(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
E04B 1/348 20060101AFI20250408BHJP
E04H 1/02 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
E04B1/348 V
E04B1/348 D
E04H1/02
(21)【出願番号】P 2022040761
(22)【出願日】2022-03-15
【審査請求日】2024-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】梶原 崇
(72)【発明者】
【氏名】中村 聡
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-008552(JP,A)
【文献】特開2018-127780(JP,A)
【文献】特開2010-255293(JP,A)
【文献】特開2008-202224(JP,A)
【文献】特開2017-110470(JP,A)
【文献】米国特許第06625937(US,B1)
【文献】中国実用新案第201367745(CN,Y)
【文献】韓国登録実用新案第20-0380652(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/348
E04H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の建物ユニットが互いに組み合わされることにより構成されたユニット式住宅であって、
前記建物ユニットとして、水回り設備が設けられた水回り空間を形成するとともに横並びに隣接して設けられた複数の水回りユニットを備え、
前記水回り空間として、前記各水回りユニットの並ぶ並び方向に隣接して設けられた浴室及び脱衣室を備え、
前記脱衣室は、前記浴室よりも、前記各水回りユニットの境界部であるユニット境界部寄りに配置され、
前記水回り設備として、洗面台と、洗濯機が設置される洗濯機設置部とが設けられ、
前記洗濯機設置部は、前記脱衣室に設置され、
前記洗面台は、前記脱衣室とは別の前記水回り空間又は前記脱衣室に設置され、
前記洗濯機設置部と前記洗面台とは、前記ユニット境界部を挟んで互いに離間して配置されていることを特徴とする、住宅。
【請求項2】
前記洗面台は、前記別の水回り空間としての洗面スペースに設置され、
前記洗面スペースには、リビングから前記脱衣室を経由せずに行き来可能となっていることを特徴とする、請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
キッチンから前記脱衣室には、通路スペースを通じて行き来可能となっており、
前記通路スペースが前記洗面スペースとなっていることを特徴とする、請求項2に記載の住宅。
【請求項4】
前記通路スペースから前記脱衣室側へ出入りするための出入部には、前記出入部を開閉する開閉体が設けられていることを特徴とする、請求項3に記載の住宅。
【請求項5】
前記洗濯機設置部と前記洗面台との間には、物を収納可能な収納部が前記ユニット境界部を跨いで設置されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の住宅。
【請求項6】
前記浴室及び前記脱衣室が並ぶ方向と直交する方向に前記脱衣室と隣接して設けられた小スペースを備え、
前記小スペースは、その全体が、前記浴室及び前記脱衣室が設けられた前記水回りユニットの内部に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の建物ユニットが組み合わされることにより構成されるユニット式住宅に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユニット式住宅の間取りをプランニングする際、住宅の南側にダイニングキッチンを配置し、北側に浴室や洗面室等の水回り空間を配置するゾーニングが行われることがある。特許文献1には、こうしたゾーニングが行われたユニット式住宅が開示されている。このユニット式住宅では、水回り空間を形成する複数の建物ユニット(以下、水回りユニットという)が横並びに隣接して設けられている。水回り空間としては、浴室と脱衣室とがユニット並び方向に隣接して設けられている。浴室は一方の水回りユニットの内部に配置され、脱衣室は各水回りユニットに跨って配置されている。
【0003】
脱衣室には、水回り設備として、洗面台と、洗濯機が設置される洗濯パンとが設置されている。洗面台と洗濯パンとは、脱衣室内の通路スペースを挟んで互いに離間して配置されている。また、洗面台と洗濯パンとはいずれも、各水回りユニットの境界部を跨いで配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、洗面台と洗濯パンとが各水回りユニットの境界部を跨いで配置されている上記の構成では、洗面台と洗濯パンとをユニット工場において水回りユニットに組み付けることは困難である。そのため、洗面台と洗濯パンとに接続される給排水設備についても、ユニット工場にて水回りユニットに組み付けることは困難である。したがって、この場合、これらの組み付け作業をすべて、施工現場において各水回りユニットを設置した後に行う必要があり、施工工数の増大を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、水回り設備を建物ユニットに設置するにあたり、施工工数の低減を図ることができるユニット式住宅を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明の住宅は、複数の建物ユニットが互いに組み合わされることにより構成されたユニット式住宅であって、前記建物ユニットとして、水回り設備が設けられた水回り空間を形成するとともに横並びに隣接して設けられた複数の水回りユニットを備え、前記水回り空間として、前記各水回りユニットの並ぶ並び方向に隣接して設けられた浴室及び脱衣室を備え、前記脱衣室は、前記浴室よりも、前記各水回りユニットの境界部であるユニット境界部寄りに配置され、前記水回り設備として、洗面台と、洗濯機が設置される洗濯機設置部とが設けられ、前記洗濯機設置部は、前記脱衣室に設置され、前記洗面台は、前記脱衣室とは別の前記水回り空間又は前記脱衣室に設置され、前記洗濯機設置部と前記洗面台とは、前記ユニット境界部を挟んで互いに離間して配置されていることを特徴とする。
【0008】
第1の発明によれば、洗濯機設置部と洗面台とが、各水回りユニットの境界部(ユニット境界部)を挟んで互いに離間して配置されている。この場合、洗濯機設置部と洗面台とはいずれもユニット境界部を跨ぐことなく配置されているため、これらの水回り設備をユニット工場において水回りユニットに組み付けることができる。これにより、水回り設備を建物ユニットに設置するにあたり、施工工数の低減を図ることができる。
【0009】
第2の発明の住宅は、第1の発明において、前記洗面台は、前記別の水回り空間としての洗面スペースに設置され、前記洗面スペースには、リビングから前記脱衣室を経由せずに行き来可能となっていることを特徴とする。
【0010】
近年、コロナウイルス等の流行もあり、住宅に訪れた訪問客が手洗い等のために洗面台を利用することがある。ここで、洗面台が脱衣室に設置されている場合、脱衣室は洗濯機が設置された洗濯用スペースとなっていることから、洗濯を行う居住者(例えば、主婦)
のプライバシが損なわれるおそれがある。そこで、第2の発明では、こうした点に鑑み、洗面スペースには、リビングから脱衣室を経由しないで行き来可能となっている。このため、洗面台を利用する訪問客から脱衣室を見られてしまうことを抑制できるため、洗濯を行う居住者のプライバシを確保することができる。
【0011】
第3の発明の住宅は、第2の発明において、キッチンから前記脱衣室には、通路スペースを通じて行き来可能となっており、前記通路スペースが前記洗面スペースとなっていることを特徴とする。
【0012】
第3の発明によれば、居住者が家事を行う際には、キッチンと、洗濯用スペースとされている脱衣室との間を、通路スペースを通じて行き来することができる。また、通路スペースには洗面台が設けられているため、家事の際の移動途中で手洗いをすることができ、家事を行う上で好都合な構成となっている。
【0013】
第4の発明の住宅は、第3の発明において、前記通路スペースから前記脱衣室側へ出入りするための出入部には、前記出入部を開閉する開閉体が設けられていることを特徴とする。
【0014】
第4の発明によれば、通路スペース(洗面スペース)において訪問客等が手洗いをする際に、開閉体を閉めておくことで、脱衣室の内部を見られてしまうことを抑制できる。これにより、洗面スペースを通じてキッチンから脱衣室への行き来を可能とした構成にあって、脱衣室における居住者のプライバシを好適に確保することができる。
【0015】
第5の発明の住宅は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記洗濯機設置部と前記洗面台との間には、物を収納可能な収納部が前記ユニット境界部を跨いで設置されていることを特徴とする。
【0016】
第5の発明によれば、収納部は、水回り設備のような給排水設備の設置を必要としないため、施工現場において比較的容易にユニット境界部を跨いで設置することができる。これにより、施工工数の大幅な増大を招くことなく、洗濯機設置部と洗面台との間のスペースを有効活用することができる。
【0017】
第6の発明によれば、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記浴室及び前記脱衣室が並ぶ方向と直交する方向に前記脱衣室と隣接して設けられた小スペースを備え、前記小スペースは、その全体が、前記浴室及び前記脱衣室が設けられた前記水回りユニットの内部に配置されていることを特徴とする。
【0018】
第6の発明によれば、小スペースは、その全体が、浴室及び脱衣室が設けられた水回りユニット内に配置されているため、小スペースをユニット工場において水回りユニットに組み付けることができる。これにより、小スペースを建物ユニットに設置するにあたり、施工工数の低減を図ることができる。
【0019】
また、小スペースの全体を、浴室及び脱衣室が設けられた水回りユニットの内部に配置した場合、脱衣室のスペースが圧迫されることが懸念される。しかしながら、洗面台が、浴室及び脱衣室が設けられた水回りユニットとは別の水回りユニットに配置されているため、脱衣室のスペースを十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】ユニット式住宅の一階部分における建物ユニットの配置構成を示す平面図。
【
図2】ユニット式住宅の一階部分の間取りを示す平面図。
【
図3】一階部分の北寄り部分を拡大して示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。まず、ユニット式住宅である住宅10を構成する建物ユニット20の構成について
図4に基づき説明する。
図4は、建物ユニット20を示す斜視図である。
【0022】
図4に示すように、建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備える。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。
【0023】
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25と床小梁26とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に設けられている。天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。
【0024】
続いて、住宅10について説明する。住宅10は、複数の建物ユニット20が互いに組み合わせられることにより構成されている。各建物ユニット20は、予めユニット製造工場において製造され、トラックにより施工現場に搬送される。施工現場では、搬送された各建物ユニット20が所定位置に設置されるとともに互いに連結される。これにより、住宅10が構築されるようになっている。
【0025】
住宅10は、一階部分11と二階部分(図示略)を有する二階建てとなっている。一階部分11及び二階部分は、いずれも横並びに設けられた複数の建物ユニット20を有して構成されている。
図1は、一階部分11における建物ユニット20の配置構成を示す平面図である。以下、
図1に基づいて、一階部分11における建物ユニット20の配置構成について説明する。
【0026】
図1に示すように、一階部分11は、複数(具体的には2つ)の建物ユニット20が桁方向(平面視における長手方向)を東西方向に向けた状態で並べて設けられた一対のユニット群13,14を備えている。一対のユニット群13,14は、南北方向に並んでおり、その南北方向において互いに離間して配置されている。この場合、ユニット群13が南側、ユニット群14が北側に位置している。
【0027】
各ユニット群13,14同士の間は、建物ユニット20が存在しない離し置き領域15となっている。図示は省略するが、離し置き領域15には、床部を構成する平板状の床ユニットが設けられている。
【0028】
上記のように、一階部分11では、ユニット群13、離し置き領域15及びユニット群14が、南側から北側に向けてこの順に並んでいる。各ユニット群13,14と離し置き領域15とは、いずれも東西方向の長さが同じとされている。これにより、一階部分11では、南北方向に並ぶ各ユニット群13,14及び離し置き領域15により平面視矩形の住宅部分が形成されている。
【0029】
続いて、一階部分11の間取りについて
図2に基づき説明する。
図2は、一階部分11の間取りを示す平面図である。なお、
図2では便宜上、各建物ユニット20の4隅に配置される柱21のみを図示している。
【0030】
図2に示すように、一階部分11には、玄関31と、玄関ポーチ32と、ホール33と、ダイニングキッチン35と、リビング38と、仕事室41と、廊下42と、クローゼット43と、各収納スペース45,47,61と、パントリー51と、浴室56と、脱衣室57と、各通路スペース58,62,66と、トイレ65とが設けられている。また、住宅10には、一階部分11と二階部分(図示略)とを連絡する階段部69が設けられている。
【0031】
玄関31は、一階部分11において南東の角部に設けられている。玄関31には、玄関口71が設けられており、その玄関口71を通じて屋外側の玄関ポーチ32より玄関31に出入りが可能となっている。
【0032】
玄関31の北側にはホール33が連続して設けられている。ホール33は西側に延びており、ダイニングキッチン35に通じている。ダイニングキッチン35は、ダイニング36及びキッチン37が連続する連続空間とされており、平面視にて東西方向に長い長方形状とされている。ダイニング36及びキッチン37は東西方向に並んでおり、東側から西側に向けてこの順に配置されている。
【0033】
キッチン37の南側には、リビング38が連続して設けられている。つまり、ダイニングキッチン35とリビング38とは、全体として平面視L字状をなすLDK空間を形成している。なお、リビング38の南側には、外壁72を隔ててテラス73が設けられている。
【0034】
キッチン37には、キッチン設備75が設けられている。キッチン設備75は、横長状の作業台(キッチン台)を有しており、作業台の上面部にはコンロ等が設けられている。キッチン設備75は、その長手方向を東西方向に向けて配置されている。ダイニング36には、ダイニングテーブルと椅子とを有するダイニングセット76が設けられている。ダイニングセット76は、キッチン設備75の東側に隣接して配置されている。リビング38には、テーブルと椅子とを有してなるソファセット77が設けられている。
【0035】
リビング38の東側には、仕事室41が隣接して設けられている。仕事室41は、居住者が仕事を行うための仕事部屋であり、2人掛けのデスク79が設けられている。仕事室41は、リビング38と玄関31との間に位置しており、北側にはホール33が隣接している。仕事室41は、ホール33から出入口81を通じて出入り可能となっている。
【0036】
ダイニング36の東側には、廊下42が連続して設けられている。廊下42は、東西方向に延びている。
【0037】
ダイニング36の東側には、クローゼット43が隣接して設けられている。クローゼット43は、平面視にて東西方向に長い長方形状をなしている。クローゼット43は、ホール33と廊下42との間に位置している。クローゼット43には、廊下42から衣類等を出し入れするための開口部82が設けられている(
図3参照)。
【0038】
廊下42の北側には、収納スペース45及び階段部69が隣接して設けられている。収納スペース45と階段部69とは、東西方向に並んでおり、階段部69が収納スペース45の東側に設けられている。収納スペース45は、廊下42から開口部83を通じて収納物を出し入れ可能となっている(
図3参照)。
【0039】
収納スペース45の西側には、収納スペース47が設けられている。各収納スペース45,47は、東西方向において互いに離間して配置されている。収納スペース47は、ダイニング36の北側に隣接して設けられている。なお、各収納スペース45,47同士の間の空間には、後述する通路スペース66が設けられている。収納スペース47は、通路スペース66から開口部84を通じて収納物を出し入れ可能となっている(
図3参照)。
【0040】
収納スペース47の西側には、パントリー51が隣接して設けられている。パントリー51は、ダイニング36の北側に隣接している。パントリー51は、ダイニング36から出入口85を通じて出入り可能となっている(
図3参照)。
【0041】
パントリー51の西側には、食器等を収納可能な複数(具体的には2つ)の収納棚86が設けられている。各収納棚86には、キッチン37から収納物を出し入れすることが可能となっている。各収納棚86の西側には、キッチン37の一部が北方向に延出している。当該キッチン37の延出部分には、冷蔵庫87が配置されている。
【0042】
続いて、一階部分11の北寄り部分の間取りについて、
図3に基づき説明する。
図3は、一階部分11の北寄り部分を拡大して示す平面図である。なお、
図3では便宜上、各建物ユニット20の4隅に配置される柱21のみを図示している。
【0043】
キッチン37の北側には、浴室56が隣接して設けられている。浴室56には、浴槽88が設けられている。なお、浴室56は水回り空間に相当し、浴槽88は水回り設備に相当する。
【0044】
浴室56の東側には、脱衣室57が隣接して設けられている。脱衣室57は、パントリー51の北側に隣接して設けられている。この場合、脱衣室57とパントリー51とは、浴室56と脱衣室57とが並ぶ並び方向と直交する方向に隣接して設けられている。浴室56には、脱衣室57から出入口91を通じて出入り可能となっている。
【0045】
脱衣室57には、洗濯機92と、洗濯機92を設置する洗濯パン93とが設けられている。洗濯機92と洗濯パン93とは、脱衣室57において北側の外壁89の壁際に設置されている。脱衣室57に洗濯機92が設置されていることで、脱衣室57は、居住者(例えば、主婦)が洗濯を行う洗濯用スペースとして利用されるようになっている。なお、洗濯パン93は、水回り設備及び洗濯機設置部に相当する。脱衣室57は、水回り空間に相当する。また、脱衣室には洗面台が設けられているのが一般的であるところ、本実施形態では、脱衣室57に洗面台が設けられていない。
【0046】
脱衣室57には、洗濯物を干すための物干しスペース104が設けられている。物干しスペース104には、洗濯物を吊り下げ可能な物干し竿105が設けられている。
【0047】
脱衣室57の東側には通路スペース58が連続して設けられている。通路スペース58の北側には収納部94が設けられている。収納部94は、外壁89の壁際に設置され、物を収納可能な収納スペース61を有している。収納スペース61には、開口部95を通じて通路スペース58から物を出し入れ可能となっている。
【0048】
通路スペース58の東側には、通路スペース62が隣接して設けられている。通路スペース62は、南北方向に延びており、その北側において外壁89に突き当たっている。また、通路スペース62は、その南側において通路スペース58と隣接している。なお、通路スペース62が特許請求の範囲に記載の「通路スペース」に相当する。
【0049】
各通路スペース58,62の間には、出入口96が設けられている。この出入口96を通じて各通路スペース58,62の間を行き来可能となっている。出入口96には、出入口96を開閉する開き戸97が設けられている。なお、出入口96は、出入部に相当する。開き戸97は、開閉体に相当する。
【0050】
通路スペース62には、洗面台100が設けられている。洗面台100は、通路スペース62において外壁89の壁際に設置されている。この場合、通路スペース62は、洗面スペースとして利用されるようになっている。また、外壁89は東西方向に延びており、その外壁89の幅方向に並んで洗面台100と収納部94と洗濯パン93とが配置されている。なお、洗面台100は水回り設備に相当し、通路スペース62は水回り空間に相当する。
【0051】
通路スペース62の東側には、トイレ65が隣接して設けられている。トイレ65には便器98が設置されている。トイレ65は、階段部69の西側に隣接して配置されている。トイレ65には、出入口99を通じて通路スペース62から出入り可能となっている。なお、便器98は水回り設備に相当し、トイレ65は水回り空間に相当する。
【0052】
通路スペース62の南側には、通路スペース66が隣接して設けられている。通路スペース66は、ダイニング36の北側に連続して設けられている。各通路スペース62,66同士は出入口101を通じて行き来が可能となっている。出入口101には、開き戸102が設けられている。
【0053】
つまり、各通路スペース58,62,66は、全体として平面視L字状をなし、ダイニングキッチン35と脱衣室57とを連絡する1つの通路を形成している。このため、ダイニングキッチン35から脱衣室57には、各通路スペース58,62,66を通じて行き来することが可能となっている。また、通路スペース62(洗面スペース)には、リビング38から脱衣室57を経由せずに行き来することが可能となっている。
【0054】
続いて、一階部分11の各空間を形成する建物ユニット20等について、
図1~
図3を参照しつつ説明する。
【0055】
図1及び
図2に示すように、玄関31と玄関ポーチ32とリビング38と仕事室41とは、ユニット群13に設けられている。ユニット群13を構成する2つの建物ユニット20のうち、東側のものを建物ユニット20Aとし、西側のものを建物ユニット20Bとする。玄関31と、玄関ポーチ32と、仕事室41とは、建物ユニット20Aに設けられている。リビング38は、建物ユニット20Bに設けられている。
【0056】
ダイニングキッチン35と、廊下42と、クローゼット43とは、離し置き領域15に設けられている。
【0057】
図1~
図3に示すように、各収納スペース45,47,61と、階段部69と、パントリー51と、キッチン37の北方向に延出した部分と、浴室56と、脱衣室57と、各通路スペース58,62,66と、トイレ65とは、ユニット群14に設けられている。ユニット群14を構成する2つの建物ユニット20のうち、東側のものを建物ユニット20Cとし、西側のものを建物ユニット20Dとする。階段部69と、トイレ65と、各収納スペース45,47と、各通路スペース62,66とは、建物ユニット20Cに設けられている。パントリー51と、キッチン37の北方向に延出した部分と、浴室56と、脱衣室57とは、建物ユニット20Dに設けられている。通路スペース58と収納スペース61とは、各建物ユニット20C,20Dの境界部であるユニット境界部107(以下、単に「ユニット境界部107」という)を跨いで設けられている。なお、各建物ユニット20C,20Dは、水回りユニットに相当する。パントリー51は、小スペースに相当する。
【0058】
建物ユニット20Dにおいて、浴室56及び脱衣室57は、各建物ユニット20C,20Dの並ぶ並び方向に隣接して設けられている。脱衣室57は、浴室56よりもユニット境界部107寄りに設置されている。また、洗濯パン93と洗面台100とは、ユニット境界部107を挟んで互いに離間して配置されている。洗濯パン93と洗面台100との間に収納部94が設置され、その収納部94がユニット境界部107を跨いで配置されている。
【0059】
パントリー51は、その全体が建物ユニット20D内に配置されている。パントリー51は、パントリー51の南側の側面部51aと、建物ユニット20Dの側面部108とが略面一となるように設けられている。なお、パントリー51の南側の側面部とは、パントリー51の、浴室56及び脱衣室57が並ぶ方向と直交する方向に見て脱衣室57とは反対側の側面部のことである。
【0060】
なお、一階部分11においては、浴室56や脱衣室57、トイレ65といった水回り空間が住宅10の北寄りにまとめて配置され、リビング38等の居住空間が南寄りに配置されるゾーニングがなされている。一階部分11においては、ユニット群13により水回りゾーンが形成され、ユニット群14と離し置き領域15とにより居住ゾーンが形成されている。
【0061】
以上、詳述した上記実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0062】
・上記実施形態によれば、洗濯パン93と洗面台100とが、各建物ユニット20C,20Dの境界部であるユニット境界部107を挟んで互いに離間して配置されている。この場合、洗濯パン93と洗面台100とは、いずれもユニット境界部107を跨ぐことなく配置されているため、洗濯パン93及び洗面台100をユニット工場において各建物ユニット20C,20Dにそれぞれ組み付けることができる。これにより、洗濯パン93及び洗面台100を各建物ユニット20C,20Dに設置するにあたり、施工工数の低減を図ることができる。
【0063】
・近年、コロナウイルス等の流行もあり、住宅10に訪れた訪問客が手洗い等のために洗面台100を利用することがある。ここで、洗面台100が脱衣室57に設置されている場合、脱衣室57は洗濯機92が設置された洗濯用スペースとなっていることから、洗濯を行う居住者のプライバシが損なわれるおそれがある。そこで、上記実施形態では、こうした点に鑑み、通路スペース62に洗面スペース103が設定されている。洗面スペース103には、リビング38から脱衣室57を経由しないで行き来可能となっている。このため、洗面台100を利用する訪問客から脱衣室57を見られてしまうことを抑制できるため、洗濯を行う居住者のプライバシを確保することができる。
【0064】
・上記実施形態によれば、居住者が家事を行う際には、キッチン37と、洗濯用スペースとされている脱衣室57との間を、各通路スペース58,62,66を通じて行き来することができる。また、通路スペース62には洗面台100が設けられているため、家事の際の移動途中で手洗いをすることができ、家事を行う上で好都合な構成となっている。
【0065】
・上記実施形態によれば、各通路スペース58,62の間に設けられた出入口96には、開き戸97が設けられている。通路スペース62において訪問客等が手洗いをする際に、開き戸97を閉めておくことで、脱衣室57の内部を見られてしまうことを抑制できる。これにより、通路スペース62を通じてキッチン37から脱衣室57への行き来を可能とした構成にあって、脱衣室57における居住者のプライバシを好適に確保することができる。
【0066】
・上記実施形態によれば、洗濯パン93と洗面台100との間には、物を収納可能な収納部94が設けられている。収納部94は、ユニット境界部107を跨いで設置されている。収納部94は、水回り設備のような給排水設備の設置を必要としないため、施工現場において比較的容易にユニット境界部107を跨いで設置することができる。これにより、施工工数の大幅な増大を招くことなく、洗濯パン93と洗面台100との間のスペースを有効活用することができる。
【0067】
・上記実施形態によれば、脱衣室57に物干しスペース104が形成されている。これにより、通路スペース62で手洗いをする訪問客等から洗濯物を見られることを抑制できるため、居住者のプライバシを好適に確保することができる。
【0068】
・上記実施形態によれば、パントリー51は、その全体が、建物ユニット20Dの内部に配置されている。このため、パントリー51をユニット工場において建物ユニット20Dに組み付けることができる。これにより、パントリー51を建物ユニット20Dに設置するにあたり、施工工数の低減を図ることができる。
【0069】
また、パントリー51の全体を建物ユニット20Dの内部に配置した場合、脱衣室57のスペースが圧迫されることが懸念される。しかしながら、上記実施形態によれば、洗面台100が建物ユニット20Dとは別の建物ユニット20Cに配置されているため、脱衣室57のスペースを十分に確保することができる。
【0070】
また、パントリー51の全体が建物ユニット20Dの内部に配置されていることで、離し置き領域15のスペースが、パントリー51により圧迫されるのを抑制することができる。このため、離し置き領域15に設けられ、且つパントリー51と隣接して配置されたダイニングキッチン35のスペースを、より広く確保することができる。
【0071】
・上記実施形態によれば、パントリー51は、パントリー51の南側の側面部51aと、建物ユニット20Dの側面部108とが略面一となるように設けられている。これにより、パントリー51をユニット工場において建物ユニット20Dに組み付ける際に、パントリー51の位置合わせを容易に行うことができる。
【0072】
本発明は、上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0073】
(1)上記実施形態では、洗面台100は、通路スペース62に設けられているが、これに限定されない。例えば、間仕切壁等で区画された専用の洗面室を設けるようにしてもよい。また、脱衣室は、1つの水回りユニットに全体が配置されている必要はなく、ユニット境界部を跨いで設けられていてもよい。その場合、洗面台は、当該脱衣室において、洗濯機設置部とユニット境界部を挟んで反対側に位置するように設けてもよい。つまり、洗面台は、脱衣室とは別の水回り空間に設けられている必要はなく、脱衣室に設けられることも想定される。
【0074】
(2)キッチンから脱衣室へと行き来可能とする通路スペースの配置は、上記実施形態のものに限定されない。また、キッチン37と脱衣室57との行き来を可能とする通路スペースは、必ずしも建物ユニット20Cを経由しなくてもよい。例えば、上記実施形態において、パントリー51に代えて、ダイニングキッチン35から北方向に延びる通路スペースを設け、当該通路スペースと脱衣室57との間に両空間の出入りを可能とする出入口を設けるようにしてもよい。
【0075】
(3)上記実施形態では、物干しスペース104を脱衣室57に設けたが、これに限定されない。例えば、通路スペース62に設けてもよい。その場合、洗濯物がダイニング36側から訪問客等に見られてしまうことを防止するため、開き戸102を閉状態とするとよい。なお、物干しスペースは、必須の構成ではない。
【0076】
(4)上記実施形態では、各ユニット群13,14は、いずれも2つの建物ユニットにより構成したが、各ユニット群13,14を3つ以上の建物ユニットにより構成してもよい。
【0077】
(5)上記実施形態では、各建物ユニット20C,20Dは、桁方向に並べて配置されていたが、これに限定されない。例えば、隣接する各水回りユニットは、妻方向(平面視における短手方向)に並べてもよいし、一方の妻面と他方の桁面とを向かい合わせて並べてもよい。
【0078】
(6)上記実施形態によれば、開閉体は開き戸となっているが、開閉体を閉めておくことで通路スペース62側から脱衣室57を見えなくすることが可能であれば、これに限定されない。例えば、開閉体は、引き戸であってもよいし、カーテンであってもよい。
【0079】
(7)上記実施形態では、ユニット式住宅の一階部分に本発明を適用したが、二階部分に適用してもよい。
【符号の説明】
【0080】
10…住宅、20…建物ユニット、20C,20D…水回りユニットとしての建物ユニット、37…キッチン、38…リビング、51…小スペースとしてのパントリー、56…水回り空間としての浴室、57…水回り空間としての脱衣室、62…通路スペース、65…水回り空間としてのトイレ、88…水回り設備としての浴槽、92…洗濯機、93…洗濯機設置部としての洗濯パン、94…収納部、96…出入部としての出入口、97…開閉体としての開き戸、98…水回り設備としての便器、100…洗面台、103…水回り空間としての洗面スペース、107…ユニット境界部。