(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】注入器とのシリンジプランジャ係合のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20250408BHJP
A61M 5/145 20060101ALI20250408BHJP
A61M 5/36 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
A61M5/315 500
A61M5/145 506
A61M5/145 510
A61M5/315 514
A61M5/36 500
(21)【出願番号】P 2022577713
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 US2021037574
(87)【国際公開番号】W WO2021257667
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2024-06-17
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・コーワン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・デディッグ
(72)【発明者】
【氏名】シャハブ・タヘリ
(72)【発明者】
【氏名】アブヒナヴ・スリヴァスタヴァ
(72)【発明者】
【氏名】バリー・タッカー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・スワントナー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・カポーン
(72)【発明者】
【氏名】ヤロスロウ・ウロダルチュク
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・オサン
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-145697(JP,A)
【文献】国際公開第2008/059448(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
A61M 5/36
A61M 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジと共に使用するためのプランジャであって、前記プランジャは、
中央長手方向軸を画定し、近位端、遠位端、および前記近位端と前記遠位端とを接続する周方向側壁を有するプランジャ本体と、
前記プランジャ本体に関連付けられ、そこから近位に延在する少なくとも1つの保持部材であって、前記少なくとも1つの保持部材は、
前記プランジャ本体に接続された第1の端部と、
前記第1の端部の近位にあり、前記第1の端部に対して径方向に弾力的に偏向可能な第2の端部と、
前記第2の端部の少なくとも1つのキャッチと、
を備える、少なくとも1つの保持部材と、
を備え、
前記少なくとも1つの保持部材は、前記プランジャがピストンとの係止状態にあるときに流体注入器システムのピストン上のプランジャ係合機構のプランジャ係合スリーブと係合するように構成された外表面を有することができ、
前記少なくとも1つの保持部材は、前記プランジャが前記ピストンとの係止状態にあるときに前記プランジャ係合機構のプランジャ係合ポストと係合するように構成された内表面を有し、
前記少なくとも1つのキャッチは、前記プランジャが、前記ピストンに対する前記プランジャの軸方向移動を防止するために前記ピストンとの係止状態にあるときに、前記プランジャ係合スリーブおよび前記プランジャ係合ポストの一方の係止機能部と固定的に係合するように構成されており、
前記少なくとも1つのキャッチは、前記ピストンに対する前記プランジャの係合中に、前記プランジャ係合スリーブおよび前記プランジャ係合ポストの一方の前記係止機能部の遠位端と固定的に係合するための、前記少なくとも1つのキャッチの近位端の第1の丸みまたは傾斜近位表面と、前記ピストンからの前記プランジャの係合解除中に、前記プランジャ係合スリーブおよび前記プランジャ係合ポストの一方の前記係止機能部の近位端と固定的に係合するための、前記少なくとも1つのキャッチの遠位端の第2の丸みまたは傾斜遠位表面と、を有し、
前記プランジャの係止解除状態において、前記少なくとも1つのキャッチの前記第1の丸みまたは傾斜近位表面および前記第2の丸みまたは傾斜遠位表面は、前記プランジャ係合スリーブおよび前記プランジャ係合ポストの一方の前記係止機能部との前記少なくとも1つのキャッチの屈曲の相互作用により、前記プランジャに対する前記ピストンの軸方向移動時に、前記少なくとも1つの保持部材の前記第2の端部を径方向に偏向させるように構成されている、プランジャ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの保持部材は、前記中央長手方向軸の周りに離間した複数の保持部材を備える、請求項1に記載のプランジャ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの保持部材は、前記中央長手方向軸と平行な方向で近位に延在する、請求項1に記載のプランジャ。
【請求項4】
前記プランジャは、前記流体注入器システムの前記ピストンに対する前記プランジャの角度配向にかかわらず、前記プランジャ係合機構と係合するように構成されている、請求項1に記載のプランジャ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのキャッチは、前記中央長手方向軸に向かう方向に前記少なくとも1つの保持部材の前記内表面から径方向内向きに突出している、請求項1に記載のプランジャ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのキャッチは、前記中央長手方向軸から離れる方向に前記少なくとも1つの保持部材の前記外表面から径方向外向きに突出している、請求項1に記載のプランジャ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのキャッチは、前記プランジャが前記ピストンに接続されたときに前記プランジャ係合機構の少なくとも一部を受容するための係止凹部を画定する、請求項1に記載のプランジャ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのキャッチは、前記中央長手方向軸に向かう方向に前記少なくとも1つの保持部材の前記内表面から径方向内向きに突出し、前記少なくとも1つのキャッチは、前記プランジャが前記ピストンとの係止状態にあるときに、前記プランジャ係合ポストの外表面から径方向内向きに突出する係止溝として成形され得る前記係止機能部内に受容されるように構成されている、請求項1に記載のプランジャ。
【請求項9】
前記プランジャ本体は、前記遠位端に円錐形状部分を有し、前記近位端に円筒形状部分を有する、請求項1に記載のプランジャ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの保持部材は、前記円錐形状部分の内表面から近位に突出している、請求項9に記載のプランジャ。
【請求項11】
前記円筒形状部分の内表面から径方向内向きに、または前記円筒形状部分の前記内表面から近位に突出している複数の解放タブをさらに備え、前記複数の解放タブの各々は、前記中央長手方向軸の周りの前記プランジャの回転時に前記ピストンからの前記プランジャの解放を発動させるために前記プランジャ係合スリーブと相互作用するように構成されている、請求項10に記載のプランジャ。
【請求項12】
前記複数の解放タブの各々の近位端は尖ったガイド面を有する、請求項11に記載のプランジャ。
【請求項13】
前記プランジャが前記ピストンと係止状態にある場合、前記少なくとも1つのキャッチは前記中央長手
方向軸から離れる方向に、前記少なくとも1つの保持部材の外表面から径方向外向きに突出し、且つ前記少なくとも1つのキャッチは、前記プランジャ係合スリーブの内表面から径方向内向きに突出した係止溝として成形された係止機能部内に受容されるように構成されている、請求項1に記載のプランジャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月18日に出願された米国仮特許出願第62/705,265の優先権を主張するものであり、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は概して、流体注入器と共に使用するためのフロントローディングシリンジおよび/または圧力ジャケットを含むシステムに関し、さらに、シリンジプランジャを流体注入器のピストンに固定するための接続インターフェース、ならびにシリンジプランジャを流体注入器のピストンに対して係合および係合解除させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの医療診断および治療処置において、医師は、1つ以上の医療用流体を患者に注入する。造影剤溶液(しばしば単に「造影剤」と呼ばれる)、フラッシング剤(生理食塩水または乳酸リンゲル液など)、およびその他の医療用流体など、流体の加圧注入のための多数の注入器作動型シリンジおよび流体注入器が、血管造影検査、コンピュータ断層撮影(CT)、超音波、磁気共鳴画像法(MRI)、陽電子放出断層撮影法(PET)、およびその他の撮影処置などの造影撮影処置で使用するために、開発されてきた。一般に、これらの流体注入器は、予め設定された流速で予め設定された量の1つ以上の流体を送達するように設計されている。
【0004】
典型的には、流体注入器は、例えば、プランジャ、またはシリンジの近位端壁の係合機能部との接続を介してシリンジに接続する、ピストンなどの少なくとも1つの駆動部材を有する。シリンジは、バレル内に摺動可能に設けられたシリンジプランジャを有する合成バレルを含むことができる。少なくとも1つの駆動部材は、流体をシリンジバレル内に引き込むかまたはシリンジバレル内から送達するために、バレルの長手方向軸に対して近位方向および/または遠位方向にプランジャを駆動するように構成される。
【0005】
流体注入器のピストンに対するシリンジプランジャの係合を容易にするために、様々な接続インターフェースが開発されてきた。いくつかの実施形態では、流体注入器に設けられた対応する係止機能部にシリンジを位置合わせすることによって、保持機能部を有するシリンジが流体注入器のシリンジポート内に挿入される。このような位置合わせはまた、流体をシリンジバレル内に引き込むかまたはシリンジバレルとの間で流体を送達するために、ピストンがプランジャと係合し、プランジャをシリンジバレル内で往復駆動することができるように、流体注入器上のピストンにシリンジ内のプランジャを位置合わせする。別の実施形態では、プランジャとの最初の係合時に、ピストンがプランジャ上のキャッチと係合するまで、ピストンは、時計回りまたは反時計回り方向に回転される。さらなる実施形態では、ピストンは、プランジャ上のリップを係合する径方向に伸長可能なピンを有する。
【0006】
既存の接続インターフェースの多くは、様々なセンサ素子および能動的係合構造を有する複雑なピストンヘッドを必要とする構造を有する。当該技術分野には、流体注入器のピストンに対するシリンジプランジャのより単純で容易な係合および係合解除を可能にする、改良された接続インターフェースの必要性がある。当該技術分野には、流体注入器のピストンとのシリンジプランジャの係合の前に操作者がシリンジを流体注入器に回転的に位置合わせする必要性を低減または排除する、さらなる必要性がある。医療分野では様々なシリンジ接続インターフェースおよび方法が知られているが、シリンジプランジャと流体注入器のピストンとの間の改良された接続インターフェース、ならびに流体注入器のピストンに対してシリンジプランジャを係合および係合解除させる方法は、引き続き求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第5,383,858号明細書
【文献】米国特許第7,553,294号明細書
【文献】米国特許第7,666,169号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0027009号明細書
【文献】米国特許第8,945,051号明細書
【文献】米国特許第10,022,493号明細書
【文献】米国特許第10,507,319号明細書
【文献】米国特許第9,173,995号明細書
【文献】米国特許第9,199,033号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
当該技術分野には、従来技術の欠点を克服する、シリンジプランジャと流体注入器のピストンとの間の改良された接続インターフェースの必要性がある。流体注入器に対するシリンジの迅速な装填または取り外しを可能にするために、流体注入器のピストンに対してシリンジプランジャを係合および係合解除させる方法の付加的な必要性がある。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、シリンジと共に使用するためのプランジャは、中央長手方向軸を画定し、近位端、遠位端、および近位端と遠位端とを接続する周方向側壁を有するプランジャ本体と、プランジャ本体に関連付けられ、そこから近位に延在する少なくとも1つの保持部材であって、少なくとも1つの保持部材は、プランジャ本体に接続された第1の端部と、第1の端部の近位にあり、第1の端部に対して径方向に弾力的に偏向可能な第2の端部と、第2の端部の少なくとも1つのキャッチと、を備える、少なくとも1つの保持部材と、を含むことができ、少なくとも1つの保持部材は、プランジャがピストンとの係止状態にあり得るときに流体注入器システムのピストン上のプランジャ係合機構のプランジャ係合スリーブと係合するように構成された外表面を有することができ、少なくとも1つの保持部材は、プランジャがピストンとの係止状態にあり得るときにプランジャ係合機構のプランジャ係合ポストと係合するように構成された内表面を有することができ、少なくとも1つのキャッチは、プランジャが、ピストンに対するプランジャの軸方向移動を防止するためにピストンとの係止状態にあり得るときに、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方の係止機能部と係合するように構成されてもよく、少なくとも1つのキャッチは、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方の係止機能部との少なくとも1つのキャッチの係合により、ピストンからのプランジャの係止解除状態におけるプランジャに対するピストンの軸方向移動時に、少なくとも1つの保持部材の第2の端部を径方向に偏向させるように構成されてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの保持部材は、中央長手方向軸の周りに離間した複数の保持部材を含むことができる。複数の保持部材は、中央長手方向軸の周りに等間隔で離間していてもよい。少なくとも1つの保持部材は、中央長手方向軸と平行な方向に、または中央長手方向軸に対して傾斜した方向に、近位に延在してもよい。少なくとも1つの保持部材は、第1の端部と第2の端部との間で直線的または曲線的に連続していてもよい。プランジャは、流体注入器のピストンに対するプランジャの角度配向にかかわらず、プランジャ係合機構と係合するように構成されてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのキャッチは、ピストンに対するプランジャの係合中に、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方の係止機能部の遠位端と係合するように構成された、少なくとも1つのキャッチの近位端の第1の表面と、ピストンからのプランジャの係合解除中に、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方の係止機能部の近位端と係合するように構成された、少なくとも1つのキャッチの遠位端の第2の表面と、を有することができる。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのキャッチは、中央長手方向軸に向かう方向に少なくとも1つの保持部材の内表面から径方向内向きに、または中央長手方向軸から離れる方向に少なくとも1つの保持部材の外表面から径方向外向きに突出することができる。少なくとも1つのキャッチは、プランジャがピストンに接続されたときにプランジャ係合機構の少なくとも一部を受容するための係止凹部を画定することができる。少なくとも1つのキャッチは、中央長手方向軸に向かう方向に少なくとも1つの保持部材の内表面から径方向内向きに突出してもよく、少なくとも1つのキャッチは、プランジャがピストンとの係止状態にあり得るときに、プランジャ係合ポストの外表面から径方向内向きに突出する係止溝として成形され得る係止機能部内に受容されるように構成されてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、プランジャ本体は、遠位端に円錐形状部分を有し、近位端に円筒形状部分を有してもよい。少なくとも1つの保持部材は、円錐形状部分の内表面から近位に突出してもよい。複数の解放タブは、円筒形状部分の内表面から径方向内向きに、または円筒形状部分の内表面から近位に突出してもよく、複数の解放タブの各々は、中央長手方向軸の周りのプランジャの回転時にピストンからのプランジャの解放を引き起こすためにプランジャ係合スリーブと相互作用するように構成される。複数の解放タブの各々の近位端は、尖ったガイド面を有することができる。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、プランジャカバーは、プランジャ本体の遠位面の少なくとも一部を覆うことができ、プランジャ本体の周方向側壁の少なくとも一部の周りに設けられたシールを含むことができる。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、プランジャは、シリンジのバレル内に摺動可能に配置されるように構成されてもよい。プランジャは、シリンジのバレル内で往復移動するように構成されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、流体注入器システムは、ピストンヘッドを有する少なくとも1つの往復動作可能なピストンと、ピストンヘッドに関連付けられ、少なくとも1つのピストンの移動によってシリンジ内のプランジャを往復駆動するために、流体注入器システムに接続されたシリンジのプランジャと係合するように構成された、プランジャ係合機構であって、プランジャ係合機構は、中空体を有するプランジャ係合スリーブと、プランジャ係合スリーブの中空体に受容可能なプランジャ係合ポストと、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方に動作可能に接続され、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を係合位置と係合解除位置との間で移動させるように構成されたアクチュエータと、を含み得る、プランジャ係合機構と、を含むことができ、係合位置では、プランジャ係合ポストは、プランジャ係合カラーとプランジャ係合ポストとの間の受容空間内にプランジャに関連付けられた少なくとも1つの弾力的可撓性保持部材を捕捉するために、プランジャ係合スリーブの中空体内に配置されてもよく、係合解除位置では、プランジャ係合ポストは、受容空間からのプランジャの少なくとも1つの弾力的可撓性保持部材の柔軟な挿入または取り外しを許容するために、プランジャ係合スリーブの中空体の少なくとも部分的に外側に配置されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、アクチュエータは、回転電動モータ、リニア電動モータ、リニアアクチュエータ、またはソレノイドであってもよい。いくつかの実施形態によれば、アクチュエータは、手動で動作されてもよい。アクチュエータは、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を係合位置に移動させるための係合状態と、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を係合解除位置に移動させるための係合解除状態と、を有することができる。アクチュエータは、アクチュエータへの電力損失中に、自動的に係合解除状態に移動されてもよい。アクチュエータは、少なくとも1つのピストンの近位移動中にのみ係合状態になり得る。アクチュエータを係合状態から係合解除状態に移動させるための少なくとも1つの付勢要素が設けられてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、アクチュエータの回転運動は、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を直線方向で近位または遠位に移動させることができる。いくつかの実施形態によれば、アクチュエータの直線運動は、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を直線方向に近位または遠位に移動させることができる。アクチュエータは、アクチュエータの作動を制御するように構成されたコントローラに動作可能に接続されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方は、ピストンに対して直線的または回転的に移動可能であってもよく、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの他方は、ピストンに対して静止していてもよい。プランジャ係合ポストおよびプランジャ係合カラーは、ピストンに対して直線的または回転的に移動可能であってもよい。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのセンサは、係合位置と係合解除位置との間でプランジャ係合カラーおよびプランジャ係合ポストの少なくとも一方の位置を検出するように構成されてもよい。プランジャ検出センサは、プランジャ係合カラーとプランジャ係合ポストとの間の受容空間におけるプランジャの少なくとも1つの保持部材の存在を検出するように構成されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、プランジャ係合スリーブの中空体は、プランジャ係合スリーブの遠位端からプランジャ係合スリーブの近位端への方向に減少する段付き内径を有する開口部を有してもよい。プランジャ係合ポストは、プランジャ係合ポストの外表面から径方向内向きに突出する係止溝を含むことができ、係止溝は、プランジャの少なくとも1つの保持部材上に少なくとも1つのキャッチを受容するように構成され得る。係止溝の遠位縁部は、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方が係合解除位置に移動され得るときに、係止溝との係合から外すように少なくとも1つの保持部材の少なくとも1つのキャッチを移動させるために、ピストンに対するプランジャの軸方向移動中に、プランジャの少なくとも1つの保持部材を柔軟に偏向させるように構成されてもよい。プランジャ係合ポストは、プランジャ係合ポストの遠位端からプランジャ係合ポストの近位端への方向に減少する段付き外径を有する本体を有してもよい。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、プランジャ係合カラーは、プランジャ係合カラーの内表面から径方向内向きに突出する係止機能部を含むことができる。係止機能部は、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方が係合位置に移動され得るときに、プランジャの少なくとも1つの保持部材上の少なくとも1つのキャッチと係合するように構成されてもよい。係止機能部は、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方が係合解除位置に移動され得るときに、係止機能部との係合から外すように少なくとも1つの保持部材の少なくとも1つのキャッチを移動させるために、ピストンに対するプランジャの軸方向移動中に、プランジャの少なくとも1つの保持部材を柔軟に偏向させるように構成されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、流体注入器システムは、シリンジであって、バレル近位端、吐出ノズルを有するバレル遠位端、およびバレル近位端とバレル遠位端との間に延在するバレル側壁を有するバレルを有するシリンジと、バレル内に摺動可能に設けられ、バレル近位端とバレル遠位端との間で往復移動可能なプランジャと、をさらに含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、プランジャは、中央長手方向軸を画定し、近位端、遠位端、および近位端と遠位端とを接続する周方向側壁を有するプランジャ本体と、プランジャ本体に関連付けられ、そこから近位に延在する少なくとも1つの保持部材と、を含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの保持部材は、プランジャ本体に接続された第1の端部と、第1の端部の近位にあり、第1の端部に対して径方向に弾力的に偏向可能な第2の端部と、第2の端部上の少なくとも1つのキャッチと、を含むことができ、少なくとも1つの保持部材は、プランジャがピストンと係合され得るときにプランジャ係合スリーブと係合するように構成された外表面を有することができ、少なくとも1つの保持部材は、プランジャがピストンと係合され得るときにプランジャ係合ポストと係合するように構成された内表面を有することができ、少なくとも1つのキャッチは、ピストンに対するプランジャの軸方向移動を防止するためにプランジャがピストンと係合され得るときに、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方の係止機能部と係合するように構成されてもよく、少なくとも1つのキャッチは、係止機能部との少なくとも1つのキャッチの接触によるプランジャの係合解除状態におけるプランジャに対するピストンの軸方向移動時に、少なくとも1つの保持部材の第2の端部を径方向に偏向させるように構成されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、プランジャは、流体注入器のピストンに対するプランジャの角度配向にかかわらず、プランジャ係合機構と係合するように構成されてもよい。少なくとも1つのキャッチは、中央長手方向軸に向かう方向に少なくとも1つの保持部材の内表面から径方向内向きに突出することができる。少なくとも1つのキャッチは、プランジャがピストンとの係止状態にあり得るときに、プランジャ係合ポストの外表面から径方向内向きに突出する係止溝として成形され得る係止機能部内に受容されるように構成されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのキャッチは、中央長手方向軸に向かう方向に少なくとも1つの保持部材の内表面から径方向内向きに突出することができる。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのキャッチは、中央長手方向軸から離れる方向に少なくとも1つの保持部材の外表面から径方向外向きに突出することができる。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、プランジャ本体は、遠位端に円錐形状部分を有し、近位端に円筒形状部分を有してもよい。少なくとも1つの保持部材は、円錐形状部分の内表面から近位に突出してもよい。複数の解放タブは、円筒形状部分の内表面から径方向内向きに突出してもよく、複数の解放タブの各々は、中央長手方向軸の周りのプランジャの回転時にピストンからのプランジャの解放を引き起こすためにプランジャ係合スリーブと相互作用するように構成される。複数の解放タブの各々の近位端は、尖ったガイド面を有することができる。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、流体注入器システムは、ピストンヘッドを有する少なくとも1つの往復動作可能なピストンと、ピストンヘッドに関連付けられ、少なくとも1つのピストンの移動によってシリンジ内でプランジャを往復駆動するために流体注入器システムに接続されたシリンジのプランジャと係合するように構成された、プランジャ係合機構であって、プランジャ係合機構は、長手方向軸を有する中空体を有するプランジャ係合スリーブと、プランジャ係合スリーブの中空体に受容可能であって、係合位置と係合解除位置との間でプランジャ係合スリーブに対して軸方向に移動可能なプランジャ係合ポストと、を備える、プランジャ係合機構と、を含むことができ、プランジャ係合スリーブは、第1の位置と第2の位置との間で長手方向軸の周りで回転可能であってもよく、プランジャ係合ポストは、プランジャ係合スリーブの回転を介して係合位置から係合解除位置まで長手方向軸に沿って軸方向に移動可能であってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、プランジャ係合ポストは、ピストンの近位端からピストンの遠位端に向かって軸方向に移動可能であってもよい。プランジャ解放スリーブは、中空体の外表面から径方向外向きに突出する複数のプランジャ解放歯を含むことができる。複数のプランジャ解放歯は、プランジャ長手方向軸の周りのプランジャの回転が、長手方向軸の周りのプランジャ係合スリーブの回転を引き起こすように、プランジャ上の複数の解放タブと係合するように構成されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、プランジャ解放スリーブは、プランジャ係合スリーブの少なくとも一部を取り囲むことができ、プランジャ解放スリーブは、プランジャ係合スリーブの回転と共に長手方向軸の周りで回転するように構成されてもよい。プランジャ解放スリーブは、プランジャ解放スリーブの遠位端からプランジャ解放スリーブの近位端に向かう方向で長手方向軸の方向に対して傾斜し得る傾斜面を有する開口部を含むことができる。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、プランジャ係合ポストは、長手方向軸に垂直な方向に延在する案内ピンを有してもよく、案内ピンは、プランジャ解放スリーブの開口部に受容されてもよい。プランジャ係合スリーブの回転は、プランジャ解放スリーブの対応する回転を引き起こすことができる。案内ピンは、傾斜面の近位端から遠位端に向かって傾斜面に沿って案内され、これによってプランジャ係合ポストを係合位置から係合解除位置に移動させることができる。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストに付勢部材が動作可能に接続されてもよい。付勢部材は、プランジャ係合スリーブを第1の位置に付勢するように構成され得る。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、アクチュエータは、プランジャ係合ポストに動作可能に接続され、係合位置と係合解除位置との間でプランジャ係合ポストを移動させるように構成されている。係合位置では、プランジャ係合ポストは、プランジャ係合スリーブの中空体内に配置されてもよく、プランジャ係合カラーとプランジャ係合ポストとの間の受容空間内にプランジャに関連付けられた少なくとも1つの弾力的可撓性保持部材を捕捉するように構成されてもよい。係合解除位置では、プランジャ係合ポストは、受容空間からのプランジャの少なくとも1つの弾力的可撓性保持部材の柔軟な挿入または取り外しを許容するために、プランジャ係合スリーブの中空体の少なくとも部分的に外側に配置されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、アクチュエータは、回転電動モータ、リニア電動モータ、リニアアクチュエータ、またはソレノイドであってもよい。いくつかの実施形態によれば、アクチュエータは、手動で動作されてもよい。アクチュエータは、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を係合位置に移動させるための係合状態と、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を係合解除位置に移動させるための係合解除状態と、を有することができる。アクチュエータは、アクチュエータへの電力損失中に、自動的に係合解除状態に移動されてもよい。アクチュエータは、少なくとも1つのピストンの近位移動中にのみ係合状態になり得る。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの付勢要素は、アクチュエータを係合状態から係合解除状態に移動させるように構成されている。アクチュエータの回転または直線運動は、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を直線方向に近位または遠位に移動させる。アクチュエータは、アクチュエータの作動を制御するように構成されたコントローラに動作可能に接続されてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのセンサは、係合位置と係合解除位置との間でプランジャ係合カラーおよびプランジャ係合ポストの少なくとも一方の位置を検出するように構成されてもよい。プランジャ検出センサは、プランジャ係合カラーとプランジャ係合ポストとの間の受容空間におけるプランジャの少なくとも1つの保持部材の存在を検出するように構成されてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、プランジャ係合スリーブの中空体は、プランジャ係合スリーブの遠位端からプランジャ係合スリーブの近位端への方向に減少する段付き内径を有する開口部を有してもよい。プランジャ係合ポストは、プランジャ係合ポストの外表面から径方向内向きに突出する係止溝を含むことができ、係止溝は、プランジャの少なくとも1つの保持部材上に少なくとも1つのキャッチを受容するように構成され得る。係止溝の遠位縁部は、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方が係合解除位置に移動され得るときに、係止溝との係合から外すように少なくとも1つの保持部材の少なくとも1つのキャッチを移動させるために、ピストンに対するプランジャの軸方向移動中に、プランジャの少なくとも1つの保持部材を柔軟に偏向させるように構成されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、流体注入器システムは、シリンジであって、バレル近位端、吐出ノズルを有するバレル遠位端、およびバレル近位端とバレル遠位端との間に延在するバレル側壁を有するバレルを有するシリンジと、バレル内に摺動可能に設けられ、バレル近位端とバレル遠位端との間で往復移動可能なプランジャと、をさらに含むことができる。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、プランジャは、中央長手方向軸を画定し、近位端、遠位端、および近位端と遠位端とを接続する周方向側壁を有するプランジャ本体と、プランジャ本体に関連付けられ、そこから近位に延在する少なくとも1つの保持部材と、を含むことができる。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの保持部材は、プランジャ本体に接続された第1の端部と、第1の端部の近位にあり、第1の端部に対して径方向に弾力的に偏向可能な第2の端部と、第2の端部上の少なくとも1つのキャッチと、を含むことができ、少なくとも1つの保持部材は、プランジャがピストンと係合され得るときにプランジャ係合スリーブと係合するように構成された外表面を有することができ、少なくとも1つの保持部材は、プランジャがピストンと係合され得るときにプランジャ係合ポストと係合するように構成された内表面を有することができ、少なくとも1つのキャッチは、ピストンに対するプランジャの軸方向移動を防止するためにプランジャがピストンと係合され得るときに、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方の係止機能部と係合するように構成されてもよく、少なくとも1つのキャッチは、係止機能部との少なくとも1つのキャッチの接触によるプランジャの係合解除状態におけるプランジャに対するピストンの軸方向移動時に、少なくとも1つの保持部材の第2の端部を径方向に偏向させるように構成されてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、プランジャは、流体注入器のピストンに対するプランジャの角度配向にかかわらず、プランジャ係合機構と係合するように構成されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのキャッチは、中央長手方向軸に向かう方向に少なくとも1つの保持部材の内表面から径方向内向きに突出してもよく、少なくとも1つのキャッチは、プランジャがピストンとの係止状態にあり得るときに、プランジャ係合ポストの外表面から径方向内向きに突出する係止溝として成形され得る係止機能部内に受容されるように構成されてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのキャッチは、中央長手方向軸に向かう方向に少なくとも1つの保持部材の内表面から径方向内向きに突出してもよく、または少なくとも1つのキャッチは、中央長手方向軸から離れる方向に少なくとも1つの保持部材の外表面から径方向外向きに突出してもよい。少なくとも1つのキャッチは、プランジャがピストンに接続され得るときにプランジャ係合機構の少なくとも一部を受容するための係止凹部を画定することができる。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、プランジャ本体は、遠位端に円錐形状部分を有し、近位端に円筒形状部分を有してもよい。少なくとも1つの保持部材は、円錐形状部分の内表面から近位に突出してもよい。複数の解放タブは、円筒形状部分の内表面から径方向内向きに、または円筒形状部分の内表面から近位に突出してもよく、複数の解放タブの各々は、中央長手方向軸の周りのプランジャの回転時にピストンからのプランジャの解放を引き起こすためにプランジャ係合スリーブと相互作用するように構成される。複数の解放タブの各々の近位端は、尖ったガイド面を有することができる。
【0046】
本開示のさらなる実施形態または態様は、以下の番号が付けられた条項に記載されている。
【0047】
条項1:シリンジと共に使用するためのプランジャであって、プランジャは、中央長手方向軸を画定し、近位端、遠位端、および近位端と遠位端とを接続する周方向側壁を有するプランジャ本体と、プランジャ本体に関連付けられ、そこから近位に延在する少なくとも1つの保持部材であって、少なくとも1つの保持部材は、プランジャ本体に接続された第1の端部と、第1の端部の近位にあり、第1の端部に対して径方向に弾力的に偏向可能な第2の端部と、第2の端部の少なくとも1つのキャッチと、を備える、少なくとも1つの保持部材と、を備え、少なくとも1つの保持部材は、プランジャがピストンとの係止状態にあるときに流体注入器システムのピストン上のプランジャ係合機構のプランジャ係合スリーブと係合するように構成された外表面を有することができ、少なくとも1つの保持部材は、プランジャがピストンとの係止状態にあるときにプランジャ係合機構のプランジャ係合ポストと係合するように構成された内表面を有し、少なくとも1つのキャッチは、プランジャが、ピストンに対するプランジャの軸方向移動を防止するためにピストンとの係止状態にあるときに、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方の係止機能部と係合するように構成されており、少なくとも1つのキャッチは、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方の係止機能部との少なくとも1つのキャッチの係合により、ピストンからのプランジャの係止解除状態におけるプランジャに対するピストンの軸方向移動時に、少なくとも1つの保持部材の第2の端部を径方向に偏向させるように構成されている、プランジャ。
【0048】
条項2.少なくとも1つの保持部材は、中央長手方向軸の周りに離間した複数の保持部材を備える、条項1に記載のプランジャ。
【0049】
条項3.複数の保持部材は、中央長手方向軸の周りに等間隔で離間している、条項2に記載のプランジャ。
【0050】
条項4.少なくとも1つの保持部材は、中央長手方向軸と平行な方向で近位に延在する、条項1から3のいずれか一項に記載のプランジャ。
【0051】
条項5.少なくとも1つの保持部材は、長手方向軸に対して傾斜した方向で近位に延在する、条項1から3のいずれか一項に記載のプランジャ。
【0052】
条項6.少なくとも1つの保持部材は、第1の端部と第2の端部との間で直線的に連続している、条項1から5のいずれか一項に記載のプランジャ。
【0053】
条項7.少なくとも1つの保持部材は、第1の端部と第2の端部との間で曲線的に連続している、条項1から5のいずれか一項に記載のプランジャ。
【0054】
条項8.プランジャは、流体注入器のピストンに対するプランジャの角度配向にかかわらず、プランジャ係合機構と係合するように構成されている、条項1から7のいずれか一項に記載のプランジャ。
【0055】
条項9.少なくとも1つのキャッチは、ピストンに対するプランジャの係合中に、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方の係止機能部の遠位端と係合するように構成された、少なくとも1つのキャッチの近位端の第1の表面と、ピストンからのプランジャの係合解除中に、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方の係止機能部の近位端と係合するように構成された、少なくとも1つのキャッチの遠位端の第2の表面と、を有する、条項1から8のいずれか一項に記載のプランジャ。
【0056】
条項10.少なくとも1つのキャッチは、中央長手方向軸に向かう方向に少なくとも1つの保持部材の内表面から径方向内向きに突出している、条項1から9のいずれか一項に記載のプランジャ。
【0057】
条項11.少なくとも1つのキャッチは、中央長手方向軸から離れる方向に少なくとも1つの保持部材の外表面から径方向外向きに突出している、条項1から10のいずれか一項に記載のプランジャ。
【0058】
条項12.少なくとも1つのキャッチは、プランジャがピストンに接続されたときにプランジャ係合機構の少なくとも一部を受容するための係止凹部を画定する、条項1から11のいずれか一項に記載のプランジャ。
【0059】
条項13.少なくとも1つのキャッチは、中央長手方向軸に向かう方向に少なくとも1つの保持部材の内表面から径方向内向きに突出し、少なくとも1つのキャッチは、プランジャがピストンとの係止状態にあるときに、プランジャ係合ポストの外表面から径方向内向きに突出する係止溝として成形され得る係止機能部内に受容されるように構成されている、条項1から12のいずれか一項に記載のプランジャ。
【0060】
条項14.プランジャ本体は、遠位端に円錐形状部分を有し、近位端に円筒形状部分を有する、条項1から13のいずれか一項に記載のプランジャ。
【0061】
条項15.少なくとも1つの保持部材は、円錐形状部分の内表面から近位に突出している、条項14に記載のプランジャ。
【0062】
条項16.円筒形状部分の内表面から径方向内向きに、または円筒形状部分の内表面から近位に突出している複数の解放タブをさらに備え、複数の解放タブの各々は、中央長手方向軸の周りのプランジャの回転時にピストンからのプランジャの解放を引き起こすためにプランジャ係合スリーブと相互作用するように構成されている、条項14または15に記載のプランジャ。
【0063】
条項17.複数の解放タブの各々の近位端は尖ったガイド面を有する、条項16に記載のプランジャ。
【0064】
条項18.プランジャ本体の遠位面の少なくとも一部を覆い、プランジャ本体の周方向側壁の少なくとも一部の周りに設けられたシールを備えるプランジャカバーをさらに備える、条項1から17のいずれか一項に記載のプランジャ。
【0065】
条項19.プランジャは、シリンジのバレル内に摺動可能に配置されるように構成されている、条項1から18のいずれか一項に記載のプランジャ。
【0066】
条項20.プランジャは、シリンジのバレル内で往復移動するように構成されている、条項19に記載のプランジャ。
【0067】
条項21.流体注入器システムであって、ピストンヘッドを有する少なくとも1つの往復動作可能なピストンと、ピストンヘッドに関連付けられ、少なくとも1つのピストンの移動によってシリンジ内のプランジャを往復駆動するために流体注入器システムに接続されたシリンジのプランジャと係合するように構成された、プランジャ係合機構であって、プランジャ係合機構は、中空体を有するプランジャ係合スリーブと、プランジャ係合スリーブの中空体に受容可能なプランジャ係合ポストと、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方に動作可能に接続され、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を係合位置と係合解除位置との間で移動させるように構成されたアクチュエータと、を備える、プランジャ係合機構と、を備え、係合位置では、プランジャ係合ポストは、プランジャ係合カラーとプランジャ係合ポストとの間の受容空間内にプランジャに関連付けられた少なくとも1つの弾力的可撓性保持部材を捕捉するためにプランジャ係合スリーブの中空体内に配置され、係合解除位置では、プランジャ係合ポストは、受容空間からのプランジャの少なくとも1つの弾力的可撓性保持部材の柔軟な挿入または取り外しを許容するために、プランジャ係合スリーブの中空体の少なくとも部分的に外側に配置されている、流体注入器システム。
【0068】
条項22.アクチュエータは、回転電動モータ、リニア電動モータ、リニアアクチュエータ、またはソレノイドである、条項21に記載の流体注入器システム。
【0069】
条項23.アクチュエータは手動で操作される、条項21に記載の流体注入器システム。
【0070】
条項24.アクチュエータは、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を係合位置に移動させるための係合状態と、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を係合解除位置に移動させるための係合解除状態と、を有する、条項21から23のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0071】
条項25.アクチュエータは、アクチュエータへの電力損失中に動的に係合解除状態に移動される、条項21から24のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0072】
条項26.アクチュエータは、少なくとも1つのピストンの近位移動中にのみ係合状態にある、条項21から25のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0073】
条項27.アクチュエータを係合状態から係合解除状態に移動させるための少なくとも1つの付勢要素をさらに備える、条項21から26のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0074】
条項28.アクチュエータの回転運動は、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を直線方向に近位または遠位に移動させる、条項21から27のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0075】
条項29.アクチュエータの直線運動は、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を直線方向に近位または遠位に移動させる、条項21から28のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0076】
条項30.アクチュエータは、アクチュエータの作動を制御するように構成されたコントローラに動作可能に接続されている、条項21から29のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0077】
条項31.プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方は、ピストンに対して直線的または回転的に移動可能であり、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの他方は、ピストンに対して静止している、条項21から30のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0078】
条項32.プランジャ係合ポストおよびプランジャ係合カラーは、ピストンに対して直線的または回転的に移動可能である、条項21から31のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0079】
条項33.係合位置と係合解除位置との間でプランジャ係合カラーおよびプランジャ係合ポストの少なくとも一方の位置を検出するように構成された、少なくとも1つのセンサをさらに備える、条項21から32のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0080】
条項34.プランジャ係合カラーとプランジャ係合ポストとの間の受容空間におけるプランジャの少なくとも1つの保持部材の存在を検出するように構成されたプランジャ検出センサをさらに備える、条項21から33のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0081】
条項35.プランジャ係合スリーブの中空体は、プランジャ係合スリーブの遠位端からプランジャ係合スリーブの近位端への方向に減少する段付き内径を有する開口部を有する、条項21から34のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0082】
条項36.プランジャ係合ポストは、プランジャ係合ポストの外表面から径方向内向きに突出する係止溝を備え、係止溝は、プランジャの少なくとも1つの保持部材上に少なくとも1つのキャッチを受容するように構成されている、条項21から35のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0083】
条項37.係止溝の遠位縁部は、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方が係合解除位置に移動されるときに、係止溝との係合から外すように少なくとも1つの保持部材の少なくとも1つのキャッチを移動させるために、ピストンに対するプランジャの軸方向移動中に、プランジャの少なくとも1つの保持部材を柔軟に偏向させるように構成されている、条項36に記載の流体注入器システム。
【0084】
条項38.プランジャ係合ポストは、プランジャ係合ポストの遠位端からプランジャ係合ポストの近位端への方向に減少する段付き外径を有する本体を有する、条項21から37のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0085】
条項39.プランジャ係合カラーは、プランジャ係合カラーの内表面から径方向内向きに突出する係止機能部を備え、係止機能部は、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方が係合位置に移動されるときにプランジャの少なくとも1つの保持部材上の少なくとも1つのキャッチと係合するように構成されている、条項21から38のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0086】
条項40.係止機能部は、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方が係合解除位置に移動されるときに、係止機能部との係合から外すように少なくとも1つの保持部材の少なくとも1つのキャッチを移動させるために、ピストンに対するプランジャの軸方向移動中に、プランジャの少なくとも1つの保持部材を柔軟に偏向させるように構成されている、条項39に記載の流体注入器システム。
【0087】
条項41.シリンジであって、バレル近位端、吐出ノズルを有するバレル遠位端、およびバレル近位端とバレル遠位端との間に延在するバレル側壁を有するバレルを備えるシリンジと、バレル内に摺動可能に設けられ、バレル近位端とバレル遠位端との間で往復移動可能なプランジャと、をさらに備える、条項21から39のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0088】
条項42.プランジャは、中央長手方向軸を画定し、近位端、遠位端、および近位端と遠位端とを接続する周方向側壁を有するプランジャ本体と、プランジャ本体に関連付けられ、そこから近位に延在する少なくとも1つの保持部材と、を備える、条項41に記載の流体注入器システム。
【0089】
条項43.少なくとも1つの保持部材は、プランジャ本体に接続された第1の端部と、第1の端部の近位にあり、第1の端部に対して径方向に弾力的に偏向可能な第2の端部と、第2の端部上の少なくとも1つのキャッチと、を備え、少なくとも1つの保持部材は、プランジャがピストンと係合されるときにプランジャ係合スリーブと係合するように構成された外表面を有し、少なくとも1つの保持部材は、プランジャがピストンと係合されるときにプランジャ係合ポストと係合するように構成された内表面を有し、少なくとも1つのキャッチは、ピストンに対するプランジャの軸方向移動を防止するためにプランジャがピストンと係合されるときに、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方の係止機能部と係合するように構成され、少なくとも1つのキャッチは、係止機能部との少なくとも1つのキャッチの接触によるプランジャの係合解除状態におけるプランジャに対するピストンの軸方向移動時に、少なくとも1つの保持部材の第2の端部を径方向に偏向させるように構成されている、条項41または42に記載の流体注入器システム。
【0090】
条項44.プランジャは、流体注入器のピストンに対するプランジャの角度配向にかかわらず、プランジャ係合機構と係合するように構成されている、条項41から43のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0091】
条項45.少なくとも1つのキャッチは、中央長手方向軸に向かう方向に少なくとも1つの保持部材の内表面から径方向内向きに突出し、少なくとも1つのキャッチは、プランジャがピストンとの係止状態にあるときに、プランジャ係合ポストの外表面から径方向内向きに突出する係止溝として成形され得る係止機能部内に受容されるように構成されている、条項41から44のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0092】
条項46.少なくとも1つのキャッチは、中央長手方向軸に向かう方向に少なくとも1つの保持部材の内表面から径方向内向きに突出するか、または少なくとも1つのキャッチは、中央長手方向軸から離れる方向に少なくとも1つの保持部材の外表面から径方向外向きに突出している、条項41から45のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0093】
条項47.プランジャ本体は、遠位端に円錐形状部分を有し、近位端に円筒形状部分を有する、条項41から46のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0094】
条項48.少なくとも1つの保持部材は、円錐形状部分の内表面から近位に突出している、条項47に記載の流体注入器システム。
【0095】
条項49.円筒形状部分の内表面から径方向内向きに突出している複数の解放タブをさらに備え、複数の解放タブの各々は、中央長手方向軸の周りのプランジャの回転時にピストンからのプランジャの解放を引き起こすためにプランジャ係合スリーブと相互作用するように構成されている、条項47または48に記載の流体注入器システム。
【0096】
条項50.複数の解放タブの各々の近位端は尖ったガイド面を有する、条項49に記載の流体注入器システム。
【0097】
条項51.流体注入器システムであって、ピストンヘッドを有する少なくとも1つの往復動作可能なピストンと、ピストンヘッドに関連付けられ、少なくとも1つのピストンの移動によってシリンジ内でプランジャを往復駆動するために流体注入器システムに接続されたシリンジのプランジャと係合するように構成された、プランジャ係合機構であって、プランジャ係合機構は、長手方向軸を有する中空体を有するプランジャ係合スリーブと、プランジャ係合スリーブの中空体に受容可能であって、係合位置と係合解除位置との間でプランジャ係合スリーブに対して軸方向に移動可能なプランジャ係合ポストと、を備える、プランジャ係合機構と、を備え、プランジャ係合スリーブは、第1の位置と第2の位置との間で長手方向軸の周りで回転可能であり、プランジャ係合ポストは、プランジャ係合スリーブの回転を介して係合位置から係合解除位置まで長手方向軸に沿って軸方向に移動可能である、流体注入器システム。
【0098】
条項52.プランジャ係合ポストは、ピストンの近位端からピストンの遠位端に向かって軸方向に移動可能である、条項51に記載の流体注入器システム。
【0099】
条項53.プランジャ解放スリーブは、中空体の外表面から径方向外向きに突出する複数のプランジャ解放歯を備える、条項51または52に記載の流体注入器システム。
【0100】
条項54.複数のプランジャ解放歯は、プランジャ長手方向軸の周りのプランジャの回転が、長手方向軸の周りのプランジャ係合スリーブの回転を引き起こすように、プランジャ上の複数の解放タブと係合するように構成されている、条項53に記載の流体注入器システム。
【0101】
条項55.プランジャ係合スリーブの少なくとも一部を取り囲むプランジャ解放スリーブをさらに備え、プランジャ解放スリーブは、プランジャ係合スリーブの回転と共に長手方向軸の周りで回転するように構成されている、条項51から54のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0102】
条項56.プランジャ解放スリーブは、プランジャ解放スリーブの遠位端からプランジャ解放スリーブの近位端に向かう方向で長手方向軸の方向に対して傾斜した傾斜面を有する開口部を備える、条項51から55のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0103】
条項57.プランジャ係合ポストは、長手方向軸に垂直な方向に延在する案内ピンを有し、案内ピンは、プランジャ解放スリーブの開口部に受容される、条項56に記載の流体注入器システム。
【0104】
条項58.プランジャ係合スリーブの回転は、プランジャ解放スリーブの対応する回転を引き起こし、案内ピンは、傾斜面の近位端から遠位端に向かって傾斜面に沿って案内され、これによってプランジャ係合ポストを係合位置から係合解除位置に移動させる、条項57に記載の流体注入器システム。
【0105】
条項59.プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストに動作可能に接続された付勢部材をさらに備える、条項51から58のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0106】
条項60.付勢部材は、プランジャ係合スリーブを第1の位置に付勢するように構成されている、条項59に記載の流体注入器システム。
【0107】
条項61.プランジャ係合ポストに動作可能に接続され、係合位置と係合解除位置との間でプランジャ係合ポストを移動させるように構成されたアクチュエータをさらに備える、条項51から60のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0108】
条項62.係合位置では、プランジャ係合ポストは、プランジャ係合スリーブの中空体内に配置され、プランジャ係合カラーとプランジャ係合ポストとの間の受容空間内にプランジャに関連付けられた少なくとも1つの弾力的可撓性保持部材を捕捉するように構成されており、係合解除位置では、プランジャ係合ポストは、受容空間からのプランジャの少なくとも1つの弾力的可撓性保持部材の柔軟な挿入または取り外しを許容するために、プランジャ係合スリーブの中空体の少なくとも部分的に外側に配置されている、条項61に記載の流体注入器システム。
【0109】
条項63.アクチュエータは、回転電動モータ、リニア電動モータ、リニアアクチュエータ、またはソレノイドである、条項61または62に記載の流体注入器システム。
【0110】
条項64.アクチュエータは手動で操作される、条項61から63のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0111】
条項65.アクチュエータは、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を係合位置に移動させるための係合状態と、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を係合解除位置に移動させるための係合解除状態と、を有する、条項61から63のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0112】
条項66.アクチュエータは、アクチュエータへの電力損失中に動的に係合解除状態に移動される、条項61から65のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0113】
条項67.アクチュエータは、少なくとも1つのピストンの近位移動中にのみ係合状態にある、条項61から66のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0114】
条項68.アクチュエータを係合状態から係合解除状態に移動させるための少なくとも1つの付勢要素をさらに備える、条項61から67のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0115】
条項69.アクチュエータの回転運動は、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を直線方向に近位または遠位に移動させる、条項61から68のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0116】
条項70.アクチュエータの直線運動は、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を直線方向に近位または遠位に移動させる、条項61から69のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0117】
条項71.アクチュエータは、アクチュエータの作動を制御するように構成されたコントローラに動作可能に接続されている、条項61から70のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0118】
条項72.係合位置と係合解除位置との間でプランジャ係合カラーおよびプランジャ係合ポストの少なくとも一方の位置を検出するように構成された少なくとも1つのセンサをさらに備える、条項51から71のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0119】
条項73.プランジャ係合カラーとプランジャ係合ポストとの間の受容空間におけるプランジャの少なくとも1つの保持部材の存在を検出するように構成されたプランジャ検出センサをさらに備える、条項51から72のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0120】
条項74.プランジャ係合スリーブの中空体は、プランジャ係合スリーブの遠位端からプランジャ係合スリーブの近位端への方向に減少する段付き内径を有する開口部を有する、条項51から73のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0121】
条項75.プランジャ係合ポストは、プランジャ係合ポストの外表面から径方向内向きに突出する係止溝を備え、係止溝は、プランジャの少なくとも1つの保持部材上に少なくとも1つのキャッチを受容するように構成されている、条項51から74のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0122】
条項76.係止溝の遠位縁部は、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方が係合解除位置に移動されるときに、係止溝との係合から外すように少なくとも1つの保持部材の少なくとも1つのキャッチを移動させるために、ピストンに対するプランジャの軸方向移動中に、プランジャの少なくとも1つの保持部材を柔軟に偏向させるように構成されている、条項75に記載の流体注入器システム。
【0123】
条項77.シリンジであって、バレル近位端、吐出ノズルを有するバレル遠位端、およびバレル近位端とバレル遠位端との間に延在するバレル側壁を有するバレルを備えるシリンジと、バレル内に摺動可能に設けられ、バレル近位端とバレル遠位端との間で往復移動可能なプランジャとをさらに備える、条項51から76のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0124】
条項78.プランジャは、中央長手方向軸を画定し、近位端、遠位端、および近位端と遠位端とを接続する周方向側壁を有するプランジャ本体と、プランジャ本体に関連付けられ、そこから近位に延在する少なくとも1つの保持部材と、を備える、条項77に記載の流体注入器システム。
【0125】
条項79.少なくとも1つの保持部材は、プランジャ本体に接続された第1の端部と、第1の端部の近位にあり、第1の端部に対して径方向に弾力的に偏向可能な第2の端部と、第2の端部上の少なくとも1つのキャッチと、を備え、少なくとも1つの保持部材は、プランジャがピストンと係合されるときにプランジャ係合スリーブと係合するように構成された外表面を有し、少なくとも1つの保持部材は、プランジャがピストンと係合されるときにプランジャ係合ポストと係合するように構成された内表面を有し、少なくとも1つのキャッチは、ピストンに対するプランジャの軸方向移動を防止するためにプランジャがピストンと係合されるときに、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方の係止機能部と係合するように構成され、少なくとも1つのキャッチは、係止機能部との少なくとも1つのキャッチの接触によるプランジャの係合解除状態におけるプランジャに対するピストンの軸方向移動時に、少なくとも1つの保持部材の第2の端部を径方向に偏向させるように構成されている、条項77または78に記載の流体注入器システム。
【0126】
条項80.プランジャは、流体注入器のピストンに対するプランジャの角度配向にかかわらず、プランジャ係合機構と係合するように構成されている、条項77から79のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0127】
条項81.少なくとも1つのキャッチは、中央長手方向軸に向かう方向に少なくとも1つの保持部材の内表面から径方向内向きに突出し、少なくとも1つのキャッチは、プランジャがピストンとの係止状態にあるときに、プランジャ係合ポストの外表面から径方向内向きに突出する係止溝として成形され得る係止機能部内に受容されるように構成されている、条項77から80のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0128】
条項82.少なくとも1つのキャッチは、中央長手方向軸に向かう方向に少なくとも1つの保持部材の内表面から径方向内向きに突出するか、または少なくとも1つのキャッチは、中央長手方向軸から離れる方向に少なくとも1つの保持部材の外表面から径方向外向きに突出している、条項77から81のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0129】
条項83.少なくとも1つのキャッチは、プランジャがピストンに接続されたときにプランジャ係合機構の少なくとも一部を受容するための係止凹部を画定する、条項77から82のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0130】
条項84.プランジャ本体は、遠位端に円錐形状部分を有し、近位端に円筒形状部分を有する、条項77から83のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0131】
条項85.少なくとも1つの保持部材は、円錐形状部分の内表面から近位に突出している、条項84に記載の流体注入器システム。
【0132】
条項86.円筒形状部分の内表面から径方向内向きに、または円筒形状部分の内表面から近位に突出している複数の解放タブをさらに備え、複数の解放タブの各々は、中央長手方向軸の周りのプランジャの回転時にピストンからのプランジャの解放を引き起こすためにプランジャ係合スリーブと相互作用するように構成されている、条項84または85に記載の流体注入器システム。
【0133】
条項87.前記複数の解放タブの各々の近位端は尖ったガイド面を有する、条項86に記載の流体注入器システム。
【0134】
シリンジ、シリンジプランジャ、圧力ジャケット、およびシリンジおよび/またはシリンジプランジャを有するシステム、ならびに構造体の関連要素の動作方法および機能ならびに部品と製造経済性との組み合わせのこれらおよびその他の特徴および特性は、添付図面を参照して以下の説明および添付請求項を検討すればより明らかになるが、これらのすべては本明細書の一部を形成するものであり、様々な図において類似の参照番号は対応する部品を指定する。しかしながら、図面が例示および説明のみを目的とすることは、明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【
図1】本開示の一実施形態による流体注入器システムの斜視図である。
【
図3】本開示の別の実施形態による流体注入器システムの斜視図である。
【
図4】本開示の一実施形態による流体注入器システムのコントローラの概略図である。
【
図5A】本開示の一実施形態によるシリンジの斜視図である。
【
図5B】シリンジのバレル内に配置されたプランジャを示す、
図5Aのシリンジの断面図である。
【
図6】本開示の一実施形態によるプランジャの分解斜視図である。
【
図7】
図6のプランジャの支持リングの断面斜視図である。
【
図8A】本開示の別の実施形態によるプランジャの支持リングの断面斜視図である。
【
図8B】本開示の別の実施形態によるプランジャの支持リングの断面斜視図である。
【
図8C】本開示の別の実施形態によるプランジャの支持リングの断面斜視図である。
【
図9】本開示の一実施形態によるプランジャ係合機構のピストンの断面斜視図である。
【
図10A】
図9に示されるプランジャ係合機構のプランジャ係合スリーブの斜視図である。
【
図11A】
図9に示されるプランジャ係合機構のアクチュエータおよびプランジャ解放スリーブの斜視図である。
【
図11B】
図11Aに示されるアクチュエータおよびプランジャ解放スリーブの断面図である。
【
図13A】
図9のピストンおよびプランジャ係合機構の動作の断面斜視図である。
【
図13B】
図9のピストンおよびプランジャ係合機構の動作の断面斜視図である。
【
図13C】
図9のピストンおよびプランジャ係合機構の動作の断面斜視図である。
【
図13D】
図9のピストンおよびプランジャ係合機構の動作の断面斜視図である。
【
図13E】
図9のピストンおよびプランジャ係合機構の動作の断面斜視図である。
【
図13F】
図9のピストンおよびプランジャ係合機構の動作の断面斜視図である。
【
図13G】
図9のピストンおよびプランジャ係合機構の動作の断面斜視図である。
【
図13H】
図9のピストンおよびプランジャ係合機構の動作の断面斜視図である。
【
図13I】
図9のピストンおよびプランジャ係合機構の動作の断面斜視図である。
【
図13J】
図9のピストンおよびプランジャ係合機構の動作の断面斜視図である。
【
図14A】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構のピストンの動作の断面図である。
【
図14B】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構のピストンの動作の断面図である。
【
図14C】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構のピストンの動作の断面図である。
【
図18A】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構のピストンの動作の断面斜視図である。
【
図18B】
図18Aに示されるプランジャ係合機構のプランジャ係合ポストの斜視図である。
【
図19】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構を有する流体注入器システムのピストンの斜視図である。
【
図22A】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構の動作の断面図である。
【
図22B】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構の動作の断面図である。
【
図22C】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構の動作の断面図である。
【
図22D】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構の動作の断面図である。
【
図22E】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構の動作の断面図である。
【
図23A】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構の動作のピストンの断面図である。
【
図23B】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構の動作のピストンの断面図である。
【
図23C】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構の動作のピストンの断面図である。
【
図23D】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構の動作のピストンの断面図である。
【
図23E】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構の動作のピストンの断面図である。
【
図23F】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構の動作のピストンの断面図である。
【
図23G】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構の動作のピストンの断面図である。
【
図24A】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構を有するピストンの斜視図である。
【
図25A】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構の動作のピストンの断面図である。
【
図25B】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構の動作のピストンの断面図である。
【
図26】本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構を有する流体注入器システムのピストンの断面斜視図である。
【
図27A】
図26のプランジャ係合機構のプランジャ係合スリーブの斜視図である。
【
図27B】
図26のプランジャ係合機構のプランジャ係合スリーブの断面斜視図である。
【
図28】
図26のプランジャ係合機構のプランジャ解放スリーブの斜視図である。
【
図29】
図26に示されるプランジャ係合機構のプランジャ係合ポストの断面斜視図である。
【
図30A】プランジャの係合中のある段階でプランジャ係合機構が示されている、
図26のピストンおよびプランジャ係合機構の係合動作の断面斜視図である。
【
図30B】プランジャの係合中のある段階でプランジャ係合機構が示されている、
図26のピストンおよびプランジャ係合機構の係合動作の断面斜視図である。
【
図30C】プランジャの係合中のある段階でプランジャ係合機構が示されている、
図26のピストンおよびプランジャ係合機構の係合動作の断面斜視図である。
【
図30D】プランジャの係合中のある段階でプランジャ係合機構が示されている、
図26のピストンおよびプランジャ係合機構の係合動作の断面斜視図である。
【
図31A】プランジャの係合解除中のある段階でプランジャ係合機構が示されている、
図26のピストンおよびプランジャ係合機構の係合解除動作の断面斜視図である。
【
図31B】プランジャの係合解除中のある段階でプランジャ係合機構が示されている、
図26のピストンおよびプランジャ係合機構の係合解除動作の断面斜視図である。
【
図31C】プランジャの係合解除中のある段階でプランジャ係合機構が示されている、
図26のピストンおよびプランジャ係合機構の係合解除動作の断面斜視図である。
【
図31D】プランジャの係合解除中のある段階でプランジャ係合機構が示されている、
図26のピストンおよびプランジャ係合機構の係合解除動作の断面斜視図である。
【
図32】本開示の別の実施形態による流体注入器および圧力ジャケットを含むシステムの上面図である。
【
図34】本開示の別の実施形態による1対の圧力ジャケットの斜視図である。
【
図35A】本開示の別の実施形態によるシリンジキャップの斜視図である。
【
図35B】本開示の別の実施形態によるシリンジアセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0136】
以下の説明の目的のために、用語「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「底部」、「横」、「縦」、およびこれらの派生語は、図面に示されるように本開示に関連するものとする。「左」、「右」、「内側」、「外側」、「上」、「下」など、空間的または方向的な用語は、本明細書に記載される実施形態が様々な代替的配向を想定できるため、限定的と見なされるべきではない。
【0137】
本明細書で使用される際に、単数形の「a」、「an」、および「the」は、別途文脈が明確に指示しない限りにおいて、複数の指示対象を含む。明細書および請求項で使用されるすべての数は、すべての事例において用語「約」によって修正されるものとして理解されるべきである。用語「およそ(approximately)」、「約(about)」、および「実質的に(substantially)」は、記載された値のプラスまたはマイナス10パーセントの範囲を意味する。
【0138】
別途指示されない限り、本明細書に開示されるすべての範囲または比は、開始値および終了値ならびにこれらに包含されるありとあらゆる部分範囲または部分比を包含すると理解されるべきである。例えば、「1から10」と記載された範囲または比は、最小値1と最大値10との間の(およびこれらを含む)ありとあらゆる部分範囲または部分比、すなわち、最小値1以上から始まって最大値10以下で終わるすべての部分範囲または部分比含むと見なされるべきである。本明細書に開示される範囲および/または比は、指定された範囲および/または比にわたる平均値を表す。
【0139】
本明細書で使用される際に、用語「少なくとも1つ」は「1つ以上」と同義である。例えば「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」という語句は、A、B、およびCのいずれか1つ、またはA、B、およびCのいずれか2つ以上の任意の組み合わせを意味する。例えば、「少なくともA、B、およびC」は、Aの1つ以上のみ、またはBの1つ以上のみ、またはCの1つ以上のみ、またはAの1つ以上およびBの1つ以上、またはAの1つ以上およびCの1つ以上、またはBの1つ以上およびCの1つ以上、またはA、B、およびCのすべての1つ以上を含む。同様に、本明細書で使用される際に、用語「少なくとも2つ」は「2つ以上」と同義である。例えば、「D、E、およびFのうちの少なくとも2つ」という語句は、D、E、およびFのいずれか2つ以上の任意の組み合わせを意味する。例えば、「D、E、およびFのうちの少なくとも2つ」は、Dの1つ以上およびEの1つ以上、Dの1つ以上およびFの1つ以上、Eの1つ以上およびFの1つ以上、またはD、E、およびFのすべての1つ以上を含む。
【0140】
「第1」、「第2」などの用語は、特定の順序または時系列を指すものではなく、異なる条件、特性、または要素を指すように意図される。本明細書で言及されるすべての文書は、その全体が「参照により組み込まれる」。用語「少なくとも」は、「以上」と同義である。用語「より多くない」は、「以下」と同義である。
【0141】
本開示は、そうではないと明確に指定された場合を除き、代替の変形形態およびステップシーケンスを想定し得ることは、理解されるべきである。添付図面に示されて以下の明細書に記載される特定のデバイスおよびプロセスは、本開示の単なる例示的な態様であることもまた、理解されるべきである。したがって、本明細書に開示される例に関する特定の寸法およびその他の物理的特性は、限定的であると見なされるべきではない。
【0142】
本明細書で使用される際に、用語「平行」または「実質的に平行」は、列挙された値を含めて、0°から5°、または0°から3°、または0°から2°、または0°から1°、または0°から0.5°、または0°から0.25°、または0°から0.1°である、長尺の物体などの2つの物体(理論上の交点まで伸長される場合)の間の基準線を含む相対角度を意味する。
【0143】
本明細書で使用される際に、用語「垂直」または「実質的に垂直」は、それらの実際のまたは理論上の交点における2つの物体間の相対角度が、列挙された値を含めて、85°から90°、または87°から90°、または88°から90°、または89°から90°、または89.5°から90°、または89.75°から90°、または89.9°から90°であることを意味する。
【0144】
流体リザーバ、シリンジ、圧力ジャケット、または流体ラインなどの流体送達システムのコンポーネントに関連して使用されるとき、用語「遠位」は、患者に最も近い前記コンポーネントの部分を指す。流体リザーバ、シリンジ、圧力ジャケット、または流体ラインなどの注入器システムのコンポーネントに関連して使用されるとき、用語「近位」は、注入器システムの注入器に最も近い前記コンポーネントの部分(すなわち、患者から最も遠い前記コンポーネントの部分)を指す。流体ラインなどの流体送達システムのコンポーネントに関連して使用されるとき、用語「上流」は、患者から離れて注入器システムの注入器に向かう方向を指す。例えば、第1のコンポーネントが第2のコンポーネントの「上流」にあると言及される場合、第1のコンポーネントは、注入器に対して第2のコンポーネントよりも近くに位置している。流体ラインなどの流体送達システムのコンポーネントに関連して使用されるとき、用語「下流」は、患者に向かって流体送達システムの注入器から離れる方向を指す。例えば、第1のコンポーネントが第2のコンポーネントの「下流」にあると言及される場合、第1のコンポーネントは、患者に対して第2のコンポーネントよりも近くに位置している。
【0145】
ピストンに関連付けられたプランジャ係合機構の1つ以上のコンポーネントなどの流体送達システムのコンポーネントの運動に関連して使用されるとき、用語「自動」または「自動的に」は、手動の支援を伴わない1つ以上のコンポーネントの運動を指す。
【0146】
本明細書に記載されるシステムおよび装置は、コンピュータ断層撮影(CT)造影剤注入システム、血管造影検査(CV)造影剤注入システム、陽電子放出断層撮影法(PET)造影剤注入システム、および磁気共鳴画像法(MRI)造影剤注入システムを参照しているが、他の加圧注入プロトコルもまた、流体注入器のピストンにシリンジプランジャを固定するための本明細書に記載される様々な実施形態を組み込むことができる。
【0147】
いくつかの図にわたって類似の参照符号が類似の部分を指す図面を参照して、本開示は概して、シリンジプランジャ、および流体注入器のピストンにシリンジプランジャを接続するための接続インターフェースを対象とする。様々な実施形態は、ピストンに接続され、そこから切り離され得るシリンジプランジャを対象とする。様々な実施形態では、このようなピストンは、手動で、機械的に、液圧的に、または電気的に作動され得る。さらに、本開示は、ピストンに対するプランジャの特定の回転配向または位置合わせを伴わずに、シリンジプランジャをピストンに係合し、および/またはそこから切り離すための迅速で容易な解決策を提供する。例えば、ピストンは、本明細書でより詳細に説明されるように、ピストンの長手方向軸に対するその長手方向軸の周りのプランジャの配向にかかわらず、プランジャと係合するまで前方に前進させられてもよい。加えて、ピストンがプランジャに取り付けられ得るとき、例えば、ピストンに対するその長手方向軸の周りの、シリンジの回転によるプランジャの単純な回転は、2つの要素の分離を引き起こすことがある。別の実施形態では、プランジャに対するピストンの係合および係合解除は、流体注入プロトコルの開始および完了中などに、プログラムされた注入プロトコルの一部として自動的に、またはユーザによって開始されて、例えば流体注入器コントローラへのユーザ入力によって、流体注入器コントローラによって実行されてもよい。さらなる実施形態または態様では、本開示はまた、概して圧力ジャケットおよび圧力ジャケット用のキャップを対象とし、圧力ジャケットを流体注入器に、および/または圧力ジャケットのキャップを圧力ジャケット自体に接続するために、シリンジプランジャを流体注入器のピストンに接続するための同じ接続インターフェースが使用され得る。
【0148】
図1を参照すると、自動または動力付き流体注入器などの流体注入器システム10(以下、「注入器10」と呼ばれる)の非限定的な例は、少なくとも1つのシリンジ12および対応するプランジャ26と相互作用してこれらを作動させるように適合され、これらの各々は、造影媒体、生理食塩水、または任意の所望の医療用流体などの医療用流体Fで独立して充填されてもよい。注入器10は、少なくとも1つのピストン13(
図2に示される)などの少なくとも1つの駆動部材で少なくとも1つのシリンジ12のプランジャ26を駆動することによって患者の体内に医療用流体を注入するために、医療処置中に使用され得る。注入器10はマルチシリンジ注入器であってもよく、いくつかのシリンジ12が横並びまたは他の関係性で配向されてもよく、注入器10に関連付けられたそれぞれのピストン13によって別々に作動されるプランジャ26を含むことができる。2つのシリンジが横並びで配置され、2つの異なる医療用流体で充填される実施形態では、注入器10は、シリンジ12の一方または両方から流体を送達することができる。
【0149】
注入器10は、プラスチックまたは金属などの適切な構造材料から形成されたハウジング14内に封入されてもよい。ハウジング14は、所望の用途に応じて、様々な形状およびサイズであってもよい。注入器10は、少なくとも1つのシリンジ12をそれぞれのピストン13(
図2)に接続するための少なくとも1つのシリンジポート16を含む。
【0150】
少なくとも1つの流体経路セット17は、少なくとも1つのシリンジ12から血管アクセス部位で患者に挿入されたカテーテル、針、またはその他の流体送達接続部(図示略)に医療用流体Fを送達するために、少なくとも1つのシリンジ12と流体的に接続され得る。少なくとも1つのシリンジ12からの流体流は、コントローラ200(
図2)によって調整され得る。コントローラ200は、ユーザが選択した注入パラメータに基づいて、生理食塩水および造影剤などの医療用流体の患者への送達を調整するために、様々なピストン、ピストン機械コンポーネント(プランジャとのピストンの係合および係合解除のためのコンポーネントなど)、弁、および/または流量調整構造を動作させることができる。
図1~
図2を参照して本明細書に記載される流体注入器と係合されたシリンジのプランジャを係合および解放可能に保持するための、少なくとも1つのシリンジおよび少なくとも1つのピストンを含む上述のシステムと共に使用するために修正され得る適切なフロントローディング流体注入器の一態様は、特許文献1に開示されており、本システムと共に使用するために修正され得る関連する多流体送達システムの別の態様は、特許文献2、特許文献3、国際出願US2012/037491号明細書、および特許文献4に見出され、その各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。他の実施形態は、本明細書に記載される注入器10のピストン13とシリンジ12のプランジャ26との間の接続インターフェースの様々な実施形態を含むように設計された、新しい流体注入器システムを含むことができる。
【0151】
図3を参照すると、デュアルシリンジ血管造影注入器システム100(以下、「注入器100」と呼ばれる)の代表的な実施形態が示されている。注入器100は、血管造影注入処置用の撮影造影媒体などの医療用流体のための第1の流体経路17A、および生理食塩水または乳酸リンゲル液などのフラッシング流体のための第2の流体経路17Bを通じて2つの医療用流体を注入するように構成されている。注入器100は、2つのシリンジ12と係合するように構成された2つのシリンジポート16を有する注入器ハウジング14を含むことができる。
【0152】
注入器ハウジング14は、それを通じて操作者が注入処理の状態を視認および制御することができる少なくとも1つのユーザインターフェース11をさらに含むことができる。ユーザインターフェース11は、ユーザインターフェース11との間でコマンドを送受信するコントローラ(本明細書に記載されるコントローラ200と同様、
図2)と動作可能に通信することができる。
【0153】
注入器100は、第1の流体経路17Aおよび第2の流体経路17Bの空気検出管領域250内の1つ以上の気泡を検出するための少なくとも1つの上流空気検出器240をさらに含むことができる。空気検出管領域250は、例えば、第1の流体経路17Aおよび第2の流体経路17Bの近位部分に関連付けられてもよい。少なくとも1つの空気検出器240は、流体経路内の1つ以上の気泡を検出するように構成された、超音波センサ、光センサなどを含むことができる。
【0154】
引き続き
図3を参照すると、注入器100は、それぞれのシリンジ12に撮影造影媒体およびフラッシング流体をそれぞれ充填および再充填するためのバルク流体容器19Aおよび19Bをさらに含むことができる。バルク流体容器19Aおよび19Bは、それぞれのバルク流体経路21Aおよび21Bならびにバルク流体弁23Aおよび23Bを介してシリンジ12と選択的に流体連通することができる。
【0155】
シリンジ、コントローラ、および空気検出器を含む適切な非限定的電動注入器システムのさらなる詳細および例は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献5、特許文献6、および特許文献7に記載されており、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。注入器100は、本明細書ではデュアルシリンジ血管造影(CV)注入器の文脈で説明されているが、注入器100が、任意の注入処置(例えば、CT、PET、MRI、超音波など)の単一および複数シリンジ構成に適合され得ることは、理解されるべきである。
【0156】
注入器100は、シリンジ12の各々にそれぞれ関連付けられた、
図2において本明細書で説明されたピストン13と同様のピストンを含むことができる。各ピストンは、それぞれのシリンジ12のバレル内のそれぞれのプランジャを駆動するように構成される。CV血管造影検査に関連する高圧のため、シリンジ12は、シリンジの径方向の膨張を制御するために圧力ジャケット15に挿入され得る。コントローラは、シリンジ12内のプランジャを往復移動させ、これによって注入処置を実行するために、ピストンに動作可能に関連付けられる。
【0157】
コントローラは、各シリンジ12に関連付けられたピストンが、バルク流体容器19A、19Bからシリンジ12内に注入流体(例えば、撮影造影媒体およびフラッシング流体)を引き込むためにシリンジ12の近位端に向かって引き込まれる充填動作を実行するように、プログラムまたは構成されてもよい。このような充填動作中、コントローラは、適切な注入流体でのシリンジ12の充填を制御するために、バルク流体経路21Aおよび21Bを介してそれぞれのシリンジ12とバルク流体容器19A、19Bとの間の流体連通を確立するように、バルク流体弁23Aおよび23Bを選択的に作動させるようにプログラムまたは構成されてもよい。ファイリング動作、および任意選択的に(例えばバルク流体容器19A、19B内にまたはプライミングチューブを介してこのような空気をプライミングすることによって)シリンジ12から空気を除去するプライミング動作の完了時に、コントローラは、バルク流体経路17Aおよび17Bを介してそれぞれのシリンジ12とバルク流体容器19A、19Bとの間の流体連通を遮断するようにバルク流体弁23Aおよび23Bを選択的に作動させるように、プログラムまたは構成されてもよい。
【0158】
充填動作およびプライミング動作の後、コントローラは、シリンジ12の一方または両方に関連付けられたピストンが、注入流体を第1の流体経路17Aおよび第2の流体経路17B内に注入するためにシリンジ12の遠位端に向かって移動される、送達動作を実行するようにプログラムまたは構成されてもよい。コントローラは、流体経路17A、17Bを介して、シリンジ12と患者との間の流体連通を確立するように流体弁23Aおよび23Bを選択的に作動させるようにプログラムまたは構成されてもよい。様々な実施形態によれば、第1の流体経路17Aおよび第2の流体経路17Bは、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、国際出願US2021/019507号明細書および国際出願US2014/026324号明細書に記載される流体混合コネクタなど、第1の流体と第2の流体との間の乱流混合を提供する流体混合コネクタで合流してもよい。
【0159】
ここで
図4を参照すると、本開示の実施形態による、本明細書に記載されるシステムおよび方法を実装および実行するためのコントローラ200の一実施形態の例示的なコンポーネントの概略図が示されている。いくつかの実施形態では、コントローラ200は、
図4に示されるものに対して追加のコンポーネント、より少ないコンポーネント、異なるコンポーネント、または異なる配置のコンポーネントを含んでもよい。コントローラ200は、バス202、少なくとも1つのプロセッサ204、メモリ206、記憶コンポーネント208、入力コンポーネント210(
図3に示される、GUI、キーボード、または他のユーザインターフェース11など)、出力コンポーネント212(GUIまたは他のユーザインターフェース11など)、および通信インターフェース214(GUIまたは他のユーザインターフェース11など)を含むことができる。バス202は、コントローラ200のコンポーネント間の通信を許容するコンポーネントを含むことができる。いくつかの非限定的な実施形態では、少なくとも1つのプロセッサ204は、ハードウェア、ファームウェア、またはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせで実装されてもよい。例えば、少なくとも1つのプロセッサ204は、プロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、加速処理装置(APU)など)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、および/または機能を実行するようにプログラムされることが可能な任意の処理コンポーネント(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)など)を含むことができる。メモリ206は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、および/または少なくとも1つのプロセッサ204による使用のための情報および/または命令を記憶する他のタイプのダイナミックまたはスタティック記憶デバイス(例えば、フラッシュメモリ、磁気メモリ、光メモリなど)を含むことができる。
【0160】
記憶コンポーネント208は、コントローラ200の動作および使用に関連する情報および/またはソフトウェアを記憶することができる。例えば、記憶コンポーネント208は、ハードディスクおよび/または別のタイプのコンピュータ可読媒体を含むことができる。入力コンポーネント210は、ユーザ入力(例えば、GUI、タッチスクリーンディスプレイ、キーボード、キーパッド、マウス、ボタン、スイッチ、マイクロフォンなど)などを介して、コントローラ200が情報を受信することを許容するコンポーネントを含むことができる。追加的または代替的に、入力コンポーネント210は、情報を検知するためのセンサ(例えば、全地球測位システム(GPS)コンポーネント、加速度計、ジャイロスコープ、アクチュエータなど)を含んでもよい。出力コンポーネント212は、コントローラ200からの出力情報を提供するコンポーネント(例えば、GUI、ディスプレイ、スピーカ、1つ以上の発光ダイオード(LED)など)を含むことができる。通信インターフェース214は、有線接続、無線接続、または有線接続および無線接続の組み合わせなどを介して、コントローラ200が他のデバイスと通信することを可能にするトランシーバのようなコンポーネント(例えば、トランシーバ、別個の受信機および送信機など)を含むことができる。通信インターフェース214は、コントローラ200が別の装置から情報を受信すること、および/または情報を別のデバイスに提供することを許容することができる。入力コンポーネント210、出力コンポーネント212、および/または通信インターフェース214は、ユーザインターフェース11(
図3参照)に対応するか、またはそのコンポーネントであってもよい。
【0161】
コントローラ200は、メモリ206および/または記憶コンポーネント208などのコンピュータ可読媒体によって記憶されたソフトウェア命令を実行する少なくとも1つのプロセッサ204に基づいて、本明細書に記載される方法を実行することができる。コンピュータ可読媒体は、任意の非一時的なメモリデバイスを含むことができる。メモリデバイスは、単一の物理記憶デバイス内に位置するメモリ空間、または複数の物理記憶デバイスにわたって広がるメモリ空間を含む。ソフトウェア命令は、別のコンピュータ可読媒体から、または通信インターフェース214を介して別のデバイスから、メモリ206および/または記憶コンポーネント208に読み込まれてもよい。実行されると、メモリ206および/または記憶コンポーネント208に記憶されたソフトウェア命令は、本明細書に記載される1つ以上のプロセスをプロセッサ204に実行させることができる。追加的または代替的に、本明細書に記載される1つ以上のプロセスを実行するために、ソフトウェア命令の代わりに、またはこれと組み合わせて、ハードワイヤード回路が使用されてもよい。
【0162】
注入器10、100の全体的な構造および機能を説明してきたが、
図1~
図2の注入器10または
図3の注入器100と共に使用するように構成されたシリンジ300の非限定的な実施形態が、
図5A~
図5Bを参照してより詳細に説明される。シリンジ300は概して、ガラス、金属、または適切な医療用プラスチックから形成された円筒形のシリンジバレル318を有する。バレル318は、近位端320および遠位端324を有し、側壁319(
図5Bに示される)が、バレル318の中心を通って延在するシリンジ長手方向軸315の長さに沿ってその間に延在する。バレル318は、透明または半透明の材料から作られてもよい。ノズル322は、バレル318の遠位端324から延在する。
図5Bに示されるように、バレル318は、外表面321と、流体をその中に受容するように構成された内部容積325を画定する内表面323と、を有する。バレル318の近位端320は、バレル318を通じて摺動可能なプランジャ326で封止されてもよい。プランジャ326は、プランジャ326がバレル318を通じて前進する際にバレル318の側壁319の内表面323に対して液密シールを形成する。プランジャ326は、本明細書に記載される様々な係合機構にしたがって、流体注入器10、100のピストンと解放可能に係合するように構成される。
【0163】
ドリップフランジ335は、シリンジバレル318の外表面321から径方向外向きに延在し、ノズル322から滴下する流体が注入器のシリンジポートに入るのを防止することができる。いくつかの実施形態では、ドリップフランジ335は、シリンジ300の挿入セクション330を区切る停止面を画定する。
【0164】
図5Aを参照すると、いくつかの実施形態では、シリンジ300の近位端320は、注入器10、100(
図1および
図3に示される)のシリンジポートに取り外し可能に挿入されるように、または流体注入器と係合された圧力ジャケット(図示略)に挿入されるようにサイズ決めおよび適合される。シリンジ300の近位端320は、
図1に示される注入器10または
図3に示される注入器100のシリンジポートに取り外し可能に挿入される挿入セクション330を画定することができ、その一方でシリンジ300の残りの部分は、シリンジポートの外側に残る。別の実施形態では、シリンジ300は、圧力ジャケットの穴に挿入され、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、国際出願US2020/049885号明細書に記載されるように、1つ以上の保持機能部内に解放可能に保持されてもよい。特定の実施形態では、シリンジ300の近位端320は、シリンジポート内にシリンジ300を解放可能に保持するために注入器10、100のシリンジポート内の対応する係止機構との係止係合を形成するように適合された、1つ以上のシリンジ保持部材331を含む。シリンジ300を注入器10、100に解放可能に係止するための保持部材用の適切な非限定的な構成は、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、特許文献8および特許文献9に記載されている。シリンジ300は、明確にするために、本開示の対応するプランジャ係合機構の図の多くから省略されている。
【0165】
図6~
図8Cを参照すると、本開示の一実施形態によるプランジャ326が示されている。プランジャ326は、プランジャ長手方向軸334を画定し、近位端336と、遠位端338と、近位端336および遠位端338を接続する周方向側壁339と、を有する、プランジャ本体332を含む。側壁339は、近位端336と遠位端338との間に均一または不均一な厚さを有することができる。側壁339の少なくとも一部は円錐形であってもよい。プランジャ本体332は、ガラス、金属、または適切な医療用プラスチックから形成されてもよい。
【0166】
プランジャ本体332は、プランジャ本体332の遠位端338に円錐形状部分342を有し、プランジャ本体332の近位端336に円筒形状部分344を有する、内部空洞340(
図7)を有する。円錐形状部分342は、円筒形状部分344と一体に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、円錐形状部分342は、例えば、摩擦嵌合および/または接着剤、溶接を使用して、または成形によって、プランジャ本体332の円筒形状部分344に貼付または別途固定されてもよい。円錐形状部分342は、本明細書に記載されるように、検知部材と係合するように構成された成形ボス348を有する錐台形の端部346を有することができる。いくつかの実施形態では、プランジャ本体332の遠位端338は、開いていても封入されていてもよい。いくつかの実施形態では、円筒形状部分344は、長手方向軸334に対して径方向外向き方向に突出しているレッジ345を有してもよい。このようにして、レッジ345は、円筒形状部分344を、第1の内径を有する第1の部分347a、および第1の内径よりも大きい第2の内径を有する第2の部分347bに仕切る。
【0167】
図7を参照すると、プランジャ326は、プランジャ本体332の内部空洞340の内表面352から突出している1つ以上の解放タブ380を有することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の解放タブ380は、第1の部分347aなど、プランジャ本体332の円筒形状部分344の少なくとも一部の内表面352から径方向内向きに突出していてもよい。1つ以上の解放タブ380は、シリンジ300の回転などによる、その長手方向軸334の周りのプランジャ326の回転時に、ピストンからプランジャ326を解放するために、ピストン上のプランジャ係合機構の少なくとも一部と相互作用するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の解放タブ380は、内部空洞340の内表面352の外周に沿って、プランジャ長手方向軸334に対して径方向に分離されてもよい。このような実施形態では、解放タブ380は、内部空洞340の内表面352の部分によって互いに分離されている。3つ以上の解放タブ380が設けられた実施形態では、解放タブ380は、互いに均等に離間していてもよい。いくつかの実施形態では、解放タブ380は、内部空洞340の内表面352の周りの保持リブ350の間に不均一な角度広がりおよび/または不均一な角度間隔を有してもよい。各解放タブ380の近位端382は、本明細書に記載される特定の実施形態によるように、プランジャ係合機構の少なくとも一部に対してプランジャ326を配向するように構成された、尖ったまたは傾斜したガイド面384を有することができる。
【0168】
図6を参照すると、プランジャ326は、プランジャ本体332の外表面360の少なくとも一部を覆う弾力的シール358を有するプランジャカバー357を有することができる。シール358は、シール358がシリンジバレル318の内部容積325を液密に封止するように、シリンジバレル318の内表面323(
図5Bに示される)と係合する可撓性シールであってもよい。シール358は、プランジャ本体332とは別個に設けられてもよく、または共成形など、プランジャ本体332と一体に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、プランジャ本体332の外表面360は、周方向溝362を有することができる。シール358の少なくとも一部は、周方向溝362内に保持されてもよい。シール358の外部表面364は、シリンジバレル318の内表面と摺動的に係合する1つ以上のリップ、突起、または他の封止要素366を有することができる。いくつかの実施形態では、シール358の少なくとも封止要素366は、シリンジバレル18の内表面323と弾力的に係合するエラストマ材料から作られてもよい。プランジャ本体332上の少なくとも1つの伸長部356は、プランジャ326がシリンジバレル318を通って移動される際に、シール358がシリンジ300との軸方向位置合わせからはずれるのを防止することができる。
【0169】
図7を参照すると、プランジャ326は、プランジャ本体332から近位に突出している少なくとも1つの弾力的に偏向可能な保持部材368(以下、「保持部材368」)を有することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの保持部材368は、プランジャ本体332の内部空洞340の内表面352から近位に突出してもよい。少なくとも1つの保持部材368は、プランジャ本体332に接続された第1の遠位端370と、長手方向軸334に向かう、および/または底から離れる方向で第1の端部370に対して径方向に偏向可能な第2の近位端372とを有する。本明細書に記載されるように、第2の端部372は、少なくとも1つの保持部材368が注入器10、100(
図1および
図3)のピストン上のプランジャ係合機構の少なくとも一部と係合するとき、第1の端部370に対して径方向に偏向可能であってもよい。すなわち、プランジャ係合機構の部分が遠位方向に移動されて保持部材368に接触すると、保持部材368は、プランジャ係合機構の部分によって径方向に偏向される。同様に、プランジャからのピストンの係合解除動作中、プランジャ係合機構の部分が近位方向に移動されて保持部材368に接触すると、保持部材368は、プランジャ係合機構の部分によって径方向に偏向される。第1の端部370および第2の端部372は、プランジャ326のプランジャ長手方向軸334の方向に実質的に沿って延在する方向に離間していてもよい。少なくとも1つの保持部材368は、第1の端部370と第2の端部372との間で直線的または曲線的に連続していてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の保持部材368は、プランジャ長手方向軸334の方向と平行な方向に延在してもよい。別の実施形態では、1つ以上の保持部材368は、プランジャ長手方向軸334の方向に対して傾斜した方向に延在してもよい。例えば、1つ以上の保持部材368は、プランジャ本体332の近位端336から遠位端338まで延在する方向にプランジャ長手方向軸334に向かってまたはそこから離れる方に傾斜していてもよい。
【0170】
いくつかの実施形態では、複数の保持部材368は、内部空洞340の内表面352の外周に沿ってプランジャ長手方向軸334から径方向に離間している。このような実施形態では、保持部材368は、内部空洞340の内表面352の部分によって互いに分離されている。3つ以上の保持部材368が設けられた実施形態では、保持部材368は、互いに均等に離間していてもよい。例えば、
図7~
図8Cに示されるような、等しい角度分離を有する6つの保持部材368を有する1つの例示的で非限定的な態様では、各保持部材368は、両側に隣接する保持部材368から60度離れている。いくつかの実施形態では、保持部材368は、内部空洞340の内表面352の周りの保持部材368の間に不均一な角度広がりおよび/または不均一な角度間隔を有してもよい。プランジャ長手方向軸334に対する少なくとも1つの保持部材368の径方向間隔は、本明細書に記載されるように、ピストンの外周に対応するように選択される。
【0171】
保持部材368の第2の端部372は、少なくとも1つのキャッチ374を有する。少なくとも1つのキャッチ374は、保持部材368から径方向に突出している。少なくとも1つのキャッチ374は、プランジャ係合機構の一部が少なくとも1つのキャッチ374のそばを通る際に第2の端部372を偏向させるように、プランジャ係合機構の一部と相互作用するように構成されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのキャッチ374は、プランジャ本体332のプランジャ長手方向軸334に向かって径方向内向きに突出してもよい。このように、少なくとも1つの保持部材368は、本明細書に記載されるように、キャッチ374とピストン状のプランジャ係合機構の少なくとも一部との間の接触により、径方向外向きに偏向するように構成されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのキャッチ374は、プランジャ本体332のプランジャ長手方向軸334から離れる方に径方向外向きに突出していてもよい。このように、少なくとも1つの保持部材368は、本明細書に記載されるように、キャッチ374とピストン上のプランジャ係合機構の少なくとも一部との間の接触により、径方向内向きに偏向するように構成されている。少なくとも1つの保持部材368は、径方向内向きに移動することによって、その非偏向状態に向かって戻るように構成されている。
【0172】
少なくとも1つのキャッチ374は、少なくとも1つの保持部材368の第2の端部372と一体に形成されてもよく、または、例えば、摩擦嵌合および/または接着剤、溶接を使用して、または共成形によって、少なくとも1つの保持部材368の第2の端部372に貼付または別途固定されてもよい。別の実施形態では、少なくとも1つのキャッチ374は、エッチング、レーザ切断、または機械加工によって、少なくとも1つの保持部材368の第2の端部372上に形成されてもよい。本明細書に記載されるように、少なくとも1つのキャッチ374は、プランジャ係合機構が本明細書に記載される機構の実施形態によって係止状態または位置にあるときに、ピストンに対して少なくとも1つの保持部材368を係止するために、注入器10、100のピストン上に設けられたプランジャ係合機構のキャッチ受容空間または溝内に受容される形状になっている。
図7~
図8Cに示されるように、キャッチ374は、丸みを帯びた縁部を有する遠位面377を有することができる。いくつかの実施形態では、キャッチ374は、丸みを帯びた縁部を有する近位面379を有することができる。遠位面377および近位面379の形状は、キャッチ374が、それ自体では、ピストンのプランジャ係合機構上の対応する係止機能部との係止係合を形成できないようになっていてもよい。代わりに、キャッチ374は、ピストンとの係止係合を形成するために、プランジャ係合機構の作動と共に作用しなければならない。
【0173】
図8A~
図8Cを参照すると、本開示の様々な実施形態によるプランジャ326が示されている。
図8A~
図8Cに示されるプランジャ326のコンポーネントは、
図6~
図7を参照して本明細書で説明されたプランジャ326のコンポーネントと実質的に同様または同一である。したがって、
図8A~
図8Cの参照番号は、
図6~
図7の対応する参照番号の同一のコンポーネントを示すために使用され、プランジャ326の実施形態間の相対的な違いのみが本明細書で説明される。
【0174】
図8A~
図8Cを参照すると、プランジャ326は、第2の部分347bなど、プランジャ本体332の円筒形状部分344の少なくとも一部の内表面352から突出している1つ以上の解放タブ380を有することができる。1つ以上の解放タブ380は、レッジ345から軸方向および円筒形状部分344の第2の部分347bの内表面352から径方向内向きに突出してもよく、レッジ345の全幅に沿って(
図8A)、またはレッジ345の幅の一部に沿って(
図8Bおよび
図8C)、第2の部分347bの内表面352から径方向内向きに突出してもよい。本明細書に記載されるように、1つ以上の解放タブ380は、シリンジ300の回転などによる、その長手方向軸334の周りのプランジャ326が回転時に、ピストンからのプランジャ326の解放を引き起こすためにピストン上のプランジャ係合機構の少なくとも一部と相互作用するように構成されている。
【0175】
図8Cのプランジャ326の実施形態は、プランジャ長手方向軸334から離れる方向で径方向外向きに突出するキャッチ374を有する少なくとも1つの保持部材368を有する。このように、
図8Cに示される少なくとも1つの保持部材368は、本明細書に記載されるように、キャッチ374とピストン上のプランジャ係合機構の少なくとも一部との間の接触により、径方向内向きに偏向するように構成されている。
図8Cに示される少なくとも1つの保持部材368は、径方向外向きに移動することによって、その非偏向状態に向かって戻るように構成されている。
【0176】
図9を参照すると、ピストン400の実施形態が注入器とは別に示されている。別の実施形態では、ピストン400は、本明細書に記載されるような流体注入器、または医療用途向けに構成された任意の流体注入器と共に使用するように構成されてもよい。ピストン400は、駆動機構を介して注入器のハウジング内で往復移動するように構成されている。駆動機構は、例えば、電動モータ402(
図2に示される)、液圧システム、空気圧システム、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。コントローラ200(
図2)は、駆動機構の動作を制御するように、ひいてはピストン400の往復移動を制御するように構成されてもよい。特定の実施形態では、コントローラ200は、プランジャとのピストン400の係合および/または係合解除を制御するように構成されてもよい。
【0177】
図9を参照すると、ピストン400は、本体404と、本体404の遠位端にあるピストンヘッド406と、を有する。ピストンヘッド406は、
図8Cに示されるプランジャ326などのシリンジのプランジャに取り外し可能に接続されるように構成されている。ピストンヘッド406は、本体404の径方向縁部を超えて径方向外向きに延在する。ピストン400は、変形に耐えられる金属、プラスチック、またはこれらの組み合わせなどの比較的剛性の材料から構築される。ピストンヘッド406は、プランジャ326の内部空洞340(
図8C)の少なくとも一部の内側に受容されるように構成された遠位端を有する実質的に円筒形の構造を有する。いくつかの実施形態では、ピストンヘッド406の少なくとも一部は、プランジャ326および/またはシリンジ300の少なくとも一部を照明するためにピストン400内の1つ以上の電磁放射線源によって放射される電磁放射線の通過を許容するように構成された透明または半透明の材料から作られてもよい。
【0178】
いくつかの実施形態では、センサに接続されたスプリングピン(例えば、ピン707、
図21A~
図21B参照)などの検知部材が設けられてもよい。検知部材は、ピストン400の長手方向軸に沿って延在することができ、ピストンヘッド406の少なくとも一部を通って突出することができる。検知部材は、プランジャ326の表面348などの表面との接触を検知するように動作し、検知された条件に基づいてピストン400の動きを制御することができる。例えば、検知部材とプランジャ326の表面348との間の最初の接触は、センサと接触するように、ピンを近位方向に後退させることができる。センサは、ピンによるセンサの作動時に、センサが駆動機構の動きを制御するように、ピストン400の駆動機構に接続されてもよい。例えば、駆動機構は、停止されるか、または第1の速度から第2のより遅い速度まで減速されてもよい。
【0179】
いくつかの実施形態では、ピストンヘッド406は、シリンジ300(
図5A~
図5B)のバレル内のプランジャ326の往復駆動を容易にするために、プランジャ326と解放可能に係合するように構成された、プランジャ係合機構412を有する。引き続き
図9を参照すると、プランジャ係合機構412は、中央開口部416を有するプランジャ係合スリーブ414と、長手方向ピストン軸420の方向に沿ってプランジャ係合スリーブ414の中央開口部416内で往復移動可能なプランジャ係合ポスト418と、を有する。プランジャ係合ポスト418は、アクチュエータ422によって往復駆動される。プランジャ係合機構412は、係合位置または状態と、係合解除位置または状態と、の間で動作可能である。係合位置または状態では、プランジャ係合ポスト418は、プランジャ係合スリーブ414とプランジャ係合ポスト418との間の受容空間415内にプランジャ326に関連付けられた少なくとも1つの保持部材368を捕捉するように、プランジャ係合スリーブ414内に配置されてもよい。逆に、係合解除位置または状態では、プランジャ係合ポスト418は、プランジャ係合スリーブ414とプランジャ係合ポスト418との間の受容空間415からのプランジャ326に関連付けられた少なくとも1つの保持部材368の取り外しを許容するように、プランジャ係合スリーブ414に対して配置されてもよい。
図9は、係合位置または状態および係合解除位置または状態にあるプランジャ係合機構412の部分を示す。具体的には、
図9のプランジャ係合ポスト418は、その係合位置または状態(断面の右側)および係合解除位置または状態(断面の左側)の両方で示されている。係合位置または状態から係合解除位置または状態へのプランジャ係合機構412の移動中、プランジャ係合スリーブ414および/またはプランジャ係合ポスト418は、ピストン400に対して直線的および/または回転的に移動可能であってもよい。
【0180】
図10A~
図10Bを参照すると、プランジャ係合スリーブ414は中空体424を有し、中空体424の外表面の少なくとも一部は、ピストンヘッド406(
図9に示される)の少なくとも一部を画定する。プランジャ係合スリーブ414の遠位部分または端部426は、プランジャ326の内部空洞340に受容される形状になっており、その一方で、少なくとも1つの保持部材368などのプランジャ326の少なくとも一部は、中央開口部416(例えば、
図9参照)内に受容されるように構成されている。中央開口部416は、プランジャ係合スリーブ414の中空体424を通って延在する。
【0181】
図10Bを参照すると、開口部416の遠位端にある中央開口部416の内表面428の一部は、開口部416の内径が、中空体424の遠位端426から近位部分または端部432に向かう方向に細くなるように、傾斜部430を有することができる。傾斜部430は、キャッチ374と係合し、プランジャ係合スリーブ414の遠位部分または端部426へのプランジャ326の接続中に、プランジャ326に関連付けられた少なくとも1つの保持部材368を径方向内向きに偏向させるように構成されてもよい。傾斜部430は、係止リブ434で終端してもよい。少なくとも1つのキャッチ374は、プランジャ係合機構412が係止係合構成に移動しない限り、ピストンが近位方向に移動した場合に少なくとも1つのキャッチ374が容易に屈曲して係止リブ434を通過し得るように、屈曲して係止リブ434の近位面に当接することができる。すなわち、少なくとも1つの保持部材368および対応するキャッチ374は、ピストンが係合解除構成にある場合、容易に屈曲して、プランジャ係合スリーブ414の中央開口部416の内外に移動することができる。いくつかの実施形態では、係止リブ434は、プランジャ係合スリーブ414の中空体424の内表面428の周りに連続的または不連続的に延在し、本明細書に記載されるように、プランジャ326がプランジャ係合機構412と係止係合されているときにピストン400からのプランジャ326の取り外しを防止するために、プランジャ326の少なくとも1つの保持部材368上の少なくとも1つのキャッチ374と係合する表面を画定する。中央開口部416の内表面428は、係止リブ434の近位で実質的に円筒形であってもよい。
【0182】
中空体424の近位部分または端部432は、遠位部分または端部426と一体に形成されてもよく、プランジャ係合ポスト418(
図9)の案内ピン439を受容するように構成された長手方向溝438を有する内表面436を有してもよい。長手方向溝438は、案内ピン439の遠位移動を確定するための遠位ストップ440を有し、これによって、プランジャ係合スリーブ414に対するプランジャ係合ポスト418の遠位移動を区切る。中空体424の近位部分または端部432の外表面442は、プランジャ係合機構412からのプランジャ326の取り外し中にプランジャ326上の1つ以上の解放タブ380と相互作用するように構成された、歯付き部分444を有してもよい。
【0183】
図11A~
図11Bを参照すると、プランジャ係合機構412は、アクチュエータ422を受容するように構成されたハウジング446をさらに含む。
図11Bに示されるように、ハウジング446は、アクチュエータ422上のコネクタ450と接続するように構成された接続部材448を有する円筒形構造を有してもよい。いくつかの実施形態では、ハウジング446上の接続部材448は、アクチュエータ422上の雄ねじコネクタ450と螺合するように構成された雌ねじ表面であってもよい。別の実施形態では、接続部材448は、接着剤、クリップ、締まり嵌め、締結具、またはハウジング446をアクチュエータ422上のコネクタ450に取り外し可能または取り外し不可能に接続するための任意の他のコネクタ機能部であってもよい。
【0184】
図11A~
図11Bを参照すると、ハウジング446は、遠位部分454に接続された近位部分452を有する。いくつかの実施形態では、遠位部分454は、レッジ456が近位部分452と遠位部分454との間の移行部に画定されるように、近位部分452よりも小さい外径を有してもよい。いくつかの実施形態では、レッジ456は、ピストン400からのプランジャ326の係合解除中にピストン係合機構412(
図9)からプランジャ326を解放するように構成された付勢部材496の近位端を支持するように構成されてもよい。
【0185】
プランジャ解放スリーブ458は、ハウジング446の遠位部分454を取り囲む。いくつかの実施形態では、プランジャ解放スリーブ458は、開口部462が貫通している円筒形側壁460を有する。開口部462は、プランジャ解放スリーブ458の長手方向軸464と実質的に平行な長手方向面463と、長手方向面463と隣接し、遠位端468から近位端470に向かう方向でプランジャ解放スリーブ458の長手方向軸464に対して傾斜している傾斜面466と、を有することができる。本明細書に記載されるように、長手方向面463は、ピストン400の長手方向軸420に沿った長手方向へのプランジャ係合ポスト418の移動中にプランジャ係合ポスト418(
図9)の案内ピン439を案内するように構成され、その一方で、傾斜面464は、ピストン400からのプランジャ326の取り外し中など、ピストン400に対するプランジャ326の回転運動中に、案内ピン439を案内するように構成される。プランジャ解放スリーブ458の遠位端468に接続されたプリント回路基板474上に、1つ以上のライト472が設けられてもよい。1つ以上のライト472は、本明細書に記載されるように、プランジャ326の少なくとも一部を照明するように構成されてもよい。
【0186】
図11Bを参照すると、アクチュエータ422は、プランジャ係合スリーブ414およびプランジャ係合ポスト418の一方を係合位置に移動させるための係合状態と、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を係合解除位置に移動させるための係合解除状態と、を有するように構成され得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータ422は、アクチュエータ422への電力損失中などに、自動的に係合解除状態に移動されてもよい。いくつかの実施形態では、アクチュエータ422は、ピストン400の近位移動中にのみ係合状態になり得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータ422は、主に係合解除状態にあるように構成されたソレノイドであってもよく、ピストン400へのプランジャ326の接続中にのみ係合状態にあってもよい。別の実施形態では、アクチュエータ422は、回転電動モータ、リニア電動モータ、またはリニアアクチュエータであってもよい。いくつかの実施形態では、アクチュエータ422は、注入器への電力損失の場合に手動で逆駆動されることが可能なリニアアクチュエータである。
【0187】
図9を参照すると、プランジャ係合スリーブ414は、第1の位置と第2の位置との間で、ハウジング446およびプランジャ解放スリーブ458に対して長手方向ピストン軸420の周りで回転可能であってもよい。いくつかの実施形態では、プランジャ係合スリーブ414は、時計回り方向および反時計回り方向、または時計回りおよび反時計回り方向の一方に回転可能であってもよい。プランジャ係合スリーブ414は、長手方向ピストン軸420の周りのプランジャ326の回転運動により、第1の位置から第2の位置に回転可能であってもよい。例えば、プランジャ係合スリーブ414は、ピストン係合スリーブ414上の歯付き部分444とのプランジャ326上の解放タブ390の相互作用により、長手方向軸420の周りで回転可能であってもよい。特定の実施形態では、プランジャ係合スリーブ414の回転は、プランジャ係合ポスト418を係合解除位置または係合位置に移動させるために、プランジャ解放スリーブ458の傾斜面466に沿って案内ピン439を移動させることができる。プランジャ係合スリーブ414を第1の位置に付勢するために、付勢部材496が設けられてもよい。このようにして、プランジャ係合スリーブ414が第1の位置から第2の位置に向かって回転されると、付勢部材496は位置エネルギーを構築し、これはその後、プランジャ係合スリーブ414を第1の位置に向かって戻すのを支援するために使用される。いくつかの実施形態では、付勢部材496は、一端がプランジャ係合スリーブ414に接続され、他端がハウジング446またはプランジャ解放スリーブ458に接続されたねじりばねであってもよい。
【0188】
図12を参照すると、プランジャ係合ポスト418がプランジャ係合機構412とは別に示されている。プランジャ係合ポスト418は、近位端474および遠位端476を有するシャフト472を有する。シャフト472の遠位端476は、ピストン400からのプランジャ326の取り外しを防止するためにプランジャ係合スリーブ414の係止リブ434に対して少なくとも1つのキャッチ374を係止するためにプランジャ係合ポスト418が係合位置にあるときに、プランジャ326上の少なくとも1つの可撓性保持部材368に接触するように構成されたテーパ状端面478を有する。プランジャ係合スリーブ414の内表面428(
図10A~
図10Bに示される)に対する封止のために、遠位端478にシール480が設けられてもよい。シール480はOリングシールであってもよい。
【0189】
プランジャ係合ポスト418は、プランジャ係合スリーブ414に対するプランジャ係合ポスト418の移動を案内するように構成された案内ピン439をさらに含む。いくつかの実施形態では、案内ピン439は、シャフト472を通って延在し、シャフト472の長手方向軸482に対して実質的に垂直に配置される。弾力的弾性部材484は、シャフト472を取り囲み、シャフト472の遠位端478にあるレッジ488に当接する遠位端486を有する。弾力的弾性部材484の近位端490は、アクチュエータ422またはハウジング446と接触するように構成されてもよい。弾力的弾性部材484は、本明細書に記載されるように、係合位置に向かって遠位方向にプランジャ係合ポスト418を付勢するように構成された圧縮ばねであってもよい。別の実施形態では、弾力的弾性部材484は、係合解除位置に向かって近位方向にプランジャ係合ポスト418を付勢するように構成された引張ばねであってもよい。
【0190】
本開示の非限定的な一実施形態によるプランジャ326およびピストン400の構造を説明してきたが、ここで、ピストン400に対するプランジャ326の係合および係合解除の方法が、
図13A~
図13Jを参照して説明される。
【0191】
図13Aは、そのプランジャ係合機構412が係合位置または状態にあり、プランジャ326と接続する前のピストン400を示す。いくつかの実施形態では、プランジャ係合機構412のデフォルト状態は、係合位置または状態であってもよい。プランジャ326をピストン400に接続するために、シリンジ300が注入器10、100(
図1および
図3)に最初に接続される。注入器10、100へのシリンジ300の接続中、ピストン400は、注入器10、100のハウジング内に引き込まれる。シリンジ300を注入器10、100に接続した後、ピストン400は、プランジャ326に向かって遠位方向に前進することができる。
【0192】
図13Bを参照すると、アクチュエータ422は、プランジャ係合ポスト418のシャフト472を、矢印Aで示される近位方向で、係合位置または状態から係合解除位置または状態に後退させるために、エネルギー印加される。近位方向へのシャフト472の移動は、受容空間415内へのプランジャ326の1つ以上の保持部材368の挿入または取り外しを許容するために、プランジャ係合スリーブ414とプランジャ係合ポスト418との間の受容空間415を開放する。このような移動はまた、シャフト472の遠位端のレッジ488とアクチュエータ422との間の弾力的弾性部材484を圧縮する。弾力的弾性部材484の圧縮は、その間に位置エネルギーを構築し
、解放されると、係合位置または状態に向かってプランジャ係合ポスト418を案内するために使用され得る。
【0193】
別の実施形態では、アクチュエータ422は、エネルギー遮断されてもよく、プランジャ係合ポスト418のシャフト472は、弾力的弾性部材484の弾性復元力により、矢印Aで示される近位方向で、係合位置または状態から係合解除位置または状態に後退されてもよい。このような実施形態では、弾力的弾性部材484は、アクチュエータ422の作動によって第1の状態から第2の状態に引き伸ばされる引張ばねであってもよい。アクチュエータ422がエネルギー遮断されると、弾力的弾性部材484の復元力は、プランジャ係合ポスト418を係合解除位置または状態に向かって強制する。このようにして、プランジャ係合ポスト418は通常係合解除位置または状態にあり、これにより、電力損失などによってアクチュエータ422が動作できない場合に、ピストン400からのプランジャ326の取り外しを許容する。
【0194】
図13Cを参照すると、ピストン400はその後、プランジャ326に向かって遠位方向で軸方向に移動することができる(矢印Bで示される)。いくつかの実施形態では、ピストン400は、コントローラ200によって動作される駆動機構402(
図2)を使用して、遠位に前進させられてもよい。別の実施形態では、ピストンは、手動で遠位方向に移動することができる。
【0195】
図13Dを参照すると、ピストン400は、プランジャ326の少なくとも1つの保持部材368がプランジャ係合スリーブ414の中央開口部416内に受容されるように、遠位方向で軸方向に前進させられる。最初に、中央開口部416の内表面428は、少なくとも1つの保持部材368のキャッチ374に接触する。キャッチ374は少なくとも1つの保持部材368に対して径方向外向きに突出しているので、キャッチ374は、中央開口部416の傾斜部430よりもプランジャ長手方向軸334から大きな径方向距離に配置される。このようにして、ピストン400の継続的な遠位移動は、キャッチ374と傾斜部430との間の接触により、少なくとも1つの保持部材368を径方向内向きに偏向させる。複数の保持部材368を有する実施形態では、保持部材368の各々は、径方向内向きに偏向される。
【0196】
遠位方向へのピストン400の継続的な軸方向移動の間、キャッチ374は、ピストン係合スリーブ414の係止リブ434の上方で偏向される。キャッチ374が係止リブ434に対して近位に配置された後、プランジャ326に対するピストン400の遠位移動が停止されるか、またはプランジャ係合スリーブ414の遠位部分または端部426とプランジャ本体332の内部空洞340の内表面352との間の接触によってプランジャ326がピストン400と共に遠位に移動し、少なくとも1つの保持部材368は、キャッチ374が係止リブ434の近位に配置されるように、径方向内向きに弾性的に偏向されることが可能である。いくつかの実施形態では、プランジャ326に対するピストン400の遠位移動は、プランジャ326の駆動ショルダ327とのプランジャ係合スリーブ414の一部の係合時に停止されてもよい。少なくとも1つの保持部材368が
図13Dに示される位置にある間、(注入器からのシリンジの取り外しなどによって)少なくとも1つの保持部材368はピストン400の近位移動またはプランジャ326の遠位移動と共に径方向内向きに偏向され得るので、プランジャ326は、ピストン400と係止係合していない。プランジャ326がピストン400に接続された状態で、プランジャ326上の1つ以上の解放タブ380は、プランジャ係合スリーブ414の外表面442上の歯付き部分444に位置合わせされる。特定の実施形態では、プランジャ326は、ピストン400が遠位方向に移動しているときにはピストン400との係合係止位置になることができず、ピストン400の近位移動時に係合係止位置に移動するだけである。このような特徴は、ピストン400の短い遠位移動の後にシリンジ300およびプランジャ326の容易な取り外しを可能にすることができ、ピストン400が後退しているときに係止係合を必要とするだけで、システムコンポーネントおよび/またはモータの摩耗を低減することができる。
【0197】
図13Eを参照すると、アクチュエータ422は、プランジャ係合ポスト418のシャフト472を、矢印Cで示される遠位方向での係合解除位置または状態から係合位置または状態への移動を許容するために、エネルギー遮断される。別の実施形態では、アクチュエータ422は、プランジャ係合ポスト418のシャフト472を遠位方向に移動させるためにエネルギー印加されてもよい。
【0198】
シャフト472の遠位方向への移動は、受容空間415からのプランジャ326の1つ以上の保持部材368の取り外しを防止するために係止リブ434に対して少なくとも1つのキャッチ374を係止する、プランジャ係合スリーブ414とプランジャ係合ポスト418との間の受容空間415を閉鎖し、こうしてピストン400からのプランジャ326の取り外しを防止する。プランジャ係合ポスト418は、弾力的弾性部材484に蓄積された位置エネルギーの解放により、係合解除位置または状態から係合位置または状態に移動する。別の実施形態では、プランジャ係合ポスト418は、アクチュエータ422の作動によって係合解除位置または状態から係合位置または状態に移動し、弾力的弾性部材484内に位置エネルギーを構築する。プランジャ係合ポスト418が係合位置または状態に移動すると、プランジャ326の少なくとも1つの保持部材368は、ピストン400の軸方向移動がシリンジバレル内のプランジャ326の対応する軸方向移動をもたらすように、プランジャ係合スリーブ414とプランジャ係合ポスト418との間に捕捉される。次いで、ピストン400および接続されたプランジャ326は、シリンジ300のバレル318内で往復移動することができる(
図5A~
図5B)。特定の実施形態では、ピストン400および接続されたプランジャ326は、バレル318内で近位に移動することができ、ピストン400がプランジャ326との係合位置または係合解除位置のいずれかにあるときに遠位に移動することができる。いくつかの実施形態では、ピストン400は、コントローラ200(
図2)によって動作される駆動機構402を使用して、シリンジ300から流体を送達するために遠位に、またはシリンジ300を流体で充填するために近位に前進することができる。
【0199】
シリンジの手動係合解除を伴う特定の実施形態では、注入器のシリンジポートからシリンジ300を係止解除し、ピストン400からプランジャ326を係合解除するために、シリンジ300は、シリンジポートに対して、シリンジ長手方向軸の周りで時計回りまたは反時計回りに回転され得る。プランジャ326は、シリンジバレル318に対する摩擦相互作用による回転が実質的にないので、シリンジ300の回転はまた、プランジャ326を、長手方向ピストン軸420の周りでピストン400に対して回転させる。プランジャ係合スリーブ414の外表面442上の歯付き部分444に対するプランジャ326上の1つ以上の解放タブ380の位置合わせにより、プランジャ326の回転はまた、プランジャ係合スリーブ414をプランジャ係合機構412のプランジャ解放スリーブ458に対して第1の位置から第2の位置に回転させる。プランジャ係合ポスト418上の案内ピン439はプランジャ係合スリーブ414の長手方向溝438内に受容されるので、プランジャ係合スリーブ414の回転と共に、プランジャ係合ポスト418もまた回転する。プランジャ係合ポスト418の回転によって、案内ピン439がプランジャ解放スリーブ458の傾斜面466(
図13F参照)に沿って案内され、弾力的弾性部材484を圧縮する。加えて、長手方向ピストン軸420の周りのプランジャ係合スリーブ414の回転は、付勢部材496内に位置エネルギーを構築する。
【0200】
シリンジが圧力ジャケット内に収容されるときなど、別の実施形態では、ピストン400からプランジャ326を係合解除するためのシリンジおよびプランジャの回転は、不可能であり得る。これらの実施形態によれば、プランジャ326とのピストン400の係合解除および係合は、例えばピストン400からプランジャ326を係合解除するために電動または電気アクチュエータを使用して、電気機械的に達成されてもよい。本明細書に記載されるように、ピストン400に対してプランジャ326を係合および係合解除するために係合位置と係合解除位置との間でプランジャ係合ポスト418を移動させるために、リニアまたは回転電気モータなどのモータ、またはソレノイドなどの電気アクチュエータが使用されてもよい。注入処置の終了時など、プランジャ326が係合解除位置にあるとき、シリンジ300は注入器から取り外されてもよく、注入器は次の処置に備えられてもよい。
【0201】
図13Gを参照すると、プランジャ解放スリーブ458の傾斜面466に沿った案内ピン439の移動は、プランジャ係合ポスト418を、係合位置または状態から係合解除位置または状態に矢印Dの近位方向で軸方向に移動させる。いくつかの実施形態では、プランジャ係合ポスト418は、プランジャ係合ポスト418のシャフト472を後退させるためにアクチュエータ422にエネルギー印加することによって、近位方向に移動することができる。このようにして、プランジャ係合ポスト418は、ピストン400に対するプランジャ326の回転を介して、またはアクチュエータ422の作動を介してなど、手動で移動することができる。したがって、停電の場合に、プランジャ326はピストン400から取り外されることが可能である。近位方向へのプランジャ係合ポスト418の移動は、受容空間415からのプランジャ326の1つ以上の保持部材368の取り外しを許容するために、プランジャ係合スリーブ414とプランジャ係合ポスト418との間の受容空間415を開放する。さらに、アクチュエータ422の作動のみが必要とされるような構成は、ピストン400が近位方向に移動しているときに係止係合を必要とするだけで、システムコンポーネントおよび/またはモータの摩耗を低減することができる。
【0202】
プランジャ係合機構412が係合解除位置または状態にあるとき、ピストン400からプランジャ326を取り外し、流体注入器からシリンジ300およびプランジャ326を取り外すために、シリンジ300が遠位方向に引っ張られることが可能であるか、またはピストン400が近位方向に後退されることが可能である。互いから離れる方向へのプランジャ326に対するピストン400のこのような相対移動中、キャッチ374は、ピストン400からの1つ以上の保持部材368の取り外しを許容するために、ピストン係合スリーブ414の係止リブ434の上方で偏向される。プランジャ326はその後、
図13Hに示されるように、ピストン400から自由に引き離されることが可能である。
【0203】
図13I~
図13Jを参照すると、プランジャ326がピストン400から取り外された後、プランジャ係合スリーブ414およびプランジャ係合ポスト418は、付勢部材496によって提供された復元力により、長手方向ピストン軸420(
図9に示される)の周りで第2の位置から第1の位置に自動的に回転される。第1の位置へのプランジャ係合スリーブ414およびプランジャ係合ポスト418の移動により、案内ピン439は、弾力的弾性部材484によって提供された復元力により、プランジャ解放スリーブ458の遠位端に向かってプランジャ解放スリーブ458の傾斜面466に沿って案内される。これにより、プランジャ係合ポスト418は矢印Eの遠位方向に移動する。
図13Jにおけるプランジャ係合機構412の位置は、
図13Aにおけるプランジャ係合機構412の位置と同じである。
【0204】
図14A~
図14Cを参照すると、本開示の別の実施形態によるピストン500およびプランジャ係合機構512が示されている。
図14A~
図14Cに示されるピストン500およびプランジャ係合機構512のコンポーネントは、
図9~
図13Jを参照して本明細書で説明されたピストン400およびプランジャ係合機構412のコンポーネントと実質的に同様または同一である。したがって、
図14A~
図14Cで使用される参照番号の先頭の数字が「4」から「5」に変更されていることを除き、
図9~
図13Jの対応する参照番号の同一のコンポーネントを示すために、
図14A~
図14Cの参照番号が使用される。例えば、
図9~
図13Jに関連して記載されたピストンは参照番号「400」で指定されているが、
図14A~
図14Cのピストンは参照番号「500」で識別される。
図9~
図13Jに全体的に示されるピストン400およびプランジャ係合機構412に関する前述の説明は、
図14A~
図14Cに示されるピストン500およびプランジャ係合機構512に適用可能であるため、これらの図に示されるコンポーネント間の相対的な違いのみが以下で説明される。
【0205】
図9~
図13Jに示されるピストン400およびプランジャ係合機構412は、
図6~
図8Bに示されるプランジャ326と相互作用するように構成されているが、
図14A~
図14Cに示されるピストン500およびプランジャ係合機構512は、
図8Cのプランジャ326と相互作用するように構成されている。このように、
図6~
図8Bに示される少なくとも1つの保持部材368は、本明細書に記載されるように、キャッチ374とピストン上のプランジャ係合機構512の少なくとも一部との間の接触により、径方向外向きに偏向するように構成されている。
図6~
図8Bに示される少なくとも1つの保持部材368は、径方向内向きに移動することによって、その非偏向状態に向かって戻るように構成されている。
【0206】
引き続き
図14Aを参照すると、プランジャ係合機構512は、中央開口部516を有するプランジャ係合スリーブ514とプランジャ係合ポスト518とを有する。プランジャ係合ポスト518は、プランジャ係合ポスト518が長手方向ピストン軸520の周りで回転可能なようにプランジャ解放スリーブ558に回転可能に接続された近位部分519を有する。
図15を参照すると、近位部分519は、その遠位端に歯付き部分544を有することができる。
図9~
図13Jを参照して本明細書に記載されたプランジャ係合機構412の歯付き部分444と同様に、歯付き部分544は、プランジャ326(
図8A、
図8B、および
図14A)上の解放タブ380と相互作用するように構成されている。プランジャ係合ポスト518は、近位部分519から遠位に延在するポスト部分521をさらに有する。いくつかの実施形態では、近位部分519およびポスト部分521は、一体部品を構成するために、一体に形成されてもよい。近位部分519をポスト部分521に接続する接続片525を通じて、プランジャ係合ポスト518に1つ以上の開口部523が形成されてもよい。開口部523は、これを通じてプランジャ係合スリーブ514の一部を受容するように構成されてもよい。接続片525の上面は、プランジャ326の駆動ショルダ327など、プランジャ326の少なくとも一部に接触するための係合面を画定する。プランジャ係合ポスト518は、案内ピン539を受容するように構成された長手方向溝538をさらに有する。長手方向溝538は、案内ピン539の遠位移動を確定するための遠位ストップ540を有し、これによって、プランジャ係合ポスト518に対するプランジャ係合スリーブ514の遠位移動を区切る。
【0207】
図14A~
図14Cのプランジャ係合ポスト518は、ピストン長手方向軸520の周りでのみ回転可能である。プランジャ係合ポスト518は、第1の位置と第2の位置との間で、長手方向ピストン軸520およびプランジャ解放スリーブ558の周りで回転可能であってもよい。いくつかの実施形態では、プランジャ係合ポスト518は、時計回り方向および反時計回り方向、または時計回り方向および反時計回り方向の一方に回転可能であってもよい。プランジャ係合ポスト518は、長手方向ピストン軸520の周りのプランジャ326の回転運動により、第1の位置から第2の位置に回転可能であってもよい。例えば、プランジャ係合ポスト518は、ピストン係合ポスト518上の歯付き部分544とのプランジャ326上の解放タブ390の相互作用により、長手方向軸520の周りで回転可能であってもよい。プランジャ係合ポスト518を第1の位置に付勢するために、
図9に示される付勢部材496と同様の付勢部材(図示略)が設けられてもよい。このようにして、プランジャ係合ポスト518が第1の位置から第2の位置に向かって回転されると、付勢部材は位置エネルギーを構築し、これはその後、プランジャ係合ポスト518を第1の位置に向かって戻すのを支援するために使用される。いくつかの実施形態では、付勢部材は、一端がプランジャ係合ポスト518に接続され、他端がプランジャ解放スリーブ558に接続されたねじりばねであってもよい。
【0208】
引き続き
図15を参照すると、プランジャ係合ポスト518のポスト部分521は、プランジャ326の少なくとも1つの可撓性保持部材368のキャッチ374を受容するように構成された係止溝527を有する。ポスト部分521の遠位端は、ポスト部分521の外表面とのキャッチ374の接触により、少なくとも1つの保持部材368を径方向外向きに偏向させる形状になっていてもよい。特定の実施形態では、ポスト部分521の遠位端は、少なくとも1つの保持部材368を径方向外向きにさらに偏向させるための傾斜部を含むことができる。このようにして、プランジャ326に対するピストン500の遠位移動は、キャッチ374とポスト部分521の外表面との間の接触により、少なくとも1つの保持部材368を径方向外向きに偏向させる。複数の保持部材368を有する実施形態では、保持部材368の各々は、径方向外向きに偏向される。
【0209】
図14Aを参照すると、プランジャ解放スリーブ558は、プランジャ係合スリーブ514およびプランジャ係合ポスト518の中空体構造内に少なくとも部分的に受容される。
図16を参照すると、プランジャ解放スリーブ558は、開口部562が貫通している円筒形側壁560を有する。開口部562は、プランジャ解放スリーブ558の長手方向軸564と実質的に平行な長手方向面563と、長手方向面563と隣接し、遠位端568から近位端570に向かう方向でプランジャ解放スリーブ558の長手方向軸564に対して傾斜している傾斜面566と、を有することができる。本明細書に記載されるように、長手方向面563は、ピストン500の長手方向軸520に沿った長手方向へのプランジャ係合スリーブ514の移動中に、案内ピン539(
図14A)を案内するように構成され、その一方で、傾斜面566は、ピストン500からのプランジャ326の取り外し中など、ピストン500に対するプランジャ326の回転運動中(またはその逆)に、案内ピン539を案内するように構成される。
【0210】
図17A~
図17Bを参照すると、プランジャ係合スリーブ514がプランジャ係合機構512の残部とは別に示されている。プランジャ係合スリーブ514は中空体524を有し、その少なくとも一部は、プランジャ係合ポスト518の近位部分519に受容されるように構成される。プランジャ係合スリーブ514の遠位部分または端部526は、プランジャ係合ポスト518の開口部523(
図15)を通じて受容され、プランジャ326の内部空洞340(
図14A-14B)内に配置される形状になっている。少なくとも1つの保持部材368など、プランジャ326の少なくとも一部は、中央開口部516内、およびプランジャ係合ポスト518のポスト部分521とプランジャ係合スリーブ514の遠位部分または端部526との間の受容空間515に受容されるように構成される。中央開口部516の内表面528の一部は、開口部516の内径が中空体の遠位端526から近位部分または端部532に向かう方向に細くなるように、傾斜部530を有することができる。傾斜部530は、ピストン500へのプランジャ326の接続中に、プランジャ326に関連付けられた少なくとも1つの保持部材368を径方向内向きに偏向させ、少なくとも1つの可撓性保持部材368のキャッチ374とプランジャ係合ポスト518の係止溝527との間に緊密な係合相互作用を作り出すように構成されてもよい。
【0211】
引き続き
図17A~
図17Bを参照すると、プランジャ係合スリーブ514の中空体524は、これを通じて案内ピン539を受容するように構成された貫通孔533を有する。プランジャ係合スリーブ514は、プランジャ326およびプランジャ係合ポスト518の回転によるプランジャ解放スリーブ558の傾斜面566との案内ピン539の係合によってその長手方向軸531の周りで回転するように構成されている。
【0212】
本開示の非限定的な一実施形態によるプランジャ326およびピストン500の構造を説明してきたが、ここで、ピストン500に対するプランジャ326の係合および係合解除の方法が、
図14A~
図14Cを参照して説明される。
【0213】
図14Bは、係合解除位置または状態にあり、およびプランジャ326との係止係合の前の、プランジャ係合機構512を有するピストン500を示す。
図14Bでは、ピストン500は、プランジャ326に向かって遠位方向に前進している。いくつかの実施形態では、ピストン500は、コントローラ200(
図2)によって動作される駆動機構402を使用して遠位に前進させられてもよい。別の実施形態では、ピストンは、手動で遠位方向に移動することができる。
【0214】
引き続き
図14Bを参照すると、プランジャ326の少なくとも1つの保持部材368上のキャッチ374は、ポスト部分521の外表面との接触によって径方向外向きに偏向される。接続片525の上面がプランジャ326の駆動ショルダ327と係合したときなど、キャッチ374が係止溝527内に配置された後、プランジャ326に対するピストン500の遠位移動が停止され、少なくとも1つの保持部材368は、キャッチ374が係止溝527内に配置されるように、径方向内向きに弾性的に偏向されることが可能である。少なくとも1つの保持部材368が
図14Bに示される位置にある間、第1の遠位端370と第2の近位端372(
図7参照)との間の材料の可撓性により、(注入器からのシリンジの取り外しなどによって)少なくとも1つの保持部材368はピストン500の近位移動またはプランジャ326の遠位移動と共に径方向外向きに偏向され得るので、プランジャ326は、ピストン500と係止係合していない。
図14Bに示されるようにプランジャ326がピストン500と接触している状態で、プランジャ326上の1つ以上の解放タブ380は、プランジャ係合ポスト518上の歯付き部分544に位置合わせされる。
【0215】
図14Aおよび
図14Cを参照すると、プランジャ係合スリーブ514は、係合解除位置または状態から係合位置または状態に移動する。プランジャ係合スリーブ514のこのような移動は、アクチュエータをエネルギー遮断すること、ならびに
図9~
図13Jを参照して本明細書に記載される弾力的弾性部材484などの弾力的弾性部材がプランジャ係合スリーブ514を遠位方向で軸方向に強制すること、を許容することに起因し得る。別の実施形態では、プランジャ係合スリーブ514のこのような移動は、プランジャ係合スリーブ514を遠位方向で軸方向に強制するためのアクチュエータのエネルギー印加に起因し得る。例えば、アクチュエータは、アクチュエータを遠位方向に係合解除位置から係合位置に移動させるために、回転モータまたはリニアモータによって作動されてもよい。このようにしてアクチュエータにエネルギー印加することで、プランジャ係合スリーブ514は、遠位方向に移動させられ、弾力的弾性部材の弾性復元力を構築する。プランジャ係合スリーブ514の遠位方向への移動は、受容空間515ならびに1つ以上の可撓性保持部材368および係止溝527のキャッチ374からのプランジャ326の1つ以上の保持部材368の取り外しを防止するために、プランジャ係合スリーブ514とプランジャ係合ポスト518との間の受容空間515を閉鎖する。プランジャ係合スリーブ514が係合位置または状態に移動すると、プランジャ326の少なくとも1つの保持部材368は、ピストン500の近位軸方向移動がシリンジバレル内のプランジャ326の対応する近位軸方向移動をもたらすように、プランジャ係合スリーブ514とプランジャ係合ポスト518との間に捕捉される。次いで、ピストン500および接続されたプランジャ326は、シリンジ300のバレル318内で往復移動することができる。
【0216】
注入器のシリンジポートからシリンジ300を係止解除し、ピストン500からプランジャ326を係合解除するために、シリンジ300は、シリンジポートに対して、シリンジ長手方向軸の周りで時計回りまたは反時計回りに回転される。プランジャ326は、摩擦力によってシリンジバレル318内の回転が実質的にないので、シリンジ300の回転はまた、プランジャ326を、長手方向ピストン軸520の周りでピストン500に対して回転させる。プランジャ係合ポスト518上の歯付き部分544に対するプランジャ326上の1つ以上の解放タブ380の位置合わせにより、プランジャ326の回転はまた、プランジャ係合ポスト518をプランジャ解放スリーブ558に対して第1の位置から第2の位置に回転させる。プランジャ係合スリーブ514上の案内ピン539はプランジャ係合ポスト518の長手方向溝538内に受容されるので、プランジャ係合ポスト518の回転と共に、プランジャ係合スリーブ514もまた回転する。プランジャ係合スリーブ514の回転は、案内ピン539をプランジャ解放スリーブ558の傾斜面566に沿って案内させ(
図16参照)、
図9~
図13Jを参照して本明細書で説明された弾力的弾性部材484の動作と同様に、プランジャ係合スリーブ514を近位方向に移動させて弾力的弾性部材を圧縮する。加えて、長手方向ピストン軸520の周りのプランジャ係合ポスト518の回転は、
図9~
図13Jを参照して本明細書で説明された付勢部材496の動作と同様に、付勢部材の位置エネルギーを構築することができる。
【0217】
プランジャ解放スリーブ558の傾斜面566に沿った案内ピン539の移動は、プランジャ係合スリーブ514を、係合位置または状態から
図14Aに示される係合解除位置または状態に、近位方向で軸方向に移動させる。いくつかの実施形態では、プランジャ係合スリーブ514は、プランジャ係合スリーブ514を後退させるためにアクチュエータにエネルギー印加またはエネルギー遮断することによって、近位方向に移動することができる。プランジャ係合スリーブ514の近位方向への移動は、1つ以上の可撓性保持部材368および係止溝527のキャッチ374の取り外しを許容し、受容空間515からのプランジャ326の1つ以上の保持部材368の取り外しを可能にするために、プランジャ係合スリーブ514とプランジャ係合ポスト518との間の受容空間515を開放する。
【0218】
図18A~
図18Bを参照すると、本開示の別の実施形態によるピストン600およびプランジャ係合機構612が示されている。
図18A~
図18Bに示されるピストン600およびプランジャ係合機構612のコンポーネントは、
図9~
図13Jを参照して本明細書で説明されたピストン400およびプランジャ係合機構412のコンポーネントと実質的に同様または同一である。したがって、
図18A~
図18Bで使用される参照番号の先頭の数字が「4」から「6」に変更されていることを除き、
図9~
図13Jの対応する参照番号の同一のコンポーネントを示すために、
図18A~
図18Bの参照番号が使用される。例えば、
図9~
図13Jに関連して記載されたピストンは参照番号「400」で指定されているが、
図18A~
図18Bのピストンは参照番号「600」で識別される。
図9~
図13Jに全体的に示されるピストン400およびプランジャ係合機構412に関する前述の説明は、
図18A~
図18Bに示されるピストン600およびプランジャ係合機構612に適用可能であるため、これらの図に示されるコンポーネント間の相対的な違いのみが以下で説明される。
【0219】
図18Aを参照すると、プランジャ係合機構612は、中央開口部616を有するプランジャ係合スリーブ614と、長手方向ピストン軸620の方向に沿ってプランジャ係合スリーブ614の中央開口部616内で往復移動可能なプランジャ係合ポスト618と、を有する。プランジャ係合ポスト618は、
図9を参照して本明細書で説明されたアクチュエータ422などのアクチュエータによって往復駆動される。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、主に係合解除状態にあるように構成されたソレノイドであってもよく、ピストンへのプランジャ326の接続中にのみ係合状態にあってもよい。別の実施形態では、アクチュエータは、回転電動モータ、リニア電動モータ、またはリニアアクチュエータであってもよい。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、注入器への電力損失の場合に手動で逆駆動されることが可能なリニアアクチュエータである。
【0220】
プランジャ係合機構612は、係合位置または状態と係合解除位置または状態との間で動作可能である。係合位置または状態では、プランジャ係合ポスト618は、プランジャ係合スリーブ614とプランジャ係合ポスト618との間の受容空間615内にプランジャ326に関連付けられた少なくとも1つの保持部材368を捕捉するように、プランジャ係合スリーブ614内に配置されてもよい。逆に、係合解除位置または状態では、プランジャ係合ポスト618は、プランジャ係合スリーブ614とプランジャ係合ポスト618との間の受容空間615からのプランジャ326に関連付けられた少なくとも1つの保持部材368の取り外しを許容するように、プランジャ係合スリーブ614に対して近位に配置されてもよい。
【0221】
引き続き
図18Aを参照すると、プランジャ係合スリーブ614は中空体624を有し、中空体624の外表面の少なくとも一部は、ピストンヘッド606の少なくとも一部を画定する。プランジャ係合スリーブ614の遠位部分または端部626は、プランジャ326の内部空洞340に受容される形状になっており、その一方で、少なくとも1つの保持部材368などのプランジャ326の少なくとも一部は、中央開口部616内に受容されるように構成されている。中央開口部616は、プランジャ係合スリーブ614の中空体624を通って延在する。中央開口部616の内表面は、開口部616の内径が中空体624の遠位端から近位部分または端部に向かう方向に細くなるように、傾斜部630を有することができる。傾斜部630は、ピストンヘッド606がプランジャ326に対して遠位に移動する際に1つ以上の可撓性保持部材368のキャッチ374と接触することによって、プランジャ係合スリーブ614へのプランジャ326の接続中に、プランジャ326に関連付けられた少なくとも1つの保持部材368を径方向内向きに偏向させるように構成されてもよい。傾斜部630は、係止リブ634で終端してもよい。プランジャ係合スリーブ614の外表面642は、
図9~
図13Jを参照して本明細書で説明された歯付き部分444と同様に、歯付き部分644を有することができる。歯付き部分644は、ピストン600に対するプランジャ326の回転中に(
図8Cに示される)、プランジャ326上の1つ以上の解放タブ380と相互作用するように構成されてもよい。
【0222】
図18Bを参照すると、プランジャ係合ポスト618がプランジャ係合機構612とは別に示されている。プランジャ係合ポスト618は、近位端674および遠位端676を有するシャフト672を有する。シャフト672の遠位端676は、ピストン600からのプランジャ326の取り外しを防止するためにプランジャ係合ポスト618が係合位置にあるときに、プランジャ326上の少なくとも1つの保持部材368と接触するように構成されたテーパ状端面678を有する。シャフト672の近位端674は、係合位置または状態と係合解除位置または状態との間でプランジャ係合スリーブ614に対してプランジャ係合ポスト618を移動させるために、
図9~
図13Jを参照して本明細書で説明されたアクチュエータ422と同様に、アクチュエータに接続するように構成されている。
【0223】
引き続き
図18Bを参照すると、プランジャ係合ポスト618は、遠位端676でシャフト672の本体に窪んだ少なくとも1つの溝665をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの溝665は、プランジャ係合ポスト618が長手方向軸667の周りで回転されるとき、プランジャ326の少なくとも1つの保持部材368を受容するように構成されてもよい。少なくとも1つの溝665は、シャフト672の近位端674付近のレッジ679と遠位端676との間で直線的または曲線的に連続していてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの溝665は、プランジャ係合ポスト618の長手方向軸667と平行な方向に延在してもよい。
【0224】
引き続き
図18Bを参照すると、複数の溝665は、シャフト672の遠位端676の外周に沿って長手方向軸667から径方向に離間している。3つ以上の溝665が設けられている実施形態では、溝665は、互いに均等に離間され、シャフト672の外表面667によって互いに分離されている。いくつかの実施形態では、溝665の数および間隔は、プランジャ326上の保持部材368の数および間隔に対応し得る。
図8Cに示されるような、等しい角度分離を有する6つの保持部材368を有する1つの例示的で非限定的な態様では、対応するプランジャ係合ポスト618は、両側に隣接する溝665から60度離れた6つの溝665を有する。
【0225】
図18Aを参照すると、シャフト672の近位端674は、プランジャ係合スリーブ614の中空体624内に摺動可能に実装された回転機構671に受容される。いくつかの実施形態では、回転機構671は、中空体624内に摺動可能に実装され、プランジャ係合スリーブ614に対して回転しないように固定された第1の部分673と、プランジャ係合ポスト618に固定され、第1の部分673およびプランジャ係合スリーブ614に対して回転可能な第2の部分675と、を有してもよい。いくつかの実施形態では、回転機構671は、長手方向軸620の周りで時計回りまたは反時計回り方向など、一方向に回転するように構成されてもよい。例えば、回転機構671は、一方向クラッチであってもよい。
【0226】
本開示の非限定的な一実施形態によるプランジャ326およびピストン600の構造を説明してきたが、ここで、ピストン600に対するプランジャ326の係合および係合解除の方法が説明される。
【0227】
図18Aは、そのプランジャ係合機構612がプランジャ326との係合位置または状態にあるピストン600を示す。
図13A~
図13Jを参照して本明細書で説明されたように、プランジャ326は、プランジャ係合スリーブ614とプランジャ係合ポスト618との間の受容空間615内へのプランジャ326の1つ以上の保持部材368の挿入を許容するために、ピストン600を遠位に移動させることによってピストン600に接続されることが可能である。いくつかの実施形態では、ピストン600は、コントローラ200(
図2)によって動作される駆動機構402を使用して遠位に前進させられてもよい。別の実施形態では、ピストン600は、手動で遠位方向に移動することができる。
【0228】
ピストン600は、少なくとも1つの保持部材368がキャッチ374と傾斜部630との間の接触によって径方向内向きに偏向されるようにプランジャ326の少なくとも1つの保持部材368がプランジャ係合スリーブ614の中央開口部616内に柔軟に受容されるように、遠位方向で軸方向に前進する。複数の保持部材368を有する実施形態では、保持部材368の各々は、径方向内向きに偏向される。いくつかの実施形態では、プランジャ326の保持部材368と自動位置合わせするためのプランジャ係合ポスト618の正しい配向への回転を支援するために、テーパ状端面678の両側に案内面があってもよい。
【0229】
遠位方向へのピストン600の継続的な軸方向移動の間、キャッチ374は、ピストン係合スリーブ614の係止リブ634の上方で径方向内向きに偏向される。キャッチ374が係止リブ634に対して近位に配置された後、プランジャ326の駆動ショルダ327がピストン600上の対応する駆動レッジ637と係合するときなど、プランジャ326に対するピストン600の遠位移動が停止され、少なくとも1つの保持部材368は、キャッチ374が係止リブ634の近位に配置されるように、径方向外向きに弾性的に偏向されることが可能である。この構成では、プランジャ係合ポスト618は、
図9~
図14Cを参照して本明細書で説明されたアクチュエータの作動などにより、依然として係合解除位置または状態にある。プランジャ326がピストン600に接続された状態で、プランジャ326上の1つ以上の解放タブ380は、プランジャ係合スリーブ614の外表面642上の歯付き部分644に位置合わせされる。
【0230】
係合解除状態または位置から係合状態または位置へのプランジャ係合ポスト618の遠位移動により、プランジャ係合スリーブ614とプランジャ係合ポスト618との間の受容空間615は、受容空間615からのプランジャ326の1つ以上の保持部材368の取り外しを防止するために閉鎖される。プランジャ係合ポスト618が係合位置または状態に移動すると、プランジャ326の少なくとも1つの保持部材368のキャッチ374は、プランジャ係合スリーブ614と、係止リブ634の近位のプランジャ係合ポスト418の外表面667と、の間に捕捉される。次いで、ピストン600および接続されたプランジャ326は、シリンジ300のバレル318内で往復移動することができる。いくつかの実施形態では、ピストン600は、コントローラ200(
図2)によって動作される駆動機構402を使用して、シリンジ300から流体を送達するために遠位に、またはシリンジ300を流体で充填するために近位に前進することができる。
【0231】
注入器のシリンジポートからシリンジ300を係止解除し、ピストン600からプランジャ326を係合解除するために、シリンジ300は、シリンジポートに対して、シリンジ長手方向軸の周りで時計回りまたは反時計回りに回転されてもよい。プランジャ係合スリーブ614上の歯付き部分644に対するプランジャ326上の1つ以上の解放タブ380の位置合わせにより、プランジャ326の回転はまた、プランジャ係合スリーブを回転させる。プランジャ係合ポスト618は回転機構671を介してプランジャ係合スリーブ614に接続されるので、プランジャ係合ポスト618は、プランジャ係合スリーブ614の回転と共に回転しない。このようにして、プランジャ326の保持部材368は、プランジャ係合ポスト618上の溝665内に摺動する。
【0232】
プランジャ326の保持部材368がプランジャ係合ポスト618の溝665内に配置されると、プランジャ係合スリーブ614とプランジャ係合ポスト618との間の受容空間615は、係止リブ634の上方での少なくとも1つの保持部材368のキャッチ374の柔軟な遠位移動によって、受容空間615からのプランジャ326の1つ以上の保持部材368の取り外しを許容するために開放される。ピストン600からプランジャ326を取り外すために、シリンジ300が遠位方向に引っ張られることが可能であるか、またはプランジャ326が近位方向に後退されることが可能である。互いから離れる方向へのプランジャ326に対するピストン600のこのような相対移動中、キャッチ374は、ピストン600からの1つ以上の保持部材368の取り外しを許容するために、ピストン係合スリーブ614の係止リブ634の上方で偏向される。
【0233】
図19~
図21Bを参照すると、本開示の別の実施形態によるピストン700およびプランジャ係合機構712が示されている。
図19~
図21Bに示されるピストン700およびプランジャ係合機構712のコンポーネントは、
図9~
図13Jを参照して本明細書で説明されたピストン400およびプランジャ係合機構412のコンポーネントと実質的に同様または同一である。したがって、
図19~
図21Bで使用される参照番号の先頭の数字が「4」から「7」に変更されていることを除き、
図9~
図13Jの対応する参照番号の同一のコンポーネントを示すために、
図19~
図21Bの参照番号が使用される。
図9~
図13Jに全体的に示されるピストン400およびプランジャ係合機構412に関する前述の説明は、
図19~
図21Bに示されるピストン700およびプランジャ係合機構712に適用可能であるため、これらの図に示されるコンポーネント間の相対的な違いのみが以下で説明される。
【0234】
最初に
図19を参照すると、
図1に示される注入器10などの注入器のシリンジポート16と組み合わせて、ピストン700およびプランジャ係合機構712が示されている。ピストン700は、
図2に示される駆動機構402などを介して、シリンジポート16内で長手方向ピストン軸720の方向に往復移動可能である。
【0235】
図20を参照すると、ピストン700およびプランジャ係合機構712の分解図が示されている。ピストン700は、本体704と、本体704の遠位端にあるピストンヘッド706と、を有する。ピストンヘッド706は、
図7~
図8Bに示されるプランジャ326などのシリンジのプランジャに取り外し可能に接続されるように構成されている。プランジャ係合機構712は、ピストンヘッド706に一体化されている。いくつかの実施形態では、ピストンヘッド706および/またはプランジャ係合機構712の少なくとも一部は、プランジャ326および/またはシリンジ300の少なくとも一部を照明するためにピストン700内の1つ以上のライトによって放射される光の通過を許容するように構成された透明または半透明の材料から作られてもよい。
【0236】
引き続き
図20を参照すると、ピストン700は、ピン707およびセンサ709などの検知部材705を有する。ピン707は、プランジャ326とピン707の遠位端715との間の接触などによってピン707の遠位端715が近位方向に強制されたときに、センサ709と接触するように構成された近位端713を有する。ピン707は、ピストン700の長手方向軸720に沿って延在することができ、ピストンヘッド706の少なくとも一部を通って突出することができる。ピン707は、プランジャ326の表面などの表面との接触を検知するように動作し、検知された条件に基づいてピストン700の移動を制御するために、コントローラ200(
図2)に1つ以上の信号を送信することができる。例えば、ピン707の遠位端715とプランジャ326との間の最初の接触は、センサ709と接触するように、ピン707を近位方向に移動させることができる。センサ709は、ピン707によるセンサ709の動作時に、センサ709がピストン700の駆動機構の移動を制御するように、コントローラ200に動作可能に接続されてもよい。例えば、駆動機構は、停止されるか、または第1の速度から第2のより遅い速度、ならびにピン707の遠位端715およびプランジャ326まで減速されてもよい。ピン707は、ばね711によってその遠位位置に付勢されてもよい。
【0237】
引き続き
図20を参照すると、プランジャ係合機構712は、中央開口部716を有するプランジャ係合スリーブ714とプランジャ係合ポスト718とを有する。プランジャ係合ポスト718は、アクチュエータ722(
図21A~
図21Bに示される)の作動により、プランジャ係合スリーブ714に対して長手方向ピストン軸720の方向に沿って並進可能である。いくつかの実施形態では、プランジャ係合ポスト718は、プランジャ係合スリーブ714とプランジャ係合ポスト718との間のプランジャ326の少なくとも1つの保持部材368の捕捉によってプランジャ326がピストン700と係止係合される係合位置と、プランジャ326がピストン700から取り外されることが可能な係合解除位置と、の間で軸方向に移動可能であってもよい。
【0238】
引き続き
図20を参照すると、プランジャ係合ポスト718は、近位部分723から遠位に延在するポスト部分721を有する。プランジャ係合ポスト718は、案内ピン(図示略)を受容するように構成された径方向溝737をさらに有する。プランジャ係合ポスト718のポスト部分721は、プランジャ326の少なくとも1つの保持部材368のキャッチ374と相互作用するように構成された係止リップ729を有する。ポスト部分721は、ポスト部分721および/または係止リップ729の外表面とのキャッチ374の接触により、少なくとも1つの保持部材368を径方向外向きに偏向させる形状になっていてもよい。このようにして、プランジャ326に対するピストン700の遠位移動は、キャッチ374とポスト部分721との間の接触により、少なくとも1つの保持部材368を径方向外向きに偏向させる。複数の保持部材368を有する実施形態では、保持部材368の各々は、径方向外向きに偏向される。
【0239】
引き続き
図20を参照すると、プランジャ係合スリーブ714は中空体724を有し、中空体724の外表面の少なくとも一部は、ピストンヘッド706の少なくとも一部を画定する。プランジャ係合スリーブ714の遠位部分または端部726は、プランジャ326の内部空洞340(
図21Aに示される)に受容される形状になっており、その一方で、少なくとも1つの保持部材368などのプランジャ326の少なくとも一部は、中央開口部716内に受容されるように構成されている。中央開口部716は、プランジャ係合スリーブ714の中空体724を通って延在する。
【0240】
開口部716の遠位端にある中央開口部716の内表面728の一部は、プランジャ係合スリーブ714の遠位端からプランジャ係合スリーブ714の近位端への方向に直径が減少する段付き内径を有してもよい。例えば、開口部716は、第1の内径を有する第1の段部717と、第1の段部717の第1の直径よりも小さい第2の直径を有する第1の段部717の近位に配置された第2の段部719と、を有してもよい。プランジャ係合スリーブ714の遠位部分または端部726へのプランジャ326の接続中に、プランジャ326に関連付けられた少なくとも1つの保持部材368を径方向内向きに偏向させるために、第1および第2の段部717、719の間に傾斜部730が設けられてもよい。
【0241】
本開示の非限定的な一実施形態によるプランジャ326(
図6~
図8Cを参照した本明細書の開示を参照)およびピストン700の構造を説明してきたが、ここで、ピストン700に対するプランジャ326の係合および係合解除の方法が、
図21A~
図21Bを参照して説明される。シリンジ300の一部が
図21A~
図21Bに示されている。
【0242】
図21Aは、係合解除位置または状態にあり、およびプランジャ326との係止係合の前の、プランジャ係合機構712を有するピストン700を示す。いくつかの実施形態では、ピストン700は、コントローラ200(
図2)によって動作される駆動機構402を使用して遠位に前進させられてもよい。別の実施形態では、ピストンは、手動で遠位方向に移動することができる。
【0243】
ピストン700が遠位に前進し得るとき、プランジャ326の少なくとも1つの保持部材368上のキャッチ374は、ポスト部分721上の係止リップ729との接触によって径方向外向きに偏向される。プランジャ係合ポスト718は、その係合解除位置にあり、保持部材368が第1の段部717によって画定された空間内に径方向外向きに偏向され得るように、プランジャ係合スリーブ714に対して遠位方向で軸方向に移動する。キャッチ374が係止リップ729に対して近位に配置された後、少なくとも1つの保持部材368は、例えば第1および第2の段部717、719の間の傾斜部730と組み合わせた保持部材368の弾性可撓性により、径方向内向きの方向に弾性的に偏向されることが可能である。少なくとも1つの保持部材368が
図21Aに示される位置にある間、本明細書に記載されるように、(注入器からのシリンジの取り外しなどによって)少なくとも1つの保持部材368はピストン700の近位移動またはプランジャ326の遠位移動と共に径方向外向きに柔軟に偏向され得るので、プランジャ326は、ピストン700と係止係合していない。
【0244】
図21Bを参照すると、プランジャ係合ポスト718は、長手方向ピストン軸720に沿って近位方向に移動することによって、係合解除位置または状態から係合位置または状態に移動する。プランジャ係合ポスト718のこのような移動は、アクチュエータをエネルギー遮断すること、ならびに
図9~
図13Jを参照して本明細書に記載される弾力的弾性部材484などの弾力的弾性部材がプランジャ係合ポスト718を近位方向で軸方向に強制することを許容することに起因するか、あるいはプランジャ係合ポスト718を近位方向に移動させるようにアクチュエータにエネルギー印加することによってもよい。プランジャ係合ポスト718の近位方向への移動は、少なくとも1つの保持部材368およびキャッチ374をプランジャ係合スリーブ714の第2の段部719によって画定された空間内に係止する。係止リップ729の増大した直径と組み合わせた第2の段部719のより小さい第2の直径のため、プランジャ326の1つ以上の保持部材368は、ピストン700の往復軸方向移動がシリンジバレル318内のプランジャ326の対応する往復軸方向移動をもたらすように、プランジャ係合スリーブ714とプランジャ係合ポスト718との間の受容空間715内に捕捉される。プランジャ係合機構712からプランジャ326を係止解除するために、プランジャ係合ポスト718は、遠位方向へのプランジャ係合ポスト718の軸方向移動を介して係合解除位置に移動され、係止リップ729を遠位に移動させ、1つ以上の保持部材368のキャッチ374が第1の段部717の係止リップ729の周りを移動することを許容し、プランジャ係合スリーブ714とプランジャ係合ポスト718との間の受容空間715からのプランジャ326の1つ以上の保持部材368の取り外しを可能にする。
【0245】
図22A~
図22Eを参照すると、本開示の別の実施形態によるピストン800およびプランジャ係合機構812が示されている。
図22A~
図22Eに示されるピストン800およびプランジャ係合機構812のコンポーネントは、
図9~
図13Jを参照して本明細書で説明されたピストン400およびプランジャ係合機構412のコンポーネントと実質的に同様または同一である。したがって、
図22A~
図22Eで使用される参照番号の先頭の数字が「4」から「8」に変更されていることを除き、
図9~
図13Jの対応する参照番号の同一のコンポーネントを示すために、
図22A~
図22Eの参照番号が使用される。
図9~
図13Jに全体的に示されるピストン400およびプランジャ係合機構412に関する前述の説明は、
図22A~
図22Eに示されるピストン800およびプランジャ係合機構812に適用可能であるため、これらの図に示されるコンポーネント間の相対的な違いのみが以下で説明される。
【0246】
図22Aを参照すると、ピストン800は、本体804と、本体804の遠位端にあるピストンヘッド806と、を有する。ピストンヘッド806は、
図8Cに示されるプランジャ326などのシリンジのプランジャに取り外し可能に接続されるように構成されている。プランジャ係合機構812は、ピストンヘッド806に一体化されている。いくつかの実施形態では、ピストンヘッド806および/またはプランジャ326の少なくとも一部は、プランジャ326および/またはシリンジ300の少なくとも一部を照明するためにピストン800内の1つ以上のライト803によって放射される光の通過を許容するように構成された透明または半透明の材料から作られてもよい。
【0247】
ピストン800は、検知スリーブ807およびセンサ809などの検知部材805を有する。検知スリーブ807は、プランジャ326の1つ以上の保持部材368と検知スリーブ807の遠位端815との間の接触などによって検知スリーブ807の遠位端815が近位方向に強制されたときに、センサ809と接触するように構成された近位端813を有する。検知スリーブ807は、ピストン800の長手方向軸820に沿って延在してもよく、ピストンヘッド806内に窪んでいてもよい。検知スリーブ807は、プランジャ326の表面などの表面との接触を検知するように動作することができ、コントローラ200は、検知された条件に基づいてピストン800の移動を制御するためにシグナリングされ得る。いくつかの実施形態では、検知スリーブ807の遠位端815は、プランジャ326がピストン800に接続されたときにプランジャ326の1つ以上の保持部材368に接触するように構成されてもよい。検知スリーブ807の遠位端815とプランジャ326の1つ以上の保持部材368との間の最初の接触は、検知スリーブ807がセンサ809を作動させるように、検知スリーブ807を近位方向に後退させることができる。センサ809は、検知スリーブ807によるセンサ809の作動時に、センサ809が駆動機構の移動を制御するためにコントローラ200にシグナリングするように、コントローラ200およびピストン800の駆動機構に動作可能に接続されてもよい。例えば、駆動機構は、停止されるか、または第1の速度から第2のより遅い速度まで減速されてもよい。検知スリーブ807は、ばね817などの付勢部材によってその遠位位置に付勢されてもよい。
【0248】
プランジャ係合機構812は、中央開口部816を有するプランジャ係合スリーブ814とプランジャ係合ポスト818とを有する。プランジャ係合ポスト818は、
図9~
図13Jを参照して本明細書に記載されるアクチュエータ422などのアクチュエータの作動により、プランジャ係合スリーブ814に対して長手方向ピストン軸820の方向に沿って並進可能である。いくつかの実施形態では、プランジャ係合ポスト818は、プランジャ係合スリーブ814の係止リブ834およびプランジャ係合ポスト818の下のプランジャ326の少なくとも1つの保持部材368のキャッチ374を捕捉することによってプランジャ326がピストン800と係止係合される係合位置と、プランジャ326がピストン800から取り外されることが可能な係合解除位置と、の間で軸方向に移動可能であってもよい。
【0249】
プランジャ係合スリーブ814は中空体824を有し、中空体824の外表面の少なくとも一部は、ピストンヘッド806の少なくとも一部を画定する。プランジャ係合スリーブ814の遠位部分または端部826は、プランジャ326の内部空洞340に受容される形状になっており、その一方で、少なくとも1つの保持部材368などのプランジャ326の少なくとも一部は、中央開口部816内に受容されるように構成されている。中央開口部816は、プランジャ係合スリーブ814の中空体824を通って延在する。
【0250】
中央開口部816の内表面は、内表面828から径方向内向きに突出する係止リブ834を有する。係止リブ834は、プランジャ係合スリーブ814の遠位部分または端部へのプランジャ326の接続中に、プランジャ326に関連付けられた少なくとも1つの保持部材368を径方向内向きに偏向させるように構成されている。いくつかの実施形態では、係止リブ834は、プランジャ係合スリーブ814の中空体824の内表面828の周りに連続的または不連続的に延在し、本明細書に記載されるように、プランジャ326がプランジャ係合機構812と係止係合されているときにピストン800からのプランジャ326の取り外しを防止するために、プランジャ326の少なくとも1つの保持部材368上の少なくとも1つのキャッチ374と係合する表面を画定する。
【0251】
本開示の非限定的な一実施形態によるプランジャ326およびピストン800の構造を説明してきたが、ここで、ピストン800に対するプランジャ326の係合および係合解除の方法が、
図22A~
図22Eを参照して説明される。
【0252】
図22Aは、係合解除位置または状態にあり、およびプランジャ326との係止係合の前の、プランジャ係合機構812を有するピストン800を示す。いくつかの実施形態では、ピストン800は、コントローラ200(
図2)によって動作される駆動機構402を使用して遠位に前進させられてもよい。別の実施形態では、ピストンは、手動で遠位方向に移動することができる。
【0253】
図22Aから
図22Bに移ると、ピストン800がプランジャ326に向かって前進する際に、プランジャ326の少なくとも1つの保持部材368は、検知スリーブ807がセンサ809に向かって近位に移動するように、検知スリーブ807に接触する。プランジャ326の少なくとも1つの保持部材368上のキャッチ374は、プランジャ係合スリーブ814上の係止リブ834との接触により、径方向内向きに偏向される。プランジャ係合ポスト818は、例えば近位方向に後退した、その係合解除位置にある。少なくとも1つの保持部材368が
図22Bに示される位置にある間、(注入器からのシリンジの取り外しなどによって)少なくとも1つの保持部材368はピストン800の近位移動またはプランジャ326の遠位移動と共に径方向内向きに柔軟に偏向され得るので、プランジャ326は、ピストン800と係止係合していない。
【0254】
図22Cを参照すると、検知スリーブ807がプランジャ326の少なくとも1つの保持部材368との接触によって近位に移動した場合、センサ809は検知スリーブ807の存在を検出し、プランジャ係合ポスト818を係合解除位置または状態から係合位置または状態に遠位方向で軸方向に移動させるようにアクチュエータ822を作動させる。プランジャ係合ポスト718のこのような移動は、アクチュエータ822をエネルギー遮断することに起因し得る。別の実施形態では、プランジャ係合ポスト818の移動は、ソレノイドなどのアクチュエータ822にエネルギー印加することに起因するか、またはアクチュエータを移動させるためのモータの動作によってもよい。
【0255】
係合解除状態または位置から係合状態または位置へのプランジャ係合ポスト818の移動により、係止リブ834の近位のプランジャ係合スリーブ814とプランジャ係合ポスト818との間の受容空間815は、受容空間815からのプランジャ326の1つ以上の保持部材368のキャッチ374の取り外しを防止するために閉鎖される。プランジャ係合ポスト818が係合位置または状態に移動すると、プランジャ326の少なくとも1つの保持部材368のキャッチ374は、プランジャ係合スリーブ814の係止リブ834とプランジャ係合ポスト818との間に捕捉される。次いで、ピストン800および接続されたプランジャ326は、シリンジのバレル318内で往復移動することができる。いくつかの実施形態では、ピストン800は、コントローラ200(
図2)によって動作される駆動機構402を使用して、シリンジ300から流体を送達するために遠位に、またはシリンジ300を流体で充填するために近位に前進することができる。
【0256】
図22Dを参照すると、プランジャ係合機構812からプランジャ326を係止解除するために、プランジャ係合ポスト818は、例えばアクチュエータ(本明細書に記載される)または付勢部材からの蓄積された復元力によって、遠位方向への軸方向移動を介して係合解除位置に移動され、プランジャ係合スリーブ814とプランジャ係合ポスト718との間の受容空間815からのプランジャ326の1つ以上の保持部材368の取り外しを許容する。ピストン800からのプランジャ326の取り外しは、ばね817によって提供される復元力によって検知スリーブ807が遠位方向に移動することを許容する(
図22E)。
【0257】
図23A~
図23Gを参照すると、本開示の別の実施形態によるピストン900およびプランジャ係合機構912が示されている。
図23A~
図23Gに示されるピストン900およびプランジャ係合機構912の特定のコンポーネントは、
図9~
図13Jを参照して本明細書で説明されたピストン400およびプランジャ係合機構412のコンポーネントと実質的に同様または同一である。
図9~
図13Jに全体的に示されるピストン400およびプランジャ係合機構412に関する前述の説明の特定の特徴は、
図23A~
図23Gに示されるピストン900およびプランジャ係合機構912に適用可能であるため、これらの図に示されるコンポーネント間の相対的な違いのみが以下で説明される。
【0258】
図23Aを参照すると、プランジャ326は、プランジャ長手方向軸334に対して径方向外向きに突出するキャッチ374を有する少なくとも1つの保持部材368を有する。キャッチ374は、ピストン係合機構912の少なくとも一部の中に受容される形状になっている。いくつかの実施形態では、キャッチ374は、プランジャ長手方向軸334に対して鋭角または鈍角で傾斜した、丸みまたは傾斜キャッチ面375を有する。傾斜キャッチ面375は、本明細書に記載されるように、ピストン900とのプランジャ326の係合中に、プランジャ係合機構912の少なくとも一部と接触するように構成されている。少なくとも1つの保持部材368もまた、少なくとも1つの丸みまたは1つの傾斜解放面369を有することができる。傾斜解放面369は、傾斜キャッチ面375の反対側など、キャッチ374の少なくとも一部に設けられてもよい。丸みまたは傾斜解放面369は、丸みまたは傾斜キャッチ面375の円弧または角度と反対の方向に、プランジャ長手方向軸334に対して鋭角または鈍角で傾斜している。丸みまたは傾斜解放面369は、本明細書に記載されるように、ピストン900からのプランジャ326の係合解除中に、プランジャ係合機構912の少なくとも一部と相互作用するように構成されている。様々な実施形態では、追加の支持なしでの丸みまたは傾斜解放面369b間の摩擦または係止相互作用は、プランジャ326をピストン900のプランジャ係合機構912と係止可能に係合するには不十分である。
【0259】
ピストン900は、流体注入器10、100(
図1および
図3)のハウジングから伸長および後退可能である。ピストン900は、ステム901と、ステム901の遠位端に形成されたピストンヘッド920と、を含む。特定の実施形態では、ピストンヘッド920は、ステム901の径方向縁部を超えて径方向外向きに延在してもよい。ピストンヘッド920は、プランジャ326がピストン900と接続されたときに少なくとも1つの保持部材368などのプランジャ326の少なくとも一部を受容するように構成されたピストン空洞940を有する、実質的に円筒形の構造であってもよい。ピストン空洞940は、ピストン空洞940の内表面から径方向内向きに突出する少なくとも1つの係止リップ950を有することができる。少なくとも1つの係止リップ950は、キャッチ374などの保持部材368の少なくとも一部と係合するように構成されている。少なくとも1つの係止リップ950は、ピストン空洞940の周りの周方向に連続的であっても不連続的であってもよい。
【0260】
いくつかの例では、少なくとも1つの係止リップ950は、丸みまたは傾斜遠位面960および丸みまたは傾斜近位面970を有する。丸みまたは傾斜遠位面960は、プランジャ326の丸みまたは傾斜キャッチ面375と同じ方向に円弧状になっているかまたは傾斜している。このようにして、遠位面960は、プランジャ326がピストン空洞940に挿入されることを可能にするように1つ以上の保持部材368をプランジャ長手方向軸334に向かって径方向内向き方向に柔軟かつ弾性的に偏向させるために、ピストン900とプランジャ326との間の接続プロセス中に、キャッチ面375と係合する。丸みまたは傾斜近位面970は、丸み傾斜遠位面960と反対の方向に円弧状になっているかまたは傾斜している。丸みまたは傾斜近位面970は、プランジャ326の丸みまたは傾斜解放面369と同じ方向に円弧状になっているかまたは傾斜している。このようにして、近位面970は、ピストン900からプランジャ326を切り離すためにピストン900および/またはプランジャ326が軸方向に移動されるときに、解放面369と係合する。プランジャ326上の解放面369とピストン900の近位面970との間の係合は、プランジャ326がピストン空洞940から引き出されることを可能にするために、1つ以上の保持部材368を長手方向軸334に向かって径方向内向き方向に偏向させる。
【0261】
図23A~
図23Gを参照すると、ピストン900は、ピストン900に対してプランジャ326を係止するように構成された係止部材980を有する。係止部材980は、第1の位置(
図23D)と第2の位置(
図23E)との間で軸方向に移動可能であってもよい。いくつかの例では、係止部材980は、ピストン空洞940内に少なくとも部分的に延在するように移動可能である。第2の位置で伸長されると、係止部材980は、少なくとも1つの保持部材368の径方向内向き方向の偏向を防止するために、プランジャ326の空洞340に挿入される。例えば、第2の係合位置において、係止部材980は、キャッチ374が少なくとも1つの係止リップ950を超えて移動することができないように、ピストン900の近位面970に対してプランジャ326の解放面369を保持することによって、少なくとも1つの係止リップ950に対してキャッチ374を係止する。いくつかの実施形態では、プランジャ326の表面などの表面との接触を検知するためにセンサに接続されたスプリングピンなどの検知部材(図示略)が設けられ、検知された条件に基づいてピストン900の移動を制御してもよい。
【0262】
非限定的な一実施形態によるプランジャ326およびピストン900の構造を説明してきたが、ここで、
図23A~
図23Gを参照して、ピストン900に対するプランジャ326の係合および係合解除が説明される。
図23Aに示されるシリンジ12は、明確にするために、
図23B~
図23Gの残部から省略されている。
【0263】
プランジャ326をピストン900と係合させるために、シリンジ12が、流体注入器10(
図1)または圧力ジャケット15(
図3)のシリンジポート16に最初に接続される。シリンジ12がシリンジポート16に挿入されると、シリンジポート16からのシリンジ12の分離を防止するためにシリンジポート16内または圧力ジャケット内にシリンジ12を保持するために、様々な係止機構(図示略)が使用され得る。最初に、プランジャ326は、シリンジバレル18の近位端20に配置されてもよい。次いで、ピストン900は、プランジャ326とのピストンヘッド920の係合のために、プランジャ326に向かって遠位に前進することができる。
【0264】
図23A~
図23Bを参照すると、ピストン900は、ピストンヘッド920の傾斜遠位面960がプランジャ326の少なくとも1つの保持部材368と接触するように、遠位方向(
図23A~
図23Bの矢印A)で軸方向に前進する。最初に、傾斜遠位面960は、少なくとも1つの保持部材368のキャッチ面375などのキャッチ374と接触する。キャッチ374は少なくとも1つの保持部材368に対して径方向外向きに突出しているので、キャッチ374は、傾斜遠位面960の近位のピストン空洞940の内表面よりもプランジャ長手方向軸334から大きな径方向距離に配置される。このようにして、ピストン900の継続的な遠位移動は、プランジャ326のキャッチ面375とピストン900の遠位面960との接触により、少なくとも1つの保持部材368を径方向内向きに柔軟かつ弾性的に偏向させる(
図23B)。複数の保持部材368を有する例では、保持部材368の各々は、プランジャ長手方向軸334に対して径方向内向きに偏向される。
【0265】
図23Cを参照すると、遠位方向へのピストン900の継続的な軸方向移動の間、キャッチ374は、ピストンヘッド920の少なくとも1つのリップ950を超えて軸方向に前進する。可撓性の少なくとも1つの保持部材368の径方向偏向中に生じる復元力により、キャッチ374は、少なくとも1つの係止リップ950(
図23A)の近位に配置された凹部990内に、径方向外向きにスナップ留めされる。したがって、プランジャ326は、ピストン空洞940内に解放可能に保持される。プランジャ326をピストン900に係止し、ピストン900からのプランジャ326の取り外しを防止するために、係止部材980は、係止部材980を径方向(矢印B)に移動させることによって、第1の位置(
図23D)から第2の位置(
図23E)まで伸長される。第2の位置では、係止部材980は、保持部材368がピストン空洞940の内表面と係止部材980の外表面との間に係止され、係合解除するために内向きに柔軟に偏向することができないように、配置される。係止部材980は、保持部材368が径方向内向き方向に移動するのを防止し、これにより、プランジャ326がピストン900から切り離されるのを防止する。このようにして、ピストン900は、近位方向または遠位方向に移動することができ、その結果、プランジャ326の対応する移動をもたらす。係止部材980は、ソレノイドアクチュエータ、回転モータ、リニアモータなどの電気機械式アクチュエータによって、係合解除位置と係合位置との間で移動することができる。
図23A~
図23Bに示されるように、係止部材980は、ねじ溝の付いたねじ駆動部の噛み合った表面を回転させるために回転モータを使用して往復移動することができる。
【0266】
シリンジ12をシリンジポート16から係止解除し、プランジャ326をピストン900から係合解除するために、係止部材980は、
図23Fの矢印Cの方向で軸方向に移動することによって、第2の位置から第1の位置に移動する。係止部材980が第1の位置にある状態で、プランジャ326は、シリンジ12を介して遠位方向(
図23Gの矢印D)にプランジャ326を移動させること、および/または近位方向にピストン900を移動させることによって、ピストン900から切り離されることが可能である。ピストン900とプランジャ326との間のこのような相対移動は、保持部材368の傾斜解放面369をピストン900の傾斜近位面970と係合させる。ピストン900から離れるプランジャ326の継続的な移動は、リップ950を取り除くために、保持部材368を径方向内向きに偏向させる。リップ950を取り除いた後、保持部材368は径方向外向きに跳ね返り、これにより、プランジャ326はピストン900から完全に係合解除される。
【0267】
図24A~
図24Cを参照すると、本開示の別の実施形態によるピストン1000およびプランジャ係合機構1012が示されている。
図24A~
図24Cに示されるピストン1000およびプランジャ係合機構1012のコンポーネントは、
図9~
図13Jを参照して本明細書で説明されたピストン400およびプランジャ係合機構412のコンポーネントと実質的に同様または同一である。したがって、
図24A~
図24Cで使用される参照番号の先頭の数字が「4」から「10」に変更されていることを除き、
図9~
図13Jの対応する参照番号の同一のコンポーネントを示すために、
図24A~
図24Cの参照番号が使用される。
図9~
図13Jに全体的に示されるピストン400およびプランジャ係合機構412に関する前述の説明は、
図24A~
図24Cに示されるピストン1000およびプランジャ係合機構1012に適用可能であるため、これらの図に示されるコンポーネント間の相対的な違いのみが以下で説明される。
【0268】
図24Bを参照すると、プランジャ係合機構1012は、中央開口部1016を有するプランジャ係合スリーブ1014と、長手方向ピストン軸1020の方向に沿ってプランジャ係合スリーブ1014の中央開口部1016内で往復移動可能なプランジャ係合ポスト1018と、を有する。プランジャ係合ポスト1018は、
図9、または本明細書に記載されるプランジャ係合機構の別の実施形態を参照して本明細書で説明されたアクチュエータ422などのアクチュエータによって往復駆動される。プランジャ係合機構1012は、係合位置または状態と係合解除位置または状態との間で動作可能である。係合位置または状態では、プランジャ係合ポスト1018は、プランジャ係合スリーブ1014とプランジャ係合ポスト1018(
図24Cに示される)との間の受容空間1015内にプランジャ326に関連付けられた少なくとも1つの保持部材368を捕捉するように、プランジャ係合スリーブ1014内に配置されてもよい。逆に、係合解除位置または状態では、プランジャ係合ポスト1018は、プランジャ係合スリーブ1014とプランジャ係合ポスト1018との間の受容空間1015からのプランジャ326に関連付けられた少なくとも1つの保持部材368の取り外しを許容するように、プランジャ係合スリーブ1014に対して配置されてもよい。
【0269】
図24Bを参照すると、プランジャ係合スリーブ1014は中空体1024を有し、中空体1024の外表面の少なくとも一部は、ピストンヘッド1006の少なくとも一部を画定する。プランジャ係合スリーブ1014の遠位部分または端部1026は、プランジャ326の内部空洞340に受容される形状になっており、その一方で、少なくとも1つの保持部材368などのプランジャ326の少なくとも一部は、中央開口部1016内に受容されるように構成されている。中央開口部1016は、プランジャ係合スリーブ1014の中空体1024を通って延在する。プランジャ係合スリーブ1014の外表面1042は、歯付き部分1044を有することができる。歯付き部分1044は、ピストン1000に対するプランジャ326の回転中に、プランジャ326上の対応する歯付き部分329と相互作用するように構成されてもよい。
【0270】
プランジャ係合スリーブ1014は、中央開口部1016の内表面に窪んだ少なくとも1つの係止溝1065をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの溝1065は、プランジャ326がプランジャ係合スリーブ1014に接続されたときにプランジャ326の少なくとも1つの保持部材368のキャッチ374を受容するように構成されてもよい。
【0271】
プランジャ係合ポスト1018は、近位端1074および遠位端1076を有するシャフト1072を有する。シャフト1072の遠位端1076は、ピストン1000がプランジャ326と接触する際に少なくとも1つの保持部材368を径方向内向き方向に柔軟に偏向させるために、プランジャ326上の少なくとも1つの保持部材368と接触するように構成されたテーパ状端面1078を有する。係合位置に移動すると、プランジャ係合ポスト1018は、例えば、プランジャ係合スリーブ1014の係止溝1065の下でプランジャ326の少なくとも1つの保持部材368のキャッチ374を係止することによって、ピストン1000(
図24Cに示される)からのプランジャ326の取り外しを防止する。シャフト1072の近位端1074は、係合位置または状態と係合解除位置または状態との間でプランジャ係合スリーブ1014に対してプランジャ係合ポスト1018を移動させるために、
図9~
図13Jを参照して本明細書で説明されたアクチュエータ422と同様に、アクチュエータに接続するように構成されている。
【0272】
図24Cを参照すると、シャフト1072の近位端1074は、プランジャ係合スリーブ1014の中空体1024内に摺動可能に実装された回転機構1071に受容される。いくつかの実施形態では、回転機構1071は、本明細書の様々な実施形態にしたがって記載されるように、長手方向ピストン軸1020の周りで時計回りまたは反時計回り方向など、一方向に回転するように構成されてもよい。例えば、回転機構1071は、一方向クラッチであってもよい。
【0273】
本開示の非限定的な一実施形態によるプランジャ326およびピストン1000の構造を説明してきたが、ここで、ピストン1000に対するプランジャ326の係合および係合解除の方法が説明される。
【0274】
図24Cは、そのプランジャ係合機構1012がプランジャ326との係合位置または状態にあるピストン1000を示す。
図13A~
図13Jを参照して本明細書で説明されたように、プランジャ326は、キャッチ374が係止溝1065内にあるように、プランジャ係合スリーブ1014とプランジャ係合ポスト1018との間の受容空間1015内へのプランジャ326の1つ以上の保持部材368の挿入を許容するために、ピストン1000を遠位に移動させることによってピストン1000に接続されることが可能である。いくつかの実施形態では、ピストン1000は、コントローラ200(
図2)によって動作される駆動機構402を使用して遠位に前進させられてもよい。別の実施形態では、ピストン1000は、手動で遠位方向に移動することができる。
【0275】
ピストン1000は、少なくとも1つの保持部材368がキャッチ374とプランジャ係合スリーブ1014の内表面との間の接触によって径方向内向きに偏向されるようにプランジャ326の少なくとも1つの保持部材368がプランジャ係合スリーブ1014の中央開口部1016内に受容されるように、遠位方向で軸方向に前進する。複数の保持部材368を有する実施形態では、保持部材368の各々は、径方向内向きに偏向される。
【0276】
遠位方向へのピストン1000の継続的な軸方向移動の間、キャッチ374は、ピストン係合スリーブ1014の係止溝1065内に径方向外向きに偏向される。キャッチ374が係止溝1065内に配置された後、プランジャ326の歯付き部分329とプランジャ係合スリーブ1014の外表面1042の歯付き部分1044との間の係合などにより、プランジャ326に対するピストン1000の遠位移動が停止される。プランジャ係合ポスト1018は係合解除位置または状態にあり、プランジャ326はピストン1000に接続され、プランジャ326上の歯付き部分329は、プランジャ係合スリーブ1014の外表面1042上の歯付き部分1044に位置合わせされる。
【0277】
係合解除状態または位置から係合状態または位置へのプランジャ係合ポスト1018の移動により、プランジャ係合スリーブ1014とプランジャ係合ポスト1018との間の受容空間1015は、受容空間1015および係止溝1065からのプランジャ326の1つ以上の保持部材368の取り外しを防止するために閉鎖される。プランジャ係合ポスト1018が係合位置または状態に移動すると、プランジャ326の少なくとも1つの保持部材368は、プランジャ係合スリーブ1014とプランジャ係合ポスト418の外表面との間に捕捉される。次いで、ピストン1000および接続されたプランジャ326は、シリンジ300のバレル318内で往復移動することができる。いくつかの実施形態では、ピストン1000は、コントローラ200(
図2)によって動作される駆動機構402を使用して、シリンジ300から流体を送達するために遠位に、またはシリンジ300を流体で充填するために近位に前進することができる。
【0278】
注入器のシリンジポートからシリンジ300を係止解除し、ピストン1000からプランジャ326を係合解除するために、シリンジ300は、シリンジポートに対して、シリンジ長手方向軸の周りで時計回りまたは反時計回りに回転される。プランジャ係合スリーブ1014上の歯付き部分1044に対するプランジャ326上の歯付き部分329の位置合わせにより、プランジャ326の回転はまた、プランジャ係合スリーブ1014を回転させる。プランジャ係合ポスト1018は回転機構1071を介してプランジャ係合スリーブ1014に接続されるので、プランジャ係合ポスト1018は、プランジャ係合スリーブ1014の回転と共に回転しない。いくつかの実施形態では、プランジャ係合ポスト1018は、
図9~
図13Jを参照して本明細書に記載されるアクチュエータ424などのアクチュエータを介して、係合位置と係合解除位置との間で移動可能であってもよい。
【0279】
図25Aおよび
図25Bは、別の実施形態によるピストン-プランジャ係合システムの実施形態を示す。
図25Aは、プランジャが、プランジャベースの内表面から近位に延在する径方向内向き対面係合フランジまたはキャッチ2774を備える、係合解除位置にあるシステムを示す。ピストンは、プランジャベースの対応する係合フランジまたはキャッチ2774と係合するように構成された少なくとも1つの保持キャッチ2755を有する少なくとも1つの可撓性保持部材2750を含む。係合解除位置では、可動係止部材2798は、遠位の第1の位置において、係止部材2798がピストン2700の少なくとも1つの可撓性保持部材2750と係合しないように構成されている。
図25Bに示されるように、ピストン-プランジャ係合システムは係合位置にあり、可動係止部材2798は、例えばモータ、ソレノイド、またはカムシステムによって、近位方向に移動される。係止部材2798が近位に移動すると、近位面2799、例えば
図25Aおよび
図25Bに示される傾斜面は、保持部材2750を径方向外向き方向に屈曲させる少なくとも1つの可撓性保持部材2750と接触および係合する。保持部材2750が径方向外向きに移動すると、少なくとも1つの保持キャッチ2755は、少なくとも1つの径方向内向き対面係合フランジまたはキャッチ2774と係合し、プランジャベースをピストンに係止する。一般に、少なくとも1つの径方向内向き対面係合フランジまたはキャッチ2774は、例えば、係合フランジまたはキャッチ2774が径方向外向きに屈曲して少なくとも1つの可撓性保持部材2750の少なくとも1つの保持キャッチ2755から取り外されるのを防止するプランジャ係合スリーブ2714の構造的強度または外表面により、実質的に非可撓性である。係止部材2798を遠位方向に移動させることで、少なくとも1つの可撓性保持部材2750に印加される力を解放して保持部材2750が非屈曲の係合解除位置に戻ることを可能にし、少なくとも1つの保持キャッチ2755は、少なくとも1つの径方向内向き対面係合フランジまたはキャッチ2774と接触または係合せず、プランジャがピストンから取り外されることを可能にする。
【0280】
いくつかの実施形態では、弾力的弾性部材2784は、係合解除位置または係合位置に向かって係止部材2798を付勢するように構成されてもよい。例えば、弾力的弾性部材2784は、係合解除位置に向かって遠位方向に係止部材2798を付勢するように構成された圧縮ばねであってもよい。このようにして、係止部材2798は、電力損失の場合にプランジャが係止部材2798から切り離されることが可能なように、通常係合解除状態にある。別の実施形態では、弾力的弾性部材2784は、係合位置に向かって近位方向に係止部材2798を付勢するように構成された引張ばねであってもよい。このような実施形態では、係止部材2798は通常係合位置にあり、係止部材2798からのプランジャの取り外しを許容するために
図9を参照して本明細書で説明されたアクチュエータ422などを使用して、係合解除位置に移動されなければならない。
【0281】
図26を参照すると、本開示の別の実施形態によるプランジャ係合機構1112を有するピストン1100が示されている。いくつかの実施形態では、ピストン1100は、
図1および
図3に示される注入器10、100と共に使用するように構成されてもよい。別の実施形態では、ピストン1100は、造影撮影処置における造影剤および生理食塩水の注入などの医療用途向けに構成された任意の流体注入器と共に使用するように構成されてもよい。ピストン1100は、駆動機構を介して注入器のハウジング内で往復移動するように構成されている。駆動機構は、例えば、電動モータ402(
図2)、液圧システム、空気圧システム、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。コントローラ200(
図2)は、駆動機構の動作を制御するように、ひいてはピストン1100の往復移動を制御するように構成されてもよい。
【0282】
ピストン1100は、本体1104と、本体1104の遠位端にあるピストンヘッド1106と、を有する。ピストンヘッド1106は、シリンジ300のプランジャ326に取り外し可能に接続されるように構成されている。ピストンヘッド1106は、プランジャ326の内部空洞340の少なくとも一部の内側に受容されるように構成された部分的に円錐形の遠位端を有する実質的に円筒形の構造を有する。いくつかの実施形態では、ピストンヘッド1106および/またはプランジャ326の少なくとも一部は、プランジャ326および/またはシリンジ300の少なくとも一部を照明するためにピストン1100内の1つ以上のライトによって放射される光の通過を許容するように構成された透明または半透明の材料から作られてもよい。
【0283】
ピストンヘッド1106は、シリンジ300のバレル内のプランジャ326の往復駆動、ならびに注入処置の最後にピストンヘッド1106および流体注入器からのシリンジ300およびプランジャ326の迅速な取り外しを容易にするために、プランジャ326と解放可能に係合するように構成された、プランジャ係合機構1112を有する。プランジャ係合機構1112は、中央開口部1116を有するプランジャ係合スリーブ1114と、長手方向ピストン軸1120の方向に沿ってプランジャ係合スリーブ1114の中央開口部1116内で往復移動可能なプランジャ係合ポスト1118と、を有する。プランジャ係合ポスト1118は、流体注入器のアクチュエータ1122によって往復駆動される。プランジャ係合機構1112は、係合位置または状態と係合解除位置または状態との間で動作可能である。係合位置または状態では、プランジャ係合ポスト1118は、プランジャ係合スリーブ1114とプランジャ係合ポスト1118との間の受容空間1115内にプランジャ326に関連付けられた少なくとも1つの保持部材368を捕捉するように、プランジャ係合スリーブ1114内に配置されてもよい。逆に、係合解除位置または状態では、プランジャ係合ポスト1118は、プランジャ係合スリーブ1114とプランジャ係合ポスト1118との間の受容空間1115からのプランジャ326に関連付けられた少なくとも1つの保持部材368の取り外しを許容するように、プランジャ係合スリーブ1114に対して配置されてもよい。
【0284】
アクチュエータ1122は、プランジャ係合スリーブ1114およびプランジャ係合ポスト1118の一方を係合位置に移動させるための係合状態と、プランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストの一方を係合解除位置に移動させるための係合解除状態と、を有するように構成され得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータ1122は、アクチュエータ1122への電力損失中などに、自動的に係合解除状態に移動されてもよい。いくつかの実施形態では、アクチュエータ1122は、ピストン1100の近位移動中にのみ係合状態になり得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータ1122は、主に係合解除状態にあるように構成されたソレノイドであってもよく、ピストン1100へのプランジャ326の接続中にのみ係合状態にあってもよい。別の実施形態では、アクチュエータ1122は、回転電動モータ、リニア電動モータ、またはリニアアクチュエータであってもよい。いくつかの実施形態では、アクチュエータ1122は、注入器への電力損失の場合に手動で逆駆動されることが可能なリニアアクチュエータである。様々な実施形態では、ピストン1100からのプランジャ326の取り外しのためにプランジャ係合スリーブ1118およびプランジャ係合ポスト1118の一方を係合解除状態に移動させることは、本明細書で説明されたように、ピストン1100に対するプランジャ326の回転によって達成されてもよい。
【0285】
図27Aを参照して、一実施形態によるプランジャ係合スリーブ1114が説明される。プランジャ係合スリーブ1114は中空体1124を有し、中空体1124の外表面の少なくとも一部は、ピストンヘッド1106(
図26)の少なくとも一部を画定する。いくつかの実施形態では、中空体1124の遠位部分または端部1126は、プランジャ326の円錐形状部分の内部空洞340の形状に対応するように構成された円錐形状を有してもよい。少なくとも1つの保持部材368などのプランジャ326の少なくとも一部は、中央開口部1116に受容されるように構成されている。中央開口部1116は、プランジャ係合スリーブ1114の中空体1124を通って延在する。中空体1124の近位端または部分1132は、プランジャ解放スリーブ1158(
図28に示される)に受容されるように構成されてもよい。
【0286】
中空体1124の外表面1142の少なくとも一部は、本明細書で説明されたように、プランジャ係合機構1112からのプランジャ326の取り付けおよび取り外し中にプランジャ326上の1つ以上の解放タブ380と相互作用するように構成された、歯付き部分1144を有する。歯付き部分1144は、外表面1142から突出している1つ以上のプランジャ解放歯1145を有する。1つ以上のプランジャ解放歯1145は、中空体1124の外表面1142から径方向外向きに突出してもよい。1つ以上のプランジャ解放歯1145は、隣接するプランジャ解放歯1145間に溝が形成されるように、中空体1124の外表面1142の部分によって互いに分離されている。3つ以上のプランジャ解放歯1145が設けられた実施形態では、プランジャ解放歯1145は、互いに均等に離間していてもよい。いくつかの実施形態では、プランジャ解放歯1145は、不均一な角度広がりおよび/または不均一な角度間隔を有してもよい。プランジャ解放歯1145の径方向間隔は、プランジャ326上の1つ以上の解放タブ380間の間隔に対応するように選択されてもよい。プランジャ解放歯1145の各々の遠位端1147は、プランジャ係合スリーブ1114へのプランジャ326の接続中にプランジャ326上の1つ以上の解放タブ380を自己配向案内するように構成された尖端1149を有することができる。本明細書に記載されるように、1つ以上のプランジャ解放歯1145は、シリンジ300の回転などによる、その長手方向軸334の周りのプランジャ326の回転時に、ピストンからのプランジャ326の解放を引き起こすために、プランジャ326上の1つ以上の解放タブ380と相互作用するように構成されている。
【0287】
図27Bを参照すると、開口部1116の遠位端にある中央開口部1116の内表面1128の一部は、開口部1116の内径が、中空体1124の遠位端1126から近位部分または端部1132に向かう方向に細くなるように、傾斜部1130を有することができる。いくつかの実施形態では、傾斜部1130は、プランジャ係合スリーブ1114の遠位部分または端部1126へのプランジャ326の接続中に、プランジャ326に関連付けられた少なくとも1つの保持部材368の少なくとも一部を径方向内向き方向に偏向させるように構成されてもよい。別の実施形態では、傾斜部1130は、プランジャ係合スリーブ1114へのプランジャ326の接続中に、キャッチ374などの少なくとも1つの保持部材368の少なくとも一部のための隙間空間を画定してもよい。中央開口部1116の内表面1128は、プランジャ係合スリーブ1114の遠位端1126からプランジャ係合スリーブ1114の近位端に向かう方向に減少する傾斜した内径を有してもよい。例えば、開口部1116は、傾斜部1130の近位の第1の内径と、傾斜部1130の遠位の第1の直径よりも小さい第2の直径と、を有してもよい。中央開口部1116の内表面1128は、傾斜部1130の近位で実質的に円筒形であってもよい。別の実施形態では、傾斜部1130の前後の内表面1128の一方または両方の部分が、傾斜部1130と同じ方向に傾斜したわずかな勾配を有してもよい。
【0288】
図26および
図28を参照すると、プランジャ解放スリーブ1158は、プランジャ係合スリーブ1114の少なくとも一部を取り囲む。いくつかの実施形態では、プランジャ解放スリーブ1158は、プランジャ係合スリーブ1114の近位端または部分1132を受容するように構成された内側空洞1161を有する中空体1159を有する。いくつかの実施形態では、プランジャ解放スリーブ1158は、開口部1162が貫通している円筒形側壁1160を有する。開口部1162は、プランジャ解放スリーブ1158の長手方向軸1164と実質的に平行な長手方向面1163と、長手方向面1163と隣接し、遠位端1168から近位端1170に向かう方向でプランジャ解放スリーブ1158の長手方向軸1164に対して傾斜している傾斜面1166と、を有することができる。本明細書に記載されるように、長手方向面1163は、ピストン1100の長手方向軸1120に沿った長手方向へのプランジャ係合ポスト1118の移動中にプランジャ係合ポスト1118に関連付けられた案内ピン1139を案内するように構成され、その一方で、傾斜面1164は、ピストン1100からのプランジャ326の取り外し中など、ピストン1100に対するプランジャ326の回転運動中に、プランジャ係合ポスト1118を移動させるために案内ピン1139を案内するように構成される。
【0289】
図29を参照すると、プランジャ係合機構1112は、アクチュエータ1122を受容するように構成されたハウジング1146をさらに含む。ハウジング1146は、遠位部分1154に接続された近位部分1152を有する。いくつかの実施形態では、遠位部分1154は、レッジ1156が近位部分1152と遠位部分1154との間の移行部に画定されるように、近位部分1152よりも小さい外径を有してもよい。いくつかの実施形態では、レッジ1156は、ピストン1100からのプランジャ326の係合解除中にピストン係合機構1112からプランジャ326を解放するように構成された付勢部材1196の近位端を支持するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、付勢部材1196は、ハウジング1146に接続された第1の端部およびプランジャ解放スリーブ1158に接続された第2の端部を有するねじりばねであってもよい。
【0290】
図26を参照すると、プランジャ係合スリーブ1114およびプランジャ解放スリーブ1158は、互いに対して回転しないように固定されているが、
図30A~
図30Dを参照して本明細書で説明されるように、第1の位置と第2の位置との間でプランジャ係合ポスト1118に対して長手方向ピストン軸1120の周りで両方とも回転可能である。いくつかの実施形態では、プランジャ係合スリーブ1114およびプランジャ解放スリーブ1158は、時計回り方向および反時計回り方向、または時計回り方向および反時計回り方向の一方に回転可能であってもよい。プランジャ係合スリーブ1114およびプランジャ解放スリーブ1158は、長手方向ピストン軸1120の周りのプランジャ326の回転運動により、第1の位置から第2の位置に回転可能であってもよい。例えば、プランジャ係合スリーブ1114およびプランジャ解放スリーブ1158は、ピストン係合スリーブ1114上の歯付き部分1144とのプランジャ326上の解放タブ380の相互作用により、長手方向軸1120の周りで回転可能であってもよい。付勢部材1196は、プランジャ係合スリーブ1114およびプランジャ解放スリーブ1158を第1の位置に付勢するように構成され得る。このようにして、プランジャ係合スリーブ1114およびプランジャ解放スリーブ1158が第1の位置から第2の位置に向かって回転されると、付勢部材1196は位置エネルギーを構築し、これはその後、プランジャ係合スリーブ1114およびプランジャ解放スリーブ1158を第1の位置に向かって戻すのを支援するために使用される。
【0291】
図29を参照すると、プランジャ係合ポスト1118がプランジャ係合機構1112とは別に示されている。プランジャ係合ポスト1118は、近位端1176および遠位端1174を有するシャフト1172を有する。シャフト1172の近位端1176は、ハウジング1146に接続されている。シャフト1172の遠位端1174は、端面1178のそばを通る際に少なくとも1つの保持部材368を径方向外向きに柔軟に偏向させるために、プランジャ326上の少なくとも1つの保持部材368と接触するように構成されたテーパ状または丸みを帯びた端面1178を有する。プランジャ係合スリーブ1114の内表面1128に対する封止のために、近位端1176にシール1180(
図26)が設けられてもよい。シール1180はOリングシールであってもよい。
【0292】
プランジャ係合ポスト1118は、プランジャ係合スリーブ1112およびプランジャ解放スリーブ1158に対するプランジャ係合ポスト1118の移動を案内するように構成された案内ピン1139をさらに含む。いくつかの実施形態では、案内ピン1139は、ハウジング1146を通って延在し、プランジャ係合ポスト1118の長手方向軸1120に対して実質的に垂直に配置される。
【0293】
プランジャ係合ポスト1118は、プランジャ326の少なくとも1つの保持部材368のキャッチ374を受容するように構成された係止溝1127を有する。端面1178は、端面1178の外表面とのキャッチ374の接触により、少なくとも1つの保持部材368を径方向外向きに偏向させる形状になっていてもよい。このようにして、プランジャ326に対するピストン1100の遠位移動は、キャッチ374と端面1178の丸みを帯びた、またはテーパ状の外表面との間の接触により、少なくとも1つの保持部材368を径方向外向きに偏向させる。
【0294】
プランジャ係合ポスト1118は、ピン1107およびセンサ1109などの検知部材1105を有する。ピン1107は、プランジャ326とピン1107の遠位端1117との間の接触などによってピン1107の遠位端1117が近位方向に強制されたときに、センサ1109と接触するように構成された近位端1113を有する。ピン1107は、ピストン1100の長手方向軸1120に沿って延在することができ、ピストンヘッド1106の少なくとも一部を通って突出することができる。ピン1107は、プランジャ326の内表面などの表面との接触を検知するように動作し、検知された条件に基づいてピストン1100の移動を制御するために、流体注入器のコントローラ200に1つ以上の信号を送信することができる。例えば、ピン1107の遠位端1117とプランジャ326との間の最初の接触は、センサ1109を作動させるように、ピン1107を近位方向に後退させることができる。センサ1109は、ピン1107によるセンサ1109の動作時に、センサ1109が駆動機構の移動を制御するように、ピストン1100の駆動機構を制御するコントローラ200に動作可能に接続されてもよい。例えば、駆動機構は、停止されるか、または第1の速度から第2のより遅い速度まで減速されてもよい。ピン1107は、ばね1111によってその遠位位置に付勢されてもよい。流体の進入を防止するために、ピン1107とプランジャ係合ポスト1118との間にシール1119が設けられてもよい。
【0295】
引き続き
図29を参照すると、プランジャ係合ポスト1118のベース上のプリント回路基板1175に1つ以上のライト1173が設けられてもよい。1つ以上のライト1173は、本明細書に記載されるように、プランジャ326およびプランジャ係合スリーブ1114の少なくとも一部を照明するように構成されてもよい。
【0296】
本開示の非限定的な一実施形態によるプランジャ326およびピストン1100の構造を説明してきたが、ここで、ピストン1100に対するプランジャ326の係合の方法が、
図30A~
図30Dを参照して説明される。
図31A~
図31Dは、ピストン1100からのプランジャ326の係合解除の様々な段階におけるプランジャ係合機構1112を示す。
【0297】
図30Aは、そのプランジャ係合機構1112が係合解除位置または状態にあり、プランジャ326と接続する前のピストン1100を示す。いくつかの実施形態では、プランジャ係合機構1112のデフォルト状態は、係合位置または状態であってもよい。別の実施形態では、プランジャ係合機構1112のデフォルト状態は、係合解除位置または状態であってもよい。プランジャ326をピストン1100に接続するために、シリンジ300が注入器に最初に接続される。注入器へのシリンジ300の接続中、ピストン1100は、注入器のハウジング内に引き込まれる。シリンジ300を注入器に接続した後、ピストン1100は、シリンジ300の穴の中でプランジャ326に向かって遠位方向に前進することができる。
【0298】
図30Aを参照すると、アクチュエータ1122(
図26に示される)は係合解除位置または状態に動作され、プランジャ係合ポスト1118はその遠位位置に配置される。遠位方向へのプランジャ係合ポスト1118の移動は、受容空間1115内へのプランジャ326の1つ以上の保持部材368の挿入を許容するために、プランジャ係合スリーブ1114とプランジャ係合ポスト1118との間の受容空間1115を開放する。ピン1107はその遠位位置にあり、その一方で案内ピン1139は、プランジャ解放スリーブ1158上の開口部1162(
図28)の長手方向面1163の遠位端1151にある。
【0299】
図30Bを参照すると、ピストン1100は、プランジャ326に向かって遠位方向で軸方向に移動される(矢印A1で示される)。いくつかの実施形態では、ピストン1100は、注入器のコントローラ200(
図2)によって動作される駆動機構402を使用して遠位に前進させられてもよい。別の実施形態では、ピストンは、手動で遠位方向に移動することができる。ピストン1100は、プランジャ326の少なくとも1つの保持部材368がプランジャ係合スリーブ1114の中央開口部1116内に受容されるように、遠位方向で軸方向に前進させられる。ピストン1100がプランジャ326に向かって遠位方向に前進する際に、プランジャ326上の1つ以上の保持部材368の少なくとも一部は、プランジャ係合ポスト1118のテーパ状端面1178に接触し、これにより、保持部材368を径方向外向き方向に柔軟に偏向させる。例えば、キャッチ374は保持部材368の第2の端部に対して径方向内向きに突出しているので、キャッチ374はプランジャ係合ポスト1118のテーパ状表面1178に接触し、これにより、保持部材368を径方向外向き方向に偏向させる。複数の保持部材368を有する実施形態では、保持部材368の各々は、径方向外向きに偏向される。
【0300】
図30Cを参照すると、遠位方向へのピストン1100の継続的な軸方向移動中、保持部材368は、キャッチ374がピストン係合ポスト1118の係止溝1127内に偏向できるように配置される。キャッチ374が係止溝1127内に配置された後、少なくとも1つの保持部材368は径方向内向き方向に弾性的に偏向することができ、保持部材368は、中央開口部1116の内表面1128の傾斜部1130を上って内表面1128の第2の直径に入ることができる。少なくとも1つの保持部材368が
図30Cに示される位置にある間、(注入器からのシリンジの取り外しなどによって)少なくとも1つの保持部材368はピストン1100の近位移動またはプランジャ326の遠位移動と共に径方向外向きに偏向され得るので、プランジャ326は、ピストン1100と係止係合しておらず、キャッチ374は係止溝1127から出てくることができる。プランジャ326がピストン1100に接続された状態で、プランジャ326上の1つ以上の解放タブ380は、プランジャ係合スリーブ1114の外表面1142上の歯付き部分1144に位置合わせされる(
図30A)。検知部材1105のピン1107は、ピン1107の近位端1113がセンサ1109によって検出され得るように、プランジャ326との接触によって近位方向で軸方向に移動し、ピストン1100のさらなる遠位移動を停止するためにコントローラ200にシグナリングする。
【0301】
図30Dを参照すると、アクチュエータ1122(
図26)は、プランジャ係合ポスト1118を、矢印B1で示される近位方向で、係合解除位置または状態から係合位置または状態に移動させるように動作される。プランジャ係合ポスト1118の遠位方向への移動は、プランジャ326の1つ以上の保持部材368が受容空間1115から係合解除されて出てくるのを防止するために、プランジャ係合スリーブ1114と、係止溝1127内にキャッチ374を係止するプランジャ係合ポスト1118と、の間の受容空間1115を閉鎖する。プランジャ係合ポスト1118が係合位置または状態に移動すると、プランジャ326の、キャッチ374を含む少なくとも1つの保持部材368は、ピストン1100の軸方向移動がシリンジバレル内のプランジャ326の対応する軸方向移動をもたらすように、プランジャ係合スリーブ1114とプランジャ係合ポスト1118との間に捕捉される。プランジャ係合ポスト1118が近位方向に移動すると、案内ピン1139は、プランジャ解放スリーブ1158上の開口部1162(
図28)の長手方向面1163の遠位端1151から近位端1153まで遠位方向で軸方向に移動する。
【0302】
次いで、ピストン1100および接続されたプランジャ326は、シリンジ300のバレル318内で往復移動することができる。いくつかの実施形態では、ピストン1100は、コントローラ200(
図2)によって動作される駆動機構402を使用して、シリンジ300から流体を送達するために遠位に、またはシリンジ300を流体で充填するために近位に前進することができる。
【0303】
図31A~
図31Dを参照すると、注入器のシリンジポートからシリンジ300を係止解除し、ピストン1100からプランジャ326を係合解除するために、シリンジ300は、シリンジポートに対して、シリンジ長手方向軸315(
図5B)の周りで時計回りまたは反時計回りに回転されてもよい。プランジャ326は、その間の摩擦接触によってシリンジバレル318内の回転が実質的にないので、シリンジ300の回転はまた、プランジャ326を、長手方向ピストン軸1120の周りでピストン1100に対して回転させる。プランジャ係合スリーブ1114の歯付き部分1144上のプランジャ解放歯1145に対するプランジャ326上の1つ以上の解放タブ380の位置合わせにより、プランジャ326の回転はまた、プランジャ係合スリーブ1114およびプランジャ解放スリーブ1158をプランジャ係合ポスト1118に対して第1の位置から第2の位置に回転させる。プランジャ係合ポスト1118上の案内ピン1139はプランジャ解放スリーブ1158上の開口部1162に受容され、プランジャ係合ポスト1118は長手方向ピストン軸1120の周りの回転がないので、プランジャ係合スリーブ1114の回転は、案内ピン439を、プランジャ解放スリーブ1158(
図28も参照)の傾斜面1166に沿って、
図30Dに示される第1の位置から
図31Aに示される第2の位置まで(例えば、傾斜面1166の近位端から傾斜面1166の遠位端に向かって)案内させる。加えて、長手方向ピストン軸1120の周りのプランジャ係合スリーブ1114の回転は、付勢部材1196内に位置エネルギーを構築する。
【0304】
引き続き
図31Aを参照すると、プランジャ解放スリーブ1158の傾斜面1166に沿った案内ピン1139の移動は、プランジャ係合ポスト1118を、係合位置または状態から係合解除位置または状態に矢印C1の遠位方向で軸方向に移動させる。遠位方向へのプランジャ係合ポスト1118の移動は、受容空間1115からのプランジャ326の1つ以上の保持部材368の遠位移動を許容するために、プランジャ係合スリーブ1114とプランジャ係合ポスト1118との間の受容空間1115を開放する(
図31B参照)。
【0305】
プランジャ係合機構1112が係合解除位置または状態にあるとき、ピストン1100からプランジャ326を取り外すために、シリンジ300が遠位方向に引っ張られることが可能であるか、またはピストン1100が近位方向に後退されることが可能である。互いから離れる方向へのプランジャ326に対するピストン1100のこのような相対移動中、少なくとも1つの保持部材368の各々のキャッチ374は、各保持部材368が径方向外向き方向に柔軟に偏向されるように、係止溝1127の遠位でプランジャ係合ポスト1118と係合する(
図31C)。プランジャ326に対するピストン1100の継続的な移動は、プランジャ326が、
図31Dに示されるように、ピストン1100から自由に引き離されることを可能にし、注入器ポートからのシリンジ300の取り外しを可能にする。
【0306】
図31Dを参照すると、プランジャ326がピストン1100から取り外された後、プランジャ係合スリーブ1114およびプランジャ係合ポスト1118は、付勢部材1196によって提供された復元力により、長手方向軸1120の周りで第2の位置から第1の位置に自動的に回転される。第1の位置へのプランジャ係合スリーブ1114およびプランジャ係合ポスト1118の移動により、案内ピン1139は、付勢部材1196によって提供された復元力により、プランジャ解放スリーブ1158の開口部1162内で上面1179に沿って案内される。
【0307】
次に、
図32~
図35Bを参照すると、本開示の別の態様による注入器アセンブリ2000が示されている。注入器アセンブリ2000は、自動または動力付き流体注入器を収容するハウジング2002を備える。流体注入器は、1つ以上のシリンジとインターフェースして作動させるように構成され、各シリンジは、
図1または
図3に関して同様に上述されたように、造影剤、生理食塩水、または任意の所望の医療用流体などの医療用流体で独立して充填されてもよい。例えば、注入器ハウジング2002は、各々が医療用流体を収容する、シリンジ2006a、2006bを保持するように構成される。
【0308】
当該技術分野で知られるように、シリンジ2006a、2006bは、ポリプロピレンまたは特定の最小壁厚を有する同様の材料で作られることが多い。血管造影撮影処置などの特定の処置の間、シリンジ2006a、2006bは、患者に流体を注入するために使用されるときに最大1200psiの圧力を受ける可能性があり、したがって、シリンジの厚さおよび弾力性は、シリンジが径方向に膨張したり、破裂したり、注入器から係合解除されたり、または漏れたりしないことを保証する上で重要である。高圧注入を受けたときのシリンジ2006a、2006bの起こり得る径方向の膨張にさらに対抗するために、それぞれの圧力ジャケット2004a、2004bは、シリンジ2006a、2006bを封入および保持するために利用され得る。圧力ジャケット2004a、2004bは、シリンジバレルの径方向の膨張を制限するように作用する。すなわち、注入処置中、シリンジ2006a、2006bの外壁は、それぞれの圧力ジャケット2004a、2004bの内壁に対して膨張し、これにより、さもなければ破裂または漏れにつながる可能性のあるシリンジの外壁の径方向の膨張を制限する。
【0309】
圧力ジャケット2004a、2004bは、別個の要素であってもよく、または一部品の一体設計で形成されてもよい。圧力ジャケット2004a、2004bは、それぞれの取り付けインターフェース2010a、2010bを介してハウジング2002の注入器ヘッド上に保持される。CV注入処置で使用するためのシリンジ保持機能部を含む圧力ジャケットの適切な非限定的な例は、参照により本明細書に組み込まれる、国際出願第US2020/049885号明細書に記載されている。
【0310】
シリンジ2006a、2006bおよび圧力ジャケット2004a、2004bに対して作用する径方向の力に加えて、シリンジ2006a、2006bを拘束する構造コンポーネントの弾性特性により、高圧注入中の著しい軸方向移動もまた可能である。例えば、1200psiで1.6in2の断面積を有する単一の150mlシリンジは、シリンジの前方移動を抑制するために、2400psiの力を必要とし得る。シリンジ2006a、2006bのこの軸方向移動を制限するために、シリンジ2006a、2006bの遠位端を部分的に封入し、高圧注入中にシリンジ2006a、2006bを注入器内および圧力ジャケット2004a、2004b内に保持するために、それぞれのキャップ2008a、2008bが使用され得る。キャップ2008a、2008bは、シリンジ2006a、2006bのネック2009a、2009bの少なくとも一部がそこを通って突出することを可能にするために、その遠位端に形成された開口部を有することができ、これにより、シリンジ2006a、2006bが患者につながる流体ラインに接続されることを可能にする。
【0311】
シリンジ2006a、2006bに課される軸力のため、圧力ジャケット2004a、2004bとハウジング2002との間、および/またはキャップ2008a、2008bと圧力ジャケット2004a、2004bとの間の取り付けインターフェースは、軸方向移動の取り消しまたは意図しない分離に抵抗するのに十分な強度であることが望ましい。しかしながら、強度が重要であるものの、シリンジ2006a、2006bを取り外しまたは挿入するために必要なのと同様に、操作者がキャップ2008a、2008bおよび/または圧力ジャケット2004a、2004bを容易に取り外すことができることも重要である。したがって、圧力ジャケット2004a、2004bとハウジング2002との間の接続インターフェースは、十分に安全でありながら、容易な取り付けおよび取り外しを可能にすることが望ましい。同様に、キャップ2008a、2008bと圧力ジャケット2004a、2004bとの間の接続インターフェースは、やはり安全でありながら容易な取り付けおよび取り外しを可能にすることが望ましい。
【0312】
これらの望ましい特性を実現するために、圧力ジャケット2004a、2004bの取り付けインターフェース2010a、2010bは、
図6~
図8Cを参照して図示および記載されたプランジャ326のものと同様のコネクタ機能部を有することができ、その一方で、
図32に示されるハウジング2002の取り付けインターフェース2020a、2020bは、
図9~
図31Dを参照して図示および記載されたプランジャ係合機構の様々な実施形態のものと同様のコネクタ機能部を有することができる。すなわち、取り付けインターフェース2010a、2010bは、圧力ジャケット2004a、2004bの近位端の開口部の周りに周方向に配置された、
図6~
図8Cを参照して図示および記載された弾力的可撓性保持部材368およびキャッチ374と同様の、キャッチを有する1つ以上の弾力的可撓性保持部材を備えることができる。同様に、ハウジング2002の取り付けインターフェース2020a、2020bは、
図9~
図31Dを参照して図示および記載されたプランジャ係合スリーブおよびプランジャ係合ポストと同様の、1つ以上の機能部を備えることができる。
【0313】
動作中、取り付けインターフェース2010a、2010b、および2020a、2020bは、
図9~
図31Dを参照して詳細に図示および記載された、プランジャ326とプランジャ係合機構との間の相互作用と実質的に同様の方法で、相互作用するように構成されている。すなわち、取り付けインターフェース2010a、2010bはそれぞれの取り付けインターフェース2020a、2020bに向かって軸方向に配向されるので、それぞれの取り付けインターフェース2010a、2010bおよび取り付けインターフェース2020a、2020bは、圧力ジャケット2004a、2004bがハウジング2002に固定されることを可能にするように相互作用する。すると、特定の実施形態では取り付けインターフェース2020a、2020bの遠位端から突出することができる取り付けインターフェース2020a、2020b内の1つ以上の保持部材は、圧力ジャケット2004a、2004bをハウジング2002に確実に取り付けるために、取り付けインターフェース2010a、2010bの各々の中の係合リングのリップと係合するように構成される。
【0314】
ハウジング2002から圧力ジャケット2004a、2004bを分離するために、圧力ジャケット2004a、2004bは、ハウジング2002に対して(一緒にまたは別々に)回転することができる。圧力ジャケット2004a、2004bの回転は、
図9~
図31Dを参照して上記で説明されたものと同様に、取り付けインターフェース2010a、2010bが取り付けインターフェース2020a、2020bと相互作用することを可能にする。この動作の相互作用は、少なくとも1つの保持部材が取り付けインターフェース2010a、2010b上の対応する構造と係合しなくなるように、少なくとも1つの保持部材を径方向外向きまたは内向きに押し、その時点で、圧力ジャケット2004a、2004bはハウジング2002から軸方向に分離されることが可能である。
【0315】
あるいは、挿入時に、圧力ジャケット2004a、2004b内のシリンジ2006a、2006bの本体の近位端は、プランジャ係合ポストと同様に作用し、圧力ジャケットの対応する可撓性保持部材のキャッチを、注入器の圧力ジャケットポート内の対応する係止溝またはリップに係止することができる。例えば注入プロトコルの完了後の、圧力ジャケット2004a、2004bからのシリンジ2006a、2006bの取り外しは、圧力ジャケットポート内の対応する係止溝またはリップから圧力ジャケットの可撓性保持部材を係合解除し、ポートからの圧力ジャケットの取り外しを可能にすることができる。
【0316】
本開示の代替の態様によれば、上述の取り付けインターフェース2010a、2010b、および2020a、2020bの構造的詳細は、逆にすることができる。すなわち、圧力ジャケット2004a、2004bの取り付けインターフェース2010a、2010bは、例えば、少なくとも1つの保持部材および対応する機能部を備えることができ、その一方で取り付けインターフェース2020a、2020bは、
図9~
図31Dを参照して本明細書に記載されるプランジャ係合機構の機能部を備えることができる。
【0317】
次に、
図34、
図35A、および
図35Bを参照すると、本開示の代替の態様が示されている。
図32~
図33に関して上述されたように、キャップ2008a、2008bは一般に、それぞれのシリンジを軸方向に保持するように、それぞれの圧力ジャケット2004a、2004bの遠位端の周りに設けられてもよい。
図35Aに示されるように、キャップ2008は、圧力ジャケットに取り付けるための取り付けインターフェース2014、ならびにシリンジの遠位端の一部を貫通させるように形成された開口部2016を有することができる。
【0318】
圧力ジャケット2004a、2004bとキャップ2008a、2008bとの間の確実な接続を得るために、プランジャ326の様々な実施形態と
図9~
図31Dに詳細に図示および記載されたプランジャ係合機構の様々な実施形態との間の相互作用と実質的に同様の方法で相互作用するように、圧力ジャケット2004a、2004bとキャップ2008a、2008bとの間のそれぞれのインターフェースを構成することが有利であろう。
図33に示されるように、圧力ジャケット2004a、2004bは、それぞれのキャップ2008a、2008bとの係合のためにその遠位端にそれぞれの取り付けインターフェース2012a、2012bを有することができる。取り付けインターフェース2012a、2012bは、
図9~
図31Dに関して図示および記載されるように、1つ以上のプランジャ係合機構を含むことができる。同様に、
図35Aに示されるキャップ2008の取り付けインターフェース2014は、
図6~
図8Cを参照して図示および記載されるように、対応するキャッチ374と共に1つ以上の弾性的に偏向可能な保持部材368を含むことができる。圧力ジャケット2004a、2004bの取り付けインターフェース2012a、2012bとそれぞれのキャップ2008の取り付けインターフェース2014との間の係合は、
図9~
図31Dに関して上述されたプランジャ326とプランジャ係合機構との間の係合と同一または実質的に同様であってもよい。このようにして、キャップ2008a、2008bは、圧力ジャケット2004a、2004bの遠位端と確実に係合可能であり、容易に取り外し可能であり得る。
【0319】
シリンジの一部から分離して取り囲むキャップ2008の代替として、
図35Bは、キャップ2036が一体化されたシリンジ本体2032を有するシリンジアセンブリ2030を示す。すなわち、キャップ2036は、シリンジ本体2032と共に直接成形または形成されてもよい。ネック部分2034は、患者につながる流体ラインに接続点を提供するために、キャップ2036の遠位面から延在する。
図35Aに関して図示および記載された取り付けインターフェース2014と同様の取り付けインターフェース2038は、キャップ2036内に形成される。
図32および
図35Aに関して同様に上述されたように、取り付けインターフェース2038は、圧力ジャケット2004a、2004bの対応する取り付けインターフェース2012a、2012aの一方と相互作用する機能部を含むことができる。やはり、圧力ジャケット2004a、2004bの取り付けインターフェース2012a、2012bとそれぞれのシリンジアセンブリ2030の取り付けインターフェース2038との間の係合は、
図9~
図31Dに関して上述されたものと同一または実質的に同様であってもよい。
【0320】
本開示の代替の態様によれば、上述の取り付けインターフェース2012a、2012b、および2014の構造的詳細は、逆にすることができる。すなわち、圧力ジャケット2004a、2004bの取り付けインターフェース2012a、2012bは、例えば、少なくとも1つの保持部材および対応する機能部を備えることができ、その一方で各キャップ2008の取り付けインターフェース2014は、
図9~
図31Dを参照して本明細書に記載されるプランジャ係合機構に関連付けられた対応する機能部を備えることができる。同様に、上述の取り付けインターフェース2012a、2012b、および2038の構造的詳細は、逆にすることができる。
【0321】
圧力ジャケット2004a、2004bと一体であるように図示および記載されているが、圧力ジャケット2004a、2004bの取り付けインターフェース2010a、2010b、および2012a、2012bの一方または両方は、代替的に、圧力ジャケット2004a、2004bの近位端または遠位端に取り付け可能な別個のコンポーネントで形成されてもよい。このようにして、従来の圧力ジャケットは、上述のシリンジアセンブリ2030と同様に、圧力ジャケットが、適切に装備されたハウジング、キャップ2008と同様のキャップ、および/または一体型キャップを有するシリンジアセンブリと確実にインターフェースすることを可能にするために、1つ以上の別個の取り付けインターフェースで適合されることが可能である。
【0322】
本開示は、現在最も実用的で好適な実施形態と見なされるものに基づいて、説明目的のために詳細に記載されてきたが、このような詳細はその目的のみのためであること、ならびに本開示は開示された実施形態に限定されず、むしろ修正例および同等の配置を網羅するように意図されることが、理解されるべきである。例えば、本開示は、可能な限り、任意の実施形態の1つ以上の特徴が任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせ可能であることを企図することが、理解されるべきである。
【符号の説明】
【0323】
10 流体注入器システム
11 ユーザインターフェース
12、300、2006a、2006b シリンジ
13、400、500、600、700、800、900、1000、1100、2700 ピストン
14 注入器ハウジング
15 圧力ジャケット
16 シリンジポート
17 流体経路セット
17A 第1の流体経路、バルク流体経路
17B 第2の流体経路、バルク流体経路
18 シリンジバレル
19A、19B バルク流体容器
20、320、336、382、432、470、474、490、532、632、674、713、813、1074、1113、1132、1153、1176 近位端
21A、21B バルク流体経路
23A、23B バルク流体弁
26、326 プランジャ
100 デュアルシリンジ血管造影注入器システム、注入器
200 コントローラ
202 バス
204 プロセッサ
206 メモリ
208 記憶コンポーネント
210 入力コンポーネント
212 出力コンポーネント
214 通信インターフェース
240 上流空気検出器
250 空気検出管領域
315 シリンジ長手方向軸
318 シリンジバレル
319 側壁
321、360、442、1042、1142 外表面
322 ノズル
323、352、428、436、728、828、1128 内表面
324、338、426、468、476、478、486、626、676、726、815、826、1076、1117、1147、1151、1174 遠位端
325 内部容積
327 駆動ショルダ
329、444、544、644、1044、1144 歯付き部分
330 挿入セクション
331 シリンジ保持部材
332 プランジャ本体
334 プランジャ長手方向軸
335 ドリップフランジ
339 周方向側壁
340 内部空洞
342 円錐形状部分
344 円筒形状部分
345、456、679、1156 レッジ
346 端部
347a、673 第1の部分
347b、675 第2の部分
348 成形ボス、表面
350 保持リブ
356 伸長部
357 プランジャカバー
358 弾力的シール
362 周方向溝
364 外部表面
368 可撓性保持部材
366 封止要素
369、369b 丸みまたは傾斜解放面
370 第1の端部、第1の遠位端
372 第2の端部、第2の近位端
374 キャッチ
377 遠位面
375 丸みまたは傾斜キャッチ面
379、2799 近位面
380、390 解放タブ
384 ガイド面
402 電動モータ、駆動機構
404、704、804、1104 本体
406、606、706、806、920、1006、1106 ピストンヘッド
412 ピストン係合スリーブ、プランジャ係合機構、ピストン係合機構
414 ピストン係合スリーブ、プランジャ係合スリーブ
415、515、615、815、1015、1115 受容空間
416、516、616、716、816、1016、1116 中央開口部
418 プランジャ係合ポスト
420 長手方向ピストン軸、長手方向軸
422、822、1122 アクチュエータ
424 アクチュエータ、中空体
430、530、630、730、1130 傾斜部
434、634、834 係止リブ
438、538 長手方向溝
439、539、1139 案内ピン
440、540 遠位ストップ
446、1146、2002 ハウジング
448 接続部材
450 雄ねじコネクタ
452、519 近位部分
454 遠位部分
458、558、1158 プランジャ解放スリーブ
460、560、1160 円筒形側壁
462、523、562、1162、2016 開口部
463、563、1163 長手方向面
464 長手方向軸、傾斜面
466、566、1166 傾斜面
472 シャフト、ライト
474、1175 プリント回路基板
478、678、1078 テーパ状端面
480、1119、1180 シール
482、531、564 長手方向軸
484、2784 弾力的弾性部材
488 レッジ
496、1196 付勢部材
512、612、712、812、1012 プランジャ係合機構
514、714、814、2714 プランジャ係合スリーブ
518 プランジャ係合ポスト、ピストン係合ポスト
520 ピストン長手方向軸、長手方向ピストン軸、長手方向軸
521、721 ポスト部分
524、624、724、824、1024、1124 中空体
525 接続片
526 遠位端、端部
527、1127 係止溝
528 内表面
533 貫通孔
614 ピストン係合スリーブ、プランジャ係合スリーブ
618、718、818、1018 プランジャ係合ポスト
620 長手方向ピストン軸、長手方向軸
665 溝
667 長手方向軸、外表面
671、1071 回転機構
672、1072、1172 シャフト
705、805、1105 検知部材
707、1107 ピン
709、809、1109 センサ
711 ばね
715 遠位端、受容空間
717 第1の段部
719 第2の段部
720 長手方向軸、長手方向ピストン軸
722 アクチュエータ
723 近位部分
729、950 係止リップ
737 径方向溝
803、1173 ライト
807 検知スリーブ
817 ばね
820 長手方向ピストン軸、長手方向軸
901 ステム
912 プランジャ係合機構、ピストン係合機構
940 ピストン空洞
960 丸みまたは傾斜遠位面
970 丸みまたは傾斜近位面
980 係止部材
990 凹部
1014 プランジャ係合スリーブ、ピストン係合スリーブ
1020 長手方向ピストン軸
1065 係止溝
1112 プランジャ係合スリーブ、プランジャ係合機構、ピストン係合機構
1114 プランジャ係合スリーブ、ピストン係合スリーブ
1118 プランジャ係合ポスト、プランジャ係合スリーブ、ピストン係合ポスト
1120 長手方向ピストン軸、長手方向軸
1126 遠位端、端部
1145 プランジャ解放歯
1149 尖端
1152 近位部分
1154 遠位部分
1161 内側空洞
1164 長手方向軸、傾斜面
1178 テーパ状端面、テーパ状表面
2000 注入器アセンブリ
2004a、2004b 圧力ジャケット
2008、2008a、2008b、2036 キャップ
2009a、2009b ネック
2010a、2010b、2012a、2012b、2014、2020a、2020b、2038 取り付けインターフェース
2030 シリンジアセンブリ
2032 シリンジ本体
2034 ネック部分
2750 可撓性保持部材
2755 保持キャッチ
2774 係合フランジまたはキャッチ
2798 可動係止部材