(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20250408BHJP
E02F 3/355 20060101ALI20250408BHJP
E02F 9/16 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
E02F9/00 Z
E02F3/355
E02F9/16 C
E02F9/16 A
E02F9/00 N
(21)【出願番号】P 2022018064
(22)【出願日】2022-02-08
【審査請求日】2024-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100142871
【氏名又は名称】和田 哲昌
(74)【代理人】
【識別番号】100094743
【氏名又は名称】森 昌康
(74)【代理人】
【識別番号】100175628
【氏名又は名称】仁野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 聡
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 雄大
(72)【発明者】
【氏名】村上 淳一
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-207531(JP,A)
【文献】特開2020-011697(JP,A)
【文献】特開2013-237985(JP,A)
【文献】特開2000-170209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
E02F 3/355
E02F 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前部と前記車体前部との反対の車体後部とを有する車体フレームと、
前記車体後部に設けられる回転シャフト周りに回動自在に前記車体フレームに接続するキャブフレームと、
を備え、
前記車体後部は、
前記回転シャフトを支持する支持フレームと、
前記車体フレームの高さに沿う高さ方向において、前記支持フレームの下方にエンジンルームを有し、
前記キャブフレームは、前記回転シャフト周りに回動することによって、前記車体前部上に載置される閉状態と、前記車体前部から離間され、前記車体前部と前記キャブフレームとの間から前記エンジンルームを露出させる開状態とに切り替え可能であり、
前記支持フレームは、前記キャブフレームが前記閉状態となったときに、前記キャブフレームに当接するように構成される当接プレートを有し、
前記キャブフレームは、前記閉状態となったときに前記当接プレートと当接するように構成されるシールゴムを有する、
作業車両。
【請求項2】
前記シールゴム及び前記当接プレートよりも
車体後方において、前記車体フレームと前記キャブフレームとの間に第1隙間が設けられ、
前記第1隙間から入ってくる外気は、前記シールゴム及び前記当接プレートに到達する、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記エンジンルームに設けられるエンジンと、
前記エンジンルームに設けられ、前記エンジンからの排気を処理するように構成される排気処理装置と、
をさらに備え、
前記排気処理装置は、前記回転シャフトの中心軸に沿う幅方向に伸び、
前記シールゴム及び前記当接プレートは、前記幅方向に伸び、
前記排気処理装置は、前記シールゴム及び前記当接プレートの、前記高さ方向の下方に位置し、
前記シールゴム及び前記当接プレートの前記幅方向の長さは、前記排気処理装置の前記幅方向の長さよりも長い、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項4】
前記エンジンルームに設けられるエンジンと、
前記エンジンルームに設けられ、前記エンジンからの排気を処理する排気処理装置と、
をさらに備え、
前記排気処理装置は、前記回転シャフトの中心軸に沿う幅方向に伸び、
前記シールゴム及び前記当接プレートは、前記幅方向に伸び、
前記排気処理装置は、前記シールゴム及び前記当接プレートの、前記高さ方向の下方に位置し、
前記シールゴム及び前記当接プレートの前記幅方向の長さは、前記排気処理装置の前記幅方向の長さよりも長い、
請求項2に記載の作業車両。
【請求項5】
前記エンジンルームを覆うボンネットカバーと、
前記排気処理装置に接続される排気管と、
をさらに備え、
前記ボンネットカバーは、開口部を有し、
前記排気管は、前記開口部を介して、作業車両の外部と連通し、
前記開口部と前記排気管との間には第2隙間が設けられており、
前記第2隙間から入ってくる外気は、前記シールゴム及び前記当接プレートに到達する、請求項3に記載の作業車両。
【請求項6】
前記エンジンルームを覆うボンネットカバーと、
前記排気処理装置に接続される排気管と、
をさらに備え、
前記ボンネットカバーは、開口部を有し、
前記排気管は、前記開口部を介して、作業車両の外部と連通し、
前記開口部と前記排気管との間には第2隙間が設けられており、
前記第2隙間から入ってくる外気は、前記シールゴム及び前記当接プレートに到達する、請求項4に記載の作業車両。
【請求項7】
前記当接プレートは、
前記高さ方向に延びる基端部と、
前記高さ方向から前方向に傾斜する方向に延びる末端部と、
を含む、請求項1から6に記載の作業車両。
【請求項8】
前記末端部の先端に設けられた弾性体をさらに備える、請求項7に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、キャビンが開閉自在である作業車両を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の作業車両では、キャビンの開閉の便宜のために、エンジンルームの上部を覆うカバーとキャビンとの間に隙間を設けることが好ましい。しかし、その隙間からダストが侵入する恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様に係る作業車両は、車体前部と車体前部との反対の車体後部とを有する車体フレームと、車体後部に設けられる回転シャフト周りに回動自在に車体フレームに接続するキャブフレームと、を備える。車体後部は、回転シャフトを支持する支持フレームと、車体フレームの高さに沿う高さ方向において、支持フレームの下方にエンジンルームを有する。キャブフレームは、回転シャフト周りに回動することによって、車体前部上に載置される閉状態と、車体前部から離間され、車体前部とキャブフレームとの間からエンジンルームを露出させる開状態とに切り替え可能である。支持フレームは、キャブフレームが閉状態となったときに、キャブフレームに当接するように構成される当接プレートを有する。キャブフレームは、閉状態となったときに当接プレートと当接するように構成されるシールゴムを有する。
【発明の効果】
【0006】
本願に開示される技術によれば、例えば、カバーとキャビンとの間の隙間からエンジンルーム内にダストが侵入することを抑止する作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図2は、キャビンを回転させたときの作業車両の側面図である。
【
図5】
図5は、作業車両の一部を作業車両の前端から後方に向かって見たときの図である。
【
図6】
図6は、エンジン周辺を側方から見た図である。
【
図9】
図9は、キャビンと、ボンネットカバーとの境界部分の拡大図である。
【
図10】
図10は、排気口及びマフラーカバーの上部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。なお、図中において同じ符号は、対応するまたは実質的に同一の構成を示している。
<実施形態>
<全体構成>
【0009】
図1~4を参照すると、作業車両1、例えばコンパクトトラックローダは、排気システム10を含む。作業車両1は、車体フレーム2と、走行装置3と、作業装置4と、キャビン5とを備えている。車体フレーム2は、走行装置3、作業装置4、及び、キャビン5を支持する。図示の実施形態では、走行装置3は、履帯式の走行装置である。このため、走行装置3は、駆動輪31、従動輪32、33、及び、転輪34を含む。ただし、走行装置3は、履帯式走行装置に限定されない。車体フレーム2は、車体前部2Fと車体前部2Fとの反対の車体後部2Rとを有する。走行装置3は、例えば、前輪/後輪走行装置であってもよいし、前輪と後部クローラとを有する走行装置であってもよい。作業装置4は、作業装置4の末端(distal end)に器具(work equipment)(バケット)41を含む。作業装置4の基端(proximal end)は、車体フレーム2の車体後部2Rに取り付けられている。作業装置4は、バケットピボット軸43を介してバケット41を回転可能に支持するための一対のアーム組立体(arm assembly)42を含む。一対のアーム組立体42のそれぞれは、リフトリンク44とアーム45を含む。
【0010】
リフトリンク44は、支点軸(fulcrum shaft)46の周りで車体フレーム2に対して回転可能である。アーム45は、ジョイント軸(joint shaft)47の周りでリフトリンク44に対して回転可能である。作業装置4は、複数のアームシリンダ48と少なくとも1つの器具シリンダ(equipment cylinder)49とをさらに含む。複数のアームシリンダ48のそれぞれは、車体フレーム2およびアーム45に回転可能に接続され、リフトリンク44およびアーム45を移動させて、バケット41を昇降させる。少なくとも1つの器具シリンダ49は、バケット41を傾けるように構成される。
【0011】
キャビン5は、車体フレーム2の車体前部2Fに取り付けられている。作業車両1は、キャビン5の前方にフロントドア51を備え、キャビン5内に運転席52および操作装置(図示せず)を備えている。キャビン5の内部空間は、キャブフレーム53によって規定される。
図2及び
図3に示されるように、キャブフレーム53は、車体フレーム2の車体後部2Rに設けられる回転シャフト(rotational shaft)RSL及びRSR周りに回動自在に車体フレーム2に接続する。
図2では、車体フレーム2の構造を明確とするために、車体フレーム2とキャビン5と、後述するシール構造20とを除いた図示を省略している。
図1~
図3では、回転シャフトRSL及びRSRによって規定される共通の回転軸線(rotational axis)A
XCを図示している。
図1と
図2とを参照すると、キャブフレーム53は、回転シャフトRSL及びRSR周りに回動することによって、車体前部2F上に載置される閉状態(
図1参照)と、車体前部2Fから離間される開状態(
図2参照)とに切り替え可能である。
【0012】
なお、本願に係る実施形態において、前後方向DFB(前方向DF/後方向DB)とは、キャビン5の運転席52に着座したオペレータから見て前後方向(前方向/後方向)を意味する。左方向DL、右方向DR、幅方向DWとは、当該オペレータから見てそれぞれ、左方向、右方向、左右方向を意味する。上方向DU、下方向DD、高さ方向DHとは、当該オペレータから見て上方向、下方向、高さ方向を意味する。作業車両1の前後/左右(幅)/上下(高さ)方向とは、それぞれ、当該オペレータから見た前後/左右(幅)/上下(高さ)方向と一致するものとする。
【0013】
図3では、一対のアーム組立体42の一方がキャビン5の左側に設けられている。一対のアーム組立体42の他方は、キャビン5の右側に設けられている。より具体的には、アームシリンダ48の一方とアーム45の一方は、キャビン5の左側に設けられている。アームシリンダ48の他方およびアーム45の他方は、キャビン5の右側に設けられている。
図1は、作業車両1の左側を示している。
図3及び
図4に示すように、車体フレーム2は、車体中央面Mに対して概ね面対称であり、一対のアーム組立体42のうち、車体中央面Mに対して左側に設けられるアーム組立体42が第1アーム組立体42Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるアーム組立体42が第2アーム組立体42Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるリフトリンク44が第1リフトリンク44Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるリフトリンク44が第2リフトリンク44Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるアーム45が第1アーム45Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるアーム45が第2アーム45Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられる支点軸46が第1支点軸46Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられる支点軸46が第2支点軸46Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるジョイント軸47が第1ジョイント軸47Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるジョイント軸47が第2ジョイント軸47Rとして示されている。
【0014】
図1を参照すると、作業車両1は、車体フレーム2の車体後部2Rに設けられたエンジン6および熱交換器7をさらに備える。エンジン6は、走行装置3および作業装置4に駆動力を提供するように構成されている。熱交換器7は、エンジン6の冷媒を冷却するラジエータを備えている。さらに、好ましくは、熱交換器7は、作業車両1の油圧システム(例えば、アームシリンダ48および少なくとも1つの器具シリンダ49)で使用される作動油を冷却するように構成されたオイルクーラを含む。作業車両1は、熱交換器7を空冷するためのファン71を含む。エンジン6および熱交換器7は、作業車両1の幅方向D
Wにおいて、一対のアーム組立体42の間に設けられている。
【0015】
作業車両1は、熱交換器7を覆うためのボンネットカバー8をさらに備える。ボンネットカバー8は、さらに、エンジン6を覆っている。ボンネットカバー8の上面には、カバー8内部に空気を取り込むための空気吸引口8aが設けられている。作業車両1は、車体フレーム2の後端に設けられている後ボンネットカバー9をさらに備える。後ボンネットカバー9は、開閉可能であり、保守員がエンジン6などの保守作業を行うことができる。
【0016】
排気システム10は、その一端がエンジン6に接続される排気管11と、排気管11に接続される排気口12とを備える。より具体的には、排気管11は、エンジン6の排気を処理するように構成される排気処理装置61を介してエンジン6に接続される。排気処理装置61は、例えば、微粒子除去フィルタを含む。ただし、排気処理装置61は、選択還元触媒装置を含んでもよい。
図3を参照すると、排気システム10は、作業車両1の幅方向D
Wにおいて第1アーム組立体42Lと車体中央面Mとの中間付近に設けられる。
【0017】
図4は、作業車両1の一部を作業車両1の前端から後方D
Bに向かって見たときの図である。
図4においては、車体フレーム2、エンジン6、排気処理装置61、排気システム10、熱交換器7、ファン71、及び、ボンネットカバー8以外の図示を省略している。
図4を参照すると、車体フレーム2(車体後部2R)は、第1内壁21L、第2内壁21R、第1外壁22L、第2外壁22R、第1後壁23L、第2後壁23R、支持フレーム24、底壁25、第1トラックフレーム28L、第2トラックフレーム28R、第1取付フレーム29L、及び、第2取付フレーム29Rを含む。
【0018】
第1内壁21L及び第2内壁21Rは、支持フレーム24と底壁25とを接続し、高さ方向DHに延びる。第1外壁22Lは、幅方向DWにおいて第1内壁21Lと対向し、高さ方向DHに延びる。第2外壁22Rは、幅方向DWにおいて第2内壁21Rと対向し、高さ方向DHに延びる。第1内壁21L及び第1外壁22Lは、車体中央面Mに対して左側に位置する。第2内壁21R及び第2外壁22Rは、車体中央面Mに対して右側に位置する。第1内壁21Lは、幅方向DWにおいて第1外壁22Lと車体中央面Mとの間に位置する。第2内壁21Rは、幅方向DWにおいて第2外壁22Rと車体中央面Mとの間に位置する。第1後壁23Lは、第1内壁21Lの後端と第1外壁22Lの後端とを接続する。第2後壁23Rは、第2内壁21Rの後端と第2外壁22Rとの後端を接続する。底壁25は、第1内壁21Lの下端と第2内壁21Rの下端とを接続する。支持フレーム24は、第1内壁21Lの上端と第2内壁21Rの上端とを接続する。支持フレーム24は、高さ方向DHにおいて底壁25と対向する。支持フレーム24は、上述する回転シャフトRSLを回動可能に支持するための第1支持部27Lと、上述する回転シャフトRSRを回動可能に支持するための第2支持部27Rとを有している。
【0019】
第1リフトリンク44L、第1アーム組立体42L、及び、第1アーム組立体42Lを作動するアームシリンダ48は、幅方向DWにおいて第1内壁21Lと第1外壁22Lとの間に設けられる。第1リフトリンク44Lを支持する第1支点軸46Lは、第1内壁21Lと第1外壁22Lとに接続する。第2リフトリンク44R、第2アーム組立体42R、及び、第2アーム組立体42Rを作動するアームシリンダ48は、幅方向DWにおいて第2内壁21Rと第2外壁22Rとの間に設けられる。第2リフトリンク44Rを支持する第2支点軸46Rは、第2内壁21Rと第1外壁22Lとに接続する。
【0020】
第1トラックフレーム28Lは、第1内壁21Lの下端に第1取付フレーム29Lを介して取り付けられている。第2トラックフレーム28Rは、第2内壁21Rの下端に第2取付フレーム29Rを介して取り付けられている。第1トラックフレーム28L及び第2トラックフレーム28Rには、従動輪32、33及び転輪34が回転自在に取り付けられている。駆動輪31は、第1内壁21L及び第2内壁21Rによって支持される。エンジン6は図示しないダンパーを介して底壁25に支持される。
図4では、エンジン6の向きを規定するために、エンジン6のクランク軸A
XEを図示している。クランク軸A
XEは、実質的に車体中央面M上に前後方向D
FBに延びる。
【0021】
図6は、
図5に表示されているエンジン6の周辺を側方から見た図である。
図6において、支持フレーム24を除く車体フレーム2の表示は省略している。また、エンジン6の構造は模式的に表示しており、エンジン6の一部の構造の表示は省略されている。
図6に示されるように、熱交換器7、ファン71、及び、ボンネットカバー8は、ステー30を介して第1内壁21L及び第2内壁21Rに取り付けられる。つまり、ボンネットカバー8は、車体フレーム2の高さに沿う高さ方向D
Hにおいて車体フレーム2上に設けられる。支持フレーム24は、点線で図示している。
図2、
図5及び
図6を参照すると、支持フレーム24は、その前端で下方に折れ曲がったL字状の形状を有している。支持フレーム24は、貫通孔24hを有し、排気管11が貫通孔24hを通過するように配置される。
【0022】
さらに、
図5及び
図6を参照すると、ファン71は、エンジンの上方D
Uに位置する。熱交換器7は、ファン71の上方D
Uに位置する。空気吸引口8aを有するボンネットカバー8は、熱交換器7の上方D
Uに位置する。ファン71が回転することによって、空気吸引口8aから空気が熱交換器7に送られる。なお、ファン71とエンジン6との間にはファンダクト72が設けられ、ファンダクト72は、熱交換器7を通過して暖められた空気がエンジンルーム62に流入することを抑止している。また、ファンダクト72は、粉塵を含む外気がエンジンルーム62に流入することも抑止している。
図5及び
図6では、一部のファンダクト72の図示を省略しているため、ファン71が表示されているが、実際は、ファン71は、ファンダクト72によって覆われることによってエンジンルーム62に露出されない。なお、エンジンルーム62とは、キャビン5、ファンダクト72、第1内壁21L、第2内壁21R、底壁25、及び、後ボンネットカバー9によって囲まれた空間をいう。つまり、ボンネットカバー8はエンジンルーム62を覆い、車体後部2Rは、車体フレーム2の高さに沿う高さ方向D
Hにおいて、支持フレーム24の下方にエンジンルーム62を有しているといえる。
図2のように開状態になったときには、
図5に示される支持フレーム24の下方が外部に露出される。つまり、開状態では、車体前部2Fとキャブフレーム53との間からエンジンルーム62が露出される。エンジン6及び排気処理装置61は、エンジンルーム62に設けられる。
【0023】
排気処理装置61は、エンジンルーム62の内部においてエンジン6の前方D
Fに設けられ、接続管63によってエンジン6と接続している。接続管63は、排気処理装置61の右端において接続している。
図5に示すように、排気管11の給気口は、排気処理装置61の左端において接続している。排気管11の給気口の反対側には、排気口12が設けられる。排気口12は、圧入、接着剤、溶接などの方法で排気管11に固定される。つまり、排気管11は、排気口12を有する。
図5及び
図6などに示されるように、排気口12は、マフラーカバー13に覆われることによって保護される。つまり、排気システム10は、マフラーカバー13を含む。マフラーカバー13は、ボンネットカバー8にボルトB1、B2等によって固定される。
図3及び
図6等に示されるように、排気口12は、空気吸引口8aに面している。
【0024】
図5及び
図6を参照すると、作業車両1は、シール機構20を含む。シール機構20は、当接プレート26と、シールゴム56とを有する。当接プレート26は、支持フレーム24の一部の構成である。シールゴム56は、キャブフレーム53の一部の構成である。なお、
図5及び
図6では、キャビン5に属する構成を二点鎖線で図示している。当接プレート26は、キャブフレーム53が閉状態となったときに、キャブフレーム53に当接するように構成される。当接プレート26は、複数のボルトB3を介して支持フレーム24の残りのフレームに取り付けられる。シールゴム56は、閉状態となったときに当接プレート26と当接するように構成される。
図5を参照すると、排気処理装置61は、回転シャフトRSL及びRSRの中心軸A
XCに沿う幅方向D
Wに伸びる。シールゴム56及び当接プレート26は、幅方向D
Wに伸びる。排気処理装置61は、シールゴム56及び当接プレート26の、高さ方向D
Hの下方に位置する。シールゴム56の幅方向D
Wの長さW1及び当接プレート26の幅方向D
Wの長さW2は、排気処理装置61の前記幅方向D
Wの長さW0よりも長い。
【0025】
図7は、
図6のシール機構20の付近の拡大図である。当接プレート26は、ボルトB3を取り付けられ、高さ方向D
Hに延びる基端部26Bと、高さ方向D
Hから前方向に傾斜する末端部26Dとを含む。これにより、当接プレート26は支持フレーム24の残りのフレームに取り付けやすく、シールゴム56に当接しやすくすることができる。また、シール機構20は、末端部26Dの先端に設けられた弾性体27をさらに有する。これによって、シールゴム56が当接プレート26への接触によって傷つけられるのを抑止することができる。
図8は、キャビン5の底面図である。
図8では、当接プレート26、第1支持部27L、及び、第2支持部27Rを二点鎖線にて図示している。
図8を参照すると、シールゴム56は、当接プレート26と当接するように構成される基端部56aと、基端部26aから後方D
Bに延びる延出部56bとを含む。延出部56bを設けることにより、シールゴム56のキャブフレーム53との接触面積を増やして、シールゴム53がキャブフレーム53から剥がれにくくしている。
【0026】
図9は、キャビン5と、ボンネットカバー8との境界部分の拡大図である。
図9を参照すると、作業車両1には、シールゴム56及び当接プレート26よりも高さ方向D
Hの上方において、車体フレーム2とキャブフレーム53との間に第1隙間G1が設けられる。キャビン5を回動させるときに、作業者は、第1隙間G1に手を入れることによって作業者がキャビン5を持ち上げることができる。
図3、
図8、及び、
図9を参照すると、作業車両1は、第1支持部27Lと第2支持部27Rとの間において、キャビン5とボンネットカバー8との間の隙間を塞ぐカバーCVを含む。カバーCVは、布から成り、キャビン5を回動させるときに折れ曲がるように構成されている。
図2及び
図6~
図8を参照すると、キャビン5は、その底部の外周に、外周シール54L,54Rを有する。外周シール54L,54Rは、閉状態において、
図5の第1内壁21L及び第2内壁21Rから車体内側に延出する延出部21LE及び21REと当接するように設けられる。したがって、第1隙間G1は、
図8の点線で囲まれた領域に設けられる。第1隙間G1から入ってくる外気は、シールゴム56及び当接プレート26に到達する。シールゴム56の幅方向D
Wの長さW1及び当接プレート26の幅方向D
Wの長さW2は、排気処理装置61の前記幅方向D
Wの長さW0よりも長いので、シールゴム56及び当接プレート26の、高さ方向D
Hの下方に位置する排気処理装置61に、外気からのダストが到達しにくい。より具体的には、
図5のフローF1のように外気からのダストが落ちるものの、フローF2のように車両内側に向かうダストは、シール機構20にせき止められる。これによって、ダストが高熱を発する排気処理装置61によって燃えるなどのリスクを低減することができる。
【0027】
図10は、
図6に示した排気口12及びマフラーカバー13の上部拡大図である。
図10を参照すると、排気口12は、長穴パイプ形状を有している。ボンネットカバー8は、開口部8hを有する。
図6及び
図10を参照すると、排気管11(排気口12)は、開口部8hを介して、作業車両1の外部と連通する。なお、排気口12の一部が開口部8hよりもエンジンルーム62側に配置されてもよい。開口部8hと排気管11との間には第2隙間G2が設けられている。
図6に示されるように、開口部8hは、貫通孔24h及び隙間65を介してエンジンルーム62に連通している。ただし、
図6に示されるフローF3のように、第2隙間G2から入ってくる外気は、シールゴム56及び当接プレート26に到達する。したがって、開口部8hから入ってくるダストの少なくとも一部がシール機構20にせき止められる。これによって、ダストが高熱を発する排気処理装置61によって燃えるなどのリスクを低減することができる。
<実施形態の作用及び効果>
【0028】
本実施形態に係る作業車両1では、支持フレーム24が、キャブフレーム53が閉状態となったときに、キャブフレーム53に当接するように構成される当接プレート26を有する。キャブフレーム53は、閉状態となったときに当接プレート26と当接するように構成されるシールゴム56を有する。これにより、作業車両1は、ボンネットカバー8とキャビン5との間の隙間からダストが侵入することを抑止することができる。
【0029】
本願においては、「備える」およびその派生語は、構成要素の存在を説明する非制限用語であり、記載されていない他の構成要素の存在を排除しない。これは、「有する」、「含む」およびそれらの派生語にも適用される。
【0030】
「~部材」、「~部」、「~要素」、「~体」、および「~構造」という文言は、単一の部分や複数の部分といった複数の意味を有し得る。
【0031】
「第1」や「第2」などの序数は、単に構成を識別するための用語であって、他の意味(例えば特定の順序など)は有していない。例えば、「第1要素」があるからといって「第2要素」が存在することを暗に意味するわけではなく、また「第2要素」があるからといって「第1要素」が存在することを暗に意味するわけではない。
【0032】
程度を表す「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言は、実施形態に特段の説明がない限りにおいて、最終結果が大きく変わらないような合理的なずれ量を意味し得る。本願に記載される全ての数値は、「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言を含むように解釈され得る。
【0033】
本願において「A及びBの少なくとも一方」という文言は、Aだけ、Bだけ、及びAとBの両方を含むように解釈されるべきである。
【0034】
上記の開示内容から考えて、本発明の種々の変更や修正が可能であることは明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本願の具体的な開示内容とは別の方法で本発明が実施されてもよい。