(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】ブロック化ポリイソシアネート架橋剤、その調製方法及びそれを含むコーティング組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 175/04 20060101AFI20250408BHJP
C09D 7/43 20180101ALI20250408BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20250408BHJP
【FI】
C09D175/04
C09D7/43
C09D7/63
(21)【出願番号】P 2022528240
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(86)【国際出願番号】 EP2020081429
(87)【国際公開番号】W WO2021094237
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/118963
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】シェファー,クリスティアン,ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,シェンチョン
(72)【発明者】
【氏名】ヒルゼマン,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ウェン,メイ
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-510786(JP,A)
【文献】特開2004-035552(JP,A)
【文献】特開平04-018459(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0083028(US,A1)
【文献】特開昭58-063760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 175/04
C09D 7/43
C09D 7/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a).脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、及びポリイソシアネート官能性ポリマーから選択される少なくとも1種のポリイソシアネート;
b).
エチル2-オキソシクロペンタンカルボキシレート及び/又はα-アセチルブチロラクトンである少なくとも1種のβ-ジケトン
;及び
さらにアミノ基を有する少なくとも1種の(メタ)アクリレート
を含む成分の反応から得られるブロック化ポリイソシアネート架橋剤
であって、
前記a).脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、及びポリイソシアネート官能性ポリマーから選択される少なくとも1種のポリイソシアネートと前記b).エチル2-オキソシクロペンタンカルボキシレート及び/又はα-アセチルブチロラクトンである少なくとも1種のβ-ジケトンとの反応により得られた結果生成物と、前記アミノ基を有する少なくとも1種の(メタ)アクリレートと、の反応により得られるブロック化ポリイソシアネート架橋剤。
【請求項2】
前記ポリイソシアネートが
、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びポリイソシアネート官能性脂肪族アクリル酸エステルから選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のブロック化ポリイソシアネート架橋剤。
【請求項3】
前記(メタ)アクリレートが
、2-アミノエチルアクリレート、2-アミノエチルメタクリレート、2-(tert-ブチルアミノ)エチルアクリレート、2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアクリレート、及び2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、から選択される少なくとも1種である、請求項
1に記載のブロック化ポリイソシアネート架橋剤。
【請求項4】
前記(メタ)アクリレートは
、2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレー
トである、請求項
3に記載のブロック化ポリイソシアネート架橋剤。
【請求項5】
前記β-ジケトンと前記(メタ)アクリレートのモル比は、1:10~10:
1である、請求項
1~
4のいずれか1項に記載のブロック化ポリイソシアネート架橋剤。
【請求項6】
以下のステップ、
i).ポリイソシアネートとβ-ジケトンの反応;及び
ii).(メタ)アクリレートとステップi)で得られた結果生成物の反応、
を含む、請求項
1~
5のいずれか1項に記載のブロック化ポリイソシアネート架橋剤を調製する方法。
【請求項7】
A).請求項1~
6のいずれか1項による少なくとも1つのブロック化ポリイソシアネート架橋剤;及び
B).少なくとも1種の反応性希釈剤、
を含むコーティング組成物。
【請求項8】
A).請求項1~
6のいずれか1項による少なくとも1つのブロック化ポリイソシアネート架橋剤;及び
C).少なくとも1種のポリオール、
を含むコーティング組成物。
【請求項9】
A).請求項1~
6のいずれか1項による少なくとも1つのブロック化ポリイソシアネート架橋剤;
B).少なくとも1種の反応性希釈剤;及び
C).少なくとも1種のポリオール、
を含むコーティング組成物。
【請求項10】
A).請求項1~
6のいずれか1項による少なくとも1つのブロック化ポリイソシアネート架橋剤;
B).少なくとも1種の反応性希釈剤;及び
D).少なくとも1種の不飽和ポリエステル、
を含むコーティング組成物。
【請求項11】
たるみ制御剤の総質量に基づいて90質量%以上の固形分を有する少なくとも1つのたるみ制御剤をさらに含む、請求項
10によるコーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック化ポリイソシアネート架橋剤、その調製方法、及び、そのようなブロック化ポリイソシアネート架橋剤を含むコーティング組成物、より具体的には、そのようなブロック化ポリイソシアネート架橋剤を含む自動車用コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化剤(架橋剤)としてのブロック化ポリイソシアネートは、自動車用コーティング組成物の焼付けに広く使用されている。US6559264B1は、A)5~95当量%、好ましくは70~30当量%のイソシアネート基が、酸性CHエステルによりブロックされた(該エステルと反応した)ものと、B)5~95当量%、好ましくは70~30当量%のイソシアネート基が、1,2,4-トリアゾールによりブロックされた(該トリアゾールと反応した)ものと、C)0~10当量%のイソシアネート基が、A)及びB)とは異なる他のブロック化剤によりブロックされた(該ブロック化剤と反応した)ものとを有し、それらが100当量%のブロック化NCO基に対して、0.05~1.0モルのホルムアルデヒドを、一体化された形態で含有する、脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアネートを開示している。しかし、溶媒の量は減らず、したがって、VOC(揮発性有機化合物)の問題が存在している。US2012/031629A1は、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、及び芳香族ポリイソシアネートがC,H-酸性基及びN,H-活性水素含有化合物の混合物によりブロックされ、ブロック化ポリイソシアネート組成物を提供することを開示している。溶媒の量は減るが、イソシアネート及びポリアクリレート/ポリオールは互いに反応することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、優れた流動性、高い保存安定性を有し、ラジカル重合及び/又はイソシアネートとポリアクリレート/ポリオールの反応を介してコーティング組成物を硬化させることができるコーティング組成物のためのブロック化ポリイソシアネート架橋剤が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本発明は、
a).脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、及びポリイソシアネート官能性ポリマーから選択される少なくとも1つのポリイソシアネート;及び
b).少なくとも1つのβ-ジケトン、
を含む成分の反応から得られるブロック化ポリイソシアネート架橋剤を提供する。
【0005】
別の態様では、本発明は、以下のステップ:
i).ポリイソシアネートとβ-ジケトンの反応;及び
ii).(メタ)アクリレートとステップi)で得られた結果生成物の反応、
を含む、ブロック化ポリイソシアネート架橋剤を調製する方法を提供する。
【0006】
別の態様では、本発明は、
A).少なくとも1つの本発明のブロック化ポリイソシアネート架橋剤;及びB).少なくとも1つの反応性希釈剤、
を含むコーティング組成物を提供する。
【0007】
別の態様では、本発明は、
A).少なくとも1つの本発明のブロック化ポリイソシアネート架橋剤;及びC).少なくとも1つのポリオール、
を含むコーティング組成物を提供する。
【0008】
別の態様では、本発明は、
A).少なくとも1つ本発明のブロック化ポリイソシアネート架橋剤;B).少なくとも1つの反応性希釈剤;及びC).少なくとも1つのポリオール、
を含むコーティング組成物を提供する。
【0009】
さらなる態様では、本発明は、
A).少なくとも1つの本発明のブロック化ポリイソシアネート架橋剤;B).少なくとも1つの反応性希釈剤;及びD).少なくとも1つの不飽和ポリエステル、
を含むコーティング組成物を提供する。
【発明を実施する形態】
【0010】
発明の詳細な説明
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。本明細書で使用される場合、以下の用語は、特に明記されていない限り、それらに帰する意味を有する。
【0011】
本明細書で使用される場合、冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法的対象物の1つ又は複数(すなわち、少なくとも1つ)を指す。例として、「要素(単数)」は、1つの要素又は複数の要素を意味する。
【0012】
本明細書で使用される場合、用語「1K」は、その全ての成分を1つのパッケージ内に有する組成物を指す。
【0013】
本明細書で使用される場合、用語「2K」は、2つの成分を含む組成物を指し、そのそれぞれはまた、いくつかの化合物の混合物であってよい。2つの成分は、必要に応じて一緒にブレンドされることができる。また、使用の時点で混合され得る2つの独立したパッケージであってよい。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「(ポリ)イソシアネート」は、活性水素含有化合物と反応する少なくとも2つのNCO基を有する(ポリ)イソシアネートを指す。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「ブロック化(ポリ)イソシアネート」は、特定の脱ブロック化温度又は薬剤にさらされるまで反応することができない(ポリ)イソシアネートを指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「反応性希釈剤」は、樹脂の溶媒の役割を果たし、その後、不飽和基を有する樹脂の成分と反応するモノマーを指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「固形分」は、揮発性溶媒が気化した後に残る材料である、コーティング、塗料又は他の懸濁液に含有される不揮発性材料の一部を指す。
【0018】
本発明の目的は、優れた流動性、良好な保存安定性を有し、コーティング組成物の二重硬化(ラジカル重合及びイソシアネートとポリアクリレート/ポリオールとの反応)を可能にする、1K及び2Kコーティング組成物のためのブロック化ポリイソシアネート架橋剤を提供することである。
【0019】
ブロック化ポリイソシアネート架橋剤
本発明によるブロック化ポリイソシアネート架橋剤は、a).脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート及びポリイソシアネート官能性ポリマーから選択される少なくとも1つのポリイソシアネート、及びb).少なくとも1つのβ-ジケトン、を含む成分の反応から得られる。
【0020】
ブロック化ポリイソシアネートのベースとなるポリイソシアネートは、脂肪族及び/又は脂環式に結合したイソシアネート基及び/又はポリイソシアネート官能性ポリマーを含む既知のポリイソシアネートであり、イソシアネート(NCO)基の含有量は10~50質量%、好ましくは15%~35%である。好ましくは、ポリイソシアネートはヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びポリイソシアネート官能性脂肪族アクリル酸エステルから選択される少なくとも1つである。他のイソシアネートをベースとするポリイソシアネートも使用でき、例えば、ジイソシアナトブタン-1,4,2,4-シクロヘキサン、2,6-ジイソシアナト-1-メチル-シクロヘキサン、2,5-ビス-イソシアナト-ノルボルナン、2,6-ビス-イソシアナト-ノルボルナン、3-イソシアナトメチル-1-メチルシクロヘキサン、4-イソシアナトメチル-1-メチルシクロヘキサン、1,4-ビス-(2-イソシアナトプロプ-2-イル)ベンゼン、1,3-ジイソシアナトメチルベンゼン、1,3-ビス-イソシアナトメチルシクロヘキサン及び1,4-ビス-イソシアナトメチルシクロヘキサンである。
【0021】
β-ジケトンは、ポリイソシアネートのNCO基の一部と反応される。好ましくは、β-ジケトンは、1,3-インダンジオン、1-(2-アミノフェニル)デカン-1,3-ジオン、2’-O-メチルコジオン、2,4,4’、6-テトラヒドロキシジベンゾイルメタン、2,4-ジオキソペンタン二酸、2-オキソシクロペンタンカルボン酸エチル、2-[(2,6-ジオキソシクロヘキシル)メチル]シクロヘキサン-1,3-ジオン、2-[(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシル)メチル]-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1,3-ジオン、2-[1-(2,6-ジオキソシクロヘキシル)-3-フェニルプロプ-2-イニル]シクロヘキサン-1,3-ジオン、2-シアノ-3-シクロプロピル-1-(2-メシル-4-トリフルオロメチルフェニル)プロパン-1,3-ジオン、3,5-ジオキソオクタン二酸、3,6-ジヒドロキシシクロヘキサン-1,2,4,5-テトロン、3-デヒドロ-scyllo-イノソース、3-フマリルピルビン酸、3-ヒドロキシ-2,4-ジオキソペンチルホスフェート、3-マレイルピルビン酸、3-ウンデシルシクロヘキサン-1,2,4,5-テトロン、4,6-ジオキソヘプト-2-エン二酸、4,6-ジオキソヘプタン酸、4-(2-アミノフェニル)-2,4-ジオキソブタン酸、4-(3-メチル-5-イソオキサゾリル)-5-フェニルシクロヘキサン-1,3-ジオン、4-[4-(3,5-ジオキソヘキシル)フェニルカルバモイル]酪酸、4-フマリルアセト酢酸、4-マレイルアセト酢酸、5,7-イコサンジオン、5-(2,2-ジフェルロイレテン-1-イル)サリドマイド(5-(2,2-diferuloylethen-1-yl)thalidomide)、5-(2-フラニル)シクロヘキサン-1,3-ジオン、5-(ヒドロキシメチル)-3-(1-オキソヘキサデシル)オキソラン-2,4-ジオン、5-エチルウンデカン-2,4-ジオン、5-ヒドロキシ-2,4-ジオキソペンタン酸、6,8-イコサンジオン、6-ジンジャージオン、アセチルアセトン、アセチルピルビン酸、α-アセチルブチロラクトン、アニシンジオン、バークレイジオン、バークレイトリオン、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,6-ジオン、ビシクロピロン、ビスデメトキシクルクミン、クレトジム、クルクミン、シクロヘキサン-1,3-ジオン、シクロペンタン-1,3-ジオン、シクロキシジム、デメトキシクルクミン、ジベンゾイルメタン、ジヒドロクルクミン、ヘントリアコンタン-14,16-ジオン、リコジオン、ニンヒドリン、ノナン-4,6-ジオン、フェニンジオン、テヌアゾン酸、テトラヒドロクルクミン及びトリトリアコンタン-16,18-ジオン、から選択される少なくとも1つである。より好ましくは、β-ジケトンは、エチル2-オキソシクロペンタンカルボキシレート及び/又はα-アセチルブチロラクトン、から選択される少なくとも1つである。
【0022】
好ましくは、スルフヒドリル基及び/又はアミノ基及び/又はヒドロキシル基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリレートを添加して、ポリイソシアネートのNCO基とも反応させることができる。β-ジケトンは(メタ)アクリレートとともに、ポリイソシアネートの全てのNCO基を消費する。好ましくは、前記(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、3-及び4-ヒドロキシブチルアクリレート、3-及び4-ヒドロキシブチルメタクリレート、6-ヒドロキシエチルアクリレート、6-ヒドロキシエチルメタクリレート、3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルアクリレート、3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-(アクリロイル)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、2-アミノエチルアクリレート、2-アミノエチルメタクリレート、2-(tert-ブチルアミノ)エチルアクリレート、2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアクリレート、及び2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、から選択される少なくとも1つである。これらの混合物も使用されることができる。そして、より好ましくは、(メタ)アクリレートは、2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート及び2-ヒドロキシエチルアクリレート、から選択される少なくとも1つである。
【0023】
驚くべきことに、β-ジケトンと(メタ)アクリレートを組み合わせてポリイソシアネートをブロックすることにより、得られたブロック化ポリイソシアネート架橋剤は、優れた流動性、良好な保存安定性及び自動車のコーティング組成物の二重硬化(ラジカル重合及びイソシアネートとポリアクリレート/ポリオールとの反応)への適用が可能であることが見出された。
【0024】
好ましくは、β-ジケトンと(メタ)アクリレートのモル比は、1:10~10:1であり、より好ましくは1:2~2:1である。β-ジケトンの比率が低いほど、又は(メタ)アクリレートの比率が高いほど、非粘着性のコーティング層をもたらすブロック化ポリイソシアネート架橋剤が得られる傾向である。
【0025】
前記(メタ)アクリレートが存在する場合、ブロック化ポリイソシアネート架橋剤は、以下のステップ:i).ポリイソシアネートとβ-ジケトンの反応;及びii).(メタ)アクリレートとステップi)で得られた結果生成物の反応によって調製される。
【0026】
コーティング組成物
ブロック化ポリイソシアネート架橋剤は、1K及び2Kコーティング組成物に使用されることができる。例えば、少なくとも1つの本発明のブロック化ポリイソシアネート架橋剤と少なくとも1つの反応性希釈剤とを含むコーティング組成物が調製され得る。別の例では、少なくとも1つの本発明のブロック化ポリイソシアネート架橋剤と少なくとも1つのポリオールとを含むコーティング組成物が調製され得る。別の例では、少なくとも1つの本発明のブロック化ポリイソシアネート架橋剤、少なくとも1つの反応性希釈剤;及び少なくとも1つのポリオールを含むコーティング組成物が調製され得る。そしてさらなる例では、少なくとも1つの本発明のブロック化ポリイソシアネート架橋剤、少なくとも1つの反応性希釈剤、及び少なくとも1つの不飽和ポリエステルを含むコーティング組成物が調製され得る。
【0027】
好ましくは、反応性希釈剤は、(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つであり、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、アミルアクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、3,3,5-トリメチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、3,3,5-トリメチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ノルボニルアクリレート、ノルボニルメタクリレート、アダマンチルアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化ジアクリレート、エトキシ化ジメタクリレート、エトキシ化トリアクリレート、エトキシ化トリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、及びジ(トリメチロールプロパン)テトラメタアクリレート、から選択される少なくとも1つである。より好ましくは、(メタ)アクリレートは、2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート及び2-ヒドロキシエチルアクリレート、から選択される少なくとも1つである。
【0028】
ポリオールは、任意の既知のポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオール及び/又はポリアクリレートベースのポリオールであり、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールである。ポリオールは、ポリイソシアネートと組み合わせて、ポリウレタンを製造するために使用される。
【0029】
不飽和ポリエステルは、主鎖及び/又は側鎖ならびにヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基に二重結合を有する。好ましくは、不飽和ポリエステルは、無水マレイン酸ベースの不飽和ポリエステル、イタコン酸ベースの不飽和ポリエステル、フマル酸ベースの不飽和ポリエステル、トランス-アコニット酸ベースの不飽和ポリエステル及びヘキサヒドロフタル酸無水物ベースの不飽和ポリエステル、から選択されることができる。
【0030】
チキソトロピー挙動を改善するために、高固形分のたるみ制御剤などの添加剤をコーティング組成物中に添加することが可能である。本発明で使用されるたるみ制御剤は、たるみ制御剤の総質量に基づいて90質量%以上の固形分量を有する。好ましくは、たるみ制御剤は、ベンジルアミン及びヘキサメチレンジイソシアネートベースのたるみ制御剤、メトキシプロピルアミン及びヘキサメチレンジイソシアネート三量体ベースのたるみ制御剤、から選択される少なくとも1つである。
【0031】
β-ジケトン、例えばエチル2-オキソシクロペンタンカルボキシレートは、140℃の温度で脱ブロックされ、脱ブロック後に得られたポリイソシアネートはポリアクリレート/ポリオールと反応し、エチル2-オキソシクロペンタンカルボキシレートは、大気中の酸素によって活性化された後、反応性希釈剤のフリーラジカル重合反応を開始する。このように、コーティングはVOC含有量が極めて少なく、硬化後に得られるコーティング層は、硬度、耐溶剤性、弾性、接着性及び伸長性において良好な性能を示す。
【0032】
実施形態
以下の実施形態は、本発明をより詳細に説明するために使用される。
【0033】
第1実施形態は、以下の、
a).脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、及びポリイソシアネート官能性ポリマーから選択される少なくとも1つのポリイソシアネート;及び
b).少なくとも1つのβ-ジケトン、
を含む成分の反応から得られるブロック化ポリイソシアネート架橋剤である。
【0034】
第2実施形態は、前記ポリイソシアネートが、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びポリイソシアネート官能性脂肪族アクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのポリイソシアネートである、第1実施形態によるブロック化ポリイソシアネート架橋剤である。
【0035】
第3実施形態は、前記β-ジケトンは、1,3-インダンジオン、1-(2-アミノフェニル)デカン-1,3-ジオン、2’-O-メチルコジオン、2,4,4’、6-テトラヒドロキシジベンゾイルメタン、2,4-ジオキソペンタン二酸、2-オキソシクロペンタンカルボン酸エチル、2-[(2,6-ジオキソシクロヘキシル)メチル]シクロヘキサン-1,3-ジオン、2-[(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシル)メチル]-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1,3-ジオン、2-[1-(2,6-ジオキソシクロヘキシル)-3-フェニルプロプ-2-イニル]シクロヘキサン-1,3-ジオン、2-シアノ-3-シクロプロピル-1-(2-メシル-4-トリフルオロメチルフェニル)プロパン-1,3-ジオン、3,5-ジオキソオクタン二酸、3,6-ジヒドロキシシクロヘキサン-1,2,4,5-テトロン、3-デヒドロ-scyllo-イノソース、3-フマリルピルビン酸、3-ヒドロキシ-2,4-ジオキソペンチルホスフェート、3-マレイルピルビン酸、3-ウンデシルシクロヘキサン-1,2,4,5-テトロン、4,6-ジオキソヘプト-2-エン二酸、4,6-ジオキソヘプタン酸、4-(2-アミノフェニル)-2,4-ジオキソブタン酸、4-(3-メチル-5-イソオキサゾリル)-5-フェニルシクロヘキサン-1,3-ジオン、4-[4-(3,5-ジオキソヘキシル)フェニルカルバモイル]酪酸、4-フマリルアセト酢酸、4-マレイルアセト酢酸、5,7-イコサンジオン、5-(2,2-ジフェルロイレテン-1-イル)サリドマイド(5-(2,2-diferuloylethen-1-yl)thalidomide)、5-(2-フラニル)シクロヘキサン-1,3-ジオン、5-(ヒドロキシメチル)-3-(1-オキソヘキサデシル)オキソラン-2,4-ジオン、5-エチルウンデカン-2,4-ジオン、5-ヒドロキシ-2,4-ジオキソペンタン酸、6,8-イコサンジオン、6-ジンジャージオン、アセチルアセトン、アセチルピルビン酸、α-アセチルブチロラクトン、アニシンジオン、バークレイジオン、バークレイトリオン、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,6-ジオン、ビシクロピロン、ビスデメトキシクルクミン、クレトジム、クルクミン、シクロヘキサン-1,3-ジオン、シクロペンタン-1,3-ジオン、シクロキシジム、デメトキシクルクミン、ジベンゾイルメタン、ジヒドロクルクミン、ヘントリアコンタン-14,16-ジオン、リコジオン、ニンヒドリン、ノナン-4,6-ジオン、フェニンジオン、テヌアゾン酸、テトラヒドロクルクミン及びトリトリアコンタン-16,18-ジオン、から選択される少なくとも1つである、実施形態1~2のいずれか1つによるブロック化ポリイソシアネート架橋剤である。
【0036】
第4実施形態は、前記β-ジケトンは、好ましくはエチル2-オキソシクロペンタンカルボキシレート及び/又はα-アセチルブチロラクトンである、実施形態3によるブロック化ポリイソシアネート架橋剤である。
【0037】
第5実施形態は、スルフヒドリル基及び/又はアミノ基及び/又はヒドロキシル基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリレートをさらに含む、実施形態1~4のいずれか1つによるブロック化ポリイソシアネート架橋剤である。
【0038】
第6実施形態は、前記(メタ)アクリレートが、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、3-及び4-ヒドロキシブチルアクリレート、3-及び4-ヒドロキシブチルメタクリレート、6-ヒドロキシエチルアクリレート、6-ヒドロキシエチルメタクリレート、3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルアクリレート、3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-(アクリロイル)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、2-アミノエチルアクリレート、2-アミノエチルメタクリレート、2-(tert-ブチルアミノ)エチルアクリレート、2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアクリレート、及び2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、から選択される少なくとも1つである、実施形態5によるブロック化ポリイソシアネート架橋剤である。これらの混合物も使用されることができる。
【0039】
第7実施形態は、前記(メタ)アクリレートが、好ましくは2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート及び2-ヒドロキシエチルアクリレート、から選択される少なくとも1つである、実施形態6によるブロック化ポリイソシアネート架橋剤である。
【0040】
第8実施形態は、前記β-ジケトンと前記(メタ)アクリレートのモル比が、1:10~10:1であり、好ましくは1:2~2:1である、実施形態5~7のいずれか1つによるブロック化ポリイソシアネート架橋剤である。
【0041】
第9実施形態は、実施形態5~8のいずれか1つによるブロック化ポリイソシアネート架橋剤を調製する方法であって、以下のステップ:
i).ポリイソシアネートとβ-ジケトンの反応;及び
ii).(メタ)アクリレートとステップi)で得られた結果生成物の反応、
を含む、方法である。
【0042】
第10実施形態は、以下の
A).実施形態1~9のいずれか1つによる少なくとも1つのブロック化ポリイソシアネート架橋剤;及びB).少なくとも1つの反応性希釈剤、
を含むコーティング組成物である。
【0043】
第11実施形態は、以下の
A).実施形態1~9のいずれか1つによる少なくとも1つのブロック化ポリイソシアネート架橋剤;及びC).少なくとも1つのポリオール、
を含むコーティング組成物である。
【0044】
第12実施形態は、以下の
A).実施形態1~9のいずれか1つによる少なくとも1つのブロック化ポリイソシアネート架橋剤;B).少なくとも1つの反応性希釈剤;及びC).少なくとも1つのポリオール、
を含むコーティング組成物である。
【0045】
第13実施形態は、以下の
A).実施形態1~9のいずれか1つによる少なくとも1つのブロック化ポリイソシアネート架橋剤;B).少なくとも1つの反応性希釈剤;及びD).少なくとも1つの不飽和ポリエステル、
を含むコーティング組成物である。
【0046】
第14実施形態は、たるみ制御剤の総質量に基づいて90質量%以上の固形分を有する少なくとも1つのたるみ制御剤をさらに含む、第13実施形態によるコーティング組成物である。
【0047】
実施例
次に、本発明を限定することを意図しない実施例を参照して、本発明を説明する。
【0048】
実施例1:ブロック化ポリイソシアネート架橋剤の調製
330.2g(0.51mol)のHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)-三量体(Evonik Desmodur N3000)及び20mgの触媒ナトリウムメトキシレートを窒素雰囲気下のフラスコに入れた。80g(0.16mol)のエチル2-オキソシクロペンタンカルボキシレートを室温で滴下したが、反応温度は最後には40℃まで上昇した。80℃まで外部加熱し、窒素下でNCO含有量が計算値になるまで攪拌を続けた。反応混合物を室温まで冷却し、189.8g(0.31mol)の2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレート(Sinopharm)を滴下して加え、NCO含量が0%になるまで温度を35~45℃の間に保った。600gのわずかに黄色がかった液体が得られ、これを異なる比率(100:0%から0:100%)の反応性希釈剤HDDAとTMPTAの混合物でさらに希釈した。残りの開始剤の含有量は、HPLC検出限界0.01%未満であった。
【0049】
実施例2:ブロック化ポリイソシアネート架橋剤の調製
66.04g(0.34mol)のHDI-三量体(Evonik Desmodur N3000)及び20mgの触媒ナトリウムメトキシレートを窒素雰囲気下のフラスコに入れた。16g(0.1mol)のAcBLを40℃で30分以内に滴下して添加した。80℃まで外部加熱し、窒素下でNCO含有量が計算値になるまで攪拌を続けた。反応混合物を室温まで冷却し、38g(0.2mol)の2-(tert-ブチルアミノ)エチルメタクリレート(Sinopharm)を滴下して加え、NCO含量が0%になるまで温度を35~45℃の間に保った。120gのわずかに黄色がかった液体が得られ、これを異なる比率(100:0%から0:100%)の反応性希釈剤HDDAとTMPTAの混合物でさらに希釈した。残りの開始剤の含有量は、HPLC検出限界0.01%未満であった。
【0050】
実施例3:ブロック化ポリイソシアネート架橋剤の調製
254.3g(1.3mol)のHDI-三量体(Evonik Desmodur N3000)及び80mgの触媒ナトリウムメトキシレートを窒素雰囲気下のフラスコに入れた。64.03g(0.41mol)のEOCを40℃で30分以内に滴下して添加した。80℃まで外部加熱し、窒素下でNCO含有量が計算値になるまで攪拌を続けた。反応混合物を室温まで冷却し、38g(0.2mol)の2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を滴下して加え、NCO含量が0%になるまで温度を35~45℃の間に保った。260gのわずかに黄色がかった液体が得られ、これを異なる比率(100:0%から0:100%)の反応性希釈剤HDDAとTMPTAの混合物でさらに希釈した。残りの開始剤の含有量は、HPLC検出限界0.01%未満であった。
【0051】
実施例4:ブロック化ポリイソシアネート架橋剤の調製
72.1g(0.37mol)のHDI-三量体(Evonik Desmodur N3000)及び20mgの触媒ナトリウムメトキシレートを窒素雰囲気下のフラスコに入れた。34.9g(0.22mol)のAcBLを40℃で30分以内に滴下して添加した。80℃まで外部加熱し、窒素下でNCO含有量が計算値になるまで攪拌を続けた。反応混合物を室温まで冷却し、13g(0.11mol)の2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)を滴下して加え、NCO含量が0%になるまで温度を35~45℃の間に保った。120gのわずかに黄色がかった液体が得られ、これを異なる比率(100:0%から0:100%)の反応性希釈剤HDDAとTMPTAの混合物でさらに希釈した。残りの開始剤の含有量は、HPLC検出限界0.01%未満であった。
【0052】
実施例5:ブロック化ポリイソシアネート架橋剤の調製
128.6g(0.49mol)のHMDI及び80mgの触媒ナトリウムメトキシレートを窒素雰囲気下のフラスコに入れた。69.6g(0.45mol)のEOCを40℃で30分以内に滴下して添加した。80℃まで外部加熱し、窒素下でNCO含有量が計算値になるまで攪拌を続けた。反応混合物を室温まで冷却し、51.7g(0.45mol)の2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)を滴下して加え、NCO含量が0%になるまで温度を35~45℃の間に保った。250gのわずかに黄色がかった液体が得られ、これを異なる比率(100:0%から0:100%)の反応性希釈剤HDDAとTMPTAの混合物でさらに希釈した。残りの開始剤の含有量は、HPLC検出限界0.01%未満であった。
【0053】
実施例6:ブロック化ポリイソシアネート架橋剤の調製
83.8g(0.29mol)のラロマーPR900及び50mgの触媒ナトリウムメトキシレートを窒素雰囲気下のフラスコに入れた。16.83g(0.13mol)のAcBLを40℃で30分以内に滴下して添加した。80℃まで外部加熱し、窒素下でNCO含有量が計算値になるまで攪拌を続けた。反応混合物を室温まで冷却し、24.36g(0.13mol)の2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)を滴下して加え、NCO含量が0%になるまで温度を35~45℃の間に保った。125gのわずかに黄色がかった高粘度の液体が得られ、これを異なる比率(100:0%から0:100%)の反応性希釈剤HDDAとTMPTAの混合物でさらに希釈した。残りの開始剤の含有量は、HPLC検出限界0.01%未満であった。
【0054】
実施例7:ブロック化ポリイソシアネート架橋剤の調製
162.78g(0.56mol)のラロマーPR900及び10mgの触媒ナトリウムメトキシレートを窒素雰囲気下のフラスコに入れた。39.9g(0.26mol)のEOCを40℃で30分以内に滴下して添加した。80℃まで外部加熱し、窒素下でNCO含有量が計算値になるまで攪拌を続けた。反応混合物を室温まで冷却し、47.32g(0.13mol)の2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)を滴下して加え、NCO含量が0%になるまで温度を35~45℃の間に保った。125gのわずかに黄色がかった高粘度の液体が得られ、これを異なる比率(100:0%から0:100%)の反応性希釈剤HDDAとTMPTAの混合物でさらに希釈した。残りの開始剤の含有量は、HPLC検出限界0.01%未満であった。
【0055】
実施例8:コーティング組成物及び硬化後に得られるコーティング層
実施例1から得られた5.1gのブロック化ポリイソシアネート架橋剤を、8.6gのOH官能化ポリアクリル、300mgのアミノ触媒及び300mgのBYK333に加え、均一な混合物が得られるまで混合及び攪拌する。混合物をドクターブレード又はスプレーで錫試験パネルに塗布し、140℃で20分間焼成して粘着性のないフィルムを得た。ポストキュア3日後に、性能チェックのための単層試験を、硬度(Koenigの振り子)、架橋密度(MEK二重摩擦試験)及び曲げ性能(円錐曲げ試験)を評価することによって実施した。粘着性のない無色のコーティングフィルムは、乾燥膜厚30~50μmで、K-振り子は168回超、MEK二重摩擦値は80回超であった。全ての試験直径(3.2~38.1mmの直径)における円錐曲げ試験では、それぞれのコーティング層で亀裂は認められなかった。
【0056】
実施例9:コーティング組成物及び硬化後に得られるコーティング層
実施例1から得られた1.0gのブロック化ポリイソシアネート架橋剤を、9gのTMPTAとHDDAの異なる混合物(10:1から1:1及び1:10)、200mgのBYK333に加え、均一な混合物が得られるまで混合及び攪拌する。混合物をドクターブレード又はスプレーで錫試験パネルに塗布し、140℃で20分間焼成して粘着性のないフィルムを得た。ポストキュア3日後に、性能チェックのための単層試験を、硬度(Koenigの振り子)、架橋密度(MEK二重摩擦試験)及び曲げ性能(円錐曲げ試験)を評価することによって実施した。粘着性のない無色のコーティングフィルムは、乾燥膜厚30~50μmで、K-振り子は170回超、MEK二重摩擦値は100回超であった。全ての試験直径(3.2~38.1mmの直径)における円錐曲げ試験では、それぞれのコーティング層で亀裂は認められなかった。
【0057】
実施例10:コーティング組成物及び硬化後に得られるコーティング層
実施例1から得られた5.1gのブロック化ポリイソシアネート架橋剤を、13gのTMPTA、及び8.6gのOH官能化ポリアクリル、200mgのアミノ触媒、100mgのMn08及び300mgのBYK333に加え、均一な混合物が得られるまで混合及び攪拌する。混合物をドクターブレード又はスプレーで錫試験パネルに塗布し、140℃で20分間焼成して粘着性のないフィルムを得た。ポストキュア3日後に、性能チェックのための単層試験を、硬度(Koenigの振り子)、架橋密度(MEK二重摩擦試験)及び曲げ性能(円錐曲げ試験)を評価することによって実施した。粘着性のない無色のコーティングフィルムは、乾燥膜厚30~50μmで、K-振り子は168回超、MEK二重摩擦値は400回超であった。全ての試験直径(3.2~38.1mmの直径)における円錐曲げ試験では、それぞれのコーティング層で亀裂は認められなかった。
【0058】
実施例11:コーティング組成物及び硬化後に得られるコーティング層
実施例3から得られた1gのブロック化ポリイソシアネート架橋剤を、4.5gのTMPTA、及び4.5gのOH官能化ポリアクリル、及び300mgのBYK333に加え、均一な混合物が得られるまで混合及び攪拌する。混合物をドクターブレード又はスプレーで錫試験パネルに塗布し、140℃で20分間焼成して粘着性のないフィルムを得た。ポストキュア3日後に、性能チェックのための単層試験を、硬度(Koenigの振り子)、架橋密度(MEK二重摩擦試験)及び曲げ性能(円錐曲げ試験)を評価することによって実施した。粘着性のない無色のコーティングフィルムは、乾燥膜厚30~50μmで、K-振り子は154回超、MEK二重摩擦値は400回超であった。全ての試験直径(3.2~38.1mmの直径)における円錐曲げ試験では、それぞれのコーティング層で亀裂は認められなかった。
【0059】
実施例12:コーティング組成物及び硬化後に得られるコーティング層
実施例6から得られた1gのブロック化ポリイソシアネート架橋剤を、4.5gのTMPTA、及び4.5gのOH官能化ポリアクリル、200mgのBYK333に加え、均一な混合物が得られるまで混合及び攪拌する。混合物をドクターブレード又はスプレーで錫試験パネルに塗布し、140℃で20分間焼成して粘着性のないフィルムを得た。ポストキュア3日後に、性能チェックのための単層試験を、硬度(Koenigの振り子)、架橋密度(MEK二重摩擦試験)及び曲げ性能(円錐曲げ試験)を評価することによって実施した。粘着性のない無色のコーティングフィルムは、乾燥膜厚30~50μmで、K-振り子は175回超、MEK二重摩擦値は300回超であった。全ての試験直径(3.2~38.1mmの直径)における円錐曲げ試験では、それぞれのコーティング層で亀裂は認められなかった。
【0060】
実施例13:不飽和ポリエステルの調製
210gのトリメチロールプロパン、503gのイタコン酸、329gの1,4-ブタンジオール、12gのキシレン、0.5gのMEHQ及び1.5gのBHTを反応器に入れ、100℃まで加熱して60分保持する。温度を160℃まで昇温し、さらに1時間保持した後、230℃まで昇温し、2時間保持した。キシレンは反応中に蒸留される。80℃まで冷却し、322gのヘキソヒドロフタル酸無水物、100mgのBHT及び80mgのMEHQ(ヒドロキノンモノメチルエーテル)を混合物に加え、140℃まで数時間加熱する。623gのCadura E10P、100mgのBHT及び80mgのMEHQを1.5時間かけて反応混合物に加え、40℃まで冷却し、500gのトリメチロールプロパントリアクリレート及び500gの1,6-ヘキサンジオールジアクリレートを加える。この反応により,10~50mgKOH/gの酸価、100~300mgKOH/gのヒドロキシ価及び-55℃のTg(ガラス転移温度)を有する無溶媒低粘性不飽和ポリエステル樹脂(反応性希釈剤中67%)が得られる。
【0061】
実施例14:不飽和ポリエステルの調製
189gのトリメチロールプロパン、535gのヘキソヒドロフタル酸無水物、296gの1,4-ブタンジオール及び11gのキシレンを反応器に入れ、100℃まで加熱して60分保持する。温度を160℃まで昇温し、さらに1時間保持した後、230℃まで昇温し、2時間保持した。キシレンは反応中に蒸留される。80℃まで冷却し、280gのイタコン酸、900mgのBHT及び500mgのMEHQを混合物に加え、140℃まで数時間加熱する。461gのCadura E10P、300mgのBHT及び150mgのMEHQを1.5時間かけて反応混合物に加え、40℃まで冷却し、233gのトリメチロールプロパントリアクリレート及び233gの1,6-ヘキサンジオールジアクリレートを加える。この反応により,10~50mgKOH/gの酸価、100~300mgKOH/gのヒドロキシ価及び-26℃のTg(ガラス転移温度)を有する無溶媒低粘性不飽和ポリエステル樹脂(反応性希釈剤中80%)が得られる。
【0062】
実施例15:コーティング組成物及び硬化後に得られるコーティング層
典型的な2Kシステムの場合、組成物A(160gのトリメチロールプロパントリアクリレート、100gの1,6-ヘキサメチレンジアクリレート、20gの酢酸ブチル、150gの実施例1から得られたブロック化ポリイソシアネート架橋剤及び125gの実施例13から得られた不飽和ポリエステル)を、組成物B(1.2gの触媒9001、166mgの触媒Borchers Deca Manganese8、1.1gのBYK378及び5.5gのBYK410)に加え、均一な混合物が得られるまで混合及び攪拌する。コーティング組成物のVOC値は、105g/Lであると測定された。混合物を錫試験パネルにスプレー塗布し、140℃で20分間焼成して粘着性のないフィルムを得た。ポストキュア3日後に、性能チェックのための単層試験を、硬度(Koenigの振り子)、架橋密度(MEK二重摩擦試験)及び曲げ性能(円錐曲げ試験)を評価することによって実施した。粘着性のない無色のコーティングフィルムは、乾燥膜厚25~60μmで、K-振り子は98回超、MEK二重摩擦値は400回超であった。全ての試験直径(3.2~38.1mmの直径)における円錐曲げ試験では、それぞれのコーティング層で亀裂は認められなかった。
【0063】
実施例16:コーティング組成物及び硬化後に得られるコーティング層
典型的な2Kシステムの場合、組成物A(160gのトリメチロールプロパントリアクリレート、100gの1,6-ヘキサメチレンジアクリレート、20gの酢酸ブチル、150gの実施例1から得られたブロック化ポリイソシアネート架橋剤及び125gの実施例14から得られた不飽和ポリエステル)を、組成物B(1.2gの触媒9001、166mgの触媒Borchers Deca Manganese 8、1.1gのBYK378及び5.5gのBYK410)に加え、均一な混合物が得られるまで混合及び攪拌する。コーティング組成物のVOC値は、103g/Lであると測定された。混合物を錫試験パネルにスプレー塗布し、140℃で20分間焼成して粘着性のないフィルムを得た。ポストキュア3日後に、性能チェックのための単層試験を、硬度(Koenigの振り子)、架橋密度(MEK二重摩擦試験)及び曲げ性能(円錐曲げ試験)を評価することによって実施した。粘着性のない無色のコーティングフィルムは、乾燥膜厚25~60μmで、K-振り子は84回超、MEK二重摩擦値は450回超であった。全ての試験直径(3.2~38.1mmの直径)における円錐曲げ試験では、それぞれのコーティング層で亀裂は認められなかった。
【0064】
実施例17:高固形分たるみ抑制剤の調製
782g(3.5mol)の1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、261g(0.9mol)のトリメチロールプロパントリアクリレートは缶に事前に充填され、500rpmで溶解を開始する。27.4g(0.3mol)のベンジルアミンと67gの酢酸ブチルの混合物を加え、混合速度を2000rpmに上げ、さらに2分間攪拌した。41gの酢酸ブチル中の21.2g(0.13mol)のヘキサメチレンジイソシアネートを10分間かけて添加し、添加完了後さらに2分間攪拌を続けた。反応性希釈剤(HDDA:TMPTA=75:25)中の4%のジウレア結晶及び9%の酢酸ブチルを含むSCA溶液が、ペースト状の挙動を示す白色の濁った溶液として得られた(活性ジウレア結晶+反応性希釈剤の総固形分=91%)。溶液の粘度は、それぞれ、η1(せん断速度=1000s-1)=64mPas及びη2(せん断速度=1s-1)=5118mPasであった。
【0065】
実施例18:高固形分たるみ抑制剤の調製
437g(1.9mol)の1,6-ヘキサンジオールジアクリレートは缶に事前に充填され、500rpmで溶解を開始する。4.1g(0.05mol)のメトキシプロピルアミンと25gの酢酸ブチルの混合物を加え、混合速度を2000rpmに上げ、さらに2分間攪拌した。25gの酢酸ブチル中の9gのDesmodur N3300を10分間かけて添加し、添加完了後さらに2分間攪拌を続けた。反応性希釈剤(HDDA)中の2.5%のジウレア結晶及び10%の酢酸ブチルを含むSCA溶液が、ペースト状の挙動を示す透明な溶液として得られた(活性ジウレア結晶+反応性希釈剤の総固形分=90%)。溶液の粘度は、それぞれ、η1(せん断速度=1000s-1)=32mPas及びη2(せん断速度=1s-1)=1828mPasであった。
【0066】
実施例19:高固形分たるみ抑制剤の調製
437g(1.5mol)のトリメチロールプロパントリアクリレートは缶に事前に充填され、500rpmで溶解を開始する。4.1g(0.05mol)のメトキシプロピルアミンと25gの酢酸ブチルの混合物を加え、混合速度を2000rpmに上げ、さらに2分間攪拌した。25gの酢酸ブチル中の9gのDesmodur N3300を10分間かけて添加し、添加完了後さらに2分間攪拌を続けた。反応性希釈剤(HDDA)中の2.6%のジウレア結晶及び10%の酢酸ブチルを含むSCA溶液が、ペースト状の挙動を示す透明な溶液として得られた(活性ジウレア結晶+反応性希釈剤の総固形分=90%)。溶液の粘度は、それぞれ、η1(せん断速度=1000s-1)=80mPas及びη2(せん断速度=1s-1)=4473mPasであった。
【0067】
実施例20:高固形分たるみ抑制剤の調製
437g(1.9mol)の1,6-ヘキサンジオールジアクリレートは缶に事前に充填され、500rpmで溶解を開始する。9.5g(0.1mol)のメトキシプロピルアミンと28gの酢酸ブチルの混合物を加え、混合速度を2000rpmに上げ、さらに2分間攪拌した。17gの酢酸ブチル中の8.8g(0.05mol)のヘキサメチレンジイソシアネートを10分間かけて添加し、添加完了後さらに2分間攪拌を続けた。反応性希釈剤(HDDA)中の3.7%のジウレア結晶及び9%の酢酸ブチルを含むSCA溶液が、ペースト状の挙動を示す白色の濁った溶液として得られた(活性ジウレア結晶+反応性希釈剤の総固形分=91%)。溶液の粘度は、それぞれ、η1(せん断速度=1000s-1)=22mPas及びη2(せん断速度=1s-1)=3266mPasであった。
【0068】
実施例21:コーティング組成物及び硬化後に得られるコーティング層
典型的な2Kシステムの場合、組成物A(6gのトリメチロールプロパントリアクリレート、15gの実施例1から得られたブロック化ポリイソシアネート架橋剤、2gの酢酸ブチル、及び20gの実施例17から得られたたるみ制御剤及び12gの実施例14で得られた不飽和ポリエステル)を、組成物B(0.1gの触媒9001、17mgの触媒Borchers Deca Manganese8、0.1gのBYK378)に加え、均一な混合物が得られるまで混合及び攪拌する。コーティング組成物は、低せん断粘度対高せん断粘度の比 η2(せん断速度=1s-1)/η1(せん断速度=1000s-1)>6 を有するチキソトロピー挙動を示した。コーティング組成物のVOC値は、160g/Lであると測定された。混合物を錫試験パネルにスプレー塗布し、140℃で20分間焼成して粘着性のないフィルムを得た。ポストキュア3日後に、性能チェックのための単層試験を、硬度(Koenigの振り子)、架橋密度(MEK二重摩擦試験)及び曲げ性能(円錐曲げ試験)を評価することによって実施した。粘着性のない無色のコーティングフィルムは、乾燥膜厚25~60μmで、K-振り子は56回超、MEK二重摩擦値は120回超であった。全ての試験直径(3.2~38.1mmの直径)における円錐曲げ試験では、それぞれのコーティング層で亀裂は認められなかった。
【0069】
実施例22:コーティング組成物及び硬化後に得られるコーティング層
典型的な2Kシステムの場合、組成物A(6gの1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、15gのブロック化ポリイソシアネート架橋剤、2gの酢酸ブチル、及び20gの実施例19から得られたたるみ制御剤及び12gの実施例14で得られた不飽和ポリエステル)を、組成物B(0.1gの触媒9001、17mgの触媒Borchers Deca Manganese8、0.1gのBYK378)に加え、均一な混合物が得られるまで混合及び攪拌する。コーティング組成物は、低せん断粘度対高せん断粘度の比 η2(せん断速度=1s-1)/η1(せん断速度=1000s-1)>6 を有するチキソトロピー挙動を示した。コーティング組成物のVOC値は、103g/Lであると測定された。混合物を錫試験パネルにスプレー塗布し、140℃で20分間焼成して粘着性のないフィルムを得た。ポストキュア3日後に、性能チェックのための単層試験を、硬度(Koenigの振り子)、架橋密度(MEK二重摩擦試験)及び曲げ性能(円錐曲げ試験)を評価することによって実施した。粘着性のない無色のコーティングフィルムは、乾燥膜厚25~60μmで、K-振り子は84回超、MEK二重摩擦値は400回超であった。全ての試験直径(3.2~38.1mmの直径)における円錐曲げ試験では、それぞれのコーティング層で亀裂は認められなかった。
【0070】
実施例23:コーティング組成物及び硬化後に得られるコーティング層
典型的な2Kシステムの場合、組成物A(6gのトリメチロールプロパントリアクリレート、15gの実施例1から得られたブロック化ポリイソシアネート架橋剤、2gの酢酸ブチル、及び20gの実施例20から得られたたるみ制御剤及び12gの実施例14で得られた不飽和ポリエステル)を、組成物B(0.1gの触媒9001、17mgの触媒Borchers Deca Manganese8、0.1gのBYK378)に加え、均一な混合物が得られるまで混合及び攪拌する。コーティング組成物は、低せん断粘度対高せん断粘度の比 η2(せん断速度=1s-1)/η1(せん断速度=1000s-1)>6 を有するチキソトロピー挙動を示した。コーティング組成物のVOC値は、132g/Lであると測定された。混合物を錫試験パネルにスプレー塗布し、140℃で20分間焼成して粘着性のないフィルムを得た。ポストキュア3日後に、性能チェックのための単層試験を、硬度(Koenigの振り子)、架橋密度(MEK二重摩擦試験)及び曲げ性能(円錐曲げ試験)を評価することによって実施した。粘着性のない無色のコーティングフィルムは、乾燥膜厚25~60μmで、K-振り子は84回超、MEK二重摩擦値は400回超であった。全ての試験直径(3.2~38.1mmの直径)における円錐曲げ試験では、それぞれのコーティング層で亀裂は認められなかった。
【0071】
実施例24:コーティング組成物及び硬化後に得られるコーティング層
典型的な2Kシステムの場合、組成物A(6gのトリメチロールプロパントリアクリレート、15gの実施例1から得られたブロック化ポリイソシアネート架橋剤、2gの酢酸ブチル、及び20gの実施例17から得られたたるみ制御剤及び12gの実施例14で得られた不飽和ポリエステル)を、組成物B(0.1gの触媒9001、17mgの触媒Borchers Deca Manganese8、0.1gのBYK378)に加え、均一な混合物が得られるまで混合及び攪拌する。コーティング組成物のVOC値は、132g/Lであると測定された。混合物を錫試験パネルにスプレー塗布し、140℃で20分間焼成して粘着性のないフィルムを得た。ポストキュア3日後に、性能チェックのための単層試験を、硬度(Koenigの振り子)、架橋密度(MEK二重摩擦試験)及び曲げ性能(円錐曲げ試験)を評価することによって実施した。粘着性のない無色のコーティングフィルムは、乾燥膜厚25~60μmで、K-振り子は42回超、MEK二重摩擦値は380回超であった。全ての試験直径(3.2~38.1mmの直径)における円錐曲げ試験では、それぞれのコーティング層で亀裂は認められなかった。
【0072】
実施例25:コーティング組成物及び硬化後に得られるコーティング層
典型的な2Kシステムの場合、組成物A(57.8gのトリメチロールプロパントリアクリレート、36.1gの1,6-ヘキサメチレンジアクリレート、53.7gの実施例1から得られたブロック化ポリイソシアネート架橋剤、7.2gの酢酸ブチル、及び45.2gの実施例14から得られた不飽和ポリエステル)を、組成物B(0.4gの触媒9001、60mgの触媒Borchers Deca Manganese8、0.4gのBYK378)に加え、均一な混合物が得られるまで混合及び攪拌する。コーティング組成物のVOC値は、89g/Lであると測定された。混合物を錫試験パネルにスプレー塗布し、140℃で20分間焼成して粘着性のないフィルムを得た。ポストキュア3日後に、性能チェックのための単層試験を、硬度(Koenigの振り子)、架橋密度(MEK二重摩擦試験)及び曲げ性能(円錐曲げ試験)を評価することによって実施した。粘着性のない無色のコーティングフィルムは、乾燥膜厚25~60μmで、K-振り子は84回超、MEK二重摩擦値は500回超であった。全ての試験直径(3.2~38.1mmの直径)における円錐曲げ試験では、それぞれのコーティング層で亀裂は認められなかった。
【0073】
<性能試験規格>
1.硬度
Koenig又はPersoz後の振り子減衰試験が、コーティングの表面硬度を機械的に測定するために使用される。コーティングの硬度は、2つの規定された角度(Koenig振り子の場合6~3度、Persoz振り子の場合12~4度)の間で振り子による振動回数によって決定される。コーティング表面の硬度が増すと、振動数は増加する。測定方法は、ISO 1522で標準化されている。
【0074】
2.ソルベントラブ試験
架橋を評価し、コーティングシステムが硬化したことを確認するために、ソルベントラブ試験が、メチルエチルケトン(MEK)を溶媒として使用して実施される。本試験は、長期間の曝露結果を待つことなく、硬化度を迅速に相対的に評価できるため、塗料業界で広く使用されている。摩擦は二重摩擦として数えられ(前方への1回の摩擦と後方への1回の摩擦が二重摩擦を構成する)、MEK耐性及び硬化度の測定可能な値を与える。従来の2Kポリウレタン又は酸/エポキシクリアコートのMEK二重摩擦値は、約200回である。
【0075】
3.曲げ試験
曲げ試験は、金属パネル上の硬化コーティングの弾性、接着性及び伸長性に対する曲げの影響を決定するために使用される。円錐曲げ試験機は、直径3.2~38.1mmの鋼製円錐マンドレル上で枢動するローラ付き曲げレバーを持つフレームから構成されている。試験片はマンドレルの全長の一部又はマンドレルの全長に沿って曲げられることができ、異なる試験直径に対応する結果(亀裂)が1回の操作で観察することができる。
【0076】
4.VOCテスト
コーティング組成物の揮発性有機化合物(VOC)放出を測定するために、質量法を適用した。VOC含有量は、130℃で60分間加熱したときの組成物の質量損失に基づいて測定された。
【0077】
5.レオロジーテスト
たるみ制御剤及びコーティング組成物のチキソトロピー効果は、Anton Paarレオメーターを用いて特徴づけられた。2Dレオロジープロファイルは、高速せん断速度変化により測定された。試験は、2つの異なるせん断速度(せん断速度1=1s-1、せん断速度2=1000s-1)による2つのインターバルで構成される。チキソトロピー指数は、高せん断(η2)と低せん断(η1)の間におけるサンプルの粘度の比として定義される。