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▶ エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】アミノ-ピリミジンアミド
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/107 20060101AFI20250408BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20250408BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20250408BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20250408BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20250408BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20250408BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20250408BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20250408BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20250408BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20250408BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20250408BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250408BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20250408BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250408BHJP
   C07D 403/06 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
C07D491/107 CSP
A61K31/506
A61P1/16
A61P3/00
A61P9/00
A61P11/00
A61P13/12
A61P17/04
A61P25/00
A61P27/02
A61P29/00
A61P35/00
A61P37/06
A61P43/00 105
A61P43/00 111
C07D403/06
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022575323
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2021065111
(87)【国際公開番号】W WO2021249908
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2024-05-31
(31)【優先権主張番号】20178651.4
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ブリエ,アンジェリカ
(72)【発明者】
【氏名】ボクドス,ミハイル・コンスタンティノス
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,ルーク
(72)【発明者】
【氏名】クラマー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】マズニン,ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】ピナール,エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ラトニ,アサヌ
【審査官】坂口 岳志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/212534(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/043260(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、又は薬学的に許容され得る
【化1】

(式中、
、R及びRは、独立して、
i)H、
ii)C1-6-アルキル、
iii)C2-6-アルキニル、
iv)ハロゲン、
v)ハロ-C1-6-アルキル、
vi)ハロ-C1-6-アルコキシ、
vii)シアノ
からなる群から選択され、
及びRのうちの少なくとも1つは、H以外であり、
及びRは、独立して、
i)H、
ii)C1-6-アルキル、
iii)ハロゲン、
iv)ハロ-C1-6-アルキル
からなる群から選択され、ただしR 及びR のうちの少なくとも1つは、H以外であり
又は、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ヘテロシクロアルキル又は置換C3-8-シクロアルキルを形成し、置換シクロアルキルは、R及びRで置換されており、
及びRは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ又はアルキルからなる群から選択される。)
【請求項2】
、R及びRは、独立して、
i)H、
ii)C1-6-アルキル、
iii)C2-6-アルキニル、
iv)ハロゲン、
v)ハロ-C1-6-アルキル、
vi)ハロ-C1-6-アルコキシ、
vii)シアノ
からなる群から選択され、
及びRのうちの少なくとも1つは、H以外である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
及びRは、独立して、
i)H、
ii)C1-6-アルキル
からなる群から選択され、ただしR 及びR のうちの少なくとも1つは、H以外であり
又は、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単一の酸素を有する4員ヘテロシクロアルキル又は置換C-シクロアルキルを形成し、置換シクロアルキルは、R及びRで置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
及びRは、独立して、
i)H、
ii)メチル
からなる群から選択され、ただしR 及びR のうちの少なくとも1つは、H以外であり
又は、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、オキセタン環又は置換C-シクロアルキルを形成し、置換シクロアルキルは、R及びRで置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
及びRは、両方ともハロゲンであるか、又は
は、ヒドロキシであり、Rは、アルキルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
及びRは、両方ともフッ素であるか、又は
は、ヒドロキシであり、Rは、メチルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
、R及びRは、独立して、
i)H、
ii)C1-6-アルキル、
iii)C2-6-アルキニル、
iv)ハロゲン、
v)ハロ-C1-6-アルキル、
vi)ハロ-C1-6-アルコキシ、
vii)シアノ
からなる群から選択され、
及びRのうちの少なくとも1つは、H以外であり、
及びRは、独立して、
i)H、
ii)メチル
からなる群から選択され、ただしR 及びR のうちの少なくとも1つは、H以外であり
又は、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、オキセタン環又は置換C-シクロアルキルを形成し、置換シクロアルキルは、R及びRで置換されており、
及びRは、両方ともフッ素であるか、又は
は、ヒドロキシであり、Rは、メチルである、請求項1~6のいずれかに記載の化合物、又は薬学的に許容され得る塩。
【請求項8】
(2-((4-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(2-((4,6-ジクロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(2-((6-クロロ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(2-((4,5-ジクロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
2-((5-(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-カルボニル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリル、
(S)-2-((5-(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-カルボニル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリル、
(2-((6-クロロ-4-(ジフルオロメトキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(2-((5-クロロ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(2-((6-クロロ-4-(プロパ-1-イン-1-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(2-((6-クロロ-4-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(2-((5-クロロ-4-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(S又はR)-(2-((6-クロロ-4-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(2-((6-クロロ-4-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(S)-6-クロロ-2-((5-(6,6-ジフルオロ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-カルボニル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリル、
(S)-6-クロロ-2-((5-(2,2-ジメチルアゼチジン-1-カルボニル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリル、
(cis)-6-クロロ-2-(S)-((5-(6-ヒドロキシ-6-メチル-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-カルボニル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリル、
から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物及びその薬学的に許容され得る塩。
【請求項9】
式(III)の化合物の存在下での式(II)の化合物の反応
【化2】

を含み、R、R、R、R及びRは、上記に記載したとおりである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物の製造方法。
【請求項10】
治療的活性物質としての使用のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物と、治療的不活性担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項12】
腎臓症状、肝臓症状、炎症症状、神経系の症状、呼吸器系の症状、血管及び心血管症状、線維性疾患、がん、眼症状、代謝症状、胆汁うっ滞性及び他の形態の慢性掻痒症並びに急性及び慢性臓器移植拒絶の処置又は予防のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物
【請求項13】
腎臓症状、肝臓症状、炎症症状、神経系の症状、線維性疾患並びに急性及び慢性臓器移植拒絶の処置又は予防のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
腎臓症状、肝臓症状、炎症症状、神経系の症状、線維性疾患並びに急性及び慢性臓器移植拒絶の処置又は予防のための医薬品の調製のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物における治療又は予防に有用な有機化合物、特に腎臓症状、肝臓症状、炎症症状、神経系の症状、呼吸器系の症状、血管及び心血管症状、線維性疾患、癌、眼症状、代謝症状、胆汁うっ滞性及び他の形態の慢性掻痒症並びに急性及び慢性臓器移植拒絶の処置又は予防のための、リゾホスファチジン酸(LPA)産生の阻害剤、したがってLPAレベル及び関連するシグナル伝達のモジュレーターであるオートタキシン(ATX)阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、式(I)の新規の化合物であって、
【化1】

式中、
、R及びRは、独立して、
i)H、
ii)C1-6-アルキル、
iii)C2-6-アルキニル、
iv)ハロゲン、
v)ハロ-C1-6-アルキル、
vi)ハロ-C1-6-アルコキシ
vii)シアノ、
viii)シアノ-C1-6-アルキル
からなる群から選択され、
及びRのうちの少なくとも1つは、H以外であり、
及びRは、独立して、
i)H、
ii)C1-6-アルキル
からなる群から選択されるか、
又は、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ヘテロシクロアルキル又は置換C3-8-シクロアルキルを形成し、置換C3-8-シクロアルキルは、R及びRで置換されており、
及びRは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ又はアルキルからなる群から選択される、
化合物、又は薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0003】
オートタキシン(ATX)は、リゾホスファチジルコリン(LPC)を生物活性シグナル伝達分子リゾホスファチジン酸(LPA)に変換するのに重要なエクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ2又はリゾホスホリパーゼDとも呼ばれる分泌酵素である。血漿LPAレベルはATX活性と十分に相関することが示されており、したがってATXは細胞外LPAの重要な供給源であると考えられている。プロトタイプATX阻害剤を用いた初期の実験では、そのような化合物がマウス血漿中のLPA合成活性を阻害することができることが示されている。1970年代及び1980年代初期に行われた研究は、LPAが、平滑筋細胞収縮、血小板活性化、細胞増殖、走化性などを含む広範囲の細胞応答を誘発することができることを実証した。LPAは、いくつかのGタンパク質共役受容体(GPCR)へのシグナル伝達を介してその効果を媒介する。最初はEdg(内皮細胞分化遺伝子)受容体又は脳室領域遺伝子1(vzg-1)を意味していたが、現在はLPA受容体と呼ばれている。このとき、プロトタイプ群は、LPA1/Edg-2/VZG-1、LPA2/Edg-4及びLPA3/Edg-7からなる。最近、プロトタイプのLPA1-3受容体よりもヌクレオチド選択的プリン受容体により密接に関連する3つのさらなるLPA受容体LPA4/p2y9/GPR23、LPA5/GPR92及びLPA6/p2Y5が記載された。ATX-LPAシグナル伝達軸は、例えば、神経系機能、血管発生、心血管生理学、生殖、免疫系機能、慢性炎症、腫瘍転移及び進行、臓器線維症、並びに肥満及び/又は真性糖尿病などの他の代謝性疾患を含む広範囲の生理学的及び病態生理学的機能に関与している。したがって、ATXの活性の増加及び/又はLPAのレベルの増加、LPA受容体発現の変化及びLPAに対する応答の変化は、ATX/LPA軸に関連するいくつかの異なる病態生理学的症状の開始、進行及び/又は結果に寄与し得る。
【0004】
本発明によれば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩及びエステルは、オートタキシンの活性及び/又はリゾホスファチジン酸(LPA)の生物学的活性に関連する疾患、障害又は症状を処置又は予防するために使用することができる。
【0005】
本明細書における式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩及びエステルは、オートタキシン活性を阻害し、したがってLPA産生を阻害し、LPAレベル及び関連するシグナル伝達を調節する。本明細書に記載されるオートタキシン阻害剤は、ATX活性及び/又はLPAシグナル伝達が関与するか、疾患の病因もしくは病理に関与するか、又はそうでなければ疾患の少なくとも1つの病徴に関連する疾患又は症状の処置又は予防のための薬剤として有用である。ATX-LPA軸は、例えば血管新生、慢性炎症、自己免疫疾患、線維性疾患、癌及び腫瘍の転移及び進行、眼の症状、代謝症状、例えば肥満及び/又は真性糖尿病、症状、例えば胆汁うっ滞性又は他の形態の慢性掻痒症並びに急性及び慢性臓器移植拒絶に関与している。
【0006】
本発明の目的は、式(I)の化合物並びにその前述の塩及びエステル並びに治療的活性物質としてのそれらの使用、上記化合物の製造方法、中間体、医薬組成物、上記化合物を含有する医薬品、それらの薬学的に許容され得る塩又はエステル、ATXの活性及び/又はリゾホスファチジン酸(LPA)の生物学的活性に関連する障害又は症状を処置又は予防のための、特に腎臓症状、肝臓症状、炎症症状、神経系の症状、呼吸器系の症状、血管及び心血管症状、線維性疾患、癌、眼症状、代謝症状、胆汁うっ滞性及び他の形態の慢性掻痒症並びに急性及び慢性臓器移植拒絶の処置又は予防における上記化合物、塩又はエステルの使用、腎臓症状、肝臓症状、炎症症状、神経系の症状、呼吸器系の症状、血管及び心血管の症状、線維性疾患、癌、眼の症状、代謝症状、胆汁うっ滞性及び他の形態の慢性掻痒症並びに急性及び慢性臓器移植拒絶の処置又は予防のための医薬品の製造のための上記化合物、塩又はエステルの使用である。より詳細には、式(I)の化合物並びにそれらの前述の塩及びエステル並びに治療的活性物質としてのそれらの使用、上記化合物の製造方法、中間体、医薬組成物、上記化合物を含有する医薬品、それらの薬学的に許容され得る塩又はエステル、眼の症状、さらに特に緑内障の処置又は予防のための上記化合物、塩又はエステルの使用である。
【0007】
本明細書中で使用する場合、用語「含む(including)」、「含む(containing)」、及び「含む(comprising)」は、その非制限的な意味において使用する。
【0008】
本開示で使用される冠詞「a」及び「an」は、1つ、又は、2つ以上(例えば、少なくとも1つ)の、その冠詞の文法的対象を意味することができる。例えば、「要素(an element)」とは、1つの要素、又は、2つ以上の要素を意味することができる。
【0009】
「C1-6-アルコキシ」という用語は、R’がC1-6-アルキル基である式-O-R’の基を意味する。C1-6-アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシが挙げられる。特定の例は、メトキシ及びイソプロポキシである。
【0010】
「C-アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子を有する一価の直鎖又は分岐飽和炭化水素基を意味する。いくつかの実施形態では、特に記載のない限り、アルキルは、1~6個の炭素原子(C-アルキル)又は1~4個の炭素原子(C-アルキル)を含む。C-アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル及びペンチルが挙げられる。特定のアルキル基には、メチル、イソプロピル及びtert-ブチルが含まれる。特定の数の炭素を有するアルキル残基が命名される場合、その数の炭素を有するすべての幾何異性体が包含され得る。したがって、例えば、「ブチル」は、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル及びt-ブチルを含むことができ、「プロピル」は、n-プロピル及びイソプロピルを含むことができる。
【0011】
「C-アルキニル」という用語は、アセチレン不飽和(すなわち、式C≡C)の少なくとも1つの部位を有する不飽和非分枝又は分枝一価炭化水素鎖を指す。いくつかの実施形態では、別段特定されない限り、アルキニルは、2~6個の炭素原子(C-アルキニル)又は2~4個の炭素原子(C-アルキニル)を含む。アルキニル基の例としては、エチニル(又はアセチレニル)、プロパ-1-イニル、プロパ-2-イニル(又はプロパルギル)、ブタ-1-イニル、ブタ-2-イニル及びブタ-3-イニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
「シアノ」という用語は、-C≡N基を意味する。
【0013】
「シアノ-C1-6-アルキル」という用語は、C1-6-アルキル基の水素原子の1つがシアノ基で置き換えられているC1-6-アルキル基を示す。特定の例は、シアノメチル、シアノエチル、シアノプロピル及びシアノブチルである。特定の例は、シアノプロピルである。
【0014】
「C3-8-シクロアルキル」という用語は、単環式又は多環式の飽和又は部分不飽和の非芳香族炭化水素を意味する。いくつかの実施形態では、特に記載のない限り、シクロアルキルは、3~8個の炭素原子(C3-8-シクロアルキル)、3~6個の炭素原子(C3-6-シクロアルキル)又は3~5個の炭素原子(C3-5-シクロアルキル)を含む。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、飽和単環式又は多環式炭化水素である。他の実施形態では、シクロアルキルは、1つ又は複数の二重結合(例えば、アリール環もしくはヘテロアリール環に縮合したシクロアルキル、又は1つもしくは2つの二重結合を含む非芳香族単環式炭化水素)を含む。多環式シクロアルキル基は、スピロ、縮合又は架橋多環式部分を含んでいてもよく、各環は飽和又は部分不飽和の非芳香族炭化水素である。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、オクタヒドロペンタレニル、スピロ[3.3]ヘプタニルなどが挙げられる。二環式とは、共通して2個の炭素原子を有する2個の飽和炭素環からなる環系を意味する。単環式シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブタニル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。
【0015】
「ハロゲン」、「ハロゲン化物」及び「ハロ」という用語は、本明細書では互換的に使用され、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。特定のハロゲンは、クロロである。
【0016】
「ハロ-C-アルコキシ」という用語は、C-アルコキシ基の水素原子の少なくとも1つが同一又は異なるハロゲン原子で置換されているC-アルコキシ基を意味する。特定の例は、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロエトキシ及びトリフルオロエトキシである。より具体的な例はトリフルオロメトキシである。
【0017】
「ハロ-C-アルキル」という用語は、C-アルキル基の水素原子の少なくとも1つが同一又は異なるハロゲン原子によって置き換えられているC-アルキル基を意味する。特定の例は、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロエチル及びトリフルオロエチルである。より具体的な例はトリフルオロメチルである。
【0018】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、単独で又は組み合わせて、N、O及びSから選択される1、2、又は3個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、4~9個の環原子からなる一価飽和又は部分的に不飽和の一環式又は二環式環系を意味する。二環式とは、少なくとも1つの環原子を共通に有する2つの環からなることを意味する。ヘテロシクロアルキル基は、飽和又は不飽和であってもよく、特に明記しない限り、5、6、7、8又は9個の環原子を含んでいてもよく、環原子は、1つ又は複数の(例えば、5員、6員、7員、8員又は9員ヘテロシクロアルキルである)環中の炭素原子とヘテロ原子の合計を指す。ヘテロシクロアルキルは、1~5個の環ヘテロ原子、1~4個のヘテロ原子、1~3個の環ヘテロ原子、1又は2個の環ヘテロ原子、又は1個の環ヘテロ原子を含む基を含み得る。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、例えば多環式縮合系として、1個の環、2個の環、3個の環又は4個の環を含む。いくつかの実施形態では、複数の環を含むヘテロシクロアルキルは、1つ又は複数の環が1つ又は複数のヘテロ原子を含むスピロ環系を含む。ヘテロシクロアルキルの例は、ジヒドロフリル、イミダゾリニル、ジヒドロ-オキサゾリル、テトラヒドロ-ピリジニル又はジヒドロピラニルである。特定の例は、テトラヒドロピラニルである。
【0019】
「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を意味する。
【0020】
「薬学的に許容され得る塩」という用語は、生物学的に又は別様に望ましくないものではない、遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指す。塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等、特に塩酸、並びに有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステイン等により形成される。また、これらの塩は、遊離酸に無機塩基又は有機塩基を添加して調製してもよい。無機塩基に由来する塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩等が含まれるが、これらに限定されない。有機塩基に由来する塩には、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環式アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂等の塩が含まれるが、これらに限定されない。式(I)の化合物の特に薬学的に許容され得る塩としては、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、クエン酸塩などが挙げられる。
【0021】
「薬学的に許容され得るエステル」とは、一般式(I)の化合物を官能基で誘導体化して、生体内で親化合物に戻すことが可能な誘導体を提供し得ることを意味する。そのような化合物の例としては、メトキシメチルエステル、メチルチオメチルエステル、ピバロイロキシメチルエステルなどの生理学的に許容され得、かつ代謝的に可溶性のエステル誘導体が挙げられる。さらに、一般式(I)の親化合物を生体内で産生することができる代謝的に不安定なエステルに類似する、一般式(I)の化合物の任意の生理学的に許容され得る等価物も、本発明の範囲内である。
【0022】
略語のuMはマイクロモルを意味し、記号μMに相当する。
【0023】
略語のuLはマイクロリットルを意味し、記号μLに相当する。
【0024】
略語のugはマイクログラムを意味し、記号のμgに相当する。
【0025】
式(I)の化合物は、数個の不斉中心を含み得、光学的に純粋な鏡像異性体、例えばラセミ体などの鏡像異性体の混合物、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性のラセミ体又はジアステレオ異性のラセミ体の混合物として存在し得る。
【0026】
Cahn-Ingold-Prelog則によれば、不斉炭素原子は、「R」又は「S」立体配置のものであり得る。
【0027】
また、本発明の実施形態は、本明細書に記載の式(I)による化合物及びその薬学的に許容され得る塩又はエステル、特に本明細書に記載の式(I)による化合物及びその薬学的に許容され得る塩、特に、本明細書に記載の式(I)による化合物を提供する。
【0028】
本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載の式(I)による化合物であって、
、R及びRは、独立して、
i)H、
ii)C1-6-アルキル、
iii)C2-6-アルキニル、
iv)ハロゲン、
v)ハロ-C1-6-アルキル、
vi)ハロ-C1-6-アルコキシ、
vii)シアノ、
viii)シアノ-C1-6-アルキル
からなる群から選択され、
及びRのうちの少なくとも1つは、H以外であり、
及びRは、独立して、
i)H、
ii)C1-6-アルキル
からなる群から選択されるか、
又は、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ヘテロシクロアルキル又は置換C3-8-シクロアルキルを形成し、置換シクロアルキルは、R及びRで置換されており、
及びRは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ又はアルキルからなる群から選択される、
化合物、又は薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0029】
本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載の式(I)による化合物であって、
、R及びRは、独立して、
i)H、
ii)C1-6-アルキル、
iii)C2-6-アルキニル、
iv)ハロゲン、
v)ハロ-C1-6-アルキル、
vi)ハロ-C1-6-アルコキシ、
vii)シアノ
からなる群から選択され、
及びRのうちの少なくとも1つは、H以外である、化合物を提供する。
【0030】
本発明の別のさらなる特定の実施形態は、本明細書に記載の式(I)による化合物であって、R及びRは、独立して、
i)H、
ii)C1-6-アルキル
からなる群から選択されるか、
又は、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単一の酸素を有する4員ヘテロシクロアルキル又は置換C-シクロアルキルを形成し、置換シクロアルキルは、R及びRで置換されている、化合物を提供する。
【0031】
本発明の別のさらなる特定の実施形態は、本明細書に記載の式(I)による化合物であって、R4及びRは、独立して、
i)H、
ii)メチル
からなる群から選択されるか、
又は、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、オキセタン環又は置換C-シクロアルキルを形成し、置換シクロアルキルは、R及びRで置換されている、化合物を提供する。
【0032】
本発明の別のさらなる特定の実施形態は、本明細書に記載の式(I)による化合物であって、
及びRは、両方ともハロゲンであるか、又は
は、ヒドロキシであり、Rは、アルキルである、化合物を提供する。
【0033】
本発明の別のさらなる特定の実施形態は、本明細書に記載の式(I)による化合物であって、
及びRは、両方ともフッ素であるか、又は
は、ヒドロキシであり、Rは、メチルである、化合物を提供する。
【0034】
いくつかの実施形態では、R及びRは、それらが結合している炭素と一緒になって、ヘテロシクロアルキル環を形成する。特定の実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、O、N及びSからなる群から独立して選択される1~3個の環状ヘテロ原子を含む。特定の実施形態では、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単一酸素を有する4員ヘテロシクロアルキルを形成する。ある特定の実施形態では、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、オキセタン環を形成する。
【0035】
いくつかの実施形態では、R及びRは、それらが結合している炭素と一緒になって、置換C3-8-シクロアルキルを形成し、置換シクロアルキルは、R及びRで置換されている。ある特定の実施形態では、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換C-シクロアルキルを形成し、置換シクロアルキルは、R及びRで置換されている。
【0036】
いくつかの実施形態では、R及びRは、両方ともメチルである。
【0037】
いくつかの実施形態では、R及びRは、両方ともハロゲンである。特定の実施形態では、R及びRは、両方ともフッ素である。
【0038】
いくつかの実施形態では、Rは、ヒドロキシであり、Rは、メチルである。
【0039】
本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載の式I(a)による化合物であって、
、R及びRは、独立して、
i)H、
ii)C1-6-アルキル、
iii)C2-6-アルキニル、
iv)ハロゲン、
v)ハロ-C1-6-アルキル、
vi)ハロ-C1-6-アルコキシ、
vii)シアノ
からなる群から選択され、
及びRのうちの少なくとも1つは、H以外であり、
及びRは、独立して、
i)H、
ii)C1-6-アルキル
からなる群から選択されるか、
又は、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、オキセタン環又は置換C-シクロアルキルを形成し、置換シクロアルキルは、R及びRで置換されており、
及びRは、両方ともハロゲンであるか、又は
は、ヒドロキシであり、Rは、アルキルである、
化合物、又は薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0040】
本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載の式I(a)による化合物であって、
、R及びRは、独立して、
i)H、
ii)C1-6-アルキル、
iii)C2-6-アルキニル、
iv)ハロゲン、
v)ハロ-C1-6-アルキル、
vi)ハロ-C1-6-アルコキシ、
vii)シアノ
からなる群から選択され、
及びRのうちの少なくとも1つは、H以外であり、
及びRは、独立して、
i)H、
ii)メチル
からなる群から選択されるか、
又は、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、オキセタン環又は置換C-シクロアルキルを形成し、置換シクロアルキルは、R及びRで置換されており、
及びRは、両方ともフッ素であるか、又は
は、ヒドロキシであり、Rは、メチルである、
化合物、又は薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0041】
本明細書に記載される式(I)の化合物の特定の例は、
(2-((4-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(2-((4,6-ジクロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(2-((6-クロロ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(2-((4,5-ジクロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
2-((5-(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-カルボニル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリル、
(S)-2-((5-(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-カルボニル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリル、
(2-((6-クロロ-4-(ジフルオロメトキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(2-((5-クロロ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(2-((6-クロロ-4-(プロパ-1-イン-1-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(2-((6-クロロ-4-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(2-((5-クロロ-4-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(S又はR)-(2-((6-クロロ-4-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(2-((6-クロロ-4-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン、
(S)-6-クロロ-2-((5-(6,6-ジフルオロ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-カルボニル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリル、
(S)-6-クロロ-2-((5-(2,2-ジメチルアゼチジン-1-カルボニル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリル、
(cis)-6-クロロ-2-(S)-((5-(6-ヒドロキシ-6-メチル-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-カルボニル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリル、
及びその薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0042】
本明細書に記載の式(I)の化合物の製造方法は、本発明の目的である。
【0043】
式Iの本化合物及びその薬学的に許容され得る塩は、当技術分野で公知の方法によって、例えば以下に記載される方法によって製造することができ、該製造方法は、
a)式
【化2】

の化合物を式
【化3】

の化合物と、HATU(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート)などの活性化剤の存在下で反応させて、式
【化4】

(式中、置換基は上記に記載したとおりである)の化合物を得ること、又は
b)式
【化5】

の化合物を式
【化6】

の化合物と、ジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下で反応させて、式
【化7】

(式中、XはClのようなハロゲンであり、他の置換基は上記に記載したとおりである)の化合物を得ること、又は所望であれば、得られた化合物を薬学的に許容され得る酸付加塩に変換することを含む。
【0044】
式Iの化合物は、プロセス変形例a)又はb)及び以下のスキーム1~2に従って製造することができる。出発物質は、市販されているか、又は公知の方法に従って調製することができる。
【0045】
スキーム1
【化8】
【0046】
一般式Iの化合物は、HATU(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート)のような活性化剤の存在下で、式IIの酸誘導体を式IIIのアミンと反応させることによって調製することができる。式IIの酸は、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下で、式IVのアミンを式VIのハロゲン化エステルと反応させ、続いて水酸化ナトリウム又は水酸化リチウムのような塩基の存在下でけん化することによって調製することができる。
【0047】
スキーム2
【化9】
【0048】
あるいは、一般式Iの化合物は、ジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下で、式Vのハロゲン化誘導体を式IVのアミンと反応させることによって調製することができる。式Vのハロゲン化誘導体は、1-プロパンホスホン酸無水物などの活性化剤の存在下で、式IIIのアミンと式VIIの酸との反応によって調製することができる。
【0049】
また、本発明の目的は、治療的活性物質として使用するための本明細書に記載の式(I)による化合物である。
【0050】
同様に、本発明の目的は、本明細書に記載されているような式(I)による化合物と、治療的不活性担体と、を含む、医薬組成物である。
【0051】
本発明の目的は、腎臓症状、肝臓症状、炎症症状、神経系の症状、呼吸器系の症状、血管及び心血管症状、線維性疾患、癌、眼症状、代謝症状、胆汁うっ滞性及び他の形態の慢性掻痒症並びに急性及び慢性臓器移植拒絶の処置又は予防のための本明細書に記載の式(I)による化合物の使用である。
【0052】
腎臓症状には、急性腎臓障害及び末期腎臓疾患(ESRD)を含むタンパク尿を伴う又は伴わない慢性腎臓疾患が含まれるが、これらに限定されない。より詳細には、これには、クレアチニンクリアランスの減少及び糸球体濾過率の減少、微量アルブミン尿、アルブミン尿及びタンパク尿、有意な過細胞性を伴う又は伴わない網状メサンギウムマトリクスの拡大を伴う糸球体硬化(特に糖尿病性腎臓症及びアミロイドーシス)、糸球体毛細血管の巣状血栓症(特に血栓性微小血管障害)、全体的なフィブリノイド壊死、虚血性病変、悪性腎臓硬化症(虚血性収縮、腎臓血流の減少及び腎臓動脈症など)、糸球体腎臓炎実体、巣状分節性糸球体硬化症、IgA腎臓症、血管炎/全身性疾患並びに急性及び慢性腎臓移植拒絶のような、毛細血管内(内皮及びメサンギウム)及び/又は毛細血管外細胞(三日月形部)の腫脹及び増殖が含まれる。
【0053】
肝臓症状には、肝硬変、肝臓鬱血、掻痒を含む胆汁うっ滞性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、並びに急性及び慢性の肝臓移植拒絶が含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
炎症症状には、関節炎、変形性関節症、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、異常排便障害など、並びに炎症性気道疾患、例えば特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)又は慢性気管支喘息が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
呼吸器系のさらなる症状には、医原性薬物誘発性線維症、職業性及び/又は環境性誘発性線維症、全身性疾患及び血管炎、肉芽腫性疾患(サルコイドーシス、過敏性肺炎)、膠原病性脈管疾患、肺胞タンパク質症、ランゲルハンス細胞肉芽腫症、リンパ脈管筋腫症、遺伝性疾患(ヘルマンスキー・パドラック症候群、結節性硬化症、神経線維腫症、代謝性蓄積障害、家族性間質性肺疾患)、放射線誘発性線維症、ケイ肺症、アスベスト誘発性肺線維症又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を含む異なる病因の他のびまん性実質肺疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
神経系の症状には、神経障害性疼痛、統合失調症、神経炎症(例えば、星状膠症)、末梢及び/又は自律神経(糖尿病)神経障害などが含まれるが、これらに限定されない。
【0057】
血管症状には、アテローム性動脈硬化症、血栓性血管疾患、並びに血栓性微小血管症、増殖性動脈症(粘液性細胞外マトリックスと結節性肥厚に囲まれた腫れた筋内膜細胞など)、アテローム性動脈硬化症、血管コンプライアンス低下(剛性、心室コンプライアンスの低下、及び血管コンプライアンスの低下)、内皮機能不全などが含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
心血管症状には、急性冠動脈症候群、冠動脈心疾患、心筋梗塞、動脈性及び肺高血圧症、心房細動などの心不整脈、脳卒中及び他の血管損傷が含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
線維性疾患には、心筋及び血管の線維症、腎線維症、肝線維症、肺線維症、皮膚線維症、強皮症及び被包性腹膜炎が含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
癌及び癌転移には、乳癌、卵巣癌、肺癌、前立腺癌、中皮腫、神経膠腫、肝癌、胃腸癌及びその進行並びに転移攻撃性が含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
眼の症状には、増殖性及び非増殖性(糖尿病性)網膜症、乾燥及び滲出型加齢黄斑変性(AMD)、黄斑浮腫、中心動脈/静脈閉塞、外傷性損傷、緑内障などが含まれるが、これらに限定されない。特に、眼の症状は緑内障である。
【0062】
代謝症状には、肥満及び糖尿病が含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
本発明はまた、腎臓症状、肝臓症状、炎症症状、神経系の症状、線維性疾患並びに急性及び慢性臓器移植拒絶の処置又は予防のための本明細書に記載の式(I)による化合物の使用に関する。
【0064】
本発明はまた、腎臓症状、肝臓症状及び線維性疾患の処置又は予防のための本明細書に記載の式(I)による化合物の使用に関する。
【0065】
本発明の特定の実施形態は、腎臓症状、肝臓症状、炎症症状、神経系の症状、線維性疾患並びに急性及び慢性臓器移植拒絶の処置又は予防のための本明細書に記載の式(I)による化合物である。
【0066】
本発明の特定の実施形態は、腎臓症状、肝臓症状及び線維性疾患の処置又は予防のための本明細書に記載の式(I)による化合物である。
【0067】
本発明はまた、腎臓症状、肝臓症状、炎症症状、神経系の症状、線維性疾患並びに急性及び慢性臓器移植拒絶の処置又は予防のための医薬品の調製のための本明細書に記載の式(I)による化合物の使用に関する。
【0068】
本発明はまた、腎臓症状、肝臓症状及び線維性疾患の処置又は予防のための医薬品の調製のための本明細書に記載の式(I)による化合物の使用に関する。
【0069】
また、本発明の目的は、腎臓症状、肝臓症状、炎症症状、神経系の症状、線維性疾患及び急性及び慢性臓器移植拒絶の処置又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)による化合物を投与することを含む方法である。
【0070】
また、本発明の目的は、有効量の本明細書に記載の式(I)による化合物を投与することを含む、腎臓症状、肝臓症状及び線維性疾患の処置又は予防のための方法である。
【0071】
また、本発明の一実施形態は、記載される方法のいずれか1つに従って製造される場合、本明細書に記載される式(I)の化合物を提供する。
【0072】
アッセイ手順
タグの有無にかかわらず、ヒト完全長ATXを産生する
【0073】
オートタキシン(ATX-ENPP2)クローニング:cDNAを市販のヒト造血細胞全RNAから調製し、3’-6×Hisタグを含む又は含まない全長ヒトENPP2 ORFを生成するための重複PCRにおいて鋳型として使用した。これらの完全長インサートをpcDNA3.1V5-His TOPO(Invitrogen)ベクターにクローニングした。いくつかの単一クローンのDNA配列を検証した。正しい完全長クローンからのDNAを使用して、タンパク質発現の検証のためにHek293細胞をトランスフェクトした。コードされたENPP2の配列は、追加のC末端6xHisタグの有無にかかわらず、SwissprotエントリーQ13822に従う。
【0074】
ATX発酵:組換えタンパク質を、20Lの制御撹拌タンクバイオリアクター(Sartorius)における大規模一過性トランスフェクションによって産生した。細胞増殖及びトランスフェクション中、温度、撹拌速度、pH及び溶存酸素濃度をそれぞれ37℃、120rpm、7.1及び30%DOに維持した。FreeStyle 293-F細胞(Invitrogen)をFreeStyle 293培地(Invitrogen)に懸濁液中で培養し、約30℃、約1~1.5×10E6細胞/mLで、X-tremeGENE Ro-1539(市販品、Roche Diagnostics)を錯化剤として使用する上記プラスミドDNAを用いてトランスフェクトした。細胞に濃縮栄養溶液(J Immunol Methods 194(1996)、19、1-199(193頁))を供給し、トランスフェクションの72時間後に酪酸ナトリウム(2mM)によって誘導し、トランスフェクションの96時間後に回収した。発現をウエスタンブロット、酵素アッセイ及び/又は分析IMACクロマトグラフィーによって分析した。フロースルー熱交換器で細胞懸濁液を4℃に冷却した後、細胞分離及び上清の滅菌濾過を、Zeta Plus 60M02 E16(Cuno)及びSartopore 2 XLG(Sartorius)フィルタユニットによる濾過によって行った。上清を精製前に4℃で保存した。
【0075】
ATX精製:Brij 35を0.02%の最終濃度まで添加することによって、また1M HClを用いてpHを7.0に調整することによって、20リットルの培養上清を調整した。次いで、最初に0.2pmのUltran-Pilot Open Channel PESフィルタ(Whatman)で上清に精密濾過を行い、その後、30kDa MWCO(Whatman)を備えるUltran-Pilot Screen Channel PESフィルターで1リットルまで濃縮した。IMACクロマトグラフィーの前に、NiSO4を1mMの最終濃度まで添加した。次いで、清澄化した上清を、50mM Na2HPO4 pH7.0、0.5M NaCl、10%グリセロール、0.3%CHAPS、0.02%NaN3中で予め平衡化したHisTrapカラム(GE Healthcare)にアプライした。
【0076】
カラムを、それぞれ20mM、40mM及び50mMイミダゾールを含有する同じ緩衝液で段階的に洗浄した。続いて、15カラム容量の0.5Mイミダゾールへの線形勾配を使用してタンパク質を溶出した。ATX含有画分をプールし、30kDa PESフィルター膜を備えたAmicon細胞を使用して濃縮した。タンパク質を、20mM BICINE pH8.5、0.15M NaCl、10%グリセロール、0.3%CHAPS、0.02%NaN3中のSuperdex S-200 prepグレード(XK 26/100)(GE Healthcare)でのサイズ排除クロマトグラフィーによって更に精製した。精製後のタンパク質の最終収量は、培養上清1リットルあたり5~10mgのATXであった。タンパク質を-80℃で保存した。
【0077】
ヒトATX酵素阻害アッセイ
ヒトオートタキシン(ATX)酵素の阻害剤を同定するために、基質及び組換え酵素としてリゾホスファチジルコリン(LPC)を使用してインビトロ生化学的プロファイリングアッセイを開発した。LPC加水分解から生成されたコリンがコリンオキシダーゼ(CO)によって過酸化水素に変換される共役酵素フォーマットを介して、ATX活性をアッセイする。次いで、過酸化水素は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)によって共基質として使用され、Amplex Red(登録商標)を酸化し、赤色蛍光生成物であるレゾルフィンを生成する。
【0078】
材料/試薬
500mM Tris-HCl pH8.0;1M NaCl;250mM CaCl;250mM KCl;250mM MgCl;HO中10%Triton X-100。
【0079】
アッセイ緩衝液
50mM Tris-HCl(pH8.0);120mM NaCl;20mM CaCl;5mM KCl;1mM MgCl;0.01%Triton X-100、滅菌フィルターにかけて、4℃で保存した。
【0080】
試薬希釈緩衝液
50mM Tris-HCl(pH8.0);150mM NaCl
ヒトオートタキシン(hATX):0.97mg/ml(9.718μM)分子量99817。このアッセイでは1.5μMの作業溶液を使用した。
【0081】
100mM 18:1 LPCを試薬希釈緩衝液に溶解した。
【0082】
試薬希釈緩衝液中500U/mlのコリンオキシダーゼ。
【0083】
試薬希釈緩衝液(10.95mg/ml)中、2540U/mlのセイヨウワサビペルオキシダーゼ。
【0084】
DMSO中20mM Amplex Red(10-アセチル-3,7-ジヒドロキシ-フェノキサジン)。
【0085】
反応プレート
黒色、384ウェルプレート、透明底部を有する黒色、未処理表面。
【0086】
試験化合物を、11点濃度-応答(0.5mM最高濃度;3.162倍希釈で1)としてDMSOで予備希釈して受け取る。試験化合物を、使用前に96ウェル円錐底プレート中で1:1(10μL化合物+10μLアッセイ緩衝液)に予備希釈する。
【0087】
手順
ATXをアッセイ緩衝液で2.2nMに希釈する。コリンオキシダーゼ及びセイヨウワサビペルオキシダーゼをそれぞれ7.3U/ml及び14.7U/mlに希釈する。18:1 LPC及びAmplex Red(登録商標)をそれぞれ110μM及び183.3μMに希釈する(光から保護された溶液)。2.2μLの化合物前希釈液又は50%DMSOを反応プレートに添加し、続いて25μLのATX又はアッセイ緩衝液(陰性対照)を添加する。アッセイプレートを混合し、室温で10分間インキュベートする。次いで、15μLのコリンオキシダーゼ/セイヨウワサビペルオキシダーゼを添加する。反応を開始するために、15μLのLPC18:1/Amplex Redを添加する。アッセイプレートを混合し、暗所で室温でインキュベートする。蛍光を5分(バックグラウンド減算のため)及び90分で測定する。
【0088】
最終アッセイ濃度:
hATX:1nM
18:1 LPC:30μM
コリンオキシダーゼ:2U/ml
セイヨウワサビペルオキシダーゼ:4U/ml
Amplex Red(登録商標):50μM
DMSO:2%
5分での蛍光を90分の終点データから差し引き、陽性対照に対して正規化する。IC50値を計算する。
【0089】
酵素ATX阻害アッセイの結果を、式(I)の化合物について提供する。
【表1】
【0090】
本明細書に記載の式(I)の化合物及びその薬学的に許容され得る塩又はエステルは、0.0055μM~.2818μMのIC50値を有する。これらの結果は、上記の酵素アッセイを使用することによって得られた。
【0091】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容され得る塩は、(例えば、医薬製剤の形態で)医薬品として使用することができる。本発明の医薬製剤は、経口投与(例えば、錠剤、被覆錠剤、ドラジェ、硬軟ゼラチンカプセル、溶液、乳剤又は懸濁液の形)、経鼻投与(例えば、鼻スプレーの形)、直腸投与(例えば、座薬の形)、又は眼局所投与(例えば、溶液、軟膏、ゲル又は水溶性高分子挿入剤の形)などの内服投与が可能である。しかしながら、投与は、筋肉内、静脈内、眼内等の非経口的に(例えば、滅菌注射液の形態で)行うこともできる。
【0092】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容され得る塩は、錠剤、コーティングされた錠剤、ドラジェ、硬質ゼラチンカプセル、注射液又は局所製剤の製造のための薬学的に不活性な、無機又は有機アジュバントと共に処理することができる。ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等は、例えば、錠剤、ドラジェ及び硬質ゼラチンカプセルのためのそのようなアジュバントとして、使用することができる。
【0093】
軟質ゼラチンカプセルに適したアジュバントとしては、例として、植物油、ワックス、油脂、半固形物、液体ポリオール等が挙げられる。
【0094】
溶液及びシロップの製造に適したアジュバントは、例えば、水、ポリオール、サッカロース、逆糖、グルコースなどである。
【0095】
注射溶液に適したアジュバントは、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などである。
【0096】
坐剤に適したアジュバントは、例えば、天然又は硬化油、ワックス、脂肪、半固体又は液体ポリオールなどである。
【0097】
局所眼用製剤に適したアジュバントは、例えば、シクロデキストリン、マンニトール又は当技術分野で公知の多くの他の担体及び賦形剤である。
【0098】
さらに、医薬製剤は、防腐剤、可溶化剤、粘度増加物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝液、マスキング剤、又は酸化防止剤を含むことができる。それらはまた、さらに他の治療的に価値のある物質を含有し得る。
【0099】
投与量は広範に変化させることができ、当然、各特定の症例における個々の要件に適合させる。一般に、経口投与の場合、体重1kgあたり約0.1mg~約20mg、好ましくは体重1kgあたり約0.5mg~約4mg(例えば、1人あたり約300mg)を1日量として、好ましくは1~3回に分けて個別に投与し、これは、適切であれば、例えば、同量で構成することができる。局所投与の場合、製剤は、0.001重量%~15重量%の医薬品を含むことができ、0.1~25mgの間であり得る必要量は、1日あたりの単回投与でも、1週間あたりの単回投与でも、1日あたりの複数回の投与(2~4回)でも、1週間あたりの複数回の投与でもよい。ただし、これが示されている場合は、ここに記載されている上限又は下限を超える可能性があることは明らかである。
【0100】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0101】
分取例が鏡像異性体の混合物として得られる場合、純粋な鏡像異性体は、本明細書に記載されている方法、又は当技術分野の当業者に知られている方法、例えばキラルクロマトグラフィー又は結晶化によって得ることができる。
【実施例
【0102】
特に記載のない場合、すべての例及び中間体は、アルゴン雰囲気下で調製した。
【0103】
中間体A
中間体A1:4,6-ジクロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウム2,2,2-トリフルオロアセタート
【化10】
【0104】
工程1:4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート
【化11】
【0105】
4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2ジオキサボロラン)(2.42g、9.34mmol)、(1,5-シクロオクタジエン)(メトキシ)イリジウム(I)ダイマー(309mg、467μmol)、tert-ブチル(5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート(2.50g、9.34mmol、CAS:1934835-81-0)及び3,4,7,8-テトラメチル-1,10-フェナントロリン(221mg、934μmol)をマイクロ波バイアル(高真空を用いて乾燥させ、アルゴンを流した)内で合わせ、乾燥THF(10ml)に懸濁した。これらの試薬を混合すると、懸濁液は暗緑色になった。アルゴンを懸濁液に10分間吹き込んだ。反応混合物を80℃に加熱し、15時間撹拌した(暗紫色になった)。反応混合物を焼結ガラスを通してフィルターにかけて、真空中で濃縮した。粗物質を、勾配酢酸エチル/ヘプタン0~30%を使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物をオフホワイト色固体として得た(2.30g、収率63%)。MS(ESI):m/z=294.2[M-Boc+H]
【0106】
工程2:tert-ブチル(4,6-ジクロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート
【化12】
【0107】
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート(100mg、254μmol)をEtOH(2.54ml)に溶解し、塩化銅(II)(104mg、775μmol)の蒸留水(2.54ml)中溶液に添加した。反応物を90℃に6時間加熱し、水に注ぎ、EtOAcで抽出した。層を分離し、水層をEtOAcでさらに2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物を、勾配酢酸エチル/ヘプタン0~50%を使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を褐色固体として得た(20mg、収率26%)。MS(ESI):m/z=246.1[M-tBu]
【0108】
工程3:4,6-ジクロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウム2,2,2-トリフルオロアセタート
【化13】
【0109】
tert-ブチル(4,6-ジクロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート(17mg、56.3μmol、当量:1)をTFA(811μl)に溶解し、室温で1時間撹拌した。溶媒を蒸発させると、表題化合物を無色油として得た(13mg、41.1μmol、収率73.1%)。MS(ESI):m/z=202.1 M-TFA
【0110】
中間体A2:6-クロロ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化14】
【0111】
工程1:tert-ブチル(6-クロロ-4-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート
【化15】
【0112】
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート(中間体A1、工程1)(850mg、1.84mmol)をTHF(5.56ml)及び水(556μl)に溶解し、過ホウ酸ナトリウム一水和物(549mg、5.51mmol)を添加した。反応物を室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を水に溶解し、EtOAcで抽出した。層を分離し、水層をEtOAcでさらに2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物を、0~50%のエチルアセタート/ヘプタンの勾配を用い、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーに供し、表題化合物をオフホワイト色固体として得た(220mg、収率42%)。MS(ESI):m/z=282.2[M-H]
【0113】
工程2:2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イルトリフルオロメタンスルホネート
【化16】
【0114】
tert-ブチル(6-クロロ-4-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート(50mg、176μmol)を乾燥DCM(705μl)に溶解し、トリエチルアミン(19.6mg、27μl、194μmol)を添加した。この撹拌溶液に、1,1,1-トリフルオロ-N-フェニル-N-((トリフルオロメチル)スルホニル)メタンスルホンアミド(69.2mg、194μmol)を添加した。反応物を室温で3時間撹拌し、水に注ぎ、EtOAcで抽出した。層を分離し、水層をEtOAcで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物を、0~50%のエチルアセタート/ヘプタンの勾配を用い、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーに供し、表題化合物を白色固体として得た(42mg、収率57%)。MS(ESI):m/z=414.1[M-H]
【0115】
工程3:tert-ブチル(6-クロロ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート
【化17】
【0116】
トリフルオロ(メチル)ホウ酸カリウム(17.6mg、144μmol)をTHF(1.31ml)に懸濁した。炭酸セシウム(141mg、433μmol)、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(11.8mg、14.4μmol)及び2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(60mg、144μmol)を添加し、引き続いて水(131μl)を添加した。アルゴンを反応物に5分間吹き込み、次いで、反応物を80℃に22時間加熱した。反応物を水に注ぎ、EtOAcで抽出した。層を分離し、水層をEtOAcでさらに2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物を、0~50%のエチルアセタート/ヘプタンの勾配を用い、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーに供し、表題化合物を無色油として得た(24mg、収率53%)。MS(ESI):m/z=226.1[M-tBu]
【0117】
工程4:6-クロロ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化18】
【0118】
tert-ブチル(6-クロロ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート(25mg、79.8μmol)をジオキサン中HCl 4M(1.01ml)に溶解し、室温で1時間撹拌した。溶媒を蒸発させると、表題化合物を白色固体として得た(17mg、収率97.6%)。MS(ESI):m/z=182.1[M+H]
【0119】
中間体A3:4,5-ジクロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化19】
【0120】
工程1:tert-ブチル(5-アミノ-4-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート
【化20】
【0121】
DMF(2ml)中のtert-ブチル(5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート(200mg、773μmol、CAS:246873-45-0)及びN-クロロスクシンイミド(105mg、773μmol)の溶液を室温で2時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで1回及び水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー、引き続いて得られた2つの位置異性体のSFC分離によって精製すると、表題化合物をオフホワイト色固体として得た(10mg、収率5%)。MS(ESI):m/z=227.1[M-tBu]
【0122】
工程2:tert-ブチル(4,5-ジクロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート
【化21】
【0123】
アセトニトリル(1ml)中のCuCl(84.1mg、620μmol)の撹拌懸濁液に、亜硝酸tert-ブチル(88.7mg、774μmol)を滴加した。反応混合物を0℃に冷却し、tert-ブチル(5-アミノ-4-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート(146mg、516μmol)のアセトニトリル(2ml)中溶液を5分間にわたって滴加した。反応混合物を室温まで温め、2時間撹拌した。得られた暗色混合物を水に注ぎ、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで1回及び水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質を、勾配酢酸エチル/ヘプタン0~50%を使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を白色固体として得た(102mg、収率65%)。MS(ESI):m/z=246.1[M-tBu]
【0124】
工程3:4,5-ジクロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化22】
【0125】
中間体A2、工程4(収率83%、白色固体)について記載される手順に従って、tert-ブチル(4,5-ジクロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメートから表題化合物を調製した。MS(ESI):m/z=202.1[M+H]
【0126】
中間体A4:6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化23】
【0127】
工程1:tert-ブチル(6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート
【化24】
【0128】
2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(60mg、144μmol、中間体A2、工程2)、シアン化亜鉛(9.32mg、79.4μmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(16.7mg、14.4μmol)を乾燥DMF(721μl)に溶解し、アルゴンを反応物に5分間吹き込んだ。反応物を110℃に2時間加熱した。反応物をLiCl 10%に注ぎ入れ、EtOAcで抽出した。層を分離し、水層をEtOAcでさらに2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物を、0~50%のエチルアセタート/ヘプタンの勾配を用い、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーに供し、表題化合物を白色固体として得た(24mg、収率57%)。MS(ESI):m/z=237.1[M-tBu]
【0129】
工程2:6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化25】
【0130】
中間体A2、工程4(収率100%、白色固体)について記載される手順に従って、tert-ブチル(6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメートから表題化合物を調製した。MS(ESI):m/z=193.1[M+H]
【0131】
中間体A5:(S)-6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化26】
【0132】
工程1:(S)-tert-ブチル(6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート
【化27】
【0133】
SFC条件下、キラルカラム(OZ-H、12nm、5μm、250×4.6 mm)でtert-ブチル(6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート(65mg、222μmol、中間体A4、工程1)を分離して、表題化合物を白色固体(32mg、収率49.2%、96%ee、2回目の溶出エナンチオマー、保持時間:6.6分)として得た。MS(ESI)m/z:237.1[M-tBu]
【0134】
工程2:(S)-6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化28】
【0135】
中間体A2、工程4(収率100%、白色固体)について記載される手順に従って、(S)-tert-ブチル(6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメートから表題化合物を調製した。MS(ESI):m/z=193.1[M+H]
【0136】
中間体A6:6-クロロ-4-(ジフルオロメトキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化29】
【0137】
工程1:tert-ブチル(6-クロロ-4-(ジフルオロメトキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート
【化30】
【0138】
tert-ブチル(6-クロロ-4-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート(中間体A2、工程1)(70mg、247μmol)及び水酸化カリウム(138mg、2.47mmol)をMeCN(1.23ml)及び水(1.23ml)の混合物に溶解した。混合物を0℃に冷却し、ジエチル(ブロモジフルオロメチル)ホスホネート(132mg、87.7μl、493μmol)を添加した。反応物を0℃で1時間撹拌し、その後室温まで温めた。反応物を室温で18時間撹拌した。この時間の後、ジエチル(ブロモジフルオロメチル)ホスホネートの第2の部分(132mg、87.7μl、493μmol)を添加した。溶媒を蒸発させ、次いで水に溶解し、EtOAcで抽出した。層を分離し、水層をEtOAcでさらに2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物を、勾配酢酸エチル/ヘプタン0~100%を使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに供し、表題化合物を無色油として得た(42mg、収率47%)。MS(ESI):m/z=378.3[M+HCOO]
【0139】
工程2:6-クロロ-4-(ジフルオロメトキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化31】
【0140】
中間体A2、工程4(収率96%、白色固体)について記載される手順に従って、tert-ブチル(6-クロロ-4-(ジフルオロメトキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメートから表題化合物を調製した。MS(ESI):m/z=234.1[M+H]
【0141】
中間体A7:5-クロロ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化32】
【0142】
工程1:tert-ブチル(5-アミノ-6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート
【化33】
【0143】
DMF(2ml)中のtert-ブチル(5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート(200mg、773μmol、CAS:246873-45-0)及びN-クロロスクシンイミド(105mg、773μmol)の溶液を室温で2時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで1回及び水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質を、勾配酢酸エチル/ヘプタン0~50%を使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を黄色ゴム状物として得た(48mg、収率16%)。MS(ESI):m/z=227.1[M-tBu]
【0144】
工程2:tert-ブチル(5-アミノ-6-クロロ-4-ヨード-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート
【化34】
【0145】
DMF(2ml)中のtert-ブチル(5-アミノ-6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート(47mg、123μmol)の撹拌溶液にN-ヨード-スクシンイミド(29.1mg、129μmol)を添加した。得られた暗褐色溶液を室温で20時間撹拌し、水に注ぎ、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質を、勾配酢酸エチル/ヘプタン0~50%を使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を白色固体として得た(37mg、収率74%)。MS(ESI):m/z=353.0[M-tBu]
【0146】
工程3:tert-ブチル(5-アミノ-6-クロロ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート
【化35】
【0147】
ジオキサン(750μl)及び水(250μl)中のtert-ブチル(5-アミノ-6-クロロ-4-ヨード-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート(36mg、88.1μmol)、トリメチルボロキシン(15.6mg、17.4μl、123μmol)、炭酸カリウム(18.3mg、132μmol)及びテトラキストリフェニルポスフィンパラジウム(0)(5.14mg、4.4μmol)の混合物を110℃に加熱し、15時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質を、勾配酢酸エチル/ヘプタン0~50%を使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を無色ゴム状物として得た(21mg、収率80%)。MS(ESI):m/z=241.1[M-tBu]
【0148】
工程4:tert-ブチル(5-アミノ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート
【化36】
【0149】
tert-ブチル(5-アミノ-6-クロロ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート(152mg、512μmol)をメタノール(5ml)に溶解し、Pd/C(54.5mg、51.2μmol)を添加し、反応混合物を室温で15時間撹拌した。反応混合物をセライトでフィルターにかけて、真空中で濃縮して、表題化合物を淡灰色固体として得た(130mg、収率97%)。MS(ESI):m/z=207.2[M-tBu]
【0150】
工程5:5-クロロ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化37】
【0151】
中間体A2、工程4(収率80%、オフホワイト色固体)について記載される手順に従って、tert-ブチル(5-アミノ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメートから表題化合物を調製した。MS(ESI):m/z=182.1[M+H]
【0152】
中間体A8:6-クロロ-4-(プロパ-1-イン-1-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化38】
【0153】
工程1:tert-ブチル(6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート
【化39】
【0154】
2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(80mg、192μmol、中間体A2、工程2)、トリメチル(プロパ-1-イン-1-イル)シラン(64.8mg、56.7μl、577μmol)、トリエチルアミン(58.4mg、80.4μl、577μmol)、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(42.2mg、57.7μmol)、フッ化カリウム(33.5mg、577μmol)及びヨウ化銅(I)(5.5mg、28.9μmol)を乾燥DMF(1.28ml)に懸濁した。アルゴンを溶液に5分間吹き込んだ。次いで、反応物を80℃に4時間加熱した。反応物をEtOAcで希釈し、10%LiCl溶液に注いだ。層を分離し、水層をEtOAcでさらに2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、セライトでフィルターにかけて、蒸発乾固した。粗生成物を、勾配酢酸エチル/ヘプタン0~100%を使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに供し、表題化合物を黄色油として得た(57mg、収率97%)。MS(ESI):m/z=250.1[M-tBu]
【0155】
工程2:6-クロロ-4-(プロパ-1-イン-1-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化40】
【0156】
中間体A2、工程4(収率100%、淡褐色固体)について記載される手順に従って、tert-ブチル(6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメートから表題化合物を調製した。MS(ESI):m/z=206.1[M+H]
【0157】
中間体A9:6-クロロ-4-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化41】
【0158】
工程1:1,2-ビス(ブロモメチル)-5-クロロ-3-フルオロベンゼン
【化42】
【0159】
2-(ブロモメチル)-5-クロロ-1-フルオロ-3-メチルベンゼン(620mg、2.61mmol、CAS:1807268-05-8)、N-ブロムスクシンイミド(516mg、2.87mmol)及びAIBN(8.75mg、52.2μmol)のCCl(15ml)中懸濁液を85℃に加熱し、15時間撹拌した。反応混合物を焼結ガラスを通してフィルタにかけて、真空中で濃縮した。残渣を、勾配酢酸エチル/ヘプタン0~20%を使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を無色油として得た(698mg、収率67%)。
【0160】
工程2:ジメチル6-クロロ-4-フルオロ-1,3-ジヒドロ-2 H-インデン-2,2-ジカルボキシレート
【化43】
【0161】
マロン酸ジメチル(131mg、114μl、973μmol)のTHF(2ml)溶液に、NaH(38.9mg、973μmol)を0℃で添加した。0℃で15分間撹拌した後、1,2-ビス(ブロモメチル)-5-クロロ-3-フルオロベンゼン(350mg、885μmol)を含むTHF(3ml)の溶液を0℃で滴加した。0℃で15分間撹拌した後、NaH(38.9mg、973μmol)を再び添加した。反応混合物を室温まで温め、15時間撹拌した。得られた懸濁液を飽和塩化アンモニウム溶液に注ぎ、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質を、勾配酢酸エチル/ヘプタン0~50%を使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を白色固体として得た(62mg、収率25%)。MS(ESI):m/z=287.1[M+H]
【0162】
工程3:6-クロロ-4-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸
【化44】
【0163】
ジメチル6-クロロ-4-フルオロ-1,3-ジヒドロ-2 H-インデン-2,2-ジカルボキシレート(400mg、1.4mmol)及び濃HCl(25%)(6ml)を120℃に加熱し、6時間撹拌した。1mlの濃HCl(25%)を添加し、撹拌を120℃で1時間続けた。反応混合物をEtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質を分取HPLCによって精製して、表題化合物を白色固体として得た(137mg、収率46%)。MS(ESI):m/z=213.1[M-H]
【0164】
工程4:tert-ブチル(6-クロロ-4-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート
【化45】
【0165】
6-クロロ-4-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸(136mg、634μmol)、トリエチルアミン(128mg、177μl、1.27mmol)及びジフェニルホスホリルアジド(187mg、146μl、665μmol)のtert-ブタノール(4ml)中溶液を50℃に加熱し、15時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質を、勾配酢酸エチル/ヘプタン0~50%を使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物をオフホワイト色固体として得た(90mg、収率45%)。MS(ESI):m/z=230.1[M-tBu]
【0166】
工程5:6-クロロ-4-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化46】
【0167】
中間体A2、工程4(収率100%、オフホワイト色固体)について記載される手順に従って、tert-ブチル(6-クロロ-4-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメートから表題化合物を調製した。MS(ESI):m/z=186.1[M+H]
【0168】
中間体A10:5-クロロ-4-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミン
【化47】
【0169】
工程1:(Z)-5-クロロ-4-フルオロ-2-(ヒドロキシイミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
【化48】
【0170】
5-クロロ-4-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(344mg、1.86mmol、CAS:1260013-11-3)をジエチルエーテル(6ml)と合わせて、白色懸濁液を得た。次いで、25%HCl水溶液(272mg、226μl、1.86mmol)を添加した後、室温で亜硝酸tert-ブチル(192mg、222μl、1.86mmol)を添加し、2時間撹拌した。沈殿物をフィルターにかけて、精製した。
0~60%の酢酸エチル/ヘプタンの勾配を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって、表題化合物を白色固体として得た(250mg、収率63%)。MS(ESI):m/z=214.1[M+H]
【0171】
工程2:5-クロロ-4-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミン
【化49】
【0172】
(Z)酢酸(2ml)中-5-クロロ-4-フルオロ-2-(ヒドロキシイミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(100mg、0.468mmol)を、Pd/C5%(11mg)及び硫酸(100ul)の存在下で、4barの圧力下、室温で16時間水素化した。触媒をフィルターにかけて、メタノールで洗浄し、濾液を炭酸ナトリウムの飽和溶液でpH8~9に塩基性化し、ジクロロメタン及び水で希釈した。水層をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質を、0~20%の勾配ジクロロメタン/メタノールを使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を無色油として得た(50mg、収率42%)。MS(ESI):m/z=186.1[M+H]
【0173】
中間体A11:6-クロロ-4-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化50】
【0174】
工程1:tert-ブチル(6-クロロ-4-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート
【化51】
【0175】
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメート(中間体A1、工程1)(150mg、381μmol)、フッ化カリウム(22.1mg、381μmol)及び(1,10-フェナントロリン)(トリフルオロメチル)銅(I)(トリフルオロメチル化剤)(143mg、457μmol)を乾燥DMF(3.81ml)に溶解し、溶液に空気を吹き込んだ。次いで、反応物を50℃に4時間加熱した。反応物をEtOAcで希釈し、10%LiCl溶液に注いだ。層を分離し、水層をEtOAcでさらに2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、セライトでフィルターにかけて、蒸発乾固した。粗生成物を、勾配酢酸エチル/ヘプタン0~100%を使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに供し、表題化合物を橙色固体得た(24mg、収率13%)。MS(ESI):m/z=280.1[M-tBu]
【0176】
工程2:6-クロロ-4-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド
【化52】
【0177】
中間体A2、工程4(収率100%、オフホワイト色固体)について記載される手順に従って、tert-ブチル(6-クロロ-4-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)カルバメートから表題化合物を調製した。MS(ESI):m/z=236.1[M+H]
【0178】
中間体B1-3:
中間体B1~2は市販されているか又は公知であり、以下の表に列挙されている。
【表2】
【0179】
中間体B4:シス-6-メチル-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-オールビス(2,2,2-トリフルオロアセタート)
【化53】
【0180】
工程1:シス-tert-ブチル-6-ヒドロキシ-6-メチル-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-カルボキシレート
【化54】
【0181】
窒素下0℃のtert-ブチル6-オキソ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-カルボキシレート(500mg、2.37mmol、CAS:1363380-93-1)のジエチルエーテル(500μl)懸濁液に、メチルマグネシウムブロミド(ジエチルエーテル中3M)(2.37ml、7.1mmol)を添加した。反応混合物を室温で1、5時間撹拌した。混合物を0℃に冷却し、塩化アンモニウムの飽和溶液で慎重にクエンチした。酢酸エチルを添加した。両方の層を分離し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させた。粗黄色油を、勾配酢酸エチル/ヘプタン0~80%を使用するシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィで精製して、表題化合物を無色油として得た(320mg、収率60%)。MS(ESI):m/z=172.2[M-tBu]
【0182】
工程2:シス-6-メチル-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-オールビス(2,2,2-トリフルオロアセタート)
【化55】
【0183】
窒素下0℃のジクロロメタン(640μl)中のcis-tert-ブチル-6-ヒドロキシ-6-メチル-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-カルボキシレート(319mg、1.4mmol)の混合物に、トリフルオロ酢酸(1.63g、1.1ml、14mmol)を添加した。その混合物を室温で2、5時間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固すると、表題化合物を淡黄色油として得た(552mg、収率100%)。MS(ESI):m/z=128.2[M+H]
【0184】
中間体C1-3
中間体C1:2-[(4-クロロインダン-2-イル)アミノ]ピリミジン-5-カルボン酸
【化56】
【0185】
工程1:メチル2-[(4-クロロインダン-2-イル)アミノ]ピリミジン-5-カルボキシレート
【化57】
【0186】
メチル2-アミノピリミジン-5-カルボキシレート(250mg、1.63mmol、CAS:308348-93-8、市販品)及び4-クロロ-1,3-ジヒドロ-2 H-インデン-2-オン(544mg、3.26mmol、CAS:74124-90-6)を含むMeCN(2.5 mL)の混合物に、TFA(667μL、8.65mmol)及びトリエチルシラン(1.36 mL、8.49mmol)を添加した。反応混合物を密閉管中70℃で一晩撹拌し、次いで、飽和重炭酸ナトリウム溶液に慎重に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。粗物質を、0~60%の酢酸エチル/ヘプタン勾配を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を淡褐色固体として得た(166mg、収率16%)。MS(ESI):m/z=304.1[M+H]
【0187】
工程2:2-[(4-クロロインダン-2-イル)アミノ]ピリミジン-5-カルボン酸
【化58】
【0188】
メチル2-((4-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキシレート(157mg、0.517mmol)を含むMeOH(2.5 mL)の混合物に、6M NaOH(103μL、0.620mmol)を添加した。懸濁液を室温で一晩撹拌し、6M NaOH(103μL、0.620mmol)を添加し、混合物を50℃に9時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、Amberlite IR-120で酸性化し、フィルターにかけて、DCM/MeOHでよく洗浄した。濾液を蒸発乾固させた。樹脂を1M HClに溶解し、MeOHを添加し、混合物を30分間撹拌し、次いでフィルターにかけた。濾液を蒸発乾固して、表題化合物(21mg、収率13%)を得て、これを精製することなく次のステップに使用した。
【0189】
中間体C2:(2-クロロピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン
【化59】
【0190】
2-クロロピリミジン-5-カルボン酸(600mg、3.78mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.96ml、22.7mmol)及び6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタンヘミオキサレート(中間体B1、859mg、4.54mmol)のCHCl(20ml)中撹拌懸濁液に、EtOAc中の50重量%を超える1-プロパンホスホン酸無水物(4.51ml、7.57mmol)を添加した。反応混合物を室温で2日間撹拌し、水に注ぎ、CHClで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質を、0~100%の酢酸エチル/ヘプタン勾配を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を白色固体として得た(250mg、収率28%)。MS(ESI):m/z=240.1[M+H]
【0191】
中間体C3:(S)-2-((6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-カルボン酸
【化60】
【0192】
工程1:エチル(S)-2-((6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2イル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキシレート
【化61】
【0193】
エチル2-クロロピリミジン-5-カルボキシレート(74.8mg、393μmol)、(S)-6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウムクロリド(中間体A5)(75mg、327μmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(130mg、171μl、982μmol)のDMA(1.5ml)懸濁液を室温で15時間撹拌した。得られた溶液を水に注ぎ、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質を、0~100%の酢酸エチル/ヘプタン勾配を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を白色固体として得た(94mg、収率84%%)。MS(ESI):m/z=343.2[M+H]
【0194】
工程2:(S)-2-((6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-カルボン酸
【化62】
【0195】
エチル(S)-2-((6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキシレート(121mg、353μmol)を含むTHF(1.5ml)/水(0.5ml)の溶液に、リチウムヒドロキシド一水和物(37.4mg、882μmol)を添加した。反応混合物を室温で15時間撹拌し、水に注ぎ、EtOAcで2回抽出した。水層を1Nクエン酸で酸性化し、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をエチルエーテルを用いて研和し、焼結ガラスを通してフィルターにかけて、真空中で乾燥させると、表題化合物を白色固体として得た(99mg、収率89.1%)。MS(ESI)m/z:315.1[M+H]
【0196】
実施例
実施例1:(2-((4-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン
【化63】
【0197】
4,6-ジクロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-アミニウム2,2,2-トリフルオロアセタート(中間体A1)(50mg、158μmol)をDMA(1.58ml)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(81.8mg、110μl、633μmol)を添加し、引き続いて(2-クロロピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン(中間体C2)(37.9mg、158μmol)を添加した。反応物を室温で20時間撹拌し、次いで、LiCl 10%に注ぎ、2-Me-THFで抽出した。層を分離し、水層を2-Me-THFで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物を、勾配酢酸エチル/ヘプタン0~100%を使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに供し、表題化合物を白色固体として得た(24mg、収率36%%)。MS(ESI):m/z=405.2[M+H]
【0198】
以下の実施例2~10を、示された構成要素A及び(2-クロロピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン(中間体C2)から実施例1と同様に調製した。
【表3】

【0199】
実施例11:(S)-2-((5-(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-カルボニル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリル
【化64】
【0200】
(S)-2-((6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-カルボン酸(中間体C3)(50mg、159μmol)及びHATU(72.5mg、191μmol)のDMF(500μl)中懸濁液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(105mg、139μl、794μmol)を添加した。室温で10分間撹拌した後、6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタンヘミオキサレート(28.3mg、95.3μmol、中間体B1)を添加した。反応混合物を室温で15時間撹拌し、ブラインに注ぎ、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質を、勾配酢酸エチル/ヘプタン0~100%を使用するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を白色固体として得た(24mg、収率36%%)。MS(ESI):m/z=396.2[M+H]
【0201】
以下の実施例12~14を、示された構成要素B及び(S)-2-((6-クロロ-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-カルボン酸(中間体C3)から実施例11と同様に調製した。
【表4】
【0202】
実施例15:(2-((4-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン
【化65】
【0203】
表題化合物を、構成要素B 1及び2-[(4-クロロインダン-2-イル)アミノ]ピリミジン-5-カルボン酸(中間体C1)から実施例11と同様に調製した。MS(ESI):m/z=371.2[M+H]
実施例16:(S又はR)-(2-((6-クロロ-4-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アミノ)ピリミジン-5-イル)(6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタン-1-イル)メタノン
【化66】
【0204】
SFC法(カラム:AY-H、12nm、5μm、250×4.6 mm)を使用してラセミ実施例8のキラルHPLC分離によって、表題化合物を得た(第2の溶出エナンチオマー、保持時間:5.53分、98%ee、オフホワイト色固体)。MS(ESI)m/z:389.3[M+H]
【0205】
実施例A
式(I)の化合物は、以下の組成の錠剤を製造するために、有効成分として、それ自体公知の様式で使用することができる。
【0206】
錠剤あたり
有効成分 200mg
微結晶セルロース 155mg
コーンスターチ 25mg
タルク 25mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 20mg
425mg
【0207】
実施例B
式(I)の化合物は、以下の組成のカプセル剤を製造するために、有効成分として、それ自体公知の様式で使用することができる。
【0208】
カプセル剤あたり
有効成分 100.0mg
コーンスターチ 20.0mg
ラクトース 95.0mg
タルク 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
220.0mg