(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】画像センサ、スペクトル分割およびフィルタリングデバイス、ならびに画像センサ製造方法
(51)【国際特許分類】
H10F 39/12 20250101AFI20250408BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20250408BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
H10F39/12 D
G02B5/20 101
G02B5/18
(21)【出願番号】P 2022540556
(86)(22)【出願日】2020-12-31
(86)【国際出願番号】 CN2020141893
(87)【国際公開番号】W WO2021136469
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/130438
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/130020
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 友明
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 上
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲闖▼▲闖▼
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0170220(US,A1)
【文献】国際公開第2010/016195(WO,A1)
【文献】特開2010-212625(JP,A)
【文献】国際公開第2020/146029(WO,A2)
【文献】特開2007-109801(JP,A)
【文献】特開2010-129777(JP,A)
【文献】宮田将司他,"誘電体メタサーフェスによる高感度分光イメージング",第66回応用物理学会春季学術講演会 講演予稿集,講演番号9p - W621 - 3,2019年03月,p. 03 - 122
【文献】宮田将司他,"誘電体メタサーフェスに基づくピクセルスケールカラースプリッタ",第79回応用物理学会秋季学術講演会 講演予稿集,講演番号21a - 224A - 8,2018年09月,p. 03 - 500
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10F 39/12
G02B 5/20
G02B 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像センサ製造方法であって、
光電変換ユニットを製造するステップであって、前記光電変換ユニットは、光信号を電気信号に変換するように構成され、前記光電変換ユニットは、光電変換のためのアレイを備え、前記光電変換ユニットのアレイは複数の色領域に分割される、ステップと、
前記光電変換ユニットの表面にスペクトル分割およびフィルタリングデバイスを製造するステップであって、前記スペクトル分割およびフィルタリングデバイスはメタサーフェスおよび基板を備え、前記メタサーフェスは複数のサブユニットを備え、前記複数のサブユニットの各々は、複数の柱状構造を備えるアレイを備え、前記メタサーフェス内のアレイは前記基板の上部に配置され、前記基板の底部は、前記光電変換ユニットの表面に配置され、前記メタサーフェスは、異なる屈折率を有する少なくとも2つの媒体を備え、前記少なくとも2つの媒体のうち1つが空気であり、前記光電変換ユニットの表面は、光信号を受信するための面であり、前記光電変換ユニットの前記アレイは複数のカラーユニットに分割され、前記複数のカラーユニットの各々は少なくとも4つの色領域を備え、前記複数のカラーユニットの各々は前記複数のサブユニットのうちの1つに対応し、前記メタサーフェスは、前記光電変換ユニットのアレイ内の対応する前記色領域に向けて入射光を屈折させるように構成され、前記複数のサブユニットの各々は、入射光を屈折させ、次に、前記基板を介して屈折光を対応する前記カラーユニット内の前記色領域に送る、ステップと、を含む方法
であって、
前記光電変換ユニットの表面にスペクトル分割およびフィルタリングデバイスを製造するステップの前に、前記方法は、
複数のスペクトル分割構造を取得するために、複数のアレイを決定し、前記複数のアレイを前記スペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスの構造として使用するステップと、
予め設定された評価関数を使用して、前記複数のスペクトル分割構造と1対1に対応する複数の評価値を取得するステップであって、前記評価関数は、前記スペクトル分割構造の光利用率を計算するための関数である、ステップと、
前記複数の評価値が、予め設定された値よりも大きい少なくとも1つの評価値を含む場合に、前記複数のスペクトル分割構造の中から前記スペクトル分割およびフィルタリングデバイスの構造として第1のスペクトル分割構造を選択するステップであって、前記第1のスペクトル分割構造の評価値は前記予め設定された値よりも大きい、ステップと、をさらに含む、方法。
【請求項2】
前記方法が、前記複数の評価値が、予め設定された値よりも大きい少なくとも1つの評価値を含まない場合に、複数のアレイを新たに決定し、前記新たに決定された複数のアレイに基づいて前記スペクトル分割およびフィルタリングデバイスの構造としてスペクトル分割構造を決定するステップをさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のアレイを新たに決定することは、
前記複数の評価値に基づいて、前記複数のアレイの各々に対応する変更率を決定するステップと、
更新された複数のアレイを取得するために、前記複数のアレイの各々に対応する前記変更率に基づいて前記複数のアレイを変更するステップと、を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のアレイの各々に対応する変更率は形状変更率および/または高さ変更率を含み、前記形状変更率は前記複数のアレイの各々の形状変更の確率または割合を含み、前記高さ変更率は前記複数のアレイの各々の高さ変更の確率または割合を含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のアレイを新たに決定することは、
前記複数の評価値に基づいて、前記複数のアレイの各々に対応する確率値を決定するステップと、
複数の中間構造を取得するために、前記複数のアレイの各々に対応する前記確率値に基づいて前記複数のアレイに対して複数回のサンプリングを実行するステップと、
前記複数の中間構造の評価値に基づいて、前記複数の中間構造の変更率を決定するステップと、
新しい複数のアレイを取得するために、前記複数の中間構造に対応する前記変更率に基づいて前記複数の中間構造を変更する変更ステップと、を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記光電変換ユニットと前記基板との間にカラーフィルタリング構造を製造するステップをさらに含み、前記カラーフィルタリング構造は複数のカラーフィルタリング領域に分割され、前記複数のカラーフィルタリング領域の各々は1つの対応する色領域を覆い、各色領域に対応する色は、該色領域を覆う前記カラーフィルタリング領域を通過する色と同じであり、前記複数のカラーフィルタリング領域の各々は、該カラーフィルタリング領域によって覆われた前記色領域に対応する色以外の色の光をフィルタリング除去する、請求項
1から
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、前記複数のカラーフィルタリング領域の各々と前記基板との間にレンズを製造するステップをさらに含む、請求項
6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年12月31日に中国国家知識産権局に出願された、「画像センサおよびその製造方法、ならびに電子デバイス」と題された国際出願第PCT/CN2019/130438号の優先権を主張するものであり、その全体は参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2020年11月19日に中国国家知識産権局に出願された、「画像センサ、スペクトル分割およびフィルタリングデバイス、ならびに画像センサ製造方法」と題された国際出願第PCT/CN2020/130020号の優先権をさらに主張するものであり、その全体は参照により本願に組み込まれる。
【0003】
本出願は、撮像分野に関し、特に、画像センサ、スペクトル分割およびフィルタリングデバイス、ならびに画像センサ製造方法に関する。
【背景技術】
【0004】
画像センサは、光学像を電気信号に変換し得、様々な電子デバイス、例えばデジタルカメラに広く適用されている。デジタルカメラのハードウェアは、レンズモジュール、画像センサ、および電気信号プロセッサなどを主に含む。レンズモジュールは、画像センサ上に光学像を結像するように構成される。画像センサは、画像の光信号をアナログ電気信号に変換し、アナログ電気信号を電気信号プロセッサに入力するように構成される。電気信号プロセッサは、アナログ電気信号をデジタル信号に変換し、データ処理後に写真を出力する。光電変換器として、画像センサはデジタルカメラのコア構成要素の1つであり、画像センサのパフォーマンスが出力写真の品質を直接決定する。
【0005】
画像センサの光電変換素子は、異なる強度を有する光信号を異なる強度を有する電気信号に変換し得る。しかしながら、光電変換素子自体は、光の周波数を区別し得ない、すなわち色を区別し得ない。したがって、カラーコレクション層を有さない画像センサを使用して直接取得される画像は、白黒である。カラーピクチャを取得する目的で、ピクチャの色情報を取得するために、カラーコレクション層としてカラーフィルタリングシステムが使用される必要がある。例えば、人間の眼は赤色、緑色、青色(red green blue、RGB)のスペクトルに感受性があるという特性に基づいて、RGBモザイクベイヤーカラーフィルタシステムを形成するために、光電変換素子上にRGBカラーフィルタが配置され、これにより、カラーピクチャが取得され得る。しかしながら、従来の解決策では、光利用率は比較的低く、例えば、白色光入射の場合の全光利用率は約25%にすぎず、赤色光または青色光入射の場合の光利用率は約15%にすぎず、緑色光入射の場合の光利用率は約30%である。したがって、光利用率をどのように改善するかが、解決されるべき緊急の問題になっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の実施形態は、画像センサに入射する光の利用率を改善するために、画像センサ、スペクトル分割およびフィルタリングデバイス、ならびに画像センサ製造方法を提供する。
【0007】
これを考慮して、本出願の第1の態様は、メタサーフェスと、基板と、光電変換ユニットとを含む画像センサを提供する。メタサーフェスは、複数のサブユニットを含む。各サブユニットは、複数の柱状構造を含むアレイを含む。メタサーフェス内のアレイは、基板の上部に配置される。基板の底部は、光電変換ユニットの表面(上部とも呼ばれる)に配置される。メタサーフェスは、異なる屈折率を有する少なくとも2つの媒体を含む。光電変換ユニットは、光電変換のためのアレイを含む。光電変換ユニットのアレイは、複数の色領域に分割される。メタサーフェスは、入射光を屈折させ、基板を介して屈折光を光電変換ユニットのアレイ内の対応する色領域に送るように構成される。
【0008】
光電変換ユニットのアレイは複数のカラーユニットに分割され得、各カラーユニットは少なくとも4つの色領域を含み、各カラーユニットは1つのサブユニットに対応し、各サブユニットは入射光を屈折させ、次に屈折光を対応するカラーユニット内の色領域に送る。
【0009】
したがって、本出願のこの実施態様では、入射光は、異なるスペクトル帯域の光が光電変換ユニット内の対応する色領域に向けて屈折され得るように、メタサーフェスの、異なる屈折率を有する少なくとも2つの媒体を含むアレイを使用して屈折され得、それによって、光利用率が改善される。加えて、ベイヤーカラーフィルタが配置される場合と比較して、本出願で提供される画像センサのメタサーフェスは、複数の異なるスペクトル帯域の光を対応する色領域に向けて屈折させ得、それによって、フィルタリングによって生じる低い光利用率の問題が回避される。これは、以下のように理解され得、メタサーフェスは、異なるスペクトル帯域の光が光電変換ユニット内の対応する色領域に送られ得るように、入射光を回折し得る、それによって、光利用率が改善される。
【0010】
可能な実施態様では、光電変換ユニットと基板との間にカラーフィルタリング構造がさらに配置され、カラーフィルタリング構造は複数のカラーフィルタリング領域に分割され、各カラーフィルタリング領域は、対応する1つの色領域を覆い、各色領域に対応する色は、色領域を覆うカラーフィルタリング領域を通過する色と同じである。
【0011】
本出願のこの実施態様では、カラーフィルタリング構造は、色領域に対応するスペクトル帯域の光の信号とは異なる信号をフィルタリング除去し、それによってクロストークを低減するために、光電変換ユニットと基板との間にさらに配置され得る。
【0012】
可能な実施態様では、各カラーフィルタリング領域と基板との間にレンズがさらに配置される。本出願では、カラーフィルタリング領域に入射する光を収束させるために、各カラーフィルタリング領域と基板との間にレンズがさらに配置され得る。
【0013】
可能な実施態様では、複数の色領域に対応する複数のスペクトル帯域の光は、緑色、赤色、青色、または赤外光のうちの1つ以上を含む。したがって、本出願のこの実施態様では、光電変換ユニットは、複数のスペクトル帯域の光信号を電気信号に変換し、その後より多くのカラーチャネルの画像を生成し得る。
【0014】
可能な実施態様では、メタサーフェスの材料は、以下のうちの1つ以上、すなわち、二酸化チタン、窒化ガリウム、または炭化ケイ素のうちの1つ以上を含む。
【0015】
可能な実施態様では、各カラーユニットに対応する色は、少なくとも2つの同じ色を含み、各カラーユニットに対応する、メタサーフェス内の領域に含まれる柱状構造は、角度対称形状を形成する。
【0016】
したがって、マトリックスに配置された4つの色領域ごとに、少なくとも2つの同じ色が対応してもよく、2つの対称色領域に対応する色は同じであってもよい。この実施形態は、メタサーフェスのアレイに適用可能な、可能な配置方法を提供する。
【0017】
第2の態様によれば、本出願は、メタサーフェスおよび基板を含むスペクトル分割およびフィルタリングデバイスを提供する。
【0018】
メタサーフェスは、複数のサブユニットを含む。各サブユニットは、複数の柱状構造を含むアレイを含む。メタサーフェス内のアレイは、基板の上部に配置される。メタサーフェスは、異なる屈折率を有する少なくとも2つの媒体を含む。メタサーフェスは、入射光を屈折させるように構成される。基板は、メタサーフェスによって屈折された光を透過させるように構成される。
【0019】
したがって、本出願のこの実施態様では、入射光は、異なるスペクトル帯域の光が異なる領域に向けて屈折され得るように、メタサーフェスの、異なる屈折率を有する少なくとも2つの媒体を含むアレイを使用して屈折され得、それによって、光利用率が改善される。加えて、ベイヤーカラーフィルタが配置される場合と比較して、本出願で提供されるスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスは、複数の異なるスペクトル帯域の光を対応する色領域に向けて屈折させ得、それによって、フィルタリングによって生じる低い光利用率の問題が回避される。
【0020】
可能な実施態様では、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスは、画像センサに適用され得る。画像センサは、光電変換ユニットを含む。基板は、光電変換ユニットの表面に配置される。光電変換ユニットは、光電変換のためのアレイを含む。光電変換ユニットのアレイは、複数の色領域に分割される。メタサーフェスは、入射光を屈折させ、基板を介して屈折光を光電変換ユニットのアレイ内の対応する色領域に送る。これは、以下のように理解され得、メタサーフェスは、異なるスペクトル帯域の光が光電変換ユニット内の対応する色領域に送られ得るように、入射光を回折し得る、それによって、光利用率が改善される。
【0021】
光電変換ユニットのアレイは複数のカラーユニットに分割され得、各カラーユニットは少なくとも4つの色領域を含み、各カラーユニットはメタサーフェス内の1つのサブユニットに対応し、各サブユニットは入射光を屈折させ、次に屈折光を対応するカラーユニット内の色領域に送る。可能な実施態様では、光電変換ユニットと基板との間にカラーフィルタリング構造がさらに配置され、カラーフィルタリング構造は複数のカラーフィルタリング領域に分割され、各カラーフィルタリング領域は、対応する1つの色領域を覆い、各色領域に対応する色は、色領域を覆うカラーフィルタリング領域を通過する色と同じである。本出願のこの実施態様では、カラーフィルタリング構造は、色領域に対応するスペクトル帯域の光の信号とは異なる信号をフィルタリング除去し、それによってクロストークを低減するために、光電変換ユニットと基板との間にさらに配置され得る。
【0022】
可能な実施態様では、各カラーフィルタリング領域と基板との間にレンズがさらに配置される。本出願では、カラーフィルタリング領域に入射する光を収束させるために、各カラーフィルタリング領域と基板との間にレンズがさらに配置され得る。
【0023】
可能な実施態様では、複数の色領域に対応する複数のスペクトル帯域の光は、緑色、赤色、青色、または赤外光のうちの1つ以上を含む。したがって、本出願のこの実施態様では、光電変換ユニットは、複数のスペクトル帯域の光信号を電気信号に変換し、その後より多くのカラーチャネルの画像を生成し得る。
【0024】
可能な実施態様では、メタサーフェスの材料は、以下のうちの1つ以上、すなわち、二酸化チタン、窒化ガリウム、または炭化ケイ素のうちの1つ以上を含む。
【0025】
可能な実施態様では、各カラーユニットに対応する色は、少なくとも2つの同じ色を含み、各カラーユニットに対応する、メタサーフェス内の領域に含まれる柱状構造は、角度対称形状を形成する。
【0026】
第3の態様によれば、本出願は、画像センサ製造方法であって、
光電変換ユニットを製造するステップであって、光電変換ユニットは、光信号を電気信号に変換するように構成され、光電変換ユニットは、光電変換のためのアレイを含み、光電変換ユニットのアレイは複数の色領域に分割される、ステップと、
光電変換ユニットの表面にスペクトル分割およびフィルタリングデバイスを製造するステップであって、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスはメタサーフェスおよび基板を含み、メタサーフェスは複数のサブユニットを含み、サブユニットの各々は、複数の柱状構造を含むアレイを含み、メタサーフェス内のアレイは基板の上部に配置され、基板の底部は、光電変換ユニットの表面に配置され、メタサーフェスは、異なる屈折率を有する少なくとも2つの媒体を含み、光電変換ユニットは、光電変換のためのアレイを含み、光電変換ユニットの表面は、光信号を受信するための面であり、光電変換ユニットのアレイは複数の色領域に分割され、メタサーフェスは、光電変換ユニットのアレイ内の対応する色領域に向けて入射光を屈折させるように構成される、ステップと
を含む画像センサ製造方法を提供する。
【0027】
光電変換ユニットのアレイは複数のカラーユニットに分割され得、各カラーユニットは少なくとも4つの色領域を含み、各カラーユニットはメタサーフェス内の1つのサブユニットに対応し、各サブユニットは入射光を屈折させ、次に屈折光を対応するカラーユニット内の色領域に送る。したがって、本出願のこの実施態様では、製造によって取得された画像センサ内のスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスは、入射光を屈折させるために、異なる屈折率を有する少なくとも2つの媒体を含むアレイを有し、これにより、異なるスペクトル帯域の光は、光電変換ユニット内の対応する色領域に向けて屈折され得、それによって、光利用率が改善される。加えて、ベイヤーカラーフィルタが配置される場合と比較して、本出願で提供されるスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスは、複数の異なるスペクトル帯域の光を対応する色領域に向けて屈折させ得、それによって、フィルタリングによって生じる低い光利用率の問題が回避される。
【0028】
可能な実施態様では、光電変換ユニットの表面にスペクトル分割およびフィルタリングデバイスを製造するステップの前に、本方法は、複数のスペクトル分割構造を取得するために、複数のアレイを決定し、複数のアレイをスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスの構造として使用するステップと、予め設定された評価関数を使用して、複数のスペクトル分割構造と1対1に対応する複数の評価値を取得するステップであって、評価関数は、スペクトル分割構造の光利用率を計算するための関数である、ステップと、複数の評価値が、予め設定された値よりも大きい少なくとも1つの評価値を含む場合に、複数のスペクトル分割構造の中からスペクトル分割およびフィルタリングデバイスの構造として第1のスペクトル分割構造を選択するステップであって、第1のスペクトル分割構造の評価値は予め設定された値よりも大きい、ステップとをさらに含む。
【0029】
したがって、本出願のこの実施態様では、光利用率が予め設定された値を超えるアレイを取得し、さらに、製造によって、光利用率が予め設定された値を超える画像センサを取得するために、予め確立されたシミュレーションモデルを使用して、各アレイの光利用率が計算され得る。これは、以下ように理解され得、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスならびに画像センサの光利用率を改善するために、遺伝的アルゴリズム、シミュレーテッド・アニーリング・アルゴリズム、または勾配降下法などの最適化アルゴリズムを使用して、指定された光利用率要求目標に基づいて、光利用率要求目標を満たすアレイが逆に取得され得る。
【0030】
可能な実施態様では、本方法は、複数の評価値が、予め設定された値よりも大きい少なくとも1つの評価値を含まない場合に、複数のアレイを新たに決定し、新たに決定された複数のアレイに基づいてスペクトル分割およびフィルタリングデバイスの構造としてスペクトル分割構造を決定するステップをさらに含み得る。
【0031】
したがって、本出願のこの実施態様では、複数のアレイが、評価値が予め設定された値よりも大きいアレイを含まない場合、評価値が予め設定された値よりも大きいアレイが取得されるまで、新しい複数のアレイを取得するために、複数のアレイは更新され得る。
【0032】
可能な実施態様では、複数のアレイを新たに決定するステップは、複数の評価値の値に基づいて、複数のアレイの各々に対応する変更率を決定するステップと、更新された複数のアレイを取得するために、アレイの各々に対応する変更率に基づいて複数のアレイを変更するステップとを含み得る。本出願のこの実施態様では、評価値が予め設定された値よりも大きいアレイが取得されるまで、変更によって新しいアレイが取得され得る。
【0033】
可能な実施態様では、アレイの各々に対応する変更率は、形状変更率および/または高さ変更率を含み、形状変更率は、アレイの各々の形状変更の確率または割合を含み、高さ変更率は、アレイの各々の高さ変更の確率または割合を含む。したがって、本出願のこの実施形態では、複数の異なるアレイ構造を取得するために、形状または高さなどの異なる寸法でアレイは変更され得る。
【0034】
可能な実施態様では、複数のアレイを新たに決定するステップは、複数の評価値の値に基づいて、複数のアレイの各々に対応する確率値を決定するステップと、複数の中間構造を取得するために、アレイの各々に対応する確率値に基づいて複数のアレイに対して複数回のサンプリングを実行するステップと、複数の中間構造の評価値に基づいて、複数の中間構造の変更率を決定するステップと、新しい複数のアレイを取得するために、複数の中間構造に対応する変更率に基づいて複数の中間構造を変更するステップとを含み得る。
【0035】
したがって、本出願のこの実施態様では、各アレイに対応する確率値は、アレイの評価値に基づいて決定され得、次に、より大きい評価値を有するアレイを選択するために、各アレイの確率値に基づいてサンプリングが実行され、選択されたアレイは、評価値が予め設定された値よりも大きいアレイが取得されるまで、新しいアレイを取得するために変更される。
【0036】
可能な実施態様では、本方法は、光電変換ユニットと基板との間にカラーフィルタリング構造を製造するステップであって、カラーフィルタリング構造は複数のカラーフィルタリング領域に分割され、カラーフィルタリング領域の各々は1つの対応する色領域を覆い、色領域の各々に対応する色は、色領域を覆うカラーフィルタリング領域を通過する色と同じであり、カラーフィルタリング領域の各々は、カラーフィルタリング領域によって覆われた色領域に対応する色以外の色の光をフィルタリング除去するためのものである、ステップをさらに含み得る。
【0037】
可能な実施態様では、本方法は、各カラーフィルタリング領域と基板との間にレンズを製造することをさらに含み得る。本出願では、カラーフィルタリング領域に入射する光を収束させるために、各カラーフィルタリング領域と基板との間にレンズがさらに配置され得る。
【0038】
可能な実施態様では、複数の色領域に対応する複数のスペクトル帯域の光は、緑色、赤色、青色、または赤外光のうちの1つ以上を含む。したがって、本出願のこの実施態様では、光電変換ユニットは、複数のスペクトル帯域の光信号を電気信号に変換し、その後より多くのカラーチャネルの画像を生成し得る。
【0039】
可能な実施態様では、メタサーフェスの材料は、以下のうちの1つ以上、すなわち、二酸化チタン、窒化ガリウム、または炭化ケイ素のうちの1つ以上を含む。
【0040】
可能な実施態様では、各カラーユニットに対応する色は、少なくとも2つの同じ色を含み、各カラーユニットに対応する、メタサーフェス内の領域に含まれる柱状構造は、角度対称形状を形成する。
【0041】
第4の態様によれば、本出願は電子デバイスをさらに提供する。電子デバイスは、第1の態様の画像センサ、または第3の態様の製造によって取得される画像センサなどを含み得る。
【0042】
第5の態様によれば、本出願は、画像センサに適用されるアレイ構造決定方法を提供する。画像センサは、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスと、光電変換ユニットとを含む。スペクトル分割およびフィルタリングデバイスは、メタサーフェスおよび基板を含む。光電変換ユニットは、光電変換のためのアレイを含む。メタサーフェス内のアレイは、複数のサブユニットを含む。各サブユニットは、複数の柱状構造を含むアレイを含む。メタサーフェス内のアレイは、基板の上部に配置される。基板の底部は、光電変換ユニットの表面に配置される。メタサーフェスは、異なる屈折率を有する少なくとも2つの媒体を含む。光電変換ユニットのアレイは、複数の色領域に分割される。メタサーフェスは、光電変換ユニットのアレイ内の対応する色領域に向けて入射光を屈折させるように構成される。本方法は、複数のアレイの構造を決定するステップと、複数のアレイの各々に対応する評価値を取得するために、評価関数を使用して複数のアレイの構造を評価するステップであって、評価関数は、複数のアレイがスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスとして使用されるときのスペクトル分割およびフィルタリングデバイスの光利用率を計算するための関数である、ステップと、評価値に基づいてスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスの構造を決定するステップとを含む。
【0043】
光電変換ユニットのアレイは複数のカラーユニットに分割され得、各カラーユニットは少なくとも4つの色領域を含み、各カラーユニットはメタサーフェス内の1つのサブユニットに対応し、各サブユニットは入射光を屈折させ、次に屈折光を対応するカラーユニット内の色領域に送る。
【0044】
可能な実施態様では、評価値に基づいてスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスのアレイ構造を決定するステップは、複数のアレイが、評価値が予め設定された値よりも大きい少なくとも1つのアレイを含む場合に、評価値が予め設定された値よりも大きい少なくとも1つのアレイの中からスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスのアレイ構造として1つのアレイを選択するステップ、または複数のアレイが、評価値が予め設定された値よりも大きいアレイを含まない場合に、複数のアレイを更新し、更新された複数のアレイに基づいてスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスのアレイ構造を決定するステップを含み得る。
【0045】
可能な実施態様では、複数のアレイを更新するステップは、複数の評価値の値に基づいて、複数のアレイの各々に対応する変更率を決定するステップと、更新された複数のアレイを取得するために、アレイの各々に対応する変更率に基づいて複数のアレイを変更するステップとを含み得る。
【0046】
可能な実施態様では、アレイの各々に対応する変更率は、形状変更率および/または高さ変更率を含み、形状変更率は、アレイの各々の形状変更の確率または割合を含み、高さ変更率は、アレイの各々の高さ変更の確率または割合を含む。
【0047】
可能な実施態様では、複数のアレイを更新するステップは、複数の評価値の値に基づいて、複数のアレイの各々に対応する確率値を決定するステップと、複数の中間構造を取得するために、アレイの各々に対応する確率値に基づいて複数のアレイに対して複数回のサンプリングを実行するステップと、複数の中間構造の評価値に基づいて、複数の中間構造の変更率を決定するステップと、新しい複数のアレイを取得するために、複数の中間構造に対応する変更率に基づいて複数の中間構造を変更するステップとを含み得る。
【0048】
可能な実施態様では、各カラーユニットに対応する色は、少なくとも2つの同じ色を含み、各カラーユニットに対応する、メタサーフェス内の領域に含まれる柱状構造は、角度対称形状を形成する。
【0049】
第6の態様によれば、本出願は、アレイ構造構築装置であって、
複数のアレイの構造を決定するように構成された第1の決定ユニットと、
複数のアレイの各々に対応する評価値を取得するために、評価関数を使用して複数のアレイの構造を評価し、評価関数は、複数のアレイがスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスとして使用されるときのスペクトル分割およびフィルタリングデバイスの光利用率を計算するための関数である、ように構成された評価ユニットと、
評価値に基づいてスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスの構造を決定し、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスは画像センサに含まれ、画像センサはスペクトル分割およびフィルタリングデバイスと光電変換ユニットとを含み、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスはメタサーフェスおよび基板を含み、光電変換ユニットは、光電変換のためのアレイを含み、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスは、メタサーフェスおよび基板を含み、メタサーフェス内のアレイは基板の上部に配置され、基板の底部は光電変換ユニットの表面に配置され、メタサーフェスは、異なる屈折率を有する少なくとも2つの媒体を含むアレイを含み、メタサーフェス内のアレイは複数のサブユニットを含み、各サブユニットは、複数の柱状構造を含むアレイを含み、光電変換ユニットのアレイは複数の色領域に分割され、メタサーフェスは、光電変換ユニットのアレイ内の対応する色領域に向けて入射光を屈折させるように構成される、ように構成された第2の決定ユニットと
を含むアレイ構造構築装置を提供する。
【0050】
光電変換ユニットのアレイは複数のカラーユニットに分割され得、各カラーユニットは少なくとも4つの色領域を含み、各カラーユニットはメタサーフェス内の1つのサブユニットに対応し、各サブユニットは入射光を屈折させ、次に屈折光を対応するカラーユニット内の色領域に送る。
【0051】
可能な実施態様では、第1の決定ユニットは、複数のアレイが、評価値が予め設定された値よりも大きい少なくとも1つのアレイを含む場合に、評価値が予め設定された値よりも大きい少なくとも1つのアレイの中からスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスのアレイ構造として1つのアレイを選択するように特に構成される。
【0052】
アレイ構造構築装置は、複数のアレイが、評価値が予め設定された値よりも大きいアレイを含まない場合に複数のアレイを更新するように構成された更新ユニットをさらに含み得る。
【0053】
第2の決定ユニットは、更新された複数のアレイに基づいてスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスのアレイ構造を決定するようにさらに構成される。
【0054】
可能な実施態様では、更新ユニットは、複数の評価値の値に基づいて、複数のアレイの各々に対応する変更率を決定し、更新された複数のアレイを取得するために、アレイの各々に対応する変更率に基づいて複数のアレイを変更するように特に構成される。
【0055】
可能な実施態様では、更新ユニットは、複数の評価値の値に基づいて、複数のアレイの各々に対応する確率値を決定し、複数の中間構造を取得するために、アレイの各々に対応する確率値に基づいて複数のアレイに対して複数回のサンプリングを実行し、複数の中間構造の評価値に基づいて、複数の中間構造の変更率を決定し、新しい複数のアレイを取得するために、複数の中間構造に対応する変更率に基づいて複数の中間構造を変更するように特に構成される。
【0056】
可能な実施態様では、各カラーユニットに対応する色は、少なくとも2つの同じ色を含み、各カラーユニットに対応する、メタサーフェス内の領域に含まれる柱状構造は、角度対称形状を形成する。
【0057】
第7の態様によれば、本出願の一実施形態は、アレイ構造構築装置を提供する。アレイ構造構築装置は、デジタル処理チップまたはチップと呼ばれる場合もある。チップは、処理ユニットおよび通信インターフェースを含む。処理ユニットは、通信インターフェースを介してプログラム命令を取得する。プログラム命令は、処理ユニットによって実行される。処理ユニットは、第5の態様または第5の態様の任意選択の実施態様のいずれか1つによる処理関連機能を実行するように構成される。
【0058】
第8の態様によれば、本出願の一実施形態は、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体を提供する。命令がコンピュータ上で実行されるとき、コンピュータは、第5の態様または第5の態様の任意選択の実施態様のいずれか1つによる方法を実行することが可能である。
【0059】
第9の態様によれば、本出願の一実施形態は、命令を含むコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるとき、コンピュータは、第5の態様または第5の態様の可能な実施態様のいずれか1つによる方法を実行することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】本出願の一実施形態による電子デバイスの構造の概略図である。
【
図2】本出願による画像センサの構造の概略図である。
【
図3】本出願によるベイヤーカラーフィルタの構造を示す。
【
図4】本出願による別のベイヤーカラーフィルタの構造を示す。
【
図5】スペクトルチャネルの光信号透過の概略図である。
【
図6】本出願による光信号の屈折および反射の概略図である。
【
図7】本出願によるスペクトル分割およびフィルタリングデバイスの構造の概略図である。
【
図8】本出願による画像センサの構造の概略図である。
【
図9A】本出願による別のスペクトル分割およびフィルタリングデバイスの構造の概略図である。
【
図9B】本出願によるメタサーフェスの構造の概略図である。
【
図10】本出願による別の画像センサの構造の概略図である。
【
図11】本出願による光電変換ユニットの構造の概略図である。
【
図12】本出願による別の画像センサの構造の概略図である。
【
図13】本出願による別の画像センサの構造の概略図である。
【
図14】本出願によるアレイ構造決定方法の概略フローチャートである。
【
図15】本出願による別のメタサーフェスの構造の概略図である。
【
図16】本出願による画像センサ製造方法の概略フローチャートである。
【
図17】本出願による画像センサ製造方法の概略フローチャートである。
【
図18】本出願によるスペクトル分割およびフィルタリングデバイスの光利用率スペクトルの概略図である。
【
図19】本出願による光電変換ユニットにおける光強度の分布の概略図である。
【
図20】本出願によるアレイ構造構築装置の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下では、本出願の実施形態の添付の図面を参照して、本出願の実施形態の技術的解決策を説明する。明らかに、説明されている実施形態は、本出願の実施形態のすべてではなく一部にすぎない。創造的な努力なしに本出願の実施形態に基づいて当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本出願の保護範囲内にあるものとする。
【0062】
本出願の本明細書、特許請求の範囲、および添付の図面において、「第1」、「第2」、「第3」、および「第4」などの用語(もしあれば)は、同様の対象を区別することを意図されており、必ずしも特定の順序または順番を示すものではない。このような方法で使用されているものは、適切な状況では交換可能であり、このため、ここで説明されている実施形態は、ここで例示または説明されている順序とは異なる順序で実施され得ることを理解されたい。さらに、「含む」、「備える」、およびこれらの任意の他の変種の用語は、非排他的包含に該当することを意味する。例えば、ステップまたはユニットのリストを含むプロセス、方法、システム、製品、またはデバイスは、必ずしもこれらのステップまたはユニットに限定されず、明示的に列挙されていない、またはそのようなプロセス、方法、製品、もしくはデバイスに固有である他のステップまたはユニットを含み得る。
【0063】
本出願の説明において、「複数の」は、特に正確かつ具体的に指定されない限り、2つ以上を意味する。
【0064】
本出願では、特に明示的に指定および限定されない限り、「取り付けられた」、「に接続された」、「接続された」、「固定された」、および「設定された」などの用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、統合であってもよく、機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよく、直接接続であってもよいし、中間媒体を介した間接接続であってもよいし、2つの要素間の内部通信または2つの要素間の相互作用関係であってもよい。当業者は、特定の状況に基づいて、本出願における前述の用語の特定の意味を理解し得る。
【0065】
本出願の説明では、「長さ」、「幅」、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「上部」、「底部」、「内側」、または「外側」などの用語によって示される向きまたは位置関係は、添付の図面に基づいて示される向きまたは位置関係であり、本出願を説明し、説明を単純化することを意図されているにすぎず、示された装置または構成要素が特定の向きを有するか、または特定の向きで形成および操作されるべきであることを示すまたは暗示することを意図されておらず、したがって、本出願に対する限定として理解されてはならないことを理解されたい。
【0066】
一部の用語は、特定の構成要素を指すために本明細書および特許請求の範囲で使用される。当業者は、ハードウェア製造業者が異なる用語を使用して同じ構成要素に名前を付け得ることを理解し得るはずである。本明細書およびこれに続く特許請求の範囲において、構成要素は、名称の違いに基づいて区別されず、代わりに、構成要素の機能の違いが区別の基準として使用される。本明細書および特許請求の範囲で言及される「含む」または「備える」は、非限定的な用語であり、したがって、「~を含むが~に限定されない」または「~を備えるが~に限定されない」として解釈されるものとする。
【0067】
理解を容易にするために、以下では、最初に、本出願で使用される技術用語を解説および説明する。
【0068】
メタマテリアル(metamaterial):広義には、メタマテリアルは、従来の天然材料にはない物理的特性を有する人工的に設計されたユニット構造の複合体として定義される。メタマテリアルの物理的特性は、サブ波長(波長よりはるかに短い)のユニット構造の構造および配置によって主に決定される。
【0069】
メタサーフェス(metasurface):メタサーフェスは、メタマテリアルの2次元形態である。本出願におけるメタサーフェスは、
焦点であって、光線がメタサーフェス構造を透過するときに、光線がメタサーフェス構造の背後のいくつかの点に収束し、光線が収束するいくつかの点が焦点である、焦点と、
光学系における光の収束または発散を測定するための測定方法であり、本出願の実施形態では、無限遠の対象が撮像されてメタサーフェス構造を介して焦点面上に鮮明な像を形成するときの、メタサーフェス構造の光学中心から焦点までの距離であり、メタサーフェス構造の光学中心から焦点面までの垂直距離としても理解され得る焦点距離(focal length)と
を含む。
【0070】
以下では、添付の図面を参照して、本出願の技術的解決策を説明する。
【0071】
本出願の実施形態で提供される電子デバイスは、ハンドヘルドデバイス、車載デバイス、ウェアラブルデバイス、コンピューティングデバイス、またはワイヤレスモデムに接続された別の処理デバイスであってもよいし、デジタルカメラ(digital camera)、セルラー電話(cellular phone)、スマートフォン(smartphone)、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)コンピュータ、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ(laptop computer)、マシンタイプ通信(machine type communication、MTC)端末、販売時点情報管理(point of sales、POS)、車載コンピュータ、ヘッドマウントデバイス、ウェアラブルデバイス(リストバンドもしくはスマートウォッチなど)、セキュリティ保護デバイス、仮想現実(virtual reality、VR)デバイス、拡張現実(augmented reality、AR)デバイス、または撮像機能を有する別の電子デバイスであってもよい。
【0072】
デジタルカメラが例として使用される。デジタルカメラは、光学像をデジタル信号に変換するために光電センサを使用するカメラである。従来のカメラは、フィルム上の感光性化学物質の変化に基づいて画像を記録する。一方、デジタルカメラのセンサは、感光性の電荷結合素子(charge‐coupled device、CCD)または相補型金属酸化膜半導体(complementary metal‐oxide‐semiconductor、CMOS)である。従来のカメラと比較して、デジタルカメラは、光電変換画像センサを直接使用し、したがって、より高い利便性、高速性、再現性、およびより高い適時性などの利点を有する。CMOS処理技術の発展に伴い、デジタルカメラは、機能的にますます強力になっており、従来のフィルムカメラにほぼ完全に取って代わっており、家電、セキュリティ保護、ヒューマンコンピュータインタラクション、コンピュータビジョン、および自動運転などの分野に非常に広く適用されている。
【0073】
図1は、本出願による電子デバイスの概略図である。図に示されているように、電子デバイスは、レンズ(lens)モジュール110と、画像センサ(sensor)120と、電気信号プロセッサ130とを含み得る。電気信号プロセッサ130は、アナログデジタル(A/D)変換器131およびデジタル信号プロセッサ132を含み得る。アナログデジタル変換器131は、アナログ信号デジタル信号変換器であり、アナログ電気信号をデジタル電気信号に変換するように構成される。
【0074】
図1に示されている電子デバイスは、前述の構成要素を含むことに限定されず、より多くのまたはより少ない他の構成要素、例えば、バッテリ、フラッシュ、ボタン、およびセンサをさらに含み得ることを理解されたい。本出願のこの実施形態では説明のための例として、画像センサ120が取り付けられた電子デバイスのみが使用されているが、電子デバイスに取り付けられる要素は、これに限定されない。
【0075】
撮影対象で反射された光信号は、レンズモジュール110を通って集光され、撮影対象は画像センサ120において撮像される。画像センサ120は、光信号をアナログ電気信号に変換する。アナログ電気信号は、電気信号プロセッサ130内のアナログデジタル(A/D)変換器131を使用してデジタル電気信号に変換され、デジタル電気信号は、デジタル信号プロセッサ132を使用して処理され、例えば、デジタル電気信号は、画像を最終的に出力するために、一連の複雑な数学的アルゴリズム演算によって最適化される。電気信号プロセッサ130は、画像センサによって送信されたアナログ電気信号を前処理し、次に前処理されたアナログ電気信号をアナログデジタル変換器131に出力するように構成されたアナログ信号プリプロセッサ133をさらに含んでもよい。
【0076】
画像センサ120のパフォーマンスは、最終的に出力される画像の品質に影響を及ぼす。画像センサ120は、感光チップまたは感光素子などと呼ばれる場合もあり、数十万から数百万の光電変換素子を含む。画像センサに光が照射されると、電荷が発生し、アナログデジタル変換チップを使用してデジタル信号に変換される。
【0077】
通常、画像センサ120は、カラーフィルタリングシステムを使用して画像の色情報を取得し得る。カラーフィルタリングシステムは、ベイヤーカラーフィルタ(Bayer color filter)システムであってもよい。具体的には、ベイヤーカラーフィルタは、カラーフィルタリングシステムを形成するために画像センサ120の光電変換素子を覆う。光電変換素子は、フォトダイオードであってもよい。ベイヤーカラーフィルタは、ベイヤー光フィルタと呼ばれる場合もある。
図2は、ベイヤーカラーフィルタシステムに基づく画像センサの概略図である。画像センサは、マイクロレンズ121、ベイヤーカラーフィルタ122、およびフォトダイオード123を含む。ベイヤーカラーフィルタ122は、RGBカラーフィルタを含む。RGBカラーフィルタは、RGBモザイクカラーフィルタリングシステムを形成するためにフォトダイオードの格子上に配置される。人間の眼の網膜上の緑色感受性光受容体細胞の数が最大であるという生物学的特性を模倣して、ベイヤーカラーフィルタは通常、RGGBの形式で配置される。
【0078】
図3は、ベイヤーカラーフィルタシステムに基づく画像センサの構造を示し、
図4は、画像センサの1つの色画素ユニットの構造の概略図である。
図3または
図4に示されているように、1つの色画素ユニットは、4つのカラーフィルタ122と、4つのカラーフィルタに対応する4つのフォトダイオード123の画素セルとを含む。4つのカラーフィルタ122は、RGGBの形式で配置され、すなわち、赤色カラーフィルタおよび青色カラーフィルタが対角線上に配置され、2つの緑色カラーフィルタが対角線上に配置される。フォトダイオード123の感光領域は、フォトダイオード画素セルによって占められる領域内の中央位置にあり、したがって、色画素ユニットは、カラーフィルタ122の上方にマイクロレンズ121のアレイをさらに含む。マイクロレンズ121のアレイは、光利用率を確保するために、光信号をフォトダイオード123の感光領域に収束させるように構成される。マイクロレンズ121のアレイは、入射した光信号を4つのカラーフィルタ122に別々に収束させる。4つのカラーフィルタ122による光フィルタリングの後、フィルタリングされた光信号は、4つのカラーフィルタにそれぞれ覆われたフォトダイオード123に送られ、さらに、画像の光強度情報および近似色情報が同時に取得される。その後、ソフトウェア補間アルゴリズムを使用して最適化および復元によって、現実に最も近いカラー画像が取得され得る。
【0079】
しかしながら、ベイヤーカラーフィルタシステムに基づく画像センサの光利用率は非常に低い。スペクトルチャネルと呼ばれる場合もある各色画素チャネルに関して、光信号の70%超がベイヤーカラーフィルタによってフィルタリング除去され、光の30%未満のみがフォトダイオードに到達し、最終的な計算的画像化のために電気信号に変換し得る。
図5は、色画素ユニットにおけるスペクトルチャネルの光束の概略図である。
図5に示されているように、RGGB形式で配置された色画素ユニットに関して、入射光が白色光であるとき、すなわち、400ナノメートル~700ナノメートルの範囲のすべての波長の光信号を含むときに、カラーフィルタが理想的なカラーフィルタリング効果を有する場合、カラーフィルタリング後の光束の理論上の最大値は、入射光束のわずか1/3であり、入射光が赤色光または青色光のとき、カラーフィルタリング後の光束の理論上の最大値は、入射光束の1/4であり、入射光が緑色光のとき、2つの緑色チャネルがあるため、カラーフィルタリング後の光束の理論上の最大値は入射光束の1/2である。さらに、実際には、カラーフィルタのカラーフィルタリング効果は現実には完全であり得ず、すなわち、カラーフィルタのカラーフィルタリングおよび光透過効率は100%に達し得ず、その結果、実際の光利用率はより低くなっている。入射光が白色光であるとき、全光利用率はわずか約25%である。入射光が赤色光または青色光であるとき、光利用率は約15%である。入射光が緑色光であるとき、光利用率は約30%である。
【0080】
あるいは、一部のシナリオでは、カラーフィルタリングシステムの代わりに、スペクトル分割機能を有するメタサーフェスが使用される。一般化されたスネルの法則によれば、反射光および透過光の方向は、界面材料の屈折率だけでなく、界面の位相勾配分布にも依存する。例えば、
図6に示されているように、位相勾配分布は、n
1sin(θ
2)-n
2sin(θ
1)=(λ
0/2π)(dφ/dx)などの式を使用して計算され得る。必要な空間位相分布は、メタサーフェスのスペクトル分割関数および一般化されたスネルの法則に基づいて計算され得、次に、異方性ナノフィン構造を使用して必要な波長で必要な幾何学的位相が生成され、それによって、スペクトル分割機能が実施される。しかしながら、すべてのメタサーフェスは、異方性ナノフィン構造によって生成された幾何学的位相を使用してスペクトル分割機能を実施し、幾何学的位相の固有特性は、幾何学的位相が1つのタイプの円偏光のみに作用する一方で、別のタイプの円偏光は望ましくない迷光となり、利用され得ず、その結果、最大50%の光が利用され得ることである。加えて、ナノフィン構造の別の固有特性は、各ナノフィン構造が、異なる周波数の光に対して同じ幾何学的位相を生成し、したがって、ナノフィン構造によって生成された幾何学的位相を使用して異なる周波数の光のスペクトル分割機能を実施するためには、異なるサイズのナノフィンが、1つのユニット構造の内部に配置される必要があり、各サイズのナノフィンは異なるスペクトル帯域に作用し、それによってスペクトル分割効果を達成することである。しかしながら、異なるサイズのナノフィンは、対応する動作帯域にない光に対して負の散乱効果を有するため、この方法は確実に非常に低い光利用率をもたらす。
【0081】
したがって、本出願は、光利用率を改善するために、画像センサに適用されるスペクトル分割およびフィルタリングデバイスを提供する。効率的な画素レベルのスペクトル分割機能が、統合された画素レベルのスペクトル分割およびフィルタリングデバイスを使用することによって実施され、それによってカラー画像センサの光利用率が改善される。
【0082】
以下では、本出願で提供されるスペクトル分割およびフィルタリングデバイス、画像センサ、および画像センサ製造方法を詳細に別々に説明する。
【0083】
最初に、本出願は画像センサを提供する。画像センサは、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスと、光電変換ユニットとを含む。スペクトル分割およびフィルタリングデバイスは、異なるスペクトル帯域の光が光電変換ユニットの対応する色領域に送られ得るように、入射光を屈折させるよう構成される。
【0084】
本出願で提供される、画像センサに適用されるスペクトル分割およびフィルタリングデバイスの構造が説明される。
【0085】
図7は、本出願によるスペクトル分割およびフィルタリングデバイスの構造の概略図である。
【0086】
スペクトル分割およびフィルタリングデバイスは、メタサーフェス701および基板702を含む。
【0087】
メタサーフェス701のアレイは基板702の上部に配置され、つまり、基板702の上部はメタサーフェスを支持するためのものである。
【0088】
メタサーフェス701は、少なくとも1つの柱状構造を含むアレイを含む。メタサーフェス701のアレイは、光を屈折させるように構成される。メタサーフェス701は、異なる屈折率を有する2つの媒体を含む。例えば、メタサーフェスは複数の格子に分割されてもよく、その場合、各格子は、二酸化チタンまたは空気などの1つのタイプの媒体で満たされる。
【0089】
メタサーフェスは複数のサブユニットを含み、各サブユニットは、複数の柱状構造を含むアレイを含む。
【0090】
任意選択で、複数の柱状構造の各々の上面は、三角形、四角形、または六角形などのうちの1つを含んでもよく、複数の柱状構造のすべての形状は同じであっても異なっていてもよい。これは、以下のように理解され得、メタサーフェスの各柱状構造の上面の形状は、シームレスに接合され得る形状であり、上面は、メタサーフェスに面し、かつメタサーフェスに垂直である方向にある。
【0091】
加えて、メタサーフェスは、複数の柱状構造を含むアレイを含み、メタサーフェスの各柱状構造の上面の形状は、シームレスに接合され得る形状であるため、複数の柱状構造は互いに近接しているので、複数の柱状構造は接合されてより大きな構造になり得る。例えば、柱状構造は正立方体構造であってもよく、隣接により、複数の正立方体は接合されて直方体形状または別の不規則な形状などになってもよい。
【0092】
基板702は通常、二酸化ケイ素、ポリメタクリル酸メチル(polymethyl methacrylate、PMMA)、またはポリカーボネート(PC)などの、光透過率が特定の値よりも大きい材料を含む。あるいは、基板702は、高い透過率を確保するために中空構造であってもよい。
【0093】
スペクトル分割およびフィルタリングデバイスを含む画像センサの構造は、
図8に示されているものであり得、基板の底部は、画像センサの光電変換ユニット703の表面または上部に配置される。光電変換ユニット703は、光電変換のためのアレイを含む。光電変換ユニットのアレイは、複数の色領域に分割される。メタサーフェスは、入射光を屈折させ、基板を介して屈折光を光電変換ユニットのアレイ内の対応する色領域に送るように構成される。例えば、光電変換ユニットの各画素ユニットは、赤色、緑色、緑色、および青色(RGGB)などの4つの色領域に分割され得る。この場合、入射光がメタサーフェスによって屈折された後、赤色光は、基板を介して光電変換ユニットのR領域に送られ、緑色光は、基板を介してG領域に送られ、青色光は、基板を介してB領域に送られる。
【0094】
光電変換ユニットのアレイは、複数のカラーユニット(画素ユニットまたは色画素ユニットと呼ばれる場合もある)に分割され得る。各カラーユニットは、少なくとも4つの色領域を含む。各カラーユニットは、メタサーフェス内の1つのサブユニットに対応する。各サブユニットは、入射光を屈折させ、次に基板を介して屈折光を対応するカラーユニット内の色領域に送る。これは、以下のように理解され得、メタサーフェスは、光電変換ユニットの表面の上方に配置されるものとして理解され得、各カラーユニットに対応する、メタサーフェス内の領域は、複数の柱状構造を含み、複数の柱状構造は、複数の柱状構造の下方のカラーユニット内の対応する色領域に入射光を反射するためのものである。
【0095】
図8に示されているメタサーフェス701の構造は、1つのサブユニットであり、光電変換ユニット703は、4つの色領域を含む1つのカラーユニットとして理解され得ることが理解されよう。1つのサブユニットは1つのカラーユニットに対応し、サブユニットは、入射光を屈折させ、次に基板702を介して屈折光をカラーユニット内の対応する色領域に送るように構成される。
【0096】
メタサーフェスは複数のサブユニットを含み得、各サブユニットは、複数の柱状構造を含むアレイを含み、各サブユニットは同じアレイ構造を有し得ることに留意されたい。1つのサブユニットの構造が決定された後、画像センサのメタサーフェスの構造が決定される。もちろん、各サブユニットは、あるいは異なるアレイ構造を有してもよい。これは、具体的には、実際の適用シナリオに基づいて調整され得る。本出願の以下の実施態様では、1つのサブユニットのみの構造が説明のための例として使用され、詳細は以下では再び説明されない。
【0097】
したがって、本出願の実施態様で提供されるスペクトル分割およびフィルタリングデバイスでは、異なる色の光は、柱状構造を含む、メタサーフェス内のアレイを使用して屈折され、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスがセンサに適用されるとき、入射光は、スペクトル分割を実施するために、メタサーフェスによって屈折され、次に光電変換ユニット内の対応する色領域に送られる。これは、以下のように理解され得、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスは、複数の色のスペクトル分割を実施し、効率的なスペクトル分割の機能を実施するために、媒体メタサーフェスまたは媒体回折面を有し、2次2次元バーコードタイプの構造特性を有し、複数のスペクトルチャネルを有する。加えて、メタサーフェス構造のアレイは、入射光を屈折させ得、それによって散乱現象を低減し、光利用率を改善する。これはまた、以下のように理解され得、メタサーフェスは入射光の回折を実施し、これにより、特にサブ波長シナリオにおいて、異なるスペクトル帯域の光は光電変換ユニット内の対応する色領域に送られ得る。メタサーフェスは入射光を回折させ、ベイヤーカラーフィルタおよびナノフィンメタサーフェス構造と比較して、本出願で提供されるメタサーフェスは、異なるスペクトル帯域の光の回折を実施し得、それによって光利用率を改善する。
【0098】
具体的には、メタサーフェス701のアレイ構造は、異なる屈折率を有する少なくとも2つの媒体を含み得る。2つの媒体を例として使用すると、2つの媒体のうちの少なくとも1つが柱状構造を構成し、メタサーフェスのアレイを構成し得る。
【0099】
任意選択で、メタサーフェスの材料は、以下のうちの1つ以上、すなわち、二酸化チタン、窒化ガリウム、炭化ケイ素、または高屈折率を有する別の材料のうちの1つ以上を含む。例えば、メタサーフェスのアレイは、二酸化チタンを含む柱状構造を含んでもよく、複数の柱状構造はアレイを構成し、空気が、メタサーフェス内のもう1つのタイプの媒体として選択されてもよい。例えば、メタサーフェスは、二酸化チタンおよび空気を含んでもよい。二酸化チタンの屈折率は、空気のそれよりも大きい。この場合、メタサーフェスの構造は、
図9Aに示されているものであってもよく、複数の柱状構造の材料は二酸化チタンであってもよく、もう1つのタイプの媒体は空気であってもよい。これは、以下のように理解され得、空気と、二酸化チタンを含む柱状構造とがアレイを形成する。アレイの上面図は、
図9Bに示されているものであってもよい。これは以下に相当し、メタサーフェスは、複数の格子に分割されてもよく、格子のサイズは同じであっても異なっていてもよい。ここでは、格子が同じサイズの正方形格子である例が使用される。具体的には、例えば、メタサーフェス701の柱状構造の高さは500nmであってもよく、各正方形格子の幅は100nmであってもよく、透過性の基板702は、二酸化ケイ素ガラスを含み、3.5μmの厚さを有する。メタサーフェスが使用されるセンサの画素値は800nmであり、すなわち、1つの画素ユニットに対応するメタサーフェスサイズは1.6μmである。その後、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスが製造されたら、格子を媒体で満たすことによって、メタサーフェスが取得され得る。各タイプの媒体は柱状構造内にあってもよく、柱状構造は、同じサイズおよび形状を有してもよいし、異なるサイズおよび形状を有してもよい。さらに、一方のタイプの媒体は空気であってもよく、もう一方のタイプの媒体は、屈折率が空気と異なる材料であってもよい。これにより、材料が節約され、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスの製造効率が改善され得る。
【0100】
例えば、メタサーフェスによって屈折された入射光の送り方法が、例を使用して説明される。
図10に示されているように、
図10(a)は、本出願の一実施形態による1つの色画素ユニットの構造の概略図である。
図10(a)に示されているように、1つの色画素ユニットは、1つのメタサーフェス701と、メタサーフェス構造の下方に配置された、2次元的に配置された4つの隣接する光電変換素子とを含み得る。4つの光電変換素子は、
図10(b)の光電変換素子A、光電変換素子B、光電変換素子C、および光電変換素子Dにそれぞれ対応する。4つの光電変換素子は、RGGB方式で配置され得る。例えば、光電変換素子A、光電変換素子B、光電変換素子C、および光電変換素子Dは、それぞれ、赤色光、緑色光、緑色光、および青色光の3つのスペクトル帯域に対応し得る。メタサーフェス701は、赤色光、緑色光、および青色光をそれぞれ光電変換素子A、光電変換素子B、光電変換素子C、および光電変換素子Dの感光位置に集め得る。以下は、
図6に示されている界面の空間透過位相勾配が0であるときの屈折光および反射光の透過経路、ならびに界面の空間透過位相勾配が0でないときの屈折光および反射光の透過経路を参照して説明される。空間透過位相は、空間透過位相勾配を取得するために、メタサーフェス701のアレイの接線方向に生成される。空間透過位相勾配は、各スペクトル帯域の光信号をそのスペクトル帯域に対応する光電変換素子に送るためのものである。本出願のこの実施形態では、透過位相は伝送位相と呼ばれる場合もある。
【0101】
空間透過位相勾配の存在により、入射光信号およびメタサーフェス701は特定の共振効果を形成し得る。異なるスペクトル帯域の光信号がメタサーフェス701を通過するとき、メタサーフェス701において異なる透過位相変化が生じ、それによって光信号の屈折角が変化する。すなわち、異なるスペクトル帯域の光信号を、異なるスペクトル帯域に対応する光電変換素子に送るために、光信号の伝搬方向が制御される。
【0102】
前述のスペクトル帯域値は、単に説明のための参照データとして使用されており、本出願の実施形態に対する限定と見なされてはならないことを理解されたい。各スペクトルチャネルの特定の周波数範囲は、画像センサの実際の全体的なスペクトル設計および光電変換素子の実際のスペクトル応答範囲の影響を受ける。
図10に示されている1つの色画素ユニット内の光電変換素子の数は例にすぎず、本出願の実施形態に対する限定を構成するものではない。
【0103】
可能な実施態様では、各カラーユニットに対応する色は、少なくとも2つの同じ色を含み、各カラーユニットの上方のメタサーフェス領域に含まれる柱状構造の表面は、角度対称形状を形成する。
【0104】
例えば、光電変換ユニットにマトリックスとして配置された4つの画素セルごとに対応する色は、RGGB方式で配置され得る。例えば、左上隅および右上隅の色領域に対応する色は緑色であり、他の2つの隅に対応する色は赤色および青色である。これに対応して、
図7~
図9Bに示されているメタサーフェスの構造に関して、メタサーフェスに構造を含むアレイの上面図は、入射光がメタサーフェスの構造によって屈折され、次に光電変換ユニット内の対応する色領域に送られ得るように、対称構造であり得る。
【0105】
図11は、光電変換ユニット703のアレイの概略図である。
図11に示されているように、各光電変換ユニット703は、4つの光電変換素子に対応し得、4つの光電変換素子はRGGB方式で配置される。加えて、光電変換ユニットによる光信号の反射を低減し、それによって光利用率をさらに改善するために、反射防止プレートが光電変換ユニットにさらに配置されてもよい。
【0106】
図10および
図11に示されている1つの光電変換ユニット703内の光電変換素子の数は例にすぎないことを理解されたい。あるいは、光電変換素子の実際の数は、より多くてもよいし、より少なくてもよい。本明細書で言及されている4つの光電変換素子は、本出願の実施形態に対する限定を構成するものではない。
【0107】
したがって、本出願の実施態様では、柱状構造を含むアレイは、異なるスペクトル帯域の光を屈折させるために、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスに配置される。従来のベイヤーカラーフィルタと比較して、本出願では、異なるスペクトル帯域の光が屈折され、これにより、各スペクトル帯域の光は、光電変換ユニット内の対応する領域に送られ、それによって、カラーフィルタのフィルタリングによってもたらされる低い光利用率が回避される。
【0108】
通常、ナノフィン構造を使用して光を屈折させることは、1つのタイプの円偏光に対してのみ有効であり、別のタイプの円偏光は不要な迷光となり利用され得ない。その結果、光利用率が大幅に低下する。一方、本出願で提供されるスペクトル分割およびフィルタリングデバイスは、ただ1つのタイプの円偏光ではなく、すべての入射偏光を屈折させ得、偏光依存性がほとんどない。したがって、本出願で提供されるスペクトル分割およびフィルタリングデバイスは、光利用率を大幅に改善し得る。
【0109】
加えて、ナノフィン構造が光を屈折させるためのものであるとき、各ナノフィン構造は、異なる周波数の光に対して同じ幾何学的位相を生成し、したがって、ナノフィン構造によって生成された幾何学的位相を使用して異なる周波数の光のスペクトル分割機能を実施するためには、異なるサイズのナノフィンが、1つのユニット構造の内部に配置される必要があり、各サイズのナノフィンは異なるスペクトル帯域に作用し、それによってスペクトル分割効果を達成する。しかしながら、異なるサイズのナノフィンは、対応する動作帯域にない光に対して負の散乱効果を有するため、この方法は確実に非常に低い光利用率をもたらす。一方、本出願の実施態様では、メタサーフェスのアレイ構造は、異なる屈折率を有する少なくとも2つの媒体を含み得、柱状構造は、異なるスペクトル帯域の光に対して必要な応答を有し、それによって、異なるサイズのナノフィンが異なるスペクトル帯域の光を屈折させるために屈折されない光の利用率が低いという問題が回避される。このようにして、光利用率がさらに改善される。
【0110】
任意選択で、入射光の反射を低減し、光利用率を改善するために、光電変換ユニットの表面は反射防止層をさらに含んでもよく、または反射防止層は光電変換ユニットの表面と基板との間に配置される。
【0111】
可能な実施態様では、光電変換ユニット703と基板702との間にカラーフィルタリング構造がさらに配置され、カラーフィルタリング構造は複数のカラーフィルタリング領域に分割され、各カラーフィルタリング領域は、対応する1つの色領域を覆い、各色領域に対応する色は、色領域を覆うカラーフィルタリング領域を通過する色と同じである。例えば、カラーフィルタリング構造は、4つのカラーフィルタ、または指定されたスペクトル帯域の光が通過する別の媒体であってもよい。
【0112】
例えば、
図12に示されているように、光電変換ユニットと基板との間にカラーフィルタ704が配置され得、カラーフィルタは、特定のスペクトル帯域の光以外の光をフィルタリング除去するための複数のカラーフィルタリング領域に分割され得る。例えば、カラーフィルタに対応する色領域が緑色である場合、緑色はカラーフィルタを通過し得、緑色以外の色はカラーフィルタによってフィルタリング除去される。
【0113】
したがって、本出願のこの実施態様では、光電変換ユニット内の各色領域に送られた光をフィルタリングし、特定のスペクトル帯域にない光をフィルタリング除去するために、カラーフィルタリング構造が追加され得、それによって、光電変換ユニットによって実行される光信号変換に対する干渉が回避され、光利用率がさらに改善される。
【0114】
可能な実施態様では、各カラーフィルタリング領域と基板との間にレンズがさらに配置される。
【0115】
例えば、
図13に示されているように、各カラーフィルタリング領域と基板との間に、マイクロ凸レンズ705(略してマイクロレンズ)が配置される。通常、各マイクロレンズのサイズは、カラーフィルタリング領域に送られた光を収束させるために、マイクロレンズによって覆われるカラーフィルタリング領域のサイズと同じであり、それによって、色領域に送られる光の散乱が低減され、光利用率がさらに改善される。したがって、本出願のこの実施態様では、各チャネルのクロストークを低減するために、カラーフィルタおよびマイクロレンズがスペクトル分割およびフィルタリングデバイスで使用され得る。
【0116】
可能な実施態様では、複数の色領域に対応する色の複数のスペクトル帯域の光は、緑色、赤色、青色、または赤外(infrared radiation、IR)光のうちの1つ以上を含む。
【0117】
例えば、本出願で提供されるスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのスペクトル分割スペクトルチャネルの数は2以上であり、スペクトル帯域は、画像センサの目的および感光層のスペクトル応答範囲に応じて、紫外から近赤外までの範囲に及ぶ。スペクトル数およびチャネル配置は、画像センサの目的に依存する。例えば、画像センサが可視光撮像に使用される場合、スペクトル帯域範囲は400~700nmの可視光の範囲であり、スペクトル数は3であり、チャネル配置はRGGBであり、画像センサがマルチスペクトル撮像に使用される場合、スペクトル帯域範囲は400~700nmであり、スペクトル数は7であってもよく、画像センサが可視光および近赤外撮像に使用される場合、スペクトル帯域範囲は400~1000nmであり、スペクトル数は4であり、チャネル配置はRGBおよびIRであってもよい。したがって、本出願のこの実施態様では、複数のシナリオに適応するために、複数のタイプの可視光または不可視光のスペクトル分割が実施され得る。一般化能力が強力である。
【0118】
本出願で提供されるスペクトル分割およびフィルタリングデバイスの構造は、例を使用して上記で説明されている。前述の構造から、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスが光利用率を改善する際に重要な役割を果たし、メタサーフェスに複数のアレイ配置方法があり得ることが知られ得る。以下では、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスのアレイ構造を決定するための方法について説明する。
【0119】
図14を参照すると、本出願は、画像センサに適用されるアレイ構造決定方法を提供する。画像センサは、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスと、光電変換ユニットとを含む。スペクトル分割およびフィルタリングデバイスについては、
図7から
図13のスペクトル分割およびフィルタリングデバイスを参照し得、ここでは詳細は再び説明されない。以下では、本出願で提供される画像センサに適用されるアレイ構造決定方法の詳細なステップについて説明する。
【0120】
1401.複数のアレイの構造を決定する。
【0121】
複数のアレイの構造は、予め設定された探索空間を探索することによって取得されてもよいし、ランダムに生成された構造であってもよい。各アレイは、メッシュ構造であってもよいし、ハニカム構造などであってもよい。構造の高さは同じであっても異なっていてもよい。各構造の高さも、予め設定された探索空間を探索することによって取得されてもよい。異なるアレイ構造および高さ値の範囲が探索空間に予め設定されてもよく、次に、複数のアレイ構造および各アレイ構造に対応する高さが探索空間からのサンプリングによって取得されることが理解されよう。
【0122】
例えば、複数のアレイを迅速に取得するために、複数のアレイ構造が、探索空間を形成するために事前に生成されてもよく、次に、実際の適用シナリオに基づいて、使用可能なアレイ構造が選択されてもよく、それによって、複数のアレイを取得する効率が改善される。別の例では、1つ以上の2次元バーコード画像がランダムに生成されてもよく、複数のアレイは、複数の2次元バーコード画像に基づいて構築される。具体的には、例えば、
図15に示されているように、構築されるメタサーフェスのサイズが予め設定されてもよく、次に、メタサーフェスは正方形格子または六角形格子などに分割され、次に、各格子は、アレイ構造を取得するためにランダムに満たされる。
【0123】
1402.複数のアレイの各々に対応する評価値を取得するために、評価関数を使用して複数のアレイの構造を評価する。
【0124】
評価関数は、複数のアレイがスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスとして使用されるときに、各アレイに対応する光利用率を取得するためにスペクトル分割およびフィルタリングデバイスの光利用率を計算するための関数であり、次に、評価値に基づいて、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスのアレイ構造が決定される。
【0125】
例えば、N個の初期2次元バーコード構造がランダムに生成されてもよい。各2次元バーコード構造は、N*N個の正方形領域を含む。各領域は、構造を表すためにN*N 0/1を含む2次マトリックスを形成するように、2つの媒体材料、例えば空気および二酸化チタンのうちの1つで作られてもよい。構造の高さは、1μm以内のランダムな高さである。この実施形態において、1は二酸化チタンを表し、0は空気を表す。RGGBのスペクトル分割関数に基づいてシミュレーションモデルが確立され、以下の評価関数として、計算によって平均光利用率を取得するために、マクスウェルの方程式がシミュレーションによって解かれる。
【数1】
【0126】
ただし、λr1~λr2、λg1~λg2、およびλb1~λb2はそれぞれ赤色光、緑色光、および青色光のスペクトルであり、Tr、Tg、およびTbはそれぞれ赤色光、緑色光、および青色光に対応するセル領域の透過率である。具体的には、例えば、N個の2次元バーコード構造に対応する画像センサは、シミュレーションによって生成されてもよく、次に、各アレイに対応する光利用率を取得するために、シミュレートされた各画像センサの光利用率が評価関数を使用して計算される。もちろん、光利用率は、あるいは、各アレイに対応する画像センサを製造することによって計算されてもよい。これは本出願では限定されない。
【0127】
1403.複数のアレイが、評価値が予め設定された値よりも大きい少なくとも1つのアレイを含むかどうかを判定し、そうである場合、ステップ1404を実行し、そうでない場合、ステップ1405を実行する。
【0128】
複数のアレイの各々の評価値が取得された後、複数のアレイが、評価値が予め設定された値よりも大きいアレイを含むかどうかが判定される。複数のアレイが、評価値が予め設定された値よりも大きい少なくとも1つのアレイを含む場合、評価値が予め設定された値よりも大きいアレイの中から、1つのアレイが、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスのアレイ構造として選択され得る。複数のアレイが、評価値が予め設定された値よりも大きいアレイを含まない場合、評価値が予め設定された値よりも大きいアレイが取得されるまで、新しいアレイが取得され得る。
【0129】
1404.評価値が予め設定された値よりも大きい少なくとも1つのアレイの中から、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスのアレイ構造として1つのアレイを選択する。
【0130】
1つのアレイが、評価値が予め設定された値よりも大きい1つ以上のアレイの中から、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスのアレイ構造として選択され得る。
【0131】
例えば、評価値が50%よりも大きい複数のアレイがある場合、評価値が50%よりも大きい複数のアレイの中から、評価値が最も大きいアレイが、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスのアレイ構造として選択され得る。あるいは、評価値が50%よりも大きい複数のアレイの中から、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスのアレイ構造として1つのアレイがランダムに選択される。
【0132】
1405.複数のアレイを更新する。
【0133】
評価値が予め設定された値よりも大きいアレイが複数のアレイの中に存在しない場合、複数のアレイは更新され、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスのアレイ構造は、更新された複数のアレイに基づいて決定され、すなわち、ステップ1402および1403は、評価値が予め設定された値よりも大きいアレイが取得されるまで繰り返し実行される。
【0134】
複数のアレイを更新する複数の方法があり得る。以下では、いくつかの可能な実施態様について説明する。
【0135】
可能な実施態様では、複数のアレイの各々に対応する変更率は、複数の評価値の値に基づいて決定され得る。変更率は、具体的には、形状変更率または高さ変更率などを含み得る。形状変更率は、アレイ構造の形状変更の確率または割合である。高さ変更率は、アレイの高さ変更の確率または割合である。次に、更新された複数のアレイを取得するために、各アレイに対応する変更率に基づいて複数のアレイが変更される。具体的には、形状変更率に基づいて複数のアレイの形状が変更され得、または高さ変更率に基づいて複数のアレイの高さが変更される、などである。通常、各アレイの評価値は、アレイがシミュレーションによって画像センサに置き換えられた後に取得される光利用率を表すために使用され得る。光利用率が高いほど、対応する変更率が低いことを示す。光利用率と変更率との関係は、線形的な関係であってもよいし、指数関数的な関係などであってもよい。具体的には、この関係は、実際の適用シナリオに基づいて調整され得る。変更率が高いほど、アレイの変更割合が大きいことを示す。例えば、形状変更率が20%である場合、アレイ内の領域の20%が、変更アレイを取得するために変更され得る。具体的な変更方法は、アレイ内の領域の一部の柱状構造を再配置すること、または別のアレイ内の領域の一部と構造を交換することなどであり得る。具体的な変更方法は、実際の適用シナリオに基づいて調整され得る。高さ変更率が10%である場合、変更高さを取得するために、アレイ高さは10%増加または減少される。具体的な変更方法は、実際の適用シナリオに基づいて調整され得る。
【0136】
したがって、本出願のこの実施態様では、各アレイの形状および高さ変更率は、アレイの変更を遂行するために、アレイの評価値に基づいて決定され得る。より大きい評価値を有するアレイは、より低い変更率に対応する。このようにして、より高い光利用率に対応するアレイを後で選択するために、新しいアレイ構造が予め設定された値に近づくように、アレイ構造が調整される。
【0137】
別の可能な実施態様では、複数のアレイの各々に対応する確率値は、複数の評価値の値に基づいて決定され、次に、複数の中間構造を取得するために、各アレイに対応する確率値に基づいて複数のアレイに対してサンプリングが実行され、次に、複数の中間構造の評価値に基づいて、複数の中間構造の、形状変更率または高さ変更率などを含む変更率が決定され、次に、新しい複数のアレイを取得するために、複数の中間構造に対応する変更率に基づいて複数の中間構造が変更される。具体的な変更方法は、アレイ内の領域の一部の柱状構造を再配置すること、または別のアレイ内の領域の一部と構造を交換することなどであり得る。具体的な変更方法は、実際の適用シナリオに基づいて調整され得る。
【0138】
例えば、アレイ1に対応する光利用率が25%であり、アレイ2に対応する光利用率が30%であり、アレイ3に対応する光利用率が26%である場合、複数のアレイ、すなわち複数の中間構造を取得するために、アレイに対応する光利用率値に基づいて各アレイに対してサンプリングの確率が設定され、例えば、アレイ1の確率は10%であり、アレイ2の確率は25%であり、アレイ3の確率は13%であり、次に、各アレイの確率に基づいて1回以上サンプリングが実行され得る。具体的には、例えば、対応する確率をアレイごとに設定する方法は、Pi=Fi
n/(ΣFi
n)を含み得、ただし、iはi番目の2次元バーコード構造を表し、Fiはi番目の構造の評価関数であり、nは1以上の整数であり得る。
【0139】
サンプリングが複数回実行される場合、各回のサンプリングは、各アレイの確率に基づいて実行されてもよく、異なる回のサンプリングによって取得され得るアレイは、同じであっても異なっていてもよい。したがって、本出願のこの実施態様では、各アレイの確率は、アレイに対応する光利用率に基づいて設定されてもよく、これにより、より高い光利用率に対応するアレイは、その後のサンプリング中にサンプリングされる確率がより高くなり、サンプリングによって取得されたアレイは、新しいアレイを取得するために変更される。
【0140】
別の可能な実施態様では、探索空間が予め設定され、評価値が予め設定された値よりも大きいアレイが選択によって取得されない場合、探索空間を再び探索することによって複数のアレイが取得されてもよい。
【0141】
本出願で提供される方法では、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスならびに画像センサの光利用率を改善するために、遺伝的アルゴリズム、シミュレーテッド・アニーリング・アルゴリズム、または勾配降下法などの最適化アルゴリズムを使用して、指定された光利用率要求目標に基づいて、光利用率要求目標を満たすアレイが逆に取得され得る。
【0142】
以上、本出願で提供されるスペクトル分割およびフィルタリングデバイス、画像センサ、および画像センサに適用されるアレイ構造決定方法について詳細に説明した。以下では、上記で説明されたスペクトル分割およびフィルタリングデバイス、画像センサ、および画像センサに適用されるアレイ構造決定方法に基づいて、本出願で提供される画像センサ製造方法について詳細に説明する。
【0143】
図16は、以下で説明されるように、本出願による画像センサ製造方法の概略フローチャートである。
【0144】
1601.光電変換ユニットを製造し、光電変換ユニットは光信号を電気信号に変換するように構成され、光電変換ユニットは光電変換のためのアレイを含み、光電変換ユニットのアレイは複数の色領域に分割される。
【0145】
1602.光電変換ユニットの表面にスペクトル分割およびフィルタリングデバイスを製造する。
【0146】
スペクトル分割およびフィルタリングデバイスは、メタサーフェスおよび基板を含む。メタサーフェス内のアレイは、基板の上部に配置される。基板の底部は、光電変換ユニットの表面または上部に配置される。メタサーフェスは複数のサブユニットを含み、各サブユニットは、複数の柱状構造を含むアレイを含み、メタサーフェスは、異なる屈折率を有する少なくとも2つの媒体を含む。光電変換ユニットは、光電変換のためのアレイを含む。光電変換ユニットのアレイは、複数の色領域に分割される。メタサーフェスは、光電変換ユニットのアレイ内の対応する色領域に向けて入射光を屈折させるように構成される。
【0147】
光電変換ユニットのアレイは複数のカラーユニットに分割され得、各カラーユニットは少なくとも4つの色領域を含み、メタサーフェス内の各サブユニットは1つのカラーユニットに対応し、各サブユニットは入射光を屈折させ、次に屈折光を対応するカラーユニット内の色領域に送る。通常、サブユニット内のアレイ構造は同じであっても異なっていてもよい。
【0148】
例えば、光電変換ユニットのアレイおよびメタサーフェス構造のアレイは、CMOSプロセスを使用して集積および加工され得る。具体的には、例えば、メタサーフェスは、二酸化チタンおよび空気の2つの媒体を含むアレイを含み得、二酸化チタンを含む柱状構造は、メタサーフェスのアレイ構造が決定された後にアレイに満たされ得る。
【0149】
例えば、ステップ1602は、光電変換ユニットのアレイ上に基板を堆積させることと、基板上に微細構造を製造することとを含み得る。
【0150】
したがって、本出願のこの実施態様では、基板は光電変換ユニットの表面に製造され得、メタサーフェスのアレイは基板の上部に製造され得る。異なる色の光は、柱状構造を含む、メタサーフェス内のアレイを使用して屈折され、入射光は、スペクトル分割を実施するために、メタサーフェスによって屈折され、次に光電変換ユニット内の対応する色領域に送られる。これは、以下のように理解され得、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスは、複数の色のスペクトル分割を実施し、効率的なスペクトル分割の機能を実施するために、媒体メタサーフェスまたは媒体回折面を有し、2次2次元バーコードタイプの構造特性を有し、複数のスペクトルチャネルを有する。加えて、メタサーフェス構造のアレイは、入射光を屈折させ得、それによって散乱現象を低減し、画像センサの光利用率を改善する。
【0151】
可能な実施態様では、光電変換ユニットと基板との間にカラーフィルタリング構造がさらに製造され得る。カラーフィルタリング構造は複数のカラーフィルタリング領域に分割され、各カラーフィルタリング領域は1つの対応する色領域を覆い、各色領域に対応する色は、色領域を覆うカラーフィルタリング領域を通過する色と同じであり、各カラーフィルタリング領域は、カラーフィルタリング領域によって覆われた色領域に対応する色以外の色の光をフィルタリング除去するためのものである。
【0152】
可能な実施態様では、各カラーフィルタリング領域と基板との間にレンズがさらに製造され得る。
【0153】
可能な実施態様では、複数の色領域に対応する色の複数のスペクトル帯域の光は、緑色、赤色、青色、または赤外光のうちの1つ以上を含む。
【0154】
可能な実施態様では、メタサーフェスの材料は、以下のうちの1つ以上、すなわち、二酸化チタン、窒化ガリウム、または炭化ケイ素のうちの1つ以上を含む。
【0155】
可能な実施態様では、各カラーユニットに対応する色は、少なくとも2つの同じ色を含み、各カラーユニットの上方のメタサーフェス領域に含まれる柱状構造の表面は、角度対称形状を形成する。
【0156】
加えて、メタサーフェスのアレイ構造は、メタサーフェスの製造の前にさらに構築されてもよい。例えば、
図17を参照して、以下では、メタサーフェスのアレイ構造を構築するための方法を参照して、本出願で提供される画像センサ製造方法のプロセスについて以下のようにより詳細に説明する。
【0157】
1701.複数のアレイの構造を決定する。
【0158】
1702.複数のアレイの各々に対応する評価値を取得するために、評価関数を使用して複数のアレイの構造を評価する。
【0159】
1703.複数のアレイが、評価値が予め設定された値よりも大きい少なくとも1つのアレイを含むかどうかを判定し、そうである場合、ステップ1705を実行し、そうでない場合、ステップ1704を実行する。
【0160】
1704.複数のアレイを更新する。
【0161】
1705.評価値が予め設定された値よりも大きい少なくとも1つのアレイの中から、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスの構造として1つのアレイを選択する。
【0162】
ステップ1701~1705については、ステップ1401から1405を参照されたい。ここでは詳細は再び説明されない。
【0163】
1706.光電変換ユニットを製造する。
【0164】
1707.光電変換ユニットの表面にスペクトル分割およびフィルタリングデバイスを製造する。
【0165】
ステップ1706および1707については、ステップ1601および1602を参照されたい。ここでは詳細は再び説明されない。
【0166】
したがって、本出願のこの実施態様では、より高い光利用率を有する画像センサを取得するために、メタサーフェスの製造の前にメタサーフェスのアレイ構造がさらに決定され得る。これは、以下ように理解され得、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスならびに画像センサの光利用率を改善するために、遺伝的アルゴリズム、シミュレーテッド・アニーリング・アルゴリズム、または勾配降下法などの最適化アルゴリズムを使用して、指定された光利用率要求目標に基づいて、光利用率要求目標を満たすアレイが逆に取得され得る。
【0167】
本出願で言及されている画像センサの光利用率は、より具体的な適用シナリオを使用して以下でより詳細に説明される。
【0168】
例えば、
図18は、400~700nmの可視光帯域範囲におけるスペクトル分割デバイスの光利用率のスペクトルグラフであり、横座標は波長を表し、縦座標は透過率を表す。Tbは右下隅の青色の感光画素セルに到達する光透過率を表し、TgおよびTg2はそれぞれ右上隅および左下隅の2つの感光画素セルに到達する光透過率を表し、Trは左上隅の赤色の感光画素セルに到達する透過率を表す。
図18に示されているように、この実施形態は、可視光の光利用率を55.9%に高め、これは、従来のカラーフィルタの光利用率の約224%である。赤色光の光利用率は73.7%であり、これは、従来のカラーフィルタのそれの約393%である。緑色光の光利用率は47.9%であり、これは、従来のカラーフィルタのそれの約127%である。青色光の光利用率は47.3%であり、これは、従来のカラーフィルタのそれの約252%である。
【0169】
スペクトル分割デバイスの媒体層の底部から3.5μmの距離の平面における光強度分布が、
図19に示されており、A、B、およびCはそれぞれ450nm、536nm、および640nmの波長に対応する。3つの色、すなわち赤色、緑色、および青色の光は、RGGB配置方法の4つの感光画素セル位置、すなわち右下、左下、右上、および左上にそれぞれ集光されることが分かる。カラーフィルタ層を追加することによってスペクトルクロストークが除去され、散乱光の量が比較的少ない。
【0170】
明らかに、前述の分析から、本出願で提供される画像センサの光利用率は、ベイヤーカラーフィルタまたはナノフィン構造のそれよりも高いことが知られ得る。したがって、本出願のこの実施態様では、カラーフィルタリング方法を使用して色情報を取得するベイヤーカラーフィルタと比較して、スペクトル分割によって単色フィルタリングシステムの光利用率の理論的限界を克服し、原理的にカラー画像センサの光利用率を改善するために、本出願では、画素レベルのスペクトル分割デバイスが使用される。ナノフィン構造のメタサーフェス技術のために、本発明では、2次2次元バーコードタイプの構造を設計するために、関数駆動型逆設計アルゴリズムが使用され、これは、高いスペクトル分割効率、低い偏光依存性、およびより小さい感光画素セルとの整合という利点を有する。さらに、画像センサの光利用率が改善され、それによって、画像センサを使用して実行される撮影中の信号対ノイズ比が増加し、弱光条件下で撮影された画像の品質が改善され、弱光条件下での撮影のパフォーマンスが改善される。
【0171】
図20を参照すると、本出願は、
図14の方法を実行するように構成されたアレイ構造構築装置をさらに提供し、本装置は、
複数のアレイの構造を決定するように構成された第1の決定ユニット2001と、
複数のアレイの各々に対応する評価値を取得するために、評価関数を使用して複数のアレイの構造を評価し、評価関数は、複数のアレイがスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスとして使用されるときのスペクトル分割およびフィルタリングデバイスの光利用率を計算するための関数である、ように構成された評価ユニット2002と、
評価値に基づいてスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスの構造を決定し、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスは画像センサに含まれ、画像センサはスペクトル分割およびフィルタリングデバイスと光電変換ユニットとを含み、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスはメタサーフェスおよび基板を含み、光電変換ユニットは、光電変換のためのアレイを含み、スペクトル分割およびフィルタリングデバイスは、メタサーフェスおよび基板を含み、メタサーフェス内のアレイは基板の上部に配置され、基板の底部は光電変換ユニットの表面または上部に配置され、メタサーフェスは、異なる屈折率を有する少なくとも2つの媒体を含むアレイを含み、メタサーフェス内のアレイは、少なくとも1つの柱状構造を含むアレイを含み、光電変換ユニットのアレイは複数の色領域に分割され、メタサーフェスは、光電変換ユニットのアレイ内の対応する色領域に向けて入射光を屈折させるように構成される、ように構成された第2の決定ユニット2003と
を含み得る。
【0172】
光電変換ユニットのアレイは複数のカラーユニットに分割され得、各カラーユニットは少なくとも4つの色領域を含み、各カラーユニットは1つのサブユニットに対応し、各サブユニットは入射光を屈折させ、次に屈折光を対応するカラーユニット内の色領域に送る。
【0173】
可能な実施態様では、第1の決定ユニット2001は、複数のアレイが、評価値が予め設定された値よりも大きい少なくとも1つのアレイを含む場合に、評価値が予め設定された値よりも大きい少なくとも1つのアレイの中からスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスのアレイ構造として1つのアレイを選択するように特に構成される。
【0174】
アレイ構造構築装置は、複数のアレイが、評価値が予め設定された値よりも大きいアレイを含まない場合に複数のアレイを更新するように構成された更新ユニット2004をさらに含み得る。
【0175】
第2の決定ユニットは、更新された複数のアレイに基づいてスペクトル分割およびフィルタリングデバイスのメタサーフェスのアレイ構造を決定するようにさらに構成される。
【0176】
可能な実施態様では、更新ユニット2004は、複数の評価値の値に基づいて、複数のアレイの各々に対応する変更率を決定し、更新された複数のアレイを取得するために、アレイの各々に対応する変更率に基づいて複数のアレイを変更するように特に構成される。
【0177】
可能な実施態様では、更新ユニット2004は、複数の評価値の値に基づいて、複数のアレイの各々に対応する確率値を決定し、複数の中間構造を取得するために、アレイの各々に対応する確率値に基づいて複数のアレイに対して複数回のサンプリングを実行し、複数の中間構造の評価値に基づいて、複数の中間構造の変更率を決定し、新しい複数のアレイを取得するために、複数の中間構造に対応する変更率に基づいて複数の中間構造を変更するように特に構成される。
【0178】
可能な実施態様では、各カラーユニットに対応する色は、少なくとも2つの同じ色を含み、各カラーユニットの上方のメタサーフェス領域に含まれる柱状構造の表面は、角度対称形状を形成する。
【0179】
したがって、マトリックスに配置された少なくとも4つの色領域ごとに、少なくとも2つの同じ色が対応してもよく、2つの対称色領域に対応する色は同じであってもよい。この実施形態は、メタサーフェスのアレイに適用可能な、可能な配置方法を提供する。
【0180】
前述の説明は、本出願の任意選択の実施形態にすぎず、本出願を限定することを意図されていない。本出願の原理から逸脱することなく行われる修正、同等の置換、または改善などは、本出願の保護範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0181】
110 レンズモジュール
120 画像センサ
121 マイクロレンズ
122 ベイヤーカラーフィルタ
123 フォトダイオード
130 電気信号プロセッサ
131 アナログデジタル変換器
132 デジタル信号プロセッサ
133 アナログ信号プリプロセッサ
701 メタサーフェス
702 基板
703 光電変換ユニット
704 カラーフィルタ
705 マイクロ凸レンズ
2001 第1の決定ユニット
2002 評価ユニット
2003 第2の決定ユニット
2004 更新ユニット