装置に加えて又は代替的に)バッグ402またはアプリケータ装置107の内部コーティング領域/チャンバなどのコーティングアプリケータシステム構成要素に不正に挿入することができる。一実施形態では、センサは、医療用インプラント装置の物理的属性を検出するために好適な位置(例えば、バッグ402又はアプリケータ装置107の内部コーティング領域/チャンバ)に位置決めされてもよい。次に、上記のように、この物理属性情報は、コンピューティングシステム104に送信されて、センサからの指示された物理属性情報を、受信された装置識別子の記憶された物理属性情報と比較することができる。コーティングアプリケータシステムのロック解除は、指示及び記憶された情報が互いに一致するときにのみ許され得る。正確な一致が必要とされなくてもよく、一致は、構成可能な類似度範囲内にある必要があるのみであることに留意されたい。1つの特定の例では、バッグ402内の医療用インプラント装置の重量を測定するために、スケール(例えば、ロードセルセンサ)がバッグ402に配置されてもよい。測定された重量が受信された装置識別子の記憶された重量を超える場合、これにより、1つ以上の追加の未承認のインプラント装置がバッグ402内に挿入されていることを示すことができ、コーティングアプリケータシステムのロック解除が許され得ない。未承認の装置のコーティングに対する防止を支援するために、多くの他の例示的な技術もまた本明細書に記載され、任意の数のこれらの技術が、任意選択的に互いに組み合わせて用いられてもよいことに留意されたい。
【0038】
操作512において、第1の医療用インプラント装置が治療用コーティングを受容することが許可されているかどうかを判定される。上述のように、この判定は、第1の医療用インプラント装置の第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて行われてもよい。具体的には、第1の識別子が第1の医療用インプラント装置から電子的に読み取られると、リーダ102は、第1の識別子をコンピューティングシステム104に提供してもよい。次いで、コンピューティングシステム104は、第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、第1の医療用インプラント装置が治療用コーティングを受容することが許可されているかどうかを判定することができる。一実施形態では、コンピューティングシステム104は、治療用コーティング送達を受容することが許可されている許可済み医療用インプラント装置の許可済み装置識別子を示す情報にアクセスすることができる。
図1-4に示されるように、この情報は、コーティングアプリケータシステム110の外部の情報リポジトリ130内に記憶され、ネットワーク120を介してアクセス可能であってもよい。一実施形態では、コンピューティングシステム104は、第1の医療用インプラント装置の第1の識別子を許可済み装置識別子と比較してもよい。第1の識別子が許可済み装置識別子に含まれている場合、コンピューティングシステム104は、第1の医療用インプラント装置が治療用コーティングを受容することが許可されていると判定してもよい。対照的に、第1の識別子が許可済み装置識別子に含まれていない場合、コンピューティングシステム104は、第1の医療用インプラント装置が治療用コーティングを受容することが許可されていないと判定してもよい。一実施形態では、情報はまた、許可済み医療用インプラント装置ごとに、許可済み医療用インプラント装置用の許可済みタイプの治療用コーティング、例えば抗感染薬(例えば、トリクロサンなど)、鎮痛剤若しくは疼痛予防薬、又は別のタイプの治療用コーティングを含む。加えて、一実施形態では、情報はまた、許可済み医療用インプラント装置ごとに、許可済み医療用インプラント装置の許可済み投与量を含む。
【0039】
ネットワーク120を介した情報リポジトリ130における許可済み装置情報のリモートストレージ及びアクセスは、多数の利点を提供することができる。例えば、この構成は、許可済み装置情報が、任意の数のコンピューティングシステム、アプリケータ装置、製造業者システム、及び/又は任意の数の場所及び地理的地域にわたって広がる他の構成要素若しくは装置によってアクセス及び/又は更新されることを可能にし得る。例えば、この構成は、新しい医療用インプラント装置が販売されているか、又は別の方法で使用のために利用可能にされたときなど、装置製造業者又は他のユーザが、新しい装置識別子を許可済み装置識別子のリストに容易に追加することを可能にし得る。加えて、一実施形態では、許可済みコーティングが許可済み医療用インプラント装置に塗布される(及び装置が患者に埋め込まれる)とき、装置の識別子は、許可済み医療用装置のリストから除去されてもよい。これは、装置識別子が再使用されて他の未承認の装置に追加のコーティングを塗布することを防止することなどによって、誤用を防止するのに役立ち得る。ネットワークアクセス可能な情報リポジトリ130の使用は、医療用インプラント装置のコーティング及び埋め込みの際に、コンピューティングシステムが、許可済み医療用装置識別子のリストから、装置の識別子を容易に除去することを可能にし得る。ネットワークアクセス可能な情報リポジトリの使用は、多数の利点を提供することができるが、必須ではない。代替的な実施形態では、装置がコーティングを受容することが許可されていることを示す情報、並びに任意選択的に、コーティングの特定のタイプ及び/又は投与量を装置の識別タグに埋め込むことができる。
【0040】
操作512において、第1の医療用装置が治療用コーティングを受容することが許可されていないと判定されたとき、操作514において、この判定に応答して、コーティングアプリケータシステムは、コーティングアプリケータシステムが治療用コーティングを塗布することを禁止されているロック状態に維持される。一実施形態では、ロック状態にあるコーティングアプリケータシステムの維持は、第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、第1の医療用インプラント装置が治療用コーティングを受容することが許可されていないと判定することに応答して実行される。具体的には、第1の医療用インプラント装置の第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、第1の医療用インプラント装置が治療用コーティングを受容することが許可されていないと判定され得る。この判定は、第1の識別子を、治療用コーティング送達を受容することが許可されている許可済み医療用インプラント装置の許可済み識別子を示す情報と比較することと、第1の識別子が許可済み識別子に含まれていないと判定することと、を含んでもよい。ここで
図6を参照すると、医療用インプラント装置への治療用コーティングの塗布を承認するための例示的な失敗した識別子一致の試みが、ここで詳細に説明される。図示した実施形態では、リーダ102は、第1の医療用インプラント装置から第1の識別子615を読み取り、第1の識別子615をコンピューティングシステム104に提供する。示されるように、この例では、第1の識別子615はPQR999である。コンピューティングシステム104は、次いで、情報リポジトリ130内に記憶された許可済み装置情報600にアクセスすることができる。図示した実施形態では、許可済み装置情報600は、治療用コーティングを受容することが許可されている医療用インプラント装置ごとに識別子を列挙する許可済み装置識別子(ID)カラム601を含む。示されるように、この例では、治療用コーティングを受容することが許可されている3つの医療用インプラント装置に対応する3つの識別子(ABC123、XYZ456、及びDEF798)が存在する。許可済み装置情報600はまた、許可済みコーティングタイプ(コーティングタイプA、コーティングタイプB、コーティングタイプC)を許可済み医療用インプラント装置ごとに列挙する許可済みコーティングタイプのカラム602を含む。コーティングタイプA~Cは、鎮痛剤、抗感染薬などの任意の異なるタイプの治療用コーティングであってもよい。特定の一例では、コーティングタイプAは、特定のタイプの鎮痛剤であり得、コーティングタイプBは特定のタイプの抗感染薬(例えば、トリクロサン)であり得、コーティングタイプCは別の特定のタイプの抗感染薬であり得る。許可済み装置情報600はまた、許可済みコーティング投与量(1ミリリットル(mL)、2mL、3mL)を許可済み医療用インプラント装置ごとに列挙する許可済みコーティング投与量カラム603を含む。
【0041】
図示した実施形態では、コンピューティングシステム104は、第1の識別子615(PQR999)を許可済み装置IDカラム601に列挙された許可済み識別子と比較して、第1の識別子615を許可済み装置識別子のうちの1つに一致させるように試みる。示されるように、この例では、第1の識別子615(PQR999)は、許可済み装置IDカラム601に含まれる3つの識別子のうちの1つではない。したがって、この例では、アクション605で示されるように、コンピューティングシステムは、第1の識別子615(PQR999)と許可済み装置識別子とを一致させることができず、したがって、コーティングアプリケータシステムは、それが第1の医療用インプラント装置に治療用コーティングを塗布することを禁止されているロック状態に留まる。
【0042】
再び
図5を参照すると、操作512において、第1の医療用インプラント装置が治療用コーティングを受容することが許可されていると判定されたとき、操作516において、コーティングアプリケータシステムは、治療用コーティングを塗布することが禁止されているロック状態から、治療用コーティングを塗布することが許されているロック解除状態に切り替えられる。一実施形態では、第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、第1の医療用インプラント装置が治療用コーティングを受容することが許可されていると判定することに応答して、ロック状態からロック解除状態へのコーティングアプリケータシステムの切り替えが行われる。具体的には、第1の医療用インプラント装置の第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、第1の医療用インプラント装置が治療用コーティングを受容することが許可されていると判定され得る。この判定は、第1の識別子を、治療用コーティング送達を受容することが許可されている許可済み医療用インプラント装置の許可済み識別子を示す情報と比較することと、第1の識別子が許可済み識別子に含まれていることを確認することと、を含んでもよい。ここで
図7を参照すると、医療用インプラント装置への治療用コーティングの塗布を承認するための例示的な成功した識別子一致の試みが、ここで詳細に説明される。図示した実施形態では、リーダ102は、第1の医療用インプラント装置から第1の識別子615を読み取り、第1の識別子615をコンピューティングシステム104に提供する。示されるように、この例では、第1の識別子615はXYZ456である。コンピューティングシステム104は、次いで、情報リポジトリ130内に記憶された許可済み装置情報600にアクセスすることができる。図示した実施形態では、コンピューティングシステム104は、第1の識別子615(XYZ456)を許可済み装置IDカラム601に列挙された許可済み識別子と比較して、第1の識別子615を許可済み装置識別子のうちの1つに一致させるように試みる。示されるように、この例では、第1の識別子615(XYZ456)は、許可済み装置IDカラム601の第2の列に列挙された識別子である。したがって、この例では、アクション705で示されるように、コンピューティングシステム104は、第1の識別子615(XYZ456)と許可済み装置識別子とを一致させ、したがって、コーティングアプリケータシステムは、治療用コーティングを塗布することを禁止されているロック状態から、治療用コーティングを塗布することが許されているロック解除状態に切り替えられる。
【0043】
様々な技術を用いて、コーティングアプリケータシステムをロック状態からロック解除状態に切り替えることができる。上述のように、一実施形態では、ロック状態は、コーティングアプリケータシステムの電源オフ状態と類似しており、ロック解除状態は、コーティングアプリケータシステムの電源オン状態と類似している。一実施形態では、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステムの1つ以上の構成要素(例えば、アプリケータ装置107又は基部ユニット401)に電力を印加させることによって、コーティングアプリケータシステムをロック状態からロック解除状態に切り替えることができる。例えば、上述したように、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステム構成要素への電力供給を制限するために開くことができる、又は、電力をコーティングアプリケータシステム構成要素に供給することを可能にするように閉じることができる、スイッチを制御してもよい。一実施形態では、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステムに指示を送信して、コーティング送達を実行するか、又は別の方法でロック解除状態を取ることによって、コーティングアプリケータシステムをロック解除状態に切り替える。これらの指示は、コントローラ104からアプリケータ装置107又は基部ユニット401に送信される電気パルス若しくは信号、及び/又はローカルエリアネットワーク(LAN)又は別の通信媒体を介して送信されるメッセージの形態をとることができる。上述のように、一実施形態では、コーティングアプリケータシステムの構成要素(例えば、アプリケータ装置107又は基部ユニット401)は、コーティングアプリケータシステムがロック状態にある場合であっても、電源をオンにしたままにしてもよい。一実施形態では、電源を入れるだけでコーティングアプリケータシステムをロック解除する代わりに、コンピューティングシステム104は、ロック解除状態をとる指示を提供することによって、コーティングアプリケータシステムをロック解除することができる。一実施形態では、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステムの指示を送信してコーティング送達サイクルを実行するか、又は別の方法でコーティング送達を可能にすることによって、コーティングアプリケータシステムをロック解除状態に切り替えてもよい。加えて、一実施形態では、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステムの指示を送信してロック解除状態をとることによって、コーティングアプリケータシステムをロック解除状態に切り替えてもよい。また、ロック解除状態にある間にコーティング送達を可能にするための指示は、コーティングアプリケータシステム内に任意選択的に含まれるか、又は別の方法でアクセス可能であり得るメモリ構成要素に記憶されてもよい。
【0044】
一実施形態では、コンピューティングシステム104は、第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、第1の医療用インプラント装置に対して許可されている選択されたタイプの治療用コーティングを決定し、コーティングアプリケータシステムは、選択されたタイプの治療用コーティングのみを第1の医療用インプラント装置に塗布することが許される。例えば、
図7に示されるように、許可済み装置情報600は許可済みコーティングタイプのカラム602を含み、許可済みコーティングタイプは、許可済み医療用インプラント装置ごとに許可済みコーティングタイプを列挙する。示されるように、カラム602の第2の列に列挙されたコーティングタイプは、コーティングタイプB(例えば、トリクロサン)であり、これにより、第1の医療用装置がコーティングタイプB(例えば、トリクロサン)を受容することが許可されていることを示す。一実施形態では、コーティングアプリケータシステムが第1の医療用インプラント装置の第1の識別子に基づいてロック解除されるとき、コーティングアプリケータシステムは、ロック状態に戻る前に、許可済みタイプのコーティング(例えば、トリクロサン)のみを塗布するように制限され得る。これは、第1の医療用インプラント装置に未許可又は未承認のコーティングを塗布するために、コーティングアプリケータシステムを使用することができないようにすることを確実にするのに役立つことなどによって、誤用を防止するのを支援することができる。
【0045】
加えて、一実施形態では、コンピューティングシステム104は、第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、第1の医療用インプラント装置に対して許可されている治療用コーティングの投与量を決定し、コーティングアプリケータシステムは、第1の医療用インプラント装置に
投与量以下の治療用コーティングを塗布することが許される。例えば、
図7に示されるように、許可済み装置情報600はまた、許可された医療用インプラント装置ごとに許可済みコーティング投与量を列挙する許可済みコーティング投与量カラム603を含む。示されるように、カラム603の第2の列に列挙された投与量は2mLであり、それにより、第1の医療用装置が、2mLのコーティングタイプB(例えば、トリクロサン)を受容することが許可されていることを示す。一実施形態では、第1の医療用インプラント装置の第1の識別子に基づいてコーティングアプリケータシステムがロック解除されているとき、コーティングアプリケータシステムは、ロック状態に戻る前に、許可済みコーティング投与量(例えば、2mL)以下(及びいくつかの場合ではそれ未満)を塗布することに制限され得る。これは、コーティングアプリケータシステムを第1の医療用インプラント装置に許可済みコーティング投与量よりも多く(及びいくつかの場合ではそれ以上)塗布するために使用することができないことを確実にするのに役立つことなどによって、誤用を防止するのを支援することができる。
【0046】
一実施形態では、
図1-3を参照して説明されるように、第1の医療用インプラント装置に塗布される治療用コーティングは、アプリケータ装置107に挿入されるカートリッジ103内に含まれる。一実施形態では、カートリッジ103はまた、カートリッジ103に含まれる識別タグなどからリーダ102によって読み取られる対応する識別子を有する。このカートリッジ識別子は、カートリッジ103内に含まれる治療用コーティングのタイプ及び/又は投与量を決定するために使用され得る。例えば、いくつかの場合では、コンピューティングシステム104は、様々なカートリッジ識別子、及びカートリッジ識別子ごとの治療用コーティングの対応するタイプ及び/又は投与量を示す記憶された情報にアクセスすることができる。一実施形態では、この情報はまた、情報リポジトリ130に記憶されてもよい。この情報は、カートリッジ103が第1の医療用インプラント装置に許可された治療用コーティングのタイプ及び/又は投与量を含むことを確認するために使用される。一実施形態では、コーティングアプリケータシステムをロック解除するために、コンピューティングシステム104は、カートリッジ識別子を(例えば、電子リーダによって)読み取る必要があり、カートリッジ識別子が第1の医療用インプラント装置に許可された治療用コーティングのタイプ及び/又は投与量を示すことを確認する必要がある。加えて、一実施形態では、ロック解除状態にある間、コーティングアプリケータシステムは、ロック状態に戻る前に、単一のカートリッジからコーティングを塗布することのみが許され得る。これは、例えば、単一のカートリッジを使用して装置コーティングを実行するのにかかる推定された(例えば、平均)時間などに基づいて、コーティングアプリケータシステムを特定の期間のみロック解除することによって達成され得る。このようにして、コーティングアプリケータシステムは、許可済みタイプのコーティング(例えば、トリクロサン)のみを塗布すること、及び/又はロック状態に戻る前に許可済みコーティング投与量(例えば、2mL)以下を塗布することに制限され得る。
【0047】
別の実施形態では、
図4を参照して説明されるように、第1の医療用インプラント装置に塗布される治療用コーティングは、第1の医療用インプラント装置が治療用コーティングの塗布のために挿入されるバッグ402内に含まれる。一実施形態では、バッグ402はまた、バッグ402に含まれる識別タグなどからリーダ102によって読み取られる対応する識別子も有する。このバッグ識別子は、バッグ402内に含まれる治療用コーティングのタイプ及び/又は投与量を決定するために使用されてもよい。例えば、いくつかの場合では、コンピューティングシステム104は、様々なバッグ識別子、及び各バッグ識別子のための治療用コーティングの対応するタイプ及び/又は投与量を示す、記憶された情報にアクセスすることができる。一実施形態では、この情報はまた、情報リポジトリ130に記憶されてもよい。この情報は、バッグ402が第1の医療用インプラント装置に許可された治療用コーティングのタイプ及び/又は投与量を含むことを確認するために使用される。一実施形態では、コーティングアプリケータシステムをロック解除するために、コンピューティングシステムは、バッグ識別子を(例えば、電子リーダによって)読み取る必要があり、第1の医療用インプラント装置に対して許可された治療用コーティングのタイプ及び/又は投与量を示すことを確認する必要がある。加えて、一実施形態では、ロック解除状態にある間、基部ユニット401は、ロック状態に戻る前に、単一のバッグ402のみと情報交換のみすることが許され得る。これは、単一のバッグを使用して装置コーティングを実行するのにかかる推定された(例えば、平均)時間などに基づいて、コーティングアプリケータシステムを特定の期間のみロック解除することによって達成され得る。このようにして、コーティングアプリケータシステムは、許可済みタイプのコーティング(例えば、トリクロサン)のみを塗布すること、及び/又はロック状態に戻る前に許可済みコーティング投与量(例えば、2mL)以下を塗布することに制限され得る。
【0048】
いくつかの場合では、許可済み装置情報はまた、許可済み医療用インプラント装置に関する追加情報を含んでもよい。一実施形態では、許可済み装置情報は、異なる手術環境及び/又は異なる患者に対する医療用インプラント装置のコーティングに関する情報を含んでもよい。例えば、特定のタイプの感染症は、特定の地理的地域において、特定の操作環境(例えば、病院対野外診療所など)において、1年の特定の時間、及び/又は他の因子に基づいて、より一般的であり得る。これら及び他の場合には、許可済み装置情報は、これら又は他の異なる環境条件のうちの1つ以上の下で、許可済みコーティングの異なるタイプ及び/又は投与量を場合により識別することができる。更に、コーティングの最適なタイプ及び/又は投与量はまた、性別、年齢、健康状態、家族歴、服薬中の他の薬剤などの患者因子に基づいて変化し得る。許可済み装置情報はまた、これら又は他の異なる患者の状態のうちの1つ以上の下で、許可済みコーティングの異なるタイプ及び/又は投与量を場合により識別することができる。特定の一例では、システムは、ロック解除状態に切り替えるために、特定のコーティング(例えば、トリクロサン)に曝露されたときに、患者が健康関連の問題及び/又は禁忌を有さないことをユーザに迅速に証明するようにプログラムすることができる。システムは、適切な証明が提供されない場合、ロック解除状態への切り替えを防止することができる。
【0049】
一実施形態では、システムは、不適合なサイズを有する装置、不整合ねじ、又は2つの右若しくは2つの左側装置が、右側装置及び左装置の代わりに誤って使用される状況など、誤って一緒に使用される不適合な医療用インプラント装置の使用の警告及び/又は防止を提供するように構成される。例えば、いくつかの場合では、コンピューティングシステムは、医療用インプラント装置の識別子などに基づいて、コーティングされている医療用インプラント装置のタイプを決定してもよい。例えば、記憶された装置識別子ごとに、許可済み装置情報は、識別子が対応するタイプの装置(例えば、サイズ、左又は右など)を示すことができ、この情報は、コンピューティングシステムによってアクセスされてもよい。次いで、コンピューティングシステムは、これらの医療用装置のタイプを比較し、互いに、又は互いの選択された閾値期間内にコーティングされているときなど、不適合な装置タイプをコーティングするように試みられるときに警告を提供することができる(又はロック解除を防止することができる)。また、一実施形態では、医療用インプラント装置が患者に埋め込まれると、患者に関する情報(例えば、名前、性別、年齢、連絡先情報)は、装置識別子(及び、塗布された治療用コーティングの表示)と関連付けられ、例えば許可済み装置情報、製造業者データベース、患者の医療記録などに記憶されてもよい。これは、手術後処置の実行、更なる情報収集などを支援するために、医療用インプラント装置及び患者の追跡を支援することができる。
【0050】
操作518では、治療用コーティングが第1の医療用インプラント装置に塗布される。治療用コーティングは、ロック解除状態にある間、コーティングアプリケータシステムによって塗布される。
図1-3の実施形態では、治療用コーティングは、アプリケータ装置に挿入されるカートリッジから塗布される。アプリケータ装置は、コーティングを加熱し、アプリケータ装置の内部領域内の圧力を低下させることによって、コーティングを第1の医療用インプラント装置に塗布させ、それによってコーティングを第1の医療用インプラント装置に送達させることができる。
図4の実施形態では、第1の医療用インプラント装置は、コーティングを塗布するためにバッグ内に挿入され、バッグ内に封入される。基部ユニットは、バッグを加熱するための電気接続を提供する。基部ユニットはまた、バッグから空気を抜き、それによってバッグ内に真空を生じさせる。空気真空と組み合わせてバッグを加熱することにより、第1の医療用インプラント装置にコーティングが塗布される。治療用コーティングを第1の医療用インプラント装置に塗布するための任意の他の好適な技術もまた使用され得る。
【0051】
操作520では、コーティングアプリケータシステムは、ロック解除状態からロック状態に戻る。コーティングアプリケータシステムは、第1の医療用インプラント装置に治療用コーティングを塗布した後、ロック解除状態からロック状態に戻る。様々な技術を用いて、コーティングアプリケータシステムをロック解除状態からロック状態に戻すときを決定することができる。一実施形態では、コーティングアプリケータシステムは、治療用コーティングを第1の医療用装置に送達するために、時限コーティングサイクルを実行するように構成される。いくつかの例では、コーティングアプリケータシステムは、このコーティングサイクルの完了時に自動的にロック状態に戻るように構成され得る。あるいは、コーティングアプリケータシステムは、コーティングサイクルが完了したときにコンピューティングシステムに通知することができ、コンピューティングシステムは、次いで、コーティングアプリケータシステムをロック状態に戻してもよい。いくつかの場合では、このコーティングサイクルの期間は、例えば、塗布されるコーティングのタイプ、コーティング投与量、医療用インプラント装置のサイズ及び/又はタイプ、使用される塗布技術(例えば、カートリッジ、バッグなど)、並びに/又は他の因子に応じて変化し得る。代替的な実施形態では、コーティングアプリケータシステムは、医療用インプラント装置に治療用コーティングを送達するのにかかる推定(例えば、平均)時間などに基づいて、特定の期間だけロック解除される。いくつかの例では、この推定期間は、例えば、上記の因子のうちのいずれか又は全てに応じて変化し得る。いくつかの場合では、コンピューティングシステムは、この期間の追跡を維持することができ、コーティングアプリケータシステムを、期間の完了時に、ロック状態に戻すことができる。これらの技術は、複数の医療用インプラント装置に複数のコーティングを塗布するために、単一の装置識別子を使用してコーティングアプリケータシステムがロック解除され得ないことを確実にするのに役立つことなどによって、誤用を防止するのを支援することができる。
【0052】
様々な技術を用いて、コーティングアプリケータシステムをロック解除状態からロック状態に戻すことができる。上述のように、一実施形態では、ロック状態は、コーティングアプリケータシステムの電源オフ状態と類似しており、ロック解除状態は、コーティングアプリケータシステムの電源オン状態と類似している。いくつかの例では、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステムの1つ以上の構成要素(例えば、アプリケータ装置107又は基部ユニット401)を電源オフすることによって、コーティングアプリケータシステムをロック解除状態からロック状態に切り替えてもよい。例えば、上述したように、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステム構成要素への電力供給を制限するために開くことができ、又は、電源をコーティングアプリケータシステム構成要素に供給することを可能にするように閉じられてもよいスイッチを制御してもよい。一実施形態では、コンピューティングシステム104は、コーティング送達を実行しないように、又は別の方法でロック状態をとるように、コーティングアプリケータシステムに指示を送信することによって、コーティングアプリケータシステムをロック状態に切り替える。一実施形態では、コンピューティングシステム104は、それ自体の電源をオフにするために、コーティングアプリケータシステム(例えば、アプリケータ装置107又は基部ユニット401)に指示を送信してもよい。更に別の実施形態では、コーティングアプリケータシステムは、例えば、コーティング塗布サイクルの完了時に、それ自体の電源をオフにすることなどによって、それ自体をロック状態に自動的に切り替えることができる。また上述したように、代替的な実施形態では、アプリケータ装置107、基部ユニット401及び/又はコーティングアプリケータシステムの他の構成要素は、ロック状態にあるときに電力をオンにすることができるが、それでもなお、コーティングアプリケータシステムは、治療用コーティングを塗布することを禁止され得る。一実施形態では、コーティングアプリケータシステムの電源をオフにするのとは対照的に、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステムに指示を送信し、コーティングアプリケータシステムが再びロック解除状態に戻されるまで、治療用コーティングの塗布を禁止することができる。一実施形態では、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステムの指示を送信してコーティング送達を実行しないことによって、コーティングアプリケータシステムをロック状態に切り替えることができる。加えて、一実施形態では、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステムの指示を送信してロック状態をとることによって、コーティングアプリケータシステムをロック状態に切り替えることができる。ロック解除状態にある間に、コーティング送達を可能にしないための指示は、コーティングアプリケータシステムに任意選択的に含まれるか、又は別の方法でアクセス可能であり得るメモリ構成要素に記憶されてもよい。
【0053】
操作522では、第1の医療用インプラント装置に治療用コーティングを塗布することに基づいて許可済み装置情報が更新される。具体的には、コンピューティングシステムは、第1の医療用インプラント装置に治療用コーティングを塗布することに基づいて、許可済み識別子から第1の医療用インプラント装置の第1の識別子を除去してもよい。例えば、ここで
図8を参照すると、第1の医療用インプラント装置に治療用コーティングを塗布した後、アクション805が実行されて、コーティングアプリケータシステムを再ロックし、許可済み装置情報600を更新する例が示されている。図示した実施形態では、許可済み装置情報600は、許可済み装置情報600から第1の識別子615(XYZ456)を除去することによって更新され、それにより、第1の医療用インプラント装置が治療用コーティングを受容することがもはや許可されていないことを示す。示されるように、識別子XYZ456(
図7の許可済み装置情報600の第2の列に含まれた)は、
図8の許可済み装置情報600から除去される。これは、識別子XYZ456が他の装置に他の治療用コーティングを塗布するために再使用されることを防止することなどによって、誤用を防止することができる。許可済み識別子からの第1の識別子の除去は、必ずしも第1の識別子に関する情報の削除を必要としないことに留意されたい。例えば、いくつかの場合では、第1の識別子は、「コーティングがまだ塗布されていない」から「コーティングが既に塗布されている」、又は任意の他の同様の指定又は技術を使用することなどの、第1の識別子の状態を変更することによって、許可済み識別子から除去されてもよい。
【0054】
したがって、上述の技術は、コーティングアプリケータシステムが、それらが許可済み医療用インプラント装置に治療用コーティングを塗布することのみに使用されることを確実にするのに役立ち得、それによって、コーティングアプリケータシステムの認可外又は他の意図的な若しくは偶発的な誤用をなくすのに役立ち得る。この技術はまた、治療用コーティングの適切なタイプ及び投与量が許可済み医療用インプラント装置に塗布されることを確実にするのに役立ち得る。規制上の観点から、これら及び他の安全措置は、コーティングアプリケータシステムを薬物送達システムとして扱わないが、ポイントオブケアで薬物-装置の組み合わせを製造する器具として、扱われることを可能にし得る。これは、場合により、コーティングアプリケータシステムのための、負担の少ない制御経路を可能にし得る。これにより、コーティングされた装置及び非コーティング装置のための過剰な在庫管理ユニット(SKU)を必要としないことなどによって、容易な在庫管理を可能にすることができる。
【0055】
上述のように、医療用インプラント装置が患者に埋め込まれると、患者に関する情報(例えば、名前、性別、年齢、連絡先情報など)は、装置識別子(及び場合により塗布された治療用コーティングの表示)と関連付けられ、例えば許可済み装置情報、製造業者データベース、患者の医療記録などに記憶されてもよい。これは、手術後処置の実行、更なる情報収集などを支援するために、医療用インプラント装置及び患者の追跡を支援することができる。更に、医療用インプラント装置に埋め込まれたRFIDタグの使用は、医療用インプラント装置が患者に埋め込まれた後であっても、装置識別子を読み取ることができることに留意されたい。一実施形態では、埋め込まれたRFIDタグの使用は、手術後に患者に適用される他の治療の使用を制御するための鍵として機能する。例えば、これらは、インプラントの緩み又は修正を防止するために必要とされ得る特定の抗生物質治療又は他の形態の骨強化剤の使用を含んでもよい。
【0056】
例示的なコンピューティングシステム
コンピューティングシステムは、この用語が本明細書で使用されるとき、コンピューティング操作を実行するようにプログラム可能な、少なくとも処理構成要素及びメモリ構成要素を含むシステムを指す。コンピューティングシステムは、例えば、1つ以上のデスクトップコンピューティングシステム、又はラップトップ、タブレット、若しくはスマートフォンなどのポータブルコンピューティングシステム、処理、メモリ、及び集積回路、マイクロチップなどを使用して実装される他の構成要素を含み得る。処理及びメモリ構成要素に加えて、コンピューティングシステムは、任意選択的に、入力/出力構成要素及びユーザインターフェース構成要素などの他のタイプの構成要素を含んでもよい。
図9を参照して、コンピューティングシステム104の例示的な実施形態をここで詳細に説明する。上述のように、いくつかの例では、コンピューティングシステム104は、コーティングアプリケータシステム110内に完全に又は部分的に含まれてもよい。加えて、いくつかの例では、コンピューティングシステム104に加えて、コーティングアプリケータシステム110は、任意選択的に、処理構成要素、メモリ構成要素、入出力構成要素、及びユーザインターフェース構成要素のいずれか又は全てなど、
図9に示される構成要素のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0057】
一構成例では、コンピューティングシステム104は、処理部80、メモリ部82、入出力部84、及びユーザインターフェース(UI)部86を含む。コンピューティングシステム104のブロック図描写は例示のものであり、特定の実装及び/又は構成を示唆するようには意図されていないことが強調される。処理部80、メモリ部82、入出力部84、及びユーザインターフェース部86は、互いに連結されて、それらの間の通信を可能にしてもよい。理解されるであろうように、上述の構成要素のうちのいずれも、1つ以上の別個の装置及び/又は位置にわたって分布されてもよい。
【0058】
様々な実施形態では、入出力部84は、コンピューティングシステム104の受信機、コンピューティングシステム104の送信機、又はこれらの組み合わせを含む。入出力部84は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(例えば、インターネット)などのネットワークを介して通信することに関する情報を受信及び/又は提供することができる。理解されるであろうように、送信及び受信機能は、コンピューティングシステム104の外部の1つ以上の装置によっても提供され得る。
【0059】
処理部80は、1つ以上のプロセッサを含んでもよい。プロセッサの正確な構成及びタイプに応じて、メモリ部82は、揮発性(いくつかのタイプのRAMなど)、不揮発性(ROM、フラッシュメモリなど)、又はこれらの組み合わせであってもよい。コンピューティングシステム104は、テープ、フラッシュメモリ、スマートカード、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)若しくは他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置、ユニバーサルシリアルバス(USB)互換メモリ、又は情報を記憶するために使用され得、かつコンピューティングシステム104によりアクセスされ得る任意の他の媒体を含むが、これらに限定されない、追加の記憶装置(例えば、リムーバブル記憶装置及び/又は非リムーバブル記憶装置)を含むことができる。
【0060】
コンピューティングシステム104は、コンピューティングシステム104とのユーザの通信を可能にするユーザインターフェース部86も含み得る。ユーザインターフェース86は、例えば、ボタン、ソフトキー、マウス、声で作動する制御装置、タッチスクリーン、コンピューティングシステム104の移動、視覚的合図(例えば、コンピューティングシステム104上のカメラの前で手を動かす)などによってコンピューティングシステム104を制御する能力を提供する入力を含んでもよい。ユーザインターフェース部86は、視覚情報(例えば、ディスプレイを介して)、聴覚情報(例えば、スピーカーを介して)、機械的(例えば、振動機構を介して)、又はこれらの組み合わせを含む出力を提供してもよい。様々な構成において、ユーザインターフェース部86は、ディスプレイ、1つ以上のグラフィカルユーザインタフェース、タッチスクリーン、キーボード、マウス、加速度計、動作感知器、スピーカー、マイクロホン、カメラ、チルトセンサ、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。したがって、一実施形態では、コンピューティングシステムは、プロセッサと、プロセッサに結合されたディスプレイと、プロセッサと通信するメモリと、1つ以上のグラフィカルユーザインタフェースと、様々な他の構成要素とを含むことができる。メモリは、内部に指示を記憶していてもよく、これらの指示は、プロセッサによって実行されると、本明細書に記載される操作などの操作をコンピュータシステムに実行させる。
【0061】
開示される技術を実行するための装置の例示的実施形態が本明細書に記載されているが、根底にある概念は、本明細書に記載されるような技術を実行することができる任意のシステムに適用され得る。本明細書に記載される様々な技術は、ハードウェア若しくはソフトウェアに関連して、又は適切な場合にはこれらの両方の組み合わせに関連して実装されてもよい。かくして、本明細書に記載される方法及び装置を実装することができ、又はそれらのある特定の態様又は部分は、フロッピーディスケット、CD-ROM、ハードドライブ、又は任意の他のプロセッサ可読又は機械可読記憶媒体(コンピュータ可読記憶媒体)などの有形の非一時的記憶媒体内に具現化されたプログラムコード(すなわち、指示)の形態をとることができ、プログラムコードがコンピュータなどの機械にロードされてそれによって実行されると、この機械は、本明細書に記載される技術を実行するための装置になる。プログラマブルコンピュータ上でのプログラムコード実行の場合、コンピューティングシステムは、概して、プロセッサ、プロセッサ可読記憶媒体(揮発性及び不揮発性メモリ、並びに/又は記憶素子を含む)を含み、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置、例えばディスプレイを含得る。ディスプレイは、視覚情報を表示するように構成されてもよい。プログラム(複数可)は、所望によりアセンブリ又は機械語に実装されてもよい。この機械語は、コンパイラ型言語又はインタープリタ型言語であってもよく、ハードウェア実装と組み合わされてもよい。
【0062】
本明細書に記載される技術はまた、いくつかの伝送媒体上、例えば電気配線又はケーブル配線上で、光ファイバーを通して、又は伝送の任意の他の形態を介して伝送されるプログラムコードの形態で具現化された通信を介して実施されてもよい。汎用プロセッサ上で実施される場合、プログラムコードはプロセッサと組み合わされて、本明細書に記載される機能性をもたらすように操作する独自の装置を提供する。加えて、本明細書に記載される技術に関連して使用される任意の記憶技術は、常にハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであってもよい。
【0063】
本明細書に記載される技術が、様々な図面の様々な実施形態に関連して実施されてもよく、かつ記載されている一方で、他の類似の実施形態が使用されてもよく、又は記載の実施形態に、それから逸脱することなく修正及び追加が加えられてもよいことを理解されたい。例えば、上に開示される工程が、上に示される順序で、又は所望により任意の他の順序で実行されてもよいことを理解されたい。更に、当業者であれば、本出願に記載される技術が、有線又は無線にかかわらず、任意の環境に適用することができ、通信ネットワークを介して接続され、かつネットワーク全域で情報交換する任意の数のそのような装置に適用され得ることを認識するであろう。したがって、本明細書に記載される技術は、いずれの単一の実施形態にも制限されるべきではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に従う拡がり及び範囲内で解釈されるべきである。
【0064】
〔実施の態様〕
(1) 第1の医療用インプラント装置への治療用コーティングの送達を制御するための方法であって、
前記第1の医療用インプラント装置の第1の識別子を受信する工程と、
前記第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の医療用インプラント装置が前記治療用コーティングを受容することが許可されていると判定する工程と、
前記判定する工程に応答して、コーティングアプリケータシステムを、前記コーティングアプリケータシステムが前記治療用コーティングを塗布することを禁止されているロック状態から、前記コーティングアプリケータシステムが前記治療用コーティングを前記第1の医療用インプラント装置に塗布することが許されているロック解除状態に切り替える工程と、
前記コーティングアプリケータシステムによって、前記ロック解除状態にある間に、前記治療用コーティングを前記第1の医療用インプラント装置に塗布する工程と、を含む、方法。
(2) 前記第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の医療用インプラント装置に対して許可されている前記治療用コーティングの投与量を決定する工程を更に含み、前記コーティングアプリケータシステムが、前記第1の医療用インプラント装置に前記投与量以下の前記治療用コーティングを塗布することが許される、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の医療用インプラント装置に対して許可されている選択されたタイプの前記治療用コーティングを決定する工程を更に含み、前記コーティングアプリケータシステムが、前記選択されたタイプの前記治療用コーティングのみを前記第1の医療用インプラント装置に塗布することが許される、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の医療用インプラント装置が前記治療用コーティングを受容することが許可されていると判定する前記工程は、
前記第1の識別子を、治療用コーティング送達を受容することが許可されている許可済み医療用インプラント装置の許可済み識別子を示す情報と比較する工程と、
前記第1の識別子が前記許可済み識別子に含まれていることを確認する工程と、を含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記第1の医療用インプラント装置に前記治療用コーティングを前記塗布することに基づいて、前記第1の識別子を前記許可済み識別子から除去する工程を更に含む、実施態様4に記載の方法。
【0065】
(6) 前記第1の医療用インプラント装置に前記治療用コーティングを前記塗布した後に、前記コーティングアプリケータシステムを前記ロック解除状態から前記ロック状態に戻す工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 電子リーダを使用して前記第1の識別子を読み取る工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記電子リーダが、無線周波数識別(RFID)リーダである、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記第1の識別子が、前記第1の医療用インプラント装置から読み取られる、実施態様7に記載の方法。
(10) 前記第1の医療用インプラント装置のパッケージが、前記第1の医療用インプラント装置が前記パッケージ内に封入されている間、前記第1の医療用インプラント装置からの前記第1の識別子の前記読み取りを防止することによって前記第1の医療用インプラント装置を遮蔽する、実施態様9に記載の方法。
【0066】
(11) 前記電子リーダが、前記コーティングアプリケータシステムのアプリケータ装置に含まれており、前記アプリケータ装置の内部領域内の装置識別子を読み取るように構成され、前記アプリケータ装置の前記内部領域へのアクセスは、前記第1の識別子の前記読み取り後、かつ前記治療用コーティングを前記塗布する前に、別の医療用インプラント装置を前記アプリケータ装置の前記内部領域に挿入することができないように限定される、実施態様7に記載の方法。
(12) 前記コーティングアプリケータシステムが、基部ユニット及びバッグを備え、前記第1の医療用インプラント装置が前記バッグに挿入され、前記基部ユニットは、前記バッグを加熱し、バッグ内に空気真空を生じさせるための電気接続を提供し、前記バッグを前記加熱すること及び前記空気真空により、前記第1の医療用インプラント装置に前記治療用コーティングを前記塗布する、実施態様1に記載の方法。
(13) 前記第1の識別子が、ユーザによる手動入力によって受信される、実施態様1に記載の方法。
(14) 前記第1の医療用インプラント装置の物理的属性を感知する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(15) 第1の医療用インプラント装置への治療用コーティングの送達を制御するためのコンピューティングシステムであって、
1つ以上のプロセッサと、
指示を内部に記憶した1つ以上のメモリであって、前記指示が、前記1つ以上のプロセッサによる実行時に、前記コンピューティングシステムに、
前記第1の医療用インプラント装置の第1の識別子を受信する工程と、
前記第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の医療用インプラント装置が前記治療用コーティングを受容することが許可されていると判定する工程と、
前記判定する工程に応答して、コーティングアプリケータシステムを、前記コーティングアプリケータシステムが前記治療用コーティングを塗布することを禁止されているロック状態から、前記コーティングアプリケータシステムが前記治療用コーティングを前記第1の医療用インプラント装置に塗布することが許されているロック解除状態に切り替える工程であって、前記コーティングアプリケータシステムが、前記ロック解除状態にある間に、前記治療用コーティングを前記第1の医療用インプラント装置に塗布する、切り替える工程と、を実行させる、1つ以上のメモリと、を含む、コンピューティングシステム。
【0067】
(16) 前記1つ以上のメモリが、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記コンピューティングシステムに、
前記第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の医療用インプラント装置に対して許可されている前記治療用コーティングの投与量を決定する、追加の工程であって、前記コーティングアプリケータシステムは、前記第1の医療用インプラント装置に前記投与量以下の前記治療用コーティングを塗布することが許される、追加の工程、を実行させる更なる指示を内部に記憶している、実施態様15に記載のコンピューティングシステム。
(17) 前記1つ以上のメモリが、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記コンピューティングシステムに、
前記第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の医療用インプラント装置に対して許可されている選択されたタイプの前記治療用コーティングを決定する、追加の工程であって、前記コーティングアプリケータシステムは、前記選択されたタイプの前記治療用コーティングのみを前記第1の医療用インプラント装置に塗布することが許される、追加の工程、を実行させる更なる指示を内部に記憶している、実施態様15に記載のコンピューティングシステム。
(18) 前記第1の識別子に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の医療用インプラント装置が前記治療用コーティングを受容することが許可されていると判定する前記工程を実行するための指示は、
前記第1の識別子を、治療用コーティング送達を受容することが許可されている許可済み医療用インプラント装置の許可済み識別子を示す情報と比較する工程と、
前記第1の識別子が前記許可済み識別子に含まれていることを確認する工程と、のための指示を含む、実施態様15に記載のコンピューティングシステム。
(19) 前記第1の識別子が、前記第1の識別子を読み取る電子リーダから受信される、実施態様15に記載のコンピューティングシステム。
(20) 前記電子リーダが、無線周波数識別(RFID)リーダである、実施態様19に記載のコンピューティングシステム。