(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】電力管理装置及び電力管理方法
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20250408BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20250408BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J3/38 170
(21)【出願番号】P 2022166471
(22)【出願日】2022-10-17
【審査請求日】2024-11-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】上甲 信悟
(72)【発明者】
【氏名】中垣 和歌
(72)【発明者】
【氏名】青木 哲平
(72)【発明者】
【氏名】須永 徹
(72)【発明者】
【氏名】中村 一尊
(72)【発明者】
【氏名】沖野 健太
(72)【発明者】
【氏名】古川 貴士
(72)【発明者】
【氏名】木下 健太
(72)【発明者】
【氏名】中澤 良太
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-063548(JP,A)
【文献】特開2023-083813(JP,A)
【文献】特開2019-213364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/32
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に接続された2以上の蓄電装置の各々から、前記電力系統の停電前において蓄電装置の充電を実行する特定制御を自律的に実行する機能に関する対応情報を受信する受信部と、
前記対応情報に基づいて、前記電力系統に関する電力需給調整制御として、前記2以上の蓄電装置の各々の充電制御又は放電制御を実行する制御部と、を備え
、
前記制御部は、前記電力需給調整制御の対象から前記特定制御を実行中である又は実行予定がある第3蓄電装置を除外し、前記電力需給調整制御の対象に前記特定制御を実行中ではない又は実行予定のない実行していない第4蓄電装置を含め、
前記第3蓄電装置及び前記第4蓄電装置は、前記特定制御を自律的に実行する機能を有する蓄電装置である、電力管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記電力需給調整制御の対象から前記特定制御を自律的に実行する機能を有する第1蓄電装置を特定条件下で除外し、前記電力需給調整制御の対象に前記特定制御を自律的に実行する機能を有していない第2蓄電装置を含める、請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記電力需給調整制御の対象から前記第1蓄電装置の充電に寄与する機器を前記特定条件下で除外する、請求項2に記載の電力管理装置。
【請求項4】
前記電力需給調整制御で前記第2蓄電装置を用いることが可能である旨を示す情報を、上位ノードに対して送信する送信部を備える、請求項2に記載の電力管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記電力需給調整制御の対象から前記第3蓄電装置の充電に寄与する機器を除外する、請求項
1に記載の電力管理装置。
【請求項6】
前記電力需給調整制御で前記第4蓄電装置を用いることが可能である旨を示す情報を、上位ノードに対して送信する送信部を備える、請求項
1に記載の電力管理装置。
【請求項7】
電力系統に接続された2以上の蓄電装置の各々から、前記電力系統の停電前において蓄電装置の充電を実行する特定制御を自律的に実行する機能に関する対応情報を受信するステップ
Aと、
前記対応情報に基づいて、前記電力系統に関する電力需給調整制御として、前記2以上の蓄電装置の各々の充電制御又は放電制御を実行するステップ
Bと、を備え
、
前記ステップBは、前記電力需給調整制御の対象から前記特定制御を実行中である又は実行予定がある第3蓄電装置を除外し、前記電力需給調整制御の対象に前記特定制御を実行中ではない又は実行予定のない実行していない第4蓄電装置を含めるステップを含み、
前記第3蓄電装置及び前記第4蓄電装置は、前記特定制御を自律的に実行する機能を有する蓄電装置である、電力管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理装置及び電力管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然災害などの事象が発生した場合であっても、事業活動を継続する計画(BCP; Business Continuity Plan)が知られている。電力の観点でも、自然災害に伴う停電に備えて、停電前において蓄電装置の充電を予め実行する特定制御が提案されている。なお、特定制御は、企業などの事業活動だけではなく、一般的な個人などの非事業活動でも想定される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電力系統の電力需給バランスを維持するために蓄電装置を用いる技術(例えば、VPP(Virtual Power Plant))が想定される。一方で、上述した特定制御を自律的に実行する蓄電装置も想定される。
【0005】
このようなケースを想定した場合に、VPPで用いる蓄電装置の中に、特定制御を自律的に実行する蓄電装置が混在する場合に、蓄電装置の充電が自律的に行われる可能性があるため、VPP制御を適切に実行することができない可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、自然災害に伴う停電に備えた特定制御を自律的に実行する蓄電装置を想定した場合に、VPP制御を適切に実行することを可能とする電力管理装置及び電力管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の一態様は、電力系統に接続された2以上の蓄電装置の各々から、前記電力系統の停電前において蓄電装置の充電を実行する特定制御を自律的に実行する機能に関する対応情報を受信する受信部と、前記対応情報に基づいて、前記電力系統に関する電力需給調整制御として、前記2以上の蓄電装置の各々の充電制御又は放電制御を実行する制御部と、を備える、電力管理装置である。
【0008】
開示の一態様は、電力系統に接続された2以上の蓄電装置の各々から、前記電力系統の停電前において蓄電装置の充電を実行する特定制御を自律的に実行する機能に関する対応情報を受信するステップと、前記対応情報に基づいて、前記電力系統に関する電力需給調整制御として、前記2以上の蓄電装置の各々の充電制御又は放電制御を実行するステップと、を備える、電力管理方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自然災害に伴う停電に備えた特定制御を自律的に実行する蓄電装置を想定した場合に、VPP制御を適切に実行することを可能とする電力管理装置及び電力管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電力管理システム1を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る施設100を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る上位管理サーバ300を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る下位管理サーバ200を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るEMS160を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る電力管理方法を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る電力管理方法を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る電力管理方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものである。
【0012】
[実施形態]
(電力管理システム)
以下において、実施形態に係る電力管理システムについて説明する。電力管理システムは、単に、電力システムと称されてもよい。
【0013】
図1に示すように、電力管理システム1は、施設100を有する。電力管理システム1は、下位管理サーバ200、上位管理サーバ300、第三者サーバ400及び外部サーバ500を含む。
【0014】
ここで、施設100、下位管理サーバ200、上位管理サーバ300、第三者サーバ400及び外部サーバ500は、ネットワーク11を介して通信可能に構成される。ネットワーク11は、インターネットを含んでもよく、VPN(Virtual Private Network)などの専用回線を含んでもよく、移動体通信網を含んでもよい。
【0015】
施設100は、電力系統12に接続されており、電力系統12から電力が供給されてもよく、電力系統12に電力を供給してもよい。電力系統12から施設100への電力は、順潮流電力と称されてもよい。施設100から電力系統12への電力は、逆潮流電力と称されてもよい。
図1では、施設100として、施設100A~施設100Cが例示されている。
【0016】
特に限定されるものではないが、施設100は、住宅などの施設であってもよく、店舗などの施設であってもよく、オフィスなどの施設であってもよい。施設100は、2以上の住宅を含む集合住宅であってもよい。施設100は、住宅、店舗及びオフィスの少なくともいずれか2以上の施設を含む複合施設であってもよい。施設100の詳細については後述する(
図2を参照)。なお、施設100を所有又は管理するユーザを施設100と称することもある。
【0017】
下位管理サーバ200は、電力系統12又は施設100に関する電力を管理する事業者によって管理される。事業者は、リソースアグリゲータ(RA)であってもよい。下位管理サーバ200によって管理される1以上の施設100について施設群100と称してもよい。
【0018】
以下において、下位管理サーバ200がRAによって管理されるケースについて例示する。下位管理サーバ200をRAと称することもあり、RAを下位管理サーバ200と称することもある。下位管理サーバ200の詳細については後述する(
図4を参照)。
【0019】
上位管理サーバ300は、電力系統12に関する電力を管理する事業者によって管理される。上位管理サーバ300は、各種サービスを提供する事業者によって管理されてもよい。上位管理サーバ300は、AEMS(Area Energy Management System)と称されてもよく、AC(Aggregation Controller)と称されてもよい。上位管理サーバ300の詳細については後述する(
図3を参照)。
【0020】
事業者は、小売電気事業者であってもよい。小売電気事業者は、電力系統12などの基盤を管理する地域電力事業者(一般電気事業者)を含んでもよく、地域電力事業者以外の新電力事業者を含んでもよい。新電力事業者は、電力市場から電力を調達することによって、施設に対して電力を販売することが想定されてもよい。電力市場は、施設100に供給される電力(調達電力)の取引に関する卸電力市場を含んでもよく、卸電力市場のゲートクローズ後における電力需給のギャップの調整に関する電力調整市場を含んでもよく、供給力(例えば、逆潮流電力)の取引に関する容量市場を含んでもよい。電力市場は、他の小売電気事業者と電力の取引を含んでもよい。電力市場は、他の発電事業者と電力の取引を含んでもよい。すなわち、電力市場は、1対1又は1対他又は多対多などの形態によらずに、電力の取引を行うための取引所であればよい。
【0021】
サービスは、施設群100の順潮流電力(以下、調達電力と称することもある)に関する計画値と施設群100の調達電力に関する実績値との差異(インバランス)が所定差異以下に抑制するためのサービスを含んでもよい。サービスは、施設群100の逆潮流電力(以下、発電電力と称することもある)に関する計画値と施設群100の発電電力に関する実績値との差異(インバランス)が所定差異以下に抑制するためのサービスを含んでもよい。
【0022】
第三者サーバ400は、電力系統12の電力需給バランスを管理する事業者によって管理される。事業者は、電力系統12に関する電力市場を管理してもよい。例えば、第三者サーバ400は、調達電力のインバランスを確認する機能を有してもよい。第三者サーバ400は、発電電力のインバランスを確認する機能を有してもよい。例えば、第三者サーバは、以下に示す動作を行ってもよい。
【0023】
第1に、第三者サーバ400は、調達電力に関する計画値と調達電力に関する実績値との差異(インバランス)が所定差異を超えるか否かを確認してもよい。計画値及び実績値は単位期間(例えば、30分)毎に集計されてもよく、インバランスは、単位期間(例えば、30分)毎に確認されてもよい。第三者サーバ400は、インバランスが所定差異を超える場合に、上位管理サーバ300を管理する事業者に対してペナルティを課してもよい。第三者サーバ400は、インバランスが所定差異を超えない場合に、上位管理サーバ300を管理する事業者に対してインセンティブを付与してもよい。ペナルティ及びインセンティブは、金銭的なものであってもよい。
【0024】
第2に、第三者サーバ400は、発電電力に関する計画値と発電電力の実績値との差異(インバランス)が所定差異を超えるか否かを確認してもよい。計画値及び実績値は単位期間(例えば、30分)毎に集計されてもよく、インバランスは、単位期間(例えば、30分)毎に確認されてもよい。第三者サーバ400は、インバランスが所定差異を超える場合に、上位管理サーバ300を管理する事業者に対してペナルティを課してもよい。第三者サーバ400は、インバランスが所定差異を超えない場合に、上位管理サーバ300を管理する事業者に対してインセンティブを付与してもよい。ペナルティ及びインセンティブは、金銭的なものであってもよい。
【0025】
ここで、発電電力及び調達電力のインバランスが確認される期間を対象期間(例えば、1日)と定義してもよい。このようなケースにおいて、調達電力に関する計画値は、対象期間よりも前のタイミング(例えば、対象期間の前日の12:00)に策定される計画を含んでもよい。発電電力に関する計画値は、対象期間よりも前のタイミング(例えば、対象期間の前日の12:00)に策定される計画値を含んでもよい。さらに、調達電力に関する計画値は、対象期間に含まれる単位期間よりも前のタイミング(例えば、単位期間の1時間前)に策定される計画値を含んでもよい。発電電力に関する計画値は、対象期間に含まれる単位期間よりも前のタイミング(例えば、単位期間の1時間前)に策定される計画値を含んでもよい。
【0026】
特に限定されるものではないが、調達電力に関する計画値と調達電力に関する実績値は、下位管理サーバ200又は上位管理サーバ300から報告されてもよい。発電電力に関する計画値と発電電力に関する実績値は、下位管理サーバ200又は上位管理サーバ300から報告されてもよい。
【0027】
外部サーバ500は、自然災害に関する情報(以下、災害情報)を管理するサーバを含んでもよい。自然災害は、電力系統12の停電に影響を与える災害を含んでもよい。電力系統12の停電に影響を与える災害は、自然災害の二次災害(火災など)を含んでもよい。
【0028】
第1に、災害情報は、大雨、大雪、暴風、暴風雪、波浪、高潮などの災害種別毎に、自然災害の程度(以下、警報レベル)を示す情報を含んでもよい。警報レベルの種類は、特別警報、警報、注意報などのレベルを含んでもよい。
【0029】
ここで、特別警報を有する自然災害、警報を有する自然災害、注意報を有する自然災害は、互いに異なっていてもよい。特別警報を有する自然災害は、大雨、大雪、暴風、暴風雪、波浪、高潮を含んでもよい。警報を有する自然災害は、大雨、洪水、大雪、暴風、暴風雪、波浪、高潮を含んでもよい。注意報を有する自然災害は、大雨、洪水、大雪、強風、風雪、波浪、高潮、雷、濃霧、乾燥、なだれ、着氷、着雪、融雪、霜、低温を含んでもよい。
【0030】
第2に、災害情報は、地震に関する情報を含んでもよい。地震に関する情報は、震源地を示す情報、地震の規模を示す情報を含んでもよい。
【0031】
第3に、災害情報は、津波に関する情報を含んでもよい。津波に関する情報は、各地域における津波の到来時刻を示す情報、各地域における津波の高さを示す情報を含んでもよい。
【0032】
第4に、災害情報は、台風に関する情報を含んでもよい。台風に関する情報は、風の予想進路を示す情報、台風の規模(中心気圧、中心風速、暴風域、強風域など)を示す情報を含んでもよい。
【0033】
実施形態では、施設100に設置される分散電源を利用して、電力系統12に関する電力需給調整制御のサービス(以下、VPP(Virtual Power Plant)サービス)にいて説明する。ACは、RAが制御する電力量を束ね、一般送配電事業者又は小売電気事業者と直接電力取引を行う事業者であると考えてもよい。RAは、施設100(需要家)とVPPサービスの契約を直接締結してリソース制御を行う事業者であると考えてもよい。
【0034】
特に限定されるものではないが、電力需給調整制御は、電力系統12の電力需給バランスを調整する制御を含んでもよい。電力需給調整制御は、調達電力に関するインバランスを調整する制御、発電電力に関するインバランスを調整する制御などを含んでもよい。
【0035】
ここで、施設100に設置される分散電源に制御指令を送信する主体は、VPPコントローラと称されてもよい。下位管理サーバ200がVPPサービスの連携機能を有する場合には、下位管理サーバ200及び後述するEMS160は、VPPコントローラを構成してもよい。このようなケースにおいて、下位管理サーバ200は、RAとして機能する第1サーバと、VPPサービスの連携機能を有する第2サーバとを含んでもよい。第1サーバ及び第2サーバは、別々のサーバであってもよく、1つのサーバに集約されてもよい。
【0036】
実施形態では、VPPコントローラは、電力管理装置の一例である。上位管理サーバ300は、上位ノードの一例である。
【0037】
(施設)
以下において、実施形態に係る施設について説明する。
図2に示すように、施設100は、太陽電池装置110と、蓄電装置120と、燃料電池装置130と、負荷機器140と、EMS(Energy Management System)160と、を有する。施設100は、測定装置190を有してもよい。
【0038】
太陽電池装置110は、太陽光などの光に応じて発電をする分散電源である。例えば、太陽電池装置110は、PCS(Power Conditioning System)及び太陽光パネルによって構成される。ここで、設置とは、太陽電池装置110と電力系統12とが接続されることであってもよい。
【0039】
蓄電装置120は、電力の充電及び電力の放電をする分散電源である。例えば、蓄電装置120は、PCS及び蓄電セルによって構成される。ここで、設置とは、蓄電装置120と電力系統12とが接続されることであってもよい。以下において、蓄電装置120は、電力系統12に関する電力需給調整制御に用いる分散電源の一例である。蓄電装置120は、VPP制御に用いる分散電源の一例であると考えてもよい。
【0040】
燃料電池装置130は、燃料を用いて発電を行う分散電源である。例えば、燃料電池装置130は、PCS及び燃料電池セルによって構成される。ここで、設置とは、燃料電池装置130と電力系統12とが接続されることであってもよい。
【0041】
例えば、燃料電池装置130は、固体酸化物型燃料電池(SOFC; Solid Oxide Fuel Cell)であってもよく、固体高分子型燃料電池(PEFC; Polymer Electrolyte Fuel Cell)であってもよく、リン酸型燃料電池(PAFC; Phosphoric Acid Fuel Cell)であってもよく、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC; Molten Carbonate Fuel Cell)であってもよい。
負荷機器140は、電力を消費する機器である。例えば、負荷機器140は、空調装置、ヒートポンプ給湯器、照明装置などを含んでもよい。
【0042】
EMS160は、施設100に関する電力を管理する。EMS160は、太陽電池装置110、蓄電装置120、燃料電池装置130、負荷機器140を制御してもよい。実施形態では、下位管理サーバ200から制御コマンドを受信する装置としてEMS160を例示するが、このような装置は、Gatewayと称されてもよく、単に制御ユニットと称されてもよい。EMS160は、下位管理サーバ200と区別するために、LEMS(Local EMS)と称されてもよく、HEMS(Home EMS)と称されてもよい。EMS160の詳細については後述する(
図5を参照)。
【0043】
測定装置190は、電力系統12から施設100への順潮流電力(以下、需要電力とも称する)を測定する。測定装置190は、施設100から電力系統12への逆潮流電力を測定してもよい。例えば、測定装置190は、電力会社に帰属するSmart Meterであってもよい。測定装置190は、第1間隔(例えば、30分)における測定結果(順潮流電力又は逆潮流電力の積算値)を示す情報要素を第1間隔毎にEMS160に送信してもよい。測定装置190は、第1間隔よりも短い第2間隔(例えば、1分)における測定結果を示す情報要素をEMS160に送信してもよい。
【0044】
(上位管理サーバ)
以下において、実施形態に係る上位管理サーバについて説明する。
図3に示すように、上位管理サーバ300は、通信部310と、管理部320と、制御部330と、を有する。
【0045】
通信部310は、通信モジュールによって構成される。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5G、6Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0046】
例えば、通信部310は、電力系統12の電力需給バランスの調整が必要な場合に、電力系統12の電力の調整を要請するDR要請を下位管理サーバ200に送信してもよい。DR要請は、順潮流電力の減少(又は逆潮流電力の増大)を要請する下げDR要請を含んでもよく、順潮流電力の増大(又は逆潮流電力の減少)を要請する上げDR要請を含んでもよい。DR要請は、施設群100の全体で調整する要請調整電力量を示す情報を含んでもよい。要請調整電力量は、要請する順潮流電力の減少電力量(例えば、下げDR指示電力量(Wh))を含んでもよい。DR要請は、要請する順潮流電力の増大電力量(例えば、上げDR指示電力量(Wh))を含んでもよい。
【0047】
管理部320は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、不揮発性メモリなどの記憶媒体によって構成される。
【0048】
例えば、管理部320は、施設群100の全体で調整可能な電力量(以下、総調整可能電力量)を管理してもよい。総調整可能電力量は、下位管理サーバ200から受信されてもよい。総調整可能電力量は、順潮流電力の減少(又は逆潮流電力の増大)が可能な電力量(下げDR可能電力量(Wh))を含んでもよい。総調整可能電力量は、順潮流電力の増大(又は逆潮流電力の減少)が可能な電力量(上げDR可能電力量(Wh))を含んでもよい。
【0049】
制御部330は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuit(s))など)によって構成されてもよい。
【0050】
例えば、制御部330は、調整可能電力量に基づいて、分散電源の制御計画を策定してもよい。制御部330は、制御計画に応じて、DR要請の送信を通信部310に指示してもよい。
【0051】
(下位管理サーバ)
以下において、実施形態に係る下位管理サーバについて説明する。
図4に示すように、下位管理サーバ200は、通信部210と、管理部220と、制御部230と、を有する。
【0052】
通信部210は、通信モジュールによって構成される。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5G、6Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0053】
例えば、通信部210は、施設100の施設情報を受信してもよい。施設情報は、施設100が有する分散電源の構成を示す情報を含んでもよく、施設100が有する分散電源の仕様を示す情報を含んでもよい。施設情報は、電力系統12に関する電力需給調整制御(例えば、VPP制御)に参加するか否かを示す情報を含んでもよい。
【0054】
通信部210は、施設100の各々の発電電力に関する計画値を受信してもよい。通信部210は、施設100の各々の需要電力に関する計画値を受信してもよい。
【0055】
通信部210は、施設100の各々に設置される装置を制御する制御指令を送信してもよい。施設100の各々に設置される装置は、太陽電池装置110、蓄電装置120、燃料電池装置130などの分散電源を含んでもよい。施設100の各々に設置される装置は、負荷機器140を含んでもよい。
【0056】
管理部220は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、不揮発性メモリなどの記憶媒体によって構成される。
【0057】
例えば、管理部220は、電力系統12に接続された1以上の施設100を管理してもよい。1以上の施設100の管理は、電力系統12に接続された1以上の分散電源の管理と読み替えられてもよい。
【0058】
管理部220は、施設100に関する情報を管理してもよい。例えば、施設100に関する情報は、施設100に設けられる分散電源(太陽電池装置110、蓄電装置120又は燃料電池装置130)の種別、施設100に設けられる分散電源(太陽電池装置110、蓄電装置120又は燃料電池装置130)のスペックなどである。スペックは、太陽電池装置110の定格発電電力、蓄電装置120の定格充電電力、蓄電装置120の定格放電電力、燃料電池装置130の定格出力電力を含んでもよい。スペックは、蓄電装置120の定格容量、最大充放電電力などを含んでもよい。
【0059】
制御部230は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuit(s))など)によって構成されてもよい。
【0060】
例えば、制御部230は、上位管理サーバ300から受信するDR要請に基づいて、施設100の各々で調整すべき調整電力量を割り当てる。具体的には、制御部230は、施設100の各々で調整すべき調整電力量の合計がDR要請に含まれる要請調整電力量以上となるように、施設100の各々で調整すべき調整電力量を割り当てる。施設100の各々で調整すべき調整電力量は、要請調整電力量と区別するために、個別調整電力量と称されてもよい。
【0061】
なお、個別調整電力量は、施設100毎に割り当てられてもよく、施設100に設置される分散電源(例えば、蓄電装置120)毎に割り当てられてもよい。
【0062】
(EMS)
以下において、実施形態に係るEMSについて説明する。
図5に示すように、EMS160は、第1通信部161と、第2通信部162と、制御部163と、を有する。
【0063】
第1通信部161は、通信モジュールによって構成される。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5G、6Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3又は独自の専用プロトコルなどの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0064】
例えば、第1通信部161は、ネットワーク11を介して下位管理サーバ200と通信を実行する第1通信部を構成する。第1通信部161は、分散電源(実施形態では、蓄電装置120)の動作を指示する制御指令を下位管理サーバ200から受信してもよい。制御指令は、各々の蓄電装置120が制御すべき個別調整電力量を示す情報を含んでもよい。
【0065】
第1通信部161は、負荷機器140と通信を実行してもよく、測定装置190と通信を実行してもよい。
【0066】
第2通信部162は、通信モジュールによって構成される。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5G、6Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3、RS485又は独自の専用プロトコルなどの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0067】
例えば、第2通信部162は、太陽電池装置110、蓄電装置120及び燃料電池装置130と通信を実行してもよい。
図2では信号ラインを省略しているが、第2通信部162は、負荷機器140と通信を実行してもよく、測定装置190と通信を実行してもよい。
【0068】
制御部163は、EMS160を制御する。制御部163は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuit(s))など)によって構成されてもよい。
【0069】
例えば、制御部163は、太陽電池装置110、蓄電装置120及び燃料電池装置130を制御してもよい。制御部163は、負荷機器140を制御してもよい。
【0070】
(動作例)
以下において、実施形態に係る動作例について説明する。以下においては、VPP制御に用いる分散電源が蓄電装置120であるケースについて説明する。また、自然災害に伴う停電に備えて、停電前において蓄電装置120の充電を予め実行する特定制御が実行されるケースについて説明する。特定制御は、BCP(Business Continuity Plan)制御と称されもよい。
【0071】
ここで、特定制御は、蓄電装置120の蓄電残量(例えば、SOC; State Of Charge)が所定残量(例えば、SOC=100%、80%など)となるまで、蓄電装置120の充電を実行する制御であってもよい。特定制御は、蓄電残量が所定残量(例えば、SOC=100%、80%など)以上である蓄電装置120に適用されなくてもよい。
【0072】
(動作例1)
動作例1は、自然災害に伴う停電に備えて多数の蓄電装置120の特定制御が一斉に実行されると、電力系統12の負荷が著しく増大する可能性がある課題を解決するための動作である。
【0073】
動作例1では、上述した通信部210は、自然災害に関する災害情報を受信する受信部を構成する。上述した制御部230は、電力系統12に接続される2以上の蓄電装置を制御する制御部を構成する。
【0074】
下位管理サーバ200は、自然災害に関する災害情報を受信する。下位管理サーバ200は、外部サーバ500から災害情報を受信してもよい。下位管理サーバ200は、施設100が災害情報を取得可能である場合には、災害情報を施設100(例えば、EMS160)から受信してもよい。
【0075】
第1に、特定制御の適用について説明する。特定制御の適用とは、特定制御に対応する制御指令を蓄電装置120に送信する動作であると考えてもよい。特定制御の適用は、蓄電装置120の運転モードを充電モードに変更する制御指令を送信することを含んでもよい。
【0076】
下位管理サーバ200は、災害情報に基づいて、電力系統の停電前において蓄電装置120の充電を実行する特定制御として、2以上の蓄電装置120に対して異なる特定制御を適用する。ここで、異なる特定制御は、以下に示すオプションを含んでもよい。
【0077】
オプション1では、下位管理サーバ200は、災害情報に基づいて、2以上の蓄電装置120の各々について自然災害の程度を特定してもよい。自然災害の程度は、警戒レベルによって特定されてもよい。自然災害の程度は、地震の規模、津波の高さ、台風の規模によって特定されてもよい。
【0078】
下位管理サーバ200は、2以上の蓄電装置120に対して、自然災害の程度に応じて異なる目標充電電力を設定する。目標充電電力は、特定制御において蓄電装置120が目標とする充電電力である。目標充電電力は、瞬時値(W又はkW)で表されてもよく、積算値(Wh又はkWh)で表されてもよく、蓄電残量(%)で表されてよい。蓄電残量は、SOCで表されてよい。
【0079】
例えば、下位管理サーバ200は、自然災害の程度が相対的に大きい蓄電装置120(例えば、特別警報が発令された地域に存在する蓄電装置120)に対して、第1目標充電電力を設定してもよい。下位管理サーバ200は、自然災害の程度が相対的に小さい蓄電装置120(例えば、警報が発令された地域に存在する蓄電装置120)に対して、第1目標充電電力よりも小さい第2目標充電電力を設定してもよい。
【0080】
例えば、自然災害の程度が相対的に大きい又は小さいとは、例えば、特別警報、警報、注意報が発令されている場合に、相対的に大きいものが特別警報であり、小さいものが注意報であってもよい。また、特別警報、警報が発令されている場合は、相対的に大きいものが特別警報であり、小さいものが警報であってもよい。さらに、警報、注意報が発令されている場合は、相対的に大きいものが警報であり、小さいものが注意報であってもよい。なお、自然災害の程度が一番大きいものが発令された場合にのみ、第1目標充電電力が設定されてもよい。例えば、特別警報が発令された場合に、第1目標充電電力を設定するなどの処理が実行されてもよい。
【0081】
特に限定されるものではないが、注意報が発令された地域に存在する蓄電装置120について、目標充電電力としてゼロが設定されてもよく、特定制御が適用されなくてもよい。
【0082】
オプション2では、下位管理サーバ200は、災害情報に基づいて、2以上の蓄電装置120の各々について自然災害の程度を特定してもよい。自然災害の程度は、警戒レベルによって特定されてもよい。自然災害の程度は、地震の規模、津波の高さ、台風の規模によって特定されてもよい。
【0083】
下位管理サーバ200は、2以上の蓄電装置120に対して、自然災害の程度に応じて異なる充電開始時刻を設定する。充電開始時刻は、特定制御において蓄電装置120が充電を開始する時刻である。
【0084】
例えば、下位管理サーバ200は、自然災害の程度が相対的に大きい蓄電装置120(例えば、特別警報が発令された地域に存在する蓄電装置120)に対して、第1充電開始時刻を設定してもよい。下位管理サーバ200は、自然災害の程度が相対的に小さい蓄電装置120(例えば、警報が発令された地域に存在する蓄電装置120)に対して、第1充電開始時刻よりも遅い第2充電開始時刻を設定してもよい。
【0085】
オプション3では、下位管理サーバ200は、災害情報に基づいて、2以上の蓄電装置120の各々について自然災害が波及する時刻に関する波及時刻を特定してもよい。波及時刻は、蓄電装置120の存在する地域への津波の到来時刻であってもよく、蓄電装置120の存在する地域に台風が到達する時刻であってもよい。
【0086】
下位管理サーバ200は、2以上の蓄電装置120に対して、波及時刻に応じて異なる充電開始時刻を設定する。例えば、充電開始時刻は、波及時刻を基準として所定時間前である時刻として定義されてもよい。所定時間は、自然災害の程度(例えば、津波の高さ、台風の規模)に応じて異なっていてもよい。例えば、自然災害の程度が相対的に大きい場合に、第1所定時間が用いられ、自然災害の程度が相対的に小さい場合に、第1所定時間よりも短い第2所定時間が用いられてもよい。
【0087】
動作例1において、オプション1~オプション3の中から選択された1以上のオプションが組み合われてもよい。
【0088】
第2に、特定制御から復帰する復帰制御の適用について説明する。特定制御からの復帰は、特定制御の解除と読み替えられてもよい。復帰制御の適用とは、復帰制御に対応する制御指令を蓄電装置120に送信する動作であると考えてもよい。
【0089】
下位管理サーバ200は、自然災害に伴う電力系統の停電の危機が解消された場合に、2以上の蓄電装置120の各々の蓄電残量を示す情報(蓄電残量情報)を受信する。蓄電残量は、SOCによって表されてもよい。
【0090】
停電の危機の解消は、特別警報の解除、警報の解除、注意報の解除などを含んでもよい。停電の危機の解消は、台風の進路が蓄電装置120の存在する地域から逸れること、蓄電装置120の存在する地域に津波が到達しなくなったことなどを含んでもよい。自然災害に伴って停電が生じる場合には、停電の危機の解消は、停電からの復電を含んでもよい。
【0091】
なお、停電の危機が解消された場合において、停電の危機が解消される前において、停電が実際に生じるケースが想定されてもよく、停電が実際に生じなかったケースが想定されてもよい。
【0092】
動作例1では、上述した通信部210は、自然災害に伴う電力系統の停電の危機が解消された場合に、2以上の蓄電装置120の各々の蓄電残量を示す蓄電残量情報を受信する受信部を構成する。
【0093】
下位管理サーバ200は、自然災害に伴う電力系統の停電の危機が解消された場合に、特定制御から復帰する復帰制御として、2以上の蓄電装置120に対して異なる復帰制御を適用する。具体的には、下位管理サーバ200は、2以上の蓄電装置120に対して、復帰制御を適用する時刻(以下、復帰時刻)として異なる時刻を設定する。異なる時刻の設定は、以下に示すオプションを含んでもよい。
【0094】
特に限定されるものではないが、復帰制御の内容は、特定制御を実行する前において蓄電装置120に適用されていた制御(以下、従前制御)であってもよく、従前制御以外の制御であってもよい。
【0095】
オプション1では、下位管理サーバ200は、停電の危機の解消に応じて受信する蓄電装置120の蓄電残量に基づいて、2以上の蓄電装置120に対して、復帰時刻として異なる時刻を設定してもよい。
【0096】
例えば、下位管理サーバ200は、停電が実際に生じなかったケースなどにおいて、蓄電残量が第1残量よりも高い蓄電装置120の数が閾値以上である場合に、2以上の蓄電装置120に対して、復帰時刻として異なる時刻を設定してもよい。特に限定されるものではないが、下位管理サーバ200は、蓄電装置120の放電制御が復帰制御として実行されるケースを想定して、蓄電残量が相対的に高い蓄電装置120に対して第1復帰時刻を設定し、蓄電残量が相対的に低い蓄電装置120に対して第1復帰時刻よりも遅い第2復帰時刻を設定してもよい。
【0097】
例えば、下位管理サーバ200は、停電が実際に生じたケースなどにおいて、蓄電残量が第2残量よりも低い蓄電装置120の数が閾値以上である場合に、2以上の蓄電装置120に対して、復帰時刻として異なる時刻を設定してもよい。特に限定されるものではないが、下位管理サーバ200は、蓄電装置120の充電制御が復帰制御として実行されるケースを想定して、蓄電残量が相対的に低い蓄電装置120に対して第1復帰時刻を設定し、蓄電残量が相対的に高い蓄電装置120に対して第1復帰時刻よりも遅い第2復帰時刻を設定してもよい。
【0098】
オプション2では、下位管理サーバ200は、復帰制御の内容が従前制御である場合において、従前制御の内容に基づいて、2以上の蓄電装置120に対して、復帰時刻として異なる時刻を設定してもよい。
【0099】
例えば、下位管理サーバ200は、2以上の蓄電装置120の従前制御の放電電力の合計が所定放電電力よりも大きい場合に、2以上の蓄電装置120に対して、復帰時刻として異なる時刻を設定してもよい。特に限定されるものではないが、下位管理サーバ200は、蓄電残量が相対的に高い蓄電装置120に対して第1復帰時刻を設定し、蓄電残量が相対的に低い蓄電装置120に対して第1復帰時刻よりも遅い第2復帰時刻を設定してもよい。
【0100】
例えば、下位管理サーバ200は、2以上の蓄電装置120の従前制御の充電電力の合計が所定充電電力よりも大きい場合に、2以上の蓄電装置120に対して、復帰時刻として異なる時刻を設定してもよい。特に限定されるものではないが、下位管理サーバ200は、蓄電残量が相対的に低い蓄電装置120に対して第1復帰時刻を設定し、蓄電残量が相対的に高い蓄電装置120に対して第1復帰時刻よりも遅い第2復帰時刻を設定してもよい。
【0101】
(動作例2)
動作例2は、VPPで用いる蓄電装置120の中に、特定制御を自律的に実行する蓄電装置120が混在する場合に、蓄電装置120の充電が自律的に行われることによってVPP制御を適切に実行することができない課題を解決するための動作である。なお、自律的な実行とは、下位管理サーバ200から受信する制御指令によらずに、蓄電装置120が自らの判断で実行することであってもよい。
【0102】
動作例2では、上述した通信部210は、電力系統12に接続された2以上の蓄電装置120の各々から、電力系統12の停電前において蓄電装置120の充電を実行する特定制御を自律的に実行する機能に関する対応情報を受信する受信部を構成する。上述した制御部230は、対応情報に基づいて、電力系統12に関する電力需給調整制御(VPP制御)として、2以上の蓄電装置120の各々の充電制御又は放電制御を実行する制御部を構成する。
【0103】
下位管理サーバ200は、蓄電装置120の各々から、特定制御を自律的に実行する機能に関する対応情報を受信する。対応情報は、特定制御を自律的に実行する機能を有するか否かを示す情報(静的な情報)を含んでもよい。対応情報は、特定制御を自律的に実行中であるか否かを示す情報(動的な情報)を含んでもよい。
【0104】
下位管理サーバ200は、対応情報に基づいて、電力系統12に関する電力需給調整制御(VPP制御)として、2以上の蓄電装置120の各々の充電制御又は放電制御を実行する。VPP制御は、以下に示すオプションを含んでもよい。
【0105】
オプション1では、下位管理サーバ200は、VPP制御の対象から特定制御を自律的に実行する機能を有する第1蓄電装置を特定条件下で除外し、VPP制御の対象に特定制御を自律的に実行する機能を有していない第2蓄電装置を含める。特定制御は、第1蓄電装置の存在する地域で停電が生じている条件を含んでもよく、第1蓄電装置の存在する地域で自然災害に伴う停電が想定される条件を含んでもよく、第1蓄電装置の存在する地域で計画停電が予定される条件を含んでもよく、全ての第1蓄電装置を対象とする条件を含んでもよい。このようなケースで用いる対応情報は、特定制御を自律的に実行する機能を有するか否かを示す情報(静的な情報)であってもよい。
【0106】
ここで、下位管理サーバ200は、VPP制御の対象から第1蓄電装置の充電に寄与する機器を特定条件下で除外してもよい。第1蓄電装置の充電に寄与する機器は、第1蓄電装置の特定制御において、第1蓄電装置に電力を供給する発電装置(例えば、太陽電池装置110、燃料電池装置130)を含んでもよく、第1蓄電装置の充電を補助するために消費電力を削減する負荷機器140を含んでもよい。
【0107】
下位管理サーバ200は、VPP制御で第2蓄電装置を用いることが可能である旨を、上位ノード(実施形態では、上位管理サーバ300(AEMS又はAC))に対して送信してもよい。上述した通信部210は、送信部を構成する。
【0108】
VPP制御で第2蓄電装置を用いることが可能である旨は、DR要請に対応可能な機器のリスト(例えば、制御可能機器リスト)であってもよい。すなわち、下位管理サーバ200は、第2蓄電装置を含む制御可能機器リストを上位管理サーバ300に送信してもよい。
【0109】
下位管理サーバ200は、VPP制御で第1蓄電装置及び第1蓄電装置の充電に寄与する機器を用いることが不可である旨を、上位ノード(実施形態では、上位管理サーバ300(AEMS又はAC))に対して送信してもよい。
【0110】
VPP制御で第1蓄電装置を用いることが不可である旨は、DR要請に対応不可な機器のリスト(例えば、制御不可機器リスト)であってもよい。すなわち、下位管理サーバ200は、第1蓄電装置及び第1蓄電装置の充電に寄与する機器を含む制御不可機器リストを上位管理サーバ300に送信してもよい。
【0111】
オプション2では、下位管理サーバ200は、VPP制御の対象から特定制御を実行中である又は実行予定がある第3蓄電装置を除外し、VPP制御の対象に特定制御を実行中ではない又は実行予定のない第4蓄電装置を含める。このようなケースで用いる対応情報は、特定制御を自律的に実行中であるか否か又は実行予定があるか否かを示す情報(動的な情報)であってもよい。実行予定があるケースは、DR要請が想定される時刻において特定制御を自律的に実行する予定があるケースを含んでもよい。特定制御を自律的に実行する予定があるか否かは、DR要請が想定される時刻において自然災害に伴う停電が想定されるか否か、DR要請が想定される時刻において計画停電が予定されるか否かによって特定されてもよい。
【0112】
ここで、下位管理サーバ200は、VPP制御の対象から第3蓄電装置の充電に寄与する機器を除外してもよい。第3蓄電装置の充電に寄与する機器は、第3蓄電装置の特定制御において、第3蓄電装置に電力を供給する発電装置(例えば、太陽電池装置110、燃料電池装置130)を含んでもよく、第3蓄電装置の充電を補助するために消費電力を削減する負荷機器140を含んでもよい。
【0113】
下位管理サーバ200は、VPP制御で第4蓄電装置を用いることが可能である旨を、上位ノード(実施形態では、上位管理サーバ300(AEMS又はAC))に対して送信してもよい。上述した通信部210は、送信部を構成する。
【0114】
VPP制御で第4蓄電装置を用いることが可能である旨は、DR要請に対応可能な機器のリスト(例えば、制御可能機器リスト)であってもよい。すなわち、下位管理サーバ200は、第4蓄電装置を含む制御可能機器リストを上位管理サーバ300に送信してもよい。
【0115】
下位管理サーバ200は、VPP制御で第3蓄電装置及び第3蓄電装置の充電に寄与する機器を用いることが不可である旨を、上位ノード(実施形態では、上位管理サーバ300(AEMS又はAC))に対して送信してもよい。
【0116】
VPP制御で第3蓄電装置を用いることが不可である旨は、DR要請に対応不可な機器のリスト(例えば、制御不可機器リスト)であってもよい。すなわち、下位管理サーバ200は、第3蓄電装置及び第3蓄電装置の充電に寄与する機器を含む制御不可機器リストを上位管理サーバ300に送信してもよい。
【0117】
動作例2において、VPPサービスの契約などによって、オプション1又はオプション2のいずれを用いるか定められてもよい。
【0118】
(電力管理方法)
以下において、実施形態に係る電力管理方法について説明する。以下においては、下位管理サーバ200は、VPPコントローラの少なくとも一部を構成してもよい。
【0119】
第1に、上述した動作例1に係る電力管理方法について、
図6及び
図7を参照しながら説明する。
【0120】
図6に示すように、ステップS10において、自然災害が発生する状況又は自然災害が予測される状況が生じる。自然災害が発生する状況は、大雨、洪水、大雪、強風、風雪、波浪、高潮、雷、濃霧、乾燥、なだれ、着氷、着雪、融雪、霜、低温、地震、津波、台風などが発生する状況であってもよい。自然災害が予測される状況は、各種警報の発令される状況、自然災害(地震、津波、台風など)が蓄電装置120の存在する地域に波及する予測が生じる状況であってもよい。
【0121】
ステップS11において、下位管理サーバ200は、災害情報を取得する。下位管理サーバ200は、災害情報を定期的に外部サーバ500から受信してもよい。下位管理サーバ200は、災害の発生又は予測に応じて災害情報を外部サーバ500から受信してもよい。
【0122】
ステップS12Aにおいて、下位管理サーバ200は、特定制御の実行を指示する制御指令を蓄電装置#Aに送信する。ステップS12Bにおいて、下位管理サーバ200は、特定制御の実行を指示する制御指令を蓄電装置#Bに送信する。
【0123】
ステップ13Aにおいて、蓄電装置#Aは、制御指令に応じて、特定制御を実行する。ステップ13Bにおいて、蓄電装置#Bは、制御指令に応じて、特定制御を実行する。
【0124】
ここで、蓄電装置#Aの特定制御で参照される目標充電電力は、蓄電装置#Bの特定制御で参照される目標充電電力と異なってもよい。例えば、蓄電装置#Aの存在する地域に特別警報が発令され、蓄電装置#Bの存在する地域に警報が発令されるケースでは、蓄電装置#Aの目標充電電力は、蓄電装置#Bの目標充電電力よりも大きくてもよい。
【0125】
蓄電装置#Aが特定制御を開始する時刻(充電開始時刻)は、蓄電装置#Bが特定制御を開始する時刻(充電開始時刻)と異なってもよい。例えば、蓄電装置#Aの存在する地域に特別警報が発令され、蓄電装置#Bの存在する地域に警報が発令されるケースでは、蓄電装置#Aの充電開始時刻は、蓄電装置#Bの充電開始時刻よりも早くてもよい。
【0126】
図7に示すように、ステップS20において、停電の危機が解消する状況が生じる。停電の危機の解消は、特別警報の解除、警報の解除、注意報の解除などを含んでもよい。停電の危機の解消は、台風の進路が蓄電装置120の存在する地域から逸れること、蓄電装置120の存在する地域に津波が到達しなくなったことなどを含んでもよい。自然災害に伴って停電が生じる場合には、停電の危機の解消は、停電からの復電を含んでもよい。
【0127】
ステップS21Aにおいて、蓄電装置#Aは、下位管理サーバ200から送信される制御指令を待機する。ステップS21Bにおいて、蓄電装置#Bは、下位管理サーバ200から送信される制御指令を待機する。
【0128】
ステップS22Aにおいて、蓄電装置#Aは、蓄電装置#Aの蓄電残量を示す蓄電残量情報を下位管理サーバ200に送信する。ステップS22Bにおいて、蓄電装置#Bは、蓄電装置#Bの蓄電残量を示す蓄電残量情報を下位管理サーバ200に送信する。蓄電装置#A及び蓄電装置#Bは、下位管理サーバ200の要求に応じて、蓄電残量情報を送信してもよく、停電の危機の解消に応じて、自律的に蓄電残量情報を送信してもよい。
【0129】
ステップS23Aにおいて、下位管理サーバ200は、復帰制御の実行を指示する制御指令を蓄電装置#Aに送信する。ステップS23Bにおいて、下位管理サーバ200は、復帰制御の実行を指示する制御指令を蓄電装置#Bに送信する。
【0130】
ステップ24Aにおいて、蓄電装置#Aは、制御指令に応じて、復帰制御を実行する。ステップ24Bにおいて、蓄電装置#Bは、制御指令に応じて、復帰制御を実行する。
【0131】
ここで、蓄電装置#Aが復帰制御を開始する時刻(復帰時刻)は、蓄電装置#Bが復帰制御を開始する時刻(復帰時刻)と異なってもよい。復帰制御の内容は、特定制御を実行する前において蓄電装置120に適用されていた制御(従前制御)であってもよく、従前制御以外の制御であってもよい。
【0132】
第2に、上述した動作例2に係る電力管理方法について、
図8を参照しながら説明する。
図8において、蓄電装置#Cは、特定制御を自律的に実行する機能を有する蓄電装置120の一例である。蓄電装置#Dは、特定制御を自律的に実行する機能を有していない蓄電装置120の一例である。
【0133】
図8に示すように、ステップS30において、下位管理サーバ200は、特定制御を自律的に実行する機能に関する対応情報を蓄電装置#C及び蓄電装置#Dから受信する。ステップS30で受信する対応情報は、特定制御を自律的に実行する機能を有するか否かを示す情報(静的な情報)である。蓄電装置#C及び蓄電装置#Dは、下位管理サーバ200の要求に応じて対応情報を送信してもよい。
【0134】
ステップS31において、下位管理サーバ200は、DR要請に対応可能な機器のリスト(対応可能機器リスト)をACに送信してもよい。例えば、対応可能機器リストは、蓄電装置#Cを含まずに、蓄電装置#Dを含んでもよい。下位管理サーバ200は、DR要請に対応不可な機器のリスト(対応不可機器リスト)をACに送信してもよい。例えば、対応不可機器リストは、蓄電装置#Dを含まずに、蓄電装置#Cを含んでもよい。
【0135】
ステップS40において、自然災害が発生する状況又は自然災害が予測される状況が生じる。自然災害が発生する状況は、大雨、洪水、大雪、強風、風雪、波浪、高潮、雷、濃霧、乾燥、なだれ、着氷、着雪、融雪、霜、低温、地震、津波、台風などが発生する状況であってもよい。自然災害が予測される状況は、各種警報の発令される状況、自然災害(地震、津波、台風など)が蓄電装置120の存在する地域に波及する予測が生じる状況であってもよい。
【0136】
ステップS41において、下位管理サーバ200は、災害情報を取得する。下位管理サーバ200は、災害情報を定期的に外部サーバ500から受信してもよい。下位管理サーバ200は、災害の発生又は予測に応じて災害情報を外部サーバ500から受信してもよい。
【0137】
ステップS42において、蓄電装置#Cの地域で自然災害が発生又は予測される場合に、蓄電装置#Cは、特定制御を自律的に実行する。自律的な実行とは、下位管理サーバ200から受信する制御指令によらずに、蓄電装置120が自らの判断で実行することであってもよい。
【0138】
ステップS43において、下位管理サーバ200は、特定制御を実行中であるか否か又は実行予定があるか否かを問い合わせる情報(情報要求)を蓄電装置#C及び蓄電装置#Dに送信する。
【0139】
ステップS44において、下位管理サーバ200は、特定制御を自律的に実行する機能に関する対応情報を蓄電装置#C及び蓄電装置#Dから受信する。ステップS44で受信する対応情報は、特定制御を実行中であるか否か又は実行予定があるか否かを示す情報(静的な情報)である。蓄電装置#C及び蓄電装置#Dは、下位管理サーバ200の要求によらずに自律的対応情報を送信してもよい。
【0140】
ステップS45において、下位管理サーバ200は、DR要請に対応可能な機器のリスト(対応可能機器リスト)をACに送信してもよい。例えば、対応可能機器リストは、蓄電装置#Cを含まずに、蓄電装置#Dを含んでもよい。下位管理サーバ200は、DR要請に対応不可な機器のリスト(対応不可機器リスト)をACに送信してもよい。例えば、対応不可機器リストは、蓄電装置#Dを含まずに、蓄電装置#Cを含んでもよい。
【0141】
ステップS50において、ACは、電力系統12の電力需給バランスを維持するための制御計画を策定する。ACは、ステップS31又はステップS45で受信する情報(機器リスト)に基づいて、蓄電装置#Cを除外して制御計画を策定してもよい。
【0142】
ステップS51において、ACは、制御計画に従ってDR要請を下位管理サーバ200に送信する。DR要請は、施設群100の全体で調整する要請調整電力量を示す情報を含んでもよい。
【0143】
ステップS52において、下位管理サーバ200は、施設100の各々で調整すべき調整電力量を割り当てる。下位管理サーバ200は、施設100の各々で調整すべき調整電力量の合計がDR要請に含まれる要請調整電力量以上となるように、施設100の各々で調整すべき調整電力量を割り当てる。ここで、下位管理サーバ200は、VPP制御(調整電力量の割当対象)の対象から蓄電装置#Cを除外し、VPP制御(調整電力量の割当対象)の対象に蓄電装置#Dを含める。
【0144】
ステップS53において、下位管理サーバ200は、ステップS52の割当結果に応じて、充電又は放電を指示する制御指令を蓄電装置#Dに送信する。
【0145】
図8では、説明の便宜上、動作例2のオプション1(ステップS30及びステップS31)及び動作例2のオプション2(ステップS43~ステップS45)の双方について記載した。しかしながら、動作例2はこれに限定されるものではない。
【0146】
例えば、オプション1が採用される場合には、ステップS43~ステップS45の処理が省略されてもよい。このようなケースにおいて、蓄電装置#Cが特定制御を実際に実行するか否かによらずに、蓄電装置#CがVPP制御の対象から除外されてもよい。
【0147】
或いは、オプション1が採用される場合には、ステップS30及びステップS31の処理が省略されてもよい。このようなケースにおいて、蓄電装置#Cが特定制御を実際に実行する場合に、蓄電装置#CがVPP制御の対象から除外され、蓄電装置#Cが特定制御を実際に実行していない場合に、蓄電装置#CがVPP制御の対象から除外されなくてもよい。
【0148】
(作用及び効果)
実施形態では、下位管理サーバ200は、災害情報に基づいて、電力系統12の停電前において蓄電装置120の充電を実行する特定制御として、2以上の蓄電装置120に対して異なる特定制御を適用する。このような構成によれば、2以上の蓄電装置120が一斉に特定制御(充電)を開始する事態を回避することによって、電力系統12の負荷の増大(例えば、不測の増大)を抑制することができる。
【0149】
実施形態では、下位管理サーバ200は、自然災害に伴う電力系統12の停電の危機が解消された場合に、2以上の蓄電装置120の各々の蓄電残量を示す情報を受信する。このような構成によれば、停電の危機が解消される前において、停電が実際に生じたか否かによって異なる各蓄電装置120の蓄電残量を把握することによって、停電の危機が解消された後のVPP制御を適切に実行することができる。
【0150】
実施形態では、下位管理サーバ200は、自然災害に伴う電力系統12の停電の危機が解消された場合に、特定制御から復帰する復帰制御として、2以上の蓄電装置120に対して異なる復帰制御を適用する。停電の危機が解消された後において、蓄電装置120が一斉に充電又は放電を開始する事態を回避することによって、電力系統12の負荷の増大(例えば、不測の増大)を抑制することができる。
【0151】
実施形態では、下位管理サーバ200は、蓄電装置120の各々から、特定制御を自律的に実行する機能に関する対応情報を受信する。このような構成によれば、蓄電装置120が特定制御を自律的に実行するケースを想定して、VPP制御を適切に実行することができる。例えば、特定制御を自律的に実行する蓄電装置120において制御指令とは異なる制御(すなわち、特定制御)が実行される事態を回避することができる。或いは、蓄電装置120によって自律的に実行される特定制御を制御指令で変更する事態を回避することができる。
【0152】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0153】
上述した開示において、VPP制御に用いる分散電源が蓄電装置120であるケースについて例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。VPP制御に用いる分散電源は、太陽電池装置110、燃料電池装置130などを含んでもよい。VPP制御に用いる分散電源は、風力発電装置、地熱発電装置などを含んでもよい。
【0154】
上述した開示において、VPP制御に用いる分散電源は、蓄電装置120及びEMS160を含む分散電源システムと読み替えられてもよい。
【0155】
上述した開示では、主として発電電力という用語を用いたが、発電電力は、逆潮流電力と読み替えてもよい。
【0156】
上述した開示では、主として調達電力という用語を用いたが、調達電力は、順潮流電力と読み替えてもよい。調達電力は、施設群100の順潮流電力について用いる用語であり、需要電力は、施設100の各々の順潮流電力について用いる用語であると考えてもよい。
【0157】
上述した開示では特に触れていないが、VPPコントローラと蓄電装置120との間の通信は、ECHONET Lite(登録商標)に準拠する方式で実行されてもよい。
【0158】
上述した開示では特に触れていないが、電力は、瞬時値(W/kW)で表されてもよく、単位時間の積算値(Wh/kWh)で表されてもよい。
【0159】
上述した開示では特に触れていないが、下位管理サーバ200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0160】
或いは、下位管理サーバ200が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成されるチップが提供されてもよい。
【0161】
[付記]
上述した開示は以下のように表されてもよい。
第1の特徴は、電力系統に接続された2以上の蓄電装置の各々から、前記電力系統の停電前において蓄電装置の充電を実行する特定制御を自律的に実行する機能に関する対応情報を受信する受信部と、前記対応情報に基づいて、前記電力系統に関する電力需給電力需給調整制御として、前記2以上の蓄電装置の各々の充電制御又は放電制御を実行する制御部と、を備える、電力管理装置である。
【0162】
第2の特徴は、第1の特徴において、前記制御部は、前記電力需給調整制御の対象から前記特定制御を自律的に実行する機能を有する第1蓄電装置を特定条件下で除外し、前記電力需給調整制御の対象に前記特定制御を自律的に実行する機能を有していない第2蓄電装置を含める、電力管理装置である。
【0163】
第3の特徴は、第2の特徴において、前記制御部は、前記電力需給調整制御の対象から前記第1蓄電装置の充電に寄与する機器を前記特定条件下で除外する、電力管理装置である。
【0164】
第4の特徴は、第2の特徴又は第3の特徴において、前記電力需給調整制御で前記第2蓄電装置を用いることが可能である旨を示す情報を、上位ノードに対して送信する送信部を備える、電力管理装置である。
【0165】
第5の特徴は、第1の特徴乃至第4の特徴のいずれか1つにおいて、前記制御部は、前記電力需給調整制御の対象から前記特定制御を実行中である又は実行予定がある第3蓄電装置を除外し、前記電力需給調整制御の対象に前記特定制御を実行中ではない又は実行予定のない第4蓄電装置を含める、電力管理装置である。
【0166】
第6の特徴は、第5の特徴において、前記制御部は、前記電力需給調整制御の対象から前記第3蓄電装置の充電に寄与する機器を除外する、電力管理装置である。
【0167】
第7の特徴は、第5の特徴又は第6の特徴において、前記電力需給調整制御で前記第4蓄電装置を用いることが可能である旨を示す情報を、上位ノードに対して送信する送信部を備える、電力管理装置である。
【0168】
第8の特徴は、電力系統に接続された2以上の蓄電装置の各々から、前記電力系統の停電前において蓄電装置の充電を実行する特定制御を自律的に実行する機能に関する対応情報を受信するステップと、前記対応情報に基づいて、前記電力系統に関する電力需給調整制御として、前記2以上の蓄電装置の各々の充電制御又は放電制御を実行するステップと、を備える、電力管理方法である。
【符号の説明】
【0169】
1…電力管理システム、11…ネットワーク、12…電力系統、100…施設、110…太陽電池装置、120…蓄電装置、130…燃料電池装置、140…負荷機器、160…EMS、161…第1通信部、162…第2通信部、163…制御部、190…測定装置、200…下位管理サーバ、210…通信部、220…管理部、230…制御部、300…上位管理サーバ、310…通信部、320…管理部、330…制御部、400…第三者サーバ、500…外部サーバ