(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】車両運行管理装置、車両運行管理システム、車両運行管理方法および車両運行管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/127 20060101AFI20250408BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20250408BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20250408BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20250408BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20250408BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20250408BHJP
【FI】
G08G1/127 B
G08G1/00 D
G01C21/34
G06Q50/40
G16Y40/60
G16Y10/40
(21)【出願番号】P 2022084778
(22)【出願日】2022-05-24
【審査請求日】2024-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】河合 克哉
(72)【発明者】
【氏名】小島 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】森本 恭平
(72)【発明者】
【氏名】村山 修
(72)【発明者】
【氏名】岡田 友司
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-095354(JP,A)
【文献】特開2021-060894(JP,A)
【文献】特開2021-018578(JP,A)
【文献】特開2001-023089(JP,A)
【文献】特開2002-042299(JP,A)
【文献】特開2001-229495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
G01C 21/00 - 21/36
G06Q 50/00 - 50/60
G16Y 40/60
G16Y 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の停留所を含む運行経路を含む車両の運行計画を予め記憶する記憶部と、
前記車両の利用者の移動需要を取得する移動需要取得部と、
前記移動需要についての前記停留所の特性である停留所特性を取得する停留所特性取得部と、
前記移動需要および前記停留所特性に基づいて、前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を決定する経由停留所決定部と、
を備え
、
前記経由停留所決定部は、停車しない前記停留所を決定した場合、停車しない前記停留所を経由しない運行経路を選択し、前記運行計画について、停車しない前記停留所、および停車しない前記停留所より後の前記停留所における到着時刻および出発時刻を更新する、
ことを特徴とする車両運行管理装置。
【請求項2】
複数の停留所を含む運行経路を含む車両の運行計画を予め記憶する記憶部と、
前記車両の利用者の移動需要を取得する移動需要取得部と、
前記移動需要についての前記停留所の特性である停留所特性を取得する停留所特性取得部と、
前記移動需要および前記停留所特性に基づいて、前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を決定する経由停留所決定部と、
を備え、
前記経由停留所決定部は、前記車両の運行状況に基づいて、前記車両を停車させない前記停留所を決定するタイミングを判定する、
ことを特徴とす
る車両運行管理装置。
【請求項3】
前記停留所特性は、前記停留所で見込まれる前記移動需要を予測した予測移動需要量である、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の車両運行管理装置。
【請求項4】
前記停留所特性は、前記停留所で乗車する前記利用者の優先度を示す情報である、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の車両運行管理装置。
【請求項5】
前記利用者の優先度を示す情報は、高齢者、妊婦、および重要顧客の少なくともいずれか1つの優先度がその他の前記利用者より高く設定される、
ことを特徴とする請求項
4に記載の車両運行管理装置。
【請求項6】
前記停留所特性は、前記停留所で乗車する前記利用者に対して代替できる移動手段があるか否かを示す情報である、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の車両運行管理装置。
【請求項7】
前記経由停留所決定部は、前記停留所特性に基づいて、各停留所の優先度を示す経由優先度を決定し、前記移動需要および前記経由優先度に基づいて、前記経由優先度に対応する前記停留所に前記車両を停車させるか否かを決定する、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の車両運行管理装置。
【請求項8】
前記経由停留所決定部は、さらに前記車両の運行状況を用いて、前記車両を停車させない前記停留所を決定する、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の車両運行管理装置。
【請求項9】
前記経由停留所決定部は、
前記移動需要および前記停留所特性を取得するデータ取得部と、
前記移動需要および前記停留所特性から、前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を推論するための学習済モデルを用いて、前記データ取得部で取得された前記移動需要および前記停留所特性から前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を示す情報を出力する推論部と、
を有することを特徴とする請求項1
または2に記載の車両運行管理装置。
【請求項10】
前記移動需要取得部は、前記移動需要を、前記車両運行管理装置の外部から、または前記記憶部から取得する、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の車両運行管理装置。
【請求項11】
前記停留所特性取得部は、前記停留所特性を、前記車両運行管理装置の外部から、または前記記憶部から取得する、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の車両運行管理装置。
【請求項12】
前記移動需要は、前記車両での輸送可能人数から輸送人数を差し引いた空き人数を含み、
前記経由停留所決定部は、前記空き人数がない場合は前記車両を前記停留所に停車させないことを決定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両運行管理装置。
【請求項13】
前記停留所特性は、前記停留所の周辺で開催されるイベントについてのイベント情報である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両運行管理装置。
【請求項14】
前記経由停留所決定部は、前記イベント情報に基づいて、前記イベントが開催されていないときは前記車両を前記イベント情報である前記停留所特性に対応する前記停留所に停車させないことを決定する、
ことを特徴とする請求項13に記載の車両運行管理装置。
【請求項15】
前記経由停留所決定部は、前記イベント情報に基づいて、前記イベントが開催されているときは前記車両を前記イベント情報である前記停留所特性に対応する前記停留所に停車させることを決定する、
ことを特徴とする請求項13に記載の車両運行管理装置。
【請求項16】
前記運行計画には、前記停留所を経由せずショートカットできる場合の代替の運行経路の候補が予め登録されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両運行管理装置。
【請求項17】
前記運行計画では、前記停留所を経由せずショートカットできる場合の代替の運行経路の候補として、走行可能な道路ネットワークから最適な運行経路が都度探索される、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両運行管理装置。
【請求項18】
前記経由停留所決定部は、前記車両を前記停留所に停車させるか否かの決定について、前記停留所の1つ前の停留所を前記車両が出発または通過した後に行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両運行管理装置。
【請求項19】
車両の利用者の移動需要を提供する需要収集端末と、
複数の停留所を含む運行経路を含む車両の運行計画を予め記憶し、前記移動需要および前記停留所特性に基づいて、前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を決定し、前記車両を停車させない前記停留所がある場合は前記運行計画を更新する請求項1
または2に記載の車両運行管理装置と、
前記車両に搭載され、前記車両運行管理装置から、更新されていない場合は記憶されていた前記運行計画を取得し、更新されている場合は更新後の前記運行計画を取得する車両制御端末と、
を備えることを特徴とする車両運行管理システム。
【請求項20】
複数の停留所を含む運行経路を含む車両の運行計画を予め記憶する記憶ステップと、
前記車両の利用者の移動需要を取得する移動需要取得ステップと、
前記移動需要についての前記停留所の特性である停留所特性を取得する停留所特性取得ステップと、
前記移動需要および前記停留所特性に基づいて、前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を決定する経由停留所決定ステップと、
を含
み、
前記経由停留所決定ステップにおいて、停車しない前記停留所を決定した場合、停車しない前記停留所を経由しない運行経路を選択し、前記運行計画について、停車しない前記停留所、および停車しない前記停留所より後の前記停留所における到着時刻および出発時刻を更新する、
ことを特徴とする車両運行管理方法。
【請求項21】
複数の停留所を含む運行経路を含む車両の運行計画を予め記憶する記憶ステップと、
前記車両の利用者の移動需要を取得する移動需要取得ステップと、
前記移動需要についての前記停留所の特性である停留所特性を取得する停留所特性取得ステップと、
前記移動需要および前記停留所特性に基づいて、前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を決定する経由停留所決定ステップと、
を含み、
前記経由停留所決定ステップにおいて、前記車両の運行状況に基づいて、前記車両を停車させない前記停留所を決定するタイミングを判定する、
ことを特徴とす
る車両運行管理方法。
【請求項22】
前記停留所特性は、前記停留所で見込まれる前記移動需要を予測した予測移動需要量である、
ことを特徴とする請求項
20または21に記載の車両運行管理方法。
【請求項23】
前記停留所特性は、前記停留所で乗車する前記利用者の優先度を示す情報である、
ことを特徴とする請求項
20または21に記載の車両運行管理方法。
【請求項24】
前記利用者の優先度を示す情報は、高齢者、妊婦、および重要顧客の少なくともいずれか1つの優先度がその他の前記利用者より高く設定される、
ことを特徴とする請求項
23に記載の車両運行管理方法。
【請求項25】
前記停留所特性は、前記停留所で乗車する前記利用者に対して代替できる移動手段があるか否かを示す情報である、
ことを特徴とする請求項
20または21に記載の車両運行管理方法。
【請求項26】
前記経由停留所決定ステップにおいて、前記停留所特性に基づいて、各停留所の優先度を示す経由優先度を決定し、前記移動需要および前記経由優先度に基づいて、前記経由優先度に対応する前記停留所に前記車両を停車させるか否かを決定する、
ことを特徴とする請求項
20または21に記載の車両運行管理方法。
【請求項27】
前記経由停留所決定ステップにおいて、さらに前記車両の運行状況を用いて、前記車両を停車させない前記停留所を決定する、
ことを特徴とする請求項
20または21に記載の車両運行管理方法。
【請求項28】
前記経由停留所決定ステップは、
前記移動需要および前記停留所特性を取得するデータ取得ステップと、
前記移動需要および前記停留所特性から、前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を推論するための学習済モデルを用いて、前記データ取得ステップで取得された前記移動需要および前記停留所特性から前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を示す情報を出力する推論ステップと、
を含むことを特徴とする請求項
20または21に記載の車両運行管理方法。
【請求項29】
前記移動需要取得ステップにおいて、前記移動需要を、車両運行管理装置の外部から、または前記車両運行管理装置が備える記憶部から取得する、
ことを特徴とする請求項
20または21に記載の車両運行管理方法。
【請求項30】
前記停留所特性取得ステップにおいて、前記停留所特性を、車両運行管理装置の外部から、または前記車両運行管理装置が備える記憶部から取得する、
ことを特徴とする請求項
20または21に記載の車両運行管理方法。
【請求項31】
複数の停留所を含む運行経路を含む車両の運行計画を予め記憶する記憶ステップと、
前記車両の利用者の移動需要を取得する移動需要取得ステップと、
前記移動需要についての前記停留所の特性である停留所特性を取得する停留所特性取得ステップと、
前記移動需要および前記停留所特性に基づいて、前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を決定する経由停留所決定ステップと、
をコンピュータに実施させ
、
前記経由停留所決定ステップにおいて、停車しない前記停留所を決定した場合、停車しない前記停留所を経由しない運行経路を選択し、前記運行計画について、停車しない前記停留所、および停車しない前記停留所より後の前記停留所における到着時刻および出発時刻を更新する、
ことを特徴とする車両運行管理プログラム。
【請求項32】
複数の停留所を含む運行経路を含む車両の運行計画を予め記憶する記憶ステップと、
前記車両の利用者の移動需要を取得する移動需要取得ステップと、
前記移動需要についての前記停留所の特性である停留所特性を取得する停留所特性取得ステップと、
前記移動需要および前記停留所特性に基づいて、前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を決定する経由停留所決定ステップと、
をコンピュータに実施させ、
前記経由停留所決定ステップにおいて、前記車両の運行状況に基づいて、前記車両を停車させない前記停留所を決定するタイミングを判定する、
ことを特徴とする車両運行管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の運行を管理する車両運行管理装置、車両運行管理システム、車両運行管理方法および車両運行管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バスは、予め決められた運行経路を走行し、予め決められた停留所で停車し、利用者の乗降を行っている。バスの運転手は、降車する利用者が無く、停留所に利用者が居ない場合、当該停留所を通過することがある。また、バスは、一般道を走行することから、渋滞などによって遅延することがある。そのため、バスに乗車しようとする利用者は、バスが停留所に停車するように、また、出発時刻は過ぎていてもバスが遅延している場合を想定して、停留所で待ち続けなければならない。
【0003】
このような問題に対して、特許文献1には、利用者がバスの乗車予約を行う技術が開示されている。利用者は、バスの乗車予約を行うことで、バスの到着を停留所で待ち続ける必要が無くなる。また、バスの運転手は、降車する利用者が無く、かつバスの乗車予約が無い場合、当該停留所にバスを停車させることなく通過させることができるので、バスの無駄な停車時間の発生を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、停留所で乗降する利用者の数は各停留所で同じではなく、駅、病院、商業施設などの施設が周辺に存在する停留所では、多くの利用者の需要が見込まれる。また、このような停留所では、バスの出発時刻を認識していない利用者が、本来のバスの出発時刻ぎりぎりに停留所に到着することも想定される。しかしながら、上記従来の技術によれば、バスの運転手は、降車する利用者が無く、かつバスの乗車予約が無い停留所について、一律にバスを停車させることなく通過させてしまう。そのため、バスの運転手は、前述の条件に合致しているときは、利用者の需要が見込まれる停留所であってもバスを停車させることなく通過させてしまうので、利用者の需要に対応できない場合がある、という問題があった。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者の需要に対応した車両の運行の精度を向上させつつ、車両の走行時間を短縮可能な車両運行管理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の車両運行管理装置は、複数の停留所を含む運行経路を含む車両の運行計画を予め記憶する記憶部と、車両の利用者の移動需要を取得する移動需要取得部と、移動需要についての停留所の特性である停留所特性を取得する停留所特性取得部と、移動需要および停留所特性に基づいて、運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両を停車させない停留所を決定する経由停留所決定部と、を備える。経由停留所決定部は、停車しない停留所を決定した場合、停車しない停留所を経由しない運行経路を選択し、運行計画について、停車しない停留所、および停車しない停留所より後の停留所における到着時刻および出発時刻を更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両運行管理装置は、利用者の需要に対応した車両の運行の精度を向上させつつ、車両の走行時間を短縮可能である、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る車両運行管理システムの構成例を示す図
【
図2】実施の形態1に係る車両運行管理装置の記憶部に記憶される移動需要の例を示す図
【
図3】実施の形態1に係る車両運行管理装置の経由停留所決定部が車両を停車させない停留所を決定して運行計画を更新した場合の更新前の運行計画の例および更新後の運行計画の例を示す図
【
図4】実施の形態1に係る車両運行管理装置の経由停留所決定部が高い経由優先度を決定する場合の停留所特性の例を示す図
【
図5】実施の形態1に係る車両運行管理装置の経由停留所決定部が低い経由優先度を決定する場合の停留所特性の例を示す図
【
図6】実施の形態1に係る車両運行管理装置の経由停留所決定部が停留所特性として予測移動需要量を使用して経由優先度を決定し、車両を停車させない停留所を決定したときの例を示す図
【
図7】実施の形態1に係る車両運行管理装置の経由停留所決定部が停留所特性として利用者優先度を使用して経由優先度を決定し、車両を停車させない停留所を決定したときの例を示す図
【
図8】実施の形態1に係る車両運行管理装置の経由停留所決定部が停留所特性として代替移動手段有無を使用して経由優先度を決定し、車両を停車させない停留所を決定したときの例を示す図
【
図9】実施の形態1に係る車両運行管理装置の経由停留所決定部が停留所特性を使用して車両を停留所に停車させるか否かを判定した場合と、停留所特性を使用しないで車両を停留所に停車させるか否かを判定した場合との比較例を示す図
【
図10】実施の形態1に係る車両運行管理装置の動作を示すフローチャート
【
図11】実施の形態1に係る車両運行管理装置を実現する処理回路をプロセッサおよびメモリで構成する場合の処理回路の構成の一例を示す図
【
図12】実施の形態1に係る車両運行管理装置を実現する処理回路を専用のハードウェアで構成する場合の処理回路の構成の一例を示す図
【
図13】実施の形態3に係る経由停留所決定部の構成例を示す図
【
図14】実施の形態3に係る学習用データの一例を示す図
【
図15】実施の形態3に係るニューラルネットワークの一例を示す模式図
【
図16】実施の形態3に係る学習装置の学習処理に関するフローチャート
【
図17】実施の形態3に係る推論装置の推論処理に関するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施の形態に係る車両運行管理装置、車両運行管理システム、車両運行管理方法および車両運行管理プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る車両運行管理システム100の構成例を示す図である。車両運行管理システム100は、車両運行管理装置10と、外部システム71と、需要収集端末72と、車両74に搭載される車両制御端末73と、を備える。車両運行管理装置10は、車両制御端末73を搭載する車両74の運行を管理する。本実施の形態において、車両運行管理装置10が管理対象とする車両74は、運行経路に含まれる予め設定された複数の停留所から利用者の需要に応じて停留所で停車するバスを想定している。車両74は、運転手が車両74を運転するものであってもよいし、運転手が車両74を運転しない自動運転車のようなものであってもよい。
【0012】
外部システム71は、車両運行管理装置10に対して、停留所の特性である停留所特性21を提供する。停留所特性21については後述する。車両運行管理装置10は、外部システム71との接続について、オンラインでもよし、オフラインでもよい。
【0013】
需要収集端末72は、車両運行管理装置10に対して、車両74の利用者の移動需要22を提供する。移動需要22については後述する。車両運行管理装置10は、需要収集端末72との通信について、インターネットなどを経由して行ってもよいし、専用のネットワークなどを経由して行ってもよい。
【0014】
車両制御端末73は、車両74に搭載されるECU(Electronic Control Unit)である。例えば、車両74が運転手によって運転されるものである場合、車両制御端末73は、運転手に対して車両運行管理装置10から取得した経由する停留所、経由しない停留所などの情報を提供し、車両74の位置情報、停留所の到着時刻および出発時刻などを車両運行管理装置10に送信する。車両74が自動運転車である場合、車両制御端末73は、車両運行管理装置10からの指示に従って車両74の運行を制御し、車両74の位置情報、停留所の到着時刻および出発時刻などを車両運行管理装置10に送信する。車両制御端末73は、車両運行管理装置10から、車両運行管理装置10で運行計画24が更新されていない場合は車両運行管理装置10に記憶されていた運行計画24を取得し、車両運行管理装置10で運行計画24が更新されている場合は車両運行管理装置10で更新後の運行計画24を取得する。車両運行管理装置10は、車両制御端末73との通信について、インターネットなどを経由して行ってもよいし、専用のネットワークなどを経由して行ってもよい。
【0015】
車両運行管理装置10の構成および動作について詳細に説明する。
図1に示すように、車両運行管理装置10は、記憶部20と、停留所特性取得部30と、移動需要取得部40と、経由停留所決定部50と、運行計画実施部60と、を備える。
【0016】
記憶部20は、停留所特性21、移動需要22、運行状況23、および運行計画24を記憶する。
【0017】
停留所特性21は、運行計画24において車両74が停車する可能性のある停留所についての停留所ごとに固有の特性である。停留所特性21は、同じ停留所であっても、曜日によって異なっていてもよいし、時間帯によって異なっていてもよいし、季節によって異なっていてもよい。停留所特性21は、停留所特性取得部30が車両運行管理装置10の外部の外部システム71から取得して記憶部20に動的に記憶させたものでもよいし、過去の車両74の運行において大きな変動が無い場合は車両運行管理装置10の記憶部20に静的に予め記憶すなわち保持されていたものでもよい。停留所特性21としては様々なものが考えられるが、例えば、予測移動需要量、利用者優先度、代替移動手段有無などがある。
【0018】
予測移動需要量は、当該停留所で車両74に乗車する利用者がどれぐらいの規模で見込まれるかを示す情報である。予測移動需要量は、当該停留所で見込まれる移動需要22を予測したものである。予測移動需要量は、例えば、過去の運行実績、イベント予定、気象条件、周辺の交通機関の利用状況、周辺の施設の利用状況、周辺の施設の混雑状況などから算出される。
【0019】
利用者優先度は、当該停留所で車両74に乗車する利用者が優先して輸送するべき利用者か否かを示す情報である。利用者優先度は、当該停留所で車両74に乗車する利用者の優先度を示す情報である。例えば、高齢者、妊婦、重要顧客などの利用が多い停留所については優先度を高くし、会社などの従業員のみが利用する停留所であれば優先度を低くするなどのランク付けをする。
【0020】
代替移動手段有無は、当該停留所で車両74に乗車する利用者に対して、車両運行管理装置10によって運行が管理されている車両74を使わない場合に、代替できる移動手段があるかどうかを示す情報である。例えば、代替できる移動手段が無い停留所については優先度を高くし、代替できる移動手段が有る停留所については優先度を低くする。
【0021】
停留所特性21は、予測移動需要量、利用者優先度、および代替移動手段有無のうちの1つでもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0022】
移動需要22は、利用者がどの停留所で乗車し、どの停留所で降車することを希望しているかを示す情報である。移動需要22は、利用者による予約の登録、利用者による予約の変更などの操作に応じて動的に更新される。移動需要22は、例えば、停留所ごとに、当該停留所で乗車する利用者の数である乗車人数、当該停留所で降車する利用者の数である降車人数、当該停留所より上流で乗車し下流で降車する利用者の数である無用人数などの情報を集計したものである。移動需要22には、例えば、運行中の車両74における、現在運行中の地点より上流で乗車して下流で降車する利用者の数である輸送人数、車両74での輸送可能人数から輸送人数を差し引いた空き人数などの情報を集計したものを含めてもよい。
【0023】
図2は、実施の形態1に係る車両運行管理装置10の記憶部20に記憶される移動需要22の例を示す図である。例えば、移動需要22には、
図2に示すように、利用者を識別するための利用者ID(IDentifier)ごとに、車両74に乗車する予約時間、乗車停留所、および降車停留所が含まれる。なお、各停留所には、停留所ごとに固有のIDが付与されているものとする。
図2に示す移動需要22は一例であって、移動需要22には、
図2に示す情報以外の情報が含まれていてもよい。移動需要22は、移動需要取得部40が車両運行管理装置10の外部の需要収集端末72から取得して記憶部20に動的に記憶させたものでもよいし、過去の車両74の運行において大きな変動が無い場合は車両運行管理装置10の記憶部20に静的に予め記憶すなわち保持されていたものでもよい。
【0024】
運行状況23は、運行計画24上の停留所において、車両74の到着時刻、車両74の出発時刻などを示す情報である。運行状況23は、車両74が運行計画24の通り、すなわち定刻通りに運行されているのか、または遅延しているのかを示す情報ともいえる。
【0025】
運行計画24は、車両74が運行経路上の各停留所にいつ到着し、いつ出発するかを示す情報である。運行計画24には、予め複数の停留所を含む運行経路が含まれる。本実施の形態では、後述する経由停留所決定部50の動作によって、記憶部20に記憶される車両74の運行計画24が車両74の運行中に動的に更新される場合がある。
【0026】
停留所特性取得部30は、移動需要22についての停留所の特性である停留所特性21を取得する。停留所特性取得部30は、例えば、外部システム71から取得した停留所特性21を、記憶部20に記憶させるとともに経由停留所決定部50に出力する。または、停留所特性取得部30は、記憶部20に予め記憶されていた停留所特性21を記憶部20から取得し、経由停留所決定部50に出力する。すなわち、停留所特性取得部30は、停留所特性21を、車両運行管理装置10の外部から、または記憶部20から取得する。ここで、停留所特性取得部30が取得する停留所特性21については、様々なバリエーションが考えられる。この場合、停留所特性取得部30は、停留所特性21によって、様々な外部システム71から停留所特性21を取得することになる。
【0027】
例えば、停留所特性21が過去の運行実績の場合、停留所特性取得部30は、外部システム71として、当該運行システムの運行実績を保管しているデータサーバから停留所特性21を取得する。停留所特性取得部30は、停留所特性21が利用者優先度の場合にも、外部システム71として、当該運行システムの運行実績を保管しているデータサーバから停留所特性21を取得することができる。また、停留所特性21がコンサート、スポーツの試合などのイベント予定の場合、停留所特性取得部30は、外部システム71として、当該エリアのイベント情報を管理するサーバから停留所特性21を取得する。また、停留所特性21が気象条件の場合、停留所特性取得部30は、外部システム71として、気象予報システムから停留所特性21を取得する。また、停留所特性21が停留所周辺の交通機関の利用状況、混雑状況などの場合、停留所特性取得部30は、外部システム71として、停留所周辺の交通機関の運行管理システムから停留所特性21を取得する。また、停留所特性21が停留所周辺の施設の利用状況、混雑状況などの場合、停留所特性取得部30は、外部システム71として、停留所周辺の施設のビル管理システムから停留所特性21を取得する。また、停留所特性21が代替移動手段有無の場合、停留所特性取得部30は、外部システム71として、案内マップ、他の交通機関の路線図、他の交通機関の時刻表情報などを管理するシステムから停留所特性21を取得する。
【0028】
移動需要取得部40は、車両74の利用者の移動需要22を取得する。移動需要取得部40は、例えば、需要収集端末72から取得した移動需要22を、記憶部20に記憶させるとともに経由停留所決定部50に出力する。すなわち、移動需要取得部40は、移動需要22を、車両運行管理装置10の外部から、または記憶部20から取得する。ここで、需要収集端末72については、停留所に設置された予約端末、券売機などであってもよいし、利用者が携帯可能な携帯端末であってもよい。携帯端末は、専用のものであってもよいし、スマートフォンに車両運行管理システム100に対応したアプリケーションがインストールされたものであってもよい。また、需要収集端末72は、利用者からの電話予約を受け付けるオペレータが予約の登録、変更などの操作を行う端末であってもよい。需要収集端末72は、宿泊施設、商業施設などに設置されていてもよい。
【0029】
運行計画実施部60は、記憶部20に記憶されている運行計画24に基づいて、車両74に搭載されている車両制御端末73に指示を行い、車両74の運行を制御する。また、運行計画実施部60は、車両制御端末73から、車両74の停留所の到着時刻、車両74の停留所からの出発時刻、車両74の位置情報などを取得し、取得した情報と運行計画24とを比較して、車両74が運行計画24の通りに運行しているか、または遅延しているかを判定し、記憶部20に記憶されている運行状況23を更新する。
【0030】
経由停留所決定部50は、移動需要22および停留所特性21に基づいて、運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を決定する。ここで、本実施の形態において、経由停留所決定部50は、停車しない停留所を決定した場合、停車しない停留所を経由しない運行経路を選択することができる。この場合、経由停留所決定部50は、運行計画24について、停車しない停留所、および停車しない停留所より後の停留所における到着時刻および出発時刻を更新する。
【0031】
図3は、実施の形態1に係る車両運行管理装置10の経由停留所決定部50が車両74を停車させない停留所を決定して運行計画24を更新した場合の更新前の運行計画24の例および更新後の運行計画24の例を示す図である。
図3は、経由停留所決定部50が、車両74を停留所[2]に停車させないことを決定した場合の例を示しており、上段が更新前の運行計画24の例を示し、下段が更新後の運行計画24の例を示している。なお、上段において左側の表および右側のグラフは同じ内容を表しており、下段において左側の表および右側のグラフは同じ内容を表している。下段の右側のグラフにおいて、点線は更新前を表し、破線は更新後を表している。経由停留所決定部50は、例えば、車両74が停留所[1]から停留所[2]の前を通ることなくショートカットして停留所[3]に走行することができる場合、停留所[2]の前を通らない、すなわち停留所[2]を経由しない運行経路を選択する。なお、運行計画24には、いずれかの停留所を経由せずにショートカットできる場合の代替の運行経路の候補が、予め登録されているものとしてもよいし、走行可能な道路ネットワークから最適な運行経路を都度探索することとしてもよい。経由停留所決定部50は、
図3の例では、車両74を停留所[2]に停車させず、停留所[2]を経由しない運行経路を選択することで、車両74が停留所[3]に早く到着できるので、車両74の停留所[3]での到着時刻および出発時刻を早くする。
【0032】
ここで、経由停留所決定部50が車両74を停車させない停留所を決定するときに対象となる停留所は、移動需要22において利用者の乗車および降車の両方の需要がない停留所に限られる。経由停留所決定部50は、移動需要22において乗車および降車のうち少なくとも1つの需要がある停留所については、車両74を停車させない停留所の決定の対象にしない。経由停留所決定部50は、これに限らず、例えば、移動需要22において乗車の需要がある停留所の場合であっても、車両74が満車である場合には、車両74を停車させない停留所の決定の対象としてもよい。
【0033】
経由停留所決定部50は、車両74の運行状況23に基づいて、車両74を停車させない停留所を決定するタイミングを判定する。ここで、経由停留所決定部50は、車両74を停車させない停留所を決定するタイミングについて、タイミングが早いほど車両74を停留所[2]に停車させない場合に大きくショートカットして走行時間を短縮できるが、タイミングが早すぎるとその後に発生した移動需要22に対応できなくなる。そのため、経由停留所決定部50は、車両74を停留所[2]に停車させるか否かの決定について、停留所[2]の1つ前の停留所[1]を車両74が出発または通過した後に行う。
【0034】
経由停留所決定部50が車両74を停車させない停留所を決定する方法については様々な方法が考えられるが、例えば、経由停留所決定部50が、停留所ごとに固有の優先度に応じて、車両74を停車させない停留所を決定する方法がある。経由停留所決定部50は、停留所特性21に基づいて、各停留所の優先度を示す経由優先度を決定する。経由停留所決定部50は、移動需要22および経由優先度に基づいて、経由優先度に対応する停留所に車両74を停車させるか否かを決定する。
【0035】
図4は、実施の形態1に係る車両運行管理装置10の経由停留所決定部50が高い経由優先度を決定する場合の停留所特性21の例を示す図である。
図5は、実施の形態1に係る車両運行管理装置10の経由停留所決定部50が低い経由優先度を決定する場合の停留所特性21の例を示す図である。
図4および
図5は、いずれも停留所[2]を例にしている。経由停留所決定部50は、輸送を優先すべき移動需要22の発生が多く見込まれるような停留所特性21を持つ停留所を優先するように経由優先度を決定する。経由停留所決定部50は、例えば、予測移動需要量で1時間あたりの利用者の数と規定された閾値との比較によって経由優先度を決定することができる。また、経由停留所決定部50は、例えば、停留所の周辺に病院などがあって高齢者などの需要が見込まれる場合には経由優先度を高くし、その他の場合に経由優先度を低くする。また、経由停留所決定部50は、例えば、代替できる移動手段が無い停留所の経由優先度を高くし、代替できる移動手段が有る停留所の経由優先度を低くする。
【0036】
経由停留所決定部50は、予測移動需要量、利用者優先度、および代替移動手段有無のうち、いずれか1つのみを使用して経由優先度を決定してもよいし、これらの組み合わせによって経由優先度を決定してもよい。経由停留所決定部50は、予測移動需要量、利用者優先度、および代替移動手段有無の全部を使用して経由優先度を決定する場合、項目ごとに重み付けをして経由優先度を決定してもよい。なお、本実施の形態では、経由停留所決定部50は、停留所の経由優先度について、高い経由優先度または低い経由優先度のいずれかにしていたが、これに限定されない。経由停留所決定部50は、停留所の経由優先度について、3段階以上にすることも可能である。以降では、停留所の経由優先度が高い経由優先度および低い経由優先度の2段階の場合の例について説明する。
【0037】
経由停留所決定部50は、経由優先度が高い停留所では経由判定閾値を高く設定する。経由停留所決定部50は、経由優先度と移動需要22とを参照し、経由優先度が高い停留所に車両74を停車させて経由するように、経由有無を判定する。例えば、経由停留所決定部50は、当該停留所より上流で乗車して下流で降車する利用者の数を無用人数として集計し、「無用人数<経由判定閾値が成り立てば経由し、成り立たなければ経由しない」などと判定する。
【0038】
図6は、実施の形態1に係る車両運行管理装置10の経由停留所決定部50が停留所特性21として予測移動需要量を使用して経由優先度を決定し、車両74を停車させない停留所を決定したときの例を示す図である。経由停留所決定部50は、予測移動需要量において、1時間当たりの利用者の数が36人のときは高い優先度とし、1時間当たりの利用者の数が12人のときは低い優先度とする。また、経由停留所決定部50は、1時間当たりの利用者の数から経由判定閾値を算出する。
図6の例では、定数1=1/12とし、定数2=-1として
図6に示す式によって経由判定閾値を算出しているが、これは車両74の最大乗車可能人数などを考慮したものであり、定数1および定数2の例はこれらに限定されない。経由停留所決定部50は、高い経由優先度のときは経由判定閾値=2を算出し、低い経由優先度のときは経由判定閾値=0を算出する。
【0039】
経由停留所決定部50は、経由優先度が高く、無用人数が1人の場合、移動需要22が発生する見込みが高く、車両74において空きもあるため車両74を停留所[2]に停車させると決定し、車両74を停留所[2]に経由させる。また、経由停留所決定部50は、経由優先度が高く、無用人数が2人の場合、移動需要22が発生する見込みが高いが、車両74において空きがないため車両74を停留所[2]に停車させないと決定し、車両74を停留所[2]に経由させない。また、経由停留所決定部50は、経由優先度が低く、無用人数が1人の場合、移動需要22が発生する見込みが低いため、車両74を停留所[2]に停車させないと決定し、車両74を停留所[2]に経由させない。また、経由停留所決定部50は、経由優先度が低く、無用人数が2人の場合、車両74において空きもなく、移動需要22が発生する見込みが低いため、車両74を停留所[2]に停車させないと決定し、車両74を停留所[2]に経由させない。
【0040】
図7は、実施の形態1に係る車両運行管理装置10の経由停留所決定部50が停留所特性21として利用者優先度を使用して経由優先度を決定し、車両74を停車させない停留所を決定したときの例を示す図である。経由停留所決定部50は、利用者優先度に基づいて、経由判定閾値を算出する。経由停留所決定部50は、高い経由優先度のときは経由判定閾値=2を算出し、低い経由優先度のときは経由判定閾値=0を算出する。
【0041】
経由停留所決定部50は、経由優先度が高く、無用人数が1人の場合、優先度が高い移動需要22が発生しそうで、車両74において空きもあるため車両74を停留所[2]に停車させると決定し、車両74を停留所[2]に経由させる。また、経由停留所決定部50は、経由優先度が高く、無用人数が2人の場合、優先度が高い移動需要22が発生しそうだが、車両74において空きがないため車両74を停留所[2]に停車させないと決定し、車両74を停留所[2]に経由させない。また、経由停留所決定部50は、経由優先度が低く、無用人数が1人の場合、優先度が低く直前に発生する移動需要22のためには、車両74を停留所[2]に停車させないと決定し、車両74を停留所[2]に経由させない。また、経由停留所決定部50は、経由優先度が低く、無用人数が2人の場合、車両74において空きもなく、優先度が低く直前に発生する移動需要22のためには、車両74を停留所[2]に停車させないと決定し、車両74を停留所[2]に経由させない。
【0042】
図8は、実施の形態1に係る車両運行管理装置10の経由停留所決定部50が停留所特性21として代替移動手段有無を使用して経由優先度を決定し、車両74を停車させない停留所を決定したときの例を示す図である。経由停留所決定部50は、代替移動手段有無に基づいて、経由判定閾値を算出する。経由停留所決定部50は、代替移動手段が無いときは経由判定閾値=2を算出し、代替移動手段が有るときは経由判定閾値=0を算出する。
【0043】
経由停留所決定部50は、経由優先度が高く、無用人数が1人の場合、代替移動手段が無い状況で移動需要22が発生しそうで、車両74において空きもあるため車両74を停留所[2]に停車させると決定し、車両74を停留所[2]に経由させる。また、経由停留所決定部50は、経由優先度が高く、無用人数が2人の場合、代替移動手段が無い状況で移動需要22が発生しそうだが、車両74において空きがないため車両74を停留所[2]に停車させないと決定し、車両74を停留所[2]に経由させない。また、経由停留所決定部50は、経由優先度が低く、無用人数が1人の場合、代替移動手段が有る状況で直前に発生する移動需要22のためには、車両74を停留所[2]に停車させないと決定し、車両74を停留所[2]に経由させない。また、経由停留所決定部50は、経由優先度が低く、無用人数が2人の場合、車両74において空きもなく、代替移動手段が有る状況で直前に発生する移動需要22のためには、車両74を停留所[2]に停車させないと決定し、車両74を停留所[2]に経由させない。
【0044】
図9は、実施の形態1に係る車両運行管理装置10の経由停留所決定部50が停留所特性21を使用して車両74を停留所に停車させるか否かを判定した場合と、停留所特性21を使用しないで車両74を停留所に停車させるか否かを判定した場合との比較例を示す図である。経由停留所決定部50は、仮に停留所特性21を使用せず、降車人数によって車両74を停留所[2]に停車させるか否かを判定した場合、経由優先度が高く無用人数が1人のとき、車両74を停留所[2]に停車させないと決定し、車両74を停留所[2]に経由させない。このため、車両74は、優先度の高い移動需要22に対応できない場合がある。また、経由停留所決定部50は、仮に停留所特性21を使用せず、空き人数によって車両74を停留所[2]に停車させるか否かを判定した場合、経由優先度が低く無用人数が1人のとき、車両74を停留所[2]に停車させると決定し、車両74を停留所[2]に経由させる。このため、車両74は、優先度の低い停留所[2]への不要な経由が発生する場合がある。
【0045】
これに対して、本実施の形態では、経由停留所決定部50は、停留所特性21を使用して車両74を停留所に停車させるか否かを判定する。これにより、車両運行管理装置10は、利用者の需要に対応した車両74の運行の精度を向上させつつ、車両74の走行時間を短縮可能である。ここで、
図6から
図9で示した例は、停留所[2]の設置位置が停留所[1]から停留所[3]を直接結ぶ道路から迂回した位置になるので、走行時間を短縮できる効果が分かりやすくなっているが、停留所[1]から停留所[3]までが一本道のような運行経路であった場合でも、車両運行管理装置10は、同様の効果を得ることができる。
【0046】
例えば、経由停留所決定部50が車両74を停車させない停留所を決定した場合、車両74は、当該停留所に停車するために必要な車線変更および減速、発車するための加速などが不要になる。そのため、車両運行管理装置10は、車両74の運行経路が一本道のような場合でも、車両74の走行時間を短縮する効果を得ることができる。また、車両運行管理装置10は、車両74を停留所に停車させない決定をすることで、車両74が停車するための車線変更および減速、発車するための加速などを行う回数を減らせることで、車両74における利用者の乗り心地、快適性などを向上させることができる。車両74の運行経路が一本道のような場合、経由停留所決定部50は、車両74を停車させない停留所の決定を、対象の停留所の直前に行うことも可能なため、より利用者の移動需要22に対応することができる。
【0047】
なお、経由停留所決定部50は、車両74を停留所[2]に停車させないと決定し、車両74を停留所[2]に経由させない場合、
図3に示すように、車両74の停留所[3]での到着時刻および出発時刻を早くすることになる。そのため、経由停留所決定部50は、利用者の不利益が考えられる場合、車両74を停留所[2]に停車させないことを決定することを回避してもよい。
【0048】
例えば、車両74が1時間に1本程度の運行本数の場合、車両74の出発時刻が早くなったことによって本来乗車可能であった車両74に乗車できなかった利用者は、さらに1時間待つことになるので大きな不利益を被る。そのため、経由停留所決定部50は、運行本数の少ない路線では、車両74を停留所[2]に停車させないことを決定することを回避する。一方、車両74の運行本数が2分から3分に1本程度の場合、利用者は、本来乗車可能であった車両74に乗車できなくても次の車両74がすぐに来ることになるので、大きな不利益を被ることはない。そのため、経由停留所決定部50は、車両74の運行対象の路線に応じて、車両74を停車させない停留所を決定するか否かを判断すればよい。車両74の出発時刻が早くなる可能性のある車両74については、車両74の出発時刻が早くなる可能性があることを停留所の時刻表などに予め記載しておくことで、利用者の不利益を緩和することが可能である。
【0049】
また、経由停留所決定部50は、車両74の運行が運行計画24の通りではなく遅延している場合、経由しない停留所を決定してショートカットして走行することは車両74の遅延の回復に有効なので、車両74の運行が遅延している場合のみ、車両74を停車させない停留所を決定するような制御を行ってもよい。
【0050】
車両運行管理装置10は、上記で説明した動作について、車両74を運行する会社において運行する全ての車両74を対象にして行ってもよいし、規定された運行本数ごと、例えば、運行する車両74の運行本数の2本に1本を対象にして行ってもよい。また、車両運行管理装置10において、経由停留所決定部50は、ある車両74について、例えば、停留所[2]に停車させず、停留所[2]を経由させない決定をした場合、次に運行される車両74については停留所[2]に停車させやすい決定ができるように、一時的に停留所[2]の経由優先度などを変更するようにしてもよい。
【0051】
これまでに説明した車両運行管理装置10の動作を、フローチャートを用いて説明する。
図10は、実施の形態1に係る車両運行管理装置10の動作を示すフローチャートである。車両運行管理装置10において、移動需要取得部40は、車両74が運行されている間、需要収集端末72から移動需要22を取得する(ステップS11,S13)。具体的には、移動需要取得部40は、需要収集端末72から移動需要22を取得し、記憶部20または経由停留所決定部50に対して移動需要22の登録、変更などを行う(ステップS12)。なお、
図10の例では、停留所特性21が記憶部20に予め記憶されている場合を想定しているが、停留所特性取得部30は、移動需要取得部40が移動需要22を取得するのと同様の動作によって、外部システム71から停留所特性21を取得することができる。
【0052】
経由停留所決定部50は、車両74が運行されている間、運行計画24を更新する(ステップS21,S25)。具体的には、経由停留所決定部50は、運行状況23に基づいて、車両74を停留所[2]に停車させるか否か、すなわち車両74を停留所[2]に経由させるか否かを決定する経由決定タイミングか否かを判定する(ステップS22)。経由停留所決定部50は、前述のように、車両74を停留所[2]に停車させるか否かを決定する場合、停留所[2]の1つ前の停留所[1]を車両74が出発または通過した後に行う。経由停留所決定部50は、経由決定タイミングではない場合は待機し(ステップS22:No)、経由決定タイミングの場合(ステップS22:Yes)、停留所特性21に基づいて、停留所の経由優先度を決定する(ステップS23)。経由停留所決定部50は、移動需要22および経由優先度に基づいて、経由優先度に対応する停留所に車両74を停車させるか否か、すなわち車両74を停留所に経由させるか否かを決定する(ステップS24)。経由停留所決定部50は、経由優先度に対応する停留所に車両74を停車させない、すなわち車両74を停留所に経由させない場合、運行計画24を更新する。
【0053】
運行計画実施部60は、車両74が運行されている間、記憶部20に記憶されている運行計画24を実施して、車両74の運行を制御する(ステップS31,S34)。具体的には、運行計画実施部60は、車両74に搭載されている車両制御端末73から取得した車両74の位置情報などに基づいて、記憶部20に記憶されている運行状況23を更新する(ステップS32)。運行計画実施部60は、記憶部20に記憶されている運行計画24に基づいて、車両74の走行ルートを決定し(ステップS33)、車両74の運行を制御する。
【0054】
つづいて、実施の形態1に係る車両運行管理装置10のハードウェア構成について説明する。車両運行管理装置10において、記憶部20はメモリである。停留所特性取得部30、移動需要取得部40、経由停留所決定部50、および運行計画実施部60は、処理回路により実現される。処理回路は、プログラムを格納するメモリ、およびメモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよいし、専用のハードウェアであってもよい。処理回路は制御回路とも呼ばれる。
【0055】
図11は、実施の形態1に係る車両運行管理装置10を実現する処理回路をプロセッサ91およびメモリ92で構成する場合の処理回路90の構成の一例を示す図である。
図11に示す処理回路90は制御回路であり、プロセッサ91およびメモリ92を備える。処理回路90がプロセッサ91およびメモリ92で構成される場合、処理回路90の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ92に格納される。処理回路90では、メモリ92に記憶されたプログラムをプロセッサ91が読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、処理回路90は、車両運行管理装置10の処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ92を備える。このプログラムは、処理回路90により実現される各機能を車両運行管理装置10に実行させるためのプログラムであるともいえる。このプログラムは、プログラムが記憶された記憶媒体により提供されてもよいし、通信媒体など他の手段により提供されてもよい。
【0056】
上記プログラムは、複数の停留所を含む運行経路を含む車両74の運行計画24を予め記憶する記憶ステップと、車両74の利用者の移動需要22を取得する移動需要取得ステップと、移動需要22についての停留所の特性である停留所特性21を取得する停留所特性取得ステップと、移動需要22および停留所特性21に基づいて、運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を決定する経由停留所決定ステップと、を車両運行管理装置10に実行させるプログラムであるとも言える。
【0057】
ここで、プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などである。また、メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
【0058】
図12は、実施の形態1に係る車両運行管理装置10を実現する処理回路を専用のハードウェアで構成する場合の処理回路93の構成の一例を示す図である。
図12に示す処理回路93は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。処理回路93については、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路93は、専用のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態によれば、車両運行管理装置10は、複数の停留所を含む運行経路を含む車両74の運行計画24を予め記憶し、移動需要22および停留所特性21に基づいて、運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を決定し、車両74を停車させない停留所がある場合は運行計画24を更新する。これにより、車両運行管理装置10は、利用者の需要に対応した車両74の運行の精度を向上させつつ、車両74の走行時間を短縮可能である。車両運行管理装置10は、車両74について、停車させない停留所の前を通過させずショートカット可能な場合はショートカットさせることで、より車両74の走行時間を短縮可能である。
【0060】
実施の形態2.
実施の形態1では、車両運行管理装置10において、経由停留所決定部50は、運行状況23について、車両74を停留所に停車させるか否かを決定する際、決定するタイミングか否かの判定のために使用していたが、車両74を停留所に停車させるか否かの決定自体には使用していなかった。実施の形態2では、経由停留所決定部50が、車両74を停留所に停車させるか否かの決定において運行状況23を使用する場合について説明する。
【0061】
実施の形態2において、車両運行管理装置10を含む車両運行管理システム100の構成は、
図1に示す実施の形態1のときの車両運行管理システム100の構成と同様である。実施の形態2において、経由停留所決定部50は、移動需要22、停留所特性21、さらに車両74の運行状況23を用いて、運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を決定する。例えば、運行状況23で示される情報が、車両74が遅延しているというものであった場合、経由停留所決定部50は、車両74を停車させない停留所の決定において、車両74を停車させない停留所を多くすることで、車両74の遅延を緩和することができる。
【0062】
そのため、運行状況23で示される車両74の遅延時間が規定された閾値以上の場合、経由停留所決定部50は、例えば、算出した経由判定閾値をさらに1/2にすることで、実施の形態1のときと比較して、車両74を停車させない停留所を多くすることができる。経由停留所決定部50は、複数の閾値を用いて、遅延時間が大きいほど経由判定閾値を小さくできるようにしてもよい。
【0063】
これにより、車両運行管理装置10は、さらに、利用者の需要に対応した車両74の運行の精度を向上させつつ、車両74の走行時間を短縮可能である。
【0064】
実施の形態3.
実施の形態1および実施の形態2では、経由停留所決定部50は、ルールベースで、運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を決定する例を説明した。実施の形態3では、経由停留所決定部50は、学習済みモデルを用いて、運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を決定する場合について説明する。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0065】
本実施の形態の経由停留所決定部50は、学習装置51と推論装置55とを有する。
図13は、実施の形態3に係る経由停留所決定部50の構成例を示す図である。まず、学習装置51について説明する。学習装置51は、データ取得部52、モデル生成部53、および学習済モデル記憶部54を備える。
【0066】
データ取得部52は、移動需要22、停留所特性21、および運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を学習用データとして取得する。
【0067】
ここで、学習用データは、入力データとして移動需要22および停留所特性21と、正解データとして運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報とを互いに関連付けたデータである。なお、移動需要22において乗車および降車のうち少なくとも1つの需要がある場合は、学習用データの対象にしない。これに限らず、例えば、移動需要22において乗車の需要がある停留所の場合であっても、車両74が満車である場合には、車両74を停車させない停留所の決定の対象としてもよい。
【0068】
図14を用いて、データ取得部52が、記憶部20に記憶されている停留所[2]に関する過去の情報に基づいて学習用データを取得する例を説明する。
図14は、実施の形態3に係る学習用データの一例を示す図である。データ取得部52は、停留所[2]に関する移動需要22および停留所特性21を入力データとして取得する。
図14では、移動需要22は停留所[2]の経由決定タイミングにおける無用人数、および実際の停留所[2]における乗車人数であり、停留所特性21は停留所[2]の予測移動需要量、停留所[2]の利用者優先度、および停留所[2]の代替移動手段有無である例を示している。
【0069】
入力データである移動需要22および停留所特性21と、正解データである運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報との対応関係の一例について説明する。例えば、
図14の状況1は、停留所[2]の経由決定タイミングにおける無用人数は1人、実際の停留所[2]における乗車人数は1人、予測移動需要量は36人/時間、利用者優先度は高く、代替移動手段有無は無い場合である。状況1では、予測移動需要量が後述する状況2および状況3よりも高く、利用者優先度が状況3よりも高く、実際に停留所[2]における乗車利用客が1人発生していることから、停留所[2]に車両74を停車させることが好ましい。そこで、本実施の形態では、状況1の入力データに対応して、正解データは車両74を停留所[2]に停車させることを示す情報に設定される。すなわち、正解データである運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報に、停留所[2]は含まれない。
【0070】
また、
図14の状況2は、停留所[2]の経由決定タイミングにおける無用人数は0人、実際の停留所[2]における乗車人数は2人、予測移動需要量は12人/時間、利用者優先度は高く、代替移動手段有無は無い場合である。状況2では、予測移動需要量は状況1よりも低いが、停留所[2]の経由決定タイミングにおける無用人数は0人と車両74の定員が状況1および状況3よりも余裕があり、実際に停留所[2]における乗車利用客が2人発生していることから、停留所[2]に車両74を停車させることが好ましい。そこで、本実施の形態では、状況2の入力データに対応して、正解データは車両74を停留所[2]に停車させることを示す情報に設定される。すなわち、正解データである運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報に、停留所[2]は含まれない。
【0071】
一方、
図14の状況3は、停留所[2]の経由決定タイミングにおける無用人数は1人、実際の停留所[2]における乗車人数は0人、予測移動需要量は12人/時間、利用者優先度は低く、代替移動手段有無は有る場合である。状況3では、状況1と比較して予測移動需要量が低く、利用者優先度が低い。そして、状況3では代替移動手段が有り、実際の停留所[2]における乗車利用客は存在しない。よって、停留所[2]に車両74を停車させないことが好ましい。そこで、本実施の形態では、状況3の入力データに対応して、正解データは車両74を停留所[2]に停車させないことを示す情報に設定される。すなわち、正解データである運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報に、停留所[2]は含まれる。入力データである移動需要22および停留所特性21と、正解データである運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報との対応関係は適宜設定可能である。また、
図14に示す学習用データは一例であり、移動需要22および停留所特性21は多様な条件を取り得る。
【0072】
図13の説明に戻り、モデル生成部53は、学習用データに基づいて、運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を学習する。つまり、モデル生成部53は、移動需要22と停留所特性21とを入力とし、運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を出力する学習済みモデルを生成する。
【0073】
モデル生成部53が用いる学習アルゴリズムは教師あり学習、教師なし学習、強化学習等の公知のアルゴリズムを用いることができる。一例として、ニューラルネットワークを適用した場合について説明する。モデル生成部53は、例えば、ニューラルネットワークモデルに従って、いわゆる教師あり学習により、運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を学習する。ここで、教師あり学習とは、入力と結果(ラベル)のデータの組を学習装置51に与えることで、それらの学習用データにある特徴を学習し、入力から結果を推論する手法をいう。
【0074】
ニューラルネットワークは、複数のニューロンからなる入力層、複数のニューロンからなる中間層(隠れ層)、および複数のニューロンからなる出力層で構成される。中間層は、1層、または2層以上でもよい。
【0075】
図15は、実施の形態3に係るニューラルネットワークの一例を示す模式図である。例えば、
図15に示すような3層のニューラルネットワークであれば、複数の入力が入力層(X1‐X3)に入力されると、その値に重みW1(w11‐w16)を掛けて中間層(Y1‐Y2)に入力され、その結果にさらに重みW2(w21‐w26)を掛けて出力層(Z1‐Z3)から出力される。この出力結果は、重みW1とW2の値によって変わる。
【0076】
本実施の形態において、ニューラルネットワークは、データ取得部52によって取得される移動需要22、停留所特性21、および運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報の組合せに基づいて作成される学習用データに従って、いわゆる教師あり学習により、運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を学習する。
【0077】
すなわち、ニューラルネットワークは、入力層に移動需要22および停留所特性21を入力して出力層から出力された結果が、運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報に近づくように重みW1とW2を調整することで学習する。
【0078】
モデル生成部53は、以上のような学習を実行することで学習済モデルを生成し、出力する。
【0079】
学習済モデル記憶部54は、モデル生成部53から出力された学習済モデルを記憶する。
【0080】
次に、推論装置55について説明する。
図13に示すように、推論装置55は、データ取得部56および推論部57を備える。
【0081】
データ取得部56は、記憶部20から移動需要22および停留所特性21を取得する。
【0082】
推論部57は、学習済モデルを利用して得られる運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を推論する。すなわち、推論部57は、この学習済モデルにデータ取得部56で取得された移動需要22および停留所特性21を入力することで、移動需要22および停留所特性21から推論される運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を出力することができる。
【0083】
次に、
図16を用いて、学習装置51が学習する処理について説明する。
図16は、実施の形態3に係る学習装置51の学習処理に関するフローチャートである。
【0084】
ステップS41において、データ取得部52は、移動需要22、停留所特性21、および運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を取得する。なお、移動需要22、停留所特性21、および運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を同時に取得するものとしたが、移動需要22、停留所特性21、および運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を関連づけて入力できればよく、移動需要22、停留所特性21、および運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報のデータをそれぞれ別のタイミングで取得してもよい。
【0085】
ステップS42において、モデル生成部53は、データ取得部52によって取得される移動需要22、停留所特性21、および運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報の組合せに基づいて作成される学習用データに従って、いわゆる教師あり学習の学習処理により、運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を学習し、学習済モデルを生成する。
【0086】
ステップS43において、学習済モデル記憶部54は、モデル生成部53が生成した学習済モデルを記憶する。
【0087】
次に、
図17を用いて、推論装置55を使って運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を得るための処理を説明する。
図17は、実施の形態3に係る推論装置55の推論処理に関するフローチャートである。
【0088】
ステップS51において、データ取得部56は、記憶部20から移動需要22および停留所特性21を取得する。
【0089】
ステップS52において、推論部57は、学習済モデル記憶部54に記憶された学習済モデルに移動需要22および停留所特性21を入力し、運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を得る。
【0090】
ステップS53において、推論部57は、学習済モデルにより得られた運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を出力する。
【0091】
ステップS54において、経由停留所決定部50は、経由優先度に対応する停留所に車両74を停車させない、すなわち車両74を停留所に経由させない場合、運行計画24を更新する。
【0092】
実施の形態1と同様に、車両運行管理装置10は、利用者の需要に対応した車両74の運行の精度を向上させつつ、車両74の走行時間を短縮可能である。また、経由停留所決定部50は、移動需要22および停留所特性21から、運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を推論するための学習済モデルを用いて、データ取得部56で取得した移動需要22および停留所特性21から運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を出力する。これにより、移動需要22および停留所特性21が取り得る多様な条件に対して、車両74を停車させるべき停留所か否かを精度良く決定することができる。
【0093】
なお、学習装置51および推論装置55は経由停留所決定部50に含まれ、運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を学習するために使用される例を示したが、これに限られるものではない。例えば、学習装置51、または学習装置51および推論装置55はネットワークを介して経由停留所決定部50に接続され、車両運行管理装置10とは別個の装置であってもよい。また、学習装置51、または学習装置51および推論装置55は、クラウドサーバ上に存在していてもよい。
【0094】
また、本実施の形態では、モデル生成部53が用いる学習アルゴリズムに教師あり学習を適用した場合について説明したが、これに限られるものではない。学習アルゴリズムについては、教師あり学習以外にも、強化学習、教師なし学習、または半教師あり学習等を適用することも可能である。
【0095】
また、モデル生成部53は、入力データとして移動需要22と、正解データとして運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報とを互いに関連付けたデータとしてもよい。この場合、停留所特性21に応じた学習済みモデルを生成すればよい。推論装置55は、停留所特性21に応じて学習済みモデルを切り替え、この学習済モデルにデータ取得部56で取得した移動需要22を入力することで、移動需要22から推論される運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を出力することができる。
【0096】
また、モデル生成部53は、複数の車両運行管理装置10に対して作成される学習用データに従って、運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を学習するようにしてもよい。さらに、モデル生成部53は、同一のエリアで使用される複数の車両運行管理装置10から学習用データを取得してもよいし、異なるエリアで独立して動作する複数の車両運行管理装置10から収集される学習用データを利用して運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を学習してもよい。また、学習用データを収集する車両運行管理装置10を途中で対象に追加してもよく、対象から除去することも可能である。さらに、ある車両運行管理装置10に関して運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を学習した学習装置51を、これとは別の車両運行管理装置10に適用し、当該別の車両運行管理装置10に関して運行経路に含まれる複数の停留所のうち車両74を停車させない停留所を示す情報を再学習して更新するようにしてもよい。
【0097】
また、実施の形態1から実施の形態3では、車両運行管理装置10は、利用者の移動需要22が見込まれない停留所について車両74を停車させないような運用を行っていたが、車両運行管理装置10の運用方法はこれに限定されない。例えば、
図6から
図8の例において、停留所[2]の周辺にイベント会場があり、当該イベント会場でイベントが開催されていないときの利用者はほとんど無く、当該イベント会場でイベントが開催されるときは多くの利用者が見込まれる場合を想定する。このような場合、車両運行管理装置10は、イベント会場でイベントが開催されていないときは車両74を停留所[2]に停車させないように決定し、イベント会場でイベントが開催されている日について、車両74を停留所[2]に停車させるように決定してもよい。車両運行管理装置10は、元々運行計画24において停留所[2]を経由する運行経路が想定されていることから、突発的に利用者が見込まれる場合にも、柔軟に車両74の運行を制御することができる。なお、このような運用では、車両運行管理装置10において、経由停留所決定部50は、通常時は運行計画24を更新し、イベント開催時に運行計画24を更新しないことになる。そのため、元々運行計画24において停留所[2]が含まれず、臨時で停留所[2]に停車させる場合と比較して、車両運行管理装置10は処理負荷を軽減することができ、次に停車する停留所を迅速に決定することができる。
【0098】
また、実施の形態1から実施の形態3では、車両74がバスである場合を想定し、車両運行管理装置10が、車両74を停車させない停留所を決定し、車両74の運行を制御していたが、車両運行管理装置10の制御対象は、車両74がバスの場合に限定されない。例えば、車両運行管理装置10は、予めルートが決まっていて荷物の収集、配達などを行う配送車両についても制御対象とすることができる。この場合、車両運行管理装置10は、荷物の収集、配送などの予約がない店舗、倉庫などについては配送車両が経由しないようにすることで、配送車両の運転手は、効率良く荷物の収集、配送などを行うことができる。また、車両運行管理装置10は、予め運航経路が決まっていて複数の島々を結ぶ連絡船のような船舶輸送などにも適用可能である。この場合、船舶輸送の輸送対象は、人間であってもよいし、荷物などであってもよい。また、車両運行管理装置10は、予め運航経路が決まっているものであれば、ドローンを使用した空中からの配送などについても適用可能である。
【0099】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0100】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形および置換を加えることができる。
【0101】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0102】
(付記1)
複数の停留所を含む運行経路を含む車両の運行計画を予め記憶する記憶部と、
前記車両の利用者の移動需要を取得する移動需要取得部と、
前記移動需要についての前記停留所の特性である停留所特性を取得する停留所特性取得部と、
前記移動需要および前記停留所特性に基づいて、前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を決定する経由停留所決定部と、
を備えることを特徴とする車両運行管理装置。
(付記2)
前記停留所特性は、前記停留所で見込まれる前記移動需要を予測した予測移動需要量である、
ことを特徴とする付記1に記載の車両運行管理装置。
(付記3)
前記停留所特性は、前記停留所で乗車する前記利用者の優先度を示す情報である、
ことを特徴とする付記1または2に記載の車両運行管理装置。
(付記4)
前記利用者の優先度を示す情報は、高齢者、妊婦、および重要顧客の少なくともいずれか1つの優先度がその他の前記利用者より高く設定される、
ことを特徴とする付記3に記載の車両運行管理装置。
(付記5)
前記利用者の優先度を示す情報は、従業員の優先度がその他の前記利用者より低く設定される、
ことを特徴とする付記3または4に記載の車両運行管理装置。
(付記6)
前記停留所特性は、前記停留所で乗車する前記利用者に対して代替できる移動手段があるか否かを示す情報である、
ことを特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載の車両運行管理装置。
(付記7)
前記経由停留所決定部は、停車しない前記停留所を決定した場合、停車しない前記停留所を経由しない運行経路を選択する、
ことを特徴とする付記1から6のいずれか1つに記載の車両運行管理装置。
(付記8)
前記経由停留所決定部は、前記運行計画について、停車しない前記停留所、および停車しない前記停留所より後の前記停留所における到着時刻および出発時刻を更新する、
ことを特徴とする付記7に記載の車両運行管理装置。
(付記9)
前記経由停留所決定部は、前記停留所特性に基づいて、各停留所の優先度を示す経由優先度を決定し、前記移動需要および前記経由優先度に基づいて、前記経由優先度に対応する前記停留所に前記車両を停車させるか否かを決定する、
ことを特徴とする付記1から8のいずれか1つに記載の車両運行管理装置。
(付記10)
前記経由停留所決定部は、さらに前記車両の運行状況を用いて、前記車両を停車させない前記停留所を決定する、
ことを特徴とする付記1から9のいずれか1つに記載の車両運行管理装置。
(付記11)
前記経由停留所決定部は、前記車両の運行状況に基づいて、前記車両を停車させない前記停留所を決定するタイミングを判定する、
ことを特徴とする付記1から10のいずれか1つに記載の車両運行管理装置。
(付記12)
前記経由停留所決定部は、
前記移動需要および前記停留所特性を取得するデータ取得部と、
学習済モデルを用いて前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を示す情報を出力する推論部と、
を有することを特徴とする付記1から11のいずれか1つに記載の車両運行管理装置。
(付記13)
前記経由停留所決定部は、
前記移動需要および前記停留所特性を取得するデータ取得部と、
前記移動需要および前記停留所特性から、前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を推論するための学習済モデルを用いて、前記データ取得部で取得された前記移動需要および前記停留所特性から前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を示す情報を出力する推論部と、
を有することを特徴とする付記1から11のいずれか1つに記載の車両運行管理装置。
(付記14)
前記移動需要取得部は、前記移動需要を、前記車両運行管理装置の外部から、または前記記憶部から取得する、
ことを特徴とする付記1から13のいずれか1つに記載の車両運行管理装置。
(付記15)
前記停留所特性取得部は、前記停留所特性を、前記車両運行管理装置の外部から、または前記記憶部から取得する、
ことを特徴とする付記1から14のいずれか1つに記載の車両運行管理装置。
(付記16)
車両の利用者の移動需要を提供する需要収集端末と、
複数の停留所を含む運行経路を含む車両の運行計画を予め記憶し、前記移動需要および前記停留所特性に基づいて、前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を決定し、前記車両を停車させない前記停留所がある場合は前記運行計画を更新する付記1から13のいずれか1つに記載の車両運行管理装置と、
前記車両に搭載され、前記車両運行管理装置から、更新されていない場合は記憶されていた前記運行計画を取得し、更新されている場合は更新後の前記運行計画を取得する車両制御端末と、
を備えることを特徴とする車両運行管理システム。
(付記17)
複数の停留所を含む運行経路を含む車両の運行計画を予め記憶する記憶ステップと、
前記車両の利用者の移動需要を取得する移動需要取得ステップと、
前記移動需要についての前記停留所の特性である停留所特性を取得する停留所特性取得ステップと、
前記移動需要および前記停留所特性に基づいて、前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を決定する経由停留所決定ステップと、
を含むことを特徴とする車両運行管理方法。
(付記18)
前記停留所特性は、前記停留所で見込まれる前記移動需要を予測した予測移動需要量である、
ことを特徴とする付記17に記載の車両運行管理方法。
(付記19)
前記停留所特性は、前記停留所で乗車する前記利用者の優先度を示す情報である、
ことを特徴とする付記17または18に記載の車両運行管理方法。
(付記20)
前記利用者の優先度を示す情報は、高齢者、妊婦、および重要顧客の少なくともいずれか1つの優先度がその他の前記利用者より高く設定される、
ことを特徴とする付記19に記載の車両運行管理方法。
(付記21)
前記利用者の優先度を示す情報は、従業員の優先度がその他の前記利用者より低く設定される、
ことを特徴とする付記19または20に記載の車両運行管理方法。
(付記22)
前記停留所特性は、前記停留所で乗車する前記利用者に対して代替できる移動手段があるか否かを示す情報である、
ことを特徴とする付記17から21のいずれか1つに記載の車両運行管理方法。
(付記23)
前記経由停留所決定ステップにおいて、停車しない前記停留所を決定した場合、停車しない前記停留所を経由しない運行経路を選択する、
ことを特徴とする付記17から22のいずれか1つに記載の車両運行管理方法。
(付記24)
前記経由停留所決定ステップにおいて、前記運行計画について、停車しない前記停留所、および停車しない前記停留所より後の前記停留所における到着時刻および出発時刻を更新する、
ことを特徴とする付記23に記載の車両運行管理方法。
(付記25)
前記経由停留所決定ステップにおいて、前記停留所特性に基づいて、各停留所の優先度を示す経由優先度を決定し、前記移動需要および前記経由優先度に基づいて、前記経由優先度に対応する前記停留所に前記車両を停車させるか否かを決定する、
ことを特徴とする付記17から24のいずれか1つに記載の車両運行管理方法。
(付記26)
前記経由停留所決定ステップにおいて、さらに前記車両の運行状況を用いて、前記車両を停車させない前記停留所を決定する、
ことを特徴とする付記17から25のいずれか1つに記載の車両運行管理方法。
(付記27)
前記経由停留所決定ステップにおいて、前記車両の運行状況に基づいて、前記車両を停車させない前記停留所を決定するタイミングを判定する、
ことを特徴とする付記17から26のいずれか1つに記載の車両運行管理方法。
(付記28)
前記経由停留所決定ステップは、
前記移動需要および前記停留所特性を取得するデータ取得ステップと、
学習済モデルを用いて前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を示す情報を出力する推論ステップと、
を含むことを特徴とする付記17から27のいずれか1つに記載の車両運行管理方法。
(付記29)
前記経由停留所決定ステップは、
前記移動需要および前記停留所特性を取得するデータ取得ステップと、
前記移動需要および前記停留所特性から、前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を推論するための学習済モデルを用いて、前記データ取得ステップで取得された前記移動需要および前記停留所特性から前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を示す情報を出力する推論ステップと、
を含むことを特徴とする付記17から27のいずれか1つに記載の車両運行管理方法。
(付記30)
前記移動需要取得ステップにおいて、前記移動需要を、車両運行管理装置の外部から、または前記車両運行管理装置が備える記憶部から取得する、
ことを特徴とする付記17から29のいずれか1つに記載の車両運行管理方法。
(付記31)
前記停留所特性取得ステップにおいて、前記停留所特性を、車両運行管理装置の外部から、または前記車両運行管理装置が備える記憶部から取得する、
ことを特徴とする付記17から30のいずれか1つに記載の車両運行管理方法。
(付記32)
複数の停留所を含む運行経路を含む車両の運行計画を予め記憶する記憶ステップと、
前記車両の利用者の移動需要を取得する移動需要取得ステップと、
前記移動需要についての前記停留所の特性である停留所特性を取得する停留所特性取得ステップと、
前記移動需要および前記停留所特性に基づいて、前記運行経路に含まれる前記複数の停留所のうち前記車両を停車させない前記停留所を決定する経由停留所決定ステップと、
をコンピュータに実施させることを特徴とする車両運行管理プログラム。
【符号の説明】
【0103】
10 車両運行管理装置、20 記憶部、21 停留所特性、22 移動需要、23 運行状況、24 運行計画、30 停留所特性取得部、40 移動需要取得部、50 経由停留所決定部、51 学習装置、52,56 データ取得部、53 モデル生成部、54 学習済モデル記憶部、55 推論装置、57 推論部、60 運行計画実施部、71 外部システム、72 需要収集端末、73 車両制御端末、74 車両、100 車両運行管理システム。