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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】カプラ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 31/06 20060101AFI20250408BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
H01R31/06 P
H01R13/52 301Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022188838
(22)【出願日】2022-11-28
(65)【公開番号】P2024077034
(43)【公開日】2024-06-07
【審査請求日】2024-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 広道
(72)【発明者】
【氏名】牧野 崇
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-146753(JP,A)
【文献】実開平03-118576(JP,U)
【文献】特開2022-113255(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0239029(US,A1)
【文献】実開昭48-000487(JP,U)
【文献】特開2019-207866(JP,A)
【文献】特開平11-144795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/00-13/08
H01R 13/15-13/533
H01R 27/00-31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電線の端部に取り付けられ、側部に突設される第一ランスを有する第一端子と、
第二電線の端部に取り付けられ、側部に突設される第二ランスを有し、前記第一端子と接続する第二端子と、
延在方向に沿って延びる挿通空間、前記挿通空間の一方側で開口し前記第一端子を挿入可能とする第一開口部、前記挿通空間と外部を連通し前記第一ランスを掛止させる第一連通孔、前記挿通空間の他方側で開口し前記第二端子を挿入可能する第二開口部、及び、前記挿通空間と外部を連通し前記第二ランスを掛止させる第二連通孔を形成している本体部と、
前記第一連通孔に対し外側から嵌め込まれる第一止水栓と、
前記第二連通孔に対し外側から嵌め込まれる第二止水栓と、を備え、
前記第一連通孔は、前記挿通空間側に形成され前記挿通空間と連なり前記第一ランスを掛止させる第一掛止室、及び、前記本体部の外部側に形成され前記外部と連なり前記第一止水栓を収容する第一収容室を形成し、
前記第一掛止室は、前記第一連通孔の連通方向と直交する断面方向において、前記第一収容室より小さく形成され、
前記第二連通孔は、前記挿通空間側に形成され前記挿通空間と連なり前記第二ランスを掛止させる第二掛止室、及び、前記本体部の外部側に形成され前記本体部の外部と連なり前記第二止水栓を収容する第二収容室を形成し、
前記第二掛止室は、前記第二連通孔の連通方向と直交する断面方向において、前記第二収容室より小さく形成されている、
カプラ装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記第一ランスが前記第一連通孔に掛止され前記第二ランスが前記第二連通孔に掛止された場合、前記第一端子と前記第二端子を前記挿通空間内で接続させる、
請求項1に記載のカプラ装置。
【請求項3】
筒状を呈し、前記第一電線の外周に装着され、前記第一電線と共に前記挿通空間へ挿入され、前記第一電線と前記本体部の間の止水を行う第一シール部材と、
筒状を呈し、前記第二電線の外周に装着され、前記第二電線と共に前記挿通空間へ挿入され、前記第二電線と前記本体部の間の止水を行う第二シール部材と、を更に備える、
請求項1又は2に記載のカプラ装置。
【請求項4】
前記本体部は、非分割構造で前記延在方向に沿った長尺体である、
請求項1又は2に記載のカプラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カプラ装置として、例えば、特許文献1に記載されるように、二つの電線を接続する場合、一方の電線に取り付けられるオス端子をオスカプラに接続し、他方の電線に取り付けられるメス端子をメスカプラに接続し、オスカプラとメスカプラを接続して電線の接続を行うものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-162892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなカプラ装置において、部品点数が多くなるという点で改善の余地がある。すなわち、メスカプラとオスカプラの着脱が不要である場合、簡易な構造により電線同士を接続でき、部品点数を削減して電線の接続が行えるカプラ装置の開発が望まれる。また、カプラ装置の使用環境に応じて、止水性を確保できることが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、部品点数の低減を図り電線の接続が行え、止水性を確保できるカプラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係るカプラ装置は、第一電線の端部に取り付けられ、側部に突設される第一ランスを有する第一端子と、第二電線の端部に取り付けられ、側部に突設される第二ランスを有し、第一端子と接続する第二端子と、延在方向に沿って延びる挿通空間、挿通空間の一方側で開口し第一端子を挿入可能とする第一開口部、挿通空間と外部を連通し第一ランスを掛止させる第一連通孔、挿通空間の他方側で開口し第二端子を挿入可能する第二開口部、及び、挿通空間と外部を連通し第二ランスを掛止させる第二連通孔を形成している本体部と、第一連通孔に対し外側から嵌め込まれる第一止水栓と、第二連通孔に対し外側から嵌め込まれる第二止水栓とを備えて構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るカプラ装置によれば、部品点数の低減を図り電線の接続が行え、止水性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るカプラ装置の分解斜視図である。
図2図2は、カプラ装置の接続時の垂直断面図である。
図3図3は、実施形態に係るカプラ装置における電線接続の説明図である。
図4図4は、実施形態に係るカプラ装置における電線接続の説明図である。
図5図5は、実施形態に係るカプラ装置における電線接続の説明図である。
図6図6は、実施形態に係るカプラ装置における止水栓の取付の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
本実施形態は、カプラ装置に関する。図1は、実施形態に係るカプラ装置の分解斜視図であり、図2は、カプラ装置の接続時の垂直断面図である。図3図5は、実施形態に係るカプラ装置における端子接続の説明図である。図6は、実施形態に係るカプラ装置における止水栓の取付の説明図である。
【0011】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「接続方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z」という。ここでは、接続方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に直交する。接続方向Xは、端子の接続方向、又は、端子及び本体部の延在方向に相当する。幅方向Yと高さ方向Zとは、接続方向Xと交差する交差方向に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。なお、ここでいう直交は、ほぼ直交を含む。
【0012】
図1に示すように、カプラ装置1は、第一端子2、第二端子3、本体部4、第一止水栓5及び第二止水栓6を備えている。カプラ装置1は、第一端子2と第二端子3を本体部4内で接続する装置であり、第一端子2と第二端子3を接続することにより、第一端子2が取り付けられる第一電線W1と第二端子3が取り付けられる第二電線W2を接続することができる。カプラ装置1は、例えば、車両に搭載される。第一電線W1及び第二電線W2は、例えば、車両における制御系又は電力系の電線、ケーブルなどを構成する。
【0013】
第一端子2は、第一電線W1の端部に取り付けられる端子であり、例えば、第一電線W1の端部に圧着されて取り付けられる圧着端子である。第一端子2は、電線接続部21、連結部22及び電気接続部23を有する。電線接続部21、連結部22及び電気接続部23は、導電性の金属により構成され、例えば、各部に対応した形状に打ち抜かれた一枚の板金をプレス及び折り曲げ成形することにより一体で形成される。第一端子2は、延在方向(接続方向X)に向けて、電線接続部21、連結部22、電気接続部23の順で形成され相互に連結されている。
【0014】
第一電線W1は、例えば、導体部の外周に絶縁被覆部を設けて構成され、端部が導体部を露出した状態とされ、その端部に第一端子2が取り付けられている。すなわち、第一端子2の電線接続部21は、第一電線W1の導体部と絶縁被覆部を加締めて圧着することにより取り付けられている。連結部22は、電線接続部21と電気接続部23を連結する部位である。電気接続部23は、第二端子3と電気的に接続される部位であり、例えば、箱型に形成されている。第一端子2は、メス端子であり、電気接続部23に第二端子3の端子部331を挿入させるための接続孔231が形成されている。接続孔231は、電気接続部23の端面から第二端子3の延在方向へ延びている。
【0015】
図2に示すように、第一端子2の電気接続部23には、端子部232が形成されている。端子部232は、例えば、接続孔231内に形成される二つの接触片であり、第二端子3の端子部331を挟み込んで端子部331と接続される。第一端子2には、第一ランス25が形成されている。第一ランス25は、本体部4に挿入された第一端子2を固定し抜け出しを防止する部材である。第一ランス25は、例えば、電気接続部23の側部を外側へ折り曲げて形成される。つまり、第一ランス25は、電気接続部23の側部を切り欠き、この切り欠いた部分の第一電線W1側を持ち上げ、外側へ鋭角に突出させて設けられ、高さ方向Zに対し弾性変形可能とされる。第一ランス25は、第一端子2の先端側に向けて先細り状とされ、第一端子2の本体部4への進入を許容し、後退を規制する。
【0016】
第一電線W1には、第一シール部材7が装着されている。第一シール部材7は、第一電線W1と共に本体部4の挿通空間41へ挿入され、第一電線W1と本体部4の間の止水を行う部材である。第一シール部材7は、筒状を呈しており、第一電線W1を挿通させる挿通孔73を形成している。第一シール部材7は、シール部71及び取付部72を有し、シール部71と取付部72を軸方向(接続方向X)に連ねて構成されている。取付部72は、第一シール部材7を取り付けるための部位であり、例えば、第一電線W1と共に電線接続部21によって加締められて第一端子2に取り付けられる。シール部71は、本体部4の挿通空間41へ挿通された場合に、外周面を挿通空間41の内周面に密着させて第一電線W1と本体部4の間を止水する。シール部71は、外周に径方向の断面を山型とした複数のリップを形成している。
【0017】
図1において、第二端子3は、第二電線W2の端部に取り付けられる端子であり、例えば、第二電線W2の端部に圧着されて取り付けられる圧着端子である。第二端子3は、電線接続部31、連結部32及び電気接続部33を有する。電線接続部31、連結部32及び電気接続部33は、導電性の金属により構成され、例えば、各部に対応した形状に打ち抜かれた一枚の板金をプレス及び折り曲げ成形することにより一体で形成される。第二端子3は、延在方向(接続方向X)に向けて、電線接続部31、連結部32、電気接続部33の順で形成され相互に連結されている。
【0018】
第二電線W2は、例えば、導体部の外周に絶縁被覆部を設けて構成され、端部が導体部を露出した状態とされ、その端部に第一端子2が取り付けられている。すなわち、第二端子3の電線接続部31は、第二電線W2の導体部と絶縁被覆部を加締めて圧着することにより取り付けられている。連結部32は、電線接続部31と電気接続部33を連結する部位である。電気接続部33は、第一端子2と電気的に接続される部位であり、例えば、箱型に形成されている。第二端子3は、オス端子であり、電気接続部33に第一端子2の端子部232に接続される端子部331を形成している。端子部331は、電気接続部33の端面から第二端子3の延在方向へ延びるタブ状の端子であり、例えば板体又は棒体とされる。
【0019】
図2において、第二端子3には、第二ランス35が形成されている。第二ランス35は、本体部4に挿入された第二端子3を固定し抜け出しを防止する部材である。第二ランス35は、例えば、電気接続部33の側部を外側へ折り曲げて形成される。つまり、第二ランス35は、電気接続部33の側部を切り欠き、この切り欠いた部分の第二電線W2側を持ち上げ、鋭角に外側へ鋭角に突出させて設けられ、高さ方向Zに対し弾性変形可能とされる。第二ランス35は、第二端子3の先端側に向けて先細り状とされ、第二端子3の本体部4への進入を許容し、後退を規制する。
【0020】
第二電線W2には、第二シール部材8が装着されている。第二シール部材8は、第二電線W2と共に本体部4の挿通空間41へ挿入され、第二電線W2と本体部4の間の止水を行う部材である。第二シール部材8は、筒状を呈しており、第二電線W2を挿通させる挿通孔83を形成している。ここで、筒状は、ほぼ筒状及び環状を含む。第二シール部材8は、シール部81及び取付部82を有し、シール部81と取付部82を軸方向(接続方向X)に連ねて構成されている。取付部82は、第二シール部材8を取り付けるための部位であり、例えば、第二電線W2と共に電線接続部31によって加締められて第二端子3に取り付けられる。シール部81は、本体部4の挿通空間41へ挿通された場合に、外周面を挿通空間41の内周面に密着させて第二電線W2と本体部4の間を止水する。シール部81は、外周に径方向の断面を山型とした複数のリップを形成している。
【0021】
図1において、本体部4は、第一端子2と第二端子3を挿入させて接続させるための部材であり、例えば、円筒体とされる。本体部4は、非分割構造で延在方向に沿った長尺体であり、分割できる構造となっておらず、二つ又は二以上の部材を接合した構造になっていない。このため、本体部4は、シンプルな構造であり、樹脂成形などにより低コストで容易に製造することができる。
【0022】
本体部4は、延在方向に沿って挿通空間41を形成している。挿通空間41は、本体部4を延在方向に貫通する孔であり、例えば、断面円形とされ、第一端子2及び第二端子3を挿入可能な大きさで形成されている。つまり、挿通空間41は、一方の第一開口部411から第一端子2を挿入可能とし、他方の第二開口部412から第二端子3を挿入可能としている。挿通空間41は、第一端子2が収容される第一端子収容室41A、及び、第二端子3が収容される第二端子収容室41Bを含む。第一端子収容室41Aは、第一端子2を収容する空間であって、例えば、挿通空間41のうち第一開口部411からガイド部46までの空間とされる。第二端子収容室41Bは、第二端子3を収容する空間であって、例えば、挿通空間41のうち第二開口部412からガイド部46までの空間とされる。
【0023】
図2において、本体部4には、第一連通孔42が形成されている。第一連通孔42は、第一端子2の第一ランス25を掛止する部位であり、挿通空間41の第一端子収容室41Aに形成されている。第一連通孔42は、挿通空間41の第一端子収容室41Aと本体部4の外部を連通する孔であり、第一ランス25が進入する位置及び向きに応じて形成されている。第一連通孔42は、第一掛止室42Aと第一収容室42Bを径方向に連ねて形成している。第一掛止室42Aは、第一ランス25を掛止させる空間であり、第一端子収容室41Aに連通して形成されている。第一収容室42Bは、第一止水栓5を収容する空間であり、本体部4の外部と連通して形成されている。第一掛止室42Aは、第一連通孔42の連通方向と直交する断面方向において、第一収容室42Bより小さく形成されている。例えば、第一掛止室42Aは、本体部4の延在方向において、第一収容室42Bより短く形成されている。このため、第一収容室42Bに嵌め込まれる第一止水栓5が第一掛止室42Aへ進入することが抑制されている。第一連通孔42は、本体部4の表面で開口しているため、本体部4の外観から第一連通孔42の形成位置を確認することができる。このため、本体部4に対し第一端子2の姿勢を合わせやすくなり、第一端子2を適正に挿入しやすくなる。
【0024】
また、本体部4には、第一テーパ部43が形成されている。第一テーパ部43は、第一端子2の挿通空間41への挿入を円滑化させる部位であり、挿通空間41内に形成される。すなわち、第一テーパ部43は、挿通空間41の内面を傾斜させて形成され、延在方向に沿って第一開口部411側から第一端子2の挿入方向に向けて挿通空間41の内面を先細りとするように形成されている。第一テーパ部43は、挿通空間41において第一端子2の挿入経路上に形成され、第二開口部412より第一開口部411に近い位置に形成されている。第一テーパ部43が形成されることにより、第一端子2の本体部4への挿入時に、第一端子2を適切な挿入位置へ案内することができ、第一端子2の挿入を円滑に行うことができる。
【0025】
本体部4には、第二連通孔44が形成されている。第二連通孔44は、第二端子3の第二ランス35を掛止する部位であり、挿通空間41の第二端子収容室41Bに形成されている。第二連通孔44は、挿通空間41の第二端子収容室41Bと本体部4の外部を連通する孔であり、第二ランス35が進入する位置及び向きに応じて形成されている。第二連通孔44は、第二掛止室44Aと第二収容室44Bを径方向に連ねて形成している。第二掛止室44Aは、第二ランス35を掛止させる空間であり、第二端子収容室41Bに連通して形成されている。第二収容室44Bは、第二止水栓6を収容する空間であり、本体部4の外部と連通して形成されている。第二掛止室44Aは、第二連通孔44の連通方向と直交する断面方向において、第二収容室44Bより小さく形成されている。例えば、第二掛止室44Aは、本体部4の延在方向において、第二収容室44Bより短く形成されている。このため、第二収容室44Bに嵌め込まれる第二止水栓6が第二掛止室44Aへ進入することが抑制されている。第二連通孔44は、本体部4の表面で開口しているため、本体部4の外観から第二連通孔44の形成位置を確認することができる。このため、本体部4に対し第二端子3の姿勢を合わせやすくなり、第二端子3を適正に挿入しやすくなる。
【0026】
また、本体部4には、第二テーパ部45が形成されている。第二テーパ部45は、第二端子3の挿通空間41への挿入を円滑化させる部位であり、挿通空間41内に形成される。すなわち、第二テーパ部45は、挿通空間41の内面を傾斜させて形成され、延在方向に沿って第二開口部412側から第二端子3の挿入方向に向けて挿通空間41の内面を先細りとするように形成されている。第二テーパ部45は、挿通空間41において第二端子3の挿入経路上に形成され、第一開口部411より第二開口部412に近い位置に形成されている。第二テーパ部45が形成されることにより、第二端子3の本体部4への挿入時に、第二端子3を適切な挿入位置へ案内することができ、第二端子3の挿入を円滑に行うことができる。
【0027】
本体部4には、ガイド部46が形成されている。ガイド部46は、第二端子3の端子部331を挿通空間41内で第一端子収容室41A側へ案内する部位であり、挿通空間41内に形成されている。すなわち、ガイド部46は、挿通空間41の内面を挿通空間41の中心位置へ向けて突出させた突起であり、端子部331を上下から挟むように二つ形成されている。つまり、二つのガイド部46は、第一端子収容室41Aと第二端子収容室41Bの間に位置し、挿通空間41の内面における天井面及び床面から互いの形成位置に向けて突設されている。
【0028】
ガイド部46は、第二テーパ部45のように、第二端子3の挿入方向に向けて挿通空間41の内面を先細りとするように傾斜させて突設される。これにより、第二端子3の本体部4への挿入時に、端子部331を適切な位置へ案内することができ、端子部331を適切な位置で支持することができる。また、二つのガイド部46の先端同士の間の距離は、例えば、第一端子2の電気接続部23の厚さより狭く、第二端子3の端子部331の厚さより広くされる。このように二つのガイド部46の間の距離を設定することにより、端子部331がガイド部46の間を挿通することができ、電気接続部23がガイド部46の間を挿通することができないこととなる。このため、ガイド部46により、端子部331を挿通案内することができる。また、ガイド部46を第一端子2の挿入時におけるストッパとして機能させることができる。
【0029】
図1、2において、第一止水栓5は、第一連通孔42を塞ぐ栓部材であり、例えば弾性変形可能な部材により形成される。第一止水栓5は、第一連通孔42の形状に合わせた形状に形成される。例えば、第一止水栓5は、第一連通孔42の断面に対し同じ大きさ又は少し大きい大きさで形成され、第一連通孔42から本体部4の内部へ水などの液体の進入を抑制する。第一止水栓5は、第一連通孔42に対し外側から嵌め込まれて用いられる。
【0030】
第二止水栓6は、第二連通孔44を塞ぐ栓部材であり、例えば弾性変形可能な部材により形成される。第二止水栓6は、第二連通孔44の形状に合わせた形状に形成される。例えば、第二止水栓6は、第二連通孔44の断面に対し同じ大きさ又は少し大きい大きさで形成され、第二連通孔44から本体部4の内部へ水などの液体の進入を抑制する。第二止水栓6は、第二連通孔44に対し外側から嵌め込まれて用いられる。
【0031】
次に、本実施形態に係るカプラ装置1による電線の接続について説明する。
【0032】
カプラ装置1は、第一端子2と第二端子3を接続し、第一電線W1と第二電線W2を電気的に接続させるために用いられる。カプラ装置1を用いた電線の接続として、まず、図3に示すように、第一端子2が本体部4に挿入される。第一端子2は、第一開口部411から挿通空間41へ挿入され、挿通空間41の奥の方へ入れられる。このとき、挿通空間41内には、第一テーパ部43が形成されているため、第一端子2は、挿通空間41内で引っ掛かることなく円滑に挿通空間41内へ挿入されていく。
【0033】
そして、図4に示すように、第一端子2の第一ランス25が第一連通孔42の位置に到達すると、第一ランス25が第一連通孔42に掛止される。すなわち、第一ランス25が第一連通孔42内に入り込み、第一端子2の第一開口部411側への移動が規制される。これにより、第一端子2が本体部4から抜けなくなり、第一端子2が本体部4内に固定される。このとき、第一連通孔42が本体部4の外部へ連通する孔となっているため、本体部4の外部から目視により、第一ランス25が第一連通孔42に掛止され、第一端子2が本体部4の適正な位置まで挿入されていることを確認することができる。また、第一端子2を本体部4から引き抜きたい場合には、第一連通孔42に棒材などを差し込んで第一連通孔42から第一ランス25を押し出すことにより、第一ランス25の掛止を解除することができる。このため、第一端子2及び第一電線W1を変形又は破損させることなく、第一端子2を本体部4から引き抜くことが可能となる。
【0034】
また、第一端子2と共に第一シール部材7が挿通空間41へ挿入される。第一シール部材7のシール部71は、第一電線W1の外周面と本体部4の内周面に密着して配置される。このため、第一シール部材7により第一電線W1と本体部4の間の止水が行われ、第一開口部411から第一端子2と第二端子3の接続部分へ水などの液体が進入することが抑制される。
【0035】
そして、図5に示すように、第二端子3が本体部4に挿入される。第二端子3は、第二開口部412から挿通空間41へ挿入され、挿通空間41の奥の方へ入れられる。このとき、挿通空間41内には、第二テーパ部45が形成されているため、第二端子3は、挿通空間41内で引っ掛かることなく円滑に挿通空間41内へ挿入されていく。
【0036】
そして、第二端子3の端子部331は、二つのガイド部46の間を通り、第一端子2の接続孔231内へ挿入される。このとき、ガイド部46が端子部331を適正な経路に沿って挿通させるため、端子部331を円滑に接続孔231へ挿入させることができる。そして、端子部331は、第一端子2の二つの端子部232の間に挿入され、端子部232と接続される。
【0037】
一方、図2に示すように、第二端子3の第二ランス35が第二連通孔44の位置に到達すると、第二ランス35が第二連通孔44に掛止される。すなわち、第二ランス35が第二連通孔44内に入り込み、第二端子3の第二開口部412側への移動が規制される。これにより、第二端子3が本体部4から抜けなくなり、第二端子3が本体部4内に固定される。このとき、第二連通孔44が本体部4の外部へ連通する孔となっているため、本体部4の外部から目視により、第二ランス35が第二連通孔44に掛止され、第二端子3が本体部4の適正な位置まで挿入されていることを確認することができる。また、第二端子3を本体部4から引き抜きたい場合には、第二連通孔44に棒材などを差し込んで第二連通孔44から第二ランス35を押し出すことにより、第二ランス35の掛止を解除することができる。このため、第二端子3及び第二電線W2を破損させることなく、第二端子3を本体部4から引き抜くことが可能となる。
【0038】
また、第二端子3と共に第二シール部材8が挿通空間41へ挿入される。第二シール部材8のシール部81は、第二電線W2の外周面と本体部4の内周面に密着して配置される。このため、第二シール部材8により第二電線W2と本体部4の間の止水が行われ、第二開口部412から第一端子2と第二端子3の接続部分へ水などの液体が進入することが抑制される。
【0039】
そして、第一端子2と第二端子3が本体部4に装着されると、第一端子2と第二端子3が本体部4内で接続された状態となる。すなわち、本体部4内において、第一ランス25が第一連通孔42に掛止され、第二ランス35が第二連通孔44に掛止された場合に、第一端子2と第二端子3が挿通空間41内で接続される。これにより、第一電線W1と第二電線W2が電気的に接続される。第一端子2及び第二端子3は、ワイヤハーネスに一般に用いられる端子と同様に用いることができるため、特殊な工程又は特殊な部材が不要である。
【0040】
そして、第一止水栓5及び第二止水栓6の取り付けが行われる。図6に示すように、第一止水栓5は、第一収容室42Bに本体部4の外側から嵌め込まれる。これにより、第一連通孔42が第一止水栓5により塞がれ、第一連通孔42を通じて本体部4の内部へ水などの液体が進入することが抑制される。また、図2に示すように、第二止水栓6は、第二収容室44Bに本体部4の外側から嵌め込まれる。これにより、第二連通孔44が第二止水栓6により塞がれ、第二連通孔44を通じて本体部4の内部へ水などの液体が進入することが抑制される。第一止水栓5及び第二止水栓6の取り付けを終えたら、カプラ装置1による電線接続が完了する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係るカプラ装置1は、本体部4に対し一方から第一端子2を挿入させ他方から第二端子3を挿入させて、第一端子2及び第二端子3を本体部4内で接続させる。このため、本実施形態に係るカプラ装置は、メスカプラとオスカプラなどが不要であり、部品点数の低減を図り第一電線W1と第二電線W2を接続することができる。また、本実施形態に係るカプラ装置1は、部品点数が削減できるため、低コスト化を図ることができる。また、本実施形態に係るカプラ装置1は、第一連通孔42に対し第一止水栓5が嵌め込まれ、第二連通孔44に対し第二止水栓6が嵌め込まれる。このため、第一連通孔42及び第二連通孔44を通じて本体部4内に水などの液体が進入することが抑制され、止水性を確保することができる。
【0042】
また、本実施形態に係るカプラ装置1は、第一掛止室42Aが第一収容室42Bより小さく形成され、第一収容室42Bに嵌め込まれる第一止水栓5が第一掛止室42Aへ進入することが抑制される。このため、本実施形態に係るカプラ装置1は、第一止水栓5の嵌め込みにより第一ランス25の掛止が解除されることを抑制することができる。また、本実施形態に係るカプラ装置1は、第二掛止室44Aが第二収容室44Bより小さく形成され、第二収容室44Bに嵌め込まれる第二止水栓6が第二掛止室44Aへ進入することが抑制される。このため、本実施形態に係るカプラ装置1は、第二止水栓6の嵌め込みにより第二ランス35の掛止が解除されることを抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態に係るカプラ装置1は、第一シール部材7及び第二シール部材8を備えることにより、第一開口部411及び第二開口部412から第一端子2と第二端子3の接続部分へ水など液体が進入することを抑制することができる。このため、カプラ装置1の止水性を向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態に係るカプラ装置1は、本体部4が非分割構造の長尺体であり、第一端子2と第二端子3の接続を行う本体部4をシンプルな構造とすることができる。このため、本体部4の製造が容易となる。
【0045】
また、本実施形態に係るカプラ装置1は、本体部4の挿通空間41に第一テーパ部43及び第二テーパ部45を形成することにより、本体部4に対し第一端子2及び第二端子3を円滑に挿入することができる。
【0046】
さらに、本実施形態に係るカプラ装置1は、本体部4の挿通空間41にガイド部46を形成することにより、第二端子3の本体部4への挿入時に、端子部331を適切な位置へ案内することができる。
【0047】
なお、本発明に係るカプラ装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係るカプラ装置は、以上で説明した各実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【0048】
例えば、上述した実施形態に係るカプラ装置1では、第一止水栓5と第二止水栓6が別体となっているが、第一止水栓5と第二止水栓6を連結して一体化させてもよい。例えば、第一止水栓5と第二止水栓6が接続方向Xに沿って設けられる連結片によって連結して一体化されていてもよい。この場合、第一止水栓5と第二止水栓6を一つの部品にできるため、カプラ装置1の部品点数の削減を図ることができる。
【0049】
例えば、上述した実施形態に係るカプラ装置1は、車両に搭載される場合について説明したが、車両に搭載せずに用いられてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1:カプラ装置
2:第一端子
3:第二端子
4:本体部
5:第一止水栓
6:第二止水栓
7:第一シール部材
8:第二シール部材
25:第一ランス
35:第二ランス
41:挿通空間
41A:第一端子収容室
41B:第二端子収容室
42:第一連通孔
42A:第一掛止室
42B:第一収容室
43:第一テーパ部
44:第二連通孔
44A:第二掛止室
44B:第二収容室
45:第二テーパ部
46:ガイド部
331:端子部
411:第一開口部
412:第二開口部
W1:第一電線
W2:第二電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6