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特許7662765超音波溶接装置を用いたスプライスの多段溶接
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】超音波溶接装置を用いたスプライスの多段溶接
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/10 20060101AFI20250408BHJP
【FI】
B23K20/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023506037
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2020071582
(87)【国際公開番号】W WO2022022833
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】522080546
【氏名又は名称】シュンク ソノジステム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】カーミラー, デニス トビアス
(72)【発明者】
【氏名】シャリー, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】クレーシュピス, ビョルン
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-185706(JP,A)
【文献】特表2016-526488(JP,A)
【文献】特開2012-124078(JP,A)
【文献】特開2011-198506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波溶接装置(100)を用いてスプライス(500)を溶接する方法であって、前記超音波溶接装置(100)が、超音波振動を発生させるためのソノトロード(102)、アンビル(104)、第1の側方要素(106)、第2の側方要素(108)、および圧縮チャンバ(110)を有し、前記圧縮チャンバの高さ(H)が、前記ソノトロード(102)と前記アンビル(104)との間の距離を変えることにより調整可能であり、前記圧縮チャンバの幅(B)が、前記第1の側方要素(106)と前記第2の側方要素(108)との間の距離を変えることにより調整可能であり、前記方法は、
少なくとも2つの導電体(114)の溶接されるべき第1の導体部分(112)を前記圧縮チャンバ(110)内に配置するステップと、
前記圧縮チャンバ(110)の幅(B)を第1の溶接作業のための所定の値に調整するステップと、
前記ソノトロード(102)を作動させ、前記第1の導体部分(112)を前記ソノトロード(102)と前記アンビル(104)との間で圧縮することにより前記第1の溶接作業を実行するステップであって、前記第1の導体部分(112)が互いに溶接されて第1のスプライス(300)を形成する、ステップと、
少なくとも1つの別の導電体(402)の溶接されるべき第2の導体部分(400)および前記第1のスプライス(300)を前記圧縮チャンバ(110)内に配置し、前記第2の導体部分(400)を、前記第1のスプライス(300)と前記ソノトロード(102)との間に配置するステップと、
前記圧縮チャンバ(110)の幅(B)を第2の溶接作業のための所定の値に調整するステップであって、前記第2の溶接作業のための前記圧縮チャンバ(110)の幅(B)が前記第1の溶接作業のための前記圧縮チャンバ(110)の幅(B)よりも所定の許容値(ΔB)だけ大きいため、前記圧縮チャンバ(110)の幅を調整した後、前記第1のスプライス(300)は前記第1の側方要素(106)と前記第2の側方要素(108)との間にわずかな隙間を有する、ステップと、
前記ソノトロード(102)を再作動させ、前記第1のスプライス(300)および前記第2の導体部分(400)を前記ソノトロード(102)と前記アンビル(104)との間で圧縮することにより前記第2の溶接作業を実行するステップであって、前記第1のスプライス(300)および前記第2の導体部分(400)が互いに溶接されて第2のスプライス(500)を形成する、ステップと、
を含、方法。
【請求項2】
前記所定の許容値(ΔB)が少なくとも0.01mmである、または
前記所定の許容値(ΔB)が少なくとも0.1mmである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定の許容値(ΔB)が最大で2mmである、または
前記所定の許容値(ΔB)が最大で5mmである、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のスプライス(500)が少なくとも3mmの断面積を有する、または
前記第2のスプライス(500)が少なくとも50mmの断面積を有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のスプライス(500)が少なくとも2mmの公称幅を有する、または
前記第2のスプライス(500)が少なくとも10mmの公称幅を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の溶接作業のための前記圧縮チャンバ(110)の幅(B)が前記第1のスプライス(300)の公称幅に等しい、かつ/または
前記第2の溶接作業のための前記圧縮チャンバ(110)の幅(B)が前記第2のスプライス(500)の公称幅に等しい、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の溶接作業のための前記圧縮チャンバ(110)の幅(B)が、前記第2のスプライス(500)の前記公称幅と前記所定の許容値(ΔB)との間の差に等しい、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の導体部分(400)の断面積が、少なくとも、前記第1の導体部分(112)の当該最小断面積と同じ大きさである、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
溶接されるべき少なくとも1つの追加導電体の第3の導体部分および前記第2のスプライス(500)を前記圧縮チャンバ(110)内に配置するステップと、
前記圧縮チャンバ(110)の幅(B)を第3の溶接作業のための所定の値に調整するステップであって、前記第3の溶接作業のための前記圧縮チャンバ(110)の幅(B)が前記第2の溶接作業のための前記圧縮チャンバ(110)の幅(B)よりも所定の追加の許容値だけ大きい、ステップと、
前記ソノトロード(102)を再作動させ、前記第2のスプライス(500)および前記第3の導体部分を前記ソノトロード(102)と前記アンビル(104)との間で圧縮することにより前記第3の溶接作業を実行するステップであって、前記第2のスプライス(500)および前記第3の導体部分が互いに溶接されて第3のスプライスを形成する、ステップと
をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記導電体(114、402)のそれぞれが部分的に被覆されたストランドであり、前記導体部分(112、400)のそれぞれが前記ストランドの非被覆部分である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波溶接装置を用いてスプライスを溶接する方法に関する。本発明はさらに、導体束に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な技術的用途のために、2つの構成要素を機械的に確実なかつ/または電気的に導通する形で互いに接合する必要があり得る。例えば、様々な目的のために、ケーブルのストランドを機械的にかつ電気的に導通する形で互いに接合する必要があり得る。これにより、例えば車両内の電気消費者を互いに、エネルギー源にかつ/または制御システムに電気的に導通する形で接続するために使用され得る配線用ハーネスまたはケーブルルームを生産することが可能になる。
【0003】
いわゆる超音波溶接は、導電性構成要素相互間に物質対物質ボンドを生成して、導電性構成要素に高い強度および良好な導電性を与えるために開発された。超音波溶接は、溶接されるべき構成要素を互いに面接触した状態にし、低圧および高周波の機械的振動下で互いに接して移動させる、特殊な形態の摩擦溶接である。振動はソノトロードを用いて発生させることができ、ソノトロードでは、典型的には20kHz~50kHzの周波数を有する超音波振動が生成され、接合パートナのうちの少なくとも1つに伝えられる。次いで、塑性流動により、接合パートナは、接合パートナの材料が必ずしも溶融することなく、表面近くで互いに浸透または連動することが可能になる。したがって、接合パートナを互いに低衝撃で迅速かつ経済的に結合するために、超音波溶接が使用され得る。複数の導電体が互いに接合される溶接部は、スプライスとも呼ばれる。
【0004】
比較的大きな断面を有するスプライスの溶接は、ソノトロードによって導入された超音波エネルギーが一般に、溶接されるべき導体の表面のみによってスプライスの総体積内に導入され、この表面はソノトロードの表面と接触し、その結果、場合により超音波エネルギーの不均一な分散になり、したがって導体の不均一な溶接になるという点で困難となり得る。
【0005】
比較的大きい断面を有するスプライスを溶接する場合、2段階超音波溶接プロセスが使用されてもよく、このプロセスでは、例えば、小さいスプライスが最初に溶接され、別のステップで、これが1つまたは複数の他の導電体に溶接されて、所望の全断面を有する大きいスプライスを形成する。対応するプロセスは、例えば、国際公開第2015/007619号および独国特許第2011014801号明細書に記載されている。
【0006】
例えば、独国特許出願公開第112014002908号明細書は、複数の溶接作業でワイヤ束を溶接し、2回の溶接作業の間にワイヤ束をソノトロードに対して回転させる、超音波溶接プロセスを記述している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2015/007619号
【文献】独国特許第2011014801号明細書
【文献】独国特許出願公開第112014002908号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
スプライス、特に比較的大きな断面を有するスプライスを一貫して高品質で生産することができる超音波溶接装置を用いてスプライスを溶接する方法が必要であり得る。また、複数の高品質の導電体がスプライスを形成するように互いに溶接される導体束も必要であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる要件は、独立請求項の主題によって満たされ得る。有利な実施形態は、従属請求項および以下の説明において定義される。
【0010】
本発明の第1の態様は、超音波溶接装置を用いてスプライスを溶接する方法に関する。超音波溶接装置は、超音波振動を発生させるためのソノトロード、アンビル、第1の側方要素、第2の側方要素、および圧縮チャンバを備え、圧縮チャンバの高さは、ソノトロードとアンビルとの間の距離を変えることにより調整可能であり、圧縮チャンバの幅は、第1の側方要素と第2の側方要素との間の距離を変えることにより調整可能である。本方法は、好ましくは指示された順序で実行され得る以下のステップを含む、すなわち、溶接されるべき少なくとも2つの導電体の第1の導電体部分を圧縮チャンバ内に配置するステップと、圧縮チャンバの幅を第1の溶接作業のための所定の値に調整するステップと、ソノトロードを作動させ、第1の導体部分をソノトロードとアンビルとの間で圧縮することにより第1の溶接作業を実行するステップであって、第1の導体部分が互いに溶接されて第1のスプライスを形成する、ステップと、溶接されるべき少なくとも1つの別の導電体の第2の導体部分および第1のスプライスを圧縮チャンバ内に配置するステップと、圧縮チャンバの幅を第2の溶接作業のための所定の値に調整するステップであって、第2の溶接作業のための圧縮チャンバの幅が第1の溶接作業のための圧縮チャンバの幅よりも所定の許容値だけ大きい、ステップと、ソノトロードを再作動させ、第1のスプライスおよび第2の導体部分をソノトロードとアンビルとの間で圧縮することにより第2の溶接作業を実行するステップであって、第1のスプライスおよび第2の導体部分が互いに溶接されて第2のスプライスを形成する、ステップと、を含む。
【0011】
ソノトロードおよびアンビルは、例えばソノトロードとアンビルとの間の垂直距離および/または水平距離を増大または減少させるために、少なくとも一方向に互いに対して可動であるように超音波溶接装置内に配置され得る。この場合、例えば、ソノトロードは固定され、アンビルは可動であってもよい。しかしながら、ソノトロードが可動であり、アンビルが固定されることも可能である。あるいは、ソノトロードとアンビルの両方が可動であってもよい。
【0012】
側方要素は、例えば、サイドシフタ(=側方スライダ)または定盤(=接触板)とすることができる。第1の側方要素および第2の側方要素は、少なくとも一方向に互いに対して可動であるように超音波溶接装置内に配置され得る。例えば、第1の側方要素は水平方向に可動であり、第2の側方要素は水平方向に固定され、その逆も同様である。あるいは、両方の側方要素が水平方向に可動であってもよい。2つの側方要素の少なくとも一方がさらに垂直方向に可動であることも可能である。
【0013】
圧縮チャンバは、少なくとも溶接作業中に、4つの異なる側面をソノトロード、アンビル、第1の側方要素、および第2の側方要素によって制限され得る。圧縮チャンバは、1つまたは複数の他の側面で開放することができる。例えば、圧縮チャンバは、溶接作業中に上部でアンビルによって閉鎖され得る。アンビルを遠ざけることにより、圧縮チャンバは、例えば、溶接作業の前に溶接されるべき導電体を圧縮チャンバ内に挿入するために、または溶接作業の後で溶接された導電体を圧縮チャンバから除去するために、上部で開放され得る。例えば、挿入または除去を容易にするために、アンビルを遠ざけることに加えて、2つの側方要素の少なくとも一方が後退させられて、第1の側方要素と第2の側方要素との間の距離がそれに応じて増大するようにすることができる。
【0014】
導電体は、ストランド、すなわち複数の個々のワイヤの複合体、またはそのようなストランドの個々のワイヤ、すなわち単一の固体導体とすることができる。導電体は電気絶縁材料で部分的に被覆され得る。したがって、溶接されるべき導体部分は導電体の非被覆部分とすることができ、この部分は、導電体の一端にまたは導電体の両端の間に配置され得る。溶接されるべき導体部分は、異なるサイズまたは同じサイズの断面積を有することができる。導電体は、例えば、金属または別の導電性材料で作られてもよい。例えば、導電体は、接続端子や母線などの剛性部品であってもよい。
【0015】
スプライスは、一般に、少なくとも2つの接合パートナを互いに溶接することによって生産される継手として理解され得る。例えば、第1の溶接作業では、複数のストランド、すなわち複数の複合ワイヤが互いに溶接されて第1のスプライスを形成することができる。しかしながら、第1の溶接作業では、全く同一のストランドの個々のワイヤが互いに溶接されて第1のスプライスを形成することも可能であり、これはコンパクティング(compacting)とも呼ばれる。この場合、第1のスプライスは、このストランドの圧縮部分として理解することができる。言い換えれば、スプライスは、ただ1つの導体(複数の個々のワイヤからなる)またはいくつかの導体を含むことができる。
【0016】
プロセスの一部として、溶接されるべき少なくとも2つの導電体の第1の導体部分が圧縮チャンバ内に配置される。この目的のために、例えば、圧縮チャンバは、例えば、アンビルおよび/または2つの側方要素の少なくとも一方を遠ざけることによって開放され得る。同時に、圧縮チャンバの幅は、第1の溶接作業のための所定の値に調整され得る。閉鎖状態では、圧縮チャンバは、ソノトロードおよびアンビルによってその高さが制限され、2つの側方要素によってその幅が制限され得る。
【0017】
第1のスプライスおよび/または第2のスプライスは、長方形形状の断面、すなわち少なくとも略長方形の断面を有することができる。ここで長方形形状とは、断面が少なくとも2つの対向する辺で平坦化されていることを意味する。例えば、断面は、4辺すべてで平坦化され得る。しかしながら、例えば樽形状の断面も可能である。例えば、長方形形状の断面の寸法は、溶接後の閉鎖状態の圧縮チャンバの寸法に対応することができる。ソノトロードを作動させることにより、ソノトロードは振動させられ、溶接エネルギーが溶接されるべき導体部分内に導入される。
【0018】
例えば、圧縮チャンバの幅は、第1のスプライスの公称幅または第2のスプライスの公称幅に調整され得る。公称幅は、第1のスプライスの所望の最大幅または第2のスプライスの所望の最大幅であり得る。
【0019】
圧縮チャンバの幅は、全溶接作業中に一定であり得る。しかしながら、圧縮チャンバの幅は溶接中に変更されることも可能である。
【0020】
別の導電体が、別の個々のワイヤまたは別のストランド、すなわち、他の個々のワイヤの溶接複合体または非溶接複合体であり得る。第2の導体部分は、複数の他の導電体が互いに溶接される別のスプライスであることも可能である。別のスプライスは、例えば超音波溶接によって生産されてもよい。例えば、第2のスプライスは、少なくとも1つの非溶接ストランドおよび/または少なくとも1つの圧縮ストランドの第1のスプライスから溶接され得る。
【0021】
本方法は、圧縮チャンバの幅を第2の溶接作業のための所定の値に調整することを含み、第2の溶接作業のための圧縮チャンバの幅は、第1の溶接作業のための圧縮チャンバの幅よりも所定の許容値だけ大きい。許容値は、圧縮チャンバの幅を調整した後で第1のスプライスが第1の側方要素と第2の側方要素との間にわずかな隙間を有するように選択され得る。隙間は、第1のスプライスが圧縮チャンバ内で傾くかまたは詰まって動かなくなるのを防止する。これにより、後続の溶接作業において第1のスプライスの断面全体にわたって定義された力の分散を実現することが可能になる。したがって、非常に均一な、すなわち非常に耐久性がありかつ非常に導電性が高い溶接継手が生産され得る。隙間はまた、第1のスプライスが2つの側方要素と直接接触するのを防止することにより溶接力の喪失を低減することができる。許容値は、個々のワイヤなどの材料が後続の溶接作業中に第1のスプライスを越えて押し込まれないように、かつ/または結果として生じるスプライスが過度に大きな段差(複数可)を有さないように、過度に大きく選択されるべきではない。
【0022】
第2の溶接作業のための圧縮チャンバの幅は、第1の溶接作業の場合と同様に調整され得る。例えば、選択された許容値に応じて、第2のスプライスは、その高さの方向に、それぞれが長方形形状の断面、すなわち少なくとも略長方形断面を有する、異なる幅の2つのスプライス部分に分割されることが可能である。
【0023】
試験では、単一導体の破損および変色を低減するのに加えて、とりわけより均一なコネクタ強度のためにプロセスの信頼性を高めることが可能であったことが示されている。スプライスの幅にわたる導体のより均一な分散も観察された。スプライス構造を再現することも容易であった。
【0024】
本発明の範囲を決して制限することなく、本発明の実施形態に関連する考えおよび可能な特徴は、とりわけ、以下に記述される考えおよび知見に基づくと見なされ得る。
【0025】
一実施形態によれば、第2の導体部分は、第1のスプライスとソノトロードとの間に配置される。第1のスプライスは、第2の導体部分が配置される前に圧縮チャンバから最初に除去され得る。この目的のために、圧縮チャンバはそれに応じて開放され得る(上記参照)。次いで、第2の導体部分はソノトロード上に配置され得る。次いで、第1のスプライスは、第1のスプライスとソノトロードとの間の直接接触が防止されるように、第2の導体部分上に配置され得る。したがって、その後の溶接作業では、溶接エネルギーは、第2の導体部分を経由して間接的に第1のスプライス内に導入される。これにより、第1のスプライスにかかる新たな高い熱的および機械的応力を防止することができる。とりわけ、これは、個々のワイヤ内の破損または溶接金属内の不均一な領域を防止するかまたは少なくとも低減することができる。
【0026】
一実施形態によれば、所定の許容値は少なくとも0.01mmである。代替実施形態によれば、所定の許容値は少なくとも0.05mmである。別の代替実施形態によれば、所定の許容値は少なくとも0.1mmである。
【0027】
一実施形態によれば、所定の許容値は最大で2mmである。代替実施形態によれば、所定の許容値は最大で5mmである。
【0028】
指定された桁の許容値を使用することにより、一方では、圧縮チャンバ内で第1のスプライスが傾くかまたは詰まって動かなくなるのを防止することが可能である。他方では、材料が第2の溶接作業中に第1のスプライスを越えて押し込まれるのを防止することが可能であり、これは、溶接継手に品質低下効果をもたらし、かつ/または第2のスプライスが過度に大きな段差を有するのを防止することができる。これにより、第2のスプライスを収縮可能な管で被覆するなど、導体束のさらなる処理が簡素化される。
【0029】
一実施形態によれば、第2のスプライスは少なくとも3mmの断面積を有する。代替実施形態によれば、第2のスプライスは少なくとも20mmの断面積を有する。別の代替実施形態によれば、第2のスプライスは少なくとも50mmの断面積を有する。
【0030】
一実施形態によれば、第2のスプライスは少なくとも2mmの公称幅を有する。代替実施形態によれば、第2のスプライスは少なくとも5mmの公称幅を有する。別の代替実施形態によれば、第2のスプライスは少なくとも10mmの公称幅を有する。
【0031】
すでに上述したように、導体相互間に十分に均一ではない継手が生じる可能性があり、かつ/または特にスプライスの表面近くで導体に損傷が生じる可能性があるので、超音波溶接を使用して比較的大きな直径の、かつ/または比較的複雑な構造を有するスプライスを形成することは困難であり得ることが観察された。試験により、ここで提案された方法が、例えば電気自動車またはハイブリッド自動車における高電流接続部に使用されるような、比較的大きな導体断面を有する導電体を互いに溶接するのに特に適していることが示されている。
【0032】
一実施形態によれば、第1の溶接作業のための圧縮チャンバの幅は第1のスプライスの公称幅に等しい。
【0033】
一実施形態によれば、第2の溶接作業のための圧縮チャンバの幅は第2のスプライスの公称幅に等しい。
【0034】
スプライスの公称幅は、一般に、スプライスの所望の最大幅として理解することができる。圧縮チャンバの幅を第1のスプライスまたは第2のスプライスの公称幅に調整することにより、第1のスプライスまたは第2のスプライスの幅はそのスプライスの最大幅の点でこの公称幅以下であることが簡単な手段によって確保され得る。
【0035】
一実施形態によれば、第1の溶接作業のための圧縮チャンバの幅は、第2のスプライスの公称幅と所定の許容値との間の差に等しい。言い換えれば、第1のスプライスの公称幅は、第2のスプライスの公称幅に基づいて決定され得る。2つのスプライス間の幅の差は、第2のスプライスを溶接するために第1のスプライスが第2の導体部分上に挿入されるときに第1のスプライスが傾くのをちょうど防止できる程度の大きさに選択され得る。
【0036】
接合パートナの材料硬度および溶接パラメータに応じて、接合パートナは、溶接作業中に圧縮チャンバの幅の部分領域にわたって、あるいは圧縮チャンバの幅全体にわたって平坦化され得る。後者の場合、第1のスプライスまたは第2のスプライスは、それに応じて圧縮チャンバの幅を調整することにより、所望の最終幅で非常に容易にかつ再現可能に生産することができる。
【0037】
一実施形態によれば、第2の導体部分の断面積は、少なくとも、第1の導体部分の当該最小断面積と同じくらいの大きさである。その結果、比較的複雑なかつ/または比較的大きなスプライスを、わずか2回の溶接作業で構築することができる。
【0038】
一実施形態によれば、本方法は、溶接されるべき少なくとも1つの追加導電体の第3の導体部分および第2のスプライスを圧縮チャンバ内に配置するステップと、圧縮チャンバの幅を第3の溶接作業のための所定の値に調整するステップであって、第3の溶接作業のための圧縮チャンバの幅が第2の溶接作業のための圧縮チャンバの幅よりも所定の追加の許容値だけ大きい、ステップと、ソノトロードを再作動させ、第2のスプライスおよび第3の導体部分をソノトロードとアンビルとの間で圧縮することにより第3の溶接作業を実行するステップであって、第2のスプライスおよび少なくとも1つの追加導電体の第3の導体部分が互いに溶接されて第3のスプライスを形成する、ステップと、をさらに含む。場合によっては、非常に大きな断面積および/または非常に複雑な構造を有するスプライスが生産されるべきときなどに、溶接パワーを最も効率的に利用できるようにするために、3つまたは4つ以上のステップで溶接することが必要であり得る。
【0039】
例えば、第3の導体部分は、第2のスプライスとソノトロードとの間に配置され得る。これは、第2のスプライスとソノトロードとの間の直接接触が防止する。したがって、その後の溶接作業では、溶接エネルギーは、第3の導体部分を経由して間接的に第2のスプライス内に導入される。これは、第2のスプライスにかかる新たな高い熱的および機械的応力を防止する。とりわけ、これは、個々のワイヤ内の破損または溶接金属内の不均一な領域を防止するかまたは少なくとも低減することができる。
【0040】
上述した許容値と同様に、追加の許容値は、圧縮チャンバの幅を調整した後で第2のスプライスが第1の側方要素と第2の側方要素との間にわずかな隙間を有するように選択され得る。したがって、圧縮チャンバ内で第2のスプライスが傾くかまたは詰まって動かなくなるのを防止することができ、第2のスプライスの断面全体にわたって規定された力の分布を確保することができる。
【0041】
一実施形態によれば、導電体のそれぞれが、部分的にむかれたケーブルなどの部分的に被覆されたストランドであり、導電体部分のそれぞれがストランドの非被覆部分である。したがって、例えば、高電流用途向けの適切なケーブルアセンブリまたはハーネスが、耐久性のある高導電性継手を用いて非常に効率的に生産され得る。
【0042】
本発明の第2の態様は、スプライス内で互いに溶接された導電体を備える導体束に関する。スプライスは、その高さの方向に、それぞれが長方形形状の断面、すなわち少なくとも略長方形断面を有する2つのスプライス部分に分割される。この場合、2つのスプライス部分は、このスプライス部分の平均幅が少なくとも0.01mmだけ、または代替的に少なくとも0.1mmだけ互いに異なる。
【0043】
代替実施形態によれば、2つのスプライス部分は、それらの平均幅が少なくとも0.05mmだけ互いに異なることができる。
【0044】
導体束は、好ましくは、本発明の第1の態様の一実施形態によるプロセスによって生産されていてもよい。しかしながら、導体束はまた、別の適切な溶接プロセスによって生産されていてもよい。
【0045】
平均幅は、複数の測定値に基づいて決定されたスプライス部分の関連する幅の平均値として理解することができる。例えば、複数の幅の値が、この目的のために、関連するスプライス部分にわたって分布するいくつかの測定点で測定され得る。次いで、例えば、これらの幅の値は、算術平均値および/または中央値を平均幅として算出するために使用され得る。
【0046】
言い換えれば、スプライス部分は、スプライス部分がスプライスの高さの方向に互いに隣接している領域内に段差を形成するか、または段差によって互いに分離され得る。2つのスプライス部分の側方オフセットに応じて、スプライスは、対向する辺にただ1つの段差を有するか、または2つの段差も有することができる。そのような段差は、スプライスの高さの方向に対して実質的に横方向に、特にその方向と直交する方向に延びることができる。例えば、段差は肉眼で見ることができる。段差は、丸みを帯びるか、平坦になっているか、または鋭利になっていてもよい。例えば、段差は、導体束の個々のワイヤの最大半径よりも大きい丸め半径で丸められてもよい。言い換えれば、段差は、導体束の個々のワイヤの最大径よりも幅広にすることができる。例えば、段差は、せいぜい2mm幅、好ましくはせいぜい5mm幅とすることができる。段差(複数可)の全幅は、好ましくは少なくとも0.05mm、例えば少なくとも0.1mmとすることができる。特に、段差(複数可)の全幅は、上述したように、スプライスの生産中に調整された許容値にほぼ対応することができる。
【0047】
本発明の第1の態様の一実施形態によるプロセスによって生産された導体束は、代替的に、そのような段差(複数可)を有していなくてもよい。
【0048】
一実施形態によれば、スプライスは超音波溶接によって生産される。その結果、導体束は、導体材料を溶解することなく生産され得る、したがって、一般的な融接プロセスと比べて、比較的低い生産コストで生産され得る。
【0049】
一実施形態によれば、導電体のそれぞれが部分的に被覆されたストランドであり、ストランドの非被覆部分が互いに溶接されてスプライスを形成する。言い換えれば、導電体のそれぞれが部分的にむかれたケーブルであり得る。ストランドはそれぞれ、例えば少なくとも10mmの比較的大きい導体断面を有することができる。その結果、導体束は、電流、特に、電気自動車やハイブリッド自動車などにおける、例えば少なくとも100Aの比較的高い電流の保護された伝導または分配に使用され得る。
【0050】
本発明の実施形態の可能な特徴および利点は、超音波溶接装置を用いてスプライスを溶接する方法に部分的に関して、かかる方法を実行することができる超音波溶接装置に部分的に関して、かかる方法によって生産されていてもよい導体束に部分的に関して説明されることに留意されたい。当業者であれば、個々の実施形態について記載された特徴は、類似の適切な方法で他の実施形態に移されてもよく、本発明の他の実施形態、場合によっては相乗効果に至るように適合および/または交換されてもよいことを認識するであろう。
【0051】
本発明の有利な実施形態が、添付の図面を参照して以下でさらに説明され、図面も説明も決して本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】第1の溶接作業の前の開放された圧縮チャンバを有する本発明の一実施形態による超音波溶接装置の概略図である。
図2】延長された第1の側方要素を有する図1の超音波溶接装置を示す図である。
図3】第1の溶接作業中の閉鎖された圧縮チャンバを有する図1の超音波溶接装置を示す図である。
図4】第1の溶接作業後かつ第2の溶接作業前の開放された圧縮チャンバを有する図1の超音波溶接装置を示す図である。
図5】第2の溶接作業中の閉鎖された圧縮チャンバを有する図1の超音波溶接装置を示す図である。
図6】本発明の一実施形態による超音波溶接装置を用いてスプライスを溶接する方法の流れ図である。
図7】本発明の一実施形態による導体束の概略断面図である。
図8図7の導体束の側面図である。 上記の図は概略的なものにすぎず、原寸に比例して描かれていない。様々な図面における同一の参照番号は、同一の特徴または同じ効果を有する特徴を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、超音波振動を発生させるためのソノトロード102、アンビル104、例えばサイドシフタである第1の側方要素106、および、例えば表面板である第2の側方要素108を有する超音波溶接装置100の概略図を示す。ソノトロード102、アンビル104、第1の側方要素106、および第2の側方要素108は、溶接されるべき複数の導電体114の第1の導体部分112が挿入される圧縮チャンバ110を限定する。あるいは、例えばコンパクティングのために、単一導電体114の第1の導体部分112のみが挿入されてもよい。
【0054】
図1は、例として開放状態での圧縮チャンバ110を示し、この状態では、圧縮チャンバ110は、ソノトロード102の反対側に向かって開放しており、3つの側面がソノトロード102、第1の側方要素106、および第2の側方要素108によって制限される。したがって、第1の導体部分112は、例えばオペレータによって手動で、または把持アームなどによって自動化されて、上方から圧縮チャンバ110内に挿入され得る。図1に示す概略図とは対照的に、側方要素106、108は、挿入中に第1の導体部分112と2つの側方要素106、108のそれぞれの端面との間に空気がいくらか存在するように調整されてもよい。あるいは、サイドシフタ106は、導電体114が挿入される前に、すでに特定の溶接幅に調整されていてもよい。場合によっては、これにより挿入がより容易になる。
【0055】
例えば、圧縮チャンバ110は、図3および図5に示すように、ソノトロード102に対向する側でアンビル104によって閉鎖され得る。
【0056】
圧縮チャンバ110の幅Bは、x方向の第1の側方要素106と第2の側方要素108との間の距離によって予め決定され、第1の側方要素106および/または第2の側方要素108をx方向に移動させることによって変えることができる。図1では、例として、第1の側方要素106のみがx方向に可動であり、第2の側方要素108はx方向に固定されている。
【0057】
圧縮チャンバ110の高さHは、圧縮チャンバ110の閉鎖状態でy方向のソノトロード102とアンビル104との間の距離によって予め決定され、ソノトロード102および/またはアンビル104をy方向に移動させることによって変えることができる。高さHは、図3および図5に描かれている。図1では、例として、アンビル104のみがy方向に可動であり、ソノトロード102はy方向に固定されている。例えば、第2の側方要素108はy方向に可動であってもよく、アンビル104は第2の側方要素108に機械的に結合されてもよい。したがって、アンビル104は、第2の側方要素108と共にy方向に移動させることができる。
【0058】
導電体114はそれぞれ、1つまたは複数のケーブルの個々のワイヤとすることができる。例えば、導電体114のそれぞれが、絶縁材料で部分的に被覆され得る。したがって、導電体114のそれぞれが、個別のケーブルとすることができる。第1の導体部分112は、かかるケーブルの非被覆部とすることができる。あるいは、複数の導電体114が、1つまたは複数のストランドにまとめられてもよい。例えば、すべての導電体114が、単一ストランドにまとめられてもよい。このようなストランドは、絶縁材料によって部分的に被覆され得る、すなわちケーブルであり得る。
【0059】
第1の導体部分112は、ソノトロード102のソノトロード表面116上に多層で配置され得る。超音波振動は、ソノトロード表面116を経由して第1の導体部分112内に結合されて、第1の導体部分112をポジティブ物質接合(positive substance jointing)で互いに結合させる、すなわちスプライス内に溶接させることができる。
【0060】
超音波溶接装置100は、連続する2つの溶接作業で第1の導体部分112を互いに溶接するように構成される。
【0061】
この目的のために、第1の側方要素106は、第1の導体部分112の挿入後に短い距離だけ延長されて、幅Bを第1の溶接作業のための所定の値に調整することができる(図2参照)。
【0062】
例えば、アンビル104は、第2の側方要素108を下げることによってy方向にさらに下げられ、第1の側方要素106に向かってx方向に移動され得る。例えば、第1の側方要素106は、x方向にアンビル104用のストッパとして作用することができる(図3参照)。
【0063】
ソノトロード102は溶接するために作動させられ、第1の導体部分112はソノトロード102およびアンビル104によって圧縮される。その結果、第1の導体部分112は、第1のスプライス300内で互いに溶接される(図3参照)。この場合、第1のスプライス300の幅は、圧縮チャンバ110の幅Bに対応することができる。すなわち、第1のスプライス300の公称幅は、圧縮チャンバ110の幅Bによって予め決定され得る。
【0064】
第1のスプライス300を溶接した後、圧縮チャンバ110は、例えば第1の側方要素106および/またはアンビル104を後退させることによって、再び開放され得る。ここで、第1のスプライス300は圧縮チャンバ110から除去されてもよく、複数の他の導電体402の第2の導体部分400がソノトロード表面116上に配置されてもよい(図4参照)。第2の導体部分400は、1つまたは複数の他のケーブルの非被覆部分であってもよい。第1のスプライス300は、ソノトロード表面116が第2の導体部分400と接触するが、第1のスプライス300とは接触しないように、第2の導体部分400内に挿入される。
【0065】
第2の導体部分400および第1のスプライス300を挿入する前に、挿入中に、または挿入した後で、幅Bは、第2の溶接作業のための所定の値に調整される。第2の溶接作業のための所定の値は、第1の溶接作業のための所定の値よりも所定の許容値ΔBだけ大きい。許容値ΔBは、第1のスプライス300が第1の側方要素106と第2の側方要素108との間にわずかな間隙を有するように選択される。隙間は、第1のスプライス300が第1の側方要素106と第2の側方要素108との間で詰まって動かなくなるかまたは傾くのを防止する(図4参照)。
【0066】
続いて、第2の導体部分400および第1のスプライス300は、第2の溶接作業で互いに溶接されて、第1のスプライス300よりも有意に大きくすることができる均一な第2のスプライス500を形成する(図5参照)。ここで、第2のスプライス500の幅は、圧縮チャンバ110の幅Bに対応することができる。すなわち、第2のスプライス500の公称幅は、圧縮チャンバ110の幅Bによって予め決定され得る。
【0067】
第1の溶接作業および第2の溶接作業と同様の第3の溶接作業では、第2のスプライス500は、少なくとも1つの追加導電体の第3の導体部分と溶接されて、第3のスプライスを形成することが可能である。
【0068】
図6は、図1図5を参照して説明した超音波溶接方法の基本シーケンスを示す。
【0069】
ステップS10で、溶接されるべき少なくとも2つの導電体114の第1の導体部分112が圧縮チャンバ110内に配置される。
【0070】
ステップS20で、圧縮チャンバ110の幅Bは、第1の溶接作業のための所定の値に調整され得る。
【0071】
ステップS30で、第1の溶接作業は、ソノトロード102を作動させ、ソノトロード102とアンビル104との間で第1の導体部分112を圧縮することによって実行され、第1の導体部分112は互いに溶接されて第1のスプライス300を形成する。
【0072】
ステップS40で、溶接されるべき少なくとも1つの別の導電体402の第2の導体部分400が、圧縮チャンバ110内の第1のスプライス300とソノトロード102との間に配置される。
【0073】
ステップS50で、圧縮チャンバ110の幅Bは、第2の溶接作業のための所定の値に調整され、第2の溶接作業のための圧縮チャンバ110の幅Bは、第1の溶接作業のための圧縮チャンバ110の幅よりも所定の許容値ΔBだけ大きい。
【0074】
ステップS60で、第2の溶接作業は、ソノトロード102を再作動させ、ソノトロード102とアンビル104との間で第1のスプライス300および第2の導体部分400を圧縮することによって実行され、第1のスプライス300および第2の導体部分400は互いに溶接されて第2のスプライス500を形成する。
【0075】
第2のスプライス500は、溶接幅が異なるために、このスプライスの外側面上に1つまたは2つの段差を有することができる(図7も参照)。
【0076】
図7は、図8に示す切断線A-Aに沿った導体束700の断面を示す。導体束700は、例えば、図1図6を参照して上述した方法によって生産されており、第2のスプライス500内で互いに溶接される導体114、402を含むことができる(図8も参照)。
【0077】
第2のスプライス500は、このスプライスの高さH’の方向に、それぞれが略長方形断面を有する第1のスプライス部分702および第2のスプライス部分704に分割される。スプライス部分702、704は、それらの幅B’の方向に、平均で少なくとも0.01mmだけ、好ましくは少なくとも0.1mmだけ互いに異なる。
【0078】
スプライス部分702、704は、第2のスプライス500の片側または両側に段差が形成するように、スプライス部分の幅B’の方向に互いにオフセットされてもよい。図7では、第2のスプライス500は、例として、スプライス部分702、704のオフセットに応じて異なる幅を有することができる左側段差706および右側段差706’を有する。例えば、段差706、706’のそれぞれの幅の合計は、少なくとも0.2mmとすることができる。したがって、段差706、706’は肉眼で見ることができる。
【0079】
図8からさらに見られるように、導電体114、402のそれぞれが部分的に被覆されたストランドであり、ストランドは、導体部分112、400を含む非被覆領域で互いに溶接されて、第2のスプライス500を形成する。
【0080】
最大幅のスプライス部分702、704の幅B’は、第2のスプライス500の公称幅に等しくすることができる。
【0081】
高さH’は、第2のスプライス500の公称高さに等しくすることができる。
【0082】
最後に、「~を有する(having)」、「~を備える(comprising)」などの用語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、用語「ある(a)」または「1つの(one)」は、複数を排除するものではないことに留意されたい。上記の例示的な実施形態のうちの1つを参照して説明して特徴またはステップはまた、上述の他の例示的な実施形態の他の特徴またはステップと組み合わせて使用され得ることがさらに指摘されるべきである。特許請求の範囲における参照番号は、限定と見なされるべきではない。
【符号の説明】
【0083】
100 超音波溶接装置
102 ソノトロード
104 アンビル
106 第1の側方要素
108 第2の側方要素
110 圧縮チャンバ
112 第1の導体部分
114 導電体
116 ソノトロード表面
300 第1のスプライス
400 第2の導体部分
402 別の導電体
500 第2のスプライス
700 導体束
702 第1のスプライス部分
704 第2のスプライス部分
706 左段差
706’ 右段差
B 圧縮チャンバの幅
B’ 第2のスプライスの幅
ΔB 許容値
H 圧縮チャンバの高さ
H’ 第2のスプライスの高さ
x x方向
y y方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8