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特許7662561基板収納容器のフィルタ取り外し治具及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】基板収納容器のフィルタ取り外し治具及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20250408BHJP
【FI】
H01L21/68 T
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022040570
(22)【出願日】2022-03-15
(65)【公開番号】P2023135395
(43)【公開日】2023-09-28
【審査請求日】2024-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】須田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 晃裕
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-024585(JP,A)
【文献】特開平09-139421(JP,A)
【文献】特開2002-170875(JP,A)
【文献】特開2017-224659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板収納容器の蓋体に着脱自在に取り付けられたフィルタを取り外し治具により取り外す基板収納容器のフィルタ取り外し治具であって、
蓋体は、基板収納容器の容器本体の開口部に嵌められる蓋本体と、この蓋本体との間にフィルタを挟むカバーと、このカバーに形成されてフィルタ方向に凹む窪み部とを含み、この窪み部にフィルタ用の脱着孔を設け、この脱着孔を区画する区画片を変形可能なフィルタ用の係止爪とし、
フィルタは、蓋体の蓋本体の連通口に連通する連通管と、この連通管に対向して蓋体の窪み部の脱着孔から突出する突出管と、これら連通管と突出管の間に介在される濾材とを含み、連通管と突出管の相対向する開口端部にフランジをそれぞれ形成して突出管のフランジと窪み部の係止爪とを近接可能とし、
取り外し治具は、蓋体のカバーに接触可能な台座治具と、この台座治具に上下動可能に挿入される操作治具とを含み、台座治具内に中空部を形成して窪み部の脱着孔に対向可能とし、操作治具を台座治具の中空部を挿通可能な略棒形に形成してその下端部には保持部と接触契機部とを取り付けるとともに、保持部をフィルタの突出管に嵌め入れ可能な略筒形に形成してその外周側には接触契機部を位置させ、台座治具の下部に、複数の離隔爪を設けてこれらの間には保持部と接触契機部とを嵌め入れ可能とし、接触契機部を複数の離隔爪に接触させて撓ませることにより、複数の離隔爪を窪み部の係止爪に接触させて変形させ、突出管のフランジから係止爪を離隔させることを特徴とする基板収納容器のフィルタ取り外し治具。
【請求項2】
取り外し治具の台座治具、操作治具、接触契機部、及び複数の離隔爪を樹脂含有の成形材料によりそれぞれ成形し、保持部を、ゴムとエラストマーの少なくともいずれか一方を含有した成形材料により成形した請求項1記載の基板収納容器のフィルタ取り外し治具。
【請求項3】
操作治具の接触契機部を、保持部よりも伸長形成してフィルタの突出管のフランジに接触可能な長さとするとともに、突出管のフランジから食み出る厚みとした請求項1又は2記載の基板収納容器のフィルタ取り外し治具。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載した基板収納容器のフィルタ取り外し治具の使用方法であって、
蓋体のカバー上に取り外し治具の台座治具を配置してその中空部をフィルタの突出管に対向させ、台座治具の複数の離隔爪をカバーの窪み部内に嵌め入れ、台座治具の中空部に操作治具を挿入して押し下げることにより、接触契機部を複数の離隔爪に接触させて外側に撓ませるとともに、窪み部の係止爪を変形させて押し広げることによりフィルタの突出管のフランジから離し、操作治具の保持部をフィルタの突出管に上方から嵌め入れて保持させ、その後、台座治具を押さえながら操作治具を引き上げ、蓋体の蓋本体の連通口からフィルタの連通管を抜き取り、台座治具を持ち上げてフィルタを窪み部から取り外すことを特徴とする基板収納容器のフィルタ取り外し治具の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等を収納する基板収納容器のフィルタ取り外し治具及びその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェーハの保管や輸送にはFOSBと呼ばれる専用の基板収納容器が使用されているが、この種の基板収納容器1は、図12に部分的に示すように、半導体ウェーハを収納する容器本体2と、この容器本体2の開口した正面に着脱自在に嵌合される蓋体3とを備え、この蓋体3に気圧調整用のフィルタ10が装着される(特許文献1参照)。
【0003】
蓋体3は、図12図13に部分的に示すように、容器本体2の開口した正面に嵌合される蓋本体4と、この蓋本体4の開口した表面の両側部を被覆する一対のカバープレート6と、これら蓋本体4と一対のカバープレート6との間に介在して設置される一対の施錠機構とを備えて構成されている。
【0004】
蓋本体4の表面の両側部のうち、少なくとも一側部には連通孔5が穿孔され、この連通孔5にフィルタ10が着脱自在に装着されてカバープレート6に被覆される。また、カバープレート6にはフィルタ10に凹んで対向する窪み部7が形成され、この窪み部7には蓋本体4の連通孔5に対向するフィルタ10用の脱着孔8が穿孔されており、この脱着孔8を区画する区画片が変形可能なフィルタ10用の係止爪9とされる。
【0005】
フィルタ10は、図13に部分的に示すように、蓋体3の蓋本体4の連通孔5に圧入されて容器本体2の内部と連通する連通管11と、この連通管11に対向して蓋体3の窪み部7の脱着孔8から外部に突出する拡径の突出管13と、これら連通管11と突出管13の間に介在される濾材15とを備えて構成されている。
【0006】
連通管11と突出管13の対向する開口端部には外方向に張り出すフランジ12・14がそれぞれ形成され、これら連通管11と突出管13のフランジ12・14が相互に接続されてその間に濾材15を挟持する。突出管13のフランジ14の周縁部は、フィルタ10が装着されている場合には、上方に位置する窪み部7の係止爪9の端部と僅かな隙間をおいて近接し、この近接によりフィルタ10の脱落が防止される。
【0007】
ところで、基板収納容器1は、繰り返し再使用されることがあるが、この再使用の前には容器本体2と蓋体3が洗浄槽で個別に洗浄される。この蓋体3を洗浄する際、蓋体3にフィルタ10が装着されたままの状態では作業性の低下等の問題が生じるので、蓋体3からフィルタ10を引き抜いて取り外す必要がある。
【0008】
従来、蓋体3からフィルタ10を引き抜いて取り外す場合には、作業テーブル上に蓋体3を配置してそのカバープレート6を露出させ、このカバープレート6の窪み部7の係止爪9を蓋本体4方向に慎重に押し下げ(図14参照)、窪み部7の係止爪9を下方に押し広げてフィルタ10の突出管13のフランジ14から離し、この係止爪9の離れた状態を確実に維持しながらフィルタ10の突出管13を摘まんで引き上げれば、蓋本体4の連通孔5からフィルタ10の連通管11が抜けるので、窪み部7の脱着孔8からフィルタ10を引き抜いて取り外すことができる(図15参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2006‐24585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来における基板収納容器1は、以上のように構成されているが、蓋体3からフィルタ10を取り外す場合には、作業に熟練が要求されるので、フィルタ10の取り外し作業の円滑化や迅速化を図ることができないおそれがある。
この点について詳しく説明すると、蓋体3からフィルタ10を取り外す場合には、窪み部7の係止爪9を下方に押し広げてフィルタ10の突出管13のフランジ14から離す必要があるが、この際、熟練度が低いと、窪み部7の係止爪9を鉛直方向に押し下げてしまい、その結果、係止爪9の端部がフランジ14の周縁部に接触して傷付けるおそれが考えられる(図14参照)。
【0011】
また、変形した係止爪9の離隔状態を維持しながらフィルタ10を引き上げる際、変形した係止爪9が元の状態に復帰し、その結果、係止爪9がフランジ14に接触して損傷させるおそれがある(図15参照)。
【0012】
これらの懸念を払拭する手段としては、作業に熟練した作業員に担当させるという方法があげられる。しかしながら、この方法の場合には、取り外し作業の作業性が特定の作業員の熟練度に大きく左右されるので、作業員によっては取り外し作業に支障を来すこととなり、取り外し作業の円滑化や迅速化を実現することは容易ではない。
【0013】
本発明は上記に鑑みなされたもので、作業員の熟練度に拘わりなく、フィルタの取り外し作業の円滑化や迅速化を図ることのできる基板収納容器のフィルタ取り外し治具及びその使用方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明においては上記課題を解決するため、基板収納容器の蓋体に着脱自在に取り付けられたフィルタを取り外し治具により取り外すものであって、
蓋体は、基板収納容器の容器本体の開口部に嵌められる蓋本体と、この蓋本体との間にフィルタを挟むカバーと、このカバーに形成されてフィルタ方向に凹む窪み部とを含み、この窪み部にフィルタ用の脱着孔を設け、この脱着孔を区画する区画片を変形可能なフィルタ用の係止爪とし、
フィルタは、蓋体の蓋本体の連通口に連通する連通管と、この連通管に対向して蓋体の窪み部の脱着孔から突出する突出管と、これら連通管と突出管の間に介在される濾材とを含み、連通管と突出管の相対向する開口端部にフランジをそれぞれ形成して突出管のフランジと窪み部の係止爪とを近接可能とし、
取り外し治具は、蓋体のカバーに接触可能な台座治具と、この台座治具に上下動可能に挿入される操作治具とを含み、台座治具内に中空部を形成して窪み部の脱着孔に対向可能とし、操作治具を台座治具の中空部を挿通可能な略棒形に形成してその下端部には保持部と接触契機部とを取り付けるとともに、保持部をフィルタの突出管に嵌め入れ可能な略筒形に形成してその外周側には接触契機部を位置させ、台座治具の下部に、複数の離隔爪を設けてこれらの間には保持部と接触契機部とを嵌め入れ可能とし、接触契機部を複数の離隔爪に接触させて撓ませることにより、複数の離隔爪を窪み部の係止爪に接触させて変形させ、突出管のフランジから係止爪を離隔(離れ隔てる)させることを特徴としている。
【0015】
なお、基板収納容器は、半導体ウェーハを収納した容器本体の開口した正面に蓋体が着脱自在に嵌め合わされ、この蓋体の蓋本体に気圧調整用のフィルタが取り付けられてその突出管のフランジ周縁部と窪み部の係止爪端部とが近接することが好ましい。
また、取り外し治具の台座治具、操作治具、接触契機部、及び複数の離隔爪を樹脂含有の成形材料によりそれぞれ成形し、保持部を、ゴムとエラストマーの少なくともいずれか一方を含有した成形材料により成形することが好ましい。
【0016】
また、操作治具の接触契機部を、保持部よりも伸長形成してフィルタの突出管のフランジに接触可能な長さとするとともに、突出管のフランジから食み出る厚みとすることができる。
【0017】
また、本発明においては上記課題を解決するため、請求項1、2、又は3に記載した基板収納容器のフィルタ取り外し治具の使用方法であって、
蓋体のカバー上に取り外し治具の台座治具を配置してその中空部をフィルタの突出管に対向させ、台座治具の複数の離隔爪をカバーの窪み部内に嵌め入れ、台座治具の中空部に操作治具を挿入して押し下げることにより、接触契機部を複数の離隔爪に接触させて外側に撓ませるとともに、窪み部の係止爪を変形させて押し広げることによりフィルタの突出管のフランジから離し、操作治具の保持部をフィルタの突出管に上方から嵌め入れて保持させ、その後、台座治具を押さえながら操作治具を引き上げ、蓋体の蓋本体の連通口からフィルタの連通管を抜き取り、台座治具を持ち上げてフィルタを窪み部から取り外すことを特徴としている。
【0018】
ここで、特許請求の範囲における基板収納容器には、半導体ウェーハ、ガラス基板、マスク基板等の基板を収納することができる。また、蓋体の蓋本体やカバーは、透明、不透明、半透明のいずれでも良い。この蓋体には、必要数のフィルタを取り付けることができる。
【0019】
本発明によれば、蓋体からフィルタを取り外す場合、取り外し治具の操作治具における接触契機部の接触により、複数の離隔爪が撓んで窪み部の係止爪を変形させる。また、操作治具の接触契機部と複数の離隔爪との接触により、離隔爪が係止爪の変形状態を維持する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、作業員の熟練度に拘わりなく、フィルタの取り外し作業の円滑化や迅速化を図ることができるという効果がある。操作治具を上下動させれば、保持部と接触契機部とを共に上下動させることができるので、部品点数を削減して構成の簡素化を図ることができる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、取り外し治具の台座治具、操作治具、接触契機部、及び複数の離隔爪のメタルフリー化を図ることができる。また例えば、成形材料の所定の樹脂をポリエーテルエーテルケトン樹脂とすれば、取り外し治具の台座治具、操作治具、接触契機部、及び複数の離隔爪の少なくともいずれかの耐熱性、機械的強度、耐薬品性等を向上させることができる。また例えば、成形材料の所定の樹脂をポリアセタール樹脂とすれば、取り外し治具の台座治具、操作治具、接触契機部、及び複数の離隔爪の少なくともいずれかの耐摩耗性、機械的強度、耐衝撃性、寸法安定性、耐薬品性を向上させることができる。
【0022】
また、接触契機部や離隔爪の他、保持部のメタルフリー化が期待できる。また例えば、保持部をウレタンゴムより成形すれば、保持部の機械的強度や耐摩耗性等の向上が可能になる。また例えば、保持部をスチレンブタジエンゴムにより成形すれば、保持部の耐摩耗性や耐老化性の向上が可能になる。
【0023】
請求項3記載の発明によれば、操作治具の接触契機部を、保持部よりも伸長形成して突出管のフランジに接触可能な長さとするとともに、突出管のフランジから食み出る厚みとすれば、係止爪の突出管のフランジに対する接触可能範囲を被覆保護することができ、突出管のフランジに係止爪が接触するおそれを排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る基板収納容器のフィルタ取り外し治具の実施形態を模式的に示す分解説明図である。
図2】本発明に係る基板収納容器のフィルタ取り外し治具の実施形態における取り外し治具の台座治具を模式的に示す正面説明図である。
図3】本発明に係る基板収納容器のフィルタ取り外し治具の実施形態における取り外し治具の操作治具を模式的に示す斜視説明図である。
図4】本発明に係る基板収納容器のフィルタ取り外し治具の実施形態におけるカバープレート上に台座治具を配置して角筒部をフィルタの突出管にセンタリングする状態を模式的に示す平面説明図である。
図5】本発明に係る基板収納容器のフィルタ取り外し治具の実施形態におけるカバープレート上に台座治具を配置する状態を模式的に示す説明図である。
図6】本発明に係る基板収納容器のフィルタ取り外し治具の実施形態における蓋体、フィルタ、及び取り外し治具を模式的に示す断面説明図である。
図7】本発明に係る基板収納容器のフィルタ取り外し治具の実施形態における台座治具に操作治具を挿入する状態を模式的に示す説明図である。
図8】本発明に係る基板収納容器のフィルタ取り外し治具の実施形態における蓋体からフィルタを取り外す状態を模式的に示す断面説明図である。
図9】本発明に係る基板収納容器のフィルタ取り外し治具の実施形態における台座治具から操作治具を引き上げる状態を模式的に示す説明図である。
図10】本発明に係る基板収納容器のフィルタ取り外し治具の実施形態における蓋体からフィルタを取り外した状態を模式的に示す断面説明図である。
図11】本発明に係る基板収納容器のフィルタ取り外し治具の実施形態におけるカバープレートの窪み部から取り外し治具を引き上げた状態を模式的に示す説明図である。
図12】基板収納容器を示す全体斜視図である。
図13】蓋体にフィルタが装着された状態を示す断面説明図である。
図14】窪み部の係止爪が突出管のフランジ周縁部に接触して損傷させる状態を示す断面説明図である。
図15】窪み部の変形した係止爪が元の状態に復帰して突出管のフランジに接触する状態を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における基板収納容器のフィルタ取り外し治具20は、図1ないし図12に示すように、基板収納容器1の蓋体3に装着されたフィルタ10を取り外す専用の治具であり、接触契機板29を離隔爪27に接触させて撓ませることにより、窪み部7の係止爪9を変形させてフィルタ10のフランジ14から離隔させ、保持筒28をフィルタ10の突出管13に嵌入保持させて引き抜き可能とすることにより、国連サミットで採択されたSDGs(国連の持続可能な開発のための国際目標であり、17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)からなる持続可能な開発目標)の目標9の達成に貢献する。
【0026】
基板収納容器1は、図12に部分的に示すように、複数枚の半導体ウェーハを並べて整列収納するフロントオープンボックスタイプの容器本体2と、この容器本体2の開口した正面に着脱自在に嵌合される蓋体3とを備え、この蓋体3に気圧を調整して取り外しを容易にするフィルタ10が着脱自在に装着される。
【0027】
半導体ウェーハは、図示しないが、例えばφ300mmの薄く脆い高品質のシリコンウェーハからなり、容器本体2の内部に収納され、かつ上下方向に25枚が所定の間隔で整列する。また、容器本体2と蓋体3は、所定の樹脂を含有する成形材料により複数の部品がそれぞれ射出成形され、この複数の部品の組み合わせにより構成される。
【0028】
蓋体3は、図12図13に部分的に示すように、容器本体2の開口した正面に嵌合される蓋本体4と、この蓋本体4の開口した表面の両側部を被覆する一対のカバープレート6と、これら蓋本体4と一対のカバープレート6との間に介在して設置される一対の施錠機構とを備えて構成される。
【0029】
蓋本体4の表面の両側部のうち、少なくとも一側部の上下いずれかには図6図8図10に示すように、容器本体2の内部と連通する連通孔5が穿孔され、この連通孔5にフィルタ10が着脱自在に装着されてカバープレート6に被覆される。また、カバープレート6にはフィルタ10に凹んで対向する窪み部7が形成され、この窪み部7の中心には蓋本体4の連通孔5に対向するフィルタ10用の脱着孔8が穿孔されており、この脱着孔8を区画する断面略L字形の区画片が変形可能なフィルタ10用の係止爪9とされる。
【0030】
窪み部7は、平面視で円形に形成されるが、必要に応じ、矩形や多角形等に形成される。また、脱着孔8は、蓋本体4の連通孔5よりも大きいが、フィルタ10の径よりも縮径の径に形成される。係止爪9の脱着孔8を区画する端部は、フィルタ10との接触を回避する観点から、斜めに切り欠かれたり、先細りに形成されることが好ましい。
【0031】
フィルタ10は、図6図8図10に示すように、蓋体3の蓋本体4の連通孔5に圧入されて容器本体2の内部と連通する縮径の連通管11と、この連通管11に対向して蓋体3の窪み部7の脱着孔8から外部に隙間を介して突出する拡径の突出管13と、これら連通管11と突出管13の間に介在される濾材15とを備え、連通管11と突出管13の少なくとも径の相違により誤った取り付けを未然に防止する。
【0032】
連通管11と突出管13は、例えば所定の樹脂を含有する成形材料によりそれぞれ円筒形に成形され、相対向する開口端部には半径外方向に張り出すリング形のフランジ12・14がそれぞれ形成されており、これらのフランジ12・14が周縁部を介し相互に接着して一体化されるとともに、一対のフランジ12・14の間に円板形の濾材15が僅かな隙間を介して挟持される。
【0033】
突出管13のフランジ14の表面周縁部は、フィルタ10の装着時に、上方に位置する窪み部7の係止爪9の端部と僅かな隙間をおいて干渉可能に近接し、この近接によりフィルタ10の蓋体3からの脱落が有効に防止される。また、濾材15は、例えば分子濾過フィルタ等からなり、複数枚が積層した状態でフランジ12・14の間に介在される。
【0034】
取り外し治具20は、図1ないし図3図6図8図10等に示すように、蓋体3のカバープレート6に対向して接触する台座治具21と、この台座治具21に上方から着脱自在に挿入されて上下動する操作治具24とを備え、台座治具21に左右一対の離隔爪27が対設され、操作治具24に保持筒28と左右一対の接触契機板29とが配設される。
【0035】
台座治具21、操作治具24、複数の離隔爪27、及び接触契機板29は、可能な限りメタルフリー化を図る観点から、所定の樹脂含有の成形材料によりそれぞれ成形される。所定の樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂、シクロオレフィンコポリマー樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリマーといった熱可塑性樹脂やこれらのアロイ等があげられる。これに対し、保持筒28は、メタルフリーの観点から、例えばウレタンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム等のゴムを含有した成形材料により成形される。
【0036】
台座治具21は、例えば縦長の略ブロックに形成されてその上部と下部の周縁から姿勢の安定に資する大小のフランジがそれぞれ水平方向に張り出し形成され、中心部上下方向に窪み部7の脱着孔8に対向可能な中空の角筒部22が形成される。この台座治具21の下部下面には角筒部22と連通するリング形の位置決めリブ23が突出形成され、この位置決めリブ23がカバープレート6の窪み部7に上方から嵌合してセンタリング機能を発揮する。また、操作治具24は、握持操作用のハンドル25を備え、このハンドル25の下部に細長い角柱形のバー26が垂下して一体形成されており、このバー26が台座治具21の角筒部22に上下動可能に挿入されて貫通する。
【0037】
一対の離隔爪27は、図2図5図6図8図10に示すように、台座治具21の下部下面から下方向に伸長されて位置決めリブ23を挟み、カバープレート6の窪み部7内に嵌入される。各離隔爪27は、例えば略L字形の板に形成されて位置決めリブ23の周縁部近傍に一体化され、接触契機板29に圧接されることにより外側に撓み、下端の鉤爪形の短片部を窪み部7の係止爪9に圧接して変形させる。
【0038】
保持筒28は、図1図3図8図10に示すように、例えば機械的強度が大きく、耐摩耗性等に優れる円筒形のウレタンチューブからなり、操作治具24のバー26の下端部中央に装着されており、操作治具24の上下動に伴い上下動するとともに、操作治具24の下降時には少なくとも下端部が位置決めリブ23から露出する。この保持筒28は、操作治具24の下降に伴い下降してフィルタ10の突出管13に上方からきつく密嵌し、操作治具24の上昇に伴いフィルタ10と共に上昇して保持したフィルタ10を蓋本体4から引き抜くよう機能する。
【0039】
一対の接触契機板29は、図1図3図8図10に示すように、操作治具24のバー26の下端部両側に対設されて保持筒28を外側から挟持し、操作治具24の上下動に伴い保持筒28と共に上下動するとともに、操作治具24の下降時には少なくとも下端部が位置決めリブ23から露出する。各接触契機板29は、保持筒28よりも長い縦長の板に形成されて突出管13のフランジ14表面から半径外方向に食み出る厚み(幅)を有し、下端部が内方向に屈曲して保持筒28の下端部に係止しており、操作治具24の下降時に突出管13のフランジ14表面に接触して被覆する。このような一対の接触契機板29は、操作治具24の下降に伴い下降して一対の離隔爪27の内面に圧接し、この一対の離隔爪27を撓ませるよう機能する。
【0040】
上記構成において、蓋体3からフィルタ10を引き抜いて取り外す場合には、先ず、作業テーブル上に蓋体3を配置してそのカバープレート6を露出させ、カバープレート6の窪み部7上に取り外し治具20の台座治具21を配置(図1図5参照)して一対の離隔爪27をカバープレート6の窪み部7内に嵌入(図6参照)する。この際、台座治具21の位置決めリブ23は、カバープレート6の窪み部7に密嵌して角筒部22をフィルタ10の突出管13にセンタリングして位置決めする(図4参照)。
【0041】
カバープレート6上に台座治具21を位置決め配置したら、台座治具21の角筒部22に操作治具24のバー26を挿入(図1図7参照)して下方に押圧する。すると、一対の接触契機板29が一対の離隔爪27の内面に圧接して外側に撓ませ、各離隔爪27が外側に撓んで窪み部7の係止爪9を下方に押し広げ、一対の接触契機板29がフィルタ10の突出管13のフランジ14表面に接触し、バー26下端の保持筒28がフィルタ10の突出管13に上方から密嵌して保持する(図8参照)。係止爪9は、下方に押し広げられることにより、突出管13のフランジ14から離れて干渉不能となるので、フィルタ10を安全に引き抜いて取り外すことが可能になる。
【0042】
次いで、台座治具21を押さえながら操作治具24を引き上げる(図9参照)ことにより、係止爪9を押し広げたまま蓋体3の蓋本体4の連通孔5からフィルタ10の連通管11を抜き取る(図10参照)。こうして蓋本体4の連通孔5からフィルタ10を抜き取ったら、台座治具21を持ち上げれば、取り外し治具20にフィルタ10を保持させた状態で窪み部7の脱着孔8から取り外すことができる(図11参照)。
【0043】
上記によれば、接触契機板29の圧接により離隔爪27が外側に撓んで窪み部7の係止爪9を下方に確実に押し広げるので、係止爪9を適切に湾曲変形させることができ、係止爪9の端部が不具合で突出管13のフランジ周縁部に接触して損傷させるおそれを払拭することができる。また、接触契機板29が突出管13のフランジ14表面に接触して被覆保護するので、突出管13のフランジ14に係止爪9が接触するおそれが全くない。さらに、接触契機板29と離隔爪27との圧接により、離隔爪27が係止爪9の変形状態を確実に維持するので、変形した係止爪9が元の状態に復帰し、係止爪9がフランジ14に接触して損傷させるおそれを払拭することができる。
【0044】
なお、上記実施形態における一対の離隔爪27を台座治具21の下部下面から下方向に徐々に広がるよう傾けて伸長させても良いし、離隔爪27の一部を屈曲させたり、湾曲させて接触契機板29に確実に圧接されるようにしても良い。また、一対の離隔爪27を3本、4本等に増やしても良い。また、取り外し治具20の保持筒28は、ウレタンゴム以外のゴムやエラストマー(例えば、熱可塑性ポリウレタンエラストマー等)を含有した成形材料により成形しても良い。さらに、上記実施形態では保持筒28の外側に一対の接触契機板29を配置したが、保持筒28の外周面に円筒形の接触契機筒を嵌合しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る基板収納容器のフィルタ取り外し治具及びその使用方法は、基板収納容器の製造分野や使用分野で使用される。
【符号の説明】
【0046】
1 基板収納容器
2 容器本体
3 蓋体
4 蓋本体
5 連通孔(連通口)
6 カバープレート(カバー)
7 窪み部
8 脱着孔
9 係止爪
10 フィルタ
11 連通管(連通口)
12 フランジ
13 突出管
14 フランジ
15 濾材
20 取り外し治具
21 台座治具
22 角筒部(中空部)
23 位置決めリブ
24 操作治具
27 離隔爪
28 保持筒(保持部)
29 接触契機板(接触契機部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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