IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

特許7662961ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの製造方法、及び、ポリテトラフルオロエチレンパウダー
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの製造方法、及び、ポリテトラフルオロエチレンパウダー
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/28 20060101AFI20250409BHJP
   C08J 3/12 20060101ALI20250409BHJP
【FI】
C08J3/28 CEW
C08J3/12 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023205682
(22)【出願日】2023-12-05
(65)【公開番号】P2024081155
(43)【公開日】2024-06-17
【審査請求日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】P 2022194218
(32)【優先日】2022-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】辻 雅之
(72)【発明者】
【氏名】北川 優樹
(72)【発明者】
【氏名】三宅 郁朗
(72)【発明者】
【氏名】清水 彩華
(72)【発明者】
【氏名】増田 英二
(72)【発明者】
【氏名】東 千誠
(72)【発明者】
【氏名】久保内 雅生
(72)【発明者】
【氏名】河原 一也
(72)【発明者】
【氏名】濱野 和博
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103170401(CN,A)
【文献】特開2003-342379(JP,A)
【文献】国際公開第2018/026012(WO,A1)
【文献】特開2019-137851(JP,A)
【文献】特開2022-113715(JP,A)
【文献】国際公開第2019/156071(WO,A1)
【文献】特開平10-316761(JP,A)
【文献】特開2001-040043(JP,A)
【文献】特開平10-077378(JP,A)
【文献】特開昭62-260849(JP,A)
【文献】国際公開第2012/043754(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/053628(WO,A1)
【文献】国際公開第2023/054711(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00-3/28;99/00
B29B 7/00-11/14
B29B 13/00-15/06
B02C 9/00-11/08
B02C 19/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が700μm以上、見掛密度が0.40g/ml以下のポリテトラフルオロエチレンパウダーに電離性放射線を照射する工程を経て、平均粒径が20μm以下のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーを得るポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの製造方法。
【請求項2】
前記ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーは、380℃での溶融粘度が1×10~7×10Pa・sである請求項1記載のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの製造方法。
【請求項3】
前記ポリテトラフルオロエチレンパウダーは、目開き700μm~2mmの篩で篩い分けすることで得られたものである請求項1又は2記載のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの製造方法。
【請求項4】
前記ポリテトラフルオロエチレンパウダーは、下記条件で行われる舞立ち感応試験における舞立ち感応指数が2以下である請求項1又は2記載のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの製造方法。
(舞立ち感応試験)
18Lのプラスチック容器に、巾133mm、長さ205mm、深さ70mmのステンレス製計量スコップで掬い取ったポリテトラフルオロエチレンパウダーを高さ1.2mmから落とした際に発生する舞い立ち量を比較する。比較は3人が目視で行い、以下の要領で指数化する(舞立ち感応指数)。
1:明らかに舞立ちが見られない。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にポリテトラフルオロエチレンパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から上部分に粉末状のポリテトラフルオロエチレンパウダー粒子を目視確認する事が出来ない状態。)
2:舞立ちはあるが、微量である。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にポリテトラフルオロエチレンパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から上部分に粉末状のポリテトラフルオロエチレンパウダー粒子を目視確認する事が出来るが、5秒後には目視確認が出来なくなるような微量の舞立ちである状態。)
3:舞立ちがあり、作業者の衣服への付着が懸念される。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にポリテトラフルオロエチレンパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から約5cmの上部分に粉末状のポリテトラフルオロエチレンパウダー粒子を目視確認することが出来、僅かではあるがプラスチックを置いてある床面にポリテトラフルオロエチレンパウダーの微粉の堆積が認められる状態。作業者の衣服や靴にポリテトラフルオロエチレンパウダーの付着が懸念される。但し、堆積量は計量が困難な程度の僅かである。)
4:明らかに舞い立ちが見られる。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にポリテトラフルオロエチレンパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から約10cmの上部分に粉末状のポリテトラフルオロエチレンパウダー粒子を目視確認することが出来る状態。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの製造方法、及び、ポリテトラフルオロエチレンパウダーに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂に電離性放射線を照射した後、粉砕することで、フッ素樹脂を微粉化する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平2-139204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、電離性放射線が照射されるフッ素樹脂について、「粉状、粒状、繊維状、予備成型したもの等のいかなるものでもよい。」との記載があるだけで、十分な検討が進められていなかった。
【0005】
本開示は、清浄な作業環境を実現できるポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの製造方法、及び、ポリテトラフルオロエチレンパウダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示(1)は、平均粒径が700μm以上のポリテトラフルオロエチレンパウダーに電離性放射線を照射する工程を経て、平均粒径が20μm以下のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーを得るポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの製造方法(以下、「本開示の製造方法」とも記載する)である。
【0007】
本開示(2)は、前記ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーは、380℃での溶融粘度が1×10~7×10Pa・sである本開示(1)記載のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの製造方法である。
【0008】
本開示(3)は、前記ポリテトラフルオロエチレンパウダーは、見掛密度が0.40g/ml以下である本開示(1)又は(2)記載のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの製造方法である。
【0009】
本開示(4)は、前記ポリテトラフルオロエチレンパウダーは、目開き700μm~2mmの篩で篩い分けすることで得られたものである本開示(1)~(3)のいずれかに記載のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの製造方法である。
【0010】
本開示(5)は、前記ポリテトラフルオロエチレンパウダーは、下記条件で行われる舞立ち感応試験における舞立ち感応指数が2以下である本開示(1)~(4)のいずれかに記載のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの製造方法である。
(舞立ち感応試験)
18Lのプラスチック容器に、巾133mm、長さ205mm、深さ70mmのステンレス製計量スコップで掬い取ったポリテトラフルオロエチレンパウダーを高さ1.2mmから落とした際に発生する舞い立ち量を比較する。比較は3人が目視で行い、以下の要領で指数化する(舞立ち感応指数)。
1:明らかに舞立ちが見られない。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にポリテトラフルオロエチレンパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から上部分に粉末状のポリテトラフルオロエチレンパウダー粒子を目視確認する事が出来ない状態。)
2:舞立ちはあるが、微量である。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にポリテトラフルオロエチレンパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から上部分に粉末状のポリテトラフルオロエチレンパウダー粒子を目視確認する事が出来るが、5秒後には目視確認が出来なくなるような微量の舞立ちである状態。)
3:舞立ちがあり、作業者の衣服への付着が懸念される。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にポリテトラフルオロエチレンパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から約5cmの上部分に粉末状のポリテトラフルオロエチレンパウダー粒子を目視確認することが出来、僅かではあるがプラスチックを置いてある床面にポリテトラフルオロエチレンパウダーの微粉の堆積が認められる状態。作業者の衣服や靴にポリテトラフルオロエチレンパウダーの付着が懸念される。但し、堆積量は計量が困難な程度の僅かである。)
4:明らかに舞い立ちが見られる。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にポリテトラフルオロエチレンパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から約10cmの上部分に粉末状のポリテトラフルオロエチレンパウダー粒子を目視確認することが出来る状態。)
【0011】
本開示(6)は、見掛密度が0.40g/ml以下、平均粒径が700μm以上であるポリテトラフルオロエチレンパウダー(以下、「本開示の第1のPTFEパウダー」とも記載する)である。
【0012】
本開示(7)は、下記条件で行われる舞立ち感応試験における舞立ち感応指数が2以下である本開示(6)記載のポリテトラフルオロエチレンパウダーである。
(舞立ち感応試験)
18Lのプラスチック容器に、巾133mm、長さ205mm、深さ70mmのステンレス製計量スコップで掬い取ったポリテトラフルオロエチレンパウダーを高さ1.2mmから落とした際に発生する舞い立ち量を比較する。比較は3人が目視で行い、以下の要領で指数化する(舞立ち感応指数)。
1:明らかに舞立ちが見られない。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にポリテトラフルオロエチレンパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から上部分に粉末状のポリテトラフルオロエチレンパウダー粒子を目視確認する事が出来ない状態。)
2:舞立ちはあるが、微量である。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にポリテトラフルオロエチレンパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から上部分に粉末状のポリテトラフルオロエチレンパウダー粒子を目視確認する事が出来るが、5秒後には目視確認が出来なくなるような微量の舞立ちである状態。)
3:舞立ちがあり、作業者の衣服への付着が懸念される。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にポリテトラフルオロエチレンパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から約5cmの上部分に粉末状のポリテトラフルオロエチレンパウダー粒子を目視確認することが出来、僅かではあるがプラスチックを置いてある床面にポリテトラフルオロエチレンパウダーの微粉の堆積が認められる状態。作業者の衣服や靴にポリテトラフルオロエチレンパウダーの付着が懸念される。但し、堆積量は計量が困難な程度の僅かである。)
4:明らかに舞い立ちが見られる。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にポリテトラフルオロエチレンパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から約10cmの上部分に粉末状のポリテトラフルオロエチレンパウダー粒子を目視確認することが出来る状態。)
【0013】
本開示(8)は、平均粒径が700μm以上であり、42メッシュ以下の微粉を3重量%以下含むポリテトラフルオロエチレンパウダー(以下、「本開示の第2のPTFEパウダー」とも記載する)である。
【0014】
本開示(9)は、見掛密度が0.40g/ml以下である、本開示(8)記載のポリテトラフルオロエチレンパウダーである。
【0015】
本開示(10)は、ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーである本開示(8)又は(9)記載のポリテトラフルオロエチレンパウダーである。
【0016】
本開示(11)は、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの原料として使用され、平均粒径が700μm以上であるポリテトラフルオロエチレンパウダー(以下、「本開示の第3のPTFEパウダー」とも記載する)である。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、清浄な作業環境を実現できるポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの製造方法、及び、ポリテトラフルオロエチレンパウダーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書において、「有機基」は、1個以上の炭素原子を含有する基、又は有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。
当該「有機基」の例は、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
ホルミル基、
RaO-、
RaCO-、
RaSO-、
RaCOO-、
RaNRaCO-、
RaCONRa-、
RaOCO-、
RaOSO-、及び、
RaNRbSO
(これらの式中、Raは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
Rbは、独立して、H又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基である)
を包含する。
上記有機基としては、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基が好ましい。
【0019】
以下、本開示を具体的に説明する。
【0020】
<本開示の製造方法>
本開示の製造方法は、平均粒径が700μm以上のPTFEパウダーに電離性放射線を照射する工程を経て、平均粒径が20μm以下のPTFEマイクロパウダーを得るものである。
【0021】
特許文献1で開示された方法のように、PTFEパウダーに電離性放射線を照射する場合、PTFEパウダーを電離性放射線を照射するための専用容器に充填する必要がある。PTFEマイクロパウダーの原料として使用されるPTFEパウダーは、一般的に、平均粒径が300~650μmであるが、平均粒径がこの範囲であると、PTFEパウダーを容器に充填する際、PTFEパウダーの舞い立ちによって作業環境が悪くなる場合があった。これに対し、本開示の製造方法では、電離性放射線を照射するPTFEパウダーの平均粒径を700μm以上にすることで、PTFEパウダーの舞い立ちを低減し、清浄な作業環境を実現できる。
【0022】
また、本開示の製造方法で得られるPTFEマイクロパウダーと、平均粒径が300~650μmのPTFEパウダーから製造されるPTFEマイクロパウダーとを比較すると、特性面での実質的な差異は見られない。そのため、従来のPTFEマイクロパウダーと同様の用途に適用できる。
【0023】
また、PTFEパウダーは、PTFEファインパウダーと呼ばれるものと、PTFEモールディングパウダーと呼ばれるものに大別されるが、PTFEファインパウダーは、特殊な多孔膜、チューブ、電線の被覆層といった高機能商品の原料として知られている。このような高機能商品では、ボイドの発生を抑制するため、PTFEファインパウダーから、平均粒径が700μm以上の粗粒子を除いて使用することが一般的である。すなわち、平均粒径が700μm以上のPTFEファインパウダーは商品価値が小さかった。本開示の製造方法は、平均粒径が700μm以上のPTFEファインパウダーを有効活用できるという利点もある。
【0024】
また、PTFEモールディングパウダーは、特殊なパッキンの他、特殊なロッドやチューブ、シートといった高機能商品の原料として知られている。このような高機能商品では、ボイドの発生を抑制するため、PTFEモールディングパウダーから、粗粒子を除いて使用することが一般的である。ただし粗粒子の大きさはPTFEモールディングパウダーの商品形態により異なるため、一義的に定義するのは困難である。
【0025】
上記PTFEパウダーの平均粒径は、700μm以上であればよいが、好ましくは850μm以上、より好ましくは900μm以上、更に好ましくは940μm以上、特に好ましくは1000μm以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは10000μm以下である。
なお、PTFEパウダーとしては、平均粒径が700μm以上であればよく、粒径が700μm未満の微粉が含まれていてもよい。
【0026】
上記PTFEパウダーの平均粒径は、以下の方法で測定できる。
上から順に10、20、32、48、60及び83メッシュ(インチメッシュ)の標準ふるいを重ね、10メッシュふるい上にPTFEパウダーをのせ、ふるいを振動させて下方へ順次細かいPTFEパウダーを落下させ、各ふるい上に残留したPTFEパウダーの割合を%で求めたのち、対数確率紙上に各ふるいの目の開き(横軸)に対して残留割合の累積パーセント(縦軸)を目盛り、これらの点を直線で結び、この直線上で割合が50%となる粒径を求め、この値を平均粒径とする。
【0027】
上記PTFEパウダーは、例えば、目開き700μm~2mmの篩で篩い分けすることで得られる。このような篩としては、8~24メッシュのものが挙げられる。歩留まりの観点からは8メッシュや10メッシュが好ましい。
本明細書において、篩の目開きは、JIS Z8801-1:2019での呼び寸法である。
【0028】
上記PTFEパウダーは、42メッシュ以下(例えば、48メッシュなど)の微粉の含有量がPTFEパウダーの全量に対して3重量%以下であることが好ましい。PTFEパウダー全量に対する42メッシュ以下の微粉の含有量がこのような範囲であると、本開示の効果がより良好に得られる。当該含有量としては、PTFEパウダーの全量に対して、2.5重量%以下であることが好ましく、2.0重量%以下がより好ましく、1.5重量%以下が更に好ましく、1.0重量%以下が特に好ましい。
上記42メッシュ以下の微粉の含有量は、例えば後述する実施例の記載の方法により測定することができる。
なお、本明細書において、「42メッシュ以下の微粉」とは、42メッシュ以下のメッシュで分級した際に当該メッシュを通過する微粉のことをいう。
【0029】
上記PTFEパウダーの見掛密度は、好ましくは0.25g/ml以上、より好ましくは0.30g/ml以上、更に好ましくは0.32g/ml以上であり、また、好ましくは0.40g/ml以下である。
PTFEパウダーの見掛密度は、JIS K 6892に準拠して測定する。
【0030】
上記PTFEパウダーの標準比重(SSG)は、2.130~2.280であることが好ましい。上記標準比重は、ASTM D4895 89に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D 792に準拠した水置換法により測定する。
【0031】
上記PTFEパウダーは、下記条件で行われる舞立ち感応試験における舞立ち感応指数が2以下であることが好ましく、1であることがより好ましい。下記条件で行われる舞立ち感応試験における舞立ち感応指数がこのような範囲であると、PTFEパウダーの舞立ちが抑制され、清浄な作業環境を実現することが可能となる。
(舞立ち感応試験)
18Lのプラスチック容器に、巾133mm、長さ205mm、深さ70mmのステンレス製計量スコップで掬い取ったポリテトラフルオロエチレンパウダーを高さ1.2mmから落とした際に発生する舞い立ち量を比較する。比較は3人が目視で行い、以下の要領で指数化する(舞立ち感応指数)。
1:明らかに舞立ちが見られない。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にポリテトラフルオロエチレンパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から上部分に粉末状のポリテトラフルオロエチレンパウダー粒子を目視確認する事が出来ない状態。)
2:舞立ちはあるが、微量である。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にポリテトラフルオロエチレンパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から上部分に粉末状のポリテトラフルオロエチレンパウダー粒子を目視確認する事が出来るが、5秒後には目視確認が出来なくなるような微量の舞立ちである状態。)
3:舞立ちがあり、作業者の衣服への付着が懸念される。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にポリテトラフルオロエチレンパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から約5cmの上部分に粉末状のポリテトラフルオロエチレンパウダー粒子を目視確認することが出来、僅かではあるがプラスチックを置いてある床面にポリテトラフルオロエチレンパウダーの微粉の堆積が認められる状態。作業者の衣服や靴にポリテトラフルオロエチレンパウダーの付着が懸念される。但し、堆積量は計量が困難な程度の僅かである。)
4:明らかに舞い立ちが見られる。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にポリテトラフルオロエチレンパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から約10cmの上部分に粉末状のポリテトラフルオロエチレンパウダー粒子を目視確認することが出来る状態。)
【0032】
上記PTFEパウダーのPTFEは、テトラフルオロエチレン(TFE)の単独重合体であってもよいし、TFEに基づく重合単位(TFE単位)と、変性モノマーに基づく重合単位(以下「変性モノマー単位」とも記載する)とを含む変性PTFEであってもよい。上記変性PTFEは、99.0質量%以上のTFE単位と、1.0質量%以下の変性モノマー単位とを含むものであってよい。また、上記変性PTFEは、TFE単位及び変性モノマー単位のみからなるものであってよい。
【0033】
上記変性PTFEは、変性モノマー単位の含有量が全重合単位に対し0.00001~1.0質量%の範囲であることが好ましい。変性モノマー単位の含有量の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく、0.005質量%が更により好ましく、0.010質量%が殊更に好ましい。変性モノマー単位の含有量の上限としては、0.90質量%が好ましく、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.20質量%が更により好ましく、0.15質量%が殊更に好ましく、0.10質量%が特に好ましい。
本明細書において、上記変性モノマー単位とは、PTFEの分子構造の一部分であって変性モノマーに由来する部分を意味する。
【0034】
上述した各重合単位の含有量は、NMR、FT-IR、元素分析、蛍光X線分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
【0035】
上記変性モノマーとしては、TFEとの共重合が可能なものであれば特に限定されず、例えば、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕等のパーフルオロオレフィン;トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン〔VDF〕等の水素含有フルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン等のパーハロオレフィン;パーフルオロビニルエーテル:パーフルオロアリルエーテル;(パーフルオロアルキル)エチレン、エチレン等が挙げられる。また、用いる変性モノマーは1種であってもよいし、複数種であってもよい。
【0036】
上記パーフルオロビニルエーテルとしては特に限定されず、例えば、下記一般式(A):
CF=CF-ORf (A)
(式中、Rfは、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるパーフルオロ不飽和化合物等が挙げられる。本明細書において、上記「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基を意味する。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
【0037】
上記パーフルオロビニルエーテルとしては、例えば、上記一般式(A)において、Rfが炭素数1~10のパーフルオロアルキル基であるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕が挙げられる。上記パーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1~5である。
【0038】
上記PAVEにおけるパーフルオロアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
【0039】
上記パーフルオロビニルエーテルとしては、更に、上記一般式(A)において、Rfが炭素数4~9のパーフルオロ(アルコキシアルキル)基であるもの、Rfが下記式:
【0040】
【化1】
【0041】
(式中、mは、0又は1~4の整数を表す。)で表される基であるもの、Rfが下記式:
【0042】
【化2】
【0043】
(式中、nは、1~4の整数を表す。)で表される基であるもの等が挙げられる。
【0044】
(パーフルオロアルキル)エチレン(PFAE)としては特に限定されず、例えば、(パーフルオロブチル)エチレン(PFBE)、(パーフルオロヘキシル)エチレン等が挙げられる。
【0045】
パーフルオロアリルエーテルとしては、例えば、一般式(B):
CF=CF-CF-ORf (B)
(式中、Rfは、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるフルオロモノマーが挙げられる。
【0046】
上記Rfは、炭素数1~10のパーフルオロアルキル基又は炭素数1~10のパーフルオロアルコキシアルキル基が好ましい。上記パーフルオロアリルエーテルとしては、CF=CF-CF-O-CF、CF=CF-CF-O-C、CF=CF-CF-O-C、及び、CF=CF-CF-O-Cからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、CF=CF-CF-O-C、CF=CF-CF-O-C、及び、CF=CF-CF-O-Cからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、CF=CF-CF-O-CFCFCFが更に好ましい。
【0047】
上記変性モノマーとしては、PAVE及びHFPからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)及びHFPからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
【0048】
上記PTFEは、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線において、325~347℃の範囲に1つ以上の吸熱ピークが現れ、上記融解熱曲線から算出される290~350℃の融解熱量が62mJ/mg以上であることが好ましい。
【0049】
上記PTFEは、例えば、乳化重合や懸濁重合によって製造することができるが、上記PTFEファインパウダーは、例えば、乳化重合によって製造することができ、上記PTFEモールディングパウダーは、例えば、懸濁重合によって製造することができる。
【0050】
上記乳化重合は公知の方法により行うことができる。例えば、アニオン性含フッ素界面活性剤及び重合開始剤の存在下、上記PTFEを構成するのに必要なモノマーの乳化重合を水性媒体中で行うことにより、上記PTFEの粒子(一次粒子)を含む水性分散液が得られる。上記乳化重合において、必要に応じて、連鎖移動剤、緩衝剤、pH調整剤、安定化助剤、分散安定剤、ラジカル捕捉剤等を使用してもよい。
【0051】
上記懸濁重合は公知の方法により行うことができる。例えば、水及び重合開始剤の存在か、上記PTFEを構成するのに必要なモノマーの重合を行うことにより、上記PTFEの粒子が得られる。上記懸濁重合において、必要に応じて、連鎖移動剤、緩衝剤、pH調整剤、安定化助剤、分散安定剤、ラジカル捕捉剤等を使用してもよい。
【0052】
上記PTFEパウダーに照射する電離性放射線としては特に限定されず、電子線、紫外線、ガンマ線、X線、中性子線、高エネルギーイオン等が挙げられるが、電子線又はガンマ線が好ましい。
【0053】
上記電離性放射線の照射線量としては、1~2500kGyが好ましく、1000kGy以下がより好ましく、750kGy以下が更に好ましい。また、10kGy以上がより好ましく、100kGy以上が更に好ましい。
【0054】
上記電離性放射線の照射温度としては、5℃以上、PTFEの融点以下であれば特に限定されない。融点近傍付近ではPTFEの分子鎖が架橋することも知られており、低分子量PTFEを得る上では、320℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましく、260℃以下が更に好ましい。経済的には常温で照射することが好ましい。
【0055】
上記電離性放射線の照射は、いかなる雰囲気中で実施してもよく、例えば、空気中、不活性ガス中、真空中等で実施できる。低コストで実施できる観点からは、空気中での照射が好ましい。
【0056】
本開示の製造方法では、上記PTFEパウダーに電離性放射線を照射する工程を経て、平均粒径が20μm以下のPTFEマイクロパウダーを得る。
上記PTFEマイクロパウダーは、例えば、上記PTFEパウダーに電離性放射線を照射した後、粉砕することで得られる。
【0057】
上記粉砕の方法としては特に限定されないが、粉砕機で粉砕する方法が挙げられる。上記粉砕機には、遊星ミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等の衝撃式や、回転刃と外周ステーターが凹凸による剪断力で粉砕するカッターミル等の摩砕式等がある。
【0058】
粉砕温度は-200℃以上、50℃未満であることが好ましい。室温付近の温度(10~30℃)で粉砕してもよいし、-200~-100℃の冷凍粉砕であってもよい。
【0059】
上記粉砕の後、微粒子や繊維状粒子を気流分級により除去した後に、更に分級により粗粒子を除去してもよい。
【0060】
上記PTFEマイクロパウダーの平均粒径は、20μm以下であればよいが、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下であり、また、好ましくは1μm以上である。
【0061】
上記平均粒径は、日本電子株式会社製レーザー回折式粒度分布測定装置(HELOS&RODOS)を用いて測定を行い、粒度分布積算の50%に対応する粒子径に等しいとする。
【0062】
上記PTFEマイクロパウダーの380℃での溶融粘度は、好ましくは1×10Pa・s以上、より好ましくは5×10Pa・s以上であり、また、好ましくは7×10Pa・s以下、より好ましくは2×10Pa・s以下、更に好ましくは1×10Pa・s以下である。
【0063】
上記溶融粘度は、ASTM D 1238に準拠し、高架式フローテスター(島津製作所社製)及び2φ-8Lのダイを用い、予め380℃で5分間加熱しておいた2gの試料を0.7MPaの荷重にて上記温度に保って測定した値である。
【0064】
<本開示の第1のPTFEパウダー>
本開示の第1のPTFEパウダーは、見掛密度が0.40g/ml以下、平均粒径が700μm以上である。
【0065】
本開示の第1のPTFEパウダーは、本開示の製造方法におけるPTFEパウダーとして好適に利用できる。すなわち、PTFEマイクロパウダーの原料として好適に利用できる。本開示の製造方法で説明したPTFEパウダーの好ましい形態は、本開示の第1のPTFEパウダーにも適用可能である。
【0066】
<本開示の第2のPTFEパウダー>
本開示の第2のPTFEパウダーは、平均粒径が700μm以上であり、42メッシュ以下の微粉を3重量%以下含む。
【0067】
本開示の第2のPTFEパウダーは、本開示の製造方法におけるPTFEパウダーとして好適に利用できる。すなわち、PTFEマイクロパウダーの原料として好適に利用できる。本開示の製造方法で説明したPTFEパウダーの好ましい形態は、本開示の第2のPTFEパウダーにも適用可能である。
【0068】
<本開示の第3のPTFEパウダー>
本開示の第3のPTFEパウダーは、PTFEマイクロパウダーの原料として使用され、平均粒径が700μm以上である。
【0069】
上記PTFEマイクロパウダーは、本開示の製造方法におけるPTFEマイクロパウダーと同様のものであり、好ましい形態も同様である。
【0070】
本開示の第3のPTFEパウダーは、本開示の製造方法におけるPTFEパウダーとして好適に利用できる。本開示の製造方法で説明したPTFEパウダーの好ましい形態は、本開示の第3のPTFEパウダーにも適用可能である。
【0071】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【実施例
【0072】
次に実施例を挙げて本開示を更に詳しく説明するが、本開示はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0073】
各種物性は下記方法にて測定した。
【0074】
PTFEパウダーの見掛密度
JIS K6892に準拠して測定した。
【0075】
PTFEパウダー及びPTFEマイクロパウダーの平均粒径
上から順に10、20、32、48、60及び83メッシュ(インチメッシュ)の標準ふるいを重ね、10メッシュふるい上にPTFEパウダーをのせ、ふるいを振動させて下方へ順次細かいPTFEパウダーを落下させ、各ふるい上に残留したPTFEパウダーの割合を%で求めたのち、対数確率紙上に各ふるいの目の開き(横軸)に対して残留割合の累積パーセント(縦軸)を目盛り、これらの点を直線で結び、この直線上で割合が50%となる粒径を求め、この値をPTFEパウダーの平均粒径とした。
PTFEマイクロパウダーの平均粒径は、日本電子株式会社製レーザー回折式粒度分布測定装置(HELOS&RODOS)を用いて測定を行い、粒度分布積算の50%に対応する粒子径に等しいとする。
【0076】
PTFEパウダー中の微粉の割合
PTFEパウダーを48メッシュ(インチメッシュ)の篩で篩い分けし、その際のメッシュアンダー率(PTFEパウダー全量に対する篩を通過したものの割合)を測定した(48mesh pass)。
【0077】
PTFEファインパウダーの舞立ち感応試験
18Lのプラスチック容器に、巾133mm、長さ205mm、深さ70mmのステンレス製計量スコップで掬い取ったPTFEファインパウダーを高さ1.2mmから落とした際に発生する舞い立ち量を比較した。比較は3人が目視で行い、以下の要領で数値化(指数化)した(舞立ち感応指数)。
1:明らかに舞立ちが見られない。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にPTFEファインパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から上部分に粉末状のPTFEファインパウダー粒子を目視確認する事が出来ない状態。)
2:舞立ちはあるが、微量である。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にPTFEファインパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から上部分に粉末状のPTFEファインパウダー粒子を目視確認する事が出来るが、5秒後には目視確認が出来なくなるような微量の舞立ちである状態。)
3:舞立ちがあり、作業者の衣服への付着が懸念される。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にPTFEファインパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から約5cmの上部分に粉末状のPTFEファインパウダー粒子を目視確認することが出来、僅かではあるがプラスチックを置いてある床面にPTFEファインパウダーの微粉の堆積が認められる状態。作業者の衣服や靴にPTFEファインパウダーの付着が懸念される。但し、堆積量は計量が困難な程度の僅かである。)
4:明らかに舞い立ちが見られる。
(18Lのプラスチック容器(高さ32cm)にPTFEファインパウダーを落としきった直後から5秒間の間に、プラスチック容器の上面(高さ32cm部分)から約10cmの上部分に粉末状のPTFEファインパウダー粒子を目視確認することが出来る状態。)
【0078】
PTFEマイクロパウダーの溶融粘度
ASTM D 1238に準拠し、高架式フローテスター(島津製作所社製)及び2φ-8Lのダイを用い、予め380℃で5分間加熱しておいた2gの試料を0.7MPaの荷重にて上記温度に保って測定した値である。
【0079】
実施例1~11(表1)
市販のホモPTFEファインパウダー(標準比重:2.175)を10メッシュ(目開き1.7mm)の篩で篩い分けした。その際のメッシュアップ率(PTFEファインパウダー全量に対する篩上の残存物の割合)を表1に示す。
実施例1~8においては、メッシュアップ品(篩上の残存物)に、室温の空気中において、表1の条件でコバルト-60γ線を照射し、低分子量PTFE粉末を得た。
また、実施例9~11においてはメッシュアップ品(篩上の残存物)にメッシュアンダー品(篩を通過したもの)を適宜混合したものに、室温の空気中において、表1の条件でコバルト-60γ線を照射し、低分子量PTFE粉末を得た。
低分子量PTFE粉末を、(株)奈良機械製作所の自由粉砕機(Mill)を用いて常温乾式で粉砕し、PTFEマイクロパウダーを得た。
【0080】
比較例1~8(表2)
メッシュアップ品の代わりにメッシュアンダー品(篩を通過したもの)を使用した点以外は実施例1~8と同様の方法により、PTFEマイクロパウダーを得た。
なお、メッシュアンダー品を使用する前に10メッシュ(目開き1.7mm)の篩で篩い分けしたが、篩上に残存物は見られなかった(メッシュアップ率は0wt%)。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】