(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】プラグ接続什器、及び、什器ユニット
(51)【国際特許分類】
A47C 7/72 20060101AFI20250409BHJP
A47B 97/00 20060101ALN20250409BHJP
【FI】
A47C7/72
A47B97/00 M
(21)【出願番号】P 2020136673
(22)【出願日】2020-08-13
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】上西 亜弥
(72)【発明者】
【氏名】谷岡 駿
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-319842(JP,A)
【文献】登録実用新案第3221355(JP,U)
【文献】特開2002-136348(JP,A)
【文献】特開平10-210623(JP,A)
【文献】特開2005-046600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 1/00-31/12
A47B 1/00-97/08
H02J 7/00-36
H02G 3/00-40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体
の一側に配置されるとともに、前記支持構造体に連結部材を介して支持されるプラグ接続什器であって、
平面視にて前記支持構造体に対向する頂部と、
平面視にて前記頂部を間に挟む両側に配置され、前記頂部から前記支持構造体と離間する方向に傾斜して延出する一対の傾斜壁と、
一対の前記傾斜壁の夫々に配置されるプラグ接続部と、
平面視にて各前記傾斜壁に隣接する位置に上下方向に沿って形成され
、夫々の内部に前記連結部材が結合される被結合部が配置される二つの溝部と、を備え、
二つの前記溝部は、当該プラグ接続什器の水平断面において、互いの開口が相反する側を向き、かつ線対称に形成され
るとともに、当該溝部の各前記開口が、前記支持構造体と対向する方向と略直交する方向を向き、
当該プラグ接続什器の水平断面における線対称位置が二つの前記連結部材によって支持されることを特徴とするプラグ接続什器。
【請求項2】
上下方向に延びる骨格部材と、
前記骨格部材の外側を覆い前記骨格部材に脱着可能に取り付けられるカバー部材と、をさらに備え、
前記溝部の内部には、前記骨格部材の少なくとも一部が露出し、
前記被結合部は、前記溝部内の前記骨格部材の露出した部分に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のプラグ接続什器。
【請求項3】
前記被結合部は、前記溝部内の上下方向に離間した複数個所に配置され、前記連結部材は、いずれかの箇所の前記被結合部に対して択一的に結合されることを特徴とする請求項1または2に記載のプラグ接続什器。
【請求項4】
床面に設置される什器本体と、
前記什器本体の一側に配置される上下方向に長尺なプラグ接続什器と、
前記プラグ接続什器を前記什器本体に連結する連結部材と、を備え、
前記プラグ接続什器は、
平面視にて前記什器本体と対向する頂部と、
平面視にて前記頂部を間に挟む両側に配置され、前記頂部から前記什器本体と離間する方向に傾斜して延出する一対の傾斜壁と、
一対の前記傾斜壁の夫々に配置されるプラグ接続部と、
平面視にて各前記傾斜壁に隣接する位置に上下方向に沿って形成され
、夫々の内部に前記連結部材が結合される被結合部が配置される二つの溝部と、を備え、
二つの前記溝部は、当該プラグ接続什器の水平断面において、互いの開口が相反する側を向き、かつ線対称に形成され
るとともに、当該溝部の各前記開口が、前記什器本体と対向する方向と略直交する方向を向き、
前記プラグ接続什器の水平断面における線対称位置が二つの前記連結部材によって支持されることを特徴とする什器ユニット。
【請求項5】
各前記溝部に結合される二つの連結部材は、上面視において、前記プラグ接続什器から前記什器本体に向かって互いの離間幅が次第に広がるようにハの字状に配置されていることを特徴とする請求項
4に記載の什器ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の供給や電子データの通信等を行うためのプラグが接続されるプラグ接続什器、及び、什器ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやノートパソコン等の持ち運び可能な通信端末の普及により、空港や駅、オフィス等の様々な場所で、電力供給のためのプラグや電子データ通信のためのプラグを接続できる設備が求められている。このような要求に対し、長椅子のような什器本体にプラグ接続什器を一体化した什器ユニットが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の什器ユニットは、複数のプラグ接続部を備えたプラグ接続什器が什器本体である長椅子の背部に配置されている。プラグ接続什器は、床面から上方に延びる支柱を有し、その支柱から前方に水平に延びる連結フレームによって長椅子の梁部材に結合されている。この什器ユニットでは、人が着座する長椅子の背部に複数のプラグ接続部が近接して配置されるため、長椅子に着座した人が通信端末等の機器を利用する際の利便性が良好になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の什器ユニットは、プラグ接続什器の支柱から前方に水平に延びる連結フレームによってプラグ接続什器と長椅子が連結されているため、断面の大きい連結フレームによって什器ユニット全体の外観品質が損なわれることが懸念される。
また、この対策として連結フレームの断面を小さくすることが考えられるが、この場合、外観品質の低下は回避できるものの、その分プラグ接続什器の支持安定性が低下してしまう。
【0006】
そこで本発明は、外観品質の低下を抑制しつつ、支持安定性を高めることができるプラグ接続什器、及び、什器ユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るプラグ接続什器は、支持構造体の一側に配置されるとともに、前記支持構造体に連結部材を介して支持されるプラグ接続什器であって、平面視にて前記支持構造体に対向する頂部と、平面視にて前記頂部を間に挟む両側に配置され、前記頂部から前記支持構造体と離間する方向に傾斜して延出する一対の傾斜壁と、一対の前記傾斜壁の夫々に配置されるプラグ接続部と、平面視にて各前記傾斜壁に隣接する位置に上下方向に沿って形成され、夫々の内部に前記連結部材が結合される被結合部が配置される二つの溝部と、を備え、二つの前記溝部は、当該プラグ接続什器の水平断面において、互いの開口が相反する側を向き、かつ線対称に形成されるとともに、当該溝部の各前記開口が、前記支持構造体と対向する方向と略直交する方向を向き、当該プラグ接続什器の水平断面における線対称位置が二つの前記連結部材によって支持されることを特徴とする。
【0008】
上記の構成により、連結部材の結合部は、溝部内に収容された状態でプラグ接続什器の被結合部に結合される。このため、連結部材のプラグ接続什器側の結合部は溝部内に隠れ、外部から見えにくくなる。また、プラグ接続什器の被結合部は、上下方向に沿って延びる溝部内に配置されている。このため、連結部材の結合部を、溝部内の上下方向の広い範囲に結合、若しくは、上下に充分に離間した位置に結合することにより、上下方向に長尺なプラグ接続什器を支持構造体に安定して支持させることができる。
また、この場合、二つの溝部の各被結合部に異なる二つの連結部材を結合することができる。このため、本構成を採用した場合には、プラグ接続什器の水平断面における線対称位置を、二つの連結部材によって安定して支持することができる。
【0009】
プラグ接続什器は、上下方向に延びる骨格部材と、前記骨格部材の外側を覆い前記骨格部材に脱着可能に取り付けられるカバー部材と、をさらに備え、前記溝部の内部には、前記骨格部材の少なくとも一部が露出し、前記被結合部は、前記溝部内の前記骨格部材の露出した部分に配置されるようにしても良い。
【0010】
この場合、プラグ接続什器から連結部材を取り外すことなく、カバー部材を骨格部材から取り外すことができる。このため、メンテナンス時には、カバー部材のみを取り外してメンテナンス作業を行うことができる。したがって、本構成を採用した場合には、メンテナンス時における作業性を良好にすることができる。
【0011】
前記被結合部は、前記溝部内の上下方向に離間した複数個所に配置され、前記連結部材は、いずれかの箇所の前記被結合部に対して択一的に結合されるようにしても良い。
【0012】
この場合、支持構造体側の連結部材との結合部の高さに合わせて、プラグ接続什器側の被結合部を選択して用いることができる。このため、本構成を採用した場合には、連結部材との結合部高さの異なる様々な仕様の支持構造体に容易に適用することができる。
【0013】
本発明の一態様に係る什器ユニットは、床面に設置される什器本体と、前記什器本体の一側に配置される上下方向に長尺なプラグ接続什器と、前記プラグ接続什器を前記什器本体に連結する連結部材と、を備え、前記プラグ接続什器は、平面視にて前記什器本体と対向する頂部と、平面視にて前記頂部を間に挟む両側に配置され、前記頂部から前記什器本体と離間する方向に傾斜して延出する一対の傾斜壁と、一対の前記傾斜壁の夫々に配置されるプラグ接続部と、平面視にて各前記傾斜壁に隣接する位置に上下方向に沿って形成され、夫々の内部に前記連結部材が結合される被結合部が配置される二つの溝部と、を備え、二つの前記溝部は、当該プラグ接続什器の水平断面において、互いの開口が相反する側を向き、かつ線対称に形成されるとともに、当該溝部の各前記開口が、前記什器本体と対向する方向と略直交する方向を向き、前記プラグ接続什器の水平断面における線対称位置が二つの前記連結部材によって支持されることを特徴とする。
【0016】
各前記溝部に結合される二つの連結部材は、上面視において、前記プラグ接続什器から前記什器本体に向かって互いの離間幅が次第に広がるようにハの字状に配置されるようにしても良い。
【0017】
この場合、プラグ接続什器から什器本体に向かってハの字状に開くように配置された二つの連結部材により、プラグの脱着荷重を什器本体に安定して支持させることができる。このため、外観品質を高めるために各連結部材を小型にしても、プラグの脱着によるプラグ接続什器のダカ付きを抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るプラグ接続什器は、上下方向に沿う溝部内に連結部材が結合される被結合部が配置されるため、連結部材を溝部内で被結合部に結合することにより、連結部材の大型化や、連結部材とプラグ接続什器の結合部分の外部露出を抑制しつつ、連結部材によって支持構造体に安定して支持させることができる。したがって、本発明に係るプラグ接続什器を採用した場合には、外観品質の低下を抑制しつつ、支持安定性を高めることができる。
【0022】
また、本発明に係る什器ユニットは、プラグ接続什器の外側面に上下方向に沿う溝部が形成され、連結部材の第1結合部が溝部内でプラグ接続什器に結合されるため、連結部材の大型化や、連結部材とプラグ接続什器の結合部分の外部露出を抑制しつつ、プラグ接続什器を什器本体に安定して支持させることができる。したがって、本発明に係る什器ユニットを採用した場合には、外観品質の低下を抑制しつつ、プラグ接続什器の支持安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】実施形態の什器ユニットの一部の部分断面平面図。
【
図4】実施形態のプラグ接続什器の骨格部材の斜視図。
【
図5】実施形態のプラグ接続什器のカバー部材の正面図、側面図、平面図を併せて記載した図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の什器ユニット1の斜視図である。
図2は、什器ユニット1の側面図であり、
図3は、什器ユニット1の後述する単体椅子51を取り去った部分断面平面図である。
本実施形態の什器ユニット1は、什器本体である長椅子2とプラグ接続什器3が連結部材4によって一体に結合されている。長椅子2は、床面F上に設置されてプラグ接続什器3を支持する支持構造体を構成している。以下では、長椅子2に正規姿勢で着座した着座者が正面を向く側を前側、その逆側を後側と称し、長椅子2に正規姿勢で着座した着座者の左右となる方向を左右方向と称する。
【0025】
長椅子2は、左右方向に略水平に延出する断面矩形状の支持杆50(梁部材)に、複数の単体椅子51が支持固定されている。支持杆50は、長手方向の両側の端部に脚体52が取り付けられ、その脚体52を介して床面F上に設置される。支持杆50は、複数の単体椅子51と着座者の荷重を支える関係上、剛性の高い金属材料によって形成されている。支持杆50に取り付けられる単体椅子51はいずれも同一構造とされている。また、各単体椅子51の側部には、支持杆50に支持固定される肘掛け53が配置されている。
【0026】
単体椅子51は、着座者の臀部を支持する座54と、着座者の背部を支持する背凭れ55と、座54の左右の側縁部の下面から下方に延出して下端領域が支持杆50に固定される一対の連結脚56と、を備えている。各連結脚56の下端部には、下向きに略コ字状に開口する嵌合凹部(図示せず)が形成され、その嵌合凹部が支持杆50の上半部に嵌合されている。
【0027】
脚体52は、上端部が支持杆50に取り付けられる基部52aと、基部52aから前後に分岐して延びる前部脚52b及び後部脚52cを備えている。前部脚52bと後部脚52cの下端には、床面接地部材58が取り付けられている。脚体52の基部52aの上面側には、上方側に開口する嵌合凹部52a-1が形成され、その嵌合凹部52a-1が支持杆50の下半部に嵌合されている。脚体52の基部52aは、その状態で端部の単体椅子51の外側端の連結脚56にボルト締結されることにより、支持杆50に固定されている。
また、端部の単体椅子51の内側端の連結脚56と、残余の単体椅子51の連結脚56は、上向きに開口する略コ字状の受け金具57との間で支持杆50を挟み込み、その状態で受け金具57にボルト締結されることによって支持杆50に固定されている。
【0028】
プラグ接続什器3は、電源プラグや、通信プラグ(例えば、USBプラグ、有線LAN接続用プラグ)等のプラグを抜き差し可能なコネクタブロック10を備えた什器であり、上下方向に長尺に形成されている。本実施形態のプラグ接続什器3は、同様のコネクタブロック10を四つ備えている。各コネクタブロック10は、外部に露出する側の端面に電源プラグが抜き差し可能に接続される電源プラグ用の差込口11と、通信プラグが抜き差し可能に接続される通信プラグ用の差込口12と、が配置されている。なお、本実施形態では、電源プラグ用の差込口11と通信プラグ用の差込口12がプラグ接続部を構成している。
【0029】
プラグ接続什器3は、上下方向に延びる骨格部材13と、骨格部材13の前面側を覆う前部カバー部材14Fと、骨格部材13の後面側を覆う後部カバー部材14Rと、を備えている。骨格部材13には、各コネクタブロック10の各差込口11,12に繋がる図示しないケーブル(電源ケーブル及び信号ケーブル)が支持されている。骨格部材13の下方から引き出されたケーブルは、什器ユニット1を設置する施設の電源配線や信号配線に接続されている。また、前部カバー部材14Fと後部カバー部材14Rは、骨格部材13に対してねじ止め等によって脱着可能に取り付けられている。
【0030】
図4は、骨格部材13を後方側から見た斜視図である。
図5は、後部カバー部材14Rの正面図(a)と側面図(b)と平面図(c)を併せて記載した図である。なお、前部カバー部材14Fは、後部カバー部材14Rと同一構造とされている。また、
図6は、
図2のVI-VI線に沿う断面図である。
骨格部材13は、
図4に示すように、床面F上に設置されるベースプレート13aと、ベースプレート13aから鉛直方向上方に延びる一対の側部フレーム13bと、水平方向に延びて一対の側部フレーム13bを相互に連結する複数の連結フレーム13cと、を備えている。一対の側部フレーム13bは、ベースプレート13a上に左右方向に離間して配置されている。
【0031】
ベースプレート13aは、前後方向が左右方向よりも長い矩形状の金属プレートによって構成されている。左右の側部フレーム13bは、上下方向に長尺な金属プレートを、上下方向と交差する方向に複数折り曲げた断面形状(
図6参照)とされている。左右の側部フレーム13bの上端部には、アクリル樹脂等からなる表示板15が取り付けられている。表示板15には、プラグの接続が可能な什器があることを外部から認識できるようにプラグの図等が表示されている。連結フレーム13cは、金属プレートによって形成されている。
【0032】
左右の側部フレーム13bの後面側の上端部の近傍には、後部カバー部材14Rをねじ止めするための金属製の固定片16が架設されている。また、左右の側部フレーム13bの後面側の上部領域のうちの、固定片16の架設位置よりも下方には、二つのコネクタブロック10を保持するための保持プレート17が固定されている。保持プレート17は、左右方向の中央部が後方側に略V字状に突出する形状とされている。保持プレート17は左右の側縁部が左右の側部フレーム13bの後面に結合されている。保持プレート17の中央の頂部を挟む左右の傾斜壁には、夫々対応するコネクタブロック10を嵌合固定するための嵌合固定口18が形成されている。左右の嵌合固定口18は、上下方向の異なる高さ位置に形成されている。各コネクタブロック10は、差込口11,12が保持プレート17の傾斜壁と略直交する方向を向くように嵌合固定口18に固定される。これにより、後方側の左のコネクタブロック10の差込口11,12は左斜め後方を向き、後方側の右のコネクタブロック10の差込口11,12は右斜め後方を向いている。
【0033】
図4では、骨格部材13を後方側から見ているため、前面側の構造は視認できないが、骨格部材13の前面側は後面側と同様の構造とされている。左右の側部フレーム13bの前面側には、後面側と同構造の固定片16と保持プレート17が後面側のものと同高さ位置に取り付けられている。前面側の保持プレート17の左右の嵌合固定口18には、対応するコネクタブロック10が夫々嵌合固定される。これにより、前面側の左のコネクタブロック10の差込口11,12は左斜め前方を向き、前方側の右のコネクタブロック10の差込口11,12は右斜め前方を向いている。
なお、
図3中の各矢印は、前側と後側の各コネクタブロック10におけるプラグの脱着方向を示している。
【0034】
また、左右の側部フレーム13bは、
図6に示すように、水平方向の断面が略ハット状に形成されている。詳細には、左右の側部フレーム13bは、左右方向の外側に向く外側壁13b-1と、外側壁13b-1の後面側と前面側の各端部から左右方向の内側に屈曲して延びる後壁13b-2及び前壁13b-3と、後壁13b-2の内側の端部から後方側に屈曲して延びる後部フランジ13b-4と、前壁13b-3の内側の端部から前方側に屈曲して延びる前部フランジ13b-5と、を有する。前述の後側の保持プレート17の左右の側縁部は、左右の側部フレーム13bの後壁13b-2にねじ19によって締結固定されている。同様に、前側の保持プレート17の左右の側縁部は、左右の側部フレーム13bの前壁13b-3にねじ19によって締結固定されている。
【0035】
後部カバー部材14Rは、
図5に示すように、左右方向の中央が後方側に略V字状に突出するように曲げられた上下方向に長尺な金属プレートによって構成されている。なお、前部カバー部材14Fは、後部カバーと同一構造とされている。このため、以下では後部カバー部材14Rの詳細構造についてのみ説明し、前部カバー部材14Fの詳細構造については説明を省略する。
【0036】
後部カバー部材14Rは、
図5,
図6に示すように、後方側に突出する頂部14aの左右両側に傾斜壁14bが配置されている。左右の傾斜壁14bのうちの、後側の保持プレート17の左右の嵌合固定口18と対応する位置には、各嵌合固定口18に保持されたコネクタブロック10の端面の一部を外部に露出させるための略矩形状の開口20が形成されている。各コネクタブロック10の端面の差込口11,12は、開口20を通して後部カバー部材14Rの外側に露出している。
【0037】
後部カバー部材14Rの内側の上下方向に離間した複数個所には、補強プレート21が結合されている。各補強プレート21は、後部カバー部材14Rの内側において左右の傾斜壁14bに溶接等によって結合されている。後部カバー部材14Rの上端部の近傍に配置される補強プレート21の上端部には、後方側に突出する舌片22が延設されている。舌片22は、
図4に示す骨格部材13の固定片16の上面に重ねられ、その固定片16に図示しないねじによって締結固定される。なお、後部カバー部材14Rの上端部は開口しており、その開口部分は、
図1に示す別体の蓋部材23によって脱着可能に閉じられている。固定片16に対する舌片22のねじ止めは、後部カバー部材14Rの上端部に蓋部材23を取り付ける前に上端の開口部分を通して行われる。
【0038】
後部カバー部材14Rの左右の傾斜壁14bの左右方向の延出端には、
図6に示すように、左右方向の内側に鋭角的に折り曲げられた屈曲壁24が設けられている。屈曲壁24は、後部カバー部材14Rが骨格部材13に組付けられた状態において、その先端部が骨格部材13の側部フレーム13bのうちの、外側壁13b-1の表面に対して当接、若しくは、近接する。なお、
図6に示すように、前部カバー部材14Fが骨格部材13に組付けられた状態において、前部カバー部材14Fの屈曲壁24も同様に先端部が外側壁13b-1の表面に対して当接、若しくは、近接する。
【0039】
このとき、骨格部材13の外側壁13b-1と、後部カバー部材14R及び前部カバー部材14Fの各屈曲壁24とは、左右方向の外側に向かって開口する断面略コ字状の溝部25を構成する。溝部25は、プラグ接続什器3の外側面において、上下方向に沿って延びるように形成されている。また、左右両側の二つの溝部25は、
図3に示すように、プラグ接続什器3の菱形状の水平断面において、互いの開口が左右の相反する側を向き、かつ、前部カバー部材14Fと後部カバー部材14Rの頂部14aを結ぶ中心線o1を挟んで線対称に形成されている。各溝部25の底面を成す外側壁13b-1には、
図2に示すように、連結部材4が結合される被結合部である一対のねじ孔27が上下方向に離間した複数個所に形成されている。したがって、各溝部25の内部には、骨格部材13の一部が露出しており、その露出した部分に被結合部であるねじ孔27が配置されている。
【0040】
また、後部カバー部材14Rの左右の傾斜壁14bの延出端の上端部寄りの一箇所と下端部寄りの二箇所には、前方側に向かって突出する係止爪26が設けられている。この各係止爪26は、骨格部材13の側部フレーム13b(後壁13b-2)に形成された図示しないスリットに挿入され、その状態で側部フレーム13bにねじ止めされる。
【0041】
なお、
図4に示す骨格部材13の下端のベースプレート13aは、
図1~
図3に示すように化粧板であるベースカバー37によって覆われる。
【0042】
図7は、連結部材4のプラグ接続什器3側の結合部分を示す
図1のVII部の拡大図である。
図8は、連結部材4を示す斜視図であり、
図8の(a)と(b)は、長椅子2の支持杆50に対する連結部材4の結合手順を順次示している。また、
図9は、連結部材4の斜視図であり、
図9の(a),(b)は、連結部材4の組立手順を順次示している。
本実施形態の場合、連結部材4は左右対称形状のものが二つ用いられている。各連結部材4は、プラグ接続什器3に結合される第1結合部28と、長椅子2の支持杆50に結合される第2結合部29と、第1結合部28と第2結合部29を結合するアーム部30と、を有している。
【0043】
第1結合部28は、上下方向に長い長方体状の金属ブロックによって構成されている。第1結合部28は、プラグ接続什器3の溝部25内に配置される。第1結合部28の左右方向の厚みは、溝部25の深さとほぼ同じに設定されている。第1結合部28の上端部と下端部の各近傍には、ねじ孔31が形成されている。これらのねじ孔31は、溝部25内のいずれかのねじ孔27の対と位置合わせされ、
図7に示すように固定用のねじ32が挿入される。第1結合部28は、こうして固定用のねじ32がねじ孔27に締め込まれることにより、プラグ接続什器3の溝部25内に結合される。
【0044】
第2結合部29は、
図8に示すように、長椅子2の支持杆50の上半部に嵌合される上クランプ29aと、長椅子2の支持杆50の下半部に嵌合される下クランプ29bと、から構成されている。上クランプ29aと下クランプ29bは金属プレートによって形成されている。上クランプ29aは、支持杆50の上面に当接する上壁29a-1と、支持杆50の後面に当接する後壁29a-2と、支持杆50の前面に当接する前壁29a-3と、を備え、後壁29a-2の上下方向の延出長さが前壁29a-3の上下方向の延出長さよりも長く設定されている。後壁29a-2の下端と前壁29a-3の下端には、夫々外向きに屈曲する接合フランジ29a-4が延設されている。
【0045】
下クランプ29bは、支持杆50の下面に当接する下壁29b-1と、支持杆50の後面に当接する後壁29b-2と、支持杆50の前面に当接する前壁29b-3と、を備え、前壁29b-3の上下方向の延出長さが後壁29b-2の上下方向の延出長さよりも長く設定されている。後壁29b-2の下端と前壁29b-3の下端には、夫々外向きに屈曲する接合フランジ29b-4が延設されている。
第2結合部29は、上クランプ29aと下クランプ29bを長椅子2の支持杆50に上下から夫々嵌合し、その状態で接合フランジ29a-4,29b-4同士をねじ33によって締結することにより、長椅子2の支持杆50に固定される。
【0046】
アーム部30は、縦断面が縦長の金属製の角筒部材よって形成されている。アーム部30の後端部には、第1結合部28が溶接等によって一体に結合され、アーム部30の前端部には、第2結合部29の上クランプ29aがねじ締結(
図9中のねじ34参照。)等によって脱着可能に結合されている。アーム部30は、左右方向の幅よりも上下方向の幅の方が広い縦長の断面形状とされているが、アーム部30の上下方向の幅は、第1結合部28の上下方向の幅よりも狭くなっている。逆に言えば、第1結合部28の上下方向の幅は、アーム部30の上下方向の幅よりも広く設定されている。
なお、第2結合部29の上クランプ29aは、アーム部30の前端部に脱着可能に結合されているため、取付け対象の支持杆50のサイズや形状に応じて、サイズや形状の異なる別の上クランプ29aと下クランプ29bに交換することができる。
【0047】
本実施形態では、
図3に示すように、プラグ接続什器3の左右の溝部25内に異なる二つの連結部材4が結合されている。各溝部25内に結合される連結部材4は、上面視において、プラグ接続什器3から長椅子2(什器本体)に向かって互いの離間幅が次第に広がるようにハの字状に配置され、その状態で前端部が長椅子2の支持杆50に結合されている。
【0048】
以上のように、本実施形態のプラグ接続什器3は、外側面に上下方向に沿って延びる溝部25が形成され、その溝部25内に、連結部材4の第1結合部28が結合されるねじ孔27(被結合部)が配置されている。このため、連結部材4を溝部25内でねじ孔27部分(被結合部)に結合することにより、連結部材4の大型化や、連結部材4とプラグ接続什器3の結合部分の外部露出を抑制しつつ、プラグ接続什器3を連結部材4によって長椅子2に安定して支持させることができる。したがって、本実施形態のプラグ接続什器3を採用した場合には、外観品質の低下を抑制しつつ、支持安定性を高めることができる。
【0049】
また、本実施形態のプラグ接続什器3は、異なる連結部材4が結合される二つの溝部25を備え、二つの溝部25が、プラグ接続什器3の水平断面において、互いの開口が相反する側に向き、かつ中心線o1を挟んで線対称となるように形成されている。このため、本実施形態のプラグ接続什器3を採用した場合には、プラグ接続什器3の水平断面における線対称位置を、二つの連結部材4によって安定して支持することができる。
【0050】
また、本実施形態のプラグ接続什器3は、上下方向に延びる骨格部材13と、骨格部材13に脱着可能に取り付けられる前部カバー部材14F及び後部カバー部材14Rを備え、溝部25が骨格部材13と前部カバー部材14F及び後部カバー部材14Rによって構成されている。そして、溝部25内の被結合部であるねじ孔27が骨格部材13部分に形成されている。このため、プラグ接続什器3から連結部材4を取り外すことなく、前部カバー部材14Fと後部カバー部材14Rの少なくともいずれか一方を取り外して、プラグ接続什器3の内部のメンテナンスを行うことができる。したがって、本実施形態のプラグ接続什器3を採用した場合には、メンテナンス時における作業性を良好にすることができる。
【0051】
さらに、本実施形態のプラグ接続什器3は、被結合部であるねじ孔27の対が、溝部25内の上下方向に離間した複数個所に形成され、連結部材4の第1結合部28がいずれかのねじ孔27の対に択一的に結合できる構造とされている。このため、長椅子2(支持構造体、什器本体)側の連結部材4との結合部高さに合わせて、連結部材4とプラグ接続什器3との結合部の高さを変更することができる。したがって、本実施形態のプラグ接続什器3を採用した場合には、連結部材4との結合部高さの異なる様々な仕様の長椅子2(支持構造体、什器本体)に容易に適用することができる。
【0052】
また、本実施形態の什器ユニット1は、異なる溝部25に結合される二つの連結部材4が、上面視において、プラグ接続什器3から長椅子2(什器本体)に向かって互いの離間幅が次第に広がるようにハの字状に配置されている。このため、プラグ接続什器3のプラグ接続部(差込口11,12)にプラグを脱着する際に、プラグの脱着荷重を長椅子2に安定して支持させることができる。したがって、本実施形態の什器ユニット1を採用した場合には、外観品質を高めるために各連結部材4を小型にしても、プラグの脱着によるプラグ接続什器3のダカ付きを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態の什器ユニット1は、連結部材4の第1結合部28の上下方向の幅が、連結部材4のアーム部30の上下方向の幅よりも広く設定されている。このため、第1結合部28の上下方向の幅を広くしてプラグ接続什器3に対する支持安定性を高めつつ、プラグ接続什器3の外側に露出するアーム部30の上下方向の幅を狭くして外観品質をより向上させることができる。
【0054】
さらに、本実施形態の什器ユニット1は、連結部材4の第2結合部29が連結部材4のアーム部30に対して脱着可能に結合されている。このため、本実施形態の什器ユニット1を採用した場合には、連結部材4の第2結合部29をサイズや形状の異なるものに交換することにより、仕様の異なる様々な長椅子2(什器本体)に容易に対応することができる。
【0055】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態の什器ユニット1は、什器本体である長椅子2にプラグ接続什器3が連結されて構成されているが、什器ユニットを構成する什器本体は長椅子に限らず、デスクやワゴン等の他の什器であっても良い。さらに、上記の実施形態のプラグ接続什器3では、骨格部材13の前面側と後面側に前部カバー部材14Fと後部カバー14Bが夫々脱着可能に取り付けられているが、カバー部材は骨格部材13の前面側と後面側のいずれか一方にのみ取り付けるようにしても良い。
また、連結部材を介してプラグ接続什器を支持する支持構造体は、長椅子のような什器に限定されるものではなく、建造物の壁等であっても良い。
【符号の説明】
【0056】
1…什器ユニット
2…長椅子(什器本体,支持構造体)
3…プラグ接続什器
4…連結部材
11…電源プラグ用の差込口(プラグ接続部)
12…通信プラグ用の差込口(プラグ接続部)
13…骨格部材
14F…前部カバー部材(カバー部材)
14R…後部カバー部材(カバー部材)
25…溝部
27…ねじ孔(被結合部)
28…第1結合部
29…第2結合部
30…アーム部