IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電池パック 図1
  • 特許-電池パック 図2
  • 特許-電池パック 図3
  • 特許-電池パック 図4
  • 特許-電池パック 図5
  • 特許-電池パック 図6
  • 特許-電池パック 図7
  • 特許-電池パック 図8
  • 特許-電池パック 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/519 20210101AFI20250408BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20250408BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20250408BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20250408BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20250408BHJP
【FI】
H01M50/519
H01M50/213
H01M50/505
H01M50/291
H01M50/284
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022136536
(22)【出願日】2022-08-30
(65)【公開番号】P2024033130
(43)【公開日】2024-03-13
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 公利
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0351449(US,A1)
【文献】特開2018-073794(JP,A)
【文献】特開2015-185295(JP,A)
【文献】国際公開第2022/025186(WO,A1)
【文献】特表2022-552558(JP,A)
【文献】特開2015-088493(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0006720(US,A1)
【文献】米国特許第05472804(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状であり、かつ軸方向の両端面に電極を有し、外周面を互いに対向させて配列される複数の電池と、
前記電極に対して固定される複数のバスバと、
複数の前記バスバに接続される複数の導体を有するフレキシブルプリント配線板と、
柱状の保持部材と、を備え、
前記フレキシブルプリント配線板は、複数の前記電池の前記外周面に沿って配索される帯状の本体と、前記本体から突出しており前記バスバに接続される枝部と、を有し、
前記本体は、前記本体の両面を複数の前記電池の前記外周面と対向させて波状に湾曲した形状で配索され、
前記保持部材は、前記本体を保持する部材であって、前記本体が挿入されるスリット状の凹部を有し、互いに隣接する三つの前記電池で形成される三角柱状の空間に収容されて前記本体を保持する
ことを特徴とする電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円筒電池を有する電池パックがある。特許文献1には、電池モジュールが複数の円筒電池と、伝熱性材料からなる電池ホルダとを有する電池パックが開示されている。特許文献1の電池パックにおいて、カバーの穴の上側には円筒電池の上側の電極(正極)を接続する正極バスバーが取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-178069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
円筒形状の電池を有する電池パックにおいて、配索構造を簡素化できることが望まれている。例えば、電極に対してバスバが固定される構成において、バスバとの干渉を抑制しつつ電圧検出線を配索できることが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、配索構造を簡素化できる電池パックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電池パックは、円筒形状であり、かつ軸方向の両端面に電極を有し、外周面を互いに対向させて配列される複数の電池と、前記電極に対して固定される複数のバスバと、複数の前記バスバに接続される複数の導体を有するフレキシブルプリント配線板と、を備え、前記フレキシブルプリント配線板は、複数の前記電池の前記外周面に沿って配索される帯状の本体と、前記本体から突出しており前記バスバに接続される枝部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電池パックのフレキシブルプリント配線板は、複数の電池の外周面に沿って配索される帯状の本体と、本体から突出しておりバスバに接続される枝部と、を有する。本発明に係る電池パックによれば、帯状の本体が電池の外周面に沿って配索されることにより、配索構造を簡素化できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る電池パックの斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る基板モジュールの斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の平面図である。
図4図4は、実施形態に係る保持部材の斜視図である。
図5図5は、電池モジュールに対する基板モジュールの組み付け工程を示す斜視図である。
図6図6は、実施形態に係る電池パックの平面図である。
図7図7は、実施形態に係る電池パックの斜視図である。
図8図8は、実施形態に係る電池パックの平面図である。
図9図9は、実施形態に係るバスバモジュールの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る電池パックにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から図9を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、電池パックに関する。図1は、実施形態に係る電池パックの斜視図、図2は、実施形態に係る基板モジュールの斜視図、図3は、実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の平面図、図4は、実施形態に係る保持部材の斜視図、図5は、電池モジュールに対する基板モジュールの組み付け工程を示す斜視図、図6は、実施形態に係る電池パックの平面図、図7は、実施形態に係る電池パックの斜視図、図8は、実施形態に係る電池パックの平面図、図9は、実施形態に係るバスバモジュールの平面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の電池パック100は、電池モジュール110、複数のバスバ2、および基板モジュール1を有する。電池パック100は、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の車両に電源として搭載される。電池パック100は、複数の電池モジュール110および複数の基板モジュール1を有していてもよい。
【0012】
電池モジュール110は、複数の電池120を有する。複数の電池120は、筐体に収容される。電池120は、充放電が可能な単電池である。本実施形態の電池120の形状は、円筒形状または円柱形状である。電池120は、軸方向Zの両端面に電極121を有する。二つの電極121のうち一つは正極であり、他の一つは負極である。
【0013】
電池モジュール110は、複数の電池列120qを有する。一つの電池列120qは、第一方向Xに沿って直線上に並ぶ複数の電池120を有する。複数の電池列120qは、第二方向Yに沿って配列される。第二方向Yは、第一方向Xと直交しており、かつ電池120の軸方向Zと直交している。複数の電池120は、電池120の外周面120aを互いに対向させて配列される。
【0014】
隣接する二つの電池列120qは、第一方向Xにずらして配置される。複数の電池列120qは、例えば、電池120がハニカム構造をなすように配置される。互いに隣接する三つの電池120は、三角柱状の空間130を形成する。
【0015】
バスバ2は、銅やアルミニウム等の導電性の金属板から形成される。バスバ2の形状は、例えば、平板形状である。例示されたバスバ2は、複数の電池120の電極121に対して接続される。バスバ2は、例えば、電池120の正極に接続される。本実施形態のバスバ2は、複数の電池120を並列に接続する。
【0016】
基板モジュール1は、複数の導体を有しており、複数のバスバ2を外部機器に接続する。外部機器は、典型的には電池パック100を監視する監視装置である。基板モジュール1には、外部機器と接続されるコネクタが設けられてもよい。基板モジュール1は、フレキシブルプリント配線板3および保持部材4を有する。
【0017】
フレキシブルプリント配線板3は、可撓性を有するプリント基板である。フレキシブルプリント配線板3は、絶縁性の合成樹脂で形成される樹脂層と、複数の導体と、を有する。導体は、二つの樹脂層によって挟まれた導体層であり、例えば、銅箔等の金属箔である。図2および図3に示すように、フレキシブルプリント配線板3は、本体31および枝部32を有する。本体31および枝部32は、例えば、一体である。
【0018】
図3に示すように、本体31は、帯状である。平面視における本体31の形状は、矩形である。枝部32は、本体31における長手方向に沿った一辺31aから突出している。枝部32は、対応するバスバ2に対して接続される。導体5は、本体31および枝部32に配索されている。枝部32および導体5は可撓性を有しており、本体31に対して折り曲げ可能である。導体5は、電池120の電圧を検出する電圧検出線である。導体5の一端はバスバ2に接続され、導体5の他端は外部機器に接続される。
【0019】
保持部材4は、フレキシブルプリント配線板3の本体31を保持する部材である。保持部材4は、例えば、絶縁性の合成樹脂で成型される。保持部材4は、ゴム等の弾性変形可能な材料で構成されてもよい。図4に示すように、保持部材4の形状は、柱状である。保持部材4は、電池120で形成される三角柱状の空間130に挿入可能なように形成されている。保持部材4は、三つの対向面41と、三つの側面42と、頂面43と、底面44と、を有する。頂面43および底面44は、保持部材4における軸方向の端面である。対向面41および側面42は、頂面43から底面44まで、保持部材4の軸方向に沿って延在している。
【0020】
対向面41は、電池120の外周面120aと対向する面である。対向面41の断面形状は、保持部材4の中心軸線CLに向けて湾曲した円弧形状である。側面42は、一つの対向面41と、他の一つの対向面41とをつないでいる平面である。
【0021】
保持部材4は、フレキシブルプリント配線板3の本体31が挿入されるスリット状の凹部45を有している。中心軸線CLの方向から見た場合の凹部45の形状は、中心軸線CLに向けて湾曲した円弧形状である。凹部45は、頂面43から底面44の近傍まで、中心軸線CLに沿って延在している。凹部45は、二つの側面42にそれぞれ開口している。軸方向における凹部45の深さは、フレキシブルプリント配線板3の本体31の幅と同等である。フレキシブルプリント配線板3の本体31は、枝部32を有する一辺31aとは反対側の辺から凹部45に挿入される。
【0022】
図5に示すように、基板モジュール1は、軸方向Zに沿って電池モジュール110に挿入される。電池モジュール110の電池120には、予めバスバ2が固定されている。バスバ2は、電池120の電極121に対して溶接等により固定される。フレキシブルプリント配線板3の本体31は、隣接する二つの電池列120qの間に挿入される。このときに、保持部材4は、三つの電池120によって形成される三角柱状の空間130に挿入される。
【0023】
図6には、二つの電池列120qの間に挿入された基板モジュール1が示されている。フレキシブルプリント配線板3の本体31は、本体31の両面を複数の電池120の外周面120aと対向させて波状に湾曲した形状で配索される。空間130に挿入された保持部材4は、本体31の湾曲形状を規定することができる。図6に示すように、保持部材4は、枝部32に対して両側に配置される。二つの保持部材4は、二つの保持部材4の間で本体31が直線的に延在するように本体31を保持することがきる。保持部材4は、例えば、本体31の両面と電池120の外周面120aとの間に隙間を設けるように構成される。
【0024】
保持部材4は、枝部32の向きを定め、バスバ2に対して枝部32を位置決めすることができる。枝部32の導体5は、溶接やはんだ付け等によってバスバ2に接続される。本体31の端部には、外部機器に対して接続するためのコネクタが設けられてもよい。
【0025】
電池モジュール110に対して基板モジュール1が組み付けられると、電池モジュール110の筐体に樹脂が注入される。注入された樹脂が固化することにより、電池120および基板モジュール1が固定される。注入される樹脂は、絶縁性の合成樹脂であってもよい。注入される樹脂は、電池120で発生する熱を放熱させる伝熱部材としての機能を有していてもよい。
【0026】
本実施形態の電池パック100では、複数の電池120の外周面120aに沿ってフレキシブルプリント配線板3の本体31が配索される。よって、本体31が複数の導体5のための十分な幅を有することができる。比較例として、フレキシブルプリント配線板の本体が電池120の端面に沿って配索される構成について検討する。この場合、バスバ2と干渉しないようにフレキシブルプリント配線板の本体の幅を狭くする必要がある。その結果、複数枚のフレキシブルプリント配線板を重ねて配索するなどの対策が必要となる。
【0027】
これに対して、本実施形態の電池パック100では、本体31の最大幅に対する制約が緩和され、構成構造が簡素化される。複数の導体5が一枚の本体31に配索可能となることで、低コスト化が実現される。本体31の幅を十分に確保できることで、回路抵抗の問題が生じにくい。また、電池列120qの間の空間に本体31が配索されることで、電池パック100の低背化が実現される。なお、フレキシブルプリント配線板3の本体31において、導体5が二層に分けて配置されてもよい。
【0028】
なお、本体31は、図7および図8に示すように複数の電池列120qに対して外側に配置されてもよい。図8には、複数の電池120を収容する筐体150が示されている。本体31は、筐体150の内壁面150aと、端部に配置された電池列120qとの間の隙間に配索される。この場合、本体31は、内壁面150aに沿って直線状に配索可能である。本体31は、電池列120qと内壁面150aとの間で挟み込まれて保持されてもよい。
【0029】
以上説明したように、本実施形態の電池パック100は、円筒形状の複数の電池120と、複数のバスバ2と、フレキシブルプリント配線板3と、を有する。複数の電池120は、軸方向Zの両端面に電極121を有し、外周面120aを互いに対向させて配列される。複数のバスバ2は、電極121に対して固定される。フレキシブルプリント配線板3は、複数のバスバ2に接続される複数の導体5を有する。
【0030】
フレキシブルプリント配線板3は、帯状の本体31と、本体31から突出している枝部32と、を有する。本体31は、複数の電池120の外周面120aに沿って配索される。枝部32は、バスバ2に接続される。本実施形態の電池パック100では、帯状の本体31が電池120の外周面120aに沿って配索される。必要な本数の導体5を一枚の本体31に配置することが容易となり、電池パック100の配索構造が簡素化される。本体31を保持するためのケースを省略することが可能となり、電池パック100の構成が簡素化され、電池パック100が低背化される。
【0031】
本実施形態の本体31は、本体31の両面を複数の電池120の外周面120aと対向させて波状に湾曲した形状で配索される。隣接する電池列120qの間に設けられる隙間を利用して本体31が配索されることで、電池パック100の小型化や低背化が可能となる。
【0032】
本実施形態の電池パック100は、フレキシブルプリント配線板3の本体31を保持する柱状の保持部材4を有する。保持部材4は、本体31が挿入されるスリット状の凹部45を有する。保持部材4は、互いに隣接する三つの電池120で形成される三角柱状の空間130に収容されて本体31を保持する。保持部材4は、本体31の配索形状を安定させることができる。
【0033】
なお、電池モジュール110に対するバスバ2および基板モジュール1の組み付け手順は、上記の手順には限定されない。例えば、図9に示すように、基板モジュール1に対してバスバ2が取り付けられてバスバモジュール10が構成されてもよい。バスバモジュール10は、電池モジュール110に対して組み付けられる。フレキシブルプリント配線板3の本体31は、電池120の外周面120aに沿って配索される。よって、電池120の電極121に対してバスバ2が溶接される際に、本体31が溶接作業の邪魔とならない。
【0034】
基板モジュール1は、保持部材4を有していなくてもよい。フレキシブルプリント配線板3の本体31が電池列120qの隙間に挿入される際に、挿入作業のための治具が用いられてもよい。
【0035】
一つのバスバ2に接続される電池120の本数は、任意である。フレキシブルプリント配線板3は、電圧検出線とは異なる導体5を有していてもよい。例えば、複数の導体5は、温度を検出するための温度検出線を含んでもよい。温度検出線は、サーミスタに接続されてもよい。
【0036】
上記の実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 基板モジュール
2:バスバ、 3:フレキシブルプリント配線板、 4:保持部材
10 バスバモジュール
31:本体、 31a:一辺、 32:枝部
41:対向面、 42:側面、 43:頂面、 44:底面、 45:凹部
100 電池パック
110 電池モジュール
120:電池、 120a:外周面、 120q:電池列、 121:電極
130:空間、 150:筐体
X:第一方向、 Y:第二方向、 Z:軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9