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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】発光素子及びこれを用いた発光表示装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/19 20230101AFI20250408BHJP
   H10K 59/12 20230101ALI20250408BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20250408BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20250408BHJP
   H10K 50/165 20230101ALI20250408BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20250408BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20250408BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20250408BHJP
   H10K 50/17 20230101ALI20250408BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20250408BHJP
   H10K 85/30 20230101ALI20250408BHJP
   H10K 101/10 20230101ALN20250408BHJP
【FI】
H10K50/19
H10K59/12
H10K50/12
H10K85/60
H10K50/165
H10K50/15
G09F9/30 365
C09K11/06 690
H10K50/17
H10K50/16
H10K85/30
H10K101:10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022207932
(22)【出願日】2022-12-26
(65)【公開番号】P2023099504
(43)【公開日】2023-07-13
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0194798
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】宋 旭
(72)【発明者】
【氏名】趙 明 宣
(72)【発明者】
【氏名】朴 塞 美
(72)【発明者】
【氏名】金 重 根
(72)【発明者】
【氏名】金 度 漢
(72)【発明者】
【氏名】金 炳 秀
(72)【発明者】
【氏名】姜 慧 承
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-180300(JP,A)
【文献】特表2020-522876(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0125697(US,A1)
【文献】国際公開第2015/178732(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0212312(US,A1)
【文献】特表2012-507175(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0166519(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0090718(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0001826(KR,A)
【文献】特開2015-109278(JP,A)
【文献】特開2018-092921(JP,A)
【文献】特開2020-004723(JP,A)
【文献】特表2015-530982(JP,A)
【文献】特開2017-212443(JP,A)
【文献】特開2022-161871(JP,A)
【文献】特開2023-070670(JP,A)
【文献】特開2014-049393(JP,A)
【文献】特表2016-523869(JP,A)
【文献】特表2017-528420(JP,A)
【文献】特表2016-506399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H10K 50/00 - 102/20
G09F 9/30
C09K 11/06
DB名 CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1電極及び第2電極と、
p型電荷生成層、正孔輸送層、及び緑色発光層が順に積層された発光ユニットとを含み、
前記緑色発光層は化学式1の第1物質と燐光ドーパントとを含み、
【化1】
Reはトリフェニル基、カルバゾール基、インデノカルバゾール基、ビスカルバゾール基、及びフェニル-カルバゾール基の中の少なくとも1つを含み、
Lは単一結合であるか、または、フェニレン基、ビフェニレン基、ジベンゾフリレン基、及びジベンゾチエニレン基の中の少なくとも1つを含み、
前記正孔輸送層は、化学式2の第2物質を含み、
【化2】
Ra~Rdはそれぞれ独立的に水素から選択され、
m及びpは、独立的に0から4までの整数の中で選択され、
n及びoは、独立的に0から3までの整数の中で選択され、
~R10のそれぞれは、独立的に水素、非置換の炭素数6のアリール基、フェニル基で置換されたカルバゾール基、非置換のカルバゾール基、非置換のジベンゾフラン基、及び非置換のジベンゾチオフェン基の中で選択され、または、2つ以上のR~R10が結合したフェニル基と共に縮合アリール基を形成する、発光素子。
【請求項2】
前記燐光ドーパントは、波長510nm~550nmの発光ピークを有する金属錯体化合物である、請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記緑色発光層は、前記正孔輸送層と接しない他側が電子輸送層と接する、請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
前記電子輸送層は、前記緑色発光層と接しない他側が電子注入層またはn型電荷生成層と接する、請求項3に記載の発光素子。
【請求項5】
金属がドーピングされた有機層または金属化合物を有する無機層は、前記緑色発光層と接しない前記電子輸送層の側と接する、請求項3に記載の発光素子。
【請求項6】
前記p型電荷生成層及び前記n型電荷生成層のうちの少なくとも一つは青色発光層を含む青色スタックに隣り合い、
前記青色発光層は、波長420nm~480nmの発光ピークを有する青色ドーパントを含む、請求項4に記載の発光素子。
【請求項7】
前記p型電荷生成層は、前記第1電極から50nm以上離隔している、請求項1に記載の発光素子。
【請求項8】
化学式1の材料は以下のTRZ-01~TRZ-27の化合物の中の1つである、請求項1に記載の発光素子。
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【請求項9】
互いに対向する第1電極及び第2電極と、
p型電荷生成層、正孔輸送層、及び緑色発光層が順に積層された発光ユニットとを含み、
前記緑色発光層は化学式1の第1物質と燐光ドーパントとを含み、
【化12】
Reはトリフェニル基、カルバゾール基、インデノカルバゾール基、ビスカルバゾール基、及びフェニル-カルバゾール基の中の少なくとも1つを含み、
Lは単一結合であるか、または、フェニレン基、ビフェニレン基、ジベンゾフリレン基、及びジベンゾチエニレン基の中の少なくとも1つを含み、
前記正孔輸送層は、以下の化合物BCA-01~BCA-44の内の1つを含む、発光素子。
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【請求項10】
互いに対向する第1電極及び第2電極と、
p型電荷生成層、正孔輸送層、緑色発光層、及び電子輸送層が順に積層された発光ユニットとを含み、
前記緑色発光層は、化学式1の第1物質と燐光ドーパントとを含み、
前記正孔輸送層は、ビスカルバゾール系化合物の第2物質を含み、
【化29】
Reはトリフェニル基、カルバゾール基、インデノカルバゾール基、ビスカルバゾール基、及びフェニル-カルバゾール基の中の少なくとも1つを含み、
Lは単一結合であるか、または、フェニレン基、ビフェニレン基、ジベンゾフリレン基、及びジベンゾチエニレン基の中の少なくとも1つを含み、
前記第2物質は化学式2で表現され、
【化30】
Ra~Rdはそれぞれ独立的に水素から選択され、
m及びpは、独立的に0から4までの整数の中で選択され、
n及びoは、独立的に0から3までの整数の中で選択され、
~R10のそれぞれは、独立的に水素、非置換の炭素数6のアリール基、非置換のカルバゾール基、フェニル基で置換されたカルバゾール基、非置換のジベンゾフラン基、及び非置換のジベンゾチオフェン基の中で選択され、または、2つ以上のR~R10が結合したフェニル基と共に縮合アリール基を形成する、発光素子。
【請求項11】
互いに対向する第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に順に備えられた赤色スタック、第1青色スタック、緑色スタック、及び第2青色スタックとを含み、
前記緑色スタックは、正孔輸送層、緑色発光層、及び電子輸送層を順に含み、
前記緑色発光層は、化学式1の第1物質と燐光ドーパントとを含み、
前記正孔輸送層は、ビスカルバゾール系化合物の第2物質を含み、
【化31】
Reはトリフェニル基、カルバゾール基、インデノカルバゾール基、ビスカルバゾール基、及びフェニル-カルバゾール基の中の少なくとも1つを含み、
Lは単一結合であるか、または、フェニレン基、ビフェニレン基、ジベンゾフリレン基、及びジベンゾチエニレン基の中の少なくとも1つを含み、
前記第2物質は化学式2で表現され、
【化32】
Ra~Rdはそれぞれ独立的に水素から選択され、
m及びpは、独立的に0から4までの整数の中で選択され、
n及びoは、独立的に0から3までの整数の中で選択され、
~R10のそれぞれは、独立的に水素、非置換の炭素数6のアリール基、フェニル基で置換されたカルバゾール基、非置換のカルバゾール基、非置換のジベンゾフラン基、及び非置換のジベンゾチオフェン基の中で選択され、または、2つ以上のR~R10が結合したフェニル基と共に縮合アリール基を形成する、
発光素子。
【請求項12】
複数サブ画素を含む基板と、
前記基板上のサブ画素にそれぞれ備えられた薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタと接続される請求項1~11のいずれか一項に記載の発光素子とを含む、発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光素子に関し、より詳しくは青色スタックに隣接した燐光スタックの正孔輸送層及び緑色発光層の材料を変更して燐光スタック内で色別励起子効率を均等に向上させることによって白色効率を改善し、経時的安全性を確保して寿命を向上させることができる発光素子及びこれを用いた発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、別途の光源を要求しなく、装置のコンパクト化及び鮮明なカラー表示のために別途の光源を備えなく、発光素子を表示パネル内に有する発光表示装置が競争力あるアプリケーション(application)として考慮されている。
【0003】
一方、発光表示装置に用いられる発光素子は、画質を現すのにより高い効率の要求があるので、複数のスタックを積層する方式が好まれている。
【0004】
また、表示装置のより高画質の要求に応じて色純度が高いことが要求され、よってスタック別に単一発光層を備えて色純度を高め、すべての色の輝度を向上させることが研究されている。
【0005】
ところが、色純度を向上させるためにスタック別に単色の発光層を備えれば、備えられたスタック数が多くなって駆動電圧が上昇する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した問題を解決するために案出したものであり、色純度を高めるためにスタック別に単一発光層を含む複数のスタックを有する構造においても、駆動電圧を上昇させず、高い効率及び向上した寿命を確保することができる発光素子及びこれを用いた発光表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発光素子は、緑色スタックの構成を変更して色純度の向上及び輝度の向上とともに材料的駆動電圧を減少させ、寿命を向上させることができる。
本発明の一実施例による発光素子は、互いに対向する第1電極及び第2電極と、p型電荷生成層、正孔輸送層、及び緑色発光層が順に積層された発光ユニットとを含み、前記緑色発光層はトリアジン系の化合物をホストとして含み、燐光ドーパントを含んでなることができる。
【0008】
また、本発明の一実施例による発光表示装置は、複数のサブ画素を含む基板と、前記基板上のサブ画素にそれぞれ備えられた薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタと接続される前記発光素子とを含むことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の発光素子及びこれを用いた発光表示装置は次のような効果を有する。
【0010】
輝度向上のために単一発光層を各スタックに有する発光素子において、単一緑色燐光発光層を有する緑色スタックに隣接した正孔輸送層及び緑色燐光発光層の物性を変更することにより、緑色燐光発光層の周辺に別途の制御層なしに効率を向上させることができる。
【0011】
また、白色を具現するのに一番高い比率を占める緑色スタックの効率を向上させることによって白色の輝度が向上する。また、同じ電圧を印加する条件で白色輝度が向上する場合、一定の輝度を現すのに要求される電圧が低下するので、経時的にターンオン電圧が低下し、これによって寿命向上の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例による発光素子を示す断面図である。
図2】本発明の発光素子の一実施例による緑色スタックの層別エネルギーバンドダイヤグラムを示す図である。
図3】第1及び第2実験例群で用いられた発光素子を示す断面図である。
図4】第1実験例群の発光スペクトラムを示すグラフである。
図5】第2実験例群の発光スペクトラムを示すグラフである。
図6a】第3及び第4実験例の燐光スタックの構成を示す図である。
図6b】第3及び第4実験例の燐光スタックの構成を示す図である。
図7】本発明の第5~第7実験例による発光素子を示す断面図である。
図8図7の第5~第7実験例による発光素子の白色発光スペクトラムを示すグラフである。
図9】本発明の他の実施例による発光素子を示す断面図である。
図10】本発明の発光素子を用いた発光表示装置を一実施例によって示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施例を説明する。明細書全般にわたって同じ参照番号は実質的に同一である構成要素を意味する。以下の説明で、本発明に関連した技術又は構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、以下の説明で使われる構成要素の名称は容易な明細書作成を考慮して選択されたものであり、実際製品の部品の名称と異なることがある。
【0014】
本発明の多様な実施例を説明するための図面に開示された形状、サイズ、比率、角度、個数などは例示的なものなので、本発明が図面に示す事項に限定されるものではない。本明細書全般にわたって同じ図面符号は同じ構成要素を指称する。また、本発明の説明において、関連した公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合、その詳細な説明は省略する。本明細書上で言及する「含む」、「有する」、「なる」などを使う場合、「~のみ」を使わない限り、他の部分を付加することができる。構成要素を単数で表現する場合、特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む場合を含む。
【0015】
本発明の多様な実施例に含まれる構成要素を解釈するに当たり、別途の明示的な記載がなくても誤差範囲を含むものに解釈する。
【0016】
本発明の多様な実施例を説明するに当たり、位置関係について説明する場合、例えば、「~上に」、「~の上部に」、「~の下部に」、「~のそばに」などによって二つの部分の位置関係を説明する場合、「すぐ」又は「直接」を使わない限り、二つの部分の間に一つ以上の他の部分が位置することもできる。
【0017】
本発明の多様な実施例を説明するに当たり、時間関係について説明する場合、例えば、「~の後に」、「~に引き続き」、「~の次に」、」~の前に」などで時間的先後関係を説明する場合、「すぐ」又は「直接」を使わない限り、連続的ではない場合も含むことができる。
【0018】
本発明の多様な実施例を説明するに当たり、「第1~」、「第2~」などを多様な構成要素を敍述するために使うことができるが、このような用語は互いに同一乃至類似の構成要素を区別するために使うだけである。よって、本明細書で、「第1~」で修飾する構成要素は別途の言及がない限り、本発明の技術的思想内で「第2~」で修飾する構成要素と同一であることができる。
【0019】
本発明の多様な実施例のそれぞれの特徴が部分的に又は全体的に互いに結合又は組合せ可能であり、技術的に多様な連動及び駆動が可能であり、多様な実施例が互いに対して独立的に実施されることもでき、連関関係で一緒に実施されることもできる。
【0020】
本明細書で、「ドーピングされた」とは、ある層の大部分の重量比を占める物質に、大部分の重量比を占める物質とは異なる物性(互いに異なる物性とは、例えばN型とP型、有機物質と無機物質)を有する物質が重量比30%未満で添加されていることを意味する。他に言えば、「ドーピングされた」層とは、ある層のホスト物質とドーパント物質とを重量比を考慮して分別することができる層を意味する。そして、「非ドーピングされた」とは、「ドーピングされた」に相当する場合以外のすべての場合を意味する。例えば、ある層が単一物質から構成されるか、互いに性質が同一乃至類似の物質が混合されて構成される場合、その層は「非ドーピングされた」層に含まれる。例えば、ある層を構成する物質のうち少なくとも1種がP型であり、その層を構成する物質の全部がN型ではなければ、その層は「非ドーピングされた」層に含まれる。例えば、ある層を構成する物質のうち少なくとも1種が有機物質であり、その層を構成する物質全部が無機物質ではなければ、その層は「非ドーピングされた」層に含まれる。例えば、ある層を構成する物質が全部有機物質であり、その層を構成する物質のうち少なくとも1種がN型であり、他の少なくとも1種がP型である場合、N型の物質の重量比が30wt%未満であるかまたはP型の物質の重量比が30wt%未満である場合、「ドーピングされた」層に含まれる。
【0021】
以下、図面を参照して本発明の発光素子及びこれを含む発光表示装置について説明する。
【0022】
図1は本発明の一実施例による発光素子を示す断面図である。
【0023】
図1のように、本発明の一実施例による発光素子は、互いに対向する第1電極110及び第2電極200を含み、前記第1電極110と前記第2電極200との間に、赤色スタックRS、第1青色スタックBS1、緑色スタックGS、及び第2青色スタックBS2が順に備えられ、各スタックRS、BS1、GS、BS2の間に電荷生成層CGL1、CGL2、CGL3が備えられる。
【0024】
ここで、図1による発光素子は、白色を現すにあたり、各色別色純度が高い効率を有するために、スタックRS、BS1、GS、BS2別に単一発光層を備えたものである。
【0025】
ここで、スタックRS、BS1、GS、BS2のそれぞれは、色発光層と、色発光層の下側(第1電極110に近い側)の正孔輸送層と、色発光層の上側(第2電極200に近い側)の電子輸送層とを備えることができる。
【0026】
第1電極110及び第2電極200はそれぞれ陽極(Anode)と陰極(cathode)とも言える。場合によって、図1に示すものとは反対に、上側に陽極(anode)が、下側に陰極(cathode)が備えられることができる。
第1電極110及び第2電極200のうち少なくとも一方は透明電極を含み、他方は反射電極を含み、光の進行方向を決定することができる。
【0027】
場合によって、第1電極110及び第2電極200のうちの一方は透明電極からなり、他方は薄い反射透過性電極からなり、第1及び第2電極110、200のストロングキャビティ特性を維持することで、各発光層から出る光が半値幅の小さい範囲で出射して光効率を高めることもできる。
【0028】
図1には、赤色スタックRSと緑色スタックGSが単一のものとして備えられ、青色スタックは第1及び第2青色スタックBS1、BS2として二重に備えられるものを示す。これは、蛍光発光層を含む青色スタックの効率が相対的に燐光発光層を含む赤色スタックRS及び緑色スタックGSに比べて低いから、これを補うためのものである。場合によって、青色発光層の材料を変更して青色スタックの数を減らすか増やすこともできる。
【0029】
一方、図1に示す赤色スタックRS、第1青色スタックBS1、緑色スタックGS、及び第2青色スタックBS2の位置は必要によって変更可能である。
【0030】
図2は本発明の発光素子の一実施例による緑色スタックの層別エネルギーバンドダイヤグラムを示す図である。
【0031】
図2で、Nは2以上の自然数であることができる。したがって、N番目のスタックとして緑色スタックは、第1電極110から2番目以上のスタックに位置し、以後に他の色を発光するスタックの間にあり得る。
【0032】
図1を例として挙げれば、緑色スタックGSは第1及び第2青色スタックBS1、BS2の間に備えられたものであり、図2の構成を満たすことができる。図2に示す緑色スタック(Nth Stack)を含む発光ユニットは、p型電荷生成層(pCGL)1105、正孔輸送層(HTL)1210、緑色発光層1220、及び電子輸送層(ETL)1230が順に含まれることができる。
【0033】
すなわち、図2の緑色スタック(Nth Stack)を含む発光ユニットは緑色発光層1220の両側に正孔輸送層1210及び電子輸送層1230が位置するものであり、別途の制御層なしに単一燐光発光層として緑色発光層1220内の正孔及び電子の制限が可能であって緑色発光層1220内で高い外部量子効率で発光することができるものである。そして、これは、緑色発光層1220及び電子輸送層1230に含まれた電子輸送性ホストGEHの材料を変更することによって可能である。
【0034】
一般に、公知の燐光スタックに用いられた正孔輸送層の材料と燐光発光層のホストとして知られた材料とは、燐光スタック内に複数の燐光発光層を備え、各燐光発光層に励起子分配のために考慮されたものであり、緑色燐光発光層に用いられるとき、発光領域の位置が正孔輸送層または電子輸送層との界面側に偏るので、緑色燐光発光層で高い発光効率を得にくい。
【0035】
図2に示す発光ユニットで、p型電荷生成層1105は、緑色スタックが第1電極(またはAnode)にすぐ隣接しないので、緑色発光層1220に不足な正孔を生成して供給する層である。p型電荷生成層1105はアミン系化合物をホストPHとして含んでおり、その内部にフルオレン(fluorene)系化合物からなる有機物がp型ドーパントPDとして0.1wt%~30wt%含まれ、正孔の生成及び正孔の伝達を促進する。
【0036】
p型ドーパントPDのLUMOエネルギー準位はp型電荷生成層1105内のホストPHのHOMOエネルギー準位とほとんど同一である。そして、正孔輸送層HTL1210の材料はおよそ-5.8eV~-5.4eVのHOMOエネルギー準位を有するものであり、隣接したp型電荷生成層(pCGL)1105から正孔を受けるために、p型電荷生成層(pCGL)1105のホスト材料PHのHOMOエネルギー準位より低いHOMOエネルギー準位を有する。
【0037】
また、本発明の発光素子のうち緑色スタックの緑色発光層1220は、電子輸送性ホストGEH及び正孔輸送性ホストGHHとともに、これらのホストGEH、GHH内に1wt%~30wt%でドーピングされた緑色ドーパントGDを含む。
【0038】
前記正孔輸送性ホストGHHはおよそ-6.1eV~-5.4eVのHOMOエネルギー準位を有するものであり、隣接した正孔輸送層HTL1210から正孔を受けるために、正孔輸送層HTL1210のHOMOエネルギー準位と同じかそれより低いHOMOエネルギー準位を有する。
【0039】
そして、電子輸送性ホストGEHは電子を受けて効果的に緑色ドーパントGDに伝達するためのものであり、正孔輸送性ホストGHHより全体的にエネルギーバンドギャップが下側に位置する。これにより、電子輸送性ホストGEHのHOMOエネルギー準位はおよそ-6.8eV~-5.6eVの値を有する。
【0040】
また、緑色ドーパントGDは、正孔輸送性ホストGHHから正孔を受けるために、正孔輸送性ホストGHHのHOMOエネルギー準位より高いHOMOエネルギー準位を有することが好ましい。前記緑色ドーパントGDは510nm~550nmの波長で発光ピークを有するものであり、イリジウム錯体化合物のように金属錯体化合物からなり得る。
【0041】
本発明の発光素子は、緑色発光層1220が他色の発光層と接せずに単一構造で最大発光効率を有するものであり、このために、緑色発光層1220は一側が正孔輸送層1210と接し、他側が電子輸送層1230と接する。
【0042】
また、前記電子輸送層1230は前記緑色発光層1220と接しない他側が次のスタック(N+1)th Stackとの間にある電荷生成層(図1のCGL参照)のn型電荷生成層(nCGL)または電子注入層(図7のEIL参照)と接することができる。前記n型電荷生成層(nCGL)は金属がドーピングされた有機層であることができ、前記電子注入層はLiFまたはLiq(リチウムキノラート)などの金属化合物を有する無機物あるいは有無機化合物であることができる。
【0043】
また、前記電子輸送層1230は、前記緑色発光層と接しない他側が金属のドーピングされた有機層または金属化合物を有する無機層と接し得る。前記p型電荷生成層及び前記n型電荷生成層のうちの少なくとも一つは青色発光層を含む青色スタック(図1のBS1またはBS2)と隣り合い、前記青色発光層は波長420nm~480nmの発光ピークを有する青色ドーパントを含み得る。
【0044】
本発明の発光素子において、緑色発光層1220の電子輸送性ホストGEHは下記の化学式1で示すトリアジン化合物からなり得る。
【0045】
【化1】
【0046】
ここで、Reはジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、トリフェニル基、トリフェニレン基、カルバゾール基、ベンゾカルバゾール基、インデノカルバゾール基、ビスカルバゾール基、フルオレン基、及びフェニル-カルバゾールの中の少なくとも1つを含み、Lは単一結合であるか、フェニル基、フェニレン基、ビフェニル基、ビフェニレン基、ジベンゾフラン基、ジベンゾフリレン基、ジベンゾチオフェン基、及びジベンゾチエニレン基の中の少なくとも1つを含み得る。一実施例では、Lはビフェニル基またはフェニル基であり、Reはインデノカルバゾール(例えば、7,7-ジメチル-5,7-ジヒドロインデノ[2、1-b]カルバゾール)である。一実施例では、Lは単結合であり、Reは2つのフェニル-カルバゾールであり得る。
【0047】
一実施例では、Lはジベンゾフラン基またはジベンゾチオフェン基であり、Reはフェニル-カルバゾール基またはトリフェニレン基である。
【0048】
そして、上述した化学式1の化合物としては、例えばTRZ-01~TRZ-27を挙げることができる。
【0049】
【化2】
【0050】
【化3】
【0051】
【化4】
【0052】
【化5】
【0053】
【化6】
【0054】
【化7】
【0055】
【化8】
【0056】
【化9】
【0057】
【化10】
【0058】
そして、前記緑色発光層GEML1220と接した正孔輸送層1210は下記のビスカルバゾール系化合物であり、緑色発光層1220との間に別途の制御層がなくても界面の滞積なしに正孔を円滑に輸送することができる。
【0059】
正孔輸送層1210を成すビスカルバゾール系化合物は、化学式2の第2物質を含んでなることができる。
【0060】
【化11】
【0061】
ここで、Ra~Rdはそれぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素数1~6のアルキル基、置換または非置換の炭素数3~6のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数6~15のアリール基、置換または非置換の炭素数5~9のヘテロアリール基、カルバゾール基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、トリアルキルシリル基、及びトリアリールシリル基の中で選択される。m及びpは、独立的に0~4の整数の中で選択される。n及びoは、独立的に0~3の整数の中で選択される。R~R10のそれぞれは、独立的に水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素数1~6のアルキル基、置換または非置換の炭素数6~8のアリール基、カルバゾール基、フェニルカルバゾール基、ジベンゾフラン基、及びジベンゾチオフェン基の中から選択され、または2つ以上のR~R10が結合したフェニル基と共に縮合アリール基を形成し得る。炭素数6~18のアリール基は、フェニル基、ビフェニル基、トリフェニレン基であることが望ましい。縮合アリール基は、ナフチル基、フェナントレン基、トリフェニレン基であることが望ましく、炭素数5~9のヘテロアリール基は、アリール環構造中に酸素、硫黄、窒素から選択される1つ以上のヘテロ原子を含むことが望ましい。
【0062】
一実施例では、m,n,o,pは0である。一実施例では、RからRの4つは互いに独立しており、RからRの1つはフェニル基、ビフェニル基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、カルバゾール基またはフェニル-カルバゾール基である。一実施例では、RからR10の少なくとも1つは水素、重水素またはハロゲンであり、RからR10の最大4つは互いに独立して水素、フェニル基、トリフェニレン基、フェナントレン基、アントラセン基、ナフチル基、またはそれらが結合しているフェニル基と共にRからR10の2つ以上が縮合アリール基を形成することがあり、縮合アリール基はナフチル基、フェナントレン基、またはトリフェニレン基であることが望ましい。
【0063】
また、このようなビスカルバゾール系化合物としては、例えば次の材料BCA-01~BCA-44を挙げることができる。
【0064】
【化12】
【0065】
【化13】
【0066】
【化14】
【0067】
【化15】
【0068】
【化16】
【0069】
【化17】
【0070】
【化18】
【0071】
【化19】
【0072】
【化20】
【0073】
【化21】
【0074】
【化22】
【0075】
【化23】
【0076】
【化24】
【0077】
【化25】
【0078】
【化26】
【0079】
【化27】
【0080】
以下、緑色燐光発光層を単一スタックとする発光素子構造において、隣接した緑色燐光発光層の電子輸送性ホストおよび正孔輸送層の正孔輸送ホストの材料変更によって、各材料の意義を説明する。
【0081】
第1実験例群(Ex1-1~Ex1-52)及び第2実験例群(Ex2-1~Ex2-71)は図3の発光素子を形成して比較実験した。
【0082】
図3は第1及び第2実験例群で用いた発光素子を示す断面図である。図3のように、第1実験例群(Ex1-1~Ex1-52)による発光素子は次の順に形成される。
【0083】
まず、ITO成分の第1電極10を形成する。
【0084】
次いで、DNTPDとMgFを1:1の重量比で7.5nmに共蒸着して正孔注入層(HIL)11を形成する。
【0085】
次いで、アミン系(HM-01~HM-25)の材料を15nmに蒸着して正孔輸送層(HTL)12を形成する。
【0086】
次いで、正孔輸送性ホストとしてCBPを用い、電子輸送性ホストとしてトリアジン系の化合物を電子輸送性ホストGEHとして1:1の重量比で混合し、これにIr(ppy)を15wt%でドーピングして厚さ40nmの緑色発光層(G EML)13を形成する。
【0087】
次いで、TPBI成分を25nmに蒸着して電子輸送層(ETL)14を形成する。
【0088】
次いで、LiF成分を2nmに蒸着して電子注入層(EIL)15を形成し、次いで、アルミニウム(Al)で第2電極20を形成する。
【0089】
第1実験例群(Ex1-1~Ex1-52)の実験は、正孔輸送層12の化合物材料としてアミン系材料を使用し、緑色燐光発光層の電子輸送性ホストとしては化学式1のトリアジン系の化合物を使用した。
【0090】
第1実験例群(Ex1-1~Ex1-52)で用いたアミン系化合物は下記のHM-01~HM-25であり得る。
【0091】
【化28】
【0092】
【化29】
【0093】
【化30】
【0094】
【化31】
【0095】
【化32】
【0096】
【化33】
【0097】
第1実験例群(Ex1-1~Ex1-52)の駆動電圧、効率及び外部量子効率は次の表1-1、表1-2の通りである。
【0098】
【表1-1】
【0099】
【表1-2】
【0100】
すなわち、第1実験例群(Ex1-1~Ex1-52)で、図3の正孔輸送層12としてアミン系の化合物を用いる場合、外部量子効率が16%~19.5%の変動性を有することを確認することができた。このような特徴は緑色発光層の電子輸送性ホストの材料とは関係なく発生することを確認することができる。第2実験例群(Ex2-1~Ex2-71)は、図3の素子構造を用い、正孔輸送層12の材料をビスカルバゾール系の化合物に変更し、緑色発光層13の電子輸送性ホストの材料はトリアジン系の化合物を用いた。その結果は表2-1、表2-2の通りである。
【0101】
【表2-1】
【0102】
【表2-2】
【0103】
表2-1、表2-2を見ると、第2実験例群(Ex2-1~Ex2-71)は、第1実験例群(Ex1-1~Ex1-52)とは違い、外部量子効率(EQE)が22%以上に上方平準化したことが分かり、正孔輸送層がアミン系である第1実験例群(Ex1-1~Ex1-52)に比べて効率が大きく改善した点を確認することができる。
【0104】
図4は第1実験例群の発光スペクトラムを示すグラフであり、図5は第2実験例群の発光スペクトラムを示すグラフである。
【0105】
図4に比べて、図5の第2実験例群の発光スペクトラムの緑色発光の強度が25%~30%以上向上することが分かり、緑色単一燐光発光層の材料の電子輸送性ホストとしてトリアジン系の化合物を用いられ、ビスカルバゾール系化合物は正孔輸送層の正孔輸送ホストに用いられるとき、効率も緑色の発光効率が高い比率で向上することが分かる。
【0106】
以下では、構造を変更して外部量子効率を向上させた第3実験例(Ex3)の構造と本発明の正孔輸送層及び緑色発光層の構造を有する第4実験例(Ex4)の構造とにおける駆動電圧、効率及び寿命の関係を説明する。第3の実験例(Ex3)と第4の実験例(Ex4)は、緑色発光層を発光層とする緑色発光素子を含む。
【0107】
【表3】
【0108】
図6a及び図6bは第3及び第4実験例の緑色燐光スタックGSの構成を示す図である。
【0109】
図6aのように、第3実験例の緑色燐光スタックGSは、緑色発光層GEMLと正孔輸送層HTLとの間に、電子が緑色発光層GEMLから正孔輸送層HTLに移ることを沮止する電子阻止層EBLを備え、緑色発光層GEMLと電子輸送層ETLとの間に、緑色発光層GEMLから正孔が電子輸送層ETLに移ることを防止するために、正孔阻止層HBLを形成した構造である。
【0110】
ここで、第3実験例(Ex3)の正孔輸送層HTLとしてはアミン系の材料を用い、緑色発光層GEML内の電子輸送性ホストとしてはTPBiのような燐光ドーパントとともに使われる公知の電子輸送性ホスト材料を用いた。
【0111】
第3実験例(Ex3)で、電流密度を100mA/cmにしたとき、外部量子効率(EQE)を23.5%にすれば、表3のように、駆動電圧7.6Vが必要となる。
【0112】
図6bのように、第4実験例(Ex4)の緑色燐光スタックGSは、上述した第3実験例(Ex3)とは違い、緑色(燐光)発光層(GEML)1220が正孔輸送層HTL1210及び電子輸送層(ETL)1230に接する構成を有するものであり、別途の輸送層の他に、正孔及び電子の輸送に関連した制御層を備えない。ただ、第4実験例(Ex4)の正孔輸送層HTL1210はアミン系の化合物を用い、緑色発光層の電子輸送性ホストはトリアジン系の化合物を用い、表1の第1実験例群で用いた材料を用いた。
【0113】
この場合、第4実験例(Ex4)は緑色燐光スタックGS内で層の使用を減らすことにより、表3のように、駆動電圧が4.5Vに低下して、第3実験例に比べて41%減少したことを確認することができる。これは、緑色燐光スタックGS内の界面の数を減らして駆動電圧を下げたものである。
【0114】
また、第3実験例に比べて、寿命が111%の水準であり、11%の改善効果を確認することができる。
【0115】
一方、表2で説明したように、第1実験例に比べて、緑色発光層1220と接する正孔輸送層の材料としてビスカルバゾール系化合物を用いるとき、電子及び正孔が制限され、緑色発光層1220の内部で電子と正孔の再結合率が高くなって効率が上昇したことが分かり、これから、本発明の発光素子は、少なくとも単一緑色発光層を含む緑色燐光スタックにおいて、正孔輸送層の材料としてビスカルバゾール系化合物を用い、これと接する緑色発光層の電子輸送性ホストとしてトリアジン系化合物を用いることにより、駆動電圧の低下及び寿命向上とともに効率増加の効果を一緒に得ることができることが分かる。
【0116】
以下では、上述した緑色燐光スタックの構造を含めて図1の4スタック構造に発光素子を具現した例を説明する。
【0117】
図7は本発明の第5~第7実験例による発光素子を示す断面図である。
【0118】
図7のように、本発明の発光素子OLEDの第1電極110と第2電極200の間の内部スタックOSは、第1電極110上に、赤色スタックRS、第1電荷生成層CGL1、第1青色スタックBS1、第2電荷生成層CGL2、緑色スタックGS、第3電荷生成層CGL3、及び第2青色スタックBS2を順に形成したものである。
【0119】
ここで、赤色スタックRS及び緑色スタックGSは燐光スタックから構成し、第1及び第2青色スタックBS1、BS2は蛍光スタックから構成する。
【0120】
赤色スタックRSは、第1電極110上に、正孔注入層(HTL)121、第1正孔輸送層(HTL1)122、赤色発光層123、及び第1電子輸送層(ETL1)124を順に含む。
【0121】
第1~第3電荷生成層CGL1、CGL2、CGL3のそれぞれは、n型電荷生成層nCGL1、nCGL2、nCGL3と、p型電荷生成層pCGL1、pCGL2、pCGL3とを含む。
【0122】
第1青色スタックBS1は第1電荷生成層CGL1上に形成され、第2正孔輸送層(HTL2)131、第1電子阻止層(EBL1)132、第1青色発光層(B EML1)133、及び第2電子輸送層(ETL2)134を含む。
【0123】
また、緑色スタックGSは、第3正孔輸送層141、緑色発光層142、及び第3電子輸送層143を含む。
【0124】
第2青色スタックBS2は第3電荷生成層CGL3上に形成され、第4正孔輸送層(HTL4)151、第2電子阻止層(EBL2)152、第2青色発光層(B EML2)153、第4電子輸送層(ETL4)154を含む。
【0125】
ここで、第1及び第2青色スタックBS1、BS2は、他色のスタックと違い、第1及び第2電子阻止層132、152をそれぞれ含むものであり、第1及び第2電子阻止層132、152は、隣接した燐光スタックに対応して効率を高めて、電子輸送層134、154から電子が正孔輸送層131、151に移らないようにするために、移動速度が速い材料から形成される。場合によって、正孔輸送層131、151の材料を変更して省略することができる。
【0126】
第5~第7実験例は、それぞれ緑色スタックGSの第3正孔輸送層141及び緑色発光層142内の材料に違いがあり、電子輸送性ホスト及び残りの層は同じ条件にして実験した。
【0127】
【表4】
【0128】
図8図7の第5~第7実験例による発光素子の白色発光スペクトラムを示すグラフである。
【0129】
第5実験例(Ex5)及び第6実験例(Ex6)は第1実験例群のEx1-15のように、第3正孔輸送層141をHM-15から構成し、緑色発光層142の電子輸送性ホストGEHをTRZ-20から構成したものである。ただ、第5実験例(Ex5)は、効率向上を目的で、電子阻止層EBL及び正孔阻止層HBLをそれぞれ緑色発光層142に接してさらに構成したものである。
【0130】
第7実験例(Ex7)は第3正孔輸送層141をBCA-03から構成し、緑色発光層142の電子輸送性ホストGEHをTRZ-20から構成したものである。
【0131】
第5実験例(Ex5)は、図8のように、特に緑色の効率改善効果を得るが、表4のように、駆動電圧が第6実験例(Ex6)に比べて4V以上の差を有することが分かる。すなわち、駆動電圧が増加する構造であり、長時間の駆動の際、電力消耗が大きくて寿命にも影響を与えることを予想することができる。
【0132】
第6実験例(Ex6)は、駆動電圧を改善し、白色の具現において、緑色の比重が大きい状況で緑色の効率が第5実験例(Ex5)に比べて10.7Cd/Aの差があるので、白色を発光する素子に具現するとき、所望の白色輝度にするために発光素子以外の補償手段が必要であることを予想することができる。
【0133】
これとは違い、本発明の発光素子のように、第7実験例(Ex7)の場合には、効率が第5実験例(Ex5)に対応する水準以上に向上し、同じ層状構造を有する第6実験例(Ex6)に比べては駆動電圧が同一水準であるが、緑色の効率が11.5Cd/A以上に改善されたものであり、白色発光素子に具現するとき、駆動電圧が低下した状態でも効率向上の効果を得ることができることを予想することができる。これは、長時間の駆動の際に低駆動電圧で動作することができるというのを意味し、寿命向上にも直接的に影響を与えることが理解することができる。
【0134】
以下は本発明の発光素子の他の例を示すものである。
【0135】
図9は本発明の他の実施例による発光素子を示す断面図である。
【0136】
図9のように、本発明の他の実施例による発光素子の第1電極310及び第2電極400の間の内部スタックOSの赤青のスタックRBSは、図7の発光素子と比較して、赤色発光層(R EML)323に接して第1青色発光層(B EML)324を有し、その上部に第1電子輸送層(ETL1)325を備え、赤色発光層(R EML)323の下に設けられた第1正孔輸送層(HTL 1)322を備え、色温度向上の要求に応じて青色発光層を燐光発光層である赤色発光層323に接してさらに備えたものである。
【0137】
この場合、第1及び第2青色スタックBS1、BS2のそれぞれは、正孔輸送層(HTL2,HTL4)331、351、電子阻止層(EBL1,EBL2)332、352、青色発光層(B EML2,B EML3)333、353、及び電子輸送層(ETl2、ETL4)334、354を有し、陰極400に接した第2青色スタックBS2は電子注入層(ETL)360をさらに備える。
【0138】
また、緑色スタックGSは、図7で説明したように、正孔輸送層(HTL3)341、緑色発光層(G EML)342、及び電子輸送層(ETL3)343の単純構造を有するものである。上述したように、緑色スタックGSは、単純構造で駆動電圧を低下させることができ、正孔輸送層341及び緑色発光層342内の電子輸送性ホストの材料の変更によって効率向上及び駆動電圧の低下とともに寿命向上の効果を一緒に有することができる。
【0139】
以下では、本発明の発光素子を発光表示装置に用いた例を説明する。
【0140】
図10は本発明の発光素子を用いた発光表示装置を一実施例によって示す断面図である。
【0141】
図10のように、本発明の表示装置は、赤色光R,緑色光G、青色光B、白色光Wをそれぞれ発する複数のサブ画素R_SP、G_SP、B_SP、W_SPを有する基板100と、前記基板100に共通して備えられる発光素子OLEDと、前記サブ画素のそれぞれに備えられ、発光素子OLEDの前記第1電極110と接続された薄膜トランジスタTFTと、前記サブ画素のうちの少なくとも一つの前記第1電極110の下側に備えられたカラーフィルター層109R、109G、109Bとを含むことができる。
【0142】
図示の例は白色サブ画素W_SPを含む例を説明するが、これに限定されず、白色サブ画素W_SPを省略し、赤色、緑色及び青色サブ画素R_SP、G_SP、B_SPのみを備えた構造も可能であろう。場合によって、赤色、緑色及び青色サブ画素の代わりに、組み合わせて白色を表現することができるシアン(cyan)サブ画素、マゼンタ(magenta)サブ画素及びイエロー(yellow)サブ画素の組合せも可能である。
【0143】
前記薄膜トランジスタTFTは、一例として、ゲート電極102と、半導体層104と、前記半導体層104の両側と接続されたソース電極106a及びドレイン電極106bとを含む。そして、前記半導体層104のチャネルが位置する部位の上部には、ソース/ドレイン電極106a、106bと前記半導体層104との直接的な接続を防止するために、チャネル保護層105をさらに備えることができる。
前記ゲート電極102と半導体層104との間にはゲート絶縁膜103が備えられる。
【0144】
前記半導体層104は、例えば、酸化物半導体、非晶質シリコン及び多結晶シリコンのうちのいずれか1種または2種以上の組合せからなることもできる。例えば、前記半導体層104が酸化物半導体の場合、薄膜トランジスタの形成に必要な加熱温度を低めることができ、基板100の使用に自由度が高いので、フレキシブル表示装置への適用が有利であろう。
【0145】
また、前記薄膜トランジスタTFTのドレイン電極106bは、第1電極110と、第1及び第2保護膜107、108内に備えられたコンタクトホールCTの領域で接続されることができる。
【0146】
前記第1保護膜107は前記薄膜トランジスタTFTを一次的に保護するために備えられ、その上部にカラーフィルター109R、109G、109Bが備えられることができる。
【0147】
前記複数のサブ画素が赤色サブ画素、緑色サブ画素、青色サブ画素、及び白色サブ画素を含む場合、前記カラーフィルターは、白色サブ画素W_SPを除いた残りのサブ画素に第1~第3カラーフィルター109R、109G、109Bに分けられて備えられ、前記第1電極110を通過して出射する白色光を各波長別に通過させる。そして、前記第1~第3カラーフィルター109R、109G、109Bを覆うように、前記第1電極110の下側に第2保護膜108が形成される。第1電極110は、コンタクトホールCTを介して、第2保護膜108の表面に形成され、薄膜トランジスタTFTに接続され得る。
【0148】
ここで、前記基板100から薄膜トランジスタTFT、カラーフィルター層109R、109G、109B、及び第1及び第2保護膜107、108まで含めて薄膜トランジスタアレイ基板1000という。
【0149】
発光素子OLEDは、発光部BHを定義するバンク119を含む薄膜トランジスタアレイ基板100上に形成される。発光素子OLEDは、一例として、透明な第1電極110と、これと対向する反射性電極の第2電極200とを含み、前記第1電極110と第2電極200との間に、上述したように、緑色の燐光スタックの単一緑色発光層を含む構造であり、緑色発光層と接する正孔輸送層の材料を化学式2のビスカルバゾール系化合物にし、緑色発光層内の電子輸送性ホストの材料を化学式1のトリアジン系化合物にすることにより、効率向上、駆動電圧の低下及び寿命向上を一緒に得ることができる。
【0150】
本発明の発光素子及びこれを用いた発光表示装置は、白色を具現する発光素子を蛍光スタックと燐光スタックとを連結して形成する。このうち、燐光スタックは、蛍光スタックに比べて高い内部量子効率を有し、互いに異なる燐光発光層を隣接して構成して励起子の使用を共有する。本発明の発光素子及びこれを用いた発光表示装置は、正孔輸送層と他の燐光発光層との間にある赤色発光層の材料を変更して、正孔輸送層との界面で発生する励起子の損失を防止し、励起子が隣接した燐光発光層にわたって均衡的に分けられて発生するようにして、白色を現すために隣接した燐光発光層の効率がいずれか一側に偏らないように調節することができる。
【0151】
結果的に、赤色発光層と隣接した燐光発光層との効率バランスを取ることにより、白色発光素子において、燐光発光層の輝度を均衡的に上昇させることができ、発光表示装置の効率も改善することができる。
本発明の発光素子は、互いに対向する第1電極及び第2電極と、p型電荷生成層、正孔輸送層、及び緑色発光層が順に積層された発光ユニットとを含み、前記緑色発光層は、化学式1の第1物質と燐光ドーパントとを含んでなることができる。
【0152】
【化34】
【0153】
ここで、Reはジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、トリフェニル基、トリフェニレン基、カルバゾール基、ベンゾカルバゾール基、インデノカルバゾール基、ビスカルバゾール基、フルオレン基、及びフェニルカルバゾール基の中の少なくとも1つを含み、Lは単一結合であるか、または、フェニル基、フェニレン基、ビフェニル基、ビフェニレン基、ジベンゾフラン基、ジベンゾフリレン基、ジベンゾチオフェン基、及びジベンゾチエニレン基の中の少なくとも1つを含む。
【0154】
そして、前記正孔輸送層は化学式2の第2物質を含んでなることができる。
【0155】
【化35】
【0156】
ここで、Ra~Rdはそれぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素数1~6のアルキル基、置換または非置換の炭素数3~6のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数6~15のアリール基、置換または非置換の炭素数5~9のヘテロアリール基、カルバゾール基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、トリアルキルシリル基、及びトリアリールシリル基の中で選択される。m及びpは、独立的に0から4までの整数の中で選択される。n及びoは、独立的に0から3までの整数の中で選択される。R~R10は、それぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素数1~6のアルキル基、置換または非置換の炭素数6~18のアリール基、カルバゾール基、フェニルカルバゾール基、ジベンゾフラン基、及びジベンゾチオフェン基の中で選択され、または、2またはそれ以上のR~R10は結合しているフェニル基と共に縮合アリール基を形成し得る。
【0157】
前記燐光ドーパントは、波長510nm~550nmの発光ピークを有する金属錯体化合物であることができる。
【0158】
前記緑色発光層は、前記正孔輸送層と接しない他側が電子輸送層と接することができる。
【0159】
前記電子輸送層は、前記緑色発光層と接しない他側が電子注入層またはn型電荷生成層と接することができる。
【0160】
前記電子輸送層は、前記緑色発光層と接しない他側が金属のドーピングされた有機層または金属化合物を有する無機層であることができる。
【0161】
前記p型電荷生成層及び前記n型電荷生成層のうちの少なくとも一つは青色発光層を含む青色スタックに隣り合い、前記青色発光層は、波長420nm~480nmの発光ピークを有する青色ドーパントを含むことができる。
【0162】
前記p型電荷生成層は、前記第1電極から50nm以上離隔することができる。
【0163】
また、本発明の他の実施例による発光素子は、互いに対向する第1電極及び第2電極と、p型電荷生成層、正孔輸送層、緑色発光層、及び電子輸送層が順に積層された発光ユニットとを含み、緑色発光層は、上述の化学式1の第1物質と燐光ドーパントとを含み、前記正孔輸送層は、ビスカルバゾール系化合物の第2物質を含むことができる。
【0164】
また、本発明のさらに他の実施例による発光素子は、互いに対向する第1電極及び第2電極と、前記第1電極と前記第2電極の間に順に備えられた赤色スタック、第1青色スタック、緑色スタック、及び第2青色スタックとを含み、前記緑色スタックは、正孔輸送層、緑色発光層、及び電子輸送層を順に含み、緑色発光層は、上述の化学式1の第1物質と燐光ドーパントとを含み、前記正孔輸送層は、ビスカルバゾール系化合物の第2物質を含むことができる。
【0165】
そして、本発明の一実施例による発光表示装置は、複数のサブ画素を含む基板と、前記基板上のサブ画素にそれぞれ備えられた薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタと接続される上述した発光素子とを含むことができる。
【0166】
一方、以上で説明した本発明は上述した実施例及び添付図面に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範疇内でさまざまな置換、変形及び変更が可能であるというのは本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明らかであろう。
【符号の説明】
【0167】
100 基板
110 第1電極
1105 p型電荷生成層
1210 正孔輸送層
1220 緑色発光層
1230 電子輸送層
200 第2電極
GS 緑色スタック
GEH 電子輸送性ホスト
GHH 正孔輸送性ホスト
GD 緑色ドーパント
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
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図8
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図10