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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】車載電力供給装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/033 20060101AFI20250408BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20250408BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
B60R16/033 Z
B60R16/033 B
B60R16/033 C
B60R16/02 645D
H02J1/00 307G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021119933
(22)【出願日】2021-07-20
(65)【公開番号】P2023015871
(43)【公開日】2023-02-01
【審査請求日】2024-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 勝幸
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-093694(JP,A)
【文献】特開2017-105258(JP,A)
【文献】特開2015-042510(JP,A)
【文献】国際公開第2018/078456(WO,A1)
【文献】特開2020-182318(JP,A)
【文献】特開2018-192872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両上で電源電力供給を常時必要とする所定の重要負荷に対して、第1の車載電源又は第2の車載電源から電源電力を供給する車載電力供給装置であって、
前記重要負荷は、第1の電源端子と第2の電源端子とを有し、
前記第1の車載電源の出力電力をメイン半導体スイッチを経由するメイン経路で前記重要負荷の前記第1の電源端子に供給するメイン電力供給部と、
前記第2の車載電源の出力電力をサブ半導体スイッチを経由するサブ経路で前記重要負荷の前記第2の電源端子に供給するサブ電力供給部と、
前記第1の車載電源又は前記第2の車載電源の出力電力を少なくとも前記メイン半導体スイッチ及び前記サブ半導体スイッチを迂回するバイパス経路で前記重要負荷の前記第1の電源端子に供給するバイパス電力供給部と、
を備える車載電力供給装置。
【請求項2】
車両上で電源電力供給を常時必要とする所定の重要負荷に対して、第1の車載電源又は第2の車載電源から電源電力を供給する車載電力供給装置であって、
前記第1の車載電源の出力電力をメイン半導体スイッチを経由するメイン経路で前記重要負荷の入力側に供給するメイン電力供給部と、
前記第2の車載電源の出力電力をサブ半導体スイッチを経由するサブ経路で前記重要負荷の入力側に供給するサブ電力供給部と、
前記第1の車載電源又は前記第2の車載電源の出力電力を少なくとも前記メイン半導体スイッチ及び前記サブ半導体スイッチを迂回するバイパス経路で前記重要負荷の入力側に供給するバイパス電力供給部と、
を備え、
前記メイン半導体スイッチを制御する制御部を含み、
前記制御部は、
所定の待機状態では前記メイン半導体スイッチをオフに制御し、少なくとも前記重要負荷側からの通信を受け付けてウエイクアップに移行し、前記メイン半導体スイッチをオンに制御する、
車載電力供給装置
【請求項3】
前記バイパス経路は、その下流側に流れる電流を抑制する電流抑制部を有する、
請求項1又は請求項2に記載の車載電力供給装置。
【請求項4】
前記バイパス電力供給部の入力側が前記第2の車載電源の出力と接続されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の車載電力供給装置。
【請求項5】
前記第1の車載電源が出力する第1の出力電圧は、前記第2の車載電源が出力する第2の出力電圧よりも高く、
前記第1の出力電圧を前記第2の出力電圧に近い電圧に降圧する電圧変換部を備え、
前記第1の車載電源の出力側に前記電圧変換部が接続され、
前記電圧変換部の出力側に前記メイン半導体スイッチが接続されている、
請求項4に記載の車載電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両においては、車体上の様々な箇所に様々な電装装置が分散した状態で配置されている。例えば、ステアリングコラム、グローブボックス、センタークラスター、センターコンソールなどの各々の箇所に、車両の走行に関係する電装装置、オーディオに関係する電装装置、車体の機能に関係する電装装置などが配置されている。このような電装装置の各々は、通常は様々なスイッチ、様々なセンサ、様々な負荷、制御用のリレーなどを搭載している。
【0003】
このような様々な電装装置に対して車両側の主電源(車載バッテリーやオルタネータ)から電力を供給する必要がある。また、各電装装置が有するスイッチやセンサの信号を、他の電装装置、あるいは車両に搭載されている様々な電子制御装置(ECU)に対して伝送する必要もある。したがって、従来より、車両側の電源と様々な電装装置および様々な電子制御装置の間をワイヤハーネスを介して接続している。このようなワイヤハーネスは、一般的には、多数本の電線を束ねることにより構成される。
【0004】
一方、近年は車両の自動運転や運転支援技術の進歩と共に、車両に搭載されるセンサや電動負荷、ECU等の数は増加の一途を辿っている。また、自動運転の車両では、車載バッテリやオルタネータが失陥しても最低限の機能を維持する必要がある。そのため、車両には、バッテリが複数台搭載され電源が冗長化されている。
【0005】
例えば、特許文献1は、メインバッテリとサブバッテリとを用いて電源を冗長化する際に、双方向DCDCコンバータを用いて負荷への電力供給の信頼性を向上させるための技術を開示している。
【0006】
また特許文献2は、車両の電源分配システムにおいて複数の電源BOXがそれぞれDCDCコンバータを内蔵し、スイッチングデバイスを介して分配された電源電力を各負荷に供給することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-196252号公報
【文献】特開2016-43882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1や特許文献2に開示された技術を利用することで、車両の電源に何らかの不具合、例えばワイヤハーネスの断線やバッテリ外れなどが発生した場合でも、例えばブレーキ装置のように重要な負荷に対して電源電力を常時供給することが可能になる。
【0009】
しかしながら、重要な負荷に対して電源電力を常時供給するためには、特許文献2に示されたようなDCDCコンバータやスイッチングデバイスは、常時オン状態に維持しなければならない。そのため、DCDCコンバータやスイッチングデバイスが数mA~数十mA程度の電源電流を常時消費することになり、車両全体の暗電流が増えることが懸念される。
【0010】
すなわち、車両が動作していない待機状態であっても暗電流の電源電力消費により車載バッテリに蓄積されている電力が減るので、例えば長時間に亘る駐車中などにバッテリ上がりが発生することが考えられる。また、一般的にサブバッテリは蓄積している電力量が少ないので、バッテリ上がりが発生しやすい。
【0011】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の電源に不具合が発生した場合でも重要な負荷に対する電源電力供給を維持すると共に、冗長機能等により消費される暗電流を削減することが可能な車載電力供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車載電力供給装置は、下記(1)~(5)を特徴としている。
(1) 車両上で電源電力供給を常時必要とする所定の重要負荷に対して、第1の車載電源又は第2の車載電源から電源電力を供給する車載電力供給装置であって、
前記重要負荷は、第1の電源端子と第2の電源端子とを有し、
前記第1の車載電源の出力電力をメイン半導体スイッチを経由するメイン経路で前記重要負荷の前記第1の電源端子に供給するメイン電力供給部と、
前記第2の車載電源の出力電力をサブ半導体スイッチを経由するサブ経路で前記重要負荷の前記第2の電源端子に供給するサブ電力供給部と、
前記第1の車載電源又は前記第2の車載電源の出力電力を少なくとも前記メイン半導体スイッチ及び前記サブ半導体スイッチを迂回するバイパス経路で前記重要負荷の前記第1の電源端子に供給するバイパス電力供給部と、
を備える車載電力供給装置。
【0013】
(2) 車両上で電源電力供給を常時必要とする所定の重要負荷に対して、第1の車載電源又は第2の車載電源から電源電力を供給する車載電力供給装置であって、
前記第1の車載電源の出力電力をメイン半導体スイッチを経由するメイン経路で前記重要負荷の入力側に供給するメイン電力供給部と、
前記第2の車載電源の出力電力をサブ半導体スイッチを経由するサブ経路で前記重要負荷の入力側に供給するサブ電力供給部と、
前記第1の車載電源又は前記第2の車載電源の出力電力を少なくとも前記メイン半導体スイッチ及び前記サブ半導体スイッチを迂回するバイパス経路で前記重要負荷の入力側に供給するバイパス電力供給部と、
を備え、
前記メイン半導体スイッチを制御する制御部を含み、
前記制御部は、
所定の待機状態では前記メイン半導体スイッチをオフに制御し、少なくとも前記重要負荷側からの通信を受け付けてウエイクアップに移行し、前記メイン半導体スイッチをオンに制御する、
車載電力供給装置
【0014】
(3) 前記バイパス経路は、その下流側に流れる電流を抑制する電流抑制部を有する、
上記(1)又は(2)に記載の車載電力供給装置。
【0015】
(4) 前記バイパス電力供給部の入力側が前記第2の車載電源の出力と接続されている、
上記(1)~(3)のいずれかに記載の車載電力供給装置。
【0016】
(5) 前記第1の車載電源が出力する第1の出力電圧は、前記第2の車載電源が出力する第2の出力電圧よりも高く、
前記第1の出力電圧を前記第2の出力電圧に近い電圧に降圧する電圧変換部を備え、
前記第1の車載電源の出力側に前記電圧変換部が接続され、
前記電圧変換部の出力側に前記メイン半導体スイッチが接続されている、
上記(4)に記載の車載電力供給装置。
【0017】
上記(1)の構成の車載電力供給装置によれば、車載電源が複数備わっているので、電源の冗長機能を実現できる。また、バイパス電力供給部はメイン半導体スイッチ及びサブ半導体スイッチを迂回するバイパス経路を利用するので、これらの半導体スイッチがオフの状態であっても重要負荷の入力側に電源電力を常時供給できる。したがって、メイン電力供給部においてはメイン半導体スイッチを常時オンにする必要がなくなり、暗電流を削減することが可能になる。
【0018】
上記(2)の構成の車載電力供給装置によれば、待機状態でメイン半導体スイッチがオフになるので、メイン半導体スイッチが消費する暗電流を削減できる。また、重要負荷が起動するときには、制御部が重要負荷側からの通信を受け付けてウエイクアップに移行するので、メイン経路を経由して電源電力を重要負荷に供給できる。例えば、バイパス経路の入力側がサブバッテリと接続されている場合には、メイン経路の通電をオンに切り替えることでサブバッテリの電力消費を抑制できるので、サブバッテリの小型化が可能になる。
【0019】
上記(3)の構成の車載電力供給装置によれば、電流抑制部がその下流側に流れる電流を抑制するので、待機状態においてバイパス経路から重要負荷に流れる電流を制限できる。そのため、例えばバイパス経路の入力側がサブバッテリと接続されている場合にサブバッテリの電力消費を抑制できるので、サブバッテリを小型化できる。
【0020】
上記(4)の構成の車載電力供給装置によれば、待機状態では第1の車載電源を使用する必要がなくなる。例えば、重要負荷が必要とする電源電圧と比べて第1の車載電源の出力電圧が高い場合には所定のDCDCコンバータを利用して降圧した電源電力も生成する必要がある。しかし、第2の車載電源の出力からバイパス電力供給部の入力に電源電力を供給することにより、DCDCコンバータを使用する必要がなくなり暗電流が削減される。
【0021】
上記(5)の構成の車載電力供給装置によれば、第1の出力電圧を上げることで第1の車載電源の出力側のワイヤハーネス等の配電経路上で発生する電力ロスを減らすことが容易になる。また、電圧変換部を利用することで、重要負荷に対して複数の系統からそれぞれ電源電力を供給することが可能になり、電源の冗長化を実現できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の車載電力供給装置によれば、車両の電源に不具合が発生した場合でも重要な負荷に対する電源電力供給を維持することが可能であり、冗長機能等により消費される暗電流を削減できる。
【0023】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の実施形態に係る電力供給装置の構成例-1を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示したゾーンECUの状態遷移のための制御例を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の実施形態に係る電力供給装置の構成例-2を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る電力供給装置の構成例-3を示すブロック図である。
図5図5は、図4に示したゾーンECUの状態遷移のための制御例を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施形態に係る電力供給装置の構成例-4を示すブロック図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る電力供給装置の構成例-5を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る電力供給装置100の構成例-1を示すブロック図である。
【0027】
図1に示した電力供給装置100は、車両に搭載され負荷として接続される様々な車載機器に対して車載電源の電源電力を供給するために利用される。図1に示した例では、電力供給装置100は、車載電源としてメインバッテリ(BAT)21、オルタネータ(ALT)22、及びサブバッテリ23を備えている。この例では、メインバッテリ21及びオルタネータ22は、電圧が48[V]の直流電源電力を出力する。また、サブバッテリ23は、電圧が12[V]の直流電源電力を出力する。
【0028】
なお、例えば電気自動車のように数百[V]程度の高電圧を出力する高圧電源装置を搭載している場合には、オルタネータ22の代わりにDC/DCコンバータが搭載される。そして、DC/DCコンバータは、数百[V]の高電圧を48[V]の電圧に変換して出力する。
【0029】
図1の例では、電力供給装置100は、車載電源としてメインバッテリ21及びサブバッテリ23の2系統を備えているので、電源機能に冗長性を持たせることができる。例えば、メインバッテリ21側でバッテリ外れや電線の断線などの失陥が発生した場合に、重要な負荷に対してはメインバッテリ21の代わりにサブバッテリ23側から電源電力が供給される。これにより、車両上で重要な機能が喪失するのを防止できる。
【0030】
なお、サブバッテリ23には、車両の電源失陥時に重要な負荷に対してのみ短期間の電源電力供給を可能とするバックアップ電源の機能が割り当てられている。したがって、サブバッテリ23は、メインバッテリ21と比べて小型・軽量であり、蓄積可能な電力量は比較的小さい。
【0031】
また、図1に示した例では電力供給装置100の主要な機能は、ゾーンECU10に搭載されている。ゾーンECU10は、車両上の特定のゾーンにおける負荷への電源電力供給を管理するための機能を有している。なお、ゾーンについては車両上の特定の空間を表す領域に対して割り当てられる場合もあるし、特定の機能グループに対して割り当てられる場合もある。
【0032】
ゾーンECU10の電源入力端子10aは、ヒューズ24、25、及び電源ライン27を介してメインバッテリ21の出力と接続されている。ゾーンECU10の電源入力端子10bは、ヒューズ26及び電源ライン28を介してサブバッテリ23の出力と接続されている。また、ゾーンECU10の通信端子10cは、車両上に設けられた通信バス29の電線と接続されている。
【0033】
また、ゾーンECU10の出力端子10dは、48[V]の電源電力を必要とする負荷31と接続されている。ゾーンECU10の出力端子10eは、12[V]の電源電力を必要とする負荷32と接続されている。また、ゾーンECU10の出力端子10f及び出力端子10gは、それぞれ電源ライン51、52を介して重要負荷33の電源端子33a及び33bと接続されている。
【0034】
重要負荷33としては、例えば車両のブレーキ系統の制御を行う特別なECUのように、車両上で電源電力の供給を常時可能にすることが重要な機器が割り当てられる。そのため、重要負荷33は、イグニッションのオンオフとは無関係に常時オン(ON)であることが要求される「+B」の電源端子33aと、イグニッションがオンのときだけ電源電力供給を必要とする電源端子33bとを有している。電源端子33a、33bが必要とする電源の電圧はいずれも12[V]である。また、重要負荷33の通信端子33cは通信バス29と接続されている。
【0035】
ゾーンECU10は、4つの出力端子10d、10e、10f、及び10gのそれぞれに対する電源電力供給のオンオフを切り替え可能にするために、4つの半導体スイッチIPD1、IPD2、IPD3、及びIPD4を内蔵している。これらの半導体スイッチIPD1~IPD4は、保護機能を持つ高機能な半導体スイッチ(IPD:Intelligent Power Device)である。
【0036】
また、ゾーンECU10は、4つの半導体スイッチIPD1~IPD4のオンオフを個別に制御するために、制御部(Controller)12を備えている。図1においては一部分だけを示してあるが、実際には制御部12の4つの出力がそれぞれ半導体スイッチIPD1~IPD4の制御入力端子と接続されている。
【0037】
また、電源入力端子10aに供給される48[V]の電源電力を12[V]の電源電力に降圧するために、DC/DCコンバータ11がゾーンECU10に内蔵されている。DC/DCコンバータ11は、入力側が電源ライン41を介して電源入力端子10aと接続され、出力側が電源ライン42を介して各半導体スイッチIPD2、IPD3の入力と接続されている。
【0038】
また、ゾーンECU10は、省電力機能の動作モード切替を可能にするためにマイクロコンピュータ(μC)13を備えている。マイクロコンピュータ13に内蔵された通信インタフェースは、通信端子10cと接続されている。また、マイクロコンピュータ13の複数の出力はDC/DCコンバータ11及び制御部12の制御入力端子とそれぞれ接続されている。
【0039】
省電力機能の動作モードについては、電源電力をほとんど消費しない待機状態を意味するスリープモードと通常モードとがある。後述するように、マイクロコンピュータ13は、スリープモードと通常モードとの切替を自動的に行うことができる。
【0040】
図1に示すように、半導体スイッチIPD1は、入力側が電源ライン41を介して電源入力端子10aと接続され、出力側が出力端子10dと接続されている。半導体スイッチIPD2は、入力側が電源ライン42と接続され、出力側が出力端子10eと接続されている。半導体スイッチIPD3は、入力側が電源ライン42と接続され、出力側が出力端子10fと接続されている。半導体スイッチIPD4は、入力側が電源ライン43を介して電源入力端子10bと接続され、出力側が出力端子10gと接続されている。
【0041】
また、ゾーンECU10は、バイパス回路14を備えている。このバイパス回路14は、半導体スイッチIPD3がオフのときであっても、重要負荷33に対しては必要最小限の電源電力を供給可能にするための機能を有している。すなわち、重要負荷33の電源端子33aに対しては常時電力供給を可能にする必要があるが、バイパス回路14が形成するバイパス経路を利用して重要負荷33に電源電力を供給できるので、半導体スイッチIPD3をオフにすることが可能になる。半導体スイッチIPD3をオフにすることで、ゾーンECU10が消費する暗電流を減らすことが可能になる。
【0042】
なお、半導体スイッチIPD3は、オンの状態で数[mA]~数十[mA]程度の電流をそれ自身の内部で消費してしまうので、常時オンの場合は暗電流が増大する原因になる。また、DC/DCコンバータ11についても、動作しているときには数[mA]~数十[mA]程度の電流をそれ自身の内部で消費してしまうので、常時オンの場合は暗電流が増大する原因になる。
【0043】
図1に示したバイパス回路14は、抵抗器14aとダイオードD1とによって構成される直列回路を形成している。また、バイパス回路14の入力側は、電源ライン43を介して電源入力端子10bと接続され、バイパス回路14の出力側は、電源ライン44を介して出力端子10fと接続されている。
【0044】
抵抗器14aは、バイパス回路14のバイパス経路を経由して重要負荷33側に流れる電流を制限するための機能を有している。具体的には、重要負荷33が最低限の通信機能を実行するのに必要な必要最低限の電源電流の通過を許容するように、抵抗器14aの抵抗値を定めてある。例えば、このバイパス経路を介して負荷側に所定以上の電流が流れると抵抗器14aの電圧降下が増大するので、それ以上の電力供給が抑制される。したがって、サブバッテリ23に蓄積されている電力の消耗を抑制できる。
【0045】
ダイオードD1は、必要なときにバイパス経路で電流を流すと共に、電流の逆流を防止する機能を有している。すなわち、半導体スイッチIPD3がオフになると、電源ライン43からダイオードD1を通り、出力端子10fから重要負荷33に向かう方向に電源電流が流れる。また、半導体スイッチIPD3がオンになったときには、電源ライン43側からバイパス経路に向かう方向の電流がゼロになり、逆流する方向の電流もダイオードD1により阻止される。
【0046】
このような電力供給装置100において、車両のイグニッションがオンのときには、半導体スイッチIPD1~IPD4をそれぞれ必要に応じてオンにすることができ、DC/DCコンバータ11は常時動作状態になる。したがって、電力供給装置100は、電圧が48[V]の電源電力を、電源入力端子10aから電源ライン41、半導体スイッチIPD1を介して出力端子10dに供給できる。また、電圧が12[V]の電源電力を、DC/DCコンバータ11の出力から電源ライン42、半導体スイッチIPD2を介して出力端子10eに供給できる。また、電圧が12[V]の電源電力を、DC/DCコンバータ11の出力から電源ライン42、半導体スイッチIPD3を介して出力端子10fに供給できる。また、電圧が12[V]の電源電力を、電源入力端子10b、電源ライン43、半導体スイッチIPD4を介して出力端子10gに供給できる。
【0047】
一方、車両のイグニッションがオフのときには、特別な指示がない限り半導体スイッチIPD1、IPD2、及びIPD4がオフになるので、各出力端子10d、10e、及び10gに対する電源電力供給は停止する。また、DC/DCコンバータ11のオンオフ及び半導体スイッチIPD3のオンオフは、省電力機能の動作モードに応じて自動的に切り替わる。すなわち、マイクロコンピュータ13の制御によりゾーンECU10がスリープ状態になると、DC/DCコンバータ11の動作が停止して半導体スイッチIPD3がオフになるので、ゾーンECU10の内部で消費される暗電流が削減される。
【0048】
また、このスリープ状態であっても、図1に示したバイパス回路14のバイパス経路が存在するので、重要負荷33の電源端子33aに対する最小限の電源電力供給を維持できる。
【0049】
また、車両のイグニッションがオフのときであっても、マイクロコンピュータ13がスリープ状態からウエイクアップすると、DC/DCコンバータ11の動作がオンになり、半導体スイッチIPD3もオンになる。これにより、電源電流の制限なしの状態で重要負荷33を動作させることが可能になる。また、重要負荷33の動作が終了すると、再びマイクロコンピュータ13がスリープ状態に遷移するので、DC/DCコンバータ11の動作がオフになり、半導体スイッチIPD3もオフになる。したがって、車両のイグニッションがオフのときにDC/DCコンバータ11及び半導体スイッチIPD3が消費する電流に相当する暗電流を削減できる。
【0050】
図2は、図1に示したゾーンECU10の状態遷移のための制御例を示すフローチャートである。例えば、車両のイグニッションがオフの場合のようにゾーンECU10のマイクロコンピュータ13がスリープ状態になっているときに、図2の制御が実施される。図2に示した制御の内容について以下に説明する。
【0051】
マイクロコンピュータ13は、それ自身がスリープ状態であっても、例えば定期的に実行する処理により内蔵された通信インタフェースの状態を監視している(S11)。また、ゾーンECU10がスリープ状態であっても、ゾーンECU10のバイパス回路14を経由して重要負荷33に供給される電源電力により、重要負荷33は通信機能を常時使用できる。したがって、重要負荷33が動作を開始しようとする場合には、重要負荷33側の通信回路により出力された信号が通信バス29に現れる。
【0052】
マイクロコンピュータ13は、通信バス(BUS)29の状態がビジーか否かをS11で識別することにより、重要負荷33が動作を開始しようとしているか否かを自動的に検知する。そして、通信バス29の状態がビジーの場合はS11からS12の処理に進む。
【0053】
マイクロコンピュータ13は、S12でそれ自身の動作をスリープ状態からウエイクアップして通常の動作状態に遷移すると共に、ゾーンECU10全体もウエイクアップするように制御する。すなわち、DC/DCコンバータ11を起動し、半導体スイッチIPD3をオンに切り替える。これにより、重要負荷33は、電源電流の制限を受けることなく通常の動作ができる状態になる。
【0054】
また、マイクロコンピュータ13は、次のS13で通常の動作モードにおける制御を実施する。例えば、マイクロコンピュータ13に内蔵された通信インタフェース及び通信バス29を利用してゾーンECU10、重要負荷33等の間で通信を実施する。また、マイクロコンピュータ13は、各半導体スイッチIPD1、IPD2、及びIPD4を必要に応じてそれぞれ個別にオンオフ制御する。
【0055】
マイクロコンピュータ13は、内蔵された通信インタフェースを利用して通信バス29の状態を監視し、重要負荷33、もしくは他の上位ECUからのスリープ移行命令を受信するまでS13、S14の処理を繰り返す。そして、マイクロコンピュータ13がスリープ移行命令を受信し、且つ通信バス29がオフになった(バスが開放された)ことをS14で検知すると次のS15に進む。
【0056】
マイクロコンピュータ13は、S15でゾーンECU10をスリープ状態に移行すると共にマイクロコンピュータ13自身もスリープ状態に遷移する。すなわち、半導体スイッチIPD1~IPD4の全てをオフにすると共にDC/DCコンバータ11の動作をオフにする。これにより、ゾーンECU10が消費する暗電流はごく僅かになるが、バイパス回路14を経由して重要負荷33の電源端子33aに必要最小限の電源電力を供給することは可能である。
【0057】
図3は、本発明の実施形態に係る電力供給装置100A構成例-2を示すブロック図である。図3に示した電力供給装置100Aは図1の電力供給装置100の変形例である。また、図3において図1の電力供給装置100と共通の構成要素は同一の符号を付けて示してある。これらの共通の構成要素については以下の説明を省略する。
【0058】
図3に示した電力供給装置100Aにおいては、ゾーンECU10Aに電源電力を供給するメインバッテリ21Aの出力電圧が12[V]になっている。したがって、オルタネータ22が電源ライン27に出力する電圧も12[V]である。
【0059】
また、ゾーンECU10Aの電源入力端子10aに12[V]の電圧が供給されるので、図1中のDC/DCコンバータ11に相当する要素はゾーンECU10Aには備えられていない。また、ゾーンECU10Aの出力端子10dに接続されている負荷31Aは、12[V]の電圧で動作する仕様に変更されている。
【0060】
また、ゾーンECU10A内に設けたバイパス回路14Aは、入力側が電源ライン41に接続され、出力側が電源ライン44に接続されている。なお、ゾーンECU10と同じようにバイパス回路14Aの入力側を電源ライン43に接続してもよい。
【0061】
したがって、図3に示した電力供給装置100Aは、図1の電力供給装置100とほぼ同じように動作することができる。但し、図1の電力供給装置100と比べてメインバッテリ21Aの出力する電圧が低いので、電源ライン27、41等に流れる電流が増大し電力ロスが増大することが想定される。したがって、図3に示した電力供給装置100Aでは、例えば、電源ライン27、41等に相当するワイヤハーネスの電線や端子等の部品がより太く大型にされる。
【0062】
図4は、本発明の実施形態に係る電力供給装置100Bの構成例-3を示すブロック図である。図4に示した電力供給装置100Bは図1の電力供給装置100の変形例である。また、図4において図1の電力供給装置100と共通の構成要素は同一の符号を付けて示してある。これらの共通の構成要素については以下の説明を省略する。
【0063】
図4に示したゾーンECU10Bは、バイパス回路14Bを備えている。また、このバイパス回路14Bは直列に接続された抵抗器Rs及びダイオードD1を有している。この抵抗器Rsは、バイパス回路14Bのバイパス経路を通過する電流の大きさを検出するための機能を有している。
【0064】
また、ゾーンECU10Bは、抵抗器Rsの両端にそれぞれ接続された電流検出回路15を備えている。電流検出回路15は、抵抗器Rsの端子間の電位差を増幅する増幅器などで構成される。電流検出回路15の出力する信号は、制御部12A及びマイクロコンピュータ13Aにそれぞれ入力される。
【0065】
制御部12Aは、マイクロコンピュータ13Aの出力する制御信号に従って各半導体スイッチIPD1~IPD4を個別にオンオフ制御することができる。また、制御部12Aは、抵抗器Rsを流れる電流が所定の閾値以上になったときに、電流検出回路15が出力する信号に従って半導体スイッチIPD3をオンに切り替えることができる。
【0066】
マイクロコンピュータ13Aは、電流検出回路15が出力する信号のレベル及び通信バス29の状態を監視し、その監視結果を反映するようにDC/DCコンバータ11及び制御部12Aを制御することができる。
【0067】
なお、図4に示した重要負荷33については、図1の構成と同様に通信端子33cを通信バス29に接続しておいてもよいが、重要負荷33が通信機能を有しない場合でも図4のゾーンECU10Bに重要負荷33を接続することができる。
【0068】
図5は、図4に示したゾーンECU10Bの状態遷移のための制御例を示すフローチャートである。例えば、車両のイグニッションがオフの場合のようにゾーンECU10Bのマイクロコンピュータ13Aがスリープ状態になっているときに、図5の制御が実施される。図5に示した制御の内容について以下に説明する。
【0069】
マイクロコンピュータ13Aは、それ自身がスリープ状態であっても、例えば定期的に実行する処理により、電流検出回路15の出力信号のレベルや、内蔵された通信インタフェースの状態を監視している(S11A,S11B)。
【0070】
また、ゾーンECU10Bがスリープ状態であっても、ゾーンECU10Bのバイパス回路14Bを経由して重要負荷33に供給される電源電力により、重要負荷33は通信機能を常時使用できる。したがって、重要負荷33が動作を開始しようとする場合には、重要負荷33側の通信回路により出力される信号が通信バス29に現れる。
【0071】
また、重要負荷33が通信などの動作を開始するときには、バイパス回路14Bの抵抗器Rsに流れる電流が増大する。また、抵抗器Rsに流れる電流の大きさを示す信号が検出回路15を介してマイクロコンピュータ13Aに入力される。
【0072】
したがって、マイクロコンピュータ13Aは、S11Aで電流検出回路15が出力する信号のレベルを監視することで、重要負荷33が動作を開始しようとしているか否かを自動的に検知する。
【0073】
また、マイクロコンピュータ13Aは、通信バス(BUS)29の状態がビジーか否かをS11Bで識別することにより、重要負荷33が動作を開始しようとしているか否かを自動的に検知する。そして、抵抗器Rsを流れる一定以上の電流を検出した場合はS11AからS12の処理に進み、通信バス29の状態がビジーの場合はS11BからS12の処理に進む。
【0074】
図5中のS12以降の処理については、既に説明した図2中の各処理S12~S15と同様である。したがって、マイクロコンピュータ13A及びゾーンECU10Bはスリープ状態から自動的にウエイクアップして通常の動作状態に遷移することもできるし、通常の動作状態から再びスリープ状態に遷移することもできる。
【0075】
図6は、本発明の実施形態に係る電力供給装置100Cの構成例-4を示すブロック図である。図6に示した電力供給装置100Cは図4の電力供給装置100Bの変形例である。また、図6において図4の電力供給装置100Bと共通の構成要素は同一の符号を付けて示してある。これらの共通の構成要素については以下の説明を省略する。
【0076】
図6に示した電力供給装置100Cにおいては、ゾーンECU10Cに電源電力を供給するメインバッテリ21Aの出力電圧が12[V]になっている。したがって、オルタネータ22が電源ライン27に出力する電圧も12[V]である。
【0077】
また、ゾーンECU10Cの電源入力端子10aに12[V]の電圧が供給されるので、図4中のDC/DCコンバータ11に相当する要素はゾーンECU10Cには備えられていない。また、ゾーンECU10Cの出力端子10dに接続されている負荷31Aは、12[V]の電圧で動作する仕様に変更されている。
【0078】
また、ゾーンECU10C内に設けたバイパス回路14Cは、入力側が電源ライン41に接続され、出力側が電源ライン44に接続されている。なお、ゾーンECU10Bと同じようにバイパス回路14Cの入力側を電源ライン43に接続してもよい。
【0079】
したがって、図6に示した電力供給装置100Cは、図4の電力供給装置100Bとほぼ同じように動作することができる。但し、図4の電力供給装置100Bと比べてメインバッテリ21Aの出力する電圧が低いので、電源ライン27、41等に流れる電流が増大し電力ロスが増大することが想定される。したがって、図6に示した電力供給装置100Cの場合は、例えば、電源ライン27、41等に相当するワイヤハーネスの電線や端子等の部品がより太く大型にされる。
【0080】
図7は、本発明の実施形態に係る電力供給装置100Dの構成例-5を示すブロック図である。図7に示した電力供給装置100Dは図4の電力供給装置100Bの変形例である。また、図7において図4の電力供給装置100Bと共通の構成要素は同一の符号を付けて示してある。これらの共通の構成要素については以下の説明を省略する。
【0081】
図7に示した電力供給装置100Dは、互いに独立した複数のゾーンECU10D、10Eを備えている。ゾーンECU10Dの構成は、前述のゾーンECU10Bとほぼ同じである。
【0082】
図7に示すように、ゾーンECU10Eの内部にはDC/DCコンバータ11A、マイクロコンピュータ13B、及び半導体スイッチIPD4が備えられている。
【0083】
また、ゾーンECU10Eの電源入力端子10iは、電源ライン27A、ヒューズ25A及び24を介してメインバッテリ21の出力と接続されている。また、ゾーンECU10Eの通信端子10jは、通信バス29と接続されている。また、ゾーンECU10Eの出力端子10hは、電源ライン52Aを介して重要負荷33の電源端子33bと接続されている。
【0084】
ゾーンECU10Eは、メインバッテリ21から供給される48[V]の電源電力を内部のDC/DCコンバータ11Aで12[V]に降圧できるので、12[V]の電源電力を出力端子10hから重要負荷33の電源端子33bに供給できる。
【0085】
図7に示した電力供給装置100Dにおいても、ゾーンECU10Dがバイパス回路14Bを内蔵しているので、半導体スイッチIPD3がオフの状態において、抵抗器Rsを通過するバイパス経路を利用して、重要負荷33の電源端子33aに電源電力を常時供給できる。また、スリープ状態ではゾーンECU10D内のDC/DCコンバータ11A及び半導体スイッチIPD3をそれぞれオフに制御できるので、ゾーンECU10D内で消費される暗電流を減らすことができる。
【0086】
以上のように、電力供給装置100、100A,100B、100C、100Dのいずれにおいても、電源電力の常時供給が必要な重要負荷33に対して、バイパス回路14、14A、14B、又は14Cのバイパス経路を利用して電源電力を供給できる。したがって、半導体スイッチIPD3の通電をオフに切り替えて半導体スイッチIPD3が消費する暗電流を減らすことができる。また、DC/DCコンバータ11の動作を止めることでDC/DCコンバータ11が消費する暗電流を減らすことができる。
【0087】
重要負荷33は、必要なときに確実に動作させる必要があるが、実際に重要負荷33の機能(例えばブレーキ)が必要になって重要負荷33が電源電力を消費するのは通常は比較的短い時間だけに限られる。したがって、この重要負荷33が動作していないときにゾーンECU10側に流れる暗電流を削減することは、メインバッテリ21又はサブバッテリ23の無駄な消耗に起因するバッテリ上がりや劣化等を防止するために非常に有意義である。
【0088】
また、図2又は図5に示した制御を実施することで、ゾーンECU10のスリープ状態と通常の動作状態とを自動的に切り替えることが可能になる。したがって、暗電流の削減を効率よく実施できる。
【0089】
また、電力供給装置100等は車載電源としてメインバッテリ21、サブバッテリ23等の複数系統を備えているので、一方の電源系統に断線やバッテリ外れのような失陥が生じた場合には、他方の電源系統をバックアップとして利用できる。したがって、重要負荷33の機能を常時維持できる。
【0090】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0091】
例えば、上述の実施形態ではゾーンECU10の内部にバイパス回路14を搭載する場合を想定しているが、これ以外のECUに同様のバイパス回路14を搭載してもよい。
【0092】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る車載電力供給装置の特徴をそれぞれ以下[1]~[6]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 車両上で電源電力供給を常時必要とする所定の重要負荷(33)に対して、第1の車載電源(メインバッテリ21)又は第2の車載電源(サブバッテリ23)から電源電力を供給する車載電力供給装置(電力供給装置100)であって、
前記第1の車載電源の出力電力をメイン半導体スイッチ(IPD3)を経由するメイン経路で前記重要負荷の入力側に供給するメイン電力供給部(電源ライン44)と、
前記第2の車載電源の出力電力をサブ半導体スイッチ(IPD4)を経由するサブ経路で前記重要負荷の入力側に供給するサブ電力供給部(電源ライン43)と、
前記第1の車載電源又は前記第2の車載電源の出力電力を少なくとも前記メイン半導体スイッチ及び前記サブ半導体スイッチを迂回するバイパス経路で前記重要負荷の入力側に供給するバイパス電力供給部(バイパス回路14)と、
を備える車載電力供給装置。
【0093】
[2] 前記メイン半導体スイッチを制御する制御部(12)を含み、
前記制御部は、
所定の待機状態では前記メイン半導体スイッチをオフに制御し(S15)、少なくとも前記重要負荷側からの通信を受け付けてウエイクアップに移行し(S11)、前記メイン半導体スイッチをオンに制御する(S12)、
上記[1]に記載の車載電力供給装置。
【0094】
[3] 前記バイパス経路(バイパス回路14)は、その下流側に流れる電流を抑制する電流抑制部(抵抗器14a)を有する、
上記[1]又は[2]に記載の車載電力供給装置。
【0095】
[4] 前記バイパス電力供給部の入力側が前記第2の車載電源の出力と接続されている(図1参照)、
上記[1]~[3]のいずれかに記載の車載電力供給装置。
【0096】
[5] 前記第1の車載電源が出力する第1の出力電圧(48[V])は、前記第2の車載電源が出力する第2の出力電圧(12[V])よりも高く、
前記第1の出力電圧を前記第2の出力電圧に近い電圧に降圧する電圧変換部(DC/DCコンバータ11)を備え、
前記第1の車載電源の出力側に前記電圧変換部が接続され、
前記電圧変換部の出力側に前記メイン半導体スイッチが接続されている、
上記[4]に記載の車載電力供給装置。
【0097】
[6] 車両上で電源電力供給を常時必要とする所定の重要負荷に対して、1つ以上の車載電源から電源電力を供給する車載電力供給装置であって、
前記車載電源の出力電力を半導体スイッチを経由するメイン経路で前記重要負荷の入力側に供給するメイン電力供給部と、
前記車載電源の出力電力を少なくとも前記半導体スイッチを迂回するバイパス経路で前記重要負荷の入力側に供給するバイパス電力供給部と、
を備える車載電力供給装置。
【符号の説明】
【0098】
10,10A,10B,10C,10D,10E ゾーンECU
10a,10b 電源入力端子
10c 通信端子
10d,10e,10f,10g 出力端子
11,11A DC/DCコンバータ
12,12A 制御部
13,13A.13B マイクロコンピュータ
14,14A,14B,14C バイパス回路
14a 抵抗器
15 電流検出回路
21,21A メインバッテリ
22 オルタネータ
23 サブバッテリ
24,25,26 ヒューズ
27,27A,28 電源ライン
29 通信バス
31,31A,32 負荷
33 重要負荷
33a,33b 電源端子
33c 通信端子
41,42,43,44 電源ライン
51,52 電源ライン
100,100A,100B,100C,100D 電力供給装置
D1 ダイオード
IPD1,IPD2,IPD3,IPD4 半導体スイッチ
Rs 抵抗器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7