(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】還元鉄の製造方法及び製造システム
(51)【国際特許分類】
C21B 13/00 20060101AFI20250409BHJP
C21B 13/02 20060101ALI20250409BHJP
C22B 5/12 20060101ALI20250409BHJP
C23C 8/22 20060101ALI20250409BHJP
【FI】
C21B13/00
C21B13/02
C22B5/12
C23C8/22
(21)【出願番号】P 2025506060
(86)(22)【出願日】2024-10-04
(86)【国際出願番号】 JP2024035644
【審査請求日】2025-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2024010458
(32)【優先日】2024-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2024010386
(32)【優先日】2024-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2021年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「グリーンイノベーション基金事業/製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト」/水素だけで低品位の鉄鉱石を還元する直接水素還元技術の開発/直接水素還元技術の開発に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100162204
【氏名又は名称】齋藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】谷 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】冨田 克行
(72)【発明者】
【氏名】水谷 守利
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-125212(JP,A)
【文献】国際公開第2018/057025(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106521074(CN,A)
【文献】米国特許第5320676(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 11/00-15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素を含む還元鉄の製造方法であって、
酸化鉄原料に対して還元ガスを接触させて金属鉄を得る、還元工程、及び
前記金属鉄を冷却する、冷却工程
を有し、
前記冷却工程が、
前記還元工程後、前記金属鉄に対してメタンガスを接触させて、前記金属鉄を炭化する、第1工程、
前記第1工程後、前記金属鉄に対してCOガスを接触させて、前記金属鉄を炭化する、第2工程、及び
前記第2工程後、前記金属鉄に対してメタンガス又は不活性ガスを接触させる、第3工程
を有する、
還元鉄の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の還元鉄の製造方法であって、
前記還元工程及び前記冷却工程が、シャフト炉内において行われる、
還元鉄の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の還元鉄の製造方法であって、
前記還元工程が、シャフト炉内において行われ、
前記冷却工程が、シャフト炉よりも下流側に設けられた冷却装置において行われる、
還元鉄の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の還元鉄の製造方法であって、
前記還元工程と前記第1工程とが、シャフト炉内において行われ、
前記第2工程と前記第3工程とが、シャフト炉よりも下流側に設けられた冷却装置において行われる、
還元鉄の製造方法。
【請求項5】
請求項
3に記載の還元鉄の製造方法であって、
前記金属鉄を前記シャフト炉から前記冷却装置へと移動させる、移動工程を含む、
還元鉄の製造方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の還元鉄の製造方法であって、
前記還元ガスが、水素ガスを含む、
還元鉄の製造方法。
【請求項7】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の還元鉄の製造方法であって、
前記還元工程の排出ガスを脱水して循環ガスを得る、脱水工程、及び
前記循環ガスと水素ガスとを昇温し、前記循環ガスと前記水素ガスとを含む前記還元ガスを得る、昇温工程
を有する、
還元鉄の製造方法。
【請求項8】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の還元鉄の製造方法であって、
前記第1工程における前記金属鉄と前記メタンガスとの反応ガスが、前記還元工程よりも下流側において系外に排出される、
還元鉄の製造方法。
【請求項9】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の還元鉄の製造方法であって、
前記第1工程における前記金属鉄と前記メタンガスとの反応ガスが、前記還元ガスに付加される、
還元鉄の製造方法。
【請求項10】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の還元鉄の製造方法であって、
前記第2工程における前記金属鉄と前記COガスとの反応ガスが、前記第1工程よりも下流側において系外に排出される、
還元鉄の製造方法。
【請求項11】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の還元鉄の製造方法であって、
前記第3工程において前記金属鉄と接触した前記メタンガス又は不活性ガスが、前記第2工程よりも下流側において系外に排出される、
還元鉄の製造方法。
【請求項12】
炭素を含む還元鉄の製造システムであって、
酸化鉄原料に対して還元ガスを接触させて金属鉄を得る、還元部、及び
前記金属鉄を冷却する、冷却部
を有し、
前記冷却部が、
前記還元部によって得られた前記金属鉄に対してメタンガスを接触させて、前記金属鉄を炭化する、第1部分、
前記第1部分よりも下流側において、前記金属鉄に対してCOガスを接触させて、前記金属鉄を炭化する、第2部分、及び
前記第2部分よりも下流側において、前記金属鉄に対してメタンガス又は不活性ガスを接触させる、第3部分
を有する、
還元鉄の製造システム。
【請求項13】
請求項12に記載の還元鉄の製造システムであって、
前記還元部及び前記冷却部が、シャフト炉に設けられる、
還元鉄の製造システム。
【請求項14】
請求項12に記載の還元鉄の製造システムであって、
前記還元部が、シャフト炉に設けられ、
前記冷却部が、前記シャフト炉よりも下流側の冷却装置に設けられる、
還元鉄の製造システム。
【請求項15】
請求項12に記載の還元鉄の製造システムであって、
前記還元部と前記第1部分とが、シャフト炉に設けられ、
前記第2部分と前記第3部分とが、前記シャフト炉よりも下流側の冷却装置に設けられる、
還元鉄の製造システム。
【請求項16】
請求項1
4に記載の還元鉄の製造システムであって、
前記金属鉄を前記シャフト炉から前記冷却装置へと移動させる、移動装置を備える、
還元鉄の製造システム。
【請求項17】
請求項12~16のいずれか1項に記載の還元鉄の製造システムであって、
前記還元ガスが、水素ガスを含む、
還元鉄の製造システム。
【請求項18】
請求項12~
16のいずれか1項に記載の還元鉄の製造システムであって、
前記還元部からの排出ガスを脱水して循環ガスを得る、脱水装置、及び
前記循環ガスと水素ガスとを昇温し、前記循環ガスと前記水素ガスとを含む前記還元ガスを得る、昇温装置
を有する、還元鉄の製造システム。
【請求項19】
請求項12~
16のいずれか1項に記載の還元鉄の製造システムであって、
前記還元部よりも下流側において、前記第1部分における前記金属鉄と前記メタンガスとの反応ガスを系外へと排出する、第1冷却ガス排出口を有する、
還元鉄の製造システム。
【請求項20】
請求項12~
16のいずれか1項に記載の還元鉄の製造システムであって、
前記第1部分における前記金属鉄と前記メタンガスとの反応ガスが、前記還元ガスへと付加されるように、前記還元部と前記第1部分とが接続されている、
還元鉄の製造システム。
【請求項21】
請求項12~
16のいずれか1項に記載の還元鉄の製造システムであって、
前記第1部分よりも下流側において、前記第2部分における前記金属鉄と前記COガスとの反応ガスを系外へと排出する、第2冷却ガス排出口を有する、
還元鉄の製造システム。
【請求項22】
請求項12~
16のいずれか1項に記載の還元鉄の製造システムであって、
前記第2部分よりも下流側において、前記第3部分における前記金属鉄と接触した前記メタンガス又は不活性ガスを系外へと排出する、第3冷却ガス排出口を有する、
還元鉄の製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は還元鉄の製造方法及び製造システムを開示する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼業界においては、高炉法の代替技術として、還元ガスを用いた直接還元プロセスにより、CO2排出量を削減することが検討されている。例えば、直接還元プロセスとして、シャフト炉を用いたプロセスが検討されている(例えば、特許文献1及び2)。直接還元プロセスでは、酸化鉄原料に対して還元ガスを接触させて還元鉄(Direct Reduced Iron:DRI)を得る。また、還元鉄の冷却と炭素濃度の増加とを目的として、当該還元鉄に対して冷却ガスを接触させる場合がある。還元鉄の炭素濃度を増加させることで、次工程の溶解・精錬工程における溶解温度が低下し、また、鋼としての強度が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2021/195160号
【文献】特開昭61-073805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
還元鉄の製品形態としてはCold DRI(CDRI)、Hot Briquetted Iron(HBI)、Hot DRI(HDRI)の3つが挙げられる。直接還元プロセスによってCDRIを製造する場合、酸化鉄原料を還元して金属鉄を得た後、当該金属鉄の炭素濃度を増加させつつ冷却する技術が求められる。従来技術においては、直接還元プロセスにより還元鉄を製造する際、還元後に得られる金属鉄の炭素濃度を増加させつつ金属鉄を冷却することについて、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は、上記課題を解決するための手段として、以下の複数の態様を開示する。
<態様1>
炭素を含む還元鉄の製造方法であって、
酸化鉄原料に対して還元ガスを接触させて金属鉄を得る、還元工程、及び
前記金属鉄を冷却する、冷却工程
を有し、
前記冷却工程が、
前記還元工程後、前記金属鉄に対してメタンガスを接触させて、前記金属鉄を炭化する、第1工程、
前記第1工程後、前記金属鉄に対してCOガスを接触させて、前記金属鉄を炭化する、第2工程、及び
前記第2工程後、前記金属鉄に対してメタンガス又は不活性ガスを接触させる、第3工程
を有する、
還元鉄の製造方法。
<態様2>
態様1の還元鉄の製造方法であって、
前記還元工程及び前記冷却工程が、シャフト炉内において行われる、
還元鉄の製造方法。
<態様3>
態様1の還元鉄の製造方法であって、
前記還元工程が、シャフト炉内において行われ、
前記冷却工程が、シャフト炉よりも下流側に設けられた冷却装置において行われる、
還元鉄の製造方法。
<態様4>
態様1の還元鉄の製造方法であって、
前記還元工程と前記第1工程とが、シャフト炉内において行われ、
前記第2工程と前記第3工程とが、シャフト炉よりも下流側に設けられた冷却装置において行われる、
還元鉄の製造方法。
<態様5>
態様3又は4の還元鉄の製造方法であって、
前記金属鉄を前記シャフト炉から前記冷却装置へと移動させる、移動工程を含む、
還元鉄の製造方法。
<態様6>
態様1~5のいずれかの還元鉄の製造方法であって、
前記還元ガスが、水素ガスを含む、
還元鉄の製造方法。
<態様7>
態様1~6のいずれかの還元鉄の製造方法であって、
前記還元工程の排出ガスを脱水して循環ガスを得る、脱水工程、及び
前記循環ガスと水素ガスとを昇温し、前記循環ガスと前記水素ガスとを含む前記還元ガスを得る、昇温工程
を有する、
還元鉄の製造方法。
<態様8>
態様1~7のいずれかの還元鉄の製造方法であって、
前記第1工程における前記金属鉄と前記メタンガスとの反応ガスが、前記還元工程よりも下流側において系外に排出される、
還元鉄の製造方法。
<態様9>
態様1~8のいずれかの還元鉄の製造方法であって、
前記第1工程における前記金属鉄と前記メタンガスとの反応ガスが、前記還元ガスに付加される、
還元鉄の製造方法。
<態様10>
態様1~9のいずれかの還元鉄の製造方法であって、
前記第2工程における前記金属鉄と前記COガスとの反応ガスが、前記第1工程よりも下流側において系外に排出される、
還元鉄の製造方法。
<態様11>
態様1~10のいずれかの還元鉄の製造方法であって、
前記第3工程において前記金属鉄と接触した前記メタンガス又は不活性ガスが、前記第2工程よりも下流側において系外に排出される、
還元鉄の製造方法。
<態様12>
炭素を含む還元鉄の製造システムであって、
酸化鉄原料に対して還元ガスを接触させて金属鉄を得る、還元部、及び
前記金属鉄を冷却する、冷却部
を有し、
前記冷却部が、
前記還元部によって得られた前記金属鉄に対してメタンガスを接触させて、前記金属鉄を炭化する、第1部分、
前記第1部分よりも下流側において、前記金属鉄に対してCOガスを接触させて、前記金属鉄を炭化する、第2部分、及び
前記第2部分よりも下流側において、前記金属鉄に対してメタンガス又は不活性ガスを接触させる、第3部分
を有する、
還元鉄の製造システム。
<態様13>
態様12の還元鉄の製造システムであって、
前記還元部及び前記冷却部が、シャフト炉に設けられる、
還元鉄の製造システム。
<態様14>
態様12の還元鉄の製造システムであって、
前記還元部が、シャフト炉に設けられ、
前記冷却部が、前記シャフト炉よりも下流側の冷却装置に設けられる、
還元鉄の製造システム。
<態様15>
態様12の還元鉄の製造システムであって、
前記還元部と前記第1部分とが、シャフト炉に設けられ、
前記第2部分と前記第3部分とが、前記シャフト炉よりも下流側の冷却装置に設けられる、
還元鉄の製造システム。
<態様16>
態様14又は15の還元鉄の製造システムであって、
前記金属鉄を前記シャフト炉から前記冷却装置へと移動させる、移動装置を備える、
還元鉄の製造システム。
<態様17>
態様12~16のいずれかの還元鉄の製造システムであって、
前記還元ガスが、水素ガスを含む、
還元鉄の製造システム。
<態様18>
態様12~17のいずれかの還元鉄の製造システムであって、
前記還元部からの排出ガスを脱水して循環ガスを得る、脱水装置、及び
前記循環ガスと水素ガスとを昇温し、前記循環ガスと前記水素ガスとを含む前記還元ガスを得る、昇温装置
を有する、
還元鉄の製造システム。
<態様19>
態様12~18のいずれかの還元鉄の製造システムであって、
前記還元部よりも下流側において、前記第1部分における前記金属鉄と前記メタンガスとの反応ガスを系外へと排出する、第1冷却ガス排出口を有する、
還元鉄の製造システム。
<態様20>
態様12~19のいずれかの還元鉄の製造システムであって、
前記第1部分における前記金属鉄と前記メタンガスとの反応ガスが、前記還元ガスへと付加されるように、前記還元部と前記第1部分とが接続されている、
還元鉄の製造システム。
<態様21>
態様12~20のいずれかの還元鉄の製造システムであって、
前記第1部分よりも下流側において、前記第2部分における前記金属鉄と前記COガスとの反応ガスを系外へと排出する、第2冷却ガス排出口を有する、
還元鉄の製造システム。
<態様22>
態様12~21のいずれかの還元鉄の製造システムであって、
前記第2部分よりも下流側において、前記第3部分における前記金属鉄と接触した前記メタンガス又は不活性ガスを系外へと排出する、第3冷却ガス排出口を有する、
還元鉄の製造システム。
【発明の効果】
【0006】
本開示の還元鉄の製造方法及び製造システムによれば、直接還元プロセスにおいて、金属鉄の炭素濃度を増加させつつ、金属鉄を冷却することができる。本開示の還元鉄の製造方法及び製造システムによれば、例えば、炭素濃度が高められたCDRIを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】還元鉄の製造方法及び製造システムの一例について説明するための概略図である。
【
図2】還元鉄の製造方法及び製造システムの一例について説明するための概略図である。
【
図3】還元鉄の製造方法及び製造システムの一例について説明するための概略図である。
【
図4】還元鉄の製造方法及び製造システムの一例について説明するための概略図である。
【
図5】還元鉄の製造方法及び製造システムの一例について説明するための概略図である。
【
図6】還元鉄の製造方法及び製造システムの一例について説明するための概略図である。
【
図7】還元鉄の製造方法及び製造システムの一例について説明するための概略図である。
【
図8】Case 1~4の各々について、シャフト炉の冷却部に導入されるガスの種類及び導入位置を説明するための概略図である。
【
図9】実施例1について、シャフト炉及び冷却塔の各々に導入されるガスの種類及び導入位置を説明するための概略図である。
【
図10】実施例2について、シャフト炉及び冷却塔の各々に導入されるガスの種類及び導入位置を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の還元鉄の製造方法及び製造システムの一実施形態について説明する。ただし、本開示の還元鉄の製造方法及び製造システムは以下の実施形態に限定されるものではない。尚、本願において、「酸化鉄原料」とは、還元工程前の酸化鉄を含む原料をいう。「金属鉄」とは、還元工程後、冷却工程が終了するまでの中間生成物をいい、炭化等によって炭素濃度が高められたものについても、便宜上「金属鉄」と呼ぶ。「還元鉄」とは、冷却工程後に得られる製品をいう。また、本願において「下流側」とは、還元鉄の製造工程における下流側をいう。すなわち、酸化鉄原料から金属鉄を経て炭素を含む還元鉄を製造する場合における、酸化鉄原料側が上流側であり、炭素を含む還元鉄側が下流側である。
【0009】
1.還元鉄の製造方法
図1~7に示されるように、一実施形態に係る炭素を含む還元鉄の製造方法は、
酸化鉄原料10に対して還元ガスを接触させて金属鉄20を得る、還元工程S1、及び、
金属鉄20を冷却する、冷却工程S2を有する。
ここで、冷却工程S2は、
還元工程S1後、金属鉄20に対してメタンガスを接触させて、金属鉄20を炭化する、第1工程S21、
第1工程S21後、金属鉄20に対してCOガスを接触させて、金属鉄20を炭化する、第2工程S22、及び、
第2工程S22後、金属鉄20に対してメタンガス又は不活性ガスと接触させる、第3工程S23を有する。
【0010】
1.1 還元工程
還元工程S1においては、酸化鉄原料10に対して還元ガスが接触される。これにより、還元反応が生じ、金属鉄20が得られる。
図1~7に示されるように、還元工程S1は、例えば、シャフト炉100内において行われてもよい。或いは、還元工程S1は、シャフト炉100以外の還元装置(例えば、流動層やロータリーキルン)において行われてもよい。特に、還元工程S1がシャフト炉100内において行われる場合に、高い効果が期待できる。
【0011】
1.1.1 酸化鉄原料
酸化鉄原料10は、酸化鉄を含む。酸化鉄原料10は、例えば、鉄鉱石ペレット、鉄鉱石、及び、焼結鉱、から選ばれる1種又は2種以上であってもよい。酸化鉄原料10は、酸化鉄以外に、例えば、二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムのうちの一方又は両方を含んでいてもよい。酸化鉄原料10は、粒度分布を有するものであってもよいし、均一な粒子径を有するものであってもよい。酸化鉄原料10の平均粒子径は、例えば、5.0mm以上30.0mm以下であってもよく、10.0mm以上15.0mm以下であってもよい。尚、「原料の粒子径」とは、原料の篩径を意味し、かつ、「原料の平均粒子径」とは、原料の粒子径の加重平均値を意味する。具体的には、原料の平均粒子径は、以下の通りにして測定する。すなわち、JIS Z 8815:1995に記載の乾式ふるい分け試験によって質量基準の粒子径分布を得て、各篩の最大粒径と最小粒径の平均値を代表粒径として、質量で加重平均することによって、原料の平均粒子径を測定することができる。酸化鉄原料10は、ペレット等に成形されたものであってもよいし、粉体状であってもよいし、塊状であってもよいし、これら以外の形状であってもよい。
【0012】
シャフト炉100内において還元工程S1が行われる場合、当該シャフト炉100の原料供給口100aを介してシャフト炉100内に上記の酸化鉄原料10が供給及び充填され、充填層が形成され得る。充填層の充填率は、特に限定されるものではなく、シャフト炉を用いた従来の還元鉄の製造方法における充填率と同様であってもよい。充填層は、シャフト炉100の内部において下向きに移動する。すなわち、シャフト炉100の内部においては、酸化鉄原料10が実質的に充満した状態で、落下等によって徐々に下方に移動する。充填層における一つの原料粒子に着目した場合、当該原料粒子は、下に向かって一定の速度で連続的に移動していてもよいし、落下と停止とを繰り返して断続的に移動していてもよい。充填層における一つの原料粒子に着目した場合、当該原料粒子の下向きの平均移動速度は、特に限定されるものではない。例えば、上記の原料の供給量(供給速度)に応じて、平均移動速度が調整され得る。充填層を下向きに移動させる際は、棚吊り防止のために、バーデンフィーダ(burden feeder)等が用いられてもよい。
【0013】
1.1.2 還元ガス
還元ガスの種類は、酸化鉄原料10の還元が可能なものであればよく、特に限定されるものではない。特に、還元ガスが水素ガスを含む場合に、本開示の技術による一層顕著な効果が期待できる。水素ガスは、例えば、水の電気分解によって得られたもの、合成ガス(石炭、バイオマスを水蒸気、空気、酸素でガス化(部分酸化)したガス)から分離(例えば、膜分離)して得られたもの、天然ガスを水蒸気や二酸化炭素等で改質したガスから分離して得られたもの、又は、乾留ガス(石炭、バイオマスを無酸素状態で加熱したガス)から分離して得られたもの等であってよい。還元ガスは、水素ガスのほか、水素以外のガスを含んでいてもよい。水素以外のガスとしては、COガスや不活性ガスやCO2ガスや水蒸気等が挙げられる。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。還元ガスが水素ガスを含む場合、還元ガスの水素濃度は、例えば、40体積%以上100体積%以下、50体積%以上100体積%以下、60体積%以上100体積%以下、70体積%以上100体積%以下、又は、80体積%以上100体積%以下であってもよい。還元ガスの供給温度(酸化鉄原料10に接触する直前の温度)は、酸化鉄との還元反応が生じる温度であればよく、例えば、700℃以上であってもよい。還元ガスの温度は、好ましくは800℃以上1100℃以下である。
【0014】
シャフト炉100内において還元工程S1が行われる場合、還元ガスは、シャフト炉100の側壁から炉の内部へと供給され得る。還元ガスを供給する方式は特に限定されない。例えば、シャフト炉100の側壁に設けられた還元ガス供給口110aに配管等を接続して、当該配管等を介して外部から炉の内部へと還元ガスを供給することができる。
【0015】
1.1.3 金属鉄
還元工程S1においては、酸化鉄原料10に含まれる酸化鉄の少なくとも一部が還元されることで、金属鉄20を含む固体反応物が得られる。固体反応物には、金属鉄20の他、還元されずに残存した酸化鉄、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどが含まれていてもよい。還元直後の金属鉄20の温度は、例えば、700℃以上であってもよい。還元直後の金属鉄20の温度の上限については、特に制限はなく、後述の冷却工程S2を実施可能な温度であればよい。還元直後の金属鉄20の温度は、例えば、1100℃以下であってもよい。
【0016】
シャフト炉100内において還元工程S1が行われる場合、金属鉄20を含む固体反応物は、シャフト炉100の下部(還元ガスの供給位置よりも下方)に設けられた排出口100bから回収され得る。
【0017】
1.1.4 シャフト炉
還元工程S1がシャフト炉100内において行われる場合、当該シャフト炉100の炉体の形状は、公知のシャフト炉の炉体の形状と同様であってよい。例えば、シャフト炉100の炉体は、炉頂部と、炉底部と、炉頂部及び炉底部の間の側壁を構成する筒状部(円筒状部)とを有するものであってよい。この場合、筒状部が、胴部と、胴部よりも下方に設けられた縮径部とを有していてもよく、縮径部において上から下に向かって炉の内径が縮小していてもよい。シャフト炉100は、内部において原料の充填層を下向きに移動させる際、充填層の棚吊りを防止するためのバーデンフィーダ等を備えていてもよい。また、シャフト炉100は、還元ガス供給口110aよりも下方において、各種冷却ガスを供給するための供給口121a、122a、123aや、各種冷却ガスを排出するための排出口121b、122b、123bを備えていてもよい。各種冷却ガスの供給口は、炉の側壁に設けられていてもよいし、炉の側壁よりも内側に設けられていてもよい。各種冷却ガスの排出口は、炉の側壁に設けられていてもよい。また、シャフト炉100は、炉上部又は炉頂部に原料供給口100aを備えていてもよく、炉下部又は炉底部に金属鉄又は還元鉄を回収するための排出口100bを備えていてもよい。
【0018】
1.2 冷却工程
還元工程S1を行った直後の金属鉄20の温度は、例えば、約700℃~900℃である。冷却工程S2においては、このような高温の金属鉄20に対してガスを接触させることで、金属鉄20を冷却するとともに、金属鉄20を炭化する。すなわち、炭素を含む還元鉄30が得られる。このように、金属鉄20を炭化して炭素を含む還元鉄30を得ることで、次工程の溶解・精錬工程における溶解温度が低下し、また、鋼としての強度が確保される。
【0019】
冷却工程S2においては、(1)メタンガスによる金属鉄20の炭化及び冷却に続いて、(2)COガスによる金属鉄20の炭化が行われ、その後、(3)メタンガス又は不活性ガスによる金属鉄20の冷却が行われる。本発明者の知見によると、メタンガスによる炭素析出反応は、700℃以上の高温領域で進行し易く、かつ、吸熱反応である。一方で、COガスによる炭素析出反応は、400℃以上600℃以下において最も進行し易く、かつ、発熱反応である。冷却工程S2においては、還元工程S1により得られた高温の金属鉄20に対して、まずは、メタンガスを接触させることで、炭素析出反応である吸熱反応が適切かつ効率的に進行する。また、比熱の大きなメタンガスとの接触による物理的な吸熱に加えて、炭素析出時の吸熱反応によって、金属鉄20の温度が、COガスによる炭素析出反応に好適な温度にまで低下し易い。このように温度が低下した金属鉄20に対してCOガスを接触させることで、炭素析出反応である発熱反応が適切かつ効率的に進行し、最終的に得られる還元鉄30に含まれる炭素の濃度をさらに大きく上昇させることができる。この際、金属鉄20の温度が下降してもよいし、上昇してもよい。例えば、COガスの温度が低い場合、発熱反応による温度上昇よりも、COガスとの接触による温度低下が優位となり、金属鉄20の温度が低下する。その後、金属鉄20に対してメタンガス又は不活性ガスを接触させることで、再酸化し難い温度にまで、金属鉄20の温度を低下させることができ、炭素を含む還元鉄30(例えば、炭素を含むCDRI)が得られる。以上の通り、冷却工程S2においては、(1)メタンガスによる炭化、及び、(2)COガスによる炭化をこの順に経ることで、各々のガスを単独で接触させる場合と比較して、還元鉄30中の炭素濃度が上昇する。当該(1)及び(2)によって炭素濃度が十分に上昇するため、(3)メタンガス又は不活性ガスによる冷却は、炭素析出を伴う必要はない。ただし、(3)メタンガス又は不活性ガスによる冷却が、炭素析出を伴うものであってもよい。
【0020】
還元工程S1がシャフト炉内において行われる場合、冷却工程S2はシャフト炉内で行われてもよいし、シャフト炉外で行われてもよい。すなわち、
図1に示されるように、還元工程S1及び冷却工程S2が、シャフト炉100内において行われてもよい。或いは、
図2に示されるように、還元工程S1がシャフト炉100内において行われ、冷却工程S2がシャフト炉100よりも下流側に設けられた冷却装置200において行われてもよい。或いは、
図3に示されるように、還元工程S1と冷却工程S2の第1工程S21とが、シャフト炉100内において行われ、冷却工程S2の第2工程S22と第3工程S23とが、シャフト炉100よりも下流側に設けられた冷却装置200において行われてもよい。設備費等を抑える観点からは、還元工程S1及び冷却工程S2が、シャフト炉100内において行われることが好ましい。一方で、冷却工程S2の一部又は全部が冷却装置200において行われる場合、冷却装置200における排出ガスが、シャフト炉100へと侵入することを回避できる。例えば、還元工程S1と冷却工程S2の第1工程S21とが、シャフト炉100内において行われ、冷却工程S2の第2工程S22と第3工程S23とが、シャフト炉100よりも下流側に設けられた冷却装置200において行われる場合、第2工程S22からの排出ガス(COガスやCO
2ガスを含む)が、第1工程S21へと侵入することが回避される。これにより、第1工程S21における炭素析出反応をより効率的に進行させることができる。また、還元工程S21からの排ガスの循環処理(水素回収)が容易となる。さらに、第2工程S22からCO
2を効率的に回収することもできる。
図2及び3に示されるように、シャフト炉100の下流側に設けられた冷却装置200において冷却工程の一部又は全部が行われる場合、還元鉄の製造方法は、金属鉄20をシャフト炉100から冷却装置200へと移動させる、移動工程を含んでいてもよい。具体的には、シャフト炉100の排出口100bから回収された金属鉄20が、冷却装置200の金属鉄供給口200aへと移動され得る。冷却工程S2の一部又は全部がシャフト炉100よりも下流側に設けられた冷却装置200において行われる場合、当該冷却装置200の具体例としては、冷却塔が挙げられる。冷却装置200への金属鉄20の供給速度に特に制限はない。冷却装置200内に供給された金属鉄20は、冷却装置200内で充填層を形成してもよいし、気流中で浮遊した状態であってもよい。特に、冷却装置200内に供給された金属鉄20が冷却装置200内で充填層を形成する場合に、より高い効果が期待できる。
【0021】
冷却工程S2は、第1工程S21、第2工程S22及び第3工程S23を有する。尚、本実施形態においては、冷却工程S2の終了時点における還元鉄30の温度が、冷却工程S2の開始時点における金属鉄20の温度よりも低下していればよく、冷却工程S2の途中において、金属鉄20の温度が上昇してもよい。例えば、第2工程S22において、金属鉄20とCOガスとの発熱反応が生じ、金属鉄20の温度が上昇してもよい。
【0022】
1.2.1 第1工程
第1工程S21は、上記(1)と対応する。すなわち、第1工程S21においては、上記の還元工程S1後、金属鉄20に対してメタンガスが接触され、金属鉄20が炭化される。金属鉄20は、部分的に炭化される。還元工程S1がシャフト炉内において行われる場合、第1工程S21はシャフト炉内で行われてもよいし、シャフト炉外(例えば、シャフト炉よりも下流側に設けられた冷却装置)で行われてもよい。第1工程S21において、メタンガスと接触する際の金属鉄20の温度は、メタンガスによる炭素析出反応が進行し得る限りにおいて、特に限定されるものではない。第1工程S21においては、例えば、700℃以上の金属鉄20に対してメタンガスを接触させることで、上述のメタンガスによる炭素析出反応を一層適切に進行させることができ、かつ、金属鉄20を適切に冷却することができる。第1工程S21において、メタンガスと接触される金属鉄20の温度の上限について、特に制限はない。メタンガスと接触される金属鉄20の温度は、例えば、1100℃以下であってもよい。第1工程S21においてメタンガスと接触される金属鉄20の温度は、メタンガスによる炭素析出反応を特に顕著に進行させることができる観点から、710℃以上1100℃以下、730℃以上1100℃以下、750℃以上1100℃以下、770℃以上1100℃以下、790℃以上1100℃以下、810℃以上1100℃以下、700℃以上1070℃以下、700℃以上1040℃以下、700℃以上1000℃以下、700℃以上970℃以下、700℃以上940℃以下、700℃以上900℃以下、710℃以上1070℃以下、730℃以上1040℃以下、750℃以上1000℃以下、770℃以上970℃以下、790℃以上940℃以下、又は、810℃以上900℃以下であってもよい。なお、第1工程S21における「金属鉄20の温度」とは、シャフト炉または冷却塔の半径方向の平均温度である。還元工程S1と第1工程S21とが同じ装置(例えば、シャフト炉)で行われる場合は、第1工程S21における「金属鉄20の温度」を測定する際の位置(高さ位置)P1は、還元工程S1の還元ガスが吹き込まれる位置(高さ位置)P2よりも下流(下方)であって、当該位置P2から1m以内にある位置(高さ位置)とする。或いは、還元工程S1と第1工程S21とが別の装置で行われる(例えば、還元工程S1がシャフト炉で行われ、第1工程S21がシャフト炉よりも下流側に設けられた冷却装置で行われる)場合は、第1工程S21における「金属鉄20の温度」を測定する際の位置P1は、第1工程21が行われる装置の金属鉄供給口から下流(下方)に1m以内にある位置とする。半径方向における金属鉄20の平均温度は、例えば、シャフト炉または冷却塔の半径方向に棒状の部材を設置し、当該部材に複数の熱電対を設けて、半径方向に複数の温度を計測することにより、特定することができる。すなわち、第1工程S21がシャフト炉内で行われる場合は、当該シャフト炉の半径方向に設置された複数の熱電対によって、半径方向における金属鉄20の平均温度を特定する。また、第1工程S21が冷却塔内で行われる場合は、当該冷却塔の半径方向に設置された複数の熱電対によって、半径方向における金属鉄20の平均温度を特定する。ここで、例えば、測定した地点間の温度が半径方向において線形に分布するものと仮定すると、半径方向の温度分布T(r)は、rの一次関数の組み合わせで表現できる。このとき、平均温度T
aveは、温度をN点で測定したとすると、測定地点i(i=1~N)の半径をr
iとして、下記式によって定義される。尚、r
0、r
N+1に対応するのは、炉の中心(r
0=0)と炉壁(r
N+1=R)の位置であり、その地点の温度は外挿により求めることとする。このような方法によれば、半径方向に温度分布が生じていても、複数の計測温度を平均することで、半径方向の平均温度として特定することができる。熱電対の個数は特に限定されないが、例えば、5点以上配置されていることが好ましい。第1工程S21において、金属鉄20と接触するメタンガスの温度は、特に限定されるものではない。メタンガスの温度は、例えば、25℃以上600℃以下であってもよい。
【数1】
【0023】
第1工程S21においては、メタンガスによる炭素析出反応によって金属鉄20の炭化が進行すればよく、金属鉄20に対してメタンガスとともにその他のガスが接触されてもよい。言い換えれば、第1工程S21において金属鉄20と接触するガスは、メタンガスを含むものであればよい。第1工程S21において金属鉄20と接触するガスは、メタンガス以外に、水素ガス、窒素ガス、COガス、CO2ガス、水蒸気等を含んでいてもよい。第1工程S21において金属鉄20と接触するガスは、例えば、天然ガスであってもよい。尚、上述の通り、第1工程S21においては、メタンガスによる炭素析出反応(吸熱反応)によって、金属鉄20の温度を低下させる。第1工程S21においては、このようなメタンガスによる吸熱反応が優位に進行する限りにおいて、金属鉄20に対して接触するガスの一部に、発熱反応を伴うもの(例えば、COガス)が含まれていてもよい。ただし、第1工程S21において金属鉄20と接触するガスがCOガスを含む場合、当該COガスの体積割合はメタンガスの体積割合よりも小さい。また、第1工程S21において金属鉄20と接触するガスが複数種類のガスからなる場合、例えば、各々のガスの体積割合のうちメタンガスの体積割合が最も大きい。第1工程S21において金属鉄20と接触するガスは、例えば、メタンガスを50体積%以上、60体積%以上、又は、70体積%以上含む。
【0024】
第1工程S21における金属鉄20とメタンガスとの反応ガスは、メタンガス及び水素ガスを含み得る。当該反応ガスは、排出ガスとして系外に排出されて燃料として利用されてもよいし、上述の還元ガスの一部として利用されてもよい。例えば、
図1~6に示されるように、第1工程S21における金属鉄20とメタンガスとの反応ガスは、還元工程S1よりも下流側において系外に排出されてもよい。或いは、
図7に示されるように、第1工程S21における金属鉄20とメタンガスとの反応ガスは、上述の還元ガスに付加されてもよく、言い換えれば、第1工程S21における金属鉄20とメタンガスとの反応ガスが還元工程S1へと供給されてもよい。特に、第1工程S21における反応ガスが、上述の還元ガスに付加されることで、還元ガスの使用量を削減しつつ、効率的な操業が可能となる。
【0025】
1.2.2 第2工程
第2工程S22は、上記(2)と対応する。すなわち、第2工程S22においては、第1工程S21後、金属鉄20に対してCOガスが接触され、金属鉄20が炭化される。金属鉄20は、部分的に炭化される。還元工程S1がシャフト炉内において行われる場合、第2工程S22はシャフト炉内で行われてもよいし、シャフト炉外(例えば、シャフト炉よりも下流側に設けられた冷却装置)で行われてもよい。尚、第1工程S21がシャフト炉外で行われる場合、第2工程S22も必然的にシャフト炉外で行われることとなる。第2工程S21において、COガスと接触する際の金属鉄20の温度は、COガスによる炭素析出反応が進行し得る限りにおいて、特に限定されるものではない。第2工程S22においては、例えば、400℃以上600℃以下の金属鉄20に対してCOガスを接触させることで、上述のCOガスによる炭素析出反応を一層適切に進行させることができる。第2工程S22においてCOガスと接触される金属鉄20の温度は、COガスによる炭素析出反応を特に顕著に進行させることができる観点から、410℃以上600℃以下、420℃以上600℃以下、430℃以上600℃以下、440℃以上600℃以下、450℃以上600℃以下、400℃以上590℃以下、400℃以上580℃以下、400℃以上570℃以下、400℃以上560℃以下、400℃以上550℃以下、410℃以上590℃以下、420℃以上580℃以下、430℃以上570℃以下、440℃以上560℃以下、又は、450℃以上550℃以下であってもよい。なお、第2工程S22における「金属鉄20の温度」とは、前記第1工程S21と同様に、シャフト炉または冷却塔の半径方向の平均温度である。すなわち、第2工程S22がシャフト炉内で行われる場合は、当該シャフト炉の半径方向に設置された複数の熱電対によって、半径方向における金属鉄20の平均温度を特定する。また、第2工程S22が冷却塔内で行われる場合は、当該冷却塔の半径方向に設置された複数の熱電対によって、半径方向における金属鉄20の平均温度を特定する。第1工程S21と第2工程S22とが同じ装置(例えば、シャフト炉)で行われる場合は、第2工程S22における「金属鉄20の温度」を測定する際の位置(高さ位置)P3は、第1工程S21のメタンガスが吹き込まれる位置(高さ位置)P4よりも下流(下方)であって、当該位置P4から1m以内にある位置(高さ位置)とする。或いは、第1工程S21と第2工程S22とが別の装置で行われる(例えば、第1工程S21がシャフト炉で行われ、第2工程S22がシャフト炉よりも下流側に設けられた冷却装置で行われる)場合は、第2工程S22における「金属鉄20の温度」を測定する際の位置P3は、第2工程22が行われる装置の金属鉄供給口から下流(下方)に1m以内にある位置とする。第2工程S22において、金属鉄20と接触するCOガスの温度は、特に限定されるものではない。COガスの温度は、例えば、25℃以上400℃以下であってもよい。COガスの温度が当該範囲内である場合、発熱反応による温度上昇よりも、COガスとの接触による温度低下が優位となり、第2工程S22において金属鉄20の温度が低下する。
【0026】
第2工程S22においては、COガスによる炭素析出反応によって金属鉄20の炭化が進行すればよく、金属鉄20に対してCOガスとともにその他のガスが接触されてもよい。言い換えれば、第2工程S22において金属鉄20と接触するガスは、COガスを含むものであればよい。第2工程S22において金属鉄20と接触するガスは、COガス以外に、窒素ガス、水素ガス、CO2ガス等を含んでいてもよい。第2工程S22において金属鉄20と接触するガスは、例えば、転炉ガス(LDG)であってもよい。尚、第2工程S22において金属鉄20と接触するガスがメタンガスを含む場合、当該メタンガスの体積割合はCOガスの体積割合よりも小さい。また、第2工程S22において金属鉄20と接触するガスが複数種類のガスからなる場合、例えば、各々のガスの体積割合のうちCOガスの体積割合が最も大きい。第2工程S22において金属鉄20と接触するガスは、例えば、COガスを50体積%以上、60体積%以上、又は、70体積%以上含む。
【0027】
第2工程S22における金属鉄20とCOガスとの反応ガスは、COガス及びCO
2ガスを含み得る。当該反応ガスは、系外に排出されて燃料として利用されてもよいし、上述の第1工程S21における冷却ガスの一部として利用されてもよい。特に、
図1~7に示されるように、第2工程S22における金属鉄20とCOガスとの反応ガスが、第1工程S21よりも下流側において系外に排出されることで、メタンガスによる吸熱反応をより適切に進行させることができ、効率的な操業が可能となる。
【0028】
1.2.3 第3工程
第3工程S23は、上記(3)と対応する。すなわち、第3工程S23においては、第2工程S22後、金属鉄20に対してメタンガス又は不活性ガスが接触される。還元工程S1がシャフト炉内において行われる場合、第3工程S23はシャフト炉内で行われてもよいし、シャフト炉外(例えば、シャフト炉よりも下流側に設けられた冷却装置)で行われてもよい。尚、第2工程S22がシャフト炉外で行われる場合、第3工程S23も必然的にシャフト炉外で行われることとなる。上述の通り、第2工程S22における炭素析出反応は、発熱反応であることから、第2工程S22の直後の金属鉄20の温度は、CDRIとして適切な温度となり難い。言い換えれば、第2工程S22の直後の金属鉄20は、再酸化し易い状態にある。第2工程S22の後に第3工程S23を行うことで、金属鉄20の温度が、CDRIとして適切な温度にまで低下し得る。第3工程S23において、メタンガス又は不活性ガスと接触する際の金属鉄20の温度は、特に限定されるものではない。第3工程S23においては、例えば、400℃未満の金属鉄20に対してメタンガス又は不活性ガスを接触させることで、金属鉄20の温度をCDRIとして適切な温度にまで低下させるとよい。なお、第3工程S23における「金属鉄20の温度」とは、前記第1工程S21や第2工程S22と同様に、シャフト炉または冷却塔の半径方向の平均温度である。すなわち、第3工程S23がシャフト炉内で行われる場合は、当該シャフト炉の半径方向に設置された複数の熱電対によって、半径方向における金属鉄20の平均温度を特定する。また、第3工程S23が冷却塔内で行われる場合は、当該冷却塔の半径方向に設置された複数の熱電対によって、半径方向における金属鉄20の平均温度を特定する。第2工程S22と第3工程S23とが同じ装置(例えば、シャフト炉)で行われる場合は、第3工程S23における「金属鉄20の温度」を測定する際の位置(高さ位置)P5は、第2工程S22のCOガスが吹き込まれる位置(高さ位置)P6よりも下流(下方)であって、当該位置P6から1m以内にある位置(高さ位置)とする。或いは、第2工程S22と第3工程S23とが別の装置で行われる(例えば、第2工程S22がシャフト炉で行われ、第3工程S23がシャフト炉よりも下流側に設けられた冷却装置で行われる)場合は、第3工程S23における「金属鉄20の温度」を測定する際の位置P5は、第3工程23が行われる装置の金属鉄供給口から下流(下方)に1m以内にある位置とする。第3工程S23において、金属鉄20と接触するメタンガス又は不活性ガスの温度は、特に限定されるものではない。メタンガス又は不活性ガスの温度は、例えば、25℃以上100℃以下であってもよい。
【0029】
第3工程S23においては、メタンガス又は不活性ガスによる金属鉄20の冷却が進行すればよく、金属鉄20に対してメタンガス又は不活性ガスとともにその他のガスが接触されてもよい。言い換えれば、第2工程S22において金属鉄20と接触するガスは、メタンガス又は不活性ガスを含むものであればよい。第3工程S23において金属鉄20と接触するガスは、メタンガス又は不活性ガス以外に、水素ガス、水蒸気等を含んでいてもよい。第3工程S23において金属鉄20と接触するガスがメタンガスを含む場合、金属鉄20の温度にもよるが、金属鉄20をさらに炭化できる場合がある。第3工程S23における不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス等の金属鉄20に対して実質的に反応しないガスが挙げられる。第3工程S23において金属鉄20と接触するガスが複数種類のガスからなる場合、例えば、各々のガスの体積割合のうちメタンガスの体積割合又は不活性ガスの体積割合が最も大きい。第3工程S23において金属鉄20と接触するガスは、例えば、メタンガスを50体積%以上、60体積%以上、又は、70体積%以上含むか、或いは、不活性ガスを50体積%以上、60体積%以上、又は、70体積%以上含むか、或いは、メタンガスと不活性ガスとを合計で50体積%以上、60体積%以上、又は、70体積%以上含む。
【0030】
第3工程S23においてメタンガスを採用した場合、第3工程S23の排出ガスは、メタンガス及び水素ガスを含み得る。当該排出ガスは、系外に排出されて燃料として利用されてもよいし、上述の還元ガスの一部として利用されてもよいし、上述の第1工程S21におけるガスの一部として利用されてもよいし、上述の第2工程S22におけるガスの一部として利用されてもよい。一方、第3工程S23において不活性ガスを採用した場合、第3工程S23の排出ガスは、不活性ガスを含み得る。当該排出ガスは、系外に排出されてもよいし、第3工程S23における不活性ガスとして再利用されてもよい。例えば、
図1~7に示されるように、第3工程S23において金属鉄20と接触したメタンガス又は不活性ガスは、第2工程S22よりも下流側において系外に排出されてもよい。
【0031】
1.3 還元鉄
以上の還元工程S1及び冷却工程S2を経て、炭素を含む還元鉄30(例えば、炭素濃度が高められたCDRI)が製造される。炭素を含む還元鉄30は、炭素及び鉄の他、還元されずに残存した酸化鉄、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどが含まれていてもよい。還元鉄30の炭素含有量は、例えば、0質量%超5質量%以下であってもよい。第3工程S23の直後の還元鉄30の温度(第3工程S23の出側における還元鉄30の温度)は、例えば、150℃以下、又は、80℃以下であってもよい。還元工程S1及び冷却工程S2がシャフト炉100内において行われる場合、還元鉄30は、例えば、シャフト炉100の下部に設けられた排出口100bから回収され得る。冷却工程S2の一部又は全部が冷却装置200において行われる場合、還元鉄30は、例えば、冷却装置200の下部に設けられた排出口200bから回収され得る。
【0032】
1.4 脱水工程及び昇温工程
本実施形態に係る還元鉄の製造方法は、上述した還元工程S1及び冷却工程S2に加えて、その他の工程を備えていてもよい。例えば、一実施形態に係る還元鉄の製造方法は、還元工程S1の排出ガスを脱水して循環ガスを得る、脱水工程S3を有するものであってもよい。また、一実施形態に係る還元鉄の製造方法は、還元工程S1の排出ガスを昇温し、又は、当該排出ガスを脱水して得られた循環ガスを昇温する、昇温工程S4を有するものであってもよい。また、当該昇温工程S4は、還元工程S1の排出ガス又は当該排出ガスを脱水して得られた循環ガスと、水素ガスとを昇温し、排出ガス及び循環ガスのうちの一方又は両方と水素ガスとを含む還元ガスを得る工程であってもよい。また、上述の脱水工程S3と昇温工程S4とが組み合わされてもよい。例えば、
図4に示されるように、一実施形態に係る還元鉄の製造方法は、還元工程S1の排出ガスを脱水して循環ガスを得る、脱水工程S3、及び、循環ガスと水素ガスとを昇温し、循環ガスと水素ガスとを含む還元ガスを得る、昇温工程S4を有するものであってもよい。
【0033】
1.4.1 脱水工程
脱水工程S3においては、還元工程S1の排出ガスが脱水され、循環ガスが得られる。脱水は公知の脱水装置130によって行われればよい。還元工程S1においては、還元ガスと酸化鉄原料10との反応によって、水が生成し得る。一方で、還元工程S1において、還元ガスは、必ずしも、その100%が利用されるわけではない。すなわち、還元工程S1の排出ガスには、水とともに還元ガスが残ることとなる。このような排出ガスについて、脱水を行うことで、還元ガスを含む循環ガスが得られる。
【0034】
1.4.2 昇温工程
脱水工程S3により得られた循環ガスは、還元ガスを含むものの、その量が十分ではない。また、脱水工程S3により得られた循環ガスは温度が低いことから、還元工程S1にそのまま利用することは効率的でない。そのため、昇温工程S4においては、例えば、循環ガスと水素ガスとを昇温して、循環ガスと水素ガスとを含む還元ガスを得る。言い換えれば、循環ガスとともにメイクアップガスとしての水素ガスが、昇温及び混合されることで、還元ガスが得られる。昇温工程S4においては、循環ガスと水素ガスとを昇温した後で混合してもよいし、循環ガスと水素ガスとを混合した後で昇温してもよい。水素ガスは、水の電気分解や、合成ガス(石炭やバイオマスを水蒸気改質や部分燃焼して得られるガス)からの膜分離等によって得られたものであってよい。昇温工程S3は、公知の昇温装置(加熱装置)140によって行われればよい。
【0035】
1.5 水素ガス分離工程
図5に示されるように、一実施形態に係る還元鉄の製造方法は、第1工程S21の排出ガスに含まれる水素ガスを分離する、水素ガス分離工程を有していてもよい。これにより、例えば、第1工程S21の排出ガスに含まれる水素ガスとメタンガスとを分離することができる。排出ガスから分離された水素ガスは、例えば、上記の還元ガスの一部として利用され得る。また、排出ガスから分離されたメタンガスは、例えば、上記の第1工程S21におけるメタンガスの一部として利用され得る。水素ガス分離工程は、公知の水素ガス分離装置400により実施可能である。水素ガス分離装置400の構成は、特に限定されるものではない。
【0036】
1.6 CO
2ガス分離工程
図6に示されるように、一実施形態に係る還元鉄の製造方法は、第2工程S22の排出ガスに含まれるCO
2ガスを分離する、CO
2ガス分離工程を備えていてもよい。これにより、例えば、第2工程S22の排出ガスに含まれるCO
2ガスとCOガスとを分離することができる。排出ガスから分離されたCOガスは、例えば、上記の第2工程S22におけるCOガスとして利用され得る。また、排出ガスから分離されたCO
2ガスは、系外へと排出され、CO
2回収装置等によって回収され得る。CO
2ガス分離工程は、公知のCO
2ガス分離装置500により実施可能である。CO
2ガス分離装置500の構成は、特に限定されるものではない。
【0037】
1.7 その他の事項
上述の通り、一実施形態に係る還元鉄の製造方法においては、還元工程S1及び冷却工程S2が、シャフト炉100内において行われてもよい。この場合、例えば、第1工程S21が、シャフト炉100内の還元工程S1よりも下部において行われる。この場合、
図7に示されるように、第1工程S21における金属鉄20とメタンガスとの反応ガスが、そのまま炉内を上昇して還元工程S1における還元ガスに付加され、還元に利用され得る。また、
図1~7に示されるように、第2工程S22における金属鉄20とCOガスとの反応ガスは、第1工程S21よりも下流側において、系外に排出されてもよい。これらの構成によって、第2工程S22から排出されるCOガスやCO
2ガスが、還元工程S1から排除される。すなわち、還元工程S1の排出ガス中へのCOガス及びCO
2ガスの混入がなくなり、還元工程S1の排出ガスが、還元ガス(例えば、水素ガス)及び水蒸気のみとなり易い。このような排出ガスに対して脱水工程S3を行うことで、還元ガスとして再利用できる。なお、第1工程S21における金属鉄20とメタンガスとの反応ガスにはメタンガスが残留するが、当該メタンガスは還元帯で分解され得る。また、当該メタンガスは、還元帯において他のガスと合流して希釈される。すなわち、還元工程S1の排出ガスにはメタンガスがほとんど含まれず、含まれていたとしても1体積%程度である。そのため、循環にともなう炭素含有ガスの濃縮の影響はほとんどない。言い換えれば、通常の還元ガスの部分的な系外排出工程のみで対応可能であって、排出ガスの循環使用に際する特別な脱CO
2工程等は不要である。
【0038】
本開示の製造方法においては、
図1~7に示される形態が組み合わされてもよい。例えば、
図1~3に示される製造方法において、
図4に示されるような脱水工程S4や昇温工程S5が行われてもよく、
図5に示されるような水素ガス分離工程が行われてもよく、
図6に示されるCO
2ガス分離工程が行われてもよく、
図7に示されるように第1工程S21における金属鉄20とメタンガスとの反応ガスが、そのまま炉内を上昇して還元工程S1における還元ガスに付加されてもよく、これらの組み合わせが行われてもよい。
【0039】
2.還元鉄の製造システム
本開示の技術は、炭素を含む還元鉄の製造システムとしての側面も有する。すなわち、
図1~7に示されるように、一実施形態に係る炭素を含む還元鉄の製造システムは、
酸化鉄原料10に対して還元ガスを接触させて金属鉄20を得る、還元部110、及び
金属鉄20を冷却する、冷却部120
を有する。ここで、冷却部120は、
還元部110によって得られた金属鉄20に対してメタンガスを接触させて、金属鉄20を炭化する、第1部分121、
第1部分121よりも下流側において、金属鉄20に対してCOガスを接触させて、金属鉄20を炭化する、第2部分122、及び
第2部分122よりも下流側において、金属鉄20に対してメタンガス又は不活性ガスを接触させる、第3部分123を有する。
【0040】
本実施形態においては、還元部110において上記の還元工程S1が行われ、冷却部120において上記の冷却工程S2が行われる。還元部110及び冷却部120の構成については、各々、還元工程S1及び冷却工程S2を実行可能に構成されていればよい。
図1~5に示されるように、還元部110は、還元ガスを供給するための還元ガス供給口110aと、還元反応後のガスを排出するための排出口110bとを備え得る。また、第1部分121は、メタンガスを含む冷却ガスを供給するための第1冷却ガス供給口121aと、第1部分121における金属鉄20とメタンガスとの反応ガスを排出するための第1冷却ガス排出口121bとを備え得る。また、第2部分122は、COガスを含む冷却ガスを供給するための第2冷却ガス供給口122aと、第2部分122における金属鉄20とCOガスとの反応ガスを排出するための第2冷却ガス排出口122bとを備え得る。さらに、第3部分123は、メタンガス又は不活性ガスを含む冷却ガスを供給するための第3冷却ガス供給口123aと、第3部分123において金属鉄20と接触したメタンガス又は不活性ガスを排出するための第3冷却ガス排出口123bとを備え得る。還元部110と冷却部120とは、一体であってもよいし、別体であってもよい。例えば、
図1に示されるように、還元部110及び冷却部120が、シャフト炉100に設けられてもよい。或いは、
図2に示されるように、還元部110が、シャフト炉100に設けられ、冷却部120が、シャフト炉100よりも下流側の冷却装置200に設けられてもよい。或いは、
図3に示されるように、還元部110と冷却部の第1部分121がシャフト炉100に設けられ、冷却部の第2部分122と第3部分123とが、シャフト炉100よりも下流側の冷却装置200に設けられてもよい。
図2及び3に示されるように、シャフト炉100の下流側に冷却装置200が設けられる場合、還元鉄の製造システムは、金属鉄20をシャフト炉100から冷却装置200へと移動させる、移動装置300を備えていてもよい。移動装置300の具体例としては、コンベア、台車等が挙げられる。設備費等を抑える観点からは、還元部110及び冷却部120が、シャフト炉100に設けられることが好ましい。還元鉄の製造システムにおいて、冷却装置200が設けられる場合、当該冷却装置200の具体例としては、冷却塔が挙げられる。
【0041】
還元部110には、還元ガス供給口110aを介して、還元ガスが供給され得る。また、冷却部120の第1部分121には、第1冷却ガス供給口121aを介して、メタンガスが供給され得る。また、第2部分122には、第2冷却ガス供給口122aを介して、COガスが供給され得る。さらに、第3部分123には、第3冷却ガス供給口123aを介して、メタンガス又は不活性ガスが供給され得る。各々のガスの供給系統については、特に限定されるものではなく、例えば、ガス源と供給口とが配管等で接続されればよい。還元ガスの種類等については、上述の通りである。還元ガスは、例えば、水素ガスを含むものであってもよい。冷却部120に供給されるガスの種類等については、上述の通りである。
【0042】
本実施形態に係る還元鉄の製造システムは、上述した還元部110及び冷却部120に加えて、その他の構成を備えていてもよい。例えば、一実施形態に係る還元鉄の製造システムは、還元部110の排出ガスを脱水して循環ガスを得る、脱水装置130を有するものであってもよい。また、一実施形態に係る還元鉄の製造システムは、還元部110の排出ガスを昇温し、又は、当該排出ガスを脱水して得られた循環ガスを昇温する、昇温装置140を有するものであってもよい。また、当該昇温装置140は、還元部110の排出ガス又は当該排出ガスを脱水して得られた循環ガスと、水素ガスとを昇温し、排出ガス及び循環ガスのうちの一方又は両方と水素ガスとを含む還元ガスを製造する装置であってもよい。また、上述の脱水装置130と昇温装置140とが組み合わされてもよい。例えば、
図4に示されるように、一実施形態に係る製造システムは、還元部110からの排出ガスを脱水して循環ガスを得る、脱水装置130、及び、循環ガスと水素ガスとを昇温し、循環ガスと水素ガスとを含む還元ガスを得る、昇温装置140を備えていてもよい。脱水装置130及び昇温装置140は、各々、上記の脱水工程S3及び昇温工程S4を行うためのものである。詳細については上述の通りである。
【0043】
還元部110や冷却部120からの排出ガス系統についても、上述の通りである。例えば、
図1~6に示されるように、一実施形態に係る製造システムは、還元部110よりも下流側において、第1部分121における金属鉄20とメタンガスとの反応ガスを系外へと排出する、第1冷却ガス排出口121bを有していてもよい。或いは、
図7に示されるように、一実施形態に係る製造システムは、第1部分121における金属鉄20とメタンガスとの反応ガス(上述の第1工程S21における反応ガスに相当)が、還元ガスに付加されるように、還元部110と第1部分121とが接続されていてもよい。また、一実施形態に係る製造システムは、第1部分121よりも下流側において、第2部分122における金属鉄とCOガスとの反応ガス(上述の第2工程S22における反応ガスに相当)を排出する、第2冷却ガス排出口122bを有していてもよい。また、一実施形態に係る製造システムは、第2部分122よりも下流側において、第3部分123における金属鉄20と接触したメタンガス又は不活性ガスを系外へと排出する、第3冷却ガス排出口123bを有していてもよい。
【0044】
還元部110や冷却部120の各々における金属鉄20の温度についても、上述の通りである。例えば、一実施形態に係る製造システムは、第1部分121において、メタンガスと接触する金属鉄20の温度が700℃以上900℃以下であってもよい。また、一実施形態に係る製造システムは、第2部分122において、COガスと接触する金属鉄20の温度が、400℃以上600℃以下であってもよい。また、一実施形態に係る製造システムは、第3部分123において、メタンガス又は不活性ガスと接触する金属鉄20の温度が、400℃未満であっていてもよい。
【0045】
また、本開示の製造システムにおいて、還元部110としてシャフト炉100が採用される場合、シャフト炉頂圧は特に限定されないが、ゲージ圧で0MPa以上0.8MPa以下の範囲であってよい。圧力は、例えば、シャフト炉頂に設けた圧力計を用いて測定できる。
【0046】
また、本開示の製造システムにおいて、冷却部120として冷却塔が採用される場合、冷却塔頂部圧は特に限定されないが、ゲージ圧で0MPa以上0.8MPa以下の範囲であってよい。圧力は、例えば、冷却塔頂部に設けた圧力計を用いて測定できる。
【0047】
本開示の製造システムにおいては、
図1~7に示される形態が組み合わされてもよい。例えば、
図1に示される製造システムにおいて、
図3に示されるような脱水装置130や昇温装置140が組み合わされてもよい。
【0048】
3.効果
以上の通り、本実施形態に係る製造方法及び製造システムによれば、酸化鉄原料10の還元によって金属鉄20を得たうえで、(1)メタンガスによる金属鉄20の炭化及び冷却が行われ、続いて、(2)COガスによる金属鉄20の炭化が行われ、その後、(3)メタンガス又は不活性ガスによる金属鉄20の冷却が行われることにより、炭素を含む還元鉄30(例えば、炭素濃度が高められたCDRI)を効率的に製造することができる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例を示しつつ本発明についてさらに説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱せず、その目的を達する限りにおいては、種々の条件を採用可能とするものである。以下の実施例においては、数値シミュレーションにより、還元鉄の炭化量が高められる条件を検討した。本実施例における数値シミュレーションは、下記非特許文献1に記載の高炉数学モデルを応用して開発されたシャフト炉数学モデルに対して、下記非特許文献2に(7)、(9)、(10)として記載された反応を追加したものにより行った。
非特許文献1:西岡ら、「高炉数学モデルの開発」、新日鉄住金技報 第410号(2018)
非特許文献2:Hamzeh Hamadeh et al., "Detailed Modeling of the Direct Reduction of Iron Ore in a Shaft Furnace", Materials 2018, 11(10), 1865 (https://doi.org/10.3390/ma11101865)
【0050】
1.シャフト炉にて還元工程及び冷却工程を行う場合についての検討
1.1 シミュレーション方法
シャフト炉における操業を想定した数値シミュレーションを行った。まず、シャフト炉内に投入された酸化鉄ペレットに対し、950℃のH2を吹き込み、還元反応を進行させた。還元反応終了直後の金属鉄の温度は、858℃であった。その後、Case 2及びCase 4(実施例)については、金属鉄に対して25℃のCH4を吹込み、炭素析出を行うと同時に金属鉄を冷却した。その後、CH4吹込み口よりも下部から、25℃のCOガスを吹き込み、COの炭素析出を進行させた。その後、Case 1、Case 2、Case 3及びCase 4の各々について、さらに下部からCH4を吹込み、CDRIとしての目標温度まで低下させた。
【0051】
1.2 計算条件
図8に、Case 1~4の各々について、シャフト炉の冷却部に導入されるガスの種類及び導入位置を示す。尚、
図8に示される構造は、シャフト炉の中心軸を通り、かつ、中心軸に沿った断面における炉内構造を、シャフト炉の中心軸を境に右半分と左半分とに分けた場合における、当該左半分の構造である。Case 2及びCase 4については、
図8における還元帯が還元工程S1に相当し、遷移帯が冷却工程S2の第1工程S21に相当し、冷却帯の上部が冷却工程S2の第2工程S22に相当し、冷却帯の下部が冷却工程S2の第3工程S23に相当する。Case 2及びCase 4において、第1工程S21の排出ガスは、そのまま還元工程S1に導入した。また、第2工程S22の排出ガスは、第1工程S21よりも下流側において系外に抜き出した。また、第3工程S23の排出ガスは、そのまま第2工程S22の冷却ガスとして用いた。
【0052】
Case 1~4の詳細については、以下の通りである。
Case 1(比較例):第1工程S21及び第2工程S22が行われず、第3工程S23においてCH4が1400Nm3/minの流量にて吹き込まれることで、第3工程S23の出側の還元鉄の温度がCDRIとしての目標温度まで低下されるものとした。シャフト炉頂の圧力は0.04MPa(ゲージ圧)とした。
Case 2(実施例):第1工程S21においてCH4が300Nm3/minの流量にて吹き込まれ、第2工程S22においてCOが700Nm3/minの流量にて吹き込まれ、第3工程S23においてCH4が1500Nm3/minの流量にて吹き込まれることで、第3工程S23の出側の還元鉄の温度がCDRIとしての目標温度まで低下されるものとした。シャフト炉頂の圧力は0.04MPa(ゲージ圧)とした。
Case 3(比較例):シャフト炉頂の圧力を0.7MPa(ゲージ圧)に変更したこと以外は、Case 1と同様とした。
Case 4(実施例):第1工程S21においてCH4が300Nm3/minの流量にて吹き込まれ、第2工程S22においてCOが500Nm3/minの流量にて吹き込まれ、第3工程S23においてCH4が1850Nm3/minの流量にて吹き込まれることで、第3工程S23の出側の還元鉄の温度がCDRIとしての目標温度まで低下されるものとした。シャフト炉頂の圧力は0.7MPa(ゲージ圧)とした。
【0053】
1.3 計算結果1
下記表1に、Case 1及びCase 2の計算結果を示す。
【0054】
【0055】
表1の結果から以下のことが分かる。尚、Case 1及び2のいずれについても、製品還元鉄における還元率が93~94%であり、高い還元率が確保された。
Case 1(比較例)では、還元鉄が冷却された状態で排出されるものの、十分な炭化量が得られなかった。
Case 2(実施例)では、排出される還元鉄の炭化量(炭素濃度)が高く、かつ、排出温度に関しても実用上十分低い温度まで低下できた。
【0056】
下記表2に、Case 3及びCase 4の計算結果を示す。
【0057】
【0058】
表2の結果から以下のことが分かる。尚、Case 3及びCase 4のいずれについても、製品還元鉄における還元率が93~94%であり、高い還元率が確保された。
Case 3(比較例)では、還元鉄が冷却された状態で排出されるものの、十分な炭化量が得られなかった。
Case 4(実施例)では、排出される還元鉄の炭化量(炭素濃度)が高く、かつ、排出温度に関しても実用上十分低い温度まで低下できた。
【0059】
1.4 計算結果2
Case 2において、第1工程S21後の金属鉄の温度が400~600℃程度となるように、第1工程S21で吹き込まれるCH4の量を変えた場合(Case 5~11)について、排出される還元鉄の炭化量等を調べた。Case 5~11について、第1工程S21で吹き込まれるCH4の流量は、以下の通りである。計算条件及び計算結果を表3に示す。
【0060】
【0061】
表3に示されるように、第1工程後の金属鉄の温度が400℃以上600℃以下、好ましくは450℃以上550℃以下である場合、最終的に得られる還元鉄の炭素濃度が特に高くなることが分かる。尚、Case 5~11のいずれについても、製品還元鉄における還元率が92~94%であり、高い還元率が確保された。
【0062】
1.5 計算結果3
Case 2において、第1工程S21後の金属鉄の温度が400~600℃程度となるように、第1工程S21で吹き込まれるCH4の量を変え、かつ、第3工程S23においてCH4に替えて窒素ガス(流量:1700Nm3/min)を用いた場合(Case 12~15)についても同様の計算を行った。計算条件及び計算結果を表4に示す。
【0063】
【0064】
表4に示されるように、第3工程S23において窒素ガス等の不活性ガスを用いた場合であっても、最終的に得られる還元鉄の炭素濃度はほとんど低下しない。尚、Case 12~15のいずれについても、製品還元鉄における還元率が92~94%であり、高い還元率が確保された。
【0065】
2.シャフト炉にて還元工程を行い冷却塔にて冷却工程を行う場合についての検討
2.1 シミュレーション条件1
2.1.1 比較例1
比較例1に係るシミュレーション条件は、上記Case 1と同様である。すなわち、まず、シャフト炉内に投入された酸化鉄ペレットに対し、950℃のH2を吹き込み、還元反応を進行させた。還元反応終了直後の金属鉄の温度は、858℃であった。その後、金属鉄に対して25℃のCH4を吹込み、炭素析出を行うと同時に金属鉄を冷却し、製品である還元鉄を得た。シャフト炉頂圧は0.04MPa(ゲージ圧)とした。CH4の供給量、製品還元鉄の温度、炭素濃度については、下記表5に示される通りである。
【0066】
2.1.2 実施例1
シャフト炉と冷却塔とを組み合わせて操業を行った場合を想定した数値シミュレーションを行った。
図9に、シャフト炉及び冷却塔の各々に導入されるガスの種類及び導入位置を示す。尚、
図9に示される構造は、シャフト炉や冷却塔の中心軸を通り、かつ、中心軸に沿った断面における炉内構造を、シャフト炉や冷却塔の中心軸を境に右半分と左半分とに分けた場合における、当該左半分の構造である。まず、シャフト炉内に投入された酸化鉄ペレットに対し、950℃のH
2を吹き込み、還元反応を進行させた。還元反応終了直後の金属鉄の温度は、858℃であった。その後、金属鉄に対して25℃のCH
4を吹込み、炭素析出を行うと同時に金属鉄を冷却した。シャフト炉の出側における金属鉄の温度は533.6℃であった。シャフト炉におけるCH
4の供給量については、下記表5に示される通りである。続いて、シャフト炉の出側から回収された金属鉄を冷却塔の頂部から投入し、頂部よりも下流側において25℃のCOを吹き込み、炭素析出を行い、それよりもさらに下流側において、25℃のCH
4を吹込み、金属鉄を冷却し、製品である還元鉄を得た。シャフト炉頂圧及び冷却塔頂部圧は0.04MPa(ゲージ圧)とした。冷却塔におけるCO及びCH
4の供給量、製品還元鉄の温度、炭素濃度については、下記表5に示される通りである。
【0067】
2.1.3 実施例2
図10に示されるように、冷却塔のCOの供給位置とCH
4の供給位置との間においてCH
4による冷却排ガスを100%抜き出したこと以外は、実施例1と同様にシミュレーションを行った。冷却塔におけるCO及びCH
4の供給量、製品還元鉄の温度、炭素濃度については、下記表1に示される通りである。
【0068】
2.2 計算結果
下記表5に、比較例1、実施例1及び2の各々の計算結果を示す。尚、比較例1、実施例1及び2のいずれについても、製品還元鉄の還元率は93%以上であった。
【0069】
【0070】
表5に示される結果から、以下のことが分かる。
比較例1のように、シャフト炉において酸化鉄原料の還元及びメタンガスによる金属鉄の冷却が行われただけでは、製品還元鉄の炭素濃度を十分に高めることができない。これに対し、実施例1、2のように、シャフト炉において酸化鉄原料の還元及び金属鉄の冷却が行われ、引き続き、シャフト炉とは別に設けられた冷却塔において、COガスによる金属鉄の炭化が行われ、さらに、冷却装置の下流側で、メタンガスによる金属鉄の冷却が行われることで、製品還元鉄の炭素濃度を向上させることができる。すなわち、炭素を含む還元鉄(例えば、炭素濃度が高められたCDRI)が効率的に製造され得る。特に、実施例2のように、冷却塔のCOの供給位置とCH4の供給位置との間においてCH4による冷却排ガスを抜き出すことで、製品還元鉄の炭素濃度が一層向上する。また、実施例1、2のように、シャフト炉と冷却塔とが別々に設けられることで、冷却塔における排ガスが、シャフト炉へと侵入することを回避できる。
【0071】
2.3 シミュレーション条件2
比較例2は、上記Case 3と同じ条件であり、すなわち、シャフト炉頂圧を0.7MPa(ゲージ圧)とした以外は比較例1と同じ条件である。実施例3は、シャフト炉頂圧を0.7MPa(ゲージ圧)とした以外は実施例1と同じ条件である。実施例4は、シャフト炉頂圧及び冷却塔頂部圧を0.7MPa(ゲージ圧)とした以外は実施例1と同じ条件である。
【0072】
2.4 計算結果
下記表6に、比較例2、実施例3及び4の各々の計算結果を示す。尚、比較例2、実施例3及び4のいずれについても、製品還元鉄の還元率は93%以上であった。
【0073】
【0074】
表6に示される結果から、以下のことが分かる。
比較例2のように、シャフト炉において酸化鉄原料の還元及びメタンガスによる金属鉄の冷却が行われただけでは、製品還元鉄の炭素濃度を十分に高めることができない。これに対し、実施例3、4のように、シャフト炉において酸化鉄原料の還元及び金属鉄の冷却が行われ、引き続き、シャフト炉とは別に設けられた冷却塔において、COガスによる金属鉄の炭化が行われ、さらに、冷却装置の下流側で、メタンガスによる金属鉄の冷却が行われることで、製品還元鉄の炭素濃度を向上させることができる。すなわち、炭素を含む還元鉄(例えば、炭素濃度が高められたCDRI)が効率的に製造され得る。また、実施例3、4のように、シャフト炉と冷却塔とが別々に設けられることで、冷却塔における排ガスが、シャフト炉へと侵入することを回避できる。
【0075】
尚、冷却塔においてCH4に替えて窒素ガスを用いた場合についても同様の計算を行ったところ、当該計算結果は、表5に示される結果と同様の傾向となった。すなわち、冷却塔において窒素ガス等の不活性ガスを用いても、最終的に得られる還元鉄の炭素濃度の低下は少ない。
【0076】
3.まとめ
以上の結果から、以下の還元工程と冷却工程とを経ることで、炭素を含む還元鉄を効率的に製造することができるといえる。
【0077】
還元工程において、酸化鉄原料に対して還元ガスを接触させて金属鉄を得る。冷却工程において、前記金属鉄を冷却する。ここで、冷却工程は、前記還元工程後、前記金属鉄に対してメタンガスを接触させて、前記金属鉄を炭化する、第1工程、前記第1工程後、前記金属鉄に対してCOガスを接触させて、前記金属鉄を炭化する、第2工程、及び、前記第2工程後、前記金属鉄に対してメタンガス又は不活性ガスを接触させる、第3工程を有する。
【符号の説明】
【0078】
10 酸化鉄原料
20 金属鉄
30 炭素を含む還元鉄
100 シャフト炉
100a 原料供給口
100b 排出口
110 還元部
110a 還元ガス供給口
110b 還元ガス排出口
120 冷却部
121 第1部分
121a 第1冷却ガス供給口
121b 第1冷却ガス排出口
122 第2部分
122a 第2冷却ガス供給口
122b 第2冷却ガス排出口
123 第3部分
123a 第3冷却ガス供給口
123b 第3冷却ガス排出口
200 冷却装置
【要約】
直接還元プロセスにおいて、還元工程後の金属鉄の炭素濃度を増加させつつ、金属鉄を冷却して、炭素を含む還元鉄を製造する技術を開示する。本開示の炭素を含む還元鉄の製造方法は、酸化鉄原料に対して還元ガスを接触させて金属鉄を得る、還元工程、及び、前記金属鉄を冷却する、冷却工程を有する。前記冷却工程は、前記還元工程後、前記金属鉄に対してメタンガスを接触させて、前記金属鉄を炭化する、第1工程と、前記第1工程後、前記金属鉄に対してCOガスを接触させて、前記金属鉄を炭化する、第2工程と、前記第2工程後、前記金属鉄に対してメタンガス又は不活性ガスを接触させる、第3工程とを有する。