(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20250409BHJP
G06V 30/14 20220101ALI20250409BHJP
【FI】
H04N1/00 127B
H04N1/00 L
G06V30/14
(21)【出願番号】P 2021035273
(22)【出願日】2021-03-05
【審査請求日】2024-03-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】ジャッド アイザック
(72)【発明者】
【氏名】福島 経介
(72)【発明者】
【氏名】堀 清志
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 哲也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敏信
(72)【発明者】
【氏名】金光 重中
(72)【発明者】
【氏名】松前 慶作
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-045608(JP,A)
【文献】特開2016-063435(JP,A)
【文献】特開2018-042152(JP,A)
【文献】特開2020-004148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/32
G06V 30/00-30/424
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末の識別情報を記憶している記憶部と、
前記記憶部に前記識別情報が記憶されている前記携帯端末と近距離無線通信を行い、前記近距離無線通信の接続が確立すると起動する、前記携帯端末にインストールされているアプリケーションプログラムを介して、前記携帯端末との間でデータの送受信を行う通信部と、
前記携帯端末に登録されているスキャン設定プロファイルを、前記通信部に受信させる制御部と、
前記スキャン設定プロファイルに従って原稿を読み取り、画像データを生成する画像読取部と、を備え、
前記画像読取部は、前記原稿が縦置きか横置きかを判定し、
前記制御部は、前記画像読取部の判定結果に基づき、前記携帯端末に登録されている縦置き用スキャン設定プロファイル又は横置き用スキャン設定プロファイルを、前記通信部に受信させる、画像読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記画像読取部が生成した前記画像データを、前記通信部から前記携帯端末へ送信させる、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
携帯端末の識別情報を記憶している記憶部と、
前記記憶部に前記識別情報が記憶されている前記携帯端末と近距離無線通信を行い、前記近距離無線通信の接続が確立すると起動する、前記携帯端末にインストールされているアプリケーションプログラムを介して、前記携帯端末との間でデータの送受信を行う通信部と、
前記携帯端末に登録されているスキャン設定プロファイルを、前記通信部に受信させる制御部と、
前記スキャン設定プロファイルに従って原稿を読み取り、画像データを生成する画像読取部と、を備え、
前記画像読取部は、前記原稿が縦置きか横置きかを判定し、
前記制御部は、前記画像読取部の判定結果に基づき、スキャン設定プロファイルを前記携帯端末から受信するか否かを判断し、前記携帯端末から受信すると判断した場合に前記携帯端末に登録されているスキャン設定プロファイルを前記通信部に受信させる、画像読取装置。
【請求項4】
前記画像読取部が生成した前記画像データを表示する表示部を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記画像読取部が生成した前記画像データをOCR処理して前記画像データの品質が予め定められた品質以上であるか否かを判定するOCR処理部を備え、
前記表示部は、前記画像データの品質が前記予め定められた品質未満であった場合に、ユーザーに対してスキャン設定プロファイル変更の指示を表示する、請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
携帯端末の識別情報を記憶している記憶部と、
前記記憶部に前記識別情報が記憶されている前記携帯端末と近距離無線通信を行い、前記近距離無線通信の接続が確立すると起動する、前記携帯端末にインストールされているアプリケーションプログラムを介して、前記携帯端末との間でデータの送受信を行う通信部と、
前記携帯端末に登録されているスキャン設定プロファイルを、前記通信部に受信させる制御部と、
前記スキャン設定プロファイルに従って原稿を読み取り、画像データを生成する画像読取部と、を備え
た画像読取装置であって、
前記画像読取部は、前記原稿が縦置きか横置きかを判定し、
前記制御部は、前記画像読取部の判定結果に基づき、前記携帯端末に登録されている縦置き用スキャン設定プロファイル又は横置き用スキャン設定プロファイルを、前記通信部に受信させ、
前記制御部は、前記携帯端末の記憶部にも前記画像読取装置の記憶部にも縦置き用スキャン設定プロファイルが存在しない場合、スキャン設定プロファイルをユーザーに登録させる、画像読取装置。
【請求項7】
表示部と、
ユーザー操作を受け付ける入力部と、を更に備え、
前記制御部は、前記携帯端末の記憶部にも前記画像読取装置の記憶部にも縦置き用スキャン設定プロファイルが存在しない場合、スキャン設定プロファイル登録画面を前記表示部に表示させ、前記入力部に受け付けられたユーザー操作に基づいて、前記
縦置き用スキャン設定プロファイルを生成する、請求項6に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置を検索リストに登録するシステムが開示されている。
【0003】
ユーザーが画像形成装置を使用する場合、まず、ユーザーが所持している携帯端末から、ネットワークに接続されている画像形成装置を管理しているポリシーマネージャーサーバーにアクセスし、ポリシーマネージャーサーバーから画像形成装置の検索リストを取得する。次に、ユーザーは、検索リストに表示される画像形成装置の機種名及びIP(Internet Protocol)アドレス等を参照して所望の画像形成装置を選択する。携帯端末は、ユーザーが選択した画像形成装置のIPアドレス等を用いて画像形成装置にアクセスする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザーが画像形成装置を使用する場合と同様に、ユーザーが画像読取装置を使用する場合も、ユーザー自身が携帯端末を操作して検索リストを取得し、検索リストから所望の画像読取装置を選択する必要がある。このように、ユーザーが画像読取装置を使用する際に操作の手間がかかった。
【0006】
本発明は、ユーザーが画像読取装置を使用する際の操作の手間を省くことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像読取装置は、記憶部と、通信部と、制御部と、画像読取部とを備える。前記記憶部は、携帯端末の識別情報を記憶している。前記通信部は、前記記憶部に識別情報が記憶されている携帯端末と近距離無線通信を行い、前記近距離無線通信の接続が確立すると起動する、前記携帯端末にインストールされているアプリケーションプログラムを介して、前記携帯端末との間でデータの送受信を行う。前記制御部は、前記携帯端末に登録されているスキャン設定プロファイルを、前記通信部に受信させる。前記画像読取部は、前記スキャン設定プロファイルに従って原稿を読み取り、画像データを生成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザーが画像読取装置を使用する際の操作の手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る画像読取システムの全体構成例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態1に係る携帯端末の構成例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態1に係る携帯端末が表示するスキャン設定プロファイル登録画面の一例を示す図である。
【
図4】実施形態1に係る画像読取装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】実施形態1に係る画像読取装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態1に係る画像読取装置が表示するスキャン画面の一例を示す図である。
【
図7】実施形態1に係る画像読取装置が表示するレビュー画面の一例を示す図である。
【
図8】実施形態1に係る画像読取装置が表示するスキャン設定プロファイル変更画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
<実施形態1>
図1~
図8を参照して、実施形態1に係る画像読取システム1について説明する。
図1は、実施形態1に係る画像読取システム1の全体構成例を示すブロック図である。画像読取システム1は、少なくとも、1つ以上の携帯端末2と、1つ以上の画像読取装置3とを含む。画像読取システム1は、携帯端末2と画像読取装置3とに加え、認証サーバー4又は決済サーバー5を含んでもよい。
【0012】
携帯端末2と画像読取装置3とは、近距離無線通信により接続可能である。近距離無線通信は、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)、又はNFC(Near Field Communication)等である。
【0013】
携帯端末2と、画像読取装置3と、認証サーバー4と、決済サーバー5とは、ネットワーク6により接続可能である。ネットワーク6は、LAN、又はインターネット等である。
【0014】
携帯端末2は、スマートフォン、タブレット、及びパーソナルコンピューター等である。画像読取装置3は、少なくとも、原稿を読み取って画像データを生成する画像読取機能を有する。なお、画像読取装置3は、画像をシートに形成する画像形成機能を備えた、画像形成機能付き画像読取装置であってもよい。また、画像読取装置3は、画像読取機能に加え、画像形成機能、ファクシミリを送受信する機能、及び電子メールを送信する機能等を備える複合機であってもよい。
【0015】
認証サーバー4は、携帯端末2を所持しているユーザーを認証する機能を有する。また、認証サーバー4は、携帯端末2を所持しているユーザーが使用可能な画像読取装置3の機能に関する権限を管理していてもよい。
【0016】
決済サーバー5は、携帯端末2を所持しているユーザーが画像読取装置3を使用した際の代金を決済する機能を有する。
【0017】
図2は、実施形態1に係る携帯端末2の構成例を示すブロック図である。携帯端末2は、通信部21、記憶部22、表示部25、入力部26、及び制御部27を含む。
【0018】
通信部21は、画像読取装置3との間で近距離無線通信する。また、通信部21は、必要に応じて、ネットワーク6を介して認証サーバー4及び決済サーバー5と通信する。通信部21は、各種通信規格に対応した通信回路である。
【0019】
記憶部22は、携帯端末識別情報23及び縦置き用スキャン設定プロファイル24等の各種データを記憶する。記憶部22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、RAM(Random Access Memory)、又はROM(Read Only Memory)といった記憶媒体である。
【0020】
携帯端末識別情報23は、携帯端末2を識別する情報である。携帯端末識別情報23は、例えば、Bluetooth(登録商標)のペアリングに使用されるパスコードである。
【0021】
縦置き用スキャン設定プロファイル24は、携帯端末2を所持しているユーザーが登録したスキャン設定プロファイルの一例である。
【0022】
表示部25は、ディスプレーである。入力部26は、物理ボタン又はタッチパネル等である。タッチパネルは、表示部25であるディスプレーの表面に取り付けられていてもよい。以下では、ディスプレーの表面にタッチパネルが取り付けられた構成、即ち、表示部25と入力部26とが一体化された構成であるものとする。
【0023】
制御部27は、携帯端末2が備える各機能の動作を制御する。例えば、通信部21が画像読取装置3との近距離無線通信の接続を確立した場合に、制御部27は、携帯端末2にインストールされているアプリケーションプログラムを起動する。そして、制御部27は、アプリケーションプログラムに従い、通信部21と画像読取装置3との間でデータの送受信を行わせる。また、例えば、制御部27は、アプリケーションプログラムに従い、ユーザーにスキャン設定プロファイルの登録操作をさせる。
【0024】
図3は、実施形態1に係る携帯端末2が表示するスキャン設定プロファイル登録画面25aの一例を示す図である。制御部27は、ユーザーにスキャン設定プロファイルの登録操作をさせる際に、スキャン設定プロファイル登録画面25aを表示部25に表示させる。スキャン設定プロファイル登録画面25aには、原稿向き、解像度、カラーモード、原稿タイプ、ファイル形式、及び裏写り防止といった設定項目が表示されている。例えば、ユーザーが設定項目「原稿向き」を操作することにより、設定内容を「縦」又は「横」に変更する。原稿向きは、ユーザーによって画像読取装置3の原稿送り装置、又はプラテンガラス等の原稿載置面にセットされる原稿の向きである。スキャン設定プロファイル登録画面25aでは、原稿向きが縦、解像度が600×600dpi、カラーモードがフルカラー、原稿タイプが文書、原稿を読み取った画像データのファイル形式がPDF、裏写り防止機能がOFFに設定されている。また、ユーザーが「その他設定項目」ボタンを操作することにより、制御部27は、スキャン設定プロファイル登録画面25aに表示されていない他の設定項目を表示させる。入力部26が「登録」ボタンに対するユーザー操作を受け付けた場合、制御部27は、スキャン設定プロファイル登録画面25aに示される設定項目と設定内容を、縦置き用スキャン設定プロファイル24として、記憶部22に記憶させる。
【0025】
制御部27は、例えば、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーと、ROM及びRAMのようなメモリーとを有する。例えば、制御部27は、メモリーに予め記憶されたアプリケーションプログラムをプロセッサーが実行することにより、アプリケーションプログラムで規定された各種処理を実行する。
【0026】
図4は、実施形態1に係る画像読取装置3の構成例を示すブロック図である。画像読取装置3は、通信部31、記憶部32、表示部35、入力部36、制御部37、画像読取部38、及びOCR(Optical Character Recognition)処理部39を含む。
【0027】
通信部31は、携帯端末2との間で近距離無線通信する。また、通信部31は、必要に応じて、ネットワーク6を介して認証サーバー4及び決済サーバー5と通信する。通信部31は、各種通信規格に対応した通信回路である。
【0028】
記憶部32は、携帯端末識別情報33及び横置き用スキャン設定プロファイル34等の各種データを記憶する。記憶部32は、例えば、HDD、SSD、RAM、又はROMといった記憶媒体である。
【0029】
携帯端末識別情報33は、携帯端末2を識別する情報である。携帯端末識別情報33は、例えば、Bluetooth(登録商標)のペアリングに使用されるパスコードである。携帯端末2と画像読取装置3とがペアリング済みである場合、携帯端末2の記憶部22に記憶されている携帯端末識別情報23と、画像読取装置3の記憶部32に記憶されている携帯端末識別情報33とは、同じである。
【0030】
横置き用スキャン設定プロファイル34は、画像読取装置3に事前に登録されているスキャン設定プロファイルの一例である。横置き用スキャン設定プロファイル34は、携帯端末2を所持しているユーザーが過去に入力部36を操作して登録したものであってもよいし、メーカー等において事前登録された初期プロファイル等であってもよい。なお、記憶部32にスキャン設定プロファイルが記憶されておらず、携帯端末2の記憶部22に、縦置き用スキャン設定プロファイル24と横置き用スキャン設定プロファイル34の両方が記憶されていてもよい。
【0031】
表示部35は、ディスプレーである。入力部36は、物理ボタン又はタッチパネル等である。タッチパネルは、表示部35であるディスプレーの表面に取り付けられていてもよい。以下では、表示部35と入力部36が一体化された構成であるものとする。
【0032】
制御部37は、画像読取装置3が備える各機能の動作を制御する。例えば、制御部37は、携帯端末2を所持しているユーザーが画像読取部38にセットした原稿の向きに応じて、携帯端末2に登録されている縦置き用スキャン設定プロファイル24、又は記憶部32に記憶されている横置き用スキャン設定プロファイル34を取得する。制御部37は、携帯端末2に登録されている縦置き用スキャン設定プロファイル24を取得する場合、通信部31を介して携帯端末2から縦置き用スキャン設定プロファイル24を取得し、取得した縦置き用スキャン設定プロファイル24を画像読取部38へ通知する。また、制御部37は、認証サーバー4に対して、携帯端末2を所持しているユーザーの認証を要求してもよい。また、制御部37は、決済サーバー5に対して、携帯端末2を所持しているユーザーが画像読取装置3を使用した際の代金決済を要求してもよい。
【0033】
画像読取部38は、制御部37から通知されたスキャン設定プロファイルを用いて、原稿送り装置又は原稿載置面にセットされた原稿に対する画像読取処理を行い、画像データを生成する。
【0034】
OCR処理部39は、画像読取部38が生成した画像データに対するOCR処理を行う。OCR処理部39は、OCR処理結果に基づき、画像データの品質が予め定められた品質以上であるか否かを判定する。OCR処理部39は、画像データの品質を文字認識率等に基づいて判定する。OCR処理部39は、画像データの文字認識率が予め定められた閾値以上である場合に、画像データの品質が予め定められた品質以上であると判定する。
【0035】
制御部37及びOCR処理部39は、例えば、CPUのようなプロセッサーと、ROM及びRAMのようなメモリーとを有する。例えば、制御部37及びOCR処理部39は、メモリーに予め記憶されたコンピュータープログラムをプロセッサーが実行することにより、コンピュータープログラムで規定された各種処理を実行する。
【0036】
図5は、実施形態1に係る画像読取装置3の動作例を示すフローチャートである。画像読取装置3は、
図5のフローチャートに示される動作を繰り返す。
【0037】
ここでは、ユーザーが携帯端末2を所持した状態で画像読取装置3の近距離無線通信圏内に移動したものとする。通信部31は、近距離無線通信圏内に入った携帯端末2の通信部21との間で接続を確立する。近距離無線通信の接続が確立すると、携帯端末2の制御部27は、インストールされているアプリケーションプログラムを自動的に起動する。そして、制御部27は、アプリケーションプログラムに従い、記憶部22に記憶されている携帯端末識別情報23を、通信部21をして画像読取装置3へ送信する。携帯端末2が送信した携帯端末識別情報23を、画像読取装置3の通信部31が受信する。
【0038】
ステップS1において、制御部37は、携帯端末2から受信した携帯端末識別情報23に一致する携帯端末識別情報33が記憶部32に存在するか否かを確認する。携帯端末識別情報23に一致する携帯端末識別情報33が記憶部32に存在する場合(ステップS1;Yes)、即ち登録済みの携帯端末2が画像読取装置3の近距離無線通信圏内に存在する場合、制御部37の処理はステップS2へ進む。携帯端末識別情報23に一致する携帯端末識別情報33が記憶部32に存在しない場合(ステップS1;No)、即ち登録済みの携帯端末2が画像読取装置3の近距離無線通信圏内に存在しない場合、制御部37の処理は終了する。
【0039】
なお、登録済みでない携帯端末2が近距離無線通信圏内に存在する場合(ステップS1;No)、制御部37は、この携帯端末2について登録処理を行った後、ステップS2の処理を行ってもよい。
【0040】
ステップS2において、制御部37は、登録済みの携帯端末2を所持しているユーザーの認証を行う。例えば、制御部37は、携帯端末識別情報33のようなユーザーを識別可能な情報を、通信部31を介して認証サーバー4へ通知し、携帯端末2を所持しているユーザーの認証を要求する。制御部37は、通信部31を介して認証サーバー4から、ユーザーの認証結果を受信する。また、制御部37は、ユーザーの認証結果に加え、画像読取装置3の画像読取機能に関するユーザーの使用権限の有無を、通信部31を介して認証サーバー4から受信してもよい。ユーザーの認証が成功した場合、又はユーザーが画像読取機能を使用する権限を有している場合(ステップS2;Yes)、制御部37の処理はステップS3へ進む。ユーザーの認証が失敗した場合、又はユーザーが画像読取機能を使用する権限を有していない場合(ステップS2;No)、制御部37の処理は終了する。
【0041】
なお、上記例では、ユーザー認証を認証サーバー4が行ったが、画像読取装置3が行ってもよい。例えば、画像読取装置3の記憶部32に対して予めユーザー識別情報が登録されており、ステップS2において、制御部37がユーザーの所持しているICカードからユーザー識別情報を読み取って、読み取ったユーザー識別情報が登録済みのユーザー識別情報に一致するか否かを判断する。あるいは、制御部37は、ユーザーが入力部36に対して入力したユーザー識別情報が登録済みのユーザー識別情報に一致するか否かを判断してもよい。
【0042】
認証に成功したユーザーは、画像読取装置3の原稿送り装置又は原稿載置台に、原稿をセットする。この際、制御部37は、ユーザーに対して原稿をセットするよう案内する画面を生成して表示部35に表示させてもよい。
【0043】
ステップS3において、制御部37は、原稿の向きを判定するよう画像読取部38に指示する。画像読取部38は、制御部37からの指示を受け付けると、セットされた原稿の向きを判定する。画像読取部38は、原稿の向きを判定した結果を、制御部37へ通知する。
【0044】
ステップS4において、制御部37は、画像読取部38から通知された原稿の向きに応じたスキャン設定プロファイルを、通信部31を介して携帯端末2から取得する。
【0045】
例えば、画像読取部38から通知された原稿の向きが縦置きである場合、制御部37は、通信部31を通じて携帯端末2へ、縦置き用スキャン設定プロファイル24を要求する。この要求に応じて、携帯端末2の制御部27は、記憶部22に記憶されている縦置き用スキャン設定プロファイル24を取得し、通信部21を介して画像読取装置3へ送信する。
【0046】
また、例えば、画像読取部38から通知された原稿の向きが横置きである場合、制御部37は、通信部31を通じて携帯端末2へ、横置き用スキャン設定プロファイル34を要求する。この要求に応じて、携帯端末2の制御部27は、記憶部22に記憶されている横置き用スキャン設定プロファイル34を取得し、通信部21を介して画像読取装置3へ送信する。
【0047】
なお、制御部27は、画像読取装置3から要求された縦置き用スキャン設定プロファイル24又は横置き用スキャン設定プロファイル34が記憶部22に存在しない場合、その旨の応答を通信部21を介して画像読取装置3へ送信する。
図2の構成例においては、記憶部22に横置き用スキャン設定プロファイル34は存在しない。そのため、制御部27は、画像読取装置3から横置き用スキャン設定プロファイル34が要求された場合、横置き用スキャン設定プロファイル34が存在しない旨の応答を画像読取装置3へ送信する。
【0048】
あるいは、制御部37は、画像読取部38から通知された原稿の向きに基づき、スキャン設定プロファイルを携帯端末2から取得するか否かを判断してもよい。
図4の構成例において、原稿の向きが縦置きである場合、制御部37は、縦置き用スキャン設定プロファイル24が記憶部32に存在しないため、携帯端末2から取得すると判断する。そして、制御部37は、通信部31を介して携帯端末2へ、縦置き用スキャン設定プロファイル24を要求する。この要求に応じて、携帯端末2が縦置き用スキャン設定プロファイル24を画像読取装置3へ送信する。一方、縦置き用スキャン設定プロファイル24が記憶部32に存在する場合、制御部37は、縦置き用スキャン設定プロファイル24を記憶部32から取得すると判断する。
【0049】
なお、携帯端末2の記憶部22にも画像読取装置3の記憶部32にも縦置き用スキャン設定プロファイル24が存在しない場合、制御部37は、スキャン設定プロファイルをユーザーに登録させる。その場合、例えば、制御部37は、スキャン設定プロファイル登録画面25a(
図3)のような登録画面を生成し、表示部35に表示させる。入力部36は、登録画面に対するユーザー操作を受け付ける。制御部37は、入力部36が受け付けたユーザー操作に基づいて縦置き用スキャン設定プロファイル24を生成する。
【0050】
ステップS5において、制御部37は、ステップS4で取得したスキャン設定プロファイルを画像読取部38へ通知する。画像読取部38は、制御部37から通知されたスキャン設定プロファイルを用いて、セットされた原稿に対する画像読取処理を行い、画像データを生成する。
【0051】
なお、制御部37は、ステップS5において、まず、スキャン設定プロファイルの設定内容を示すスキャン画面を生成し、表示部35に表示させてもよい。
図6は、実施形態1に係る画像読取装置3が表示するスキャン画面35aの一例を示す図である。制御部37は、携帯端末2から取得した縦置き用スキャン設定プロファイル24を用いて、スキャン画面35aを生成する。ユーザーは、画像読取処理前に各設定項目の設定内容を確認し、設定内容に問題がなければ「スタート」ボタンを操作する。入力部36は、「スタート」ボタンに対するユーザー操作を受け付ける。制御部37は、入力部36が受け付けたユーザー操作に従い、画像読取部38に対して画像読取処理の開始を指示する。
【0052】
ユーザーは、スキャン画面35aに表示されている設定内容を変更したい場合、設定内容を変更する操作を行う。入力部36は、設定内容を変更するユーザー操作を受け付ける。制御部37は、入力部36が受け付けたユーザー操作に従い、縦置き用スキャン設定プロファイル24を変更する。制御部37は、変更後の縦置き用スキャン設定プロファイル24を通信部31を介して携帯端末2へ送信し、携帯端末2に登録されている縦置き用スキャン設定プロファイル24を変更後の縦置き用スキャン設定プロファイル24に更新させてもよい。
【0053】
ステップS6において、制御部37は、原稿を読み取った画像データを、画像読取部38から受け取り、OCR処理部39へ出力する。OCR処理部39は、制御部37から画像データを受け取ると、画像データに対するOCR処理を行う。OCR処理部39は、OCR処理結果に基づき、画像データの品質が予め定められた品質以上であるか否かを判定する。OCR処理部39は、品質の判定結果を制御部37へ通知する。
【0054】
ステップS7において、制御部37は、画像データの品質判定結果を、OCR処理部39から受け取る。画像データの品質が予め定められた品質以上である場合(ステップS7;Yes)、制御部37の処理はステップS8へ進む。画像データの品質が予め定められた品質未満である場合(ステップS7;No)、制御部37の処理はステップS9へ進む。
【0055】
なお、制御部37は、ステップS7において、画像データのレビュー画面を生成して、制御部37に表示させてもよい。
図7は、実施形態1に係る画像読取装置3が表示するレビュー画面35bの一例を示す図である。レビュー画面35bには、画像読取部38が生成した画像データがスキャン結果として表示されている。また、レビュー画面35bには、「OK」ボタン、「リトライ」ボタン、及び「エラー検出時のみレビュー」ボタンが表示されている。
【0056】
ユーザーが「OK」ボタンを操作した場合、制御部37の処理はステップS8へ進む。ユーザーが「リトライ」ボタンを操作した場合、制御部37の処理はステップS9へ進む。ユーザーが「エラー検出時のみレビュー」ボタンを操作した場合、制御部37は、次回の画像読取処理以降、画像データの品質が予め定められた品質未満だった場合のみレビュー画面35bを表示する。画像データの品質が予め定められた品質以上だった場合、制御部37は、レビュー画面35bを表示せずにステップS8の処理を行う。
【0057】
ステップS8において、制御部37は、通信部31を介して携帯端末2へ、ステップS5にて生成された画像データを送信する。
【0058】
ステップS9において、制御部37は、ステップS4で取得したスキャン設定プロファイルの変更画面を生成する。制御部37は、生成した変更画面を表示部35に表示させる。
図8は、実施形態1に係る画像読取装置3が表示するスキャン設定プロファイル変更画面35cの一例を示す図である。ユーザーは、表示部35に表示されたスキャン設定プロファイル変更画面35cを見ながら、各設定項目の設定内容を変更する操作を入力部36に対して行う。入力部36は、設定内容を変更する操作を受け付ける。制御部37は、入力部36が受け付けた操作に従い、スキャン設定プロファイルを変更し、変更後のスキャン設定プロファイルを画像読取部38へ通知する。その後のステップS5において、画像読取部38は、変更後のスキャン設定プロファイルを用いて、再度、画像読取処理を行う。
【0059】
なお、制御部37は、画像データを携帯端末2へ送信後、画像読取処理に関する代金の決済処理を決済サーバー5に要求してもよい。あるいは、制御部37は、画像データに加えて画像読取処理に関する代金の情報を、携帯端末2に送信してもよい。この場合、携帯端末2の制御部27が、画像データ受信後、代金の決済処理を決済サーバー5に要求すればよい。決済のタイミングは、画像データ送信後に限定されない。
【0060】
以上、
図1~
図8を参照して説明したように、画像読取装置3は、記憶部32と、通信部31と、制御部37と、画像読取部38とを備える。記憶部32は、携帯端末識別情報33を記憶している。通信部31は、記憶部32に携帯端末識別情報33が記憶されている携帯端末2と近距離無線通信を行い、近距離無線通信の接続が確立すると起動する、携帯端末2にインストールされているアプリケーションプログラムを介して、携帯端末2との間でデータの送受信を行う。制御部37は、携帯端末2に登録されているスキャン設定プロファイルを、通信部31に受信させる。画像読取部38は、スキャン設定プロファイルに従って原稿を読み取り、画像データを生成する。このように、画像読取装置3は、近距離無線通信の接続が確立した携帯端末2から自動的にスキャン設定プロファイルを取得して原稿を読み取る構成である。そのため、画像読取装置3は、ユーザーが携帯端末2の表示部25に表示された検索リストから画像読取装置3を選択する操作、及びユーザーが画像読取装置3に対してスキャン設定プロファイルを設定する操作の手間を省くことができる。
【0061】
また、制御部37は、画像読取部38が生成した画像データを、通信部31から携帯端末2へ送信させる。このように、画像読取装置3は、近距離無線通信の接続が確立した携帯端末2へ、読み取った画像データを自動的に送信する構成である。そのため、画像読取装置3は、ユーザーが画像読取装置3の表示部35に表示された操作画面からデータ送信先の携帯端末2を選択する操作の手間を省くことができる。
【0062】
縦置き用スキャン設定プロファイル24と横置き用スキャン設定プロファイル34とは、携帯端末2に登録されている構成であってもよい。この構成において、画像読取部38は、原稿が縦置きか横置きかを判定する。制御部37は、画像読取部38の判定結果に基づき、携帯端末2に登録されている縦置き用スキャン設定プロファイル24又は横置き用スキャン設定プロファイル34を、通信部31に受信させる。このように、画像読取装置3は、原稿の向きに応じたスキャン設定プロファイルを携帯端末2から自動的に取得する構成である。そのため、画像読取装置3は、ユーザーが画像読取装置3に対してスキャン設定プロファイルを設定する操作の手間を省くことができる。
【0063】
なお、縦置き用スキャン設定プロファイル24が携帯端末2と画像読取装置3の一方に登録され、横置き用スキャン設定プロファイル34が携帯端末2と画像読取装置3のもう一方に登録されていてもよい。この場合、画像読取部38は、原稿が縦置きか横置きかを判定する。制御部37は、画像読取部38の判定結果に基づき、スキャン設定プロファイルを携帯端末2から受信するか否かを判断し、携帯端末2から受信すると判断した場合に携帯端末2に登録されているスキャン設定プロファイルを通信部31に受信させる。このように、画像読取装置3は、原稿の向きに応じたスキャン設定プロファイルを携帯端末2から自動的に取得する。また、画像読取装置3は、携帯端末2から取得しないと判断した場合、画像読取装置3に登録されているスキャン設定プロファイルを使用すればよい。そのため、画像読取装置3は、ユーザーが画像読取装置3に対してスキャン設定プロファイルを設定する操作の手間を省くことができる。
【0064】
また、画像読取装置3は、表示部35を備える。表示部35は、画像読取部38が生成した画像データを表示する。この構成により、ユーザーは、好みの状態での読み取りが成功したかどうかを確認できる。
【0065】
また、画像読取装置3は、OCR処理部39を備える。OCR処理部39は、画像読取部38が生成した画像データをOCR処理して画像データの品質が予め定められた品質以上であるか否かを判定する。表示部35は、画像データの品質が予め定められた品質未満であった場合に、ユーザーに対してスキャン設定プロファイル変更の指示を表示する。この構成により、ユーザーは、好みの状態での読み取りが成功したかどうかを確認できる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について、図面(
図1~
図8)を参照しながら説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。下記に変形例1を説明する。
【0067】
<変形例1>
上記の実施形態においては、原稿が縦置きの場合のスキャン設定プロファイルと横置きの場合のスキャン設定プロファイルが存在する構成であったが、この構成に限定されない。例えば、原稿がA4サイズである場合のスキャン設定プロファイルとB5サイズである場合のスキャン設定プロファイルとが存在してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る画像読取装置は、家庭用、業務用を問わず、様々な画像読取装置に適用できる。特に、複数のユーザーに共用される画像読取装置に用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0069】
1 画像読取システム
2 携帯端末
3 画像読取装置
4 認証サーバー
5 決済サーバー
6 ネットワーク
21、31 通信部
22、32 記憶部
23、33 携帯端末識別情報
24 縦置き用スキャン設定プロファイル
25、35 表示部
25a スキャン設定プロファイル登録画面
26、36 入力部
27、37 制御部
34 横置き用スキャン設定プロファイル
35a スキャン画面
35b レビュー画面
35c スキャン設定プロファイル変更画面
38 画像読取部
39 OCR処理部