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特許7663335閉空間センサシステム及び閉空間センサシステムの動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】閉空間センサシステム及び閉空間センサシステムの動作方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250409BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20250409BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20250409BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20250409BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J50/20
H02J50/40
H02J7/00 X
G08C17/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020168858
(22)【出願日】2020-10-06
(65)【公開番号】P2022061084
(43)【公開日】2022-04-18
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山岸 良彰
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-088128(JP,A)
【文献】国際公開第2019/230355(WO,A1)
【文献】特開2014-081860(JP,A)
【文献】国際公開第2020/075395(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 50/00-50/90
G08C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を照射する送電部を備える電磁波照射装置と、
アンテナをそれぞれ備え、前記アンテナを介して受信した前記電磁波を電力に変換して駆動する複数のセンサと、
を備え、
前記複数のセンサのそれぞれが蓄電部を備え、前記蓄電部における蓄電量が前記複数のセンサで共通の駆動開始閾値に達した場合に、前記複数のセンサのそれぞれが駆動を開始し、
前記電磁波照射装置の前記送電部及び前記複数のセンサが閉空間内に配置される、
閉空間センサシステムであって、
前記電磁波照射装置の前記送電部が、送電周波数範囲内の複数の送電周波数チャネルの少なくともいずれかで電磁波を照射し、
送電周波数に対する前記アンテナの受信感度の関係において、前記複数のセンサがそれぞれ駆動可能な感度閾値の受信感度を与える2つの送電周波数の間隔よりも、前記送電周波数チャネルの間隔が狭い、
閉空間センサシステム
【請求項2】
前記複数のセンサの少なくとも一部の受信感度が、前記閉空間内で異なる、請求項1に記載の閉空間センサシステム。
【請求項3】
前記複数のセンサのそれぞれが、
アンテナを介して、送信周期でセンシング信号を送信する送信部と、
乱数を発生させ、前記送信周期に前記乱数を付与する乱数付与部と、
を備える、請求項1に記載の閉空間センサシステム。
【請求項4】
前記複数のセンサのそれぞれが、アンテナを介して、複数の信号送信周波数チャネルの少なくともいずれかでセンシング信号を送信する送信部をさらに備える、請求項1に記載の閉空間センサシステム。
【請求項5】
前記センシング信号を受信するための複数のセンシング信号受信装置をさらに備える、請求項4に記載の閉空間センサシステム。
【請求項6】
前記複数のセンサの少なくとも一部の前記受信感度のピークが、前記送電周波数範囲外になることができる、請求項に記載の閉空間センサシステム。
【請求項7】
前記電磁波照射装置が、前記複数のセンサのうち、所定の数のセンサが駆動可能な複数の送電周波数チャネルの組み合わせを設定する、請求項又はに記載の閉空間センサシステム。
【請求項8】
前記電磁波照射装置の前記送電部が、前記閉空間内の複数の位置から前記電磁波を照射するよう構成されている、請求項1に記載の閉空間センサシステム。
【請求項9】
電磁波照射装置の送電部から電磁波を照射することと、
それぞれアンテナを介して受信した前記電磁波を電力に変換して複数のセンサが駆動することと、
を含み、
前記複数のセンサのそれぞれが蓄電部を備え、前記蓄電部における蓄電量が前記複数のセンサで共通の駆動開始閾値に達した場合に、前記複数のセンサのそれぞれが駆動を開始し、
前記電磁波照射装置の送電部及び前記複数のセンサが閉空間内に配置されている、
閉空間センサシステムの動作方法であって、
前記電磁波照射装置の前記送電部が、送電周波数範囲内の複数の送電周波数チャネルの少なくともいずれかで電磁波を照射し、
送電周波数に対する前記アンテナの受信感度の関係において、前記複数のセンサがそれぞれ駆動可能な感度閾値の受信感度を与える2つの送電周波数の間隔よりも、前記送電周波数チャネルの間隔が狭い、
閉空間センサシステムの動作方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉空間センサシステム及び閉空間センサシステムの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部屋、保管庫、房、漕及び炉等の閉空間においては、複数のセンサが配置され、品質管理やトレーサビリティを目的として、閉空間内における温度や湿度等の環境条件の分布を測定したり、閉空間内に配置された複数の物品のそれぞれの存否や移動を監視したりする場合がある(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
従来、センサは、有線により給電され、有線によりデータの送受信をしていた。しかし、近年、無線によりデータの送受信をする無線センサが広まっている。無線センサには、配線作業が不要であること、物理的に配線が難しい場所に配置が可能であること、また配線と物体との接触等により生じ得る配線不良が生じない等の利点がある。特に複数のセンサの配置が必要な場合に、複雑な配線が不要になる利点は大きいものとみなされている。
【0004】
無線センサには、給電は有線によるセンサ、無線により給電されるセンサがある。有線による給電は、配線が不要であるという無線センサの利点を活かすことができない。したがって、給電も無線による無線センサに注目が集まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2016/123062号
【文献】特開2019-88128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者の知見によれば、複数の無線センサが一斉に駆動すると、通信品質が低下し、動作が不安定になる場合がある。そこで、本発明は、閉空間内で安定した動作が可能な閉空間センサシステム及び閉空間センサシステムの動作方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様によれば、電磁波を照射する電磁波照射装置の送電部と、アンテナをそれぞれ備え、アンテナを介して受信した電磁波を電力に変換して駆動する複数のセンサと、を備え、複数のセンサのそれぞれが蓄電部を備え、蓄電部における蓄電量が複数のセンサで共通の駆動開始閾値に達した場合に、複数のセンサのそれぞれが駆動を開始し、電磁波照射装置の送電部及び複数のセンサが閉空間内に配置される、閉空間センサシステムが提供される。
【0008】
上記の閉空間センサシステムにおいて、複数のセンサの少なくとも一部の受信感度が、閉空間内で異なってもよい。
【0009】
上記の閉空間センサシステムにおいて、複数のセンサの少なくとも一部の受信感度のピークが、電磁波照射装置の送電部が照射可能な電磁波の送電周波数範囲外になることができてもよい。
【0010】
上記の閉空間センサシステムにおいて、蓄電部における蓄電量が複数のセンサで共通の駆動開始閾値に達した場合に、複数のセンサのそれぞれが駆動を開始し、センシング信号を無線で送信してもよい。
【0011】
上記の閉空間センサシステムにおいて、複数のセンサの測定周期が同じであってもよい。
【0012】
上記の閉空間センサシステムにおいて、複数のセンサのそれぞれが、アンテナを介して、送信周期でセンシング信号を送信する送信部と、乱数を発生させ、送信周期に乱数を付与する乱数付与部と、を備えていてもよい。センシング信号を送信するアンテナは、電力に変換される電磁波を受信するアンテナと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0013】
上記の閉空間センサシステムにおいて、複数のセンサのそれぞれが、アンテナを介して、複数の信号送信周波数チャネルの少なくともいずれかでセンシング信号を送信する送信部をさらに備えていてもよい。センシング信号を送信するアンテナは、電力に変換される電磁波を受信するアンテナと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0014】
上記の閉空間センサシステムが、センシング信号を受信するための複数のセンシング信号受信装置をさらに備えていてもよい。
【0015】
上記の閉空間センサシステムにおいて、電磁波照射装置の送電部が、送電周波数範囲内の複数の送電周波数チャネルの少なくともいずれかで電磁波を照射してもよい。
【0016】
上記の閉空間センサシステムにおいて、送電周波数に対するアンテナの受信感度の関係において、複数のセンサがそれぞれ駆動可能な感度閾値の受信感度を与える2つの送電周波数の間隔よりも、送電周波数チャネルの間隔が狭くてもよい。
【0017】
上記の閉空間センサシステムにおいて、電磁波照射装置が、複数のセンサのうち、所定の数のセンサが駆動可能な複数の送電周波数チャネルの組み合わせを設定してもよい。
【0018】
上記の閉空間センサシステムにおいて、電磁波照射装置の送電部が、閉空間内の複数の位置から前記電磁波を照射するよう構成されていてもよい。
【0019】
上記の閉空間センサシステムにおいて、電磁波がマイクロ波であってもよい。
【0020】
本発明の態様によれば、電磁波照射装置の送電部から電磁波を照射することと、それぞれアンテナを介して受信した電磁波を電力に変換して複数のセンサが駆動することと、を含み、複数のセンサのそれぞれが蓄電部を備え、蓄電部における蓄電量が複数のセンサで共通の駆動開始閾値に達した場合に、複数のセンサのそれぞれが駆動を開始し、電磁波照射装置の送電部及び複数のセンサが閉空間内に配置されている、閉空間センサシステムの動作方法が提供される。
【0021】
上記の閉空間センサシステムの動作方法において、複数のセンサの少なくとも一部の受信感度が、閉空間内で異なってもよい。
【0022】
上記の閉空間センサシステムの動作方法において、複数のセンサの少なくとも一部の受信感度のピークが、電磁波照射装置の送電部が照射可能な電磁波の送電周波数範囲外になることができてもよい。
【0023】
上記の閉空間センサシステムの動作方法において、蓄電部における蓄電量が複数のセンサで共通の駆動開始閾値に達した場合に、複数のセンサのそれぞれが駆動を開始し、センシング信号を無線で送信してもよい。
【0024】
上記の閉空間センサシステムの動作方法において、複数のセンサの測定周期が同じであってもよい。
【0025】
上記の閉空間センサシステムの動作方法の動作方法において、複数のセンサのそれぞれが、アンテナを介して、送信周期でセンシング信号を送信し、乱数を発生させ、送信周期に乱数を付与してもよい。
【0026】
上記の閉空間センサシステムの動作方法において、複数のセンサのそれぞれが、アンテナを介して、複数の信号送信周波数チャネルの少なくともいずれかでセンシング信号を送信してもよい。
【0027】
上記の閉空間センサシステムの動作方法において、送電周波数範囲内の複数の送電周波数チャネルの少なくともいずれかで、電磁波照射装置の送電部から電磁波を照射してもよい。
【0028】
上記の閉空間センサシステムの動作方法において、送電周波数に対するアンテナの受信感度の関係において、複数のセンサがそれぞれ駆動可能な感度閾値の受信感度を与える2つの送電周波数の間隔よりも、送電周波数チャネルの間隔が狭くてもよい。
【0029】
上記の閉空間センサシステムの動作方法において、電磁波照射装置が、複数のセンサのうち、所定の数のセンサが駆動可能な複数の送電周波数チャネルの組み合わせを設定してもよい。
【0030】
上記の閉空間センサシステムの動作方法において、電磁波照射装置の送電部が、閉空間内の複数の位置から前記電磁波を照射するよう構成されていてもよい。
【0031】
上記の閉空間センサシステムの動作方法において、電磁波がマイクロ波であってもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、閉空間内で安定した動作が可能な閉空間センサシステム及び閉空間センサシステムの動作方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、第1実施形態に係る閉空間センサシステムを示す模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係るセンサを示す模式図である。
図3図3は、第1実施形態に係る電磁波の送電周波数チャネルと、駆動可能なセンサと、の関係の例を示すグラフである。
図4図4は、第1実施形態に係る電磁波の送電周波数チャネルと、駆動可能なセンサと、の関係の例を示すグラフである。
図5図5は、第1実施形態に係る電磁波の送電周波数チャネルと、駆動可能なセンサと、の関係の例を示す表である。
図6図6は、第1実施形態に係る電磁波の送電周波数と、センサのアンテナの受信感度と、の関係を模式的に示すグラフである。
図7図7は、第1実施形態に係る電磁波の送電周波数と、センサのアンテナの受信感度と、の関係を模式的に示すグラフである。
図8図8は、第1実施形態に係る電磁波の送電周波数と、センサのアンテナの受信感度と、の関係を模式的に示すグラフである。
図9図9は、第1実施形態に係る電磁波の送電周波数と、センサのアンテナの受信感度と、の関係を模式的に示すグラフである。
図10図10は、第1実施形態に係る電磁波の送電周波数と、センサのアンテナの受信感度と、の関係を模式的に示すグラフである。
図11図11は、第1実施形態に係る電磁波の送電周波数と、センサのアンテナの受信感度と、の関係を模式的に示すグラフである。
図12図12は、第1実施形態に係るセンサを示す模式図である。
図13図13は、第1実施形態に係る時間とセンサの蓄電量との関係を示す模式的なグラフである。
図14図14は、第1実施形態に係る時間とセンサの蓄電量との関係を示す模式的なグラフである。
図15図15は、第2実施形態に係るセンサを示す模式図である。
図16図16は、第2実施形態に係るセンシング信号の送信周期を示す模式的なグラフである。
図17図17は、第4実施形態に係るセンサシステムを示す模式図である。
図18図18は、第5実施形態に係るセンサシステムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。ただし、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0035】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る閉空間センサシステムは、図1に示すように、電磁波を照射する電磁波照射装置140の送電部40と、アンテナをそれぞれ備え、アンテナを介して受信した電磁波を電力に変換して駆動する複数のセンサ30A、30B、30C・・・と、を備える。第1実施形態に係る閉空間センサシステムにおいて、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれが蓄電部を備え、蓄電部における蓄電量が複数のセンサ30A、30B、30C・・・で共通の駆動開始閾値に達した場合に、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれが駆動を開始する。
【0036】
電磁波照射装置140の送電部40は、例えば、アンテナを備える。電磁波照射装置140の送電部40は、送電周波数範囲内の複数の送電周波数チャネルの少なくともいずれかで、電磁波を照射してもよい。送電周波数に対するアンテナの受信感度の関係において、複数のセンサ30A、30B、30C・・・がそれぞれ駆動可能な感度閾値の受信感度を与える2つの送電周波数の間隔よりも、送電周波数チャネルの間隔が狭くてもよい。
【0037】
複数のセンサ30A、30B、30C・・・と、電磁波照射装置140の送電部40と、は、例えば閉空間10内に配置されている。電磁波照射装置140の送電部40以外の部分は、閉空間10の外に配置されていてもよい。閉空間10は、例えば凍結乾燥炉である。例えば、凍結乾燥炉は、扉を閉じると、内部の気体を外気から無菌的に遮蔽する。閉空間10内には、例えば、それぞれ凍結乾燥される医薬品を保存している複数のバイアル20A、20B、20C・・・が棚上に配置されている。複数のセンサ30A、30B、30C・・・は、例えば、複数のバイアル20A、20B、20C・・・の少なくとも一部の中に配置されている。複数のバイアル20A、20B、20C・・・のうち、どのバイアルにセンサを配置するかは、任意である。
【0038】
複数のセンサ30A、30B、30C・・・の数は任意である。複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれは、例えば温度センサである。複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれは、電磁波照射装置140の送電部40から照射されるマイクロ波等の電磁波によってワイヤレスに給電され、凍結乾燥中のバイアル内の温度を測定し、測定結果を含むセンシング信号を無線で発する。
【0039】
例えば、センサ30Aは、図2に示すように、電磁波を介して電力を受ける受電部110と、測定対象である例えば温度を測定する測定部160と、測定部160による測定結果を含むセンシング信号を送信可能な送信部150と、を備える。受電部110は、受電アンテナ111を介して、電磁波照射装置140の送電部40が送電した電磁波を受ける。また、センサ30Aは、受電部110が受電した電力を蓄電する蓄電部120を備える。蓄電部120は、受電部110、測定部160、及び送信部150に電気的に接続される。測定部160及び送信部150は、蓄電部120に蓄電された電力によって駆動する。送信部150は、送信アンテナ112を介して測定結果を含むセンシング信号を無線で送信する。
【0040】
受電アンテナ111と送信アンテナ112は、別個であってもよいし、同じであってもよい。受電アンテナ111は、広い周波数帯域の電磁波を受電可能であることが好ましい。送信アンテナ112は、広い周波数帯域のセンシング信号を送信可能であることが好ましい。センサ30Aは、複数の受電アンテナ111を備えていてもよい。また、センサ30Aは、複数の送信アンテナ112を備えていてもよい。図1に示す他のセンサ30B、30C・・・も、図2に示すセンサ30Aと同様の構成を備えていてもよい。
【0041】
図1に示す閉空間10内には、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれが発したセンシング信号を受信するセンシング信号受信装置50が配置されていてもよい。センシング信号受信装置50は、センシング信号を受信する受信アンテナを備える。センシング信号受信装置50の受信アンテナは、広い周波数帯域のセンシング信号を受信可能であることが好ましい。センシング信号受信装置50は、複数の受信アンテナを備えていてもよい。閉空間10内に、複数のセンシング信号受信装置50が配置されてもよい。センシング信号受信装置50は、受信したセンシング信号を保存する記憶装置をさらに備えていてもよい。複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれは、センシング信号受信装置50との無線接続の確立の検証を省略してもよい。
【0042】
電磁波照射装置140の送電部40が電磁波を照射すると、閉空間10内で電磁波が反射し、定在波が発生する場合がある。そのため、定在波の節近傍においては、伝送される電力が弱くなるヌルポイントが生じる場合がある。ヌルポイントの位置と、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のいずれかの位置とが一致すると、センサに電力が供給されず、センサが稼働しない場合がある。また、例えば閉空間10が凍結乾燥炉である場合、炉内の氷が昇華によって減少すると、炉内の電磁波の伝搬経路が変化し、ヌルポイントの位置が変化する場合があり得る。
【0043】
これに対し、電磁波照射装置140は、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のうち所定の数のセンサが駆動する電磁波の送電周波数チャネルの組み合わせを設定可能である。複数のセンサ30A、30B、30C・・・が検出対象を検出する前に、電磁波照射装置140は、電磁波の送電周波数チャネルを設定可能な範囲内で変化させて、電磁波の送電周波数チャネルごとに複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれが駆動するかを確認する。電磁波の送電周波数チャネルを設定可能な範囲内で変化させることを、電磁波の送電周波数を掃引するという場合がある。
【0044】
電磁波照射装置140は、少なくとも一つのセンサを駆動可能な電磁波の送電周波数チャネルを複数抽出する。電磁波照射装置140は、一つもセンサを駆動できない電磁波の送電周波数チャネルを選択肢から除去する。さらに、電磁波照射装置140は、電磁波の送電周波数チャネルと、駆動可能なセンサと、の組み合わせを複数作成する。またさらに、電磁波照射装置140は、電磁波の送電周波数チャネルと駆動可能なセンサの組み合わせに基づいて、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のうち所定の数のセンサが駆動する電磁波の送電周波数チャネルの組み合わせを設定する。所定の数は、センサの検出対象や、要求される検出精度に応じて、任意に設定可能である。所定の数は、複数のセンサ30A、30B、30C・・・の全数であってもよい。
【0045】
電磁波照射装置140は、送電周波数チャネルの組み合わせの電磁波を、一定時間内に順次照射するシーケンスを作成する。一定時間とは、例えば、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれの測定周期のうち、最も短い測定周期である。なお、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれの測定周期が同じである場合、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれの測定周期が、最も短い測定周期となる。なお、測定周期は、センサの検出対象や、要求される検出精度に応じて、任意に設定可能である。
【0046】
図3に示す例では、電磁波照射装置140は、送電周波数チャネルf1で2つのセンサ30A、30Bが駆動することを確認し、送電周波数チャネルf2で1つのセンサ30Cが駆動することを確認する。この場合、電磁波照射装置140は、センサ30A、30B、30Cのそれぞれの測定周期のうち、最も短い測定周期内に、送電周波数チャネルf1の電磁波と送電周波数チャネルf2の電磁波を順次照射するシーケンスを作成する。
【0047】
図4に示す例では、電磁波照射装置140は、送電周波数チャネルf1からf10を掃引し、センサ30Aが送電周波数チャネルf3、f4で駆動し、センサ30Bが送電周波数チャネルf8、f9で駆動することを確認する。2つのセンサ30A、30Bが駆動すればよい場合、電磁波照射装置140は、センサ30A、30Bのそれぞれの測定周期のうち、最も短い測定周期内に、送電周波数チャネルf3、f4、f8、f9の電磁波を順次照射するシーケンスを作成する。
【0048】
図1に示す電磁波照射装置140は、作成したシーケンスに従って、一定時間内に、設定された電磁波の送電周波数チャネルの組み合わせを用いて、電磁波を照射することを繰り返す。所定の数のセンサ30A、30B、30C・・・は、それぞれ、駆動可能な送電周波数チャネルの電磁波を測定周期内に少なくとも1回受信する。そのため、所定の数のセンサ30A、30B、30C・・・は、それぞれ、測定周期内に少なくとも1回駆動し、検出対象を検出することが可能である。なお、電磁波照射装置140は、設定された送電周波数チャネルの組み合わせの全部又は少なくとも一部の電磁波を、同時に照射してもよい。
【0049】
電磁波照射装置140は、複数のセンサ30A、30B、30C・・・が検出対象を検出している間に、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のうち所定の数のセンサが駆動する電磁波の送電周波数チャネルの組み合わせを再設定してもよい。
【0050】
例えば、現時点で設定されている電磁波の送電周波数チャネルの組み合わせが複数のセンサ30A、30B、30C・・・のいずれかを駆動できなくなった場合、電磁波照射装置140は、駆動できなくなったセンサを駆動可能な電磁波の送電周波数チャネルを、現時点で設定されている電磁波の送電周波数チャネルの組み合わせに追加する。
【0051】
また、追加された電磁波の送電周波数チャネルにより、現時点で設定されている電磁波の送電周波数チャネルの組み合わせのうちの少なくとも1つの送電周波数チャネルを削除しても、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のうち所定の数のセンサを駆動できる場合、電磁波照射装置140は、削除可能な送電周波数チャネルを削除し、削除されずに残った送電周波数チャネルの組み合わせと、追加された送電周波数チャネルと、の組み合わせを、電磁波の送電周波数チャネルの組み合わせとして再設定する。
【0052】
図5(a)に示す例では、当初、複数のセンサ30A、30B、30C、30D、30Eの全てを駆動可能であった送電周波数チャネルの組み合わせf1、f3、f10が、センサ30Eを駆動できなくなっている。この場合、送電周波数チャネルf1、f3、f10の電磁波全ての照射を止めて、電磁波の送電周波数チャネルを設定可能な範囲内で変化させて、電磁波の送電周波数チャネルの組み合わせの再設定をすると、一時的に複数のセンサの全ての駆動が止まる。
【0053】
そのため、図5(b)に示すように、電磁波照射装置140は、以前に複数のセンサ30A、30B、30C、30D、30Eの全てを駆動可能であった送電周波数チャネルの組み合わせf1、f3、f10で電磁波を照射することを止めずに、例えば送電周波数チャネルf2、f4の電磁波の照射を追加する。電磁波照射装置140は、電磁波の送電周波数チャネルf2がセンサ30Eを駆動可能であり、電磁波の送電周波数チャネルf4がセンサ30Eを駆動不可能であることを確認する。
【0054】
さらに、図5(c)に示すように、追加された送電周波数チャネルf2の電磁波がセンサ30Eのみならず、センサ30Dも駆動可能である場合、以前に設定された送電周波数チャネルの組み合わせのうち、センサ30Dを駆動可能な送電周波数チャネルf10を削除しても、複数のセンサ30A、30B、30C、30D、30Eの全てを駆動可能である。この場合、電磁波照射装置140は、削除可能な送電周波数チャネルf10を削除する。電磁波照射装置140は、削除されずに残った送電周波数チャネルの組み合わせf1、f3と、追加された送電周波数チャネルf2と、の組み合わせを、送電周波数チャネルの組み合わせとして再設定する。
【0055】
電磁波の周波数の組み合わせを再設定するタイミングは任意である、例えば、再設定は常に実施されてもよいし、電磁波照射装置140が備えるタイマあるいは電磁波照射装置140に接続されたタイマに基づいて定期的に実施されてもよい。あるいは、電磁波照射装置140が、複数のセンサ30A、30B、30C・・・の少なくとも一部が駆動していないことを確認したときに、電磁波の周波数の組み合わせを再設定してもよい。電磁波照射装置140が、複数のセンサ30A、30B、30C・・・の少なくとも一部が駆動していないことを確認したときに、電磁波照射装置140は、すぐに、電磁波の周波数の組み合わせを再設定してもよいし、所定の時間が経過した後に、電磁波の周波数の組み合わせを再設定してもよい。またあるいは、電磁波照射装置140は、電磁波の周波数の組み合わせを再設定するトリガ信号を受信して、電磁波の周波数の組み合わせを再設定してもよい。
【0056】
また、例えば、電磁波照射装置140の送電部40の位置の変化、複数のセンサ30A、30B、30C・・・の配置の変化、並びに電磁波照射装置140の送電部40と複数のセンサ30A、30B、30C・・・の間に存在する物の有無の変化等により、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれのアンテナによる電磁波の受信状態が変わる場合がある。
【0057】
例えば、近傍に金属等の導電物質があると、センサのアンテナによる電磁波の受信状態が変わる場合がある。図6に示すように、センサのアンテナの受信感度のピークを与える周波数を、共振周波数という場合がある。例えば、センサのアンテナが導電物質から離れて配置されている場合に、センサのアンテナの受信感度のピークを与える送電周波数が、電磁波照射装置140の送電部40が照射可能な送電周波数範囲内にあっても、センサのアンテナが導電物質の近傍に配置されると、図7及び図8に示すように、センサのアンテナの受信感度のピークを与える周波数が、電磁波照射装置140の送電部40が照射可能な送電周波数範囲外にシフトする場合がある。
【0058】
そのため、例えば、閉空間をなす壁が金属等の導電性物質からなる場合、壁の近傍のセンサのアンテナの受信感度と、壁から離れたセンサのアンテナの受信感度と、が、相違する場合がある。よって、複数のセンサ30A、30B、30C・・・の少なくとも一部の受信感度が、閉空間内で異なり得る。
【0059】
複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれは、アンテナの受信感度が所定の感度閾値以上である場合に、受信した電力により駆動可能である。図9に示すように、送電周波数に対するアンテナの受信感度の関係において、センサが駆動可能な感度閾値の受信感度を与える2つの周波数の間の送電周波数の電磁波をセンサのアンテナが受信すれば、センサは駆動可能である。第1実施形態に係る閉空間センサシステムにおいて、送電周波数に対するアンテナの受信感度の関係において、複数のセンサ30A、30B、30C・・・がそれぞれ駆動可能な感度閾値の受信感度を与える2つの周波数の間隔WHよりも、電磁波照射装置140が設定可能な送電周波数チャネルf1、f2、f3、f4・・・の間隔Wcが狭い。
【0060】
そのため、図10に示すように、アンテナの受信感度のピークを与える周波数が、電磁波照射装置140の送電部40が照射可能な送電周波数範囲外にシフトしても、センサが駆動可能な感度閾値以上の受信感度に対応する送電周波数チャネルfnが、間隔WHの間に残り得る。したがって、アンテナの受信感度のピークを与える周波数が、電磁波照射装置140の送電部40が照射可能な送電周波数範囲外にシフトしても、センサは間隔WHの間に残る送電周波数チャネルの電磁波により駆動可能である。なお、間隔WHの間に残り得る送電周波数チャネルの数は任意である。
【0061】
仮に、図11に示すように、センサが駆動可能な感度閾値の受信感度を与える2つの送電周波数の間隔WHが、送電周波数チャネルf1、f2、f3、f4・・・の間隔Wcより狭い場合、送電周波数に対するアンテナの受信感度のピークが、電磁波照射装置が照射可能な送電周波数範囲外にシフトすると、センサが駆動可能な感度閾値以上の受信感度に対応する送電周波数チャネルがなくなる可能性が高くなる。
【0062】
これに対し、上述したように、第1実施形態に係る閉空間センサシステムにおいて、図9に示すように、送電周波数に対するアンテナの受信感度の関係において、センサが駆動可能な感度閾値の受信感度を与える2つの送電周波数の間の間隔WHよりも、送電周波数チャネルf1、f2、f3、f4・・・の間隔Wcが狭いため、ある送電周波数チャネルでセンサを駆動することが不可能になっても、異なる送電周波数チャネルでセンサを駆動することが可能になりやすい。そのため、第1実施形態に係る閉空間センサシステムにおいて、複数のセンサ30A、30B、30C・・・の少なくとも一部において、アンテナの受信感度のピークを与える周波数が、電磁波照射装置140の送電部40が照射可能な電磁波の送電周波数範囲外になっても、測定を継続することが可能となりやすい。よって、センサの周辺の環境による、アンテナの受信感度のピークを与える周波数のシフトに対する許容範囲が広くなる。
【0063】
また、図1に示す複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれは、図12に示す蓄電部120の蓄電量と、駆動開始閾値と、を比較する比較部130をさらに備えていてもよい。駆動開始閾値は、図1に示す複数のセンサ30A、30B、30C・・・で共通である。複数のセンサ30A、30B、30C・・・が測定を開始する場合、電磁波照射装置140の送電部40が電磁波の照射を開始し、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれの蓄電部120が充電を開始する。複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれにおいて、比較部130が蓄電部120の蓄電量が駆動開始閾値以上であると判定すると、測定部160は測定対象の測定を開始し、測定部160が測定対象を測定する度に、送信部150は測定部160による測定結果を含むセンシング信号を送信する。
【0064】
図13に示すように、センサ30Aは、蓄電部120の蓄電量が駆動開始閾値以上になるまで測定を開始しない。蓄電部120の蓄電量が駆動開始閾値以上になると、センサ30Aは、所定の測定周期で測定を開始する。他のセンサ30B、30C・・・も同様である。なお、図13に示す例では、蓄電部120が駆動開始閾値以上の充電をしない例を示しているが、蓄電部120が駆動開始閾値以上の充電をしてもよい。
【0065】
上述したように、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のアンテナの受信感度は、周囲環境によって変化し得る。そのため、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のアンテナの受信感度は、互いに異なり得る。したがって、複数のセンサ30A、30B、30C・・・の蓄電部における蓄電量が駆動開始閾値以上になるまでの時間も、複数のセンサ30A、30B、30C・・・によって互いに異なり得る。
【0066】
図14に示す例では、センサ30Aより先にセンサ30Bにおける蓄電部の蓄電量が駆動開始閾値以上になり、センサ30Bは、所定の測定周期で測定対象の測定を開始する。その後、センサ30Aにおける蓄電部の蓄電量も駆動開始閾値以上になり、センサ30Aは、所定の測定周期で測定対象の測定を開始する。
【0067】
センサ30Aの測定周期とセンサ30Bの測定周期が同じである場合、測定開始時点が異なったセンサ30Aとセンサ30Bは、互いに異なるタイミングで測定対象の測定し、測定結果を含むセンシング信号を無線で発する。そのため、センサ30Aがセンシング信号を発するタイミングと、センサ30Bがセンシング信号を発するタイミングが異なり得る。そのため、センシング信号同士が干渉したり、トラフィックが混雑したりすることを回避することが可能になり得る。センサの数が3以上の場合も同様である。
【0068】
(第2実施形態)
図1に示す複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれにおいて、図15に示す送信部150は、所定の送信周期で、測定部160による測定結果を含むセンシング信号を送信してもよい。また、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれは、乱数を発生させ、センシング信号の送信周期に乱数を付与する乱数付与部170をさらに備えていてもよい。
【0069】
複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれの送信周期が同じである場合、図16(a)に示すように、複数のセンサ30A、30B、30C・・・がセンシング信号を送信するタイミングが同じになり得る。これに対し、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれにおいて、乱数付与部170が正又は負の乱数を発生させ、発生した乱数を送信周期に付与することにより、図16(b)に示すように、複数のセンサ30A、30B、30C・・・がセンシング信号を送信するタイミングが異なり得る。そのため、センシング信号同士が干渉したり、トラフィックが混雑したりすることを回避することが可能になり得る。
【0070】
(第3実施形態)
図1に示す複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれの送信部は、センシング信号の信号送信周波数チャネルを変化させて、センシング信号受信装置50でセンシング信号が受信されるか確認してもよい。複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれの送信部は、無線接続の確立が確認された信号送信周波数チャネルを用いて、センシング信号を送信してもよい。複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれの送信部は、無線接続の確立が確認された複数の信号送信周波数チャネルを用いて、センシング信号を送信してもよい。複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれの送信部は、無線接続の確立の確認を、測定開始前に行ってもよいし、測定中に行ってもよい。
【0071】
(第4実施形態)
例えば、図17に示すように、第4実施形態に係るセンサシステムにおいては、電磁波照射装置140の送電部40がそれぞれ電磁波を照射する複数の送電部40A、40B、40Cを有し、送電部40A、40B、40Cの位置が異なっていてもよい。複数の送電部40A、40B、40Cの数は任意である。
【0072】
電磁波照射装置140は、送電部40A、40B、40Cごとに複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれが駆動するか確認する。電磁波照射装置140は、送電部の位置と、駆動可能なセンサと、の組み合わせを複数作成する。またさらに、電磁波照射装置140は、送電部の位置と駆動可能なセンサの組み合わせに基づいて、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のうち所定の数のセンサが駆動する送電部の位置の組み合わせを設定する。
【0073】
電磁波照射装置140は、設定された組み合わせに含まれる位置の送電部から電磁波を照射するシーケンスを作成する。あるいは、電磁波照射装置140は、設定された組み合わせに含まれる位置の送電部の全部又は少なくとも一部から同時に電磁波を照射してもよい。
【0074】
ヌルポイントは、送電部40A、40B、40Cと、閉空間10の内壁やその他の電磁波を反射する物体と、の位置や方向の関係に影響を受けやすい。また、閉空間10の内壁は移動できない場合がある。これに対し、電磁波を照射する送電部の位置を変えることにより、センサの位置と重なっていたヌルポイントの位置を変えることが可能である。これにより、センサを安定的に駆動することが可能となる。
【0075】
(第5実施形態)
第5実施形態に係るセンサシステムにおいては、図18に示すように、電磁波照射装置140の送電部40が、電磁波の照射方向を変化させるアンテナを備える。アンテナは、例えば指向性アンテナであり、フェーズドアレーアンテナ及び可動式のパラボラアンテナ等が使用可能である。フェーズドアレーアンテナは、移動機構を用いずに指向性を変化させることができるため、発塵を抑制することが可能である。
【0076】
電磁波照射装置140は、電磁波の照射方向ごとに複数のセンサ30A、30B、30C・・・のそれぞれが駆動するか確認する。電磁波照射装置140は、電磁波の照射方向と、駆動可能なセンサと、の組み合わせを複数作成する。またさらに、電磁波照射装置140は、電磁波の照射方向と駆動可能なセンサの組み合わせに基づいて、複数のセンサ30A、30B、30C・・・のうち所定の数のセンサが駆動する電磁波の照射方向の組み合わせを設定する。
【0077】
電磁波照射装置140は、設定された組み合わせに含まれる照射方向に電磁波を照射するシーケンスを作成する。電磁波の照射方向を変えることにより、センサの位置と重なっていたヌルポイントの位置を変えることが可能である。これにより、センサを安定的に駆動することが可能となる。
【0078】
(他の実施形態)
上記のように本発明を実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、上述した実施形態を組み合わせてもよい。また、上記の実施形態では、閉空間として凍結乾燥炉を使用する場合を説明したが、閉空間は、部屋、工場、保管庫、房、漕及び炉等であってもよい。閉空間内の気体は清浄に保たれてもよい。閉空間内は真空にされてもよい。閉空間は、無菌的な医薬品処理空間であってもよい。また、センサは、表面弾性波に基づき湿度を測定対象としてもよい。センサは、酸素や二酸化炭素等の気体濃度を測定対象としてもよい。あるいは、センサは、物品のそれぞれの存否や移動を測定対象としてもよい。センサは、バイアルに限らず、様々な容器内に配置されてもよいし、容器内に配置されていなくともよい。センサは、商品、美術品、及び展示品等の物品に配置されてもよい。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。
【符号の説明】
【0079】
10・・・閉空間、20・・・バイアル、30・・・センサ、40・・・送電部、50・・・センシング信号受信装置、110・・・受電部、111・・・受電アンテナ、112・・・送信アンテナ、120・・・蓄電部、130・・・比較部、140・・・電磁波照射装置、150・・・送信部、160・・・測定部、170・・・乱数付与部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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