(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】マイクロフォン
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20250408BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20250408BHJP
H04R 1/04 20060101ALI20250408BHJP
B81B 7/02 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
H04R3/00 320
H04R1/02 106
H04R1/04 Z
B81B7/02
(21)【出願番号】P 2022578984
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 CN2022094172
(87)【国際公開番号】W WO2023201828
(87)【国際公開日】2023-10-26
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】202220932908.6
(32)【優先日】2022-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
【住所又は居所原語表記】A-Block, Nanjing University Research Center Shenzhen Branch, No.6 Yuexing 3rd Road, South Hi-Tech Industrial Park, Nanshan District, Shenzhen Guangdong 518057 People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】タン,シュウソン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ヤンモン
(72)【発明者】
【氏名】チュア,ティオンキー
(72)【発明者】
【氏名】蒲 景▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 睿
【審査官】佐久 聖子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106658303(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111050259(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102170605(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105764017(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101026902(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00 - 3/14
H04R 1/00 - 1/14
B81B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間を有する保護構造と、前記収容空間内に収容されたASICチップ及びMEMSマイクロフォンチップとを含むマイクロフォンであって、
前記マイクロフォンは、ローパスフィルタ回路をさらに含み、前記ローパスフィルタ回路は、前記ASICチップと前記MEMSマイクロフォンチップとの間に接続され、
前記ローパスフィルタ回路の高域遮断周波数は、20KHzよりも大き
く、
前記保護構造には、それを貫通する音孔が開設され、前記保護構造は、配線板と、前記配線板に蓋設されて前記収容空間を形成するハウジングとを含み、
前記ASICチップ、前記MEMSマイクロフォンチップ及び前記ローパスフィルタ回路は、何れも前記配線板に設けられ、前記音孔は、前記ハウジングの前記配線板に対向する側に貫設され、前記ハウジングの厚さは、前記配線板の厚さよりも小さく、前記音孔は、前記ASICチップ、前記MEMSマイクロフォンチップ及び前記ローパスフィルタ回路の何れとも間隔を空けて設けられ、且つ、前記音孔は、前記ASICチップ、前記MEMSマイクロフォンチップ及び前記ローパスフィルタ回路の何れにも対向しないように構成されることを特徴とするマイクロフォン。
【請求項2】
前記ローパスフィルタ回路は、RC回路を含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項3】
前記ローパスフィルタ回路は、前記RC回路に接続された演算増幅回路をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のマイクロフォン。
【請求項4】
前記ローパスフィルタ回路は、電界効果トランジスタを含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項5】
前記ローパスフィルタ回路は、接合型バイポーラトランジスタを含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォン。
【請求項6】
前記ローパスフィルタ回路は、ダイオードを含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響変換の分野に関し、特にマイクロフォンに関する。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems、MEMS)マイクロフォンは、MEMSセンサ技術に基づいて製造されたマイクロフォンであり、改善されたノイズ除去性能、良好な高周波性能及び電磁干渉抑制能力を有し、スマートフォン、シフトバイワイヤー、タブレット及びノートパソコン等の各種の電子製品に広く応用されている。
【0003】
現在、大電力超音波送受信器が広く応用されるため、マイクロフォンが当該音波帯域で過負荷を起こして雑音を引き起こし、雑音の大きさは、超音波送受信器自体の電力の大きさ、携帯電話マイクロフォンからの距離、マイクロフォンの当該周波数帯域における感度に依存する。関連技術においてエンコーダデコーダの48KHzのサンプリングは、24KHz以上の周波数の音声をフィルタリングするが、当該雑音は、既にマイクロフォンの内部で生成され且つ低周波に延在するため、振幅が小さいが聴感が明らかであるpop音を引き起こす。
【0004】
したがって、上記技術的課題を解決するために新たなマイクロフォンを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、マイクロフォンを提供することであり、ローパスフィルタ回路を設けることにより超音波周波数帯域の干渉をフィルタリングして除去することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、マイクロフォンを提供し、当該マイクロフォンは、収容空間を有する保護構造と、前記収容空間内に収容されたASICチップ及びMEMSマイクロフォンチップとを含み、前記マイクロフォンは、ローパスフィルタ回路をさらに含み、前記ローパスフィルタ回路は、前記ASICチップと前記MEMSマイクロフォンチップとの間に接続され、または、前記ローパスフィルタ回路は、前記ASICチップ内に集積され、前記ローパスフィルタ回路の高域遮断周波数は、20KHzよりも大きい。
【0007】
さらに、前記ローパスフィルタ回路が前記ASICチップに集積される場合には、前記ローパスフィルタ回路の入力端が前記ASICチップの入力端とする。
【0008】
さらに、前記ローパスフィルタ回路は、RC回路を含む。
【0009】
さらに、前記ローパスフィルタ回路は、前記RC回路に接続された演算増幅回路をさらに含む。
【0010】
さらに、前記ローパスフィルタ回路は、電界効果トランジスタを含む。
【0011】
さらに、前記ローパスフィルタ回路は、接合型バイポーラトランジスタを含む。
【0012】
さらに、前記ローパスフィルタ回路は、ダイオードを含む。
【0013】
さらに、前記保護構造には、それを貫通する音孔が開設され、前記保護構造は、配線板と、前記配線板に蓋設されて前記収容空間を形成するハウジングとを含む。
【発明の効果】
【0014】
関連技術に比べて、本発明のマイクロフォンは、収容空間を有する保護構造と、前記収容空間内に収容されたASICチップ及びMEMSマイクロフォンチップとを含み、前記マイクロフォンは、ローパスフィルタ回路をさらに含み、前記ローパスフィルタ回路は、前記ASICチップと前記MEMSマイクロフォンチップとの間に接続され、または、前記ローパスフィルタ回路は、前記ASICチップ内に集積され、前記ローパスフィルタ回路の高域遮断周波数は、20KHzよりも大きくされ、ローパスフィルタ回路の作用によって、超音波周波数帯域の干渉をフィルタリングして除去し、雑音を低減して、音質を向上させることができる。
【0015】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下に実施例の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明する図面は、単に本発明のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的労働をしない前提で、さらにこれらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例に関わるマイクロフォンの構造概略図である。
【
図2】本発明の実施例に関わるマイクロフォンの他の構造概略図である。
【
図3】本発明の実施例に関わるローパスフィルタ回路の動作周波数波形図である。
【
図4】本発明の実施例に関わるマイクロフォンのローパスフィルタ回路設置前後の感度が周波数によって変化する波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を明確で、完全に説明し、明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的労働をしない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属するものとする。
【0018】
図1に示すように、本発明のマイクロフォンは、収容空間1Aを有する保護構造10と、前記収容空間1A内に収容されたASICチップ11及びMEMSマイクロフォンチップ12とを含む。さらに、前記保護構造10には、それを貫通する音孔1Bが開設され、前記保護構造10は、配線板101と、前記配線板101に蓋設されて前記収容空間1Aを形成するハウジング102とを含む。
【0019】
ここで、前記マイクロフォンは、ローパスフィルタ回路13をさらに含み、
図1に示すように、前記ローパスフィルタ回路13は、前記ASICチップ11と前記MEMSマイクロフォンチップ12との間に接続される。又は、
図2に示すように、前記ローパスフィルタ回路13は、前記ASICチップ12内に集積される。さらに、前記ローパスフィルタ回路13が前記ASICチップ12内に集積される場合、前記ローパスフィルタ回路13の入力端は、前記ASICチップ12の入力端とすることができる。
【0020】
ここで、
図3に示すように、ローパスフィルタ回路13の高域遮断周波数は、20KHzよりも大きい。
【0021】
いくつかの実施例において、前記ローパスフィルタ回路13は、RC回路を含み、例えば、RC回路は、一次RCフィルタ回路、すなわち、1つのコンデンサと1つの抵抗とで構成されたフィルタ回路であってもよく、又はRC回路は、多次フィルタ回路であってもよい。
【0022】
さらに、前記ローパスフィルタ回路13は、前記RC回路に接続された演算増幅回路をさらに含むことができる。
【0023】
別の実施例において、前記ローパスフィルタ回路13は、電界効果トランジスタを含み、すなわち、前記ローパスフィルタ回路13は、電界効果トランジスタを用いてフィルタリング機能を実現する。
【0024】
また、別の実施例において、前記ローパスフィルタ回路13は、接合型バイポーラトランジスタを含み、すなわち、前記ローパスフィルタ回路13は、接合型バイポーラトランジスタを用いてフィルタリング機能を実現する。
【0025】
また、別の実施例において、前記ローパスフィルタ回路13は、ダイオードを含み、前記ローパスフィルタ回路13は、ダイオードを用いてフィルタリング機能を実現する。
【0026】
本発明の実施例において、前記ASICチップ11と前記MEMSマイクロフォンチップ12との間にローパスフィルタ回路13を設けるか又は前記ASICチップ11内にローパスフィルタ回路13を集積することにより、ローパスフィルタ回路13の作用によって、超音波周波数帯域の干渉をフィルタリングして除去し、雑音を低減して、音質を向上させることができる。
図4に示すように、
図4において(a)図は、マイクロフォンにローパスフィルタ回路13が設けられない時の感度が周波数によって変化する波形図であり、(b)図は、マイクロフォンにローパスフィルタ回路13が設けられた後の感度が周波数によって変化する波形図であり、(a)図と(b)図との比較から明らかなように、マイクロフォンは、ローパスフィルタ回路13を設けた後に、音声信号における超音波周波数帯域が大幅に除去されて、音質を大幅に向上させる。
【0027】
前記のようなことは本発明の実施形態だけであり、当業者にとって、本発明の創造的構想から逸脱することなく、更に改善することができるが、これらはいずれも本発明の保護範囲内に属するものと理解されるべきである。