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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】音量調整装置、音声調整方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20250409BHJP
【FI】
H04R3/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021013076
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022116744
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】梅村 尚哉
【審査官】齊田 寛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-46459(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107613146(CN,A)
【文献】特開2014-140124(JP,A)
【文献】特開平8-162864(JP,A)
【文献】特開2014-86965(JP,A)
【文献】特開平11-17471(JP,A)
【文献】国際公開第92/08281(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
G06F 3/023
H03G 1/00 - 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音量変更操作に基づいて操作値を出力する操作値出力部と、
前記操作値を記憶する記憶部と、
前記操作値に基づいた音量設定値を生成する音量値生成部と、
前記音量設定値に基づいて出力する音量を制御する音量制御部と、
を備え、
前記音量値生成部は、
前記記憶部に記憶された操作値の履歴を最新から所定数参照し、最新の操作値が隣接し
た2つの値を繰り返す所定の条件が満たされ、且つ前記2つの値の操作値の一方の値によ
り定まる第1音量設定値と、前記2つの値の操作値の他方の値により定まる第2音量設定
値との音量差が所定値以下でない場合は、前記音量設定値の差がより少ないステップとし
て前記第1音量設定値と前記第2音量設定値との中間値に近づけるよう狭く補正すること
を特徴とする音量調整装置。
【請求項2】
前記操作値出力部から操作値が出力されたことを機に所定時間のカウントを開始するタ
イマを備え、
前記音量値生成部は、
前記記憶部に記憶された操作値の履歴を最新から所定数参照し、最新の操作値が隣接し
た2つの値を繰り返す所定の条件が満たされ、且つ前記タイマのカウント時間が終了して
いなく、且つ前記音量差が所定値以下でない場合は、前記音量設定値の差がより少ないス
テップとして前記中間値に近づける補正をすることを特徴とする請求項1に記載の音量調
整装置。
【請求項3】
音量変更操作により出力された操作値に基づいて音量設定値を生成する音量調整方法で
あって、
前記操作値を記憶するステップと、
記憶した操作値の履歴が、所定の条件を満たした否かを判定するステップと、
を含み、
前記所定の条件は、記憶された操作値の履歴を最新から所定数参照し、最新の操作値が
隣接した2つの値を繰り返す場合であり、
前記所定の条件を満たされ、且つ前記2つの値の操作値の一方の値により定まる第1音
量設定値と、前記2つの値の操作値の他方の値により定まる第2音量設定値との音量差
所定値以下でない場合は、音量設定値の差がより少ないステップとして前記第1音量設定
値と前記第2音量設定値との中間値に近づけるよう狭く補正するステップをさらに含むこ
とを特徴とする音量調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音量調整技術に関し、特に音量の微調整に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の音声を再生する電子機器は、音量の調整手段がデジタル処理により行われるため、音量の調整は、連続的ではなく離散的で階段状に変化する。携帯機器においては操作性の問題から、音量調整のステップ数を少なくする場合が少なくない。
【0003】
少し雑な設定操作を行ったとしても、適正にパラメータ値を最大値あるいは最小値に設定できるようにする技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-063357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では最大値あるいは最小値に設定できるものの、所望のステップの間の音量を適正に設定することはできない。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、所望の1ステップの間の音量設定を容易にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の音量調整装置は、音量変更操作に基づいて操作値を出力する操作値出力部と、前記操作値を記憶する記憶部と、前記操作値に基づいた音量設定値を生成する音量値生成部と、前記音量設定値に基づいて出力する音量を制御する音量制御部と、を備え、前記音量値生成部は、前記記憶部に記憶された操作値の履歴を最新から所定数参照し、操作値が隣接した2つの値を繰り返す場合に、前記2つの値の操作値の一方の値により定まる第1音量設定値と、前記2つの値の操作値の他方の値により定まる第2音量設定値との間の値となる第3音量設定値を生成することを特徴とする。また、本発明のある態様の音量調整方法は、音量変更操作により出力された操作値に基づいて音量設定値を生成する音量調整方法であって、前記操作値を記憶するステップと、記憶した操作値の履歴が、所定の条件を満たした否かを判定するステップと、を含み、前記所定の条件は、記憶された操作値の履歴を最新から所定数参照し、操作値が隣接した2つの値を繰り返す場合であり、前記所定の条件を満たした場合に、前記2つの値の操作値の一方の値により定まる第1音量設定値と、前記2つの値の操作値の他方の値により定まる第2音量設定値との間の値となる第3音量設定値を生成するステップをさらに含むこと、を特徴とする。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所望の1ステップの間の音量設定を容易にする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1であるところの電子機器1の概略図である。
図2】本発明の音量調整装置10の構成図である。
図3】本発明の音量調整装置10の音量調整部30の構成図である。
図4】本発明の音量変更操作を示す図である。
図5】本発明の音量変更操作による微調整モードをとするための動作を示す図である。
図6】本発明の音量変更操作による微調整モードによる調整の動作を示す図である。
図7】本発明の音量調整方法における微調整モードとするための動作を示すフロー図である。
図8】本発明の音量調整方法の微調整モードによる調整の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態1
本発明の実施形態1について、添付図面を参照して説明する。図1は、電子機器1の外観図である。電子機器1は、所定の音源の音声信号を放音する。電子機器1は、複数ステップの音量変更機能を備え、音量変更操作により放音される音量は、段階的に変化する。所定の音源は、記憶された音楽信号、通信により受信した受信信号等、特に限定は無い。電子機器1は、放音部100と、操作部200(A、B、C)と、表示部300とを備える。
【0012】
放音部100は、電子機器1の筐体1Aの正面に開口したスリット1Bを有し、そのスリット1Bの内部にスピーカ等の音響変換装置を備える。操作部200は、筐体1Aの正面に配置された操作部200A、筐体1Aの天面に配置された操作部200B,筐体1Aの側面に配置された操作部200Cを備える。電子機器1の用途によって、操作部200の配置や必要数は任意である。表示部300は、電子機器1の動作状態や音源に関する情報を表示するが、電子機器1の用途により不要としてもよい。電子機器1は、本発明の音量設定技術を備える音量設定装置10を搭載する。
【0013】
本発明に係る音量設定技術に関して、図2図3を参照して説明する。図2は、本発明の実施形態1の電子機器に搭載される音量設定装置10の構成を示している。なお音源50は任意の構成による。本発明の音量設定装置10は、操作信号変換部20、音量調整部30及び音声出力部40により構成される。
【0014】
操作信号変換部20は、先に示した電子機器の操作部200であり、電子機器1から放音する音量の設定を行うための操作を行う物理的な操作を、音量を設定する信号に変換するインターフェースである。例えば操作部200Aは電子機器1の正面パネルに備えられた十字キーである。十字キーにより音量を設定する場合は、上下のキー操作に音量設定を対応させる、もしくは左右のキー操作に音量の設定を対応させる。音量の設定に割り当てられたキーを短時間に1回押して離すといった操作により音量を1ステップ変化させ、所定時間以上押し続けた場合には押している時間時応じて音量を複数ステップ変化させる。
【0015】
操作部200Bは電子機器1の天面に配置された回転するデバイスであり、ロータリースイッチ、ロータリーエンコーダ、ボリューム(可変抵抗器)等である。回転するデバイスにより音量を設定する場合は、時計方向に回転させると音量増加を行うための信号に変換し、半時計方向に回転させると音量減少を行うための信号に変換する。ロータリースイッチやロータリーエンコーダは離散的な信号を出力するデバイスであるので音量を複数のステップを設定するための信号を出力できるが、ボリュームは連続的な操作感であり連続的な信号を出力することになる。そこでボリュームから出力される電圧をADCにより検出してボリュームの回転角度を所定のステップで検出することで、ロータリースイッチ等と同じように音量をステップで変化させるための信号を得ることができる。操作部200Cは、電子機器1の側面に配置されたアップキー、ダウンキーであり、アップキーは音量をアップする信号に変換し、ダウンキーは音量をダウンさせる信号に変換する。操作信号変換部20は、操作部200の200A,200B,200Cのいずれかが対応していればよい。
【0016】
音量調整部30は、操作信号変換部20からの信号に基づいて、音声出力部40から出力される音量を調整する。音声出力部40は、音源50の音声信号を、音量調整部30からの音量調整信号に基づいた音量で放音する。音声出力部40は、具体的には、音源からの音声信号を、音量調整部30の音量調整信号に基づいて、増幅度を変化させる増幅器及びスピーカやイヤホン等の音響変換装置により構成される。
【0017】
図3は、本発明に係る音量設定装置10の音量調整部30の構成を示している。音量調整部30は、操作値出力部31と、記憶部32と、タイマ33と、音量値生成部34と、および音量制御部35と、を備える。
【0018】
操作値出力部31は、操作信号変換部20からの操作信号を操作値にして記憶部32に出力する。記憶部32は、操作値の履歴を所定数記憶する。記憶部32は、記憶した最後の操作値を音量値生成部34に出力する。音量値生成部34は、操作値に基づいて音量設定値を生成し、音量制御部35に出力する。音量制御部35は、音量設定値に基づいて、音声出力部40から出力される音量を制御する音量制御信号を出力する。タイマ33は、所定時間のカウントするタイマであり操作値出力部31が新たな操作値を出力する度に、タイマをリセットする。なお、タイマ33のカウント終了は、タイマのカウント時間により定まる時間の間、音量変更操作が無い状態を意味することになるが、これは後述する。
【0019】
本発明に係る音量設定技術に関して、その動作を図4を参照して説明する。通常の動作は、操作部200の操作により、操作信号変換部20は、アップ「+1」もしくはダウン「-1」といった操作信号を出力する。具体的には、図4では音量の増加操作を▲、減少操作を▼とし、増加操作▲により操作信号変換部20は「+1」の操作信号を出力し、減少操作▼により操作信号変換部20は「-1」の操作信号を出力する。
【0020】
操作値出力部31は、操作信号を累積加算し操作値として記憶部32に記憶させる。記憶部32は、操作値を最新から過去の履歴を所定数記憶する。また、記憶部32は、最も古い操作値から順に削除する。具体的には、記憶部32で記憶する操作値は4つとし、図4の範囲Aに示す増加操作において、操作毎に操作信号「+1」が出力されるので操作値は操作に対応して1→2→3→4→5と増加する。最新の操作値が「4」の際に、操作信号「+1」が出力されると、最新の操作値として「5」が記憶され、もっとも古い「1」を削除する。
【0021】
音量値生成部34は、通常、記憶部32に記憶された最新の操作値のデータに基づいて音量設定値を生成する。操作値に対して音量値生成部34で生成される音量設定値は、音量の設定操作に対して実際に出力される音量の変化に合わせた特性とするため適時設定される。この設定は、ボリュームのカーブに対応し、音量調整では一般的にAカーブといわれる低音量側は操作に対して変化が少なく、大音量側は操作に対して変化が大きくなるような設定としている。
【0022】
本発明では、上記の通常の動作では設定することが出来ない隣あった2つの音量設定値の間の音量を出力するための構成を備える。
【0023】
(設定の構成1)
音量値生成部34は、操作値出力部31から操作値の変更の有無の情報を得る。そして、音量値生成部34は、操作値出力部31の操作値が変化した場合に、記憶部32に記憶された操作値を参照する。音量値生成部34が参照する操作値は、記憶部32に記憶された最新の操作値から所定数前の操作値までである。音量値生成部34は、参照した結果が所定の条件と一致した場合に、以降で記載する微調整モードによる音量設定値の生成を開始する。
【0024】
記憶部32に記憶された最新の操作値と2つ前の操作値とを取得して操作値を比較し、さらに1つ前の操作値と4つ前の操作値とを比較する。音量値生成部34は、最新と3つ前の操作値及び2つ前と4つ前の操作値とのいずれかが異なる場合、通常通り最新の操作値に基づいて音量設定値を生成する。
【0025】
一方、音量値生成部34は、最新と2つ前の操作値とが同じで、且つ2つ前と4つ前の操作値が同じ場合、所定の条件を満たしたと判定する。つまり、本発明の実施形態1の電子機器1を所有するユーザが、1ステップの音量の増減を繰り返す音量変更操作を行った場合に相当する。この場合、記憶部32に記憶された操作値は、隣接した2つの値の操作値が交互に連続して記憶される。音量値生成部34は、最新の操作値に基づく音量設定値と1つ前の操作値に基づく音量設定値との間の音量設定値を生成する。つまり音量値生成部34は、隣接する2つ値の操作値の下限値により定まる第1音量設定値と、隣接する2つの値の操作値の上限値により定まる第2音量設定値との間の第3音量設定値を生成する。
【0026】
言い換えると、記憶された操作値が隣接した2つの値を繰り返す場合、2つの値の操作値の一方の値は、2つの値の操作値の他方より大きくなる。また記憶された操作値が隣接した2つの値を繰り返す場合、2つの値の操作値の一方の値により定まる第1音量設定値と、2つの値の操作値の他方より定まる第2音量設定値との間の第3音量設定値を生成するといえる。
【0027】
図5Aは、所望する1ステップの間の音量を出力する動作を示す。具体的には、操作がアップ、ダウン、アップといった操作が行われた場合、例えば、操作値が「3」から「4」に変化し、次の操作で「3」、さらに次の操作で「4」になる。所望する1ステップは、操作値が「3」と操作値が「4」であり、操作値「3」による音量設定値に基づく音量と、操作値「4」による音量設定値に基づく音量との間の音量を出力する。
【0028】
この場合、最新の操作値「4」と2つ前の操作値「4」は同じであり、さらに1つ前の操作値「3」と4つ前の操作値「3」は同じであり、音量値生成部34は、所定の条件を満たしたと判定する。音量値生成部34は、最新の操作値「3」による音量設定値「15」と1つ前の操作値「4」の音量設定値「19」との間の音量設定値「X」を生成する。つまり、隣接する2つの値の操作値の下限値「3」により定まる第1音量設定値「15」と、隣接する2つ値の操作値の上限値「4」により定まる第2音量設定値「19」との間の第3音量設定値「X」を生成する。
【0029】
図5Aでは、記憶部32に記憶された最新を含めた操作値の履歴を4つ参照する。そのため3回の操作により所定の条件が満たされるか否かを判定するが、判定に必要な条件を4回以上としてもよい。例えば、図5Bの場合、5つの操作値の履歴を参照し、操作がアップ、ダウン、アップ、ダウンといった操作により最新の操作値と2つ前の操作値と5つ前の操作値が一致し、且つ2つ前の操作値と4つ前の操作値とが一致した場合に、所定の条件が満たされたと判定し、最新の操作値による音量設定値と1つ前の操作値による音量設定値との間の音量設定値を生成する。つまり、判定に必要な回数が増える場合、参照する履歴を増やし、最新及び参照した奇数回前の操作値の全てが一致、且つ参照した操作値の偶数回前の設定値が全て同じであれば、所定の条件が満たされたと判定し、最新の操作値による音量設定値と1つ前の操作値による音量設定値との間の音量設定値を生成する。
【0030】
前記した所定の条件が満たされ、最新の操作値による音量設定値と1つ前の操作値による音量設定値との間の音量設定値を生成する状態を、本発明では「微調整モード」と記載する。本発明の音量設定装置10は、微調整モードであることを報知する報知部50を備えてもよい。
【0031】
最新の操作値による音量設定値と1つ前の操作値による音量設定値との間の音量設定値、つまり第3音量設定値は、最新の操作値と、一つ前の操作値の中間値に基づいて音量設定値を生成してもよいし、最新の操作値に基づく音量設定値と、一つ前の操作値に基づく音量設定値の中間値を生成してもよい。具体的に前者は、前記した所定の条件を満たす場合で、最新の操作値を「4」、一つ前の操作値は「3」とすると、音量値生成部34は、操作値は「3.5」であるとして音量設定値を生成する。一方後者では、音量値生成部34は、最新の操作値「4」に基づく音量設定値「19」と一つ前の操作値に基づく音量設定値「15」との中間値「17」を生成する。
【0032】
中間値により生成される音量設定値は、音量変更操作に対して実際に出力される音量の特性を直線とすれば前者後者とも同じ値となるが、前記したAカーブであれば前者と後者による音量設定値は異なる。
【0033】
まとめると、本発明の音量調整装置10は、音量変更操作が所望のステップ間の繰り返しであることを検出し、音量変更操作が所望のステップ間の繰り返しである場合には、所望のステップ間の下限により定めた音量と所望のステップ間の上限により定めた音量との間の音量を設定する。
【0034】
(設定の構成2)
設定の構成1では、微調整モードとなった場合に、第3音量設定値は、一意的に中間値を採用する構成としたが、微調整モードとされた以降も所定の操作により第3音量設定値を細かく設定してもよい。
【0035】
微調整モードとされた以降も第3音量設定値を細かく設定する構成の概要を説明する。微調整モードとされた操作つまり1ステップの音量の増減を繰り返す音量変更操作により、微調整モードとなった後も、引き続き1ステップの音量の増減を繰り返す音量変更操作を行うことで、隣接する2つの値の操作値の下限値により定まる第1音量設定値を中間値方向に徐々に増加させた第3音量設定値を生成し、隣接する2つの値の操作値の上限値により定まる第2音量設定値を中間値方向に徐々に減少させた第3音量設定値を生成する。
【0036】
設定の構成2の動作を、図6を用いて説明する。音量変更操作により「4」「5」「4」「5」の操作値が記憶部32に記憶されたため、音量値生成部34は、微調整モードによる音量設定値を生成する。この場合、隣接する2つの値の操作値の上限値は「5」であり、隣接する2つの値の操作値の下限値は「4」となる。最新の操作値「5」は上限値であるため、本来の音量設定値「24」に対して所定量だけ減少させる。図6では音量設定値を「24」から「23」にしている。引き続き1ステップの音量の増減を繰り返す音量変更操作を進め、操作値を「4」とすると、これは隣接する2つの値の操作値の下限値であるため、本来の音量設定値「19」に対して増加させる。図6では音量設定値を19から20にしている。
【0037】
音量値生成部34は、操作値が上限値の場合に補正して生成される第3音量設定値と、操作値が下限値の場合に補正して生成される第3音量設定値との差分を検出する。1ステップの音量の増減を繰り返す音量変更操作を進めることで、音量値生成部34は、操作値が下限値の場合の音量設定値をさらに増加させ補正して第3音量設定値を生成し、操作値が上限値の場合の音量設定値を減少させ補正して第3音量設定値を生成する。またさらに、1ステップの音量の増減を繰り返す音量変更操作を進めることで、音量値生成部34は、操作値が上限値の場合に補正して生成される第3音量設定値と、操作値が下限値の場合に補正して生成される第3音量設定値との差分が所定の範囲以下となった場合に、以降の1ステップの音量の増減を繰り返す音量変更操作による操作値の変更に対して第3音量設定値は補正しない。
【0038】
具体的には、微調整モードにおいて1ステップの音量の増減を繰り返す音量変更操作を進めと、音量値生成部34は、音量設定値を徐々に中間値に近づけていき、中間値近傍にて音量設定値は収束する。図6の場合では、音量値生成部34は、操作値が上限値の場合の音量設定値と、操作値が下限値の音量設定値が「22」で一致したため、以降の1ステップの音量の増減を繰り返す音量変更操作に対して音量設定値の補正は行わない。
【0039】
音量値生成部34が行う補正に関しては、繰り返しの回数に応じて補正量を増やしてもよいし、補正した音量設定値を記憶して補正された音量設定値に対してさらに所定量の補正値の増減を行ってもよい。
【0040】
図6では、操作値が下限値の場合の音量設定値から増加させた第3音量設定値と、操作値が上限値の音量設定値から減少させた第3音量設定値とが一致した場合であるが、操作値が上限値の場合の音量設定値に対して下限値の音量設定値を下回る可能性もある。いずれにしても、操作値が上限値の場合の音量設定値と、操作値が下限値の音量設定値とは実質的に出力される音量の差はほとんどないので、操作値が上限値の場合の音量設定値に対して下限値の音量設定値が所定の範囲となった場合、音量値生成部34は、以降の所定範囲の操作が行われても、操作による操作値の上限値及び下限値に対して最後に生成した音量設定値を維持することとして問題はない。
【0041】
(設定の構成3)
本発明の目的としては、操作値が上限値の場合の音量設定値と、操作値が下限値の音量設定値との間の音量に調整することであるため、音量値生成部34は、1ステップの音量の増減を繰り返す音量変更操作により第3音量設定値を特定の音量設定値に収束させなくてもよい。音量値生成部34は、1ステップの音量の増減を繰り返す度に、操作値が上限値の場合の第1音量設定値と、操作値が下限値の第2音量設定値と、の間の第3音量設定値をランダムに生成してもよい。
【0042】
次に、タイマ33の動作に関して説明を行う。タイマ33は、音量変更操作が行われ操作値出力部31が操作値の出力を行ったのを機にカウントを開始し、所定時間のカウントを行う。また、タイマ33は、カウント時間が終了する前に、音量変更操作が行われ操作値出力部31が操作値を出力した場合にはタイマをリセットして再びカウントを開始する。
【0043】
つまり、タイマ31によるカウント時間の終了は、カウント時間中に音量変更操作が無かったことを意味する。そのため、タイマ31のカウント時間が終了せず、記憶部32に記憶された操作値が所定の条件を満たした場合、音量変更操作が連続して行われた、と判定することができる。また、タイマ31のカウントする目的は音量変更操作が連続して行われたか否かを判定することであるため、カウント時間が終了した場合、記憶部32は、記憶された最新の操作値以外は参照不要であるため削除してもよい。
【0044】
例えば、カウント時間が終了前に音量変更操作が行われ、記憶部32に記憶された過去の操作値の履歴が所定の条件を満たしているとする。しかし、3つ前の操作値が入力された後、タイマのカウント時間が終了してから2つ前の操作値が入力された、というような場合は、音量変更操作が連続して行われていないので、2つ前の操作が行われた時点で、3つ前の操作値より過去の操作値を削除することで、所定の条件を満たすことが無い様にすることができる。
【0045】
現実的には、タイマ31のカウント時間は、1秒程度と比較的短時間でよい。本発明におけるタイマは、微調整モードにするための操作の判定及び微調整モード中の音量の微調整を行う操作であることを判定するため、比較的素早い繰り返し操作であることを検出するのに適した所定時間をカウントする。また、微調整モードとするためのタイマ31のカウント時間と、微調整モード中のタイマ31のカウント時間とは、異なる時間であってもよい。
【0046】
音量値生成部34は、操作値が所定の条件を満たし微調整モードとする判定の際に、タイマ31を監視してカウント時間が終了していたら微調整モードとせず、カウント時間が継続中であれば微調整モードとする。また、微調整モードとされた判定に使用した操作値による微調整モードの音量設定値を生成してもいいし、次の音量変更操作により出力される操作値から微調整モードによる音量設定値を生成してもよい。
【0047】
また、音量値生成部34は、微調整モードの設定以降もタイマ31のカウント時間を監視する。タイマ31のカウント時間が継続中に操作値の変更を検出され、変更された操作値が所定の条件を満たしていれば微調整モードによる音量設定値の生成を継続する。音量値生成部34は、微調整モードの設定後、タイマ31のカウント時間が終了した以降の操作値に対しては、通常の音量設定値を生成する。
【0048】
図7を用いて、微調整モードとする方法を説明する。音量変更操作により操作値が出力される(ステップS1)。操作値を記憶し、操作値に基づいた音量設定値を生成する(ステップS2)。設定値の出力を機にタイマが所定時間のカウントを開始する(ステップS3)。タイマが所定時間のカウントを終了した場合(ステップS4のYes)、処理を終了する。タイマが所定時間のカウントを終了していない場合は、ステップS5に進む。
【0049】
音量変更操作の有無を検出する(ステップS5)。音量変更操作が無かった場合は、ステップS4に戻る。音量変更操作が行われた場合は、その操作による操作値を記憶する(ステップS6)。記憶された操作値が、所定の条件を満たしているかの判定を行う(ステップS7)。ステップS7で所定の条件を満たしていないと判定された場合(ステップ7のNo)は、記憶した最新の操作値に基づいて音量設定値を生成し(ステップS8)、ステップS4に戻る。ステップS7で所定の条件を満たしていれば、微調整モードとする(ステップS9)。
【0050】
なお、所定の条件は、前述したとおり、1ステップの音量の増減を繰り返す音量変更操作がなされたか否か、つまり音量変更操作が所定範囲の繰り返しであるか否かである。これを検出するため、最新の操作値と2つ前の操作値の一致、且つ1つ前の操作値と3つ前の操作値の一致といった条件で判定するが、何回の繰り返しを所定の条件とするかは設計事項であり任意に設定されてもよい。
【0051】
設定の構成1で説明した第3音量設定値を中間値とする場合に関して、微調整モードをなった場合の操作値に基づいて、第3音量設定値を中間値で生成してもよい。つまり微調整モードとされるのと同時に第3音量設定値は中間値で生成されてもよい。また、微調整モードとなった場合の次の音量変更操作による操作値が、所定の条件を満たし、且つタイマが所定時間のカウントを終了していない場合に、第3音量設定値を中間値として生成してもよい。
【0052】
図8を用いて、微調整モードによる第3音量設定値の生成方法を説明する。設定の構成1~3で第3音量設定値に関して3通りの説明を行ったが、設定の構成1における第3音量設定値は、中間値であり微調整モードにすると一意的に定まる。微調整モードにおいて第3音量設定値を補正する構成である設定の構成2の説明を行う。
【0053】
微調整モードとされた際の音量変更操作を機に所定時間のカウントを開始したタイマが所定時間のカウントを終了したか否かを判定する(ステップS20)。タイマが所定時間のカウントを終了した場合は微調整モードを解除し(ステップS20のYes)、タイマが所定時間のカウントを終了していない場合ステップS21へ進む(ステップS20のNo)。次に音量変更操作の有無を検出する(ステップS21)。音量変更操作が無い場合(ステップS21のNo)、S20へ戻る。音量変更操作の検出つまり音量変更操作により操作値が出力された場合、タイマのカウントをリセットし所定時間のカウントを開始する(ステップS22)。
【0054】
ステップS21で出力された操作値を記憶する(ステップS23)。次に記憶された操作値が所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS24)。記憶された操作値が所定の条件を満たさない場合(ステップS24のNo)、最新の操作値に基づいた音量設定値を生成し(ステップS25)、微調整モードは終了する。
【0055】
記憶された操作値が所定の条件を満たす場合(ステップS24のYes)、最新の操作値に基づいた音量設定値を中間値に近づける補正を行って生成する(ステップS26)。補正された音量設定値と一つ前に生成した音量設定値との差を算出し、その差分が所定以下であるか否かを判定する(ステップS27)。差分が所定値以下の場合(ステップS29のYes)、最新の音量設定値の生成を維持して処理を終了する。
【0056】
ステップS27で、差分が所定値以上の場合(ステップS29のNo)、ステップS29に進む。ステップS29にて、タイマが所定時間のカウントを終了したか否かを判定する。タイマが所定時間のカウントを終了した場合(ステップS29のYes)、ステップS28に進み、最新の音量設定値を維持して処理を終了する。ステップS29にて、タイマが所定時間のカウントを終了していない場合(ステップS29のNo)、ステップS21に戻り、タイマのカウントが終了するか、音量変更操作が検出されるまで、ステップS20とステップS21を繰り返す。
【0057】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 電子機器
100 放音部
200 操作部、200A 操作部、200B 操作部、300 操作部
300 表示部
1A 筐体、1B スリット
10 音量設定装置
20 操作信号変換部
30 音量調整部
31 操作値出力部
32 記憶部
33 タイマ
34 音量値生成部
35 音量制御部
40 音声出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8