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特許7663002ステータ、回転電機、駆動装置、および移動体
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  • 特許-ステータ、回転電機、駆動装置、および移動体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】ステータ、回転電機、駆動装置、および移動体
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/18 20060101AFI20250409BHJP
   H02K 15/0273 20250101ALI20250409BHJP
   H02K 15/0278 20250101ALI20250409BHJP
【FI】
H02K1/18 B
H02K15/0273
H02K15/0278
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021036634
(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公開番号】P2022136837
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 篤司
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-082539(JP,A)
【文献】特開2002-233090(JP,A)
【文献】特開2007-221853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/18
H02K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を囲む環状のコアバックおよび前記コアバックから径方向内側に延びる複数のティースを有するステータコアを備え、
前記コアバックは、フラックスバリア部を有し、
前記ステータコアは、
前記ステータコアの径方向外側部分に設けられ、軸方向に延びる穴部と、
前記ステータコアの径方向外側面に設けられた溶接部と、
前記コアバックの外周面から径方向外側に突出する突出部と、
を有し、
前記穴部は、前記突出部に設けられ、
前記溶接部は、前記ステータコアの径方向外側面のうち、軸方向に見て前記穴部と前記中心軸とを結ぶ仮想線上に設けられた第1溶接部を含み、
前記第1溶接部は、前記突出部の径方向外側面に設けられ、
軸方向に見て、前記フラックスバリア部と前記穴部との間の距離は、前記第1溶接部と前記穴部との間の距離よりも大きい、ステータ。
【請求項2】
前記溶接部は、前記コアバックの外周面に設けられた第2溶接部を含む、請求項に記載のステータ。
【請求項3】
前記コアバックは、周方向に間隔を空けて配置された複数の前記フラックスバリア部を有し、
前記第2溶接部は、前記コアバックのうち周方向に隣り合う前記フラックスバリア部同士の間に位置する部分の径方向外側に位置する、請求項に記載のステータ。
【請求項4】
中心軸を囲む環状のコアバックおよび前記コアバックから径方向内側に延びる複数のティースを有するステータコアを備え、
前記コアバックは、周方向に間隔を空けて配置された複数のフラックスバリア部を有し、
前記ステータコアは、
前記ステータコアの径方向外側部分に設けられ、軸方向に延びる穴部と、
前記ステータコアの径方向外側面に設けられた溶接部と、
前記コアバックの外周面から径方向外側に突出する突出部と、
を有し、
前記穴部は、前記突出部に設けられ、
前記溶接部は、
前記ステータコアの径方向外側面のうち、軸方向に見て前記穴部と前記中心軸とを結ぶ仮想線上に設けられた第1溶接部と、
前記コアバックの外周面に設けられた第2溶接部と、
を含み、
前記第1溶接部は、前記突出部の径方向外側面に設けられ、
前記第2溶接部は、前記コアバックのうち周方向に隣り合う前記フラックスバリア部同士の間に位置する部分の径方向外側に位置する、ステータ。
【請求項5】
前記第2溶接部は、前記ティースの径方向外側に位置する、請求項2から4のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項6】
前記溶接部は、前記突出部の径方向外側面のうち周方向位置が前記穴部の周方向位置と異なる部分に設けられた第3溶接部を含む、請求項からのいずれか一項に記載のステータ。
【請求項7】
前記コアバックは、円筒状の外周面を有し、
前記突出部は、前記コアバックの外周面から径方向外側かつ周方向一方側に延びる傾斜面を有し、
軸方向に見て、前記傾斜面は、前記コアバックの外周面のうち前記傾斜面の径方向内側の端部が繋がる接続部に接する接線に沿って延び、
前記第3溶接部は、前記傾斜面のうち前記コアバックの外周面に近い側の周方向端部に設けられている、請求項に記載のステータ。
【請求項8】
中心軸を囲む環状のコアバックおよび前記コアバックから径方向内側に延びる複数のティースを有するステータコアを備え、
前記コアバックは、円筒状の外周面を有し、
前記ステータコアは、
前記ステータコアの径方向外側部分に設けられ、軸方向に延びる穴部と、
前記ステータコアの径方向外側面に設けられた溶接部と、
前記コアバックの外周面から径方向外側に突出する突出部と、
を有し、
前記穴部は、前記突出部に設けられ、
前記溶接部は、
前記ステータコアの径方向外側面のうち、軸方向に見て前記穴部と前記中心軸とを結ぶ仮想線上に設けられた第1溶接部と、
前記突出部の径方向外側面のうち周方向位置が前記穴部の周方向位置と異なる部分に設けられた第3溶接部と、
を含み、
前記第1溶接部は、前記突出部の径方向外側面に設けられ、
前記突出部は、前記コアバックの外周面から径方向外側かつ周方向一方側に延びる傾斜面を有し、
軸方向に見て、前記傾斜面は、前記コアバックの外周面のうち前記傾斜面の径方向内側の端部が繋がる接続部に接する接線に沿って延び、
前記第3溶接部は、前記傾斜面のうち前記コアバックの外周面に近い側の周方向端部に設けられている、ステータ。
【請求項9】
前記コアバックは、周方向に間隔を空けて配置された複数の前記フラックスバリア部を有し、
前記第3溶接部は、前記コアバックのうち周方向に隣り合う前記フラックスバリア部同士の間に位置する部分の径方向外側に位置する、請求項6または7に記載のステータ。
【請求項10】
中心軸を囲む環状のコアバックおよび前記コアバックから径方向内側に延びる複数のティースを有するステータコアを備え、
前記コアバックは、周方向に間隔を空けて配置された複数のフラックスバリア部を有し、
前記ステータコアは、
前記ステータコアの径方向外側部分に設けられ、軸方向に延びる穴部と、
前記ステータコアの径方向外側面に設けられた溶接部と、
前記コアバックの外周面から径方向外側に突出する突出部と、
を有し、
前記穴部は、前記突出部に設けられ、
前記溶接部は、
前記ステータコアの径方向外側面のうち、軸方向に見て前記穴部と前記中心軸とを結ぶ仮想線上に設けられた第1溶接部と、
前記突出部の径方向外側面のうち周方向位置が前記穴部の周方向位置と異なる部分に設けられた第3溶接部と、
を含み、
前記第1溶接部は、前記突出部の径方向外側面に設けられ、
前記第3溶接部は、前記コアバックのうち周方向に隣り合う前記フラックスバリア部同士の間に位置する部分の径方向外側に位置する、ステータ。
【請求項11】
前記第3溶接部は、前記ティースの径方向外側に位置する、請求項から10のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項12】
前記溶接部は、複数設けられ、
複数の前記溶接部は、前記ステータコアの径方向外側面に前記中心軸回りに回転対称に配置されている、請求項1から11のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項13】
複数の前記溶接部は、周方向に沿って等角度で配置されている、請求項12に記載のステータ。
【請求項14】
前記溶接部は、軸方向に延びている、請求項1から13のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のステータと、
前記ステータと隙間を介して対向するロータと、
を備える、回転電機。
【請求項16】
車両に搭載される駆動装置であって、
請求項15に記載の回転電機と、
前記回転電機に接続され、前記回転電機の回転を前記車両の車軸に伝達する伝達装置と、
を備える、駆動装置。
【請求項17】
請求項15に記載の回転電機を備える、移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータ、回転電機、駆動装置、および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
穴部に挿入されるボルトによって固定される固定子鉄心が知られている。例えば、特許文献1には、車載用のモータに利用される固定子鉄心が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-106813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固定子鉄心をボルトで固定する際には、ボルトを締め込む際に生じるねじり方向の力が固定子鉄心に加えられる。そのため、固定子鉄心が変形する恐れがあった。特に、固定子鉄心が積層された複数の板部材によって構成される場合には、板部材が変形する恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、ステータコアが変形することを抑制できる構造を有するステータ、回転電機、駆動装置、および移動体を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のステータの一つの態様は、中心軸を囲む環状のコアバックおよび前記コアバックから径方向内側に延びる複数のティースを有するステータコアを備える。前記ステータコアは、前記ステータコアの径方向外側部分に設けられ、軸方向に延びる穴部と、前記ステータコアの径方向外側面に設けられた溶接部と、を有する。前記溶接部は、前記ステータコアの径方向外側面のうち、軸方向に見て前記穴部と前記中心軸とを結ぶ仮想線上に設けられた第1溶接部を含む。
【0007】
本発明の回転電機の一つの態様は、上記のステータと、前記ステータと隙間を介して対向するロータと、を備える。
【0008】
本発明の駆動装置の一つの態様は、車両に搭載される駆動装置であって、上記の回転電機と、前記回転電機に接続され、前記回転電機の回転を前記車両の車軸に伝達する伝達装置と、を備える。
【0009】
本発明の移動体の一つの態様は、上記の回転電機を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一つの態様によれば、ステータ、回転電機、駆動装置、および移動体において、ステータコアが変形することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態の移動体を示す図である。
図2図2は、一実施形態の駆動装置を模式的に示す概略構成図である。
図3図3は、一実施形態の駆動装置の一部を示す断面図であって、図2におけるIII-III断面図である。
図4図4は、一実施形態のステータおよび冷媒供給部を上側から見た図である。
図5図5は、一実施形態のステータコアおよび冷媒供給部を示す斜視図である。
図6図6は、一実施形態のステータコアを軸方向他方側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すように、本実施形態の移動体1000は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)などのモータを動力源とする車両である。移動体1000は、車体110と、移動体1000の車輪を回転させる駆動装置100と、駆動装置100に電力を供給するバッテリ120と、を備える。駆動装置100およびバッテリ120は、車体110の内部に収容されている。
【0013】
以下の説明では、駆動装置100を備える移動体1000が水平な路面R上に位置する場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。つまり、以下の実施形態において説明する鉛直方向に関する相対位置関係は、駆動装置100を備える移動体1000が水平な路面R上に位置する場合に少なくとも満たしていればよい。
【0014】
図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。以下の説明では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって車両である移動体1000の前後方向である。以下の実施形態において、+X側は、移動体1000における前側であり、-X側は、移動体1000における後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、移動体1000の左右方向、すなわち車幅方向である。以下の実施形態において、+Y側は、移動体1000における左側であり、-Y側は、移動体1000における右側である。前後方向および左右方向は、鉛直方向と直交する水平方向である。
【0015】
なお、前後方向の位置関係は、以下の実施形態の位置関係に限られず、+X側が移動体1000の後側であり、-X側が移動体1000の前側であってもよい。この場合には、+Y側は、移動体1000の右側であり、-Y側は、移動体1000の左側である。また、本明細書において、「平行な方向」は略平行な方向も含み、「直交する方向」は略直交する方向も含む。
【0016】
適宜図に示す中心軸Jは、鉛直方向と交差する方向に延びる仮想軸である。より詳細には、中心軸Jは、鉛直方向と直交するY軸方向、つまり移動体1000の左右方向に延びている。以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、つまり中心軸Jの軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。軸方向のうち左側(+Y側)を「軸方向一方側」と呼び、軸方向のうち右側(-Y側)を「軸方向他方側」と呼ぶ。
【0017】
適宜図に示す矢印θは、周方向を示している。以下の説明においては、周方向のうち右側から見て中心軸Jを中心として時計回りに進む側、すなわち矢印θが向く側(+θ側)を「周方向一方側」と呼び、周方向のうち右側から見て中心軸Jを中心として反時計回りに進む側、すなわち矢印θが向く側と逆側(-θ側)を「周方向他方側」と呼ぶ。
【0018】
図2に示す本実施形態の駆動装置100は、車両である移動体1000に搭載され、移動体1000の車軸64を回転させる駆動装置である。図2に示すように、駆動装置100は、回転電機10と、伝達装置60と、を備える。つまり、移動体1000は、回転電機10と、伝達装置60と、を備える。伝達装置60は、回転電機10に接続され、回転電機10の回転、つまり後述するロータ30の回転を移動体1000の車軸64に伝達する。本実施形態の伝達装置60は、ギヤハウジング61と、回転電機10に接続される減速装置62と、減速装置62に接続される差動装置63と、を有する。
【0019】
ギヤハウジング61は、減速装置62と差動装置63とオイルOとを内部に収容している。オイルOは、ギヤハウジング61内の下部領域に貯留されている。オイルOは、後述する冷媒流路90内を循環する。オイルOは、回転電機10を冷却する冷媒として使用される。また、オイルOは、減速装置62および差動装置63に対して潤滑油として使用される。オイルOとしては、例えば、冷媒および潤滑油の機能を奏するために、比較的粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
【0020】
差動装置63は、リングギヤ63aを有する。リングギヤ63aには、回転電機10から出力されるトルクが減速装置62を介して伝えられる。リングギヤ63aの下側の端部は、ギヤハウジング61内に貯留されたオイルOに浸漬している。リングギヤ63aが回転することで、オイルOがかき上げられる。かき上げられたオイルOは、例えば、減速装置62および差動装置63に潤滑油として供給される。
【0021】
回転電機10は、駆動装置100を駆動する部分である。回転電機10は、例えば、伝達装置60の軸方向他方側に位置する。本実施形態において回転電機10は、モータである。回転電機10は、モータハウジング20と、中心軸Jを中心として回転可能なロータ30と、ステータ40と、冷媒供給部50と、を備える。
【0022】
モータハウジング20は、ロータ30およびステータ40を内部に収容するハウジングである。モータハウジング20は、ギヤハウジング61の軸方向他方側に繋がっている。モータハウジング20は、周壁部21と、隔壁部22と、蓋部23と、を有する。周壁部21と隔壁部22とは、例えば、同一の単一部材の一部である。蓋部23は、例えば、周壁部21および隔壁部22とは別体である。
【0023】
周壁部21は、中心軸Jを囲み、軸方向他方側に開口する筒状である。隔壁部22は、周壁部21の軸方向一方側の端部に繋がっている。隔壁部22は、モータハウジング20の内部とギヤハウジング61の内部とを軸方向に隔てている。隔壁部22は、モータハウジング20の内部とギヤハウジング61の内部とを繋ぐ隔壁開口22aを有する。隔壁部22には、ベアリング34が保持されている。蓋部23は、周壁部21の軸方向他方側の端部に固定されている。蓋部23は、周壁部21の軸方向他方側の開口を塞いでいる。蓋部23には、ベアリング35が保持されている。
【0024】
図3に示すように、モータハウジング20は、支持部24を有する。支持部24は、周壁部21の内周面に設けられている。支持部24は、径方向内側に突出している。支持部24の径方向内側の面は、中心軸Jを中心とする円弧状の曲面である。支持部24の径方向内側の面は、ステータ40の後述するステータコア本体43の外周面43cに接触している。これにより、支持部24は、径方向外側からステータ40を支持している。支持部24は、軸方向に延びている。図示は省略するが、支持部24は、周方向に沿って間隔を空けて複数設けられている。
【0025】
本実施形態において支持部24は、冷媒供給部50の周方向一方側(+θ側)に対向して配置された対向支持部24aを含む。対向支持部24aは、ステータ40の上側に位置する。対向支持部24aは、下側に突出している。対向支持部24aは、対向支持部24aを周方向に貫通する貫通溝24bを有する。貫通溝24bは、対向支持部24aの径方向内側面から径方向外側に窪んでいる。図4に示すように、本実施形態において貫通溝24bは、軸方向に間隔を空けて複数設けられている。貫通溝24bは、例えば、2つ設けられている。対向支持部24aの軸方向一方側の端部は、後述するステータコア本体43の軸方向一方側の端部よりも軸方向他方側に位置する。モータハウジング20の内周面のうち対向支持部24aの軸方向一方側に位置する部分は、ステータコア本体43の外周面43cと隙間を介して径方向に対向している。
【0026】
図2に示すように、ロータ30は、ステータ40と隙間を介して対向している。ロータ30は、シャフト31と、ロータ本体32と、を有する。図示は省略するが、ロータ本体32は、ロータコアと、ロータコアに固定されたロータマグネットと、を有する。ロータ30のトルクは、伝達装置60に伝達される。
【0027】
シャフト31は、中心軸Jを中心として回転可能である。シャフト31は、ベアリング34,35によって回転可能に支持されている。本実施形態においてシャフト31は、中空シャフトである。シャフト31は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円筒状である。シャフト31には、シャフト31の内部とシャフト31の外部とを繋ぐ孔部33が設けられている。シャフト31は、モータハウジング20の内部とギヤハウジング61の内部とに跨って延びている。シャフト31の軸方向一方側の端部は、ギヤハウジング61の内部に突出している。シャフト31の軸方向一方側の端部には、減速装置62が接続されている。
【0028】
ステータ40は、ロータ30と径方向に隙間を介して対向している。より詳細には、ステータ40は、ロータ30の径方向外側に位置する。ステータ40は、モータハウジング20の内部に固定されている。ステータ40は、ステータコア41と、コイルアセンブリ42と、を備える。
【0029】
ステータコア41は、回転電機10の中心軸Jを囲む環状である。ステータコア41は、ロータ30の径方向外側に位置する。ステータコア41は、ロータ30を囲んでいる。図4に示すように、ステータコア41は、例えば、電磁鋼板などの板部材41aが軸方向に複数積層されて構成されている。軸方向に隣り合う板部材41a同士は、例えば、一部がカシメられて互いに固定されている。図5および図6に示すように、本実施形態においてステータコア41は、中心軸J回りに4回対称な形状である。
【0030】
ステータコア41は、ステータコア本体43と、突出部49と、を有する。ステータコア本体43は、ロータ30を囲む環状である。より詳細には、ステータコア本体43は、中心軸Jを中心として軸方向両側に開口する円筒状である。ステータコア本体43は、ロータ30を囲む円筒状の外周面43cを有する。本実施形態において外周面43cは、中心軸Jを中心とする円筒状である。外周面43cは、ステータコア41の外周面の一部を構成している。本実施形態においてステータコア41の外周面、すなわちステータコア41の径方向外側面は、外周面43cと、突出部49の径方向外側面と、によって構成されている。図3に示すように、外周面43cは、モータハウジング20の内周面に設けられた支持部24によって径方向外側から支持されている。外周面43cは、モータハウジング20の内周面のうち支持部24が設けられていない部分と隙間を介して径方向に対向して配置されている。
【0031】
図3図5、および図6に示すように、ステータコア本体43は、軸方向に延びる円筒状のコアバック43aと、コアバック43aから径方向内側に延びる複数のティース43bと、を有する。つまり、ステータコア41は、コアバック43aと、複数のティース43bと、を有する。コアバック43aは、中心軸Jを囲む環状である。コアバック43aの外周面は、ステータコア本体43の外周面43cである。つまり、コアバック43aは、円筒状の外周面43cを有する。複数のティース43bは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。
【0032】
本実施形態においてコアバック43aは、周方向に間隔を空けて配置された複数のフラックスバリア部48を有する。本明細書において「フラックスバリア部」とは、磁束の流れを抑制できる部分である。つまり、フラックスバリア部には、磁束が通りにくい。フラックスバリア部は、磁束の流れを抑制できるならば、特に限定されず、空隙部を含んでもよいし、樹脂部等の非磁性部を含んでもよい。本実施形態においてフラックスバリア部48は、コアバック43aを軸方向に貫通する孔によって構成された空隙部である。フラックスバリア部48を構成する孔は、例えば、円形状の孔である。
【0033】
複数のフラックスバリア部48は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。複数のフラックスバリア部48は、周方向に隣り合うティース43b同士の間にそれぞれ設けられたスロット部の径方向外側にそれぞれ配置されている。フラックスバリア部48の内径は、周方向に隣り合うティース43b同士の間隔、すなわちスロット部の周方向の寸法以下である。本実施形態においてフラックスバリア部48は、コアバック43aの内周面と外周面43cとの径方向の間における中央に位置する。
【0034】
突出部49は、コアバック43aの外周面43cから径方向外側に突出している。突出部49は、モータハウジング20に固定された固定部である。図5に示すように、突出部49は、軸方向に延びている。突出部49は、例えば、ステータコア本体43の軸方向一方側の端部からステータコア本体43の軸方向他方側の端部まで延びている。突出部49は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。突出部49は、例えば、4つ設けられている。
【0035】
突出部49は、第1突出部44と、第2突出部45と、第3突出部46と、第4突出部47と、を含む。第1突出部44と第2突出部45と第3突出部46と第4突出部47とは、互いに周方向に間隔を空けて配置されている。本実施形態において第1突出部44および第2突出部45は、中心軸Jよりも上側に位置する。本実施形態において第3突出部46および第4突出部47は、中心軸Jよりも下側に位置する。第1突出部44と第2突出部45と第3突出部46と第4突出部47とは、例えば、周方向の一周に亘って等間隔に配置されている。第1突出部44と第2突出部45と第3突出部46と第4突出部47とは、例えば、互いに同じ形状である。そのため、以下の説明においては、第1突出部44以外の突出部49については、形状の説明を省略する場合がある。本実施形態において各突出部49は、周方向に非対称な形状である。
【0036】
第1突出部44は、ステータコア本体43の前側部分の上側の端部に設けられている。第1突出部44は、ステータコア本体43から上側斜め前方に突出している。第2突出部45は、ステータコア本体43の後側部分の上側の端部に設けられている。第2突出部45は、ステータコア本体43から上側斜め後方に突出している。第3突出部46は、ステータコア本体43の後側部分の下側の端部に設けられている。第3突出部46は、ステータコア本体43から下側斜め後方に突出している。第4突出部47は、ステータコア本体43の前側部分の下側の端部に設けられている。第4突出部47は、ステータコア本体43から下側斜め前方に突出している。
【0037】
図3に示すように、第1突出部44は、冷媒供給部50の周方向一方側(+θ側)に位置する。第1突出部44は、対向支持部24aよりも周方向一方側に位置する。本実施形態において第1突出部44は、ステータコア本体43の上側の頂点VPよりも周方向一方側に位置する。頂点VPは、ステータコア本体43の外周面43cのうち最も上側に位置する部分である。頂点VPは、軸方向に見て、ステータコア本体43の外周面43cのうち、中心軸Jを通って鉛直方向に延びる仮想線CLと交わる部分である。頂点VPは、例えば、対向支持部24aによって上側から支持されている。本実施形態において第1突出部44の径方向外端部は、頂点VPよりも下側に位置する。
【0038】
第1突出部44は、モータハウジング20の内周面から離れて配置されている。第1突出部44の周方向の寸法は、径方向外側に向かうに従って小さくなっている。第1突出部44の径方向外端部の外形は、軸方向に見て、径方向外側に凸となる円弧状である。第1突出部44のうち周方向他方側(-θ側)を向く第1側面44aは、ステータコア本体43の外周面43cから径方向外側に向かうに従って周方向一方側(+θ側)に位置する傾斜面である。つまり、第1突出部44は、コアバック43aの外周面43cから径方向外側かつ周方向一方側に延びる傾斜面として第1側面44aを有する。本実施形態において第1側面44aは、上側斜め前方を向いている。
【0039】
第1側面44aの径方向内側の端部は、ステータコア本体43の外周面43c、すなわちコアバック43aの外周面43cに繋がっている。中心軸Jの軸方向に見て、第1側面44aは、コアバック43aの外周面43cのうち第1側面44aの径方向内側の端部が繋がる接続部P1aに接する接線TL1aに沿って延びている。本実施形態において接続部P1aは、頂点VPよりも前側かつ下側に位置する。接線TL1aは、軸方向に見て、前後方向(X軸方向)に対して斜めに傾いている。接線TL1aは、前側に向かうに従って下側に位置する。
【0040】
第1側面44aは、ステータコア本体43の外周面43cに滑らかに繋がっている。第1側面44aは、例えば、軸方向に見て、直線状に延びている。第1側面44aは、軸方向に見て、接続部P1aから前側斜め下方に延びている。本実施形態において第1側面44aは、後述する第1供給口54から周方向に離れるに従って下側に位置する。第1側面44aは、駆動装置100が搭載される移動体1000における前側に向かうに従って下側に位置する。
【0041】
第1突出部44のうち周方向一方側(+θ側)を向く第2側面44bは、ステータコア本体43の外周面43cから径方向外側に向かうに従って周方向他方側(-θ側)に位置する傾斜面である。本実施形態において第2側面44bは、前側斜め下方を向いている。
【0042】
第2側面44bの径方向内側の端部は、ステータコア本体43の外周面43cに繋がっている。中心軸Jの軸方向に見て、第2側面44bは、ステータコア本体43の外周面43cのうち第2側面44bの径方向内側の端部が繋がる接続部P1bに接する接線TL1bよりも径方向外側に傾いた向きに延びている。本実施形態において接続部P1bは、接続部P1aよりも前側かつ下側に位置する。接線TL1bは、軸方向に見て、前後方向に対して斜めに傾いている。接線TL1bは、前側に向かうに従って下側に位置する。接線TL1bの前後方向に対する傾きは、接線TL1aの前後方向に対する傾きよりも大きい。
【0043】
第2側面44bは、ステータコア本体43の外周面43cに滑らかに繋がっている。第2側面44bは、例えば、軸方向に見て、直線状に延びている。第2側面44bは、軸方向に見て、接続部P1bから上側斜め前方に延びている。
【0044】
第2突出部45は、冷媒供給部50の周方向他方側(-θ側)に位置する。第2突出部45は、対向支持部24aよりも周方向他方側に位置する。本実施形態において第2突出部45は、ステータコア本体43の上側の頂点VPよりも周方向他方側に位置する。本実施形態において第2突出部45の径方向外端部は、第1突出部44の径方向外端部よりも上側に位置する。第2突出部45の上側の端部は、例えば、頂点VPよりも上側に位置する。
【0045】
第2突出部45のうち周方向一方側(+θ側)を向く第3側面45aは、ステータコア本体43の外周面43cから径方向外側に向かうに従って周方向他方側(-θ側)に位置する傾斜面である。本実施形態において第3側面45aは、上側斜め前方を向いている。
【0046】
第3側面45aの径方向内側の端部は、ステータコア本体43の外周面43cに繋がっている。中心軸Jの軸方向に見て、第3側面45aは、ステータコア本体43の外周面43cのうち第3側面45aの径方向内側の端部が繋がる接続部P2aに接する接線TL2aよりも径方向外側に傾いた向きに延びている。本実施形態において接続部P2aは、頂点VPよりも後側かつ下側に位置する。接線TL2aは、軸方向に見て、前後方向に対して斜めに傾いている。接線TL2aは、前側に向かうに従って上側に位置する。
【0047】
第3側面45aは、ステータコア本体43の外周面43cに滑らかに繋がっている。第3側面45aは、例えば、軸方向に見て、直線状に延びている。第3側面45aは、軸方向に見て、接続部P2aから後側斜め上方に延びている。
【0048】
第2突出部45のうち周方向他方側(-θ側)を向く第4側面45bは、ステータコア本体43の外周面43cから径方向外側に向かうに従って周方向一方側(+θ側)に位置する傾斜面である。つまり、第2突出部45は、コアバック43aの外周面43cから径方向外側かつ周方向一方側に延びる傾斜面として第4側面45bを有する。本実施形態において第4側面45bは、後側斜め上方を向いている。
【0049】
第4側面45bの径方向内側の端部は、ステータコア本体43の外周面43c、すなわちコアバック43aの外周面43cに繋がっている。中心軸Jの軸方向に見て、第4側面45bは、ステータコア本体43の外周面43cのうち第4側面45bの径方向内側の端部が繋がる接続部P2bに接する接線TL2bに沿って延びている。本実施形態において接続部P2bは、接続部P2aよりも後側かつ下側に位置する。接線TL2bは、軸方向に見て、前後方向に対して斜めに傾いている。接線TL2bは、前側に向かうに従って上側に位置する。接線TL2bの前後方向に対する傾きは、接線TL2aの前後方向に対する傾きよりも大きい。
【0050】
第4側面45bは、ステータコア本体43の外周面43cに滑らかに繋がっている。第4側面45bは、例えば、軸方向に見て、直線状に延びている。第4側面45bは、軸方向に見て、接続部P2bから上側斜め前方に延びている。
【0051】
ステータコア41は、ステータコア41の径方向外側部分に設けられた穴部49aを有する。ステータコア41の径方向外側部分とは、ステータコア41のうち、ステータコア41の径方向の中心よりも径方向外側に位置する部分である。ステータコア41の径方向外側部分は、例えば、コアバック43aと突出部49とを含む。本実施形態において穴部49aは、突出部49に設けられている。穴部49aは、突出部49ごとに1つずつ設けられている。
【0052】
穴部49aは、軸方向に延びている。本実施形態において穴部49aは、突出部49を軸方向に貫通する貫通孔である。穴部49aは、例えば、円形状の孔である。穴部49aには、軸方向に延びるボルト25が通されている。図示は省略するが、ボルト25は、例えば、軸方向他方側(-Y側)から穴部49aに通されて、モータハウジング20に設けられた雌ネジ穴に締め込まれている。これにより、突出部49は、ボルト25によってモータハウジング20に固定されている。突出部49とボルト25との間には、ワッシャ26が設けられている。ワッシャ26は、板面が軸方向を向く板状であり、ボルト25を囲む円環状である。
【0053】
図5に示すように、ステータコア41は、ステータコア41の径方向外側面に設けられた溶接部80を有する。本実施形態において溶接部80は、軸方向に延びている。より詳細には、溶接部80は、ステータコア41の軸方向一方側の端部から軸方向他方側の端部まで延びている。溶接部80は、ステータコア41の径方向外側面の一部が溶接されることで作られた部分である。本実施形態において溶接部80は、ステータコア41の径方向外側面に設けられた溶接溝41bの溝底面が溶接されて作られている。
【0054】
溶接溝41bは、ステータコア41の径方向外側面から径方向内側に凹んでいる。溶接溝41bは、軸方向に延びている。より詳細には、溶接溝41bは、ステータコア41の軸方向一方側の端部から軸方向他方側の端部まで延びている。溶接溝41bは、軸方向両側に開口している。溶接溝41bの溝底面は、溶接溝41bの内面のうち径方向外側を向く面である。溶接部80が作られる溶接方法は、特に限定されず、アーク溶接であってもよいし、レーザ溶接であってもよい。溶接部80は、複数の板部材41aに跨って設けられ、複数の板部材41a同士を固定している。本実施形態において溶接部80は、複数設けられている。
【0055】
複数の溶接部80は、周方向に沿って間隔を空けて配置されている。図6に示すように、本実施形態において複数の溶接部80は、周方向に沿って等角度で配置されている。つまり、ステータコア41の径方向外側面上において周方向に隣り合う溶接部80同士の間の周方向の角度φは、いずれの溶接部80同士の間においても同じである。本実施形態において溶接部80は、12個設けられている。12個の溶接部80は、ステータコア41の径方向外側面を周方向に12等分する位置にそれぞれ設けられている。本実施形態において角度φは、30°である。
【0056】
複数の溶接部80は、ステータコア41の径方向外側面に中心軸J回りに回転対称に配置されている。本実施形態において複数の溶接部80は、ステータコア41の径方向外側面に中心軸J回りに4回対称に配置されている。つまり、ステータコア41を中心軸J回りに90°回転させた場合、回転した後のステータコア41における各溶接部80は、回転する前のステータコア41における各溶接部80があった位置にそれぞれ重なる。本実施形態において複数の溶接部80は、第1溶接部81と、第2溶接部82と、第3溶接部83と、を含む。
【0057】
第1溶接部81は、ステータコア41の径方向外側面のうち、軸方向に見て穴部49aと中心軸Jとを通る仮想線IL1上に設けられた溶接部80である。仮想線IL1は、軸方向に見て、穴部49aの中心と中心軸Jとを通って径方向に延びている。本実施形態において仮想線IL1は、軸方向に見て、1つのティース43bの周方向中心と、周方向に隣り合うフラックスバリア部48同士の間における周方向中心と、を通っている。本実施形態において第1溶接部81は、突出部49の径方向外側面に設けられている。より詳細には、第1溶接部81は、突出部49の径方向外側の端部における径方向外側面に設けられている。第1溶接部81は、穴部49aの径方向外側に位置する。
【0058】
本実施形態において第1溶接部81は、複数設けられている。第1溶接部81は、第1突出部44と第2突出部45と第3突出部46と第4突出部47とのそれぞれに1つずつ設けられている。つまり、本実施形態において第1溶接部81は、合計で4つ設けられている。
【0059】
図3に示すように、軸方向に見て、フラックスバリア部48と穴部49aとの間の距離L2は、第1溶接部81と穴部49aとの間の距離L1よりも大きい。距離L1は、第1溶接部81と、当該第1溶接部81が設けられた突出部49における穴部49aとの間の最短距離である。距離L1は、第1溶接部81と穴部49aとの間の径方向の距離である。距離L2は、穴部49aと、当該穴部49aに最も近いフラックスバリア部48との間の最短距離である。距離L2は、例えば、距離L1の2倍以上である。
【0060】
第2溶接部82は、コアバック43aの外周面43cに設けられた溶接部80である。図6に示すように、本実施形態において第2溶接部82は、複数設けられている。第2溶接部82は、外周面43cのうち周方向に隣り合う突出部49同士の間に位置する部分にそれぞれ設けられている。より詳細には、第2溶接部82は、外周面43cのうち第1突出部44と第2突出部45との周方向の間に位置する部分と、外周面43cのうち第2突出部45と第3突出部46との周方向の間に位置する部分と、外周面43cのうち第3突出部46と第4突出部47との周方向の間に位置する部分と、外周面43cのうち第4突出部47と第1突出部44との周方向の間に位置する部分と、にそれぞれ設けられている。つまり、本実施形態において第2溶接部82は、合計で4つ設けられている。
【0061】
各第2溶接部82は、各突出部49同士の間において、周方向他方側(-θ側)寄りに配置されている。例えば、外周面43cのうち第1突出部44と第2突出部45との周方向の間に位置する部分に設けられた第2溶接部82は、第1側面44aよりも第3側面45aに周方向に近い位置に設けられている。図3に示すように、外周面43cのうち第1突出部44と第2突出部45との周方向の間に位置する部分に設けられた第2溶接部82は、頂点VPよりも周方向他方側に位置する。
【0062】
本実施形態において第2溶接部82は、コアバック43aのうち周方向に隣り合うフラックスバリア部48同士の間に位置する部分の径方向外側に位置する。第2溶接部82は、1つのティース43bの径方向外側に位置する。図6に示すように、軸方向に見て、第2溶接部82と中心軸Jとを結ぶ仮想線IL2は、1つのティース43bの周方向中心と、周方向に隣り合うフラックスバリア部48同士の間における周方向中心と、を通っている。
【0063】
第3溶接部83は、突出部49の径方向外側面のうち周方向位置が穴部49aの周方向位置と異なる部分に設けられた溶接部80である。本実施形態において第3溶接部83は、複数設けられている。第3溶接部83は、第1突出部44と第2突出部45と第3突出部46と第4突出部47とのそれぞれに1つずつ設けられている。つまり、本実施形態において第3溶接部83は、合計で4つ設けられている。
【0064】
第3溶接部83は、各突出部49における周方向他方側(-θ側)を向く側面に設けられている。より詳細には、第3溶接部83は、各突出部49における周方向他方側を向く側面のうちコアバック43aの外周面43cに近い側(-θ側)の周方向端部に設けられている。第1突出部44における周方向他方側を向く側面は、傾斜面としての第1側面44aである。第2突出部45における周方向他方側を向く側面は、傾斜面としての第4側面45bである。
【0065】
本実施形態において第3溶接部83は、コアバック43aのうち周方向に隣り合うフラックスバリア部48同士の間に位置する部分の径方向外側に位置する。第3溶接部83は、1つのティース43bの径方向外側に位置する。軸方向に見て、第3溶接部83と中心軸Jとを結ぶ仮想線IL3は、1つのティース43bの周方向中心と、周方向に隣り合うフラックスバリア部48同士の間における周方向中心と、を通っている。
【0066】
第1溶接部81と第2溶接部82と第3溶接部83とは、ステータコア41の径方向外側面上において、周方向一方側(+θ側)に向かってこの順に交互に配置されている。本実施形態では、ステータコア41における上側の面、前側(+X側)の面、下側の面、および後側(-X側)の面に、それぞれ第2溶接部82と第3溶接部83とが1つずつ設けられている。第1溶接部81は、ステータコア41における前側の面と上側の面との境界部と、ステータコア41における上側の面と後側の面との境界部と、ステータコア41における後側の面と下側の面との境界部と、ステータコア41における下側の面と前側の面との境界部とにそれぞれ設けられている。本実施形態において第1溶接部81は、第2溶接部82および第3溶接部83よりも径方向外側に位置する。
【0067】
図2に示すように、コイルアセンブリ42は、周方向に沿ってステータコア41に取り付けられる複数のコイル42cを有する。複数のコイル42cは、図示しないインシュレータを介してステータコア41の各ティース43bにそれぞれ装着されている。複数のコイル42cは、周方向に沿って配置されている。より詳細には、複数のコイル42cは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。図示は省略するが、コイルアセンブリ42は、各コイル42cを結束する結束部材などを有してもよいし、各コイル42c同士を繋ぐ渡り線を有してもよい。
【0068】
コイルアセンブリ42は、ステータコア41から軸方向に突出するコイルエンド42a,42bを有する。コイルエンド42aは、ステータコア41から軸方向一方側に突出する部分である。コイルエンド42bは、ステータコア41から軸方向他方側に突出する部分である。コイルエンド42aは、コイルアセンブリ42に含まれる各コイル42cのうちステータコア41よりも軸方向一方側に突出する部分を含む。コイルエンド42bは、コイルアセンブリ42に含まれる各コイル42cのうちステータコア41よりも軸方向他方側に突出する部分を含む。本実施形態においてコイルエンド42a,42bは、中心軸Jを中心とする円環状である。図示は省略するが、コイルエンド42a,42bは、各コイル42cを結束する結束部材などを含んでもよいし、各コイル42c同士を繋ぐ渡り線を含んでもよい。
【0069】
本実施形態において冷媒供給部50は、軸方向に延びる管状である。言い換えれば、本実施形態において冷媒供給部50は、軸方向に延びるパイプである。冷媒供給部50の軸方向両端部は、モータハウジング20に支持されている。冷媒供給部50の軸方向一方側の端部は、例えば、隔壁部22に支持されている。冷媒供給部50の軸方向他方側の端部は、例えば、蓋部23に支持されている。冷媒供給部50は、ステータ40の径方向外側に位置する。本実施形態において冷媒供給部50は、ステータ40の上側に位置する。
【0070】
図3に示すように、冷媒供給部50は、第1突出部44と第2突出部45との周方向の間に位置する。冷媒供給部50は、対向支持部24aと第2突出部45との周方向の間に位置する。本実施形態において冷媒供給部50は、周方向において第1突出部44よりも第2突出部45に近い位置に配置されている。冷媒供給部50は、例えば、第2突出部45とステータコア本体43との境界部の上側に位置する。冷媒供給部50は、接続部P2aの上側に位置する。冷媒供給部50は、鉛直方向に見て、第2突出部45の第3側面45aにおける周方向一方側(+θ側)の端部、およびステータコア本体43の外周面43cに重なって配置されている。図5に示すように、冷媒供給部50は、幅広部51と、流入口部52と、流出口部53と、を有する。
【0071】
図4に示すように、本実施形態では、冷媒供給部50のうち流入口部52および流出口部53を除く全体が幅広部51となっている。本実施形態において幅広部51は、冷媒供給部50の本体部分である。ステータコア41に対する幅広部51の配置関係は、上述したステータコア41に対する冷媒供給部50に対する配置関係と同様である。幅広部51は、ステータ40の径方向外側に位置する。本実施形態において幅広部51は、ステータ40の上側に位置する。幅広部51は、対向支持部24aと第2突出部45との周方向の間に位置する。
【0072】
幅広部51の軸方向の寸法は、ステータコア41の軸方向の寸法よりも大きい。幅広部51は、ステータコア41よりも軸方向両側に突出している。幅広部51は、ステータコア41の上側とコイルエンド42a,42bの上側とに跨って配置されている。幅広部51のうちステータコア41よりも軸方向一方側に突出する部分は、コイルエンド42aの上側に位置する。幅広部51のうちステータコア41よりも軸方向他方側に突出する部分は、コイルエンド42bの上側に位置する。
【0073】
幅広部51は、周方向の寸法が径方向の寸法よりも大きい部分である。図3に示すように、幅広部51は、例えば、円筒が径方向に潰されたような形状、つまり径方向に扁平な略楕円形筒状である。幅広部51の径方向内側の面は、ステータコア41の外周面と径方向に対向する対向面51aである。対向面51aは、ステータコア本体43の外周面43cと径方向に対向している。対向面51aは、ステータコア41の外周面に沿った形状、つまり本実施形態ではステータコア本体43の外周面43cに沿った形状である。対向面51aは、径方向外側に凹む曲面である。対向面51aは、軸方向に見て、中心軸Jを中心とし、径方向外側に凸となる円弧状である。対向面51aと外周面43cとの径方向の隙間は、例えば、貫通溝24bの径方向の深さよりも小さい。
【0074】
図4に示すように、流入口部52は、幅広部51の軸方向一方側の端部に繋がっている。流入口部52は、軸方向一方側に開口する円筒状である。流入口部52は、冷媒供給部50の軸方向一方側の端部である。流入口部52は、例えば、隔壁部22に設けられた図示しない穴に嵌め込まれて、隔壁部22に支持されている。冷媒供給部50の内部には、流入口部52からオイルOが流入する。
【0075】
流出口部53は、幅広部51の軸方向他方側の端部に繋がっている。流出口部53は、軸方向他方側に開口する円筒状である。流出口部53は、冷媒供給部50の軸方向他方側の端部である。流出口部53は、例えば、蓋部23に設けられた図示しない穴に嵌め込まれて、蓋部23に支持されている。流入口部52から冷媒供給部50の内部に流入したオイルOの一部は、流出口部53から流出する。本実施形態において冷媒供給部50内におけるオイルOの流れる向きは、軸方向一方側から軸方向他方側に流れる向きである。つまり、冷媒供給部50内のオイルOの流れ方向において、軸方向一方側は上流側であり、軸方向他方側は下流側である。
【0076】
冷媒供給部50は、ステータ40に冷媒としてのオイルOを供給する供給口50aを有する。本実施形態において供給口50aは、冷媒供給部50内に流入したオイルOの一部を冷媒供給部50の外部に噴射させる噴射口である。供給口50aは、複数設けられている。本実施形態において、全ての供給口50aは、幅広部51に設けられている。つまり、幅広部51は、供給口50aを少なくとも1つ有する。
【0077】
供給口50aは、管状の冷媒供給部50の壁部を内周面から外周面まで貫通する孔によって構成されている。供給口50aは、管状の冷媒供給部50の壁部を内周面から外周面まで貫通する孔の開口部のうち、冷媒供給部50の外周面に開口する開口部である。供給口50aは、例えば、円形状である。本実施形態において幅広部51に設けられた供給口50aは、第1供給口54と、第2供給口55と、第3供給口56と、を含む。
【0078】
第1供給口54は、ステータコア41に冷媒としてのオイルOを供給する供給口50aである。第1供給口54は、周方向一方側(+θ側)に開口する供給口50aである。図3に示すように、本実施形態において第1供給口54は、ステータコア本体43の頂点VPよりも周方向他方側(-θ側)に位置する。第1供給口54は、ステータコア本体43の上側に位置する。第1供給口54の周方向一方側には、対向支持部24aおよび第1突出部44が位置する。
【0079】
第1供給口54は、幅広部51の周方向一方側(+θ側)の端部における径方向内側寄りの部分に設けられている。本実施形態において第1供給口54は、周方向に対して径方向内側に斜めに傾いた向きに開口している。図4に示すように、本実施形態において第1供給口54は、複数設けられている。第1供給口54は、例えば、3つの第1供給口54a,54b,54cを含む。
【0080】
第1供給口54aと第1供給口54bと第1供給口54cとは、軸方向一方側から軸方向他方側に向かってこの順に間隔を空けて並んで配置されている。第1供給口54a,54bは、ステータコア41の軸方向の中心よりも軸方向一方側に位置する。第1供給口54cは、ステータコア41の軸方向の中心よりも軸方向他方側に位置する。第1供給口54aと第1供給口54bとの軸方向の間隔は、第1供給口54bと第1供給口54cとの軸方向の間隔よりも小さい。
【0081】
第1供給口54aは、対向支持部24aよりも軸方向一方側に位置する。つまり、本実施形態において第1供給口54aは、中心軸Jの軸方向において対向支持部24aと異なる位置に配置された第1供給口54である。第1供給口54aの内径は、他の第1供給口54b,54cの内径よりも小さい。
【0082】
第1供給口54b,54cの軸方向位置は、対向支持部24aに設けられた2つの貫通溝24bの軸方向位置とそれぞれ同じである。図3に示すように、第1供給口54b,54cは、貫通溝24bに向かって開口する第1供給口54である。なお、本明細書において「第1供給口が貫通溝に向かって開口する」とは、第1供給口が開口する方向に見て、第1供給口の少なくとも一部が貫通溝の内部と重なっていればよい。本実施形態において第1供給口54b,54cは、第1供給口54b,54cが開口する方向に見て、貫通溝24bの内部およびステータコア本体43の外周面43cと重なっている。第1供給口54が開口する方向とは、例えば、第1供給口54を構成する孔が冷媒供給部50の壁を内周面から外周面まで貫通する方向である。
【0083】
第1供給口54b,54cから吐出されるオイルOは、第1供給口54b,54cが開口する向きに噴射され、ステータコア本体43の外周面43cに供給される。第1供給口54b,54cから外周面43cに供給されたオイルOは、外周面43c上を周方向一方側(+θ側)に流れて、貫通溝24b内を周方向に通過する。貫通溝24b内を通過したオイルOは、外周面43cから第1突出部44の第1側面44aに流れて、第1突出部44を周方向一方側に乗り越える。第1突出部44を乗り越えたオイルOは、第2側面44bとモータハウジング20の内周面との間を下側に流れ、ステータコア本体43の外周面43cのうち前側部分に供給される。
【0084】
第2供給口55は、ステータコア41に冷媒としてのオイルOを供給する供給口50aである。第2供給口55は、周方向他方側(-θ側)に開口する供給口50aである。本実施形態において第2供給口55は、ステータコア本体43の頂点VPよりも周方向他方側に位置する。第2供給口55は、ステータコア本体43の上側に位置する。第2供給口55の周方向他方側には、第2突出部45が位置する。第2供給口55は、第2突出部45の周方向一方側(+θ側)の端部の上側に位置する。
【0085】
第2供給口55は、幅広部51の周方向他方側(-θ側)の端部における径方向外側寄りの部分に設けられている。本実施形態において第2供給口55は、周方向に対して径方向外側に斜めに傾いた向きに開口している。第2供給口55は、第2供給口55が開口する方向に見て、モータハウジング20の内周面のうち、第2突出部45の上側に対向して配置された部分と重なっている。第2供給口55が開口する方向とは、例えば、第2供給口55を構成する孔が冷媒供給部50の壁を内周面から外周面まで貫通する方向である。図4に示すように、本実施形態において第2供給口55は、複数設けられている。第2供給口55は、例えば、3つの第2供給口55a,55b,55cを含む。
【0086】
第2供給口55aと第2供給口55bと第2供給口55cとは、軸方向一方側から軸方向他方側に向かってこの順に間隔を空けて並んで配置されている。第2供給口55aは、ステータコア41の軸方向の中心よりも軸方向一方側に位置する。第2供給口55bは、ステータコア41の軸方向の中心とほぼ同じ軸方向位置に位置する。第2供給口55cは、ステータコア41の軸方向の中心よりも軸方向他方側に位置する。第2供給口55aと第2供給口55bとの軸方向の間隔は、例えば、第2供給口55bと第2供給口55cとの軸方向の間隔と同じである。第2供給口55a,55b,55cの内径は、例えば、互いに同じである。第2供給口55a,55b,55cの内径は、例えば、第1供給口54b,54cの内径と同じである。
【0087】
第2供給口55から吐出されるオイルOは、第2供給口55が開口する向きに噴射され、モータハウジング20の内周面のうち第2突出部45の上側に位置する部分に供給される。第2供給口55からモータハウジング20の内周面に供給されたオイルOは、モータハウジング20の内周面を周方向他方側(-θ側)に流れて、第2突出部45を周方向他方側に乗り越える。第2突出部45を乗り越えたオイルOは、第4側面45bとモータハウジング20の内周面との間を下側に流れ、ステータコア本体43の外周面43cのうち後側部分に供給される。
【0088】
本実施形態において第1供給口54と第2供給口55とは、中心軸Jの軸方向に互いにずれて配置されている。第1供給口54aは、例えば、第2供給口55aに対して僅かに軸方向他方側にずれて配置されている。第1供給口54bは、例えば、第2供給口55bに対して比較的大きく軸方向一方側にずれて配置されている。第1供給口54cは、第2供給口55cに対して僅かに軸方向一方側にずれて配置されている。
【0089】
なお、本明細書において「第1供給口と第2供給口とが軸方向にずれて配置されている」とは、第1供給口の中心と第2供供給口の中心とが軸方向にずれて配置されていればよく、第1供給口の一部と第2供給口の一部とが同じ軸方向位置に配置されていてもよい。本実施形態では、第1供給口54aの一部と第2供給口55aの一部とは、同じ軸方向位置に配置されている。第1供給口54cの一部と第2供給口55cの一部とは、同じ軸方向位置に配置されている。第1供給口54bと第2供給口55bとは、全体が軸方向にずれて配置されている。
【0090】
第3供給口56は、コイルエンド42a,42bに冷媒としてのオイルOを供給する供給口50aである。第3供給口56は、下側に開口している。第3供給口56は、コイルエンド42aの上側に配置された第3供給口56aと、コイルエンド42bの上側に配置された第3供給口56bと、を有する。第3供給口56aは、第1供給口54および第2供給口55よりも軸方向一方側に位置する。第3供給口56bは、第1供給口54および第2供給口55よりも軸方向他方側に位置する。第3供給口56aと第3供給口56bとは、例えば、複数ずつ設けられている。第3供給口56aと第3供給口56bとは、例えば、5つずつ設けられている。5つの第3供給口56aは、幅広部51回りに沿って間隔を空けて配置されている。5つの第3供給口56bは、幅広部51回りに沿って間隔を空けて配置されている。
【0091】
図2に示すように、本実施形態において駆動装置100には、冷媒としてのオイルOが循環する冷媒流路90が設けられている。冷媒流路90は、モータハウジング20の内部とギヤハウジング61の内部とに跨って設けられている。冷媒流路90は、ギヤハウジング61内に貯留されたオイルOが回転電機10に供給されて再びギヤハウジング61内に戻る経路である。冷媒流路90には、ポンプ71と、クーラ72と、冷媒供給部50と、が設けられている。冷媒流路90は、第1流路部91と、第2流路部92と、第3流路部93と、第4流路部94と、を有する。
【0092】
第1流路部91、第2流路部92、および第3流路部93は、例えば、ギヤハウジング61の壁部に設けられている。第4流路部94は、例えば、蓋部23に設けられている。第1流路部91は、ギヤハウジング61の内部のうちオイルOが貯留されている部分とポンプ71とを繋いでいる。第2流路部92は、ポンプ71とクーラ72とを繋いでいる。第3流路部93は、クーラ72と冷媒供給部50の内部とを繋いでいる。本実施形態において第3流路部93は、冷媒供給部50の軸方向一方側の端部に繋がっている。第4流路部94は、冷媒供給部50の内部とシャフト31の内部とを繋いでいる。本実施形態において第4流路部94は、冷媒供給部50の軸方向他方側の端部とシャフト31の軸方向他方側の端部とに繋がっている。
【0093】
ポンプ71が駆動されると、ギヤハウジング61内に貯留されたオイルOが第1流路部91を通って吸い上げられ、第2流路部92を通ってクーラ72内に流入する。クーラ72内に流入したオイルOは、クーラ72内で冷却された後、第3流路部93を通って、冷媒供給部50の内部へと流れる。冷媒供給部50内に流入したオイルOの一部は、供給口50aから噴射されて、ステータ40に供給される。本実施形態では、第1供給口54および第2供給口55から噴射されたオイルOがステータコア41に供給される。第3供給口56から噴射されたオイルOがコイルエンド42a,42bに供給される。冷媒供給部50内に流入したオイルOの他の一部は、第4流路部94を通ってシャフト31の内部に流入する。シャフト31内に流入したオイルOの一部は、孔部33からロータ本体32の内部を通過して、ステータ40に飛散する。シャフト31内に流入したオイルOの他の一部は、シャフト31の軸方向一方側の開口からギヤハウジング61の内部に排出され、再びギヤハウジング61内に貯留される。
【0094】
供給口50aからステータ40に供給されたオイルOおよびシャフト31内からステータ40に供給されたオイルOは、ステータ40から熱を奪う。ステータ40を冷却したオイルOは、下側に落下して、モータハウジング20内の下部領域に溜まる。モータハウジング20内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁部22に設けられた隔壁開口22aを介してギヤハウジング61内に戻る。以上のようにして、冷媒流路90は、ギヤハウジング61内に貯留されたオイルOをロータ30およびステータ40に供給する。
【0095】
本実施形態によれば、ステータコア41の径方向外側面に設けられた溶接部80は、ステータコア41の径方向外側面のうち、軸方向に見て穴部49aと中心軸Jとを結ぶ仮想線IL1上に設けられた第1溶接部81を含む。そのため、ステータコア41のうち穴部49aの近くの部分における強度を第1溶接部81によって向上できる。これにより、穴部49aに通されるボルト25を締め込む際に、ステータコア41のうち穴部49aの近くの部分が変形することを抑制できる。特に、本実施形態のようにステータコア41が軸方向に積層された複数の板部材41aによって構成されている場合、ステータコア41のうち穴部49aの近くの部分において複数の板部材41a同士を第1溶接部81によって強固に固定することができる。そのため、比較的薄い板部材41aが変形することを抑制できる。以上のように、本実施形態によれば、ステータコア41が変形することを抑制できる。
【0096】
また、第1溶接部81は、ステータコア41の径方向外側部分に設けられた穴部49aよりも中心軸Jを中心とする径方向外側に設けられている。そのため、第1溶接部81をロータ30から比較的遠い位置に配置できる。これにより、ステータコア41とロータ30との間で流れる磁束が第1溶接部81を通りにくくできる。したがって、第1溶接部81がステータコア41とロータ30との間で流れる磁束に影響を与えることを抑制できる。そのため、第1溶接部81を設けても、回転電機10の磁気特性が低下することを抑制できる。これにより、回転電機10の出力が低下することを抑制しつつ、第1溶接部81を設けてステータコア41が変形することを抑制できる。
【0097】
また、本実施形態によれば、穴部49aは、突出部49に設けられている。第1溶接部81は、突出部49の径方向外側面に設けられている。そのため、穴部49aおよび第1溶接部81がコアバック43aに設けられる場合に比べて、穴部49aおよび第1溶接部81がステータコア41とロータ30との間で流れる磁束に影響を与えることをより抑制できる。これにより、回転電機10の磁気特性が低下することをより抑制できる。したがって、回転電機10の出力が低下することをより抑制できる。
【0098】
また、本実施形態によれば、軸方向に見て、コアバック43aに設けられたフラックスバリア部48と穴部49aとの間の距離L2は、第1溶接部81と穴部49aとの間の距離L1よりも大きい。そのため、穴部49aおよび第1溶接部81を共に、コアバック43aから径方向外側に好適に離して配置できる。これにより、穴部49aおよび第1溶接部81がステータコア41とロータ30との間で流れる磁束に影響を与えることをより抑制できる。したがって、回転電機10の磁気特性が低下することをより抑制できる。そのため、回転電機10の出力が低下することをより抑制できる。
【0099】
また、本実施形態によれば、溶接部80は、コアバック43aの外周面43cに設けられた第2溶接部82を含む。そのため、第2溶接部82によってステータコア41の強度をより向上できる。また、第2溶接部82によって板部材41a同士をより強固に固定できる。したがって、ステータコア41が変形することをより抑制できる。
【0100】
また、本実施形態によれば、第2溶接部82は、コアバック43aのうち周方向に隣り合うフラックスバリア部48同士の間に位置する部分の径方向外側に位置する。そのため、第2溶接部82がフラックスバリア部48の径方向外側に位置する場合に比べて、ステータコア41の径方向外側面とフラックスバリア部48との径方向の間における距離、およびフラックスバリア部48と第2溶接部82との間における距離を大きくしやすい。これにより、ステータコア41の径方向外側面とフラックスバリア部48との径方向の間、およびフラックスバリア部48と第2溶接部82との間に、磁束が流れる磁路を確保しやすい。したがって、第2溶接部82がコアバック43aを流れる磁束に影響を与えることを抑制しやすい。そのため、第2溶接部82を設けても、回転電機10の磁気特性が低下することを抑制できる。したがって、回転電機10の出力が低下することを抑制しつつ、第2溶接部82を設けてステータコア41が変形することをより抑制できる。
【0101】
また、本実施形態によれば、第2溶接部82は、ティース43bの径方向外側に位置する。ここで、ティース43bからコアバック43aへと流れる磁束は、例えば、ティース43b内を径方向外側に流れ、コアバック43aにおいて周方向両側に分かれて流れる。この場合、ステータコア41の径方向外側面のうちティース43bの径方向外側に位置する部分には、磁束が流れにくい。そのため、ティース43bの径方向外側に第2溶接部82を設けることで、第2溶接部82がコアバック43aを流れる磁束に影響を与えることをより抑制できる。これにより、回転電機10の磁気特性が低下することをより抑制できる。
【0102】
また、本実施形態によれば、溶接部80は、突出部49の径方向外側面のうち周方向位置が穴部49aの周方向位置と異なる部分に設けられた第3溶接部83を含む。そのため、第3溶接部83によってステータコア41の強度をより向上できる。また、第3溶接部83によって板部材41a同士をより強固に固定できる。したがって、ステータコア41が変形することをより抑制できる。
【0103】
また、本実施形態によれば、第3溶接部83は、傾斜面としての第1側面44aのうちコアバック43aの外周面43cに近い側(-θ側)の周方向端部に設けられている。ここで、傾斜面としての第1側面44aは、コアバック43aの外周面43cのうち第1側面44aの径方向内側の端部が繋がる接続部P1aに接する接線TL1aに沿って延びている。そのため、第1側面44aのうちコアバック43aの外周面43cに近い側の周方向端部は、第1側面44aが第2側面44bのような形状である場合に比べて、穴部49aから周方向に離れた位置に配置されやすい。したがって、第3溶接部83を第1側面44aのうち外周面43cに近い側の周方向端部に設けることで、第3溶接部83を第1溶接部81に対して周方向に或る程度離して配置することができる。これにより、第1溶接部81と第3溶接部83とによって、ステータコア41の径方向外側面を比較的広い範囲に亘って補強しやすい。したがって、ステータコア41が変形することをより抑制できる。また、第2溶接部82が設けられる場合に、第1溶接部81と第2溶接部82との周方向の中間部分に第3溶接部83を設けやすい。そのため、第1溶接部81と第2溶接部82と第3溶接部83とによって、ステータコア41の径方向外側面をより広い範囲に亘って好適に補強しやすい。したがって、ステータコア41が変形することをより好適に抑制できる。これらは、第2突出部45の第4側面45bに設けられた第3溶接部83、第3突出部46の周方向他方側の側面に設けられた第3溶接部83、および第4突出部47の周方向他方側の側面に設けられた第3溶接部83についても同様である。
【0104】
また、本実施形態によれば、第3溶接部83は、コアバック43aのうち周方向に隣り合うフラックスバリア部48同士の間に位置する部分の径方向外側に位置する。そのため、第3溶接部83がフラックスバリア部48の径方向外側に位置する場合に比べて、ステータコア41の径方向外側面とフラックスバリア部48との径方向の間における距離、およびフラックスバリア部48と第3溶接部83との間における距離を大きくしやすい。これにより、ステータコア41の径方向外側面とフラックスバリア部48との径方向の間、およびフラックスバリア部48と第3溶接部83との間に、磁束が流れる磁路を確保しやすい。したがって、第3溶接部83がコアバック43aを流れる磁束に影響を与えることを抑制しやすい。そのため、第3溶接部83を設けても、回転電機10の磁気特性が低下することを抑制できる。したがって、回転電機10の出力が低下することを抑制しつつ、第3溶接部83を設けてステータコア41が変形することをより抑制できる。
【0105】
また、本実施形態によれば、第3溶接部83は、ティース43bの径方向外側に位置する。そのため、上述した第2溶接部82と同様に、第3溶接部83がコアバック43aを流れる磁束に影響を与えることをより抑制できる。これにより、回転電機10の磁気特性が低下することをより抑制できる。
【0106】
また、本実施形態によれば、複数の溶接部80は、ステータコア41の径方向外側面に中心軸J回りに回転対称に配置されている。そのため、複数の溶接部80によって、ステータコア41の径方向外側面を全周に亘ってバランスよく補強することができる。これにより、ステータコア41が変形することをより抑制できる。また、複数の溶接部80を設けても、ステータコア41の質量の周方向のバランスが崩れることを抑制できる。
【0107】
また、本実施形態によれば、複数の溶接部80は、周方向に沿って等角度で配置されている。そのため、複数の溶接部80によって、ステータコア41の径方向外側面を全周に亘って、より好適にバランスよく補強することができる。これにより、ステータコア41が変形することをより好適に抑制できる。また、複数の溶接部80を設けても、ステータコア41の質量の周方向のバランスが崩れることをより好適に抑制できる。
【0108】
また、本実施形態によれば、溶接部80は、軸方向に延びている。そのため、溶接部80によって補強されるステータコア41の部分を軸方向に大きくできる。これにより、溶接部80によってステータコア41の強度をより向上できる。また、軸方向に積層された複数の板部材41a同士を溶接部80によって好適に固定できる。
【0109】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。溶接部は、第1溶接部を含むならば、第2溶接部および第3溶接部の少なくとも一方を含まなくてもよいし、第2溶接部および第3溶接部とは異なる第4溶接部を含んでもよい。第2溶接部は、コアバックの外周面に設けられるならば、どのような位置に設けられてもよい。第3溶接部は、突出部の径方向外側面のうち周方向位置が穴部の周方向位置と異なる部分に設けられるならば、どのような位置に設けられてもよい。溶接部の形状は、特に限定されない。
【0110】
複数の溶接部は、ステータコアの径方向外側面に中心軸回りに4回対称以外の回転対称に配置されてもよい。Nを2以上の整数としたとき、複数の溶接部は、ステータコアの径方向外側面に中心軸回りにN回対称に配置されてもよい。複数の溶接部は、ステータコアの径方向外側面に中心軸回りに回転対称に配置されなくてもよい。複数の溶接部は、周方向に沿って等角度で配置されなくてもよい。溶接部の数は、1つ以上であれば、特に限定されない。また、溶接部80は、ステータコア41の軸方向一方側の端部から軸方向他方側の端部まで伸びている必要はない。例えば、溶接部は、軸方向に並んで複数設けられてもよい。溶接部80は、ステータコア41の軸方向一方側の端部および軸方向他方側の端部のみに設けられてもよい。
【0111】
穴部は、コアバックに設けられてもよい。この場合、第1溶接部は、コアバックの外周面に設けられてもよい。また、この場合、ステータコアは、突出部を有しなくてもよい。穴部は、軸方向に延びるならば、どのような穴であってもよい。穴部は、軸方向の一端に底部を有する穴であってもよい。この場合、穴部は、ステータコアを固定するボルトが締め込まれるネジ穴であってもよい。穴部の数は、1つ以上であれば、特に限定されない。ステータコアの突出部は、どのような形状であってもよい。フラックスバリア部の数および形状は、特に限定されない。フラックスバリア部は、設けられなくてもよい。
【0112】
本発明が適用される回転電機は、モータに限られず、発電機であってもよい。回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、例えば、車軸を回転させる用途以外の用途で移動体に搭載されてもよいし、移動体以外の機器に搭載されてもよい。回転電機が用いられる際の姿勢は、特に限定されない。回転電機の中心軸は、鉛直方向に延びてもよい。回転電機が搭載される移動体は、車両に限られず、飛行体であってもよいし、船舶であってもよい。移動体は、有人の移動体であってもよいし、無人の移動体であってもよい。以上、本明細書において説明した構成および方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0113】
10…回転電機、30…ロータ、40…ステータ、41…ステータコア、43a…コアバック、43b…ティース、43c…外周面、44…第1突出部(突出部)、44a…第1側面(傾斜面)、45…第2突出部(突出部)、45b…第4側面(傾斜面)、46…第3突出部(突出部)、47…第4突出部(突出部)、48…フラックスバリア部、49…突出部、49a…穴部、60…伝達装置、64…車軸、80…溶接部、81…第1溶接部、82…第2溶接部、83…第3溶接部、100…駆動装置、1000…移動体(車両)、IL1…仮想線、J…中心軸、P1a,P2b…接続部、TL1a,TL2b…接線
図1
図2
図3
図4
図5
図6