IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カワサキモータース株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-エネルギーユニット 図1
  • 特許-エネルギーユニット 図2
  • 特許-エネルギーユニット 図3
  • 特許-エネルギーユニット 図4
  • 特許-エネルギーユニット 図5
  • 特許-エネルギーユニット 図6
  • 特許-エネルギーユニット 図7
  • 特許-エネルギーユニット 図8
  • 特許-エネルギーユニット 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】エネルギーユニット
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/40 20071001AFI20250408BHJP
   B60K 6/46 20071001ALI20250408BHJP
   B60K 6/26 20071001ALI20250408BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20250408BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20250408BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20250408BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20250408BHJP
   B60W 10/30 20060101ALI20250408BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20250408BHJP
   B60L 50/61 20190101ALI20250408BHJP
【FI】
B60K6/40
B60K6/46 ZHV
B60K6/26
B60W20/00
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60W10/26 900
B60W10/30 900
B60L9/18 J
B60L50/61
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023506432
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2021010579
(87)【国際公開番号】W WO2022195710
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-04-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 義基
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-189621(JP,A)
【文献】特開2009-216014(JP,A)
【文献】特開2010-038006(JP,A)
【文献】特開2019-183847(JP,A)
【文献】特開2012-206632(JP,A)
【文献】特開2017-186851(JP,A)
【文献】特開2018-012346(JP,A)
【文献】特表2013-534586(JP,A)
【文献】特開2003-158802(JP,A)
【文献】特開平11-341606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 - 6/547
B60W 10/00 - 20/50
B60L 9/18
B60L 50/61
F02B 63/00 - 63/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランク軸を有するエンジンと、
前記エンジンの前記クランク軸に接続され、前記クランク軸の回転動力を他のエネルギーに変換可能なエネルギー変換器と、
前記エンジン及び前記エネルギー変換器を制御するように構成されたユニットコントローラと、
着脱可能に装着され且つ電子制御ユニットを有する外部装置に対して、前記エネルギー変換器で変換されたエネルギーを伝達可能な少なくとも1つのエネルギーインターフェースと、
前記エネルギーインターフェースに接続される前記外部装置の前記電子制御ユニットから要求信号を受信可能で且つ前記ユニットコントローラに接続された通信インターフェースと、
流体制御装置と、を備え、
前記エンジン、前記エネルギー変換器、前記ユニットコントローラ及び前記エネルギーインターフェースは、互いに一体化されており、
前記少なくとも1つのエネルギーインターフェースは、前記外部装置が接続された状態で、種類の異なる複数のエネルギーを出力可能に構成されており、
前記エネルギー変換器は、前記エンジンの前記クランク軸に接続されたモータ・ジェネレータと、前記クランク軸及び前記モータ・ジェネレータの回転動力を流体エネルギーに変換可能な流体ポンプと、を含み、
前記少なくとも1つのエネルギーインターフェースは、前記流体ポンプに流体的に接続された流体インターフェースを含み、
前記流体制御装置は、前記流体ポンプと前記流体インターフェースとの間に介在し、前記流体ポンプと前記流体インターフェースとの間の流体圧を制御可能であり、
前記ユニットコントローラは、前記モータ・ジェネレータ制御して前記流体インターフェースから出力される流体エネルギーを調整可能であり、かつ、前記流体制御装置を制御して前記流体インターフェースから出力される流体エネルギーを調整可能に構成されている、エネルギーユニット。
【請求項2】
前記エネルギー変換器は前記モータ・ジェネレータで発電された交流電力を直流電力に変換して出力するACDC変換回路と、入力される直流電力を交流電力に変換してモータ・ジェネレータに供給するDCAC変換回路と、を有する少なくとも1つの変換回路装置を有し、
前記少なくとも1つのエネルギーインターフェースは、前記変換回路装置から出力される電気エネルギーを伝達可能な電気インターフェースを含む、請求項1に記載のエネルギーユニット。
【請求項3】
前記モータ・ジェネレータは、アキシャルギャップ・モータ・ジェネレータであり、
前記アキシャルギャップ・モータ・ジェネレータは、
前記クランク軸の軸線方向に延びた回転軸線周りに回転可能に前記クランク軸に接続されたロータと、
前記ロータから前記軸線方向に隙間をあけた状態で前記ロータに前記軸線方向に対向するステータと、を有する、請求項2に記載のエネルギーユニット。
【請求項4】
前記少なくとも1つのエネルギーインターフェースは、電気エネルギーを出力可能に構成されていると共に、流体エネルギー又は機械エネルギーを出力可能に構成されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエネルギーユニット。
【請求項5】
前記エネルギーインターフェースは、電気エネルギーと、電気エネルギーとは異なる非電気エネルギーと、を出力可能に構成され、
前記ユニットコントローラは、所定条件の成立時に、前記変換回路装置を制御することで、前記モータ・ジェネレータのトルクで前記非電気エネルギーの出力を調整するように構成されている、請求項2に記載のエネルギーユニット。
【請求項6】
前記所定条件は、前記ユニットコントローラが前記通信インターフェースを介して前記外部装置の前記電子制御ユニットから前記要求信号を受信したとの条件を含む、請求項に記載のエネルギーユニット。
【請求項7】
前記ユニットコントローラは、前記エンジンの出力が一定となるように前記エンジンを制御するように構成されている、請求項1乃至のいずれか1項に記載のエネルギーユニット。
【請求項8】
前記エンジンを始動可能なスタータを更に備える、請求項1乃至のいずれか1項に記載のエネルギーユニット。
【請求項9】
エネルギーユニットと、
少なくとも1つのエネルギー中継装置と、
前記少なくとも1つのエネルギー中継装置にエネルギー伝達可能に接続された少なくとも1つのアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御する電子制御ユニットと、を備え、
前記エネルギーユニットは、
クランク軸を有するエンジンと、
前記エンジンの前記クランク軸に接続され、前記クランク軸の回転動力を他のエネルギーに変換可能な少なくとも1つのエネルギー変換器と、
前記エンジン及び前記エネルギー変換器を制御するように構成されたユニットコントローラと、
前記エンジン、前記エネルギー変換器及び前記ユニットコントローラを支持する支持体と、
前記少なくとも1つのエネルギー変換器で変換されたエネルギーを伝達可能な少なくとも1つのエネルギーインターフェースと、
前記ユニットコントローラに接続された通信インターフェースと、を有し、
前記エネルギー中継装置は、前記エネルギーユニットの前記エネルギーインターフェースに接続されており、
前記少なくとも1つのエネルギーインターフェースは、外部装置が接続された状態で、種類の異なる複数のエネルギーを出力可能に構成され、
前記通信インターフェースは、前記エネルギーインターフェースに接続される前記外部装置の前記電子制御ユニットから要求信号を受信可能に接続されるように構成されており、
前記エネルギー変換器は、前記エンジンの前記クランク軸に接続されたモータ・ジェネレータと、前記クランク軸及び前記モータ・ジェネレータの回転動力を流体エネルギーに変換可能な流体ポンプと、を含み、
前記少なくとも1つのエネルギーインターフェースは、前記流体ポンプに流体的に接続された流体インターフェースを含み、
前記少なくとも1つのアクチュエータは、流体アクチュエータを含み、
前記少なくとも1つのエネルギー中継装置は、前記流体アクチュエータ及び前記流体インターフェースに流体的に接続され、前記流体アクチュエータと前記流体インターフェースとの間の流体圧を制御可能な流体制御装置を含み、
前記ユニットコントローラは、前記モータ・ジェネレータ制御して前記流体インターフェースから出力される流体エネルギーを調整可能であり、かつ、前記流体制御装置を制御して前記流体インターフェースから出力される流体エネルギーを調整可能に構成されて
いる、動作装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのエネルギーインターフェースは、電気インターフェースを含み、
前記少なくとも1つのアクチュエータは、電気アクチュエータを含み、
前記少なくとも1つの中継装置は、前記電気インターフェース及び前記電気アクチュエータに電気的に接続されたバッテリを含む、請求項に記載の動作装置。
【請求項11】
前記通信インターフェースは、前記ユニットコントローラと通信可能に接続され、前記エネルギーインターフェースに対して通信可能であり
前記ユニットコントローラは、前記通信インターフェースを介して前記電子制御ユニットから受信した信号に応じて、前記バッテリの充放電を制御するように構成されている、請求項1に記載の動作装置。
【請求項12】
記ユニットコントローラは、前記通信インターフェースを介して前記電子制御ユニットから受信した信号に応じて、前記流体制御装置を制御するように構成されている、請求項1に記載の動作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エネルギーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッテリからの電力で駆動する走行用の電動モータと、発電機を駆動してバッテリを充電する発電用のエンジンとを備えたシリーズハイブリッド車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9038754号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシリーズハイブリッド車両では、コントローラ及びエンジン等が個別に車載されている。そのため、バッテリの充電のための構成と走行用の電動モータを駆動するための構成とを別々に設計する必要があると共に、車両への搭載レイアウトの設計や車体への組付手順の策定にも手間がかかる。また、エネルギー源が不足している場所においてエネルギーを要求する外部装置がある場合に、簡単にエネルギーを供給できるようにすることも望まれる。
【0005】
そこで本開示の一態様は、簡単にエネルギーを供給できる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るエネルギーユニットは、クランク軸を有するエンジンと、前記エンジンを始動可能なスタータと、前記エンジンの前記クランク軸に接続され、前記クランク軸の回転動力を他のエネルギーに変換可能なエネルギー変換器と、前記エンジン、前記スタータ及び前記エネルギー変換器を制御するように構成されたユニットコントローラと、前記エンジン、前記スタータ、前記エネルギー変換器及び前記ユニットコントローラを支持する支持体と、着脱可能に装着される外部装置に対して、前記エネルギー変換器で変換されたエネルギーを伝達可能なエネルギーインターフェースと、を備え、前記エンジン、前記スタータ、前記エネルギー変換器、前記ユニットコントローラ及び前記エネルギーインターフェースは、互いに一体化されている。
【0007】
前記構成によれば、回転動力以外のエネルギーを要求する外部装置に対してエネルギーユニットのエネルギーインターフェースを接続し、スタータによってエンジンを始動させれば、当該外部装置に簡単にエネルギーを供給できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、簡単にエネルギーを供給できるユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るエネルギーユニットの平面図である。
図2図2は、図1のエネルギーユニットのII-II線断面図である。
図3図3は、図2のエネルギーユニットが着脱自在に搭載された動作装置のブロック図である。
図4図4は、図2のエネルギーユニットの冷却構造のブロック図である。
図5図5は、図3の動作装置の側面図である。
図6図6は、図5の動作装置のエネルギーユニット及びその近傍を前方から見た概略断面図である。
図7図7は、図3のエネルギーユニットの第1変形例のブロック図である。
図8図8は、図3のエネルギーユニットの第2変形例のブロック図である。
図9図9は、図3のエネルギーユニットの第3変形例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。なお、以下に説明するエネルギーユニット1は、鉛直方向(上下方向)に延びるクランク軸22を有する。言い換えれば、エネルギーユニット1の上下方向は、クランク軸22が延びる方向であり、クランク軸22に直交する面内の方向は、エネルギーユニット1の水平方向である。
【0011】
図1は、実施形態に係るエネルギーユニット1の平面図である。図2は、図1のエネルギーユニット1のII-II線断面図である。図1及び2に示すように、エネルギーユニット1は、エンジンユニット2と、エンジンユニット2に駆動されるアキシャルギャップ・モータ・ジェネレータ3とを備える。エンジンユニット2とアキシャルギャップ・モータ・ジェネレータ3とは、互いに一体化されている。エンジンユニット2は、内燃機関であるエンジン10と、エンジン10の上側に設けられたアッパーカバー11と、を備える。なお、以下ではアキシャルギャップ・モータ・ジェネレータ3を単にモータ・ジェネレータ3と略称する場合がある。
【0012】
エンジンユニット2のエンジン10は、多気筒エンジンであり、例えばVツインエンジンである。エンジン10は、クランクケース21と、クランク軸22と、一対のシリンダ23と、動弁装置24と、を備える。クランク軸22は、クランクケース21に回転自在に支持された状態でクランクケース21に収容されている。クランク軸22の回転軸線Xは、鉛直方向に延びている。クランク軸22は、シリンダ23内のピストンの往復動作に連動して回転する。クランク軸22は、接続対象を回転させることで、接続対象に運動エネルギーを与える。シリンダ23は、クランク軸22から見て水平方向に延びている。
【0013】
エンジンユニット2のアッパーカバー11は、クランクケース21を上方から覆うようにクランクケース21に固定されている。アッパーカバー11は、下方に開口した断面逆凹形状を有する。アッパーカバー11は、クランクケース21との間に内部空間を画定している。アッパーカバー11の内部空間には、クランクケース21から上方に突出したクランク軸22の上部が配置されている。エンジン10の上方には、アッパーカバー11の内部空間において冷却ファン12及びサブ発電機14が配置されている。
【0014】
サブ発電機14は、クランク軸22の上部に取り付けられている。即ち、サブ発電機14は、その図示しないロータがクランク軸22に連動して回転し、発電を行う。サブ発電機14が発生した電力は、エンジン10の駆動に必要な電力として使用される。例えば、サブ発電機14が発生した電力は、後述のユニットコントローラ4等に供給される。なお、サブ発電機14は、モータとして機能してエンジン10を始動させるスタータの役目を果たしてもよい。
【0015】
クランク軸22の上部には、サブ発電機14の上方において冷却ファン12が取り付けられている。アッパーカバー11の上板部には、流入口11aが形成されている。アッパーカバー11には、流入口11aを覆うようにファンカバー13が着脱可能に取り付けられている。ファンカバー13は、例えば異物通過を防ぎながら空気通過を許容する網状の構造である。
【0016】
アッパーカバー11の側板部には、流出口11bが形成されている。流出口11bには、ルーバーが設けられてもよい。クランク軸22に連動して冷却ファン12が回転することで、ファンカバー13を通して流入口11aから空気が吸引され、その吸引された空気がサブ発電機14及びエンジン10を冷却し、流出口11bから外部に排出される。
【0017】
動弁装置24は、鉛直方向に延びたカム軸24aを有し、クランク軸22に機械的に連動してシリンダ23の吸排気弁(図示せず)を開閉させる。なお、動弁装置24の構成は、公知のものであり、その構成は特に限定されない。クランク軸22の回転は、ギヤ25を介してカム軸24aに伝達される。動弁装置24は、水平方向において、クランク軸22の回転軸線Xに対してシリンダ23側に配置されている。即ち、一対のシリンダ23の重心と回転軸線Xとを結ぶ仮想線に垂直であり且つクランク軸22の回転軸線Xが含まれる仮想鉛直平面を考えた場合に、この仮想鉛直平面により空間を二分割した一方側(シリンダ23が存在する側)の領域に動弁装置24が配置されている。
【0018】
エンジンユニット2は、エンジン10に供給される吸気を浄化するエアクリーナ15を備える。エアクリーナ15の上端は、エンジン10の上端よりも上方に配置され、具体的にはアッパーカバー11の上面よりも上方に配置されている。エアクリーナ15は、エアクリーナケース28と、エアクリーナケース28に収容されたクリーナエレメント29(フィルタ)と、を有する。
【0019】
具体的には、エアクリーナケース28は、筒状の周壁部と、その周壁部の両端をそれぞれ閉鎖する端壁部とを有し、その軸線が水平方向に向くように配置されている。クリーナエレメント29は、円筒形状を有する。クリーナエレメント29の内径側がクリーンサイドであり、クリーナエレメント29の外径側がダーティサイドである。
【0020】
エアクリーナケース28の周壁部からは、ダクト16が上方に突出している。ダクト16は、エアクリーナ15のダーティサイドに連通している。ダクト16の上端には、吸込口16aが設けられている。即ち、吸込口16aは、エアクリーナケース28及びクリーナエレメント29よりも上方に配置されている。吸込口16aには、フィルタが設けられてもよい。吸込口16aから吸い込まれた外気は、クリーナエレメント29の外径側のダーティサイドに導かれ、クリーナエレメント29を通過して清浄化され、クリーナエレメント29の内径側のクリーンサイドに導かれる。
【0021】
エアクリーナケース28の端壁部には、クリーナエレメント29の内径側のクリーンサイドに連通する吸気管17が接続されている。吸気管17は、水平方向に延びた第1部17aと、下方に向かってから折り返して上方に向かうU字形状を有する第2部17bとを有する。これにより、吸気管17の吸気通路の長さは、小さいスペースにおいて長く形成されている。吸気管17の第2部17bの下流端は、各シリンダ23の燃焼室に吸気を供給可能に設けられている。なお、第2部17bは、上方に向かってから折り返して下方に向かう逆U字形状であってもよい。
【0022】
吸気管17には、スロットル弁を有するスロットル装置18が設けられている。吸気管17には、燃料供給装置19が設けられている。燃料供給装置19は、例えば、インジェクタ又はキャブレターである。具体的には、スロットル装置18及び燃料供給装置19は、吸気管17の第2部17bにおいて折返部17baの上流側に設けられている。これにより、スロットル装置18及び燃料供給装置19からシリンダ23までの吸気通路が長くなっている。
【0023】
クランクケース21の下部には、上方に開口したオイルパン26が配置されている。具体的には、クランクケース21の内部空間の下側に、オイルパン26が配置されている。オイルパン26は、クランク軸22の回転軸線Xの方向(鉛直方向)において、クランク軸22と重なる高さに配置されている。オイルパン26は、水平方向において、クランク軸22の回転軸線Xに対して動弁装置24と反対側に配置されている。
【0024】
即ち、一対のシリンダ23の重心と回転軸線Xとを結ぶ仮想線に垂直であり且つクランク軸22の回転軸線Xが含まれる前記仮想鉛直平面を考えた場合に、この仮想鉛直平面により空間を二分割した他方側(シリンダ23が存在しない側)の領域にオイルパン26が配置されている。なお、オイルパン26は、動弁装置24の鉛直下方にまで及ぶように拡大されてもよい。また、ロアケース21bがオイルパンを兼ねるようにしてもよい。
【0025】
モータ・ジェネレータ3は、エンジン10の下側に配置されている。なお、モータ・ジェネレータ3は、エンジン10の上側に配置されてもよい。モータ・ジェネレータ3は、オイルパン26の下方に配置されている。モータ・ジェネレータ3は、エンジン10の下面に取り付けられている。モータ・ジェネレータ3は、エンジンユニット2の全体よりも下方に配置されている。
【0026】
アキシャルギャップ・モータ・ジェネレータ3は、後述するように、略板形状のステータ33及びロータ34,35を有し、回転軸32の軸線方向にステータ33及びロータ34,35が主面同士を対向させるように並べられている。即ち、アキシャルギャップ・モータ・ジェネレータ3は、ロータ34,36の磁束の主方向が回転軸32の軸線方向となるので、回転軸32の軸線方向における寸法を小さくできる。
【0027】
モータ・ジェネレータ3、冷却ファン12及びサブ発電機14は、クランク軸22と同軸上に配置されている。モータ・ジェネレータ3は、サブ発電機14よりも大きい。具体的には、モータ・ジェネレータ3の容積は、サブ発電機14の容積よりも大きい。エネルギーユニット1の上面視において、モータ・ジェネレータ3の占有面積は、サブ発電機14の占有面積よりも大きい。モータ・ジェネレータ3の定格出力(単位時間当たりの発電能力)は、サブ発電機14の定格出力(単位時間当たりの発電能力)よりも大きい。
【0028】
モータ・ジェネレータ3の鉛直方向寸法は、サブ発電機14の鉛直方向寸法よりも大きい。モータ・ジェネレータ3の鉛直方向寸法は、モータ・ジェネレータ3の水平方向寸法よりも小さい。モータ・ジェネレータ3の鉛直方向寸法は、エンジン10の鉛直方向寸法よりも小さい。モータ・ジェネレータ3は、回転軸線Xの延在方向から見てエンジン10の外形の内側に配置されている(図1参照)。なお、モータ・ジェネレータ3は、回転軸線Xの延在方向から見てエンジン10の外形から外側に食み出してもよい。
【0029】
モータ・ジェネレータ3は、ケース31、回転軸32、ステータ33、第1ロータ34及び第2ロータ35を備える。ケース31は、鉛直方向に延びる回転軸32を回転自在に支持している。ケース31は、平面視では円形の外形を有する。回転軸32は、クランク軸22の下側に配置されている。回転軸32の回転軸線は、クランク軸22の回転軸線Xと一致している。回転軸32は、クランク軸22と共回転するようにクランク軸22に結合されている。
【0030】
第1ロータ34、ステータ33及び第2ロータ35は、この順に上から下に並んでいる。ステータ33は、ステータコア41と、ステータコア41に設けられたコイル42とを有する。コイル42は、モータ・ジェネレータ3の端子に接続されている。ステータ33は、回転軸32に対して相対回転自在であり、ケース31を基準として静止状態で支持されている。
【0031】
第1ロータ34は、第1ロータコア43及び第1磁石44を有する。第1ロータコア43は、円板状であり、回転軸32と共回転するように回転軸32に外嵌されている。第1磁石44は、ステータ33の上面に対向するように第1ロータコア43に設けられている。第2ロータ35は、第2ロータコア45及び第2磁石46を有する。第2ロータコア45は、円板状であり、回転軸32と共回転するように回転軸32に外嵌されている。第2磁石46は、ステータ33の下面に対向するように第2ロータコア45に設けられている。
【0032】
第1ロータ34とステータ33との間には、回転軸線方向にギャップが設けられ、第2ロータ35とステータ33との間には、回転軸線方向にギャップが設けられている。第1ロータ34及び第2ロータ35は、クランク軸22に連動して回転軸線X回りに回転するように回転軸32を介してクランク軸22に接続されている。なお、モータ・ジェネレータ3の構成は、特に限定されない。例えば、ロータを1つとしてステータを一対としてもよく、ロータ及びステータの各々を複数としてもよく、ロータ及びステータを1つずつとしてもよい。また、モータ・ジェネレータ3として、アキシャルギャップ型の代わりにラジアルギャップ型が用いられてもよい。
【0033】
モータ・ジェネレータ3では、第1ロータ34及び第2ロータ35がクランク軸22によって回転駆動され、コイル42に電流が発生する(発電機能)。モータ・ジェネレータ3では、コイル42に電流を流して生じる磁界によって第1ロータ34及び第2ロータ35が回転し、クランク軸22を回転させる回転動力が発生する(モータ機能)。モータ・ジェネレータ3は、エンジン10のクランク軸22の回転動力によって電力を生成する発電機能と、エンジン10を始動するスタータモータ機能とを兼ね備える統合スタータジェネレータ(ISG)である。即ち、モータ・ジェネレータ3は、エンジン10を始動可能なスタータの役目を果たし得る。
【0034】
図3は、図2のエネルギーユニット1が着脱自在に搭載された動作装置50のブロック図である。図3に示すように、エネルギーユニット1は、モータ・ジェネレータ3に電気的に接続されたインバータ5(変換回路装置;レギュレータ)を備える。インバータ5は、モータ・ジェネレータ3に一体的に接続されている。インバータ5は、モータ・ジェネレータ3が発生した交流電力を直流電力に変換して電圧調節してバッテリ51を充電するACDC変換回路を有する。インバータ5は、後述のバッテリ51が放電した直流電力を交流電力に変換して電圧調節してモータ・ジェネレータ3に供給するDCAC変換回路を有する。モータ・ジェネレータ3及びインバータ5は、クランク軸22の回転動力を他のエネルギー(電気エネルギー)に変換可能なエネルギー変換器の役目を果たす。
【0035】
エネルギーユニット1は、電子制御ユニットであるユニットコントローラ4を備える。ユニットコントローラ4は、エンジン10及びインバータ5を制御するように構成されている。コントローラ4は、エンジン10の出力が一定になるようにエンジン10を制御するように構成されている。エネルギーユニット1は、サブ発電機14が発生した交流電力を直流電力に変換して電圧調節するように構成された図示しないレギュレータも備える。
【0036】
エネルギーユニット1において、エンジン10、モータ・ジェネレータ3、ユニットコントローラ4、インバータ5、サブ発電機14、冷媒ポンプP2等は、互いに固定されて一体化されている。なお、エンジン10、モータ・ジェネレータ3、ユニットコントローラ4、インバータ5、サブ発電機14、冷媒ポンプP2等は、支持体(例えば、フレーム)によって支持されてユニット化されていてもよい。
【0037】
動作装置50は、バッテリ51、インバータ52、トラクションモータ53、電子制御ユニット54等を備える。動作装置50は、シリーズハイブリッド車両である。動作装置50は、エネルギーユニット1が着脱可能に搭載される外部装置の例である。トラクションモータ53は、走行動力を発生し、駆動輪(例えば、後輪RW)を駆動するように構成されている。インバータ52は、バッテリ51が放電した直流電力を交流電力に変換して電圧調節してトラクションモータ53に供給するように構成されている。インバータ52は、トラクションモータ53で回生された交流電力を直流電力に変換して電圧調節してバッテリ51を充電するようにも構成されている。電子制御ユニット54は、インバータ52を制御するように構成されている。電子制御ユニット54は、動作装置50の走行トルクを制御可能である。
【0038】
バッテリ51は、エネルギーユニット1の電気インターフェース6に電気的に接続される一方、動作装置50のトラクションモータ53にインバータ52を介して電気的に接続されている。即ち、バッテリ51は、エネルギーユニット1の電気インターフェース6からの電力をトラクションモータ53に中継可能であると共に、トラクションモータ53で回生した電力をエネルギーユニット1の電気インターフェース6に中継可能である。即ち、バッテリ51は、エネルギー中継装置の役目を果たす。
【0039】
エネルギーユニット1は、エネルギーインターフェースの1つとして電気インターフェース6を備える。電気インターフェース6は、エネルギーユニット1のインバータ5を、エネルギーユニット1の外部に設けられたバッテリ51に電気的に接続する。接触給電の場合には、電気インターフェース6は着脱自在な端子又は電力コネクタである。非接触給電の場合には、電気インターフェース6はコイルである。
【0040】
エネルギーユニット1は、通信インターフェース8を備える。通信インターフェース8は、エネルギーユニット1のユニットコントローラ4を、エネルギーユニット1の外部に設けられた電子制御ユニット54に通信可能に接続する。有線通信の場合には、通信インターフェース8は着脱自在な端子又は通信コネクタである。無線通信の場合には、通信インターフェース8は公知の無線通信機である。
【0041】
動作装置50は、オイルポンプP1、オイル制御弁ユニット55、油圧アクチュエータ56A~Cを備える。オイルポンプP1は、その被駆動軸に回転駆動力が入力されることでオイルを吐出する。油圧アクチュエータ56A~Cは、例えば、制動力を発生する油圧シリンダ等である。オイル制御弁ユニット55は、オイルポンプP1と油圧アクチュエータ56A~Cとの間の流路を開閉して油圧アクチュエータ56A~Cに付与される油圧を制御する流体制御装置の役目を果たす。オイル制御弁ユニット55の動作は、電子制御ユニット54によって制御される。
【0042】
オイル制御弁ユニット55は、オイルポンプP1に流体的に接続される一方、動作装置50の油圧アクチュエータ56A~Cに流体的に接続されている。即ち、オイル制御弁ユニット55は、オイルポンプP1からの油圧を油圧アクチュエータ56A~Cに中継可能である。即ち、オイル制御弁ユニット55は、エネルギー中継装置の役目を果たす。
【0043】
エネルギーユニット1は、機械インターフェース7を備える。機械インターフェース7は、クランク軸22の回転動力を機械エネルギーとして出力可能である。機械インターフェース7は、例えば、相手方部材と相対回転不能に係合可能な係合部(例えば、スプライン溝又はキー溝)を有するPTO軸である。クランク軸22と機械インターフェース7との間には、クランク軸22の回転動力を機械インターフェース7に伝達する動力伝達経路9(例えば、ギヤ機構、チェーン・スプロケット機構又はベルト・プーリー機構)が設けられている。モータ・ジェネレータ3は、動力伝達経路9に機械的に接続されている。
【0044】
モータ・ジェネレータ3が発生した回転動力は、動力伝達経路9を介して機械インターフェース7から出力可能である。機械インターフェース7は、オイルポンプP1の被駆動軸に離脱可能に接続されている。即ち、オイルポンプP1は、機械インターフェース7から供給される回転動力によって駆動される。また、動力伝達経路9には、冷媒ポンプP2の被駆動軸が機械的に接続されている。
【0045】
エンジン10で発生した回転動力と、モータ・ジェネレータ3で発生した回転動力とは、動力伝達経路9において重畳可能となっている。ユニットコントローラ4は、所定条件が成立すると(例えば、電子制御ユニット54から要求があると)、エンジン10を駆動するとともにモータ・ジェネレータ3をモータとして駆動する。これにより、エンジン10及びモータ・ジェネレータ3の両方が発生させた回転動力は、動力伝達経路9を介して機械インターフェース7から出力される。その際、ユニットコントローラ4は、エンジン10の出力を一定に制御しながら、モータ・ジェネレータ3の駆動トルクを変化させるようにインバータ5を制御することで、機械インターフェース7からの出力を調節可能としている。
【0046】
電気インターフェース6、機械インターフェース7及び通信インターフェース8は、動作装置50から離脱可能である。それにより、エネルギーユニット1は、動作装置50に対して容易に着脱可能になっている。
【0047】
図4は、図2のエネルギーユニット1の冷却構造の変形例のブロック図である。図4に示すように、エネルギーユニット1は、冷却流路70を備える。冷却流路70は、エンジン10を冷却するEG冷却流路70aを備える。EG冷却流路70aは、冷媒ポンプP2が吐出した冷媒(例えば、水)をエンジン10に導き、エンジン10を冷却した冷媒を冷媒ポンプP2に戻す循環流路である。EG冷却流路70aには、フィルタ71及びラジエター72が介在している。
【0048】
冷却流路70は、モータ・ジェネレータ3を冷却するMG冷却流路70bを備える。MG冷却流路70bは、EG冷却流路70aから分岐し、冷媒(例えば、水)をモータ・ジェネレータ3に導き、モータ・ジェネレータ3を冷却した冷媒をEG冷却流路70aに戻す。冷却流路70は、インバータ5を冷却するIV冷却流路70cを備える。EG冷却流路70a又はMG冷却流路70bから分岐し、冷媒(例えば、水)をインバータ5に導き、インバータ5を冷却した冷媒をEG冷却流路70a又はMG冷却流路70bに戻す。なお、冷却流路70は、IV冷却流路70cを含まなくてもよいし、EG冷却流路70aを含まなくてもよい。
【0049】
図5は、図3の動作装置50の側面図である。図5に示すように、動作装置50は、一例として、ホイールローダ等のような作業車である。動作装置は、前輪FWと、後輪RWと、前輪FW及び後輪RWに支持された車体57を備える。車体57の前部には、アーム58の基端部が回動自在に接続されている。アーム58を昇降する油圧アクチュエータ56Aは、その一端が車体57に接続され、その他端がアーム58の基端部寄りに接続されている。アーム58の先端部には、バケットBが回動自在に接続されている。バケットBを回動させるための油圧アクチュエータ56Bは、その一端が車体57に接続され、その他端がレバー59を介してバケットBに接続されている。
【0050】
車体57には、駆動力を発生するトラクションモータ53が搭載されている。トラクションモータ53は、動力分配機構60を介して前輪FW及び後輪RWに動力伝達可能に接続されている。車体57には、動作装置50の前輪FWを操舵する油圧アクチュエータ56Cが設けられている。車体57には、運転席61が設けられている。運転席61の近傍には、運転者が操舵のための操作を行うハンドル62と、アーム58及びバケットBを操作するための操作レバー63等が設けられている。
【0051】
運転席61の後方において車体57に車内空間S1が形成されている。車内空間S1には、エネルギーユニット1の少なくとも一部が配置されている。エネルギーユニット1は、モータ・ジェネレータ3がエンジンユニット2の下方に位置する姿勢で車体57に支持されている。エネルギーユニット1は、左後輪RWと右後輪RWとの間に挟まれた空間に配置されている。エネルギーユニット1の少なくとも一部は、側面視において後輪RWと重なっている。エネルギーユニット1は、(動作装置50が停車状態かつ空車状態のときに)モータ・ジェネレータ3の下端が後輪RWの上端よりも低く配置されるように車体57に搭載されている。なお、エネルギーユニット1の少なくとも一部は、運転席61よりも前方に配置されるようにしてもよい。
【0052】
図6は、図5の動作装置50のエネルギーユニット1及びその近傍を後方から見た概略断面図である。図6に示すように、モータ・ジェネレータ3は、車体57の底板64の下側に配置されている。モータ・ジェネレータ3の少なくとも一部は、底板64の車外空間S2に露出している。モータ・ジェネレータ3は、車内空間S1と車外空間S2とにわたって配置されてもよいし、モータ・ジェネレータ3の全体が車外空間S2に配置されてもよい。
【0053】
底板64は、上方に向けて窪んだ凹部65を有する。凹部65の上板部65aには、開口Hが形成されている。エネルギーユニット1は、開口Hを通過している。エンジンユニット2は、車内空間S1に収容されている。モータ・ジェネレータ3は、凹部65に収容されている。モータ・ジェネレータ3の下端は、底板64のうち凹部65に隣接する部分の下面の高さ以上の高さに位置している。
【0054】
なお、底板64には、モータ・ジェネレータ3を収容する凹部65がなくてもよい。即ち、モータ・ジェネレータ3は、底板64から下方に突出するように配置されてもよい。エネルギーユニット1の全体が車内空間S1に配置されてもよい。走行時における車外空間S2の空気(走行風)がモータ・ジェネレータ3に導かれるようにしてもよい。走行時における車外空間S2の空気(走行風)がエンジンユニット2にも導かれるようにしてもよい。
【0055】
なお、エネルギーユニット1が着脱可能に搭載される動作装置50として、作業車を例示したが、エネルギーユニット1から供給されるエネルギーを使って動作する装置であれば、作業車以外の装置にエネルギーユニット1を適用してもよい。例えば、動作装置は、作業車とは異なる車両(例えば、自動二輪車、自動三輪車、自動車等)であってもよいし、ロボットであってもよい。当該ロボットは、エネルギーを受けて動作して当該ロボットの位置を変更させる移動構造(例えば、車輪、脚、プロペラなど)を備え得る。当該ロボットは、前記移動構造に加えて、何らかの仕事(作業)をする構造(例えば、アクチュエータで駆動されるアーム及び/又はハンド)を備え得る。当該ロボットは、その本体に操縦者が乗り込まないものであり、無線又は有線の通信による遠隔操作にて動作するか、又は、所定のプログラムに従って自律的に作動する。
【0056】
以上に説明した構成によれば、電気エネルギーを要求する動作装置50に対してエネルギーユニット1の電気インターフェース6を接続し、モータ・ジェネレータ3によってエンジン10を始動させれば、動作装置50に簡単に電気エネルギーを供給できる。よって、簡単に電気エネルギーを供給できるユニットを提供できる。
【0057】
しかも、エンジン10の動力によって発電を行うモータ・ジェネレータ3がエンジン10を始動させるスタータの役目も果たすことができるので、簡単に電力を供給でき、コンパクトなカセット式のユニットを提供できる。
【0058】
また、モータ・ジェネレータとしてアキシャルギャップ・モータ・ジェネレータ3が用いられるので、クランク軸22の軸線方向Xにおいてエネルギーユニット1のサイズを小さくでき、エネルギーユニット1を小型化できる。
【0059】
また、エネルギーユニット1が種類の異なる複数のエネルギーを出力可能であるため、接続可能な外部の機器を増やして、汎用性を向上することができる。
【0060】
また、エネルギーユニット1が汎用性の高い電気エネルギーの他に、機械エネルギーを出力することで、高出力エネルギーを外部の機器に与えやすく、外部の機器で高負荷の仕事を行いやすくすることができる。
【0061】
また、ユニットコントローラ4は、所定条件の成立時に、モータ・ジェネレータ3のトルクで機械インターフェース7からの機械エネルギー(回転動力)の出力を調整するようにインバータ5を制御するので、モータ・ジェネレータ3のトルク(正トルク又は負トルク)によって、エンジン10の運転状態の変動を抑えながらも、機械エネルギーの出力を調整するように支援できる。
【0062】
また、前記所定条件は、ユニットコントローラ4が通信インターフェース8を介して動作装置50の電子制御ユニット54から要求信号を受信したとの条件を含むため、動作装置50の電子制御ユニット54の要求に応じて機械インターフェース7からの機械エネルギーの出力を調整できる。例えば、動作装置50の油圧アクチュエータ56A~Cの負荷が許容値を超えるほど高くなっても、エンジン10の駆動力だけでなくモータ・ジェネレータ3の駆動力によって機械エネルギーを発生させることで、油圧アクチュエータ56A~Cを適切に動作させることができる。
【0063】
また、ユニットコントローラ4は、エンジン10の出力が一定となるようにエンジン10を制御するため、エンジン出力を変動させるような制御が必要なく、複雑な制御を不要にできる。また、エンジン10を高効率の回転数域にて一定の燃費で動作させることができ、燃費の良いエネルギーユニット1を設計できる。
【0064】
また、バッテリ51、インバータ52、トラクションモータ53等を備えた動作装置50にエネルギーユニット1を取り付ければ、簡単に動作装置50を動作させることができる。また、複数のエネルギーユニット1を用意しておけば、例えばエネルギーユニット1の残燃料が枯渇した場合にエネルギーユニット1の交換のみで動作装置50の動作を続行することができ、燃料補給行為をエネルギーユニット1の交換で代替できる。
【0065】
図7は、第1変形例のエネルギーユニット101のブロック図である。図7に示すように、第1変形例のエネルギーユニット101では、オイルポンプP1及びオイル制御弁ユニット55がエネルギーユニット101に含まれている。オイルポンプP1は、クランク軸22から動力伝達機構9を介して伝達される回転動力を他のエネルギー(流体エネルギー)に変換可能なエネルギー変換器の役目を果たす。エネルギーユニット101は、機械インターフェース7の代わりに、エネルギーインターフェースの1つとして流体インターフェース107を有する。流体インターフェース107は、オイルポンプP1が吐出するオイルを外部に出力する。
【0066】
具体的には、流体インターフェース107には、車両150のオイル制御弁ユニット55の流入ポートに接続された配管が着脱可能に接続される。オイルポンプP1が吐出するオイルは、流体インターフェース107を介して、エネルギーユニット101の外部にあるオイル制御弁ユニット55に向けて出力される。即ち、流体インターフェース107からの油圧はオイル制御弁ユニット55を介して油圧アクチュエータ56A~Cに供給される。
【0067】
このような構成によれば、オイルポンプP1及びオイル制御弁ユニット55がエネルギーユニット101に含まれるため、エネルギーユニット1を除いた車両150側の構成を簡素化することができる。油圧を制御可能なオイル制御弁ユニット55がエネルギーユニット1に含まれることで、エネルギーユニット1の外部から油圧要求値がユニットコントローラ4に入力されるだけで、ユニットコントローラ4がオイル制御弁ユニット55を制御して流体インターフェース55から所望の油圧を出力できる。
【0068】
また、エネルギーユニット1が汎用性の高い電気エネルギーの他に、流体エネルギーを出力することで、高出力エネルギーを外部の機器に与えやすく、外部の機器で高負荷の仕事を行いやすくすることができる。また、油圧を要求する外部の油圧アクチュエータ56A~Cに対してエネルギーユニット1の流体インターフェース107を接続すれば、油圧アクチュエータ56A~Cに油圧を供給できる。よって、簡単に流体エネルギーを供給できるカセット式のエネルギーユニット1を提供できる。なお、他の構成は前述した実施形態と同様であるため同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
図8は、第2変形例のエネルギーユニット201のブロック図である。図8に示すように、第2変形例のエネルギーユニット201では、バッテリ51がエネルギーユニット201に含まれている。エネルギーユニット201の電気インターフェース206は、バッテリ51が放電する直流電力を外部に出力する。具体的には、電気インターフェース206には、車両250のインバータ52に接続された電線が端子又はコネクタを介して着脱可能に接続される。なお、電気インターフェース206とインバータ52との間で非接触給電が行われてもよく、その場合には電気インターフェース206はコイルにすればよい。
【0070】
バッテリ51が放電する電力は、電気インターフェース206を介して、エネルギーユニット201の外部にあるインバータ52に供給される。また、インバータ52は、トラクションモータ53(図3)で回生された電力を、電気インターフェース206を介してバッテリ51に充電する。ユニットコントローラ4は、通信インターフェース8を介して動作コントローラ54から受信した信号に応じて、バッテリ51の充放電を制御する。このような構成によれば、バッテリ51がエネルギーユニット201に含まれるため、エネルギーユニット201を除いた車両250側の構成を簡素化することができる。なお、他の構成は前述した実施形態又は変形例と同様であるため同一符号を付して説明を省略する。
【0071】
図9は、第3変形例のエネルギーユニット301のブロック図である。図9に示すように、第3変形例のエネルギーユニット301は、電気インターフェース5及び通信インターフェース8に加えて、流体インターフェース107と機械インターフェース7との両方を備える。エンジン10及び/又はモータ・ジェネレータ3からの回転動力は、動力伝達機構9,309を介して機械インターフェース7から出力可能である。機械インターフェース7には、車両250側の動作装置356(例えば、車輪、ポンプ、プロペラ、ファン、回転カッター等)が着脱自在に接続される。
【0072】
即ち、エネルギーユニット301の機械インターフェース7から出力される回転動力が動作装置356に入力されることで、動作装置356が動作する。この構成によれば、エネルギーユニット301によって、電気エネルギーと流体エネルギーと機械エネルギーとの三種類のエネルギーを動作装置350(外部装置)に簡易に供給できる。なお、他の構成は前述した実施形態又は変形例と同様であるため同一符号を付して説明を省略する。
【0073】
なお、本開示は前述した各実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、その構成を変更、追加、又は削除することができる。例えば、1つの実施形態又は変形例中の一部の構成又は方法を他の実施形態又は変形例に適用してもよく、実施形態又は変形例中の一部の構成は、その実施形態又は変形例中の他の構成から分離して任意に抽出可能である。また、エネルギーユニットは、動作装置に搭載されることなくエネルギーユニットとして独立して使用されてもよい。例えば、エネルギーユニットは、電気インターフェースを備えた据置式又は可搬式の発電機ユニットであってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1,101,201 エネルギーユニット
2 エンジンユニット
3 アキシャルギャップ・モータ・ジェネレータ(スタータ;エネルギー変換器)
4 ユニットコントローラ
5 インバータ(変換回路装置)
6,206 電気インターフェース(エネルギーインターフェース;第1インターフェース)
7 機械インターフェース(第2インターフェース)
8 通信インターフェース
10 エンジン
21 クランクケース
22 クランク軸
50,150,250 動作装置
51 バッテリ(中継装置)
52 インバータ
53 トラクションモータ
54 電子制御ユニット
55 オイル制御弁ユニット(流体制御装置;中継装置)
56A~C 油圧アクチュエータ
57,357 車体
107 流体インターフェース(エネルギーインターフェース;第2インターフェース)
P1 オイルポンプ(エネルギー変換器)
X 回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9