(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】コンテナ型ベッド
(51)【国際特許分類】
A47C 19/00 20060101AFI20250409BHJP
A47C 17/62 20060101ALI20250409BHJP
A47C 19/22 20060101ALI20250409BHJP
【FI】
A47C19/00 B
A47C17/62 Z
A47C19/22 A
(21)【出願番号】P 2024145626
(22)【出願日】2024-08-27
【審査請求日】2024-08-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524320909
【氏名又は名称】株式会社セントラルメタル
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】石橋 勝一
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第215126426(CN,U)
【文献】特開平10-276865(JP,A)
【文献】米国特許第04675929(US,A)
【文献】特許第7216457(JP,B1)
【文献】登録実用新案第3235394(JP,U)
【文献】特開2024-066532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 17/00-19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一底壁と当該第一底壁の周囲縁部から立ち上がった第一側壁とを有し、前記第一側壁の上端を開口した容器状の本体と、
第二底壁を有し、前記本体の開口部を開放する開放状態と当該開口部を閉じる閉鎖状態とを切り替え可能であり、前記第二底壁上に寝具を配置可能とした蓋部材と、
前記本体の下方に配置されて前記本体を支持し、ブロック状をなす複数の台座部材とを備え、
前記複数の台座部材が、前記本体の第一側壁の上端に形成された前記開口を介して前記本体内に収容可能であ
り、
水平面上の直交二方向のうち、一方を第一方向、他方を第二方向として、前記本体の下部が、第一方向の長さよりも第二方向の長さが長くなった形状を有し、前記台座部材が前記本体の下部の第一方向の長さよりも長く、第二方向の長さよりも短いことを特徴とするコンテナ型ベッド。
【請求項2】
第一底壁と当該第一底壁の周囲縁部から立ち上がった第一側壁とを有し、前記第一側壁の上端を開口した容器状の本体と、
第二底壁を有し、前記本体の開口部を開放する開放状態と当該開口部を閉じる閉鎖状態とを切り替え可能であり、前記第二底壁上に寝具を配置可能とした蓋部材と、
前記本体の下方に配置されて前記本体を支持し、ブロック状をなす複数の台座部材とを備え、
前記複数の台座部材が、前記本体の第一側壁の上端に形成された前記開口を介して前記本体内に収容可能であり、
水平面上の直交二方向のうち、一方を第一方向、他方を第二方向として、前記本体の下部が、第一方向の長さよりも第二方向の長さが長くなった形状を有し、
前記台座部材を二箇所に配置し、両台座部材のそれぞれに、前記本体の下部外面を前記第二方向の両側から拘束する第二突出部を設けたことを特徴とするコンテナ型ベッド。
【請求項3】
第一底壁と当該第一底壁の周囲縁部から立ち上がった第一側壁とを有し、前記第一側壁の上端を開口した容器状の本体と、
第二底壁を有し、前記本体の開口部を開放する開放状態と当該開口部を閉じる閉鎖状態とを切り替え可能であり、前記第二底壁上に寝具を配置可能とした蓋部材と、
前記本体の下方に配置されて前記本体を支持し、ブロック状をなす複数の台座部材とを備え、
前記複数の台座部材が、前記本体の第一側壁の上端に形成された前記開口を介して前記本体内に収容可能であり、
前記台座部材を二箇所に配置し、両台座部材の間に、板状の位置決め部材を架設したことを特徴とするコンテナ型ベッド。
【請求項4】
前記台座部材に、前記本体の下部外面を前記第一方向の両側から拘束する第一突出部を設けた請求項
1または2に記載のコンテナ型ベッド。
【請求項5】
前記第二突出部を、前記台座部材に取り付けた、上下方向の揺動軸を中心として揺動可能の揺動部材に設けた請求項
2に記載のコンテナ型ベッド。
【請求項6】
前記蓋部材の第二底壁に、物品を出し入れするための孔を設けた請求項1
~3何れか1項に記載のコンテナ型ベッド。
【請求項7】
前記台座部材を木製とした請求項1
~3何れか1項に記載のコンテナ型ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ型ベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
災害時に避難所等で使用されるコンテナ型ベッドとして、下記の特許文献1に記載されたものが知られている。このコンテナ型ベッドは、平板状の第一底壁と第一底壁の周囲縁部から立ち上がった第一側壁とを有し、第一側壁の上端を開口した容器状の本体と、平板状の第二底壁を有し、本体に対して着脱可能であり、本体への取り付け時に、本体の開口部を閉鎖すると共に、第二底壁が寝具を支持する床面となる蓋部材と、平板状の第三底壁を有し、本体の上方および下方に移設可能であり、本体の上方に配置した時に、蓋部材の第二底壁を覆い、本体の下方に配置した時に、本体の第一底壁を支持する移設部材と、を備えるものである。
【0003】
このコンテナ型ベッドをベッドとして使用する場合には、移設部材が本体の下方に配置される。一方、倉庫での保管時等のようにベッドとして使用しない場合は、本体の底部から移設部材を取り外し、蓋部材の上に移設部材を本体の上方に配置することで、移設部材を蓋として機能させている。
【0004】
このコンテナ型ベッドであれば、容器状の本体内に食料、飲料、薬類、日用品、貴重品等の物品を収容できるので、避難所等において割り当てられた各人のスペースの有効活用を図ることができる、という利点が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のコンテナ型ベッドは、災害時以外の保管時に本体、蓋部材、および移設部材の三要素を上下方向に積み重ねる必要があるため、上下方向の寸法が増大する。そのため、保管時の占有スペースが大きく、広大な保管スペースを必要とする。また、移設部材が本体の底壁の全面を覆う構造であるため、移設部材の重量分だけ全体の重量が増し、取り扱いの利便性が低下する、という問題を有する。
【0007】
そこで、本発明は、多くの物品の収容スペースを確保しつつ、保管スペースの有効活用を図ることができるコンテナ型ベッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するため、本発明にかかるコンテナ型ベッドは、第一底壁と当該第一底壁の周囲縁部から立ち上がった第一側壁とを有し、前記第一側壁の上端を開口した容器状の本体と、第二底壁を有し、前記本体の開口部を開放する開放状態と当該開口部を閉じる閉鎖状態とを切り替え可能であり、前記第二底壁上に寝具を配置可能とした蓋部材と、前記本体の下方に配置されて前記本体を支持し、ブロック状をなす複数の台座部材とを備え、前記複数の台座部材が、前記本体の第一側壁の上端に形成された前記開口を介して前記本体内に収容可能であることを特徴とするものである。
【0009】
複数の台座部材を本体内に収容可能とすることで、特許文献1のコンテナ型ベッドに比べ、台座部材の分だけコンテナ型ベッドを高さ方向で小型化することができる。そのため、倉庫、住居等に保管する際のコンテナ型ベッドの収容効率を高め、保管スペースの有効活用を図ることが可能となる。また、台座部材がブロック状であるため、特許文献1の移設部材に比べて軽量化することが容易となる。そのため、コンテナ型ベッド全体を軽量化し、コンテナ型ベッドの設置作業や移設作業を容易化することができる。この効果は、台座部材を木製とすることで、より顕著に得ることができる。
【0010】
このコンテナ型ベッドにおいては、水平面上の直交二方向のうち、一方を第一方向、他方を第二方向として、前記本体の下部を、第一方向の長さよりも第二方向の長さが長くなった形状とすることができる。この場合、前記台座部材は前記本体の下部の第一方向の長さよりも長く、第二方向の長さよりも短くするのが好ましい。これにより、台座部材を本体内に収容することが容易となる。
【0011】
前記台座部材に、前記本体の下部外面を前記第一方向の両側から拘束する第一突出部を設ければ、第一方向における本体と台座部材の位置ずれを防止することができる。
【0012】
前記台座部材を二箇所に配置し、両台座部材のそれぞれに、前記本体の下部外面を前記第二方向の両側から拘束する第二突出部を設ければ、第二方向における本体と台座部材の位置ずれを防止することができる。これにより、台座部材を本体にねじやブラケット等を用いて取り付ける必要がなく、台座部材と本体を非連結状態にすることができる。そのため、コンテナ型ベッドの組み立て作業あるいは解体作業が容易なものとなる。
【0013】
前記第二突出部を、前記台座部材に取り付けた、上下方向の揺動軸を中心として揺動(開閉)可能の揺動部材に設けるのが好ましい。揺動部材を閉じて台座部材と沿うような姿勢にすれば、台座部材全体の形状がシンプルとなるので、台座部材を本体内に収容することが容易となる。
【0014】
前記台座部材を二箇所に配置し、両台座部材の間に、板状の位置決め部材を架設するのが好ましい。これにより、位置決め部材を靴やスリッパ等の置き場所として活用することができる。
【0015】
このコンテナ型ベッドにおいては、前記蓋部材の第二底壁に、物品を出し入れするための孔を設けることができる。このように第二底壁に孔を設けることで、本体の上に蓋部材を配置して本体の開口部を閉じた状態のままで、本体内の物品の出し入れを行うことができ、使用者の利便性が増す。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、多くの物品の収容スペースを確保しつつ、保管スペースの有効活用を図ることができるコンテナ型ベッドの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】コンテナ型ベッドの第二方向に沿った断面図である。
【
図3】本実施形態のコンテナ型ベッドを
図1中のX方向から見た側面図である。
【
図4】本実施形態のコンテナ型ベッドを
図1中のX方向から見た台座部材の側面図である。
【
図5】
図1中のP領域を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明にかかるコンテナ型ベッドの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1~
図6に本発明に係るコンテナ型ベッド1の実施形態を示す。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係るコンテナ型ベッド1は、本体2と、蓋部材3と、ブロック状の台座部材4とを備える。本体2、蓋部材3は何れも鋼板のプレス加工品とされ、台座部材4は木製とされる。本実施形態では、
図6に示すように、本体2および蓋部材3を、何れも平面視で概略矩形状に形成した場合を例示している。以下の説明では、コンテナ型ベッド1の幅方向を第一方向Iと称し、水平面上で第一方向と直交する、コンテナ型ベッドの長さ方向を第二方向IIと称する。本体2の下部の第二方向II(長さ方向)の長さは第一方向I(幅方向)の長さよりも長い。このように本体2下部の第二方向IIの長さが第一方向Iの長さよりも長くなる限り、平面視した時の本体2の形状は任意に採択することができる。
【0021】
図2に示すように、本体2は、平板状の底壁21(第一底壁)と、底壁21の周囲縁部から立ち上がった側壁20(第一側壁)とを一体に備えている。側壁20は、その周囲で切れ目なく連続して形成される。本体2は、通常は、底壁21を下に向けた姿勢で使用される。側壁20の上端には開口部22が形成されている。この側壁20および底壁21により、上端の開口部22を除いて密閉された容器状の本体2が形成される。
【0022】
本体2の側壁20の上端には、その縁部を外向きに折り曲げて水平方向に延びるフランジ部23が形成される。本体2の底壁21には、その剛性強化のため、上向きに突出する円環状のリブ25が二箇所に形成されている。
【0023】
蓋部材3は、平板状の底壁31(第二底壁)と、底壁31の周囲縁部から立ち上がった側壁30(第二側壁)とを一体に備えている。側壁30は、その周囲で切れ目なく連続して形成される。蓋部材3は、通常は、底壁31を下に向けた姿勢で使用される。蓋部材3の側壁30の上端には、その縁部を外向きに折り曲げて水平方向に延びるフランジ部33が形成される。蓋部材3の底壁31には、その剛性強化のため、複数のリブ35が設けられる。本実施形態では、リブ35として、第一方向Iに沿う直線状で、上方に向けて突出したものを例示している。但し、リブ35の形状や数は任意に採択することができる。
【0024】
図1に示すように、蓋部材3の底壁31を下に向けた姿勢で、蓋部材3の側壁30を本体2の側壁20の上端内側に篏合させることで、本体2の開口部22が閉鎖された状態となる。この際、蓋部材3のフランジ部33が本体2のフランジ部23と重なることで、蓋部材3が本体2に対して上下方向で位置決めされる。この状態では、蓋部材3の上面に、側壁30と底壁31とで囲まれた凹部が形成されるので、
図1に二点鎖線で描かれるように、凹部に布団等の寝具5を敷くことでベッドとしての使用が可能となる。この際、コンテナ型ベッド1をテント内あるいはパーテーション等で仕切った空間内に配置することで、利用者のプライバシー向上を図ることができる。蓋部材3の凹部にマットレスのような緩衝材を配置し、その上に寝具5を敷いてもよい。この場合、緩衝材は、本体2内に収容可能なサイズとなるよう第二方向IIの複数箇所で分割しておくのが好ましい。フランジ部23,33同士を図示しないボルト及びナットを用いて複数箇所で締結して蓋部材3を本体2に取り付けてもよい。
【0025】
本体2の内部には、使用者が物品(食料、飲料、日用品、薬類、貴重品等)を収容することができるので、避難所等において割り当てられたスペースの有効活用を図ることができる。就寝中は、本体2の開口部22を閉鎖する蓋部材3の上に使用者が寝ているので、第三者が本体2内から物品を取り出すことができず、防犯性が高まる。必要に応じて本体2のフランジ部23と蓋部材3のフランジ部33との間に鍵をかけることもでき、これによって防犯性をさらに高めることができる。また、就寝中は、蓋部材3により本体2内部の空間が密閉されるため、蓋部材3の直下の空間が外気と隔絶された断熱空間となる。そのため、特に冬季における就寝時の快適性を高めることができる。
【0026】
図1に示すように、本体2の第二方向IIの両端に使用者の頭と足を支持する支持部6,7を取り付ければ、本体2や蓋部材3を大型化しなくても、使用者の体格に適合した就寝スペースを確保することができる。また、就寝中に使用者が蓋部材3から転落しないように、本体2に転落防止用の柵8を取り付けてもよい。支持部6,7および柵8は、例えば鋼製のパイプ材を加工することで製作することができる。支持部6,7および柵8は、ボルト等を用いることで本体2に対して着脱可能とし、かつ取り外した後は本体2内に収容可能となるサイズに製作される。これにより、支持部6,7および柵8の保管スペースを別途確保する必要がなくなり、避難所の倉庫や住居等における保管スペースの有効利用を図ることができる。
【0027】
その一方で、本体2から蓋部材3を取り外せば、本体2の開口部22が開放された状態となるので、使用者が本体2内に収容した物品の出し入れを行うことが可能となる。
【0028】
図3に示すように、本体2と蓋部材3を蝶番10で連結し、本体2に対して蓋部材3を揺動可能としてもよい。この場合、蓋部材3を下方に揺動させて蓋部材3の側壁30を本体2の側壁20の内側に篏合させることで、ベッドとして使用が可能となる。また、蓋部材3を上方に揺動させて蓋部材3を本体2の開口部22から離脱させることで、本体2の開口部22が開放され、使用者が本体2内に収容した物品にアクセスすることが可能となる。本体2の開口部22の開放状態を維持するため、蓋部材3を上方に揺動させた際には、蓋部材3が自重で降下しないように、蓋部材3を支持ロッド11で支持することが望まれる。支持ロッド11の両端を、本体2および蓋部材3にそれぞれに係合させることで、蓋部材3を静止した状態に維持することができる。支持ロッド11は、本体2内に収容可能なサイズとする。
【0029】
この場合、
図3および
図6に示すように、蓋部材3に把手37を取付けておけば、蓋部材3の開閉動作を容易に行うことが可能となる。
【0030】
以上に述べた本体2および蓋部材3は、何れも溶接を用いることなく鋼板のプレス加工によりそれぞれ一体成形される。この際、本体2および蓋部材3の各底壁21,31と、当該底壁21,31に連なる各側壁20,30とは、断面円弧状のアール部を介して接続される。また、各側壁20,30の第一方向Iに延びる部分と第二方向IIに延びる部分も断面円弧状のアール部を介して接続される。そのため、本体2、および蓋部材3の各内部空間にはエッジ状の角部が存在せず、各部材2,3の内面は滑らかに連続している。これにより、本体2、および蓋部材3を洗浄する際にも洗い残しが生じ難くなり、コンテナ型ベッド1の衛生性を高めることができる。また、本体2および蓋部材3を鋼板のプレス成形品することで、頑丈で耐久性に富み、また廃棄時にリサイクルも容易なコンテナ型ベッド1を提供することができる。
【0031】
本体2は、開口部22を除いて密閉された状態にあるため、水に対する浮力を有する。従って、洪水時等は、本体2内に人が乗ることで、本体2を救命用ボートとして活用することもできる。本体2の開口部22に蓋部材3を嵌合して本体2の開口部22を閉鎖した状態でも、使用者が蓋部材3上に座ることで同様に救命用ボートとして用いることができる。このように本体2および蓋部材3をボートとして使用することを想定する場合、本体2のフランジ部23と蓋部材3のフランジ部33の何れか一方に、他方と密着するパッキンを装着し、本体2のフランジ部23と蓋部材3のフランジ部33との間の隙間を介した本体2内への浸水を防止することが望ましい。
【0032】
図1および
図2に示すように、ブロック状の台座部材4は、長尺状をなし、長手方向を本体2の第一方向Iと平行にして床F上に2列に配置される。2列に配置した台座部材4の上に、本体2を載せることで、本体2が台座部材4に支持される。この際、本体2は台座部材4の上に載せるたけとし、ねじやブラケットによる台座部材4の本体2への取り付けは行わない。すなわち、本体2と台座部材4とは非連結状態とする。
【0033】
台座部材4の断面形状は、強度と軽量化を達成できる限り任意であり、例えば断面I字型に形成される。断面I字型の台座部材4は、断面矩形状の縦部40と、縦部40の上下両端で水平方向に張り出した断面矩形状のフランジ41とで形成される。縦部40およびフランジ41として、例えば厚板状の長尺木材が使用される。上下方向が長辺となるよう配置した縦部40の上下両端にフランジ41がねじ等の締結部材を用いて固定される。台座部材4の断面形状の他例として、断面L字型や断面T字型を挙げることができる。台座部材4の上面(上フランジ41の上面)は本体2の低壁21と面接触可能な平坦面状とし、台座部材4の下面(下フランジ41の下面)は床Fと面接触可能な平坦面状とする。
【0034】
図2、
図3および
図6に示すように、台座部材4の長さは、本体2の下部(底壁21付近)の第一方向Iの長さよりは長いが、第二方向IIの長さよりは短い。台座部材4は木製とする他、他の軽量な材料、例えば樹脂材料で形成することもできる。なお、以下の説明では、第二方向IIにおいて一方の台座部材4が他方の台座部材4と対向する方向を内側と呼び、これとは反対側の方向を外側と呼ぶ。
【0035】
台座部材4の上面(上フランジ41の上面)の長手方向両端には、上方に突出する第一突出部43が設けられる。この突出部43で本体2の下部外面(
図2に一点鎖線で示す)を第一方向Iの両側から拘束することにより、本体2と台座部材4との間で、第一方向Iにおける相対的な位置ずれを防止することができる。
【0036】
図1および
図2に示すように、二列に並べた台座部材4の間には、板状の位置決め部材12が架設される。位置決め部材12は、例えば鋼板をプレス成形することにより、平面視で矩形状に製作される。
図5に示すように、位置決め部材12のうち、第一方向Iに沿った縁部には、下方に突出する突起12aが形成される。突起12aは鋼板の端縁を下向きに折り曲げることで形成することができる。鋼板の第二方向IIに沿った両端縁を上向きに折り曲げることで、この折り曲げ部分12bがリブとなって位置決め部材12の強度向上を図ることができる。
【0037】
台座部材4には、位置決め部材12の突起12aが嵌まる溝部44が形成される。溝部44は、第一方向Iに沿って延び、例えば下フランジ41の上面であって、縦部40の内側の側面の直下に形成される。この溝部44に位置決め部材12の突起12aを嵌めることで、突起12aと溝部44が第二方向IIで係合するため、台座部材4同士の間隔が維持され、両台座部材4を第二方向IIで位置決めすることができる。また、平板状の位置決め部材12を靴やスリッパ等の履物の置き場所として活用することも可能となる。履物を本体2内に収容すると、履物の汚れが本体2内の別の物品に付着するため、衛生面で問題となるが、位置決め部材12を履物置きとして活用することで、そのような不具合を回避することが可能となる。
【0038】
また、突起12aが溝部44に案内されるため、位置決め部材12を第一方向Iに沿ってスライドさせることが可能となる。これにより、位置決め部材12を履物の置き場所とする際に、履物の出し入れが容易なものとなる。
図4に示すように、溝部44を台座部材4の全長(第一方向Iの全長)にわたって形成すれば、台座部材4の方向性がなくなるので、コンテナ型ベッド1を組み立てる際の作業性が向上する。
【0039】
図1、
図2および
図4に示すように、各台座部材4の長手方向の中間部付近の外側の側面には、上下方向の回転軸を中心として揺動可能とした揺動部材13が取り付けられる。本実施形態では、揺動部材13を、蝶番14を介して台座部材4に取り付けることで、揺動部材13が台座部材4の一部を構成している。蝶番14の台座部材4側の要素は、例えば、台座部材4の上下のフランジ41で挟まれた空間のうち、外側の空間に配置され、かつ台座部材4に固定されたベース部材45(
図1参照)に取り付けられる。かかる構成から、
図6に示すように、揺動部材13が台座部材4の長手方向に沿う姿勢(二点鎖線で示す)と、台座部材4と直交する方向に開いた姿勢(破線で示す)との間で揺動可能(開閉可能)となる。
【0040】
揺動部材13の上面には、上方に突出した第二突出部13aが設けられる。
図1および
図2に示すように、二つの揺動部材13を開いた姿勢にした際には、第二突出部13aの間隔は、本体2下部の第二方向IIの長さよりも僅かに長い。そのため、本体2が第二突出部13aにより、第二方向IIの両側から拘束され、本体2と台座部材4が第二方向IIで位置決めされる。
【0041】
このように本体2と台座部材4が、第一方向Iおよび第二方向IIの双方で位置決めされるため、台座部材4を本体2に取り付けず、本体2と台座部材4を非連結状態としていても、本体2を台座部材4で安定的に支持することができる。避難所等においては、多数の人員を収容する関係上、コンテナ型ベッド1の組み立て作業時間を極力短縮化する必要があるが、台座部材4を本体2に取り付ける必要がないため、そのような要請にも応えることが可能となる。また、揺動部材13を閉じた姿勢にすれば、揺動部材13を含む台座部材4全体の形状がシンプルなものとなるため、台座部材4の本体2内への収容が容易となる。
【0042】
図1および
図2に示すように、揺動部材13の下面には、下方に突出した第三突出部13bが設けられる。この第三突出部13bは床Fに接しているため、揺動部材13に作用する荷重を安定的に支持することが可能となる。
【0043】
二つの台座部材4は、本体2内に収容できるサイズとする。双方の台座部材4を、揺動部材13も含めて本体2内に収容することで、特許文献1のコンテナ型ベッドに比べ、台座部材4の分だけコンテナ型ベッド1の上下方向の寸法を小さくすることができる。そのため、倉庫あるいは居宅等に保管する際のコンテナ型ベッドの収容効率を高め、保管スペースの有効活用を図ることが可能となる。
【0044】
また、各台座部材4が長尺のブロック状であるため、特許文献1に記載のようにコンテナ型ベッド1の底壁全体を覆う移設部材を使用する場合に比べ、台座となる部分を軽量化することができる。従って、コンテナ型ベッド1を軽量化し、コンテナ型ベッドの設置作業や移設作業を容易化することができる。この効果は、台座部材4を木製や樹脂製とすることで、より顕著に得ることができる。
【0045】
台座部材4だけに限らず、位置決め部材12、マットレス等の緩衝材、支持部6、支持部7、柵8、支持ロッド11(
図3参照)、支持部や柵を取付けるための金具類、ボルト・ねじ類といった付属品を全て本体2内に収容可能なサイズとすることで、コンテナ型ベッド1を保管する際に、これら付属品の保管スペースを別途準備する必要がなくなり、保管スペースの更なる有効活用を図ることができる。また、必要な付属品が全て揃った状態にあるので、コンテナ型ベッドとして使用する際にも迅速な組み立てが可能となる。
【0046】
以上に説明したコンテナ型ベッド1を避難所で使用する場合、多数のコンテナ型ベッド1を倉庫内に保管する必要がある。このように多数のコンテナ型ベッド1を保管する際には、台座部材4および付属品を本体2内に収容した状態で、
図1に示す状態(蓋部材3の底壁31を下に向けた姿勢で、蓋部材3の側壁30を本体2の側壁20の上端内側に篏合させた状態)のままコンテナ型ベッド1を複数段積み上げる。この場合、上段のコンテナ型ベッド1の本体2の下部を下段のコンテナ型ベッド1の蓋部材3の上面の凹部に嵌合させることで、コンテナ型ベッド1を安定して積み上げることができる。この他、蓋部材3の上面の凹部にマットレス等の緩衝材を配置した状態で、コンテナ型ベッド1を積み上げることもできる。この場合、上段のコンテナ型ベッドの本体2と下段のコンテナ型ベッドの蓋部材3との接触が緩衝材で防止されるので、本体2および蓋部材3を鋼製とした場合でも、接触部での錆の発生を防止することができる。緩衝材を本体2内に収容し、上段のコンテナ型ベッドの本体2と下段のコンテナ型ベッドの蓋部材3との間に布や紙等を介在させることで、錆の発生を防止することもできる。
【0047】
図2に示すように、蓋部材3の第二底壁31に、物品(特に財布等の小型物品)を出し入れするための孔36を形成することもできる。このように第二底壁31に孔36を形成しておけば、蓋部材3を本体2上に設置したままでも、容器内への物品の出し入れが容易なものとなる。この孔36が不要であれば、別途準備した蓋を孔36に嵌合することにより、孔36を閉塞することもできる。
【0048】
以上の説明では、本体2、および蓋部材3を鋼板のプレス加工品としているが、これらの部材2,3を樹脂材料で成形してもよい。また、コンテナ型ベッド1の平面視の形状として矩形状とした場合を例示したが、当該形状は任意であり、楕円等の他の形状を採用してもよい。また、コンテナ型ベッド1の用途として、災害時の避難所等での使用を例示したが、コンテナ型ベッド1の用途は特に限定されず、例えば住居内で通常使用するベッド、あるいはキャンプ等の野外活動で使用するベッドとしても用いることも可能である。
【0049】
また、台座部材4と床Fの間にスペーサを介在することもできる。スペーサの高さを変えることで、蓋部材3の高さ位置を変更することができ、例えばコンテナ型ベッド1をベンチとして使用する場合にも、最適な高さの座面位置に調整することが可能となる。
【0050】
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0051】
1 コンテナ型ベッド
2 本体
3 蓋部材
4 台座部材
12 位置決め部材
13 揺動部材
13a 第二突出部
37 孔
43 第一突出部
【要約】
【課題】多くの物品の収容スペースを確保しつつ、保管スペースを有効活用できるコンテナ型ベッドを提供する。
【解決手段】コンテナ型ベッドは、第一底壁21と第一底壁20の周囲縁部から立ち上がった第一側壁20とを有し、第一側壁20の上端を開口した容器状の本体2と、第二底壁31を有し、本体2の開口部22を開放する開放状態と当該開口部22を閉じる閉鎖状態とを切り替え可能であり、第二底壁31上に寝具を配置可能とした蓋部材3と、本体2の下方に配置されて本体2を支持し、ブロック状をなす台座部材4とを備える。複数の台座部材4は、本体2内に収容可能とする。
【選択図】
図1