IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-バスバモジュール 図1
  • 特許-バスバモジュール 図2
  • 特許-バスバモジュール 図3
  • 特許-バスバモジュール 図4
  • 特許-バスバモジュール 図5
  • 特許-バスバモジュール 図6
  • 特許-バスバモジュール 図7
  • 特許-バスバモジュール 図8
  • 特許-バスバモジュール 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】バスバモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/507 20210101AFI20250408BHJP
   H01M 50/519 20210101ALI20250408BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20250408BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/519
H01M50/569
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022136535
(22)【出願日】2022-08-30
(65)【公開番号】P2024033129
(43)【公開日】2024-03-13
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 公利
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-055784(JP,A)
【文献】特開2020-057700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に沿って並ぶ複数のバスバを有する第一バスバ群と、
前記第一方向に沿って並ぶ複数のバスバを有しており、前記第一バスバ群に対して平行に配置された第二バスバ群と、
前記第一バスバ群のバスバに接続された複数の第一導体と、前記第二バスバ群のバスバに接続された複数の第二導体と、を有するフレキシブルプリント配線板と、
樹脂製のケースと、
を備え、
前記フレキシブルプリント配線板は、前記第一方向における一つの端部であって、外部機器に接続される基端部と、前記基端部から前記第一方向のもう一つの端部まで延在する本体と、を有し、
前記フレキシブルプリント配線板は、平面視においてT字形状のスリットを有し、
前記スリットは、前記基端部に配置され、前記第一方向と直交する第二方向に延在する第一スリット部と、前記第一スリット部から前記第一方向に沿って前記本体を縦断する第二スリット部と、を有し、
前記本体は、前記第二スリット部によって、前記第一導体を有する第一領域と、前記第二導体を有する第二領域と、に二分されており、
前記ケースは、第一ケース部と、第二ケース部と、を有し、
前記第一ケース部は、前記第一バスバ群を収容する第一収容部と、前記第一領域を支持する第一カバー部と、前記第一収容部と前記第一カバー部とをつなぐ可撓性の第一ヒンジ部と、を有し、かつ前記第一ヒンジ部が折れ曲がることにより前記第一領域および前記第一カバー部が前記第一バスバ群を覆うように構成され、
前記第二ケース部は、前記第二バスバ群を収容する第二収容部と、前記第二領域を支持する第二カバー部と、前記第二収容部と前記第二カバー部とをつなぐ可撓性の第二ヒンジ部と、を有し、かつ前記第二ヒンジ部が折れ曲がることにより前記第二領域および前記第二カバー部が前記第二バスバ群を覆うように構成されている
ことを特徴とするバスバモジュール。
【請求項2】
前記基端部は、前記本体に対して前記第二方向に向けて突出した突出部を有し、
前記基端部において、前記第一導体および前記第二導体が前記第一スリット部を迂回して前記突出部に配索される
請求項1に記載のバスバモジュール。
【請求項3】
第一方向に沿って並ぶ複数のバスバを有する第一バスバ群と、
前記第一方向に沿って並ぶ複数のバスバを有しており、前記第一バスバ群に対して平行に配置された第二バスバ群と、
前記第一バスバ群のバスバに接続された複数の第一導体と、前記第二バスバ群のバスバに接続された複数の第二導体と、を有するフレキシブルプリント配線板と、
樹脂製のケースと、
を備え、
前記フレキシブルプリント配線板は、前記第一方向における一つの端部であって、外部機器に接続される基端部と、前記基端部から前記第一方向のもう一つの端部まで延在する本体と、を有し、
前記本体は、前記フレキシブルプリント配線板に設けられたT字形状のスリットにより、前記第一バスバ群に接続された第一領域と、前記第二バスバ群に接続された第二領域と、に分かれており、
前記ケースは、第一ケース部と、第二ケース部と、を有し、
前記第一ケース部は、前記第一バスバ群を収容する第一収容部と、前記第一領域を支持する第一カバー部と、前記第一収容部と前記第一カバー部とをつなぐ可撓性の第一ヒンジ部と、を有し、
前記第二ケース部は、前記第二バスバ群を収容する第二収容部と、前記第二領域を支持する第二カバー部と、前記第二収容部と前記第二カバー部とをつなぐ可撓性の第二ヒンジ部と、を有し、
前記第一ケース部は、前記第一領域が前記第一バスバ群を覆うように前記第一領域を折り返した状態で前記第一バスバ群および前記第一領域を収容しており、
前記第二ケース部は、前記第二領域が前記第二バスバ群を覆うように前記第二領域を折り返した状態で前記第二バスバ群および前記第二領域を収容している
ことを特徴とするバスバモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池用配線モジュールがある。特許文献1に開示された電池用配線モジュールは、基板本体部の一方面側において信号を伝送する経路として構成された配線パターンと、基板本体部の一方面側において配線パターンの周囲に形成され、配線パターンと絶縁された状態で所定の基準電位に保たれるガードパターンとを有する。特許文献1の電池用配線モジュールは、単電池群の上面の全体を覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-18612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バスバモジュールにおいて、平面視した場合の専有面積を低減できることが望ましい。バスバモジュールの専有面積が小さくなれば、他部品との干渉が抑制され、電池パックの低背化につながる。
【0005】
本発明の目的は、専有面積を低減できるバスバモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のバスバモジュールは、第一方向に沿って並ぶ複数のバスバを有する第一バスバ群と、前記第一方向に沿って並ぶ複数のバスバを有しており、前記第一バスバ群に対して平行に配置された第二バスバ群と、前記第一バスバ群のバスバに接続された複数の第一導体と、前記第二バスバ群のバスバに接続された複数の第二導体と、を有するフレキシブルプリント配線板と、樹脂製のケースと、を備え、前記フレキシブルプリント配線板は、前記第一方向における一つの端部であって、外部機器に接続される基端部と、前記基端部から前記第一方向のもう一つの端部まで延在する本体と、を有し、前記フレキシブルプリント配線板は、平面視においてT字形状のスリットを有し、前記スリットは、前記基端部に配置され、前記第一方向と直交する第二方向に延在する第一スリット部と、前記第一スリット部から前記第一方向に沿って前記本体を縦断する第二スリット部と、を有し、前記本体は、前記第二スリット部によって、前記第一導体を有する第一領域と、前記第二導体を有する第二領域と、に二分されており、前記ケースは、第一ケース部と、第二ケース部と、を有し、前記第一ケース部は、前記第一バスバ群を収容する第一収容部と、前記第一領域を支持する第一カバー部と、前記第一収容部と前記第一カバー部とをつなぐ可撓性の第一ヒンジ部と、を有し、かつ前記第一ヒンジ部が折れ曲がることにより前記第一領域および前記第一カバー部が前記第一バスバ群を覆うように構成され、前記第二ケース部は、前記第二バスバ群を収容する第二収容部と、前記第二領域を支持する第二カバー部と、前記第二収容部と前記第二カバー部とをつなぐ可撓性の第二ヒンジ部と、を有し、かつ前記第二ヒンジ部が折れ曲がることにより前記第二領域および前記第二カバー部が前記第二バスバ群を覆うように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るバスバモジュールにおいて、第一ケース部は、第一ヒンジ部が折れ曲がることによりフレキシブルプリント配線板の第一領域および第一カバー部が第一バスバ群を覆うように構成されている。第二ケース部は、第二ヒンジ部が折れ曲がることによりフレキシブルプリント配線板の第二領域および第二カバー部が第二バスバ群を覆うように構成されている。本発明に係るバスバモジュールによれば、専有面積を低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るバスバモジュールおよび電池モジュールの斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るバスバモジュールの平面図である。
図3図3は、実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の平面図である。
図4図4は、実施形態に係るケースの斜視図である。
図5図5は、実施形態に係るバスバモジュールの斜視図である。
図6図6は、電池モジュールに載置されたバスバモジュールの斜視図である。
図7図7は、カバー部の折り返し工程を説明する図である。
図8図8は、電池モジュールに組み付けられたバスバモジュールの側面図である。
図9図9は、電池モジュールに組み付けられたバスバモジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係るバスバモジュールにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から図9を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、バスバモジュールに関する。図1は、実施形態に係るバスバモジュールおよび電池モジュールの斜視図、図2は、実施形態に係るバスバモジュールの平面図、図3は、実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の平面図、図4は、実施形態に係るケースの斜視図、図5は、実施形態に係るバスバモジュールの斜視図、図6は、電池モジュールに載置されたバスバモジュールの斜視図、図7は、カバー部の折り返し工程を説明する図、図8は、電池モジュールに組み付けられたバスバモジュールの側面図、図9は、電池モジュールに組み付けられたバスバモジュールの斜視図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態のバスバモジュール1は、電池モジュール110に対して組み付けられる。バスバモジュール1および電池モジュール110は、電池パック100を構成する。電池パック100は、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の車両に電源として搭載される。電池パック100は、複数のバスバモジュール1および複数の電池モジュール110を有していてもよい。
【0012】
電池モジュール110は、複数の電池セル120を有する。例示された電池セル120の形状は、直方体形状である。電池セル120の第一面120aには、二つの電極121が配置されている。第一面120aの形状は、略長方形である。
【0013】
複数の電池セル120は、第一方向Xに沿って配列されている。より詳しくは、複数の電池セル120は、第一面120aの長辺が隣接する他の第一面120aの長辺と第一方向Xにおいて対向するように配列されている。以下の説明では、第一面120aにおいて第一方向Xと直交する方向を「第二方向Y」と称する。第二方向Yは、第一面120aの長手方向である。第一方向Xおよび第二方向Yの何れとも直交する方向を「第三方向Z」と称する。第三方向Zは、電池セル120の高さ方向である。第一面120aは、第三方向Zと直交している。電池パック100は、例えば、第一面120aが車両上下方向の上側を向くように車両に搭載される。
【0014】
第一面120aの二つの電極121は、第二方向Yにおいて並んでいる。第一面120aの二つの電極121のうち、一方は正極であり、他方は負極である。第一面120aにおける長手方向の一端に配置されている電極121の集合体を「第一電極群121a」と称する。また、第一面120aにおける長手方向の他端に配置されている電極121の集合体を「第二電極群121b」と称する。本実施形態の電池モジュール110では、第一電極群121aにおいて、正極および負極が交互に並んでいる。また、第二電極群121bにおいて、正極および負極が交互に並んでいる。本実施形態のバスバモジュール1は、複数の電池セル120を直列に接続する。
【0015】
本実施形態のバスバモジュール1は、複数のバスバ2、フレキシブルプリント配線板3、およびケース4を有する。バスバ2は、銅やアルミニウム等の導電性の金属板から形成される。図2に示すように、バスバ2は、接続部20および端子部21を有する。接続部20は、フレキシブルプリント配線板3の電圧検出線に接続される部分である。端子部21は、電池セル120の電極121に接続される部分である。端子部21は、電極121が挿入される二つの貫通孔を有している。端子部21は、例えば、電極121に対して溶接される。なお、端子部21は、電極121に対してナットが締め付けられることによって電極121に締結されてもよい。
【0016】
バスバモジュール1は、第一バスバ群2Aおよび第二バスバ群2Bを有する。第一バスバ群2Aおよび第二バスバ群2Bは、第一方向Xに沿って並ぶ複数のバスバ2を有する。第一バスバ群2Aのバスバ2は、電池モジュール110の第一電極群121aに対して固定される。第二バスバ群2Bのバスバ2は、第二電極群121bに対して固定される。第一バスバ群2Aおよび第二バスバ群2Bは、平行に配列される。
【0017】
フレキシブルプリント配線板3は、可撓性を有するプリント基板である。フレキシブルプリント配線板3は、絶縁性の合成樹脂で形成される樹脂層と、複数の導体と、を有する。導体は、二つの樹脂層によって挟まれた導体層であり、例えば、銅箔等の金属箔である。
【0018】
本実施形態のフレキシブルプリント配線板3は、基端部30と、本体31と、を有する。基端部30および本体31は、一体である。基端部30は、第一方向Xにおけるフレキシブルプリント配線板3の一つの端部3aである。基端部30は、外部機器に接続される部分である。外部機器は、典型的には電池パック100を監視する監視装置である。基端部30には、外部機器と接続されるコネクタ32が配置されてもよい。
【0019】
本体31は、基端部30からフレキシブルプリント配線板3における第一方向Xのもう一つの端部3bまで延在している。フレキシブルプリント配線板3は、平面視においてT字形状のスリット33を有する。スリット33は、第一スリット部34と、第二スリット部35と、を有する。第一スリット部34は、基端部30に配置され、第二方向Yに延在している。例示された第一スリット部34は、基端部30の中央から第二方向Yの両側に向けて延在している。
【0020】
第二スリット部35は、第一スリット部34から第一方向Xに沿って本体31を縦断している。例示された第二スリット部35は、第一スリット部34の中央34aにつながっている。本体31は、第二スリット部35によって第一領域31Aと第二領域31Bとに二分されている。第一領域31Aおよび第二領域31Bの形状は、矩形である。
【0021】
フレキシブルプリント配線板3の導体5は、複数の第一導体5aおよび複数の第二導体5bを含む。導体5は、電池セル120の電圧を検出するための電圧検出線である。第一導体5aは、第一バスバ群2Aのバスバ2に接続される導体5である。第一導体5aの一端は、第一バスバ群2Aの対応するバスバ2に接続される。第一導体5aの他端は、例えば、コネクタ32の端子に接続される。第一導体5aは、第一領域31Aに配索されている。
【0022】
第二導体5bは、第二バスバ群2Bのバスバ2に接続される導体5である。第二導体5bの一端は、第二バスバ群2Bの対応するバスバ2に接続される。第二導体5bの他端は、例えば、コネクタ32の端子に接続される。第二導体5bは、第二領域31Bに配索されている。
【0023】
図3には、バスバ2に接続される前の単体のフレキシブルプリント配線板3が示されている。単体のフレキシブルプリント配線板3では、第一領域31Aと第二領域31Bとをつなぐ複数の繋ぎ部36を有する。本体31は、繋ぎ部36が切断されることにより第一領域31Aと第二領域31Bとに分断される。例示されたフレキシブルプリント配線板3は、三つの繋ぎ部36を有する。単体のフレキシブルプリント配線板3は、第一方向Xに延在する三つの貫通孔35a,35b,35cを有する。貫通孔35a,35b,35cは、第一領域31Aと第二領域31Bとの境界部に位置している。三つの繋ぎ部36が切断されることにより、貫通孔35a,35b,35cがつながって第二スリット部35を構成する。
【0024】
第一領域31Aおよび第二領域31Bは、複数の枝部37を有する。枝部37は、第二方向Yに向けて突出している。第一領域31Aの枝部37は、第二領域31Bの側とは反対側に向けて突出している。第二領域31Bの枝部37は、第一領域31Aの側とは反対側に向けて突出している。平面視における枝部37の形状は、L字形状である。各枝部37には、それぞれ導体5が配索されている。枝部37は、バスバ2に対して溶接等によって固定される。枝部37に配索された導体5は、バスバ2に対して電気的に接続される。
【0025】
基端部30は、二つの突出部30aを有する。一つの突出部30aは、本体31の第一領域31Aに対して第二方向Yに向けて突出している。他の一つの突出部30aは、本体31の第二領域31Bに対して第二方向Yに向けて突出している。第一導体5aおよび第二導体5bは、基端部30において、第一スリット部34を迂回して突出部30aに配索される。
【0026】
枝部37に対してバスバ2を接続する工程は、フレキシブルプリント配線板3が繋ぎ部36を有する状態で実行されてもよい。ケース4に対してフレキシブルプリント配線板3を載置する工程、およびバスバ2をケース4に収容する工程は、フレキシブルプリント配線板3が繋ぎ部36を有する状態で実行されてもよい。
【0027】
図4に示すように、ケース4は、第一ケース部4Aおよび第二ケース部4Bを有する。例示された第一ケース部4Aおよび第二ケース部4Bは、別の部材である。第一ケース部4Aは、第一バスバ群2Aおよび第一領域31Aに対応し、第二ケース部4Bは、第二バスバ群2Bおよび第二領域31Bに対応する。第一ケース部4Aおよび第二ケース部4Bは、例えば、絶縁性の合成樹脂で成型される。
【0028】
第一ケース部4Aは、第一収容部41、第一カバー部42、および可撓性の第一ヒンジ部43を有する。第一収容部41は、第一バスバ群2Aのバスバ2を収容する。平面視における第一収容部41の形状は、略矩形である。第一収容部41は、複数の収容室41aを有する。複数の収容室41aは、第一方向Xに沿って配列されている。一つの収容室41aは、一つのバスバ2を収容する。
【0029】
第一カバー部42は、フレキシブルプリント配線板3の第一領域31Aを支持する部分である。第一カバー部42は、第一方向Xに沿って延在している。平面視における第一カバー部42の形状は、矩形である。第一カバー部42は、第一収容部41に対して第二方向Yに並んで配置されている。
【0030】
第一ヒンジ部43は、第一収容部41と第一カバー部42とをつないでいる。第一ケース部4Aは、複数の第一ヒンジ部43を有する。例示された第一ケース部4Aは、一つの収容室41aに対して一つの第一ヒンジ部43を有する。第一ケース部4Aは、第一ヒンジ部43が折れ曲がることにより第一収容部41に対して第一カバー部42が重なるように構成されている。
【0031】
第二ケース部4Bは、第二収容部44、第二カバー部45、および可撓性の第二ヒンジ部46を有する。第二収容部44は、第二バスバ群2Bのバスバ2を収容する。平面視における第二収容部44の形状は、略矩形である。第二収容部44は、複数の収容室44aを有する。複数の収容室44aは、第一方向Xに沿って配列されている。一つの収容室44aは、一つのバスバ2を収容する。
【0032】
第二カバー部45は、フレキシブルプリント配線板3の第二領域31Bを支持する部分である。第二カバー部45は、第一方向Xに沿って延在している。平面視における第二カバー部45の形状は、矩形である。第二カバー部45は、第二収容部44に対して第二方向Yに並んで配置されている。
【0033】
第二ヒンジ部46は、第二収容部44と第二カバー部45とをつないでいる。第二ケース部4Bは、複数の第二ヒンジ部46を有する。例示された第二ケース部4Bは、一つの収容室44aに対して一つの第二ヒンジ部46を有する。第二ケース部4Bは、第二ヒンジ部46が折れ曲がることにより第二収容部44に対して第二カバー部45が重なるように構成されている。
【0034】
バスバ2が取り付けられたフレキシブルプリント配線板3は、ケース4に載置されてケース4に対して組み付けられる。図5に示すように、フレキシブルプリント配線板3の第一領域31Aは、第一カバー部42に載置される。第一バスバ群2Aのバスバ2は、第一収容部41の収容室41aに挿入され、収容室41aによって保持される。バスバ2は、枝部37をS字形状に折り曲げて収容室41aに収容される。第一領域31Aは、第一カバー部42に対して固定されてもよい。例えば、第一カバー部42には、第一領域31Aを係止する爪が設けられてもよい。
【0035】
フレキシブルプリント配線板3の第二領域31Bは、第二カバー部45に載置される。第二バスバ群2Bのバスバ2は、第二収容部44の収容室44aに挿入され、収容室44aによって保持される。バスバ2は、枝部37をS字形状に折り曲げて収容室44aに収容される。第二領域31Bは、第二カバー部45に対して固定されてもよい。例えば、第二カバー部45には、第二領域31Bを係止する爪が設けられてもよい。
【0036】
フレキシブルプリント配線板3の繋ぎ部36は、フレキシブルプリント配線板3がケース4に組み付けられた後で切断されてもよく、フレキシブルプリント配線板3がケース4に組み付けられる前に切断されてもよい。図5に示すように、第二スリット部35は、第一カバー部42と第二カバー部45との境界に位置している。
【0037】
図6には、電池モジュール110に載置されたバスバモジュール1が示されている。電池セル120の電極121は、バスバ2の貫通孔に挿通されて収容室41a,44aに収容される。電池セル120の第一面120aは、ケース4の第一カバー部42および第二カバー部45によって覆われる。また、第一カバー部42はフレキシブルプリント配線板3の第一領域31Aによって覆われ、第二カバー部45は、フレキシブルプリント配線板3の第二領域31Bによって覆われる。バスバ2は、例えば、溶接によって電極121に対して固定される。
【0038】
バスバ2と電極121との固定が完了すると、フレキシブルプリント配線板3の第一領域31Aおよび第二領域31Bが折り返される。図7に矢印AR1で示すように、第一領域31Aおよび第一カバー部42は、第一収容部41を覆うように折り返される。第一カバー部42が持ち上げられると、第一ケース部4Aの第一ヒンジ部43が折れ曲がる。つまり、第一カバー部42は、第一ヒンジ部43を回転中心として第一収容部41に向けて回転する。第一領域31Aは、第一カバー部42によって支持されながら折り返されて第一収容部41を覆う。第一カバー部42は、第一収容部41に対して係合する係合部を有していることが好ましい。
【0039】
第二領域31Bおよび第二カバー部45は、第二収容部44を覆うように折り返される。第二カバー部45は第二ヒンジ部46を回転中心として第二収容部44に向けて回転する。第二領域31Bは、第二カバー部45によって支持されながら折り返されて第二収容部44を覆う。第二カバー部45は、第二収容部44に対して係合する係合部を有していることが好ましい。
【0040】
図8および図9には、電池モジュール110に対する組み付けが完了したバスバモジュール1が示されている。フレキシブルプリント配線板3の第一領域31Aおよび第一カバー部42は、第一収容部41を覆っている。図8に示すように、第一バスバ群2Aのバスバ2および電極121は、第一領域31Aおよび第一カバー部42によって覆い隠される。フレキシブルプリント配線板3の第二領域31Bおよび第二カバー部45は、第二収容部44を覆っている。図8に示すように、第二バスバ群2Bのバスバ2および電極121は、第二領域31Bおよび第二カバー部45によって覆い隠される。
【0041】
図8に示すように、第一ヒンジ部43は、略U字形状をなすように湾曲している。これにより、第一収容部41と第一カバー部42との間に適度な空間が形成される。よって、第一領域31Aに過度の曲げが生じることが抑制され、導体5が保護される。同様に、第二ヒンジ部46は、第二収容部44と第二カバー部45との間に適度な空間を形成し、第二領域31Bの導体5を保護する。
【0042】
図9に示すように、フレキシブルプリント配線板3の基端部30は、電池モジュール110に対して第一方向Xの外側に位置している。つまり、本実施形態のバスバモジュール1は、電池モジュール110における第一方向Xの一端から他端まで、電池モジュール110の上方の空間を開放することができる。言い換えると、本実施形態のバスバモジュール1は、電池モジュール110を覆う専有面積を最小化することが可能である。
【0043】
第一カバー部42および第二カバー部45が折り返されたことにより、電池セル120の第一面120aの上方空間が開放される。すなわち、第一ヒンジ部43と第二ヒンジ部46との間の空間が上方に向けて開放される。従って、本実施形態のバスバモジュール1は、第一面120aに排煙ダクト等の部材が配置される場合に、その部材と干渉することなく電池モジュール110に組み付け可能である。
【0044】
また、本実施形態のバスバモジュール1は、平面視した場合の専有面積の最小化を図ることが可能である。本体31に複数の導体5を配索する場合、導体5の本数に応じて本体31の必要な幅が決まる。本実施形態のバスバモジュール1では、第一領域31Aおよび第二領域31Bが収容部41,44に重ねられることで、本体31の必要な幅を確保しつつバスバモジュール1の専有面積を小さくすることができる。
【0045】
本実施形態のフレキシブルプリント配線板3の形状、およびその組み立て方によれば、FPCの歩留まりが良く、かつ部品実装等の製造が容易である。よって、本実施形態のバスバモジュール1は、製造効率の向上および低コスト化が可能である。
【0046】
以上説明したように、本実施形態のバスバモジュール1は、第一バスバ群2Aと、第二バスバ群2Bと、フレキシブルプリント配線板3と、樹脂製のケース4と、を有する。第一バスバ群2Aは、第一方向Xに沿って並ぶ複数のバスバ2を有する。第二バスバ群2Bは、第一方向Xに沿って並ぶ複数のバスバ2を有しており、かつ第一バスバ群2Aに対して平行に配置されている。フレキシブルプリント配線板3は、第一バスバ群2Aのバスバ2に接続された複数の第一導体5aと、第二バスバ群2Bのバスバ2に接続された複数の第二導体5bと、を有する。
【0047】
フレキシブルプリント配線板3は、基端部30と、本体31と、を有する。基端部30は、第一方向Xにおけるフレキシブルプリント配線板3の一つの端部3aであり、かつ外部機器に接続される。本体31は、基端部30から第一方向Xにおけるフレキシブルプリント配線板3のもう一つの端部3bまで延在する。フレキシブルプリント配線板3は、平面視においてT字形状のスリット33を有する。スリット33は、第一スリット部34および第二スリット部35を有する。第一スリット部34は、基端部30に配置され、第一方向Xと直交する第二方向Yに延在する。第二スリット部35は、第一スリット部34から第一方向Xに沿って本体31を縦断する。
【0048】
フレキシブルプリント配線板3の本体31は、第二スリット部35によって第一領域31Aと第二領域31Bとに二分されている。第一領域31Aは、第一導体5aを有する領域である。第二領域31Bは、第二導体5bを有する領域である。
【0049】
ケース4は、第一ケース部4Aと、第二ケース部4Bと、を有する。第一ケース部4Aは、第一収容部41と、第一カバー部42と、第一ヒンジ部43と、を有する。第一収容部41は、第一バスバ群2Aを収容する。第一カバー部42は、フレキシブルプリント配線板3の第一領域31Aを支持する。第一ヒンジ部43は、第一収容部41と第一カバー部42とをつなぎ、かつ可撓性を有する。第一ケース部4Aは、第一ヒンジ部43が折れ曲がることにより第一領域31Aおよび第一カバー部42が第一バスバ群2Aを覆うように構成されている。
【0050】
第二ケース部4Bは、第二収容部44と、第二カバー部45と、第二ヒンジ部46と、を有する。第二収容部44は、第二バスバ群2Bを収容する。第二カバー部45は、フレキシブルプリント配線板3の第二領域31Bを支持する。第二ヒンジ部46は、第二収容部44と第二カバー部45とをつなぎ、かつ可撓性を有する。第二ケース部4Bは、第二ヒンジ部46が折れ曲がることにより第二領域31Bおよび第二カバー部45が第二バスバ群2Bを覆うように構成されている。本実施形態のバスバモジュール1は、電池モジュール110に対する専有面積を低減でき、電池セル120の上方の空間を開放することができる。
【0051】
本実施形態の基端部30は、本体31に対して第二方向Yに向けて突出した突出部30aを有する。基端部30において、第一導体5aおよび第二導体5bが第一スリット部34を迂回して突出部30aに配索される。このような構成により、折り返し可能でありながら導体5の配索経路を確保できるフレキシブルプリント配線板3が実現される。
【0052】
図8および図9に示すように、電池モジュール110に対して組み付けられたバスバモジュール1は、第一バスバ群2Aと、第二バスバ群2Bと、フレキシブルプリント配線板3と、樹脂製のケース4と、を有する。フレキシブルプリント配線板3は、基端部30と、本体31と、を有する。本体31は、第一バスバ群2Aに接続された第一領域31Aと、第二バスバ群2Bに接続された第二領域31Bと、に分かれている。
【0053】
ケース4は、第一ケース部4Aと、第二ケース部4Bと、を有する。第一ケース部4Aは、第一領域31Aが第一バスバ群2Aを覆うように第一領域31Aを折り返した状態で第一バスバ群2Aおよび第一領域31Aを収容している。第二ケース部4Bは、第二領域31Bが第二バスバ群2Bを覆うように第二領域31Bを折り返した状態で第二バスバ群2Bおよび第二領域31Bを収容している。本実施形態のバスバモジュール1は、電池モジュール110に対する専有面積を低減でき、電池セル120の上方の空間を開放することができる。
【0054】
なお、ケース4に組み付けられる前のフレキシブルプリント配線板3において、第一スリット部34には、繋ぎ部36と同様の繋ぎ部が設けられてもよい。第一スリット部34の繋ぎ部は、フレキシブルプリント配線板3がケース4に組み付けられた後に切断される。
【0055】
ケース4において、第一ケース部4Aと第二ケース部4Bとがつながっていてもよい。例えば、ケース4は、第一ケース部4Aと第二ケース部4Bとをつなぐ繋ぎ部を有していてもよい。この場合、平面視におけるケース4の形状は、第一カバー部42および第二カバー部45が折り返された状態でU字形状であってもよく、矩形の枠形状であってもよい。
【0056】
フレキシブルプリント配線板3は、複数の導体層を有していてもよい。例えば、第一領域31Aおよび基端部30において、第一導体5aが複数層に分けて配置されてもよい。例えば、第二領域31Bおよび基端部30において、第二導体5bが複数層に分けて配置されてもよい。
【0057】
上記の実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 バスバモジュール
2:バスバ、 2A:第一バスバ群、 2B:第二バスバ群
3:フレキシブルプリント配線板、 3a,3b:端部
4:ケース、 4A:第一ケース部、 4B:第二ケース部
5:導体、 5a:第一導体、 5b:第二導体
30:基端部、 31:本体、 31A:第一領域、 31B:第二領域
32:コネクタ
33:スリット、 34:第一スリット部、 35:第二スリット部
36:繋ぎ部、 37:枝部
41:第一収容部、 42:第一カバー部、 43:第一ヒンジ部
44:第二収容部、 45:第二カバー部、 46:第二ヒンジ部
100:電池パック、 110:電池モジュール
120:電池セル、 120a:第一面
121:電極、 121a:第一電極群、 121b:第二電極群
X:第一方向、 Y:第二方向、 Z:第三方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9