(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】トナーおよびそれを含む二成分現像剤
(51)【国際特許分類】
G03G 9/087 20060101AFI20250408BHJP
G03G 9/097 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
G03G9/087 331
G03G9/087 325
G03G9/097 365
(21)【出願番号】P 2021152376
(22)【出願日】2021-09-17
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】中井 祥二
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-170103(JP,A)
【文献】特開2014-074882(JP,A)
【文献】国際公開第2017/126564(WO,A1)
【文献】特開2017-090889(JP,A)
【文献】特開2012-155103(JP,A)
【文献】特開2013-167702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂、着色剤および離型剤を含むトナー粒子を有するトナーであり、
前記樹脂が、ポリエステルを主成分とする非晶性樹脂A、ポリエステルを主成分とする非晶性樹脂Bおよびポリエステル部位とビニル共重合体部位とを有するハイブリッド樹脂Cからなる非晶性樹脂、ならびにポリエステルを主成分とする結晶性樹脂Dを含み、
前記非晶性樹脂Aが、10.85~11.20(cal/cm
3)
1/2のSP値および90~110℃の溶融温度Tmを有し、
前記非晶性樹脂Bが、10.85~11.20(cal/cm
3)
1/2のSP値および130~150℃の溶融温度Tmを有し、
前記ハイブリッド樹脂Cが、10.50~10.80(cal/cm
3)
1/2のSP値および125~145℃の溶融温度Tmを
有し、
前記結晶性樹脂Dが、9.40~9.60(cal/cm
3
)
1/2
のSP値を有する
ことを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記非晶性樹脂Bと非晶性樹脂Cとの質量比B/Cが、1.5~6.0である請求項
1に記載のトナー。
【請求項3】
前記ハイブリッド樹脂Cと結晶性樹脂Dとの質量比C/Dが、1.0~5.0である請求項1または2に記載のトナー。
【請求項4】
前記離型剤が、エステル系ワックスである請求項1~
3のいずれか1つに記載のトナー。
【請求項5】
前記エステル系ワックスが、直鎖状の分子構造のエステル成分を有するワックスである請求項
4に記載のトナー。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1つに記載のトナーと、キャリアとを含むことを特徴とする二成分現像剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーおよびそれを含む二成分現像剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、長期に亘って焼き付き現象が生じにくく、優れた耐ホットオフセット性および低温定着性を有するトナーおよびそれを含む二成分現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、OA機器の目覚しい発達に伴い、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの電子写真装置(画像形成装置)が広く普及している。
そして、ローラ帯電による接触帯電方式の増加やデジタル複写機およびプリンタなどの電子写真装置のロングライフ化、小型化および高速化が進み、それに用いられるトナーにおいては、省エネルギーのための低温定着化が進んでいる。
【0003】
そして、トナーの低温定着性を改善するために様々な技術が提案されている。
例えば、特開2017-116807号公報(特許文献1)では、低温での定着が可能で、彩度、明度が高く、白点などの画像不良のないトナーとして、特定の軟化点Tmおよび溶解パラメータSP値とそれらの特定の相対関係を有する非晶性樹脂Aおよび非晶性樹脂B、脂肪族系炭化水素ユニットとビニル系重合ユニットとが化学的に結合した樹脂組成物(ハイブリッド体)C、結晶性ポリエステル樹脂D、ワックス、および着色剤を含有する粉砕法トナー粒子を有するトナーが提案されている。
このようにトナーの低温定着性を改善するために、結晶性ポリエステルに非相溶な非晶性ポリエステル樹脂と相溶なポリエステル樹脂を併用し、非相溶な非晶性ポリエステルによって耐ホットオフセット性を担保し、相溶する非晶性ポリエステルによって低温定着性を改善する提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、軟化点Tmが中程度の相溶なポリエステル樹脂を用いて相溶しやすい構成とすることで、トナーが高温になった際に相溶なポリエステル樹脂部分の粘度が大きく低下し、このような低粘度な部位がトナー中に偏在することで、トナーの耐久性が低下しランニング時のマグローラへの焼き付きが発生する、定着時の耐ホットオフセット性が低下するという課題があった。
具体的には、特許文献1のトナーでは、非晶性樹脂の軟化点Tmが低くかつSP値が小さいために、結晶性ポリエステルと非常に相溶し易く、低温定着性の向上は望めても耐久性は不足する。また、樹脂組成物Cの軟化点Tmが非晶性樹脂AおよびBの軟化点Tmの間にある場合、結晶性ポリエステルと相溶した際に樹脂組成物Cが著しく減粘し、耐久性と耐ホットオフセット性を著しく低下させる。
【0006】
そこで、本発明は、長期に亘って焼き付き現象が生じにくく、優れた耐ホットオフセット性および低温定着性を有するトナーおよびそれを含む二成分現像剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定のSP値および溶融温度(軟化点)Tmを有するポリエステルを主成分とする非晶性樹脂Aおよび非晶性樹脂B、特定のSP値および溶融温度Tmを有しかつポリエステル部位とビニル共重合体部位とを有するハイブリッド樹脂C、ならびにポリエステルを主成分とする結晶性樹脂Dを含む樹脂、着色剤および離型剤を含むトナー粒子を有するトナーにより、長期に亘って焼き付き現象が生じにくく、優れた耐ホットオフセット性および低温定着性を有するトナーおよびそれを含む二成分現像剤が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
かくして、本発明によれば、樹脂、着色剤および離型剤を含むトナー粒子を有するトナーであり、
前記樹脂が、ポリエステルを主成分とする非晶性樹脂A、ポリエステルを主成分とする非晶性樹脂Bおよびポリエステル部位とビニル共重合体部位とを有するハイブリッド樹脂Cからなる非晶性樹脂、ならびにポリエステルを主成分とする結晶性樹脂Dを含み、
前記非晶性樹脂Aが、10.85~11.20(cal/cm3)1/2のSP値および90~110℃の溶融温度Tmを有し、
前記非晶性樹脂Bが、10.85~11.20(cal/cm3)1/2のSP値および130~150℃の溶融温度Tmを有し、
前記ハイブリッド樹脂Cが、10.50~10.80(cal/cm3)1/2のSP値および125~145℃の溶融温度Tmを有する
ことを特徴とするトナーが提供される。
【0009】
また、本発明によれば、上記のトナーと、キャリアとを含むことを特徴とする二成分現像剤が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、長期に亘って焼き付き現象が生じにくく、優れた耐ホットオフセット性および低温定着性を有するトナーおよびそれを含む二成分現像剤を提供することができる。
【0011】
本発明者は、上記のような優れた効果が次のようなメカニズムにより発現するものと考えている。
ポリエステル部位とビニル共重合体部位とを有するハイブリッド樹脂Cからなる非晶性樹脂(以下「樹脂C」ともいう)は、ポリエステルを主成分とする非晶性樹脂A(以下「樹脂A」ともいう)およびポリエステルを主成分とする非晶性樹脂B(以下「樹脂B」ともいう)に比べて、高温領域において粘度を高く保つ特性があるため、高い溶融温度Tmを有するハイブリッド体を添加することで高温領域での過剰な低粘度化を抑制することができ、溶融混練時には高い混練強度を保つことができる。また、樹脂CのSP値が樹脂AおよびBよりもポリエステルを主成分とする結晶性樹脂D(以下「樹脂D」ともいう)に近いことで、比較的非相溶な樹脂AおよびBを併用した場合でもトナー中の樹脂Dを高度に微分散させることができる。樹脂Dが微分散となる程、トナー表面への露出を抑えることができるため、耐久性が向上し、ランニング時のマグローラへの焼き付きを抑制することができ、また、耐ホットオフセット性が向上する。
また、樹脂AおよびBよりも樹脂CのSP値を樹脂Dに近付けることで、樹脂Dの周囲を樹脂Cが取り囲んだような状態を作ることができる。これにより樹脂Dのトナー表面への露出をさらに抑えることができ、また定着加熱時には高度に微分散した樹脂Dが周囲の樹脂を速やかに減粘するため、低温定着性が改善される。定着温度が高い領域においても、樹脂Cが比較的高粘度を維持することと、比較的非相溶な樹脂AおよびBが十分な比率でトナー中に存在することで、樹脂Dによる過度な減粘を抑制することができるため、耐ホットオフセット性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)トナー
本発明のトナーは、樹脂、着色剤および離型剤を含むトナー粒子を有するトナーであり、
前記樹脂が、ポリエステルを主成分とする非晶性樹脂A、ポリエステルを主成分とする非晶性樹脂Bおよびポリエステル部位とビニル共重合体部位とを有するハイブリッド樹脂Cからなる非晶性樹脂、ならびにポリエステルを主成分とする結晶性樹脂Dを含み、
前記非晶性樹脂Aが、10.85~11.20(cal/cm3)1/2のSP値および90~110℃の溶融温度Tmを有し、
前記非晶性樹脂Bが、10.85~11.20(cal/cm3)1/2のSP値および130~150℃の溶融温度Tmを有し、
前記ハイブリッド樹脂Cが、10.50~10.80(cal/cm3)1/2のSP値および125~145℃の溶融温度Tmを有する
ことを特徴とする。
以下、本発明のトナーの特徴部分の樹脂および離型剤について説明し、トナーおよびその他の基本構成、トナーを含む二成分現像剤について説明する。
【0013】
(1)樹脂
本発明のトナーを構成する樹脂は、特定のSP値および溶融温度Tmを有する少なくとの4種の樹脂の組み合わせからなる。
【0014】
(1-1)非晶性樹脂A(樹脂A)の物性
樹脂Aは、ポリエステルを主成分とし、10.85~11.20(cal/cm3)1/2のSP値および90~110℃の溶融温度Tmを有する。
SP値が10.85(cal/cm3)1/2未満では、樹脂Dとより相溶し易くなり、耐久性が低下することがある。一方、SP値が11.20(cal/cm3)1/2を超えると、樹脂Dと相溶し難くなり、トナー調製の混練状態が悪化し、樹脂Dの分散不良が発生して低温定着性が悪化することがある。
好ましい樹脂AのSP値は、10.95~11.10(cal/cm3)1/2である。
また、溶融温度Tmが90℃未満では、トナーの粘度が低下して耐久性と耐ホットオフセット性が悪化することがある。一方、溶融温度Tmが110℃を超えると、トナーの粘度が高くなり、低温定着性が悪化することがある。
好ましい樹脂Aの溶融温度Tmは、95~105℃である。
【0015】
(1-2)非晶性樹脂B(樹脂B)の物性
樹脂Bは、ポリエステルを主成分とし、10.85~11.20(cal/cm3)1/2のSP値および130~150℃の溶融温度Tmを有する。
SP値が10.85(cal/cm3)1/2未満では、樹脂Dとより相溶し易くなり、耐久性が低下することがある。一方、SP値が11.20(cal/cm3)1/2を超えると、樹脂Dと相溶し難くなり、トナー調製の混練状態が悪化し、樹脂Dの分散不良が発生して低温定着性が悪化することがある。
好ましい樹脂BのSP値は、10.95~11.10(cal/cm3)1/2である。
また、溶融温度Tmが130℃未満では、トナーの粘度が低下して耐久性と耐ホットオフセット性が悪化することがある。一方、溶融温度Tmが150℃を超えると、トナーの粘度が高くなり、低温定着性が悪化することがある。
好ましい樹脂Bの溶融温度Tmは、135~145℃である。
【0016】
(1-3)ハイブリッド樹脂C(樹脂C)の物性
樹脂Cは、ポリエステル部位とビニル共重合体部位とを有し、10.50~10.80(cal/cm3)1/2のSP値および125~145℃の溶融温度Tmを有する。
SP値が10.50(cal/cm3)1/2未満では、樹脂Dとより相溶し易くなり、耐久性が低下することがある。一方、SP値が10.80(cal/cm3)1/2を超えると、樹脂Dと相溶し難くなり、トナー調製の混練状態が悪化し、樹脂Dの分散不良が発生して低温定着性が悪化することがある。
好ましい樹脂CのSP値は、10.55~10.75(cal/cm3)1/2である。
また、溶融温度Tmが125℃未満では、トナーの粘度が低下して耐久性と耐ホットオフセット性が悪化することがある。一方、溶融温度Tmが145℃を超えると、トナーの粘度が高くなり、低温定着性が悪化することがある。
好ましい樹脂Cの溶融温度Tmは、130~140℃である。
【0017】
(1-4)結晶性樹脂D(樹脂D)の物性
樹脂Dは、ポリエステルを主成分とする。
樹脂Dは、9.40~9.60(cal/cm3)1/2のSP値を有するのが好ましい。
樹脂DのSP値を上記の範囲内とすることにより、樹脂A~Cと樹脂Dの相溶状態がより最適となり、高い低温定着性を保ちながらトナーの耐久性を高めることができる。
SP値が9.40(cal/cm3)1/2未満では、樹脂A~Cとの相溶性が悪化し難くなる(相溶し易くなる)ため、混練状態が悪化し、樹脂Dの分散不良が発生して低温定着性が悪化することがある。一方、SP値が9.60(cal/cm3)1/2を超えると、非晶性ポリエステルと相溶し易くなり、耐久性が低下することがある。
より好ましい樹脂DのSP値は、9.45~9.55(cal/cm3)1/2である。
【0018】
(1-5)樹脂A、BおよびDの材料
樹脂A、BおよびDは、ポリエステルを主成分とするポリエステル系樹脂であり、樹脂AおよびBは非晶性、樹脂Dは結晶性であり、上記の特定の物性を有するものであれば、当該技術分野で常用されるポリエステル系樹脂を用いることができ、適宜モノマーを重合させて、また市販品を用いることができる。
ポリエステル系樹脂は、通常、2価のアルコール成分および3価以上の多価アルコール成分から選ばれる1種以上と、2価のカルボン酸および3価以上の多価カルボン酸から選ばれる1種以上とを、公知の方法により縮重合反応もしくはエステル化、エステル交換反応させることにより得られる。
縮重合反応における条件は、モノマー成分の反応性により適宜設定すればよく、また重合体が好適な物性になった時点で反応を終了させればよい。例えば、反応温度は170~250℃程度、反応圧力は5mmHg~常圧程度である。
【0019】
(1-5-1)樹脂AおよびB(非結晶性ポリエステル系樹脂)
非晶性ポリエステル系樹脂は、特に限定されないが、例えば、テレフタル酸またはイソフタル酸を主成分として含むカルボン酸モノマーと、エチレングリコールを主成分として含む多価アルコールとの重縮合反応により得られる。
その反応条件は、通常のポリエステル系樹脂の製造と同様であり、例えば、ジカルボン酸モノマーと多価アルコールとを、窒素ガス雰囲気中、必要に応じてエステル化触媒の存在下、温度190~240℃で反応させることにより、非晶性ポリエステル系樹脂が得られる。多価アルコールとカルボン酸モノマーとの反応比率は、好ましくは水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]:[COOH]で1.3:1~1:1.2である。
【0020】
ジカルボン酸モノマーに占めるテレフタル酸またはイソフタル酸のモル含有率は、好ましくは70~100%であり、より好ましくは80~100%である。
また、ジカルボン酸モノマーは、フマル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸などの脂肪族ジカルボン酸を含んでいてもよく、テレフタル酸またはイソフタル酸のエステル形成性誘導体、芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、脂肪族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、これらのカルボン酸の酸無水物やアルキルエステルを含んでいてもよい。
さらに、ジカルボン酸モノマーは、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上のポリカルボン酸やそのエステル形成性誘導体と併用してもよい。
上記のジカルボン酸モノマーおよびポリカルボン酸モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
多価アルコールに占めるエチレングリコールのモル含有率は、好ましくは70~100%であり、より好ましくは80~100%である。
多価アルコールは、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオールなどの他の多価アルコールを含んでいてもよい。
上記の多価アルコールは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
(1-5-2)樹脂D(結晶性ポリエステル系樹脂)
結晶性ポリエステル系樹脂は、特に限定されないが、例えば、炭素数9~22の脂肪族ジカルボン酸を主成分として含むカルボン酸モノマーと、炭素数2~10の脂肪族ジオールを主成分として含む多価アルコールとの重縮合反応により得られる直鎖状飽和脂肪族ポリエステルユニットで構成されるのが好ましい。
その反応条件は、通常のポリエステル系樹脂の製造と同様であり、例えば、ジカルボン酸モノマーと多価アルコールとを、窒素ガス雰囲気中、必要に応じてエステル化触媒の存在下、温度190~240℃で反応させることにより、結晶性ポリエステル系樹脂が得られる。多価アルコールとカルボン酸モノマーとの反応比率は、トナーの保存性の観点などから、好ましくは水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]:[COOH]で0.83:1~1.3:1である。
【0023】
カルボン酸モノマーに占めるジカルボン酸のモル含有率は、好ましくは90~100%であり、ジカルボン酸のモル含有率が低いと、結晶化の割合や速度が低下して、耐トナー凝集性が不十分になることがある。
炭素数9~22の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アゼライン酸、ゼバシン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸などが挙げられる。また、カルボン酸モノマーおよびポリカルボン酸モノマーは、これら脂肪族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体を含んでいてもよい。
さらに、カルボン酸モノマーは、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上のポリカルボン酸やそのエステル形成性誘導体と併用してもよい。
上記のカルボン酸モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
多価アルコールに占める炭素数2~10の脂肪族ジオールのモル含有率は、好ましくは80~100%である。
炭素数2~10の脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどが挙げられる。
また、上記の脂肪族ジオールと併用可能な多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパンなど3価以上のアルコールが挙げられる。
上記の多価アルコールは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
(1-5-3)非晶性樹脂と結晶性樹脂
本発明において、非晶性樹脂と結晶性樹脂は、結晶性指数により区別され、結晶性指数が0.6~1.5の範囲にある樹脂を結晶性樹脂とし、結晶性指数が0.6未満であるかまたは1.5を超える樹脂を非晶性樹脂とする。すなわち、結晶性指数が1.5を超える樹脂は非晶性であり、一方、結晶性指数が0.6未満である樹脂は結晶性が低く、非晶性部分が多い。
結晶性指数とは、樹脂の結晶化の度合いの指標となる物性であり、軟化温度と吸熱の最高ピーク温度の比(軟化温度/吸熱の最高ピーク温度)により定義される。ここで、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。結晶性ポリエステル樹脂においては、最高ピーク温度を融点Tmpとし、非結晶性ポリエステル樹脂においては、最も高温側にあるピークをガラス転移温度Tgとする。
結晶化の度合いは、原料モノマーの種類および比率、ならびに製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)などを調整することで制御できる。
【0026】
樹脂A、BおよびDの質量平均分子量は、本発明の効果に与える影響が少なく、特に限定されないが、それぞれ樹脂Aは2000~20000程度、樹脂Bは100000~10000000程度、樹脂Dは3000~50000程度である。
樹脂A、BおよびDは、具体的には、それぞれ実施例で製造している樹脂A1~A5、樹脂B1~B5および樹脂D1~D5が挙げられる。
【0027】
(1-6)樹脂Cの材料
樹脂Cは、ポリエステル部位とビニル共重合体部位とを有するハイブリッド樹脂Cからなる非晶性樹脂、言い換えれば、ポリエステル系樹脂とビニル系樹脂との複合樹脂である。
樹脂Cは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分[実施例では「非晶性ポリエステル樹脂の原料モノマー」と表記]とを重縮合させてポリエステル系樹脂を得る工程、ビニル樹脂の原料モノマーを、ジブチルパーオキサイドのような重合開始剤の存在下、付加重合させてビニル樹脂を得る工程を含む方法により、得ることができる。
例えば、2価以上のアルコールを含有するアルコール成分と、例えば、2価以上のカルボン酸系化合物を含有するカルボン酸成分との重縮合反応は、不活性ガス雰囲気中で、必要に応じて、没食子酸などのエステル化助触媒、重合禁止剤などの存在下で行うことできる。
カルボン酸成分がアルコール成分100モルに対して、3価以上の芳香族カルボン酸系化合物を3~18モル含有するポリエステル樹脂と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを25~50質量%以下含有する原料モノマーの付加重合物であるビニル樹脂との複合樹脂である。
【0028】
アルコール成分としては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物との混合物、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAなどのジオール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価以上のアルコールが挙げられる。
【0029】
カルボン酸成分は、3価以上の芳香族カルボン酸と、2価のカルボン酸(ジカルボン酸)とを含有するのが好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸;それらの酸の無水物およびそれらの酸のアルキルエステルが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン2酸、テトラデカン2酸、側鎖にアルキル基またはアルケニル基を有するコハク酸、これらの酸の無水物が挙げられる。
【0030】
ビニル樹脂の原料モノマーは、(メタ)アクリル酸[実施例では「両反応性モノマー]と表記」、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、さらにはスチレンまたはスチレン誘導体を含有するのが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル[実施例では「スチレン系樹脂の原料モノマー」と表記」としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(イソまたはターシャリー)ブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
本明細書では、「(メタ)アクリル」は「メタアクリル」または「アクリル」を意味する。
スチレンとスチレン誘導体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンおよびそれらの誘導体が挙げられる。
他のビニル樹脂の原料モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレンなどのエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエンなどのジオレフィン類;塩化ビニルなどのハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルなどのエチレン性モノカルボン酸エステル;ビニルメチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニリデンクロリドなどのビニリデンハロゲン化物;N-ビニルピロリドンなどのN-ビニル化合物類が挙げられる。
【0031】
樹脂Cは、例えば、特許第6675263号公報に記載の非晶質複合樹脂および特開2013-109237号公報に記載の非晶質縮重合系樹脂成分と付加重合系樹脂成分とを含む非晶質ハイブリッド樹脂が挙げられ、具体的には、実施例で製造している樹脂C1~C5が挙げられる。
樹脂Cの質量平均分子量は、本発明の効果に与える影響が少なく、特に限定されないが、100000~10000000程度である。
【0032】
(1-7)樹脂の配合割合
トナー母粒子中の樹脂の配合量は、本発明の所望の効果が得られるように適宜設定すればよい。
例えば、トナー母粒子中の樹脂A、樹脂B、樹脂Cおよび樹脂Dの配合割合は、それぞれ20~50質量%、20~60質量%、5~25質量%および1~15質量%である。
【0033】
樹脂Bと樹脂Cとの質量比B/Cは、1.5~6.0であるのが好ましい。
樹脂Bと樹脂Cの比率を上記の範囲内とすることにより、樹脂Dの分散性をより高めつつ、高温領域での過度な低粘度化を防ぐことができ、高い低温定着性を保ちながらトナーの耐久性を高めることができる。
質量比B/Cが1.5未満では、樹脂Cの比率が高まり、樹脂Dと相溶し易い部分が比較的多くなるため、高温時の耐久性が低下し、耐ホットオフセット性も低下することがある。一方、質量比B/Cが6.0を超えると、樹脂Cの比率が低くなり、樹脂Dと相溶し易い部分が比較的少なくなるため、定着時のトナー溶融速度が遅くなり、低温定着性が悪化することがある。
より好ましい質量比B/Cは、2.0~4.5である。
例えば、トナー母粒子中の樹脂Bと樹脂Cとの合計量は、樹脂Aの質量1に対して、1.0~2.4である。
【0034】
樹脂Cと樹脂Dとの質量比C/Dは、1.0~5.0であるのが好ましい。
樹脂Dと相溶性の高い樹脂Cの添加量を上記の範囲とすることにより、トナー中の樹脂Dの分散状態が改善され、かつ樹脂Dによる非晶性樹脂の可塑化効果が最大化されるため、低温定着性が向上する。
質量比C/Dが1.0未満では、樹脂Dの分散性が悪化し、トナー耐久性と耐ホットオフセット性が低下することがある。一方、質量比C/Dが5.0を超えると、樹脂Dによる樹脂Cの可塑化効果が薄れるために、低温定着性が悪化することがある。
より好ましい質量比C/Dは、1.5~4.0である。
例えば、トナー母粒子中の樹脂Cと樹脂Dとの合計量は、樹脂Aの質量1に対して、0.3~0.8である。
【0035】
(2)離型剤
本発明のトナーに含まれる離型剤としては、当該技術分野で常用される離型剤を用いることができる。
例えば、パラフィンワックスおよびマイクロクリスタリンワックスならびにそれらの誘導体などの石油系ワックス;フィッシャートロプシュワックス、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど)、低分子量ポリプロピリンワックスおよびポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)ならびにそれらの誘導体などの炭化水素系合成ワックス;カルナバワックス、ライスワックスおよびキャンデリラワックスならびにそれらの誘導体、木蝋などの植物系ワックス;蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス;脂肪酸アミドおよびフェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス;長鎖カルボン酸およびその誘導体;長鎖アルコールおよびその誘導体;シリコーン系重合体;高級脂肪酸などが挙げられる。
上記の誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。
本発明においては、上記の離型剤の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
上記の離型剤の中でも、離型剤は、長鎖カルボン酸とアルコールとから得られるエステル系ワックスであるのが好ましい。エステル系ワックスとしては、例えば、特許第4435434号公報および特許第6545538号公報に記載のエステル系ワックスが挙げられ、具体的には、実施例で用いているワックスが挙げられる。
離型剤を樹脂Dと馴染みのよいエステル系ワックスとすることにより、溶融混練後の樹脂Dとエステル系ワックスの結晶化度がそれぞれ単独で用いるより高まることで、トナーの耐久性が向上する。
【0037】
また、エステル系ワックスは、直鎖状の分子構造のエステル成分を有するワックスであるのが好ましい。
エステル系ワックスの分子構造を直鎖状とすることで、同じく直鎖状構造の樹脂Dとエステル系ワックスの結晶化度がそれぞれ単独で用いるより高まることで、非加熱時におけるトナーの低粘度化を抑制することができ、トナーの耐久性が向上する。
【0038】
本発明のトナーにおける離型剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは1~10質量%である。
離型剤の含有量が上記の範囲内であれば、トナーの各種物性を損なうことなしに、高い画像濃度を有し、画質品位の非常に良好な画像を形成することができる。
【0039】
(3)着色剤
本発明のトナーに含まれる着色剤としては、当該技術分野で常用される有機系および無機系の様々な種類および色の顔料および染料を用いることができ、例えば、黒色、白色、黄色、橙色、赤色、紫色、青色および緑色の着色剤が挙げられる。
【0040】
黒色の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライトおよびマグネタイトなどが挙げられる
白色の着色剤としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などが挙げられる。
【0041】
黄色の着色剤としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
【0042】
橙色の着色剤としては、例えば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。
【0043】
赤色の着色剤としては、例えば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
【0044】
紫色の着色剤としては、例えば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色の着色剤としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。
緑色の着色剤としては、例えば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
【0045】
本発明のトナーにおいては、上記の着色剤の1種を単独でまたは2種を組み合わせて用いることができ、それらの組み合わせは異色であっても同色であってもよい。
また、2種以上の着色剤を複合粒子化して用いてもよい。複合粒子は、例えば、2種以上の着色剤に適量の水、低級アルコールなどを添加し、ハイスピードミルなどの一般的な造粒機で造粒し、乾燥させることによって製造できる。さらに、樹脂中に着色剤を均一に分散させるために、マスターバッチ化して用いてもよい。複合粒子およびマスターバッチは、乾式混合の際にトナー組成物に混入される。
【0046】
本発明のトナーにおける着色剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは1~10質量%である。
着色剤の含有量が上記の範囲内であれば、トナーの各種物性を損なうことなしに、高い画像濃度を有し、画質品位の非常に良好な画像を形成することができる。
【0047】
(4)帯電制御剤
本発明のトナー母粒子は、帯電制御剤を含んでいてもよいが、帯電量の増加を抑制するために帯電制御剤を含まないのが好ましい。
帯電制御剤としては、当該技術分野で常用される負電荷制御用の電荷制御剤を用いることができる。
負電荷制御用の電荷制御剤としては、例えば、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。
本発明のトナーにおいては、上記の電荷制御剤の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
本発明のトナーにおける帯電制御剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1~5質量%である。
帯電制御剤の含有量が、上記の範囲内であれば、トナーの各種物性を損なうことなしに、高い画像濃度を有し、画質品位の非常に良好な画像を形成することができる。
【0049】
(5)トナー粒子
本発明のトナーに含まれるトナー母粒子は、少なくとも樹脂、着色剤および離型剤を含み、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、公知の添加剤を含んでいてもよい。
本発明のトナーは、トナー母粒子に外添剤をさらに含む一成分系現像剤、または外添剤をさらに含み、キャリアと混合された二成分系現像剤として用いられる。
なお、外添剤を添加する前のトナーを「トナー母粒子」ともいう。
外添剤は、一般に、トナーの搬送性および帯電性ならびにトナーを二成分現像剤にする場合のキャリアとの撹拌性などを向上させる機能を有する。
【0050】
外添剤としては、当該技術分野で常用される外添剤を用いることができ、例えば、シリカ、酸化チタンなどが挙げられ、シリコーン樹脂、シランカップリング剤などにより表面処理(疎水化処理)されているものが好ましい。
外添剤の平均一次粒子径は特に限定されないが、好ましくは1~200nmである。
外添剤の配合量は特に限定されないが、トナー母粒子100質量部に対して、好ましくは1~10重量部であり、より好ましくは2~5質量部である。
【0051】
(6)トナーの製造方法
本発明で用いられるトナー母粒子は、当該技術分野で常用される公知の装置を用いて公知の方法、例えば、少なくとも樹脂、着色剤および離型剤を含む粗粉砕された溶融混練物とフィラーとを混合する混合工程と、該混合工程で得られた混合物を微粉砕する微粉砕工程と、該微粉砕工程で得られた微粉砕物を分級する分級工程と、該分級工程で得られた分級物を熱風により球形化する球形化処理工程により製造することができる。
湿式法と比較して工程数が少なく、設備コストが掛からないなどの点で乾式法が好ましく、中でも粉砕法が特に好ましい。
各工程における条件は、対象とする材料および所望の物性により適宜設定すればよい。
【0052】
混合には、当該技術分野で常用される公知の装置、例えば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社(現 日本コークス工業株式会社)製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などの混合装置を使用できる。
溶融混練には、当該技術分野で常用される公知の装置、例えば、二軸押出機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機が挙げられる。具体的には、例えば、TEM-100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM-65/87、PCM-30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機を使用できる。
微粉砕には、当該技術分野で常用される公知の装置、例えば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機、高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に固化物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機を使用できる。
分級には、当該技術分野で常用される公知の装置、例えば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)のような遠心力および風力により過粉砕トナー粒子を除去できる分級機を使用できる。
【0053】
本発明のトナーは、当該技術分野で常用される公知の装置を用いて公知の方法により、トナー母粒子に、外添シリカを外添する第1外添工程、さらに外添微粒子を外添する第2外添工程により製造することができる。
各工程における条件は、対象とする材料および所望の物性により適宜設定すればよい。
【0054】
(B)二成分現像剤
本発明の二成分現像剤は、本発明のトナーと、キャリアとを含む。
本発明のトナーは、一成分現像剤、二成分現像剤のいずれの形態でも使用することができ、二成分現像剤として使用する場合には、外添剤以外にさらにキャリアを配合する。
キャリアとしては、当該技術分野で常用されるキャリアを用いることができ、例えば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリア芯粒子を公知の被覆物質で表面被覆したものなどが挙げられる。
キャリアの平均粒径は、10~100μmが好ましく、20~50μmがより好ましい。
トナーとキャリアの配合量は特に限定されないが、二成分現像材中の外添トナー含有量は、好ましくは3~12質量%である。
【実施例】
【0055】
以下に、製造例、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において、各物性値を以下に示す方法により測定した。
【0056】
[樹脂の溶解パラメータSP値:(cal/cm3)1/2]
Fedorsらが提案したROBERT F.FEDORS著、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE」、1994年2月、第14巻第2号、p.147-154に記載の方法により、樹脂の溶解パラメータSP値((cal/cm3)1/2)を算出する。
【0057】
[樹脂の溶融温度Tm:℃]
流動特性評価装置(フローテスター、株式会社島津製作所製、型式:CFT-100C)を用いて、樹脂の試料1gを昇温速度6℃/分で加熱しながら、荷重20kgf/cm2(9.8×105Pa)を与え、ダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から試料を流出させ。試料の半分量が流出したときの温度を樹脂の溶融温度Tm(℃)とする。
【0058】
[トナー母粒子の体積平均粒径:μm]
電解液(ベックマン・コールター株式会社製、商品名:ISOTON-II)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(アズワン株式会社製、卓上型2周波超音波洗浄器、型式:VS-D100)を用いて周波数20kHzで3分間分散処理して測定用試料を得る。得られた測定用試料を、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、型式:Multisizer4e)を用いて、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下で測定し、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒子径(μm)を求める。
【0059】
(製造例1~5および比較製造例1~4:非晶性ポリエステルAの調製)
表1に示すモル部の割合のポリエステル系樹脂の原料モノマー100質量部と、エステル化触媒として2-エチルヘキサン酸錫(II)0.5質量部、エステル化助触媒として没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸)0.05質量部を、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサーおよび窒素導入管を装備した容量10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で温度210℃まで5時間をかけて昇温を行った。その後、圧力8.0kPaにて表1に示す溶融温度Tmに達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル樹脂A1~A9を得た。
得られた樹脂の溶融温度を測定し、得られた物性値を樹脂原料およびそれらの使用割合と共に表1に示す。
【0060】
(製造例6~10および比較製造例5~8:非晶性ポリエステルBの調製)
表2に示すモル部の割合の無水トリメリット酸以外の非晶質ポリエステル樹脂の原料モノマー100質量部と、エステル化触媒として2-エチルヘキサン酸錫(II)0.5質量部、エステル化助触媒として没食子酸0.05質量部を、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサーおよび窒素導入管を装備した容量10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で温度235℃まで3時間かけて昇温を行い、温度235℃に到達後、7時間保持した。その後、温度210℃まで冷却後、無水トリメリット酸を投入し、温度210℃で1時間保持し、圧力8.0kPaにて減圧反応を行った後、表2に示す溶融温度Tmに達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル樹脂B1~B9を得た。
得られた樹脂の溶融温度を測定し、得られた物性値を樹脂原料およびそれらの使用割合と共に表2に示す。
【0061】
(製造例11~15および比較製造例9~12:ハイブリッド樹脂Cの調製)
表3に示すモル部の割合の無水トリメリット酸以外のポリエステル系樹脂の原料モノマーを、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサーおよび窒素導入管を装備した容量10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で温度160℃まで昇温した。そこに、スチレン系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマーおよび重合開始剤としてのジブチルパーオキサイドの混合物を滴下し、重合を行った。その後、上記モノマー100質量部に対し、エステル化触媒として2-エチルヘキサン酸錫(II)0.5質量部、エステル化助触媒として没食子酸0.05質量部を添加し、温度210℃まで5時間かけて昇温を行った。その後、無水トリメリット酸を投入し、温度220℃まで昇温し、圧力8.0kPaにて表3に示す溶融温度Tmに達するまで反応を行い、ハイブリッド樹脂C1~C9を得た。
得られた樹脂の溶融温度を測定し、得られた物性値を樹脂原料およびそれらの使用割合と共に表3に示す。
【0062】
(製造例16~20:結晶性ポリエステル樹脂Dの調製)
表4に示すモル部の割合のモノマー成分100質量部と、エステル化触媒として2-エチルヘキサン酸錫(II)0.2質量部を、窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した容量10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、温度130℃から200℃まで10時間かけて昇温を行い、温度200℃で、圧力8.0kPaにて1時間反応させて、結晶性ポリエステル樹脂D1~D5を得た。
得られた樹脂の溶解パラメータSP値を樹脂原料およびそれらの使用割合と共に表4に示す。
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
(製造例21:離型剤W1の調製)
撹拌器、熱電対、窒素導入管を装備した容量2リットルの4つ口フラスコに、酸成分としてステアリン酸1.5モルと、アルコール成分としてステアリルアルコール1.5モルを投入した。窒素気流下、温度220℃でエステル化反応を行い、反応物を得た。
その後、エステル化反応物100質量部に対してトルエンおよびエタノールの混合溶媒(混合質量比20:6)26質量部をフラスコに添加して、得られた反応物を溶解させた。さらに、フラスコに濃度10質量%の水酸化ナトリウム水溶液10質量部を添加し、温度70℃で30分間撹拌した。フラスコを30分間静置し、フラスコの内容物を有機層と水層に分離し、内容物から水層を除去した。
その後、フラスコにイオン交換水20質量部を添加して、温度70℃で30分間撹拌し、次いでフラスコを30分間静置し、フラスコ内の内容物を水層と有機層とに分離し、内容物から水層を除去し、この操作を5回繰り返した。得られたフラスコ内の内容物の有機層から減圧条件下で溶媒を留去し、直鎖構造のエステル系ワックスW1を得た。
【0068】
(製造例22:離型剤W2の調製)
ワックスを調製する代わりに、市販の直鎖パラフィン系ワックス(日本精蝋株式会社製、製品名:HNP-10PD、W2)を用いた。
【0069】
(製造例23:離型剤W3の調製)
酸成分としてステアリン酸3モルと、アルコール成分としてペンタエリスリトール0.75モルを用い、製造例21に準じて、立体構造のエステル系ワックスW3を得た。
【0070】
(実施例1:トナーの調製)
[材料混合・混錬・粉砕・分級工程]
次にようにして、実施例および比較例で用いるトナー母粒子を調製した。
非晶性樹脂A:樹脂A-1(製造例1) 30質量%
非晶性樹脂B:樹脂B-1(製造例6) 40質量%
ハイブリッド樹脂Cからなる非晶性樹脂:樹脂C-1(製造例11) 14質量%
結晶性樹脂D:樹脂D-1(製造例16) 8質量%
着色剤:着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3、DIC株式会社製) 4質量%
離型剤:ワックスW1(製造例21) 3質量%
帯電制御剤:サリチル酸系化合物(オリエント化学工業株式会社、商品名:ボントロE84) 1質量%
【0071】
気流混合機(ヘンシェルミキサ、三井鉱山株式会社(現 日本コークス工業株式会社)製、型式:FM20C)を用いて、上記の材料を5分間、前混合分散した後、二軸押出機(株式会社池貝製、型式:PCM-30)を用いて、シリンダ設定温度110℃、バレル回転数300rpm、原料供給速度20kg/時間の条件で溶融混練して混錬物を得た。
得られた混練物を冷却ベルトにて冷却後、カッティングミル(ダルトン社製、型式:D-200)を用いて粗粉砕して粗粉砕品を得た。
得られた粗砕物をジェット式粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製、型式:IDS-2)で微粉砕して微粉砕品を得た。
得られた微粉砕品を、エルボージェット分級機(日鉄鉱業株式会社製、型式:EJ-LABO)で分級して、未外添トナー母粒子を得た。
【0072】
[外添工程]
得られたトナー母粒子100質量部に、外添剤として、第1外添剤(疎水性フュームドシリカ、平均一次粒子径12nm、アエロジル社製、商品名:R974)1.0質量部および第2外添剤(コロイダルシリカ、平均一次粒子径115nm、キャボット社製、商品名:TG-C191)1.5質量部加えて、上記の気流混合機で撹拌して、体積平均粒径6.5μmの外添トナー母粒子を得た。
【0073】
[現像剤の調製]
得られた外添トナー母粒子とコートキャリア(シャープ社製、名称:MX-5111FN用純正キャリア)をトナー濃度が7質量%となるように、V型混合機(株式会社徳寿工作所製、商品名:V-5)に投入し、20分間混合して二成分現像剤を得た。
【0074】
(実施例2~27および比較例1~12:トナーの調製)
表5および6に示す配合割合の樹脂A~Dおよび離型剤W1~W3を用いること以外は、実施例1と同様にして、トナーおよび二成分現像剤を得、それらを評価した。
【0075】
<評価>
下記の項目について、実施例1~27および比較例1~22で調製した外添トナーおよび二成分現像剤を評価し、それらの結果に基づいて総合評価した。
【0076】
<マグローラ焼き付き評価>
外添トナーおよび二成分現像剤を、市販のカラー複合機(シャープ株式会社製、型式:BP-20C25)の現像装置およびトナーカートリッジのそれぞれに充填する。次いで、現像ローラの軸方向における中央部と両端部の3点の位置に、一辺が10mmの正方形のベタ画像(ID=1.45~1.50)が形成されるように、温度30℃湿度80%の環境下でA4用紙に50000枚の連続プリントテストを行う。その際、初期と50000枚後の画像濃度を、測色色差計(分光濃度計、エックスライト(X-Rite)社製、型式:504)を用いて測定し、初期と50000枚後の画像濃度差(ΔID)を測定する。
【0077】
得られた結果から、次の基準により焼き付き現象を評価する。
◎(優秀):濃度低下がなく(ΔIDが0.1未満)かつ
現像ローラ表面にトナーの融着がない
○(良好):濃度低下はなく(ΔIDが0.1未満)かつ
現像ローラ表面にトナーの融着が観察される
△(可) :濃度低下がわずかにあり(ΔIDが0.1以上0.2未満)かつ
現像ローラ表面にトナーの融着が観察される
×(不可):濃度低下が大きく(ΔID:0.2以上)かつ
現像ローラ表面にトナーの融着が観察される
【0078】
<定着性>
評価用に改造した市販の複写機(シャープ株式会社製、型式:MX-6171)を用いて、二成分現像剤による定着画像を作製する。
まず、記録紙(シャープ株式会社製、PPC用紙、型式:SF-4AM3)に、べた画像部(縦20mm、横50mmの長方形)を含むサンプル画像を、べた画像部におけるトナーの記録用紙への付着量が0.5mg/cm2となるよう調整して、未定着画像として形成する。
次に、ベルト定着装置を用いて定着画像を作製する。定着プロセス速度を200mm/秒とし、定着ベルトの温度を130℃から5℃刻みで上げ、そして、各定着温度においてグロス測定と定着性の判定を行う。
定着性は、低温オフセットも高温オフセットも起こらない温度域を求め、その温度上限を「定着上限温度」、下限を「定着下限温度」として評価する。
「高温オフセット」および「低温オフセット」とは、定着時にトナーが記録用紙に定着せずに、定着ベルトに付着したまま定着ベルトが一周した後に記録用紙に付着することと定義する。
【0079】
得られた結果から、次の基準により定着上限温度を評価する。
◎(非常に良好):定着上限温度が200℃以上
○(良好) :定着上限温度が190℃以上200℃未満
△(やや不良) :定着上限温度が180℃以上190℃未満
×(不良) :定着上限温度が180℃未満
【0080】
また、得られた結果から、次の基準により定着下限温度を評価する。
◎(非常に良好):定着下限温度が130℃未満
○(良好) :定着下限温度が130℃以上140℃未満
△(やや不良) :定着下限温度が140℃以上150℃未満
×(不良) :定着下限温度が150℃以上
【0081】
<総合評価>
上記の評価結果に基づいて、下記の基準で総合判定した。
◎(優秀):すべての評価項目が◎である(使用可能)
○(良好):1つの評価項目にでも○がある(使用可能)
△(可) :1つの評価項目にでも△がある(使用可能)
×(不可):1つの評価項目にでも×がある(使用不可)
【0082】
表5および6に各実施例および比較例のトナーを構成する樹脂および離型剤の物性および配合割合を、表7に各実施例および比較例のトナーおよび現像剤の評価結果を示す。
表5および6における項目および略号は、それぞれ下記を意味する。
材料:各樹脂のA1~A9、B1~B9、C1~C9、D1~D9、各ワックスのW1~W3
SP:樹脂の溶解パラメータSP値((cal/cm3)1/2)
Tm:樹脂の溶融温度(℃)
割合:トナー母粒子中の質量割合(質量%)
樹脂A~Dの合計は92質量%であり、その他は添加成分
材料比率:樹脂BとC、樹脂CとDの質量比率
種類:離型剤の種類(E:エステル系ワックス、P:パラフィン系ワックス)
構造:離型剤の分子構造(SC:直鎖構造、SS:立体構造)
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
表1の結果から、次のことがわかる。
(1)本発明のトナーは、その優劣はあるものの、長期に亘って焼き付き現象が生じにくく、優れた耐ホットオフセット性および低温定着性を有するトナーおよびそれを含む二成分現像剤を提供できること(実施例1~27)
(2)本発明のトナーは、樹脂AのSP値が10.85~11.20(cal/cm3)1/2の範囲内で優れた効果を発揮すること(実施例1および2~3、比較例1~2参照)
(3)本発明のトナーは、樹脂Aの溶融温度Tmが90~110℃の範囲内で優れた効果を発揮すること(実施例1および4~5、比較例3~4参照)
(4)本発明のトナーは、樹脂BのSP値が10.85~11.20(cal/cm3)1/2の範囲内で優れた効果を発揮すること(実施例1および6~7、比較例5~6参照)
(5)本発明のトナーは、樹脂Bの溶融温度Tmが130~150℃の範囲内で優れた効果を発揮すること(実施例1および8~9、比較例7~8参照)
(6)本発明のトナーは、樹脂CのSP値が10.50~10.80(cal/cm3)1/2の範囲内で優れた効果を発揮すること(実施例1および10~11、比較例9~10参照参照)
(7)本発明のトナーは、樹脂Cの溶融温度Tmが125~145℃の範囲内で優れた効果を発揮すること(実施例1および12~13、比較例11~12参照)
(8)本発明のトナーは、樹脂DのSP値が9.40~9.60(cal/cm3)1/2の範囲内で優れた効果を発揮すること(実施例1および14~17参照)
(9)本発明のトナーは、樹脂Bと樹脂Cとの質量比B/Cが1.5~6.0の範囲内で優れた効果を発揮すること(実施例1、18~19および22~23参照)
(10)本発明のトナーは、樹脂Cと樹脂Dとの質量比C/Dが1.0~5.0の範囲内で優れた効果を発揮すること(実施例1、20~21および24~25参照)
(11)本発明のトナーは、離型剤がエステル系ワックスである場合に、優れた効果を発揮すること(実施例1および26参照)
(12)本発明のトナーは、離型剤が直鎖状の分子構造のエステル成分を有する場合に、優れた効果を発揮すること(実施例1および27参照)