(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】締まり嵌め特徴部を有するラッチレス閉塞具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20250409BHJP
【FI】
A61B17/34
(21)【出願番号】P 2022566380
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2021061459
(87)【国際公開番号】W WO2021219877
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2024-03-13
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】スコット・グレゴリー・ジー
(72)【発明者】
【氏名】サベッジ・ジェフリー・エル
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/003055(WO,A1)
【文献】米国特許第05364372(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0000505(US,A1)
【文献】特開2009-219879(JP,A)
【文献】特開2006-280931(JP,A)
【文献】米国特許第05267970(US,A)
【文献】特表2015-534868(JP,A)
【文献】特表2018-517467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用アクセスデバイスであって、
(a)カニューレアセンブリであって、
(i)カニューレと、
(ii)前記カニューレの近位端部と結合されたカニューレヘッド
であって、前記カニューレヘッドがスロットを画定するシールアセンブリを備える、カニューレヘッドと、
(iii)前記カニューレ及び前記カニューレヘッドによって少なくとも部分的に画定されており、かつ前記カニューレアセンブリの中心軸に沿って長手方向に延在する、作業チャネルであって、前記作業チャネルが、患者の体腔内の外科手術部位にアクセスするために、内部を通して外科用器具を受容するように構成されて
おり、
前記シールアセンブリによって画定される前記スロットが前記作業チャネルに隣接して位置する、作業チャネルと、を含む、カニューレアセンブリ、並びに
(b)閉塞具であって、前記閉塞具が、前記患者の体壁を通る前記外科用アクセスデバイスの挿入を容易にするために、前記中心軸に沿って、前記カニューレアセンブリと取り外し可能に結合するように構成されている、閉塞具を備え、前記閉塞具が、
(i)長手方向軸に沿って延在する細長いシャフトであって、前記細長いシャフトが、前記カニューレアセンブリの前記作業チャネル内に収まるように寸法決めされている、細長いシャフトと、
(ii)前記細長いシャフトの遠位部分に位置する先細遠位先端と、
(iii)前記細長いシャフトの近位部分に位置する閉塞具ヘッドであって、
前記閉塞具ヘッドが、ベースプレートを備え、前記閉塞具ヘッドが、前記カニューレアセンブリの表面に対する摩擦力を介して、前記閉塞具と前記カニューレアセンブリとの間の近位移動を抑制するように構成された締まり嵌め特徴部を備
え、前記締まり嵌め特徴部が、前記ベースプレートに結合された下向きに延在するピンを備え、前記下向きに延在するピンが、前記スロットを画定する前記シールアセンブリの一部分と係合して、前記摩擦力の少なくとも一部分を発生させるように構成され、前記下向きに延在するピンが、弾性材料から形成されたばねクリップを備え、前記ばねクリップが、前記ベースプレートに取り付けられた一対の脚を備え、前記ばねクリップが、前記一対の脚の各脚の遠位端部に取り付けられた中央本体を更に備え、前記中央本体が、半管状形状を含む、閉塞具ヘッドと、を備える、外科用アクセスデバイス。
【請求項2】
前記閉塞具ヘッドが
、ドーム型本体を備え、前記ベースプレート及び前記ドーム型本体が、内部エリアを画定している、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項3】
前記ベースプレート及び前記ドーム型本体が、前記内部エリアの周囲にシールを形成している、請求項2に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項4】
前記締まり嵌め特徴部が、前記ベースプレートから遠位に延在している、請求項2に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項5】
外科用アクセスデバイスであって、
(a)カニューレアセンブリであって、
(i)カニューレと、
(ii)前記カニューレの近位端部と結合されたカニューレヘッドと、
(iii)前記カニューレ及び前記カニューレヘッドによって少なくとも部分的に画定されており、かつ前記カニューレアセンブリの中心軸に沿って長手方向に延在する、作業チャネルであって、前記作業チャネルが、患者の体腔内の外科手術部位にアクセスするために、内部を通して外科用器具を受容するように構成されている、作業チャネルと、を含む、カニューレアセンブリ、並びに
(b)閉塞具であって、前記閉塞具が、前記患者の体壁を通る前記外科用アクセスデバイスの挿入を容易にするために、前記中心軸に沿って、前記カニューレアセンブリと取り外し可能に結合するように構成されている、閉塞具を備え、前記閉塞具が、
(i)長手方向軸に沿って延在する細長いシャフトであって、前記細長いシャフトが、前記カニューレアセンブリの前記作業チャネル内に収まるように寸法決めされている、細長いシャフトと、
(ii)前記細長いシャフトの遠位部分に位置する先細遠位先端と、
(iii)前記細長いシャフトの近位部分に位置する閉塞具ヘッドであって、前記閉塞具ヘッドが、ベースプレートを備え、前記閉塞具ヘッドが、前記カニューレアセンブリの表面に対する摩擦力を介して、前記閉塞具と前記カニューレアセンブリとの間の近位移動を抑制するように構成された締まり嵌め特徴部を備える、閉塞具ヘッドと、を備え、
前記締まり嵌め特徴部が、シャフトアセンブリから前記ベースプレートまで延在している先細表面を備える
、外科用アクセスデバイス。
【請求項6】
前記カニューレヘッドが、前記作業チャネルの一部分を画定する傾斜上面を含むシールアセンブリを備える、請求項4に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項7】
前記締まり嵌め特徴部が、シャフトアセンブリから前記ベースプレートまで延在している先細表面を備え、前記先細表面が、前記傾斜上面と係合して、前記摩擦力の少なくとも一部分を発生させるように構成されている、請求項6に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項8】
前記締まり嵌め特徴部が、前記ベースプレートに結合された下向きに延在するピンを備える、請求項
5に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項9】
前記カニューレヘッドが、前記作業チャネルに隣接して位置するスロットを画定するシールアセンブリを備え、前記下向きに延在するピンが、前記スロットを画定する前記シールアセンブリの一部分と係合して、前記摩擦力の少なくとも一部分を発生させるように構成されている、請求項8に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項10】
前記下向きに延在するピンが、弾性材料から形成されたばねクリップを備える、請求項9に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項11】
前記ばねクリップが、前記ベースプレートに取り付けられた一対の脚を備える、請求項10に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項12】
前記ばねクリップが、前記一対の脚の各脚の遠位端部に取り付けられた中央本体を更に備える、請求項11に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項13】
前記中央本体が、半管状形状を含む、請求項12に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項14】
前記ばねクリップ及び前記ベースプレートが、端の開いた経路を一緒に画定している、請求項
1または13に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項15】
前記閉塞具が、外科用鋼で形成されている、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項16】
外科用アクセスデバイスであって、
(a)カニューレアセンブリであって、
(i)カニューレと、
(ii)前記カニューレの近位端部と結合されたカニューレヘッドと、
(iii)前記カニューレ及び前記カニューレヘッドによって少なくとも部分的に画定されており、かつ前記カニューレアセンブリの中心軸に沿って長手方向に延在する、作業チャネルであって、前記作業チャネルが、患者の体腔内の外科手術部位にアクセスするために、内部を通して外科用器具を受容するように構成されている、作業チャネルと、を含む、カニューレアセンブリ、並びに
(b)閉塞具であって、前記閉塞具が、前記患者の体壁を通る前記外科用アクセスデバイスの挿入を容易にするために、前記中心軸に沿って、前記カニューレアセンブリと取り外し可能に結合するように構成されている、閉塞具を備え、前記閉塞具が、
(i)長手方向軸に沿って延在する細長いシャフトであって、前記細長いシャフトが、前記カニューレアセンブリの前記作業チャネル内に収まるように寸法決めされている、細長いシャフトと、
(ii)前記細長いシャフトの遠位部分に位置する先細遠位先端と、
(iii)前記細長いシャフトの近位部分に位置する閉塞具ヘッドであって、前記閉塞具ヘッドが、前記カニューレアセンブリの表面に対する摩擦力を介して、前記閉塞具と前記カニューレアセンブリとの間の近位移動を抑制するように構成された締まり嵌め特徴部を備える、閉塞具ヘッドと、を備え、
前記締まり嵌め特徴部が、前記細長いシャフトに取り付けられている
、外科用アクセスデバイス。
【請求項17】
前記締まり嵌め特徴部が、前記細長いシャフトから離間配置されている、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項18】
外科用アクセスデバイスであって、
(a)カニューレアセンブリであって、
(i)カニューレと、
(ii)前記カニューレの近位端部と結合され、第1の係合表面を含む、カニューレヘッドと、
(iii)前記カニューレ及び前記カニューレヘッドによって少なくとも部分的に画定されており、かつ前記カニューレアセンブリの中心軸に沿って長手方向に延在する、作業チャネルであって、前記作業チャネルが、患者の体腔内の外科手術部位にアクセスするために、内部を通して外科用器具を受容するように構成されている、作業チャネルと、を含む、カニューレアセンブリ、並びに
(b)閉塞具であって、前記閉塞具が、前記患者の体壁を通る前記外科用アクセスデバイスの挿入を容易にするために、前記中心軸に沿って、前記カニューレアセンブリと取り外し可能に結合するように構成されている、閉塞具を備え、前記閉塞具が、
(i)長手方向軸に沿って延在する細長いシャフトであって、前記細長いシャフトが、前記カニューレアセンブリの前記作業チャネル内に収まるように寸法決めされている、細長いシャフトと、
(ii)前記細長いシャフトの遠位部分に位置する先細遠位先端と、
(iii)前記細長いシャフトの近位部分に位置する閉塞具ヘッドであって、
前記閉塞具ヘッドがベースプレートを備え、前記閉塞具ヘッドが、
前記ベースプレートから遠位方向に延在する第1の弾性脚部及び第2の弾性脚部を備える弾性ばねクリップを備えた締まり嵌め特徴部を備え、
前記第1の弾性脚部及び前記第2の弾性脚部のそれぞれが遠位ヘッドで終端し、前記遠位ヘッドが前記第1の弾性脚部及び前記第2の弾性脚部を結合し、前記第1の弾性脚部及び前記第2の弾性脚部は、前記閉塞具が前記カニューレアセンブリと結合されている間に、前記第1の係合表面
と同時に係合することに応答して互いに向かって変形して、摩擦力を発生させるように構成さ
れ、前記第1の係合表面及び前記第1の弾性脚部と前記第2の弾性脚部の両方が、前記カニューレアセンブリに対する前記閉塞具の近位並進を抑制するように構成されている、閉塞具ヘッドと、を備える、外科用アクセスデバイス。
【請求項19】
外科用アクセスデバイスであって、
(a)カニューレアセンブリであって、
(i)カニューレと、
(ii)前記カニューレの近位端部と結合され、第1の係合表面を含む、カニューレヘッドと、
(iii)前記カニューレ及び前記カニューレヘッドによって少なくとも部分的に画定されており、かつ前記カニューレアセンブリの中心軸に沿って長手方向に延在する、作業チャネルであって、前記作業チャネルが、患者の体腔内の外科手術部位にアクセスするために、内部を通して外科用器具を受容するように構成されている、作業チャネルと、を含む、カニューレアセンブリ、並びに
(b)閉塞具であって、前記閉塞具が、前記患者の体壁を通る前記外科用アクセスデバイスの挿入を容易にするために、前記中心軸に沿って、前記カニューレアセンブリと取り外し可能に結合するように構成されている、閉塞具を備え、前記閉塞具が、
(i)長手方向軸に沿って延在する細長いシャフトであって、前記細長いシャフトが、前記カニューレアセンブリの前記作業チャネル内に収まるように寸法決めされている、細長いシャフトと、
(ii)前記細長いシャフトの遠位部分に位置する先細遠位先端と、
(iii)前記細長いシャフトの近位部分に位置する閉塞具ヘッドであって、前記閉塞具ヘッドが、締まり嵌め特徴部を備え、前記締まり嵌め特徴部は、前記閉塞具が前記カニューレアセンブリと結合されている間に、前記第1の係合表面に対して当接して、摩擦力を発生させるように構成された第2の係合表面を備え、前記締まり嵌め特徴部が、前記カニューレアセンブリに対する前記閉塞具の近位並進を抑制するように構成されている、閉塞具ヘッドと、を備え、
前記第2の係合表面が、前記細長いシャフトに取り付けられている
、外科用アクセスデバイス。
【請求項20】
外科用アクセスデバイスであって、
(a)カニューレアセンブリであって、
(i)カニューレと、
(ii)前記カニューレの近位端部と結合されたカニューレヘッドと、
(iii)前記カニューレ及び前記カニューレヘッドによって少なくとも部分的に画定されており、かつ前記カニューレアセンブリの中心軸に沿って長手方向に延在する、作業チャネルであって、前記作業チャネルが、患者の体腔内の外科手術部位にアクセスするために、内部を通して外科用器具を受容するように構成されている、作業チャネルと、を含む、カニューレアセンブリ、並びに
(b)閉塞具であって、前記閉塞具が、前記患者の体壁を通る前記外科用アクセスデバイスの挿入を容易にするために、前記中心軸に沿って、前記カニューレアセンブリと取り外し可能に結合するように構成されている、閉塞具を備え、前記閉塞具が、
(i)長手方向軸に沿って延在する細長いシャフトであって、前記細長いシャフトが、前記カニューレアセンブリの前記作業チャネル内に収まるように寸法決めされている、細長いシャフトと、
(ii)前記細長いシャフトの遠位部分に位置する先細遠位先端と、
(iii)前記細長いシャフトの近位部分に位置する閉塞具ヘッドであって、前記閉塞具ヘッドは、前記閉塞具が前記カニューレアセンブリと結合されている間に前記カニューレヘッドと係合するように構成されており、前記閉塞具ヘッドが、
前記細長いシャフトに取り付けられた締まり嵌め特徴部を備え、前記締まり嵌め特徴部が、摩擦係合を介して前記カニューレヘッドに対する前記閉塞具の近位並進を抑制するために、前記締まり嵌め特徴部自体又は前記カニューレヘッドの一部分を変形させるように構成されている、閉塞具ヘッドと、を備える、外科用アクセスデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2020年5月1日出願の「Latchless Obturator with Interference Fit Feature」と題された米国仮特許出願第63/018,555号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの外科手術は、臨床医が患者の腹腔を介して外科手術部位にアクセスすることを必要とし得る。そのようなアクセスを得るために、最初に、腹腔の上にある腹壁組織を通して開口部が形成される。いくつかの外科手術では(「腹腔鏡」又は「内視鏡的」手術と称される)、比較的小さい開口部が腹壁組織を介して作製され、次いで、外科手術部位は、開口部内に位置決めされた「トロカール」と一般的に呼ばれるアクセスデバイスを通して挿入された細長い器具でアクセスされる。従来のトロカールは、一般に、カニューレアセンブリと、カニューレアセンブリの作業チャネル内に取り外し可能に受容される閉塞具と、を含む。使用中、閉塞具は、カニューレアセンブリと嵌合され、組み合わされた構造(すなわち、トロカール)は、患者の腹壁を通って下向きに臨床医によって方向付けられ、その結果、閉塞具及びカニューレアセンブリの遠位端部が、腹腔内に延在する。次いで、臨床医は、外科用器具がカニューレアセンブリの作業チャネルを通って下向きに方向付けられ、外科手術部位にアクセスし得るように、カニューレアセンブリから閉塞具を引き抜く。
【0003】
トロカール、その構成要素の単に例示的な変形例及びその他の種類の手術アクセスデバイスは、2011年7月19日に開示された「Vibratory Trocar」と題する米国特許第7,981,092号、2012年7月24日に交付された「Access Device with Insert」と題する米国特許第8,226,553号、2012年8月28日に交付された「Surgical Access Devices and Methods Providing Seal Movement in Predefined Paths」と題する米国特許第8,251,900号、2013年11月12日に交付された「Absorbing Fluids in a Surgical Access Device」と題する米国特許8,579,807号、2013年10月29日に交付された「Surgical Access Device with Sorbents」と題する米国特許第8,568,362号、2014年1月28日に交付された「Surgical Access Device」と題する米国特許第8,636,686号、2014年4月8日に交付された「Gas Jet Fluid Removal in a Trocar」と題する米国特許第8,690,831号、2019年1月3日に公開された「Method of Suturing a Trocar Path Incision」と題する米国特許出願公開第2019/0000496号において開示されている。上に引用した米国特許及び米国特許出願公開の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
外科用アクセスデバイス及びエンドエフェクタを含む様々な種類の外科用器具及びその他の関連する構成要素が作製され、使用されてきたが、本発明者ら以前には誰も、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、上記の本発明の一般的な説明、及び以下の実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1】組み立てられた状態に示されているカニューレアセンブリ及び閉塞具を有する例示的なトロカールの斜視図を示す。
【
図2】分解状態の
図1のカニューレアセンブリ及び閉塞具の側面立面図を示す。
【
図3A】腹壁の組織層を通して臨床医によって操作されている
図1のトロカールの側面断面図を示す。
【
図3B】
図3Aの腹腔内に受容されたトロカールの遠位端部を示す、
図1のトロカールの拡大側面断面図を示す。
【
図3C】
図1のカニューレアセンブリの側面断面図を示し、閉塞具の取り外し及び除去後に、
図3Aの腹壁内に位置決めされたままのカニューレアセンブリを示す。
【
図3D】
図3Aの腹壁から近位に引き抜かれている
図1のカニューレアセンブリの側面断面図を示す。
【
図4】組み立てられた状態に示されているカニューレアセンブリ及び閉塞具を有する例示的なトロカールの別の斜視図を示す。
【
図5】互いに分離された再使用可能なカニューレ及びカニューレアセンブリの使い捨てシールアセンブリを示し、分解状態の閉塞具を示す、分解状態の
図4のカニューレアセンブリ及び閉塞具の斜視図である。
【
図6】別の例示的な閉塞具の近位端部の拡大斜視図を図示する。
【
図7A】
図6の閉塞具を含む別の例示的なトロカールの近位端部、及び部分的に分解された状態の
図1のカニューレアセンブリの拡大断面図を図示する。
【
図7B】
図6の閉塞具及び
図1のカニューレアセンブリが組み立てられた状態にある、
図7Aのトロカールの近位端部の拡大断面図を図示する。
【
図8A】腹壁の組織層を通して臨床医によって操作されている
図1のトロカールの側面断面図を示す。
【
図8B】腹腔内に受容されたトロカールの遠位端部を示す、
図7Aのトロカールの側面断面図を図示する。
【
図8C】閉塞具がカニューレアセンブリから近位に格納される間に
図8Aの腹壁内に位置付けられたままであるカニューレアセンブリを示す、
図7Aのトロカールの側面断面図を図示する。
【
図9】別の例示的な閉塞具の近位端部の拡大斜視図を図示する。
【
図10】別の例示的な閉塞具の近位端部の拡大斜視図を図示する。
【0006】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を例示するものであり、説明ともに本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、例示として本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである以下の説明から当業者に明らかになるであろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものとみなされるべきである。
【0008】
本開示を明瞭にするために、「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用デバイスを握持する外科医又は他の臨床医に対して定義される。「近位」という用語は、外科医により近くに配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科医からより離れ手配置された要素の位置を指す。また、図面を参照して「上」、「下」、「上側」、「下側」、「垂直」、「水平」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定することも絶対であることも意図していないことが理解されるであろう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な向き及び位置で使用してもよいことが理解されよう。
【0009】
更に、任意の数値、又は数値の範囲に関連して本明細書で使用される「約」、「ほぼ」などの用語は、参照される正確な値、並びに参照される特徴、又は特徴の組み合わせが、本明細書に記載されている意図された目的のために機能することができる好適な許容誤差を包含することが意図されている。
【0010】
I.例示的な単回使用及び再使用可能なトロカール
図1~
図5は、単回使用の第1のトロカール(10)及び再使用可能な第2のトロカール(110)の形態の例示的な外科用アクセスデバイスを示し、各々が腹腔鏡外科手術において外科手術部位のアクセスを提供するように構成されている。各トロカール(10、110)は、作業チャネル(14、114)を有するカニューレアセンブリ(12、112)と、作業チャネル(14、114)に同軸に、取り外し可能に挿入されるように構成された閉塞具(16、116)と、を含み、その結果、組み立てられたトロカール(10、110)は、例えば、
図3A~
図3Dに関連して以下に記載されるように、患者の腹壁を通って遠位に方向付けられ得る。
【0011】
A.例示的な単回使用トロカール
図1~
図2に示すように、単回使用トロカール(10)のカニューレアセンブリ(12)は、カニューレ(20)及びシールハウジング(30)を含む。カニューレ(20)及びシールハウジング(30)は協働して、トロカール(10)の中心軸(A)に沿って長手方向に延在する作業チャネル(14)を画定する。特に、作業チャネル(14)は、シールハウジング(30)の中空内部と連通するカニューレ(20)の管腔によって画定される。カニューレアセンブリ(12)は、作業チャネル(14)を通って遠位に細長い外科用器具を受容して、患者の腹腔内の外科手術部位へのアクセスを提供するように構成されている。以下でより詳細に説明するように、シールハウジング(30)は、作業チャネル(14)に沿った外科用器具及び組織断片の通過を可能にしながら、患者の腹腔の吹送を維持するように構成されたシールアセンブリを画定する一対のシール構造を収容する。
【0012】
本変形例のカニューレ(20)は、その近位端部にベル形状のハブ(図示せず)と、ハブから遠位に延在し、角度付きカニューレ先端(24)で終端する細長い円筒チューブ(22)と、を含み得る。カニューレチューブ(22)の外面は、カニューレチューブ(22)の内側部分に沿って軸方向に配置された環状リブ(26)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。リブ(26)は、カニューレ(20)が挿入される腹壁組織の層を把持し、それによって、カニューレ(20)が患者の腹壁に形成された開口部内に位置決めされている間に、カニューレ(20)を軸方向及び半径方向に安定化するのを支援するように構成されている。
【0013】
より具体的には、本実施例の組織把持リブ(26)は、各リブ(26)がリブ(26)の半径方向に最も外側の縁から遠位方向に半径方向内向きに先細になるように、カニューレチューブ(22)の側壁における環状スカラップとして形成される。したがって、リブ(26)の半径方向に最も外側の縁は、カニューレチューブ(22)の非リブ付き近位及び遠位部分と概ね同一平面にある。結果として生じるリブ(26)の構成は、遠位方向に組織層を通るカニューレチューブ(22)の前進を促進し、逆の近位方向に組織層を通るカニューレチューブ(22)の後退に抵抗する。有利には、この構成は、外科手術中に患者の腹壁からのカニューレチューブ(22)の意図しない引き抜きから保護する。しかしながら、カニューレチューブ(22)は、トロカール(10)の他の変形例において、様々な他のタイプの組織把持特徴部を備え得ることが理解されよう。例えば、カニューレチューブ(22)は、カニューレチューブ(22)の少なくとも内側部分の周りに延在し、リブ(26)に類似してスカラップされ得る、1つ又は2つ以上の螺旋リブの形態の組織把持特徴部を含み得る。
【0014】
カニューレアセンブリ(12)のシールハウジング(30)は、近位ハウジング部分(32)と、近位ハウジング部分(32)が取り外し可能に取り付けられている遠位ハウジング部分(34)と、を含む。近位ハウジング部分(32)は、近位ヘッド(36)と、ともに固定された遠位ベース(38)と、を含む。遠位ハウジング部分(34)は、カニューレ(20)の近位ハブ(図示せず)を取り囲む遠位シュラウド(40)と、遠位シュラウド(40)の近位端部に固定されたキャッププレート(42)と、それらの間に回転可能に配設され、半径方向外向きに突出するタブ(46)を有するラッチリング(44)と、を含む。ラッチリング(44)は、係止位置と係止解除位置との間でトロカール(10)の中心軸(A)を中心としてタブ(46)を介して選択的に回転可能である。係止位置では、ラッチリング(44)は、近位ハウジング部分(32)を遠位ハウジング部分(34)に係止する。係止解除位置では、ラッチリング(44)は、例えば、遠位ハウジング部分(34)内に収容された遠位シール構造(図示せず)に直接アクセスするために、近位ハウジング部分(32)を遠位ハウジング部分(34)から分離させることを可能にする。いくつかの変形例では、遠位シュラウド(40)は、遠位シュラウド(40)がカニューレ(20)の構成要素であるように、カニューレチューブ(22)の近位端部と一体的に形成され得る。
【0015】
図示されていないが、近位ハウジング部分(32)は、近位(又は「外側」)シール構造を収容し、遠位ハウジング部分(34)は、遠位(又は「内側」)シール構造を収容し、両方ともトロカール(10)の中心軸(A)に沿って配置されている。近位及び遠位シール構造は協働して、外科手術処置中に患者の腹腔の吹送を維持しながら、作業チャネル(14)に沿った外科用器具及び組織断片の通過を可能にするシールアセンブリを画定する。例えば、近位シール構造は、作業チャネル(14)を介して向けられた腹腔鏡外科用器具のシャフトに封止係合するように構成された環状シール部材を含み得る。遠位シール構造は、外科用器具シャフトの不在下で記載されたシールされた作業チャネル(14)を維持するように構成されたダックビルシール部材を含み得る。
【0016】
カニューレアセンブリ(12)は、カニューレ(20)の近位端部と動作可能に結合されており、ストップコック(52)の形態の調整可能なバルブを有する吹送ポート(50)を更に含む。吹送ポート(50)は、二酸化炭素などの吹送流体を、流体源(図示せず)から作業チャネル(14)を通して患者の腹腔内に遠位に方向付けるように構成され、それによって、腔を流体で拡張(又は「吹送する」)。腹腔のこの拡張は、改善された容易さで、腹腔鏡外科手術を行うための追加の空間を作り出す。
【0017】
図1及び
図2に示すように、トロカール(10)の閉塞具(16)は、近位ヘッド(60)と、ヘッド(60)から遠位に延在する細長い円筒シャフト(62)と、先細遠位先端(64)と、を含む。閉塞具シャフト(62)は、閉塞具先端(64)がカニューレ先端(24)を通って遠位に延在するように、カニューレアセンブリ(12)の作業チャネル(14)内に受容されるように構成されている。閉塞具ヘッド(60)は、ドーム型上部本体(66)と、ベースプレート(68)と、一対のラッチアーム(72)及び対応する一対のラッチボタン(74)を含む作動可能なラッチ部材(70)と、を含む。ラッチアーム(72)は、閉塞具(16)をカニューレアセンブリ(12)と結合するために、シールハウジングヘッド(36)の上面に形成されたそれぞれのスロット(35)(
図7A参照)内に捕捉されるように構成されている。ラッチボタン(74)は、スロット(35)からラッチアーム(72)を解放し、それによって、カニューレアセンブリ(12)からの閉塞具(16)の分離を可能にするように作動可能である。閉塞具(16)は、閉塞具ヘッド(60)及び閉塞具シャフト(62)を通って長手方向に延在する中央通路(76)を更に含み、その中に内視鏡(図示せず)を受容して、患者の腹壁を通るトロカール(10)の挿入中に視覚化を提供するように構成されている。閉塞具ヘッド(60)のクランプレバー(78)は、中央通路(76)内の内視鏡を選択的に固定するように枢動可能である。中央通路(76)及びクランプレバー(78)は、単に任意選択的な特徴部であり、他の変形例では、閉塞具(16)から省略され得る。
【0018】
カニューレアセンブリ(12)及び閉塞具(16)は、患者との単回使用後に処分されるように構築され得る。他の変形例では、トロカール(10)の1つ又は2つ以上の構成要素は、例えば、
図4~
図5のトロカール(110)に関連して以下でより詳細に説明されるように、滅菌及び複数の再使用に耐えるように好適に構築され得る。
【0019】
B.患者の腹腔内のトロカールの例示的な展開
図3A~
図3Dは、上述のトロカール(10)を用いて患者の腹壁(2)を通して患者の腹腔(1)にアクセスする例示的な方法を示す。腹壁(2)は、外側の表面層及び内側の深層を含むことが理解されよう。表層には一般に、皮膚(3)の外層と脂肪(4)の内層とが含まれる。一方、より深い層には筋肉の代替的な層(5)及び筋膜(6)が含まれ、筋膜は、表層よりも張力が高く、繊維状で柔軟である。
【0020】
図3Aに示すように、閉塞具(16)がカニューレアセンブリ(12)内に受容され、シールハウジング(30)に接続された状態で、臨床医は閉塞具ヘッド(60)及びシールハウジング(30)を介してトロカール(10)を操作して、トロカール(10)を前後に回転させながら、閉塞具先端(64)を、皮膚(3)に対して及び腹腔(1)に方向付けて内側に押し付ける。
図3Bに示すように、トロカール(10)の引き続き内側に押し付けることにより、閉塞具先端(64)及びカニューレ先端(24)を、脂肪の層(4)及び筋膜(5)を通して遠位に、かつ腔(1)の中に更に方向付ける。上述のように、このステップは、閉塞具(16)内に装着された内視鏡(図示せず)によって提供された視覚化によって容易にされ得る。カニューレ(20)が腔(1)への所望の挿入深度に到達すると、臨床医は、ラッチボタン(74)の押し下げを介して閉塞具ヘッド(60)をシールハウジング(30)から解放し、次いで、
図3Cに示されるように、閉塞具(16)をカニューレアセンブリ(12)から近位に引き出す。これにより、カニューレアセンブリ(12)の作業チャネル(14)は、腹腔鏡外科手術を行うために、内部を通して遠位に外科用器具を自由に受容するようになる。上述のように、カニューレチューブ(22)上に設けられた組織係合リブ(26)は、腹壁(2)の組織(3、4、5)の層を把持し、したがって、腹壁(2)に対して少なくとも最小の安定度を有するカニューレアセンブリ(12)を提供する。腹腔鏡外科手術の完了時に、臨床医は、
図3Dに示されるように、シールハウジング(30)を把持し、カニューレアセンブリ(12)を腹壁(2)から近位に引き抜く。
【0021】
C.使い捨てシールアセンブリを有する例示的な再使用可能なトロカール
場合によっては、その1つ又は2つ以上の構成要素が、複数の外科手術のために滅菌及び再使用され得るようにトロカールを構成することが望ましい場合があり、一方、1つ又は2つ以上の他の構成要素は、各手順の後に容易かつ経済的に処分され、交換され得る。
図4~
図5は、そのような様式で構成された別の例示的なトロカール(110)を示し、以下に別途記載されるものを除いて、上述のトロカール(10)と構造及び機能が類似している。
【0022】
トロカール(10)と同様に、トロカール(110)は、作業チャネル(114)、及び作業チャネル(114)に沿って同軸にカニューレアセンブリ(112)に挿入されるように構成された閉塞具(116)を有するカニューレアセンブリ(112)を含む。カニューレアセンブリ(112)は、その近位端部にベル形状のハブ(122)、ハブ(122)から遠位に延在し、角度付きカニューレ先端(126)で終端する細長い円筒チューブ(124)を有するカニューレ(120)を含む。カニューレチューブ(124)の外面は、カニューレチューブ(124)の内側部分に沿って軸方向に配置され、上述のリブ(26)と同様である環状リブ(128)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。
【0023】
カニューレアセンブリ(112)は、シールアセンブリ(130)を更に含む。トロカール(10)のシールハウジング(30)によって画定されたシールアセンブリとは異なり、シールアセンブリ(130)は、カニューレ(120)の近位ハブ(122)と解放可能に嵌合するように構成されたモジュール式交換可能ユニットとして構築されている。
図5に最もよく示されるように、本実施例のシールアセンブリ(130)は、一般に、上部フレーム部材(132)と、中間フレーム部材(134)と、同軸配置で互いに固定された下部フレーム部材(136)と、を含む。図示されていないが、近位(又は「外側」)シール構造は、上部フレーム部材(132)内に支持され、遠位(又は「内部」)シール構造は、下部フレーム部材(136)内に支持される。そのようなシール構造は、上述のトロカール(10)の近位及び遠位シール構造と構造及び機能において類似し得る。シールアセンブリ(130)は、ストップコック(142)の形態の調整可能なバルブを有する吹送ポート(140)を更に含む。
【0024】
吹送ポート(140)の遠位のシールアセンブリ(130)の下部分は、カニューレ(120)の近位ハブ(122)内に着座するように構成されており、その結果、下部分の周りに円周方向に配設された環状シール部材(144)が、カニューレハブ(122)の内面と封止係合している。このようにして、シールアセンブリ(130)の内部は、カニューレ(120)の管腔と流体連通して、吹送流体、外科用器具、及び組織断片がトロカール(10)に関連して概して上述された方式で方向付けられ得るカニューレアセンブリ(112)の作業チャネル(114)を画定する。シールアセンブリ(130)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2019年3月28日に公開された、米国特許出願公開第2019/0090905号、発明の名称「Trocar Seal Assemblies」、及び/又はその開示内容は参照により本明細書に組み込まれる、2019年12月19日に公開され、「Asymmetric Shaft Seal」と題する米国特許出願公開第2019/0380742号の1つ又は2つ以上の教示に従って更に構成され得る。
【0025】
図5に最もよく示されるように、トロカール(110)の閉塞具(116)は、近位ヘッド(150)と、ヘッド(150)から遠位に延在する細長い円筒シャフト(152)と、シャフト(152)の遠位端部の先細遠位先端(154)と、を含む。閉塞具ヘッド(150)は、ドーム型上部本体(156)と、ベースプレート(158)と、一対のラッチアーム(162)及び対応する一対の下向きに延在するラッチボタン(164)を含む作動可能なラッチ部材(160)と、を含む。ラッチアーム(162)は、閉塞具(116)をカニューレアセンブリ(112)と結合するために、シールアセンブリ(130)の上部フレーム部材(132)の上面に形成されたそれぞれのスロット(138)内に捕捉されるように構成されている。ラッチボタン(164)は、スロット(138)からラッチアーム(162)を解放し、それによって、カニューレアセンブリ(112)からの閉塞具(116)の分離を可能にするように作動可能である。
【0026】
本実施例のカニューレ(120)及び閉塞具(116)は、外科用鋼などの堅牢な材料で好適に構築再使用されており、その結果、それらは、複数の外科手術のために滅菌及びされ得る。対照的に、上述のように、シールアセンブリ(130)は、カニューレ(120)から分離され、各手順の後に交換されることを意図した使い捨てユニットとして構築されている。例えば、シールアセンブリ(130)は、シールアセンブリ(130)が、上述のトロカール(10)と同様に、シールアセンブリ(130)を処分するのに好適にする価格で容易に製造及び販売され得るように、プラスチック及びゴムを含む様々なポリマー材料で構築され得る。
【0027】
II.例示的なラッチレス閉塞具
上述のように、各作動可能なラッチ部材(70、160)は、それぞれの対のラッチアーム(72、162)及び対応する一対のラッチボタン(74、164)を含む。それぞれのラッチアーム(72、162)は、閉塞具(16、116)をカニューレアセンブリ(12、112)と結合するために、組み立てられたカニューレアセンブリ(12、112)のそれぞれのスロット(35、138)内に捕捉されるように構成されている。追加的に、ラッチボタン(74、164)は、スロット(35、138)からラッチアーム(72、162)を解放し、それによって、カニューレアセンブリ(12、112)からの閉塞具(16、116)の分離を可能にするように作動可能である。
【0028】
それゆえに、ラッチ部材(70、160)は、本明細書の説明に従って、トロカール(10、110)が腔(1)にアクセスするために使用される間、閉塞具(16、116)をカニューレアセンブリ(12、112)と結合するために使用され得る。カニューレ(20、120)が腔(1)への所望の挿入深度に到達すると、臨床医は、ラッチボタン(74、164)の押し下げによってカニューレアセンブリ(12、112)から閉塞具(16、116)を結合解除し、次いで、
図3Cに示されるように、閉塞具(16、116)をカニューレアセンブリ(12、112)から近位に引き出し得る。臨床医は、親指及び人差し指などの別の指を用いたピンチング運動を介して、片手でラッチボタン(74、164)を押し下げ得る。言い換えると、臨床医がカニューレアセンブリ(12、112)から閉塞具(16、116)を結合解除するために、臨床医は、(A)ラッチアーム(72、162)を、カニューレアセンブリ(12、112)との好適な係合から外すように撓ませるようにラッチボタン(74、164)を押し下げ、(B)カニューレアセンブリ(12、112)から閉塞具(16、116)を結合解除するために、ラッチボタン(74、164)が好適に押し下げられている間、カニューレアセンブリ(12、112)に対して近位に閉塞具(16、116)を引っ張らなければならない。
【0029】
本明細書の説明に従ってラッチボタン(74、164)の押し下げを介してラッチアーム(72、162)を作動させるために、ラッチアーム(72、162)は、ラッチボタン(74、164)の押し下げを介してラッチアーム(72、162)の比較的容易な作動を促進するために好適な幾何学的形状を必要とし得る。ラッチアーム(72、162)の好適な幾何学的形状は、厚さと比較して比較的長い長さを含むアスペクト比を有する板ばね幾何学的形状を含み得る。
【0030】
閉塞具(116)が滅菌され、複数の外科手術のために再使用されるように構成されている事例では、閉塞具(116)をカニューレアセンブリ(112)と結合及び結合解除する目的で、ラッチアーム(162)の長い、かつ薄い幾何学的形状は、ラッチアーム(162)が滅菌プロセス中に損傷を受け易くし得る。そのような損傷は、本明細書の説明に従って作動可能なラッチ部材(160)が機能することを防止し得る。例えば、使用済みの閉塞具(116)を洗浄及び滅菌するユーザは、ラッチアーム(162)が恒久的に損傷する程度までラッチボタン(164)に対してラッチアーム(162)を偶発的に屈曲させ得る。ラッチアーム(162)の恒久的な損傷は、ラッチボタン(164)が、本明細書の説明に従って、ラッチアーム(162)をカニューレアセンブリ(112)と好適に結合解除することを阻止し得る。
【0031】
図5に最良に見られるように、閉塞具(116)は、ラッチアーム(162)への意図しない損傷を防止するのを助けるように構成された補強スロット(155)を画定するベースプレート(158)を含み得る。補強スロット(155)は、ラッチアーム(162)を収容するように寸法決めされている。特に、補強スロット(155)は、ラッチアーム(162)が、ラッチボタン(164)の押し下げに応答して好適に撓むことを可能にし得、それにより、ラッチアーム(162)は、本明細書の説明に従って、閉塞具(116)をカニューレアセンブリ(112)と結合及び結合解除し得る。加えて、補強スロット(155)は、ラッチアーム(162)を補強して、例示的な使用及び滅菌中の偶発的な損傷を防止するのを助け得る。例えば、補強スロット(155)は、偶発的な接触の発生時にそれぞれのラッチアーム(162)の部分に当接し、それによって、ラッチアーム(162)を補強し、ラッチアーム(162)に対する偶発的な損傷を防止することを助け得る。
【0032】
しかしながら、ベースプレート(158)及び補強スロット(155)の存在は、閉塞具(116)の適切な滅菌に関連する様々な他の問題を生じさせ得る。例えば、ベースプレート(158)とドーム型上部本体(156)との間のエリアは、好適な滅菌のためにアクセスするのが困難になり得る。内部エリア内に位置する閉塞具(116)の全ての表面を好適に滅菌するために、流体が、ベースプレート(158)及びドーム型上部本体(156)によって画定される内部エリアに好適に進入するか、又は出ることが困難であり得る。別の例として、外部物質は、そのような物質を除去するための好適なアクセスなしで、ベースプレート(158)及びドーム型上部本体(156)によって画定される内部エリアに閉じ込められることになり得る。
【0033】
それゆえに、(A)結合アセンブリを介して結合及び結合解除するように、かつ再使用(B)結合アセンブリへの意図しない損傷を防止しながら、複数の外科手術のために好適に滅菌及びされるように構成された閉塞具を有することが望ましい場合がある。
【0034】
図6は、上記に説明された閉塞具(16、116)の代わりに、トロカール(10、110)に容易に組み込まれ得る閉塞具(216)の近位端部を示す。閉塞具(216)は、上述の閉塞具(116)と実質的に同様であり得るが、以下に説明される相違点を有する。それゆえに、閉塞具(216)は、閉塞具(216)が、複数の外科手術のために滅菌及び再使用され得るように、外科用鋼などの堅牢な材料で好適に構築され得る。閉塞具(216)は、近位ヘッド(260)と、近位ヘッド(260)から遠位に延在する細長い円筒シャフト(262)と、先細遠位先端(264)と、を含む(
図8A及び
図8B参照)。
【0035】
細長い円筒シャフト(262)及び先細遠位先端(264)は、上記に説明される細長い円筒シャフト(62、152)及び先細遠位先端(64、154)と実質的に同様であり得る。それゆえに、円筒シャフト(262)は、閉塞具先端(264)がカニューレ先端(24、126)を通って遠位に延在するように、カニューレアセンブリ(12、112)の作業チャネル(14、114)内に受容されるように構成されている。
【0036】
閉塞具ヘッド(260)は、ドーム型上部本体(266)と、ベースプレート(268)と、締まり嵌め結合アセンブリ(270)と、を含む。以下でより詳細に説明されるように、閉塞具(216)の締まり嵌め結合アセンブリ(270)は、トロカール(210)を形成するために、閉塞具(216)をカニューレアセンブリ(12)と好適に結合するように構成されている。以下により詳細に説明されるように、結合アセンブリ(270)は、(A)閉塞具(116)の作動可能なラッチ部材(160)と比較して、閉塞具(216)の堅牢性及び/又は耐久性を改善するように、かつ締まり嵌め(B)滅菌目的で、アクセスすることが困難なエリアを封止することによって、閉塞具(116)と比較して閉塞具(216)の洗浄性を改善するように構成され得る。
【0037】
本例では、締まり嵌め結合アセンブリ(270)は、一対のばねクリップ(272)及び先細シャフト表面(280)を含む。先細シャフト表面(280)は、ベースプレート(268)により近い先細シャフト表面(280)の面積がベースプレート(268)から遠位に延在する先細シャフト表面(280)の面積よりも広いように、細長いシャフト(262)からベースプレート(268)に向かって延在する。以下でより詳細に説明されるように、先細シャフト表面(280)は、摩擦嵌合を介したカニューレアセンブリ(12)との閉塞具(216)の結合を促進するために、作業チャネル(14)を画定するシールハウジング(30)の傾斜上面(37)に当接するように寸法決めされる。
【0038】
各ばねクリップ(272)は、一対の脚(274)及び中央部分(276)を含む。各脚(274)の近位端部は、各脚(274)の遠位端部が各脚(274)の近位端部と比較して互いに近づくように、ベースプレート(268)の遠位表面から、先細になるように遠位に延在する。各脚(274)の遠位端部は、中央部分(276)が各脚(274)の遠位端部を接続するように、中央部分(276)内に終端する。中央部分(276)は、各脚(274)の遠位端部から拡張し、それにより、各脚(274)の遠位端部間の距離は、
図7A及び
図7Bに示される斜視図から見たとき、中央部分(276)の隣接場所間の距離よりも近い。
【0039】
脚(274)、中央部分(276)、及びベースプレート(268)の遠位表面は、ばねクリップ(272)の両端部が開いた経路(278)を画定する。ばねクリップ(272)は、脚(274)及び中央部分(276)の両側が、外部圧縮力に応答して互いに対して内向きに屈曲し、それによって、経路(278)の断面サイズを変更し得るように、十分に弾性のある材料で形成される。加えて、ばねクリップ(272)は、外部圧縮力が除去されると、脚(274)及び中央部分(276)の両側がそれらの元の形状に戻るように拡張し、それによって、経路(278)がその元の断面サイズに戻ることを可能にし得るように、十分な弾性材料で形成される。以下でより詳細に説明されるように、ばねクリップ(272)は、摩擦嵌合を介したカニューレアセンブリ(12)との閉塞具(216)の結合を促進するために、シールハウジング(30)のそれぞれのスロット(35)内に収まるように寸法決めされている。
【0040】
図7A~
図8Cは、患者腹壁(2)を通して患者(1)の腹腔にアクセスするためのトロカール(210)としての閉塞具(216)及びカニューレアセンブリ(12)の例示的な使用を示す。特に、
図7A及び
図7Bは、カニューレアセンブリ(12)との閉塞具(216)の例示的な結合を示すが、一方で、
図8A~
図8Cは、組み立てられたトロカール(210)の例示的な使用、及びカニューレアセンブリ(12)からの閉塞具(216)の最終的な結合解除を示す。
【0041】
図7Aは、先細シャフト表面(280)がシールハウジング(30)の傾斜上面(37)に対して近位にあるように、カニューレアセンブリ(12)の作業チャネル(14)内に挿入された細長いシャフト(262)を示す。加えて、ばねクリップ(272)は、スロット(35)に対して近位であるが、結合目的でスロット(35)と好適に位置合わせされる。
図7Aに示される瞬間に、閉塞具(216)は、カニューレアセンブリ(12)と好適に結合されていない。
【0042】
次に、
図7Bに示されるように、臨床医は、先細シャフト表面(280)がシールハウジング(30)の傾斜上面(37)と係合するように、かつばねクリップ(272)がそれらのそれぞれのスロット(35)に駆動されるように、閉塞具ヘッド(260)及びカニューレアセンブリ(12)を互いに向かって更に作動させ得る。先細シャフト表面(280)と傾斜表面(37)との間の係合、並びにそれぞれのスロット(35)内のばねクリップ(272)の保持は、トロカール(210)を形成するために、閉塞具(216)とカニューレアセンブリ(12)との間の締まり嵌め結合を促進するのを助け得る。
【0043】
いくつかの事例では、先細シャフト表面(238)と傾斜表面(37)との間の係合は、先細シャフト表面(238)及び/又は傾斜表面(37)の変形を引き起こし得る。加えて、いくつかの事例では、スロット(35)を画定するばねクリップ(272)とシールハウジング(30)の一部分との間の係合は、ばねクリップ(272)及び/又はスロット(35)を画定するシールハウジング(30)の部分の変形を引き起こし得る。そのような変形は、閉塞具(216)とカニューレアセンブリ(12)との間の締まり嵌め結合を更に促進し得る。
【0044】
先細シャフト表面(280)及びシールハウジング(30)の傾斜上面(37)は、臨床医が閉塞具ヘッド(260)及びカニューレアセンブリ(12)を互いに向かって作動させたときに、閉塞具ヘッド(260)がカニューレアセンブリ(12)に対して遠位方向に更に遠くに作動することを防止し得る摩擦制動力を先細シャフト表面(280)と傾斜上面(37)との間の係合が促進するように、相補的な表面を有し得る。閉塞具ヘッド(260)及びカニューレアセンブリ(12)の互いに向かう作動によって表面(37、280)の間に発生する摩擦制動力は、本明細書の説明に従って、例示的な使用中の閉塞具(216)及びカニューレアセンブリ(12)の偶発的な結合解除を好適に防止するのに十分な強度の表面(37、280)間に好適な締まり嵌め結合を生じさせ得る。言い換えると、表面(37、280)間の摩擦係合は、閉塞具(216)がカニューレアセンブリ(12)と近位に結合解除することを好適に防止するのを助け得る。例えば、表面(37、280)間の摩擦係合は、臨床医が閉塞具ヘッド(260)によってトロカール(210)のみを把持する間に、トロカール(210)を組み立てられたままに保つのに十分な強度であり得る。
【0045】
傾斜上面(37)及び先細シャフト表面(280)は、表面(37、280)間の運動に対する摩擦抵抗が、閉塞具(216)とカニューレアセンブリ(12)との間の嵌合経路に沿って延在する少なくとも部分的な構成要素を有するように、平面に沿って互いに係合することを理解されたい。表面(27、280)間の運動に対する摩擦抵抗の部分的な構成要素は、閉塞具(216)がカニューレアセンブリ(12)と近位に結合解除することを防止するのに十分な強度であり得る。
【0046】
シールハウジング(30)のスロット(35)は、外側リップ(39)及び傾斜上面(37)によって画定される。スロット(35)は、ばねクリップ(272)の最も広い部分と比較してより狭く寸法決めされている。それゆえに、臨床医が閉塞具ヘッド(26)及びカニューレアセンブリ(12)を互いに向かって作動させたとき、ばねクリップ(272)は、スロット(35)を画定するシールハウジング(30)の部分と接触する。そのような接触は、脚(274)及び中央部分(276)の両側を互いに対して内向きに屈曲させ、それによって、経路(278)の断面サイズを変更するように駆動し得る。ばねクリップ(237)を内向きに屈曲させる、スロット(35)を画定するシールハウジング(30)の部分と、ばねクリップ(272)との間の接触は、本明細書の説明に従って、例示的な使用中に、閉塞具(216)及びカニューレアセンブリ(12)の偶発的な結合解除を好適に防止するのに十分な強度の十分な摩擦制動力を発生させ得る。例えば、スロット(35)とばねクリップ(272)との間の摩擦係合は、臨床医が閉塞具ヘッド(260)によってトロカール(210)のみを把持する間に、トロカール(210)を組み立てられたままに保つのに十分な強度であり得る。
【0047】
ばねクリップ(272)及びスロット(35)は、ばねクリップ(272)及びスロット(35)の表面間の運動に対する摩擦抵抗が、閉塞具(216)とカニューレアセンブリ(12)との間の嵌合経路に沿って延在する少なくとも部分的な構成要素を有するように、平面に沿って互いに係合することを理解されたい。ばねクリップ(272)及びスロット(35)の表面間の運動に対する摩擦抵抗の部分的な構成要素は、閉塞具(216)がカニューレアセンブリ(12)と近位に結合解除することを防止するのに十分な強度であり得る。
【0048】
加えて、中央部分(276)は、スロット(35)内に挿入されている間に最初に変形し、次いで、スロット(35)を画定するシールハウジング(30)の部分ともはや接触しないほど十分に遠く、スロット(35)内で遠位に延在し得る。そのような事例では、ばねクリップ(272)の弾力性は、中央部分(276)がその初期形状に向かって戻ることを可能にし得、それにより、中央部分(276)の最も広い部分は、スロット(35)よりも広い。それゆえに、中央部分(276)とスロット(35)を画定するシールハウジング(30)の一部分との間の接触は、例示的な使用中に、カニューレアセンブリ(12)との閉塞具(216)の偶発的な結合解除を更に防止し得る。
【0049】
いくつかの事例では、ばねクリップ(272)は、全く弾力的でなくてもよい。そのような事例では、ばねクリップ(272)は、上記に説明された先細シャフト表面(280)及び傾斜上面(37)と同様の様式で、スロット(35)との摩擦力を生じる、下向きに延在するピンにより近いものであり得る。
【0050】
トロカール(210)を形成するためにカニューレアセンブリ(12)と好適に結合された閉塞具(216)によると、臨床医は、患者腹壁(2)を通して患者(1)の腹腔にアクセスするためにトロカール(210)を使用することに進み得る。
図8Aに最良に示されるように、閉塞具(216)がカニューレアセンブリ(12)内に受容され、シールハウジング(30)に接続された状態で、臨床医は、閉塞具ヘッド(260)及びシールハウジング(30)を介してトロカール(210)を操作して、トロカール(210)を前後に回転させながら、閉塞具先端(264)を、皮膚(3)に対して及び腹腔(1)に向けて内向きに押し付ける。臨床医が、トロカール(210)を腹腔(1)に向けて内向きに操作すると、ばねクリップ(272)及び先細シャフト表面(280)が、係合カニューレアセンブリ(12)に更に作動され得ることを理解されたい。それゆえに、閉塞具先端(264)が腹腔(1)に付勢されている間、臨床医が閉塞具(216)とカニューレアセンブリ(12)との間の摩擦嵌合を克服し、それによって、トロカール(210)を不意に結合解除する機会が低減される。
図8Bに示されるように、トロカール(210)の引き続き内向きに押し付けることは、閉塞具先端(264)及びカニューレ先端(24)を、脂肪の層(4)及び筋膜(5)を通して遠位に、かつ腔(1)の中に更に方向付ける。
【0051】
次に、
図8Cに示されるように、臨床医は、閉塞具(216)をカニューレ(12)から結合解除するために、閉塞具(216)をカニューレアセンブリ(12)に対して近位に引っ張り得る。いくつかの例では、臨床医は、カニューレアセンブリ(12)を患者の腹腔(1)内で好適に静止した状態に保ちながら摩擦嵌合を克服するために、カニューレアセンブリ(12)を片手で保持し、一方で、閉塞具(216)を他方の手で引っ張ることができる。他の事例では、臨床医は、臨床医が、閉塞具(216)を引っ張るだけで、カニューレアセンブリ(12)から閉塞具(216)を結合解除し得るように、カニューレアセンブリ(12)を片手で保持する必要がなくてもよい。
【0052】
臨床医は、傾斜上面(37)と先細シャフト表面(280)との間の摩擦嵌合を克服するために、カニューレアセンブリ(12)に対して閉塞具(216)を十分な力で近位に作動させ得る。加えて、臨床医は、ばねスリップ(272)とスロット(35)を画定するシールハウジング(30)の表面との間の摩擦嵌合を克服するために、カニューレアセンブリ(12)に対して閉塞具(216)を近位に作動させ得る。中央部分(276)が、スロット(35)を画定するシールハウジング(30)の部分ともはや接触しないほど十分に遠く、スロット(35)内で遠位に延在する事例では、臨床医は、中央部分(276)がスロット(35)から外に近位に作動するために、中央部分(276)を変形させるのに十分な力で、カニューレアセンブリ(12)に対して閉塞具(216)を近位に作動させ得る。例示的な使用後、ユーザは、別の使用のために閉塞具(216)を好適に滅菌し得る。
【0053】
ばねクリップ(272)は、カニューレアセンブリ(12)と閉塞具(216)との間の長手方向の動きに応答して屈曲するように構成されているため、臨床医は、閉塞具(216)をカニューレアセンブリ(12)から結合解除するために十分な押し下げ力(例えば、ピンチング運動)を提供することをもはや必要とされない。それゆえに、ばねクリップ(272)は、ラッチアーム(162)と比較して、より小さい長さ対厚さを含むアスペクト比を有し得る。加えて、ばねクリップ(272)は、上記に説明されたラッチアーム(162)と比較して、より堅牢な材料で形成され得る。より小さい長さ対厚さの比率及びより堅牢な材料に起因して、ばねクリップ(272)は、滅菌プロセス中、及び/又は偶発的な接触に応答して、損傷に対して低脆弱性であり得る。
【0054】
加えて、ばねクリップ(272)は、ドーム型上部本体(266)上のボタンに適用される十分な押し下げ力に応答して、横方向運動をもはや必要としないため、ベースプレート(268)は、補強スロットを必要とせず、ドーム型上部本体(266)は、開口を必要としない。それゆえに、ベースプレート(268)は、ベースプレート(268)及びドーム型上部本体(266)によって画定される内部が外部流体及び物質からシールされ得るように、固体プレートであり得る。スロット及び開口の欠如は、外部流体及び他の物質が閉塞具ヘッド(260)の内部に進入することを防止するのを助け得、これは、結果的に、上記に説明される閉塞具(116)と比較して、閉塞具(216)を洗浄及び滅菌することを容易にし得る。
【0055】
本例では、両方の脚(274)の近位端部は、ベースプレート(268)の遠位表面に固定されている。しかしながら、いくつかの事例では、1つの脚(274)のみが、ベースプレート(268)の遠位表面に固定され得る。本例では、中央部分(276)は、半円筒形状を形成するが、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるように、任意の好適な形状が使用され得る。本例では、脚(274)は、脚(274)が互いに結合されないように、中央部分(276)内に終端する。しかしながら、これは、中央部分(276)が完全に省略されるように、脚(274)が、互いに向かって先細になり、互いに直接結合し得る際に、単に任意選択である。本例では、脚(274)は、実質的に平坦表面で形成されている。しかしながら、これは、脚(274)の表面が、本明細書の教示を考慮して当業者には明らかであるように、起伏表面などの任意の好適な形状を有し得る際の、単なる選択肢である。
【0056】
本例では、閉塞具(216)は、トロカール(210)を形成するためにカニューレアセンブリ(12)と組み合わせて使用されるが、閉塞具(216)は、摩擦結合アセンブリ(270)が、上記に説明されたシールアセンブリ(130)と好適に嵌合するように、上記に説明されたカニューレアセンブリ(112)とともに使用されるように構成され得ることを理解されたい。
【0057】
図9は、上記に説明された閉塞具(216)の代わりに使用され得る別の例示的な閉塞具(316)を示す。内視鏡(316)は、上記に説明された閉塞具(216)と実質的に同様であるが、以下に詳述される相違点を有する。閉塞具(316)は、近位ヘッド(360)と、近位ヘッド(360)から遠位に延在する細長い円筒シャフト(362)と、先細遠位先端(図示せず)と、を含み、これらは、上記に説明された、近位ヘッド(260)、細長い円筒シャフト(262)、及び先細遠位先端(264)と実質的に同様である。
【0058】
閉塞具ヘッド(360)は、ドーム型上部本体(366)、ベースプレート(368)、及び締まり嵌め結合アセンブリ(370)を含み、これらは、締まり嵌め結合アセンブリ(370)が、ばねクリップ(372)のみを含み、かつ閉塞具(216)の表面(280)と同様の先細シャフト表面を含まないことを除いて、上記に説明された、ドーム型上部本体(266)、ベースプレート(268)、及び締まり嵌め結合アセンブリ(270)と実質的に同様である。ばねクリップ(372)は、上記に説明されたばねクリップ(272)と実質的に同様である。それゆえに、ばねクリップ(372)は、摩擦嵌合を介したカニューレアセンブリ(12)との閉塞具(316)の結合を促進するために、シールハウジング(30)のそれぞれのスロット(35)内に収まるように寸法決めされている。
【0059】
図10は、上記に説明された閉塞具(216)の代わりに使用され得る別の例示的な閉塞具(416)を示す。内視鏡(416)は、上記に説明された閉塞具(216)と実質的に同様であるが、以下に詳述される相違点を有する。閉塞具(416)は、近位ヘッド(460)と、近位ヘッド(460)から遠位に延在する細長い円筒シャフト(462)と、先細遠位先端(図示せず)と、を含み、これらは、上記に説明された、近位ヘッド(260)、細長い円筒シャフト(262)、及び先細遠位先端(264)と実質的に同様である。
【0060】
閉塞具ヘッド(460)は、ドーム型上部本体(466)、ベースプレート(468)、及び締まり嵌め結合アセンブリ(470)を含み、これらは、締まり嵌め結合アセンブリ(470)が、先細シャフト表面(480)のみを含み、かつ閉塞具(216、316)のばねクリップ(272、372)と同様のばねクリップを含まないことを除いて、上記に説明された、ドーム型上部本体(266)、ベースプレート(268)、及び締まり嵌め結合アセンブリ(270)と実質的に同様である。先細シャフト表面(480)は、上記に説明された先細シャフト表面(280)と実質的に同様である。それゆえに、先細シャフト表面(480)は、摩擦嵌合を介したカニューレアセンブリ(12)との閉塞具(416)の結合を促進するために、作業チャネル(14)を画定するシールハウジング(30)の傾斜上面(37)に当接するように寸法決めされる。
【0061】
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせる又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願又は本出願のその後の出願において任意の時点で提示され得る特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。一切の権利放棄が意図されていない。以下の実施例は、単に例示的な目的で提供されているに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用され得ることが企図される。また、一部の変形例では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してもよいことも企図される。したがって、以下に言及される態様又は特徴のいずれも、本発明者ら又は本発明者らの権利相続人によって後にそのように明示的に示されていない限り、重要であるとみなされるべきではない。本出願又は本出願に関連する後続の出願において提示される特許請求の範囲が、以下に言及されるもの以外の追加の特徴を含む場合、それらの追加の特徴は、特許性に関するいかなる理由で追加されたものとみなされるべきではない。
【実施例1】
【0062】
外科用アクセスデバイスであって、(a)カニューレアセンブリであって、(i)カニューレと、(ii)カニューレの近位端部と結合されたカニューレヘッドと、(iii)カニューレ及びカニューレヘッドによって少なくとも部分的に画定されており、かつカニューレアセンブリの中心軸に沿って長手方向に延在する、作業チャネルであって、作業チャネルが、患者の体腔内の外科手術部位にアクセスするために、内部を通して外科用器具を受容するように構成されている、作業チャネルと、を含む、カニューレアセンブリ、並びに(b)閉塞具であって、閉塞具が、患者の体壁を通る外科用アクセスデバイスの挿入を容易にするために、中心軸に沿って、カニューレアセンブリと取り外し可能に結合するように構成されている、閉塞具を備え、閉塞具が、(i)長手方向軸に沿って延在する細長いシャフトであって、細長いシャフトが、カニューレアセンブリの作業チャネル内に収まるように寸法決めされている、細長いシャフトと、(ii)細長いシャフトの遠位部分に位置する先細遠位先端と、(iii)細長いシャフトの近位部分に位置する閉塞具ヘッドであって、閉塞具ヘッドが、カニューレアセンブリの表面に対する摩擦力を介して、閉塞具とカニューレアセンブリとの間の近位移動を抑制するように構成された締まり嵌め特徴部を備える、閉塞具ヘッドと、を備える、外科用アクセスデバイス。
【実施例2】
【0063】
閉塞具ヘッドが、ベースプレート及びドーム型本体を備え、ベースプレート及びドーム型本体が、内部エリアを画定している、実施例1に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例3】
【0064】
ベースプレート及びドーム型本体が、内部エリアの周囲にシールを形成している、実施例2に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例4】
【0065】
締まり嵌め特徴部が、ベースプレートから遠位に延在している、実施例2又は3に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例5】
【0066】
締まり嵌め特徴部が、シャフトアセンブリからベースプレートまで延在している先細表面を備える、実施例4に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例6】
【0067】
カニューレヘッドが、作業チャネルの一部分を画定する傾斜上面を含むシールアセンブリを備える、実施例4又は5に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例7】
【0068】
先細表面が、傾斜上面と係合して、摩擦力の少なくとも一部分を発生させるように構成されている、実施例6に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例8】
【0069】
締まり嵌め特徴部が、ベースプレートに結合された下向きに延在するピンを備える、実施例2~7のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例9】
【0070】
カニューレヘッドが、作業チャネルに隣接して位置するスロットを画定するシールアセンブリを備え、下向きに延在するピンが、スロットを画定するシールアセンブリの一部分と係合して、摩擦力の少なくとも一部分を発生させるように構成されている、実施例8に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例10】
【0071】
下向きに延在するピンが、弾性材料から形成されたばねクリップを備える、実施例9に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例11】
【0072】
ばねクリップが、ベースプレートに取り付けられた一対の脚を備える、実施例10に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例12】
【0073】
ばねクリップが、一対の脚の各脚の遠位端部に取り付けられた中央本体を更に備える、実施例11に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例13】
【0074】
中央本体が、半管状形状を含む、実施例12に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例14】
【0075】
ばねクリップ及びベースプレートが、端の開いた経路を一緒に画定している、実施例13に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例15】
【0076】
閉塞具が、外科用鋼で形成されている、実施例1~14のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例16】
【0077】
締まり嵌め特徴部が、細長いシャフトに取り付けられている、実施例1~15のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例17】
【0078】
締まり嵌め特徴部が、細長いシャフトから離間配置されている、実施例1~16のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例18】
【0079】
外科用アクセスデバイスであって、(a)カニューレアセンブリであって、(i)カニューレと、(ii)カニューレの近位端部と結合され、第1の係合表面を含む、カニューレヘッドと、(iii)カニューレ及びカニューレヘッドによって少なくとも部分的に画定されており、かつカニューレアセンブリの中心軸に沿って長手方向に延在する、作業チャネルであって、作業チャネルが、患者の体腔内の外科手術部位にアクセスするために、内部を通して外科用器具を受容するように構成されている、作業チャネルと、を含む、カニューレアセンブリ、並びに(b)閉塞具であって、閉塞具が、患者の体壁を通る外科用アクセスデバイスの挿入を容易にするために、中心軸に沿って、カニューレアセンブリと取り外し可能に結合するように構成されている、閉塞具を備え、閉塞具が、(i)長手方向軸に沿って延在する細長いシャフトであって、細長いシャフトが、カニューレアセンブリの作業チャネル内に収まるように寸法決めされている、細長いシャフトと、(ii)細長いシャフトの遠位部分に位置する先細遠位先端と、(iii)細長いシャフトの近位部分に位置する閉塞具ヘッドであって、閉塞具ヘッドが、締まり嵌め特徴部を備え、締まり嵌め特徴部は、閉塞具がカニューレアセンブリと結合されている間に、第1の係合表面に対して当接して、摩擦力を発生させるように構成された第2の係合表面を備え、締まり嵌め特徴部が、カニューレアセンブリに対する閉塞具の近位並進を抑制するように構成されている、閉塞具ヘッドと、を備える、外科用アクセスデバイス。
【実施例19】
【0080】
第2の係合表面が、細長いシャフトに取り付けられている、実施例18に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例20】
【0081】
外科用アクセスデバイスであって、(a)カニューレアセンブリであって、(i)カニューレと、(ii)カニューレの近位端部と結合されたカニューレヘッドと、(iii)カニューレ及びカニューレヘッドによって少なくとも部分的に画定されており、かつカニューレアセンブリの中心軸に沿って長手方向に延在する、作業チャネルであって、作業チャネルが、患者の体腔内の外科手術部位にアクセスするために、内部を通して外科用器具を受容するように構成されている、作業チャネルと、を含む、カニューレアセンブリ、並びに(b)閉塞具であって、閉塞具が、患者の体壁を通る外科用アクセスデバイスの挿入を容易にするために、中心軸に沿って、カニューレアセンブリと取り外し可能に結合するように構成されている、閉塞具を備え、閉塞具が、(i)長手方向軸に沿って延在する細長いシャフトであって、細長いシャフトが、カニューレアセンブリの作業チャネル内に収まるように寸法決めされている、細長いシャフトと、(ii)細長いシャフトの遠位部分に位置する先細遠位先端と、(iii)細長いシャフトの近位部分に位置する閉塞具ヘッドであって、閉塞具ヘッドは、閉塞具がカニューレアセンブリと結合されている間にカニューレヘッドと係合するように構成されており、閉塞具ヘッドが、締まり嵌め特徴部を備え、締まり嵌め特徴部が、摩擦係合を介してカニューレヘッドに対する閉塞具の近位並進を抑制するために、締まり嵌め特徴部自体又はカニューレヘッドの一部分を変形させるように構成されている、閉塞具ヘッドと、を備える、外科用アクセスデバイス。
【0082】
IV.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができることを理解されたい。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には容易に明らかとなるであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0083】
更に、本明細書の教示のうちの任意の1つ又は2つ以上は、米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP1]号(「Pinch-To-Release Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP2]号(「Multi-Diameter Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP3]号(「Pinch-To-Clamp Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP4]号(「Universal Size Multi-Walled Elastomer Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP5]号(「Threaded Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP6]号(「Tilting Tang Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP7]号(「Two Piece Separable Obturator」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP9]号(「Balancing Feature for Reusable Trocar」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP10]号(「Airflow Channels and Patterns in Lumen for Cannula」と題された)、及び/又は、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP11]号(「Stabilizer for Surgical Shafts or Cannulas」と題された)に開示された教示のうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる。これらの特許出願のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、刊行物、又は他の開示内容の全部又は一部は、組み込まれる内容が本開示に記載されている既存の定義、見解、又は他の開示内容と矛盾しない範囲でのみ、本明細書に組み込まれることを理解されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0085】
上記のデバイスの変形形態は、医療専門家によって行われる従来の医療処置及び手術に適用するだけでなく、ロボット支援医療処置及び手術にも適用することができる。ほんの一例として、本明細書の様々な教示は、Intuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどのロボット外科用システムに容易に組み込むことができる。同様に、当業者であれば、本明細書における様々な教示を、以下のうちのいずれかの様々な教示と容易に組み合わせることができることを認識するであろう:その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1998年8月11日発行の「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」と題する米国特許第5,792,135号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年7月22日発行の「Robotically-Controlled Surgical End Effector System」と題する米国特許第8,783,541号、2013年7月9日発行の「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題する米国特許第8,479,969号、2014年8月12日に発行された、「Robotically-Controlled Cable-Based Surgical End Effectors」と題する米国特許第8,800,838号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は2013年11月5日に発行された、「Robotically-Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」と題する米国特許第8,573,465号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0086】
上述のデバイスの変形例は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再使用のために再調整することができる。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形形態は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は除去することができる。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、デバイスのいくつかの変形形態を、再調整施設において、又は処置の直前にユーザによって、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0087】
単に例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックのような密閉及び封止された容器に入れる。次に、容器及びデバイスを、ガンマ線、X線、又は高エネルギー電子線など、容器を透過することができる放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させることがある。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。デバイスはまた、ベータ線若しくはガンマ線、エチレンオキシド、又は蒸気を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で周知の任意の他の技術を用いて滅菌することができる。
【0088】
本発明の様々な実施形態を示し記載したが、当業者による適切な修正により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な修正のいくつかについて述べたが、その他の修正は当業者には明らかであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、幾何学的形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであり、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に関して考慮されるべきであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び操作の詳細に限定されないことが理解される。
【0089】
〔実施の態様〕
(1) 外科用アクセスデバイスであって、
(a)カニューレアセンブリであって、
(i)カニューレと、
(ii)前記カニューレの近位端部と結合されたカニューレヘッドと、
(iii)前記カニューレ及び前記カニューレヘッドによって少なくとも部分的に画定されており、かつ前記カニューレアセンブリの中心軸に沿って長手方向に延在する、作業チャネルであって、前記作業チャネルが、患者の体腔内の外科手術部位にアクセスするために、内部を通して外科用器具を受容するように構成されている、作業チャネルと、を含む、カニューレアセンブリ、並びに
(b)閉塞具であって、前記閉塞具が、前記患者の体壁を通る前記外科用アクセスデバイスの挿入を容易にするために、前記中心軸に沿って、前記カニューレアセンブリと取り外し可能に結合するように構成されている、閉塞具を備え、前記閉塞具が、
(i)長手方向軸に沿って延在する細長いシャフトであって、前記細長いシャフトが、前記カニューレアセンブリの前記作業チャネル内に収まるように寸法決めされている、細長いシャフトと、
(ii)前記細長いシャフトの遠位部分に位置する先細遠位先端と、
(iii)前記細長いシャフトの近位部分に位置する閉塞具ヘッドであって、前記閉塞具ヘッドが、前記カニューレアセンブリの表面に対する摩擦力を介して、前記閉塞具と前記カニューレアセンブリとの間の近位移動を抑制するように構成された締まり嵌め特徴部を備える、閉塞具ヘッドと、を備える、外科用アクセスデバイス。
(2) 前記閉塞具ヘッドが、ベースプレート及びドーム型本体を備え、前記ベースプレート及び前記ドーム型本体が、内部エリアを画定している、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
(3) 前記ベースプレート及び前記ドーム型本体が、前記内部エリアの周囲にシールを形成している、実施態様2に記載の外科用アクセスデバイス。
(4) 前記締まり嵌め特徴部が、前記ベースプレートから遠位に延在している、実施態様2に記載の外科用アクセスデバイス。
(5) 前記締まり嵌め特徴部が、シャフトアセンブリから前記ベースプレートまで延在している先細表面を備える、実施態様4に記載の外科用アクセスデバイス。
【0090】
(6) 前記カニューレヘッドが、前記作業チャネルの一部分を画定する傾斜上面を含むシールアセンブリを備える、実施態様4に記載の外科用アクセスデバイス。
(7) 前記先細表面が、前記傾斜上面と係合して、前記摩擦力の少なくとも一部分を発生させるように構成されている、実施態様6に記載の外科用アクセスデバイス。
(8) 前記締まり嵌め特徴部が、前記ベースプレートに結合された下向きに延在するピンを備える、実施態様2に記載の外科用アクセスデバイス。
(9) 前記カニューレヘッドが、前記作業チャネルに隣接して位置するスロットを画定するシールアセンブリを備え、前記下向きに延在するピンが、前記スロットを画定する前記シールアセンブリの一部分と係合して、前記摩擦力の少なくとも一部分を発生させるように構成されている、実施態様8に記載の外科用アクセスデバイス。
(10) 前記下向きに延在するピンが、弾性材料から形成されたばねクリップを備える、実施態様9に記載の外科用アクセスデバイス。
【0091】
(11) 前記ばねクリップが、前記ベースプレートに取り付けられた一対の脚を備える、実施態様10に記載の外科用アクセスデバイス。
(12) 前記ばねクリップが、前記一対の脚の各脚の遠位端部に取り付けられた中央本体を更に備える、実施態様11に記載の外科用アクセスデバイス。
(13) 前記中央本体が、半管状形状を含む、実施態様12に記載の外科用アクセスデバイス。
(14) 前記ばねクリップ及び前記ベースプレートが、端の開いた経路を一緒に画定している、実施態様13に記載の外科用アクセスデバイス。
(15) 前記閉塞具が、外科用鋼で形成されている、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
【0092】
(16) 前記締まり嵌め特徴部が、前記細長いシャフトに取り付けられている、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
(17) 前記締まり嵌め特徴部が、前記細長いシャフトから離間配置されている、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
(18) 外科用アクセスデバイスであって、
(a)カニューレアセンブリであって、
(i)カニューレと、
(ii)前記カニューレの近位端部と結合され、第1の係合表面を含む、カニューレヘッドと、
(iii)前記カニューレ及び前記カニューレヘッドによって少なくとも部分的に画定されており、かつ前記カニューレアセンブリの中心軸に沿って長手方向に延在する、作業チャネルであって、前記作業チャネルが、患者の体腔内の外科手術部位にアクセスするために、内部を通して外科用器具を受容するように構成されている、作業チャネルと、を含む、カニューレアセンブリ、並びに
(b)閉塞具であって、前記閉塞具が、前記患者の体壁を通る前記外科用アクセスデバイスの挿入を容易にするために、前記中心軸に沿って、前記カニューレアセンブリと取り外し可能に結合するように構成されている、閉塞具を備え、前記閉塞具が、
(i)長手方向軸に沿って延在する細長いシャフトであって、前記細長いシャフトが、前記カニューレアセンブリの前記作業チャネル内に収まるように寸法決めされている、細長いシャフトと、
(ii)前記細長いシャフトの遠位部分に位置する先細遠位先端と、
(iii)前記細長いシャフトの近位部分に位置する閉塞具ヘッドであって、前記閉塞具ヘッドが、締まり嵌め特徴部を備え、前記締まり嵌め特徴部は、前記閉塞具が前記カニューレアセンブリと結合されている間に、前記第1の係合表面に対して当接して、摩擦力を発生させるように構成された第2の係合表面を備え、前記締まり嵌め特徴部が、前記カニューレアセンブリに対する前記閉塞具の近位並進を抑制するように構成されている、閉塞具ヘッドと、を備える、外科用アクセスデバイス。
(19) 前記第2の係合表面が、前記細長いシャフトに取り付けられている、実施態様18に記載の外科用アクセスデバイス。
(20) 外科用アクセスデバイスであって、
(a)カニューレアセンブリであって、
(i)カニューレと、
(ii)前記カニューレの近位端部と結合されたカニューレヘッドと、
(iii)前記カニューレ及び前記カニューレヘッドによって少なくとも部分的に画定されており、かつ前記カニューレアセンブリの中心軸に沿って長手方向に延在する、作業チャネルであって、前記作業チャネルが、患者の体腔内の外科手術部位にアクセスするために、内部を通して外科用器具を受容するように構成されている、作業チャネルと、を含む、カニューレアセンブリ、並びに
(b)閉塞具であって、前記閉塞具が、前記患者の体壁を通る前記外科用アクセスデバイスの挿入を容易にするために、前記中心軸に沿って、前記カニューレアセンブリと取り外し可能に結合するように構成されている、閉塞具を備え、前記閉塞具が、
(i)長手方向軸に沿って延在する細長いシャフトであって、前記細長いシャフトが、前記カニューレアセンブリの前記作業チャネル内に収まるように寸法決めされている、細長いシャフトと、
(ii)前記細長いシャフトの遠位部分に位置する先細遠位先端と、
(iii)前記細長いシャフトの近位部分に位置する閉塞具ヘッドであって、前記閉塞具ヘッドは、前記閉塞具が前記カニューレアセンブリと結合されている間に前記カニューレヘッドと係合するように構成されており、前記閉塞具ヘッドが、締まり嵌め特徴部を備え、前記締まり嵌め特徴部が、摩擦係合を介して前記カニューレヘッドに対する前記閉塞具の近位並進を抑制するために、前記締まり嵌め特徴部自体又は前記カニューレヘッドの一部分を変形させるように構成されている、閉塞具ヘッドと、を備える、外科用アクセスデバイス。